近年、セルラーシステムとして、LTE(Long Term Evolution)システムが提案されている。LTEシステムでは、無線アクセス方式として、上り方向には、SC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)方式が採用され、下り方向には、OFDMA(Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)方式が採用されている。
OFDMA方式は、周波数の直交性を利用して、無線資源を複数の周波数帯に分割し、分割された周波数帯の搬送波(サブキャリアと呼ばれる)にデータを多重化して送信するデジタル変復調方式である。このOFDMA方式では、フェージングやマルチパス干渉に対する耐性が強いと言われている。
一方、SC−FDMA方式は、OFDMA方式と類似しているが、以下の点でOFDMA方式と異なる。OFDMA方式では、分割された各周波数帯が各ユーザに割り当てられたが、SC−FDMA方式では、無線資源が周波数帯および時間成分に分割され、その分割された無線資源がユーザに割り当てられる。さらに、SC−FDMA方式では、ユーザに割り当てられる周波数帯がOFDMA方式より長くなっている。これにより、SC−FDMA方式では、OFDMA方式と比較して、電力効率の改善が見込まれる。
また、LTEシステムにおける無線基地局は、自基地局が管理するセルを特定するためのセル識別情報を含むパイロット信号を送信している。移動端末は、このパイロット信号を受信することで、自端末が存在しているセルを特定することや、ハンドオーバを行うことができる。なお、ハンドオーバとは、移動端末が通信する基地局を切り替えることである。
図1は、ハンドオーバ時のセルラーシステムの動作を説明するためのシーケンス図である。以下では、移動端末の移動前のセルを管理する無線基地局を移動元無線基地局と称し、移動端末の移動後のセルを管理する無線基地局を移動先無線基地局と呼ぶ。
ステップ0:移動元無線基地局は、自基地局のセル内の移動端末に関するコンテキスト情報(UE context)を格納する。コンテキスト情報は、移動端末がアクセスできない無線基地局に関する情報であるローミング制限情報を含む。ローミング制限情報は、移動端末および移動元無線基地局間のRRC接続(RRC Connection)の確立時、または、タイミングアドバンス(Timing Advance)の更新時に移動端末から移動元無線基地局に提供される。なお、タイミングアドバンスとは、移動端末による上り信号の送信タイミングを制御するための情報である。
ステップ1:移動元無線基地局は、ステップ0で格納したコンテキスト情報を利用して、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を測定するセルを選択する。移動元無線基地局は、その選択したセルにおける受信信号強度を測定する旨の測定制御情報(Measurement Control)を移動端末に送信する。
ステップ2:移動端末は、測定制御情報を受信すると、その選択された各セルにおける受信信号強度を測定する。具体的には、移動端末は、その選択された各セルを管理する無線基地局からのパイロット信号を受信し、そのパイロット信号に基づいてそのセルの受信信号強度を測定する。移動端末は、その受信信号強度が予め設定された閾値以上になると、受信信号強度が閾値target以上になった旨の測定レポートを移動元無線基地局へ送信する。
ステップ3:移動元無線基地局は、測定レポートを受信すると、ハンドオーバ処理を開始する。
ステップ4:移動元無線基地局は、移動先無線基地局に、ハンドオーバを行う旨のハンドオーバ要求(Handover Request)メッセージを送信する。
ハンドオーバ要求メッセージは、X2インターフェースに関する情報と、S1インターフェースに関する情報と、SAE(System Architecture Evolution)ベアラに関する情報と、RRCの設定を示す情報とを含む。なお、X2インターフェースとは、無線基地局間を相互に接続するためのインターフェースであり、S1インターフェースは、無線基地局とEPC(Enhanced Packet Core)とを相互に接続するためのインターフェースである。また、SAEベアラに関する情報には、Qos情報が含まれている。
移動先無線基地局は、X2インターフェースに関する情報から、移動元無線基地局のトランスポートレイヤアドレス(Transport Layer Address)を取り出す。また、移動先無線基地局は、S1インターフェースに関する情報からEPCのトランスポートレイアアドレスを取り出す。
ステップ5:移動先無線基地局は、ハンドオーバ要求メッセージに含まれるQos情報を利用して、移動端末を受け付けるための受付制御を行う。また、移動先無線基地局は、C−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)および専用ランダムアクセスプリアンブル(Dedicated Random Access Preamble)の予約と、専用ランダムアクセスプリアンブルの有効期間とを決定する。さらに、移動先無線基地局は、トランスペアレントコンテナ(Transparent Container)を生成する。
ステップ6:移動先無線基地局は、ハンドオーバ要求メッセージを承認する承認応答(Handover Request Acknowledge)を移動元無線基地局に送信する。この承認応答には、移動端末へのトランスペアレントコンテナが含まれる。
ステップ7:移動元無線基地局は、承認応答を受信すると、移動端末に、ハンドオーバを行う旨のハンドオーバコマンド(RRC Handover Command)を送信する。ハンドオーバコマンドには、移動先無線基地局からのトランスペアレントコンテナを含む。
ステップ8:移動端末は、ハンドオーバコマンドを受信すると、無線フレーム単位で移動先無線基地局と同期を取る。移動端末は、専用ランダムアクセスプリアンブルが割り当てられたときには、ランダムアクセスに基づく非衝突プロシジャー(Non-contention Based Random Access Procedure)を実行する。一方、移動端末は、専用ランダムアクセスプリアンブルが割り当てられていないとき(例えば、移動先無線基地局にて専用ランダムアクセスプリアンブルが全て使用されているとき)には、ランダムアクセスに基づく衝突プロシジャー(Contention Based Random Access Procedure)を実行する。
ステップ9:移動先無線基地局は、RACH(Random Access Channel)によるUL(Up Link)−SCH(Synchronization Channel)での移動端末間の干渉を防ぐためのトークンフレームTaを移動端末に送信する。また、移動先無線基地局は、割り当てたUL−SCHのリソースを移動端末に通知する。
ステップ10:移動端末は、割り当てられたUL−SCHのリソースを受信すると、そのUL−SCHのリソースを利用して、移動先無線基地局に対してハンドオーバを承認する旨の承認情報(Handover Confirm)を送信する。移動先無線基地局は、その承認情報に含まれるC−RNTIと、ステップ6で移動元無線基地局に送信したC−RNTIとを照合する。これにより、移動先無線基地局は、リソース割り当てを行った移動端末とハンドオーバが完了したことを確認する。この時点で、移動先無線基地局は、移動端末にデータ送信を開始する。
ステップ11:移動先無線基地局は、MME(Mobility Management Entity)に、移動端末がセルを移動したことを通知するためのパススイッチ(Path Switch)メッセージを送信する。
ステップ12:MMEは、パススイッチメッセージを受信すると、ユーザプレーン更新要求(User Plane Update Request)メッセージをS−GW(Serving Gateway)に送信する。
ステップ13:S−GWは、ユーザプレーン更新要求を受信すると、下りリンクのパスを移動先無線基地局へ切り替える。そして、S−GWは、移動元無線基地局に関するU−Plane/TNLリソースを解放する。
ステップ14:S−GWは、ユーザプレーン更新要求に対する応答(User Plane Update Response)メッセージをMMEに送信する。
ステップ15:MMEは、応答メッセージを受信すると、移動先無線基地局にパススイッチ承認応答(Path Switch Ack)メッセージを送信する。
ステップ16:移動先無線基地局は、パススイッチ承認応答メッセージを受信すると、リソースの解放する旨の解放要請(Release Resource)を移動元無線基地局に送信することで、移動元無線基地局にハンドオーバが成功した旨を通知する。
ステップ17:移動元無線基地局は、解放要請を受信すると、リソースを解放する。これにより、ハンドオーバが完了する。
また、現在、LTEシステムは、パイロット信号の連続的な送信を行っている。なお、パイロット信号の連続的な送信とは、パイロット信号が完全に連続して送信されているのではなく、非常に大きな送信頻度でパイロット信号の送信が行われていることを表す。以下、連続的な送信を、常時送信と称する。
パイロット信号の常時送信が行われると、パイロット信号の送信にかかる送信電力が大きくなるので、無線基地局が消費する消費電力も大きくなる。このことは、セルラーシステムの運用上の大きなコスト要因になっている。このため、パイロット信号の送信電力を抑制して、無線基地局の消費電力を抑制する技術が望まれている。
特許文献1には、パイロット信号の送信電力を抑制することが可能なパイロットチャネル送信方法が記載されている。このパイロットチャネル送信方法では、パイロット信号の間欠的な送信が行われている。なお、パイロット信号の間欠的な送信とは、常時送信に比べて、パイロット信号の送信頻度が低いことを表す。以下、間欠的な送信を間欠送信と称する。
図2は、常時送信時および間欠送信時における、パイロット信号の送信電力と無線基地局の消費電力とを示した説明図である。
送信電力1は、連続送信時におけるパイロット信号の送信電力の時間変化を示し、送信電力2は、間欠送信時におけるパイロット信号の送信電力の時間変化を示す。また、消費電力3は、連続送信時における無線基地局の消費電力の時間変化を示す、消費電力4は、間欠送信時における無線基地局の消費電力の時間変化を示す。
送信電力1は、パイロット信号の連続送信が行われているため、常に高い値となる。送信電力2は、パイロット信号の間欠送信が行われているため、パイロット信号の送信にかかる送信時間では、高い値となるが、パイロット信号の送信間隔では、ゼロになる。このため、送信電力2の積分値は、送信電力1の積分値に比べて小さくなる。したがって、消費電力4の積分値は、消費電力3の積分値に比べて小さくなる。なお、パイロット信号の送信間隔でも無線基地局は停止しているわけではないので、送信間隔においても消費電力4はゼロにならない。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図3は、本発明の第一の実施形態の基地局制御モジュールの構成を示したブロック図である。図3において、基地局制御モジュール10は、判断部101と、制御部102とを含む。基地局制御モジュール10は、パイロット信号を送信する無線基地局10aに含まれ、その無線基地局10aを制御する。なお、この無線基地局10aが送信するパイロット信号は、自セルパイロット信号の一例である。
判断部101は、無線基地局10aが管理するセル内に移動端末が存在するか否かを判断する。例えば、無線基地局10aが移動端末からの上り信号を受信すると、そのセル内に移動端末が存在すると判断し、無線基地局10aが、一定時間、上り方向の信号を受信しないと、そのセル内に移動端末が存在しないと判断する。
制御部102は、判断部101にて移動端末が存在すると判断されると、無線基地局10aにパイロット信号を送信する送信頻度として第一送信頻度を設定する。また、制御部102は、判断部101にて移動端末が存在しないと判断されると、無線基地局10aにその送信頻度として第一送信頻度より低い第二送信頻度を設定する。
なお、無線基地局10aは、その設定された送信頻度でパイロット信号を送信する。
次に動作を説明する。
図4は、基地局制御モジュール10の動作例を説明するためのフローチャートである。
先ず、判断部101は、定期的に、無線基地局10aが管理するセル内に移動端末が存在するか否かを判断する。例えば、判断部101は、一定時間中に、無線基地局10aが移動端末からの上り方向の信号を受信したか否かを確認する。そして、判断部101は、無線基地局10aがその上り方向の信号を受信していると、そのセル内に移動端末が存在すると判断し、無線基地局10aがその上り方向の信号を受信していないと、そのセル内に移動端末が存在しないと判断する(ステップ201)。
続いて、判断部101は、その判断結果を示す内部レポートを制御部102に送信する。制御部102は、内部レポートを受信すると、その内部レポートが移動端末は存在していることを示すと、無線基地局10aにパイロット信号の送信頻度として第一送信頻度を設定し、その内部レポートが移動端末は存在していないことを示すと、無線基地局10aにパイロット信号の送信頻度として第二送信頻度を設定する(ステップ202)。
次に効果を説明する。
本実施形態では、判断部101は、無線基地局10aが管理するセル内に移動端末が存在するか否かを判断する。制御部102は、判断部101にて移動端末が存在すると判断されると、無線基地局10aにパイロット信号の送信頻度として第一送信頻度を設定し、判断部101にて移動端末が存在しないと判断されると、無線基地局10aにパイロット信号の送信頻度として第一送信頻度より低い第二送信頻度を設定する。
この場合、無線基地局10aのセル内に移動端末が存在すると、パイロット信号の送信頻度が高くなり、無線基地局10aのセル内の移動端末が存在しないと、パイロット信号の送信頻度が低くなる。したがって、送信頻度が高いほど無線基地局10aの消費電力が高くなるので、無線基地局10aのセル内に移動端末が存在しないときには、無線基地局10aの消費電力を抑制することが可能になる。また、無線基地局10aのセル内の移動端末が存在するときには、その移動端末にパイロット信号が高い頻度で送信されるので、移動端末によるセルの特定にかかる時間を短縮することが可能になる。よって、無線基地局の消費電力の抑制と、移動端末によるセルの特定にかかる時間の短縮とを両立することが可能になる。
次に第二の実施形態について説明する。
本実施形態では、基地局には、動作モードとして、パイロット信号を第一送信頻度で送信する通常モードと、パイロット信号を第二送信頻度で送信する省電力モードとがある。
図5は、本実施形態における基地局の動作モードの遷移の様子を示した説明図である。図5で示したように、動作モードとして通常モードが設定されているときに、自セル内に移動端末が存在しなくなると、動作モードが通常モードから省電力モードに遷移する。また、動作モードとして省電力モードが設定されているときに、自セル内に通信中の移動端末が生じるか、または、移動端末がハンドオーバしてくる前に、動作モードが省電力モードから通常モードに遷移する。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
図6は、本実施形態のセルラーシステムを示したブロック図である。なお、本実施形態では、セルラーシステムとして、LTEシステムが適用されている。
図6において、セルラーシステムは、無線基地局11と、移動端末12とを含む。無線基地局11は、移動端末12と互いに無線にて通信可能である。また、無線基地局11は、コアネットワーク13を介して隣接無線基地局14と互いに通信可能である。また、無線基地局11が管理するセルと、隣接無線基地局14が管理するセルとは、互いに隣接する。以下、無線基地局11が管理するセルを自セルと称し、隣接無線基地局14が管理するセルを隣接セルと称する。
図7は、移動端末12の構成例を示したブロック図である。図7において、移動端末12は、格納部121と、端末通信部122と、測定部123と、管理部124とを含む。
格納部121は、通信中の無線基地局11が管理する自セルを特定するセル識別情報を格納する。
端末通信部122は、無線基地局11および隣接無線基地局14のそれぞれが送信したパイロット信号を受信する。パイロット信号には、そのパイロット信号を送信した無線基地局のセルを特定するセル識別情報を含む。
測定部123は、パイロット信号内のセル識別情報が格納部121に格納されたセル識別情報と異なっていると、そのパイロット信号を隣接無線基地局14から送信された隣接パイロット信号と判断する。一方、測定部123は、パイロット信号内のセル識別情報が格納部121に格納されたセル識別情報と同じであると、そのパイロット信号を無線基地局11から送信された自パイロット信号と判断する。なお、自パイロット信号は、自セルパイロット信号の一例である。
また、測定部123は、隣接パイロット信号および自パイロット信号の受信信号強度を測定する。
測定部123は、その隣接パイロット信号の受信信号強度が予め設定された閾値a_target以上か否かを判断する。また、測定部123は、その隣接パイロット信号の受信信号強度が予め設定された閾値b_target以上か否かを判断する。さらに、測定部123は、その自パイロット信号の受信信号強度が予め設定された閾値c_source以下か否かを判断する。
閾値b_targetは、閾値a_target未満である。なお、閾値a_targetは、第一閾値の一例であり、閾値b_targetは、第二閾値の一例である。また、閾値c_sourceは、第三閾値の一例である。
測定部123にて隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値a_target以上であると判断された場合、管理部124は、隣接パイロットの受信信号強度が閾値a_target以上となった旨の測定レポートabove_aを無線基地局11に送信する。測定レポートabove_aは、第一測定レポートの一例である。また、測定レポートabove_aは、受信信号強度が閾値a_target以上となった隣接パイロット信号内のセル識別情報を含む。
また、測定部123にて隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値b_target以上である判断された場合、管理部124は、隣接パイロットの受信信号強度が閾値b_target以上となった旨の測定レポートabove_bを無線基地局11に送信する。測定レポートabove_bは、第二測定レポートの一例である。また、測定レポートabove_bは、受信信号強度が閾値b_target以上となった隣接パイロット信号内のセル識別情報を含む。
さらに、測定部123にて自パイロット信号の受信信号強度が閾値c_source以下である判断された場合、管理部124は、自パイロット信号の受信信号強度が閾値c_source以下になった旨の測定レポートbelow_cを無線基地局11に送信する。なお、測定レポートbelow_cは、第三測定レポートの一例である。
図8は、無線基地局11の構成例を示したブロック図である。また、図8において、図1で示したものと同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その機能の説明を省略することがある。
図8において、無線基地局11は、無線通信部111と、送信部112と、記憶部113と、ネットワーク通信部114と、判断部115と、制御部116とを含む。また、無線通信部111、記憶部113、判断部115および制御部116は、無線基地局11を制御する基地局制御モジュールを構成する。
無線通信部111は、通信手段の一例である。無線通信部111は、自セル内に存在する移動端末から、測定レポートabove_a、above_bおよびbelow_cを受信する。
送信部112には、動作モードとして通常モードおよび省電力モードのどちらかが設定される。送信部112は、通常モードが設定されている場合には、パイロット信号を第一送信頻度で送信し、省電力モードが設定されている場合には、パイロット信号を第二送信頻度で送信する。
記憶部113は、隣接セルリストと、自セル情報とを記憶する。隣接セルリストでは、自基地局に隣接する隣接無線基地局14のアドレスが、その隣接無線基地局14が管理するセルを特定するセル識別情報ごとに対応付けられている。自セル情報は、自基地局のアドレスと、自セルを特定するセル識別情報とを含む。
ネットワーク通信部114は、隣接無線基地局14から、動作モードを通常モードに設定する旨のモード遷移要求と、モード遷移要求に応じた動作モードの設定が完了した旨のモード遷移完了報告と、を受信する。なお、モード遷移要求を、パイロット信号を送信する頻度を第一送信頻度に設定する旨の頻度変更要求の一例として用いている。
判断部115は、自セル内に移動端末が存在するか否かを判断する。
制御部116は、無線基地局11および隣接無線基地局14によるパイロット信号の送信頻度を制御する。具体的には、制御部116は、以下の処理を行う。
無線通信部111が測定レポートabove_aを受信した場合、制御部116は、測定レポートabove_a内のセル識別情報にて特定されるセルを管理する隣接無線基地局14への、移動端末12のハンドオーバを行う。
また、無線通信部111が測定レポートabove_bを受信した場合、制御部116は、モード遷移要求を、その測定レポートabove_b内のセル識別情報にて特定されるセルを管理する隣接無線基地局14に送信する。
図9は、モード遷移要求の一例を示した説明図である。図9において、モード遷移要求301は、移動先無線基地局のアドレス302と、移動先セルID303と、移動元無線基地局のアドレス304と、移動元セルID305と、モード遷移要求情報306とを含む。なお、移動先無線基地局は、モード遷移要求の送信先となる隣接無線基地局14であり、移動元無線基地局は、モード遷移要求の送信元となる無線基地局11である。また、移動先セルは、移動先無線基地局が管理するセルであり、移動元セルは、移動元無線基地局が管理するセルである。
移動先無線基地局のアドレス302は、移動先無線基地局を特定する基地局識別情報である。移動先セルID303は、移動先セルを特定するセル識別情報である。移動元無線基地局のアドレス304は、移動元無線基地局を特定する基地局識別情報である。移動元セルID305は、移動元セルを特定するセル識別情報である。モード遷移要求情報306は、本情報(モード遷移要求)がモード遷移要求であることを示す。
図8に戻る。無線通信部111が測定レポートbelow_cを受信した場合、制御部116は、モード遷移要求を、隣接無線基地局14の全てに送信する。
また、ネットワーク通信部114がモード遷移要求を受信した場合、制御部116は、送信部112に動作モードとして通常モードを設定し、かつ、タイマを起動する。そして、制御部116は、モード遷移完了報告を、そのモード遷移要求を送信した隣接無線基地局14に送信する。
図10は、モード遷移完了報告の一例を示した説明図である。図10において、モード遷移完了報告401は、移動先無線基地局のアドレス402と、移動先セルID403と、移動元無線基地局のアドレス404と、移動元セルID405と、モード遷移完了報告情報406と、モード遷移成否情報407とを含む。
移動先無線基地局のアドレス402は、移動先無線基地局を特定する基地局識別情報である。移動先セルID403は、移動先セルを特定するセル識別情報である。移動元無線基地局のアドレス404は、移動元無線基地局を特定する基地局識別情報である。移動元セルID405は、移動元セルを特定するセル識別情報である。モード遷移完了報告情報406は、本情報(モード遷移完了報告)がモード遷移完了報告であることを示す。モード遷移成否情報407は、動作モードの遷移が成功したか否かを示す。
図8に戻る。ネットワーク通信部114がモード遷移完了報告を受信した場合、制御部116は、隣接無線基地局14に動作モードを設定する処理を終了する。なお、制御部116は、そのモード完了報告内のモード遷移成否情報が動作モードの遷移が失敗したことを示すと、モード遷移要求を再送してもよい。
また、制御部116は、判断部115にて移動端末が存在すると判断されると、送信部112に通常モードを設定する。さらに、制御部116は、判断部115にて移動端末が存在しないと判断されると、送信部112に省電力モードを設定する。しかしながら、制御部116は、タイマが満了する前に判断部115にて移動端末が存在しないと判断されても、送信部112に省電力モードを設定しない。
ここで、タイマが起動されてから満了するまでの時間は、移動端末のハンドオーバに要する時間に応じて定める。例えば、所定の時間は、そのハンドオーバに要する時間より長くする。
次に動作を説明する。
背景技術のように閾値b_targetおよびc_sourceが設定されずにパイロット信号が間欠的に送信される場合、移動端末のハンドオーバが行われる前に呼損が生じる場合がある。図11は、呼損が生じる状況を説明するための説明図である。なお、図11では、横軸は時間を示し、縦軸は受信信号強度を示す。
図11において、隣接パイロット信号が間欠的に送信されているため、隣接パイロット信号の受信信号強度501がゼロとなる間欠時間が存在する。
図11では、受信信号強度501が閾値target以上になる時刻αより前の間欠時間中に、自パイロット信号の受信信号強度502が0または0付近となっている。このような状況が生じると、第一測定レポートが送信される前に呼損が生じる。したがって、ハンドオーバに失敗することとなる。
本実施形態では、以下の処理が行わるため、呼損を抑制することが可能になる。なお、隣接無線基地局14には、省電力モードが設定されているとする。また、自パイロット信号の受信信号強度の落ち込みが緩やかな場合と激しい場合とに分けて説明する。
先ず、自パイロット信号の受信信号強度の落ち込みが緩やかな場合について説明する。図12は、この場合における、本実施形態のLTEシステムの動作例を説明するための説明図である。なお、図12において、横軸は時間を示し、縦軸は受信信号強度を示す。
この場合、移動端末12は、自パイロット信号の受信信号強度がゼロまたはゼロ付近になる前の隣接パイロット信号内のセル識別情報を用いて、移動先無線基地局を特定することができる。
具体的には、時刻aで、隣接パイロット信号の受信信号強度601が閾値b_target以上になったとすると、移動端末12は、無線基地局11に測定レポートabove_bを送信する。なお、閾値b_targetは、上述したように閾値a_target未満であるので、移動端末12は、測定レポートabove_aを送信する前、つまり、ハンドオーバ処理を開始する前に、測定レポートabove_bを送信することになる。
時刻bで、無線基地局11は、測定レポートabove_bを受信し、その測定レポートabove_b内のセル識別情報に対応する隣接無線基地局に、モード遷移要求を、移動先無線基地局に送信する。
そして、時刻cで、移動先無線基地局である隣接無線基地局14は、モード遷移要求を受信し、自基地局に通常モードを設定する。そして、その隣接無線基地局14は、モード遷移完了報告を送信する。
したがって、ハンドオーバ処理が開始される前に、移動先無線基地局となる隣接無線基地局14が隣接パイロット信号を送信する頻度が高くなる。よって、呼損が発生する前に、ハンドオーバを行うことが可能になり、呼損を抑制することが可能になる。
次に、自パイロット信号の受信信号強度の落ち込みが激しい場合について説明する。図13は、この場合における、本実施形態のLTEシステムの動作例を説明するための説明図である。なお、図13において、横軸は時間を示し、縦軸は受信信号強度を示す。
隣接パイロット信号の間欠時間中に自パイロット信号の受信信号強度が急激に落ちたとする。この場合、隣接パイロット信号が受信できないので、隣接無線基地局14の中から移動先無線基地局を特定することができない。このため、隣接無線基地局14の全てにモード遷移要求が送信される。
具体的には、時刻Aで、隣接パイロット信号の受信信号強度701がゼロであるときに、自パイロット信号の受信信号強度702が閾値c_source以下になったとすると、移動端末12は、無線基地局11に測定レポートbelow_cを送信する。なお、閾値c_sourceは、ゼロより大きいとする。これは、移動端末12が、呼損が生じる前に測定レポートbelow_cできるようにするためである。
時刻Bで、無線基地局11は、測定レポートbelow_cを受信し、モード遷移要求を、隣接無線基地局14の全てに送信する。
そして、時刻Cで、隣接無線基地局14のそれぞれは、モード遷移要求を受信し、自基地局に通常モードを設定する。そして、隣接無線基地局14のそれぞれは、モード遷移完了報告を送信する。
したがって、ハンドオーバ処理が開始される前に、全ての隣接無線基地局14による隣接パイロット信号の送信頻度が高くなる。よって、呼損が発生する前に、ハンドオーバを行うことが可能になり、呼損を抑制することが可能になる。
次にLTEシステムの動作をより詳細に説明する。
先ず、隣接パイロット信号を受信したときの移動端末12の動作を説明する。図14は、このときの移動端末12の動作例を説明するためのフローチャートである。
先ず、移動端末12の端末通信部122は、パイロット信号を受信すると、そのパイロット信号を測定部123に送信する。測定部123は、パイロット信号を受信すると、そのパイロット信号の受信信号強度を測定する(ステップ901)。
続いて、測定部123は、そのパイロット信号内のセル識別情報と、格納部121内のセル識別情報とが同じか否かを判断する。今、パイロット信号は隣接パイロット信号なので、測定部123は、それらのセル識別情報は異なると判断し、そのパイロット信号が隣接パイロット信号であると特定する。そして、測定部123は、その測定した受信信号強度が閾値b_target以上か否かを判断する(ステップ902)。
受信信号強度が閾値b_target以上の場合(ステップ902でYes)、測定部123は、受信信号強度が閾値b_target以上である旨と、隣接パイロット信号内のセル識別情報とを管理部124に送信する。
管理部124は、その旨およびセル識別情報を受信すると、そのセル識別情報を含む測定レポートabove_bを生成する。管理部124は、その生成した測定レポートabove_bを、端末通信部122を介して無線基地局11に送信する(ステップ903)。
一方、受信信号強度が閾値b_target未満の場合(ステップ902でNo)、測定部123は、処理を終了する(ステップ904)。
次に、自パイロット信号を受信したときの移動端末12の動作を説明する。図15、このときの移動端末12の動作例を説明するためのフローチャートである。
先ず、移動端末12の端末通信部122は、パイロット信号を受信すると、そのパイロット信号を測定部123に送信する。測定部123は、パイロット信号を受信すると、そのパイロット信号の受信信号強度を測定する(ステップ1001)。
続いて、測定部123は、そのパイロット信号内のセル識別情報と、格納部121内のセル識別情報とが同じか否かを判断する。今パイロット信号は自パイロット信号なので、測定部123は、それらのセル識別情報は同じであると判断し、そのパイロット信号が自パイロット信号であると特定する。そして、測定部123は、その測定した受信信号強度が閾値c_source以下か否かを判断する(ステップ1002)。
受信信号強度が閾値c_source以下の場合(ステップ1002でYes)、測定部123は、受信信号強度が閾値c_source以下である旨を管理部124に送信する。
管理部124は、その旨を受信すると、測定レポートbelow_cを生成する。管理部124は、その生成した測定レポートbelow_cを、端末通信部122を介して無線基地局11に送信する(ステップ1003)。
一方、受信信号強度が閾値c_source以上の場合(ステップ1002でNo)、測定部123は、処理を終了する(ステップ1004)。
次に、無線基地局11が測定レポートabove_bを受信したときの、無線基地局11および隣接無線基地局14の動作を説明する。図16は、この動作例を説明するためのシーケンス図である。
無線基地局11の無線通信部111は、測定レポートabove_bを受信すると、その測定レポートabove_bを制御部116に送信する(ステップ1101)。
制御部116は、測定レポートabove_bを受信すると、その測定レポートabove_b内のセル識別情報に対応する隣接無線基地局14のアドレスと、自セル情報とを記憶部113から取得する。制御部116は、そのセル識別情報、アドレスおよび自セル情報を含むモード遷移要求を生成する。制御部116は、そのモード遷移要求を、ネットワーク通信部114およびコアネットワーク13を介して、そのアドレスにて特定される隣接無線基地局14に送信する(ステップ1102)。
隣接無線基地局14のネットワーク通信部114は、モード遷移要求を受信すると、そのモード遷移要求を制御部116に送信する。制御部116は、モード遷移要求を受信すると、送信部112に通常モードを設定する。例えば、制御部116は、送信部112に省電力モードが設定されている場合、その省電力モードを通常モードに遷移させ、送信部112に通常モードが設定されている場合、動作モードの遷移を行わずに通常モードのままとする。
そして、制御部116は、モード遷移完了報告を生成し、そのモード遷移完了報告を、ネットワーク通信部114およびコアネットワーク13を介して、無線基地局11に送信する。無線基地局11のネットワーク通信部114は、モード遷移完了報告を受信すると、そのモード遷移完了報告を制御部116に送信する。制御部116は、モード遷移完了報告を受信すると、処理を終了する。(ステップ1103)。
次に、無線基地局11が測定レポートbelow_cを受信したときの、無線基地局11および隣接無線基地局14の動作を説明する。図17は、この動作例を説明するためのシーケンス図である。
無線基地局11の無線通信部111は、測定レポートbelow_cを受信すると、その測定レポートbelow_cを制御部116に送信する(ステップ1201)。
制御部116は、測定レポートbelow_cを受信すると、隣接セルリストおよび自セル情報を記憶部113から取得する。制御部116は、隣接セルリスト内のセル識別情報ごとに、そのセル識別情報、そのセル識別情報に対応するアドレスおよび自セル情報を含むモード遷移要求を生成する。制御部116は、それらのモード遷移要求のそれぞれを、ネットワーク通信部114およびコアネットワーク13を介して、そのモード遷移要求内のアドレスにて特定される隣接無線基地局14に送信する(ステップ1202)。
隣接無線基地局14のネットワーク通信部114は、モード遷移要求を受信すると、そのモード遷移要求を制御部116に送信する。制御部116は、モード遷移要求を受信すると、送信部112に通常モードを設定する。例えば、制御部116は、送信部112に省電力モードが設定されている場合、その省電力モードを通常モードに遷移させ、送信部112に通常モードが設定されている場合、動作モードの遷移を行わずに通常モードのままとする。
そして、制御部116は、モード遷移完了報告を生成し、そのモード遷移完了報告を、ネットワーク通信部114およびコアネットワーク13を介して、無線基地局11に送信する。無線基地局11のネットワーク通信部114は、モード遷移完了報告を受信すると、そのモード遷移完了報告を制御部116に送信する。制御部116は、モード遷移完了報告を受信すると、処理を終了する。(ステップ1203)。
次に、通常モードから省電力モードに遷移させる無線基地局11の動作を説明する。図18は、この動作例を説明するためのフローチャートである。
無線基地局11の制御部116は、図16のステップ1102または図17のステップ1203で動作モードを通常モードに遷移させると(ステップ1401)、タイマを起動する(ステップ1402)。
その後、所定時間が経過すると、制御部116のタイマが満了する(ステップ1403)。制御部116は、タイマが満了すると、動作命令を判断部115に送信する。判断部115は、動作命令を受信すると、自セル内に移動端末が存在するか否かを判断する(ステップ1404)。
自セル内に移動端末が存在しない場合(ステップ1404でNo)、判断部115は、自セル内に移動端末が存在しないことを示す内部レポートを生成し、その内部レポートを制御部116に通知する。制御部116は、その内部レポートを受信すると、送信部112に設定されている動作モードを通常モードから省電力モードに遷移させて(ステップ1405)、処理を終了する。
一方、自セル内に移動端末が存在する場合(ステップ1404でYes)、判断部115は、内部レポートの送信を行わずに処理を終了する。
次に効果を説明する。
本実施形態では、無線通信部111は、隣接無線基地局14が送信した隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値a_target以上になった旨の測定レポートabove_aと、隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値a_target未満の閾値b_target以上になった旨の測定レポートabove_bと、を受信する。制御部116は、無線通信部111が測定レポートabove_aを受信した場合、その隣接無線基地局14への移動端末12のハンドオーバを行う。また、制御部116は、無線通信部111が測定レポートabove_bを受信した場合、動作モードを通常モードに設定する旨のモード遷移要求をその隣接無線基地局14に送信する。なお、モード遷移要求は、パイロット信号を送信する頻度を第一送信頻度に設定する旨の頻度変更要求の一例として用いられている。
この場合、隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値a_target未満の閾値b_target以上になった旨の測定レポートabove_bが受信されると、その隣接パイロット信号を送信した隣接無線基地局14にパイロット信号を送信する頻度として第一送信頻度が設定される。したがって、ハンドオーバが開始される前に、ハンドオーバ先となる隣接無線基地局によるパイロット信号の送信頻度が高くなる。したがって、ハンドオーバが開始される前の呼損の発生を抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、無線通信部111は、パイロット信号が閾値c_source以下になった旨の測定レポートbelow_cを受信する。制御部116は、無線通信部111が測定レポートbelow_cを受信した場合、モード遷移要求を隣接無線基地局14の全てに送信する。
この場合、自パイロット信号の受信信号強度が下がり呼損が生じる前に、全ての隣接無線基地局14によるパイロット信号の送信頻度が高くなる。したがって、ハンドオーバが開始される前の呼損の発生を抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、ネットワーク通信部114がモード遷移要求を受信した場合、制御部116は、送信部112に動作モードとして通常モードを設定し、かつ、タイマを起動する。制御部116は、タイマが満了する前に判断部115にて移動端末が存在しないと判断されても、送信部112に省電力モードを設定しない。
この場合、ハンドオーバが完了する前に無線基地局11が省電力モードに遷移することを抑制することが可能になる。
なお、本実施形態では、例えば、深夜などの特定の時間帯のみ、省電力モードの設定を可能としてもよい。深夜などでは、無線基地局11のセル内に存在する移動端末12が少ないため、無線基地局11に省電力モードに設定されることが多く起こると考えられる。制御部116は、その特定の時間帯になると、移動端末12に、隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値b_target以上になる、または、自パイロット信号の受信信号強度が閾値a_targetになると、測定レポートabove_aまたはbelow_cの送信を送信するように要求する。これにより、移動端末12は、隣接パイロット信号の受信信号強度が閾値b_target以上になる、または、自パイロット信号の受信信号強度が閾値a_targetになると、測定レポートabove_aまたはbelow_cの送信するようになる。
この場合、省電力モードに遷移する可能性が低いときには、動作モードの遷移が行われないので、無線基地局11の負荷を軽減することが可能になる。
次に第三の実施形態について説明する。以下では、第二の実施形態と同じ機能を有するものには、同じ符号を付しその説明を省略することがある。
図19は、本実施形態のセルラーシステムを示したブロック図である。図19において、セルラーシステムは、図6で示した構成に加え、小型無線基地局15ないし18をさらに含む。なお、本実施形態のセルラーシステムは、第二の実施形態と同様にLTEシステムであるとする。
小型無線基地局15ないし18は、フェムトセル(femtocell)と呼ばれる非常に小さい範囲(半径数十m程度)をカバーするセルを管理する。小型無線基地局15ないし18は、家庭用無線基地局(home eNode B)と呼ばれることもある。
無線基地局11は、小型無線基地局15および16と通信され、隣接無線基地局14は、小型無線基地局17および18と通信される。
小型無線基地局15ないし18は、無線基地局11または隣接無線基地局14からパイロット信号を受信すると、そのパイロット信号に自小型無線基地局が管理するフェムトセルを特定するフェムトセル識別情報(Physical Cell ID)を追加する。小型無線基地局15ないし18は、そのフェムトセル識別情報を追加したパイロット信号を送信する。なお、無線基地局11および隣接無線基地局14が管理するセルを特定するセル識別情報は、グローバルセル識別情報(Global Cell ID)と呼ばれる。
移動端末12には、通信可能な小型無線基地局が予め定められている。移動端末12の格納部121は、その通信可能な小型無線基地局が管理するフェムトセルを特定するフェムトセル識別情報のリストをさらに格納する。また、格納部121は、現在、小型無線基地局と通信中の場合、その小型無線基地局が管理するフェムトセルを特定するフェムトセル識別情報を通信中フェムトセル識別情報として格納する。
次に動作を説明する。
図20は、本実施形態の移動端末12の動作例を説明するためのフローチャートである。以下では、移動端末12が隣接パイロット信号として小型無線基地局が送信したパイロット信号を受信した場合について説明する。
移動端末12の端末通信部122は、パイロット信号を受信する(ステップ1501)と、そのパイロット信号を測定部123に送信する。
測定部123は、パイロット信号を受信すると、そのパイロット信号内のグローバル識別情報および通信中フェムトセル識別情報とが、格納部121内のグローバルセル識別情報およびとフェムトセル識別情報とが同じか否かを判断する。今、パイロット信号は隣接パイロット信号なので、測定部123は、それらのセル識別情報は異なると判断し、そのパイロット信号が隣接パイロット信号であると特定する。そして、測定部123は、その測定した受信信号強度が閾値b_target以上か否かを判断する(ステップ1502)。
受信信号強度が閾値b_target以上の場合(ステップ1502でYES)、測定部123は、そのフェムトセル識別情報が格納部121内のフェムトセル識別情報のリストに含まれているか否かを判断する(ステップ1503)。
フェムトセル識別情報がそのリストに含まれている場合(ステップ1503でYES)、測定部123は、そのパイロット信号からグローバルセル識別情報を取得し、そのグローバルセル識別情報と、受信信号強度が閾値b_target以上である旨と、管理部124に送信する。管理部124は、その旨およびグローバル識別情報を受信すると、そのグローバル識別情報を含む測定レポートabove_bを生成する。管理部124は、その生成した測定レポートabove_bを、端末通信部122を介して無線基地局11に送信する(ステップ1504)。
なお、受信信号強度が閾値b_target未満の場合(ステップ1502でNo)およびフェムトセル識別情報がそのリストに含まれていない場合(ステップ1503でNo)、測定部123は、処理を終了する(ステップ1505)。
本実施形態では、セルラーシステム内に小型無線基地局が存在する場合でも、移動端末のハンドオーバが行われる前における呼損の発生を抑制することが可能になる。
次に第四の実施形態について説明する。以下では、第二の実施形態と異なる機能について説明する。
図21は、本実施形態のセルラーシステムを示したブロック図である。なお、本実施形態では、セルラーシステムとして、第3世代移動通信システムが適用されている。
図21において、セルラーシステムは、移動端末12と、無線基地局19と、無線制御装置(RNC:Radio Network Controller)20とを含む。なお、無線基地局19の数は、図21では、2つだけだが、実際には、複数であればよい。
移動端末12は、測定レポートabove_aおよびabove_bを、通信中の無線基地局19を介して無線制御装置20に送信する。
図22は、無線制御装置20の構成例を示したブロック図である。
無線制御装置20は、対基地局通信部211と、制御装置記憶部212と、判断部213と、制御部214とを含む。また、対基地局通信部211、制御装置記憶部212、判断部213および制御部214は、無線基地局19を制御する基地局制御モジュールを構成する。
対基地局通信部211は、通信手段の一例である。対基地局通信部211は、移動端末12から、測定レポートabove_aおよびabove_bを受信する。また、対基地局通信部211は、無線基地局19から、モード遷移完了報告を受信する。
制御装置記憶部212は、基地局情報を記憶する。基地局情報では、配下の無線基地局19のアドレスが、無線基地局19が管理するセル識別情報ごとに対応付けられている。
判断部213は、配下の無線基地局19が管理するセル内に移動端末がいるか否かを判断する。
制御部214は、無線基地局19によるパイロット信号の送信頻度を制御する。具体的には、制御部214は、以下の処理を行う。
対基地局通信部211が測定レポートabove_aを受信した場合、制御部214は、測定レポートabove_a内のセル識別情報にて特定されるセルを管理する無線基地局19への、移動端末12のハンドオーバを行う。
また、対基地局通信部211が測定レポートabove_bを受信した場合、制御部214は、モード遷移要求を配下の無線基地局19に送信する。
図23は、モード遷移要求の一例を示した説明図である。図23において、モード遷移要求1601は、移動先無線基地局のアドレス1602と、移動先セルID1603と、無線制御装置のアドレス1604と、モード遷移要求情報1605とを含む。
移動先無線基地局のアドレス1602は、移動先無線基地局を特定する基地局識別情報である。移動先セルID1603は、移動先セルを特定するセル識別情報である。無線制御装置のアドレス1604は、無線制御装置を特定する制御装置識別情報である。モード遷移要求情報1605は、本情報(モード遷移要求)がモード遷移要求であることを示す。
図22に戻る。無線基地局19および20は、モード遷移要求を受信すると、動作モードを通常モードに設定し、モード遷移完了報告を無線制御装置20に送信する。
図24は、モード遷移完了報告の一例を示した説明図である。図24において、モード遷移完了報告1701は、無線制御装置のアドレス1702と、移動先無線基地局のアドレス1703と、移動先セルID1704と、モード遷移完了報告情報1705と、モード遷移成否情報1706とを含む。
無線制御装置のアドレス1702は、無線制御装置を特定する制御装置識別情報である。移動先無線基地局のアドレス1703は、移動先無線基地局を特定する基地局識別情報である。移動先セルID1704は、移動先セルを特定するセル識別情報である。モード遷移完了報告情報1705は、本情報(モード遷移完了報告)がモード遷移完了報告であることを示す。モード遷移成否情報1706は、動作モードの遷移が成功したか否かを示す。
図22に戻る。対基地局通信部211がモード遷移完了報告を受信した場合、制御部214は、無線基地局19に動作モードを設定する処理を終了する。
また、制御部214は、判断部213にて移動端末が存在すると判断された場合、配下の無線基地局19に通常モードを設定する。さらに、制御部214は、判断部115にて移動端末が存在しないと判断された場合、配下の無線基地局19に省電力モードを設定する。
次に動作を説明する。
図25は、無線制御装置20が測定レポートabove_bを受信した際の動作を説明するためのシーケンス図である。
無線制御装置20の対基地局通信部211は、測定レポートabove_bを受信すると、その測定レポートabove_bを制御部214に送信する(ステップ1801)。
制御部214は、その測定レポートabove_bを受信すると、基地局情報および自制御装置のアドレスとを制御装置記憶部212から取得する。制御部214は、その基地局情報内のセル識別情報ごとに、そのセル識別情報、そのセル識別情報に対応するアドレスおよび自制御装置のアドレスを含むモード遷移要求を生成する。制御部214は、それらのモード遷移要求のそれぞれを無線基地局19に送信する(ステップ1802)。
無線基地局19のそれぞれは、モード遷移要求を受信すると、自基地局に通常モードを設定する。例えば、無線基地局は、省電力モードが設定されている場合、その省電力モードを通常モードに遷移させ、通常モードが設定されている場合、動作モードの遷移を行わずに通常モードのままとする。
そして、無線基地局19は、モード遷移完了報告を生成し、そのモード完了報告を無線制御装置20に送信する。無線制御装置20の対基地局通信部211は、モード遷移完了報告を受信すると、そのモード遷移完了報告を制御部214に送信する。制御部214は、モード遷移完了報告を受信すると、処理を終了する。(ステップ1803)。
図26は、無線制御装置20が測定レポートbelow_cを受信した際の動作を説明するためのシーケンス図である。
無線制御装置20の対基地局通信部211は、測定レポートbelow_cを受信すると、その測定レポートbelow_cを制御部214に送信する(ステップ1901)。
制御部214は、その測定レポートbelow_cを受信すると、そのセルに隣接する基地局情報および自制御装置のアドレスとを制御装置記憶部212から取得する。制御部214は、その隣接する基地局情報内のセル識別情報ごとに、そのセル識別情報、そのセル識別情報に対応するアドレスおよび自制御装置のアドレスを含むモード遷移要求を生成する。制御部214は、それらのモード遷移要求のそれぞれを無線基地局19に送信する(ステップ1902)。
無線基地局19のそれぞれは、モード遷移要求を受信すると、自基地局に通常モードを設定する。例えば、無線基地局は、省電力モードが設定されている場合、その省電力モードを通常モードに遷移させ、通常モードが設定されている場合、動作モードの遷移を行わずに通常モードのままとする。
そして、無線基地局19は、モード遷移完了報告を生成し、そのモード完了報告を無線制御装置20に送信する。無線制御装置20の対基地局通信部211は、モード遷移完了報告を受信すると、そのモード遷移完了報告を制御部214に送信する。制御部214は、モード遷移完了報告を受信すると、処理を終了する。(ステップ1903)。
次に、移動端末の存在に応じて動作モードを遷移させる際の無線制御装置20の動作を説明する。図27は、この動作例を説明するためのフローチャートである。
判断部213は、定期的に、無線基地局19が管理するセルに移動端末が存在するか否かを無線基地局19ごとに判断する(ステップ2001)。
続いて、判断部213は、その判断結果を示す内部レポートを制御部214に送信する。制御部214は、内部レポートを受信する。内部レポートが移動端末は存在していることを示すと、制御部214は、その移動端末が存在する無線基地局19に通常モードを設定する。一方。制御部214は、その内部レポートが全ての無線基地局19内に移動端末は存在していないことを示すと、全ての無線基地局19に省電力モードを設定する(ステップ2002)。
具体的には、制御部214は、通常モードを設定する場合、モード遷移要求を配下の無線基地局19に送信する。
一方、制御部214は、省電力モードを設定する場合、動作モードを省電力モードに設定する旨の省電力遷移要求を配下の無線基地局19に送信する。なお、省電力遷移要求は、例えば、図23で示したモード遷移要求において、モード遷移要求情報1605を、省電力遷移要求であることを示す情報に置き換えたものである。
無線基地局19は、省電力遷移要求を受信すると、その動作モードとして省電力モードを設定し、その省電力遷移要求に応じた動作モードの設定が完了した旨の省電力遷移完了報告を無線制御装置1502に送信する。なお、省電力遷移完了報告は、例えば、図24で示したモード遷移要求と同じ情報である。
本実施形態によれば、セルラーシステムとして第3世代移動通信システムが適用されている場合でも、無線基地局の消費電力の抑制と、移動端末によるセルの特定にかかる時間の短縮とを両立することが可能になる。さらに、ハンドオーバが開始される前の呼損の発生を抑制することが可能になる。
なお、各実施形態で説明した各装置は、ここで述べた以外にも多数の機能を持つが、同業者によってよく知られており、また本発明とは直接関係しないので、その詳細な機能についての説明は省略する。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されたものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。
この出願は、2008年6月16日に出願された日本出願特願2008−156681号公報を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。