以下、図面を参照しながら、発明の実施形態に係る通信システムについて詳しく説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明を適用したネットワークサラウンドシステムの一例を示すシステム構成図である。
図1に示すネットワークサラウンドシステムは、マルチスピーカコントローラ101とネットワークアダプタ102A〜102F、及びスピーカ103A〜103Fで構成される。
マルチスピーカコントローラ101は、不図示のDVDプレーヤから入力されたオーディオデータをネットワークアダプタ102A〜102Fに向けて送信する。
ネットワークアダプタ102A〜102Fは、マルチスピーカコントローラが送信したオーディオデータを受信し、各々に接続されたスピーカ103A〜103Fに出力する。
そして、スピーカ103A〜103Fは、各々に接続されたネットワークアダプタ102A〜102Fが出力した信号を音として出力する。
図1において、マルチスピーカコントローラ101とネットワークアダプタ102A〜102Dは、ケーブル104〜107を介してカスケード接続されている。
また、マルチスピーカコントローラ101とネットワークアダプタ102E、102Fとの間で無線接続が確立している。本実施例における有線接続では、マルチスピーカコントローラから送信されるオーディオデータは、AC電源からの電力と多重化されて伝送される。このため、有線接続されたネットワークアダプタ102A〜102D、及びネットワークアダプタ102A〜102Dに接続されたスピーカ103A〜103Dは、AC給電コンセントに接続することなく動作可能である。
以下、図1に記載のマルチスピーカコントローラ101、ネットワークアダプタ102A〜102Fの構成概略を参照して、本実施例に係るネットワークサラウンドシステムの基本的な動作を説明する。
マルチスピーカコントローラ101は、オーディオ入力端子108と有線出力端子109、110、及び無線通信用アンテナ111を有する。
オーディオ入力端子108は、DVDプレーヤ(図示せず)とHDMIケーブル112を介して接続され、マルチCHオーディオデータが供給される。供給されるオーディオデータのサンプリング周波数は、DVDプレーヤが読み出す記録媒体、記録形式に応じて、44.1kHz、48kHz、96kHz、192kHz等複数存在する。
マルチCHオーディオデータは、信号線113を介してマルチCH音響デコーダ114、サンプリング周波数識別部115に送られる。
マルチCH音響デコーダ114は、マルチCHオーディオデータをデコードし、5.1CH分のオーディオデータを信号線116経由でサラウンド音響処理部117に出力する。
サラウンド音響処理部117は、各スピーカへのオーディオデータの周波数特性補正、遅延時間補正、振幅補正等を行い、補正後のデータを信号線118経由でデータフレーム生成部119に送る。
データフレーム生成部119は、後述するフォーマットに従ったデータフレームを生成し、生成したデータフレームを信号線120経由でOFDM変調部121に送る。
サンプリング周波数識別部115は、マルチCHオーディオデータのヘッダを解析することでオーディオデータのサンプリング周波数の識別を行い、信号線122を介してガードインターバル(以下「GI」と略称)長選択部123にサンプリング周波数を通知する。ここで、GIとは、OFDM(orthogonal frequency division multiplexing:直交周波数分割多重)方式でデータを送信する際に信号に付加される冗長部である。後述するように、有効シンボルの後ろ一部分をコピーしたものをGIと呼ぶ。
GI長選択部123は、通知されたサンプリング周波数に基いてGI長を選択する。そして、GI長選択部は、選択したGI長の情報を信号線124経由でOFDM(orthogonal frequency division multiplexing:直交周波数分割多重)変調部121に送る。
OFDM変調部121は、送信されたGI長情報に基づき、データフレームをOFDM変調することで、オーディオデータのサンプリング周期と同一時間長のシンボルから成るOFDM信号を生成する。本実施形態に係る変調動作の詳細は後述する。
生成されたOFDM信号は、信号線125を介して電源多重通信部126、無線通信部127に送られる。
電源プラグ128は、AC給電コンセントに接続され、電源ケーブル129を介して電源多重通信部126に電力を供給する。
電源多重通信部126は、OFDM信号と、AC電源からの電力とを多重化することで有線伝送信号とし、有線出力端子109、110を介してネットワークアダプタ102A、102Bに送信する。
一方、無線通信部127は、OFDM信号を無線周波数に変換することで無線伝送信号とし、アンテナ111を介してネットワークアダプタ102E、102Fに無線送信する。
ネットワークアダプタ102A、102Bは、有線伝送信号を受信し、次段のネットワークアダプタ102C、102Dへ受信信号の転送を行う。ネットワークアダプタ102C、Dは転送された有線伝送信号を受信する。また、ネットワークアダプタ102E、Fは無線伝送信号を受信する。なお、ネットワークアダプタ102A〜102Fの構成は同一であり、図1ではネットワークアダプタ102Aの内部構成のみ記載している。
ネットワークアダプタ102A〜102Fは、有線入力端子130A〜130F、有線出力端子131A〜131F、無線通信用アンテナ132A〜132F、スピーカ用端子133A〜133Fを有する。
有線入力端子130A〜130Fは、有線伝送信号の受信用に用いられ、有線出力端子131A〜131Fは、有線伝送信号の転送用に用いられる。以下、ネットワークアダプタ102Aの内部構成を参照して、ネットワークアダプタ102A〜102Fの動作を説明する。
有線入力端子130Aで受信された有線伝送信号は、電源多重通信部134に送られる。電源多重通信部134は、有線伝送信号から電力成分を分離し、OFDM信号のみを信号線135を介してOFDM復調部136に送る。
また、アンテナ132Aで受信された無線伝送信号は、無線通信部137に送られ、有線周波数に周波数変換された後、信号線135を介してOFDM復調部136に送られる。
OFDM復調部136は、OFDM信号をデータフレームへと復調処理し、信号線138を介して同期出力処理部139へと送る。また、OFDM復調部136は、復調処理の際に検出したシンボルタイミング信号を信号線140経由で同期信号生成部141へと出力する。
同期信号生成部141は、シンボルタイミング信号を波形整形することで同期信号を生成し、信号線142を介して同期出力処理部139に出力する。
同期出力処理部139は、データフレームの中から自CHのデータのみを抽出し、同期信号に基づいたタイミングで、信号線143を介して自CHデータをデジタルアンプ144に送る。
自CHデータはデジタルアンプ144で増幅された後、スピーカ用端子133Aに出力され、スピーカ103Aによって音声として出力される。
ネットワークアダプタ102E、102Fは、有線接続されていないため、AC給電コンセントから電力の供給を受ける必要がある。145E、145Fは、電力供給用の電源プラグ、146E、146Fは電源ケーブルを示す。
スピーカ103A〜103Fは、ネットワークアダプタ102A〜102Fのスピーカ用端子133A〜133Fとスピーカケーブル147A〜147Fを介して接続され、音声を出力する。
本実施例において、スピーカ103A〜103Fは、夫々、センタースピーカ、フロントRスピーカ、フロントLスピーカ、SW(サブウーファ)、リアRスピーカ、リアLスピーカの役割を担い、5.1CHサラウンドシステムを構成している。
図2は、データフレーム生成部119が生成するデータフレームのフォーマットを例示した図である。
図2に示すように、データフレームは、5.1CH分のオーディオデータ201〜206、パディングデータ207で構成される。
オーディオデータ201〜206は、各CHの1サンプル点分のオーディオデータである。
パディングデータ207は、データフレームのビット数を、1つのOFDMシンボルで伝送可能なビット数と同一にするために挿入される。
ここで、オーディオデータ201〜206には、サブウーファ、センター、フロントL、フロントR、リアL、リアRといった順にデータが割当てられており、ネットワークアダプタ102A〜102Fは自CHのデータを抽出するものとする。ただし、データフレームフォーマットとしては、図2に示すフォーマットに限られることはなく、ネットワークアダプタ102A〜102Fが自CHデータを抽出可能であればどのようなフォーマットでもよい。
次に、本実施形態におけるマルチスピーカコントローラ101、ネットワークアダプタ102A〜102Fの詳細な動作について説明する。本実施形態におけるOFDM変復調部の基本的な仕様は、以下に示すものとする。
(1)FFTポイント数:512点
(2)D/A変換周波数:30.7MHz
変調方式、使用キャリア数等は、任意のものとする。また、有線・無線伝送信号の中心周波数に関しても任意のものとし、説明を行う。
本実施形態では、データ伝送方式がバス方式の場合について説明する。
図3は、マルチスピーカコントローラ101の詳細な構成を示す機能ブロック図であり、図4は、ネットワークアダプタ102A〜102Fの詳細な構成を示す機能ブロック図である。
図3、図4において、図1と同じブロックに関しては、同一の符号を用いる。
図3において、サンプリング周波数識別部115は、信号線301を介してオーディオデータのサンプリング周波数情報を制御部302に通知する。ここでは、オーディオデータのサンプリング周波数は44.1kHz、48kHzのいずれかであるものとする。
制御部302は、データフレーム生成部119に対して、図2に従うデータフレームを生成するよう、信号線303を介して指示する。また制御部302は、信号線304を介してGIセレクタ305を制御する。
具体的には、サンプリング周波数が48kHzである場合には、128点GI生成部312の出力が選択されるようにGIセレクタ305を制御する。また、サンプリング周波数が44.1kHzである場合には、184点GI生成部313の出力が選択されるようにGIセレクタ305を制御する。
データフレーム生成部119は、生成したデータフレームを信号線120経由でシンボルマッパ306に出力する。
シンボルマッパ306は、データフレームを512点の複素シンボルに変換し、信号線307を介して512点IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部308に送る。
512点IFFT部308は、複素シンボルをIFFTし、512点の有効シンボルを生成する。
生成された有効シンボルは、信号線309を介してシンボル生成部310に送られる。また、生成された有効シンボルは、信号線311を介して128点GI生成部312、184点GI生成部313に送られる。
128点GI生成部312、184点GI生成部313は夫々、有効シンボルの後端から128点、184点をコピーすることでGIを生成し、信号線314、315を介してGIセレクタ305に送る。なお、128点GI生成部312、184点GI生成部313は、生成したGIの先端から任意データ数の標本値列を削除し、その部分にプリアンブル等の固定パターンシンボルを付加することで冗長シンボルを生成し、これをGIとしてもよい。
GIセレクタ305は、制御部302の指示に基づき、128点GI、184点GIのいずれか一方を、信号線316を介してシンボル生成部310に送る。
シンボル生成部310は、有効シンボルの先端に、GIセレクタで選択されたGIを付加することでOFDMシンボルを生成し、信号線317を介してD/A変換部318に出力する。
周波数発振器319は、信号線320を介して30.7MHzのクロック信号をD/A変換部318に送る。
D/A変換部318は、周波数発振器319の出力するクロック信号に基づき、OFDMシンボルを連続時間信号に変換することで、複素ベースバンド信号を生成し、信号線321を介して直交変調部322に送る。
直交変調部322は、信号線323を介して入力される周波数発振器324の正弦波信号に基づき、複素ベースバンド信号を直交変調し、有線伝送信号に変換する。
有線伝送信号は、信号線125を介して電源多重通信部126、無線通信部127に送られる。
電源多重通信部126で電力と多重化された有線伝送信号は、信号線325を介して有線出力端子109、110に出力される。
無線通信部127は、信号線326を介して供給される周波数発振器327の正弦波信号により、有線伝送信号を周波数変換し、アンテナ111に出力する。電源多重通信部126、無線通信部127は、信号線328、329を介して制御部302によって制御される。
一方、図4において、有線入力端子130で受信された有線伝送信号は、信号線401を介して電源多重通信部134に送られる。また、有線出力端子131を介して次段のネットワークアダプタが接続されている場合は、有線入力端子130で受信された有線伝送信号は当該次段のネットワークアダプタに転送される。
電源多重通信部134で電力成分と分離された有線伝送信号は、信号線135を介して直交検波部402、及び無線通信部137に送られる。無線通信部137を介して次段のネットワークアダプタに接続されている場合は、無線通信部137から無線伝送信号として次段のネットワークアダプタに転送される。
アンテナ132で受信された無線伝送信号は、無線通信部137において、信号線403を介して送られる周波数発振器404の正弦波信号で周波数変換される。そして無線伝送信号は、周波数変換された後に信号線135を介して直交検波部402に送られる。
電源多重通信部134、無線通信部137の制御は、制御部405により信号線406、407を介して行われる。
直交検波部402は、信号線408を介して供給される周波数発振器409の正弦波信号により、受信信号の直交検波を行う。そして直交検波部402は、直交検波することにより得られた複素ベースバンド信号を、信号線410を介してA/D変換部411に送る。
A/D変換部411は、信号線412を介して周波数発振器413が供給する30.7MHzのクロック信号に基づき、複素ベースバンド信号を離散時間信号へと変換し、信号線414を介してGI除去部415、シンボルタイミング検出部416に送る。
シンボルタイミング検出部416は、離散時間信号と同信号を有効シンボル分(512点)遅延させた信号との相関和演算を行い、この相関値を元にシンボルタイミングの検出を行う。
検出されたシンボルタイミング信号は、信号線417、140を介して、GI除去部415、同期信号生成部141に送られる。
GI除去部415は、シンボルタイミング信号に基づき、GI長の判別、及びGIの除去を行う。そして、GI除去部415は、GIを除去することにより得られた512点から成る有効シンボルを、信号線418を介して512点FFT部419に送る。
512点FFT部419は、有効シンボルをFFTすることで、512点の複素シンボルを生成し、信号線420を介してシンボル判定部421に送る。
シンボル判定部421は、複素シンボルの判定を行い、複素シンボルをデータフレームへと復調し、信号線138を介して同期出力処理部139に送る。
続いて、ネットワークアダプタ102A〜102Fにおける同期出力の方法について、図5、図6を用いて説明する。図5は、マルチスピーカコントローラ101で生成されるOFDMシンボルを説明する図である。図6は、ネットワークアダプタ102A〜102Fで生成される同期信号を説明する図である。
図5で、501、502は、マルチスピーカコントローラ101で生成されるOFDMシンボルの例を示す図である。
501は、オーディオデータのサンプリング周波数が48kHzである場合のOFDMシンボルであり、502は、オーディオデータのサンプリング周波数が44.1kHzである場合のOFDMシンボルである。
OFDMシンボル501、502は、512点の有効シンボルと、夫々、128点、184点のGIで構成される。
OFDMシンボル501、502は、マルチスピーカコントローラ101のD/A変換部318において、D/A変換周波数30.7MHz(32.6nsec周期)で連続時間信号へと変換される。
したがって、OFDMシンボル501、502の時間長は、夫々、20.85μsec(32.6nsec×640点)、22.67μsec(32.6nsec×696点)となる。このように、有効シンボルを固定長とし、GIを可変長とすることによって、OFDMシンボルの時間長を、オーディオデータのサンプリング周期と同一にすることができる。
図6において、601は、ネットワークアダプタ102A〜102FがOFDMシンボル501を受信した場合の同期信号の生成処理を示した図である。
また、602は、OFDMシンボル502を受信した場合の同期信号の生成処理を示した図である。
603、604は、A/D変換部411の出力する離散信号である。
605、606は、離散信号603、604を有効シンボル分(512点)遅延させた信号(遅延離散信号)である。
607、608は、離散信号603、604と遅延離散信号605、606との相関和演算により検出されるシンボルタイミング信号である。GIは、有効シンボルの後方部分をコピーしたものであり、離散信号の後方部分と離散遅延信号の前方部分は強い相関があるため、相関和演算を行うことによりシンボルタイミングを検出することができる。
このように、シンボルタイミング信号607、608の時間周期は、OFDMシンボルと同一時間長となり、夫々、20.85μsec(48kHz)、22.67μsec(44.1kHz)となる。したがって、シンボルタイミング信号の周波数は、オーディオデータのサンプリング周波数と同一周波数となる。
609、610は、同期信号生成部141の生成する同期信号である。
同期信号生成部141は、シンボルタイミング信号を波形整形することによって609、610のような同期信号を生成し、同期出力処理部139に出力する。
同期出力処理部139は、同期信号に基づいたタイミングで自CHデータの抽出、及びデジタルアンプ144に対して出力を行う。
抽出される自CHデータは、1サンプル点分のオーディオデータであるため、オーディオデータのサンプリング周期毎に1サンプル点分のオーディオデータがデジタルアンプ144に出力され、スピーカから音声が出力される。
本実施例において、データ伝送方式はバス方式であるため、ネットワークアダプタ102A〜102Fでは、同一タイミングのシンボルタイミング信号が検出される。したがって、ネットワークアダプタ102A〜102Fに接続されたスピーカ103A〜103Fは、同一タイミングで音声の出力を行うため、システム内における音声出力の同期をとることが可能である。
本発明によれば、OFDM復調部で検出されるシンボルタイミング信号を同期信号として用いるため、同期出力処理に係るネットワークアダプタ102A〜102Fの構成を簡易なものとすることができる。
さらに、シンボルタイミングに基づいたタイミングで1サンプル点分のオーディオデータが再生されるため、オーディオソースが変更される場合においても、ネットワークアダプタ102A〜102Fではシステムの再設定等が不要である。
このように、本実施例に係る同期伝送システムによれば、同期専用の送受信回路が不要となる。また、オーディオソースが変更された場合においても通信・制御処理の負荷増大を抑制することができる。
<実施形態2>
実施形態1では、図1に示したネットワークサラウンドシステムにおいて、データ伝送方式がバス方式の場合について説明した。本実施形態では、図1に示したネットワークサラウンドシステムにおいて、データ伝送方式がデイジーチェーン方式の場合について説明する。本実施形態では、実施形態1と比較してマルチスピーカコントローラ101およびネットワークアダプタ102A〜102Fの内部構成および動作が異なる。以下、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。
図7は、本実施形態におけるマルチスピーカコントローラ101の詳細な構成を示す機能ブロック図であり、図8は、ネットワークアダプタ102A〜102Fの詳細な構成を示す機能ブロック図である。図7、図8において、図3、図4と同じブロックに関しては、同一の符号を用いるものとする。
図7において、701、702は電源多重通信部であり、OFDM変調部121から送られるOFDM信号とAC電源からの電力とを多重化し、有線伝送信号として有線出力端子108、109から出力する。
703、704は、電源多重通信部701、702を制御するための信号線である。その他の構成は図3と同じであるため、説明は省略する。
図8において、801は、電源多重通信部であり、有線入力端子130から受信した信号から電力成分を分離し、信号成分のみを直交検波部402に送る。
802は、復調したデータフレームを同期出力処理部139に送るための信号線である。また、信号線802は、復調したデータフレームをOFDM変調部803に送るための信号線である。
GI除去部415は、A/D変換部411の出力する離散時間信号からGIを除去することで有効シンボルのみをFFT部419に送る他、除去したGIのポイント数を信号線804経由で制御部404に通知する。
制御部404は、通知されたGIのポイント数に基づき、信号線805を介してOFDM変調部803にGI長情報を送る。
OFDM変調部803は、制御部404から送られるGI長情報に基づいてデータフレームをOFDM変調することで、受信信号と同一のOFDM信号を生成する。
OFDM変調部803の内部構成は、OFDM変調部121と同一であるため、説明を省略する。
OFDM信号は、信号線806を介して電源多重通信部807、無線通信部137に送られ、有線・無線伝送信号として次段のネットワークアダプタに転送される。
808、809は、制御用の信号線であり、電源多重通信部801、807は制御部404により制御される。
信号線810は、制御部404が同期出力処理部139に対して、後述するフレーム遅延補正値を設定するための信号線である。
同期出力処理部139は、OFDM復調部136から送られるデータフレームを一旦バッファし、同期信号生成部141の出力する同期信号をフレーム遅延補正値分カウントした後、出力処理を行う。本実施形態における同期出力処理については後述する。
続いて、本実施形態において生じるフレーム遅延について説明する。
図9は、マルチスピーカコントローラ101からネットワークアダプタ102A、及びネットワークアダプタ102Aからネットワークアダプタ102Cへのデータ伝送の様子を示す図である。
図9において、901A〜901Dは、マルチスピーカコントローラ101のデータフレーム生成部119がOFDM変調部121に出力するデータフレームである。
902A〜902Dは、OFDM変調部127がデータフレーム901A〜901DをOFDM変調することによって出力するOFDMシンボルである。
903A〜903Dは、OFDMシンボル902A〜902Dを受信したネットワークアダプタ102AのOFDM復調部136が出力するデータフレームである。
ネットワークアダプタ102AのOFDM変調部803は、データフレーム903A〜903DをOFDM変調し、ネットワークアダプタ102Cに送信する。
904A〜904Dは、OFDM変調部803の出力するOFDMシンボルである。
905A〜905Dは、OFDMシンボル904A〜904Dを受信したネットワークアダプタ102CのOFDM復調部136が出力するデータフレームである。
ここで、マルチスピーカコントローラ101とネットワークアダプタ102A、102Cの内部動作クロックは十分早い。従って、データフレームをOFDM変調部に出力する時間906、及び変復調処理にかかる時間は、OFDMシンボルの時間長と比べて十分短く、無視できるものとする。
903A〜903D、905A〜905Dに示すように、ネットワークアダプタ102Cで復調されたデータフレームは、ネットワークアダプタ102Aで復調されたデータフレームと比較し、同一タイミングで出力すべきデータが1フレーム分遅延する。
このように、ネットワークアダプタ間の転送回数に応じたフレーム遅延が生じるため、本実施形態では、出力同期を実現するためにネットワークアダプタ102A〜102Fにフレーム遅延補正値を設定する。
ネットワークアダプタ102A〜102Fに設定されるフレーム遅延補正値は、システム内での最大フレーム遅延数と各ネットワークアダプタにおけるフレーム遅延数との差分値である。
図1の例で、ネットワークアダプタ102A、102B、102E、102Fのフレーム遅延数は0、ネットワークアダプタ102C、102Dのフレーム遅延数は1である。したがって、最大フレーム遅延数は1となり、ネットワークアダプタ102A、102B、102E、102Fにはフレーム遅延補正値1が設定される。
また、ネットワークアダプタ102C、102Dにはフレーム遅延補正値0が設定される。フレーム遅延補正値は、マルチスピーカコントローラ101からネットワークアダプタ102A〜102Fに自動で設定するようにしてもよいし、ユーザが各ネットワークアダプタへ手動で設定するようにしてもよい。
本実施形態における同期出力の方法について説明する。
図10は、遅延補正値を設定されたネットワークアダプタ102A〜102Fの出力同期を説明するための図である。
1001〜1006は、それぞれネットワークアダプタ102A〜102Fで受信されるデータフレームである。
ネットワークアダプタ102C、102Dで復調されるデータフレーム1003、1004はネットワークアダプタ102A、102B、102E、102Fで復調されるデータフレーム1001、1002、1005、1006と比較し1フレーム分遅延している。
1007〜1010は、同期信号生成部141の出力する同期信号である。ネットワークアダプタ102A、102B、102E、102Fは、フレーム補正遅延値1が設定されており、復調したデータフレームを同期信号1回分バッファした後、同期信号に基づいたタイミングで自CHデータをデジタルアンプ144に送る。
一方、ネットワークアダプタ102C、102Dは、フレーム遅延補正値0が設定されており、受信したデータフレームから自CHデータを抽出し、同期信号に基づいたタイミングでデジタルアンプ144に送る。
したがって、ネットワークアダプタ102A〜102Fは、オーディオデータ1を同期信号1008のタイミングで一斉に出力することとなり、同期出力が実現される。
このように、本実施形態によれば、デイジーチェーン伝送方式においても、実施形態1と同様に簡易な構成で同期出力を行うことができる。
また、オーディオソースが変更された場合においても通信・制御処理の負荷増大を抑制することができる。
<実施形態3>
本実施形態では、図1に示したネットワークサラウンドシステムにおいて、各機器におけるシンボル生成処理、及び復調処理が異なる形態である。
本実施形態では、データ伝送方式がバス方式の場合について説明するが、デイジーチェーン方式等の他のデータ伝送方式にも適用可能である。以下、第一の実施形態と異なる部分を説明する。
図12は、マルチスピーカコントローラ101の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
図12において、128点冗長シンボル生成部1201、184点冗長シンボル生成部1202は夫々、有効シンボルの前端から128点、184点をコピーする。ここで、有効シンボルの前端から所定数の標本値をコピーしたものを、冗長シンボルと呼ぶことにする。128点冗長シンボル生成部1201、184点冗長シンボル生成部1202は、生成した冗長シンボルを信号線314、315経由で冗長シンボルセレクタ1203に送る。
冗長シンボルセレクタ1203は、制御部1204の指示に基づき、128点冗長シンボル、184点冗長シンボルのいずれか一方を、信号線316を介してシンボル生成部1204に送る。
シンボル生成部1205は、有効シンボルの後端に、冗長シンボルセレクタ1203で選択された冗長シンボルを付加することでOFDMシンボルを生成する。
なお、制御部1204は、オーディオデータのサンプリング周波数が44.1kHzであった場合、128点冗長シンボルが選択されるよう冗長シンボルセレクタ1203に指示する。また、オーディオデータのサンプリング周波数が48kHzであった場合、184点冗長シンボルが選択されるよう冗長シンボルセレクタ1203に指示する。
図13は、ネットワークアダプタ102A〜102Fの詳細な構成を示す機能ブロック図である。
図13において、復調シンボル生成部1301は、後述する処理を行うことで、受信シンボルから復調すべきシンボルを生成し、信号線418を介して512点FFT部419に送る。
続いて、ネットワークアダプタ102A〜102Fにおける同期出力処理、及び復調シンボル生成処理に関して、図14、図15を用いて説明する。本実施形態では、受信シンボルの前方はマルチパスの影響によりシンボル間干渉が発生することとなる。このため、ネットワークアダプタ102A〜102Fは、受信シンボルの前方除去処理、及び冗長シンボルの前方移動処理を行い、復調すべきシンボルの生成を行う必要がある。
図14は、マルチスピーカコントローラ101で生成されるOFDMシンボルを説明する図である。
1401は、オーディオデータのサンプリング周波数が48kHzである場合のOFDMシンボルであり、1402は、オーディオデータのサンプリング周波数が44.1kHzである場合のOFDMシンボルである。
OFDMシンボル1401、1402は、512点の有効シンボルと、夫々、128点、184点の冗長シンボルで構成される。
OFDMシンボル1401、1402は、マルチスピーカコントローラ101のD/A変換部318において、D/A変換周波数30.7MHz(32.6nsec周期)で連続時間信号へと変換される。したがって、OFDMシンボル501、502の時間長は、夫々、20.85μsec(32.6nsec×640点)、22.6μsec(32.6nsec×696点)となる。このように、有効シンボルを固定長とし、冗長シンボルを可変長とすることによって、OFDMシンボルの時間長を、オーディオデータのサンプリング周期と同一にすることができる。
ここで、本実施の形態において生成されるOFDMシンボル1401、1402は、有効シンボルの前方部分をコピーした標本値列を後方部分に配置したものであるため、前方部分と後方部分に強い相関がある。したがって、GIを付加してOFDMシンボルを生成した場合(実施形態1)と同様に、シンボルタイミングの検出、及びシンボルタイミング信号を用いた同期出力処理を実現することが可能である。
図15は、復調シンボル生成部1301の復調シンボル生成処理を説明する図である。
図15において、1501は、OFDMシンボル1401を受信した場合の復調シンボル生成処理を説明する図である。また、1502は、OFDMシンボル1402を受信した場合の復調シンボル生成処理を説明する図である。本実施の形態では、有効シンボルの内、冗長シンボル生成のためにコピーした前方の標本値列をGIに相当する部分として除去し、その部分に冗長シンボルを移動することで復調シンボルを生成する。
1503、1504は、シンボルタイミング検出により区切られた1つのOFDMシンボルを示した図である。
1505、1506は、冗長シンボル生成のためにコピーした前端の標本値列を除去したシンボルを示す図である。
1507、1508は、冗長シンボルを前端に移動した復調シンボルを示す図である。復調シンボルは有効シンボルと同一のシンボルとなる。
以上の復調シンボル生成処理により、実施形態1と同様にマルチパスによる影響を低減した復調シンボルの生成を行うことが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、前述した実施形態1、2と同様に、同期専用の信号送受信回路が不要となる。また、オーディオソースが変更された場合においても通信・制御処理の負荷増大を抑制することができる。
<実施形態4>
第4の実施形態として、図17の5.1チャンネル音響システムについて説明する。
図7に示すシステムは、プレーヤ1700、マルチスピーカコントローラ1710、ネットワークアダプタ1720〜1725、及びスピーカ1731〜1735で構成される。
プレーヤ1700は光ディスク等のオーディオデータが記録された記録媒体からマルチCHオーディオデータを読み出す。そして、プレーヤ1700は、S/PDIF(Sony Philips Digital Interface)等の再生同期用データを含むマルチCHオーディオデータとして外部に出力する。プレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数は、記録媒体や記録形式に応じて44.1kHz、48kHz、96kHz、192kHz等複数存在する。
マルチスピーカコントローラ1710は、プレーヤ1700から入力されたオーディオデータをネットワークアダプタ1720〜1725に向けて送信する。
ネットワークアダプタ1720〜1725は、マルチスピーカコントローラが送信したオーディオデータを受信し、各々に接続されたスピーカ1730〜1735に出力する。
スピーカ1730〜1735は各々に接続されたネットワークアダプタ1720〜1725が出力した信号を音として出力する。
ネットワークアダプタ1720〜1725には夫々スピーカ1730〜1735に応じた音響チャンネルが割当てられている。ネットワークアダプタ1720はセンター(C)チャンネル、ネットワークアダプタ1721はサブウーファ(SW)チャンネルが割当てられている。ネットワークアダプタ1722はフロント・ライト(FR)チャンネル、ネットワークアダプタ1723はリア・ライト(RR)チャンネルが割当てられている。ネットワークアダプタ1724はリア・レフト(RL)チャンネル、ネットワークアダプタ1725はフロント・レフト(FL)チャンネルが割当てられている。
プレーヤ1700とマルチスピーカコントローラ1710はS/PDIF等の音響ケーブルで接続されている。マルチスピーカコントローラ1710、ネットワークアダプタ1721〜1725はデイジーチェーン形式にてケーブルで接続されている。
マルチスピーカコントローラ1710が送信したオーディオデータは、ネットワークアダプタ1720が受信し、ネットワークアダプタ1720からネットワークアダプタ1721に送信される。ネットワークアダプタ1721が受信したオーディオデータは、ネットワークアダプタ1722に送信される。このようにして、プレーヤが出力したオーディオデータは、マルチスピーカコントローラ1710からネットワークアダプタ1720〜1725へ、順に伝送される。
マルチスピーカコントローラ1710の構成と動作について、図16と図18を用いて説明する。図16はマルチスピーカコントローラ1710のブロック図であり、図18はマルチスピーカコントローラ1710の入出力および内部信号のタイミング図である。
1600は、マルチCH音響デコーダである。マルチCH音響デコーダ1600は、プレーヤ1700が出力したS/PDIF等の再生同期用データを含むマルチCHオーディオデータをデコードし、再生同期用信号とチャンネル毎のパルス符号変調(PCM)形式のオーディオデータを生成する。再生同期用信号はプレーヤ1700が出力した再生同期用データ(S/PDIFの場合、プリアンブル)から生成され、オーディオデータのサンプリング周期と等しい周期を有する。したがって、プレーヤ1700が出力するオーディオデータが変化し、オーディオデータのサンプリング周波数が変化した場合、再生同期用信号の周期も変化する。
マルチCH音響デコーダ1600は、生成したチャンネル毎のPCM形式のオーディオデータを、再生同期用信号とともに再生同期用信号一周期につき一サンプル点ずつデータフレーム生成部1601に出力する。再生同期用信号はタイミング信号生成部1606にも出力される。
マルチCH音響デコーダ1600の出力インタフェースにはI2Sを準用することができる。図18のI2SX4はマルチCH音響デコーダ1600の出力信号である。SCKはI2Sのシリアルクロック(SCK)である。WSは、I2Sのワードセレクト(WS)であり、WS信号が再生同期用信号に相当する。
SD0〜SD2は各々シリアルデータ(SD)に相当し、SD0にはCチャンネルとSWチャンネル、SD1にはFRチャンネルとFLチャンネル、SD2にはRRチャンネルとRLチャンネルのデータが出力される。図18では、時刻tcにおいてプレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数が48kHzから44.1kHzに変化する場合の様子を示している。
ここで注意しなければならないのは、再生同期用信号はプレーヤ1700が出力したマルチCHオーディオデータ中の再生同期用データから生成されるので、再生同期用データの出力に時間的な揺らぎがあると、再生同期用信号の周期も揺らぐことである。図18では再生同期用信号の揺らぎをδi(iは整数)で表現している。
1601はデータフレーム生成部である。データフレーム生成部1601は、マルチCH音響デコーダ1600から入力されたI2SX4信号からWS信号一周期毎に図19に示す構成のデータフレームを生成する。図中、C、FR、FL、RR、RL、SWと記された領域は各々Cチャンネル、FRチャンネル、FLチャンネル、RRチャンネル、RLチャンネル、SWチャンネルのデータ領域である。また、コマンドと記された領域にはネットワークアダプタ1720〜1725に対するコマンドが格納される。データフレーム生成部1601は、生成したデータフレームをOFDM変調部1602に出力する。
1602はOFDM変調部である。OFDM変調部1602はデータフレーム生成部1601から入力されたデータフレームをOFDM変調して、有効シンボル部とGI部からなるOFDMシンボルデータを生成する。このとき、OFDM変調部1602は一データフレームから一OFDMシンボルデータを生成する。OFDM変調部1602は、生成したOFDMシンボルデータをD/A変換部1603に出力する。
1603はD/A変換部である。D/A変換部1603は、クロック信号生成部1607が出力するクロック信号(MCLK)に同期して動作する。D/A変換部1603は、タイミング信号生成部1606が出力する出力イネーブル信号(OE)がH(High)レベルのときにOFDM変調部1602から入力されたOFDMシンボルデータをD/A変換する。こうして、D/A変換部1603は中間周波数OFDM信号を生成し、送信周波数変換部1609に出力する。
1604はバースト信号生成部である。バースト信号生成部1604は、クロック信号生成部1607が出力するMCLK信号に同期して動作する。バースト信号生成部1604はクロック信号生成部1607が出力するMCLK信号を分周した後、フィルタリングして搬送波周波数と等しい周波数を有する正弦波信号(以下、バースト信号と呼ぶ)を生成する。そしてバースト信号生成部1604は、生成したバースト信号を送信周波数変換部1609と切換部1605に出力する。
1605は切換部である。切換部1605は、タイミング信号生成部1606が出力するOE信号がHレベルのとき、送信周波数変換部1609が出力する搬送波周波数OFDM信号をネットワークアダプタ1720への伝送路に出力する。一方、切換部1605はタイミング信号生成部1606が出力するOE信号がL(Low)レベルのとき、バースト信号生成部1604が出力するバースト信号をネットワークアダプタ1720への伝送路に出力する。
1606はタイミング信号生成部である。タイミング信号生成部1606は、クロック信号生成部1607が出力するMCLK信号に同期して動作する。タイミング信号生成部1606は、マルチCH音響デコーダ1600が出力したWS信号をクロック信号生成部1607が出力するMCLK信号でリクロックすることにより、WSR信号を生成する。
タイミング信号生成部1606は、WSR信号の立ち上がりから所定時間(Δd)経過した後に立ち上がり、OFDMシンボル長時間(Ts)経過した後に立ち下がるOE信号を生成し、D/A変換部1603と切換部1605に出力する。ここで、ΔdはマルチCH音響デコーダ1600があるWS信号周期で出力したオーディオデータを、当該WS信号に対応するWSR信号の周期で送信(TX)信号として出力できるように決定する。したがって、Δdは少なくともオーディオデータがマルチCH音響デコーダ1600から出力を開始されてからD/A変換部1603に入力されるまでに要する時間と等しい長さを有する。
図18において、SD0、SD1、SD2信号のCi、SWi、FRi、FLi、RRi、RLi(iは整数)の添え字iとTX信号のGIjおよび有効シンボルj(jは整数)の添え字jが一致しているとき、それらは同一のオーディオデータに基づくデータまたは信号であることを示す。すなわち、例えば、SD0、SD1、SD2信号のC1、SW1、FR1、FL1、RR1、RL1はTX信号GI1および有効シンボル1として出力される。
また、以降の図面においても同一のオーディオデータに基づくデータまたは信号は添え字を用いて同様に表記する。
1607はクロック信号生成部である。クロック信号生成部1607はMCLK信号を生成し、D/A変換部1603とバースト信号生成部1604とタイミング信号生成部1606に出力する。MCLK信号はプレーヤ1700のクロック源とは独立のクロック源から生成され、OFDM変復調系に用いるに十分な低ジッタのクロック信号である。
ここで、マルチスピーカコントローラ1710はプレーヤ1700からの受信にかかる処理においては実質的にプレーヤ1700をクロック源とする。そして、ネットワークアダプタ1720への送信にかかる処理においてはそれとは独立のマルチスピーカコントローラ1710内部で生成したクロック信号を用いる。従って、両クロック間には周波数偏差が存在するため、WS信号の周期に揺らぎがない場合であっても、WSR信号の周期は揺らぐことになる。
1609は送信周波数変換部である。送信周波数変換部1609はD/A変換部1603が出力した中間周波数OFDM信号をバースト信号生成部1604が出力するバースト信号を用いて搬送波周波数に変換し、搬送波周波数OFDM信号を生成する。送信周波数変換部1609は生成した搬送波周波数OFDM信号を切換部1605に出力する。
これら各部の動作により、ネットワークアダプタ1720への送信信号(TX)は実質的にプレーヤ1700のクロックに同期したWS信号とその揺らぎも含めて略等しい周期のフレーム周期を有する信号となる。フレームは、固定長のOFDM信号部(GI部と有効シンボル部からなる)と、WS信号またはWSR信号の周期およびそれらの揺らぎに応じて長さが増減するバースト信号部とからなる。
ネットワークアダプタ1720〜1725の構成と動作を図20と図21を用いて説明する。図20はネットワークアダプタ1720〜1725のブロック図、図21はネットワークアダプタ1720〜1725の入出力および内部信号のタイミング図である。
2000はA/D変換部である。A/D変換部2000は受信周波数変換部2010が出力する中間周波数受信信号をA/D変換する。そして、A/D変換部2000は、デジタル化された受信信号(RXD)を生成し、OFDM復調部2001とタイミング信号生成部2002に出力する。
2001はOFDM復調部である。OFDM復調部2001は、A/D変換部2000から入力されたRXD信号を、タイミング信号生成部2002が出力するシンボル同期信号(SS)を用いてシンボル同期を取得してOFDM復調し、データフレーム(図19)を取得する。OFDM復調部2001は、取得したデータフレームを再生同期用信号とともに出力部2004に出力する。出力部2004への出力インタフェースには、マルチスピーカコントローラ1710のマルチCH音響デコーダ1600の出力インタフェースと同様、I2Sを準用することができる。
図21のI2SX4は、OFDM復調部2001が出力部2004に出力する出力信号である。この場合、WS信号が再生同期用信号に相当する。WS信号はタイミング信号生成部2002が出力するSS信号から生成され、その揺らぎも含めてSS信号と等しい周期を有する。OFDM復調部2001は、RX信号のあるフレームで受信したオーディオデータを当該フレームに対応するWS信号の周期で出力する。例えば、RX信号のGI1、有効シンボル1はSD0、SD1、SD2信号のC1、SW1、FR1、FL1、RR1、RL1として出力される。マルチスピーカコントローラ1710のマルチCH音響デコーダ1600が出力したI2SX4信号は、OFDM復調部2001の出力信号として再生される。OFDM復調部2001は、取得したデータフレームをOFDM変調部2005にも出力する。
2002はタイミング信号生成部である。タイミング信号生成部2002は、A/D変換部2000が出力したRXD信号に基づいてバーストゲート信号(BG)、SS信号、出力イネーブル信号(OE)を生成する。そして、タイミング信号生成部2002は、各々PLL部2003、OFDM復調部2001、D/A変換部2006と切換部2008に出力する。
SS信号は、OFDM変復調系におけるシンボル同期方法として広く知られるように、RX信号とそれを有効シンボル長遅延させた信号(RXDD)との相関信号(RXDC)に基づいて生成することができる。SS信号はRXC信号のピークの検出により立ち上がり、1クロック後に立ち下がる。
同様にBG信号とOE信号もRXDC信号に基づいて生成することができる。BG信号は、RXDC信号のピークの検出により立ち上がり、所定の最短バースト信号長以下の期間Hレベルを保持した後、立ち下がる。なお、最短バースト信号長はプレーヤ1700が出力するオーディオデータの最小サンプリング周期と再生同期用データの出力の時間的な揺らぎ幅に基づいて決定することができる。
OE信号は、RXDC信号のピークの検出から所定時間(Δd)後に立ち上がり、OFDMシンボル長時間(Ts)経過した後、立ち下がる。Δdは、RX信号のあるフレームで受信したオーディオデータを当該フレームに対応する周期のフレームでTX信号として出力できるように決定される。したがって、Δdは少なくともRXD信号がOFDM復調部2001にてOFDM復調されてからD/A変換部2006に入力されるまでの長さを有する。例えば、RX信号のGI1、有効シンボル1はTX信号のGI1および有効シンボル1として出力される。
2003はPLL部である。PLL部2003は、タイミング信号生成部2002が出力するBG信号を窓信号としてマルチスピーカコントローラ1710または上流に接続されたネットワークアダプタが出力したRX信号からバースト信号を抽出する。そして、PLL部2003は、位相ロックループ(PLL)によりそれと位相が同期した連続したバースト信号を生成する。PLL部2003は、生成したバースト信号を受信周波数変換部2010と送信周波数変換部2007、切換部2008に出力する。また、PLL部2003は生成したバースト信号を逓倍し、クロック信号(MCLK)を生成する。PLL部2003は生成したMCLK信号をネットワークアダプタ各部に供給する。ネットワークアダプタ各部はMCLK信号に同期して動作する。すなわち、ネットワークアダプタ1720〜1725は動作クロックやOFDM変復調処理にかかる周波数の同期(搬送波周波数同期、サンプリング周波数同期)にバースト信号を利用する。
2004は出力部である。出力部2004は、OFDM復調部2001から入力されたI2SX4信号から自チャンネルのオーディオデータを抽出する。出力部2004は正しい音響が得られるように、最もデータの到達が遅いネットワークアダプタに合わせてWS信号を遅延させ、WSD信号を生成する。出力部2004は自チャンネルのオーディオデータをWSD信号の立ち上がりタイミングでD/A変換した後、増幅して音響信号(AO)を生成し、スピーカに出力する。なお、図21は、一例として、FLチャンネルのデータを抽出し、AO信号として出力している様子を示している。
2005はOFDM変調部である。OFDM変調部2005は、OFDM復調部2001から入力されたデータフレームをOFDM変調し、有効シンボル部とGI部からなるOFDMシンボルデータを生成する。このとき、OFDM変調部2005は、一データフレームから一OFDMシンボルデータを生成する。OFDM変調部2005は、生成したOFDMシンボルデータをD/A変換部2006に出力する。
2006はD/A変換部である。D/A変換部2006は、タイミング信号生成部2002が出力するOE信号がHレベルのときにOFDM変調部2005から入力されたOFDMシンボルデータをD/A変換して中間周波数OFDM信号を生成し、送信周波数変換部2007に出力する。
2007は送信周波数変換部である。送信周波数変換部2007は、D/A変換部2006が出力した中間周波数OFDM信号をPLL部2003が出力するバースト信号を用いて搬送波周波数に変換し、搬送波周波数OFDM信号を生成する。送信周波数変換部2007は、生成した搬送波周波数OFDM信号を切換部2008に出力する。
2008は切換部である。切換部2008は、タイミング信号生成部2002が出力するOE信号がHレベルのとき、送信周波数変換部2007が出力する搬送波周波数OFDM信号を伝送路に出力する。一方、切換部2008はタイミング信号生成部2002が出力するOE信号がLレベルのとき、PLL部2003が出力するバースト信号を下流に接続されたネットワークアダプタへの伝送路に出力する。
2010は受信周波数変換部である。受信周波数変換部2010はマルチスピーカコントローラ1710または上流に接続されたネットワークアダプタが出力した送信信号(RX)を受信し、PLL部2003が出力するバースト信号を用いて中間周波数に変換して中間周波数受信信号を生成する。受信周波数変換部2010は、生成した中間周波数受信信号をA/D変換部2000に出力する。
これら各部の動作により下流に接続されたネットワークアダプタへの送信信号(TX)は、マルチスピーカコントローラ1710または上流に接続されたネットワークアダプタから受信した受信信号とその揺らぎも含めて等しい周期のフレーム周期を有する信号となる。
本実施形態では、プレーヤ1700が出力するマルチCHオーディオデータ、またはマルチスピーカコントローラ1710のマルチCH音響デコーダ1600の出力信号は、複数の入力周期で入力されるデータに相当する。また、ネットワークアダプタ1730〜1735の受信信号、ネットワークアダプタ1730〜1735のOFDM復調部2001およびタイミング信号生成部2002の出力信号等も、複数の入力周期で入力されるデータに相当する。
本実施形態では、マルチスピーカコントローラ1710はWS信号一周期分のデータを一フレームで送信するものとして説明したが、WS信号複数周期分のデータを一フレームで送信してもよい。この場合、WS信号複数周期毎にその複数周期分の長さに応じてバースト信号部の長さを増減させることで、WS信号の複数周期とフレーム周期をその揺らぎも含めて略一致させることができる。この場合、ネットワークアダプタ1730〜1735のOFDM復調部2001が出力するWS信号の周期は例えば当該WS信号複数周期の平均周期とする。
また、WS信号一周期分のデータを複数フレームで送信してもよい。この場合、WS信号一周期毎にその長さに応じて、WS信号一周期分のデータを伝送する複数のフレームの少なくとも一つのフレームのバースト信号部の長さを増減させることで、WS信号の周期と複数フレームの周期の長さをその揺らぎも含めて略一致させることができる。これにより、ネットワークアダプタ1730〜1735のOFDM復調部2001が出力するWS信号の周期は送信前のWS信号の周期と略一致させることができる。
本実施形態では、WS信号の周期はオーディオデータのサンプリング周期と等しいものとして説明したが、WS信号の周期はオーディオデータのサンプリング周期のn倍またはn分の一(nは正の整数)であってもよい。この場合、ネットワークアダプタ1720〜1735の出力部2004は、プレーヤ1700の音響デコーダ1600の出力形式に応じた音響信号の出力処理を行う。例えば、WS信号の周期がオーディオデータのサンプリング周期のn倍である場合は当該WS信号をn逓倍したものに同期させて音響信号を出力する。一方、WS信号の周期がオーディオデータのサンプリング周期の1/n倍である場合はWS信号n周期分に同期させて音響信号を出力する。
なお、本実施形態の説明に用いた図では、プレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数が変化してもI2SX4信号、TX信号、RX信号等の各信号は途切れることなく連続しているように図示されている。しかし、プレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数が変化した場合、これらの信号は、その変化点近傍において、途切れたり、不連続であったりしてもよい。
本実施形態は、フレーム中にバースト信号を含むので、送受信装置間で動作クロックや変復調処理にかかる周波数の同期が必要な場合に有用である。
また、本実施形態は、データの伝送において有意なデータを含む部分でないバースト信号部の長さを増減させるので、有意なデータを含む部分の長さを変化させることが困難である場合に有用である。
したがって、本実施形態は、OFDM変復調方式のように、送受信装置間で変復調処理にかかる周波数の同期を要し、データの伝送において有意なデータを含む部分(OFDM変復調方式の場合、有効シンボル)の長さを変化させることが困難である場合に有用である。
本実施形態では、オーディオデータを送信する場合を例に説明した。しかし、本発明はこれに限定されるわけではなく、映像データ(オーディオデータを伴う場合も含む)や様々な計測データ等、定時性が要求されるストリーミングデータの伝送に広く応用することが可能である。
<実施形態5>
本発明の別の実施形態として、図17に示した5.1チャンネル音響システムにおいてマルチスピーカコントローラ1710とネットワークアダプタ1720〜1725の構成と動作が実施形態4と異なる形態について説明する。
マルチスピーカコントローラ1710の構成と動作を図22と図23を用いて説明する。図22はマルチスピーカコントローラ1710のブロック図であり、図23はネットワークアダプタ1720〜1725の入出力および内部信号のタイミング図である。
2200はマルチCH音響デコーダである。マルチCH音響デコーダ2200はプレーヤ1700が出力したS/PDIF等の再生同期用データを含むマルチCHオーディオデータをデコードし、再生同期用信号とチャンネル毎のPCM形式のオーディオデータを生成する。再生同期用信号はプレーヤ1700が出力した再生同期用データ(S/PDIFの場合、プリアンブル)から生成され、オーディオデータのサンプリング周期と等しい周期を有する。したがって、プレーヤ1700が出力するオーディオデータが変化し、その結果、オーディオデータのサンプリング周波数が変化した場合、再生同期用信号の周期も変化する。マルチCH音響デコーダ2200は生成したチャンネル毎のPCM形式のオーディオデータを再生同期用信号とともに再生同期用信号一周期につき一サンプル点ずつデータフレーム生成部2201に出力する。再生同期用信号はタイミング信号生成部2206にも出力される。
マルチCH音響デコーダ2200の出力インタフェースにはI2Sを準用することができる。図18のI2SX4はマルチCH音響デコーダ2200の出力信号である。SCKはI2Sのシリアルクロック(SCK)である、WSは、I2Sのワードセレクト(WS)であり、WS信号が再生同期用信号に相当する。
SD0〜SD2は各々シリアルデータ(SD)に相当し、SD0にはCチャンネルとSWチャンネル、SD1にはFRチャンネルとFLチャンネル、SD2にはRRチャンネルとRLチャンネルのデータが出力される。図23は時刻tcにおいてプレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数が48kHzから44.1kHzに変化する場合の様子を示している。
ここで注意しなければならないのは、再生同期用信号はプレーヤ1700が出力したマルチCHオーディオデータ中の再生同期用データから生成されるので、再生同期用データの出力に時間的な揺らぎがあると、再生同期用信号の周期も揺らぐことである。図23では再生同期用信号の揺らぎをδi(iは整数)で表現している。
2201はデータフレーム生成部である。データフレーム生成部2201はマルチCH音響デコーダ2200から入力されたI2SX4信号からWS信号一周期毎に図19に示す構成のデータフレームを生成する。図中、C、FR、FL、RR、RL、SWと記された領域は各々Cチャンネル、FRチャンネル、FLチャンネル、RRチャンネル、RLチャンネル、SWチャンネルのデータ領域である。また、コマンドと記された領域にはネットワークアダプタ1720〜1725に対するコマンドが格納される。データフレーム生成部2201は、生成したデータフレームをOFDM変調部2202に出力する。
2202はOFDM変調部である。OFDM変調部2202はデータフレーム生成部2201から入力されたデータフレームをOFDM変調して有効シンボル部とGI部からなるOFDMシンボルデータを生成する。このとき、OFDM変調部2202は一データフレームから一OFDMシンボルデータを生成する。OFDM変調部2202は生成したOFDMシンボルデータを調整データ付加部2208に出力する。
2203はD/A変換部である。D/A変換部2203は、クロック信号生成部2207が出力するクロック信号(MCLK)に同期して動作する。D/A変換部2203は、タイミング信号生成部2206が出力する出力イネーブル信号(OE)がH(High)レベルのときに調整データ付加部2208から入力されたデータをD/A変換して送信周波数変換部2209に出力する。
2204はバースト信号生成部である。バースト信号生成部2204は、クロック信号生成部2207が出力するMCLK信号に同期して動作する。バースト信号生成部2204は、クロック信号生成部2207が出力するMCLK信号を分周した後、フィルタリングしてバースト信号を生成し、送信周波数変換部2209と切換部2205に出力する。
2205は切換部である。切換部2205は、タイミング信号生成部2206が出力するOE信号がHレベルのとき、送信周波数変換部2209が出力する信号をネットワークアダプタ1720への伝送路に出力する。一方、切換部2205はタイミング信号生成部2206が出力するOE信号がL(Low)レベルのとき、バースト信号生成部2204が出力するバースト信号をネットワークアダプタ1720への伝送路に出力する。
2206はタイミング信号生成部である。タイミング信号生成部2206は、クロック信号生成部2207が出力するMCLK信号に同期して動作する。タイミング信号生成部2206は。マルチCH音響デコーダ2200が出力したWS信号をクロック信号生成部2207が出力するMCLK信号でリクロックしてWSR信号を生成する。タイミング信号生成部2206は、生成したWSR信号を調整データ付加部2208に出力する。
また、タイミング信号生成部2206はWSR信号の立ち上がりから所定時間(Δd)経過した後に立ち下がり、所定のバースト信号長時間(Tb)経過した後に立ち上がるOE信号を生成し、D/A変換部2203と切換部2205に出力する。ここで、ΔdはマルチCH音響デコーダ2200があるWS信号周期で出力したオーディオデータを当該WS信号に対応するWSR信号の周期でTX信号として出力できるように決定する。したがって、Δdは少なくともオーディオデータがマルチCH音響デコーダ2200から出力を開始されてからD/A変換部2203に入力されるまでに要する時間からバースト信号長を減じた長さを有する。
図23において、SD0、SD1、SD2信号のCi、SWi、FRi、FLi、RRi、RLi(iは整数)の添え字iとTX信号のGIjおよび有効シンボルj(jは整数)の添え字jが一致しているとき、それらは同一のオーディオデータに基づくデータまたは信号であることを示す。すなわち、例えば、SD0、SD1、SD2信号のC1、SW1、FR1、FL1、RR1、RL1はTX信号GI1および有効シンボル1として出力される。
また、以降の図面においても同一のオーディオデータに基づくデータまたは信号は添え字を用いて同様に表記する。
2207はクロック信号生成部である。クロック信号生成部2207はMCLK信号を生成し、D/A変換部2203とバースト信号生成部2204、タイミング信号生成部2206、調整データ付加部2208に出力する。MCLK信号はプレーヤ1700のクロック源とは独立のクロック源から生成され、OFDM変復調系に用いるに十分な低ジッタのクロック信号である。
ここで、マルチスピーカコントローラ1710はプレーヤ1700からの受信にかかる処理においては実質的にプレーヤ1700をクロック源とする。そして、ネットワークアダプタ1720への送信にかかる処理においてはマルチスピーカコントローラ1710内部で生成したクロック信号を用いる。従って、両クロック間には周波数偏差が存在するため、WS信号の周期に揺らぎがない場合であっても、WSR信号の周期は揺らぐことになる。
2208は調整データ付加部である。調整データ付加部2208は、OFDM変調部2202から入力されたOFDMシンボルデータにタイミング信号生成部2206が出力したWSR信号の周期とその揺らぎに応じた長さの調整データを付加し、D/A変換部2203に出力する。調整データは、WSR信号の立ち上がり毎に計測して得られたその周期の増減量に応じた長さを有する。例えば、図23のフレーム3においては、WSR信号の周期の増分Tf3−Tf2だけ調整データの長さを増加させる。この結果、調整データの増分Tg3−Tg2はTf3−Tf2と等しくなる。WSR信号の周期の増減量はその周期の長さをクロック信号生成部2207が出力するMCLK信号を用いてカウントし、当該周期のカウント値とその直前の周期のカウント値を比較することにより求める。なお、調整データの最短長はWSR信号が最短周期となった場合でも0以上となるように決定される。
調整データは、有効シンボルの前部と同じデータを用い、有効シンボルの後方に付加すると(図24)、OFDM復調時のシンボル同期誤差による復調誤りの低減に有効である。本実施形態では、以下特に断りがない限り、調整データは、有効シンボルの前部と同じデータが用いられ、有効シンボルの後方に付加されているものとして説明する。
2209は送信周波数変換部である。送信周波数変換部2209は、D/A変換部2203が出力した信号をバースト信号生成部2204が出力するバースト信号を用いて搬送波周波数に変換し、切換部2205に出力する。
これら各部の動作により、ネットワークアダプタ1720への送信信号(TX)は実質的にプレーヤ1700のクロックに同期したWS信号とその揺らぎも含めて略等しい周期のフレーム周期を有する信号となる。フレームは、固定長のバースト信号部及びOFDM信号部(GI部と有効シンボル部からなる)と、WS信号またはWSR信号の周期およびそれらの揺らぎに応じて長さが増減する調整データ部からなる。
ネットワークアダプタ1720〜1725の構成と動作を図25と図26を用いて説明する。図25はネットワークアダプタ1720〜1725のブロック図、図26はネットワークアダプタ1720〜1725の入出力および内部信号のタイミング図である。
2500はA/D変換部である。A/D変換部2500は、受信周波数変換部2510が出力する中間周波数受信信号をA/D変換する。そして、A/D変換部2500は、デジタル化された受信信号(RXD)を生成し、OFDM復調部2501とタイミング信号生成部2502に出力する。
2501はOFDM復調部である。OFDM復調部2501は、A/D変換部2500から入力されたRXD信号をタイミング信号生成部2502が出力するシンボル同期信号(SS)を用いてシンボル同期を取得してOFDM復調し、データフレーム(図19)を取得する。なお、SS信号の立ち上がりは一般的なOFDM変復調系のようにRXD信号のGI開始時ではないが、バースト信号長が固定長であるので、SS信号を用いてシンボル同期を取得することが可能である。OFDM復調部2501は、取得したデータフレームを再生同期用信号とともに出力部2504に出力する。出力部2504への出力インタフェースには、マルチスピーカコントローラ1710のマルチCH音響デコーダ2200の出力インタフェースと同様、I2Sを準用することができる。
図25のI2SX4は、OFDM復調部2501が出力部2504に出力する出力信号である。この場合、WS信号が再生同期用信号に相当する。WS信号はタイミング信号生成部2502が出力するSS信号から生成され、その揺らぎも含めてSS信号と等しい周期を有する。OFDM復調部2501は、RX信号のあるフレームで受信したオーディオデータを当該フレームに対応するWS信号の周期で出力する。例えば、RX信号のGI1、有効シンボル1はSD0、SD1、SD2信号のC1、SW1、FR1、FL1、RR1、RL1として出力される。マルチスピーカコントローラ1710のマルチCH音響デコーダ2200が出力したI2SX4信号はここにOFDM復調部2201の出力信号として再生される。OFDM復調部2501は取得したデータフレームをOFDM変調部2505にも出力する。
2502はタイミング信号生成部である。タイミング信号生成部2502は、A/D変換部2500が出力したRXD信号に基づいてバーストゲート信号(BG)、SS信号、出力イネーブル信号(OE)を生成する。そして、タイミング信号生成部2502は、各々PLL部2503、OFDM復調部2501と調整データ付加部2509、D/A変換部2506と切換部2508に出力する。
SS信号は、OFDM変復調系におけるシンボル同期方法として広く知られるように、RX信号とそれを有効シンボル長遅延させた信号(RXDD)との相関信号(RXDC)に基づいて生成することができる。その際、フレームの区切りにおいてRXDC信号にピークを得ることが有効であるが、そのために、例えば、特許第3807878号公報に開示されている技術を用いることできる。SS信号はRXDC信号のピークの検出により立ち上がり、1クロック後に立ち下がる。
同様にBG信号とOE信号もRXDC信号に基づいて生成することができる。BG信号は、RXDC信号のピークの検出により立ち上がり、バースト信号期間終了までHレベルを保持した後、立ち下がる。バースト信号長は固定長である。
OE信号は、RXDC信号のピークを検出してから、所定時間(Δd)後に立ち下がり、バースト信号長時間(Tb)経過した後、立ち上がる。ΔdはRX信号のあるフレームで受信したオーディオデータを当該フレームに対応する周期のフレームでTX信号として出力できるように決定される。したがって、Δdは少なくともバースト信号長に加え、RXD信号がOFDM復調部2501に入力されてからD/A変換部2506に入力されるまでの長さを有する。例えば、RX信号のGI1、有効シンボル1はTX信号のGI1および有効シンボル1として出力される。なお、図25はあくまで模式的な図であり、RXDC信号はピーク位置を除き実際の信号波形とは異なることに留意されたい。
2503はPLL部である。PLL部2503はタイミング信号生成部2502が出力するBG信号を窓信号としてマルチスピーカコントローラ1710または上流に接続されたネットワークアダプタが出力したRX信号からバースト信号を抽出する。そして、PLL部2503は、位相ロックループ(PLL)によりそれと位相が同期した連続したバースト信号を生成する。PLL部2503は、生成したバースト信号を受信周波数変換部2510と送信周波数変換部2507、切換部2508に出力する。また、PLL部2503は生成したバースト信号を逓倍し、クロック信号(MCLK)を生成する。PLL部2503は生成したMCLK信号をネットワークアダプタ各部に供給する。ネットワークアダプタ各部はMCLK信号に同期して動作する。すなわち、ネットワークアダプタ1720〜1725は動作クロックやOFDM変復調処理にかかる周波数の同期(搬送波周波数同期、サンプリング周波数同期)にバースト信号を利用している。
2504は出力部である。出力部2504は、OFDM復調部2501から入力されたI2SX4信号から自チャンネルのオーディオデータを抽出する。出力部2504は正しい音響が得られるように、最もデータの到達が遅いネットワークアダプタに合わせてWS信号を遅延させ、WSD信号を生成する。出力部2504は自チャンネルのオーディオデータをWSD信号の立ち上がりタイミングでD/A変換した後、増幅して音響信号(AO)を生成し、スピーカに出力する。なお、図25は、一例として、FLチャンネルのデータを抽出し、AO信号として出力している様子を示している。
2505はOFDM変調部である。OFDM変調部2505は、OFDM復調部2501から入力されたデータフレームをOFDM変調して有効シンボル部とGI部からなるOFDMシンボルデータを生成する。このとき、OFDM変調部2505は一データフレームから一OFDMシンボルデータを生成する。OFDM変調部2505は生成したOFDMシンボルデータを調整データ付加部2509に出力する。
2506はD/A変換部である。D/A変換部2506はPLL部2503が出力するクロック信号(MCLK)に同期して動作する。D/A変換部2506はタイミング信号生成部2502が出力する出力イネーブル信号(OE)がH(High)レベルのときに調整データ付加部2509から入力されたデータをD/A変換して送信周波数変換部2507に出力する。
2507は送信周波数変換部である。送信周波数変換部2507は、D/A変換部2506が出力した信号をPLL部2503が出力するバースト信号を用いて搬送波周波数に変換し、切換部2508に出力する。
2508は切換部である。切換部2508は、タイミング信号生成部2502が出力するOE信号がHレベルのとき、送信周波数変換部2507が出力する信号をネットワークアダプタ1720への伝送路に出力する。一方、切換部2508はタイミング信号生成部2502が出力するOE信号がL(Low)レベルのとき、PLL部2503が出力するバースト信号をネットワークアダプタ1720への伝送路に出力する。
2509は調整データ付加部である。調整データ付加部2509は、OFDM変調部2505から入力されたOFDMシンボルデータに、タイミング信号生成部2502が出力したSS信号の周期およびその揺らぎに応じた長さの調整データを付加し、D/A変換部2506に出力する。調整データは、SS信号の立ち上がり毎に計測して得られたその周期の増減量に応じた長さを有する。例えば、図26中フレーム1においては、SS信号の周期の増分Tf2−Tf1だけ調整データの長さを増加させる。この結果、調整データの増分Tg2−Tg1はTf2−Tf1と等しくなる。SS信号の周期の増減量はその周期の長さをPLL部2503が出力するMCLK信号を用いてカウントし、当該周期のカウント値とその直前の周期のカウント値を比較することにより求める。なお、調整データの最短長はSS信号が最短周期となった場合でも0以上となるように決定される。
2510は受信周波数変換部である。受信周波数変換部2510は、マルチスピーカコントローラ1710または上流に接続されたネットワークアダプタが出力した送信信号(RX)を受信し、PLL部2503が出力するバースト信号を用いて中間周波数に変換して中間周波数受信信号を生成する。受信周波数変換部2510は、生成した中間周波数受信信号をA/D変換部2500に出力する。
これら各部の動作により下流に接続されたネットワークアダプタへの送信信号(TX)は、マルチスピーカコントローラ1710または上流に接続されたネットワークアダプタから受信した受信信号とその揺らぎも含めて等しい周期のフレーム周期を有する信号となる。
本実施形態では、プレーヤ1700が出力するマルチCHオーディオデータ、またはマルチスピーカコントローラ1710のマルチCH音響デコーダ2200の出力信号は、複数の入力周期で入力されるデータに相当する。また、ネットワークアダプタ1730〜1735の受信信号、ネットワークアダプタ1730〜1735のOFDM復調部2501およびタイミング信号生成部2502の出力信号等も、複数の入力周期で入力されるデータに相当する。
本実施形態では、マルチスピーカコントローラ1710はWS信号一周期分のデータを一フレームで送信するものとして説明したが、WS信号複数周期分のデータを一フレームで送信してもよい。この場合、WS信号複数周期毎にその複数周期分の長さに応じて調整データ部の長さを増減させることで、WS信号の複数周期とフレーム周期をその揺らぎも含めて略一致させることができる。この場合、ネットワークアダプタ1730〜1735のOFDM復調部2501が出力するWS信号の周期は例えば当該WS信号複数周期の平均周期とする。
また、WS信号一周期分のデータを複数フレームで送信してもよい。この場合、WS信号一周期毎にその長さに応じて、WS信号一周期分のデータを伝送する複数のフレームの少なくとも一つのフレームの調整データ部の長さを増減させることで、WS信号の周期とフレーム複数周期の長さをその揺らぎも含めて略一致させる。これにより、ネットワークアダプタ1730〜1735のOFDM復調部2501が出力するWS信号の周期は送信前のWS信号の周期と略一致させることができる。
本実施形態では、WS信号の周期はオーディオデータのサンプリング周期と等しいものとして説明したが、WS信号の周期はオーディオデータのサンプリング周期のn倍またはn分の一(nは正の整数)であってもよい。この場合、ネットワークアダプタ1720〜1735の出力部2504はプレーヤ1700の音響デコーダ2200の出力形式に応じた音響信号の出力処理を行う。例えば、WS信号の周期がオーディオデータのサンプリング周期のn倍である場合は当該WS信号をn逓倍したものに同期させて音響信号を出力する。一方、WS信号の周期がオーディオデータのサンプリング周期の1/n倍である場合はWS信号n周期分に同期させて音響信号を出力する。
本実施形態では、調整データは、有効シンボルの前部と同じデータを用い、有効シンボルの後方に付加したが、調整データは任意のデータまたはヌルデータ(無信号)でもよく、任意の場所に挿入することができる。例えば、GIの前方に付加し、GIの一部として機能するようにしてもよい。この場合、実質的に、WS信号の周期またはその揺らぎに応じてGI長が増減するのと同じである。
なお、本実施形態の説明に用いた図では、プレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数が変化してもI2SX4信号、TX信号、RX信号等の各信号は途切れることなく連続しているように図示されている。しかし、プレーヤ1700が出力するオーディオデータのサンプリング周波数が変化した場合、これらの信号は、その変化点近傍において、途切れたり、不連続であったりしてもよい。
本実施形態は、フレーム中にバースト信号を含むので、送受信装置間で動作クロックや変復調処理にかかる周波数の同期が必要な場合に有用である。
また、本実施形態は、データの伝送において有意なデータを含む部分とは別に有意なデータを含まない部分を設け、その長さを増減させるので、有意なデータを含む部分の長さを変化させることが困難である場合に有用である。
したがって、本実施形態は、OFDM変復調方式のように、送受信装置間で変復調処理にかかる周波数の同期を要し、データの伝送において有意なデータを含む部分(OFDM変復調方式の場合、有効シンボル)の長さを変化させることが困難である場合に有用である。
本実施形態では、オーディオデータを送信する場合を例に説明した。しかし、本発明はこれに限定されるわけではなく、映像データ(オーディオデータを伴う場合も含む)や様々な計測データ等、定時性が要求されるストリーミングデータの伝送に広く応用することが可能である。
また、以上、実施形態4および5においては、マルチスピーカコントローラ1710、ネットワークアダプタ1721〜1725はデイジーチェーン形式にてケーブルで接続されているものとして、説明してきた。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、マルチスピーカコントローラ1710とネットワークアダプタ1721〜1725は図27に示すようにバス形式で接続されていてもよい。この場合、ネットワークアダプタ1721〜1725における当該ネットワークアダプタの下流に接続されたネットワークアダプタへの送信処理は不要となる。また、出力部2204、2504によるネットワークアダプタによるデータ到達時間差の補正処理も不要となる。
以上のように、上記説明では、送信装置と受信装置とを備える通信システムであって、前記送信装置は、複数の入力周期で入力されるデータを受信する。そして、各々が、前記入力周期に応じて長さが変化する可変長部と、前記入力周期の一周期分またはn周期分もしくはn分の一周期分(nは正の整数)のデータを含む固定長部とからなり、各々前記入力周期の一周期またはn周期もしくはn分の一周期と等しい周期を有する連続するフレームを生成し、送信する。前記受信装置は、送信された前記連続するフレームを受信し、受信したフレームの周期を検出する。そして、検出したフレームの周期に基づいて、前記複数の入力周期で入力されるデータを再生させる。
また、前記可変長部は、前記通信装置と他の通信装置間で動作クロックまたは前記データの変復調処理にかかる周波数の同期を取るための信号からなる。
また、前記固定長部は、前記通信装置と他の通信装置間で動作クロックまたは前記データの変復調処理にかかる周波数の同期を取るための信号を含む。
また、前記可変長部は、前記複数の入力周期で入力されるデータの伝送において、有意のデータからなる信号を含まない。
また、前記固定長部が含むデータは、直交周波数分割多重方式で変調されている。
また、前記可変長部は、前記固定長部が含む前記入力周期の一周期分またはn周期分もしくはn分の一周期分(nは正の整数)のデータを直交周波数分割多重方式で変調して得られた有効シンボルまたはガードインターバルに隣接して配置されている。そして、(i)前記可変長部と前記有効シンボルからなる信号の前記有効シンボルと等しい長さの区間において、前記入力周期の一周期分またはn周期分もしくはn分の一周期分のデータを分割した副搬送波間の直交性が保持される信号である。または(ii)前記可変長部と前記ガードインターバルからなる信号の前記有効シンボルと等しい長さの区間において、前記入力周期の一周期分またはn周期分もしくはn分の一周期分のデータを分割した副搬送波間の直交性が保持される信号である。または(iii)前記可変長部と前記ガードインターバルと前記有効シンボルからなる信号の前記有効シンボルと等しい長さの区間において、前記入力周期の一周期分またはn周期分もしくはn分の一周期分のデータを分割した副搬送波間の直交性が保持される信号である。
また、前記複数の入力周期で入力されるデータはストリーミングデータである、このとき、前記入力周期は、前記ストリーミングデータのサンプリング周期またはそのm倍もしくはm分の一(mは正の整数)と等しい。