JP5149383B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

Description

本発明は、車室内側部に取り付けられたエアバッグが車両衝突時に、車体側壁と乗員の間に展開して乗員を保護する所謂カーテンエアバッグ装置に関する。

従来の技術

特許文献１には、折り畳まれたエアバッグ袋体の後縁部を車両前後方向に折り曲げて、車体の側部上壁に収納したエアバッグ装置が開示されている。
特開２００７−５５５４５号公報

しかしながら、特許文献１に記載のエアバッグ装置によると、折り返されたエアバッグの後端部は、車内側ではなく車外側に展開するため、ピラーガーニッシュとピラーとの間にエアバッグが入り込む恐れがある。その結果、エアバッグがスムーズに展開できなくなってしまう。
特開２００７−５５５４５号公報

本発明は上記のような従来の課題に鑑みて創案されたものであり、エアバッグを円滑に展開させる構造を提供することを目的とする。

本発明は、車両内の側部にてカーテン状に膨張展開し、当該車両内の乗員を保護するエアバッグ装置において、膨張ガスを発生するガス発生器と；前記ガス発生器から供給されるガスによって膨張展開するエアバッグとを備える。前記エアバッグは、収容状態において長尺状に圧縮され、当該長尺状のエアバッグの端部を長手方向に沿って折り返され、これによって折り返されていないエアバッグ主部と、前記折り返された折返し端部とが形成される。また、当該装置の作動時に、前記エアバッグの前記折返し端部が車外側に向かって展開するのを規制する規制部材を備えている。

本発明のエアバッグ装置によれば、規制部材によってエアバッグの折返し端部が車外側ではなく車内側に展開するようにガイドされるため、ピラーガーニッシュとピラーとの間にエアバッグが入り込む事態を回避できる。その結果、エアバッグを円滑に展開させることが可能となる。

図１は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置を備えた車両の車室部分の断面図である。 図２は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置に使用されるエアバッグの構造を示す平面図である。 図３は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置に使用されるエアバッグの組み立て（折り畳み）工程の一部を示す説明図である。 図４は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置に使用される規制部材の構造を示す説明図（斜視図）である。 図５は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置に使用される規制部材の構造を示す説明図（平面図）である。 図６は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置の展開動作を示す説明図（断面図）であり、収容状態（展開前の状態）を示す。 図７は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置の展開動作を示す説明図（断面図）であり、展開初期の状態を示す。 図８は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置の展開動作を示す説明図（断面図）であり、展開中期の状態を示す。 図９は、本発明に係るカーテンエアバッグ装置に採用される規制部材のバリエーションを示す説明図である。

以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。図１は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置１０を備えた自動車の車室部分の断面図である。図１に示すように、車室側方の窓ガラスの上部には、ヘッドライニングに覆われたインナーパネルが設けられている。インナーパネルには、カーテンエアバッグ装置１０が、ブラケットを用いてボルトによって固定される。

カーテンエアバッグ装置１０は、車両の窓上縁に配置されたヘッドライニングに覆われた状態で収容され、作動時にヘッドライニングとインナーパネルとの隙間から下方に向かって膨張展開することで車両内の乗員を保護するエアバッグ１２と；エアバッグ１２に膨張ガスを供給するガス供給装置（図示せず）とを備えている。

車両走行中に、ロールオーバ、側面衝突、横転等の非常事態が発生すると、車両に備えられたセンサがその異常な振動をキャッチして、その信号を基に発火信号を図示せぬインフレータ（図示せず）に送る。インフレータ内部には、センサからの発火信号を受けてインフレータを駆動させるプロペラントが備えられている。インフレータの作動によって、エアバッグ１２内部に膨張ガスが充填され、ヘッドライニングが押し広げられる（弾き飛ばされる）ようにエアバッグ１２が展開する。展開したエアバッグ１２によって窓ガラスの側面が覆われ、車両内の乗員が保護される。

図２は、エアバッグ１２の展開状態を示す平面図である。エアバッグ１２は、複数枚（例えば、２枚又は３枚）のシートを重ね合わせて縫合、接着又は溶着により袋状にしたもの、または、一枚織りで袋部が形成されたものを採用することができる。

エアバッグ１２は、インフレータ（図示せず）から供給されるガスを内部に導くガス導入部２４ａ，２４ｂと；上縁部に複数設けられた取り付け用のタブ２２−１〜２２−９と；ガスによって膨張する複数のチャンバー２０と；ガス導入部２４ａ，２４ｂから導入されたガスを各チャンバー２０に導くダクト２６と；を備えている。なお、本実施例においてはインフレータを２つ用いる場合を例にとっているが、インフレータを１つだけ用いる場合にも本発明を適用することができることは言うまでもない。

図３は、本実施例に係るカーテンエアバッグ装置に使用されるエアバッグの組み立て（折り畳み）工程の一部を示す説明図である。エアバッグ１２は、収容時にロール状に巻き取られ略棒状のロール体を形成し、該ロール体の後端が下側に向かって折り返されている。ここで、折り返されない部分をエアバッグ主部１２ａ、折り返された部分を折返し端部１２ｃと言うこととする。エアバッグ１２の圧縮方法は、ロール状の他にも蛇腹状等の方法を採用することができる。また、折返し端部１２ｃの折返し方向は下側のみならず、車内側又は車外側としても本発明は有効に機能するが、下側への折返しの場合が特に有効である。

まず、図２に示すような展開状態のエアバッグ１２を下縁部側から巻き上げ、図３の上図に示すような略棒状のロール体を形成する。次に、布状の保護部材３０を巻き取られたエアバッグ１２の外周に上側から巻きつける。この時、エアバッグ１２のインフレータ連結部２４ａ、２４ｂ及びタブ２２−５〜２２−８を、保護部材３２設けられたスリット３２に差し込む。

保護部材３０の後端部には、エアバッグ１２の展開方向を規制する展開規制部１４が設けられている。図３の実施例においては、展開規制部１４は保護部材３０の１部として形成されているが、単独の部材とすることも可能である。展開規制部１４は、図４に示すように、ロール状に巻き取られたエアバッグ１２のエアバッグ主部１２ａと折返し端部１２ｃとの間にＳ字状に巻きつけられる。図４において、符号１２ｂはエアバッグ１２の折返し部分を示す。なお、展開規制部１４の構造については後に詳細に説明する。

展開規制部１４を含む保護部材３０によってエアバッグ１２を包囲した後は、図示しないブラケットに対してテープで固定する。その後、ブラケットに固定されたエアバッグ１２を車体に対して固定する。

図５は、展開規制部材１４の構造を示す説明図（平面図）である。図４及び図５に示すように、展開規制部材１４は、エアバッグ装置の作動時に、エアバッグ１２の折返し端部１２ｃが車外側に向かって展開するのを規制するものである。すなわち、折返し端部１２ｃの展開方向を車内側にガイドするものである。

規制部材１４は、エアバッグ主部１２ａの車内側面から当該エアバッグ主部１２ａと折返し端部１２ｃとの間を通り、当該端部１２ｃの車外側面を覆うように配置された断面Ｓ字状に巻きつけられている。規制部材１４は、エアバッグ１２の長手方向と略直交する方向に延びる帯状であるが、素材はファブリックの他、樹脂等によって成形することができる。

規制部材１４は上側端部１４ａと下側端部１４ｂとを有し、下側端部１４ｂが折返し端部１２ｃの底部から車内側に延びている。図３に示すように、規制部材１４の一部にスリットが設けられ、エアバッグ主部１２ａに設けられたタブ２２−８が当該スリットを貫通することによって、規制部材１４とエアバッグ１２とが連結される。

図４及び図５に示すように、規制部材１４の中央付近には他の部分よりも容易に延伸可能な延伸領域３４が形成されている。本実施例においては、この延伸領域３４はスリット３８によって達成される。スリット３８は、平行に４カ所に形成されている。なお、スリット３８の形状、大きさ、個数等については適宜変更可能である。このような延伸領域３４は、例えば規制部材１４が樹脂で成形されているような場合には、当該部分を他の部分よりも厚みを小さくした薄肉領域とすることができる。

延伸領域３４は、図２に示すエアバッグ１２の上縁部分に設けられたダクト２６に対応する箇所に配置することが好ましい。エアバッグ装置が作動し、エアバッグ１２が膨張展開すると当該エアバッグ１２内部の圧力が急激に上昇するが、延伸領域３４の存在により膨張ガスの流れをせき止めるような事態（チョーク）を回避することが可能となる。

次に、本実施例にかかるエアバッグ１２の展開動作について図６〜図８を参照して説明する。エアバッグ装置が作動する前の状態においては、エアバッグ１２は、図６に示すようにジャンプブラケット４０内に収容されている。その後、インフレータによって発生した膨張ガスが、ガス導入口２４ａ、２４ｂより流入すると、ダクト２６を介してチャンバー２０を膨張させる。この時、図７に示すように、最初にエアバッグ主部１２ａが展開するが、規制部材１４によってエアバッグ主部１２ａは車両外側に向かって展開する。

エアバッグ主部１２ａが更に展開すると、図８に示すように、折返し端部１２ｃが規制部材１４の存在により、エアバッグ主部１２ａの圧力で車内側にガイドされる。その後、折返し端部１２ｃが展開し、エアバッグ１２が完全に展開した状態となる。ここで、折返し端部１２ｃが車内側に向かって展開するため、ピラーガーニッシュとピラーとの間にエアバッグ１２が入り込む事態を回避でき、エアバッグ１２が円滑に展開可能となる。

図９は、本発明に係るカーテンエアバッグ装置に採用される規制部材のバリエーションを示す説明図である。図９に示すように、規制部材としては上述したような幅広の１枚の帯状規制部材１４のほかに、幅の狭い１枚の帯状規制部材５４や、２枚の規制部材６４ａ，６４ｂを採用することができる。また、このような規制部材５４，６４ａ，６４ｂについても、保護部材３０と一体的に成形することができる。

以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。本発明に係るカーテンエアバッグ装置は、３列乗車のＳＵＶタイプ又はワゴンタイプの車両以外にも、２列乗車の乗用車タイプの車両等、種々のタイプの車両に適用できることは言うまでもない。

１０：カーテンエアバッグ装置
１２：エアバッグ
１２ａ：エアバッグ主部
１２ｃ：折返し端部
１４：規制部材
１４ａ：上側端部
１４ｂ：下側端部
３０：保護部材
３４：延伸領域
３８：スリット

Claims (9)

1. 車両内の側部にてカーテン状に展開し、当該車両内の乗員を保護するエアバッグ装置において、
   膨張ガスを発生するガス発生器と；
   前記ガス発生器から供給されるガスによって膨張展開するエアバッグとを備え、
   前記エアバッグは、収容状態において長尺状に圧縮され、当該長尺状のエアバッグの端部を長手方向に沿って折り返され、これによって折り返されていないエアバッグ主部と、前記折り返された折返し端部とが形成され、
   当該装置の作動時に、前記エアバッグの前記折返し端部が車外側に向かって展開するのを規制する規制部材を備え、
   前記エアバッグの折返し端部は前記エアバッグ主部の下側に折り返されており、
   前記規制部材は、前記エアバッグ主部の車内側面から当該エアバッグ主部と前記折返し端部との間を通り、当該端部の車外側面を覆うように配置された断面Ｓ字状であることを特徴とするエアバッグ装置。
2. 前記規制部材は、前記エアバッグの長手方向と略直交する方向に延びる帯状に成形されていることを特徴とする請求項１に記載のエアバッグ装置。
3. 前記圧縮状態のエアバッグの周囲を覆う保護部材を更に備え、
   前記規制部材は、当該保護部材の一部として形成されていることを特徴とする請求項１に記載のエアバッグ装置。
4. 前記規制部材の下側端部が、前記折返し端部の底部から車内側に延びていることを特徴とする請求項１乃至３の何れか一項に記載のエアバッグ装置。
5. 前記規制部材が前記エアバッグ主部の上面付近で当該エアバッグと連結されていることを特徴とする請求項１乃至４の何れか一項に記載のエアバッグ装置。
6. 前記規制部材の一部にスリットが設けられ、前記エアバッグ主部に設けられたタブが前記スリットを貫通することによって、当該規制部材と前記エアバッグとが連結されることを特徴とする請求項５に記載のエアバッグ装置。
7. 前記規制部材は、他の部分よりも容易に延伸可能な延伸領域を有することを特徴とする請求項１乃至６の何れか一項に記載のエアバッグ装置。
8. 前記延伸領域は、前記規制部材に設けられたスリットであることを特徴とする請求項７に記載のエアバッグ装置。
9. 前記延伸領域は、他の部分より厚みの小さな薄肉領域であることを特徴とする請求項７に記載のエアバッグ装置。

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