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JP5173119B2 - 硬質膜、及び硬質膜製造方法 - Google Patents

硬質膜、及び硬質膜製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、硬質膜、及び硬質膜製造方法に関し、さらに詳しくは、高い硬度を有し、しかも基板表面に対する塗布性に優れた硬質膜、及びこの硬質膜を基板表面に効率よく形成することのできる硬質膜製造方法に関する。
特許文献1に、「無機含水酸化物ゾルからなる水性組成物を固体表面へ適用し、その組成物を固化させてその表面に保護被膜を形成する方法」が開示され、好ましい水性組成物として、ジルコニアゾル、シランカップリング剤及びパッセンジャー粉末を含有する組成物が記載されている。この組成物は、全固形分を100質量部としたとき、ジルコニアゾルが0.1〜20質量%、シランカップリング剤が0.05〜10質量%、パッセンジャー粉末が0.5〜15質量%と、ジルコニアゾルの使用割合が小さいものであった。
特開平02−85373号公報
特許文献2に、「ジルコニアゾル、シランカップリング剤及び樹脂を含有する水系塗装下地用処理剤」が開示されている。この処理剤も、ジルコニアゾルが10〜40質量%、シランカップリング剤が10〜60質量%、樹脂が20〜70質量%と、ジルコニアゾルの使用割合が小さいものであった。
特開2001−81392号公報
特許文献3に、「ジルコニアゾル、シランカップリング剤及びフッ素樹脂を含有する分散体」が開示されているが、この発明は、液中における粒子の分散性を改善するものであった。
特開2001−26416号公報
また、特許文献4に、「親水性・接着性に優れ、かつ表面被覆層の剥離が起きない改質法」を提供することを目的とするポリオレフィン表面のシリカ皮膜形成方法が開示されている。このシリカ皮膜形成方法は、ポリオレフィン表面に特定シラン化合物から成る第1皮膜を形成し、次いで特定のアルコキシシランの部分加水分解物及びシリカゾルを用いて第2皮膜を形成する方法であり、その実施例として「(実施例1)ポリプロピレン平板(PP)(75mm×70mm×1mm)に電子線(加速電圧150KeV、10Mrad)を照射した。電子線照射後のポリプロピレン平板を空気中に放置後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AMS)の0.5重量%ジメトキシエタン溶液中60℃で30分加熱した。反応終了後、100℃で1時間乾燥し、第一被膜を形成した。第一被膜を形成したポリプロピレン平板を、テトラエトキシシラン10重量部、0.05N水酸化ナトリウム水溶液2重量部をエタノール100重量部に溶解した溶液に入れ、80℃で2時間加熱した。反応終了後、100℃で4時間乾燥し、第二被膜を形成し、シリカ被覆ポリプロピレン平板を得た。」との開示がある。このポリオレフィンの表面に長時間のかかる工程により二層の皮膜を形成する点において、工業的製法とは言い難い。
特開平05−156055号公報
特許文献5には、「熱可塑性樹脂でなる基材フィルムと;アルコキシシラン、シランカップリング剤及びエチレン・ビニルアルコールコポリマーを含有する組成物を、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られる、主成分がエチレン・ビニルアルコールのランダムコポリマーよりなる直鎖状複合ポリマーでなり、該基材フィルムの少なくとも片面に積層された、少なくとも1層の複合ポリマー層と;を有する、積層フィルム」が、開示される。
特開平08−99390号公報
この積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムの表面に、特定の直鎖状複合ポリマーのフィルムを形成するために、特定のシランカップリング剤を使用することを本質としている。また、この積層フィルムの形成に際し、「アルコキシシラン及び金属アルコキシドは、添加された水によって、加水分解される。この際、酸が加水分解の触媒となる。」ことを条件としている。
特許文献6には、「下記一般式で表される珪素アルコキシドを加水分解して調製したSiO2 ゾルを主成分とするSiOゾル膜をゲル化してなるSiOゲル膜からなることを特徴とするフィルム基材用ハードコート膜。Rm(OR’)n(Rは炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミド基、スルホニル基、水酸基又はカルボキシル基、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは4の整数である。)」が開示されている。
特開平11−279303号公報
この特許文献6に記載されたフィルム基材用ハードコート膜は、プラスチックフィルムを基材とし、その表面に、珪素アルコキシドを酸性条件下で加水分解することによりゲル膜を形成している。この特許文献6には、前記フィルム基材用ハードコート膜は、基材に対する塗布性の向上及び透明性の維持を達成することができるとの主張が記載されている。
特許文献7及び8にも前記特許文献6と同様のフィルム基材用ハードコート膜が記載されている。
特開平11−279304号公報 特開平11−279305号公報
また、種々の構造材料として用いられる金属材料及びこの金属材料から構成される各種の構造物にあっては、撥水及び/又は防食を目的として、その表面に特定の被膜が形成されることがある。
また、構造物の補強及び/又は保護を目的として、その表面に特定の被膜が形成されることが多い。このような被膜として、例えば、基板表面に、ゾル−ゲル反応を利用して形成されるシリカ被膜が知られている(例えば、特許文献9参照)。
特開平6−136162号公報
硬質膜の硬度試験方法には、テーバー摩耗試験などに代表されるところの、試料表面の摩耗による変化の度合いを判定する試験方法、鉛筆硬度試験などに代表されるところの、鋭利な先端で試料表面をひっかく(スクラッチ)ことによるスクラッチ試験方法などがある。これらは試験結果が一定の物理量で示される。たとえば、テーバー摩耗試験では試験後の表面の曇化値(ヘイズ値)で示され、鉛筆硬度では鉛筆の硬さで示される。
しかし、より実用的には硬質膜は布地で擦られたり、砂で擦られたりするので、そのような状況を反映された試験方法が好ましい。たとえば、使用される環境に近い布地や鋭利表面を持つもので擦る試験である。そのようなものとして、鋭利な又は柔軟な表面を持つもの、たとえばスチールウール、紙ヤスリ、麻布、綿布、紙などを硬質膜に一定の加重をかけて一定回数擦り、その後の硬質膜表面の状態を目視などにより判定する方法がある。
表面がプラスチック製である基板の表面に形成された例えばハフニア及び/又はジルコニアの皮膜は、その基板との密着性が弱いと言う一般的な問題は未だ解消していない。
この発明は、このような従来の問題を解消し、実用的耐久試験に対して良好な結果を示す硬度を有し、特に基板表面に対する塗布性及び密着性に優れた硬質膜、及びこの硬質膜を基板表面に効率よく形成することのできる硬質膜製造方法を提供することをその課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、特定の金属酸化物ゾルを主剤とし、この主剤に配合する成分について種々検討を重ねた結果、以下の手段を採用することにより、前記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
前記課題を解決するための手段は
(1) プラスチック表面上に形成されてなる硬質膜であって、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物を硬化させて成る硬化体層と、前記プラスチック表面及び前記硬化体層の間に、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーを硬化してなるプライマー層とを有することを特徴とする硬質膜であり、
(2) プラスチック表面上に形成されてなる硬質膜であって、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物を硬化させて成る硬化体層と、前記プラスチック表面及び前記硬化体層の間に形成されたところの、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーを硬化してなるプライマー層と、前記硬化体層の表面に形成されたところの、(CY −(R e −Si−(R (ただし、Yは水素原子又はフッ素原子であり、3個のYは同一であっても相違していても良い。R は、メチレン基及び/又はフルオロメチレン基であり、dは1〜20の整数であり、R は、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、g個のR は同一であっても相違していても良い。eとgとは共に整数であり、eとgとの合計は4である。)で示されるシラン化合物を硬化してなる薄膜とを有することを特徴とする硬質膜であり、
(3) 前記ゾル組成物は、シランカップリング剤及び/又は前記(2)に記載のシラン化合物をさらに含有する前記(1)又は(2)に記載の硬質膜であり、
(4) 前記プライマーは、シランカップリング剤を含有して成る請求項2又は3に記載の硬質膜であり、
(5) 前記シランカップリング剤が、一般式、R l m SiR 2 n (式中、R はアルキル基を、Xはアルコキシ基又はハロゲン化物イオンを、R 2 は有機官能基を有するアルキル基を示し、l、m及びnは0、1、2、3又は4であり、l+m+nは4である。)で表されるシラン化合物である前記(3)又は(4)に記載の硬質膜であり、
(6) (メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマー層用組成物と、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物と、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーとを用いて、プラスチック表面に、プライマー層および硬化体層それぞれをこの順に形成することを特徴とする硬質膜の製造方法であり、
(7) (メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマー層用組成物と、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物と、、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーと、前記請求項2に記載のシラン化合物を含有する薄膜用組成物とを用いて、プラスチック表面に、プライマー層、硬化体層及び薄膜それぞれをこの順に形成することを特徴とする硬質膜の製造方法である。


この発明に係る硬質膜は、プラスチック表面に直接に形成されることができる。
この発明に係る硬質膜は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するゾル組成物を硬化させて成る硬化体層を硬化させる過程において、(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類が重合してポリ(メタ)アクリル酸類及び/又はポリ(メタ)アクリレート類が形成され、このポリ(メタ)アクリル酸類及び/又はポリ(メタ)アクリレート類におけるカルボニル基がハフニウムイオン及び/又はジルコニウムイオンに配位結合し、または相互作用し、プラスチックに対してはこのポリ(メタ)アクリル酸類及び/又はポリ(メタ)アクリレート類における主鎖が疎水性基として相互作用し、又はこのポリ(メタ)アクリル酸類及び/又はポリ(メタ)アクリレート類におけるエチレン基、カルボキシル基、カルボニル基がプラスチックに対して結合や、水素結合することにより、プラスチック表面に対する密着性が向上する。また、前記ゾル組成物が、ビニルエーテル類を含有する場合には、ビニルエーテル類は、ハフニアゾル等と相互作用することにより、ビニルエーテル類とハフニアゾル等と複合化することができる。したがって、ゾル組成物をプラスチック表面に良好に塗布できる。さらに、ビニルエーテル類とハフニアゾル等と複合化することによって、紫外線照射等をするだけで、高硬度を有するようになるので、耐擦傷性も良好である。
この発明に係る硬質膜は、基板におけるプラスチック表面に、(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーを硬化してなるプライマー層と前記ゾル組成物を硬化してなる硬化体層とで形成されることができる。
この場合、プライマー層を形成するポリ(メタ)アクリル酸類及び/又はポリ(メタ)アクリレート類は、プラスチックとの密着性が良好であり、硬化体層中の(メタ)アクリル酸類及び/又はポリ(メタ)アクリレート類との相互作用により硬化体層はプライマー層とも密着性が良好である。したがって、プライマー層が介在することにより、プラスチック表面と硬化体層との密着性が更に向上する。
硬化体層を形成するゾル組成物中にシランカップリング剤が含有されていると、硬質膜とプラスチック表面との密着性が更に向上し、また、プライマー層と硬化体層との密着性が更に向上する。
また、プラスチック表面上に形成されたプライマー層及び硬化体層の上に、前記シラン化合物を硬化してなる薄膜が形成されるようにしてもよい。前記シラン化合物中におけるシリコンの周囲の官能基により硬化体層との密着性が図られ、また、シリコンにより、耐擦傷性をより向上させることができる。
ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するゾル組成物は、プラスチック表面に均一に塗布することができるので塗布性が良好であり、紫外線照射等の適宜の硬化方法により前記ゾル組成物を硬化させることができる。したがって、プラスチック表面に対して大きな密着性を有し、均一な膜厚を有する硬質膜を形成することができる。
プラスチック表面に(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマー層用組成物を塗布して形成されたプライマー塗布層の表面に、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するゾル組成物を塗布してゾル組成物層を形成すると、プライマー塗布層中の(メタ)アクリル酸類、及び/又は(メタ)アクリレート類の一部がゾル組成物中に拡散し、またゾル組成物中に存在する(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の一部がプライマー塗布層中に拡散するので、プライマー塗布層及びゾル組成物層を硬化すると、プライマー層に対する密着性の向上した硬化体層が形成される。
プライマー層と硬化体層との密着性が向上し、またプライマー層とプラスチック表面との密着性も高分子同士の積層ということで向上しているので、密着性の大きな硬質膜が形成されることになる。
また、プラスチック表面に形成されたプライマー塗布層を硬化してプライマー層を得て、このプライマー層上にゾル組成物層を形成し、その後、ゾル組成物層を硬化して硬化体層を得ても良い。この場合でも、プライマー層および硬化体層を構成する成分は、類似しているため、親和性が高い。それぞれの親和性が高いから、プライマー層および硬化体層の間の界面が擬似的に存在しない状態に近づくので、密着性の大きな硬質膜が形成されることとなる。
本発明に係る硬質膜は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾルと(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するゾル組成物を硬化しているので硬度が大きいと言う技術的効果を奏する。
この発明の硬質膜は、プラスチック表面上に形成されてなる硬化体層から成る態様(1)、プラスチック表面上に形成されたプライマー層と、そのプライマー層の表面に形成された硬化体層とから成る態様(2)、及びプラスチック表面上に形成されたプライマー層と、前記硬化体層と、その硬化体層の表面に形成された薄膜とから成る態様(3)とを挙げることができる。
前記プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチル−ペンテン−1、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル(いわゆるアクリル樹脂)、ポリアクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、酢酸ビニル系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロース系樹脂等の一般用樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等のエンジニアリングプラスチック等を挙げることができる。
前記プラスチックは、金属、木材、及び硬質ゴム等のプラスチック以外の材質で形成された部材の表面に形成されたプラスチックであっても、プラスチック部材の表面そのものであっても、プラスチック部材の表面に形成された他のプラスチックであっても良い。この発明の硬質膜が形成されるプラスチックは容器、ケース、レンズ、光学部材、建材等の各種の用途に供される部材であって良い。
前記硬化体層は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種(以下において、重合性モノマーと称することがある。)を含有するゾル組成物から形成されることができる。
前記ハフニアゾルは、HfOXで表される酸化ハフニウムのゾルである。HfOX中のXは、2以下の整数又は小数である。また、ジルコニアゾルは、ZrOXで表される酸化ジルコニウムのゾルである。ZrOX中のXは、2以下の整数又は小数である。
前記ハフニアゾル又はジルコニアゾルは、まず、ハフニウムアルコキシド、ハフニウム塩等のハフニウム化合物又はジルコニウムアルコキシド、ジルコニウム塩等のジルコニウム化合物を水、アルコール等の溶媒に溶解して溶液とする。次いで水を添加して必要なら加熱することにより、ゾルを調製する。このとき、ゾル化反応を促進するために酸又は塩基を加えることが好ましい。
ゾルの好ましい調製法は、前記溶液にアンモニア水又はアミン類(このアミン類は、水、アルコール等、アミン類を溶解する溶媒に溶解した溶液であってもよい。)を加えて、水酸化物の沈殿を生成させる。このとき、必要により、加熱してもよい。続いて、生成した沈殿をろ別する。ろ別された沈殿は水又はアルコールで洗浄することが好ましい。このようにして得た沈殿に水、アルコール等の溶媒を加え、無機酸又は有機酸を添加し、必要により加熱して調製することができる。
前記ハフニウムアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドに特に制限はないが、炭素数5以下のアルコキシド、具体的には、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド、ペントキシドが好ましい。また、前記ハフニウム塩又はジルコニウム塩としては、ハロゲン化物塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩等を挙げることができ、好適な塩はハロゲン化物塩である。
前記ハフニウムハロゲン化物塩としては、四塩化ハフニウム、四フッ化ハフニウム、四臭化ハフニウム、四ヨウ化ハフニウムを挙げることができる。中でも、四塩化ハフニウムが好ましい。ジルコニウムハロゲン化物塩も、四塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物等、ハフニウムハロゲン化物に準じたハロゲン化物塩を挙げることができる。
前記溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、ビニルアルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン等のケトン、アミン、アミド等を挙げることができ、好ましく用いられる溶媒は、水又はアルコールである。
前記酸としては、無機酸として、塩酸、硝酸及び硫酸等を挙げることができ、好適な無機酸は、硝酸及び硫酸である。また、有機酸としては、炭素数3以下の有機酸が好ましく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸等を挙げることができる。中でも、ギ酸、シュウ酸及びマロン酸が特に好ましい。
また、前記アミン類としては、第1級アミン類、第2級アミン類、第3級アミン類等を挙げることができる。第1級アミン類として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、2−プロペニルアミン、2−メチル−2−プロペニルアミン、2−プロペロイロキシエチルアミン、2−(2−メチルプロペロイロキシ)エチルアミン等を、第2級アミン類としては、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ(2−プロペニル)アミン、ジ(2−メチル−2−プロペニル)アミン、2−プロペニルアミン、2−メチル−2−プロペニルアミン、2−プロペロイロキシエチルアミン、2−(2−メチルプロペロイロキシ)エチルアミンタクリレート)等を、第3級アミン類としては、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチル−2−プロペロイロキシエチルアミン、N,N−ジメチル−2−(2−メチルプロペロイロキシ)エチルアミン、N,N−ジエチル−2−プロペロイロキシエチルアミン、N,N−ジエチル−2−(2−メチルプロペロイロキシ)エチルアミン、N,N−ジメチル−3−プロペロイロキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−(2−メチルプロペロイロキシ)プロピルアミン、N,N−ジエチル−3−プロペロイロキシプロピルアミンN,N−ジエチル−3−(2−メチルプロペロイロキシ)プロピルアミン、N,N−ジメチル−3−(プロペロイルアミノ)プロピルアミン、N,N−ジメチル−3−(2−メチルプロペロイルアミノ)プロピルアミン、N,N−ジエチル−3−(プロペロイルアミノ)プロピルアミン、N,N−ジエチル−3−(2−メチルプロペロイルアミノ)プロピルアミン等を挙げることができる。
さらに、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアリールアンモニウム、水酸化テトラテトラアリールアンモニウム等の第4級アンモニウム化合物をも使用することができる。また、アミン類としては、前記第1級アミン類〜第3級アミン類の塩類をも使用することができる。このようなアミン類は、そのまま使用してもよく、アミン類を含有した水溶液として使用してもよい。
前記ハフニウムアルコキシド溶液もしくはジルコニウムアルコキシド溶液又は前記ハフニウム塩溶液もしくはジルコニウム塩溶液の濃度には、特別な限定はないが、通常は、質量基準で1〜70%、好ましくは、1〜50%である。1%未満では、生成する水酸化物が微粒子となって濾過が困難となり、70%を超えると、水酸化物の凝集が顕著となって、濾過が困難となることがある。
前記ハフニウムアルコキシド溶液又はジルコニウムアルコキシド溶液は、前記アルコキシドと前記溶媒とを混合することにより、また、前記ハフニウム塩溶液又はジルコニウム塩溶液は、前記塩と前記溶媒とを混合することにより、容易に調製することができる。続いて、これら溶液にアンモニア水、アミン類又は水とアミン類との溶液を添加してハフニウム又はジルコニウムの水酸化物を得る。
アンモニア水は、そのアンモニアの好適な濃度が、通常は1〜29質量%である。水とアミン類との溶液を調製するときの条件についても制限はないが、通常は、0〜100℃、好ましくは、10〜50℃で、攪拌、混合して調製される。アミン類の溶液におけるアミン類の濃度は任意である。
このようにして得られたハフニウム又はジルコニウムの水酸化物を濾別し、この水酸化物と水及び/又はアルコール並びに無機酸及び/又は有機酸とを混合することによって、ハフニアゾル又はジルコニアゾルが形成される。この場合、これらの混合順序には特別な制限はない。
例えば、前記水酸化物と水及び/又はアルコール並びに無機酸及び/又は有機酸とを一挙に混合してもよく、前記水酸化物と水及び/又はアルコールとを混合し、次いで、無機酸及び/又は有機酸を混合してもよい。また、前記水酸化物と無機酸及び/又は有機酸とを混合し、次いで、水及び/又はアルコールを混合してもよい。
前記水酸化物と混合する水及び/又はアルコール並びに無機酸及び/又は有機酸の量は、この水酸化物を解膠するに足る量であればよく、前記水酸化物に対し、通常は、質量基準で1〜100倍、好ましくは、1〜50倍である。1倍未満では、ハフニウムイオン又はジルコニウムイオンの濃度が高くなって、解膠が困難となり、100倍を超えると、ゾル中のハフニウムイオン又はジルコニウムイオンの濃度が低くなり好ましくない。
ここにおいて用いられるアルコールには特に制限はないが、炭素数5以下のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2−プロパノール、n-ブタノール、2−メチルプロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール等を挙げることができる。
水及び/又はアルコール並びに無機酸及び/又は有機酸における配合割合に特別の制限はなく、全量を100質量部としたとき、無機酸及び/又は有機酸を、通常は、0.1〜50質量部、好ましくは、0.1〜20質量部とする。
前記配合割合が0.1質量部未満では、水酸化物が解膠しないことがあり、50質量部を超えると、用いる無機酸及び/又は有機酸により、基板表面が損傷することがあるので好ましくない。また、多量の無機酸及び/又は有機酸を用いると、塗布時、それら酸の蒸発によって、環境に悪影響を与えることもあるので好ましくない。
このようにして、ハフニアゾル又はジルコニアゾルが調製されるが、場合によっては、前記水酸化物と水及び/又はアルコール並びに無機酸及び/又は有機酸とを混合するに先立ち、前記水酸化物を水又はアルコールにより洗浄することが好ましい。
この洗浄に用いるアルコールとしては、炭素数5以下のアルコールが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2−プロパノール、n-ブタノール、2−メチルプロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール等を挙げることができる。この洗浄は、前記水酸化物のpHを調整すると共に、水酸化物に付着又は含有した夾雑物や不純物を除去するためである。
(メタ)アクリル酸類としては、例えば、アクリル酸、メタタクリル酸及びクロトン酸等の(メタ)アクリル酸類を挙げることができ、(メタ)アクリレート類としては、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプオピルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート及びジシクロペンタンジエンアクリレート等の単官能アクリレート類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレート等の二官能アクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三官能以上のアクリレート類を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリル酸類が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を構成単位とするポリマーとしては、例えば、前記(メタ)アクリル酸類、前記単官能アクリレート類、前記二官能アクリレート類及び前記三官能以上のアクリレート類の一種又は二種以上を例えば紫外線照射することにより重合して得られるところの、ホモポリマー又はコポリマーであるポリ(メタ)アクリル酸類、及びポリ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これらポリマーの中でもポリ(メタ)アクリル酸類が好ましい。
このような(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類(以下において、「重合性モノマー」と略称することがある。)を構成単位とするポリマー(以下において、「カルボキシル基含有ポリマー」と略称することがある。)が硬化体層中に含まれていると、ハフニア及び/又はジルコニアとカルボキシル基含有重合体中のカルボニル基、及び水酸基等の官能基とハフニウム及び/又はジルコニウムとの配位結合又はそれに類する相互作用が生じ、また、硬化体層中にシランカップリング剤が存在すると、シランカップリング剤中の酸素を含む官能基とハフニウムイオン及び/又はジルコニウムイオンとの配位結合又はそれに類する相互作用が生じていると、考察できる。
また、ビニルエーテル類としては、CH=CHO−の構造を有していればよく、例えば、CHCHOR(式中、Rは、炭素数1以上の、水酸基を含有しても良いアルキル基、又は−(CHCHO)−H(但し、nは1以上、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である)でで表される。CHCHORの例としては、例えば、以下の例を挙げることができる。
ビニルエーテルA:CH2=CH-O-CH2-CH2-OH
ビニルエーテルB:CH2=CH-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-OH
ビニルエーテルC:CH2=CH-O-CH2-CH2-CH2-CH2-OH
は、以上の例で示したように、CH鎖の途中にエーテル結合があっても、なくてもよく、CH鎖の末端には、水酸基がついていることが好ましい。
一方、プラスチックの表面に、プラズマ処理や電子線処理などの表面処理を施すことにより、プラスチック表面の結合が解離してOH基やCO基などの官能基が形成される。これらの官能基とハフニウムイオン及び/又はジルコニウムイオンと配位結合又はそれに類する相互作用が生じ、それによりプラスチック表面と硬化体層との密着性が向上する。同様に、シランカップリング剤のSiと官能基との結合も生じ、それによってもプラスチック表面と硬化体層との密着性が向上する。
プラスチック表面上にプライマー層を形成し、その上に硬化体層を形成すると、各層を塗工する際にプライマー層中の重合性モノマー及びゾル組成物中の重合性モノマーが相互に拡散するので、結果として得られるプライマー層中の重合体が硬化体層中に延在し、また硬化体層中に存在する重合体がプライマー層中に延在するので、プライマー層と硬化体層との密着性が向上し、プライマー層中の重合体とプラスチック表面との密着性が前記理由と同様の理由により向上するから、結果としてプラスチック表面に対する硬化体層の密着性が向上する。
なお、前記硬化体層を紫外線照射により形成する場合、前記重合性モノマーの光重合開始剤をゾル組成物に添加してもよい。この光重合開始剤としては、例えば、イルガキュア651、184、1173、500、2959、754、907、369、819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
プライマー層は、前記重合性モノマーを主成分として含有するプライマー層用組成物をプラスチック表面上に塗布して、硬化処理してなる。
プライマー層で使用する重合性モノマーと、前記硬化体層で使用する重合性モノマーとは、同一であることが好ましい。すなわち、プライマー層で使用する重合性モノマーとして、例えば、アクリル酸を使用した場合、前記硬化体層で使用する重合性モノマーとしてアクリル酸を使用することが好ましい。
また、場合によっては、このプライマー層用組成物は、前記重合性モノマーと共に、この重合性モノマーと共重合可能な、又は共重合しないが単独で重合可能な第2のモノマーを含有していても良い。このような第2のモノマーとして、アクリルアミド、アクリロニトリル等を挙げることができる。このプライマー層用組成物は、重合性モノマーの他には、重合開始剤等を含んでいることが好ましい。
この重合開始剤としては、例えば、イルガキュア651、184、1173、500、2959、754、907、369、819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
このプライマー層用組成物は、重合性モノマーの他に、プラスチック表面への塗布性向上及び/又は定着性向上のため、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、ジオキサン等の溶媒を含んでいることが好ましい。
プラスチック表面、例えば、プラスチック基板にゾル組成物やプライマー用組成物を塗布する前に、プラスチック基板の塗布液に対するぬれ性を向上させておくことが好ましい。ぬれ性を向上させるための前処理としては、プラスチック表面に、プラズマ照射、コロナ放電、電子線照射、火炎処理、クロム酸処理等を施す方法を挙げることができる。
この前処理により、プラスチック表面の結合が解離し、OH基やCO基などの官能基が形成される。これらの官能基とハフニウムイオンおよびまたはジルコニウムイオンと配位結合またはそれに類する相互作用が生じ、それによりプラスチック表面と硬化体層の密着性が向上する。同様に、シランカップリング剤のSiと官能基との結合も生じ、それによってもプラスチック表面と硬化体層の密着性が向上する。さらに、プライマー層用組成物であるアクリル酸とも新たな結合が生じ、プラスチック表面とプライマー層との密着性が向上する。
プラスチック表面に前記プライマー層用組成物を塗布する方法としては、例えば、前記プライマー層用組成物中にプラスチック表面を浸漬し、これをゆっくりと引き上げるディップ法、固定されたプラスチック表面上に前記プライマー層用組成物を流延する流延法、前記プライマー層用組成物の貯留された槽の一端から前記プライマー層用組成物にプラスチック表面を浸漬し、槽の他端からプラスチック表面を取り出す連続法、回転するプラスチック表面上に前記プライマー層用組成物を滴下し、プラスチック表面に作用する遠心力によって前記プライマー層用組成物をプラスチック表面上に流延するスピンナー法、プラスチック表面に前記プライマー層用組成物を吹き付けるスプレー法及びフローコート法等を挙げることができる。
一方、この発明における硬質膜においては、前記硬化体層及びプライマー層は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
この発明におけるシランカップリング剤としては、官能基を有するシラン化合物を挙げることができ、前記官能基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、メタクリロキシル基、アルコキシル基、グリシジル基、ビニル基等を挙げることができる。
このようなシランカップリング剤の中でも、一般式、R lmSiR2 n(式中、Rはアルキル基を、Xはアルコキシ基又はハロゲン化物イオンを、R2は有機官能基を有するアルキル基を示し、l、m及びnは0、1、2、3又は4であり、l+m+nは4である。)で表されるシラン化合物が好ましい。Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
2で示されるアルキル基に結合する有機官能基としては、−Y−Z(ただし、Yは単結合、又は炭素数が1〜3のアルキレン結合を示し、Zはビニル基、エポキシ基、グリシジル基、−C(CH)=CH、−NH、−CHCl、−SH、グリシジルオキシ基、1−メチルビニルカルボオキシ基、2−アミノ−エチルアミノ基、3、4−エポキシシクロヘキシル基等である。)で示される基を挙げることができ、特にビニル基、エポキシ基、グリシジル基、1−メチルビニル基、アミノ基、クロロメチル基、メルカプト基、グリシジルオキシプロピル基、1−メチル−ビニルカルボオキシプロピル基、2−アミノ−エチルアミノプロピル基等を好適例として挙げることができる。
このようなシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリヒドロキシシリルメチルホスホネートナトリウム塩、ニトクロトリス(メチレン)トリホスホン酸、トリス(トリメチルシリル)ホスフエート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ジエチルホスフエートエチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
薄膜は、前記硬化体層の表面に形成されたところのシラン化合物を硬化してなる。
シラン化合物は、(CY−(Re−Si−(R(ただし、Yは水素原子又はフッ素原子であり、3個のYは同一であっても相違していても良い。Rは、メチレン基及び/又はフルオロメチレン基であり、dは1〜20の整数であり、Rは、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、g個のRは同一であっても相違していても良い。eとgとは共に整数であり、eとgとの合計は4である。)で示される構造を有する。
シラン化合物におけるCYとしては、CH、CF、CF、及びCFを挙げることができる。シラン化合物におけるCYとしては、この中でもCH又はCFが好ましい。
は、メチレン基及び/又はフルオロメチレン基であり、メチレン基のみからなってもよく、フルオロメチレン基のみからなってもよく、メチレン基及びフルオロメチレン基の両方を有していてもよい。
は、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等を挙げることができる。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等を挙げることができる。さらに、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
上記に説明したシラン化合物としては、例えば、シラン化合物A(CH3(CH2)16CH2-SiCl3)及びシラン化合物B(CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC2H5)3)等を挙げることができる。
シラン化合物を硬化する方法としては、加熱による硬化処理を挙げることができる。
以下、この発明の硬質膜をプラスチック表面に形成する方法について説明する。
この発明の硬質膜の製造方法は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに前記重合性モノマーを含有するゾル組成物を調製し、次いで、調製された前記ゾル組成物をプラスチック表面に塗布した後、前記プラスチック表面に塗布されたゾル組成物を硬化処理する方法である。
また、この発明の硬質膜の製造方法は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに重合性モノマーを含有するゾル組成物を調製し、次いで、プラスチック表面にプライマー塗布層を形成し、調製された前記ゾル組成物を前記プライマー塗布層上に塗布してゾル組成物層を形成した後、前記プラスチック表面に積層形成されたプライマー塗布層及びゾル組成物層を硬化処理する方法である。
さらに、この発明の硬質膜の製造方法は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに重合性モノマーを含有するゾル組成物を調製し、次いで、プラスチック表面にプライマー塗布層を形成し、前記プライマー塗布層を硬化してプライマー層を形成した後、調製された前記ゾル組成物を前記プライマー層上に塗布してゾル組成物層を形成した後、ゾル組成物層を硬化処理する方法である。
また、この発明の硬質膜の製造方法は、前記プライマー層及びゾル組成物層を硬化処理してなる硬化体層を形成した後、前記シラン化合物を含有する薄膜用組成物を硬化体層上に塗布して薄膜塗布層を形成した後、この薄膜塗布層を硬化処理する方法である。
この発明の硬質膜の製造方法においては、まず、ゾル組成物が調製される。このゾル組成物は、ハフニアゾル及び/又はジルコニアゾルと、重合性モノマーとを混合して調製される。また、このゾル組成物には、シランカップリング剤を混合しても良い。
前記ゾル組成物を調製する際の前記各成分の配合割合に特に制限はないが、ハフニアゾル又はジルコニアゾルを100質量部としたとき、例えば、シランカップリング剤を通常は1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部、重合性モノマーを通常は1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部の範囲内で配合される。前記ゾル組成物を調製する際の前記各成分の混合条件についても制限はなく、通常は10〜90℃で0.1〜10時間、撹拌して混合される。
次いで、このようにして調製されたゾル組成物をプラスチック表面に塗布する。プラスチックについては既述した。
プラスチック表面に前記ゾル組成物を塗布する方法としては、例えば、ゾル組成物中に基板を浸漬し、これをゆっくりと引き上げるディップ法、固定されたプラスチック表面上にゾル組成物を流延する流延法、ゾル組成物の貯留された槽の一端からゾル組成物にプラスチックを浸漬し、槽の他端からプラスチックを取り出す連続法、回転するプラスチック表面上にゾル組成物を滴下し、プラスチック表面に作用する遠心力によってゾル組成物をプラスチック表面上に流延するスピンナー法、プラスチック表面にゾル組成物を吹き付けるスプレー法及びフローコート法等を挙げることができる。
プラスチック表面にゾル組成物を塗布するに当っては、上記したような前処理を施すことが好ましく、その他に、脱脂剤を用いてプラスチック表面を脱脂処理をしてもよい。この脱脂剤としては、塩基性の化合物を含有する脱脂剤が好適であり、この塩基性の化合物として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びホウ酸ナトリウム等を挙げることができる。
前記脱脂剤としては、市販のアルカリ性クリーナ、例えば、アトテックジャパン(株)から市販されているクリーナーE33(商品名)、大同化学工業(株)から市販されているダイクリーナー(商品名)、メルテックス(株)から市販されているクリーナーS−61(商品名)、エンボンドCA−S(商品名)、エンボンドQ−547(商品名)及びクリーナー160(商品名)、奥野製薬工業(株)から市販されているトップクリーン(商品名)、トップクリーナー(商品名)及びエースクリーン(商品名)等を容易に入手することができる。
これら脱脂剤は、溶媒に溶解させた溶液として用いられ、溶媒としては、通常、水が用いられる。前記脱脂剤を含有する溶液における前記脱脂剤の濃度は、通常、0.1〜60質量%である。
脱脂処理の態様及び条件に特別な制限はなく、例えば、プラスチック表面を前記脱脂剤を含有する溶液で拭き払う手段を採用することができ、また、プラスチック表面を前記脱脂剤を含有する溶液中に浸漬し、1〜5分間、好ましくは30〜60℃に加熱して、撹拌することによって脱脂処理することができる。
その後、水洗し、乾燥する。脱脂処理の際、電解処理を伴っていてもよい。プラスチック表面に塗布するゾル組成物の塗布量は、ゾル組成物の粘度やその他の条件により異なる。1回の塗布では所定の厚さの薄膜が得られない場合は、塗布を繰り返すこともできる。
続いて、前記プラスチック表面に塗布されたゾル組成物を硬化処理することによって、プラスチック表面に硬質体層を形成する。この硬化処理は、電磁波照射、好ましくは紫外線照射による硬化処理であってもよく、加熱による硬化処理であってもよい。また、加熱しながら電磁波を照射しても良い。紫外線照射による硬化処理に際して、照射する紫外線の光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、エキシマレーザー、Nd:YAGレーザー等を使用することができる。これらを使用することにより、紫外線を廉価に照射することができる。照射時間は、1分〜1時間である。
プラスチック表面に塗布されたゾル組成物を加熱処理によって硬化する場合、その加熱処理条件は、通常は、50〜300℃、好ましくは、50〜200℃、0.1分〜5時間、好ましくは、0.1分〜1時間である。加熱手段に制限はなく、電気炉を用いる手段、熱風を吹き付ける手段、加熱気体内に据置する手段等が採用される。得られる硬質膜の厚さは、プラスチックの種類、適用対象物に応じて適宜、決定することができるが、通常、10nm〜1000μmの範囲から選ばれる。前記硬化処理は、紫外線照射処理と加熱処理とを組み合わせて行ってもよい。このときの処理工程の順序は任意である。
ここで、硬質膜の塗布性の評価方法としては、塗布後の外観観察により行う。平坦であれば、より良好であり、ムラがなければ、良好であり、ムラがあれば不良であると判定する。
一方、硬質膜の硬度の評価方法として、実用的には擦り傷耐性を試験することが有効である。擦り傷耐性の試験は、鋭利なまたは柔軟な表面を持つもの、たとえばスチールウール、紙ヤスリ、麻布、綿布、紙などを硬質膜に一定の荷重をかけて一定回数擦り、その後の硬質膜表面の状態を目視などにより判定する方法である。たとえば、麻布地を用いた試験では1〜2kgの荷重をかけて硬質膜表面を10〜20回程度往復させることにより、判定することができる。
また、スチールウールを用いた試験では0000番のスチールウールを用いて荷重100〜500gで、1〜20回程度往復させることにより判定できる。綿布を用いる場合には、荷重は0.5〜数kg程度とし数10万回往復させることにより判定できる。
なお、硬質膜が、前記プラスチック表面及び前記硬化体層の間に形成されてなるプライマー層を有する場合には、前記硬化体層の形成の前に前記プライマー層を基板上に形成する。プライマー層の成分、塗布方法は、上記と同様であり、塗布後の硬化処理は、上記の硬化処理方法と同様である。そして、前記プライマー層をプラスチック表面上に形成した後に、前記硬化体層をプライマー層上に形成する。また、プライマー層は、ゾル組成物を塗布する前に、上記した前処理(プラズマ照射、コロナ放電、電子線照射、火炎処理、クロム酸処理等)を施しても良い。
さらに、硬質膜が、前記プライマー層及び前記硬化体層の上に、シラン化合物を硬化してなる薄膜を有する場合には、前記プライマー層及び前記硬化体層を形成した後、薄膜を形成する。薄膜の成分は、上記と同様である。また、塗布方法としては、ゾル組成物を塗布する方法と同様にして、薄膜の原料を用いるディップ法、流延法、連続法、スピンナー法、スプレー法、及びフローコート法等を挙げることができる。
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。
参考例1〜3、実施例1〜7、比較例1〜2)
〔基板の前処理〕
ポリカーボネート(PC)基板は、厚さ3mmであり、5cm角にカットされたポリカエースECK100(クリア)(筒中プラスチック工業(株)製)を用いた。この基板表面の洗浄のためエタノールでリンスをし、その後純水でリンスをした後、窒素ガスによるエアガンで水滴を除去し乾燥させた。ついで、プラズマ照射を行った。
プラズマ照射装置は、プラズマトリートFG1001(日本プラズマトリート(株))を使用し、ドライエアー供給量は、2m/hであり、照射幅は約20mmであった。プラズマ照射時の電圧は218〜222V、電流は5.6〜5.7Vであった。
〔ギ酸を含むハフニアゾルの調製〕
四塩化ハフニウム5.44gを窒素雰囲気下、水32g(1.787モル)に溶解した。この溶液に、29%アンモニア水をpH9.0になるまで添加し、沈澱物(水酸化ハフニウム)を得た。この沈澱物を濾別し、純水により濾液がpH7になるまで洗浄した。洗浄した沈澱物をビーカーに採り、純水32gを加え、20mlのギ酸を添加して、85℃で3時間、加熱撹拌した。その後、室温まで冷却して、ハフニアゾルを調製した。
〔シュウ酸を含むハフニアゾルの調製〕
四塩化ハフニウム5.44gを窒素雰囲気下、水32g(1.787モル)に溶解した。この溶液に、29%アンモニア水をpH9.0になるまで添加し、沈澱物(水酸化ハフニウム)を得た。この沈澱物を濾別し、純水により濾液がpH7になるまで洗浄した。洗浄した沈澱物をビーカーに採り、純水32g及びシュウ酸二水和物3gを添加した。80℃で1時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、ハフニアゾルを調製した。なお、このシュウ酸を含むハフニアゾルは、塗布する際に、同量の純水で希釈した。なお、pH値は、HORIBAカニスターACT pHメーターD−21(株式会社堀場製作所製)で測定した。
〔プライマー層の塗布液の調製〕
プライマー層の主成分として、重合性モノマーであるアクリル酸(以下、明細書、及び表中、AAと略す場合がある。)を用いた。アクリル酸(AA)は、東亜合成株式会社製を使用した。また、重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
、イルガキュア2959(2−ヒドロキシ−4`−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン)を用いた。
アクリル酸(AA)10gに対して、イルガキュア2959 0.5g(すなわち、5質量%)添加し、20分間攪拌した。実施例によっては、PC基板表面の極薄領域を変性させて密着性を向上させるため、メチルエチルケトン(MEK)を添加した。また、この添加の際にイソプロピルアルコール(IPA)も添加した。MEKの水に対する溶解性が小さいため、IPAを共存させるためである。MEK及びIPAの添加量は、両方とも、2gであった。
〔プライマー層の形成〕
PC基板上に上記の手順で調製したプライマー層の塗布液をスプレー法で塗布した。
塗布されたPC基板に対して、紫外線照射を行った。光源は、高圧水銀灯(H1000L、1kW、東芝ライテック(株)製)を用いた。塗布されたPC基板に対して、光源より9cmの距離で照射した。紫外線照射時間は、1分30秒であった。
〔硬化体層の塗布液の調製〕
上記ギ酸を含むハフニアゾル、及び上記シュウ酸を含むハフニアゾルに対して、各実施例、参考例に応じて、アクリル酸(AA)、イルガキュア2959、及びシランカップリング剤を添加し、硬化体層の塗布液を作成した。
なお、アクリル酸(AA)は、ハフニウム(Hf)に対して2当量又は8当量添加した。さらに、イルガキュア2959は、それぞれ添加したアクリル酸(AA)の5質量%添加した。また、シランカップリング剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE 東芝シリコン株式会社 商品名 TSL8350)を用いた。このシランカップリング剤ハフニウム(Hf)に対して3当量添加した。
〔硬化体層の形成〕
PC基板上又は上記プライマー層上に上記の手順で調製した硬化体層の塗布液をスピンナー法(500rpm/5秒ついで2000rpm/30秒)で塗布した。なお、プライマー層上に硬化体層を形成する場合には、上記基板の前処理と同様にして、プライマー層表面の前処理を行った。
硬化体層の塗布液が塗布されたPC基板に対して、紫外線照射を行った。光源は、高圧水銀灯(H1000L、1kW、東芝ライテック(株)製)を用いた。硬化体層の塗布液が塗布されたPC基板に対して、光源より9cmの距離で照射した。紫外線照射時間は、1分30秒であった。
上記のように紫外線照射された試料を定温恒温器(ヤマト科学株式会社製 DNF44)を用いて、100℃、1時間加熱した。
上記のような手順で、表1に示すように各条件を変えて基板上に、硬質膜を形成した。また、硬質膜の塗布性及び硬度の評価を表1に示した。
Figure 0005173119

*ギ酸またはシュウ酸を使用
例えば、表1において、実施例では、硬化体層については、ハフニアゾル中にギ酸を含んでいる。また、アクリル酸(AA)は、ハフニウム(Hf)に対して2当量添加されている。さらに、イルガキュア2959も添加されている。
次に、プライマー層については、アクリル酸(AA)を10g使用し、シランカップリング剤がアクリル酸に対して3当量添加されている。また、イルガキュア2959も添加されている。さらに、メチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)も添加されている。
〔評価〕
硬質膜の塗布性の評価方法としては、塗布後の外観観察により行った。表1中、◎は、より良好であり、○は良好であり、×は不良であることを示す。
硬質膜の硬度評価法として二つの方法で評価した。第1の評価法(硬度(1))は、麻布地を用い硬質膜上で1kgの荷重をかけて10往復させた。この麻布地試験により硬質膜に傷が生じるがそれを目視により5段階に分けて評価した。
すなわち、
5:まったく傷がつかない
4:若干傷がつく
3:やや傷がつくものの実用的には問題がない
2:傷が目視ではっきりと見える
1:多くの傷がつく
3以上を良好と判断した。
第2の評価方法(硬度(2))は、0000番のスチールウールを用い、硬質膜上で200gの荷重をかけて5往復させた。このスチールウール試験により硬質膜に傷が生じるがそれを目視により5段階に分けて評価した。
すなわち、
5:0〜5本の浅い傷が観察される
4:5〜10本の浅い傷が観察される
3:10〜15本の浅い傷が観察されるものの実用的には問題がない
2:15本以上の傷が目視ではっきりと見える
1:多くの傷がつく
(実施例8〜11
実施例1,2,6およびにおいて用いられたアクリル酸に代えて、メタクリル酸(MAA)を用いた他は実施例1,2,6およびと同様に行った(実施例8〜11)。結果を表2に示す。なお、表2中の記号は、表1中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119
*ギ酸またはシュウ酸を使用
参考例4、実施例12〜14
以下の処方によりギ酸を含むジルコニアゾルを調製した。
(ジルコニアゾルの調製)
酸化塩化ジルコニウム八水和物 5.48gをHO 32g中に溶解した。この溶液に29%アンモニア水pH9.0になるまで(約5ml)添加し、沈殿物(水酸化ジルコニウム)をろ別し、純水でろ液がpH7になるまで洗浄した。洗浄済みの沈殿物をビーカーに移し純水32gを加え、HCOOHをpH1.0になるまで(約22ml)添加した。この溶液を80〜90℃で3時間加熱攪拌した。室温まで冷却後ジルコニアゾルを得た。
参考例1,実施例1および5のハフニアゾルに代えて、ジルコニアゾルを同等量用いた他は、参考例1、実施例1、実施例2および実施例5とそれぞれ同様に行った(参考例4、実施例12〜14)。また、比較例1のハフニアゾルに代えてジルコニアゾルを用いて行った(比較例3)。結果を表3に示す。なお、表3中の記号は、表1中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119
(実施例15〜21
実施例1〜7におけるのと同じ成分を用いて、PC基板上にプライマー層の塗布液をスプレー法で塗布し、次いで、硬化体層の塗布液をスプレー法で塗布し、紫外線照射を行ったほかは、実施例1〜7と同様にして行った。結果を表4に示す。なお、表4中の記号は、表1中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119

*ギ酸またはシュウ酸を使用
(実施例22〜25
上記実施例におけるのと同様の組成を有するプライマー層の上に、以下の表5に示される組成を有する硬化体層を作製した。それらの塗布性,硬度(1)および硬度(2)の評価を実施例と同様に行った。結果を表5に示す。なお、表5中の記号は、表1中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119

*ギ酸またはシュウ酸を使用
(実施例26〜31)
上記実施例におけるのと同様の組成を有するプライマー層の上に、以下の表6に示される組成を有する硬化体層を作製した。それらの塗布性,硬度(1)および硬度(2)の評価を実施例と同様に行った。ビニルエーテル化合物A,B,Cはいずれも丸善石油化学社製を用いた。結果を表6に示す。なお、表6中の記号は、表1中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119

*ギ酸またはシュウ酸を使用
表6中、重合性モノマーとしてのビニルエーテルは、それぞれ以下の構造を有する。
ビニルエーテルA:CH2=CH-O-CH2-CH2-OH
ビニルエーテルB:CH2=CH-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-OH
ビニルエーテルC:CH2=CH-O-CH2-CH2-CH2-CH2-OH
(実施例32〜33)
上記実施例におけるのと同様の組成を有するプライマー層の上に、以下の表7に示される組成を有する硬化体層を作製した。その後、シラン化合物A(CH3(CH2)16CH2-SiCl3)の1質量%エタノール溶液に室温で2分間浸漬し、引き上げた後、100℃で、30分加熱処理した。それらの塗布性、硬度(1)および硬度(2)の評価を実施例と同様に行った。結果を表7に示す。なお、表7中の記号は、表1中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119

*ギ酸またはシュウ酸を使用
(実施例34〜35
上記実施例におけるのと同様の組成を有するプライマー層の上に、以下の表8に示される組成を有する硬化体層を作製した。その後、シラン化合物B(CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC2H5)3)の1質量%エタノール溶液に室温で2分間浸漬し、引き上げた後、100℃で、30分加熱処理した。それらの塗布性、硬度(1)および硬度(2)の評価を実施例と同様に行った。結果を表8に示す。なお、表8中の記号は、表1、2中の記号と同じ意味を有する。
Figure 0005173119

*ギ酸またはシュウ酸を使用

Claims (7)

  1. プラスチック表面上に形成されてなる硬質膜であって、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物を硬化させて成る硬化体層と、前記プラスチック表面及び前記硬化体層の間に、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーを硬化してなるプライマー層とを有することを特徴とする硬質膜。
  2. プラスチック表面上に形成されてなる硬質膜であって、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物を硬化させて成る硬化体層と、前記プラスチック表面及び前記硬化体層の間に形成されたところの、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーを硬化してなるプライマー層と、前記硬化体層の表面に形成されたところの、(CY −(R e −Si−(R (ただし、Yは水素原子又はフッ素原子であり、3個のYは同一であっても相違していても良い。R は、メチレン基及び/又はフルオロメチレン基であり、dは1〜20の整数であり、R は、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、g個のR は同一であっても相違していても良い。eとgとは共に整数であり、eとgとの合計は4である。)で示されるシラン化合物を硬化してなる薄膜とを有することを特徴とする硬質膜。
  3. 前記ゾル組成物は、シランカップリング剤及び/又は前記請求項2に記載のシラン化合物をさらに含有する請求項1又は2に記載の硬質膜。
  4. 前記プライマーは、シランカップリング剤を含有して成る請求項2又は3に記載の硬質膜。
  5. 前記シランカップリング剤が、一般式、R l m SiR 2 n (式中、R はアルキル基を、Xはアルコキシ基又はハロゲン化物イオンを、R 2 は有機官能基を有するアルキル基を示し、l、m及びnは0、1、2、3又は4であり、l+m+nは4である。)で表されるシラン化合物である請求項3又は請求項4に記載の硬質膜。
  6. (メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマー層用組成物と、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物と、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーとを用いて、プラスチック表面に、プライマー層および硬化体層それぞれをこの順に形成することを特徴とする硬質膜の製造方法。
  7. (メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマー層用組成物と、ハフニウム及び/又はジルコニウムの水酸化物の沈殿に溶媒と有機酸とを加えることにより生成したハフニアゾル及び/又はジルコニアゾル並びに(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリレート類(但し、芳香族臭素化(メタ)アクリレート化合物、一分子中にグリシジル基と(メタ)アクリレート基とを同時に有するエポキシ(メタ)アクリレート、及び脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)、及びビニルエーテル類よりなる群から選択される少なくとも一種の重合性モノマーを含有するゾル組成物と、重合性モノマーである(メタ)アクリル酸類及び/又は(メタ)アクリレート類を含有するプライマーと、前記請求項2に記載のシラン化合物を含有する薄膜用組成物とを用いて、プラスチック表面に、プライマー層、硬化体層及び薄膜それぞれをこの順に形成することを特徴とする硬質膜の製造方法。
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