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JP5218040B2 - 遊星歯車機構の潤滑構造 - Google Patents

遊星歯車機構の潤滑構造 Download PDF

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JP5218040B2 JP2008335138A JP2008335138A JP5218040B2 JP 5218040 B2 JP5218040 B2 JP 5218040B2 JP 2008335138 A JP2008335138 A JP 2008335138A JP 2008335138 A JP2008335138 A JP 2008335138A JP 5218040 B2 JP5218040 B2 JP 5218040B2
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Description

本発明は、遊星歯車機構の潤滑構造に関するものである。特に、この発明は、動力源としてエンジンとモータとが用いられるハイブリッド車の変速装置に用いられる遊星歯車機構の潤滑構造に関するものである。
車両に搭載される従来の変速装置には、回転可能に設けられるサンギアと、サンギアと噛み合いながら自転をしつつ、サンギアの回転中心を中心としてサンギアの周囲を公転可能なプラネタリギアと、プラネタリギアがサンギアの周囲を公転できるようにプラネタリギアを支持するキャリアと、回転中心がサンギアの回転中心と同一の回転中心となり、且つ、プラネタリギアと噛み合いながらプラネタリギアの周囲を回転可能に設けられたリングギアとを有する遊星歯車機構が用いられているものがある。この遊星歯車機構は、サンギアやキャリア等の回転をクラッチやブレーキを用いて制御することにより、動力源であるエンジンからの動力を所望の変速比で駆動輪側に伝達することができる。
また、このような遊星歯車機構では、通常、車両の運転時に作動するオイルポンプによって潤滑油が供給され、この潤滑油により潤滑されながら作動する。しかし、車両の被牽引時には、オイルポンプは停止した状態になるため、オイルポンプによって潤滑油は供給されなくなる。この場合、変速装置内に溜められている潤滑油が、車両の被牽引時に車輪の回転に伴って回転をする変速装置内のギアによって跳ね上げられることにより、リングギアの外側部分には、潤滑油が供給され易くなるが、跳ね上げられた潤滑油はリングギアの外側部分には届き難いため、リングギアの内側部分には供給され難くなる。この場合、プラネタリギア側には潤滑油が供給され難くなり、潤滑油の供給が不十分になる場合がある。
このため従来の遊星歯車機構の潤滑構造では、オイルポンプが停止している場合でも、より確実に潤滑油の供給を行っているものがある。例えば、特許文献1に記載の車輌用変速機の潤滑装置では、サンギアに、内径側から供給される潤滑油を溜めるオイル溜まりと、サンギアの回転に基づく遠心力によりオイル溜まりのオイルをプラネタリギアの被潤滑部に導く油路とを形成している。これにより、オイルポンプが停止している場合でも、サンギアが回転をしていれば遠心力によって、オイル溜まりのオイルはサンギアに形成される油路を通ってプラネタリギアの被潤滑部に導かれる。従って、車両の被牽引時等オイルポンプが停止した場合でも、プラネタリギアの潤滑を行うことができる。
また、車両の変速装置では、車両の走行時に変速装置が有するギアにより、上記のように変速装置内に溜められている潤滑油が跳ね上げられるため、従来の遊星歯車機構の潤滑構造では、この跳ね上げられる潤滑油を積極的に用いて潤滑を行っているものがある。例えば、特許文献2に記載の遊星歯車装置の潤滑構造では、プラネタリギアの回転軸となる支持ピンに、支持ピンとプラネタリギアとの間に潤滑油を供給可能な油路を設け、この支持ピンが一体に設けられるプラネタリキャリアに、潤滑油を支持ピンの油路に導くことができる導入油路を設けている。
また、導入油路は、S字状に屈曲しており、プラネタリキャリアの回転時に遠心力によって内径側から外径側に向かう潤滑油が導入油路に流入した際に、外径側に流出しないように形成されている。さらに、この導入油路は、S字状に屈曲されているため、プラネタリキャリアの回転の停止時に変速装置内の他のギアによって跳ね上げられ、重力によって上方側から下方側に向かう潤滑油が導入油路に流入した際に、下方側に流出しないように形成されている。これにより、プラネタリキャリアの回転状態に関わらず、導入油路から支持ピンの油路に潤滑油を導くことができ、支持ピンとプラネタリギアとの潤滑を行うことができる。
特開2004−211801号公報 特開2004−270736号公報
ここで、遊星歯車機構の中には、プラネタリギアを回転可能に支持するキャリアと一体となって回転可能に設けられた回転軸内にオイルポンプから潤滑油が供給され、この回転軸が回転する際の遠心力により、オイルポンプから供給された潤滑油をプラネタリギアに供給可能に設けられているものがある。このような遊星歯車機構の場合、特許文献1に記載の車輌用変速機の潤滑装置のようにサンギアにオイル溜まりや油路を設けても、オイルポンプで供給される潤滑油はサンギアには流れないため、回転軸が停止した場合には、潤滑油に遠心力が作用しなくなり、潤滑油はプラネタリギアの方向に供給され難くなる。
また、このようにオイルポンプから回転軸内に潤滑油が供給される遊星歯車機構でも、回転軸の回転時には遠心力によってプラネタリギアの方向に潤滑油が供給され、回転が停止した場合でも変速装置内の他のギアによって跳ね上げられる潤滑油によって遊星歯車機構には潤滑油が供給される。しかし、これらの潤滑油は、オイルポンプで供給する場合と異なり、回転軸の回転速度や変速装置内での潤滑油の状態等により、遠心力で供給される量や跳ね上げられる量、さらに、遠心力や跳ね上げにより飛散する潤滑油の方向が、時々刻々と変化する。
このため、特許文献2に記載の遊星歯車装置の潤滑構造のように、プラネタリキャリアに導入油路を設けて、オイルが供給される回転軸の回転時の遠心力によって周囲に飛散する潤滑油や変速装置内のギアにより跳ね上げられる潤滑油を導入油路で受ける場合、導入油路で受ける量を安定させる更なる工夫が求められる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことのできる遊星歯車機構の潤滑構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、回転中心軸を中心として回転可能に設けられた回転部と、前記回転部に接続され、且つ、前記回転部と一体となって回転可能に設けられていると共に潤滑油を潤滑部に供給する潤滑油路が形成された潤滑部材と、前記潤滑油が入り込むことが可能な開口部を有し、前記開口部から入り込んだ前記潤滑油を溜めることが可能に設けられると共に溜めた前記潤滑油を前記潤滑油路に流すことができ、且つ、前記回転部に接続されると共に前記回転部と一体となって回転可能なキャッチタンクと、前記回転部の回転の停止時に、前記キャッチタンクが有する前記開口部を鉛直上向き位置にさせて前記回転部を停止させることができる回転停止位置制御手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、回転部の回転の停止時に、回転停止位置制御手段によってキャッチタンクの開口部を鉛直上向き位置にさせて停止させることができるので、回転部の停止時に、潤滑油を開口部からキャッチタンクによって受けることができる。これにより、回転部の回転が停止した場合でもキャッチタンクで潤滑油を溜めることができ、溜めた潤滑油を潤滑部材に形成された潤滑油路に流すことにより、回転部が停止をしている場合でも、キャッチタンクで潤滑油を溜めた潤滑油を所望の潤滑部に供給することができる。この結果、回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、前記回転停止位置制御手段は、前記回転部の位相を制御することにより、前記開口部を鉛直上向き位置にさせて前記回転部を停止させることを特徴とする。
この発明では、キャッチタンクの開口部を鉛直上向き位置にさせて回転部を停止させる際に、回転停止位置制御手段で回転部の位相を制御することにより停止させるので、より確実にキャッチタンクの開口部を鉛直上向き位置にさせた状態で停止させることができる。これにより、回転部が停止をしている場合でも、より確実にキャッチタンクで潤滑油を溜めることができ、溜めた潤滑油を所望の潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、前記回転停止位置制御手段は、前記回転部を回転させる動力源と前記回転部との回転方向の位相を一定にし、且つ、前記動力源の位相を制御することにより、前記開口部を鉛直上向き位置にさせて前記回転部を停止させることを特徴とする。
この発明では、回転部を回転させる動力源と回転部との回転方向の位相を一定にし、キャッチタンクの開口部を鉛直上向き位置にさせて回転部を停止させる際には、回転停止位置制御手段で動力源の位相を制御して回転部を停止させるので、より確実にキャッチタンクの開口部を鉛直上向き位置にさせた状態で停止させることができる。これにより、回転部を停止させる場合でも、より確実にキャッチタンクで潤滑油を溜めることができ、溜めた潤滑油を所望の潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、さらに、前記回転部の回転に伴い飛散する前記潤滑油を受け止めるキャッチプレートを有しており、前記潤滑部材は、前記潤滑油路として、前記キャッチプレートで受け止めた前記潤滑油を前記潤滑部に供給する第1潤滑油路と、前記キャッチタンクで溜めた前記潤滑油を前記潤滑部に供給する第2潤滑油路と、を備えていることを特徴とする。
この発明では、回転部の回転に伴って飛散する潤滑油を受け止めるキャッチプレートを設けており、さらに、潤滑部材には、第1潤滑油路と第2潤滑油路とを備えているので、回転部の回転時にキャッチプレートで受け止めた潤滑油、及び回転部の回転の停止時にキャッチタンクで溜めた潤滑油を、第1潤滑油路または第2潤滑油路から潤滑部に対して供給することができる。これにより、回転部の回転状態に関わらず、潤滑油を潤滑部に対して供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、前記第1潤滑油路と前記第2潤滑油路とは連通していないことを特徴とする。
この発明では、第1潤滑油路と第2潤滑油路とを連通していないので、第1潤滑油路と第2潤滑油路との間で潤滑油が流れることを抑制できる。これにより、キャッチプレートから第1潤滑油路に流れた潤滑油や、キャッチタンクから第2潤滑油路に流れた潤滑油を、より確実に潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、前記第2潤滑油路における前記キャッチタンクから前記潤滑油が導入される油路である導入油路は、前記第1潤滑油路における前記キャッチプレートから前記潤滑油が導入される油路である導入油路よりも、前記回転部の回転が停止した場合における位置が鉛直方向下側に位置していることを特徴とする。
この発明では、第2潤滑油路を第1潤滑油路よりも下方に位置させているので、潤滑油路に対して流す潤滑油を、回転部の回転状態に基づく潤滑油の流れ方に適した状態で流すことができる。つまり、第1潤滑油路は、回転部の回転時にキャッチプレートで受け止めた潤滑油がキャッチプレートから流れるので、第1潤滑油路には回転部の回転時に潤滑油が流れる。このため、第1潤滑油路には、遠心力が作用する状態で潤滑油が流れる。一方、第2潤滑油路は、回転部の回転の停止時にキャッチタンクで溜めた潤滑油がキャッチタンクから流れるので、第2潤滑油路には回転部の停止時に潤滑油が流れる。このため、第2潤滑油路には、遠心力は作用せず重力のみが作用する状態で潤滑油が流れる。
これらのため、第1潤滑油路を流れる潤滑油は、遠心力によって回転中心軸を中心とする径方向における外方に流れるのに対し、第2潤滑油路を流れる潤滑油は、重力によって鉛直方向下側に流れるので、第2潤滑油路の導入油路を、第1潤滑油路の導入油路よりも鉛直方向下側に設けることにより、潤滑油路に対して流す潤滑油を、第1潤滑油路と第2潤滑油路との双方の潤滑油路共に、回転部の回転状態に基づく潤滑油の流れ方に適した状態で流すことができる。これにより、キャッチプレートから第1潤滑油路に流れた潤滑油や、キャッチタンクから第2潤滑油路に流れた潤滑油を、より確実に潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、前記第1潤滑油路の前記導入油路と前記第2潤滑油路の前記導入油路とは連通しており、前記回転部の回転が停止した状態では前記第2潤滑油路の前記導入油路の方が前記第1潤滑油路の前記導入油路よりも鉛直方向下側に位置するように前記導入油路同士で段差を有して設けられていることを特徴とする。
この発明では、第1潤滑油路の導入油路と第2潤滑油路の導入油路とを、段差を有した状態で連通しているので、第1潤滑油路と第2潤滑油路とを容易に形成することができると共に、第1潤滑油路と第2潤滑油路との間で潤滑油が流れることを抑制できる。これにより、キャッチプレートで受け止めた潤滑油やキャッチタンクで溜めた潤滑油を潤滑部に供給することができる潤滑油路を容易に形成することができると共に、これらの潤滑油を、より確実に潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、この発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、上記遊星歯車機構の潤滑構造において、前記キャッチタンクは、前記回転部の回転の停止時に前記回転部における前記回転中心軸よりも鉛直方向上側になる位置に設けられていることを特徴とする。
この発明では、キャッチタンクを回転部の回転の停止時に回転中心軸よりも鉛直方向上側になる位置に設けているので、回転部の回転の停止時に、潤滑油をより確実に潤滑部に供給することができる。つまり、回転部の回転の停止時に回転部における回転中心軸よりも鉛直方向下側になる位置では、重力は回転中心軸を中心とする径方向における外方寄りに作用するため、遠心力や重力が作用することによって流れる潤滑油の流れ方向は、回転部の回転時と停止時とで、概ね同じ方向になる。
これに対し、回転部の回転の停止時に回転部における回転中心軸よりも鉛直方向上側になる位置では、遠心力は回転中心軸を中心とする径方向における外方寄りに作用するのに対し、重力は回転中心軸を中心とする径方向における内方寄りに作用する。このため、潤滑油に作用する力が回転部の回転時と停止時とで異なるため、キャッチタンクを回転中心軸よりも鉛直方向上側になる位置に設け、回転部の回転の停止時には、キャッチタンクで溜めた潤滑油を潤滑油路から潤滑部に流すようにすることにより、回転部における回転中心軸よりも鉛直方向上側に位置する潤滑部に対しても、回転部の回転状態に関わらず潤滑油を供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造を備える車両の概略図である。なお、以下の説明では、径方向とは、基準となる軸等を特に記載していない場合には、後述する駆動装置15の入力軸16が回転をする際に中心となる軸である回転中心軸95と直交する方向をいい、周方向とは、同様に回転中心軸95が中心となる円周方向をいう。同図に示す車両1は、内燃機関であるエンジン3と、電気で駆動するモータジェネレータ5とを備えている。この車両1は、走行時における動力源としてエンジン3とモータジェネレータ5とを併用、または選択して使用する、いわゆるハイブリッド車となっている。このうち、モータジェネレータ5は、動力分割統合機構20、減速機構80、及び差動装置85と共に、駆動装置15を構成しており、車両1は、エンジン3とモータジェネレータ5とを、車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)10によって協調制御することにより走行する。
また、モータジェネレータ5は、供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えており、第1モータジェネレータ6と第2モータジェネレータ8との2つのモータジェネレータ5が設けられている。このうち、第1モータジェネレータ6は、主に発電機として用いられ、第2モータジェネレータ8は、主に電動機として用いられる。
また、駆動装置15には、エンジン3及びモータジェネレータ5が出力した機械的動力を、車両1の駆動輪92に伝達する際における動力伝達機構として、エンジン3が出力した機械的動力を分割する動力分割統合機構20と、動力分割統合機構20から伝達された回転を減速しトルクを増大させる減速機構80と、減速機構80から伝達された機械的動力を左右の駆動輪92に分配して出力する差動装置85が設けられている。
このうち、動力分割統合機構20は、2つのシングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている。詳細には、動力分割統合機構20は、エンジン3が出力した機械的動力を、第1モータジェネレータ6を駆動する機械的動力と減速機構80を駆動する機械的動力に分割可能な動力分割遊星歯車21と、第2モータジェネレータ8が出力した機械的動力を、回転速度を減速しトルクを増大させて減速機構80に伝達可能な減速遊星歯車71との2つの遊星歯車機構により構成されている。
これらの動力分割遊星歯車21と減速遊星歯車71とのうち、動力分割遊星歯車21は、互いに同軸的に配置されたサンギア22及びリングギア23と、これらのギアの間に介在する複数のプラネタリギア24と、プラネタリギア24を自転可能に、且つ、回転中心軸95を中心として公転可能に支持するプラネタリキャリア25とを有している。同様に、減速遊星歯車71は、互いに同軸的に配置されたサンギア72及びリングギア73と、これらのギアの間に介在する複数のプラネタリギア74と、プラネタリギア74を自転可能に支持するプラネタリキャリア75とを有している。
このように設けられる動力分割遊星歯車21と減速遊星歯車71とは、同心配置されており、動力分割遊星歯車21のリングギア23と減速遊星歯車71のリングギア73は、一体に結合されている。また、この一体に結合されたリングギア23、73の外周側には、減速機構80が有するカウンタシャフト83を駆動するカウンタドライブギア78が設けられている。
また、エンジン3の出力が駆動装置15に入力される際における回転軸として設けられる駆動装置15の入力軸16は、動力分割遊星歯車21のプラネタリキャリア25と一体回転可能に接続されている。これにより、動力分割遊星歯車21は、エンジン3の出力を、プラネタリキャリア25が支持するプラネタリギア24から、サンギア22に伝達する機械的動力と、リングギア23に伝達する機械的動力に分割可能になっている。
また、第1モータジェネレータ6は、この動力分割統合機構20に接続されており、第1モータジェネレータ6の駆動軸7は駆動装置15の入力軸16と同軸の中空状に形成され、且つ、動力分割遊星歯車21のサンギア22と一体回転可能に接続されている。これらにより、エンジン3から動力分割遊星歯車21に入力された機械的動力は、プラネタリキャリア25、プラネタリギア24及びサンギア22を介して第1モータジェネレータ6に伝達可能になっており、第1モータジェネレータ6は、エンジン3から伝達された機械的動力によって発電可能になっている。
一方、減速遊星歯車71のプラネタリキャリア75は、駆動装置15のハウジングに固定されており、減速遊星歯車71のサンギア72は、第2モータジェネレータ8の駆動軸9に結合されている。また、サンギア72は、プラネタリキャリア75が支持するプラネタリギア74を介してリングギア73に回転を伝達可能に設けられているため、減速遊星歯車71は、第2モータジェネレータ8が出力した機械的動力を、サンギア72及びプラネタリギア74を介して、リングギア73に伝達可能になっている。その際に、減速遊星歯車71は、第2モータジェネレータ8が出力した機械的動力の回転速度を減速し、トルクを増大させてリングギア73に伝達することができる。
このリングギア73は、動力分割遊星歯車21のリングギア23と一体に結合されているため、動力分割統合機構20は、第2モータジェネレータ8から減速遊星歯車71のリングギア73に伝達された機械的動力と、エンジン3から動力分割遊星歯車21のリングギア23に伝達された機械的動力とを統合して、カウンタドライブギア78から減速機構80に伝達可能になっている。
また、減速機構80は、動力分割統合機構20のカウンタドライブギア78に噛み合うカウンタドリブンギア81と、カウンタドリブンギア81と結合されているカウンタシャフト83と、カウンタシャフト83に結合され、差動装置85が有するリングギア86に噛み合うファイナルドライブギア84とを有している。このため、減速機構80は、動力分割統合機構20のリングギア23、73から伝達された機械的動力を、回転速度を減速しトルクを増大させて差動装置85のリングギア86に伝達可能になっている。
また、差動装置85は、リングギア86と、当該リングギア86に固定され、一体に回転する差動ケース87とを有している。また、差動ケース87内には、車両1の左右の駆動軸91とそれぞれ結合されている左右一対のサイドギア88と、これら2つのサイドギア88と直交して噛み合う2つの差動ピニオン89とが設けられている。また、左右の駆動軸91は、それぞれサイドギア88に結合されており、さらにこの駆動軸91は、車両1の左右の駆動輪92にそれぞれ結合されている。
図2は、図1に示す動力分割遊星歯車の詳細図である。動力分割遊星歯車21が有するプラネタリキャリア25が接続される入力軸16には、動力分割遊星歯車21等、駆動装置15の各部を潤滑する潤滑油が流れる油路である入力軸油路17が形成されている。この入力軸油路17は、入力軸16の軸方向に沿って形成されている。さらに、入力軸16には、入力軸油路17に連通する径方向油路18が複数形成されている。この径方向油路18は、入力軸16の径方向に形成されており、一端は入力軸油路17に連通しており、他端は入力軸16の外周面に開口している。即ち、径方向油路18は、入力軸油路17と、入力軸16の外部とを連通している。また、入力軸油路17には、オイルポンプ(図示省略)で圧送することによって直接、または間接的に、潤滑油を供給可能に設けられている。
また、動力分割遊星歯車21が有するプラネタリキャリア25は、プラネタリギア24を自転及び公転可能に支持しているが、詳しく説明すると、プラネタリキャリア25は、入力軸16に接続されており、入力軸16の回転時には、入力軸16が回転をする際に中心となる軸である回転中心軸95を中心として入力軸16と共に回転可能になっている。即ち、プラネタリキャリア25は、回転中心軸95を中心として回転可能に設けられた回転部として設けられている。また、このように設けられるプラネタリキャリア25は、プラネタリギア24が自転や公転をする際の軸方向におけるプラネタリギア24の両側に設けられており、プラネタリギア24の両側に位置するプラネタリキャリア25同士は、プラネタリキャリア25が有する接続部26(図3参照)により接続されている。この接続部26は、回転中心軸95を中心とする周方向における複数個所に設けられている。
このように設けられるプラネタリキャリア25は、プラネタリギア24を自転可能に支持するプラネタリシャフト40を支持している。このプラネタリシャフト40は丸棒状に形成されており、丸棒状軸の軸方向における両端が、プラネタリギア24の両側に設けられたプラネタリキャリア25にカシメられることにより接続されている。これにより、プラネタリシャフト40は、プラネタリキャリア25の回転時にプラネタリキャリア25と一体となって回転可能に設けられている。即ち、プラネタリシャフト40は、プラネタリキャリア25の回転時にプラネタリキャリア25と一体となって回転することにより、回転中心軸95を中心として公転可能になっている。
また、プラネタリギア24には、プラネタリシャフト40の径よりも大きい穴が形成されており、プラネタリシャフト40は、このプラネタリギア24の穴に通った状態でプラネタリギア24を支持している。その際に、プラネタリシャフト40とプラネタリギア24との間には、ニードルベアリング60が設けられている。このニードルベアリング60は、長さがプラネタリギア24の幅の半分よりも短いニードル61が、プラネタリシャフト40と同じ方向に向いた状態で、2列になって多数配設されている。このように2列になったニードル61の列の間には、リング状の形状で形成されるスペーサ62が設けられている。ニードルベアリング60は、このスペーサ62と2列のニードル61とを合わせた長さが、プラネタリギア24の幅と同程度の長さになっている。また、ニードルベアリング60の両端側、或いはプラネタリギア24の両面側には、ワッシャ63が配設されている。
プラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間には、このようにニードルベアリング60が設けられているが、プラネタリギア24が自転をする際には、プラネタリギア24はプラネタリシャフト40に対して相対的に回転をする。このため、ニードルベアリング60が設けられたプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の部分は、プラネタリギア24を自転させる際に潤滑油を供給して潤滑を行う潤滑部となっている。
また、プラネタリシャフト40には、プラネタリシャフト40とプラネタリギア24との間の潤滑部に潤滑油を供給可能な潤滑油路41が形成されており、具体的には、潤滑油路41はプラネタリシャフト40とプラネタリギア24との間に設けられるニードルベアリング60に対して潤滑油を供給可能に形成されている。このように、プラネタリシャフト40は、潤滑油を潤滑部に供給する潤滑油路41が形成された潤滑部材として設けられている。
また、プラネタリギア24の両側に設けられるプラネタリキャリア25のうち、入力軸16に形成された径方向油路18に、より近い側に位置するプラネタリキャリア25には、キャッチプレート30が接続されている。このキャッチプレート30は、径方向における中心側に穴が開けられた略円盤状の形状で形成されており、略円板の形状で形成された平面部31と、円盤の軸方向に対して傾斜して形成された傾斜部32とを組み合わせることにより形成されている。これにより、キャッチプレート30は、円盤の軸方向において所定の高さを有している。キャッチプレート30は、このように円盤の軸方向において所定の高さを有しているため、キャッチプレート30の外周部分と、径方向における中心側に開けられた穴の部分とでは、軸方向における位置が異なっている。また、キャッチプレート30は、円盤の軸方向における、外周部分が位置する側から穴が形成されている部分が位置する側に向かうに従って、径が小さくなって形成されている。
このように形成されるキャッチプレート30は、外周部分側、即ち、径が大きくなっている側がプラネタリキャリア25側になる向きで、円盤の軸と回転中心軸95とが重なる状態でプラネタリキャリア25に接続されている。このようにプラネタリキャリア25に接続されるキャッチプレート30は、プラネタリシャフト40が位置する部分付近に傾斜部32が位置し、この傾斜部32の外周部分は、プラネタリシャフト40の付近に位置している。この傾斜部32の外端部分は、外端部33となっている。また、キャッチプレート30は、円盤の軸方向において所定の高さを有しているため、キャッチプレート30に形成される穴は、外端部33が位置している部分よりも、プラネタリキャリア25から離れた位置に形成されている。この穴は、キャッチプレート30の開口部34となっている。この開口部34は、入力軸16の軸径よりも径が大きい穴として形成されている。
また、キャッチプレート30は、円盤の軸方向、即ち、回転中心軸95の軸方向における高さが所定の高さになっているため、キャッチプレート30がプラネタリキャリア25に接続された場合、キャッチプレート30と、プラネタリキャリア25及びプラネタリシャフト40との間の部分は、所定の容積を有する空間となって形成される。このように、キャッチプレート30と、プラネタリキャリア25及びプラネタリシャフト40とにより形成される空間は、潤滑油を受けることができるキャッチプレート受け部35となっている。
図3は、図2のA−A矢視図である。プラネタリシャフト40はプラネタリギア24と同数設けられており、プラネタリギア24は3つ設けられているため、プラネタリシャフト40も3つ設けられており、潤滑油路41は各プラネタリシャフト40に形成されているが、この潤滑油路41は、プラネタリシャフト40によって形態が異なっている。まず、エンジン3を停止させた際にフライホイール112(図4参照)がECU10と後述するダンパ機構110(図4参照)によって所定の位相で停止し、これに伴い入力軸16、及び入力軸16に接続されるプラネタリキャリア25が所定の位相で停止した際に、プラネタリキャリア25の上半側、即ち、回転中心軸95よりも上方に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41について説明する。このプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41は、1つのプラネタリシャフト40に対して2つずつ形成されている。
このように形成される2つの潤滑油路41のうち、一方の潤滑油路41は、プラネタリシャフト40の両端部のうち一方の端部に開口しており、他方の潤滑油路41は、プラネタリシャフト40の他方の端部に開口している。このうち、プラネタリシャフト40の端部に開口した開口部42が、入力軸16に形成された径方向油路18に、より近い側の潤滑油路41は、第1潤滑油路である回転時側潤滑油路45となっており、プラネタリシャフト40の端部に開口した開口部42が、入力軸16に形成された径方向油路18から離れている側の潤滑油路41は、第2潤滑油路である停止時側潤滑油路50となっている。これらの回転時側潤滑油路45と停止時側潤滑油路50とは、連通せずに独立して形成されている。
回転時側潤滑油路45と停止時側潤滑油路50とは共に、潤滑油が導入される導入油路46、51と、潤滑油をニードルベアリング60に供給する供給油路47、52とにより構成されている。このうち、導入油路46、51は、プラネタリシャフト40の軸方向に沿って形成されており、回転時側潤滑油路45及び停止時側潤滑油路50の開口部42は、この導入油路46、51の開口部分となっている。回転時側潤滑油路45の導入油路46と停止時側潤滑油路50の導入油路51とは、このようにプラネタリシャフト40の端部に開口し、プラネタリシャフト40の軸方向に沿って形成されており、その深さは、プラネタリシャフト40の長さの1/2よりも浅くなっている。これにより、回転時側潤滑油路45の導入油路46と停止時側潤滑油路50の導入油路51とは、連通せずに形成されている。
また、回転時側潤滑油路45の供給油路47と停止時側潤滑油路50の供給油路52とは、共にプラネタリシャフト40の軸方に交差する方向の穴として形成されている。この供給油路47、52は、共に一端側がプラネタリシャフト40の外周面に開口しており、他端側は、回転時側潤滑油路45の供給油路47では回転時側潤滑油路45の導入油路46に連通し、停止時側潤滑油路50の供給油路52では停止時側潤滑油路50の導入油路51に連通している。これにより、供給油路47、52は、導入油路46、51とプラネタリシャフト40の外部とを連通する役割を果たしている。
また、このように形成される供給油路47、52におけるプラネタリシャフト40の外周面への開口部分は、プラネタリシャフト40の長さ方向における中央付近に開口しており、プラネタリシャフト40とプラネタリギア24との間に位置するニードルベアリング60のスペーサ62付近に開口している。さらに、回転時側潤滑油路45の供給油路47は、導入油路46からプラネタリシャフト40の外周面にかけて形成される際に、導入油路46から、回転中心軸95を中心とする径方向における外方に向かって形成されている。これに対し、停止時側潤滑油路50の供給油路52は、導入油路51からプラネタリシャフト40の外周面にかけて形成される際に、導入油路51から、回転中心軸95を中心とする径方向における内方、または、上下方向における下方に向かって形成されている。
また、回転時側潤滑油路45の導入油路46は、プラネタリシャフト40の長さの1/2よりも浅くなって形成されているため、プラネタリシャフト40の長さ方向における中央付近に開口している供給油路47は、この開口部分から導入油路46にかけて、プラネタリシャフト40の径方向、及びプラネタリシャフト40の軸方向に対して傾斜して形成されている。同様に、停止時側潤滑油路50の導入油路51は、プラネタリシャフト40の長さの1/2よりも浅くなって形成されているため、停止時側潤滑油路50の供給油路52は、開口部分から導入油路51にかけて、プラネタリシャフト40の径方向、及びプラネタリシャフト40の軸方向に対して傾斜して形成されている。
このように形成される、プラネタリキャリア25の停止時にプラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41に対し、プラネタリキャリア25が所定の位相で停止した際に、プラネタリキャリア25の下半側、即ち、プラネタリキャリア25における回転中心軸95よりも鉛直方向下側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41では、1つのプラネタリシャフト40に対して1つの潤滑油路41が形成されている。このように、プラネタリキャリア25の停止時にプラネタリキャリア25の下半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41は、下半側潤滑油路55となっている。
このように、プラネタリキャリア25の下半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される下半側潤滑油路55でも、プラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41と同様に、潤滑油が導入される導入油路56と、潤滑油をニードルベアリング60に供給する供給油路57とにより構成されている。このうち、導入油路56は、プラネタリシャフト40の軸方向に沿って形成されており、一端がプラネタリシャフト40の両端部のうちの一方の端部に開口して開口部42を形成しており、他端はプラネタリシャフト40の他方の端部に開口せず、プラネタリシャフト40の中に位置している。即ち、導入油路56は所定の深さの穴としてプラネタリシャフト40に形成されており、その深さは、プラネタリシャフト40の長さの1/2よりも深くなっている。また、導入油路56が開口しているプラネタリシャフト40の端部は、プラネタリシャフト40の両端部のうち、入力軸16に形成された径方向油路18に、より近い側の端部になっており、換言すると、入力軸16の径方向における、導入油路56が開口している側のプラネタリシャフト40の端部の内方付近に、径方向油路18が位置している。
また供給油路57は、プラネタリシャフト40の軸方向に直交する穴として形成されている。この供給油路57は、プラネタリシャフト40を貫通してプラネタリシャフト40の外周面に開口しており、また、プラネタリシャフト40に形成されている導入油路56も貫通している。即ち、供給油路57は、導入油路56と連通しており、導入油路56とプラネタリシャフト40の外部とを連通する役割を果たしている。このように形成される供給油路57は、プラネタリシャフト40の長さ方向における中央付近に形成されており、プラネタリシャフト40とプラネタリギア24との間に位置するニードルベアリング60のスペーサ62付近に開口している。
なお、供給油路57の形成方向は、入力軸16の径方向に沿った方向で形成される、または、プラネタリキャリア25の回転の停止時に上下方向に向かう方向に形成されるのが好ましい。また、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造を備える遊星歯車機構である動力分割遊星歯車21のように、プラネタリキャリア25の回転の停止時に下半側に位置するプラネタリシャフト40が1つの場合には、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、このプラネタリシャフト40が、公転円周上における最下部に位置した状態で停止するように形成されているのが好ましい。
これらのように、プラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41は、プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41、及び下半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41共に、入力軸16に形成された径方向油路18に、より近い側のプラネタリシャフト40の端部に開口している。詳しくは、プラネタリキャリア25の停止時にプラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41のうち回転時側潤滑油路45の開口部42、及び下半側に位置するプラネタリシャフト40に形成される下半側潤滑油路55の開口部42が、入力軸16に形成された径方向油路18に、より近い側のプラネタリシャフト40の端部に開口している。
また、これらの潤滑油路41は、キャッチプレート30が配設されている側に対して開口しているが、潤滑油路41におけるキャッチプレート30が配設されている側のプラネタリシャフト40の端部に開口している開口部42は、キャッチプレート30の外端部33よりも、回転中心軸95の径方向における内方に開口している。これにより、プラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41における、キャッチプレート30が配設されている側のプラネタリシャフト40の端部に開口している開口部42、つまり、回転時側潤滑油路45の開口部42と、下半側潤滑油路55の開口部42とは、キャッチプレート受け部35に対して開口している。
また、プラネタリシャフト40のうち、プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25の上半側に位置し、且つ、プラネタリシャフト40の端部が、キャッチプレート30が配設されている側の反対側に位置するプラネタリシャフト40の当該端部の近傍には、潤滑油を溜めることが可能なキャッチタンク100が設けられている。即ち、キャッチタンク100は、プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25における回転中心軸95よりも鉛直方向上側になる位置に設けられており、停止時側潤滑油路50の開口部42が開口しているプラネタリシャフト40の端部の近傍に配設されている。また、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造を備える遊星歯車機構である動力分割遊星歯車21では、プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40は2つであるため、キャッチタンク100は、このプラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40に合わせて2つが設けられている。
このように配設されているキャッチタンク100は、プラネタリキャリア25及びプラネタリシャフト40に接続されており、プラネタリキャリア25の回転時にはプラネタリキャリア25と一体となって回転し、プラネタリキャリア25の回転の停止時にはプラネタリキャリア25の停止と共に停止する。キャッチタンク100は、このようにプラネタリキャリア25に接続されると共にプラネタリキャリア25と一体となって回転可能に設けられている。
このキャッチタンク100の形状は、プラネタリシャフト40の軸方向に見た場合における形状が、略半円状の形状で形成されており、この略半円状に形成された部分は、略半円状の板状に形成された正面壁部101となっている。また、この正面壁部101には、正面壁部101の形状である曲線部分に沿って、プラネタリシャフト40の軸方向に所定の幅を有して形成された側壁部102が接続されている。キャッチタンク100は、側壁部102の幅方向における正面壁部101に接続されている側の端部の反対側の端部が、プラネタリキャリア25またはプラネタリシャフト40に接続されている。
このため、キャッチタンク100は、正面壁部101の形状である略半円の直線部分と側壁部102の長さ方向における両端部により構成される部分が開口しており、この部分は、キャッチタンク100内に潤滑油が入り込むことが可能な開口部103となっている。つまり、キャッチタンク100は、側壁部102がプラネタリキャリア25、またはプラネタリシャフト40に接続されて配設されているため、正面壁部101と側壁部102とプラネタリキャリア25及びプラネタリシャフト40とにより所定の容積を有する空間を画成する状態で設けられている。このため、キャッチタンク100は、開口部103から入り込んだ潤滑油を溜めることが可能に設けられており、開口部103は、キャッチタンク100の外部に対するこの空間の開口部分となっている。
このように設けられるキャッチタンク100の開口部103は、プラネタリキャリア25の回転の停止時に鉛直上向き位置になるように形成されており、プラネタリキャリア25の回転の停止時には、開口部103は上方に向かって開口した状態になる。換言すると、開口部103が形成されるキャッチタンク100は、プラネタリキャリア25の回転の停止時に開口部103がキャッチタンク100における上端側に位置し、開口部103が上方に向かって開口する向きで設けられている。
また、プラネタリシャフト40は、プラネタリキャリア25と共にキャッチタンク100内の空間を構成しているため、プラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41のうち、開口部42がキャッチタンク100の近傍に開口している潤滑油路41である停止時側潤滑油路50の開口部42は、キャッチタンク100内の空間に対して開口している。このため、キャッチタンク100は、キャッチタンク100内で溜めた潤滑油を停止時側潤滑油路50が有する導入油路51に流すことが可能になっている。
プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25の上半側に位置するプラネタリシャフト40の近傍には、全てのプラネタリシャフト40の近傍に、このような形態でキャッチタンク100が配設されている。
図4は、図1に示すエンジンと駆動装置の入力軸との連結部分の概略図である。図5は、図4のB−B矢視図である。図6は、図4のC−C断面視図である。エンジン3から駆動装置15への出力が入力される入力軸16とエンジン3とは、ダンパ機構110によって連結されている。このダンパ機構110は、エンジン3のクランクシャフト111に接続されたフライホイール112に連結される連結部材113と、入力軸16に結合されるハブ部116を有するハブプレート115と、圧縮バネにより形成されていると共に連結部材113とハブプレート115との間で回転中心軸95を中心とする回転方向の力を伝達可能な減衰バネ117とを有している。このうち、フライホイール112と連結部材113とは、連結ボルト114により連結されている。また、入力軸16におけるハブ部116と結合する部分である結合部118と、ハブプレート115のハブ部116における入力軸16と結合する穴である結合穴120とには、共にスプラインが形成されており、ハブ部116と入力軸16とは、スプライン結合されている。
さらに、入力軸16の結合部118には、溝状の形状で当該入力軸16の軸方向に延びる切欠き部119が形成されており、ハブ部116の結合穴120には、径方向における内方に突出し、結合部118と結合穴120とを結合する際に切欠き部119に入り込むことができる突起部121が形成されている。これにより、入力軸16とハブ部116との結合時には、結合部118の切欠き部119に結合穴120の突起部121が入り込んで結合されるため、回転中心軸95を中心とする周方向における入力軸16とハブ部116との相対的な位置関係は、常に同じ位置関係となって結合される。
また、ハブ部116を有するハブプレート115と、フライホイール112に連結された連結部材113とは、圧縮バネにより形成される減衰バネ117を介して連結されており、ハブプレート115とフライホイール112とは、共に減衰バネ117より付勢力が付与されている。このため、ハブプレート115と連結部材113との間で回転方向の力が伝達されない状態の場合には、ハブプレート115と連結部材113とは、減衰バネ117の付勢力により、回転方向における相対関係が所定の状態となって維持される。従って、ハブプレート115と連結部材113との間で回転方向の力が伝達されない状態の場合には、連結部材113が連結されるフライホイール112と、ハブプレート115が結合される入力軸16とは、回転方向における相対関係、つまり、回転中心軸95を中心とする周方向における相対関係が、常に同じ関係となって維持される。このため、入力軸16と一体に回転するプラネタリキャリア25とエンジン3との回転方向の位相は一定になる。
また、エンジン3は、運転の停止時には、次回の始動時における始動性を確保するため、クランクシャフト111の回転角度、即ち位相が、始動性が良好になる位相となって停止するように、ECU10により制御される。即ち、エンジン3は、運転の停止時には、クランクシャフト111及びフライホイール112の位相が、常に同じ位相となって停止可能に設けられている。このため、ダンパ機構110を介してエンジン3のフライホイール112に連結される入力軸16は、エンジン3の停止時は、常に同じ位相となって停止し、入力軸16に接続され、入力軸16と一体となって回転するプラネタリキャリア25も、エンジン3の停止時は常に同じ位相となって停止する。このように、ダンパ機構110及びECU10は、入力軸16、及び入力軸16に接続されるプラネタリキャリア25の位相を制御してプラネタリキャリア25の回転を停止させることができる回転停止位置制御手段として設けられている。
この実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行時には、動力源であるエンジン3やモータジェネレータ5を駆動させて動力を発生させることにより走行する。このうち、エンジン3で発生した動力は入力軸16に入力されて入力軸16が回転する。この入力軸16は、動力分割遊星歯車21のプラネタリキャリア25に接続されているため、入力軸16が回転した場合、入力軸16と共にプラネタリキャリア25も回転する。このようにプラネタリキャリア25が回転した場合、その回転はプラネタリキャリア25が支持するプラネタリギア24を介してリングギア23に伝達され、リングギア23の外周側に設けられるカウンタドライブギア78から減速機構80に伝達される。減速機構80に伝達された回転は、減速機構80で回転速度を減速してトルクを増大させた後、差動装置85に伝達される。差動装置85に伝達された回転は、左右の駆動軸91に分配して駆動軸91に伝達され、駆動軸91から駆動輪92に伝達される。これにより、車両1は走行する。
また、エンジン3で発生した動力は、動力分割遊星歯車21のプラネタリギア24が自転、または回転中心軸95を中心として公転した際に、プラネタリギア24からサンギア22に伝達され、サンギア22から第1モータジェネレータ6の駆動軸7に伝達されることにより、第1モータジェネレータ6に伝達可能になっている。このようにエンジン3で発生した動力が伝達された第1モータジェネレータ6は、この動力によって、第2モータジェネレータ8を駆動させる電気を発電する、或いは、車両1に搭載されるバッテリ(図示省略)に充電する電気を発電する。
さらに、車両1の減速時には、車両1の慣性に伴う駆動輪92の動力が差動装置85から減速機構80に伝達され、減速機構80から動力分割遊星歯車21のリングギア23に伝達される。リングギア23に伝達された動力は、動力分割遊星歯車21のプラネタリギア24を介してサンギア22に伝達され、サンギア22から第1モータジェネレータ6に伝達可能になっている。これにより、第1モータジェネレータ6で発電することができ、車両1の減速時の慣性力によって発電しながら行う制動である回生制動を行うことができる。
また、第2モータジェネレータ8で発生した動力は、第2モータジェネレータ8の駆動軸9から減速遊星歯車71のサンギア72に伝達されて、サンギア72が回転する。このサンギア72の回転は、減速遊星歯車71のプラネタリギア74を介してリングギア73に伝達され、リングギア73の外周側に設けられるカウンタドライブギア78から減速機構80に伝達される。これにより、エンジン3の動力が動力分割遊星歯車21を介して減速機構80に伝達された場合と同様に、動力が減速機構80から差動装置85を経て駆動軸91に伝達され、さらに駆動輪92に伝達されることにより、車両1は走行する。
これらのように、エンジン3で発生した動力、及び第2モータジェネレータ8で発生した動力は、共に駆動輪92に伝達可能になっており、また、エンジン3で発生した動力や車両1の走行時の慣性力が第1モータジェネレータ6に伝達されることにより、第1モータジェネレータ6で発電をすることができる。
これらのように車両1の走行時はエンジン3や第2モータジェネレータ8で動力を発生させたり、第1モータジェネレータ6で発電させたりすることにより車両1は走行可能になっているが、車両1の走行時には、これらのエンジン3、モータジェネレータ5は、ECU10により協調制御を行う。このため、車両1の走行時には常にエンジン3を運転させているのではなく、必要に応じて運転させたり停止させたりする。これにより、駆動装置15の入力軸16は、車両1の走行中に回転したり停止したりする。
ここで、遊星歯車機構で構成される動力分割遊星歯車21の潤滑について説明する。動力分割遊星歯車21の潤滑、詳しくは、動力分割遊星歯車21が有するプラネタリギア24の回転部分の潤滑は、入力軸16が回転している場合と停止している場合とで異なっている。まず、エンジン3が運転することにより入力軸16やプラネタリキャリア25が回転している場合について説明すると、エンジン3の運転中は入力軸16の入力軸油路17に潤滑油を供給するオイルポンプも作動するため、入力軸油路17内に潤滑油が供給される。入力軸油路17内に供給された潤滑油は、入力軸油路17に連通する径方向油路18にも流れる。この径方向油路18は、入力軸16の径方向に形成されているため、径方向油路18に流れた潤滑油は、入力軸16の回転による遠心力により、入力軸16の外部に放出されて飛散し、そのまま径方向における外方に向かう(図2の矢印F)。
径方向油路18から放出されて飛散した潤滑油は、このように入力軸16の径方向における外方に向かうが、この方向には、キャッチプレート30が位置している。このキャッチプレート30は、プラネタリキャリア25及びプラネタリシャフト40と共にキャッチプレート受け部35を形成する状態で配設されており、キャッチプレート30の開口部34は、入力軸16の軸径よりも径が大きい穴として形成されている。このため、径方向油路18から放出され、入力軸16の径方向における外方に向かう潤滑油の一部は、開口部34から、キャッチプレート受け部35に入る。即ち、入力軸16やプラネタリキャリア25が回転した際に、これらの回転に伴い飛散する潤滑油の一部は、キャッチプレート30によって受け止める。
このキャッチプレート30は、プラネタリキャリア25に接続され、プラネタリキャリア25の回転時にはプラネタリキャリア25と共に回転をしているため遠心力が作用しているが、キャッチプレート30で潤滑油を受け止めた場合には、遠心力は、この潤滑油にも作用する。このため、キャッチプレート30で受け止めた潤滑油は開口部34から離れて、回転中心軸95を中心とする径方向における外方側、即ち、キャッチプレート30の外端部33の方向に流れる。
また、プラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41のうち、回転時側潤滑油路45、及び下半側潤滑油路55は、キャッチプレート受け部35に対して開口している。このため、潤滑油がキャッチプレート30の外端部33の方向に流れた場合、この潤滑油は、キャッチプレート受け部35から、キャッチプレート受け部35に対して開口した潤滑油路41である回転時側潤滑油路45と下半側潤滑油路55とに流れる。
キャッチプレート受け部35から、回転時側潤滑油路45や下半側潤滑油路55に流れた潤滑油は、これらの潤滑油路41が有する導入油路46、56を伝わって、導入油路46、56に連通している供給油路47、57に流れる。この供給油路47、57は、回転時側潤滑油路45の供給油路47、下半側潤滑油路55の供給油路57共に、導入油路46、56とプラネタリシャフト40の外部とを連通しているため、供給油路47、57に流れた潤滑油は、プラネタリシャフト40の外部に流れる。
詳しくは、回転時側潤滑油路45が有する供給油路47は、導入油路46からプラネタリシャフト40の外周面にかけて形成される際に、導入油路46から、回転中心軸95を中心とする径方向における外方に向かって形成されている。また、入力軸16が回転をしている場合には、プラネタリキャリア25も回転しており、プラネタリキャリア25に接続しているプラネタリシャフト40は、回転中心軸95を中心として公転している。このため、プラネタリシャフト40にも遠心力が作用しており、プラネタリシャフト40の潤滑油路41を流れる潤滑油にも遠心力が作用している。このため、供給油路47に流れた潤滑油は、回転中心軸95を中心とする径方向における外方に向かって流れ易くなっているため、導入油路46から、回転中心軸95を中心とする径方向における外方に向かって形成される供給油路47に流れた潤滑油は、導入油路46側から、プラネタリシャフト40の外周面に向かって流れる。
また、下半側潤滑油路55が有する供給油路57は、プラネタリシャフト40及び導入油路56を貫通しているため、導入油路56を貫通して導入油路56からプラネタリシャフト40の外周面に向かって形成される2方向の供給油路57のうち、一方の供給油路57は、導入油路56よりも、回転中心軸95を中心とする径方向における外方に位置している。また、下半側潤滑油路55に流れた潤滑油には、プラネタリキャリア25の回転時の遠心力が作用するため、この潤滑油は、下半側潤滑油路55の導入油路56から2方向に形成される供給油路57のうち、回転中心軸95を中心とする径方向における外方に位置している供給油路57に主に流れる。
これらの供給油路47、57は、プラネタリシャフト40の外周面に開口しているため、供給油路47、57に流れた潤滑油は、プラネタリシャフト40から流出する。供給油路47、57からは、このように潤滑油が流出するが、プラネタリシャフト40の周囲にはニードルベアリング60が設けられている。このため、潤滑油は、ニードルベアリング60の各部に流れて各部を潤滑する。具体的には、潤滑油は、ニードル61とプラネタリシャフト40との間やニードル61とプラネタリギア24との間、さらに、ニードル61の端部とスペーサ62との間やニードル61の端部とワッシャ63との間に供給され、これらの部分を潤滑する。このように、エンジン3が運転をすることにより、入力軸16が回転をしている場合には、遠心力によってキャッチプレート30で受け止めた潤滑油を回転時側潤滑油路45や下半側潤滑油路55でプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することにより、この潤滑部を潤滑する。
これに対し、エンジン3が停止し、入力軸16の回転が停止した場合には、入力軸16に接続されている動力分割遊星歯車21のプラネタリキャリア25も回転が停止する。さらに、エンジン3の停止に伴い、入力軸16に形成される入力軸油路17に潤滑油を供給するオイルポンプも停止する。これにより、入力軸油路17に潤滑油は供給されなくなり、また、入力軸油路17内や径方向油路18内にある潤滑油は、入力軸16の回転が停止することにより遠心力が作用しなくなるので、入力軸16の外部に流出しなくなる。
エンジン3が停止して入力軸16やプラネタリキャリア25の回転が停止した場合には、このように入力軸16から潤滑油が流出しなくなるため、動力分割遊星歯車21のプラネタリキャリア25に接続されるキャッチタンク100には、入力軸16から潤滑油が流入しなくなるが、エンジン3が停止しても第2モータジェネレータ8の動力により車両1が走行をしている場合には、駆動装置15の減速遊星歯車71や減速機構80や差動装置85が作動する。このため、入力軸16の回転が停止することに伴いプラネタリキャリア25の回転が停止する場合でも、第2モータジェネレータ8が動力を発生したり、車両1が慣性走行をしたりする場合には、動力分割遊星歯車21のリングギア23は回転をするため、動力分割遊星歯車21のプラネタリギア24は、リングギア23の回転が伝達されることにより自転したり公転したりする。
ここで、駆動装置15が有する各機器は、駆動装置15のハウジング内に設けられているが、これらの各機器が作動をする際における潤滑は、上記のオイルポンプで潤滑油を各部に供給することに加え、駆動装置15が有する機器が、ハウジング内に溜められている潤滑油を作動時に跳ね上げることによっても行われる。つまり、駆動装置15が有する機器が作動することにより跳ね上げられた潤滑油が、駆動装置15のハウジング内を飛び散り、この飛び散った潤滑油が各機器に供給されることにより、潤滑が行われる。
具体的には、駆動装置15のハウジング内に溜められている潤滑油には、駆動装置15が有する機器のうち差動装置85の一部が浸っている。この差動装置85は駆動輪92が接続される駆動軸91が接続されているため、車両1が走行をしていれば、エンジン3やモータジェネレータ5の運転状態に関わらず作動する。このため、車両1の走行時には、駆動装置15内の潤滑油は動力源の運転状態に関わらず差動装置85により跳ね上げられる。これにより、駆動装置15が有する各機器には潤滑油が供給され、各機器は、動力源の運転状態に関わらず、供給された潤滑油により潤滑される。
このように、車両1が走行状態の場合には、動力源の運転状態に関わらず潤滑油は差動装置85で跳ね上げられることにより駆動装置15の各機器に供給されるため、動力分割遊星歯車21に対しても供給されるが、その際に潤滑油は、動力分割遊星歯車21の外側から動力分割遊星歯車21に対して供給される。
差動装置85で跳ね上げられた潤滑油が供給される動力分割遊星歯車21が有するプラネタリキャリア25には、回転中心軸95の軸方向における、キャッチプレート30が配設されている側の反対側に、キャッチタンク100が設けられている。このため、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、差動装置85により跳ね上げられた潤滑油が、回転中心軸95を中心とする径方向における外方から動力分割遊星歯車21に対して供給された場合、この潤滑油はキャッチタンク100に対しても、動力分割遊星歯車21の外側からキャッチタンク100の方向に向かう。このように、動力分割遊星歯車21の外側からキャッチタンク100の方向に向かい、キャッチタンク100が配設されている部分に到達した潤滑油の一部は、重力により上方から下方に向かう向きで、キャッチタンク100が位置している部分に到達する(図2及び図3の矢印S)。
また、回転停止位置制御手段として設けられるダンパ機構110とECU10とは、ECU10でエンジン3の停止時の位相を制御することを介してプラネタリキャリア25の位相を制御することにより、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、キャッチタンク100が有する開口部103を鉛直上向き位置にさせてプラネタリキャリア25を停止させる。これにより、プラネタリキャリア25の回転の停止時には、キャッチタンク100は開口部103が上方に向かって開口した状態になる。このため、上方から下方に移動しながらキャッチタンク100が配設されている部分に到達した潤滑油は、この開口部103からキャッチタンク100の内部に入る。プラネタリキャリア25の回転が停止した状態のキャッチタンク100には遠心力が作用していないため、潤滑油がキャッチタンク100内に入った場合には、潤滑油は重力により下方に流れ、キャッチタンク100内に溜まる。
また、プラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41のうち、停止時側潤滑油路50は、キャッチタンク100の内部に対して開口している。このため、このように重力によって潤滑油がキャッチタンク100内に溜まった場合には、溜まった潤滑油はキャッチタンク100内から停止時側潤滑油路50の導入油路51に流れ、導入油路51を伝わって、導入油路51に連通している供給油路52に流れる。停止時側潤滑油路50の供給油路52は、回転時側潤滑油路45の供給油路47と同様に、導入油路51とプラネタリシャフト40の外部とを連通しているため、供給油路52に流れた潤滑油は、プラネタリシャフト40の外部に流れる。
詳しくは、停止時側潤滑油路50が有する供給油路52は、導入油路51からプラネタリシャフト40の外周面にかけて形成される際に、導入油路51から、回転中心軸95を中心とする径方向における内方、または、上下方向における下方に向かって形成されている。つまり、停止時側潤滑油路50が形成されるプラネタリシャフト40は、プラネタリキャリア25の回転の停止時にはプラネタリキャリア25の上半側に位置するため、回転中心軸95を中心とする径方向における内方は、上下方向における下側の方向になる。このため、導入油路51からプラネタリシャフト40の外周面にかけて形成される停止時側潤滑油路50の供給油路52の形成方向は、プラネタリキャリア25の回転の停止時には、下方に向かう方向になる。
また、入力軸16の回転が停止し、プラネタリキャリア25の回転も停止している場合には、プラネタリシャフト40には遠心力が作用せず、停止時側潤滑油路50内の潤滑油は、重力により下方に流れ易くなる。このため、潤滑油が導入油路51から供給油路52に流れた場合は、潤滑油は供給油路52を通って導入油路51側からプラネタリシャフト40の外周面に向かって流れる。
供給油路52を通ってプラネタリシャフト40の外周面に向かって流れた潤滑油は、プラネタリシャフト40から流出し、入力軸16が回転をしている場合と同様に、ニードルベアリング60の各部を潤滑する。このように、エンジン3の運転が停止することにより、入力軸16やプラネタリキャリア25の回転が停止している場合には、プラネタリキャリア25の上半側では、差動装置85で跳ね上げられた潤滑油がキャッチタンク100内に入り、キャッチタンク100内に溜められた潤滑油を停止時側潤滑油路50でプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することにより、この潤滑部を潤滑する。
また、動力分割遊星歯車21に対して外側から潤滑油が供給された場合、この潤滑油は、キャッチプレート30に対しても、動力分割遊星歯車21の外側からキャッチプレート30の方向に向かう。このように、動力分割遊星歯車21の外側からキャッチプレート30の方向に向かい、キャッチプレート30が配設されている部分に到達した潤滑油の一部は、重力により上方から下方に向かう向きで、キャッチプレート30の開口部34に到達する(図2の矢印S)。
これらのように差動装置85により跳ね上げられることにより動力分割遊星歯車21に供給される潤滑油のうち、キャッチプレート30の開口部34に到達した潤滑油は、この開口部34からキャッチプレート受け部35に入り、キャッチプレート30によって受け止められる。
プラネタリキャリア25の回転が停止している場合は、キャッチプレート30も回転が停止しているため、キャッチプレート30によって受け止められた潤滑油は、重力によって下方に流れる。このため、キャッチプレート30で受け止めた潤滑油は、開口部34から離れて、キャッチプレート30の下半側の外端部33の方向に流れる。
また、上記のように、下半側潤滑油路55は、キャッチプレート受け部35に対して開口しているため、潤滑油がキャッチプレート30の外端部33の方向に流れた場合には、この潤滑油は、キャッチプレート受け部35から下半側潤滑油路55に流れる。キャッチプレート受け部35から、下半側潤滑油路55に流れた潤滑油は、下半側潤滑油路55が有する導入油路56を伝わって、導入油路56に連通している供給油路57に流れ、供給油路57からプラネタリシャフト40の外部に流れる。
詳しくは、下半側潤滑油路55が有する供給油路57は、プラネタリシャフト40及び導入油路56を貫通しているため、導入油路56を貫通して導入油路56からプラネタリシャフト40の外周面に向かって形成される2方向の供給油路のうち、一方の供給油路57は、導入油路56よりも、上下方向における下方に位置している。また、下半側潤滑油路55に流れた潤滑油には重力が作用するため、この潤滑油は、下半側潤滑油路55の導入油路から2方向に形成される供給油路57のうち、上下方向における下方に位置している供給油路57に主に流れる。
この供給油路57は、プラネタリシャフト40の外周面に開口しているため、供給油路57に流れた潤滑油は、プラネタリシャフト40から流出し、ニードルベアリング60の各部に流れて各部を潤滑する。このように、エンジン3の運転が停止することにより、入力軸16やプラネタリキャリア25の回転が停止している場合には、プラネタリキャリア25の下半側では、差動装置85で跳ね上げられ、キャッチプレート30で受け止めた潤滑油により、プラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部分を潤滑する。
以上の遊星歯車機構の潤滑構造は、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、ECU10及びダンパ機構110によってキャッチタンク100の開口部103を鉛直上向き位置にさせて停止させることができるので、プラネタリキャリア25の停止時に、差動装置85などの他の装置によって跳ね上げられた潤滑油を開口部103からキャッチタンク100によって受けることができる。これにより、プラネタリキャリア25の回転が停止した場合でもキャッチタンク100で潤滑油を溜めることができ、溜めた潤滑油をプラネタリシャフト40に形成された潤滑油路41に流すことにより、プラネタリキャリア25が停止をしている場合でも、キャッチタンク100で潤滑油を溜めた潤滑油をプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することができる。この結果、回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、このようにプラネタリキャリア25に、キャッチタンク100とキャッチプレート30とを設け、プラネタリキャリア25の回転の停止時には、キャッチタンク100の開口部103が上方向を向くように停止させることにより、プラネタリキャリア25の回転の停止時にも所望の潤滑部に対して潤滑油を供給することができる。これにより、入力軸16やプラネタリキャリア25の回転状態に応じて作動するオイルポンプ等の別の装置を新たに設けることなく、潤滑を行うことができる。この結果、回転状態に関わらず安定して潤滑を行う際におけるコストの上昇を抑制することができる。
また、キャッチタンク100の開口部103を鉛直上向き位置にさせてプラネタリキャリア25を停止させる際に、ECU10及びダンパ機構110でプラネタリキャリア25の位相を制御することにより停止させるので、より確実にキャッチタンク100の開口部103を鉛直上向き位置にさせた状態で停止させることができる。これにより、プラネタリキャリア25が停止をしている場合でも、キャッチタンク100には、他の装置によって跳ね上げられた潤滑油が開口部103から入るため、より確実にキャッチタンク100で潤滑油を溜めることができる。従って、より確実に、キャッチタンク100で溜めた潤滑油をプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、ダンパ機構110でプラネタリキャリア25を回転させる動力源であるエンジン3とプラネタリキャリア25との回転方向の位相を一定にし、ECU10でエンジン3の位相を制御してプラネタリキャリア25を停止させることにより、キャッチタンク100の開口部103を鉛直上向き位置にさせてプラネタリキャリア25を停止させるので、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、より確実にキャッチタンク100の開口部103を鉛直上向き位置にさせた状態で停止させることができる。これにより、プラネタリキャリア25を停止させる場合でも、より確実にキャッチタンク100で潤滑油を溜めることができ、溜めた潤滑油をプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、プラネタリキャリア25には、プラネタリキャリア25の回転に伴って飛散する潤滑油を受け止めるキャッチプレート30を設けており、さらに、プラネタリキャリア25の回転の停止時に上半側に位置するプラネタリシャフト40には、回転時側潤滑油路45と停止時側潤滑油路50とを備えている。これにより、プラネタリキャリア25の回転時にキャッチプレート30で受け止めた潤滑油、及びプラネタリキャリア25の回転の停止時にキャッチタンク100で溜めた潤滑油を、回転時側潤滑油路45または停止時側潤滑油路50から、プラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に対して供給することができる。これにより、プラネタリキャリア25の回転状態に関わらず、潤滑油を潤滑部に対して供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、回転時側潤滑油路45と停止時側潤滑油路50とを連通していないので、回転時側潤滑油路45と停止時側潤滑油路50との間で潤滑油が流れることを抑制できる。これにより、キャッチプレート30から回転時側潤滑油路45に流れた潤滑油や、キャッチタンク100から停止時側潤滑油路50に流れた潤滑油を、より確実にプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、キャッチタンク100を、プラネタリキャリア25の回転の停止時に回転中心軸95よりも鉛直方向上側になる位置に設けているので、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、潤滑油を、より確実に潤滑部に供給することができる。つまり、プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25における回転中心軸95よりも鉛直方向下側になる位置では、重力は回転中心軸95を中心とする径方向における外方寄りに作用する。このため、遠心力や重力が作用することによって流れる潤滑油の流れ方向は、プラネタリキャリア25の回転時と停止時とで、概ね同じ方向になる。
これに対し、プラネタリキャリア25の回転の停止時にプラネタリキャリア25における回転中心軸95よりも鉛直方向上側になる位置では、遠心力は回転中心軸95を中心とする径方向における外方寄りに作用するのに対し、重力は回転中心軸95を中心とする径方向における内方寄りに作用する。このため、潤滑油に作用する力が、プラネタリキャリア25の回転時と停止時とで異なるため、キャッチタンク100を回転中心軸95よりも鉛直方向上側になる位置に設け、プラネタリキャリア25の回転の停止時には、キャッチタンク100で溜めた潤滑油を潤滑油路41から潤滑部に流すようにすることにより、プラネタリキャリア25における回転中心軸95よりも鉛直方向上側に位置する潤滑部に対しても、プラネタリキャリア25の回転状態に関わらず潤滑油を供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
図7は、変形例に係る遊星歯車機構の潤滑構造を有する動力分割遊星歯車の詳細図である。なお、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造では、プラネタリシャフト40に形成する回転時側潤滑油路45と停止時側潤滑油路50とは連通せずに形成されているが、これらは連通させてもよい。例えば、図7に示すように、プラネタリキャリア25の回転の停止時に回転中心軸95よりも鉛直方向上側になる位置に設けられるプラネタリシャフト40に形成される潤滑油路41のうち、回転時側潤滑油路130の供給油路132と停止時側潤滑油路135の供給油路137とを、プラネタリシャフト40を貫通する1つの穴によって形成し、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とを、この1つの穴からなる供給油路132、137に連通させてもよい。
この場合、回転時側潤滑油路130における、キャッチプレート30から潤滑油が導入される油路である導入油路131と、停止時側潤滑油路135におけるキャッチタンク100から潤滑油が導入される油路である導入油路136とは、プラネタリキャリア25の回転が停止した場合における、回転中心軸95を中心とする径方向、或いは、鉛直方向における上下方向の位置を異ならせる。具体的には、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とは、停止時側潤滑油路135の導入油路136を、回転時側潤滑油路130の導入油路131よりも、プラネタリキャリア25の回転が停止した場合における位置が鉛直方向下側に位置するように導入油路131、136同士で段差を有して設ける。
また、1つの穴により形成された供給油路132、137のうち、プラネタリシャフト40の径方向において、回転時側潤滑油路130の導入油路131よりも外方に位置する部分が回転時側潤滑油路130の供給油路132として設けられており、停止時側潤滑油路135の導入油路136よりも内方に位置する部分が停止時側潤滑油路135の供給油路137として設けられている。
つまり、プラネタリシャフト40の軸方向に対して直交する方向の1つの穴により形成されている供給油路132、137に対して、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とを、プラネタリキャリア25の回転が停止した場合の鉛直方向における位置を異ならせてプラネタリシャフト40の軸方向に形成して供給油路132、137に連通させることにより、回転時側潤滑油路130と停止時側潤滑油路135とを形成する。
このように、停止時側潤滑油路135を回転時側潤滑油路130よりも、プラネタリキャリア25の回転の停止時に下方に位置するように形成することにより、潤滑油路41に対して流す潤滑油を、プラネタリキャリア25の回転状態に基づく潤滑油の流れ方に適した状態で流すことができる。即ち、回転時側潤滑油路130は、プラネタリキャリア25の回転時にキャッチプレート30で受け止めた潤滑油がキャッチプレート30から流れるので、回転時側潤滑油路130にはプラネタリキャリア25の回転時に潤滑油が流れる。このため、回転時側潤滑油路130には、遠心力が作用する状態で潤滑油が流れる。一方、停止時側潤滑油路135は、プラネタリキャリア25の回転の停止時にキャッチタンク100で溜めた潤滑油がキャッチタンク100から流れるので、停止時側潤滑油路135にはプラネタリキャリア25の停止時に潤滑油が流れる。このため、停止時側潤滑油路135には、遠心力は作用せず重力のみが作用する状態で潤滑油が流れる。
これらのため、回転時側潤滑油路130を流れる潤滑油は、遠心力によって回転中心軸95を中心とする径方向における外方に流れるのに対し、停止時側潤滑油路135を流れる潤滑油は、重力によって鉛直方向下側に流れるので、停止時側潤滑油路135の導入油路136を、回転時側潤滑油路130の導入油路131よりも鉛直方向下側に設けることにより、潤滑油路41に対して流す潤滑油を、回転時側潤滑油路130と停止時側潤滑油路135との双方の潤滑油路41共に、プラネタリキャリア25の回転状態に基づく潤滑油の流れ方に適した状態で流すことができる。これにより、キャッチプレート30から回転時側潤滑油路130に流れた潤滑油や、キャッチタンク100から停止時側潤滑油路135に流れた潤滑油を、より確実にプラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とを、段差を有した状態で供給油路132、137を介して連通しているので、回転時側潤滑油路130と停止時側潤滑油路135とを容易に形成することができると共に、回転時側潤滑油路130と停止時側潤滑油路135との間で潤滑油が流れることを抑制できる。つまり、供給油路132、137を1つの穴により形成し、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とを、この供給油路132、137に連通させることにより、供給油路132、137を、プラネタリシャフト40の軸方向に直交する方向に形成することができる。これにより、供給油路132、137を、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造における供給油路47、52のように傾斜させて形成する必要がなくなるので、容易に形成することができる。従って、キャッチプレート30で受け止めた潤滑油やキャッチタンク100で溜めた潤滑油を潤滑部に供給することができる潤滑油路41を容易に形成することができると共に、これらの潤滑油を、より確実に潤滑部に供給することができる。この結果、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
なお、このように供給油路132、137を1つの穴により形成し、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とを供給油路132、137に連通させる場合、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136とは、プラネタリキャリア25の回転の停止時の鉛直方向における位置が、完全にずれているのが好ましい。回転時側潤滑油路130の導入油路131の位置と停止時側潤滑油路135の導入油路136の位置とが完全にずれるように形成することにより、回転時側潤滑油路130の導入油路131と停止時側潤滑油路135の導入油路136との間で潤滑油が流れるのを抑制することができ、キャッチタンク100やキャッチプレート30から流れた潤滑油を、より確実に導入油路131や導入油路136から供給油路132、137に流すことができる。これにより、より確実に回転状態に関わらず安定して潤滑を行うことができる。
また、上述した遊星歯車機構の潤滑構造では、キャッチタンク100は、プラネタリシャフト40の軸方向に見た場合における形状が、略半円状の形状で形成されているが、キャッチタンク100は、これ以外の形状で形成されていてもよい。キャッチタンク100は、開口部103から入り込んだ潤滑油を溜めることが可能に設けられると共に溜めた潤滑油をプラネタリシャフト40の停止時側潤滑油路50に流すことができ、且つ、プラネタリキャリア25の回転の停止時に開口部103が鉛直上向き位置になるように形成されていれば、その形状は問わない。
また、プラネタリキャリア25の回転の停止時に、キャッチタンク100が有する開口部103を鉛直上向き位置にさせてプラネタリキャリア25を停止させることができる回転停止位置制御手段をECU10とダンパ機構110とにより構成しているが、回転停止位置制御手段は、これ以外により構成してもよい。回転停止位置制御手段は、プラネタリキャリア25の回転の停止時にキャッチタンク100の開口部103を鉛直上向き位置にさせて停止させることができるものであれば、その構成及び手段は問わない。
また、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造では、動力分割遊星歯車21が有するプラネタリギア24は3つ設けられており、キャッチタンク100は、プラネタリギア24に合わせて3つ設けられているが、プラネタリギア24及びキャッチタンク100の数は、3つ以外でもよい。キャッチタンク100は、プラネタリギア24の数に関わらず、プラネタリギア24を自転可能に支持するプラネタリシャフト40に形成される停止時側潤滑油路50に潤滑油を供給可能に設けることにより、プラネタリギア24がいくつ設けられている場合でも、プラネタリギア24とプラネタリシャフト40との間の潤滑部に潤滑油を安定して供給することができる。
また、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造では、駆動装置15のハウジング内に溜められている潤滑油に差動装置85の一部が浸っており、駆動装置15が有する各機器の潤滑は、差動装置85の作動時に差動装置85が潤滑油を跳ね上げて潤滑油が各部に供給されることにより行っているが、各機器の潤滑は、これ以外により行ってもよい。例えば、差動装置85以外の機器で潤滑油を跳ね上げることにより潤滑を行ってもよく、また、機器が作動することによる跳ね上げ以外の手法によって潤滑油を各機器に供給し、潤滑を行ってもよい。
また、実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造では、ハイブリッド車の駆動装置15が有する動力分割遊星歯車21の潤滑構造について説明しているが、本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、動力分割遊星歯車21以外の遊星歯車機構に適用してもよい。本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、遊星歯車機構の作動時に、プラネタリキャリア25が回転したり停止したりする遊星歯車機構の潤滑構造であれば、その遊星歯車機構の用途は問わない。
以上のように、本発明に係る遊星歯車機構の潤滑構造は、より確実にプラネタリギアの回転部分を潤滑する場合に有用であり、特に、車両の走行中に入力軸の回転が停止する状態が存在する遊星歯車機構に適している。
実施例に係る遊星歯車機構の潤滑構造を備える車両の概略図である。 図1に示す動力分割遊星歯車の詳細図である。 図2のA−A矢視図である。 図1に示すエンジンと駆動装置の入力軸との連結部分の概略図である。 図4のB−B矢視図である。 図5のC−C断面視図である。 変形例に係る遊星歯車機構の潤滑構造を有する動力分割遊星歯車の詳細図である。
符号の説明
1 車両
3 エンジン
5 モータジェネレータ
6 第1モータジェネレータ
8 第2モータジェネレータ
10 ECU
15 駆動装置
16 入力軸
20 動力分割統合機構
21 動力分割遊星歯車
24 プラネタリギア
25 プラネタリキャリア
30 キャッチプレート
40 プラネタリシャフト
41 潤滑油路
45、130 回転時側潤滑油路
50、135 停止時側潤滑油路
55 下半側潤滑油路
60 ニードルベアリング
71 減速遊星歯車
80 減速機構
85 差動装置
91 駆動軸
92 駆動輪
95 回転中心軸
100 キャッチタンク
101 正面壁部
102 側壁部
103 開口部
110 ダンパ機構

Claims (8)

  1. 回転中心軸を中心として回転可能に設けられた回転部と、
    前記回転部に接続され、且つ、前記回転部と一体となって回転可能に設けられていると共に潤滑油を潤滑部に供給する潤滑油路が形成された潤滑部材と、
    前記潤滑油が入り込むことが可能な開口部を有し、前記開口部から入り込んだ前記潤滑油を溜めることが可能に設けられると共に溜めた前記潤滑油を前記潤滑油路に流すことができ、且つ、前記回転部に接続されると共に前記回転部と一体となって回転可能なキャッチタンクと、
    前記回転部の回転の停止時に、前記キャッチタンクが有する前記開口部を鉛直上向き位置にさせて前記回転部を停止させることができる回転停止位置制御手段と、
    を備えることを特徴とする遊星歯車機構の潤滑構造。
  2. 前記回転停止位置制御手段は、前記回転部の位相を制御することにより、前記開口部を鉛直上向き位置にさせて前記回転部を停止させることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  3. 前記回転停止位置制御手段は、前記回転部を回転させる動力源と前記回転部との回転方向の位相を一定にし、且つ、前記動力源の位相を制御することにより、前記開口部を鉛直上向き位置にさせて前記回転部を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  4. さらに、前記回転部の回転に伴い飛散する前記潤滑油を受け止めるキャッチプレートを有しており、
    前記潤滑部材は、前記潤滑油路として、前記キャッチプレートで受け止めた前記潤滑油を前記潤滑部に供給する第1潤滑油路と、前記キャッチタンクで溜めた前記潤滑油を前記潤滑部に供給する第2潤滑油路と、を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  5. 前記第1潤滑油路と前記第2潤滑油路とは連通していないことを特徴とする請求項4に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  6. 前記第2潤滑油路における前記キャッチタンクから前記潤滑油が導入される油路であり、前記潤滑部材の中心軸に平行な導入油路は、前記第1潤滑油路における前記キャッチプレートから前記潤滑油が導入される油路であり、前記潤滑部材の中心軸に平行な導入油路よりも、前記回転部の回転が停止した場合における位置が鉛直方向下側に位置していることを特徴とする請求項4に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  7. 前記第1潤滑油路の前記導入油路と前記第2潤滑油路の前記導入油路とは連通しており、前記回転部の回転が停止した状態では前記第2潤滑油路の前記導入油路の方が前記第1潤滑油路の前記導入油路よりも鉛直方向下側に位置するように前記導入油路同士で段差を有して設けられていることを特徴とする請求項6に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
  8. 前記キャッチタンクは、前記回転部の回転の停止時に前記回転部における前記回転中心軸よりも鉛直方向上側になる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の遊星歯車機構の潤滑構造。
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