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JP5156303B2 - 水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents

水系顔料分散体の製造方法 Download PDF

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JP5156303B2
JP5156303B2 JP2007229328A JP2007229328A JP5156303B2 JP 5156303 B2 JP5156303 B2 JP 5156303B2 JP 2007229328 A JP2007229328 A JP 2007229328A JP 2007229328 A JP2007229328 A JP 2007229328A JP 5156303 B2 JP5156303 B2 JP 5156303B2
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Description

本発明は、疎水性シリカを含有する水系顔料分散体の製造方法、該製造方法により得られる水系顔料分散体及びインクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印刷物に対して非接触、という多くの利点があるため普及が著しい。
その中でも、印刷物の耐候性や耐水性の観点から、顔料系インクを用いるものが主流となってきており、また、印字像の印字濃度を向上させるため、親水性の無機酸化物を添加する技術が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
特開平11−080628号公報 特開平11−209671号公報
一方で、顔料系インクに疎水性シリカを配合しようとすると、顔料分散体の凝集が生じるという問題があった。従って、顔料を均一に分散させるため、高剪断力を付与する分散機あるいは高速攪拌の混合機が用いられるが、その場合、分散体を作製する際に分散機や混合機を構成する材料の一部に激しい磨耗が生じ、それにより分散体中に異物が混入することがあった。
本発明の課題は、疎水性シリカを配合した場合においても、不純物の混入が少なく、分散性及び分散安定性に優れた水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水系インクを提供することにある。
本発明は、
(1)工程1:顔料、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶媒及び水を含有する混合物を分散処理して分散体(A)を得る工程、
工程2:疎水性シリカ、疎水性有機溶媒及び該疎水性シリカの量に対して重量で0.5〜10倍量の親水性有機溶媒を混合して分散体(B)を得る工程、及び
工程3:前記分散体(A)と前記分散体(B)を混合して分散体(C)を得る工程、
を有する水系顔料分散体の製造方法、
(2)上記(1)記載の製造方法により得られる水系顔料分散体、及び
(3)上記(2)記載の水系顔料分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、
に関する。
本発明によれば、疎水性シリカを配合した場合においても、異物の混入が少なく、分散性及び分散安定性に優れた水系顔料分散体、及びインクジェット記録用水系インクを製造することができる。
[水系顔料分散体の製造方法]
本発明の水系顔料分散体の製造方法は、顔料、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶媒及び水を含有する混合物を分散処理して分散体(A)を得る工程(工程1)、疎水性シリカ、疎水性有機溶媒及び該疎水性シリカの量に対して重量で0.5〜10倍の親水性有機溶媒を混合して分散体(B)を得る工程(工程2)、及び前記分散体(A)と前記分散体(B)を混合して分散体(C)を得る工程(工程3)、を有する。
工程1
工程1は、顔料、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶媒及び水を含有する混合物を分散処理して分散体(A)を得る工程である。
(顔料)
本発明における顔料は、印刷物の観測角度によって反射光が顔料本来の色とは異なる色に観察されるブロンズ現象(ブロンズ現象に関しては、「色彩科学ハンドブック」(東京大学出版会)第777頁に詳細な解説がなされている)を低減する観点から、有機顔料が好ましく用いられ、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
有機顔料の中では、ブロンズ現象の低減効果が大きい観点から、シアン顔料を用いることが好ましく、フタロシアニン顔料がより好ましい。フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアン顔料;銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、スズ等の金属フタロシアニン顔料、及びそれらの無置換又は塩素、臭素等のハロゲン基置換フタロシアニン顔料等が挙げられる。より具体的には、銅フタロシアニン顔料が好ましく、特にC.I.ピグメントブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16及び同60からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらの中でも、光、熱、溶剤に対する耐久性の観点から、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4が特に好ましい。なお、工程1において使用する顔料には、疎水性シリカを含むシリカは包含されない。
(水不溶性ポリマー)
工程1における水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニル系ポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニル系ポリマーが好ましい。本発明において、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。上記溶解量は、水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位、疎水性モノマー(b)由来の構成単位及び/又はマクロマー(c)由来の構成単位を含むことが好ましい。
このような水不溶性ポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ということがある)、疎水性モノマー(b)(以下「(b)成分」ということがある)、及び/又はマクロマー(c)(以下「(c)成分」ということがある)を含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合してなる水不溶性ビニル系ポリマーが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、十分な印字濃度を発現させる観点から、マクロマー(c)由来の構成単位を含む水不溶性グラフトポリマーであることが好ましい。
上記(a)成分は、得られる分散体の分散安定性を高める等の観点から用いられるものであり、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。 カチオン性モノマーとしては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-(N',N'-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、分散安定性、吐出性等の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸がより好ましい。上記(a)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(b)成分の疎水性モノマーは、耐水性、耐擦過性、印字濃度の向上等の観点から用いられ、アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、芳香環含有モノマー等が挙げられる。
(c)成分は、顔料やシリカ粒子を水不溶性ポリマーで安定分散させる等の観点から用いられ、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000で、片末端に不飽和基等の重合性官能基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。
なお、(c)成分の数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50ミリモル/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
(c)成分のマクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが顔料との親和性が高く、保存安定性を向上させる観点から好ましい。
本発明においては、マクロマーは1種で用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるポリマーが、水不溶性グラフトポリマーである場合、[主鎖/側鎖]の重量比は、耐擦過性及び保存安定性を向上させる観点から、1/1〜20/1であることが好ましく、3/2〜15/1が更に好ましく、2/1〜10/1が特に好ましい。なお、重合性官能基は側鎖に含有されるものとして計算する。
本発明においては、上記(a)、(b)、(c)各成分を含むモノマー混合物は、さらに、水酸基含有モノマー(d)(以下「(d)成分」ということがある)を含有することが好ましい。
(d)成分は、水分散体の分散安定性を高めるものである。(d)成分としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
上記モノマー混合物は、さらに、下記式(1)で表されるモノマー(e)(以下「(e)成分」ということがある)を含有することができる。
CH2=C(R1)COO(R2O)pR3 (1)
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を示し、R3はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基を示すが、pは平均付加モル数を示し、1〜60、好ましくは1〜30の数である。)
(e)成分は、水性インクの吐出安定性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制する等の優れた効果を発現するものである。
(e)成分としては、メトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G,90G,230G,日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90,200,350,PME−100,200,400,1000、PP−1000,PP−500,PP−800,AP−150,AP−400,AP−550,AP−800,50PEP−300,50POEP−800B等が挙げられる。
上記(d)成分及び(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量は次のとおりであることが好ましい。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性等の観点から、好ましくは3〜30重量%、より好ましくは4〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、耐水性、耐擦過性、印字濃度の観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜60重量%である。
(c)成分の含有量は、顔料やシリカ粒子を水不溶性ポリマーで安定分散させる観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(a)成分の含有量と、(b)成分と(c)成分の合計含有量との重量比((a)/[(b)+(c)])は、得られる水系インクの長期保存安定性、吐出性等の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
(d)成分の含有量は、吐出性、印字濃度の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜30重量%である。
(e)成分の含有量は、吐出性、分散安定性等の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
(a)成分と(d)成分との合計含有量は、水中での安定性、印字濃度の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
また、(a)成分と(e)成分の合計含有量は、水中での分散安定性、吐出性等の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。
(a)成分と(d)成分と(e)成分との合計含有量は、水中での分散安定性、印字濃度及び吐出性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
上記(a)〜(e)の各成分に由来する構成成分の水不溶性ポリマー中の含有量も、上記各成分含有量と同様である。
上記水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造されるが、これらの重合法の中では、溶液重合法の場合に、特に高印字濃度や高耐ブリード性等の効果が好適に得られる。
溶液重合法で用いる溶媒としては、水不溶性ポリマーと親和性の高い極性有機溶媒が好ましく、水に対する溶解度が20℃において、50重量%以下のものが好ましく、5重量%以上のものが好ましい。極性有機溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ブトキシエタノール、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert-ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2-メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。
得られる水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、顔料の分散安定性、耐水性、吐出性等の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000がさらに好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。
なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを溶解したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
水不溶性ポリマー溶液の固形分は、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、10〜15重量%が最も好ましい。
上記水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマー(a)由来の塩生成基を有している場合は、中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができ、例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
一方、塩生成基がカチオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]]×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から算出することができるが、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して滴定する方法を用いて求めることもできる。
(疎水性有機溶媒)
工程1で用いる疎水性有機溶媒としては、顔料表面の濡れおよび水不溶性ポリマーとの親和性の観点から、溶解度パラメーター(SP値)が22(MJ/m3)0.5未満の有機溶媒が好ましく、顔料表面への水不溶性ポリマーの吸着による分散体の安定性の観点から18(MJ/m3)0.5以上の有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられ、20℃における水に対する溶解度が50重量%以下で10重量%以上のものがより好ましい。
ケトン系溶媒としては、アセトン(SP値:20.1(MJ/m3)0.5)、メチルエチルケトン(SP値:19.0(MJ/m3)0.5)、ジエチルケトン(SP値:18.2(MJ/m3)0.5)、メチルイソブチルケトン(SP値:19.4(MJ/m3)0.5)等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル(SP値:(MJ/m3)0.5)、テトラヒドロフラン(SP値:18.8(MJ/m3)0.5)、ジオキサン(SP値:20.7(MJ/m3)0.5)等が挙げられる。これらの溶媒の中では、上記観点からアセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、メチルエチルケトンが更に好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(分散体(A))
工程1における、分散体(A)中の顔料、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶媒及び水の配合量については、疎水性有機溶媒による顔料表面の濡れ、水不溶性ポリマーの顔料への吸着量および顔料分散体の安定性の観点から、顔料については5〜50重量%であることが好ましく、水不溶性ポリマーについては2〜40重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましく、5〜30重量%であることが更に好ましく、また、疎水性有機溶媒については10〜70重量%であることが好ましく、10〜50重量%であることが更に好ましい。
工程1における混合物の分散方法は、所望の平均粒径の水不溶性ポリマー粒子が得られるように微粒化させうるものであれば、特に制限はない。分散機としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、サンドミル、ビーズミル等の分散機、チャンバー式等の高圧ホモジナイザー等が使用できる。これらの中では、顔料を均一に分散する観点から、分散メディアを用いた分散機により湿式粉砕する方法が好ましい。さらに必要に応じて湿式粉砕した後、高圧ホモジナイザーで分散する方法を採ることも好ましい。
分散メディアの材質は、硬度等の観点から、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、ジルコン(ZrSiO4)アルミナ(Al23)等のセラミックビーズが好ましく、特にチタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)が好ましい。
分散メディアの粒径は、顔料を均一に分散する観点から、通常30〜500μmであり、好ましくは30〜400μmである。
湿式粉砕分散における、分散メディア/分散液(顔料、水不溶性ポリマー、水、有機溶媒等全ての分散体を含む)の重量比は、顔料を均一に分散する観点から、通常10/1〜4/6であり、好ましくは10/1〜5/5である。
分散メディアを使用する分散機の周速については、攪拌羽根を有する場合は、攪拌羽根の外周の速度を指し、本発明においては、好ましくは3〜30m/sec、更に好ましくは5〜25m/secである。攪拌羽根を有しない場合は、容器の回転速度であり、本発明においては、好ましくは0.1〜1m/secの速度である。また、分散時間は、顔料を均一に分散する観点から、3分〜15時間が好ましく、5分〜10時間が更に好ましい。分散時の温度は、同様の点から、0〜60℃が好ましく、5〜30℃が更に好ましい。
工程1で得られる分散体(A)の分散粒子の平均粒径は、後工程を経て得られた水系インクの安定性、あるいは水系インクを用いて印字した際の目詰まり防止の観点から、30〜200nmであることが好ましく、60〜120nmであることがより好ましい。
工程1における分散体(A)は、工程3で得られる分散体(C)の安定性の観点から、後述の工程2において用いられる親水性有機溶媒と同様の親水性有機溶媒を含有することが好ましい。
工程1における親水性有機溶媒の配合量は、工程3で得られる分散体(C)の安定性の観点から、分散体(A)に対して、0〜50重量%であるのが好ましく、0〜35重量%であるのがより好ましい。
工程1における上記顔料、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶媒及び水の配合順序については特に制限はないが、顔料の濡れおよび顔料を均一に分散する観点からは、疎水性有機溶剤、水不溶性ポリマー、水、顔料の順、あるいは、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶剤、水、顔料の順で添加することが好ましい。
工程2
工程2は、疎水性シリカ、疎水性有機溶媒及び該疎水性シリカの量に対して重量で0.5〜10倍量の親水性有機溶媒を混合し分散体(B)を得る工程である。
(疎水性シリカ)
本発明において、疎水性シリカとは、該シリカ1gが10gのメチルエチルケトン中に25℃で1週間安定分散するものをいい、分散安定性は目視によって判断することができる。
疎水性シリカは、シリカ粒子として使用することができ、その平均粒径は、ブロンズ現象を低減する観点から、好ましくは3nm以上であり、100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは20nm以下であり、これらの観点から、3〜100nmが好ましく、3〜50nmがより好ましく、3〜30nmがより好ましく、3〜20nmが更に好ましい。
疎水性シリカの平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡を用いて100個測定し、画像解析から算出した、数平均粒径を用いる。なお、長径と短径がある場合は、長径を用いて算出する。
上記疎水性シリカの配合量は、ブロンズ減少の低減等の観点から、顔料に対する重量比(疎水性シリカ/顔料)で1/10〜5/1であることが好ましく、より好ましくは1/5〜3/1である。
(疎水性有機溶媒)
工程2における疎水性有機溶媒としては、工程1で使用したものがいずれも同様に使用できる。前記疎水性シリカは分散安定性の観点から、通常疎水性有機溶媒に分散されて市販されている。疎水性有機溶媒の配合量は、疎水性シリカ100重量部に対して、80〜400重量部であるのが好ましく、100〜250重量部であるのがより好ましい。
(親水性有機溶媒)
工程2における親水性有機溶媒は、工程3で得られる分散体(C)の安定性の観点から、溶解度パラメーター(SP値)が22(MJ/m3)0.5以上の有機溶媒であることが好ましく、例えば、イソプロピルアルコール(SP値22.8(MJ/m3)0.5)、エタノール(SP値26.2(MJ/m3)0.5)などが好ましく、エタノールがより好ましい。
工程2における上記親水性有機溶媒の疎水性シリカに対する配合量は、水系顔料分散体の分散安定性の観点から、重量で0.5倍以上の量であり、1.5倍以上であるのが好ましく、3倍以上であるのがさらに好ましい。また、製造コストの観点から、該配合量は、10倍以下の量であり、8倍以下であるのが好ましく、7倍以下であるのがさらに好ましい。
前述のように、工程1においては、工程2と同様の親水性有機溶剤を含有させることが好ましいが、水系顔料分散体の分散安定性の観点から、工程1と工程2で用いる親水性有機溶剤の合計の配合量が、疎水性シリカに対し、重量で0.5倍以上の量であり、1.5倍以上であるのが好ましく、3倍以上であるのがさらに好ましい。また、製造コストの観点から、該合計の配合量は、10倍以下の量であり、8倍以下であるのが好ましく、7倍以下であるのがさらに好ましい。
(分散体(B))
工程2における分散体(B)中の疎水性シリカ、疎水性有機溶媒及び親水性有機溶媒の配合量は、シリカ、疎水性有機溶媒および親水性有機溶媒の安定性および、水系顔料分散体の安定性の観点から、疎水性シリカについては6〜30重量%であることが好ましく、8〜20重量%であることがさらに好ましい。疎水性有機溶媒については6〜60重量%であることが好ましく、9〜50重量%であることが更に好ましく、親水性有機溶媒については20〜85重量%であることが好ましく、33〜63重量%であることが更に好ましい。
工程2における疎水性シリカ、疎水性有機溶媒及び親水性有機溶媒の配合順序としては、疎水性シリカの分散性の観点から、疎水性シリカと疎水性有機溶媒を混合した後、親水性有機溶媒を添加するのが好ましい。
混合手段及び混合条件は一般的な方法であれば特に制限はなく、例えば、アンカー翼、タービン翼、パドル翼等、上記各成分を均一に混合、分散し得る混合方法であればよく、顔料分散で通常使用するディスパー等の混合機、サンドミル、ビーズミル等の分散機、チャンバー式等の高圧ホモジナイザーなどのいわゆる高速攪拌混合装置あるいは高せん断分散装置は必ずしも必要とせず、混合機の磨耗による異物混入を防止する観点からは、上記高速攪拌混合装置及び高せん断分散装置を使用しないことが好ましい。
混合温度、混合時間についても特に制限はないが、疎水性シリカの分散安定性の観点からは、混合温度は0〜60℃が好ましく、5〜35℃がさらに好ましい。また、混合時間は、30秒から5時間が好ましく、1分から1時間がさらに好ましい
工程3
工程3は、工程1で得られる分散体(A)と工程2で得られる分散体(B)を混合し分散体(C)を得る工程である。
分散体(A)と分散体(B)の配合量割合については、前述の各成分の関係を満たすような量であれば特に制限はないが、例えば、工程3で得られる分散体(C)の安定性の観点からは、分散体(A)/分散体(B)重量比で0.5〜10であることが好ましく、1.5〜4であることがより好ましい。
分散体(A)と分散体(B)の混合順序には特に制限はないが、操作性の観点から、分散体(A)に分散体(B)を添加し混合するのが好ましい。
混合手段及び混合条件としては、一般的な方法であれば特に制限はなく、例えば、アンカー翼、タービン翼、パドル翼等、各分散体を均一に混合でき得る混合方法であればよく、顔料分散で使用するディスパー等の混合機、サンドミル、ビーズミル等の分散機、チャンバー式等の高圧ホモジナイザーなどいわゆる高速攪拌混合装置あるいは高せん断分散装置は必ずしも必要とせず、混合機の磨耗による異物混入を防止する観点からは、上記高速攪拌混合装置及び高せん断分散装置を使用しないことが好ましい。混合温度、混合時間についても特に制限はないが、疎水性シリカの分散安定性の観点からは、混合温度は0〜60℃が好ましく、5〜35℃がさらに好ましい。また、混合時間は、30秒から5時間がこのましく、1分から1時間がさらに好ましい。
本発明では、工程3で得られる分散体(C)から疎水性有機溶媒及び親水性有機溶媒を除去して水系にすることで、所望の平均粒径を有する水不溶性ポリマー粒子の水系顔料分散体を得ることができる。分散体(C)に含まれる有機溶媒の除去は、減圧蒸留等の公知の方法により行うことができる。
得られた水系顔料分散体中においては有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下である。また、得られた水分散体を遠心分離やろ過することで、粗大粒子を除去することが好ましい。
[水系顔料分散体]
本発明の水系顔料分散体は上述の製造方法により得られるものであり、分散体の平均粒径はプリンターのノズルの目詰まり防止及び印字濃度の観点から、好ましくは30〜200nm、より好ましくは50〜130nm、更に好ましくは60〜120nmである。
本発明においては、上記平均粒径と工程1の分散体(A)の分散粒子の平均粒径の差が、30nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、上記水系顔料分散体及び分散体(A)の平均粒径の測定は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS-8000(キュムラント解析)を用いて下記条件で測定することができる。
温度: 25℃
入射光と検出器との角度: 90°
積算回数: 100回
分散溶媒の屈折率: 水の屈折率(1.333)
標準物質: セラディン(Seradyn) 社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ (平均粒径204nm)
本発明の水系顔料分散体中の各成分の含有量は以下のとおりである。
疎水性シリカの含有量は、ブロンズ現象の低減の観点から、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.3〜8重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
顔料の含有量は、印字濃度を高める観点から、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量である。
水不溶性ポリマーの含有量は、シリカや顔料の分散安定性の観点から、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは1〜5重量%である。
シリカと顔料の含有割合(シリカ/顔料)は、ブロンズ現象の低減の観点から、重量比で1/10〜5/1であり、好ましくは1/5〜3/1、より好ましくは1/4〜2/1である。
顔料及びシリカと水不溶性ポリマーとの含有割合[水不溶性ポリマー/(顔料+シリカ)]については、印字濃度、耐擦過性及び分散安定性を高める観点から、重量比で5/95〜90/10であることが好ましく、より好ましくは10/90〜75/25であり、更に好ましくは20/80〜50/50である。本発明の水系顔料分散体中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。
本発明の水系顔料分散体の表面張力(20℃)は、好ましくは30〜65mN/m、さらに好ましくは35〜60mN/mである。
本発明の水系顔料分散体の20重量%(固形分)の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、1〜12mPa・sが好ましく、1〜9mPa・sがより好ましく、2〜6mPa・sがより好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。
[インクジェット記録用水系インク]
本発明の水系インクは上記水系顔料分散体をそのまま用いてもよいが、水系顔料分散体にインクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
本発明の水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜95重量%,より好ましくは40〜90重量%である。
本発明の水系インクの表面張力(20℃)は、、好ましくは23〜50mN/mであり、より好ましくは23〜45mN/m、より好ましくは23〜40mN/m、更に好ましくは23〜30mN/mである。本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sがより好ましく、2.5〜6mPa・sが更に好ましい。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン8.2部、重合連鎖移動剤(2-メルカプトエタノール)0.03部、及び表1に示すモノマー混合物200部のうちの10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1のモノマー混合物の残りの90%を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.28部、メチルエチルケトン73.6部及び2,2'-アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.8部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.6部をメチルエチルケトン21.8部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの水に対する溶解量(25℃)は、100gに対して、0.10gであった。
製造例2
上記製造例1において反応容器内に仕込む重合連鎖移動剤(2-メルカプトエタノール)の量を0.03部から0.05部に、滴下ロートに仕込む重合連鎖移動剤(2-メルカプトエタノール)の量を0.28部から0.41部に変更し、またモノマー混合物を表1に示す組成に変更した以外は製造例1と同様の操作を行った。
得られたポリマーの重量平均分子量を、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。結果を表1に示す。
得られたポリマーの水に対する溶解量(25℃)は、水100gに対して、0.15gであった。
Figure 0005156303
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数:9):新中村化学株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数:12):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
実施例1
(工程1)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー45gをメチルエチルケトン117gに溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)7.9gおよびイオン交換水458g加えて塩生成基を中和し、さらにシアン顔料として銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4〔P.B.15:4〕、東洋インキ製造(株)製、商品名:LIONOGEN BLUE BGJ )100gを加え、ディスパー翼で20℃の温度条件で1時間混合した。次に、得られた混合物をビーズミル(寿工業(株)、商品名ウルトラ・アペックス・ミル)を用いて20℃で分散処理を行った。分散メディアとしては0.05mmφジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80%、撹拌翼周速12m/sの条件で1時間分散処理を行った。更に高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名マイクロフルイダイザー)で180MPaで5パスの高圧分散をおこない、平均粒径71nmの分散体(A)を得た。
(工程2)
メチルエチルケトン70%含有の疎水性シリカ(日産化学工業(株)製;商品名MEK−ST、平均粒径10〜20nm)167g(疎水性シリカとして50g)に、親水性有機溶媒としてエタノール(SP値26.2(MJ/m30.5 )を250g混合し、パドル翼を用いて、20℃で20分混合し、分散体(B)を得た。
(工程3)
工程1で得られた分散体(A)100部と、工程2で得られた分散体(B)56部を混合し、パドル翼を用いて、20℃で20分混合し、分散体(C)を得た。
得られた分散体(C)を、60℃減圧下でメチルエチルケトンと一部の水を除去した後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム(株)製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ(株)製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20重量%、平均粒径71nmの水系顔料分散体1を得た。
この水系顔料分散体40部に、グリセリン10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル7部、サーフィノール465(日信化学工業(株)製)1部、プロキセルXL2(アビシア(株)製)0.3部及びイオン交換水41.7部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、水系インク1を得た。
実施例2
実施例1の工程2においてエタノールを150gとし、また、工程3において分散体(B)を分散体(A)100部に対して43部とした以外は実施例1と同様の操作をおこない水系顔料分散体2および水系インク2を得た。
実施例3
実施例1の工程1において、得られた分散体73部にさらにイソプロピルアルコール(IPA)(SP値22.8(MJ/m30.5 )5部を添加してパドル翼にて20分混合し、工程2においてエタノールを200gとし、更に工程3において分散体(B)を分散体(A)100部に対して46部とした以外は実施例1と同様の操作をおこない、水系顔料分散体3および水系インク3を得た。
実施例4
実施例3の工程2において疎水性シリカをメチルイソブチルケトン70%含有の疎水性シリカ(日産化学工業(株)製;商品名MIBK−ST)167g(疎水性シリカとして50g、平均粒径10〜20nm)に変更した以外は実施例3と同様の操作をおこない、水系顔料分散体4と水系インク4を得た。
実施例5
実施例3の工程1においてイソプロピルアルコールをエタノールに変更した以外は実施例3と同様の操作をおこない、水系顔料分散体5と水系インク5を得た。
実施例6
実施例1の工程1において製造例1で得られたポリマーを製造例2で得られたポリマーに変更し、かつ得られた分散体73部に対してさらにイソプロピルアルコール(IPA)(SP値22.8(MJ/m30.5 )12.5部を添加してパドル翼にて20分混合し、工程2においてエタノールの量を125gとし、更に工程3において分散体(B)を分散体(A)100部に対して34部とした以外は実施例1と同様の操作をおこない、水系顔料分散体6および水系インク6を得た。
実施例7
実施例1の工程1において得られた分散体73部にさらにイソプロピルアルコール(IPA)(SP値22.8(MJ/m30.5 )30部を添加してパドル翼にて20分混合し、工程2においてエタノールの量を100gとし、更に工程3において分散体(B)を分散体(A)100部に対して25部とした以外は実施例1と同様の操作をおこない、水系顔料分散体7および水系インク7を得た。
実施例8
実施例1の工程1において得られた分散体73部にさらにイソプロピルアルコール(IPA)(SP値22.8(MJ/m30.5 )20部を添加してパドル翼にて20分混合し、工程2においてエタノールの量を200gとし、更に工程3において分散体(B)を分散体(A)100部に対して39部とした以外は実施例1と同様の操作をおこない、水系顔料分散体8および水系インク8を得た。
実施例9
実施例1の工程1において得られた分散体73部にさらにイソプロピルアルコール(IPA)(SP値22.8(MJ/m30.5 )10部を添加してパドル翼にて20分混合し、工程2においてエタノールの量を300gとし、更に工程3において分散体(B)を分散体(A)100部に対して56部とした以外は実施例1と同様の操作をおこない、水系顔料分散体9および水系インク9を得た。
実施例10
実施例1の工程2において、エタノールを50gとした以外は実施例1と同様の操作をおこない分散体(C)を得た。
比較例1
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー45gをメチルエチルケトン117gに溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)7.9gおよびイオン交換水458g加えて塩生成基を中和し、さらにシアン顔料として銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4〔P.B.15:4〕、東洋インキ製造(株)製、商品名:LIONOGEN BLUE BGJ )100gおよびメチルエチルケトン70%含有の疎水性シリカ(日産化学工業(株)製;商品名MEK−ST)167g(疎水性シリカとして50g)を加え、ディスパー翼で20℃の温度条件で1時間混合した。次に、得られた混合物をビーズミル(寿工業(株)、商品名ウルトラ・アペックス・ミル)を用いて分散処理を行った。分散メディアとして0.05mmφジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80%、撹拌翼周速12m/sの条件で20℃において1時間分散処理を行った。更に高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名マイクロフルイダイザー)で180MPaで5パスの高圧分散をおこない分散体を得た。
得られた分散体を、60℃減圧下でメチルエチルケトンと一部の水を除去した後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム(株)製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ(株)製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20重量%、平均粒径69nmの水系顔料分散体10および水系インク10を得た。
比較例2
実施例1の工程2において、エタノールを加えず、メチルエチルケトン70%含有の疎水性シリカ(日産化学工業(株)製;商品名MEK−ST)167g(疎水性シリカとして50g)をそのまま分散体(B)とした以外は実施例1同様の操作をおこない分散体(C)を得た。
比較例3
実施例1の工程2において、エタノールの代わりにトルエン(SP値18.2(MJ/m30.5)250gを用いた以外は実施例1同様の操作をおこない分散体(C)を得た。
比較例4
実施例1の工程2において、エタノールの代わりにメチルエチルケトン(SP値19.0(MJ/m30.5 )250gを用いた以外は実施例1同様の操作をおこない分散体(C)を得た。
実施例1〜10よび比較例2〜4の各々で得られた分散体(C)について下記のように凝集性の評価をおこなった。結果を表2−1及び表2−2に示す。
凝集物量(%)
工程3で得られた分散体(C)を200メッシュの篩でろ過し、メッシュ上に残存する固形分と、メッシュを通過した固形分の重量を測定し、その割合[(メッシュ上に残存する固形分重量/メッシュを通過した固形分重量)×100][%]を算出し凝集物量とした。
粒径変化量(nm)
工程1で得られた分散体(A)の平均粒径に対する、工程3で得られた分散体(C)の平均粒径の増加量(分散体(C)の平均粒径−分散体(A)の平均粒径)(nm)を粒径変化量とした。
次に、実施例1〜10および比較例1の各々で得られた水系顔料分散体について下記のように評価をおこなった。
粘度(mPa・s)
水系顔料分散体の粘度をE型粘度計〔東機産業株式会社製、型番:RE80型〕で測定した。
ジルコニア含有量(mg/kg)
分散機(ビーズミル)由来と考えられる無機成分としてジルコニアの含有量をICP発光分析(誘導結合プラズマ発光分析)により定量し、分散体1kg当りの量で算出した。
Figure 0005156303
Figure 0005156303
表2−1より、実施例1〜10の分散体(C)は混合後の粗大粒子も少なく、また、粒径の増加率もわずかであることが分かる。また、得られた水系顔料分散体の粘度も低く、分散機材由来と考えられるジルコニア成分も検出されず、良好な水系顔料分散体が得られたことが分かる。
それに対して、表2−2より、比較例1で得られた水系顔料分散体は、粘度は低いものの、分散機材由来と考えられるジルコニア成分が多量に含まれていることが判明した。また、比較例2〜4の分散体(C)は、凝集物が多量に発生し、有機溶媒の除去がおこなえず、水系顔料分散体が得られなかった。

Claims (6)

  1. 工程1:顔料、水不溶性ポリマー、疎水性有機溶媒及び水を含有する混合物を分散処理して分散体(A)を得る工程、
    工程2:疎水性シリカ、疎水性有機溶媒及び該疎水性シリカの量に対して重量で0.5〜10倍量の親水性有機溶媒を混合して分散体(B)を得る工程、及び
    工程3:前記分散体(A)と前記分散体(B)を混合して分散体(C)を得る工程、
    を有する水系顔料分散体の製造方法であり、前記水不溶性ポリマーが、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が10g以下であるポリマーであり、前記疎水性シリカが、該シリカ1gが10gのメチルエチルケトン中に25℃で1週間安定分散するものであり、前記工程1及び2における疎水性有機溶媒の溶解度パラメーターが22(MJ/m 3 0.5 未満であり、かつ前記工程2における親水性有機溶媒の溶解度パラメーターが22(MJ/m 3 0.5 以上である、水系顔料分散体の製造方法
  2. 分散体(A)が親水性有機溶媒を含有し、前記親水性有機溶媒の溶解度パラメーターが22(MJ/m 3 0.5 以上である、請求項1記載の水系顔料分散体の製造方法。
  3. 工程1における分散処理を分散メディアを用いた分散機で行う、請求項1又は2に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  4. 顔料がシアン顔料である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により得られる水系顔料分散体。
  6. 請求項記載の水系顔料分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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