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JP5176659B2 - 硬質被覆層が高速重切削加工ですぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

硬質被覆層が高速重切削加工ですぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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Description

この発明は、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の切削加工を、高熱発生を伴うと共に、切刃部に高負荷が作用する高送り、高切り込み等の高速重切削条件で行った場合にも、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
特許文献1に示されるように、従来、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
(a)下部層は、炭化チタン層、窒化チタン層、炭窒化チタン層、酸化チタン層、炭酸化チタン層、窒酸化チタン層、炭窒酸化チタン層等のTi化合物層、
(b)上部層は、その下部層側を酸化アルミニウムで構成し、一方、その表面側は、酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が分散分布した混合組織層、
上記(a)、(b)からなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具(以下、これを従来被覆工具という)が知られており、この従来被覆工具が、断続重切削加工においてすぐれた耐チッピング性を示すことが知られている。
また、特許文献2に示されるように、工具基体の表面に、
(a)下部層は、炭化チタン層、窒化チタン層、炭窒化チタン層、酸化チタン層、炭酸化チタン層、窒酸化チタン層、炭窒酸化チタン層等のTi化合物層、
(b)上部層は、α型の結晶構造を有するAl−Zr複合酸化物層であって、しかも、該Al−Zr複合酸化物層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面および(10-10)面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、格子点にAl、Zr、および酸素からなる構成原子がそれぞれ存在するコランダム型六方最密晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(ただし、Nはコランダム型六方最密晶の結晶構造上2以上の偶数となるが、分布頻度の点からNの上限を28とした場合、4、8、14、24、および26の偶数は存在せず)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で現した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が60〜80%である構成原子共有格子点分布グラフを示すΣ3対応粒界の分布割合が高いAl−Zr複合酸化物層、
上記(a)、(b)からなる下部層、上部層を蒸着形成することにより、高速断続切削加工における表面被覆切削工具の耐チッピング性の向上を図ることも知られている。
特開2000−246509号公報 特開2006−289557号公報 特開2005−205586号公報
近年の切削装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は高速化の傾向にあるが、上記の従来被覆工具においては、これを鋼や鋳鉄などの通常の条件での断続切削加工に用いた場合には問題はないが、特にこれを高熱発生を伴い、かつ、切刃に対して高負荷が作用する高送り、高切り込み等の高速重加工条件で行うのに用いた場合には、硬質被覆層を構成する上記従来の酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が分散分布した混合組織層あるいは同じく従来のα型の結晶構造を有するAl−Zr複合酸化物層では、高温強度が十分とはいえないためチッピング(微少欠け)を発生し易く、あるいは、耐熱塑性変形性が十分ではないために偏摩耗等が発生しやすく、この結果比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の従来被覆工具のα型酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が分散分布した混合組織層(以下、これを従来(Al,Zr)O層という)に着目し、耐チッピング性と耐摩耗性の両者の改善を図るべく鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
上記従来被覆工具(特許文献1)においては、α型酸化アルミニウム層(以下、これを従来Al層という)の表面側に、前記従来(Al,Zr)O層を蒸着形成するにあたり、通常の化学蒸着装置を用いて、Ti化合物層からなる下部層の表面に、例えば、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3 :1〜10%、CO2 :3〜10%、H2 S:0.02〜2%、HCl:0.5〜5%、H2 :残り、
反応雰囲気温度:1000〜1050℃、
反応雰囲気圧力:5.3〜53kPa、
の条件(以下、通常条件という)でまず従来Al層を形成した後、
引き続き、上記の反応ガスにZrCl4 を加えて、反応ガス組成を、例えば、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3 :1〜10%、CO2 :3〜10%、H2 S:0.02〜2%、HCl:0.5〜5%、ZrCl4 :0.05〜3%、H2 :残り、
として、反応雰囲気温度および反応雰囲気圧力については同条件で化学蒸着を行うことにより、下部層側は従来Al層からなり、一方、表面側は、従来(Al,Zr)O層からなる硬質被覆層が形成されていた。
そこで、上記従来Al層の蒸着条件を変更し、通常の化学蒸着装置にて、Ti化合物層からなる下部層の表面に、例えば、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:3〜10%、CO2:0.5〜3%、C:0.01〜0.3%、H2:残り、
反応雰囲気温度:750〜900℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
の低温条件で、Al23核を形成し、この場合、前記Al23核は20〜200nmの平均層厚を有するAl23核薄膜であるのが望ましく、引き続いて、反応雰囲気を圧力:3〜13kPaの水素雰囲気に変え、反応雰囲気温度を1100〜1200℃に昇温した条件で前記Al23核薄膜に加熱処理を施した状態で、α型Al23層を通常の条件で形成すると、この結果の前記加熱処理Al23核薄膜上に蒸着形成されたα型Al23層は、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a)、(b)に概略説明図で示されるとおり、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有するα型Al23結晶粒個々に電子線を照射して、基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成した場合、前記従来Al23層は、図4に例示される通り、(0001)面の測定傾斜角の分布は0〜45度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すのに対して、前記加熱処理Al23核薄膜上に蒸着形成されたα型Al23層は、図3に例示されるとおり、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、このシャープな最高ピークの位置は、前記Al23核薄膜の平均層厚を変化させることによりグラフ横軸の傾斜角区分に現れる位置が変わる。
つまり、前記加熱処理Al23核薄膜上に蒸着形成されたα型Al23層は、(0001)面配向率が高いα型Al23層(以下、改質Al23層という)であることがわかる。
次に、上記の如く蒸着形成した(0001)面配向率が高い改質Al23層を中間層として、その表面に、通常の化学蒸着装置にて、例えば、
反応ガス組成:容量%で、AlCl:2〜5%、ZrCl:0.9〜1.6%、CO:2〜6%、HCl:2〜5%、H2S:0.1〜0.6%、H2:残り、
反応雰囲気温度:980〜1040℃、
反応雰囲気圧力:6〜10kPa、
の条件で上部層を蒸着形成すると、該上部層として、α型酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が均一に分散分布した均一混合組織層が形成された。
そして、上記α型酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が分散分布した均一混合組織層(以下、改質(Al,Zr)O層という)からなる上部層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記断面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面および(10−10)面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(ただし、Nはコランダム型六方最密晶の結晶構造上2以上の偶数となるが、分布頻度の点からNの上限を28とした場合、4、8、14、24、および26の偶数は存在せず)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表し、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフを作成した場合(この場合前記の結果から、Σ5、Σ9、Σ15、Σ25、およびΣ27の構成原子共有格子点形態は存在しないことになる)、図5に示されるとおり、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が40〜60%である構成原子共有格子点分布グラフを示し、しかも、この改質(Al,Zr)O層は、前記従来(Al,Zr)O層に比して、一段とすぐれた高温強度および耐熱塑性変形性を有することがわかった。
なお、前記特許文献1における従来(Al,Zr)O層について、上記と同様にして、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフを作成したところ、図6に示される通り、Σ3の分布割合は20%以下の相対的に低い構成原子共有格子点分布グラフを示した。つまり、改質(Al,Zr)O層は、従来(Al,Zr)O層と異なり、改質Al23層が中間層として蒸着形成されていることによって、Σ3対応粒界の分布割合が非常に高くなり、その結果として、従来(Al,Zr)O層に比して高温強度および耐熱塑性変形性が一段と向上することがわかった。
上記のとおり、硬質被覆層として、Ti化合物層からなる下部層の表面に、中間層として前記改質Al23層を蒸着形成し、その上に更に上部層としての改質(Al,Zr)O層を蒸着形成した本発明の被覆工具は、従来被覆工具に比して、一段とすぐれた高温強度および耐熱塑性変形性を有することから、高熱発生を伴うと共に、切刃部に高負荷が作用する高送り、高切り込み等の高速重切削条件に用いた場合にも、すぐれた耐チッピング性とすぐれた耐摩耗性を発揮する。
この発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、下部層と中間層と上部層とからなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具において、
(a)下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
(b)中間層は、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、かつ、1〜3μmの平均層厚を有するα型酸化アルミニウム層であって、
該中間層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すα型酸化アルミニウム層、
(c)上部層は、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、かつ、2〜15μmの平均層厚を有し、さらに、α型酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が均一に分散分布した均一混合組織層であって、
該上部層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記断面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面および(10−10)面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(ただし、Nはコランダム型六方最密晶の結晶構造上2以上の偶数となるが、分布頻度の点からNの上限を28とした)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が40〜60%である構成原子共有格子点分布グラフを示すα型酸化アルミニウム相と酸化ジルコニウム相の均一混合組織層、
以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる、硬質被覆層が高速重切削加工ですぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
以下に、この発明の被覆工具の硬質被覆層の構成層について、詳細に説明する。
下部層のTi化合物層:
Ti化合物層は、改質Al23層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層の高温強度向上に寄与するほか、工具基体と改質Al23層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性を向上させる作用を有するが、その平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴なう高負荷が作用する高速重切削では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その平均層厚を3〜20μmと定めた。
中間層の改質Al23層:
中間層を構成する改質Al23層は、通常の化学蒸着装置にて、Ti化合物層からなる下部層の表面に、例えば、
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:3〜10%、CO2:0.5〜3%、C:0.01〜0.3%、H2:残り、
反応雰囲気温度:750〜900℃、
反応雰囲気圧力:3〜13kPa、
の低温条件で、Al23核を形成し、この場合、前記Al23核は20〜200nmの平均層厚を有するAl23核薄膜であるのが望ましく、引き続いて、反応雰囲気を圧力:3〜13kPaの水素雰囲気に変え、反応雰囲気温度を1100〜1200℃に昇温した条件で前記Al23核薄膜に加熱処理を施した状態で、α型Al23層を通常の条件で蒸着することにより形成することができる。
中間層の改質Al23層はすぐれた高温硬さを備え、耐摩耗性の向上に寄与するばかりか、下部層のTi化合物層および上部層の改質(Al,Zr)O層のいずれにも強固に密着し、硬質被覆層全体としての剥離強度を向上させる。
さらに、上記改質Al23層は、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、(0001)面配向率が高いものとなっている。
そして、このような(0001)面配向率が高い改質Al23層の上に、上部層としての改質(Al,Zr)O層(α型酸化アルミニウム相と酸化ジルコニウム相の均一混合組織層)を蒸着形成することによって、該改質(Al,Zr)O層にはZr成分が含有されているにもかかわらず、Σ3対応粒界が高い割合で形成されて粒界強度が向上し、その結果として、改質(Al,Zr)O層が、すぐれた耐熱塑性変形性とともにすぐれた高温強度を備えるようになる。
すなわち、中間層の改質Al23層は、配向性のない従来Al23層を中間層として設けた場合に比して、上部層の改質(Al,Zr)O層のΣ3対応粒界の割合を高めるという大きな役割を担っている。
上記改質Al23層についての傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%未満の場合には、上部層におけるΣ3対応粒界の割合の増加を期待できないので、加熱処理Al23核薄膜上にさらにα型Al23層を蒸着することによって改質Al23層を形成するに際しては、Al23核薄膜の平均層厚を20〜200nmとすることが望ましい。
なお、改質Al23層からなる中間層の平均層厚が1μm未満では、(0001)面配向率が45%未満となってしまい、一方、平均層厚が3μmを超える場合には、上部層である改質(Al,Zr)O層との付着強度が低下するため、その平均層厚は1〜3μmと定めた。
上部層の改質(Al,Zr)O層:
上部層を構成する改質(Al,Zr)O層は、通常の化学蒸着装置にて、改質Al23層からなる中間層の表面に、例えば、
反応ガス組成:容量%で、AlCl:2〜5%、ZrCl:0.9〜1.6%、CO:2〜6%、HCl:2〜5%、H2S:0.1〜0.6%、H2:残り、
反応雰囲気温度:980〜1040℃、
反応雰囲気圧力:6〜10kPa、
の条件で蒸着することにより形成することができる。
上部層の改質(Al,Zr)O層は、α型酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が均一に分散分布した均一混合組織を示し、特に、素地を構成するα型酸化アルミニウム相は層の高温硬さおよび耐熱性を向上させ、また、素地中に均一分散分布する酸化ジルコニウム相は高温強度と耐熱塑性変形性を向上させる。
また、改質(Al,Zr)O層からなる上部層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記断面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面および(10−10)面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(ただし、Nはコランダム型六方最密晶の結晶構造上2以上の偶数となるが、分布頻度の点からNの上限を28とした)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が40〜60%である構成原子共有格子点分布グラフを示すようになる。
即ち、上部層の改質(Al,Zr)O層は、改質Al23層を中間層として設け、この上に蒸着形成されることによって、Σ3対応粒界の割合が増加し粒界強度が高められため、その結果として、改質(Al,Zr)O層は高温強度、耐熱塑性変形性が一段とすぐれたものとなり、耐チッピング性、耐欠損性を向上させる。
そして、Σ3対応粒界の分布割合を上記40〜60%とするためには、上部層におけるAlとの合量に占めるZrの含有割合(Zr/(Al+Zr))は0.003〜0.2原子%であることが必要であり、Zr含有割合が0.003原子%未満である場合には、Σ3対応粒界の分布割合を増加させることができたとしても、上部層の耐熱塑性変形性が不十分となり、偏摩耗の発生等による耐摩耗性劣化の恐れがある。一方、Zr含有割合が0.2原子%を超えるような場合には、Σ3対応粒界の分布割合が40%未満となってしまい、高温強度の向上を期待できなくなる。そして、上部層におけるZr成分の含有量が上記0.003〜0.2原子%の範囲内である場合には、酸化ジルコニウム相は素地中に均一微細な分散相として存在することから、硬質被覆層の耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性に悪影響を及ぼすことはない。
改質(Al,Zr)O層からなる上部層は、その平均層厚が1μm未満では、すぐれた高温強度を発揮することができず、一方、その平均層厚が14μmを超えるとチッピング等を発生しやすくなるので、その平均層厚は、1〜14μmと定めた。
なお、改質Al23層からなる中間層と改質(Al,Zr)O層からなる上部層との合計平均層厚は、チッピング発生防止等との観点から、2〜15μmとすることが望ましい。
この発明の被覆工具は、各種の鋼や鋳鉄などの切削加工を、高い発熱を伴うと共に、切刃部に高負荷が作用する高送り、高切り込みの高速重切削条件で行うのに用いた場合にも、硬質被覆層の中間層として改質Al23層が設けられ、さらにこの上にΣ3対応粒界の分布割合の高められた改質(Al,Zr)O層が設けられたことによって、硬質被覆層がすぐれた高温強度と耐熱塑性変形性を備え、その結果、長期の使用に亘って一段とすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも2〜4μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、TiN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG160412に規定するスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG160412のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a〜fを形成した。
ついで、これらの工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fのそれぞれを、通常の化学蒸着装置に装入し、まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表6に示される組み合わせおよび目標層厚でTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成し、ついで、同じく表4に示される条件で、表6に示される組み合わせおよび目標層厚で改質Al23層を硬質被覆層の中間層として蒸着形成し、さらに、表5に示される条件で、表6に示される組み合わせおよび目標層厚で改質(Al,Zr)O層を硬質被覆層の上部層として蒸着形成することにより本発明被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
比較の目的で、表7に示される通り、硬質被覆層の中間層として、表4に示される条件で、表7に示される目標層厚で従来Al23層を形成する以外は本発明被覆工具1〜13と同一の条件で比較被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
ついで、上記の本発明被覆工具1〜13および比較被覆工具1〜13の硬質被覆層の中間層を構成する改質Al23層および従来Al23層のそれぞれについて、電界放出型走査電子顕微鏡を用いて、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成した。
すなわち、工具基体表面と垂直な面をそれぞれ研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、それぞれの前記研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
この結果得られた各種の改質Al23層および従来Al23層の傾斜角度数分布グラフから、最高ピークが存在する傾斜角区分、および、0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が傾斜角度数分布グラフにおける度数全体に占める割合を求め、この値をそれぞれ表6,表7に示した。
上記の各種の傾斜角度数分布グラフにおいて、表6にそれぞれ示される通り、本発明被覆工具の改質Al23層は、いずれも0〜10度の範囲内に最高ピークが存在し、かつ、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体に占める0〜10度の範囲内に存在する度数の合計の割合は、45%以上を示すのに対して、従来被覆工具の従来Al23層は、表7にそれぞれ示される通り、いずれも0〜10度の範囲内に最高ピークは存在せず、しかも、0〜10度の範囲内に存在する度数の合計の割合も高々10%という小さな割合であって、特定方向への(0001)面の配向性はなかった。
なお、図3は、本発明被覆工具13の改質Al23層の傾斜角度数分布グラフ、図4は、従来被覆工具1の従来Al23層の傾斜角度数分布グラフをそれぞれ示すものである。
次に、上記の本発明被覆工具1〜13および比較被覆工具1〜13の硬質被覆層の上部層を構成する改質(Al,Zr)O層および従来(Al,Zr)O層のそれぞれについて、電界放出型走査電子顕微鏡を用いて、構成原子共有格子点分布グラフをそれぞれ作成した。
すなわち、上記構成原子共有格子点分布グラフは、上記の改質(Al,Zr)O層および従来(Al,Zr)O層の断面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記断面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記断面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面および(10-10)面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、図2に示されるように、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(ただし、Nはコランダム型六方最密晶の結晶構造上2以上の偶数となるが、分布頻度の点からNの上限を28とした場合、4、8、14、24、および26の偶数は存在せず)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で現した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を求めることにより作成した。
この結果得られた各種の改質(Al,Zr)O層および従来(Al,Zr)O層の構成原子共有格子点分布グラフにおいて、ΣN+1全体(上記の結果からΣ3、Σ7、Σ11、Σ13、Σ17、Σ19、Σ21、Σ23、およびΣ29のそれぞれの分布割合の合計)に占めるΣ3の分布割合をそれぞれ求め、この値をそれぞれ表6,表7に示した。
上記の各種の構成原子共有格子点分布グラフにおいて、表6にそれぞれ示される通り、本発明被覆工具の改質(Al,Zr)O層は、いずれもΣ3の占める分布割合が40〜60%である構成原子共有格子点分布グラフを示すのに対して、従来被覆工具の従来(Al,Zr)O層は、表7にそれぞれ示される通り、いずれもΣ3の分布割合が20%以下の構成原子共有格子点分布グラフを示すものであり、Σ3対応粒界の分布割合が小さいものであった。
なお、図5は、本発明被覆工具13の改質(Al,Zr)23層の構成原子共有格子点分布グラフ、図6は、従来被覆工具1の従来(Al,Zr)O層の構成原子共有格子点分布グラフをそれぞれ示すものである。
また、本発明被覆工具1〜13および従来被覆工具1〜13の硬質被覆層の各構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の本発明被覆工具1〜13および従来被覆工具1〜13について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・S20Cの丸棒、
切削速度: 455 m/min、
切り込み: 2.7 mm、
送り: 0.8 mm/rev、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件Aという)での炭素鋼の乾式高速高送り切削試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、350m/min、0.3mm/rev)、
被削材:JIS・SCM420の丸棒、
切削速度: 310 m/min、
切り込み: 2 mm、
送り: 0.35 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件Bという)での合金鋼の乾式高速高切り込み切削試験(通常の切削速度および切り込みは、それぞれ、250m/min、1.5mm)、
被削材:JIS・FC300の丸棒、
切削速度: 540 m/min、
切り込み: 5.7 mm、
送り: 0.4 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件Cという)での鋳鉄の乾式高速高切り込み切削試験(通常の切削速度および切り込みは、それぞれ、400m/min、4mm)、
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表8に示した。
Figure 0005176659
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表6〜8に示される結果から、本発明被覆工具1〜13は、改質Al23層からなる中間層の上に、Σ3対応粒界の分布割合が高い改質(Al,Zr)O層からなる上部層が形成されていることによって、高熱発生を伴い、かつ、切刃部に高負荷が作用する高速重切削でも、硬質被覆層がすぐれた高温硬さおよび耐熱性に加えて、一段とすぐれた高温強度と耐熱塑性変形性を有し、すぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を示すのに対して、従来Al23層の上に、Σ3対応粒界の分布割合が少ない従来(Al,Zr)O層が形成された従来被覆工具は、高速重切削加工では、硬質被覆層の特に高温強度、耐熱塑性変形性が不十分であるために、硬質被覆層にチッピングが発生し、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、各種の鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削加工や断続切削加工は勿論のこと、特に高い高温強度と耐熱塑性変形性が要求される高送り、高切り込み等の高速重切削加工でも硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
(Al,Zr)O層およびAl23層における結晶粒の(0001)面および(10-10)面の傾斜角の測定態様を示す概略説明図である。 相互に隣接する結晶粒の界面における構成原子共有格子点形態の単位形態を示す模式図にして、(a)はΣ3、(b)はΣ7(c)はΣ11の単位形態をそれぞれ示す図である。 本発明被覆工具13の改質Al23層の傾斜角度数分布グラフである。 従来被覆工具1の従来Al23層の傾斜角度数分布グラフである。 本発明被覆工具13の改質(Al,Zr)O層の構成原子共有格子点分布グラフである。 従来被覆工具1の従来(Al,Zr)O層の構成原子共有格子点分布グラフである。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、下部層と中間層と上部層とからなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具において、
    (a)下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
    (b)中間層は、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、かつ、1〜3μmの平均層厚を有するα型酸化アルミニウム層であって、
    該中間層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで現した場合、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すα型酸化アルミニウム層、
    (c)上部層は、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有し、かつ、1〜14μmの平均層厚を有し、さらに、α型酸化アルミニウム相の素地に酸化ジルコニウム相が均一に分散分布した均一混合組織層であって、しかも、該均一混合組織層におけるアルミニウムとの合量に占めるジルコニウムの含有割合は0.003〜0.2(但し、原子比)であり、
    該上部層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記断面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面および(10−10)面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(ただし、Nはコランダム型六方最密晶の結晶構造上2以上の偶数となるが、分布頻度の点からNの上限を28とした)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が40〜60%である構成原子共有格子点分布グラフを示すα型酸化アルミニウム相と酸化ジルコニウム相の均一混合組織層、
    以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる、硬質被覆層が高速重切削加工ですぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具。
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