[go: up one dir, main page]

JP5046450B2 - ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法 - Google Patents

ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5046450B2
JP5046450B2 JP2001268292A JP2001268292A JP5046450B2 JP 5046450 B2 JP5046450 B2 JP 5046450B2 JP 2001268292 A JP2001268292 A JP 2001268292A JP 2001268292 A JP2001268292 A JP 2001268292A JP 5046450 B2 JP5046450 B2 JP 5046450B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
hybrid compound
present
fluorine
containing oligomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001268292A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003073521A (ja
Inventor
秀剛 高橋
英夫 沢田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Composites Inc
Original Assignee
Fujikura Rubber Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Rubber Ltd filed Critical Fujikura Rubber Ltd
Priority to JP2001268292A priority Critical patent/JP5046450B2/ja
Publication of JP2003073521A publication Critical patent/JP2003073521A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5046450B2 publication Critical patent/JP5046450B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素含有オリゴマーとテトラアルコキシシランとを反応させて得られる新規なハイブリッド化合物およびその製造方法、並びに、当該ハイブリッド化合物を使用して行うゴムの表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルオロアルキル基を両末端に有し、中間鎖に官能基が結合されてなるフッ素含有オリゴマーにより樹脂の表面を改質する方法が知られている。樹脂の表面改質に適用される当該フッ素含有オリゴマーは、分子両末端におけるフルオロアルキル基が共有結合を介して中間鎖に結合されているので、長期にわたって所期の改質効果(例えば防汚性・抗菌性など)を発現することができる。
【0003】
かかるフッ素含有オリゴマーによる樹脂の改質方法として、下記(1)乃至(2)の処理法が紹介されている。
(1)フッ素含有オリゴマーを樹脂とともに有機溶剤に溶解し、一定時間放置した後に溶剤を除去する方法(特開平11−246573号公報参照)。
(2)フッ素含有オリゴマーを光重合性のモノマーに溶解して光硬化性の樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物を基材樹脂の表面に塗布し、形成された塗膜を光硬化させる方法(特開平10−245419号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、上記のようなフッ素含有オリゴマーを使用して、ゴムの表面を改質することができれば望ましい。
しかしながら、上記(1)乃至(2)の方法は、樹脂の表面改質方法としては適しているものの、これらの方法に従ってゴムを処理しても、当該ゴムの表面を改質することができなかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、未架橋ゴムからなるゴム基材をフッ素含有オリゴマーの溶液中に浸漬することにより、当該ゴム基材の表面にフッ素含有オリゴマーの塗膜を形成し、これを加熱処理(架橋処理)して、架橋ゴムの表面に改質層(フッ素含有オリゴマーによる被膜)を形成する方法を試みた。
【0006】
しかしながら、この方法で形成された改質層を構成するフッ素含有オリゴマーは種々の溶剤に溶解されてしまうため、当該改質層を備えたゴム製品を耐溶剤性が要求される用途に使用することができない。
また、当該改質層を構成するフッ素含有オリゴマーは十分な熱安定性を有するものでないため、当該改質層を備えたゴム製品を耐熱性が要求される用途に使用することができない。
【0007】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、熱安定性に優れ、各種の基材の表面処理剤として好適に使用することのできる新規なハイブリッド化合物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、そのような優れた特性のハイブリッド化合物を好適に製造する方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、耐熱性および耐溶剤性に優れた改質層(被膜)をゴム基材の表面に形成することができ、フッ素含有オリゴマーに由来する表面改質効果を安定的に発現させることができるゴムの表面処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイブリッド化合物は、下記(1)で示されるフッ素含有オリゴマー(以下、「特定のフッ素含有オリゴマー」という。)を有機溶剤に溶解してなる溶液中にテトラアルコキシシランを添加し、この系を攪拌混合した後、前記溶剤を除去する工程を経て得られることを特徴とする。
【0009】
【化2】
Figure 0005046450
【0010】
(式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、xは1〜100の整数である。)
【0011】
本発明の製造方法は、特定のフッ素含有オリゴマーを有機溶剤に溶解してなる溶液中にテトラアルコキシシランを添加し、この系を攪拌混合した後、前記溶剤を除去する工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のハイブリッド化合物においては下記の形態が好ましい。
〔1〕前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであること。
〔2〕上記式(1)において、RF で表される「フルオロアルキル基を含有する基」が、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13、−C7 15または−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]p OC3 7 (式中、pは0,1もしくは2である。)で表される基であること。
〔3〕ハイブリッド化合物の製造に供される特定のフッ素含有オリゴマーと、テトラアルコキシシランとの質量割合が1:1〜1:10であること。
【0013】
本発明のゴムの表面処理方法は、本発明のハイブリッド化合物を未架橋のゴム基材の表面近傍に存在させる工程と、当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明のゴムの表面処理方法においては下記の形態が好ましい。
〔1〕ゴム基材中にシリカが充填されていること。
〔2〕未架橋のゴム基材の表面にハイブリッド化合物を散在させることにより、当該ハイブリッド化合物をゴム基材の表面近傍に存在させること。
〔3〕ハイブリッド化合物の分散液中に未架橋のゴム基材を浸漬することにより、当該ハイブリッド化合物を当該ゴム基材の表面近傍に存在させること。
〔4〕ハイブリッド化合物が表面近傍に存在している未架橋のゴム基材を、プレスにより加熱処理(架橋処理)すること。
【0015】
【作用】
(a)本発明のハイブリッド化合物は、これを構成する特定のフッ素含有オリゴマーよりも熱安定性に優れている。従って、当該ハイブリッド化合物によって表面処理されたゴム製品は、特定のフッ素含有オリゴマーにより表面処理されたゴム製品と比較して、格段に優れた耐熱性を有するものとなる。
(b)本発明のハイブリッド化合物は、ゴムとの相溶性に優れ、かつ、特定のフッ素含有オリゴマーに対して良溶媒である種々の溶剤に対しても不溶である。従って、当該ハイブリッド化合物によって表面処理されたゴム製品の改質効果は、溶剤洗浄(抽出)などによっても減少することはない。このように、当該ハイブリッド化合物により表面処理されたゴム製品は、特定のフッ素含有オリゴマーにより表面処理されたゴム製品と比較して、格段に優れた耐溶剤性を有する。
(c)後述する実施例の結果からも明らかなように、本発明のハイブリッド化合物により表面処理されたゴム製品には、親水性・溌油性が発現され、表面改質効果として優れた防汚性能が付与されている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する
<ハイブリッド化合物>
本発明のハイブリッド化合物は、特定のフッ素含有オリゴマーと、テトラアルコキシシランとを反応させて得られる。
【0017】
本発明のハイブリッド化合物を得るために使用される特定のフッ素含有オリゴマーは、フルオロアルキル基を含有する基(RF )を分子両末端に有し、ジメチルカルバモイル基(−CON(CH3 2 )が結合されてなる(ポリ)N,N−ジメチルアクリルアミドからなる中間鎖を有するフッ素系のオリゴマーである。
【0018】
特定のフッ素含有オリゴマーを構成するフルオロアルキル基を含有する基(RF )の具体例としては、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13および−C7 15など−Cq 2q+1(q=1〜10)で表されるフルオロアルキル基;−CF(CF3 )OC3 7 、−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]OC3 7 、および−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]2 OC3 7 で表される基(オキシフルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を含有する基)を例示することができ、これらのうち、−CF(CF3 )OC3 7 で表される基が特に好ましい。
また、特定のフッ素含有オリゴマーを示す上記式(1)において、xは1〜100の整数とされ、好ましくは1〜50とされる。
【0019】
上記式(1)で示される特定のフッ素含有オリゴマーは、下記式(1A)で示される含フッ素過酸化物の存在下に、下記式(1B)で示される単量体を重合させることにより得ることができる。なお、この反応生成物(フッ素含有オリゴマー)中には、フルオロアルキル基を含有する基(RF )が片末端のみに導入されているオリゴマーが任意の割合で含まれていてもよい。
【0020】
【化3】
Figure 0005046450
【0021】
本発明のハイブリッド化合物を得るために好適に使用されるテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン(TMOS)およびテトラエトキシシラン(TEOS)を挙げることができる。液状であるTMOSおよび/またはTEOSを使用することにより、均質な反応原料(特定のフッ素含有オリゴマーとの混合系)を得ることができる。
【0022】
ハイブリッド化合物を得るために使用される特定のフッ素含有オリゴマーとテトラアルコキシシランとの質量割合としては、1:1〜1:10であることが好ましく、更に好ましくは1:1〜2:5とされる。
【0023】
本発明のハイブリッド化合物を得るための方法としては、例えば、特定のフッ素含有オリゴマーを適宜の溶媒に溶解してなる溶液中に、テトラアルコキシシランおよび塩酸を添加し、この系を室温下において攪拌した後、反応混合物中の反応溶媒を除去し、得られた生成物をソックスレイ抽出などによって精製する方法を挙げることができ、このようにして、粉粒状のハイブリッド化合物を得ることができる。
【0024】
本発明のハイブリッド化合物は、これを得るために使用した特定のフッ素含有オリゴマーと比較して熱安定性に優れている。
また、本発明のハイブリッド化合物は、特定のフッ素含有オリゴマーに対して良溶媒である種々の溶剤〔例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、アセトン〕に対しても不溶である。
【0025】
このような性能(熱安定性および耐溶剤性)は、本発明のハイブリッド化合物の分子構造に起因するものと考えられる。すなわち、本発明のハイブリッド化合物においては、テトラアルコキシシランによって形成されるシロキサン結合のマトリックス内に、特定のフッ素含有オリゴマーの有するジメチルカルバモイル基(−CON(CH3 2 )が入り込み、当該ジメチルカルバモイル基を構成する水素原子と、前記マトリックスを構成する酸素原子との間で水素結合が形成され、これが、優れた熱安定性、および溶剤に対する不溶性の発現に寄与しているものと推測される。
ここに、中間鎖の有するジメチルカルバモイル基を他の官能基に置換してなるフッ素含有オリゴマーを、テトラアルコキシシランと反応させたとしても、熱安定性および耐溶剤性に優れたハイブリッド化合物を得ることはできない。
【0026】
本発明のハイブリッド化合物は、金属、樹脂、ゴムなどからなる各種の基材の表面処理に使用することができ、当該基材の表面に、防汚性・抗菌性などの種々の改質効果を付与することができる。
本発明のハイブリッド化合物は、ゴムとの相溶性に優れていることから、ゴムの表面処理剤および配合剤として好適に使用することができ、ゴムの表面処理剤として特に好適である。
以下、本発明のハイブリッド化合物を使用して行うゴムの表面処理方法(本発明の処理方法)について説明する。
【0027】
<ゴムの表面処理方法>
本発明の表面処理方法は、本発明のハイブリッド化合物を未架橋のゴム基材の表面近傍に存在させる工程と、当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含む点に特徴を有する。
ここに、「ゴム基材の表面近傍に存在させる」とは、ゴム基材の表面に付着させる態様のほか、表面近傍における基材内部に含有させるような態様が含まれる。なお、ハイブリッド化合物の全量をゴム基材の表面近傍に存在(偏在)させる必要はなく、当該ハイブリッド化合物をゴム基材中に均一に分散させるような態様も、本発明の範囲に包含される。
【0028】
本発明の方法により表面処理されるゴム基材(原料ゴム)としては、特に限定されるものではなく、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、アクリルゴム(ACM,ANM)、エピクロロヒドリンゴム(CO,ECO)、シリコーンゴム(VMQ,FVMQ)、ウレタンゴム(AU,EU)、フッ素ゴム(FKM,FEPM)などを例示することができる。
【0029】
ゴム基材を構成するゴム組成物中には、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤など、従来公知の種々のゴム用配合剤が含有されていてもよい。
また、当該ゴム組成物中にはシリカが配合されていることが好ましい。シリカが含有されてなるゴム基材に対して本発明の表面処理方法を実施することにより、得られるゴム製品は、硬さが増加して強度の向上が図られるとともに、親水性、溌油性および防汚性などの向上も図ることができる。
ゴム組成物中におけるシリカの含有量としては、原料ゴム100質量部あたり10〜100質量部であることが好ましく、更に好ましくは15〜50質量部とされる。
【0030】
ハイブリッド化合物を未架橋のゴム基材の表面近傍に存在させる方法としては、ゴム基材の表面にハイブリッド化合物を散在させる(均一にふりかける)方法、ハイブリッド化合物の分散液中に未架橋のゴム基材を浸漬する方法など特に限定されるものではない。ゴム基材の表面近傍に存在させるハイブリッド化合物の量(付着量)としては、例えば0.0001〜0.01g/cm2 とされ、好ましくは0.0003〜0.002g/cm2 とされる。
【0031】
ハイブリッド化合物を表面近傍に存在させたゴム基材の加熱処理条件としては、ゴムの架橋反応が十分進行する条件であることが必要であり、例えば、140〜180℃で5〜30分間とされる。加熱処理方法としては、プレスによる方法が好ましい。加熱処理が施されることにより、ゴム基材の表面近傍におけるゴム(架橋ゴム分子)に対して、当該ハイブリッド化合物が強固に結合する。
【0032】
本発明の方法により表面処理されたゴム製品には、ハイブリッド化合物による表面改質効果(例えば、防汚性・抗菌性)が発現される。
また、当該ゴム製品を高温条件下(例えば150℃以上)で使用しても、その表面改質効果が損なわれることはない。
また、当該ゴム製品を溶剤で洗浄(抽出)した後においても、その表面改質効果が損なわれることはない。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0034】
〔製造例1〕
下記式(2)で示される特定のフッ素含有オリゴマー0.8gをエタノール10mlに溶解してなる溶液中に、テトラエトキシシラン(TEOS)2.00gおよび1Nの塩酸2gを添加した。この系を室温下に3日間攪拌した後、反応混合物中の反応溶媒(エタノール)を減圧下で除去し、得られた生成物をソックスレイ抽出によって精製した。これにより、粉粒状のハイブリッド化合物(本発明のハイブリッド化合物)0.21gが得られた。
【0035】
【化4】
Figure 0005046450
(式中、RF ’は−CF(CF3 )OC3 7 を示し、x’は2または3である。)
【0036】
〔製造例2〕
上記式(2)で示される特定のフッ素含有オリゴマー1.2gをエタノール15mlに溶解してなる溶液中に、テトラエトキシシラン(TEOS)2.00gおよび1Nの塩酸3gを添加したこと以外は製造例1と同様にして、粉粒状のハイブリッド化合物(本発明のハイブリッド化合物)0.16gを得た。
【0037】
〔ハイブリッドの熱安定性の評価〕
製造例1〜2で得られた本発明のハイブリッド、および製造例1〜2で使用した特定のフッ素含有オリゴマーの各々について、熱重量分析(TGA)を行って10%減量温度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0005046450
【0039】
表1に示す結果から、本発明のハイブリッドは、これを構成する特定のフッ素含有オリゴマーよりも熱安定性に優れており、特に、製造例2で得られた本発明のハイブリッドは格段に優れた熱安定性を有していることが理解される。
【0040】
〔ハイブリッドの溶剤に対する溶解性の評価〕
製造例1〜2で得られた本発明のハイブリッド、および製造例1〜2で使用した特定のフッ素含有オリゴマーの各々について、各種溶剤に対する溶解性を評価した。結果を下記表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0005046450
【0042】
〔作製例1(未架橋ゴム組成物の調製)〕
ニトリルゴム「Nipol DN401」(日本ゼオン(株)製)100質量部と、硫黄1質量部と、酸化亜鉛5質量部と、架橋促進剤「ノクセラーZTC」(大内新興化学(株)製)1質量部と、架橋促進剤「ノクセラーTOT−N」(大内新興化学(株)製)4質量部と、架橋促進剤「ノクセラーDM」(大内新興化学(株)製)2質量部とを8インチロールにより混練してニトリルゴム組成物からなる未架橋ゴムシート(ゴム基材)を得た。
【0043】
〔作製例2(未架橋ゴム組成物の調製)〕
シリカ「ニップシール VN3」(日本シリカ社製)20質量部を配合したこと以外は作製例1と同様にしてニトリルゴム組成物からなる未架橋ゴムシート(ゴム基材)を得た。
【0044】
<実施例1>
作製例1で得られた未架橋ゴムシートの表面(一面)に、製造例1で得られたハイブリッド化合物を均一にふりかけて付着させた(付着量約0.0003g/cm2 )。次いで、この未架橋ゴムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理することにより、当該ゴムシートを架橋させるとともに、架橋ゴムシートの表面にハイブリッド化合物を固定し、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを得た。
【0045】
<実施例2>
作製例1で得られた未架橋ゴムシートの表面(一面)に、製造例2で得られたハイブリッド化合物を均一にふりかけて付着させたこと(付着量約0.0003g/cm2 )以外は実施例1と同様にして、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを得た。
【0046】
<実施例3>
作製例2で得られた未架橋ゴムシートの表面(一面)に、製造例1で得られたハイブリッド化合物を均一にふりかけて付着させたこと(付着量約0.0003g/cm2 )以外は実施例1と同様にして、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを得た。
【0047】
<実施例4>
作製例2で得られた未架橋ゴムシートの表面(一面)に、製造例2で得られたハイブリッド化合物を均一にふりかけて付着させたこと(付着量約0.0003g/cm2 )以外は実施例1と同様にして、本発明のハイブリッド化合物によって表面処理された架橋ゴムシートを得た。
【0048】
<比較例1>
作製例1で得られた未架橋ゴムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理(架橋処理)することにより架橋ゴムシートを得た。
【0049】
<比較例2>
作製例2で得られた未架橋ゴムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理(架橋処理)することにより架橋ゴムシートを得た。
【0050】
<比較例3>
作製例1で得られた未架橋ゴムシートを、上記式(2)で示される特定のフッ素含有オリゴマーのエタノール溶液(フッ素含有オリゴマーの濃度=1質量%)中に30分間浸漬し、当該未架橋ゴムシートを乾燥してエタノールを除去した。上記のようにして、特定のフッ素含有オリゴマーを表面に付着させた未架橋ゴムシートを150℃で10分間プレスによって加熱処理(架橋処理)することにより、特定のフッ素含有オリゴマーによって表面処理された架橋ゴムシートを得た。
【0051】
<シートの評価>
(1)シート表面におけるフッ素原子の存在量(初期値):
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたシートの各々について、X線光電子分光分析装置(XPS)により、シート表面(処理面)に存在するフッ素原子の量(炭素原子1個に対するフッ素原子の個数)を測定した。結果を下記表3に示す。測定条件は、下記のとおりである。
【0052】
(測定条件)
・使用機種:Perkin Elmer PHI 5600 ESCA System,
・室内の圧力(減圧条件):2.8×10-7Pa,
・補正:中和銃にてC1sを285.0eVに補正,
・X線:AlKαモノクロX線,
・X線照射角度:45°,
・測定領域:800μm×2000μm
【0053】
(2)シート表面の溌油性:
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたシートの各々の表面(処理面)にドデカンを滴下し、滴下直後および30分経過時の接触角をERMA製G−1−1000型ゴニオメーターを用いて測定した。この接触角が大きい程、シート表面の溌油性が大きい。結果を併せて下記表3に示す。
【0054】
(3)シート表面の親水性:
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたシートの各々の表面(処理面)に水を滴下し、滴下直後から30分経過するまでの接触角の経時的変化をERMA製G−1−1000型ゴニオメーターを用いて測定した。この接触角が小さい程、シート表面の親水性が大きい。結果を併せて下記表3に示す。
【0055】
(4)シート表面におけるフッ素原子の保持率(シート表面の耐溶剤性):
実施例1〜4および比較例3で得られたシートの各々について、エタノールによるソックスレー抽出を12時間行った後、上記(1)と同様にしてシート表面に存在するフッ素原子の量を測定し、上記(1)により得られたフッ素原子の量(初期値)に対する保持率を求めることにより、下記の評価基準に従ってシート表面(改質層)の耐溶剤性を評価した。結果を併せて下記表3に示す。
【0056】
(評価基準)
「○」:保持率(溶剤抽出後の値/初期値)が80%以上.
「△」:保持率(溶剤抽出後の値/初期値)が20%以上80%未満.
「×」:保持率(溶剤抽出後の値/初期値)が20%未満.
【0057】
【表3】
Figure 0005046450
【0058】
【発明の効果】
本発明のハイブリッド化合物は、熱安定性に優れるとともに、各種基材の表面処理剤として好適に使用することができる。
本発明のハイブリッド化合物は、熱安定性に優れ、各種溶剤に不溶であって、ゴムとの相溶性に優れているので、ゴムの表面処理剤として特に好適に使用することができる。
本発明の製造方法によれば、優れた特性のハイブリッド化合物を好適に製造することができる。
本発明の表面処理方法によれば、優れた防汚性能(親水性・溌油性)をゴム製品に付与することができる。また、当該ゴム製品は、特定のフッ素含有オリゴマーにより表面処理されたゴム製品と比較して、格段に優れた耐熱性および耐溶剤性を有する。

Claims (6)

  1. 下記(1)で示されるフッ素含有オリゴマーを有機溶剤に溶解してなる溶液中にテトラアルコキシシランを添加し、この系を攪拌混合した後、前記溶剤を除去する工程を経て得られることを特徴とするハイブリッド化合物。
    Figure 0005046450
    (式中、RF はフルオロアルキル基を含有する基を表し、xは1〜100の整数である。)
  2. 前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド化合物。
  3. 前記フッ素含有オリゴマーを示す上記式(1)において、RF で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、−CF3 、−C2 5 、−C3 7 、−C6 13、−C7 15または−CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]p OC3 7 (式中、pは0,1もしくは2である。)で表されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド化合物。
  4. 請求項1に記載のフッ素含有オリゴマーを有機溶剤に溶解してなる溶液中にテトラアルコキシシランを添加し、この系を攪拌混合した後、前記溶剤を除去する工程を含むことを特徴とするハイブリッド化合物の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載のハイブリッド化合物を、未架橋のゴム基材の表面近傍に存在させる工程と、当該ゴム基材を加熱処理する工程とを含むことを特徴とするゴムの表面処理方法。
  6. 前記ゴム基材中にシリカが充填されていることを特徴とする請求項5に記載のゴムの表面処理方法。
JP2001268292A 2001-09-05 2001-09-05 ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法 Expired - Fee Related JP5046450B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001268292A JP5046450B2 (ja) 2001-09-05 2001-09-05 ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001268292A JP5046450B2 (ja) 2001-09-05 2001-09-05 ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003073521A JP2003073521A (ja) 2003-03-12
JP5046450B2 true JP5046450B2 (ja) 2012-10-10

Family

ID=19094298

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001268292A Expired - Fee Related JP5046450B2 (ja) 2001-09-05 2001-09-05 ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5046450B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4285730B2 (ja) * 2003-05-27 2009-06-24 藤倉ゴム工業株式会社 表面処理組成物およびゴムの表面処理方法
JP4611673B2 (ja) * 2004-06-28 2011-01-12 藤倉ゴム工業株式会社 リリーフ弁およびその製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS564636A (en) * 1979-06-06 1981-01-19 Shionogi & Co Ltd Filler for rubber or plastic and production thereof
FR2471947A1 (fr) * 1979-12-20 1981-06-26 Rhone Poulenc Ind Silice de precipitation, notamment utilisable comme charge renforcante
JP2574049B2 (ja) * 1990-01-17 1997-01-22 武夫 三枝 有機・無機複合透明均質体及びその製法
JPH0790114A (ja) * 1993-09-28 1995-04-04 Hoya Corp レンズ用有機・無機複合体の製造方法
JPH0790113A (ja) * 1993-09-28 1995-04-04 Hoya Corp レンズ用有機・無機複合体の製造方法
JPH07224118A (ja) * 1994-02-10 1995-08-22 Mitsui Toatsu Chem Inc 硬化性組成物およびその硬化方法
JPH09241324A (ja) * 1996-03-11 1997-09-16 Showa Denko Kk フルオロアルキル基含有オリゴマー及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003073521A (ja) 2003-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4671214B2 (ja) ゴムの表面改質方法
US20090299001A1 (en) Curable fluoropolyether coating composition
TW200911904A (en) Perfluoroelastomer composition and sealing material
EP2468831B1 (en) Coating agent composition
JP4285730B2 (ja) 表面処理組成物およびゴムの表面処理方法
JP2025016643A (ja) 成形品の製造方法
JP2011074325A (ja) 湿気硬化性組成物
JP5923451B2 (ja) ポリオルガノシロキサンの使用方法、ゴムを加硫する方法、加硫ゴム、ゴム用加硫化剤、マスターバッチ及び混合物
JP5046450B2 (ja) ハイブリッド化合物およびその製造方法、並びにゴムの表面処理方法
JP3464702B2 (ja) シリコーンゴム組成物の製造方法
US7144962B2 (en) Method for surface treatment of rubber process for production of rubber articles, rubber compositions, rubber molding, and process for production thereof
JP3983066B2 (ja) 表面処理組成物および表面処理方法
US20120157567A1 (en) Silicone composition, an article and method of making an article
JP3737464B2 (ja) ゴム製品の製造方法
JP3748841B2 (ja) ゴムの表面処理方法
JP5339804B2 (ja) 表面処理剤、ゴムの表面処理方法およびゴム製品
JP4553698B2 (ja) 表面処理組成物およびゴムの表面処理方法、並びにリリーフ弁の製造方法
JP3961272B2 (ja) ゴム組成物、ゴム成形品およびその製造方法
JP3676311B2 (ja) 表面処理組成物およびゴムの表面処理方法
CN114874496A (zh) 一种高强度低固化收缩率的硅橡胶及其制备方法
CN115073750A (zh) 一种耐湿热室温固化硅橡胶及其制备方法
Yoon et al. UV-curable water-borne polyurethane primers for aluminum and polycarbonate interfaces
KR20140039992A (ko) 차량 차체의 도장 표면용 코팅제
JP2021098812A (ja) エラストマー部材、およびエラストマー部材の製造方法
JP3909146B2 (ja) ゴム製品の製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120717

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120717

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5046450

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees