ラビング配向法の問題点を解決するラビングレス配向法として光照射による光配向法が提案、検討されているが、実用上以下のような問題点を抱えている。ポリビニルシンナメート等に代表される高分子側鎖に光反応性基を導入した高分子材料系では、配向の熱安定性が十分ではなく実用性の面ではまだ十分な信頼性が得られてはいない。
また、この場合、液晶の配向を発現させる構造部位が高分子の側鎖部分であると考えられることから、液晶分子をより均一に配向させ、かつ、より強い配向を得る上では必ずしも好ましいとは言えない。
また、低分子の二色性色素を高分子中に分散した場合には、液晶を配向させる色素自体が低分子であり、実用的な観点からみて熱的又は光に対する信頼性の面で課題が残されている。
シクロブタン系ポリイミドの光分解を利用した光配向法は配向の安定性が高く有用な方法であるが、近年、配向の安定性に対する要求がますます高まってきており、従来のシクロブタン系ポリイミド材料では、その要求レベルを満たせなくなってきている。またシクロブタン系ポリイミドは光反応に多量の光量を必要とするため、製造上スループットが低いという問題がある。
本発明の目的は、露光に対する感度の高い配向制御膜を備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。それによって、配向処理の製造マージンが狭いという問題を解決し、初期配向方向の変動による表示不良の発生を低減し、かつ、安定な液晶配向を実現し、コントラスト比を高めた高品位な画質を有する液晶表示装置を提供する。
本発明に係る液晶表示装置における配向制御膜は、ポリイミドおよびポリイミドの前駆体からなり、ポリイミドおよびポリイミドの前駆体は、原料として下記化学式(1)に示されるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体および芳香族ジアミンを含み、前記配向制御膜は光配向処理によって配向規制力が付与されていることを特徴とする。
また、Rはそれぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1から3のアルキル基、nは0から2の整数であることとしてもよい。また、Rはそれぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1から2のアルキル基、nは0から2の整数であることとしてもよい。また、Rはそれぞれ独立に水素原子もしくはメチル基、nは0から2の整数であることとしてもよい。
本発明による配向制御膜を構成するポリイミドおよびその前駆体の原料となる化学式(1)に示されるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体は、例えば下記化学式(B−1)から(B−18)で示される化合物群Bに示すものである。これら化合物群Bで示される化合物は単に一例を示すもので、これらに限定されるものではない。
上記化合物群Bの中でも、(B−1)(B−2)(B−3) (B−4) (B−5) (B−6) (B−7) (B−8)は光反応性が高く、特に(B−1)(B−2)(B−3)は非常に光反応性が高いため特に有効である。
また、本発明に係る表示装置における配向制御膜を構成するポリイミドおよび前記ポリイミドの前駆体は、原料として下記化学式(2)に示されるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体を化合物群Bに加えて更に含むことは好適である。
化学式(2)に示されるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体の具体的な一例を下記化学式(C−1)から(C−6)で示される化合物群Cに示す。化合物群Cに示された化合物は単に一例を示すもので、これらに限定されるものではない。
また、本発明に係る表示装置における配向制御膜を構成するポリイミドおよび前記ポリイミドの前駆体は、原料として下記化学式(101)から(110)に示される化合物群より選択される芳香族ジアミンのうち少なくとも一種を含むことは好適である。
本発明による配向制御膜を構成するポリイミドおよびその前駆体の原料となる芳香族ジアミンの具体的な構造例を下記化学式(A−1)から(A−67)で示される化合物群Aに示す。これら構造は具体的な化学構造の一例を示すもので、これら構造に限定されるものではない。
上記化合物群Aの中でも(A−1)(A−4)(A−8)(A−19)(A−21)(A−22)(A−28)(A−29)(A−30)(A−32)(A−47)(A−53)は液晶配向性が良好であるため、特に好ましい。
また、本発明による配向制御膜を構成するポリイミドの前駆体はポリアミド酸およびポリアミド酸アルキルエステルであることを特徴とする。下記技術文献1に記載されているように、ポリアミド酸は、有機溶媒中でジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを攪拌、重合させることにより得られる。
具体的には、ジアミン化合物をNMPなどの極性アミド系溶媒に溶解させる。この溶液中にジアミン化合物とほぼ等モルのテトラカルボン酸二無水物を加えて室温下で攪拌すると、テトラカルボン酸二無水物の溶解とともにジアミン化合物との間で開環付加重合反応が進行し、高分子量のポリアミド酸が得られる。またポリアミド酸エステルの場合は、テトラカルボン酸二無水物にアルコールを反応させて得られるジエステルジカルボン酸に塩化チオニルなどの塩素化試薬を反応させ、高反応性のジエステルジカルボン酸クロリドを得る。これにジアミン化合物を反応、重縮合させることによりポリアミド酸アルキルエステルが得られる。
このとき、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸二無水物の原料を複数種混合させることにより、一つの高分子鎖に複数の化学種が重合された共重合高分子を得ることができる。
上記化合物群Aに示すような芳香族ジアミン成分を複数種混合させることにより、生成したポリイミドの吸収波長域が広くなるため、照射する光源のスペクトルを有効に活用でき有効である。
すなわち、本発明による配向制御膜を構成するポリイミドおよびその前駆体は、芳香族ジアミンは前記化学式(101)から(110)に示される化合物群より選択される芳香族ジアミンのうち異なる二種以上を含むことは好適である。
また、本発明による配向制御膜を構成するポリイミド前駆体の原料として用いられるジアミンは、化学式(101)から(110)に示される化合物群より選択される芳香族ジアミンのうち少なくとも一種を50モル%から100モル%含むことは好ましく、また、70モル%から100モル%含むことはさらに好ましく、80モル%から100モル%含むことは特に好ましい。このような構成とすることにより、光反応性が高くなり、また液晶の配向安定性が向上する。
また、本発明による配向制御膜を構成するポリイミドおよびその前駆体は、その原料として化学式(1)で示され、また化合物群Bで例示されるようなシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体のうち少なくとも一種を70モル%から100モル%含むことは好ましく、また、80モル%から100モル%含むことはさらに好ましく、90モル%から100モル%含むことは特に好ましい。このような構成とすることにより、光反応性が高くなり、また液晶の配向安定性が向上する。
ところで、化学式(1)で示され、また化合物群Bで例示されるような構造のシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体が単体で用いられた場合、ジアミンとの開環付加重合反応性の低い構造であると開環付加重合反応が十分に進まず、高分子量体が得られない場合がある。
これは、開環付加重合反応の反応条件によっても異なるため一概にはいえないが、例えばシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体の構造中に含まれる置換基の数および種類の組合せによって、開環付加重合反応が十分に進まないためと考えられる。
開環付加重合反応が十分に進まないと、形成されるポリイミドおよびその前駆体の分子量が低くなり成膜性が悪化し、ひいては膜表面にムラができてしまうという問題が生じる可能性がある。しかしながら、上述の問題は、芳香族ジアミンとの開環付加重合反応性の異なるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体を複数種混合させて用いることにより、十分に分子量の高いポリイミドおよびポリイミドの前駆体が得られる。
例えば、ポリイミドおよびポリイミドの前駆体は、置換基の数が異なる二種以上の化学式(1)に示されるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体を原料として含むことは好適である。ポリイミドおよびポリイミドの前駆体が、置換基の数が異なる二種以上の化学式(1)に示されるシクロブタンテトラカルボン酸二無水物誘導体を原料として含むことによって、光反応性、および液晶の配向安定性の高い配向制御膜を形成することができる。
本発明による配向制御膜を構成するポリイミドはその前駆体であるポリアミド酸またはポリアミド酸エステルを加熱または化学イミド化によりイミド化反応を進行させることにより得られることを特徴とする。なお、ポリイミド前駆体は複数種混合されていても良く、例えばポリアミド酸とポリアミド酸エステルが混合されたものであっても良い。
また、この際イミド化反応は必ずしも100%進行している必要は無く、全体の50%から100%進行していることが好ましく、より好ましくは60%から95%であり、さらに好ましくは70%から90%である。イミド化反応の進行度が高いほど、光配向性が良く、液晶の配向安定性が高いが、あまり高すぎると配向制御膜の比抵抗が高くなり、電気特性上好ましくない。
本発明による配向制御膜は比抵抗の低い材料をブレンドして用いることができる。このとき配向制御膜の比抵抗を低下させることができ、焼きつきが起こりにくくなるため有効である。比抵抗値の低い材料とは、ポリイミドおよびその前駆体に混合される電気伝導度の高い他のポリマーであってもよいし、また、ポリイミドおよびその前駆体の原料に、炭素数2以上の側鎖成分を持たない芳香族ジアミンを用いてもよい。
また配向制御膜を構成するポリイミドの分子量は高い方が望ましく、ポリアミド酸アルキルエステルはポリアミド酸のような加熱時の低分子量化が起こらないため、液晶の配向安定性が高くなりより好ましい。
シクロブタン系ポリイミドに光を照射すると、シクロブタンの環構造が開裂し、マレイミド末端が生成する光分解反応が生じる。この光分解反応の反応速度が速いほど、より少ない光量で反応が進むため、製造上のスループットが早くなるという利点がある。
しかし従来のシクロブタン系ポリイミドの光反応効率は低く、製造工程上不十分であるという課題があった。発明者らは、シクロブタン環にある種の置換基を導入した際、光分解反応が非常に早く進むことを見出した。本発明によるシクロブタン系ポリイミドは光反応効率が非常に高いため、スループットが早く、また配向安定性にも優れるという特徴を有する。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。これら実施例に用いた本発明による配向制御膜はその一例を示したもので、その他の構造についても同様の効果が確認されている。なお、以下では、薄膜トランジスタ等のアクティブ素子を形成した基板をアクティブマトリクス基板という。また、その対向基板にカラーフィルタを有する場合は、これをカラーフィルタ基板ともいう。また、本発明において、目標として望ましいコントラストは500:1以上であり、目標とする残像が解消される時間は5分以内が望ましい。なお、残像の解消される時間は下記の実施例において定義される方法にて決定される。
[実施例1]
図1は、実施例1に係る液晶表示装置の1画素付近の模式断面図である。また、図2は、実施例1に係る液晶表示装置の1画素付近の構成を示すアクティブマトリクス基板の模式平面図である。図2A実施例1に係る液晶表示装置の1画素付近の構成を示すアクティブマトリクス基板の模式平面図である。図2Bは図2Aに示す2B線に沿った断面図である。図2Cは図2Aに示す2C線に沿った断面図である。また、図1は、図2Aに示す2B線に沿った断面の一部に対応する。
なお、図2Bと図2Cは、要部構成を強調して模式的に示すもので、図2Aの2B線と2C線の切断部に1対1で対応しない。例えば、図2Bでは半導体膜116は図示せず、図2Cではコモン電極103とコモン配線120を接続するスルーホール118は1箇所のみを代表して示してある。
本実施例では、アクティブマトリクス基板としてのガラス基板101上には、Cr(クロム)からなる走査配線(ゲート電極)104及び共通電極配線(コモン配線)120が配置され、このゲート電極104及びコモン配線120を覆うように窒化シリコンからなるゲート絶縁膜107が形成されている。
また、ゲート電極104上には、ゲート絶縁膜107を介してアモルファスシリコン又はポリシリコンからなる半導体膜116が配置され、アクティブ素子として薄膜トランジスタ(TFT)115の能動層として機能するようにされている。また、半導体膜116のパターンの一部に重畳するようにCr・Mo(クロム・モリブデン)よりなる信号配線(ドレイン電極)106と画素電極(ソース電極)105が配置され、これら全てを被覆するように窒化シリコンよりなる保護絶縁膜108が形成されている。
また、図2Cに示すように、ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108を貫通して形成されたスルーホール118を介してコモン配線120に接続するコモン電極103がオーバーコート層(有機保護膜)112上に配置されている。また、図2Aに示すように、平面的には1画素の領域において、その画素電極105に対向するように、コモン配線120からスルーホール118を介して引き出されているコモン電極103が形成されている。
本実施例においては、画素電極105は、有機保護膜112の下層の保護絶縁膜108のさらに下層に配置され、有機保護膜112上に共通電極103が配置された構成となっている。これらの複数の画素電極105と共通電極103とに挟まれた領域で、1画素が構成される構造となっている。また、以上のように構成した単位画素をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板の表面、すなわち、共通電極103が形成された有機保護膜112上には配向制御膜109が形成されている。
一方、図1に示すように、対向基板を構成するガラス基板102には、カラーフィルタ層111が遮光膜(ブラックマトリクス)113で画素毎に区切られて配置され、また、カラーフィルタ層111及び遮光膜113上は、透明な絶縁性材料からなる有機保護膜112で覆われている。さらに、その有機保護膜112上にも配向制御膜109が形成されてカラーフィルタ基板を構成している。
これらの配向制御膜109は、高圧水銀ランプを光源とし、石英板を積層したパイル偏光子を用いて取り出される紫外線の直線偏光照射により液晶配向能が付与されている。
アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101とカラーフィルタ基板を構成するガラス基板102とが、配向制御膜109の面で対向配置され、これらの間に液晶分子110aで構成される液晶層(液晶組成物層)110bが配置される。また、アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101及びカラーフィルタ基板を構成するガラス基板102の外側の面のそれぞれには、偏光板114が形成されている。
以上のようにして、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置(TFT液晶表示装置)が構成される。このTFT液晶表示装置では、液晶組成物層110bを構成する液晶分子110aは、電界無印加時には対向配置されているガラス基板101,102面にほぼ平行に配向された状態となり、光配向処理で規定された初期配向方向に向いた状態でホモジニアス配向している。
ここで、ゲート電極104に電圧を印加してTFT115をオンにすると、画素電極105と共通電極103の間の電位差により液晶組成物層110bに電界117が印加され、液晶組成物層110bが持つ誘電異方性と電界との相互作用により液晶組成物層110bを構成する液晶分子110aは電界方向にその向きを変える。このとき液晶組成物層110bの屈折異方性と偏光板114の作用により液晶表示装置の光透過率を変化させ表示を行うことができる。
また、有機保護膜112は、絶縁性、透明性に優れるアクリル系樹脂、エポキシアクリル系樹脂又はポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いればよい。また、有機保護膜112として光硬化性の透明な樹脂を用いてもよいし、ポリシロキサン系の樹脂など無機系の材料を用いてもよい。さらには、有機保護膜112が配向制御膜109を兼ねるものであってもよい。
以上のように、本実施例によれば、配向制御膜109の液晶配向制御能をバフ布で直接摩擦するラビング配向処理ではなく、非接触の光配向法を用いることにより、電極近傍に局所的な配向の乱れがなく、表示領域全面に渡り均一な配向を付与することが可能となる。
一般的に、IPS方式においては、従来のTN方式に代表される縦電界方式と異なり基板面との界面チルトが原理的に必要なく、界面チルト角が小さいほど視角特性が良いことが知られており、光配向制御膜においても小さい界面チルト角が望ましく、特に、1度以下にすることにより、液晶表示装置の視角による色変化、明度変化を大幅に抑制することが出来るため、効果的である。
次に、本実施例の液晶表示装置の製造方法として、液晶配向制御膜のラビングレス配向法を用いた配向制御膜の形成について説明する。本実施例による配向制御膜の形成工程のフローは、以下(1)から(4)のようになる。
(1)配向制御膜の塗膜・形成(表示領域全面にわたり均一な塗膜を形成する)
(2)配向制御膜のイミド化焼成(ワニス溶剤の除去と耐熱性の高いポリイミド化を促進する)
(3)偏光照射による液晶配向能付与(表示領域に均一な配向能を付与する)
(4)(加熱、赤外線照射、遠赤外線照射、電子線照射、放射線照射)による配向能の促進・安定化
以上の4段階のプロセスを介して配向制御膜を形成するが、上記(1)から(4)のプロセスの順番に限定されるものではなく、以下(a)(b)のような場合には更なる効果が期待される。
(a)上記(3)(4)を時間的に重なるように処理することにより液晶配向能付与を加速し架橋反応などを誘起することで、更に効果的に配向制御膜を形成することが可能となる。
(b)上記(4)の加熱、赤外線照射、遠赤外線照射などを用いる場合には、上記(2)(3)(4)を時間的にオーバーラップさせることにより、上記(4)のプロセスが上記(2)のイミド化プロセスを兼ねることも可能となり、短時間に配向制御膜の形成が可能となる。
次に、本実施例の具体的な製造方法について説明する。アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101及びカラーフィルタ基板を構成するガラス基板102として、厚みが0.7mmで表面を研磨したガラス基板を用いる。ガラス基板101に形成する薄膜トランジスタ115は、画素電極(ソース電極)105、信号配線(ドレイン電極)106、走査配線(ゲート電極)104及びアモルファスシリコン116から構成される。
走査配線104、共通電極配線120、信号配線106及び画素電極105は、全てクロム膜をパターニングして形成し、画素電極105と共通電極103との間隔は7μmとした。なお、共通電極103と画素電極105については、低抵抗でパターニングの容易なクロム膜を使用したが、ITO膜を使用することで透明電極を構成して、より高い輝度特性を達成することも可能である。
ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108は窒化珪素からなり、膜厚はそれぞれ0.3μmとした。その上にはアクリル系樹脂を塗布し、220℃、1時間の加熱処理により透明で絶縁性のある有機保護膜112を形成した。
次に、フォトリソグラフィ、エッチング処理により、図2Cに示すように、共通電極配線120までスルーホール118を形成し、共通電極配線120と接続する共通電極103をパターニングして形成した。
その結果、単位画素(1画素)内では、図2Aに示すように、画素電極105が3本の共通電極103の間に配置されている構成となり、画素数は1024×3(R、G、Bに対応)本の信号配線106と、768本の走査配線104とから構成される1024×3×768個とするアクティブマトリクス基板を形成した。
本実施例において、配向制御膜109として、下記表1に示される原料組成で合成した各種ポリアミド酸1から5を合成し、これら配向制御膜を用いて5台の液晶表示装置を作製した。ポリアミド酸を、樹脂分濃度5重量%、DMAC60重量%、γブチロラクトン20重量%、ブチルセロソルブ15重量%のワニスに調製し、アクティブマトリクス基板の上に印刷形成して熱処理によりイミド化し、イミド化率約80%、膜厚約110nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸からなる配向制御膜109を形成した。
同様に、ITOを成膜したもう一方のガラス基板102の表面にも同様のポリアミド酸アミドワニスを印刷形成し、イミド化率約80%、約110nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸からなる配向制御膜109を形成した。その表面に液晶配向能を付与するために、偏光UV(紫外線)光を配向制御膜109に照射した。光源には高圧水銀ランプを用い、干渉フィルタを介して、240nm〜320nmの範囲のUV光を取り出し、石英基板を積層したパイル偏光子を用いて偏光比約10:1の直線偏光とし、1.5J/cm2の照射エネルギーで照射した。その結果、配向制御膜表面の液晶分子の配向方向は、照射した偏光UVの偏光方向に対し、直交方向であることがわかった。
次に、これらの2枚のガラス基板101、102をそれぞれの液晶配向能を有する配向制御膜109を有する表面を相対向させて、分散させた球形のポリマービーズからなるスペーサを介在させ、周辺部にシ−ル剤を塗布し、液晶表示装置となる液晶表示パネル(以下「セル」ともいう。)を組み立てた。2枚のガラス基板101、102の液晶配向方向は互いにほぼ並行とした。このセルに、誘電異方性Δεが正で、その値が10.2(1kHz、20℃)であり、屈折率異方性Δnが0.075(波長590nm、20℃)、ねじれ弾性定数K2が7.0pN、ネマティック−等方相転移温度T(N−I)が約76℃のネマティック液晶組成物Aを真空で注入し、紫外線硬化型樹脂からなる封止材で封止した。液晶層の厚み(ギャップ)は4.2μmの液晶パネルを製作した。
この液晶表示パネルのリタデーション(Δn・d)は、約0.31μmとなる。Δn・dは0.2μm≦Δn・d≦0.5μmの範囲が望ましく、この範囲を超えると白表示が色づいてしまうなどの問題がある。また、このパネルに用いた配向制御膜と液晶組成物とが同等のものを用いてホモジニアス配向の液晶表示パネルを作製し、クリスタルローテーション法を用いて液晶のプレチルト角を測定したところ約0.2度を示した。この液晶表示パネルを2枚の偏光板114で挾み、一方の偏光板の偏光透過軸を上記の液晶配向方向とほぼ平行とし、他方をそれに直交するように配置した。その後、駆動回路、バックライトなどを接続してモジュール化し、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を得た。本実施例では、低電圧で暗表示、高電圧で明表示となるノーマリークローズ特性とした。
次に、本実施例による5台の液晶表示装置の表示品位を評価したところ、コントラスト比500対1の高品位な表示が確認されるとともに、中間調表示時における広視野角が確認された。ジアミン化合物(A−1)(A−19)(A−21)を用いた液晶表示装置のコントラスト比は600:1を超え、特に良好な表示品位であった。
また、本実施例による5台の液晶表示装置の画像の焼き付け、残像を定量的に測定するため、ホトダイオードを組合せたオシロスコープを用いて評価した。まず、画面上に最大輝度でウインドウパターンを10時間表示し、その後、残像が最も目立つ中間調表示、ここでは、輝度が最大輝度の10%となるように全面を切り換え、ウインドウパターンのエッジ部のパターンが消えるまでの時間を残像緩和時間として評価した。ただし、ここで許容される残像緩和時間は5分以下である。その結果、使用温度範囲(0℃〜50℃)において残像の緩和時間は5分以下であり、目視による画質残像検査においても、画像の焼き付け、残像による表示むらも一切見られず、高い表示特性が得られた。
[比較例1]
配向制御膜1から5において、その原料であるテトラカルボン酸二無水物をテトラカルボン酸二無水物として同様の液晶表示装置を作製したところ、実施例1と同等の表示特性を示すのに照射エネルギー6J/cm2以上を必要とした。
[実施例2]
図3は、実施例2に係る液晶表示装置の1画素付近の模式断面図である。図4Aは、実施例2に係る液晶表示装置の1画素付近の構成を示すアクティブマトリクス基板の模式平面図である。図4Bは図4Aに示す4B線に沿った断面図である。図4Cは図4Aに示す4C線に沿った断面図である。
また、図4は、本実施例による液晶表示装置の1画素付近の構成を説明するアクティブマトリクス基板の模式図であり、図4Aは平面図、図4Bは図4Aに示す4B線に沿った断面図、図4Cは図4Aの4C線に沿った断面図を示す。また、図3は図4Aに示す4B線に沿った断面の一部に対応する。
なお、図4Bと図4Cは、要部構成を強調して模式的に示すもので、図4Aの4B線と4C線の切断部に1対1で対応しない。例えば、図4Bでは半導体膜116は図示していない。
本実施例では、アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101上には、Crよりなるゲート電極104及び共通電極配線120が配置され、ゲート電極104と共通電極配線120を覆うように窒化シリコンからなるゲート絶縁膜107が形成されている。また、ゲート電極104上には、ゲート絶縁膜107を介してアモルファスシリコン又はポリシリコンからなる半導体膜116が配置され、アクティブ素子である薄膜トランジスタ115の能動層として機能するようにされている。
また、半導体膜116のパターンの一部に重畳するようにクロム・モリブデンよりなるドレイン電極106とソース電極(画素電極)105が配置され、これら全てを被覆するように窒化シリコンよりなる保護絶縁膜108が形成されている。この保護絶縁膜108上には、有機保護膜112が配置されている。この有機保護膜112は、例えば、アクリル樹脂などの透明な材料から構成する。また、画素電極105はITO(In2O3:Sn)などの透明電極から構成されている。共通電極103は、ゲート絶縁膜107、保護絶縁膜108及び有機保護膜112を貫通するスルーホール118を介して、共通電極配線120に接続している。
液晶を駆動する電界を与える場合に、画素電極105と対をなす共通電極103は、平面的に1画素の領域を囲うように形成されている。また、この共通電極103は、有機保護膜112の上に配置されている。そして、この共通電極103は、上部から見たときに下層に配置しているドレイン電極106、走査配線104及び能動素子である薄膜トランジスタ115を隠すように配置され、半導体膜116を遮光する遮光層を兼ねている。
以上のように構成した単位画素(1画素)をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101の表面、すなわち、有機保護膜112上及びその上に形成された共通電極103の上には、配向制御膜109が形成されている。一方、対向基板を構成するガラス基板102にも、カラーフィルタ層111の上に形成される有機保護膜112の上には、配向制御膜109が形成されている。
ここで、実施例1と同様に、高圧水銀ランプを光源とし、石英板を積層したパイル偏光子を用いて取り出される紫外線の直線偏光照射により、これらの配向制御膜109に液晶配向能が付与されている。
そして、ガラス基板101と対向ガラス基板102が、配向制御膜109の形成面で対向配置され、これらの間に液晶分子110aで構成された液晶組成物層110bが配置される。また、ガラス基板101及び対向ガラス基板102の外側の面のそれぞれには偏光板114が形成されている。
このように、本実施例においても、先に述べた実施例1と同様に、画素電極105は、有機保護膜112及び保護絶縁膜108の下層に配置され、画素電極105と有機保護膜112との上に共通電極103が配置された構成となっている。また、共通電極103の電気抵抗が十分低い場合には、この共通電極103は、最下層に形成されている共通電極配線120も兼ねることができる。その際には、最下層に配置している共通電極配線120の形成及びそれに伴うスルーホール118の加工を省くことができる。
本実施例では、図4Aに示すように、格子状に形成された共通電極103に囲まれた領域で1画素が構成され、画素電極105と合わせて1画素を4つの領域に分割するように配置されている。また、画素電極105及びそれと対向する共通電極103がお互いに平行に配置されたジグザグな屈曲構造からなり、1画素が2つ以上の複数の副画素を形成している。これにより面内での色調変化を相殺する構造となっている。
次に、本実施例による液晶表示装置の製造方法について説明する。ガラス基板101及び102としては、厚みが0.7mmで表面を研磨したガラス基板を用いる。薄膜トランジスタ115は、画素電極(ソース電極)105、信号配線(ドレイン電極)106、走査配線(ゲート電極)104及びアモルファスシリコン116から構成される。走査配線104は、アルミニウム膜をパターニングし、共通電極配線120及び信号配線106は、クロム膜をパターニングし、画素電極105は、ITO膜をパターニングし、図4Aに示すように、走査配線104以外は、ジグザグに屈曲した電極配線パターンに形成した。その際、屈曲の角度は10度に設定した。ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108は窒化珪素からなり、膜厚はそれぞれ0.3μmとした。
次に、フォトリソグラフィ法とエッチング処理により、図4Cに示すように、共通電極配線120まで約10μm径の円筒状にスルーホール118を形成し、その上にはアクリル系樹脂を塗布し、220℃、で1時間の加熱処理により透明で絶縁性のある誘電率約4の有機保護膜112を約1μm厚に形成した。この有機保護膜112により表示領域の画素電極105の段差起因の凹凸を平坦化し、また、隣接する画素間のカラーフィルタ層111の境界部分の段差凹凸を平坦化した。
その後、約7μm径にスルーホール118を再度エッチング処理し、その上から共通電極配線120と接続する共通電極103を、ITO膜をパターニングして形成した。その際、画素電極105と共通電極103との間隔は7μmとした。さらに、この共通電極103は、信号配線106、走査配線104及び薄膜トランジスタ115の上部を覆い画素を囲むように格子状に形成し、遮光層を兼ねるようにした。
その結果、単位画素内では図4Aに示すように、画素電極105が3本の共通電極103の間に配置されている構成となり、画素数は1024×3(R、G、Bに対応)本の信号配線106と、768本の走査配線104とから構成される1024×3×768個とするアクティブマトリクス基板が得られた。
本実施例において、配向制御膜109として、下記表2に示される原料組成で合成した各種ポリアミド酸t-ブチルエステル1から3を合成し、これら配向制御膜を用いて3台の液晶表示装置を作製した。ポリアミド酸t-ブチルエステルを、樹脂分濃度5重量%、DMAC60重量%、γブチロラクトン20重量%、ブチルセロソルブ15重量%のワニスに調製し、アクティブマトリクス基板の上に印刷形成して熱処理によりイミド化し、イミド化率約90%、膜厚約120nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸t-ブチルエステルからなる配向制御膜109を形成した。
その配向処理方法は、実施例1と同様の偏光UVを1.5J/cm2の照射エネルギーで照射した。
次に、これらの2枚のガラス基板101、102をそれぞれの配向制御膜を有する表面を相対向させて、分散させた球形のポリマービーズからなるスペーサを介在させて、周辺部にシール剤を塗布し、液晶表示パネルを組み立てた。2枚のガラス基板101、102の液晶配向方向は互いにほぼ並行とした。
この液晶表示パネルに誘電異方性Δεが正でその値が10.2(1kHz、20℃)であり、屈折率異方性Δnが0.075(波長590nm、20℃)、ねじれ弾性定数K2が7.0pN、ネマティック−等方相転移温度T(N−I)が約76℃のネマティック液晶組成物Aを真空で注入し、紫外線硬化型樹脂からなる封止材で封止した。液晶層の厚み(ギャップ)は4.2μmの液晶パネルを製作した。このパネルのリタデーション(Δnd)は、約0.31μmとなる。
また、この液晶表示パネルに用いた配向制御膜と液晶組成物とが同等のものを用いてホモジニアス配向の液晶表示パネルを作製し、クリスタルローテーション法を用いて液晶のプレチルト角を測定したところ約0.2度を示した。このパネルを2枚の偏光板114で挾み、一方の偏光板の偏光透過軸を上記の液晶配向方向とほぼ平行とし、他方をそれに直交するように配置した。その後、駆動回路、バックライトなどを接続してモジュール化し、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を得た。本実施例では、低電圧で暗表示、高電圧で明表示となるノーマリークローズ特性とした。
次に、本実施例による3台の液晶表示装置の表示品位を評価したところ、実施例1の液晶表示装置に比べて開口率が高く、コントラスト比500:1の高品位な表示が確認されるとともに、中間調表示時における広視野角も確認された。ジアミン化合物(A-1)(A-19)を60モル%以上含む液晶表示装置のコントラスト比は600:1を超え、特に良好な表示品位であった。また、実施例1と同様にして、この液晶表示装置の画像の焼き付け、残像の緩和時間を定量評価したところ、0℃〜50℃の使用温度範囲において残像の緩和時間は5分以下であり、目視による画質残像検査においても、画像の焼き付け、残像による表示むらも一切見られず、実施例1と同等の高い表示特性が得られた。
[実施例3]
図5は、実施例3に係る液晶表示装置の1画素付近の模式断面図である。図中、前記した各実施例の図面と同一符号は同一機能部分に対応する。図5に示すように、本実施例では、保護絶縁膜108の下層に配置した画素電極105を、スルーホール118を介して有機保護膜112上に引き上げて共通電極103と同層に配置した。この構成とした場合には、液晶を駆動する電圧をさらに低減することが可能である。
以上のように構成されたTFT液晶表示装置では、電界無印加時には、液晶組成物層110bを構成する液晶分子110aは対向配置されているガラス基板101と102の面にほぼ平行な状態となり、光配向処理で規定された初期配向方向に向いた状態でホモジニアス配向している。ここで、ゲート電極104に電圧を印加して薄膜トランジスタ115をオンにすると、画素電極105と共通電極103との間の電位差により液晶組成物層110bに電界117が印加され、液晶組成物が持つ誘電異方性と電界との相互作用により液晶分子110aは電界方向にその向きを変える。このとき液晶組成物層110bの屈折異方性と偏光板114の作用により液晶表示装置の光透過率を変化させ表示を行うことができる。
以下、本実施例による液晶表示装置の製造方法について説明する。ガラス基板101と102としては、厚みが0.7mmで表面を研磨したガラス基板を用いる。薄膜トランジスタ115は、画素電極(ソース電極)105、信号配線(ドレイン電極)106、走査配線(ゲート電極)104及びアモルファスシリコン116から構成される。走査配線104はアルミニウム膜をパターニングし、共通電極配線120、信号配線106及び画素電極105はクロム膜をパターニングして形成した。ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108は窒化珪素からなり、膜厚はそれぞれ0.3μmとした。その上にアクリル系樹脂を塗布し、220℃、1時間の加熱処理により透明で絶縁性のある誘電率約4の有機保護膜112を約1.0μm厚に形成した。この有機保護膜112により表示領域の画素電極105の段差起因の凹凸を平坦化し、また、隣接する画素間の段差凹凸を平坦化した。
次に、フォトリソグラフィ法とエッチング処理により、図5に示すように、ソース電極105まで約10μm径の円筒状にスルーホール118を形成し、その上からソース電極105と接続する画素電極105を、ITO膜をパターニングして形成した。また、共通電極配線120についても約10μm径の円筒状にスルーホールを形成し、その上からITO膜をパターニングして共通電極103を形成した。その際、画素電極105と共通電極103との間隔は7μmとし、走査配線104以外は、ジグザグに屈曲した電極配線パターンに形成した。その際、屈曲の角度は10度に設定した。さらに、この共通電極103は信号配線106、走査配線104及び薄膜トランジスタ115の上部を覆い画素を囲むように格子状に形成し、遮光層を兼ねるようにした。
その結果、単位画素内に2種類のスルーホールが形成されている以外は、実施例2とほぼ同様に、画素電極105が3本の共通電極103の間に配置されている構成となり、画素数は1024×3(R、G、Bに対応)本の信号配線106と、768本の走査配線104とから構成される1024×3×768個とするアクティブマトリクス基板を形成した。
以上のように、画素構造と、用いる配向制御膜以外は、実施例2と同様として、図5に示すように、液晶表示装置を作製した。
本実施例において、配向制御膜109として、下記表3に示される原料組成で合成した各種ポリアミド酸エチルエステル1から3を合成し、これら配向制御膜を用いて3台の液晶表示装置を作製した。ポリアミド酸エチルエステルを、樹脂分濃度5重量%、DMAC60重量%、γブチロラクトン20重量%、ブチルセロソルブ15重量%のワニスに調製し、アクティブマトリクス基板の上に印刷形成して熱処理によりイミド化し、イミド化率約80%、膜厚約140nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸エチルエステルからなる配向制御膜109を形成した。
その配向処理方法は、実施例1と同様の偏光UVを1.5J/cm2の照射エネルギーで照射した。
次に、本実施例による3台の液晶表示装置の表示品位を評価したところ、実施例1の液晶表示装置と同等の高品位な表示が確認されるとともに、中間調表示時における広視野角も確認された。また、実施例1と同様にして、本実施例による液晶表示装置の画像の焼き付け、残像の緩和時間を定量評価したところ、残像の緩和時間は5分以下であり、目視による画質残像検査においても、画像の焼き付け、残像による表示むらも一切見られず、高い表示特性が得られた。
図5に示すように、TFT115に直接接続されている画素電極105が基板最表面に形成され、その上には薄い配向制御膜109が形成される場合には、通常のラビング配向処理を行うと摩擦による帯電が発生し、場合によっては表面近傍の画素電極を介してTFT115がダメージを受けることがある。このような場合は、本実施例のようなラビングレスの光配向処理が非常に有効である。
[実施例4]
図6は、実施例4に係る液晶表示装置の1画素付近の模式断面図である。図中、前記した各実施例の図面と同一符号は同一機能部分に対応する。本実施例では、電極などによる段差が大きい構造となっている。図6において、薄膜トランジスタ115のゲート電極104と共通電極103とを同層に形成し、共通電極103と画素電極105による電界117によって、液晶分子110aはその電界方向に向きを変える。
また、上記した各実施例においては、1つの画素における共通電極103と画素電極105から構成される表示領域は、複数組設けることが可能である。このように、複数組設けることによって、1つの画素が大きい場合でも、画素電極105と共通電極103との間の距離を短くできるので、液晶を駆動させるために印加する電圧を小さくできる。
また、上記した各実施例においては、画素電極と共通電極の少なくとも一方を構成する透明導電膜の材料としては、特に制限はないが、加工の容易さ、信頼性の高さ等を考慮して、インジウム・チン・オキサイド(ITO)のようなチタン酸化物にイオンドープされた透明導電膜又はイオンドープされた亜鉛酸化物を用いるのが望ましい。
本実施例による液晶表示装置の製造方法において、ガラス基板101と102としては、厚みが0.7mmで表面を研磨したガラス基板を用いる。薄膜トランジスタ115は画素電極(ソース電極)105、信号配線(ドレイン電極)106、走査配線(ゲート電極)104及びアモルファスシリコン116から構成される。走査配線104、共通電極配線120、信号配線106、画素電極105及び共通電極103は、全てクロム膜をパターニングして形成し、画素電極105と共通電極103との間隔は7μmとした。ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108は窒化珪素からなり、膜厚はそれぞれ0.3μmとした。
本実施例において、配向制御膜109として、下記表4に示される原料組成で合成した各種ポリアミド酸1から5を合成し、これら配向制御膜を用いて5台の液晶表示装置を作製した。ポリアミド酸を、樹脂分濃度5重量%、DMAC60重量%、γブチロラクトン20重量%、ブチルセロソルブ15重量%のワニスに調製し、アクティブマトリクス基板の上に印刷形成して熱処理によりイミド化し、イミド化率約80%、膜厚約110nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸からなる配向制御膜109を形成した。
その配向処理方法は、実施例1と同様の偏光UVを1.5J/cm2の照射エネルギーで照射した。その結果、画素数は1024×3(R、G、Bに対応)本の信号配線106と、768本の走査配線104とから構成される1024×3×768個とするアクティブマトリクス基板を形成した。
以上のように、画素構造以外は実施例1と同様として、図6に示す本実施例の液晶表示装置を作製した。
次に、本実施例による3台の液晶表示装置の表示品位を評価したところ、実施例1の液晶表示装置と同等の高品位な表示が確認されるとともに、中間調表示時における広視野角も確認された。ジアミン化合物(A−22)(A−53)を用いた液晶表示装置のコントラスト比は600:1を超え、特に良好な表示品位であった。また、実施例1と同様にして、本実施例による液晶表示装置の画像の焼き付け、残像の緩和時間を定量評価したところ、残像の緩和時間は5分以下であり、目視による画質残像検査においても、画像の焼き付け、残像による表示むらも一切見られず、高い表示特性が得られた。
[実施例5]
図7は、実施例5に係る液晶表示装置の1画素付近の模式断面図である。図中、前記した各実施例の図面と同一符号は同一機能部分に対応する。本実施例において、画素電極105と共通電極103は、ITOにより形成されており、共通電極103は画素のほぼ全体を覆うベタ電極で構成されている。本構成により電極上も透過部として利用することができ、開口率を向上することができる。また、電極間隔を短くすることができ、電界を効率よく液晶に印加できる。
図8は、実施例5に係る液晶表示装置の1画素付近の構成を示すアクティブマトリクス基板の模式平面図であり、薄膜トランジスタ115、共通電極103、画素電極105、信号配線106の構造を示す。
本実施例による液晶表示装置の製造方法において、ガラス基板101としては、厚みが0.7mmで表面を研磨したガラス基板を用いる。ガラス基板101上には、共通電極103、画素電極105、信号配線106及び走査配線104の短絡を防止するためのゲート絶縁膜107と、薄膜トランジスタ115、画素電極105及び信号配線106を保護する保護絶縁膜108を形成してTFT基板とする。
薄膜トランジスタ115は、画素電極(ソース電極)105、信号配線(ドレイン電極)106、走査配線(ゲート電極)104及びアモルファスシリコン116から構成される。走査配線(ゲート電極)104はアルミニウム膜をパターニングし、信号配線(ドレイン電極)106はクロム膜をパターニングし、そして共通電極103と画素電極105とはITOをパターニングして形成する。
ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108は窒化珪素からなり、膜厚はそれぞれ0.2μmと0.3μmとした。容量素子は画素電極105と共通電極103でゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108を挟む構造として形成する。
画素電極105は、ベタ形状の共通電極103の上層に重畳する形で配置されている。画素数は1024×3(R,G,Bに対応)本の信号配線106と、768本の走査配線104とから構成される1024×3×768個とする。
ガラス基板102上には、実施例1と同様に、ブラックマトリクス113付きカラーフィルタ層111を形成し、対向カラーフィルタ基板とした。
本実施例において、配向制御膜109として、下記表5に示される原料組成で合成した各種ポリアミド酸メチルエステル1から5を合成し、これら配向制御膜を用いて3台の液晶表示装置を作製した。ポリアミド酸メチルエステルを、樹脂分濃度5重量%、DMAC60重量%、γブチロラクトン20重量%、ブチルセロソルブ15重量%のワニスに調製し、アクティブマトリクス基板の上に印刷形成して熱処理によりイミド化し、イミド化率約70%、膜厚約130nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸メチルエステルからなる配向制御膜109を形成した。
同様に、ITOを成膜したもう一方のガラス基板102の表面にも同様のポリアミド酸エチルエステルワニスを印刷形成して熱処理によりイミド化し、イミド化率約80%、約110nmの緻密なポリイミド及びポリアミド酸メチルエステルからなる配向制御膜109を形成した。
その配向処理方法は、実施例1と同様の偏光UVを1.5J/cm2の照射エネルギーで照射した。
TFT基板及びカラーフィルタ基板における配向制御膜109の配向方向は互いにほぼ平行とした。これらの基板間に平均粒径が4μmのポリマービーズをスペーサとして分散し、TFT基板とカラーフィルタ基板との間に液晶分子110aを挟み込んだ。液晶分子110aは、実施例1と同じ液晶組成物Aを用いた。
TFT基板とカラーフィルタ基板とを挟む2枚の偏光板114はクロスニコルに配置した。そして、低電圧で暗状態となり、高電圧で明状態をとるノーマリークローズ特性を採用した。
次に、本実施例による液晶表示装置の表示品位を評価したところ、実施例1の液晶表示装置に比べて開口率が高く、コントラスト比700:1の高品位な表示が確認されるとともに、中間調表示時における広視野角も確認された。また、実施例1と同様にして、この液晶表示装置の画像の焼き付け、残像の緩和時間を定量評価したところ、0℃〜50℃の使用温度範囲において残像の緩和時間は5分以内であり、目視による画質残像検査においても、画像の焼き付け、残像による表示むらも一切見られず、実施例1と同等の高い表示特性が得られた。
[実施例6]
本実施例では、配向制御膜109として下記表6に示される原料組成で合成した各種ポリアミド酸メチルエステルを用いた他は実施例5と同様にして液晶表示装置を作成した。
次に、本実施例による液晶表示装置の表示品位を評価したところ、実施例1の液晶表示装置に比べて開口率が高く、コントラスト比800:1の高品位な表示が確認されるとともに、中間調表示時における広視野角も確認された。また、実施例1と同様にして、この液晶表示装置の画像の焼き付け、残像の緩和時間を定量評価したところ、0℃〜50℃の使用温度範囲において残像の緩和時間は2分以内であり、実施例7と比較して高い液晶配向安定性を示した。また、目視による画質残像検査においても、画像の焼き付け、残像による表示むらも一切見られず、実施例1と同等の高い表示特性が得られた。