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JP5128155B2 - 静電紡糸不織布の強度付与方法 - Google Patents

静電紡糸不織布の強度付与方法 Download PDF

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Description

本発明は、サブミクロンオーダーの極めて細い繊維で構成した静電紡糸不織布に対する強度付与技術に関する。
繊維を織らずにシート化する不織布の製造技術は数多く知られており、スパンボンド法やメルトブロー法などに代表される直接紡糸法、或いは、予め紡糸した繊維を短繊維としてカード機によってシート化する乾式法、又はショートファイバーを水などに分散・抄造する湿式法、さらには、繊維を空気流で分散・搬送してシート化するエアレイ法などがある。このうち、直接紡糸法は、得られる不織布の構成繊維として比較的細いものが得られることから、気体や液体を濾過するためのフィルターなどに広く用いられている。
一方、繊維を構成するための原料成分を溶媒等に溶解、或いは分散させ、これに静電的な力を作用させてシリンジ等の細管から吐出させて微細な繊維を発生し、これを捕集してシート化する静電紡糸技術は、サブミクロンの繊維で構成された不織布(以下、静電紡糸不織布と称する)を簡便に得ることが可能なため、近年、急速に注目されている。
従前、このような静電紡糸技術として、例えば米国特許第2,048,651号公報(以下、特許文献1)では、高電圧が印加されるか、或いは、接地され、かつ液状ポリマーを紡糸空間に供給できるノズル部を有する液だめと、平板またはロール形状を有する集積用対向電極とを備えた装置並びに製造方法が開示されている。この公報技術では、ノズル部から電界により紡糸された繊維は、集積用対向電極上に集積され、その後、集積された繊維集合体を掻き取り装置等により回収される。
しかしながら、上述した特許文献1に係る技術では、繊維が集積用対向電極上に直接電界の力で集積されるため、帯電繊維による集積用対向電極との静電気力によりペーパー状の繊維集合体になり、低密度な綿状の繊維集合体として回収することが難しかった。また、電極上に掻きとり装置を設けた場合も、掻きとり後の繊維集合体は嵩高くはなく、嵩高な繊維集合体としての利用が好ましい分野には、必ずしも満足する特性を発揮することが難しく、例えば集積した繊維同士が強固に接着している場合があった。
このような従前技術の問題を解決するため、例えば、本出願人が提案する特開2004−238749号公報(以下、特許文献2)では、静電紡糸方法であって、紡糸するポリマー溶液を紡糸空間へ供給するステップと、当該供給形成された繊維とは反対極性のイオンを照射するステップと、及び紡糸した繊維を回収するステップとを含む技術を提案している。さらに、この文献技術は、ポリマー溶液を紡糸空間へ供給できるポリマー供給部と、当該ポリマー溶液に対して電荷を与えることのできる電荷付与手段と、上述したポリマー供給部に対向しており、ポリマー溶液の供給により形成された繊維を電気的に吸引することのできる対向電極と、前述のポリマー供給部と対向電極との間を飛翔中の繊維に対して、当該繊維の電荷と反対極性のイオンを照射できる手段と、及び紡糸した繊維を回収できる繊維回収装置とを備えた静電紡糸装置をも開示するものである。
また、上述した特許文献2の技術を適用し得るポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン− ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン− アクリレート共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン12、ナイロン−4,6などのナイロン系、アラミド、ポリベンズイミダゾール、ポリビニルアルコール、セルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル、ポリ(ビス−(2−(2−メトキシ−エトキシエトキシ))ホスファゼン)(poly(bis−(2−(2−methoxy−ethoxyethoxy))phosphazene);MEEP)、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリこはく酸エチレン(poly(ethylenesuccinate))、ポリアニリン、ポリエチレンサルファイド、ポリオキシメチレン−オリゴ−オキシエチレン(poly(oxymethylene−oligo−oxyethylene))、SBS共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンオキサイド、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリD,L−乳酸−グリコール酸共重合体、ポリアリレート、ポリプロピレンフマラート(poly(propylene fumalates))、ポリカプロラクトンなどの生分解性高分子、ポリペプチド、タンパク質などのバイオポリマー、コールタールピッチ、石油ピッチなどのピッチ系などの溶融または適正溶媒に溶解可能な様々なポリマー、これらの共重合体及び混合物など、さらには種々の金属アルコキシドを加水分解した曳糸性のゾル溶液を用いることが可能であるとの開示がある。
さらに、本出願人は特開2005−194675号公報(以下、特許文献3)において、水への溶解性が100g/100ml以上のものを主体とする紡糸原液の溶媒を用いた静電紡糸技術であって、相対湿度40%以下かつ湿度変動の幅が±2%以下の所定湿度に制御された雰囲気下で紡糸することで、繊維径のバラツキが少ない繊維集合体を安定に製造し得る技術を提案した。
一方、繊維自体の強度を向上させる技術として、例えば特開2001−55620号公報(以下、特許文献4)では、アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体からなり、3g/dを超える引張強度、50%以上の引張伸度、0.9以上の結節強度/引張強度を有するアクリル繊維が提案されている。また、この公報では、アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体を、湿式あるいは乾湿式紡糸法で紡糸し、水洗、延伸処理を施した後、先ず110〜130℃の湿熱雰囲気中で弛緩湿熱処理を施し、次いで弛緩乾燥処理を施すことによりトータルとして25〜40%の収縮を与えることを要旨とするアクリル繊維の製造方法も開示されている。
米国特許第2,048,651号公報(第2〜3頁、並びに第2図) 特開2004−238749号公報([特許請求の範囲]、[0026]並びに[図1]) 特開2005−194675号公報([特許請求の範囲]、[0006]、[実施例]並びに[図4]) 特開2001−55620号公報([特許請求の範囲])
上述したように、静電紡糸技術は、その用途拡大と共に、種々の特性を有する静電紡糸不織布として様々な提案が為されている。また、特許文献4に開示される様に、繊維自体に強度を付与する技術も知られているが、静電紡糸不織布を構成する繊維は、例えば数百nm程度といったサブミクロンオーダーの繊維径であるが故に、単繊維としての後処理を行うことは不可能である。このため、極めて細い繊維径に由来する静電紡糸不織布の強度付与に際しては、未だ、未解決な問題点が残されていた。
本出願に係る発明は、上述した技術背景に鑑み、本出願人が鋭意検討した結果為されたものであり、従って、本発明の目的は、静電紡糸不織布の強度向上を図り得る技術を提供することにある。
この目的の達成を図るため、本発明に係る静電紡糸不織布の強度付与方法によれば、アクリル系樹脂からなる静電紡糸不織布と水分とが接触する状態で、60℃以上の温度雰囲気下において、当該不織布を60℃以上120℃以下の温度に保持することを特徴としている。
本発明の構成を採用することにより、優れた強度を有する静電紡糸不織布を提供することができる。
以下、本発明の方法技術について、具体的な態様を挙げて詳細に説明する。まず、本出願に言う静電紡糸不織布とは、例えば特許文献2等に開示された種々の樹脂の構成繊維からなり、同公報あるいは前述の特許文献3等に開示した周知の装置を利用し得る。詳細には、本発明者が鋭意検討の結果、湿熱下において繊維強化される下記の樹脂が好適であることが見出された。中でもポリアクリロニトリルを主鎖に主成分として有するポリマー、例えばホモ重合ポリアクリロニトリル、酢酸ビニルやカルボン酸エステルを共重合成分とする共重合ポリマー等が好適である。共重合成分の化学種は特に限定するものではないが、たとえば以下のモノマーが挙げられる。すなわち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類である。さらに、染色性改良などの副次的効果を期待して、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などを用いても良い。上述したアクリロニトリルに共重合させる化学種の割合は、40重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%とすることができ、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体等、任意の規則性を有する共重合体とし得る。
次いで、本発明では、静電紡糸不織布と水分とが接触する状態で所定の温度雰囲気に曝すことを要旨としている。まず、静電紡糸不織布と水分とが接触する状態とは、前述の装置で得られた直後の静電紡糸不織布を予め室温程度の水に浸漬した後に所定の温度雰囲気に曝す場合、或いは、強度付与処理前の静電紡糸不織布に、所定の温度条件とした水蒸気に曝す場合の何れであっても良い。この際、上記接触状態にある静電紡糸不織布が所定の温度に曝された時点で強度付与が為されるものであるが、本出願に係る発明者の実験によれば、この暴露時間は極めて短時間で目的が達成されるものであって、主として暴露される温度に依存するが、1分以上好ましくは3分以上とすることができる。
また、本発明者の実証によれば、上述した水分との接触状態で、静電紡糸不織布が曝される温度条件は60℃以上120℃以下の範囲とするのが好ましい。60℃未満の温度では十分な強度付与を図ることが難しく、120℃より高温でも同様に強度向上を期待することが難しい。しかしながら、水と接触させた後、静電紡糸不織布の構成繊維表面に充分な水分が付着保持された状態で高温雰囲気にさらす場合、当該構成繊維を成すポリマーの熱分解温度以下、一例として前述したアクリル系樹脂をポリマーとした場合には、約180℃以下の温度条件とすることが出来る。つまり、上記繊維に付着した水分の蒸発によって曝露雰囲気の温度条件が、実質的に100℃程度に保たれるため、前述した好適温度の範囲内と同様な強度付与が可能となる。
以下、本発明の実施例につき説明する。尚、以下に挙げる数値条件、配置関係並びに、その他の態様は、本発明の理解が容易となる程度に挙げた具体例に過ぎず、本発明は、これら特定の条件にのみ限定されるものではない。
(静電紡糸不織布の調製)
本発明に係る方法を検証するため、前述の特許文献3に開示した装置(同公報[図4]参照)と同様な装置を用いた。即ち、シリンジにポリテトラフルオロエチレン製チューブの一端を接続し、当該チューブの他端に内径0.5mmφのステンレス製ノズルを取り付けた。次いで、前記ノズルに高電圧電源を接続し、前記ノズルと対向し、約8cm離れた位置に、導電性シリコーンゴムで表面加工を施し、接地されたメタルドラム(直径20cmφ)を設置した。尚、このシリンジには、紡糸溶液を一定速度で吐出供給するためのマイクロフィーダーを接続可能とし、静電紡糸装置を構成した。
また、重量平均分子量50万のポリアクリロニトリル(ホモ重合体)を溶媒としてのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、濃度10質量%の紡糸溶液Aを用意した。この紡糸溶液Aを前述したシリンジに入れ、重力方向と直角な方向に紡糸溶液を1(mL/時間)の速度で吐出させた。この半凝固状態の繊維を、表面における周速度6(m/分)で定速回転する前述のメタルドラムで集積回収した。この際、高電圧電源からノズルに+15kVの電圧を印加することによって紡糸溶液に電界を作用させて繊維を極細化した。このようにメタルドラム表面に集積、調製された静電紡糸不織布Aは、平均繊維径が350(nm)(電子顕微鏡による観察結果として)、面密度5(g/m)に統一した。尚、当該不織布を集積形成する際、前記ノズルとメタルドラムとの距離と直交する方向に、20(cm/分)の速度で往復揺動させることにより、繊維分布の均一化を図った。この不織布の調製は、温度25℃、相対湿度23%±2%の環境下で行ない、以下に説明する測定評価に当たっては、上述した装置により同一条件で静電紡糸不織布Aを調製して用いた。
さらに、アクリル酸エステルとアクリロニトリルとを共重合した市販の共重合PANからなる繊維『ボンネル MVPD122』(三菱レイヨン(株)製,商品名)に対してアルコール並びに水で油剤除去を行い、DMFを溶媒として濃度14質量%の紡糸溶液Bを用意した。この紡糸溶液Bを用いて、上述と同一の条件で静電紡糸を行い、平均繊維径並びに面密度も前述と同一の静電紡糸不織布Bを調製した。
(引張強さの測定)
本実施例における強化方法の評価を行うため、後段で述べる種々の処理条件とした後の静電紡糸不織布の強度評価は以下の方法で行った。まず、静電紡糸不織布サンプルから、縦50(mm)×横15(mm)の寸法条件で長方形の測定試料を採取した。尚、測定試料の寸法条件に言う「縦」とは、前述したメタルドラムの円筒外周面に沿った方向である。この試料を引張強度試験機『テンシロン TM−111−100』(オリエンテック社製,商品名)のチャックに固定し、チャック間距離20(mm)、引張速度を50(mm/分)として定速引張し、破断に至るまでの最大張力(引張強さ)を測定した。評価結果として、この引張強さを静電紡糸不織布の面密度で割り、各静電紡糸不織布間の強度比較を行った。
以下、実際の評価に供した各実施例並びに比較例の各サンプルへの処理条件について説明する。まず、上述した静電紡糸不織布Aに対し、市販のオートクレーブを用い、60〜120℃の温度範囲で、20℃ずつの設定温度差を設けた4水準の飽和水蒸気環境に10分間曝すことによって湿熱処理を行い、強度向上効果の評価を行った。また、これら湿熱処理の後、紡糸溶媒であるDMF並びに水分を除去する目的で、熱風乾燥機によって150℃、30分間にわたって乾燥を行い。実施例1〜実施例4の測定サンプルを得た。また、この湿熱処理時間による影響を評価するため、100℃で30分間、オートクレーブにより湿熱に曝した実施例5の評価サンプルを得ると共に、対照用として、静電紡糸不織布Aに上記乾燥のみを行った比較例1の評価サンプルを得た。さらに、比較例2として、上記一連の実施例よりも低い40℃の温度条件で30分間に渡るオートクレーブ処理を行ない、評価サンプルとした。
また、本発明の好適温度範囲を超える140℃の湿熱条件処理を検証するため、比較例3として、ステンレス製の密閉可能な耐圧容器を別途作製し、当該容器内に水と静電紡糸不織布Aとが直接接触せず、かつ繊維表面に蒸気の形で水分接触が可能な配置関係とし、係る密閉耐圧容器ごと、恒温乾燥機内に収納、140℃まで昇温した。この際の処理時間は、圧力容器内温度をモニターし、目的の温度である140℃に達してから10分間とした。
上記オートクレーブに代えて、上記ノズルから噴出する高温水蒸気で静電紡糸不織布Aを湿熱処理したことを除いては、実施例1〜実施例4、並びに実施例5と同一の条件で実施例6に係る評価サンプルを得た。この際、静電紡糸不織布に接触した蒸気温度は84℃であり、当該蒸気との接触時間は30分とした。
次いで、オートクレーブ並びに高温水蒸気による処理に代えて、室温とした蒸留水に静電紡糸不織布Aを浸漬した後、熱風乾燥機によって100℃の温度で10分加熱し、さらに、前述した150℃で30分の乾燥処理を行うことにより、実施例7に係るサンプルを得た。また、熱風乾燥機の温度を150℃とし、熱処理を行ったことを除いては、実施例7と同一の条件で実施例8に係るサンプルを得た。また、当該サンプルの対照として、上記蒸留水への浸漬後、室温で風乾したことを除いては同一の条件で比較例4のサンプルを得た。
続いて、上記静電紡糸不織布Aに代えて、前述した共重合PANで調製された静電紡糸不織布Bを用いたことを除いては、実施例3と同一の条件で実施例9のサンプルを調製した。さらに、このサンプルの対照として、比較例5のサンプルを得た。
以上に述べた14種類の評価用サンプルの調製条件、処理条件、並びに測定結果について、下記の表1に示す。尚、同図中、強度測定結果の欄には、前述した単位面密度当たりの引張強さを明示すると共に、相対的な強度付与効果の理解を容易とするため、構成樹脂の異なる静電紡糸不織布ごとに対照となる比較例サンプルの測定結果に対する百分率をカッコ内に算出して示す。
Figure 0005128155
上記[表1]から理解できるように、構成樹脂がホモ重合体であるポリアクリロニトリルの場合、水分と接触させずに、DMFの溶媒除去に係る熱処理のみを実施した比較例1に対して、実施例1〜実施例5の全てに強度の向上が認められた。また、本発明の方法を適用した、これら5つの実施例サンプルに対して、水分との接触時に40℃の温度条件とした比較例2のサンプルでは実質的な強度向上は認められなかった。さらに、実施例3と実施例5との比較から、オートクレーブを利用した場合には、本発明の方法による熱処理は10分間で充分であることが明らかとなった。加えて比較例3からは、前述した好適温度範囲よりも高温とした場合には強度向上効果が認められず、先に述べた好適温度範囲が妥当な条件であることが理解できる。即ち、本発明の方法としてオートクレーブを利用した場合、効率的な強度付与を行い得る条件として、水と接触した状態での加熱温度は、少なくとも60〜120℃の範囲であり、かつ、10分以上、当該温度雰囲気とするのが好ましいことが確認された。
また、大気圧下で開放された系として水蒸気処理を行った実施例6、並びに、室温の水に浸漬させることによって水分と繊維との接触を図った後に所定の温度雰囲気とした実施例7では、比較例3との対比から、オートクレーブのような密閉、加圧雰囲気と同等の強度付与を行い得ることが確認できた。さらに、水と接触させて加熱した場合は120℃以上の高温でも良いことが実施例8により分かった。このことは周囲温度が120℃以上の恒温であっても、静電紡糸繊維シートに浸透した水の蒸発による潜熱の影響で静電紡糸不織布自体が、概ね100℃に保持されるためと考えられる。
さらに、静電紡糸不織布の樹脂構成を共重合PANとした実施例9と比較例5との対比から、本発明の効果は、所謂、ホモ重合によるPANに限定されるものではなく、アクリロニトリルとアクリル酸との共重合PANでも確認された。これらのことから、本発明の方法は、これら特定のPANを含む、種々のアクリル系樹脂に応用し得るものである。

Claims (1)

  1. アクリル系樹脂からなる静電紡糸不織布と水分とが接触する状態で、60℃以上の温度雰囲気下で前記静電紡糸不織布を60℃以上120℃以下の温度に保持することを特徴とする静電紡糸不織布の強度付与方法。
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