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JP5139395B2 - 鉛イオンの簡易分析器及びそれを用いた鉛イオンの分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛イオンの濃度を測定する簡易分析器とそれを用いた鉛イオンの分析方法に関する。
本出願人は、現場での水質検査などで使用する簡易分析器として「パックテスト」(登録商標)を開発し、改良を重ねて好評を得ている(特許文献1)。このパックテスト(登録商標)は樹脂チューブに分析対象物質に反応する発色試薬が密封された分析器である。試料液をチューブ内に吸い込んで発色試薬と反応させ、その発色の色合いにより分析対象物質の濃度を測定するものである。
ところで、重金属の水質汚濁に係る環境基準と排水基準は、ppb(=μg/L)オーダーと極めて低い濃度レベルに設定されている。そのため、現場においてはパックテスト(登録商標)の発色試薬との反応による呈色を他の光度計等の装置を併用して検出するか、あるいは、現場で採水した試料液を研究室にいったん持ち帰り、精密な検出装置で測定することが求められていた。
重金属のうちで鉛は人体や環境に与える有害性が高く、工業排水基準として0.1ppm以下、環境基準として10ppb以下と定められている。そのため、低濃度の鉛イオンの濃度を測定する鉛イオンの測定方法が提案されている(特許文献2)。この方法では、鉛イオンを選択的に捕捉することができる繊維状リン酸セリウムを含有する濾過膜を用いている。この濾過膜に対して試料液を通過させ、試料液中の鉛イオンを濾過膜上に選択的に捕捉させた後、この濾過膜に発色試薬を接触させて発色させ、この発色度合いによって鉛イオンを測定するというものである。
特許文献2で用いられる濾過膜は、濾紙状薄膜が好ましいとされ、繊維状リン酸セリウムと他の繊維材料(例えばセルロース繊維等)とを水に分散した混合スラリーを、濾過器に取り付けた濾紙上に全面的に供し濾過処理に付し乾燥した後、濾紙から剥がすなどの手法によって作成される。作成された濾過膜を使用する際には、例えば直径30mm程度の小片として切り出し、この小片をセパラブルフィルターで挟み込むようにセッティングし、これが鉛イオンを含む試料液の濾過材として使用される。
特許第4125603号公報 特開2006−23132号公報
しかしながら、繊維状リン酸セリウムを含有する濾過膜は非常に硬く脆いため、小片に切り出す作業は高度な熟練を要し、一般には困難を伴う。仮に切り出したとしても、この小片を更に所定のフィルターホルダーで挟み込むというセッティング作業が必要となる。
更に、切り出し作業により「使用されない部分」が生じるとともに、例えば直径30mmに切り出した小片のうち、実際に用いられる部分は直径5mmであるため、せっかく作成した繊維状リン酸セリウムを含有する濾過膜が無駄となり、コスト高の原因ともなっている。
また、たとえば直径5mm(濾過面積0.2cm)の濾過膜について単位面積あたりの濾過量を500ml/cmとするため、試料液100mlが必要であり、ポンプ装置を用いて10分かけて濾過している。そして濾過後には鉛イオンを捕捉した濾過膜を発色試薬に浸漬するため、フィルターホルダーをあけて濾過膜を取り出さなくてはならない。さらに、発色処理後の濾過膜の色はTLCスキャナーや色彩色差計を用いて測定され、あらかじめ作成した検量線にあてはめて濃度が決定される。このように前処理や後処理が複雑であると共に時間がかかり、装置や測定機器が必要であるなど、必ずしも現場で簡易迅速に鉛イオンを測定できるものとなっていない。
そこで本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は濾過膜の切り出し作業やセッティング作業を不要とし、現場で簡易迅速に鉛イオンの測定を可能とする繊維状リン酸セリウムを含有する鉛イオン補足膜を予め備えた簡易分析器およびこれを用いた鉛イオン分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の鉛イオンの簡易分析器は、上流側の開口部を広口にするとともに上流側の開口部から下流側の開口部へと通過させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられる基礎濾過材と、上流側の開口部に対して繊維状リン酸セリウムを含有するスラリーを供給することにより前記基礎濾過材の表面に前記繊維状リン酸セリウムを定着させてなる鉛イオン捕捉膜とを有し、前記鉛イオン捕捉膜は前記貫通孔の上流側の開口部から直視できるように表出されている。
上記構成によれば、現場において簡易分析器の上流側の開口部に鉛イオンを含む試料液を供給すれば、基礎濾過材の上に定着している鉛イオン捕捉膜に鉛イオンが選択的に捕捉される。膜に捕捉された鉛イオンは発色処理を施すことにより上流側の開口部から目視で確認でき、鉛イオンの濃度が測定される。
また、本発明の鉛イオンの簡易分析器は、前記貫通孔の上流側の開口部に嵌着して前記鉛イオン捕捉膜の一部を閉塞し試料液を鉛イオン捕捉膜の表出残部に供給する筒状の誘導部材を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、上流側の開口部に嵌着する誘導部材を通じて試料液が鉛イオン捕捉膜の表出残部に供給され、表出残部に対して試料液が単位面積あたり濃縮された状態で供給される。
また、前記誘導部材の鉛イオン捕捉膜に接する内周側端面は、突出したリング状に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば誘導部材の突出した先端面が鉛イオン捕捉膜の内径側をリング状に押圧することにより、試料液が誘導部材の内周側のみに供給され、鉛イオンが当該部分のみで濃縮される。
また、本発明の鉛イオンの分析方法は、上記簡易分析器を使用して、鉛イオン捕捉膜の色の変化および濃淡を目視で確認して鉛イオン濃度を測定する方法である。
上記構成によれば、機械や測定装置を使用せずに、目視で比色して鉛イオン濃度を測定できる。
また、本発明の鉛イオンの分析方法は、上記簡易分析器を使用して、鉛イオン捕捉膜の色の変化および濃淡を目視で確認して比色部材と比較し、鉛イオン濃度を測定する方法であって、前記比色部材が目的物質の測定濃度に応じて配列される複数の色表示部と、各色表示部のほぼ中央に設けられた前記簡易分析器本体の外形を受容する嵌着孔とを備え、該嵌着孔に受容された前記簡易分析器本体の広口の開口部から直視される鉛イオン捕捉膜と周囲の色表示部とが隣接して直接比色されることを特徴とする。
上記構成によれば、鉛イオン捕捉膜と濃度比色部材の色表示部とを最大限に接近させ、ほぼ同一面上から比色する。色表示部の中央に設けられている嵌着孔に簡易分析器本体を受容させることができるため、分析器の貫通孔の途中の鉛イオン捕捉膜を色表示部の中央に位置決めして比色することが可能となる。また、濃度比色部材の色表示部の奥行き方向と鉛イオン捕捉膜の奥行き方向とを合わせることができるため、略同一平面上での焦点距離を一致させた比色が可能となり、より正確で迅速な直接対比判断が可能となる。
なお、本発明において、「繊維状リン酸セリウムを含有する」とは、繊維状リン酸セリウムが一部に含まれていることはもちろん、繊維状リン酸セリウムだけで構成されている場合も含み得る概念である。
また、「上流」、「下流」という表現を用いているが、これは簡易分析器使用時における試料液の流れに基づいた表現である。即ち、試料液が供給される側が「上流」側となり、試料液が回収される側が「下流」側となる。
本発明の鉛イオンの簡易分析器によれば、簡易迅速に鉛イオンの濃度測定が可能な現場携帯用分析器を提供することができる。
特に、予め、鉛イオンのみを選択的に捕捉することができる鉛イオン捕捉膜が基礎濾過材に定着しているので、測定にあたってこの鉛イオン捕捉膜を所望の大きさに切り出したり、フィルターホルダーで挟み込んでセッティングする等の手間は不要であり、現場でこの簡易分析器を用いて直ちに鉛イオンを含む試料液を濾過して迅速に濃度測定をすることができる。その際に、上流側の広口の開口部を通して表出する鉛イオン捕捉膜を直視できるため、鉛イオン捕捉膜を取り出すことなくそのままの状態で発色処理をし、現場で直ちに色見本と比色して鉛イオン濃度を決定できるようになっている。
鉛イオン捕捉膜は鉛イオンの存在による発色を目視で確認できるだけの面積があればよいため、鉛イオン捕捉膜を小さくすることができる。その結果、鉛イオン捕捉膜の単位面積あたりの濾過量を増大させることができ、低濃度の鉛イオンが含まれる試料液についても測定することができる。また、簡易分析器も小さく成形できるため、現場への持ち運びが容易であり、現場での作業も容易となる。
さらに、上流側の開口部に誘導部材を嵌着させて試料液を供給することにより、鉛イオン捕捉膜の浮きを防止し、鉛イオン捕捉膜の周縁部からの試料液の漏れを防ぐことができる。また、誘導部材の試料液供給部の内径を変更することにより、鉛イオン捕捉膜の単位面積あたりの試料液の供給量が調整でき、鉛イオンの測定範囲を広くすることができる。そして、発色処理後には、誘導部材により試料液が供給された鉛イオン補足膜の表出残部と試料液が供給されなかった閉塞部分の発色を比較することにより、鉛イオンの存在の有無を容易に判断することができる。
また、本発明の分析方法により、装置や測定機器なしに迅速に現場で試料液中の鉛イオンを測定することができる。貫通孔の途中に鉛イオン捕捉膜を備え、広口の開口部から直視可能な、すなわち、立体的な簡易分析器を用いた場合でも、簡易分析器を濃度比色部材の嵌着孔に受容させて鉛イオン捕捉膜と色表示部との直接対比を同一焦点距離から迅速かつ正確に実施することができる。
本発明の実施形態の一例である簡易分析器の斜視図。 同簡易分析器の一部切欠分解斜視図。 簡易分析器と誘導部材とを示す斜視図。 図1の簡易分析器と誘導部材の接続状態を示す要部拡大断面図。 誘導部材の第2実施例を示した斜視図。 簡易分析器の製造方法を示す正面図。 図6の製造方法を示す要部拡大断面図。 簡易分析器を用いて構成した簡易測定システムの概略斜視図。 本発明の簡易測定システムを使用して鉛イオンの濃度を測定する発色工程を示す正面図。 本発明の簡易測定システムを使用して鉛イオンの濃度を測定する比色工程を示す斜視図。 比色工程の要部拡大断面図。 実施例2の種々の濃度の鉛イオンを分析した結果を示す写真。 実施例3の簡易分析器に誘導部材を取り付けた場合と取り付けない場合の鉛イオンの分析結果を示す写真。
以下、本発明の実施形態の鉛イオンの簡易分析器及びそれを用いた鉛イオンの分析方法について図面を参照しつつ説明する。
<簡易分析器の構成>
図1、図2に示すように、簡易分析器1は、貫通孔12を有するフィルターユニット10に、この貫通孔12の途中に設けられた基礎濾過材20と、繊維状リン酸セリウムを含有する鉛イオン捕捉膜22とを備えている。なお図1、図2では、上方が上流側、下方が下流側である。
図1、図2に示すように本実施形態におけるフィルターユニット10は、上下に伸びる貫通孔12を有した筒状体であり、合成樹脂材などで一体成形される。このフィルターユニット10は、上下方向のほぼ1/3程度の上位の外周面には全周に渡って鍔部16が張り出しされている。フィルターユニット10の外周面は、鍔部16を境に大径部11と円錐部13に区分でき、鍔部16より上流側が鍔部16から略垂直に立ち上がる大径な円筒形状の大径部11が設けられ、大径部11の上流側端部には広口の開口部17が開口されている。一方、下流側(図2において下側)は、下方向に向かって外径が徐々に減縮する円錐部13が設けられ、円錐部13の下流側端部には開口部18が開口されている。下流側の開口部18は狭口に開口されている。また、鍔部16よりも僅かに上流側の外周面には、全周に渡って突起部14が形成されている。フィルターユニット10は現場に簡易に携帯できる大きさに成形され、広口の開口部幅W2は目視で鉛イオン捕捉膜22の色の変化等を確認できる程度の大きさであればよい。鉛イオン捕捉膜22の色の変化等を確認するには、試料液が供給されて色が変化する部分αの直径は2.5mm以上必要である。視認性を高めつつ、簡易分析器1を現場に携帯できる大きさとするために、広口の開口部幅W2は2.5mm〜10mmが望ましい。特に限定されないが、本実施形態ではこのフィルターユニット10の全長L1は約16mm、全幅W1は約11mm、広口の開口部幅W2は約7mmとなっている。
前記貫通孔12は、上流側の開口部17から下流側の開口部18に向かう途中には段部12cがリング状に張り出しされている。上記段部12cの上流側では、ほぼ垂直状の大径孔部12bが外方から直視可能な程度の広口に開口され、大径孔部12bの上端ではテーパ状に拡開する第1テーパ孔部12aが設けられている。また、前記段部12cから下流側の内周面は、テーパ状に貫通孔12の径が絞られて第2テーパ孔部12dが形成され、この第2テーパ孔部12dより下流側は貫通孔12の内径が細くなる小径孔部12eが設けられている。上述の通り、第1テーパ孔部12a、大径孔部12b、段部12c、第2テーパ孔部12d、小径孔部12eが連通して全体として貫通孔12を構成している。
前記貫通孔12の段部12cには、円盤形状の連続多孔質膜からなる基礎濾過材20が配置され、この基礎濾過材20の上に積層されるように円盤形状の鉛イオン捕捉膜22が配置されている。従って、貫通孔12を上流側から見ると、鉛イオン捕捉膜22の表面全体を広口の開口部17を介して直接視認することができる構成となっている。また、積層された結果、鉛イオン捕捉膜22が鍔部16より上位位置(高さ方向の位置)まで揃えられるように構成されている。
前記基礎濾過材20の下面外縁は段部12cに密着され、かつ、外周面が大径孔部12bの内周面に全周に渡って密着している。基礎濾過材20は、本実施形態においては例えばポリエチレンなどの合成樹脂材を材料とし焼結されて構成され、その空隙率はスラリーに含まれている固体成分(繊維状リン酸セリウムなど)を濾過することができない程度に設定されており、さらに膜全体で空隙率が均一となるように調整されている。特に限定されないが、基礎濾過材20に用いられる合成樹脂材の粒径は20μm〜150μm程度であり、基礎濾過材20の厚さは2〜5mm程度が望ましい。
なお、フィルターユニット10は樹脂材料以外で構成されていてもよく、例えば、金属や陶器などで構成することができる。また、基礎濾過材20は、連続多孔質である限り特に材料の種類に制限はないが、樹脂製の焼結フィルターを利用すればコスト面で有利であり、また樹脂は軽量であることから簡易分析器1全体の軽量化にも寄与できる。
前記鉛イオン捕捉膜22は、試料液に含まれている鉛イオン(Pbイオン)を捕捉する機能を有する膜である。この鉛イオン捕捉膜22は、鉛イオンを選択的に捕捉することのできる繊維状リン酸セリウムと他の結合助剤等から構成される。また、場合により、繊維状リン酸セリウムのみから構成されていてもよい。鉛イオン捕捉膜22はその下面が基礎濾過材20の表面に一体に付着され、ほぼ同一厚みで表面全域に渡っている。具体的には、鉛イオン捕捉膜の厚さは10μm〜5mm、好ましくは20μm〜2mm程度である。
誘導部材100は、試料液を鉛イオン捕捉膜22の表出残部に供給し、鉛イオン捕捉膜22への単位面積あたりの試料液の供給量を変化させることのできる部材である。図3、図4に示すように、本実施形態においては試料液が通過する中空部100aが形成された筒状(パイプ状)の部材として構成され、一端に簡易分析器1の大径孔部12bに強制嵌合し得る小径部100bが縮径され、縮径部位に段差面100cが位置している。筒状には、円筒状、角筒状及び拡開した筒状、すなわちラッパ状が含まれる。また、小径部100bの先端には、先端面100dと内周側を突出した凸部100eの端面がリング状に形成されている。誘導部材100の小径部100bを簡易分析器1の大径孔部12bに嵌め込んでいくと、段差面100cにフィルターユニット10の上流側端面10aが当接して位置決めされる構成となっている。このとき、誘導部材100の先端面100dは鉛イオン捕捉膜22の表面の周縁部を押圧するように密着できる構成とされている。その際に、前記先端面100dの内周側では凸部100eがリング状に鉛イオン捕捉膜22をさらに押圧している。リング状には、円形状(環状)、楕円状、角型状が含まれる。先端面100dからの凸部100eの高さは、鉛イオン捕捉膜の厚みによるが、たとえば0.3mm〜2mm程度が望ましい。
誘導部材100の中空部100aの開口面積は鉛イオン捕捉膜22の表面積よりも小さくなっているので、この誘導部材100を簡易分析器1の大径孔部12bに接続することで、試料液の通過を鉛イオン捕捉膜22の表面の一部に絞り込み、単位面積当たりの濃縮度合いを変化させることが可能となる。例えば、中空部100aの内径d1がそれぞれ異なる複数の誘導部材100をシリーズとして揃えておくことで、濃縮レベルを適宜調整することができる。換言すれば、試料液が貴重で大量に確保できない場合でも濃縮レベルを確保できるので、濃度測定が可能となることを意味している。
中空部100aの内径d1は試料液の供給量と濾過にかかる時間の関係から5mm以下が望ましく、鉛イオン発色処理後の発色状態の目視による確認のしやすさから2.5mm以上が望ましい。具体的には、内径d1が3mmであった場合、単位面積あたりの濾過量を500ml/cmとするには、試料液は35mlと少量で足りる。
また、誘導部材100は、鉛イオン捕捉膜22の周縁部が乾燥収縮することによって生じ得る隙間(必ず隙間が生じているということを意味しない)γから試料液が通過することを阻止することができる。すなわち、鉛イオン捕捉膜22は、基礎濾過材20の上に水分を含んだ繊維状リン酸セリウムを積層させて乾燥させるため、乾燥工程で収縮が生じる可能性を有する。収縮により鉛イオン捕捉膜22の周縁部と大径孔部12bとの間に僅かな隙間が生じると、試料液の一部がその隙間を通過して濃度測定に影響を及ぼすからである。誘導部材100は凸部100eが隙間γより内周側で鉛イオン捕捉膜22をさらに押圧して外周側への浸透拡散を阻止できる構造となっている。
さらに、誘導部材100を用いると、発色処理後の鉛イオン捕捉膜22の表面に試料液が通過する中心部αと試料液70が通過しない円環部βが形成される(図1参照)。そのため、発色処理後も鉛イオン捕捉膜22の地色がそのまま残る部分(円環部β)ができ、簡易分析器単体でも発色の有無を容易に確認することが可能となる。本発明の鉛イオン捕捉膜22の地色は淡ベージュ色であり、鉛が捕捉され発色すると焦茶色を呈するところ、地色が白のものに比べると色の変化の認定は難しいことがある。そこで、地色の部分を残すことで(円環部β)、色の変化を容易に確認することができる。即ち、試料液中の鉛イオンの有無の判断に限れば、色見本などを用いずとも簡易分析器1単独で行うことができる。
さらに、誘導部材100を装着するということは、単に試料液70の濃縮レベルを調整するのみならず、鉛イオン捕捉膜22の脱落防止の機能も発揮する。また、鉛イオン捕捉膜22は繊維状の固体成分が積層して構成されているものであるため、誘導部材100で押圧することによって毛羽立ちを防止し型崩れを防止するという機能も発揮する。
なお、誘導部材100は、簡易分析器1について脱着できる構造としても、脱着できない構造(嵌め殺し構造、一体成形構造)としてもよい。誘導部材100が脱着できない構造とした場合にはもちろん、脱着できる構造とした場合においても、誘導部材100部分を無色透明の樹脂等とすることで、簡易分析器1から誘導部材100を外さずに迅速に比色分析を行うことができる。
また、誘導部材100は上記のようにパイプ状のものに限られず、例えば図5に示しているようにいわゆるドーナツ形の誘導部材110として構成してもよい。このような構成とすれば、誘導部材110全体を簡易分析器1の大径孔部12bの中に納めておくことができ、コンパクトに構成できる。
<簡易分析器の製造方法>
次に、図6及び図7を参照しつつ、簡易分析器1の製造方法について説明する。なお、簡易分析器1の製造方法は以下記載の方法に限定されるものではない。
繊維状リン酸セリウムは、例えば、リン酸セリウムを1M硫酸に溶解させて得た溶液を、95℃の6Mリン酸に攪拌しながら添加する。添加終了後に攪拌を止め、95℃で6時間放置する。その後、水を加えてナイロンフィルターにて濾過し、フィルター上の繊維状リン酸セリウムを水で洗浄する。これを50℃で乾燥させることにより、繊維状リン酸セリウムが生成する。続いて、生成した繊維状リン酸セリウムに水を加えて15分間振動させると、繊維状リン酸セリウムを含有するスラリー60が得られる。なお、必要により、鉛イオン捕捉膜22の型くずれを防止して、フィルターユニット10から脱落することなく安定に膜を固定することを目的として、結合助剤を添加してもよい。この結合助剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、グリセリン、ポリビニルアルコールなどが利用できる。
図6に示すように、大径孔部12bの段部12cに基礎濾過材20が配置されているフィルターユニット10の大径部11に接続チューブ40の一端を押し込んで接続する。このときフィルターユニット10の大径部11の外周面に形成された突起部14が、接続チューブ40の外れ止めとして機能する。そして、所定量の繊維状リン酸セリウムを含有するスラリー60をシリンジ30内に一定容量入れ、接続チューブ40の他端にシリンジ30を接続する。シリンジ30で上記スラリー60を定速で押し込み、基礎濾過材20の上に積層させる。基礎濾過材20は、水分などは通過させるが、上記スラリー60中の繊維状リン酸セリウム等は通過させずに上流側に残して積層させるため、鉛イオン捕捉膜22が形成される。
図7に示すように、繊維状リン酸セリウムを含有するスラリー60を開口部17から供給する際には、固体成分として上記スラリー60中に分散している繊維状リン酸セリウム等が、基礎濾過材20の上に定着される。上記スラリー60は、第1テーパ孔部12aにより内周縁側が収束されつつ大径孔部12bへと供給され、基礎濾過材20の空隙に引き込みされる状態で係合しつつ定着する。このとき、基礎濾過材20の空隙率は、全面に渡って均一となるように設定されていることから、上記スラリー60内の固体成分が均一な状態に順次積層し、鉛イオン捕捉膜22が形成される。なお、供給されるスラリー60の量によって形成される鉛イオン捕捉膜22の厚みが異なってくるため、供給量は適宜調整する必要がある。
上記スラリー60を供給した後、小径孔部12eより一定量の空気を吸引することで、鉛イオン捕捉膜22や基礎濾過材20に含まれている水分を取り除く。必要に応じて、大径孔部12bに丁度嵌合できるサイズの部材を利用して、鉛イオン捕捉膜22の表面を押圧し余分な水分を取り除いてもよい。
その後、図示していないが、鉛イオン捕捉膜22が形成されたフィルターユニット10を乾燥機にて乾燥させ、簡易分析器1を得る。
<簡易分析器を利用した鉛イオンの簡易測定システム>
次に、上記説明した簡易分析器1を用いて、鉛イオンの濃度を簡易に測定するシステムについて説明する。
簡易分析は、図8に示している簡易測定システムによって実現される。簡易測定システムは、試料液70に含まれる鉛イオンを捕捉して鉛イオン捕捉膜22上で鉛イオンの存在を可視化する可視化手段と、この可視化手段により可視化された鉛イオンの色を識別する識別手段を備えて構成されている。
可視化手段は、たとえば、鉛イオンを含む試料液70が供給されるビーカー(容器)50と、鉛イオン補足膜22より鉛イオンが捕捉された試料液70が回収されるシリンジ30と、これらビーカー50とシリンジ30とを繋ぐ接続チューブ40と、これら接続チューブ40の端部に連通接続される簡易分析器1を有してなる。具体的には、シリンジ30のノズル部32に接続チューブ40の一端が被嵌接続され、他端が簡易分析器1の円錐部13に接続される。接続チューブ40としては柔軟性を有する熱可塑性樹脂製の筒状体が望ましく、ノズル部32や円錐部13のテーパ部分への押し込みによって密着する。また、簡易分析器1の大径孔部12bは、試料液70に開放してもよいが、図示するように、大径孔部12bに誘導部材100を嵌合してもよい。
シリンジ30は、一般に市販されている様々なシリンジを利用することができる。特に限定されないが、具体的には試料液の吸引速度をほぼ一定にでき、吸引に手間がかからない観点から、シリンジ内部のシリンダー位置を固定できるストッパー付きシリンジ(藤原製作所製など)が望ましい。
また、可視化手段においては、試料液70をシリンジに一定容量入れ、シリンジ30のノズル部32と簡易分析器1の大径孔部12bを接続チューブ40又は誘導部材100を用いて接続する構成としてもよい。シリンジ30により、試料液70は押し込まれて簡易分析器1に供給される。
さらに、可視化手段においては、試料液70に含まれる鉛イオンを鉛イオン捕捉膜22上に捕捉した後、鉛イオン捕捉膜22に対して発色試薬を滴下して鉛イオンを発色させ、可視化させる(図9)。
一方、識別手段は、可視化手段により可視化された鉛イオンの色を比べるための濃度比色部材90を用いてなる。濃度比色部材90は、鉛イオンの濃度に応じて段階的に並べて配列された複数の色表示部92と、この色表示部92に対応する濃度表示94とを備えている。濃度比色部材90は、図示するシート状を呈し、それぞれの色表示部92の中央には、簡易分析器1の大径部11を嵌着させるための嵌着孔96が形成されている。そのため色表示部92は、嵌着孔96を取り囲むような環状の態様が基本となる。色表示部92の色は、予め濃度が既知の試料液70を利用して発色を確認して作成されている。
前記色表示部92は離間して配列され、例えば、鉛イオンの濃度に応じて配列される。より具体的には、左右方向(X方向)、つまり左側から右側に向かうに従って鉛イオンの濃度が高くなるように濃度表示94が配列され、これに応じて色表示部92の色も淡ベージュから焦茶色へと順に濃くなっている。
<簡易測定システムを用いた測定方法>
続いて、上記簡易測定システムを用いた具体的な測定方法について手順に沿って説明する。
鉛イオンの濃度の測定方法の概要は、簡易分析器1の鉛イオン捕捉膜22上に試料液70を供給し、試料液70に含まれる鉛イオンを鉛イオン捕捉膜22上に捕捉する。その後、鉛イオン捕捉膜22に対して発色試薬を滴下して鉛イオンを発色させて可視化し、その発色の濃淡(発色強度)により鉛イオンの濃度を測定する。鉛イオンの濃度と、発色した色の濃淡には相関関係が成り立つので、鉛イオンの濃度は、予め濃度が既知の試料を用いて作成した濃度比色部材90の色表示部92の色と目視により比較することで判定することができる。
最初に、ビーカーなどの容器50の試料液70の中に誘導部材100の下端を浸した状態でシリンジ30のピストンを引き、試料液70を吸い上げる(図8参照)。これにより、試料液70は、簡易分析器1の貫通孔12を通ってシリンジ30側へと移動する。シリンジ30はピストンを定速で所望距離だけ操作して一定容量を供給し、一定容量の試料液70中に含まれる鉛イオンは鉛イオン捕捉膜22で濃縮される。
その後、接続チューブ40からシリンジ30を一旦取り外し、シリンジ30内に回収された濾過液を廃棄した上で、空になったシリンジ30を接続チューブ40に再接続する。
次に、簡易分析器1の大径孔部12bから誘導部材100を取り外し、図9に示しているように、鉛イオン捕捉膜22の表面に発色試薬84を適量滴下する。なお、この発色試薬84は、特に限定されないが、たとえば、3%硫化ナトリウムのグリセリン溶液、あるいは3%のチオアミドのグリセリン溶液である。この後、発色反応後の鉛イオン捕捉膜22に蒸留水を供給し、発色試薬を洗い流すと共に、発色の安定を図る操作をしてもよい。さらに、鉛イオン捕捉膜22や基礎濾過材20に含まれている反応後の発色液や水分を小径孔部12eから接続チューブ40を通じて接続されているシリンジ30に吸引することで取り除いてもよい。
次に、図10に示すように、簡易分析器1を接続チューブ40から取り外し、鉛イオン捕捉膜22の表面上にできたスポット(捕捉された鉛イオンが発色した跡)を濃度比色部材90の色表示部92と比較する。比較した結果、最も近いものに対応している濃度表示94が試料液70に含まれている鉛イオンの濃度となる。
なお、上記スポットと誘導部材100により閉塞されて試料液70が供給されなかった部分との発色を比較することにより、試料液中の鉛イオンの存在の有無は直ちに確認される。
濃度比色部材90の色表示部92にはそれぞれ嵌着孔96が設けられているため、この嵌着孔96に簡易分析器1の大径部11を嵌め込んで嵌着させる。このとき、フィルターユニット10の外周には鍔部16が形成されていることから、この鍔部16が濃度比色部材90の下面に当接した状態で上面が突起部14で挟み込みされるので、嵌着孔96に嵌着した簡易分析器1が位置決めされる(図11参照)。またこの鍔部16は、鉛イオン捕捉膜22の位置とほぼ揃った位置に形成されていることから、鍔部16にて位置決めされると、濃度比色部材90上の色表示部92と鉛イオン捕捉膜22の表面との高さ方向がある程度揃い、より正確な比色が可能となっている。特に、鉛イオン捕捉膜22の表面と色表示部92とが接近しているので、比色が迅速かつ正確に実施される。また、簡易分析器1を濃度比色部材90の下側から嵌着するのではなく、上側から嵌めてもよい。即ち、フィルターユニット10の円錐部13を嵌着孔96へ落とし込み挿入して比色することも可能であり、この場合には開口部17の鉛イオン捕捉膜22の発色と鍔部周囲の色表示部92とを対比して比色する。
鉛イオン捕捉膜22の単位面積あたりに捕捉される鉛イオンの総量は、試料液70の供給量に比例するため、試料液70の供給量が大きいほど簡易分析器1に捕捉される鉛イオン量が増大し、より低濃度が測定できる。
試料液70の量は、濾過処理にかかる時間の観点から、200ml以下が望ましい。
また、簡易測定システムを用いて、鉛イオンの測定を行う際に、試料液70に共存する他の金属イオンにより妨害を受けることがある。そのようなことが懸念される場合には、これを防ぐため、試料液70の中に、共存金属と錯体を形成するマスキング試薬を加えておくことによって妨害を排除することができる。例えば共存し得る金属イオンとして、Na+、K+、Ca(II)、 Mg(II)、Fe(II)、Fe(III)、Cu(II)、Zn(II)などがある。これらの金属イオンのマスク剤として、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン、アセチルヒドロキサム酸、アミノ酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられ、これらを単独ないし、必要により二種類以上を組み合わせて用いるとよい。
なお、試料液70中に浮遊物や懸濁物質がある場合には、浮遊物が鉛イオン捕捉膜22に付着して詰まりや着色ムラの原因となりやすいため、あらかじめ、メッシュやフィルターで上記浮遊物等を取り除いておくことが望ましい。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態が技術的範囲に含まれるものである。
本発明の実施にあたり、フィルターユニットは、図1、図2に示す全長約16mm、全幅約11mm、広口の開口部幅約7mmであり、ポリプロピレン樹脂製のものを用いた。基礎濾過材はフィルターユニット内でポリエチレン粉末を焼結させて得た。また、誘導部材は図3に示す全長30mm、外形幅8mm、内径3mm、ポリプロピレン樹脂製のものを用いた。
リン酸セリウム3gを1M硫酸150mlに溶解させ、その溶液を95℃に加温させた6Mリン酸150mlに毎分3mlで攪拌しながら添加した。添加終了後に攪拌を止め、95℃で6時間放置した。その後、200mlの水を加えて108μmのメッシュのナイロンフィルターで濾過した。フィルター上に残った繊維状リン酸セリウムを200mlの水で洗浄し、50℃条件下で乾燥させ、繊維状リン酸セリウムを得た。
得られた繊維状リン酸セリウム1gに対して75mlの蒸留水を加え、15分間振動させて水中で分散させ、繊維状リン酸セリウムを含有するスラリーを得た。シリンジでスラリーを吸引し、広口の開口部より上記スラリーを定速で供給し、基礎濾過材の上に積層させた。基礎濾過材に残っている水を下流側の開口部からシリンジで吸引して取り除いた後、フィルターホルダーに水平に置き、50℃条件下で1時間静置させて乾燥させ、簡易分析器を得た。
実施例1で得た簡易分析器の大径孔部に誘導部材を嵌めこみ、円錐部とシリンジを接続チューブを用いて接続した。鉛イオン濃度が25ppbの試料液と100ppbの試料液をビーカーに準備し、それぞれ誘導部材の下端を各種試料液に入れてシリンジのピストンを一定速度で引き、50ml吸引した。鉛イオン捕捉膜の濾過面積は0.07cm(直径3mm)であり、単位面積あたりの濾過量は700ml/cmであった。また、この50mlの吸引濾過にかかった時間は10分ほどであった。
誘導部材を大径孔部から取り外し、鉛イオン捕捉膜に発色液である3%の硫化ナトリウム水溶液を2ml滴下し、2分間反応させた。2分後、円錐部に接続チューブを接続したシリンジで小径孔部から発色液を吸引して取り除いた。蒸留水を入れたビーカーに簡易分析器の開口部を入れ、シリンジで蒸留水を5ml吸引し、発色液を洗い流した。
広口の開口部より、鉛イオン捕捉膜を見ると、誘導部材により試料液が供給された部分が丸く焦茶色に着色していた。この着色を図12に示す。この簡易分析器の大径部を濃度比色部材の嵌着孔に嵌めこみ、色表示部と鉛イオン捕捉膜上の着色を比色したところ、試料液の濃度が容易に判定できた。そして、通液量50mlにおいては、10ppb〜20ppb程度の鉛イオン濃度を検出限界として分析することができた。
また、試料液の濾過量を100mlにすることで、さらに鉛イオン濃度が低濃度の試料についても、測定できることが推測された。
実施例1で得た簡易分析器に誘導部材を取り付けて測定した場合と、取り付けなかった場合について、実施例2と同じ手順で分析を行った。
試料液は鉛イオン濃度が400ppbのものを使用し、濾過量は50mlとした。誘導部材を取り付けて測定した簡易分析器については、鉛イオン捕捉膜の濾過面積は0.07cm(直径3mm)であり、単位面積あたりの濾過量は700ml/cmであった。また、誘導部材を取り付けていない簡易分析器については、濾過面積は0.20cm(直径5mm)であり、単位面積あたりの濾過量は250ml/cmであった。この結果を図13に示す。
誘導部材を取り付けた簡易分析器については、実施例2と同様、誘導部材により試料液が供給された部分が丸く焦茶色に着色していた。そのため、誘導部材に閉塞された鉛イオン捕捉膜の地色との対比を容易にすることができた。
一方、誘導部材を取り付けなかった簡易分析器については、鉛イオン捕捉膜全体が茶色に発色した。発色の濃さについては、誘導部材を取り付けたものより薄く、単位面積あたりの濾過量と同様、3分の1程度の濃度を示した。また、誘導部材を取り付けていない簡易分析器については、鉛イオン濾過膜のめくれが生じ、発色ムラになった箇所が見られた(図13)。
1…簡易分析器
2…簡易測定システム
10…フィルターユニット
10a…フィルターユニット10の上流側端面
11…大径部
12…貫通孔
12a…第1テーパ孔部
12b…大径孔部
12c…段部
12d…第2テーパ孔部
12e…小径孔部
13…円錐部
14…突起部
16…鍔部
17…広口の開口部
18…下流側の開口部
20…基礎濾過材(連続多孔質膜)
22…鉛イオン捕捉膜
30…シリンジ
32…ノズル
40…接続チューブ
50…容器
90…濃度比色部材
92…色表示部
94…濃度表示
96…嵌着孔
100,110…誘導部材
100a…中空部
100b…小径部
100c…段差面
100d…先端面
100e…凸部
L1…フィルターユニット10の全長
W1…フィルターユニット1の全幅
W2…広口の開口部17の幅
d1…誘導部材の中空部100aの内径
α…試料液が通過する中心部
β…試料液が通過しない円環部
γ…鉛イオン捕捉膜22の周縁部の乾燥収縮によって生じ得る隙間

Claims (7)

  1. 上流側の開口部を広口にするとともに上流側の開口部から下流側の開口部へと試料液を通過させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられる基礎濾過材と、上流側の開口部に対して繊維状リン酸セリウムを含有するスラリーを供給することにより前記基礎濾過材の表面に前記繊維状リン酸セリウムを定着させてなる鉛イオン捕捉膜とを有し、前記鉛イオン捕捉膜は前記貫通孔の上流側の開口部から直視できるように表出され、前記貫通孔の上流側の開口部に脱着可能に嵌着して前記鉛イオン捕捉膜が表出する一部を閉塞し前記試料液を鉛イオン捕捉膜の表出残部に供給する筒状の誘導部材を備えており、前記誘導部材には前記試料液が通過する中空部が形成され、該中空部の開口面積は前記鉛イオン捕捉膜の表出する面積よりも小さくなっており、前記試料液通過後、前記鉛イオン捕捉膜の地色が円環状に残るように構成されていることを特徴とする鉛イオン濃度測定用の簡易分析器。
  2. 前記誘導部材の鉛イオン捕捉膜に接する内周側端面は突出したリング状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易分析器。
  3. 鉛イオン捕捉膜の色の変化および濃淡を目視で確認して鉛イオン濃度を測定する方法であって、請求項1又は2に記載の簡易分析器を使用する鉛イオンの分析方法。
  4. 鉛イオン捕捉膜の色の変化および濃淡は比色部材と比較することで目視で確認され、前記比色部材が目的物質の測定濃度に応じて配列される複数の色表示部と、各色表示部のほぼ中央に設けられた前記簡易分析器本体の外形を受容する嵌着孔とを備え、該嵌着孔に受容された前記簡易分析器本体の広口の開口部から直視される鉛イオン捕捉膜と周囲の色表示部とが隣接して直接比色されることを特徴とする請求項3に記載の鉛イオンの分析方法。
  5. 前記色表示部が鉛イオンの濃度に応じて配列されていることを特徴とする請求項4に記載の鉛イオンの分析方法。
  6. 鉛イオン捕捉膜の色の変化および濃淡を目視で確認して鉛イオン濃度を測定する方法であって、
    上流側の開口部を広口にするとともに上流側の開口部から下流側の開口部へと試料液を通過させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられる基礎濾過材と、上流側の開口部に対して繊維状リン酸セリウムを含有するスラリーを供給することにより前記基礎濾過材の表面に前記繊維状リン酸セリウムを定着させてなる鉛イオン捕捉膜とを有し、前記鉛イオン捕捉膜は前記貫通孔の上流側の開口部から直視できるように表出されている鉛イオン濃度測定用の簡易分析器に前記試料液を供給し、
    鉛イオン捕捉膜の色の変化および濃淡は比色部材と比較することで目視で確認され、前記比色部材が目的物質の測定濃度に応じて配列される複数の色表示部と、各色表示部のほぼ中央に設けられた前記簡易分析器本体の外形を受容する嵌着孔とを備え、該嵌着孔に受容された前記簡易分析器本体の広口の開口部から直視される鉛イオン捕捉膜と周囲の色表示部とが隣接して直接比色されることを特徴とする鉛イオンの分析方法。
  7. 前記色表示部が鉛イオンの濃度に応じて配列されていることを特徴とする請求項6に記載の鉛イオンの分析方法。
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