JP5211258B1 - 制震プレストレスを付与した鉄骨柱を用いた建造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄骨柱の水平力による振動または揺れを制御し、大地震や強風による強い揺れを繰り返し受けた際の建造物の揺れを抑制し、鉄骨柱がプレストレスによる復元力の範囲内に維持されるようにする。
【解決手段】鉄骨柱を使用して構築された建造物であって、前記鉄骨柱の断面において、緊張材を鉄骨柱の断面図心及び/または、図心に対して対称に配置し、該緊張材を緊張定着することにより鉄骨柱にプレストレスを付与した鉄骨柱を形成することを特徴とした建造物である。地震等の水平力が作用した場合、鉄骨柱に導入されたプレストレスが変形を元に戻す復元力として作用するので揺れを抑制し、また、建造物の大きな変形を阻止する。
【選択図】図1
【解決手段】鉄骨柱を使用して構築された建造物であって、前記鉄骨柱の断面において、緊張材を鉄骨柱の断面図心及び/または、図心に対して対称に配置し、該緊張材を緊張定着することにより鉄骨柱にプレストレスを付与した鉄骨柱を形成することを特徴とした建造物である。地震等の水平力が作用した場合、鉄骨柱に導入されたプレストレスが変形を元に戻す復元力として作用するので揺れを抑制し、また、建造物の大きな変形を阻止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、建造物において、大地震や強風などによる水平揺れを抑制するように制震プレストレスを鉄骨柱に付与した建造物に関する。
近年、高層および超高層建造物には鉄骨造(S造)の採用が一般的である。鉄骨造は、鉄筋コンクリート造(RC造)に比べて単位重量が小さく、材質の均一性が高いこと、建造物の構造部材となる鋼材は工場で厳格に品質管理されているため構造部材の品質を確保しやすいこと、鋼材を連結して長大スパンを容易に実現できること、また、建設現場では部材の組立作業のみであるので施工期間を短縮でき、部材の結合部の施工管理及び品質管理をするだけで建造物の構造品質を一定に保つことができるという利点がある。
また、鋼管内にコンクリートを充填固化させて一体化した鋼管とコンクリートの長所を利用するCFT(Concrete Filled Steel Tube)が知られており、この構造部材は、鋼管とコンクリートの相互拘束効果により軸圧縮耐力・曲げ耐力及び変形性能が増大するという利点がある。
また、鋼管内にコンクリートを充填固化させて一体化した鋼管とコンクリートの長所を利用するCFT(Concrete Filled Steel Tube)が知られており、この構造部材は、鋼管とコンクリートの相互拘束効果により軸圧縮耐力・曲げ耐力及び変形性能が増大するという利点がある。
鉄骨造(S造)は、前記の利点を有するものであるが、耐火性能がRC造に比較して劣ること、座屈しやすく、また、地震による揺れが大きく、長周期の地震動が作用すると揺れが長時間継続するという弱点がある。
そこで、このような問題を解決するため、特許文献1にあるように、鉄骨造の鉄骨梁の上フランジ上にコンクリートスラブを一体化させた合成梁を形成し、コンクリートスラブに圧縮応力を負担させることによって座屈に弱いという鉄骨材の弱点をカバーし、建造物の全体剛性を向上させることによって揺れを小さくすることがおこなわれている。
特許文献2には、PC建造物において、壁付き柱の柱部と壁部に配置されたPC鋼材に作用する最大引張力がほぼ同じになるようにして水平力を受けても上層に生ずる大きな揺れをプレストレスによる復元力で抑制し、内部に配設してある主筋やPC鋼材を降伏させないようにすることが開示されている。
そこで、このような問題を解決するため、特許文献1にあるように、鉄骨造の鉄骨梁の上フランジ上にコンクリートスラブを一体化させた合成梁を形成し、コンクリートスラブに圧縮応力を負担させることによって座屈に弱いという鉄骨材の弱点をカバーし、建造物の全体剛性を向上させることによって揺れを小さくすることがおこなわれている。
特許文献2には、PC建造物において、壁付き柱の柱部と壁部に配置されたPC鋼材に作用する最大引張力がほぼ同じになるようにして水平力を受けても上層に生ずる大きな揺れをプレストレスによる復元力で抑制し、内部に配設してある主筋やPC鋼材を降伏させないようにすることが開示されている。
一方、鉄骨造については、制震ダンパーを設置するなどにより地震等による水平力に対応することがおこなわれているが、制震ダンパーは、その効果が限定的であるというだけでなく、設置条件が厳しく、設備が大掛かりとなって費用が嵩み、制震ダンパーの設置によって建造物の空間がダンパーに占有されて使用上の不都合が生じるなど、様々な問題がある。
特に、巨大地震などで強い揺れを繰り返し受けると、変形を元に戻すことができずに変形したままとなって建造物の使用が不可能となることがあり、建造物の価値を下げてしまう。
特に、巨大地震などで強い揺れを繰り返し受けると、変形を元に戻すことができずに変形したままとなって建造物の使用が不可能となることがあり、建造物の価値を下げてしまう。
鋼管柱の内部にコンクリートを充填することによって圧縮に強いコンクリートと引張りに強い鉄骨の長所を組み合せた柱(CFT柱)が提案されており、S造の耐火性能と座屈の問題を解決したが、地震による揺れ及び地震による残留変形問題は依然として解決されていない。
そこで、本発明は、従来の鉄骨柱の水平力による揺れや振動を抑制し、大地震や強風による強い力を繰り返し受けても、建造物の揺れを小さく抑え、鉄骨柱を線形復元力の範囲内に維持することができるようにするものである。
そこで、本発明は、従来の鉄骨柱の水平力による揺れや振動を抑制し、大地震や強風による強い力を繰り返し受けても、建造物の揺れを小さく抑え、鉄骨柱を線形復元力の範囲内に維持することができるようにするものである。
柱を閉鎖型断面鉄骨造で内部にコンクリートを充填したものとした建造物であって、鉄骨柱の断面において、緊張材を鉄骨柱の図心及び/または、図心に対して対称に配置し、充填コンクリートの硬化後に緊張材を緊張定着することによりプレストレスを付与してある鉄骨柱を有する建造物である。
また、緊張材への導入緊張力は、該緊張材の降伏荷重の50%以下としたものである。
また、緊張材への導入緊張力は、該緊張材の降伏荷重の50%以下としたものである。
本発明の制震プレストレスを与えた鉄骨柱を有する建造物は、以下の長所を有する。
鉄骨柱断面において、図心及び/または図心に対して対称に配置された緊張材を緊張定着することによって、付与されたプレストレスの合力が断面図心に作用し、このプレストレスによる制震作用によってあらゆる方向の地震による建造物の揺れを抑制することができる。
大地震や強風によって大きな揺れが生じても、プレストレスによって鉄骨柱に元に戻る復元力が作用して揺れを抑制し、鉄骨柱を線形復元力の範囲内に維持し、地震力が解放された後に、プレストレスによる復元力が建造物(鉄骨柱)を速やかに元の位置に復帰させるので建造物全体の制震性能を著しく向上させる。
鉄骨柱断面において、図心及び/または図心に対して対称に配置された緊張材を緊張定着することによって、付与されたプレストレスの合力が断面図心に作用し、このプレストレスによる制震作用によってあらゆる方向の地震による建造物の揺れを抑制することができる。
大地震や強風によって大きな揺れが生じても、プレストレスによって鉄骨柱に元に戻る復元力が作用して揺れを抑制し、鉄骨柱を線形復元力の範囲内に維持し、地震力が解放された後に、プレストレスによる復元力が建造物(鉄骨柱)を速やかに元の位置に復帰させるので建造物全体の制震性能を著しく向上させる。
地震による水平力に対抗させるために建造物の重量を増大させる方策が考えられるが、重量の増大によって水平力も大きくなる。本発明の鉄骨柱にプレストレスを与える方法によれば水平力を増すことなく、変形に対する抵抗を増大させることができ、また、プレストレスによる復元力を期待することができる。
建造物重量による柱の軸力は、柱の変形とは無関係に常に鉛直方向に作用するものであり、柱に水平変形が発生すると、重量に基づく軸力が柱を元の位置に戻そうとする力にならず、むしろ水平変形を大きくさせる力となってしまう。
建造物重量による柱の軸力は、柱の変形とは無関係に常に鉛直方向に作用するものであり、柱に水平変形が発生すると、重量に基づく軸力が柱を元の位置に戻そうとする力にならず、むしろ水平変形を大きくさせる力となってしまう。
鉄骨は強度が大きくて均質な材料であり、制震効果及び復元力を発揮するためにプレストレスを導入するのに適した材料である。しかしながら、プレストレスとしての緊張力は、緊張材の降伏荷重の50%までとして緊張材が降伏強度に達するまでの余裕幅を大きくするのが好ましく、大地震時においても緊張材が降伏することなく弾性線形復元力の範囲内に保持され、地震後はプレストレスによる復元力によって元の状態に戻るので、制震効果が得られる。
図1に柱を鉄骨柱とした建造物1の骨組を示す。鉄骨柱2の軸方向に緊張材3が配設され、鉄骨柱2の基礎部及び頂部に緊張材3にプレストレスが導入された状態で定着されている。図1に示している緊張材3は、複数の緊張材を合成した結果として鉄骨柱2の断面の図心にプレストレスが導入される状態を示すものであり、本発明を概念的に示すものであり、具体的な緊張材の配置を示すものではない。緊張材3の下端は、水平力によって生ずる引き抜き力に抵抗できるように基礎コンクリート(フーチング)4に定着具31で強固に定着させてあり、基礎コンクリート4は基礎杭41で支持されている。
鉄骨柱2の断面形状及び緊張材3の配設態様を図2に示す。
図2(1)は、鉄骨材が閉鎖型断面の角形鋼管20であり、図心及び図心から等距離に4本の緊張材3を配設したものである。
図2(2)は、この角形鋼管20の内部にコンクリート25を充填して固化させたCFTである。基本構成は閉鎖型断面の鉄骨柱と同じとするが、中空部に充填されたコンクリート25が硬化した後に緊張材3を緊張定着する。
CFTにすると、鉄骨柱の座屈、振動・揺れ及び耐火の問題が解消されるが、重量が増加するので地震による水平力が増大するという弱点があるので、建造物の規模、用途や高さ等を勘案して採否を決定する。
本発明の緊張材3は、PC鋼棒、PC鋼より線やPC鋼線の他に、高強度棒鋼の鋼材及びその他の緊張材を含むものであり、鋼材以外の緊張材の使用も可能である。
緊張材3は、鉄骨柱2の建て方に合わせて緊張材、例えばPC鋼棒を順次に接続具等で連結して設置していくものであるが、接続具を省いて基礎から上まで連通したPC鋼より線やPC鋼線としてもよい。
図2(1)は、鉄骨材が閉鎖型断面の角形鋼管20であり、図心及び図心から等距離に4本の緊張材3を配設したものである。
図2(2)は、この角形鋼管20の内部にコンクリート25を充填して固化させたCFTである。基本構成は閉鎖型断面の鉄骨柱と同じとするが、中空部に充填されたコンクリート25が硬化した後に緊張材3を緊張定着する。
CFTにすると、鉄骨柱の座屈、振動・揺れ及び耐火の問題が解消されるが、重量が増加するので地震による水平力が増大するという弱点があるので、建造物の規模、用途や高さ等を勘案して採否を決定する。
本発明の緊張材3は、PC鋼棒、PC鋼より線やPC鋼線の他に、高強度棒鋼の鋼材及びその他の緊張材を含むものであり、鋼材以外の緊張材の使用も可能である。
緊張材3は、鉄骨柱2の建て方に合わせて緊張材、例えばPC鋼棒を順次に接続具等で連結して設置していくものであるが、接続具を省いて基礎から上まで連通したPC鋼より線やPC鋼線としてもよい。
図2(1a)は緊張材3を鋼製パイプ30内に挿通して配設した状態の拡大断面図であり、鉄骨柱2に設けたダイヤフラムやスティフナに鋼製パイプ30を溶接等で固定して基礎から上層まで連結し、緊張材3を鋼製パイプ30に挿通して緊張定着して配設する。緊張定着後に鋼製パイプ30内にグラウト35を充填することによってボンド部材として使用することができる。グラウト35は、緊張材3を包囲しているので耐火及び防錆の機能を発揮する。
地震時の建造物高さや変形量に対応して緊張材3の弾性伸びを大きく求める場合は、緊張材の外周に充填材を塗布しポリエチレン被覆を施したアンボンドタイプとすることが好ましい。
地震時の建造物高さや変形量に対応して緊張材3の弾性伸びを大きく求める場合は、緊張材の外周に充填材を塗布しポリエチレン被覆を施したアンボンドタイプとすることが好ましい。
図2(3)、(4)は、鉄骨材20を円形鋼管としたものであり、閉鎖型断面形状を円形としたものである。
図2(5)、(6)はH形鋼を並列してフランジ同士を溶接して閉鎖断面の鉄骨材としたものであり、閉鎖空間には鋼管と同様にコンクリートを充填してCFTとすることができる。この例では図心には緊張材を配設していないが、緊張材の図心は断面図心と一致するように配設したのである。
図2(5)、(6)はH形鋼を並列してフランジ同士を溶接して閉鎖断面の鉄骨材としたものであり、閉鎖空間には鋼管と同様にコンクリートを充填してCFTとすることができる。この例では図心には緊張材を配設していないが、緊張材の図心は断面図心と一致するように配設したのである。
図2(7)、(8)は、チャンネル材を間隔をあけて対向させて配置し、チャンネル材と同じ長さの鋼材2aで連結して閉鎖型断面の鉄骨材20としたものである。この例も緊張材3の図心が断面図心と一致するように配設してある。
緊張材3の上端は、建造物1の各階(層)または複層毎に、鉄骨柱2に設けたダイヤフラムやスティフナ(図示せず)に緊張定着し、接続具によって連結して同じ手順で順次に上の層に達するまで配設する。
少なくとも1本の緊張材は基礎から最上層まで全長にわたって連結した状態で配置するのが好ましく、その他は、建造物の規模と高さによって適宜に所定の階層で留めてもかまわない。
少なくとも1本の緊張材は基礎から最上層まで全長にわたって連結した状態で配置するのが好ましく、その他は、建造物の規模と高さによって適宜に所定の階層で留めてもかまわない。
プレストレスを付与した鉄骨柱のプレストレスによる復元力の制震効果の概念を図3に基づいて説明する。
(a)鉄骨柱には、建造物重量による軸力(W)に加えて軸方向にプレストレス(P)が付与してあり、地震や強風による水平力Qが作用している状態を示すものである。
(b)中程度の地震の水平力が作用した場合であって、付与されているプレストレスが鉄骨柱を原位置に戻す復元力として作用し鉄骨柱及び建造物は殆ど変形することがない。
(c)大地震による水平力が建造物に作用した場合であり、プレストレスが付与されていない状態では復元不可能な領域にまで変形するが、軸方向にプレストレスが付与されているためこのプレストレスが建造物を元の状態に戻す復元力として作用し、揺れを抑制する。
(d)水平力が作用しなくなると、プレストレスによる復元力によって鉄骨柱及び建造物は元の状態に戻ると共に、原位置を行き過ぎて反対側に倒れようとするのをプレストレスが阻止することから、建造物の揺れは早期に収束することになる。そして、プレストレスの原点指向型特性を持つ復元力によって柱及び建造物は元の状態に戻るのである。
(a)鉄骨柱には、建造物重量による軸力(W)に加えて軸方向にプレストレス(P)が付与してあり、地震や強風による水平力Qが作用している状態を示すものである。
(b)中程度の地震の水平力が作用した場合であって、付与されているプレストレスが鉄骨柱を原位置に戻す復元力として作用し鉄骨柱及び建造物は殆ど変形することがない。
(c)大地震による水平力が建造物に作用した場合であり、プレストレスが付与されていない状態では復元不可能な領域にまで変形するが、軸方向にプレストレスが付与されているためこのプレストレスが建造物を元の状態に戻す復元力として作用し、揺れを抑制する。
(d)水平力が作用しなくなると、プレストレスによる復元力によって鉄骨柱及び建造物は元の状態に戻ると共に、原位置を行き過ぎて反対側に倒れようとするのをプレストレスが阻止することから、建造物の揺れは早期に収束することになる。そして、プレストレスの原点指向型特性を持つ復元力によって柱及び建造物は元の状態に戻るのである。
以上の説明のように、鉄骨柱に付与したプレストレスによる復元力は、中小地震時において、鉄骨柱の揺れや振動を小さく抑制する制震効果となり、大地震などにより建造物が大きく変形した時にはプレストレスによる復元力が建造物を元に戻すために強い制震作用を発揮すると共に建造物の倒壊を阻止することになる。
建造物1の梁は、S造梁だけでなく、他の構造の合成梁、RC造または複合構造梁を採用することができる。
以上、実施例について説明したが、本発明は、図示の構成に限定するものではなく、建造物の諸設計条件によって本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が自在とするものである。
以上、実施例について説明したが、本発明は、図示の構成に限定するものではなく、建造物の諸設計条件によって本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が自在とするものである。
例えば、緊張材の緊張力は、該緊張材の降伏荷重の50%以下とし、大地震時においても緊張材を降伏させず弾性線形復元力の範囲内に保持できるようにすることが好ましいが、これに限定することがなく、建造物の高さおよび使用する緊張材の種類によって緊張力の設定を変更する。
本発明に係るプレストレスを付与した鉄骨柱を使用して構築された建造物は、中高層や超高層鉄骨造(S造)に適用できる。
また、新築建造物に限定されるものでなく、既存建造物の耐震補強における外付け耐震フレームにも適用でき、幅広く利用することができる。
また、新築建造物に限定されるものでなく、既存建造物の耐震補強における外付け耐震フレームにも適用でき、幅広く利用することができる。
実施例2
図4及び図5に示すように、建造物1の基礎4から中間層まで耐震壁11や耐震ブレース12を設けて耐震構造とし、中間層より上層部分に緊張材3を配設してプレストレスを付与したものである。これによって、地震時において、基礎から中間層までの耐震壁や耐震ブレース等によって建造物全体の水平変形量を小さくすると共に、上層部分の鉄骨柱に制震プレストレスが付与されることによって制震作用して建造物の揺れを抑制し、地震後、プレストレスによる復元力が建造物(鉄骨柱)を元の状態に復帰させることができる。
なお、緊張材3の配設は中間層より上層部に限定されず、基礎4から上層まで設けることも可能である。
図4及び図5に示すように、建造物1の基礎4から中間層まで耐震壁11や耐震ブレース12を設けて耐震構造とし、中間層より上層部分に緊張材3を配設してプレストレスを付与したものである。これによって、地震時において、基礎から中間層までの耐震壁や耐震ブレース等によって建造物全体の水平変形量を小さくすると共に、上層部分の鉄骨柱に制震プレストレスが付与されることによって制震作用して建造物の揺れを抑制し、地震後、プレストレスによる復元力が建造物(鉄骨柱)を元の状態に復帰させることができる。
なお、緊張材3の配設は中間層より上層部に限定されず、基礎4から上層まで設けることも可能である。
また、上記の構成とする場合、緊張材3のアンカー長は少なくとも1層分以上とする。要するに、耐震壁や耐震ブレースを設けている層と1層分以上をオーバーラップさせることとする。図示しないが、緊張材3のアンカー長とするオーバーラップ間の鉄骨柱の断面は、コンクリートを充填した充実断面とすることが好ましい。また、基礎から中間層までの柱は、RC造、SRC造、PC造のいずれとしてもよい。緊張材3のアンカー長を1層分以上とすることによって、地震力による引抜力に対して十分に対応できるように定着させ、安定したアンカー構造になり、地震時に上部緊張材3の制震プレストスの作用が確保される。
また、プレストレスを付与した鉄骨柱は、建造物の全てにプレストレスを付与する必要はなく、水平力による建造物の振動解析に基づいて、必要最小限の配置とすることも可能である。
1 建造物
2 鉄骨柱
3 緊張材
4 フーチング
41 基礎杭
2 鉄骨柱
3 緊張材
4 フーチング
41 基礎杭
Claims (3)
- 柱を閉鎖型断面鉄骨造で内部にコンクリートを充填したものとした建造物であって、鉄骨柱の断面において、緊張材を鉄骨柱の図心及び/または、図心に対して対称に配置し、充填コンクリートの硬化後に緊張材を緊張定着することによりプレストレスを付与してある鉄骨柱を有する建造物。
- 請求項1において、緊張力は、緊張材の降伏荷重の50%以下である建造物。
- 請求項1または2において、建造物の基礎から中間層まで耐震壁または耐震ブレースが設けてあり、前記中間層から上層部分の鉄骨柱に緊張材を配設してプレストレスを付与した建造物。
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JP2010242325A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Takenaka Komuten Co Ltd | 柱構造及び柱構造の施工方法 |
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