第1の発明は、略水平方向に回転軸を有する回転体と、前記回転体の下方に位置する水槽と、前記回転体を回転させる回転駆動手段と、を備え、前記回転体は、内筒、前記内筒と同心の外筒および複数の仕切り板を有し、前記内筒、前記外筒、前記仕切り板および前記内筒、前記外筒の両側を閉塞する側板によって脱臭用担体を充填可能な複数の担体充填部が形成され、前記回転体の前記内筒の端部の少なくとも一方は、送風機と接続可能であり、前記内筒および前記外筒は、それぞれ貫通孔を有し、前記内筒内に供給された被処理ガスが、前記内筒の貫通孔を通過して前記担体充填部に導入可能であり、前記複数の担体充填部を構成する複数の仕切り板の両面に、前記内筒側を回動支点とし、外筒側を自由端として所定範囲回動自在としたフラップを設けたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、回転させる複数に区画した各々の担体充填部に充填した脱臭用担体と被処理ガスとの接触状態を安定化させて、脱臭処理の効率を向上させるとともに、小型化が可能な生物脱臭装置とすることができる。
第2の発明は、第1の発明において、フラップに錘を装着したことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、フラップの側板、外筒との摺動面での抵抗に左右されることなく、スムーズに回動させることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、フラップの側板方向の端部と側板の摺動部にシール材を設けたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、フラップと側板とのシールをより確実なものとして、被処理ガスの漏れ(被処理ガスのショートパス)、脱臭用担体の流出を防止することができる。また、フラップを常に円滑に回動させることができる。
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、フラップの自由端側の端部と外筒の内面の摺動部にシール材を設けたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、フラップと外筒とのシールをより確実なものとして、被処理ガスの漏れ(被処理ガスのショートパス)、脱臭用担体の流出を防止することができる。また、フラップをより円滑に回動させることができる。
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明において、フラップの回動範囲において、フラップの自由端側の回動する曲率半径と外筒の内面の曲率半径と略同一としたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、フラップの円滑な摺動と、この摺動部分における被処理ガスの漏れ(被処理ガスのショートパス)、脱臭用担体の流出を防止することができる。
第6の発明は、第1〜第5のいずれかの発明において、フラップの回動範囲を規制するストッパー手段を備えたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、フラップの必要以上の回動を規制し、フラップ同士の接触防止することができる。さらに、脱臭用担体を過度に圧縮することを防止することができる。
第7の発明は、第1〜第6のいずれかの発明において、複数の担体充填部を有する回転体を略水平方向に複数列併設したことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、被処理ガスの処理能力を、外筒の直径を大きくすることなく、かつ簡単な構成により任意に設定することができる。
第8の発明は、第1〜第7のいずれかの発明において、内筒内に供給される被処理ガスの湿度を調整する湿度調整手段を備えたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、脱臭用担体を微生物の生育に最適な環境に調整することができる。
第9の発明は、第1〜第8のいずれかの発明において、被処理ガスの温度調整手段を備えたことを特徴とする生物脱臭装置としたものである。
これによって、脱臭用担体を微生物の生育に最適な環境に調整することができる。
つぎに、本発明の生物脱臭装置について説明する。本発明において生物脱臭とは、微生物を用いて被処理ガス中の臭気を取り除くことをいう。好適には、微生物を用いて被処理ガス中の大気汚染や臭気の原因となる物質を分解することであって、より好適には微生物を担持させた担体を使用し、担体内に上記原因物質を吸着し、微生物によって上記原因物質を分解させて被処理ガス中の原因物質の濃度や臭気を低減させることをいう。
また、本発明において被処理ガスとしては、例えば、大気汚染や臭気の原因となる物質を含むガスが挙げられる。上記原因物質を含むガスとしては、例えば、印刷工場、蛍光灯製造工場、液晶モジュール製造工場、電子部晶の製造工場、畜舎等から排出されるガスが挙げられる。大気汚染や臭気の原因となる物質としては、例えば、揮発性有機化合物(VOC)、アンモニア、硫化水素、硫化メチル、メチルメルカプタン、低級脂肪酸等が挙げられる。
揮発性有機化合物(VOC)とは、大気中に排出されまたは飛散した時に気体である有機化合物のことをいう。VOCガスとしては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プチル、イソプロピルアルコール、スチレン、スチレンモノマー、メチルエチルケトン、2―プロパノール、ジクロロメタン、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、パラジクロロベンゼンおよびト被処理ガスのショートパスロロエチレン等を含むガスが挙げられる。低級脂肪酸としては、例えば、酢酸、酪酸、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸およびイソ青草酸等が挙げられる。
本発明において脱臭用担体とは、微生物を担持可能な担体とその担体に微生物を担持させたものをいい、例えば、被処理ガスの吸着および/または分解が可能な担体のことをいう。担体は、生物脱臭に使用される公知の担体を使用でき、例えば、被処理ガスの成分や担持させる微生物の種類等に応じて適宜決定できる。担休としては、例えば、ポリオレフイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、光硬化性樹脂およびウレタン樹脂等の合成高分子樹脂;オイルスポンジ、寒天、アガロース、カラギーナン、アルギン酸等の天然高分子;キトサン、セルロース、セラミックス、ゼオライト等の有機または無機材料等で形成された担体が挙げられ、好ましくはポリオレフイン、オイルスポンジ、並びに、もみ殻、ゼオライト、硬質ウレタンフォームおよびグラススラブ等を含むロックウールで形成された担体である。保水性および安定性の観点からポリオレフイン素材の担体が好ましく、環境面の観点から生分解性であるオイルスポンジが好ましい。
また、回転体10の担体充填部20a〜20fに充填する脱臭用担体は、被処理ガスの種類によって適宜設定できる。トルエン、酢酸エチル、酢酸プチル、イソプロピルアルコール等のVOCガスの場合は、例えば、ポリオレフイン素材の担体を使用することが好ましい。また、キシレン等のVOCガスの場合は、例えば、オイルスポンジ(原材料:再生面、胡桃等)を使用することが好ましい。アンモニア等の畜舎から排出される悪臭の場合は、例えば、ロックウールを主成分とし、さらにもみ殻、ゼオライト硬質ウレタンフォームおよびグラススラブ等が配合された担体を使用することが好ましい。脱臭用担体に担持させる微生物の種類は、上述の通り、適宜決定できる。
被処理ガスがトルエン、酢酸エチル、イソプロパノール、酢酸プチル、ベンゼン等を含む場合、例えば、モレキュラシープ等のゼオライト、ポリオレフイン素材、オイルスポンジ等の担体が使用できる。被処理ガスがキシレン等を含む場合、例えば、モレキュラシープ等のゼオライト、オイルスポンジ、セラミックス、活性炭、繊維性活性炭、多孔質カーボン等の天然繊維質の担体が使用できる。被処理ガスがアンモニア、硫化水素、硫化メチルおよびメチルメルカプタン等を含む場合、例えば、ロックウールを主成分とし、さらにもみ殻、ゼオライト硬質ウレタンフォームおよびグラススラブ等が配合された担体を使用できる(特開2006−150135号公報参照)。
ポリオレフイン素材の担体の気泡の形状は、独立気泡および連続気泡のいずれであっても良く、微生物の担持の観点から連続気泡が好ましい。担体は、1種類であっても良いし、2種類以上の複数種類の担体を組み合わせたものであっても良い。
担体に担持させる微生物としては、生物脱臭に使用される微生物が使用でき、例えば、シュードモナス属、フラパオバクテリューム属、アシイノバクター属、マイクロカーハウス属、ジャニバクター・プレビス等のジャニバクター属、メタン資化属、アルカリジュネス属、マイコバクテリウム属、バクテリウム属、ニトロソモナス属、アンシロバクダー属、キサントバクター属、マイコバクテリウム属、ロドコツカス属、バシラス属、ミクロコッカス属、コリネバクテリウム属およびアシネトバクタ一属等が挙げられる。微生物は、1種類の微生物を単独で使用してもよいし、2種類以上の微生物を組み合わせて使用してもよい。
本発明の生物脱臭装置は、悪臭発生施設に設置し、そこで排出されるガスの脱臭に使用することができる。悪臭発生施設としては、例えば、印刷工場、蛍光灯製造工場、液晶モジュール製造工場、電子部晶の製造工場、畜舎等が挙げられる。本発明の生物脱臭装置は、小型化が可能であるため、例えば、上記施設の屋根の上等に設置して使用できる。
つぎに、本発明の生物脱臭装置の構成について図1から4に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態の生物脱臭装置の概略構成を示す一部断面構成図、図2は図1のA−A線における生物脱臭装置の側断面図、図3は本発明の生物脱臭装置に用いるフラップの平面図、図4はフラップを有しない構成での担体充填部内の脱臭用担体の挙動を示す側断面図である。但し、本発明は以下の例に制限されるものではない。
ケーシング1内に回転体10、水槽100を配置している。回転体10は、貫通孔12を有する内筒11と、貫通孔14を有する外筒13、内筒11と外筒13との間に複数の仕切り板16a〜16f、側板15により基本的に構成している。仕切り板16a〜16fにより、内筒11と外筒13が連結固定され、内筒11と外筒13の側方に側板15が固定されている。なお、内筒11と外筒13は側板15により連結固定してもよい。
さらに、複数の仕切り板16a〜16fの各々にヒンジ18を設け、ヒンジ18を回動支点(固定端)とし、この対向側を自由端として所定角度、回動自在なフラップ17a〜17Lを設けている。フラップ17a〜17Lの側板15側の端部は、側板15の内面に接触または近接し、さらにフラップ17a〜17Lの外筒13側の端部は、外筒13の内面に接触または近接するようにして摺動自在に構成されている。
なお、図3は、フラップ17a〜17Lにシール材を設けたものである。フラップ17a〜17Lの側板15方向の端部にシール材200を固定し、このシール材200が側板15の内面に接触して摺動自在に構成することが好ましい。これによって、フラップ17a〜17Lと側板15の内面間のシールをより確実なものとして、被処理ガスの漏れ(被処理ガスのショートパス)を防止することができる。さらにフラップ17a〜17Lの側板15方向の端部への脱臭用担体の絡みつき、間隙への入り込みを防止することができる。したがって、フラップ17a〜17Lを常に円滑に回動させることができる。
また、フラップ17a〜17Lの外筒13側の端部にシール材201を固定し、このシール材201が外筒13の内面に摺動自在に構成することが好ましい。この場合にはフラップ17a〜17Lをより円滑に回動させることができる。なお、シール材200、201は、ゴム材、樹脂材等を用いることができるが、所定の弾性を有することが好ましい。また、ヒンジ18部もヒンジ18自体の構造またはシール材により被処理ガスの漏れ(被処理ガスのショートパス)を防止することが好ましい。
また、自由端側が所定角度回動自在なフラップ17a〜17Lを設けているが、このフラップ17a〜17Lのヒンジ18を回動支点から外筒13の内面までの曲率半径に、フラップ17a〜17Lの自由端側が摺動する外筒13の内面の曲率半径を略同一に構成したものである。図2中のLで記載した部分が、前記フラップ17a〜17Lの自由端側が摺動する外筒13の内面の曲率半径を略同一にした円弧部分長さを示す。図2中のLで記載した部分は、各仕切り板16a〜16fを挟んで少なくともフラップ17a〜17Lの回動範囲以上に設定されている。なお、図2中のLで記載した部分以外の外筒13は、直線状または内筒11の中心からの曲率半径とすればよい。
これによって、フラップ17a〜17Lに固定した錘19a〜19Lが仕切り板16a〜16fから離れる方向に回動したとき、曲率半径の差によって生じるフラップ17a〜17Lの外筒13側の端部と外筒13の内面との間隙の拡大を防止することができる。即ち、フラップ17a〜17Lが図2中のLで記載した範囲で回動しても、フラップ17a〜17Lの外筒13側の端部と外筒13の内面との間隙を一定にすることができる。
これに対して、フラップ17a〜17Lの外筒13側の端部と外筒13の内面との間隙(離反距離)が拡大した場合には、フラップ17a〜17Lが繰り返し回動する過程で、フラップ17a〜17Lの外筒13側の端部に充填した脱臭用担体が絡みつき、または、フラップ17a〜17Lの外筒13側の端部と外筒13の内面との拡大した隙間に入り込んで、フラップ17a〜17Lの円滑な回動を著しく阻害することになる。
前記した本実施の形態においては、フラップ17a〜17Lが回動したときに、フラップ17a〜17Lの端部と外筒13の内面との間隙を一定にすることができる。即ち、常にフラップ17a〜17Lの自由端側の端部の回動軌跡が外筒13の内面に沿うようにすることができる。したがって、フラップ17a〜17Lの外筒13側の端部への脱臭用担体の絡みつき、または脱臭用担体の間隙への入り込み、流出を防止することができる。また、シール材201を固定した場合は、このシール材201が外筒13の内面に常に均等に接触し、被処理ガスの漏れ(被処理ガスのショートパス)をより防止することができる。さらに、フラップ17a〜17Lを常に円滑に回動させることができる。
また、外筒13の内面に突部13a(ストッパー手段)を設けている。この突部13aは、図2中のLで記載した範囲でフラップ17a〜17Lが回動するように規制する。フラップ17a〜17Lの自由端側が、突部13aに接触して、図2中のLで記載した範囲内でフラップ17a〜17Lが回動するように規制するものである。これによって、フラップの必要以上の回動を規制し、フラップ同士の接触防止することができる。さらに、脱臭用担体を過度に圧縮することを防止することができる。
なお、突部13aは、各複数の担体充填部20a〜20fの外筒13の一部を内側に凹ませて外筒13と一体に形成したが、外筒13の内面または側板15に別部材により突部を設けてもよく、さらに、ヒンジ18自体を、回動範囲を規制する構成としても良い。
フラップ17a〜17Lの仕切り板16a〜16f側で、かつ外筒13側(自由端側)に所定質量の錘(フラップ回動附勢手段)19a〜19Lを固定している。錘19a〜19Lにより、フラップ17a〜17Lは重力方向の力成分を受け、ヒンジ18を回動支点(固定端)とし回動附勢されるものである。
なお、フラップ17a〜17L自体の質量のみでも回動するが、錘19a〜19Lを固定した場合に方が、フラップ17a〜17Lの側板15、外筒13との摺動面での抵抗に左右されることなく、スムーズに回動させることができる。錘19a〜19L質量の設定は、回動範囲、摺動面での抵抗、脱臭用担体の必要な押圧力等から設定すればよい。また、錘19a〜19Lの各々は、一個または複数に分割してもよい。
前記した内筒11、外筒13、仕切り板16a〜16f、側板15、フラップ17a〜17Lに囲まれた断面形状が扇形の複数の担体充填部20a〜20fを構成している。
なお、フラップ17a〜17Lの回動支点(固定端)であるヒンジ18の位置は、内筒11に設けてもよいが、仕切り板16a〜16fに設けることによって、構成の簡略化と、内筒11の貫通孔12からの被処理ガスの噴出抵抗を減少させることができ好ましい。また、ヒンジ18は、仕切り板16a〜16fの内筒11から外筒13までの長さの半分までの位置に設けることが好ましい。
次に、本発明の生物脱臭装置の運転動作、作用を説明する。水槽100に水(液体)101を注入し、各担体充填部20a〜20fに脱臭用担体を充填し、内筒11内に、送風機53によってダクト54を介して悪臭発生施設から排出されるガスである被処理ガスを導入し、回転体10を回転駆動手段であるベルト51、モータ52によって周方向に回転させる。なお、脱臭用担体は、外筒13または側板15の一部に開口とこの蓋(図示なし)を設けて充填または取り出しを行う。
ダクト54を介して内筒11内に供給された被処理ガスは、図2に示すように、矢印方向に内筒11の貫通孔12を通過して各担体充填部20a〜20fに導入された後、矢印方向に流れ、外筒13の貫通孔14を通過して回転体10の外部に放出される。この担体充填部20a〜20f内の脱臭用担体を通過する間に、被処理ガス中の悪臭原因物質が脱臭用担体に吸着および/または微生物に分解されて脱臭することができる。
図2に示す回転体10の回転位置において、真上に位置する担体充填部20aは、フラップ17a、17bが錘19a、19bの附勢により、錘19a、19bが仕切り板16a、16bに接触し、フラップ17a、17bもヒンジ18を回動支点として仕切り板16a、16b側に回動した状態となっている。
担体充填部20a内に充填した脱臭用担体は、自重により内筒11側に接触し、外筒13側に所定の空間を形成して上面はほぼ水平となった状態にある。したがって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20a内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。
斜め上(図2における右斜め上)に位置する担体充填部20bは、フラップ17dの錘19dの附勢により、錘19dが仕切り板16cに接触し、また、フラップ17cの錘19cの附勢により、錘19dが仕切り板16bから離れ、フラップ17cは、ヒンジ18を回動支点としてフラップ17d側(仕切り板16c側)に回動した状態となっている。また、フラップ17cの自由端側は、突部13aに接触して回動範囲が規制されている。
このとき、担体充填部20b内に充填した脱臭用担体は、フラップ17cの回動にともない担体充填部20b内を移動、攪拌され、外筒13側に接触して、担体充填部20aの状態のような空間を形成しない。また、脱臭用担体の各々に所定の押圧が作用している。
したがって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20b内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。
また、斜め下(図2における右斜め下)に位置する担体充填部20cは、フラップ17fの錘19fの附勢により、錘19fが仕切り板16dに接触し、また、フラップ17eの錘19eの附勢により、錘19eが仕切り板16bから離れ、フラップ17eは、ヒンジ18を回動支点としてフラップ17f側(仕切り板16d側)に回動した状態となっている。また、フラップ17eの自由端側は、突部13aに接触して回動範囲が規制されている。
このとき、担体充填部20c内に充填した脱臭用担体は、フラップ17eの回動にともない担体充填部20c内を移動、攪拌され、外筒13側に接触して、担体充填部20aの状態のような空間を形成しない。また、脱臭用担体の各々に所定の押圧が作用している。したがって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20c内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。
真下に位置する担体充填部20dは、また、フラップ17gの錘19gの附勢により、錘19gが仕切り板16dから離れ、フラップ17gは、ヒンジ18を回動支点としてフラップ17h側(仕切り板16e側)に回動し、また、フラップ17hの錘19hの附勢により、錘19hが仕切り板16eから離れ、フラップ17hは、ヒンジ18を回動支点としてフラップ17g側(仕切り板16d側)に回動した状態となっている。フラップ17g、フラップ17hの各々の回動範囲は、前記斜め下(図2における右斜め下)に位置する担体充填部20cのフラップ17eの回動範囲の略半分となっている。また、フラップ17g、17hの自由端側は、突部13aにより回動範囲が規制されている。
このとき、担体充填部20d内に充填した脱臭用担体は、フラップ17g、17hの回動にともない担体充填部20d内を移動、攪拌されるとともに、脱臭用担体に自重により外筒13側に接触して、担体充填部20dの内筒11に空間を形成する。また、また、脱臭用担体の各々に所定の押圧が作用している。したがって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20d内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。
また、このとき真下に位置する担体充填部20dの下端部は、水槽100内の液体101に浸漬した状態となり、外筒13側に移動した脱臭用担体に貫通孔14から液体101が侵入し湿潤された状態となる。なお、水槽100の大きさは、回転体の大きさに応じて適宜設定できる。水槽100の材質としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等が使用できる。
さらに、水槽100は、例えば栄養源供給手段、温度調整手段および殺菌手段の少なくともいずれかを備えていてもよい。栄養源供給手段は、水槽100に微生物の活性の維持および/または向上のための栄養となる物質を添加するための手段であって、例えば、栄養物質貯槽と栄養物質を送るポンプとにより構成される。温度調整手段は、水槽内の液体の温度を微生物の活性に最適な温度に調整するための手段であって、例えば、ヒータ等の加熱手段等が挙げられる。殺菌手段は、例えば、水槽内における微生物の繁殖等を抑制し水槽内の液休の水質を維持するための手段であって、紫外線ランプ等が挙げられる。さらに余剰菌体の分離手段を備えてもよい。
また、脱臭用担体の一部を液体に浸漬させながら脱臭処理を行うことができるため、例えば、担体の閉塞および目詰まり等を低減でき、脱臭効率を向上できる。回転体内に充填された脱臭用担体の一部が、脱臭処理の間に定期的および/または断続的に水槽内の液体に浸漬するため、例えば、担体の閉塞および目詰まり等を低減できる。このため、例えば、長期間、高い脱臭効率を維持することができ、メンテナンスおよびランニングコスト等を低減できる。
また、斜め下(図2における左斜め下)に位置する担体充填部20eは、フラップ17iの錘19iの附勢により、錘19iが仕切り板16eに接触し、また、フラップ17jの錘19jの附勢により、錘19jが仕切り板16fから離れ、フラップ17jは、ヒンジ18を回動支点としてフラップ17i側(仕切り板16e側)に回動した状態となっている。また、フラップ17jの自由端側は、突部13aに接触して回動範囲が規制されている。
このとき、担体充填部20e内に充填した脱臭用担体は、フラップ17jの回動にともない担体充填部20e内を移動、攪拌され、外筒13側に接触して、担体充填部20aの状態のような空間を形成しない。また、脱臭用担体の各々に所定の押圧が作用している。
したがって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20e内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。
斜め上(図2における左斜め上)に位置する担体充填部20fは、フラップ17kの錘19kの附勢により、錘19kが仕切り板16fに接触し、また、フラップ17Lの錘19Lの附勢により、錘19Lが仕切り板16aから離れ、フラップ17Lは、ヒンジ18を回動支点としてフラップ17k側(仕切り板16f側)に回動した状態となっている。また、フラップ17Lの自由端側は、突部13aに接触して回動範囲が規制されている。
このとき、担体充填部20f内に充填した脱臭用担体は、フラップ17Lの回動にともない担体充填部20f内を移動、攪拌され、外筒13側に接触して、担体充填部20aの状態のような空間を形成しない。また、脱臭用担体の各々に所定の押圧が作用している。したがって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20f内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。
図2に示す回転体10の回転位置において、各担体充填部20a〜20fの状態を示したが、回転体10の回転にともない、各担体充填部20a〜20fの各々は、回転体10が一回転するごとに前記した状態を繰り返すことになる。
図4はフラップを有しない従来構成での担体充填部内の脱臭用担体の挙動を示す側断面図である。斜め上(図4における右斜め上)に位置する担体充填部20bの状態は、担体充填部20b内に充填した脱臭用担体は、自重により移動して担体充填部20b内の上部に空間300を形成し、かつ脱臭用担体の上面はほぼ水平となる。
この状態においては、図4中の担体充填部20bの矢印Aに示すように、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部20b内に流入した被処理ガスは、空間300に近く抵抗の少ない脱臭用担体の仕切り板16b側に多く流れる。これに対して、矢印Bに示すように、脱臭用担体が外筒13に接触している抵抗の多い仕切り板16c側は、被処理ガスが流れる量が減少することになる。
また、斜め下(図4における右斜め下)に位置する担体充填部20cの状態は、担体充填部20c内に充填した脱臭用担体は、自重により移動して担体充填部20c内の上部に空間300を形成し、かつ脱臭用担体の上面はほぼ水平となる。さらに、脱臭用担体の水平となった上面は、内筒11に接触しない場合も発生する。
この状態においては、図4中の担体充填部20cの矢印Aに示すように、内筒11の複数の貫通孔12の一部から担体充填部20b内に流入した被処理ガスは、直接、空間300に流れる。矢印Bに示すように、脱臭用担体が外筒13に接触している抵抗の多い仕切り板16d側は、被処理ガスの流れる量が極端に減少することになる。
このように、図4に示すフラップを有しない従来構成では、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部内に流入した被処理ガスは、充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れず、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。したがって、分割した各々の担体充填部内部の脱臭用担体の収納分布が偏り、脱臭用担体の被処理ガスの通気抵抗が著しく不均一となる。このため、脱臭用担体への被処理ガスの接触が不均一でバラツキが大きく、脱臭処理が不安定で、脱臭処理の効率が悪いことになる。さらに、生物脱臭装置の所定の処理能力を得るために、生物脱臭装置全体を大型化する必要が生じる。
従来構成の生物脱臭装置に対して、本発明の生物脱臭装置においては、フラップ17a〜17Lの回転体10の回転にともなう動作によって、内筒11の複数の貫通孔12から担体充填部内に流入した被処理ガスは充填した脱臭用担体間を均一に分布して流れ、外筒13の複数の貫通孔14から排出される。さらに、回転体10の回転にともなう脱臭用担体の移動、攪拌のみでなく、フラップ17a〜17Lによる脱臭用担体の移動、攪拌作用を一層促進させることができる。したがって、回転させる複数に区画した各々の担体充填部に充填した脱臭用担体と被処理ガスとの接触状態を安定化させて、脱臭処理の効率を向上させるとともに、小型化が可能な生物脱臭装置とすることがでる。
本実施例の生物脱臭装置において、例えば、回転体10の幅を3200mm、外筒13の直径を3000mm、内筒11の直径を1825mm、内筒11と外筒13との距離を1175mm、水槽100の底部の長さを3500mmとすることができる。また、内筒11および外筒13の貫通孔12および貫通孔14の径は、例えば、外筒13を直径10mm、内筒11を直径12mmとすることができる。
送風機53からの風速は、例えば、12m/s程度とした場合、外筒13の貫通孔14を通過する時の風速は、例えば、0.12m/s程度となる。微生物の活性および生育の観点から、温度調整手段(図示せず)により被処理ガスの温度を、例えば、30〜40℃に加熱し、加熱した被処理ガスを導入することが好ましい。ダクト54には防塵フィルター(図示せず)が配置されており、そこで、被処理ガス中のほこりや塵等が除去できる。微生物の活性および生育の観点から、ダクト54と内筒11との連結部付近に形成された湿度調整手段(図示せず)によって被処理ガスの湿度を、例えば、50%程度に調整することが好ましい。
回転体10を回転させることによって、被処理ガスを脱臭する間に、例えば、定期的および/または断続的に回転体10の各担体充填部20a〜20f内に充填された脱臭用担体に水分を補給することができる。また、脱臭用担体を水槽100内の液体101と接触させるため、例えば、死滅した微生物を洗浄でき、脱臭用担体の閉塞や目詰まりを低減できる。回転体10は、微生物の活性および生育環境の観点から、1時間で1回転(1rph)できる程度で回転させることが好ましい。また、微生物の活性の観点から、水槽100内に栄養源として、例えば、MAIアース(商品名、ポニール製)を注入しても良い。
内筒の貫通孔の大きさは、例えば、内筒の内部に供給された被処理ガスが通過でき、担体充填部に脱臭用担体を充填可能な範囲であれば良い。内筒の貫通孔の直径は、例えば、下限が3mm程度であり、上限が10mm程度である。内筒の側面の開口率は、例えば、30〜95%であり、好ましくは50〜95%である。内筒の直径は適宜設定でき、例えば、10〜100cmである。貫通孔の形状としては、丸、角、六角、長丸、長角等が挙げられる。
内筒の材質としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料および繊維強化プラスチックが使用できる。強化繊維プラスチック(FRP)としては、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP、KFRP)およびガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等が挙げられる。内筒は、例えば、エキスバンドメタル、金属発泡体、パンチングメタルおよび金属網等により形成できる。
外筒の貫通孔は、担体充填部で脱臭処理されたガスを回転体の外部に放出し、担体充填部に水槽内の水分を供給するために形成される。外筒の貫通孔14の大きさは、例えば、担体充填部内の脱臭用担体に担持された微生物に水分を供給でき、担体充填部で脱臭処理された被処理ガスが貴通孔を通過できる範囲であれば良い。外筒の貫通孔14の直径、例えば、下限が3mm程度であり、上限が10mm程度である。また、外筒13の側面の開口率は、例えば、30〜95%であり、好ましくは50〜95%である。貫通孔14の形状としては、例えば、丸、角、六角、長丸、長角等が挙げられる。
外筒13の直径は、例えば、生物脱臭装置に導入される被処理ガスの処理効率等に応じて適宜設定でき、例えば、250〜320cmであり、イニシャルコストおよびランニングコスト等の観点から250〜280cmが好ましい。外筒13の材質としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス銅等の金属材料および繊維強化プラスチックが使用できる。強化繊維プラスチック(FRP)としては、内筒11と同様のものが使用できる。外筒13は、例えば、エキスバンドメタル、金属発泡体、パンチングメタルおよび金属網および等により形成できる。
放射状に配置する仕切り板16a〜16fの数は、回転体10の直径等に応じて適宜設定することができ、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10程度であり、回転時における担体の移動の観点から6または8が好ましい。この場合、仕切り板は一定の間隔で配置されていることが好ましい。
内筒11および外筒13の幅(長さ)は、例えば、生物脱臭装置を設置する箇所等に応じて適宜設定でき、例えば、100〜1000cmであり、イニシャルコストおよびランニングコスト等の観点から200〜500cmが好ましい。また、内筒11の幅(長さ)は外筒13の幅(長さ)よりも長くすることが好ましい。
水槽100内に注入する液体101の量は適宜決定でき、例えば、回転体10の直径の1/6から1/10程度が浸漬する程度とする。
被処理ガスの温度は、微生物の生育環境および活性の観点から、例えば、30〜40℃であることが好ましい。被処理ガスの温度調整手段を備えるによって、被処理ガスの温度を微生物の生育に適した温度に調整し、微生物による脱臭効率を向上できる。
回転体内に導入する被処理ガスの風速としては、例えば、3〜15m/sであり、好ましくは7〜12m/sである。また、内筒11から外筒13への被処理ガスの通過風速、より具体的には、外筒13の貫通孔を通過する風速は、例えば、0.04m/s〜0.3m/sであり、好ましくは0.06m/s〜0.15m/sである。内筒11と外筒13との間に充填されている担体と被処理ガスとの接触時間は、例えば、5秒〜60砂であり、好ましくは10秒〜30秒である。
本発明の生物脱臭装置は、担体充填部への脱臭用担体の充填率は、例えば、50〜100%であり、担体の目詰まりおよび移動、攪拌作用の観点から90%程度が好ましい。前記したスポンジ、ウレタンフォーム等の弾力性を有する脱臭用担体を用いる場合は、初期の充填率を100%としてもよく、含水によりかさ比重が大きくなり自重により圧縮されて、使用時の充填率は90%程度となる。
回転体10の回転速度は、回転体10の直径および外気の湿度等によって適宜設定でき、例えば、1時間あたり0.1〜10回転(rph)が好ましく、回転方法は、間欠回転または連続回転でもよい。
内筒11および外筒13の形状は円筒状に限られるものではなく、例えば、多角形筒状であっても良い。
本発明の生物脱臭装置は、微生物の生育に最適な環境に調整する観点から湿度調整手段を備えていても良く、湿度調整手段は回転体と送風機との間に配置され、回転体内に供給される被処理ガスの湿度を調整する。湿度調整手段としては、例えば、スクラバー等が挙げられる、また、被処理ガスに散水するための散水ノズルとポンプとを備えていても良く、湿度調整手段を構成するポンプが水槽100と接続され、水槽100内の液体101を散水用の液体として利用可能であっても良い。湿度調整手段は、例えば、送風機と内筒11との間に配置すればよく、装置の小型化の観点から、送風機と内筒11とをつなぐパイプ内に散水ノズル等を形成することが好ましい。
また、本発明の生物脱臭装置の実施例においては、回転体10を一つとして説明したが、複数の担体充填部を有する回転体10を略水平方向に複数列併設してもよく、この場合には被処理ガスの処理能力を外筒13の直径を大きくすることなく、さらに簡単な構成により任意に設定することができる。