本発明における請求項1記載の発明は、第1の筐体と、前記第1の筐体に回動部を介して回動可能に結合され、投射口より画像を投射する第2の筐体と、前記第2の筐体に吸気口と排気口とを有し、前記吸気口と前記排気口を結んで前記第2の筐体内に形成される冷却風路と、前記第2の筐体内において前記吸気口から空気を取り入れて前記排気口から空気を排気して冷却を行う冷却手段である送風機と、前記冷却風路上に、その放熱部が配置される第1、第2、第3のレーザ光源とを備え、前記第1乃至第3のレーザ光源のうち、最も温度特性の良い前記第3のレーザ光源の放熱部を、前記第1および第2のレーザ光源の放熱部よりも、前記冷却風路の下流側に配置し、前記第2の筐体は、前記第1乃至第3のレーザ光源を保持しこれらレーザ光源の熱が伝熱される本体筐体を備える構成とする画像表示装置に関する。
本発明における請求項1記載の発明によれば、送風機は第1のレーザ光源と第2のレーザ光源との放熱部の熱を、第3のレーザ光源の放熱部の熱を吸収する前に、吸収するので、第3のレーザ光源に比較して温度特性の悪い第1及び第2のレーザ光源の放熱部を効率的に冷却することができる。これにより、第1及び第2のレーザ光源の放熱は特に促進され、第1、第2のレーザ光源の温度上昇は特に抑制される。これにより、画像表示装置が長時間にわたって使用されても第1及び第2のレーザ光源の出力低下は抑制されるため、3色のレーザ光の出力を安定して得ることができる。また、吸入口と送風機を画像表示装置本体と一体の筐体内に搭載したので外気をロス無く効率良く放熱に利用できるし、冷却風路が短縮できるため各レーザ光源の放熱部の放熱も良好に行うことができる。したがって、画像表示装置が投射する画像の画質劣化を抑制することができる。
以下、本発明の画像表示装置について図面を用いて説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であり、技術的に良好な条件の限定が記載されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する記載が無い限り、これらの条件に限られるものでは無い。
(実施例1)
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
まず、画像表示装置本体の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施例における画像表示装置本体の概略斜視図である。
図1において、画像表示装置本体100はレーザ光を光源とし、スクリーンに拡大化して投影する。画像表示装置本体100の光源は緑色レーザ光源装置1(第1のレーザ光源)と、赤色レーザ光源装置2(第2のレーザ光源)と、青色レーザ光源装置3(第3のレーザ光源)との3つであり、3色のレーザ光源装置1〜3によって画像を表示する。
緑色レーザ光源装置1は非可視光である赤外基本レーザ光を半波長に変換することで、主として緑色レーザ光を出力する。緑色レーザホルダ1aは緑色レーザ光源装置の筐体であると共に、緑色レーザホルダ1aに格納される各素子(例えば、赤外基本レーザ光を出力する半導体レーザ(第1のレーザ素子)等)を固定する。
赤色レーザ光源装置2は赤色レーザ光を出力し、赤色レーザホルダ2aを筐体とする。赤色レーザホルダ2aは赤色レーザ光を出力する半導体レーザ(第2のレーザ素子)を保持する。
青色レーザ光源装置3は青色レーザ光を出力し、青色レーザホルダ3aを筐体とする。青色レーザホルダ3aは青色レーザ光を出力する半導体レーザ(第3のレーザ素子)を保持する。
ここで、緑色レーザ光源装置1、赤色レーザ光源装置2、青色レーザ光源装置3の配置について詳細に説明する。青色レーザ光源装置3は、本体筐体200における投射レンズ4を保持した面に設け、青色レーザ光源装置3からのレーザ光を本体筐体200の内部に導いている。
また、投射レンズ4、青色レーザ光源装置3が設けられている面に垂直かつ、青色レーザ光源装置3が設けられている側の面に、緑色レーザ光源装置1、赤色レーザ光源2を設けている。
ここで、本体筐体200は、投射レンズ4、青色レーザ光源装置3が設けられている面を緑色レーザ光源装置1が設けられている方に延長するように突起部201を設けている。つまり、本体筐体200の角部に突起部201を本体筐体200と一体化して設けている。なお、突起部201は、本体筐体200と別部材で設けても良いが、一体で設けることで放熱を行いやすくなり好ましい。
また、緑色レーザ光源装置1の内部にあるSHG(Second harmonic generation)素子、半導体レーザ等の素子を固定している緑色レーザホルダ1aの固定面1bを上記突起部201の面201aに接するようにしている。面201aは突起部201における固定面1bと接する面である。
また、緑色レーザ光源装置1は、本体筐体200の面202に直接熱を伝えないようにするため本体筐体200の面202には接しておらず、所定の隙間(本実施例では、0.5mm以下)を設けてあり、さらに赤色レーザ光源装置2とは、赤色レーザ光源装置2の光軸調整幅を0.3mm程度必要であったため、緑色レーザ光源装置1と赤色レーザ光源装置2の隙間は0.3mm以上を設けてある。
なお、本実施例において所定の隙間を0.5mm以下としたのは、所定の隙間を大きくとると画像表示装置全体が大きくなったり、また緑色レーザ光源装置1とコリメータレンズ(図示せず)との距離が大きくなり、コリメータレンズに到達する前に緑色レーザ光が拡散し、光の利用効率が悪くなるためである。
こうすることで、後述するが緑色レーザ光源装置1からの熱を、赤色レーザ光源装置2に伝わりにくくすることができ、温度特性の悪い赤色レーザ光源装置2を安定的に使用することができる。
光路誘導手段としてのダイクロイックミラー5および光路誘導手段としてのダイクロイックミラー6は表面に所定の波長のレーザ光を透過あるいは反射させるための膜を形成して構成される。
7はフィールドレンズであり、拡散されたレーザ光を収束レーザに変換する。8はPBS(Polarized Beam Spritter)であり、各色レーザ光を反射させ、空間変調素子9に当てる。
空間変調素子9は、各色レーザ光の偏向を調整し、画像形成を行う。今回使用した空間変調素子9は反射型の液晶である。
そして、投射レンズ4を通過して、大画面の画像を投射する。
また、各色レーザ光源装置1〜3からの各色レーザ光は各コリメータレンズによってそれぞれ平行光束され、平行光束された各色レーザ光はダイクロイックミラー5および6によって拡散板に導かれ、拡散板、フィールドレンズ7、PBS8の順に介し、空間変調素子9で反射し、投射レンズ4によって拡大化されてスクリーン上に投影される。
図2は、本発明の実施例における画像表示装置のチルト状態の概略斜視図である。図2に示すように、画像表示装置10は固定部20とチルト部30とにより構成されている。チルト部30はヒンジ部(回動軸)25を軸にして固定部20に対して回動可能である。すなわち、チルト部30は、画像表示装置本体100からの画像の投射方向および冷却ファン23(図3参照)による冷却風の吸気方向A(図3参照)に対して垂直となる軸を中心に回動可能であり、投射レンズ4の投射角度が調節可能である。ヒンジ部(回動軸)25を中心として冷却ファン23(図3参照)と画像表示装置本体100(図1、図3参照)等を搭載したチルト部30は上下方向に回動する。このため、投射レンズ4によって投射された画像が画像表示装置10の設置面に反射することを抑制することができる。
次に図3〜図5を用いて、画像表示装置10の内部構成の概要について説明する。
図3は、本発明の実施例における画像表示装置の内部構成を示す概略斜視図である。図3に示すように、チルト部30には、図1を用いて説明した画像表示装置本体100、冷却ファン23やフィン等が格納されている。なお、図3〜図5に示す冷却ファン23は、円筒部内に図示しない送風ファンを有している。
チルト部30の上面21には複数の吸気口21aが設けられている。そして、チルト部30の側面31には、複数の排気口31aが設けられ、チルト部30の側面32には、複数の排気口32aが設けられている。また、チルト部30の側面31には、画像を投射するための投射口33が設けられ、投射レンズ4はこの投射口33より画像表示装置10の外部に露出する。この冷却ファン23から放出される空気を冷却空気として、以下説明する。
チルト部30に格納される冷却ファン23は冷却空気を吸引および放出し、画像表示装置10の内部の放熱を促進する。冷却ファン23は電源供給されると回転し、複数の吸気口21a側より画像表示装置10の外部から冷却空気を取り入れ、矢印Aの方向へ冷却空気を送る。この冷却空気は冷却ファン23とフィン34の底面34b(図4参照)との間の空間から排気口31aおよび32aへと流れて行き、排気口31aおよび32aより排気される。チルト部30に格納される各色レーザ光源装置1〜3の放熱部はこの冷却空気の冷却風路上に配置されているため、各色レーザ光源装置1〜3からの放熱は促進される。ここで、冷却風路の吸気口21a側を上流とし、冷却風路の排気口31aおよび32a側を下流とする。
なお、本実施例1において、吸気口21a、排気口31aおよび32aはそれぞれ複数設けられているが、単数でも良い。吸気口21aと排気口31aおよび32aの形状は円形でも楕円形でも多角形でも良く、特に限定するものでは無い。
また、本実施例1ではチルト部30の上面に吸気口21aを設けているが、チルト部30の下面に吸気口を設けて、冷却ファンの取り付けおよびフィンの形状を変えて必要な冷却風路を構成しても良い。
冷却ファン23は吸気口21aの下(吸気口21aの垂直方向)に配置され、フィン34の底面34b(図4参照)と間隔を空けるように吸気口21aが設けてある面に取り付けられている。すなわち、冷却ファンは吸気口21aとフィン34の底面34bとの間に取り付けられている。
図4は、本発明の実施例における画像表示装置の内部組立を示す概略組立図である。赤色レーザ光源装置2は各色レーザ光源装置1〜3(図1参照)の中で一般的に最も温度特性が悪い。フィン34は熱伝導性の高い部材で形成され、赤色レーザ光源装置2の放熱部であり、赤色レーザ光源装置2の放熱を補助する。フィン34は赤色レーザ光源装置2に接続して設けられるため、赤色レーザ光源装置2の発熱はフィン34に伝熱する。フィン34は冷却ファン23より放出される冷却空気によって冷却される。これにより、赤色レーザ光源装置2の放熱を促進することができる。また、フィン34は放熱面積(表面積)が大きくなるような構造であり、冷却ファン23からの冷却空気をより広い面積で受けることができる。このため、赤色レーザ光源装置2の放熱性を向上させることができる。
フィン34の本体34aはL字型の形状をしており、フィン底面34bと、赤色レーザホルダ2aへの取付部34cとにより構成される。取付部34cは赤色レーザホルダ2aに密着するように取り付けられ、赤色レーザホルダ2aに取り付けられた赤色レーザ光源装置の放熱を兼ねている。
フィン底面34bは図示しない導電性シート等を介して図3に示すチルト部30の筐体底部に接している。そのため、図4に示す赤色レーザホルダ2aに取り付けられた赤色レーザ光源装置において発生する熱は、図3の冷却ファン23によって送り込まれる冷却空気によって放熱されるだけで無く、チルト部30の筐体底部を介して、外部へと放熱される。このため、赤色レーザ光源装置2の放熱性をさらに向上させることができる。
なお、図4には図示していないが、フィン底面34bの端部には、図3に示すように、冷却ファン23の側面のうち、画像表示装置本体100に面していない側面に相対する側壁をさらに設けても良い。この場合には、図4に示す赤色レーザホルダ2aに取り付けられた赤色レーザ光源装置において発生し、フィン34の取付部34cおよびフィン底面34bを介して図3に示すフィン34の側壁にまで伝導した熱が、冷却ファン23から送風される冷却空気により放熱される。すなわち、図4に示す赤色レーザ光源装置のさらなる放熱の促進が期待できる。
また、赤色レーザホルダ2aとフィン34とは別体としたが、熱伝導性を向上させるために一体化しても良い。一体化することにより、赤色レーザ光源装置2は放熱を行いやすくなる。このように、外気を赤色レーザ光源装置2の放熱部であるフィン34に直接導く構成になっているので、より効果的に放熱を行うことができる。
図5は、本発明の実施例における画像表示装置の冷却風路の一例を示す図である。図3において冷却ファン23により複数の吸気口21aを介して画像表示装置10の外部から矢印Aの方向へ取り込まれた冷却空気は、図5に示すように、矢印B〜矢印C〜矢印Dへの流路と、および矢印Eへの流路とに分かれる。
先ほども説明したように、フィン34は赤色レーザ光源装置2の放熱部であり、赤色レーザ光源装置2の放熱を補助する。そして、フィン35は熱伝導性の高い部材で形成され、緑色レーザ光源装置1の放熱部であり、緑色レーザ光源装置1の放熱を補助する。さらに、フィン35も同様に放熱面積(表面積)が大きくなるような構造であり、緑色レーザ光源装置1の放熱性を向上させることができる。以上より、フィン35は緑色レーザ光源装置1の放熱を促進する。
フィン36は熱伝導性の高い部材で形成され、画像表示装置本体100の(特に、各色レーザ光源装置1〜3)の放熱部であり、画像表示装置本体100の放熱を補助する。フィン36は高段部36aと低段部36bとを備え、段差が設けられる階段構造である。低段部36bは画像表示装置本体100(例えば、空間変調素子9)に電気的に接続するためのスペースを確保するために設けられる。なお、空間変調素子9は制御基板22と電気的に接続することにより、制御基板22は空間変調素子9を制御できる。これにより、PC300が出力したい画像を形成することができる。すなわち、画像表示装置本体100はPC300が出力したい画像を投射することができる。
高段部36aの画像表示装置本体100側の面は全て本体筐体200に接する。一方、低段部36bの画像表示装置本体100側の面は少なくとも一部が本体筐体200に接し、この接する面は高段部36a側である。
このように、低段部36bと本体筐体200とが接する面を限定したのは、空間変調素子9を積極的に冷却しないためである。空間変調素子9は各色レーザ光源装置1〜3のように温度を単純に低くすれば良いのでは無く、所定範囲の温度を維持することが好ましい。例えば、空間変調素子9の温度が50℃以上になると、投射レンズ4より投射された画像に投射するつもりの無い焼き付きが発生する可能性がある。また、空間変調素子9の温度が5〜10℃程度になると、空間変調素子9の反射率が低下する。よって、これは投影する画像の画質に影響を与える。
そこで、本実施例の画像表示装置10は空間変調素子9を積極的に冷却しないために、低段部36bと、少なくとも空間変調素子9と対向する部分の本体筐体200とは接しない構成とした。これにより、必要以上に空間変調素子9が冷却されることを抑制することができる。
なお、本実施例1においては本体筐体200とフィン36とは別体としたが、熱伝導性を向上させるために一体とする方が好ましい。一体化することにより、本体筐体200、すなわち各色レーザ光源装置1〜3は放熱を行いやすくなる。
次に、各色レーザ光源装置1〜3の放熱経路について詳細に説明する。また、これらの放熱経路に基づいて、本実施例における画像表示装置10の放熱性が向上することについても説明する。
緑色レーザ光源装置1(図1参照)における発熱部(赤外基本レーザ光を出力する半導体レーザ等)の発熱は、まず緑色レーザホルダ1aに伝えられる。この緑色レーザホルダ1aに伝えられた熱は冷却風路に接する面より放熱される。また、冷却空気で冷却されるフィン36は低温であるため、本体筐体200の内部に伝えられた熱はフィン36に伝えられやすい。そして、このフィン36に伝えられた熱は、冷却ファン23から矢印B〜矢印C〜矢印Dへの流路を通る冷却空気によって放熱する。
赤色レーザ光源装置2における発熱部(赤色レーザ光を出力する半導体レーザ等)の発熱は、まず赤色レーザホルダ2aに伝えられる。この赤色レーザホルダ2aに伝えられた熱はフィン34に伝えられる。フィン34は冷却風路上に設けられるため、このフィン34に伝えられた熱は冷却空気により吸収される。冷却空気の流路は、冷却ファン23から矢印Eへの流路を主とするものであっても良いし、冷却ファン23から矢印B〜矢印C〜矢印Dへの流路と併用しても良い。
青色レーザホルダ3aに内蔵された青色レーザ光源装置(図1参照)における発熱部(青色レーザ光を出力する半導体レーザ等)の発熱は、青色レーザホルダ3aに伝えられる。青色レーザホルダ3aは冷却風路上に設けられるため、この青色レーザホルダ3aに伝えられた熱は、冷却ファン23から矢印B〜矢印C〜矢印Dへの流路を通る冷却空気により吸収される。
なお、当然のことながら、青色レーザホルダ3aにフィンを設けても良いし、フィン34〜36の構造は剣山状でも階層状でも良く特に限定するものでは無い。
また、各色レーザ光源装置1〜3(図1参照)の放熱は本体筐体200およびフィン36も利用する。各色レーザホルダ1a〜3aは本体筐体200と接しているため、各色レーザ光源装置1〜3(図1参照)の発熱は本体筐体200に伝熱する。さらに、フィン36は本体筐体200に接しているため、本体筐体200の放熱を行う。なお、高段部36aおよび低段部36bは共にチルト部30とも接する。すなわち、フィン36はチルト部30にも放熱できる。
次に、吸気口21aと排気口31aおよび32aとの間に形成される冷却風路(放熱流路)について説明する。
冷却風路とは吸引口21aより吸引された空気が排気口31aおよび32aより排気されるまでの空気の道のりである。
チルト部30に取り付けられた冷却ファン23は、吸入口21a(図3参照)より外気を吸入し、矢印A方向(図3参照)に冷却空気を取り込む。冷却ファン23からの冷却空気は赤色レーザホルダ2aと接続しているフィン34を直接冷却して赤色レーザ光源装置から発熱する熱を冷却する。
先ほども述べたように、本実施例1は2つの冷却風路を備える。第1の冷却風路は、冷却ファン23から矢印B,C,Dの順に導かれ、最終的に排気口31aより排気される。第2の冷却風路は、冷却ファン23から矢印Eに導かれ、最終的に排気口32aより排気される。この2つの冷却風路に介在する各色レーザ光源装置の放熱部を冷却空気が冷却することにより、各色レーザ光源装置の放熱は促進される。すなわち、各色レーザ光源装置の温度上昇は抑制される。以下、この2つの冷却風路について説明する。
上記説明したように、冷却ファン23は矢印Aの方向に冷却空気を吸入し、フィン34を冷却した後、この冷却空気はガイド24によって矢印Bおよび矢印Eの方向に導かれる。冷却風路は矢印Bの方向と矢印Eの方向とに分岐される。ここで、矢印Bの方向に進む冷却風路を第1の分岐路とし、矢印Eの方向に進む冷却風路を第2の分岐路とする。
まず、冷却空気が矢印Bの方向(第1の分岐路)に進むときについて説明する。チルト部30内にはガイド37を設けており、ガイド37は矢印Bの方向に導かれた冷却空気を矢印Cの方向に導く。これにより、冷却空気はまずフィン35に到達し、フィン35を冷却する。次に、冷却空気は投射レンズ4とフィン35との間に設けられる青色レーザホルダ3aに内蔵された青色レーザ光源装置3(図1参照)を冷却し、排気口31aより(矢印Dの方向に)排出される。以上のように、矢印A,B,C,Dの順に第1の冷却風路は形成され、冷却空気はこの第1の冷却風路上に介在する部材の熱を吸収する。
次に、冷却空気が矢印Eの方向(第2の分岐路)に進むときについて説明する。矢印Eの方向に進む冷却空気は排気口32aに導かれる冷却空気である。この冷却空気はフィン36を冷却することで、画像表示装置本体100の放熱を促進する。フィン36の熱を吸収した冷却空気は排気口32aより放出される。
以上説明したように、第1の冷却風路は矢印A,B,C,Dの順となり、第2の冷却風路は矢印A,Eの順となる。したがって、第1の冷却風路を流れる冷却空気は赤色レーザホルダ2aに内蔵された赤色レーザ光源装置2(図1参照)の放熱部(フィン34)、緑色レーザホルダ1aに内蔵された緑色レーザ光源装置1(図1参照)の放熱部(フィン35)、青色レーザホルダ3aに内蔵された青色レーザ光源装置3(図1参照)の放熱部(青色レーザホルダ3a)の順に冷却し、第2の冷却風路を流れる冷却空気は赤色レーザ光源装置2の放熱部(フィン34)とフィン36(画像表示装置本体100)を冷却する。すなわち、各色レーザ光源装置の放熱は、赤色レーザホルダ2aに内蔵された赤色レーザ光源装置2(図1参照)、緑色レーザホルダ1aに内蔵された緑色レーザ光源装置1(図1参照)、青色レーザホルダ3aに内蔵された青色レーザ光源装置3(図1参照)の順に優先される。これにより、画像表示装置10の画質劣化を抑制することができる。
また、後述するように緑色レーザ光源装置1は一般的に最も必要な電流値が大きいし、電気から光に変換する効率が悪いので最も発熱量が大きい。
そこで本実施例では、各色レーザ光源装置の中で一般的に最も温度特性が悪い赤色レーザ光源装置2の放熱部の次に優先して緑色レーザ光源装置1の放熱部を冷却するように、画像表示装置10では冷却風路は形成される。つまり、緑色レーザ光源装置1は青色レーザ光源装置3よりも優先的に冷却される。すなわち、青色レーザ光源装置3の放熱部の熱を吸収する前の冷却空気で緑色レーザ光源装置1の放熱部(フィン35)を冷却するように構成されている。
したがって、青色レーザ光源装置3の放熱部を緑色レーザ光源装置1や赤色レーザ光源装置2の放熱部の冷却風路下流側に設置することも同様な効果が発揮できる。
すなわち、温度特性の良好な青色レーザ光源装置3の放熱部を冷却風路下流に設置したために、上流に位置する他のレーザ光源の廃熱の影響を受けても青色レーザ光源装置3は温度特性が良好なのでレーザの特性の変動を最小限に抑えることができる。
また、青色レーザ光源装置3の放熱部を冷却風路下流側に設置することで熱の上流側への拡散を防ぎ、他より少ないながら、青色レーザ光源装置3(図1参照)より発せられる熱が、発熱量の多い緑色レーザ光源装置1(図1参照)や温度特性の悪い赤色レーザ光源装置2に与える影響を最小限に抑えることができる。
また、青色レーザ光源装置3の放熱部を冷却風路下流に設置するということでは、レーザ光源装置の配置次第で、吸入口・冷却ファン・赤色レーザ光源装置2・青色レーザ光源装置3・排気口の順の冷却風路と吸入口・冷却ファン・緑色レーザ光源装置1・青色レーザ光源装置3・排気口の順の冷却風路との2経路に分けた場合も上述した同様な効果を有する。同様に、吸入口・冷却ファン・赤色レーザ光源装置2・排気口の順の冷却風路と吸入口・冷却ファン・緑色レーザ光源装置1・排気口の順の冷却風路との2経路に分けた場合でも上述した同様な効果を有する。
以下、各色レーザ光源装置の放熱部の順列を上記のようにした理由について図6を用いて詳細に説明する。
図6は、本発明の実施例における各色レーザ光源装置の使用温度と光出力の関係を示す図である。
まず、赤色レーザ光源装置2(図1参照)が最も優先的に放熱される理由について、より詳細に説明する。先にも述べたように、赤色レーザ光源装置2は各色レーザ光源装置1〜3の中で一般的に最も温度特性が悪い。ここで言う温度特性とは各色レーザ光源装置で最低必要光出力以上の光出力が得られる温度範囲を示した特性を言う。
各色レーザ光源装置1〜3は異なる温度特性を有する。図6に示す特性図より、各色レーザ光源装置1〜3は基本的に高温側では温度が上昇することにより、これらの光出力は低下し、これらの中でも特に赤色レーザ光源装置2の出力が早く低下する。このため、赤色レーザ光源装置2の使用上限温度が他のレーザ光源装置に比べて低いので赤色レーザ光源装置2の温度上昇を優先的に抑制することが好ましい。
したがって本実施例1は、図5に示すように、チルト部30の冷却ファン23の近傍に、赤色レーザホルダ2aに内蔵された赤色レーザ光源装置2(図1参照)の放熱部となるフィン34を設ける。すなわち、赤色レーザ光源装置2の放熱部であるフィン34は、冷却風路に介在する各色レーザ光源装置1〜3の放熱部において、最も上流側に設けられる。これにより、チルト部30内に導かれた冷却空気は、緑色レーザホルダ1aに内蔵された緑色レーザ光源装置1(図1参照)の放熱部であるフィン35、画像表示装置本体100(図1参照)の放熱部であるフィン36および青色レーザホルダ3aを冷却する前に、赤色レーザホルダ2aに内蔵された赤色レーザ光源装置2(図1参照)の放熱部となるフィン34を冷却する。すなわち、この冷却空気はフィン35およびフィン36、またはチルト部30内の他の部材の熱を吸収する前にフィン34を冷却する。さらに、フィン34は矢印BとEとに分岐される前の大きい容量の冷却空気で冷却される。このように冷却風路を形成することで、赤色レーザ光源装置2の放熱部(フィン34)は優先的に冷却される。したがって、最も温度特性の悪い赤色レーザ光源装置2(図1参照)の出力低下を優先的に抑制することができる。よって、画像表示装置本体100(図1参照)は安定して高画質の画像を出力することができる。
次に、再び図6を用いて、赤色レーザ光源装置2(図1参照)の次に緑色レーザ光源装置1(図1参照)の放熱が優先される理由について説明する。
緑色レーザ光源装置1(図1参照)と青色レーザ光源装置3(図1参照)の温度特性は図6から判るようにレーザ光源使用温度の上限がほぼ同じ温度である。しかし、各色レーザ光源装置1〜3の中で緑色レーザ光源装置1(図1参照)は一般的に最も必要な電流値が大きい。また上述の通り、緑色レーザ光源装置1(図1参照)は赤外基本レーザ光を変換することで、主として緑色レーザ光を出力する。すなわち、半導体レーザより出射されたレーザ光が緑色レーザ光に変換されるまで様々な素子(例えば、SHG素子)を経由する。これにより、光のロスが発生するため、赤色レーザ光源装置2(図1参照)および青色レーザ光源装置3(図1参照)に比べて、緑色レーザ光源装置1(図1参照)が電気を光に変換する効率は悪い。つまり、緑色レーザ光源装置1は赤色レーザ光源装置2(図1参照)および青色レーザ光源装置3(図1参照)に比べて、所定の出力量を出すために必要な電力量が大きい。このため、各色レーザ光源装置の中で緑色レーザ光源装置1(図1参照)は一般的に最も発熱量が大きい。したがって、緑色レーザ光源装置1(図1参照)の発熱が突起部201(図1参照)に伝わり(すなわち、本体筐体200(図1参照)に伝わり)、赤色レーザ光源装置2(図1参照)および青色レーザ光源装置3(図1参照)の温度上昇を促す可能性がある。このとき、赤色レーザ光源装置2(図1参照)および青色レーザ光源装置3(図1参照)の出力低下は助長される。
そこで、本実施例では、図5に示すように、赤色レーザ光源装置2(図1参照)の次に優先して緑色レーザ光源装置1(図1参照)を冷却するように、画像表示装置10は構成されると共に冷却風路は形成される。つまり、緑色レーザ光源装置1(図1参照)は青色レーザ光源装置3(図1参照)よりも優先的に冷却される。すなわち、青色レーザ光源装置3(図1参照)の熱を吸収する前の冷却空気で緑色レーザ光源装置1(図1参照)の放熱部(フィン35)は冷却される。
なお、図5に示すように、回動可能な可動体(チルト部30)内に送風機と3つのレーザ光源等を取り付けているので、この画像表示装置をパーソナルコンピュータ(以下「PC」)等に取り付けて回動させて使用する場合でも回動体は外部にあり、どのような回動位置でも外気空気を吸入し即ロス無く利用できる。そして、固定部20に送風機を設置してチルト部30に冷却風を取り込む風路を形成する装置の場合と比較して、固定部20とチルト部30の冷却風路の接続を考慮せずに冷却風路の距離を短くしているので効率良く冷却することができる。これにより、画像表示装置が長時間にわたって使用されても緑色レーザ光源装置や赤色レーザ光源装置の出力低下は抑制されるため、3色のレーザ光の出力を安定して得ることができる。
また、送風機は緑色のレーザ光源と青色のレーザ光源との放熱部の熱を吸収する前に、赤色のレーザ光源の放熱部を冷却できる。すなわち、最も温度特性が悪い赤色のレーザ光源の放熱部は最も優先して冷却される。これにより、赤色のレーザ光源の放熱は特に促進される。すなわち、赤色のレーザ光源の温度上昇は特に抑制される。これにより、画像表示装置が長時間にわたって使用されても赤色のレーザ光源の出力低下は抑制されるため、3色のレーザ光の出力を安定して得ることができる。また、吸入口と送風機を画像表示装置本体と一体の筐体内に搭載したので外気をロス無く効率良く放熱に利用できるし、冷却風路が短縮できるため各レーザ光源の放熱部の放熱も良好に行うことができる。
図7は、本発明の実施例における画像表示装置を電子機器に取り付けたときの一例を示す図である。本実施例1の画像表示装置10は、単体として使用されても良いが、図7に示すように、電子機器であるPC300に取り付けても良い。画像表示装置10は必要に応じてPC300に出し入れ可能であり、PC300のディスプレイ上の出力をスクリーンや壁等に投射可能である。このため、PC300に別途画像表示装置を有線等で接続すること無く、PC300のディスプレイ上の出力を容易に大画面出力することができる。チルト部30内に冷却ファン23と画像表示装置本体100等の表示装置として必要な部材を搭載したので、例えば、PC300に取り付けた場合には、チルト部30のみ必要最小限引き出すだけにしても良い。この場合には、作業に必要なスペースを広く取る必要がないというメリットがある。
なお、画像表示装置10のPC300への取り付け位置は、図7に示した右側面に限定されるものでは無く、左側面や後側面そして前面等に取り付けても良い。
画像表示装置10をPC300(電子機器)に取り付ける場合、チルト部30は自由に回動できるようにPC300の外部に突出していれば良い。よって、固定部20の少なくとも一部がPC300に固定されれば良く、側面31に対向する面側をPC300に固定しても良い。
なお、PC300以外で電子機器の例としては、テレビや、ディスプレイ、光ディスクプレイヤ、およびポータブル光ディスクプレイヤ等があり、画像を表示するものであれば、何でも良い。また、これら以外にも、電気機器(例えば、冷蔵庫や洗濯機等の家電機器)の情報を外部に投射するために、この電気機器に画像表示装置10を搭載しても良い。
以上より、本実施例の画像表示装置は各色レーザ光源装置の温度特性および発熱量を考慮して構成されると共に、冷却風路を形成する。このため、長時間の使用による画像表示装置の画質劣化は抑制される。すなわち、画像表示装置は投射する画像の画質劣化を抑制することができ、安定して高画質の画像を出力可能である。