JP5101191B2 - フィルム状製剤およびその製造方法 - Google Patents
フィルム状製剤およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5101191B2 JP5101191B2 JP2007171817A JP2007171817A JP5101191B2 JP 5101191 B2 JP5101191 B2 JP 5101191B2 JP 2007171817 A JP2007171817 A JP 2007171817A JP 2007171817 A JP2007171817 A JP 2007171817A JP 5101191 B2 JP5101191 B2 JP 5101191B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- water
- drug
- swellable gel
- forming layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
そこで、ショ糖の数百倍の甘味を呈する高甘味成分を使用することも提案されている。たとえば、高甘味成分であるステビアやアセスルファムカリウムを用いて主剤の呈する味を隠蔽し、服用感を向上させた内服液や錠剤が開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。しかし、アセスルファムカリウムには、濃度が高いとやや苦い後味を呈するという欠点がある。そのため、過剰に添加すると甘さが長時間残ったり、苦味を感じたりするというデメリットがある。その他の高甘味成分も、それぞれ高い甘味度を示すため特有の性質を有しており、薬剤との組合せによっては十分なマスキング効果を示さなかったり、逆効果となる場合がある。
このような固形製剤の飲み込み難さを改善し、その服用の容易性や安全性を向上させるには、剤型をゼリーのような半固形状とすることが考えられる(例えば、特許文献6、7参照)。しかしながら、ゼリーのような半固形製剤は、水分を多量に含むため、薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性が低下する、包装コストがかかるという問題点がある。さらに、製造時及び保存時の無菌的取り扱いのため、pHコントロールを必要する薬物においては、さらに安定性の確保が困難となる。
従って、本発明の課題は、特定の苦味成分が、特定の高甘味剤により服用に適するようにマスキングされ、携帯性に優れ、かつ、服用の容易なフィルム状製剤およびその製造方法を提供することにある。
(1)メキタジンまたは塩酸ロペラミド(苦味成分)を含む薬物含有層の両面に、直接又は中間層を介して積層された、アセスルファムカリウムまたはスクラロース(高甘味成分)を含む水膨潤性ゲル形成層を有することを特徴とするフィルム状製剤;
(2)前記高甘味成分の含有量が水膨潤性ゲル形成層中0.5〜25質量%である上記(1)に記載のフィルム状製剤;
(3)フィルム状製剤全体に含まれる苦味成分の含有量をA[質量%]、フィルム状製剤全体に含まれる高甘味成分の含有量をB[質量%]としたとき、これらの成分比A/Bが、1/0.01〜1/2の範囲である上記(1)または(2)に記載のフィルム状製剤;
(4)メキタジンまたは塩酸ロペラミドを含む薬物含有層の両面に、アセスルファムカリウムまたはスクラロースを含む水膨潤性ゲル形成層を直接又は中間層を介して積層することを特徴とするフィルム状製剤の製造方法;および
(5)アセスルファムカリウムまたはスクラロースを含む水膨潤性ゲル形成層にメキタジンまたは塩酸ロペラミドを含む薬物含有層を直接又は中間層を介して積層し、次いで得られた積層体2枚の薬物含有層同士を貼付することを特徴とするフィルム状製剤の製造方法、
を提供するものである。
さらに本発明により、特定の苦味成分である塩酸ロペラミドまたはメキタジンが、少量の特定の高甘味成分を含む水膨潤性ゲル形成層によっても、苦味や甘味の程度、痺れの程度、服用感の観点から、十分に服用可能な程度にマスキングされたフィルム状製剤およびその製造方法が提供される。
本発明で用いられる有効成分である苦味成分はメキタジン(抗ヒスタミン薬)または塩酸ロペラミド(止瀉薬)から選ばれるいずれか一つである(以下、苦味成分という)。
苦味成分を保持するために用いられる基剤としては、特に限定されず、適宜選択することができる。基剤の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドンコポリマー、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース及びその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩(例えばナトリウム塩);α−デンプン、酸化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、デキストリン、デキストラン等のデンプン及びそれらの誘導体;白糖、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、プルラン、キサンタンガム、シクロデキストリン等の糖類;キシリトール、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル・(メタ)アクリル酸コポリマー、(メタ)アクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸メチルコポリマー、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル・(メタ)アクリル酸塩化メチルコポリマー、(メタ)アクリル酸・アクリル酸塩化エチルコポリマー等のアクリル酸誘導体;シエラック;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート;ポリ酢酸ビニル;アラビアゴム、トラガカントゴム等の天然ゴム類;キチン、キトサン等のポリグルコサミン類;ゼラチン、カゼイン、ダイズ蛋白等の蛋白質;酸化チタン;リン酸一水素カルシウム;炭酸カルシウム;タルク;ステアリン酸塩;メタケイ酸アルミン酸マグネシウム;ケイ酸マグネシウム;無水ケイ酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
可食性高分子化合物のうち、好ましいものとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース及びその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩、酢酸ビニル−ビニルピロリドンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(コ)ポリマー等が挙げられ、特に好ましいものとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
薬物含有層に含有される可塑剤の量は、基剤の種類に応じて適宜調節することができるが、通常、薬物と基剤の合計量100質量部に対して40質量部以下、好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。可塑剤の含有量を40質量部以下とすることにより経口投与剤であるフィルム状製剤の端部から薬物含有層の染み出しが生じにくくなる。本発明のフィルム状製剤においては、後記する水膨潤性ゲル形成層中の高甘味成分等がマスキング作用を発揮するわけであるが、薬物含有層には、機能を損なわない範囲で、薬学的に許容され通常用いられているマスキング剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、酸化チタンのような無機フィラー等の添加剤を含ませることができる。
例えばマスキング剤としては、クエン酸、酒石酸、フマル酸等の酸味を与えるもの、サッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、マンニトール等の甘味料、メントール、ハッカ油、ペパーミント、スペアミント等の清涼化剤、天然又は合成の香料等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。
ちなみに、後記する比較例において使用している、高甘味成分として著名なステビア(甘味度150〜300程度)、ソーマチン(甘味度3000〜5000程度)およびアスパルテーム(甘味度200程度)は上記2種類の高甘味成分のような前記苦味成分に対するマスキング作用を示さない。
これら高甘味成分の含有量は、通常、水膨潤性ゲル形成層中0.5〜25質量%、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜1.0質量%である。0.5質量%以上とすることにより、苦味成分に対してマスキング作用を充分に発揮させることができ、25質量%以下とすることにより、フィルム状製剤の服用者が快適で適度な甘味を感じるようにすることができる。
上記のように、苦味成分と高甘味成分の比A/Bを1/2以下とすることにより、フィルム化ができなくなるのを防止でき、1/0.01以上とすることにより、マスキング効果が低下するのを防止できるため、特に好ましい。
苦味を有する薬物を用いて他の剤型に変更する際には、マスキングされた従来の薬剤における苦味成分と高甘味成分の混合比率を基準にして、適宜調製するのが通常である。本発明においては、後で述べる実施例で示した通り、マスキングされた従来の薬剤から予測されるよりもかなり少ない量、たとえば、上記範囲における下限値付近でも十分マスキング効果が発揮されることがわかった。
具体的には、水分により膨潤してゲルを形成し得る限り、その種類は特に限定されるものではなく、架橋されたものであっても架橋されていないものであってもよい。例えば、カルボキシビニルポリマー、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガム等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
多価金属イオンと反応し得るイオン性官能基を有しているゲル形成剤の具体例としては、カルボキシビニルポリマーが挙げられ、上記高甘味成分を保持するためには、架橋化カルボキシビニルポリマーが好ましく、架橋化ポリアクリル酸が特に好ましい。架橋化カルボキシビニルポリマー、特に架橋化ポリアクリル酸は、フィルム形成能に悪影響を及ぼさず、膨潤時に程よいゲル強度を示すことができるためである。
架橋化は、架橋されるゲル形成剤の種類に応じた架橋剤によって行なうことができる。カルボキシビニルポリマーは、例えば、多価金属化合物によって架橋することができる。このような多価金属化合物の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
フィルム形成剤は、フィルム形成能を有する限り、その種類は特に限定されるものではない。フィルム形成剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、(メタ)アクリル酸及びそのエステル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
水膨潤性ゲル形成層に含まれるフィルム形成剤の量は、その種類等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは水膨潤性ゲル形成層の30〜85質量%である。
フィルム形成剤の量を30質量%以上とすることにより、水膨潤性ゲル形成層がフィルム形成能を有し、前記高甘味成分によるマスキング作用を補強し、85質量%以下とすることにより、ゲル形成剤によるゲル形成能が低下するのを防止する。
フィルム形成剤が水溶性であると、水膨潤性ゲル形成層に水分が浸入しやすくなり、腔内において水膨潤性ゲル形成層の膨潤及びゲル形成を速やかに生じさせることができる。
水溶性のフィルム形成剤としては、例えば、ポリビニルアルコール;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ポリビニルピロリドン;キサンタンガム;カラギーナン;アルギン酸等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
可塑剤の量は、ゲル形成剤やフィルム形成剤の種類に応じて適宜調節することができるが、通常、ゲル形成剤とフィルム形成剤の合計量100質量部に対して2〜25質量部、好ましくは4〜21質量部、さらに好ましくは6〜17質量部である。可塑剤の含有量を25質量部以下とすることにより水膨潤性ゲル形成層のコシの強さを保持し、2質量部以上とすることにより可塑剤としての作用を十分に発揮させることができる。
水膨潤性ゲル形成層には、機能を損なわない範囲で、さらに薬学的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤、着色剤等の添加剤を含ませることができる。
<保持基材面に水膨潤性ゲル形成層、次いで薬物含有層が積層された積層体の製造>
シリコーン樹脂剥離剤等で剥離処理したプラスチックフィルムまたは台紙のような保持基材面に、上記高甘味成分、ゲル形成剤、および必要に応じて使用されるフィルム形成剤等を含有する塗工液(溶液または懸濁液、溶媒は、例えば精製水)を塗布または噴霧した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層を形成させ、保持基材面に水膨潤性ゲル形成層が積層された積層体1を製造する。
次いで、積層体1の水膨潤性ゲル形成層の面に、上記苦味成分、基剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を含有する塗工液(溶液または分散液、溶媒は、例えばエタノール)を塗布または噴霧等により積層した後、これを乾燥させて薬物含有層を形成させる。薬物含有層の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法等の原理を応用した公知の方法を利用した印刷により、薬物含有層を水膨潤性ゲル形成層の上面に形成させることもできる。このようにして、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層及び薬物含有層が順次積層された積層体2が調製される。
前記のように製造した積層体2の薬物含有層上に、前記積層体1を製造する際に使用した高甘味成分を含む塗工液を塗布または噴霧して積層した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層を形成させ、薬物含有層の両面に水膨潤性ゲル形成層が積層された積層体3が製造される。得られるフィルム状製剤の品質保持および生産性の観点から、乾燥は60〜130℃程度で、20〜900秒の間で行なうのが好ましい。以下の製造方法2以降においても同様である。
このようにして調製された積層体3から保持基材を剥離することにより本発明のフィルム状製剤を調製することができる。
前記のように製造した2枚の積層体2の薬物含有層同士を、例えば60〜120℃、1〜5kgf/cm2、0.1〜10秒間の条件で熱融着させ、次いで、両側の保持基材を剥離することにより本発明のフィルム状製剤を調製することができる。
2枚の積層体2の薬物含有層同士を、例えば60〜120℃、1〜5kgf/cm2、0.1〜10秒間の条件で熱融着させることにより積層体4が得られる。この積層体4から2枚の保持基材を剥離し、露出した水膨潤性ゲル形成層に前記積層体1の水膨潤性ゲル形成層の面を、前記の条件で熱融着させることにより積層体5が得られる。
積層体5から保持基材を剥離することにより、肉厚の水膨潤性ゲル形成層を薬物含有層の両面に有する本発明のフィルム状製剤を調製することができる。
前記積層体1の水膨潤性ゲル形成層の上に接着性成分を含む中間層を形成するための塗工液を塗布または噴霧して積層した後、これを乾燥させて中間層を形成させ、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層及び中間層が順次積層された積層体6が得られる。
前記積層体4から2枚の保持基材を剥離し、露出した水膨潤性ゲル形成層にそれぞれ前記積層体6の中間層の面を、前記の条件で熱融着させることにより積層体7が得られる。
積層体7から保持基材を剥離することにより、薬物含有層の両面に水膨潤性ゲル形成層を有し、さらにその外側に中間層を介して積層された水膨潤性ゲル形成層を有する本発明のフィルム状製剤を調製することができる。
上記のようにして調製された本発明のフィルム状製剤は5〜20mm程度の円形、楕円形、多角形等に打ち抜いて服用できる形態に加工され、ラミネートフィルム等で封入されて出荷される。
水膨潤性ゲル形成層のための高甘味成分等を含有する塗工液を以下のように調製した。各成分の配合比率(質量基準)を表1〜2に示す。
ガラス製容器に精製水[日本薬局方精製水(小堺製薬社)、以下同じ]を供給し、その中に塩化カルシウムを添加して室温で10分間攪拌して溶解し、これにポリアクリル酸[カーボポール974P(Noveon,Inc.製)、以下同じ]を加え、室温で約1時間攪拌して完全に溶解させて溶液を得た。次いで、この溶液を撹拌しながらポリビニルアルコール[ゴセノールEG−05T(日本合成社製)、ケン化度86.5〜89.0、以下同じ]を添加し、70℃に加温して約2時間攪拌して完全に溶解させた。室温に冷却した後、高甘味成分およびグリセリン[日本薬局方濃グリセリン(旭電化社製)、以下同じ]を添加して10分間攪拌して溶解し、水膨潤性ゲル形成層のための塗工液を得た。なお、ポリアクリル酸は多価金属イオン(塩化カルシウム)により架橋され得るゲル形成剤、ポリビニルアルコールはフィルム形成剤、そしてグリセリンは可塑剤である。
高甘味成分を含まない以外は上記調製例1−1と同様の手順で塗工液を調製した。
ガラス製容器に精製水を供給し、その中にグリセリンを室温下、充分攪拌しながら添加し、室温で10分間攪拌して溶解させ、この中に苦味成分(メキタジンまたは塩酸ロペラミド)を添加して分散させた。これにポリビニルピロリドンを添加して室温で約1時間攪拌して溶解させて薬物含有層を形成させるための塗工液を調製した。
苦味成分として塩酸ジフェンヒドラミンを用いた以外は上記調製例2−1と同様の手順で塗工液を調製した。
調製例1−1または調製例1−2で調製した塗工液を十分に脱泡した後、乾燥後の塗布量が所定の坪量(メキタジン製剤用は18g/m2、塩酸ロペラミド製剤用は5g/m2、参考例の塩酸ジフェンヒドラミン製剤用は18g/m2)となるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、保持基材であるポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離剤処理面の反対面上に展延塗布し、80℃の温風で6分間乾燥させ、保持基材面に水膨潤性ゲル形成層を有する積層体Aを得た。
調製例2−1または調製例2−2で調製した塗工液を十分に脱泡した後、乾燥後の塗布量が所定の坪量(メキタジン製剤用は52.5g/m2、塩酸ロペラミド製剤用は50g/m2、参考例の塩酸ジフェンヒドラミン製剤用は105g/m2)となるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、調製例3で調製された積層体Aの水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃の温風で6分間乾燥させ、薬物含有層を形成させて積層体Bを得た。
調製例4で得られた積層体Bを2枚準備して、その薬物含有層同士を圧着して100℃で2秒間熱融着した後、保持基材であるポリエチレンテレフタレートフィルム2枚を剥離することにより、苦味成分を含む薬物含有層の両面に高甘味成分を含む水膨潤性ゲル形成層を有する本発明のフィルム状製剤が得られた。これから15mmφの打ち抜き型を用いて打ち抜いた。苦味成分を含む薬物含有層の両面に高甘味成分を含む水膨潤性ゲル形成層を有する積層体が得られ、これから15mmφの打ち抜き型を用いて打ち抜くことにより本発明のフィルム状製剤が得られた。(実施例1〜4:苦味成分がメキタジン(1錠あたり2mg含有)、実施例5〜8:苦味成分が塩酸ロペラミド(1錠あたり0.5mg含有))
参考例1、2は、水膨潤性ゲル形成層に高甘味成分としてアセスルファムカリウムまたはスクラロースを含み、薬物含有層に苦味成分として塩酸ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬、1錠あたり25mg含有)を含んでいる場合である。
上記で得られた実施例1〜8、比較例1〜8、参考例1、2のフィルム状製剤を用いて製剤開発者5名のパネリストによる以下のような官能評価試験を行なった。
各例のフィルム状製剤サンプルを口中に入れ、それを20秒間口中で膨潤させ嚥下した後、下記に示す評価基準に従い、苦味の程度、甘味の程度、痺れの程度(嚥下後10分後における舌の痺れの程度)、服用感および総合評価を行い、製品としての問題の有無を判定した。その結果を表3および4に示した。
1.苦味の程度
◎:苦味を感じない
○:苦味をやや感じるが製品として問題のない程度である
×:苦味を感じる
2.甘味の程度
◎:甘味のバランスが良い(適当な甘味である)
○:甘味がやや残るが許容の範囲である
×:甘味のバランスが悪い(後味に甘味が残るまたは甘味が不足している)
3.痺れの程度(嚥下後10分後における舌の痺れの程度)
◎:舌の痺れが残らない
○:舌の痺れがやや残るが、製品として問題のない程度である
×:舌に痺れが残る
4.服用感(美味しさ)
◎:美味しい
○:美味しいが、やや苦味あるいは甘味が残る(製品として問題はない程度)
×:美味しくない
前記の1〜4に示した評価をもとに、マスキング不足から感じる苦味、あるいは高甘味度甘味剤の添加過剰から感じる甘味が、服用時に不快であるか否かを総合評価し、不快でなければ製品として問題がなく、不快であれば製品として問題であると判定した。
○:製品として問題がない
×:製品として問題がある
これに対し、他の高甘味成分では、苦味の程度、甘味の程度、痺れの程度、服用感が十分ではなく、フィルム状製剤として不十分であった。
また、他の苦味を有する薬物である塩酸ジフェンヒドラミンについては、アセスルファムカリウムを用いてマスキングしたとしても、全ての評価項目において問題があり、薬効用量を有する薬物を含有する製品とはならないことがわかる。
これをステビア(甘味度150〜300)とアセスルファムカリウム(甘味度200)の甘味度を考慮して予測される量を算出してみると、塩酸ロペラミド0.5mgに対し、アセスルファムカリウムを5.6〜11.25mg程度添加すればよいこととなる。しかし、上記試験例からも明らかな通り、塩酸ロペラミド0.5mgに対してアセスルファムカリウムはわずか0.01〜0.35mgでも十分に塩酸ロペラミドに対するマスキング効果が示されている。
Claims (5)
- メキタジンまたは塩酸ロペラミドを含む薬物含有層の両面に、直接又は中間層を介して積層された、アセスルファムカリウムまたはスクラロースを含む水膨潤性ゲル形成層を有することを特徴とするフィルム状製剤。
- アセスルファムカリウムまたはスクラロースの含有量が水膨潤性ゲル形成層中0.5〜25質量%である請求項1に記載のフィルム状製剤。
- フィルム状製剤全体に含まれるメキタジンまたは塩酸ロペラミドの含有量をA[質量%]、フィルム状製剤全体に含まれるアセスルファムカリウムまたはスクラロースの含有量をB[質量%]としたとき、これらの成分比A/Bが、1/0.01〜1/2の範囲である請求項1または2に記載のフィルム状製剤。
- メキタジンまたは塩酸ロペラミドを含む薬物含有層の両面に、アセスルファムカリウムまたはスクラロースを含む水膨潤性ゲル形成層を直接又は中間層を介して積層することを特徴とするフィルム状製剤の製造方法。
- アセスルファムカリウムまたはスクラロースを含む水膨潤性ゲル形成層にメキタジンまたは塩酸ロペラミドを含む薬物含有層を直接又は中間層を介して積層し、次いで得られた積層体2枚の薬物含有層同士を貼付することを特徴とするフィルム状製剤の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007171817A JP5101191B2 (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | フィルム状製剤およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007171817A JP5101191B2 (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | フィルム状製剤およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009007310A JP2009007310A (ja) | 2009-01-15 |
JP5101191B2 true JP5101191B2 (ja) | 2012-12-19 |
Family
ID=40322760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007171817A Expired - Fee Related JP5101191B2 (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | フィルム状製剤およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5101191B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101074271B1 (ko) * | 2009-06-25 | 2011-10-17 | (주)차바이오앤디오스텍 | 불쾌한 맛을 효과적으로 은폐한 경구용 속용 필름 |
AU2011221889B2 (en) * | 2010-03-03 | 2016-04-07 | Kowa Co., Ltd. | Film preparation containing medicament with unpleasant taste |
JP2012054292A (ja) * | 2010-08-31 | 2012-03-15 | Showa Denko Kk | ウェーハ、半導体発光素子用テンプレート基板の製造方法、半導体発光素子の製造方法、半導体発光素子基板の製造方法、半導体発光素子用テンプレート基板、半導体発光素子基板及びレジスト塗布方法 |
KR101320058B1 (ko) * | 2011-06-30 | 2013-10-18 | 중앙대학교 산학협력단 | 약제학적 활성 성분을 함유하는 경구용 속붕해성 필름 및 이의 제조 방법 |
KR101870004B1 (ko) | 2011-09-30 | 2018-06-22 | 모찌다 세이야쿠 가부시끼가이샤 | 복용 용이성 고형 제제 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU3691297A (en) * | 1996-08-15 | 1998-03-06 | Losan Pharma Gmbh | Easy to swallow oral medicament composition |
US6596298B2 (en) * | 1998-09-25 | 2003-07-22 | Warner-Lambert Company | Fast dissolving orally comsumable films |
JP5177447B2 (ja) * | 2007-06-07 | 2013-04-03 | 佐藤製薬株式会社 | 速溶性及び可撓性を有するフィルム製剤 |
KR101866189B1 (ko) * | 2008-08-25 | 2018-06-11 | 규큐 야쿠힝 고교 가부시키가이샤 | 로페라마이드 염산염 함유 필름 제제 |
-
2007
- 2007-06-29 JP JP2007171817A patent/JP5101191B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009007310A (ja) | 2009-01-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100890180B1 (ko) | 경구투여제 및 경구투여제 유지체 | |
JP6294479B2 (ja) | 経口分散性フィルム | |
JP5590891B2 (ja) | 可食性フィルム | |
JP4953673B2 (ja) | 経口投与剤 | |
RU2456981C2 (ru) | Принимаемый перорально пленочный медикамент и способ его получения | |
JP4993652B2 (ja) | 経口投与剤 | |
CZ20012566A3 (cs) | Jednotková dávka a způsob přípravy jednotkové dávky pro slizniční podávání | |
US8268333B2 (en) | Orally administered agent and an orally administered agent/supporting substrate complex | |
JP2005289867A (ja) | 経口投与剤 | |
JP5101191B2 (ja) | フィルム状製剤およびその製造方法 | |
JP4860312B2 (ja) | 経口投与剤 | |
JPWO2009041111A1 (ja) | 経口投与剤 | |
JP5525678B2 (ja) | 経口投与剤 | |
JP4898113B2 (ja) | 経口投与剤 | |
WO2018004576A2 (en) | A fast acting orally disintegrating film for administration of local anesthesia | |
JP4587785B2 (ja) | 経口投与剤 | |
JP5318181B2 (ja) | 経口投与剤 | |
JP2014189547A (ja) | 嚥下物被覆体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100412 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120918 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120926 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151005 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5101191 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |