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JP5216623B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法、並びにこの有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた照明装置、面状光源、および表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある)は、一対の電極と、該電極間に配置される発光層とを含んで構成される。
有機EL素子は電圧を印加することによって発光する。電極間に電圧を印加すると、陽極からは正孔が注入され、陰極からは電子が注入される。素子内に注入された正孔と電子は発光層まで移動し、これらが結合することによって発光する。一対の電極のうちの一方の電極には透明電極が用いられており、発光層から放射される光は、透明電極を通して素子外に出射する。このようにして、素子内部で発生した光は素子外に取出されている。このような透明電極には一般的に酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)から成る薄膜が用いられている。
有機EL素子は通常ガラス板などの基板に搭載される。一対の電極のうちの透明電極を基板寄りに配置した有機EL素子では、素子内部で発生した光は、透明電極および支持基板を通して素子外に取出される。しかしながら素子内部で発生した光は、透明電極および基板で反射したり、内部で吸収されたりするため、現状その一部が外に取出されて、利用されているに過ぎない。
光取出し効率が低い場合、素子内部で発生した光の大部分が利用されないことになり、結果として発光効率が低下する。そこで光取出し効率の向上を目的として、透明電極と基板との間に光散乱層を設けた有機EL素子が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら上記従来の技術の有機EL素子では、光取出し効率が必ずしも十分ではなく、光取出し効率のさらなる向上が求められている。
特開2007−035550号公報
本発明は上記従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、その課題は、光取出し効率の高い有機EL素子およびその製造方法、並びに該有機EL素子を用いた照明装置、面状光源および表示装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、下記の構成を採用した有機EL素子およびその製造方法、並びに該有機EL素子を用いた照明装置、面状光源、及び表示装置を提供する。
[1] 透明な第1電極と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極と、前記第1および第2電極の間に配置される発光層と、前記第1電極の前記発光層側とは反対側に配置される透明基板と、前記透明基板の前記発光層側とは反対側に配置されるフィルムと、を含み、前記第1電極の屈折率をn1、前記透明基板の屈折率をn2とすると、n1およびn2はそれぞれ次式(1)
Figure 0005216623
を満たし、
前記フィルムの前記透明基板側とは反対側の表面が凹凸状に形成され、該フィルムのヘイズ値が70%以上であり、かつ該フィルムの全光線透過率が80%以上である有機エレクトロルミネッセンス素子。
[2] 前記第1電極が塗布法により形成されたものである、上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[3] 前記第1電極が、透明の膜本体と、該膜本体中に配置されるワイヤ状の導電体とを含む、上記[1]または[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[4] 前記ワイヤ状の導電体の径が200nm以下である、上記[3]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[5] 前記ワイヤ状の導電体が前記膜本体中において網目構造を構成している、上記[4]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[6] 前記膜本体が導電性を有する樹脂を含んでいる、上記[3]〜[5]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[7] 前記フィルムの前記透明基板側とは反対側の表面は、複数の凹面が配置されることにより前記凹凸状に形成されている、上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[8] 第1電極、第2電極、発光層、透明基板、およびフィルムを設けることにより上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記フィルムを設ける工程では、前記フィルムの厚みが100μm〜200μmの範囲となるように、前記フィルムとなる材料を含む溶液を所定の基台の表面上に塗布し、さらに前記基台の表面上に塗布された溶液を湿度が80%〜90%の雰囲気に保持し、溶液中の溶剤を蒸発させることにより前記フィルムを得る、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[9] 上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
[10] 上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
[11] 上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
なお、本明細書では、「透明基板」、「透明な電極」とは、入射した光の少なくとも一部が透過する基板、電極を意味する。
本発明の有機EL素子においては、第1電極の屈折率をn1、透明基板の屈折率をn2とすると、n1およびn2がそれぞれ次式(1)
Figure 0005216623
を満たし、前記透明基板の光取出し側の表面部にフィルムが設けられ、該フィルムの前記透明基板側とは反対側の表面が凹凸状に形成され、該フィルムのヘイズ値が70%以上であり、かつ該フィルムの全光線透過率が80%以上である。
かかる特徴構成により、素子を構成する各層間の屈折率、および表面部の光学的特性が調整され、光取出し効率が改善される。
したがって、本発明の有機EL素子は、光取出し効率が高く、照明装置、バックライトとしての面状光源、フラットパネルディスプレイ等の表示装置として好ましく使用できる。
第1実施形態の有機EL素子を模式的に示す図である。 第2実施形態の有機EL素子を模式的に示す図である。 作製例4において作製したフィルムAの断面を模式的に示す図である。 作製例5に用いたフィルムBの断面を模式的に示す図である。 比較例1において作製したフィルムCの断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の有機EL素子をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお以下の説明において参照する図中の各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
本発明の有機EL素子は、透明な第1電極と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極と、第1および第2電極の間に配置される発光層と、前記第1電極の前記発光層側とは反対側に配置される透明基板と、前記透明基板の発光層側とは反対側に配置されるフィルムとを含んで構成される。
第1電極の屈折率をn1、前記透明基板の屈折率をn2とすると、n1およびn2はそれぞれ次式(1)
Figure 0005216623
を満たす。また前記フィルムの前記透明基板側とは反対側の表面が凹凸状に形成され、該フィルムのヘイズ値が70%以上であり、かつ該フィルムの全光線透過率が80%以上である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の有機EL素子を図1に示す。なお以下の説明において支持基板1の厚み方向の一方を上方(または上)といい、支持基板1の厚み方向の他方を下方(または下)という場合がある。この上下関係は、説明の便宜のために設定したもので、実際に有機EL素子が製造される工程および使用される状況に必ずしも適用されるものではない。
有機EL素子は、透明な支持基板(透明基板)1と、該支持基板1上に設けられる発光機能部と、支持基板1の発光機能部側とは反対側に配置されるフィルム9とを含んで構成される。発光機能部は、透明な陽極(透明な第1電極)2と、陰極(第2電極)4と、該一対の電極に挟持される発光部3とを含んで構成される。本実施形態では陽極2が支持基板1に接するようにして発光機能部が支持基板1に設けられる。
有機EL素子は通常、発光機能部を封止する封止基板5が設けられる。発光機能部は、上記封止基板5と前記支持基板1とに挟持され、さらにその側面が不図示の樹脂に覆われることにより気密に封止される。
発光部3は、発光層7と、陽極(透明な第1電極)2と発光層7との間に必要に応じて設けられる層6と、発光層7と陰極(第2電極)4との間に必要に応じて設けられる層8とから構成されている。
上記構成の第1実施形態の有機EL素子では、発光層7から放射される光は、陽極2、支持基板1、フィルム9を通して素子外に出射する。
以下では本発明の特徴的な構成要素である第1電極2と透明な支持基板1との間の物性上の関係についてまず説明し、次にフィルム9の構成およびその特性について説明する。その後に有機EL素子の他の構成要素について説明する。
(透明な第1電極と透明基板との関係)
第1電極2の屈折率をn1、透明基板(支持基板1)の屈折率をn2とすると、n1およびn2は、それぞれ前述の次式(1)を満たす。
(透明基板)
透明な支持基板1は、可視光領域の光の透過率が高く、また有機EL素子を形成する工程において変化しないものが好適に用いられ、リジッド基板でも、フレキシブル基板でもよい。支持基板1には例えば、ガラス板、プラスチック板、高分子フィルムおよびシリコン板、並びにこれらを積層した積層板などが好適に用いられる。
なお支持基板1としては、例示した部材のうちで、第1電極2との屈折率の差の絶対値(|n2−n1|)が0.4未満の屈折率を示す部材が適宜用いられる。
(透明な第1電極)
第1電極2は、上記式(1)に示すように屈折率n1が1.8以下である。また第1電極2は、可視光領域の光透過率が80%以上であることが好ましく、また体積抵抗率が1Ω・cm以下であることが好ましく、また表面粗さが100nm以下であることが好ましい。面粗さRaが100nm以下の平坦な第1電極2に発光部3を成膜する場合、各層における膜厚のばらつきを抑制することができ、また突起などに起因する短絡を防ぐことができる。
成膜の容易さの観点からは、第1電極2は、透明の膜本体と、膜本体中に配置されるワイヤ状の導電体とを含んで構成されることが好ましい。透明の膜本体は、可視光領域の光透過率が高いものが好適に用いられ、樹脂や無機ポリマー、無機−有機ハイブリッド化合物などを含んで構成される。透明の膜本体としては、樹脂の中でも導電性を有する樹脂が好適に用いられる。このようにワイヤ状の導電体に加えて、導電性を有する膜本体を用いることによって、第1電極2の低電気抵抗化(以下、電気抵抗を略して抵抗という場合がある)を図ることができる。このように第1電極2の抵抗を小さくすることによって、透明な第1電極2での電圧降下を抑制し、有機EL素子の低電圧駆動を実現するとともに、輝度ムラを抑制することができる。
第1電極2の膜厚は、電気抵抗および可視光の透過率などによって適宜設定される。第1電極2の膜厚は、例えば0.03μm〜10μmであり、好ましくは0.05μm〜1μmである。
ワイヤ状の導電体は、径の小さいものが好ましい。ワイヤ状の導電体としては、例えば径が400nm以下のものが用いられ、径が200nm以下のものが好適に用いられ、径が100nm以下のものがさらに好ましい。膜本体に配置されるワイヤ状の導電体は、第1電極2を通る光を回折または散乱するので、このワイヤ状の導電体を配置することによって第1電極2のヘイズ値が高くなり、光の透過率が低下するが、可視光の波長程度または可視光の波長よりも小さい径のワイヤ状の導電体を用いることによって、可視光に対するヘイズ値を低く抑えるとともに、光の透過率を向上させることができる。また、ワイヤ状の導電体の径は、小さすぎると抵抗が高くなるので、その径は10nm以上が好ましい。
なお照明装置などのように広い範囲を照らす光源が求められる場合もある。そのため第1電極2のヘイズ値はある程度高い方が拡散機能を付与することも可能となるので、第1電極2のヘイズ値としては高い方が好ましい場合もある。したがって第1電極2の光学的特性は、有機EL素子が用いられる装置に応じて適宜設定される。
膜本体中に配置されるワイヤ状の導電体は、1本でも、複数本でもよく、膜本体中において網目構造を形成していることが好ましい。例えば膜本体中において、1本または複数のワイヤ状の導電体は、膜本体の全体に渡って複雑に絡み合うことにより網目構造を形成している。具体的には1本のワイヤ状の導電体が複雑に絡み合った構造、または複数本のワイヤ状の導電体が互いに接触し合って配置された構造が、2次元的または3次元的に広がって網目構造を形成している。このようにワイヤ状の導電体が網目構造を形成することによって、第1電極2の体積抵抗率を下げることができる。
またワイヤ状の導電体は、一部が第1電極2の発光部3側の表面部に配置されていることが好ましい。このようにワイヤ状の導電体を配置することによって、第1電極2の表面部の抵抗を下げることができる。
ワイヤ状の導電体は、例えば曲線状でも針状でもよい。曲線状及び/又は針状の導電体が互いに接触し合って網目構造を形成することによって、体積抵抗率の低い第1電極2を実現することができる。
(ワイヤ状の導電体の材料)
ワイヤ状の導電体の材料としては、例えばAg、Au、Cu、Alおよびこれらの合金などの抵抗の低い金属が好適に用いられる。ワイヤ状の導電体は、例えばN.R.Jana, L.Gearheart and C.J.Murphyによる方法(Chm.Commun.,2001, p617-p618)や、C.Ducamp-Sanguesa, R.Herrera-Urbina, and M.Figlarz等による方法(J. Solid State Chem.,Vol.100, 1992, p272〜p280)によって製造することができる。
(透明な第1電極の成膜方法)
第1電極2を成膜する方法としては、例えばワイヤ状の導電体を樹脂に練り込むことによって、ワイヤ状の導電体を樹脂に分散させる方法、ワイヤ状の導電体と樹脂とを分散媒に分散させた分散液を塗布液として用いる塗布法によって成膜化する方法、およびワイヤ状の導電体を樹脂から成る膜の表面にコーティングし、導電体を膜中に分散させる方法などを挙げることができる。
なお第1電極2には必要に応じて界面活性剤や酸化防止剤などの各種添加剤を加えてもよい。また屈折率、透光率および電気抵抗などの第1電極2に求められる諸特性に基づいて樹脂の種類は適宜選ばれる。
同様にワイヤ状の導電体を分散させる量は、第1電極2の電気抵抗、ヘイズ値および透光率などに影響するので、第1電極2に求められる諸特性に応じて適宜設定される。
本実施形態の第1電極2は、導電性を有するワイヤ状の導電体を分散媒に分散させた分散液を、前記支持基板1の表面に塗布し、さらにこの塗膜を硬化することによって得られる。
分散液は、ワイヤ状の導電体と樹脂とを分散媒に分散させることによって調製される。分散媒としては、樹脂を溶解するものが好ましく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒を挙げることができる。
また樹脂としては、例えば低密度または高密度のポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体、エチレン−ドモン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体;ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン−アクリロニトリル系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体などの水素結合性樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂などが挙げられる。
例示した樹脂の中でも、導電性を有する樹脂が好適に用いられ、導電性を有する樹脂としては、例えばポリアニリン、ポリチオフェンの誘導体などが挙げられる。
第1電極2の屈折率は、樹脂などによって構成される膜本体の屈折率によって主に決まる。この膜本体の屈折率は用いる樹脂の種類によって主に決まるので、例えば用いる樹脂の種類を適宜選択することによって、意図する屈折率を示す第1電極2を容易に形成することができる。
なお感光性フォトレジストに用いられる感光性材料および光硬化性モノマーに、ワイヤ状の導電体を分散させた液体を分散液として用いれば、フォトリソグラフィによって所定のパターン形状を有する第1電極2を容易に形成することができる。
第1電極2としては、有機EL素子を形成する工程において加熱される温度で変形しないものが好ましい。そのため第1電極2を構成する樹脂としては、ガラス転移点Tgが、150℃以上のものが好ましく、180℃以上のものがより好ましく、200℃以上のものがさらに好ましい。このような樹脂としては、例えばガラス転移点Tgが230℃のポリエーテルサルホンや高耐熱性フォトレジスト材料などを挙げることができる。
ワイヤ状の導電体の分散量、並びに必要に応じて分散液に混入されるバインダーおよび添加剤などは、第1電極2に求められる諸特性および成膜の容易性などに応じて適宜設定および選択することができる。
ワイヤ状の導電体を分散した分散液の塗布方法としては、ディッピング法、バーコータによるコーティング法、スピンコータによるコーティング法、ドクターブレード法、噴霧塗布法、スクリーンメッシュ印刷法、刷毛塗り、吹き付け、ロールコーティング等の工業的に通常用いられている方法を挙げることができる。なお熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂を用いる場合には、分散液を塗布した後に、加熱または光照射によって塗膜を硬化させることができる。
なお第1電極2の光透過率はワイヤ状の導電体の重量割合が増えるに従って減少する。第1電極2の光透過率が80%以上となるワイヤ状の導電体の重量割合は、ワイヤの材質や径などに依存するが、概ね30%以下である。また第1電極2の体積抵抗率はワイヤ状の導電体の重量割合が増えるに従って減少する。第1電極2の体積抵抗率が1Ω・cm以下となるワイヤ状の導電体の重量割合は、ワイヤの材質や径などに依存するが、10−3%以上であり、抵抗率10−3Ω・cm以下となるのは概ね1%以上である。
従来のボトムエミッション型の有機EL素子では、ガラス基板上に形成されたITOが陽極として用いられてきた。ITOの屈折率は2程度であり、ガラス基板の屈折率は1.5程度であり、発光部のITOに接する部分(例えば発光層)の屈折率は1.7程度である。したがって従来のボトムエミッション型の有機EL素子は、屈折率の低いガラス基板と発光層との間に、屈折率の高いITOが介在していた。そのため発光層からの光の一部が、全反射などによってITOで反射されることになり、発光層からの光を効率的に取出すことができなかった。
それに対して本実施形態では第1電極2の屈折率n1は前述した式(1)を満たし、好ましい形態としては発光部3の第1電極2に接する部分(例えば発光層)が以下の特定の関係になるように設定される。以下、発光部3の第1電極2に接する部分(例えば発光層)の屈折率を記号「n3」で表す。
前述の式(1)の関係を満たす第1電極2(屈折率:n1)と透明な支持基板1(屈折率:n2)を用いることによって、従来の有機EL素子に比べて、透明な支持基板1、透明な第1電極2の屈折率の差が小さい有機EL素子を構成することができる。これによって、発光層7からの光が第1電極2で反射することを抑制し、有機EL素子の光取出し効率を向上することができる。さらに│n1−n3│<0.4の関係を満たす透明な第1電極2と透明な支持基板1とを用いれば、支持基板1、第1電極2、および発光部3の第1電極2に接する層(例えば発光層7)の各屈折率の差をさらに小さくすることができ、発光層7からの光が第1電極2で反射することを抑制し、有機EL素子の光取出し効率をさらに向上することができる。これによって発光効率が高い有機EL素子を実現することができる。なお前述したように「n3」は通常1.7程度なので、式(1)を満たす第1電極2を用いることによって多くの場合│n1−n3│<0.4の関係を満たすことができる。
また簡易な塗布法によって第1電極2を形成することができるので、第1電極2の形成を低コストに行うことができる。さらに、第1電極2の特性は樹脂およびワイヤ状の導電体の種類、並びにワイヤ状の導電体の形状などによって決まるので、これらを適宜選択するだけで、意図する光学特性および電気的特性などを示す第1電極2を容易に得ることができる。
(フィルム)
前記フィルム9は支持基板(透明基板)1の発光層7側とは反対側の表面に設けられる。フィルム9は、発光層7側の表面が平面状であり、発光層7側とは反対側の表面が凹凸状に形成される。またフィルム9は、ヘイズ値が70以上、かつ全光線透過率が80%以上である。
フィルム9の平面状の表面は透明な支持基板1に貼り合わされている。フィルム9は、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、接着剤および粘着材などの貼合剤を用いて支持基板1に貼り付けられる。熱硬化性樹脂を用いる場合には、フィルム9を支持基板1に貼り合わせた後に、所定の温度で加熱することによって、フィルム9を支持基板1に接着することができる。また光硬化性樹脂を用いる場合には、フィルム9を支持基板1に貼り合わせた後に、フィルム9に例えば紫外線を照射することによって、フィルム9を支持基板1に接着することができる。なお支持基板1上にフィルム9を直接形成する場合およびフィルム9に貼合剤が予め設けられている場合などには、前記貼合剤を用いなくてもよい。
フィルム9と支持基板1との間に空気の層が形成されると、この空気の層の界面で反射が生じるので、フィルム9と支持基板1との間に空気の層が形成されないように、フィルム9を支持基板1に密着させて貼り合わることが好ましい。フィルム9の屈折率、貼合剤の屈折率、およびフィルム9が貼り合わされる層(本実施形態では支持基板1)の屈折率のうちで最大となる屈折率と、最小となる屈折率との差は、小さい方が、貼り合せ面での反射を抑制できるので好ましく、具体的には0.2以内が好ましく、さらに好ましくは0.1以内である。
本実施形態のフィルム9は、発光層7側とは反対側の表面が凹凸状に形成され、ヘイズ値が70%以上、かつ全光線透過率が80%以上である。ヘイズ値が70%未満であれば、十分な光散乱効果が得られないことがあり、全光線透過率が80%未満であれば、十分に光を取出すことができないことがあるので、このようなフィルムを有機EL素子に用いた場合に十分な光取出し効率を得ることができないおそれもあるが、ヘイズ値が70%以上、かつ全光線透過率が80%以上のフィルム9を用いることによって、高い取出し効率の有機EL素子を実現することができる。
ヘイズ値は、以下の式で表される。
ヘイズ値(曇価)=(拡散透過率(%)/全光線透過率(%))×100(%)。
なお、ヘイズ値は、JIS K 7136「プラスチック−透明材料のヘイズの求め方」に記載の方法で測定することができる。
また、全光線透過率は、JIS K 7361−1「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に記載の方法で測定することができる。
フィルム9の厚み方向に垂直な幅方向の凸面または凹面の大きさ(幅)は、大きすぎると、フィルム9表面での輝度が不均一になり、小さすぎると、フィルム9の作製コストが高くなるので、好ましくは0.5μm〜20μmであり、さらに好ましくは1μm〜2μmである。またフィルム9の厚み方向の凸面または凹面の高さは、前記幅方向の凸面または凹面の大きさ(幅)や、凹凸形状が形成される周期により適宜設定され、通常は前記幅方向の凹面または凸面の大きさ(幅)以下、または凹凸形状が形成される周期以下が好ましく、0.25μm〜10μmであり、好ましくは0.5μm〜1.0μmである。
上記凸面または凹面の形状は、特に制限されないが、曲面を有する形状が好ましく、例えば半球形状が好ましい。凹面または凸面は、規則的に配置されることが好ましく、例えば碁盤の目状に配置されることが好ましい。またフィルム9の表面のうちで、凹面と凸面とが形成される領域の面積は、フィルム9の表面の面積の60%以上が好ましい。
フィルム9形成に用いる材料は、当該フィルム9が透明に形成される材料であればよく、例えば高分子材料およびガラスなどを用いても良い。フィルム9を構成する高分子材料としては、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンスルホン酸、およびポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またフィルム9は、例えば前記高分子材料およびガラスなどから成る支持体と、この支持体の表面上に形成され、支持体に接する表面とは反対側の表面が凹凸状に形成される薄膜との積層体によって構成されてもよい。
フィルム9の厚みは、特に制限はないが、薄すぎると取り扱いが難しくなり、厚すぎると全光線透過率が低くなるので、20μm〜1000μmが好ましい。
次にフィルム9の製造方法について説明する。本実施形態のフィルム9は、凹凸形状をフィルムの表面に形成することで得られる。表面に形成される凹面または凸面の大きさ(幅)は、光の波長と同程度若しくはそれよりも大きいことが好ましく、0.1μm〜100μmが好ましい。
ガラスなどの無機材料から成るフィルム9は、無機材料から成る基台の表面のうち、凹凸形状を形成する部位をエッチングすることにより得られる。具体的には無機材料から成る基台表面に上に保護膜をパターン形成し、化学的なエッチングまたは気相エッチングを施すことによって凹凸面を形成することができる。保護膜は例えばフォトレジストを用いてパターン形成することができる。
高分子材料から成るフィルム9では、加熱されたフィルムに表面が凹凸状の金属板を押し付けることによって、金属板の凹凸形状を転写する方法、表面が凹凸状のロールを用いて、高分子シートまたはフィルムを圧延する方法、凹凸形状を有するスリットから高分子シートを押し出して成形する方法、表面が凹凸形状の基台上に、高分子材料を含む溶液または分散液を滴下(以下、キャストという場合がある)して成膜する方法、モノマーから成る膜を形成した後に、該膜の一部を選択的に光重合し、未重合部分を除去する方法、高湿度条件下において高分子溶液を基台にキャストし、水滴構造を表面に転写する方法などによって、表面に凹凸形状を形成することができる。
これらの方法のうち、高分子材料を用いる場合には、作製の容易さから高湿度条件下において、高分子溶液を基台にキャストし、水滴構造を表面に転写する方法が好適に用いられる。この方法は自己組織化の一種である散逸過程を応用した構造作製法である(例えばG.Widawski,M.Rawiso,B.Francois,Nature,p.369−p.387(1994)参照)。
まず上述したフィルム9となる高分子材料を溶媒に溶解して、フィルム9用の溶液を調製する。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルムなどを挙げることができる。フィルム9用の溶液としては、粘度の高いものが好ましい。またフィルム9用の溶液としては、フィルム9となる高分子材料の濃度が高いものが好ましく、溶液に対する高分子材料の濃度は、10wt%以上が好ましい。また凹凸形状の大きさや形の均一性を向上させるために、前記フィルム9用の溶液にノニオン系界面活性剤などの界面活性剤を少量添加してもよい。
次にフィルム9が表面上に形成される基台上に、フィルム9となる材料を含む溶液を塗布する。具体的には調製したフィルム9用の溶液を、高湿度下で基台上にキャストして、フィルム9用の溶液から成る液膜を形成する。フィルム9用の溶液をキャストする基台として、支持基板を用いた場合には、支持基板1にフィルム9が直接的に形成される。
次に基台表面上に塗布された溶液を、湿度が80%〜90%の雰囲気に保持し、保持中及び/又は保持後に溶液中の溶剤(溶媒)を蒸発させることにより成膜化する。液膜を高湿度下に置くと、雰囲気中の水蒸気が液化して、液膜の表面に複数の液滴が形成される。液滴は略球状であり、液膜の表面において離散的に形成される。液膜上に形成される液滴は、水蒸気がさらに液化することによって時間経過とともに成長する。液膜上の液滴は時間経過とともに径が大きくなり、重みが増す。そのため自重によって液滴の略半分が液膜中に沈み込む。また時間経過とともに液膜中の溶剤(溶媒)が蒸発するので、乾燥時に液滴の形状がフィルム9に転写される。このようにして形成されるフィルム9は、表面に複数の凹面が設けられて、凹凸状に形成される。具体的には径が1μm〜100μmの複数の半球状の窪みがフィルム9の表面に形成される。なお湿度が80%〜90%の範囲においてフィルム9を保持することによって、表面に半球状の窪みが形成された後に、さらに湿度の低い雰囲気においてフィルムを乾燥してもよく、また80%〜90%の範囲においてフィルムを長時間保持することによってフィルムを乾燥してもよい。
前述したフィルム9を作製する方法では、フィルム9の膜厚が所定の値になるようにフィルム9用の溶液の塗布を制御するとともに、液膜を乾燥させるときの湿度を調整することによって、作製されるフィルム9のヘイズ値を制御することができる。
具体的には成膜工程を経て成膜されたフィルム9の膜厚が100μm〜200μmの範囲内において所定の膜厚となるように、乾燥開始時の液膜の膜厚を制御するとともに、80%〜90%の範囲内において所定の湿度となるように湿度を制御することによって、ヘイズ値が70以上の所期のヘイズ値を示すフィルム9を形成することができる。
湿度と膜厚とを制御することによってフィルム9のヘイズ値を制御できるのは、高分子材料の濃度などにもよるが、湿度と膜厚を変えると、液膜の表面が乾燥するまでの時間が変わり、これにともなって凹凸形状の大きさや凹面の密度が変わるからであり、また湿度は、凹面の配置の規則性向上など、形成される凹面の構造構築に大きな影響を与えるからであると推測される。
なお作製されるフィルム9の膜厚は、乾燥開始時の液膜の膜厚を調整することによって制御できる。また溶剤(溶媒)の蒸発速度および溶剤(溶媒)の沸点などによって液膜の表面が乾燥するまでの時間が変わるので、用いる溶剤(溶媒)を変えることによって、フィルム9のヘイズ値を制御することもできる。
以上説明した方法によって、例えば溶液の塗布量および湿度を調整するという簡易な制御で、簡易でかつ安価に意図する光学的特性を示す大面積のフィルム9を作製することができる。
なお前述したように支持基板1の表面上にフィルム9用の溶液をキャストすることによって支持基板1上に直接的にフィルム9を形成することができるが、所定の基台上にフィルムを形成した後に、フィルムを支持基板1に貼り合わせてもよい。
上述の構成によれば、有機EL素子の光が出射する側の最表面部にフィルム9が配置される。発光層7から放射される光は支持基板1およびフィルム9を通り、凹凸状に形成された表面を通って空気などの外界に出射する。すなわち凹凸面を通って光は外界に出射する。
仮にフィルム9の発光層7側とは反対側の表面が平面であれば、この平面での全反射によって発光層7から放射される光の大部分が外界に出射しないが、本実施形態のフィルム9表面は凹凸状に形成されているので、全反射が抑制されるために、光は効率的に出射することができる。特にフィルム9は、ヘイズ値が70%以上、かつ全光線透過率が80%以上なので、光の取出し効率を向上することができる。これによって、高い光取出し効率および発光効率を有する有機EL素子を実現することができる。
またフィルム9表面には複数の凹面が設けられ、この凹面が凹レンズと似た機能を発揮する。このようなフィルム9を設けることによって、有機EL素子から放射される光の放射角を広げることができる。
続いて、以上説明した支持基板1、陽極(第1電極)2およびフィルム9以外の有機EL素子の構成要素について以下に詳しく説明する。
(発光部)
発光部3は、陽極(第1電極)2と陰極(第2電極)4との間に設けられる。発光部3は、少なくとも発光層7を備える。陽極2と発光層7との間には、必要に応じて所定の1または複数の層6が設けられる。また発光層7と陰極4との間には、必要に応じて所定の1または複数の層8が設けられる。
(陽極と発光層との間に設けられる層)
陽極(第1電極)2と発光層7との間に設けられる層6としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。正孔注入層は、陽極(第1電極)2からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
(陰極と発光層との間に設けられる層)
発光層7と陰極(第2電極)4との間に設けられる層8としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。陰極4と発光層7との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
本実施形態の有機EL素子における発光機能部の層構成の組み合わせ例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
発光機能部は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜p)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する発光機能部の構成としては、以下のq)に示す層構成を挙げることができる。なお(構造単位A)は互いに同じでも、異なっていてもよい。
q)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する発光機能部の構成としては、以下のr)に示す層構成を挙げることができる。
r)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)は同じでも、異なっていてもよい。
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
なお有機EL素子においては、本実施形態のように通常は支持基板側に陽極が配置されるが、積層順を逆順にして支持基板側に陰極を配置するようにしてもよい。
本実施形態の有機EL素子は、電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層をさらに設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
以下、各層の構成についてさらに詳細に説明する。
(正孔注入層)
正孔注入層を構成する材料としては、公知の材料を適宜用いることができる。正孔注入層を構成する材料としては、例えばフェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入層となる材料(正孔注入材料)を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解するものが好ましく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。
製造の容易性および印加される電圧などを勘案すると、正孔注入層の厚みとしては5〜300nm程度であることが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層を構成する材料としては、例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)等の芳香族アミン誘導体、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
これらの中でも、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものが好ましく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の厚みは、求められる特性に応じて適宜設定され、製造の容易性および印加される電圧などを勘案すると、1〜1000nm程度であることが好ましく、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
(発光層)
発光層7は、主として蛍光または燐光を発光する有機物を有する。さらに発光層はドーパント材料を含んでいてもよい。有機物としては低分子化合物、及び/又は高分子化合物が用いられる。高分子化合物は溶媒への溶解性が高いため、塗布法に適している。そのため簡易な塗布法で発光層を形成する際には、発光層を構成する発光材料として高分子化合物を含む材料を用いることが好ましく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下のものが挙げられる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー(誘導体)、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることが出来る。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
発光層中に発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で、ドーパントを添加することができる。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約20〜2000Åである。
(発光層の成膜方法)
発光層の成膜方法としては、溶液からの成膜方法、真空蒸着法、転写方法などを用いることができる。溶液からの成膜に用いる溶媒の具体例としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する際に正孔注入材料を溶解する溶媒として例示した溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の色分けが容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。また昇華性の低分子化合物の場合は、真空蒸着法を用いることができる。さらには、レーザーによる転写や熱転写により、所望のところのみに発光層を形成する方法も用いることができる。
(電子注入層)
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層を構成する材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
(第2電極)
第2電極4は、前記第1電極2に対向して配置される電極であって、第1実施形態では陰極として用いられる。このような陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易な材料が好ましい。また陰極の材料としては電気伝導度が高く、可視光反射率の高い材料が好ましい。このような陰極材料としては、金属、金属酸化物、合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物、酸化亜鉛(ZnO)等の無機半導体などを挙げることができる。
上記金属としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属や周期表の13族金属等を用いることができる。これら金属の具体的例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等を挙げることができる。
また合金としては、上記金属の少なくとも一種を含む合金を挙げることができ、具体的には、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等を挙げることができる。
また陰極(第2電極)4を2層以上の積層構造としてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極(第2電極)4の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
上述の陰極(第2電極)4を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が挙げられる。
(封止基板)
上述のように陰極(第2電極)4が形成された後、該発光機能部を封止する封止基板5が形成されることが好ましい。この封止基板5は通常、支持基板1と同様の部材から構成される。なお封止基板5の代わりに封止膜を設けてもよい。封止膜は、1層以上の無機層と1層以上の有機層を有する。積層数は、求められる特性に応じて決定され、基本的には、無機層と有機層は交互に積層される。
なおガラス基板に比べると、プラスチック基板は酸素および水などのガスの透過性が高い。発光物質は酸化されやすく、酸素および水などと接触することにより劣化しやすいので、前記基板1としてプラスチック基板が用いられる場合には、ガスバリア性を高めるための処理を基板に予め施すことが好ましい。例えばプラスチック基板上にガスなどに対するバリア性の高い下部封止膜を積層し、その後この下部封止膜上に発光機能部を積層することが好ましい。この下部封止膜は通常、上記封止膜と同様の部材にて構成される。
[有機EL素子の製造方法]
本実施形態の有機EL素子は、各構成要素の項でそれぞれ説明した形成方法により各構成要素を順次形成することにより製造することができる。すなわち本実施形態の有機EL素子の製造方法は、
(1)透明な支持基板1を用意する工程、
(2)発光機能部を構成する各層を支持基板1上に積層する工程、
(3)フィルムを形成する工程、を有する。
なおフィルム9を支持基板に直接的に形成せずに、別途形成した場合には、形成したフィルム9を透明な支持基板1に貼り付ける工程をさらに有する。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態の有機EL素子を、図2を参照して説明する。第1実施形態の有機EL素子は支持基板側から光を出射するボトムエミッション型の素子であるのに対して、第2実施形態の有機EL素子は封止基板側から光を出射するトップエミッション型の素子である。また第1実施形態のではフィルムを支持基板に設けていたが、本実施形態ではフィルムを封止基板に設けている。
第2実施形態の有機EL素子は、支持基板21、発光機能部、封止基板25、フィルム29がこの順に積層されて構成されている。なお発光機能部の層構成は、第1実施形態の発光機能部の層構成と同じであるが、第2実施形態の有機EL素子では透明な第1電極が陰極24に相当し、第1電極とは極性の異なる第2電極が陽極22に相当し、さらに透明基板が封止基板25に相当する。
以下に簡単に各層の構成について説明するが、第1実施形態と同様な構成については、説明を省略する。
(支持基板)
支持基板21としては、前述の実施形態と同様の支持基板を用いることができる。なお本実施形態の支持基板21は、不透明のものでもよい。
(陽極)
本実施形態において陽極22が第2電極である。陽極22は通常、発光層27から放射される光を陰極(透明な第1電極)24側へ反射する反射電極として設けられることが好ましい。陽極22は、可視光に対する反射率が80%以上であることが好ましい。
発光部23への正孔供給性の観点からは、陽極22の発光層27側表面部の仕事関数は4.0eV以上であることが好ましい。陽極22の材料としては、仕事関数が大きく、発光層27への正孔注入が容易な材料が好ましく、また電気伝導度、可視光反射率の高い材料が好ましい。このような材料としては、金属、金属酸化物、合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物、酸化亜鉛(ZnO)等の無機半導体などを挙げることができる。
なお陽極22は2層以上の積層構造としてもよく、高光反射性金属からなる光反射層と4.0eV以上の仕事関数を有する材料からなる高仕事関数材料層とを積層した積層体が好ましい。陽極22の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
このような陽極の具体的な構成例としては、以下の(1)〜(15)を例示することができる。
(1) Al
(2) Ag
(3) Ag−MoO
(4) AgとPdとCuとの合金−ITO
(5) AlとNdとの合金−ITO
(6) MoとCrとの合金−ITO
(7) Cr−Al−Cr−ITO
(8) Cr−Ag−Cr−ITO
(9) Cr−Ag−Cr−ITO−MoO
(10) AgとPdとCuとの合金−IZO
(11) AlとNdとの合金−IZO
(12) MoとCrとの合金−IZO
(13) Cr−Al−Cr−IZO
(14) Cr−Ag−Cr−IZO
(15) Cr−Ag−Cr−IZO−MoO
なお、上記(3)〜(15)までの表記において、記号「−」は、各積層間の界面を表し、表記の左側が基板側である。十分な光反射率を得る為にはAl、Ag、Al合金、Ag合金などの高光反射性金属層の膜厚は50nm以上である事が好ましく、より好ましくは80nm以上である。ITO、IZOなどの高仕事関数材料層の膜厚は通常、5nm〜500nmの範囲である。
上述の陽極22を形成させる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が挙げられる。
(透明な陰極)
透明な陰極24は、本発明における透明な第1電極であり、第1実施形態における透明な陽極2と同様に形成される。
(封止基板)
透明な封止基板25は、本発明における透明基板であり、前述の実施形態の封止基板と同様の部材により構成することができる。封止基板25の屈折率n2と透明陰極24の屈折率n1とは、上記式(1)に示す関係にある。封止基板25としては、前述したようにガラス板やプラスチック板などが用いられ、式(1)を満足する範囲内で適宜に選択される。
(フィルム)
第2実施形態では、透明封止基板25にフィルム29が設けられている。フィルム29は、第1実施形態で用いたフィルム9の部材からなる。
上述のように、第2実施形態では、透明な第1電極に相当する陰極24の屈折率n1、透明な基板に相当する封止基板25の屈折率n2が上記式(1)を満たし、さらに光が出射する最表面部に所定のフィルム29が設けられるので、第1実施形態と同様に光取出し効率が向上する。したがって第1実施形態と同様に、第2実施形態においても発光効率の高い有機EL素子を実現することができる。
なお図1及び図2では、支持基板と封止基板との間の発光機能部の側面は露出しているが、通常は最終的に樹脂により封止される。
上記第1実施形態の有機EL素子は、ボトムエミッション型の素子構造を有しているが、同じボトムエミッション型の素子構造であって、発光機能部の積層順を逆順とし、透明な第1電極として支持基板側に透明な陰極を設け、封止基板側に第2電極として陽極を設けた構造の有機EL素子にも本発明は適用可能である。
また第2実施形態の有機EL素子は、トップエミッション型の素子構造を有しているが、同じトップエミッション型の素子構造であって、発光機能部の積層順を逆順とし、透明な第1電極として封止基板側に透明な陽極を設け、支持基板側に第2電極として陰極を設けた構造の有機EL素子にも本発明は適用可能である。
作製例
以下、作製例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の例示に限定されるものではない。
以下の作製例1〜3では、透明な基板と透明な第1電極の屈折率を特定の範囲に制御する。
(作製例1)
ワイヤ状の導電体として、アミノ基含有高分子系分散剤(アイ・シー・アイ・ジャパン社製、商品名「ソルスパース24000SC」)で表面を保護した銀ナノワイヤー(長軸平均長さ1μm、短軸平均長さ10nm)を用いる。この銀ナノワイヤーのトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)と、膜本体となる光硬化性モノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製、商品名「NKエステル−TMPT」)0.25gとを混合し、さらに重合開始剤(日本チバ・ガイギー社製、商品名「イルガキュア907」)0.0025gを添加する。この混合溶液を厚さ0.7mmのガラス基板(透明基板に相当)に塗布し、ホットプレート上で110℃20分加熱して溶媒を乾燥し、さらにUVランプで光照射(6000mW/cm2)することによって硬化して、膜厚が150nmの透明導電膜(透明な第1電極に相当)を得る。このように成膜することによって、透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下である透明導電膜(透明な第1電極に相当)が得られる。
膜本体を構成する光硬化樹脂の屈折率が1.47なので、得られる透明導電膜の屈折率も1.47となる。この透明導電膜付き透明板を、透明な第1電極を有する透明基板あるいは封止基板として用いることにより有機EL素子を得ることができる。得られる有機EL素子では光取出し効率および発光効率が向上する。
(作製例2)
ワイヤ状の導電体として、アミノ基含有高分子系分散剤(アイ・シー・アイ・ジャパン社製、商品名「ソルスパース24000SC」)で表面を保護した銀ナノワイヤー(長軸平均長さ1μm、短軸平均長さ10nm)を用いる。この銀ナノワイヤーのトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)と、膜本体となるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(スタルク社製、商品名「BaytronP」)2.5gとを混合する。この混合溶液を厚さ0.7mmのガラス基板(透明基板に相当)に塗布し、ホットプレート上で200℃20分加熱し、溶媒を乾燥すると膜厚が150nmの透明導電膜(透明な第1電極に相当)を得る。このように成膜することによって、透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下である透明導電膜(透明な第1電極に相当)が得られる。
膜本体を構成する「BaytronP」の屈折率が1.7なので、得られる透明導電膜の屈折率も1.7となる。この透明導電膜付き透明板を、透明な第1電極を有する透明基板あるいは封止基板として用いることにより有機EL素子を得ることができる。得られる有機EL素子では、光取出し効率および発光効率が向上する。
(作製例3)
ワイヤ状の導電体として、アミノ基含有高分子系分散剤(アイ・シー・アイ・ジャパン社製、商品名「ソルスパース24000SC」)で表面を保護した銀ナノワイヤー(長軸平均長さ1μm、短軸平均長さ10nm)を用いる。膜本体となるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(スタルク社製、商品名「BaytronP」)2.5gに、ジメチルスルホキシド0.125gを混合した混合液と、前記銀ナノワイヤーのトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)とを混合する。この混合溶液を0.7mm厚のガラス基板(透明基板に相当)に塗布し、ホットプレート上で200℃20分加熱し、溶媒を乾燥すると膜厚が150nmの導電膜(透明な第1電極に相当)を得る。このように成膜することによって透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下である透明導電膜が得られる。
膜本体を構成する「BaytronP」の屈折率が1.7なので、得られる透明導電膜の屈折率も1.7となる。この透明導電膜付き透明板を、透明な第1電極を有する透明基板あるいは封止基板に用いることにより有機EL素子を得ることができる。得られる有機EL素子では光取出し効率および発光効率が向上する。
以下の作製例4、5及び比較例1〜3では、透明な支持基板にフィルムを設けることにより光取出し効率を制御できることを確認した。
(作製例4)
透明な支持基板として30mm×30mmのガラス基板を用いた。スパッタリング法によって厚みが150nmのITO薄膜を支持基板の表面上に形成した。このITO薄膜上にフォトレジストを塗布し、フォトマスクを介して所定の領域を露光し、さらに洗浄することによって、所定のパターン形状の保護膜を形成した。さらにエッチングを施した後、水、NMP(n−methylpyrrolidone)でリンスを施し、所定のパターン形状のITO膜から成る陽極を形成した。次に陽極上のレジスト残渣を除去するために、酸素プラズマ処理を30Wのエネルギーで2分間行い、UV/O3洗浄を20分間行った。
次にポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(スタルクヴィテック社製、商品名:BaytronP CH8000)の懸濁液に、2段階の濾過を行い、正孔注入層用の溶液を得た。第1段階目の濾過では、0.45μm径のフィルターを用い、第2段階目の濾過では、0.2μm径のフィルターを用いた。濾過して得られた溶液をスピンコート法により薄膜化し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で200℃、15分間熱処理することによって、厚みが70nmの正孔注入層を陽極上に形成した。
次にLumation WP1330(SUMATION製)とキシレンとを混合してキシレン溶液を作製した。キシレン溶液におけるLumation WP1330の濃度を1.2質量%とした。作製した溶液を用いて、正孔注入層の表面上にスピンコート法によって薄膜を成膜した後、窒素雰囲気下においてホットプレート上で130℃、60分間熱処理し、厚みが80nmの発光層を形成した。
発光層が形成された支持基板を真空蒸着機に導入し、Ba、Alをそれぞれ5nm、80nmの厚みで順次蒸着し、陰極を形成した。なお真空度が1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
次に、フィルムを作製するために、まずフィルム用の溶液を調製した。ポリカーボネート6.32gをジクロロメタン20.7gに溶解し、23.4wt%の溶液を調製した。この溶液にフッ素系界面活性剤としてノベック(住友3M製)を混合した。混合した溶液におけるノベックの濃度を0.8wt%とし、フィルム用の溶液を得た。湿度85%の恒温恒湿槽中において、成膜後のフィルムの膜厚が150μm程度となるように、得られたフィルム用の溶液をガラスの基台上にキャストした。湿度85%の雰囲気中で5分間放置した後、窒素フローによりフィルムを乾燥し、表面に凹凸形状を有する20mm×20mmのフィルム(フィルムA)を得た。
次に、支持基板の上記発光層が形成されている側の表面とは反対側の表面に粘着剤としてグリセリンを塗布しフィルムAを貼り合せて、有機EL素子を作製した。支持基板の屈折率は、1.50であり、粘着剤の屈折率は、1.45であり、フィルムAの屈折率は、1.58である。また、フィルムAの平均膜厚は230μmである。
(作製例5)
作製例4の有機EL素子とはフィルムのみが異なる有機EL素子を作製した。本作製例3(5)では、高いヘイズ値(82)を示す市販品のフィルム(フィルムB)を用いた。フィルムBは粘着層を有しているので、粘着剤などを用いずにそのまま支持基板に貼付けて有機EL素子を作製した。
(比較例1)
作製例4の有機EL素子とはフィルムのみが異なる有機EL素子を作製した。フィルム用の溶液には、作製例1の溶液と同じものを用いた。湿度50%の恒温恒湿槽中において、成膜後のフィルムの膜厚が220μm程度となるように、フィルム用の溶液をガラスの基台上にキャストした。湿度50%の雰囲気中で5分間放置した後、窒素フローによりフィルムを乾燥し、20mm×20mmのフィルム(フィルムC)を得た。作製例4と同じ粘着剤を用いて作製例4と同様にフィルムCを支持基板に貼り付けて有機EL素子を作製した。
(比較例2)
作製例4の有機EL素子とはフィルムのみが異なる有機EL素子を作製した。フィルム用の溶液には作製例4の溶液と同じものを用いた。湿度85%の恒温恒湿槽中において、成膜後のフィルムの膜厚が220μm程度となるように、フィルム用の溶液をガラスの基台上にキャストした。湿度85%の雰囲気中で5分間放置した後、窒素フローによりフィルムを乾燥し、表面に凹凸形状を有する20mm×20mmのフィルム(フィルムD)を得た。作製例4と同じ粘着剤を用いて作製例4と同様にフィルムDを支持基板に貼り付けて有機EL素子を作製した。
(比較例3)
作製例4の有機EL素子とはフィルムのみが異なる有機EL素子を作製した。フィルム用の溶液には作製例4の溶液と同じものを用いた。湿度85%の恒温恒湿槽中において、成膜後のフィルムの膜厚が360μm程度となるように、フィルム用の溶液をガラスの基台上にキャストした。湿度85%の雰囲気中で5分間放置した後、窒素フローによりフィルムを乾燥し、表面に凹凸形状を有する20mm×20mmのフィルム(フィルムE)を得た。作製例4と同じ粘着剤を用いて作製例4と同様にフィルムEを支持基板に貼り付けて有機EL素子を作製した。
(フィルムの表面の観察)
作製例4、5、および比較例1、2、3で用いたフィルムの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図3は作製例4において作製したフィルムAの断面を模式的に示す図であり、図4は作製例5で用いたフィルムBの断面を模式的に示す図であり、図5は比較例1において作製したフィルムCの断面を模式的に示す図である。
作製例4において作製したフィルムAでは、フィルムの表面に平均直径が2μmの半球状の凹面が形成されていることを確認した。凹面は、フィルムAの表面の全面に渡って形成されていることを確認した。
作製例5に用いたフィルムBでは、フィルムの表面が凹凸状に形成されていることを確認した。凹面は、フィルムBの表面の全面に渡って形成されていることを確認した。
比較例1において作製したフィルムCでは、表面に凹面が形成されずに、表面が平面であることを確認した。
比較例2において作製したフィルムDでは、フィルムの表面に、平均直径が3μmの半球状の凹面が形成されていることを確認した。凹面の配置の規則性は比較的低かったが、凹面は、フィルムDの表面の全面に渡って形成されていることを確認した。
比較例3において作製したフィルムEでは、フィルムの表面に、平均直径が4μmの半球状の凹面が形成されていることを確認した。凹面の配置の規則性は比較的低かったが、凹面は、フィルムEの表面の全面に渡って形成されていることを確認した。
作製例4および比較例1、2、3においてフィルムを作製したときの湿度と、作製例4、5、および比較例1、2、3で用いたフィルムの特性とを(表1)に示す。
Figure 0005216623
(表1)に示すように、湿度と、作製されるフィルムの膜厚とを制御することによって、高いヘイズ値のフィルムを作製できることが確認された。また作製されるフィルムの膜厚が厚くなると、凹面の径が大きくなることを確認した。
(有機EL素子1の光取出し効率)
作製例4、5および比較例1、2、3で作製したフィルムが貼り合わされた有機EL素子の光強度と、フィルムが貼り合わされていない有機EL素子の光強度とを比較した。(表2)に、フィルムが貼り合わされた有機EL素子の光強度を、フィルムが貼り合わされていない有機EL素子の光強度で割った光取出し効率の比を示す。光強度は、有機EL素子に0.15mAの電流を流し、そのときの発光強度の角度依存性を測定し、全ての角度での発光強度を積分することによって測定した。
Figure 0005216623
作製例4の有機EL素子は、フィルムAを貼り合せる前に比べて、光取出し効率が1.5倍上昇した。さらに作製例4のフィルムAと光学的特性の近いフィルムBが貼り合わされた作製例5の有機EL素子も、作製例4の有機EL素子と同様に、光取出し効率が大きく上昇した。しかしながら、比較例1の有機EL素子に用いたフィルムCは、表面がほぼ平面なため、光取出し効率の向上は見られなかった。また比較例2、3も、大きな光取出し効率の向上は見られなかった。
このことから、全光線透過率が高く、ヘイズ値の高いフィルムが光取出し効率の向上に寄与していることが明らかとなった。特にフィルムのヘイズ値が70以上になると、光取出し効率が大きく向上することがわかった。このように所定の光学特性を示すフィルムを設けることによって、光の取出し効率が向上することを確認した。
1 透明支持基板(透明基板)
2 透明陽極(透明な第1電極)
3 発光部
4 陰極(第2電極)
5 封止基板
6 陽極と発光層との間に設けられる層
7 発光層
8 陰極と発光層との間に設けられる層
9,29 フィルム
21 支持基板
22 陽極(第2電極)
23 発光部
24 透明陰極(第1電極)
25 透明封止基板(透明基板)
26 陽極と発光層との間に設けられる層
27 発光層
28 陰極と発光層との間に設けられる層
A 作製例4に用いたフィルム
B 作製例5に用いたフィルム
C 比較例1に用いたフィルム

Claims (9)

  1. 透明な第1電極と、
    前記第1電極とは極性が異なる第2電極と、
    前記第1および第2電極の間に配置される発光層と、
    前記第1電極の前記発光層側とは反対側に配置される透明基板と、
    前記透明基板の前記発光層側とは反対側に配置されるフィルムと、を含み、
    前記第1電極の屈折率をn1、前記透明基板の屈折率をn2とすると、n1およびn2はそれぞれ次式(1)
    Figure 0005216623
    を満たし、
    前記フィルムの前記透明基板側とは反対側の表面が凹凸状に形成され、該フィルムのヘイズ値が70%以上であり、かつ該フィルムの全光線透過率が80%以上であり、
    前記第1電極が塗布法により形成されたものであり、
    前記第1電極が、透明の膜本体と、該膜本体中に配置されるワイヤ状の導電体とを含み、
    ワイヤ状の導電体の一部が第1電極の発光部側の表面部に配置されており、
    前記第1電極の表面粗さが100nm以下である
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記ワイヤ状の導電体の径が200nm以下である請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記ワイヤ状の導電体が前記膜本体中において網目構造を構成している請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記膜本体が導電性を有する樹脂を含んでいる請求項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記フィルムの前記透明基板側とは反対側の表面は、複数の凹面が配置されることにより前記凹凸状に形成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 第1電極、第2電極、発光層、透明基板、およびフィルムを設けることにより請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記フィルムを設ける工程では、前記フィルムの厚みが100μm〜200μmの範囲となるように、前記フィルムとなる材料を含む溶液を所定の基台の表面上に塗布し、さらに前記基台の表面上に塗布された溶液を湿度が80%〜90%の雰囲気に保持し、溶液中の溶剤を蒸発させることにより前記フィルムを得る、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
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