JP5218887B2 - 常圧カチオン可染性ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル繊維 - Google Patents
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Description
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
且つ平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲であって粒子径が0.5μmを越える粒子の頻度分布率が不活性粒子全重量を基準として20重量%以下である不活性粒子を常圧カチオン可染性ポリエステル組成物の重量を基準にして0.1〜5.0重量%含有する常圧カチオン可染性ポリエステル組成物、及び該ポリエステル組成物を溶融紡糸して得られる常圧カチオン可染性ポリエステル繊維である。該常圧カチオン可染性ポリエステル繊維は更にアルカリ減量加工することにより繊維表面に微細な凹凸構造を呈する常圧カチオン可染性ポリエステルとすることもでき、これにより上記の課題が解決できる。
本発明に使用される共重合ポリエステルとは、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール成分とを重縮合反応せしめて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする共重合ポリエステルであり、共重合成分としてスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)及び(2)を同時に満足する状態で含有する共重合ポリエステルであり、該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲にあり、且つ得られる共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲にあることを特徴とするポリエステルである。
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
本発明における共重合ポリエステルとはエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、主たる繰り返し単位とは共重合ポリエステルを構成する全繰り返し単位あたり80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることを指している。他の20モル%以下の範囲内で他の成分が共重合されていても良い。好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることである。その他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸を挙げる事ができ、グリコール成分として1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビス(トリメチレングリコール)、ビス(テトラメチレングリコール)、トリエチレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げる事ができ、これらの1種以上のジカルボン酸と1種以上のグリコール成分を反応させて得られる成分を繰り返し単位として共重合されていても良い。
本発明で使用されるスルホイソフタル酸の金属塩(A)としては、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)が例示される。必要に応じてこれら化合物のマグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩を併用しても良い。また、これらのエステル形成性誘導体も好ましく例示される。エステル形成性誘導体としてはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステル、ジフェニルエステル、5−スルホイソフタル酸金属塩のジハロゲン化物を挙げる事ができるが、これらの中でもジメチルエステルが好ましい。これらの化合物群の中では、熱安定性、コストなどの面から、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩が好ましく例示され、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのジメチルエステルである5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルが特に好ましく例示される。これらの条件を満たす化合物である場合に、ポリエステル繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
また、上記式(I)で表される化合物(B)としては、5−スルホイソフタル酸又はその低級アルキルエステルの4級ホスホニウム塩又は4級アンモニウム塩である。4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩としては、リン原子又は窒素原子にアルキル基、ベンジル基又はフェニル基が結合した4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級ホスホニウム塩であることが好ましい。また、4つある置換基は同一であっても異なっていても良い。上記式(I)で表される化合物の具体例としては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸エチルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラエチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラブチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩、あるいはこれらイソフタル酸誘導体のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロプルエステル、ジブチルエステル、ジへキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステルが好ましく例示される。これらのイソフタル酸誘導体の中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラエチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルベンジルトリメチルアンモニウム塩がより好ましく例示される。これらの条件を満たす化合物である場合に、ポリエステル繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
本発明において、ポリエステルに共重合させる上記のスルホイソフタル酸の金属塩(A)と上記の化合物(B)の合計は共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準として、(A)成分と(B)成分の和A+Bが3.0〜5.0モル%の範囲である必要がある。3.0モル%より少ないと、常圧下でのカチオン染色では十分な染着を得ることができない。一方、5.0モル%より多くなると、得られるポリエステル糸の強度が低下するため実用に適さない。さらに染料を過剰に消費するため、コスト面でも不利である。好ましくは3.2〜4.8モル%であり、より好ましくは3.3〜4.7モル%である。
また、スルホイソフタル酸の金属塩(A)と化合物(B)の成分比は上記のモル%の値にて、B/(A+B)が0.2〜0.7の範囲にある必要がある。0.2未満のとき、つまり成分Aの割合が多い状態では、スルホイソフタル酸金属塩による増粘効果により、得られる共重合ポリエステルの重合度を上げることが困難になる。一方、0.7を超えるとき、つまり化合物(B)の割合が多い状態では、重縮合反応が遅くなり、さらに化合物(B)の比率が多くなると熱分解反応が進むため重合度を上げることが困難となる。さらに、化合物(B)の比率多くなると共重合ポリエステルの熱安定性が悪化し、溶融紡糸段階で再溶融した際の熱分解反応による分子量の低下が大きくなるため、得られるポリエステル糸の強度が低下するため、好ましくない。好ましくは0.23〜0.65であり、より好ましくは0.25〜0.60である。
本発明の共重合ポリエステルは、DSC(示差走査熱量測定)法による測定方法(昇温速度=20℃/min)でのガラス転移温度(Tg)が70〜85℃の範囲である必要がある。Tgが70℃未満の場合、溶融紡糸による得られたポリエステル繊維の熱セット性が悪化し、仮撚捲縮加工性が悪化し、撚りがかからない状態となるため、該共重合ポリエステルからなるポリエステル繊維から得られる布帛の風合いが悪化する。ガラス転移温度を下げる方法としては、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを共重合することで成されるが、本発明においてはこれら共重合成分が、上記のガラス転移温度の条件を満足する範囲であれば微量共重合されていても良い。Tgの好ましい値の範囲は71〜82℃であり、より好ましくは75〜80℃である。
本発明の共重合ポリエステルの固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は0.55〜1.00dL/gの範囲であることが好ましい。固有粘度が0.55dL/g未満である場合、得られるポリエステル繊維の強度が不足し、一方、1.00dL/gを超える場合、溶融粘度が高くなりすぎて溶融成型が困難になるため好ましくなく、また、溶融重合法に引続いて固相重合法により共重合ポリエステルの重縮合工程での生産コストが大幅に増大するため好ましくない。常圧カチオン可染性ポリエステルの固有粘度としては、0.60〜0.90dL/gの範囲が更に好ましい。共重合ポリエステルの固有粘度を0.55〜1.00dL/gの範囲するためには、溶融重合を行う際の最終の重合温度、重合時間を調整したり、溶融重合法のみでは困難な場合には固相重合を行って適宜調整することができる。本発明においては、スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)を上記数式(1)及び(2)を満たすようにポリエチレンテレフタレートに対して共重合を行うことで上述のような手法により固有粘度を0.55〜1.00d
L/gにすることが可能となる。
本発明における常圧カチオン可染性ポリエステルに含有されるジエチレングリコールは、2.5重量%以下であることが好ましい。より好ましくは2.2重量%以下、更により好ましくは1.85〜2.2重量%である。一般にカチオン可染性ポリエステルを製造する際には、ポリエステルの製造工程において副生するジエチレングリコール(DEG)量を抑制するために、DEG抑制剤として少量のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水酸化テトラアルキルホスホニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミンなどの少なくとも1種類を、使用するカチオン可染性モノマー(本発明の場合はスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)の全モル量)に対して、1〜20モル%程度を添加することが好ましい。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物は上記の常圧カチオン可染性ポリエステルに、更に平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲であって、かつ粒子径が0.5μmを超える粒子の頻度分布率が20重量%以下である不活性粒子を常圧カチオン可染性ポリエステル組成物の全重量を基準として0.1〜5.0重量%含有している必要がある。ここで不活性とは後述する共重合ポリエステルの製造方法の工程、繊維その他の成形品を製造する工程において共重合ポリエステル鎖を構成している基と化学反応を起こすことがないことを示している。
本発明における不活性粒子は、平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲である必要がある。平均粒子径が0.5μmを超えると、ゾル又は共重合ポリエステル反応原液等の製造工程中で沈降しやすく、安定に供給・分散する事ができない。一方、平均粒子径が0.01μm未満では、粒子の比表面積が大きすぎ、共重合ポリエステル製造工程の反応中に容易に凝集粒子を形成し、得られた常圧カチオン可染性ポリエステル組成物を溶融紡糸により製糸を行う時に断糸が増大するため好ましくない。該不活性粒子の平均粒子径は0.02〜0.4μmの範囲が好ましく、0.03〜0.3μmの範囲が更に好ましい。
本発明における不活性粒子含有量は、常圧カチオン可染性ポリエステル組成物の全重量を基準として0.1〜5.0重量%の範囲にある必要がある。該含有量が0.1重量%未満の場合、最終的に得られる繊維の深色染色性が不十分となり、また、5.0重量%を超える場合は得られるポリエステル繊維の強度や耐熱性、耐光性が低下する為好ましくない。該粒子含有量は0.15〜3.0重量%の範囲が好ましく、0.2〜1.0重量%の範囲が更に好ましい。
本発明における共重合ポリエステルの製造は特に限定されず、スルホイソフタル酸の金属塩(A)(以下化合物Aと略称することがある。)及び化合物(B)を請求項1に記載の条件を満たすように留意する他は、通常知られているポリエステルの製造方法が用いられる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールの直接エステル化反応させる、あるいはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとをエステル交換反応させて低重合体を製造する。次いでこの反応生成物を重縮合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることにより製造される。スルホイソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル誘導体(スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B))を共重合する方法についても通常知られている製造方法を用いる事ができる。これらの化合物の反応工程への添加時期は、エステル交換反応又はエステル化反応の開始当初から重縮合反応の開始までの任意の時期に添加することができる。
また、本発明における常圧カチオン可染性ポリエステル組成物は、必要に応じて少量の添加剤、例えば酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤又は艶消し剤などを含んでいても良い。特に酸化防止剤、艶消し剤などは特に好ましく添加される。
本発明における常圧カチオン可染性ポリエステル組成物の製糸方法は、特に制限は無く、従来公知の方法が採用される。すなわち、乾燥した常圧カチオン可染性ポリエステル組成物を270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる常圧カチオン可染性を有するポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸若しくは部分延伸糸を、延伸工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸することが好ましい。この延伸は未延伸ポリエステル繊維を一旦巻き取ってから行ってもよく、一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。また、紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無く、円形、三角形・四角形等の多角形、3以上の多葉形、C型断面、H型断面、X型断面、中空断面のいずれであってもよい。
本発明のポリエステル繊維は繊維に微細孔を有する構造を発現させるため、アルカリ減少処理を施したのち、常圧下でカチオン染料による染色を行うこともできる。アルカリ減量処理ならびにカチオン染色処理は公知の方法を採用する事ができるが、前述の手法により得られたポリエステル繊維を用いて織編物の状態にした後に、アルカリ減量処理を施すことにより、繊維微細孔を有する構造にすることができる。その結果、ポリエステル繊維表面での光散乱効果、並びに繊維内部までカチオン染料が浸透することにより、繊維断面内部まで染色することが可能になり、これにより本発明の課題である深色性を向上させることが可能となる。
ポリエステル組成物試料を100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。なお、チップの固有粘度をηC、紡糸後の未延伸糸の固有粘度をηFとする。なお希薄溶液中に存在している不活性粒子は、希薄溶液を粘度計に移す前にろ過により取り除いた。
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステル組成物試料チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
CATHILON BLUE CD−FRLH0.2g/L、CD−FBLH0.2g/L(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製のカチオン可染性染料)、硫酸ナトリウム3g/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて125℃で1時間、浴比1:50で染色し、次式により染着率を求めた。
染着率=(OD0−OD1)/OD0 ×100(%)
OD0:染色前の染液の576nmの吸光度
OD1:染色後の染液の576nmの吸光度
本発明の実施例では、染着率98%以上のものを可染性良好と判断した。
ポリエステル繊維試料を布帛に形成した試験片を、濃度10g/L、100℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浴比30で浸して所定減量率となるようにアルカリ減量処理を施した布帛を水洗後、住友化学工業株式会社製分散染料Sumikaron Navy Blue S−2GLの2%owf溶液で浴比1:50に調製し、130℃で1時間染色した。染色布をグレタマクベス社製測色色差計(CE−3000型)により測色し、クベルカ・ムンクの式により、深色度(K/S)を求めた。
K/S=max[(1−R)2/2R]
上記数式中、Kは吸収係数、Sは散乱係数である。Rは分光反射率を示し、このスペクトルを測定し、最大値を深色度とする。本発明では、K/Sが20以上のものを深色性良好と判断した。
テレフタル酸ジメチル100重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4.1重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン0.03重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.12重量部を添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。その後、正リン酸0.03重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
実施例1において、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウムの添加量を表1となるように変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。ポリエステル組成物の製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
実施例1において、添加する不活性粒子を表1の性状のものに変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。ポリエステル組成物の製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
実施例4において、重縮合反応での攪拌電力の値が低い段階で反応終了させること以外は実施例4と同様に実施した。ポリエステル組成物の製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
実施例1において、不活性粒子を添加しないこと以外は実施例1と同様に実施した。ポリエステル組成物の製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
Claims (8)
- 常圧カチオン可染性ポリエステルと不活性粒子からなる常圧カチオン可染性ポリエステル組成物であって、
該常圧カチオン可染性ポリエステルが主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成される共重合ポリエステルであって、該共重合ポリエステルを構成する酸成分中にスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)及び(2)を同時に満足する状態で含有する共重合ポリエステルであって、該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲にあり、且つ得られる共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲にある常圧カチオン可染性ポリエステルであり、
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
且つ平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲であって粒子径が0.5μmを越える粒子の頻度分布率が不活性粒子全重量を基準として20重量%以下である不活性粒子を常圧カチオン可染性ポリエステル組成物の重量を基準にして0.1〜5.0重量%含有する常圧カチオン可染性ポリエステル組成物。 - 該共重合ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下である請求項1記載の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物。
- スルホイソフタル酸の金属塩(A)が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸又は5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルである請求項1又は2記載の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物。
- 上記式(I)で表される化合物(B)が、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム又は5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルホスホニウムである請求項1〜3のいずれか1項記載の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物。
- 不活性粒子が炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリコーンパウダー、カオリナイト、硫酸バリウム及び酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の不活性粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物。
- リン酸カルシウムが第三リン酸カルシウムである、請求項5記載の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の常圧カチオン可染性ポリエステル組成物を溶融紡糸して得られるポリエステル繊維。
- 請求項7に記載のポリエステル繊維にアルカリ減量処理を施されたポリエステル繊維。
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