特許文献1に記載の技術は、受口の開口端に連結体を取付けた後、波付電線管を受口内へ挿通し、波付電線間の波(谷部分)内に連結体の爪を引掛係止して、波付電線管を受口に連結する。このとき、連結体は、切欠を介して拡開され、爪が波付電線管の外面(山部分)と干渉しないようにする。この場合、連結体への波付電線管の挿通時に爪と波付電線管の外面との干渉を避けるには、爪の全ての部分を波付電線管の外面より外方の位置にくるまで、連結体を十分に拡開する必要がある。ここで、連結体は、基本的にその周方向中央部(切欠と対向する部位)を中心として拡開するため、一対の爪間の拡開割合(周方向中央部から切欠へと向かう方向において、係止具の一定の拡開量に応じて爪間の距離が拡大する割合)は、周方向中央部側から切欠側へ向かって徐々に大きくなる。よって、爪の手前側部分(切欠側部分)は、連結体の小さい拡開量でも波付電線管の外面より外方の位置に移動するが、爪の奥側部分(周方向中央部側部分)、特に奥側端部が波付電線管の外面より外方の位置にくるまで連結体を拡開するには、連結体を相当大きく拡開する必要がある。しかし、連結体を大きく拡開すると、連結体に大きな負担(負荷)がかかるため、かかる負荷による連結体への悪影響を防止するためには、波付管の挿通時・取外し時に連結体の拡開量をできるだけ小さくすることが望まれる。一方、連結体の爪の引掛係止による波付電線管の係合力を高めるためには、爪を連結体の内側へできるだけ大きく突出させる(突出量を大きくする)ことが好ましい。しかし、爪の内側への突出量を大きくすると、その分、更に連結体の拡開量を大きくする必要がある。よって、連結体の弾性や強度等にもよるが、連結体への過大な負荷を避けながら連結体を必要量だけ確実に拡開するには、爪の突出量を大きくして係合力を大きくすることには限界がある。なお、上記のような点は連結体を拡開して波付電線管を連結体から取外す場合も同様である。
そこで、本発明は、波付管を受口に連結するための(従来の連結体に対応する)係止具を従来よりも小さな拡開量としても、当該係止具の内周側に配置される(従来の爪に対応する)係止突起に波付管の外面を干渉させることなく挿通することができ、係止具による波付管の係合力を高めながら当該係止具に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる波付管接続装置の提供を課題とする。
請求項1に係る波付管接続装置は、波付管が挿入されて接続される波付管用受口を備えている。前記受口は、受口本体部と係止具とを含む。受口本体部は、波付管の端部が挿入される開口端を有する筒状をなす。また、係止具は、前記受口本体部の前記開口端に対応する周回状をなし、当該受口本体部の開口端に着脱自在に取着されて前記波付管の端部の挿入を許容する。前記受口の係止具は、周方向の一部を切り欠いて切欠部を形成し、自身の弾性によるたわみ変形により当該切欠部の間隔を拡大・縮小して拡開・縮径自在とされる。また、係止具は、その内周面側に内方へ突出する係止突起を有し、前記波付管を挿入した状態で縮径することにより、前記係止突起を前記受口本体部の開口端側の内周面より内方へ突出させて前記波付管の外面の凹部に進入させる。一方、係止具は、前記波付管を挿入した状態で拡開することにより、前記係止突起を前記受口本体部の開口端側の内周面より外方へ退避させて前記波付管の外面の凹部から離脱させるよう構成されている。前記係止具の係止突起は、前記切欠部と対向する側を除く部位に形成されると共に、前記切欠部側に偏って形成されている。前記係止具は前記切欠部を有する断面略環状であり、前記係止突起が前記切欠部側に偏って形成される範囲は、前記係止具の中心と前記切欠部の幅方向中央位置とを結ぶ仮想線を第1の仮想線とし、当該第1の仮想線と直交すると共に前記係止具の中心を通る仮想線を第2の仮想線としたときに、前記係止具の内周面において前記第2の仮想線から前記切欠部と対向する側に約45度入った角度位置から前記切欠部直近位置までの範囲、または、前記係止具の内周面において前記第2の仮想線上若しくは前記第2の仮想線から若干前記切欠部側に入った角度位置から前記切欠部直近位置までの範囲、または、前記切欠部の幅方向中央位置から約90度〜約135度の角度範囲の角度位置から前記切欠部直近位置までの範囲である。
ここで、受口は、通常、所定断面(円形断面、角形断面等)の波付管の外周形状に対応する断面形状(若干大径の円形断面、角形断面等)の開口端部を有する筒状(円筒状、角筒状等)である。受口は、例えば、同一種類の2本の波付管を相互に連結すべく、長手方向に同一断面となる単純筒状(単純円筒状、単純角筒状)とすることができる。或いは、受口は、異形断面の2本の波付管を相互に連結すべく、長手方向の一方側を相対的に小径断面とし、他方側を相対的に大径断面とした異形断面筒状(異形断面円筒状、異形断面角筒状)とすることもできる。或いは、受口は、異なる直径の同一断面の2本の波付管を相互に連結すべく、長手方向の一方側を相対的に小径断面とし、他方側を相対的に大径断面(相似断面形状)とした異径断面筒状(異径断面円筒状、異径断面角筒状)とすることもできる。或いは、受口は、長手方向一端(先端)にのみ前記開口端を有し、長手方向他端(基端)をボックス等の収容体に一体的に接続した筒状(円筒状、角筒状等)とすることもできる。即ち、受口としては、従来公知の任意の受口を使用することができる。
また、係止具の周回形状は、受口の開口端の外周形状(及び、通常は取付ける波付管の外周形状)に応じた周回形状となり、受口の開口端に着脱自在に取着できるものであればよい。例えば、係止具は、切欠部を周方向一部に有する略円環状(即ち、C形環状)とすることができる。また、係止具は、切欠部を有する円環状以外にも、切欠部を有する楕円環状や、切欠部を有する矩形環状、六角形環状、八角形環状等の角形環状としたり、切欠部を有する角丸角形環状(コーナー部を湾曲させた角形環状)としたりすることができる。即ち、係止具は、波付管の開口端の外周形状に応じた周回状となり、受口本体部の開口端に着脱自在に取着されて前記波付管の端部の挿入を許容する限りにおいて、任意の周回形状を採用できる。このように、係止具の周回形状及び係止具を受口へ取着するための構成としては、任意のものを採用することができる。また、係止具は、切欠部を介して必要量が拡開できるよう、所定弾性を有する合成樹脂等の材料により形成される。
更に、係止具の係止突起の形状は、波付管の外面の凹部(谷部)に進入して同凹部を係止するものであれば、任意の形状とすることができる。例えば、係止突起は、略弓形の板状乃至略三日月形の板状等、係止具の内周に沿って連続的に設けられるものとしてもよく、或いは、複数または多数の矩形状の小片板状体を係止具の内周に沿って一定間隔で配置した凹凸状等、係止具の内周に沿って非連続的(断続的)に設けられるものとしてもよい。また、係止具における係止突起の形成位置(形成範囲)は、係止具の内周において切欠部と対向する側(即ち、周方向中央部)を除く部位であって、かつ、前記切欠部側に偏った部位であればよい。例えば、係止具を略円環状(C形環状)とし、係止具の中心と前記切欠部の幅方向中央位置とを結ぶ仮想線を第1の仮想線とし、当該第1の仮想線と直交すると共に前記係止具の中心を通る仮想線を第2の仮想線としたとする。このとき、係止突起は、係止具の第2の仮想線から周方向中央部側に若干入った角度位置から切欠部直近位置まで延びる一定角度の円弧範囲に設けることができる。即ち、係止突起の長さ方向(円弧方向)一端を係止具の第2の仮想線から周方向中央部側に若干入った角度位置に配置し、他端を切欠部直近に配置することができる。或いは、係止突起は、係止具の第2の仮想線から周方向中央部側には配置することなく、第2の仮想線より切欠部側にのみ形成して、切欠部直近位置まで延びる一定角度の円弧範囲に設けることができる。即ち、係止突起の長さ方向(円弧方向)一端を係止具の内周面における第2の仮想線上または第2の仮想線から若干切欠部側に入った角度位置に配置し、他端を切欠部直近に配置することもできる。即ち、係止突起は、周方向中央部の両側の一定角度範囲を除き、切欠部側に偏って形成する限りにおいて、周方向中央部の両側の一定角度範囲外の位置から切欠部までの範囲にわたる任意の範囲に設けることができる。また、係止突起の形状(平面形状及び断面形状)も、係止具の小さな拡開量で波付管の外面と干渉しない限りにおいて、任意の形状とすることができる。ただし、係止突起は、係止具の内周面から内方に最も高く突出する部分(最大突出高さ部分)が、係止具の内周面における前記第2の仮想線から切欠部側に入った位置にくるよう、その平面形状を設定することが好ましい。こうすると、係止具を拡開したときにより大きな拡開割合(周方向中央部から切欠部へと向かう方向において、係止具の一定の拡開量に応じて係止突起間の距離が拡大する割合)を得ることができる切欠部側の位置に係止突起の最高突出部を配置することができ、波付管の挿通のために必要な係止具の拡開量をより小さくすることができる。
請求項2に係る波付管接続装置は、波付管が挿入されて接続される波付管用受口を備えている。前記受口は、受口本体部と係止具とを含む。受口本体部は、波付管の端部が挿入される開口端を有する筒状をなす。また、係止具は、前記受口本体部の前記開口端に対応する周回状をなし、当該受口本体部の開口端に着脱自在に取着されて前記波付管の端部の挿入を許容する。前記受口の係止具は、周方向の一部を切り欠いて切欠部を形成し、自身の弾性によるたわみ変形により当該切欠部の間隔を拡大・縮小して拡開・縮径自在とされる。また、係止具は、その内周面側に内方へ突出する係止突起を有し、前記波付管を挿入した状態で縮径することにより、前記係止突起を前記受口本体部の開口端側の内周面より内方へ突出させて前記波付管の外面の凹部に進入させる。一方、係止具は、前記波付管を挿入した状態で拡開することにより、前記係止突起を前記受口本体部の開口端側の内周面より外方へ退避させて前記波付管の外面の凹部から離脱させるよう構成されている。前記係止具の係止突起は、前記切欠部と対向する側を除く部位に形成されると共に、前記切欠部側に偏って形成されている。また、前記係止具の係止突起は、当該係止具を前記切欠部側の第1の半部と当該切欠部と反対側の第2の半部とに二分して区画したときに、前記第2の半部から第1の半部へと向かって徐々に突出高さを増大して突出し、前記第1の半部において最大突出高さとなるよう前記係止具の内周面に一体形成された係止突条からなる。なお、係止突条は、第1の半部の途中で最大突出高さとなってもよく、或いは、第1の半部の終端または終端近傍位置で最大突出高さとなってもよい。前記係止具は前記切欠部を有する断面略環状であり、前記係止突起が前記切欠部側に偏って形成される範囲は、前記係止具の中心と前記切欠部の幅方向中央位置とを結ぶ仮想線を第1の仮想線とし、当該第1の仮想線と直交すると共に前記係止具の中心を通る仮想線を第2の仮想線としたときに、前記係止具の内周面において前記第2の仮想線上若しくは前記第2の仮想線から若干前記切欠部側に入った角度位置から前記切欠部直近位置までの第1の範囲、または、前記係止具の内周面において、前記切欠部直近位置から前記第2の仮想線から前記切欠部と対向する側に約45度入った角度位置までの範囲、若しくは、前記切欠部の幅方向中央位置から約90度〜約135度の角度範囲の角度位置から前記切欠部直近位置までの範囲である第2の範囲である。
請求項3に係る波付管接続装置では、請求項2の構成において、前記係止具の係止突起が、前記第1の半部の途中で最大突出高さとなり、当該最大突出高さ部分から前記切欠部へと向かって徐々に突出高さを減少して突出するよう前記係止具の内周面に一体形成された係止突条からなる。
かかる係止突条の平面形状としては、例えば、略弓形の板形状乃至略三日月形の板形状とすることができる。或いは、係止突条は、これらの形状を長さ方向(円弧方向)に一定間隔で鋸刃状乃至凹凸状として断続させた形状の板形状とすることもできる。或いは、係止突条は、略三日月板形状乃至略弓形板形状の内周縁を鋸刃状またはジグザグ状とした鋸刃形状またはジグザグ形状の突条(連続的に突出高さを逓増、逓減する突条)とすることもできる。或いは、係止突条は、非連続的(断続的)に設けた複数または多数の突出片から構成し、これら一連の突出片の突出高さを徐々に増大して最大突出高さとし、その後徐々に減少する形状とすることができる。また、この場合の各突出片は、矩形板状、三角形板状等の形状とすることができる。更に、上記いずれの場合においても、係止突条は、その最大突出高さ部分が前記切欠部側に位置するよう係止具に形成することもできる。また、係止突条は、前記第1の半部側にのみ形成してもよい。なお、係止突条は、略三日月板形状乃至略弓形板形状とした場合、その長さ方向(円弧方向)に沿った中央部が最大突出高さ部となるよう形成することもできる。
請求項4に係る波付管接続装置では、請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記係止具の中心と前記切欠部の幅方向中央(幅方向中央位置)とを結ぶ仮想線を第1の仮想線とし、当該第1の仮想線と直交すると共に前記係止具の中心を通る仮想線を第2の仮想線としたときに、前記係止突起は、前記係止具の第2の仮想線から前記切欠部側にのみ形成されている。
なお、「切欠部の幅方向中央」とは、切欠部が近接して密接した状態でその割面が幅方向の中央となるような位置のことをいう。よって、切欠部が離間した状態では、「切欠部の幅方向中央」とは、切欠部が占める空間(係止具の周方向両端間の空間の)幅方向中央位置をいう。
請求項5に係る波付管接続装置では、請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記係止具の中心と前記切欠部の幅方向中央(幅方向中央位置)とを結ぶ仮想線を第1の仮想線とし、当該第1の仮想線と直交すると共に前記係止具の中心を通る仮想線を第2の仮想線としたときに、前記係止突起は、前記係止具の第1の仮想線を中心(中心軸)として線対称となるよう、前記係止具の切欠部の両側方にそれぞれ形成されている。
請求項6に係る波付管接続装置では、請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記係止具の中心と前記切欠部の幅方向中央(幅方向中央位置)とを結ぶ仮想線を第1の仮想線とし、当該第1の仮想線と直交すると共に前記係止具の中心を通る仮想線を第2の仮想線としたときに、前記係止突起は、前記係止具の第1の仮想線を中心(中心軸)として(切欠部に対して)一方の側にのみ形成されている。
請求項7に係る波付管接続装置では、請求項1乃至6のいずれかの構成において、前記係止具は、前記切欠部の両側に一対の取着部を形成し、当該一対の取着部に締結具からなる近接具を挿入して締結することにより、自身の弾性に抗して前記切欠部の間隔を縮小自在である。
なお、取着部は、係止具において切欠部に臨む両端(周方向両先端部)に一体形成したボス状の取着部とすることができる。また、近接具は、当該一対の取着部に挿通して両取着部を締結するボルト、ビス(ねじ釘)等の締結具から構成することができる。
また、係止具は、近接具による非締結状態(自由状態)としたときに自身の弾性により所定量の拡開状態(切欠部を所定量開いた状態)となり、近接具により締結するにつれて切欠部を閉じていき、最終的に切欠部をほぼ完全に閉じた(取着部を密接させた)状態となる。一方、係止具は、前記所定量の拡開状態(即ち、自由状態での拡開状態)でその内部に波付管を挿通できるよう、その自由状態時の内径を波付管の外径より若干大きく設定することもできる。或いは、係止具を前記自由状態での拡開状態から更に一定量拡開したときに波付管の挿通を許容するよう、その自由状態時の内径を波付管の外径より若干小さく設定することもできる。いずれにしても、係止具は、係止突起の内周縁を含む全体の内周縁が波付管の外面(山部の外周面)を隙間を置いて包囲するよう、当該波付管の山部の外周面の外径より大きな内径となって波付管の挿通・抜き取りを許容する拡径状態(切欠部を拡大開放した状態)から、前記拡径状態から縮径して係止突起が波付管の谷部の凹溝内に進入して波付管を長手方向に固定して移動不能とする縮径状態(切欠部を略密接して閉じた状態)へと、前記近接具により縮径自在である。
また、近接具は、ねじ部を有する締結具(ボルト・ナットまたはビス等)から構成することができるが、これに対応して、係止具の取着部は、近接具のねじ部を挿入または螺入する長孔状の挿入孔または螺入孔を有するよう構成することもできる。こうすると、狭い場所での作業でも、ドライバ等の工具によるねじの挿通・螺入時に長孔状の挿入孔のいずれかの位置にねじの先端を配置できれば、ねじの挿入・螺入作業が可能になるため、ねじの取付作業が容易になる。
請求項8に係る波付管接続装置では、請求項1乃至7のいずれかの構成において、前記係止具は、前記切欠部を開いた離間状態で、少なくとも前記切欠部と対向する周方向中央部の内周縁と当該切欠部との間の間隔が前記受口本体部の開口端の外径より所定量大きな間隔となって、前記受口本体部の開口端に取着したときに当該周方向中央部の内周縁と当該切欠部とを結ぶ方向に前記所定量移動自在となる。よって、前記係止具を偏移することにより、前記係止突起を前記受口本体部の内周面から内方へ突出しない非突出位置に配置自在である。また、係止具は、前記切欠部を閉じた略密接状態では、前記受口本体部の外周面との間の隙間を減少することにより、前記係止突起を前記受口本体部の内周面から内方へ突出する突出位置に配置する。
例えば、係止具は、切欠部を開いた離間状態で、少なくとも周方向中央部の内周縁と切欠部との間の間隔が受口本体部の開口端の外径より若干大きな間隔となって、受口本体部の開口端に取着したときに周方向中央部の内周縁と切欠部とを結ぶ方向に若干移動自在となるよう、その初期形状(近接具等により自身の弾性に抗して近接または離間されていない状態での形状)を設定する。なお、係止具は、切欠部を閉じた略密接状態で受口本体部の外周面との間の隙間を消失するようにすれば、係止具が受け口本体部に対して移動不能となるが、係止具は、その略密接状態で必ずしも受口本体部に対して移動不能となる必要はなく、若干またはある程度、上下左右に移動するよう構成してもよい。即ち、係止具は、切欠部を閉じた略密接状態で受口本体部の外周面との間の隙間を減少するよう構成すればよい。
請求項9に係る波付管接続装置では、請求項7の構成において、前記近接具は、頭部と、(前記頭部より小径となって)前記頭部から突出する首部と、当該首部より大径となって首部から同軸状に延びるねじ部とからなる首付ビスである。また、前記係止具の取着部の一方は、螺入孔及び挿通孔を同軸状に貫通形成し、かつ、前記螺入孔を外側に前記挿通孔を内側に配置してなる複合孔を有すると共に、当該複合孔の前記螺入孔を、前記近接具の首部(の直径)より大径で、かつ、前記ねじ部(の直径)より小径の孔とすると共に、前記挿通孔を前記近接具のねじ部(の直径)より大径の孔としている。更に、前記係止具の取着部の他方は、前記一方の取着部の複合孔と対向すると共に、前記近接具のねじ部(の直径)より小径の螺入孔を有している。そして、波付管接続装置は、前記首付ビスのねじ部を前記一方の取着部の螺入孔に螺入して当該ねじ部の基端部を完全に一方の取着部の挿通孔に配置すると共に、当該ねじ部の先端部を前記他方の取着部の螺入孔に螺入して、前記首付ビスのねじ部の前記他方の取着部の螺入孔への螺入量を調整することにより、前記係止具の弾性に抗して前記切欠部の間隔を増減調整して一定間隔に保持することで、前記係止具の拡開量を一定量に保持自在としている。
即ち、前記首付ビスのねじ部の基端のねじ山の開始位置で当該(開始位置の)ねじ山と前記首部との間に肩部が形成され、当該ねじ山(肩部)が一方の取着部の複合孔の螺入孔と挿通孔との間の肩部(段差部)に当接係止されて、ねじ部の戻りが阻止される。一方、ねじ部の先端が他方の取着部の螺入孔に螺入されているため、首付ビスを正回転(ねじの螺入方向へ回転、即ち、時計回り方向へ回転)すると、その回転量に応じて、他方の取着部の螺入孔におけるねじ部の先端部の螺入量が増大し、逆に、首付ビスを逆回転(ねじの螺退方向へ回転、即ち、反時計回り方向へ回転)すると、その回転量に応じて、他方の取着部の螺入孔におけるねじ部の先端部の螺入量が減少する。
請求項10に係る波付管接続装置は、請求項1乃至9のいずれかの構成において、前記受口を複数備えると共に、当該複数の受口に対応して前記係止具を備える。例えば、請求項9に係る波付管接続装置は、直管状の管体の両端部に受口を備えたり、L字状の管体の両端部に受口を備えたり、三又状の管体の三方の端部に受口を備えたりすることができる。
請求項11に係る波付管接続装置は、請求項1乃至9のいずれかの構成において、更に、前記受口と異なる構造の管(異種管)用の接続口を備える。例えば、請求項10に係る波付管接続装置は、直管状の管体の一方の端部に受口を備え、他方の端部に異種管としての断面円筒形(非波付)の電線管を接続する異種間接続口を備える構成とすることができる。なお、異種管用の接続口としては、波付管以外の管材用の接続口であれば任意の構成とすることができる。また、かかる異種管としては、電線管等の通常の非波付の円筒管、円形断面の発泡樹脂被覆管等があり、更に、異径管材を相互に連結するための異径アダプタ、薄鋼電線管等の異種管を接続するための異種管アダプタ、ブッシュ等、管材と同等の部材も、異種管として異種管用接続口に接続するよう構成することができる。
請求項12に係る波付管接続装置は、請求項1乃至9のいずれかの構成において、更に、前記受口を外方に突出形成すると共に、内部に配線器具や水栓継手を収容自在な収容空間を有する収容体を備える。収容体としては、例えば、コネクタを介して接続されるボックス類(アウトレットボックスやスイッチボックス等の配線ボックス、分岐ボックス等の各種ボックス類)等がある。
請求項1に係る波付管接続装置は、波付管を受口に連結するための係止具を従来よりも小さな拡開量としても、当該係止具の内周側に配置される係止突起に波付管の外面を干渉させることなく挿通することができ、係止具による波付管の係合力を高めながら当該係止具に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。
請求項2に係る波付管接続装置は、波付管を受口に連結するための係止具を従来よりも小さな拡開量としても、当該係止具の内周側に配置される係止突起に波付管の外面を干渉させることなく挿通することができ、係止具による波付管の係合力を高めながら当該係止具に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。また、請求項2に係る波付管接続装置は、この効果に加え、係止突起が係止具の内周面において、第2の半部から第1の半部へと向かって徐々に突出高さを増大して突出し、第1の半部の途中で最大突出高さとなるため、係止具の周方向中央部(切欠部と反対側の部分)から離れるにつれて係止突起の突出高さが徐々に増大することになる。したがって、係止具の周方向中央部(切欠部と反対側の部分)から離れるにつれて係止具の周方向両側部の離間距離(間隔)は増大することから、より少ない係止具の拡開量でも、係止突起の突出高さの大きい部分を波付管の外面からより大きく離間することができる。その結果、一層少ない係止具の拡開量で、係止具の内周側に配置される係止突起に波付管の外面を干渉させることなく挿通することができ、また、係止突起の突出高さをより大きくして、係止具による波付管の係合力を高めながら当該係止具に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。
請求項3に係る波付管接続装置は、請求項2の効果に加え、係止突起が係止具の内周面において、第1の半部の途中の最大突出高さ部分から切欠部に向かって徐々に突出高さを減少することになる。したがって、係止具の小さい拡開量で、切欠部直近の範囲においても係止突起を波付管の外面から確実に離脱することができる。
請求項4に係る波付管接続装置は、請求項1乃至3のいずれかの効果に加え、係止突起を係止具の第2の仮想線から切欠部側にのみ形成したことにより、波付管の外面との干渉を避けるためにはより大きな係止具の拡開量を必要とする係止具の周方向中央部側の半部(第2の仮想線より周方向中央部側部分)には係止突起が全く形成されないことになる。その結果、一層少ない係止具の拡開量で、係止具の内周側に配置される係止突起に波付管の外面を干渉させることなく挿通することができ、また、係止突起の突出高さをより大きくして、係止具による波付管の係合力を高めながら当該係止具に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。
請求項5に係る波付管接続装置は、請求項1乃至3のいずれかの効果に加え、係止突起を係止具の第1の仮想線を中心として線対称となるよう切欠部の両側方にそれぞれ形成したため、波付管の谷部を対称的に同等の係止力で係止する。したがって、係止具の係止突起による波付管の係止をより円滑かつ確実に行うことができる。
請求項6に係る波付管接続装置は、請求項1乃至3のいずれかの効果に加え、係止突起を係止具の第1の仮想線を中心として一方の側にのみ形成したため、更に一層少ない係止具の拡開量で、係止具の内周側に配置される係止突起に波付管の外面を干渉させることなく挿通することができる。また、係止突起の突出量を全体的に大きくすることにより、波付管に対する係止力を増大することができる一方、係止突起の突出量を全体的に大きくしても、係止突起が係止具の切欠部の一方側にのみ形成されているため、波付管の挿通時に係止具の拡開量を大きくする必要がない。
請求項7に係る波付管接続装置は、請求項1乃至6のいずれかの効果に加え、近接具により係止具の切欠部の間隔を縮小・消失して、係止具を縮径することができる。一方、近接具による締結を解除する等により、切欠部の間隔を拡大して係止具を拡開すると、係止具は、切欠部と対向する基端部(周方向中央部)から切欠部側(周方向先端部)へと向かうにつれ、その拡開量乃至離間量が相対的に大きくなる。即ち、係止具の係止突起は、係止具の拡開に伴い基端側から先端側に向かってより大きな度合いで離間することになり、係止突起のうち、切欠部側と反対側の端部から前記最大突出高さ部分へと向かってより大きな度合いで波付管の外面の凹部から離間する。したがって、係止具の少ない拡開量で係止突起を波付管の外面と干渉しない位置に移動させて配置することができる。
請求項8に係る波付管接続装置は、請求項1乃至7のいずれかの効果に加え、係止具を、例えば、周方向中央部と切欠部とを結ぶ方向等に偏移することにより、周方向中央部と受口本体部の外周面との間に所定量の隙間を形成する。これにより、係止突起が受口本体部の内周面から内方へ突出しない非突出位置に配置され、この状態で、波付管の外周面と干渉することがなく、波付管の挿入を容易にする。係止具は、切欠部を閉じた略密接状態では、周方向中央部の内周縁と切欠部との間の間隔が受口本体部の開口端の外径と略同一となり、周方向中央部と受口本体部の外周面との間等の隙間を減少することにより、係止突起を受口本体部の内周面から内方へ突出する突出位置に配置する。
請求項9に係る波付管接続装置は、請求項7の効果に加え、係止具において、他方の取着部の螺入孔に対する首付ビスのねじ部の螺入量を増減調整することで、係止具の切欠部の間隔を任意の間隔に増減調整して一定間隔に保持することができ、その結果、係止具の拡開量を当該切欠部の一定間隔に応じた一定拡開量として、係止具を任意の拡開状態に保持自在となる。
請求項10に係る波付管接続装置は、請求項1乃至9のいずれかの効果に加え、上記効果を発揮する受口を使用して複数の波付管の接続を円滑かつ確実に行うことができる。
請求項11に係る波付管接続装置は、請求項1乃至9のいずれかの効果に加え、上記効果を発揮する受口を使用して波付管と異種間との接続を円滑かつ確実に行うことができる。
請求項12に係る波付管接続装置は、請求項1乃至9のいずれかの効果に加え、上記効果を発揮する受口を使用して波付管とボックス等の収容体内に配置した配線器具等との接続を円滑かつ確実に行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の受口から係止具を取外した状態を示す要部分解斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の受口に係止具を取着した状態を示す要部斜視図である。図3は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の受口に対して波付管を取付ける前の状態を示す側面図である。なお、図3では、受口本体部、係止具及び波付管は、それぞれ、上半部を断面にて示す。図4は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置において図3に示す状態から受口の受口本体部に係止具を取着した状態を示す側面図である。なお、図4でも、受口本体部、係止具及び波付管は、それぞれ、上半部を断面にて示す。
図1〜図4に示すように、実施の形態1に係る波付管接続装置は、内部に配線類やケーブル類を挿通して収容する可撓電線管等の波付管40を相互に接続したり、波付管40を異種管等の他の管材に接続したりするものである。詳細には、波付管接続装置は、波付管40が挿入される受口管10と、受口管に着脱自在に取着される係止具20と、係止具20を締結する近接具としてのビス(ねじ釘)30とを備えている。波付管40は、山部41と谷部42とを軸方向(長さ方向)に交互に配置した凹凸の外面形状を有している。一方、受口管10は、所定直径の円筒状をなす第1の受口本体部11と、第1の受口本体部11より若干小径の第2の受口本体部12とを段差部13を介して同軸状に連結して一体形成した段付円筒状をなす。なお、受口管10の段差部の内周面側は、内方に突出する円環リブ状乃至円環突条となり、内部に挿入した波付管40の先端を当接規制して位置決めするとともに、更なる進入を阻止するようになっている。このように、受口管10は、所定直径の波付管40と当該波付管40より若干小径の波付管とを互いに連結したり、或いは、波付管40と当該波付管40より若干小径の異種管とを互いに連結したりするようになっている。また、第1の受口本体部11の先端である開口端11aは、対応する直径の円形断面をなし、その外周にはフランジ11bが一体形成されている。第1の受口本体部11のフランジ11bは、図3に示すように、開口端11aから外方に直交して突出するリング状をなす。一方、第2の受口本体部12の先端である開口端12aは、対応する直径の円形断面をなし、その外周にはフランジ12bが一体形成されている。第2の受口本体部12のフランジ12bも、開口端12aから外方に直交して突出するリング状をなす。なお、フランジ12a,12bは、係止具20を取着自在な限りにおいて、受口本体部11,12の開口端11a,12aの全周にわたって設けてもよく、部分的に設けてもよい。
このように、実施の形態1に係る波付管接続装置では、第1の受口本体部11及び第2の受口本体部12を一体化した段付直管状の受口管10を使用している。よって、実施の形態1では、第1の受口本体部11と、当該第1の受口本体部11の開口端11aに着脱自在に取着される係止具20と、当該係止具20を締結する近接具としてのビス(ねじ釘)30とにより、第1の受口が構成され、第2の受口本体部12と、当該第2の受口本体部12の開口端12aに着脱自在に取着される係止具(図示略)と、当該係止具(図示略)を締結する近接具としてのビス30とにより、第2の受口が構成されている。即ち、実施の形態1に係る波付管接続装置は、受口を複数(一対)備えると共に、当該受口に対応して係止具20を備えている。なお、図3〜図4では、第1の受口本体部11の開口端11aのフランジ11bに、対応する直径の係止具20を着脱自在に取着するよう図示しているが、第2の受口本体部12の開口端12aのフランジ12bにも、対応する直径の係止具を着脱自在に取着することができる。この場合の係止具は、第2の受口本体部12の開口端12aの直径に対応して係止具20より若干小径となる点を除き、同様の構成とすることができる。無論、第1の受口本体部11または第2の受口本体部12の一方にのみ係止具20を取着し、他方には従来構成の係止具を取着することも可能である。
図5は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の係止具を示す背面図である。なお、図5の(a)は係止具の背面全体を示し、(b)は係止具の背面の要部を拡大して示す。図6は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の係止具の正面図である。なお、図6は係止具の下半部を断面にて示す。また、図6の(a)は係止具の正面全体を示し、(b)は係止具の正面の要部を拡大して示す。図7は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の係止具を第1の取着部側から見て示す側面図である。なお、図7の(a)は係止具の全体を示し、(b)は第1の取着部を拡大して示し、(c)は第1の取着部の別例を拡大して示す。図8は図6のA−A線断面図である。図9は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の係止具を第2の取着部側から見て示す側面図である。なお、図9は係止具の上半部を断面にて示す。また、図9の(a)は係止具の側面全体を示し、(b)はその拡大図を示す。
図5〜図9に示すように、係止具20は、第1の受口本体部11の開口端11aに対応する周回状をなすと共に、周方向の一部を切り欠いて切欠部21を形成している。係止具20は、第1の受口本体部11の開口端11aに着脱自在に取着されて波付管40の端部の挿入を許容するものである。係止具20は、切欠部21により、自身の弾性によるたわみ変形により切欠部の間隔を拡大・縮小して拡開・縮径自在とされている。より詳細には、係止具20は、円形断面をなす第1の受口本体部11の開口端11aの外周形状に対応して、切欠部21を周方向一部に有する略円環状、即ち、C形環状をなしている。係止具20は、切欠部21を介して必要量が拡開できるよう、所定弾性を有する合成樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂等)等の材料により全体をC形環状に一体成形されている。具体的には、係止具20は、所定直径のC形短筒状をなす受口側取付部22と、受口側取付部22より若干小径のC形短筒状をなす波付管係止部23を同軸状に配置し、それらをC形板状の連結部24により一体的に連結した形状をなしている。受口側取付部22は、周方向中央部の内周面に所定円弧長(所定角度範囲)の円弧状をなす係止爪22aを内方に突出するよう一体形成している。また、受口側取付部22は、切欠部21の両側の内周面に前記係止爪22aの半分程度の円弧長(角度範囲)の円弧状をなす係止爪22bを内方に突出するようそれぞれ一体形成している。係止爪22a及び係止爪22bは、上記特許文献1に開示の連結体の取付部と同様の構成とすることができる。この場合、係止爪22a及び係止爪22bの傾斜面を受口本体部11の開口端11aに押圧することにより、切欠部21を介して係止具20が自身の弾性に抗して拡開し、係止爪22a及び係止爪22bの垂直面が第1の受口本体部11のフランジ11bの内側面に係止して、係止具20が第1の受口本体部11に取着される。しかし、無論、これ以外にも、受口側取付部22を第1の受口本体部11の開口端11aに着脱自在に取着できる限りにおいて、係止具20の係止爪は任意の構成とすることができる。
また、係止具20は、図3〜図5に示すように、波付管係止部23の内周面に一対の係止突起としての係止突条23a,23bを一体形成している。具体的には、一対の係止突条23a,23bは、係止具20において切欠部21と対向する側(周方向中央部)を除く部位に形成されると共に、切欠部21側に偏って形成されている。即ち、係止突起23a,23bは、係止具20の内周面において切欠部21の両側に内方に突出するよう形成され、切欠部21から周方向中央部側へと所定円弧長(所定角度範囲)で延設されている。そして、係止具20は、波付管40を挿入した状態で縮径することにより、係止突条23a,23bを受口本体部11の開口端11a側の内周面より内方へ突出させて波付管40の外面の凹部としての谷部42に進入させるようになっている。一方、係止具20は、波付管40を挿入した状態で拡開することにより、係止突条23a,23bを受口本体部11の開口端11a側の内周面より外方へ退避させて波付管40の外面の谷部42から離脱させるようになっている。
係止突条23a,23bは、略三日月形乃至略弓形の板状をなし、係止具20の内周に沿って連続的に設けられる。詳細には、略円環状(C形環状)の係止具20の中心と切欠部21の幅方向中央位置とを結ぶ仮想線を第1の仮想線L1(図5及び図6中の一点鎖線で示す垂直線)とし、当該第1の仮想線L1と直交すると共に係止具20の中心を通る仮想線を第2の仮想線L2(図5及び図6中の一点鎖線で示す水平線)としたとする。このとき、係止突条23a,23bは、係止具20の第2の仮想線L2から周方向中央部側に所定角度入った角度位置から、切欠部21の直近位置まで延びる一定角度範囲の円弧範囲に設けることができる。例えば、係止突条23a,23bは、係止具20の第2の仮想線L2から周方向中央部側に約45度入った角度位置から、切欠部21の直近位置まで延びる角度範囲(切欠部21の中央から約135度の角度範囲)の円弧範囲に設けることができる。したがって、係止突条23a,23bの始端である長さ方向(円弧方向)一端は、係止具20の第2の仮想線L2から周方向中央部側に所定角度入った角度位置に位置し、周方向中央部から当該角度位置までの範囲には、係止突条23a,23b等の突出部は一切設けられていない。また、係止突条23a,23bの終端となる長さ方向他端は、切欠部21の直近に位置している。このとき、係止突条23a,23bは、前記長さ方向一端を始端として徐々に突出高さを増大して切欠部21へと延設され、前記第2の仮想線L2を所定角度(例えば、約30度)超えた位置で最大突出高さLHとなり、その後徐々に突出高さを減少して前記長さ方向他端を終端としている。即ち、係止突条23a,23bは、係止具20の内周面から内方に最も高く突出する部分(最大突出高さLH部分)が、係止具20の内周面における前記第2の仮想線L2から切欠部21側に入った角度位置(例えば、切欠部21の中央から約60度の角度位置)にくるよう、その略三日月形乃至弓形の平面形状を設定している。また、係止突条23a,23bは、係止具20の第1の仮想線L1を中心(中心軸)として線対称となるよう、切欠部21の両側方にそれぞれ形成されている。なお、係止突条23a,23bの断面形状は、その内周縁(断面における先端)に向かって先細となるテーパー形状とされている。
或いは、実施の形態1の係止具20は以下のように把握することもできる。即ち、係止具20を切欠部21側の第1の半部(図6中の一点鎖線による水平線より下側の下半部)と当該切欠部21と反対側の第2の半部(図6中の一点鎖線による水平線より上側の上半部)とに二分して区画したとする。このとき、係止突条23a,23bは、第2の半部の途中の角度位置(例えば、切欠部から約135度の角度位置)から第1の半部へと向かって徐々に突出高さを増大して突出し、第1の半部の途中の所定角度位置(例えば、切欠部21から約60度の角度位置)で最大突出高さLHとなり、当該最大突出高さLH部分から切欠部21へと向かって徐々に突出高さを減少して突出するよう、係止具20の内周面に一体形成されている。即ち、係止突条23a,23bは、その最大突出高さLH部分が、係止具20の切欠部21側(下半部側)に位置するよう係止具20の内周面に形成されている。ここで、係止突条23a,23bは、その最大突出高さLH部分は、図6では、その長さ方向(円弧方向)中央部より若干切欠部21側に偏った位置(切欠部21の中央から約60度の角度位置)に形成されている。しかし、係止突条23a,23bは、その平面形状を略三日月板形状乃至略弓形板形状とした場合、長さ方向中央部が最大突出高さLH部分となるよう形成することもできる。例えば、係止突条23a,23bが切欠部21の中央から約135度の角度範囲に設けられる場合、最大突出高さLH部分は、その2分の1の角度である切欠部21の中央から約67〜68度の角度位置に配置することもできる。
更に、係止具20は、切欠部21の両側に一対の取着部25,26を一体成形により形成している。即ち、係止具20において切欠部21に臨む両端(周方向両先端部)には、それぞれ、ボス状乃至略円筒状の取着部25,26が一体形成されている。そして、係止具20は、当該一対の取着部25,26に締結具からなる近接具としての前記ビス(ねじ釘)30を挿入して、当該一対の取着部25,26を互いに締結することにより、自身の弾性に抗して切欠部21の間隔を縮小して、取着部25,26を互いに密接したときに最小径に縮径できるようになっている。詳細には、ビス30は、頭部31と、頭部31から同軸状に延びるねじ部32とからなる。また、一方(図1中の上側及び図6中の右側)の取着部25は、他方(図1中の下側及び図6中の左側)の取着部26よりも短い長さ(軸長)を有すると共に、図7に示すように、断面を短い長円状とした略長孔状の螺入孔25aをその軸方向に貫通形成している。なお、取着部25の螺入孔25aの短径(図7中の左右方向の寸法)は、前記ビス30のねじ部32の直径より若干小径(小さい寸法)とされ、ビス30のねじ部32を(挿通ではなく)螺入するようになっている。一方、取着部25の螺入孔25aの長径(図7中の上下方向の寸法)は、ねじ部32の直径より若干大径(大きい寸法)とされ、螺入孔25aにビス30のねじ部32の先端を螺入するときに、螺入孔25aの長径方向に若干位置調整してねじ部32を螺入できるようになっている。ここで、図7の下側の右側に示す別例のように、第1の取着部25の螺入孔25aは、その長径をより大きな寸法としてもよい。第1の取着部25の螺入孔25aを長孔状とするのは、係止具20を狭い作業場所等に配置してビス30により締結する場合において、ドライバ等の工具によるビス30の挿通・螺入作業を一層容易にするためである。即ち、狭い場所での作業でも、ドライバ等の工具によるビス30のねじ部32の挿通・螺入時に、第1の取着部25の長孔状の螺入孔25aの長径方向のいずれかの位置にねじ部32の先端を配置できれば、ねじ部32の挿入・螺入作業が可能になるため、ビス30の取付作業が容易になる。なお、他方の取着部26は、断面を円形とした螺入孔26aをその軸方向に貫通形成している。取着部26の螺入孔26aの直径は、ビス30のねじ部32の直径より若干小さい寸法とされ、ビス30のねじ部32を(挿通ではなく)螺入するようになっている。
係止具20は、ビス30による非締結状態(自由状態)としたときに、図1〜図6に示すように、自身の弾性により切欠部21を所定量開いた離間状態とし、ビス30により締結するにつれて切欠部21を閉じていき、最終的に切欠部21をほぼ完全に閉じた(両取着部25,26を互いに密接させた)状態となる。ここで、係止具20は、自由状態で、係止突条23a,23bの内周縁を除く内周縁により形成される略円形状の空間の外延が、挿通・係止対象の波付管40の外面の外延(山部41の外周縁)上に、または、若干外方に位置するよう、即ち、係止具20の内径が波付管40の外径と略同一または若干大径となるよう、その初期形状(自由状態での形状)が設定されている。或いは、係止具20は、自由状態で、係止突条23a,23bの内周縁を含む全体の内周縁により形成される略円形状の空間の外延が、挿通・係止対象の波付管40の外面の外延(山部41の外周縁)上に、または、若干外方に位置するよう、即ち、係止具20の係止突条23a,23bを含む全体の内径が波付管40の外径と略同一または若干大径となるよう、その初期形状(自由状態での形状)を設定することもできる。
更に、係止具20は、切欠部21の前記離間状態で、少なくとも切欠部21と対向する周方向中央部の内周縁と当該切欠部21との間の間隔が、第1の受口本体部11の開口端11a外周のフランジ11bの外径より所定量大きな間隔となるよう、その初期形状を設定することが好ましい。こうすると、係止具20の受口側取付部22を係止爪22a,22bを介して受口本体部11の開口端11aのフランジ11bに取着したときに、係止具20が周方向中央部の内周縁と切欠部21とを結ぶ方向(前記第1の仮想線L1に沿った方向)に前記所定量移動自在となり、係止具20を同方向に偏移して位置調整することにより、係止突条23a,23bを受口本体部11の開口11aの内周面から内方へ突出しない非突出位置に配置自在となる。即ち、この場合、係止具20の切欠部21を離間状態とした自由状態では、係止具20の受口側取付部22の内周面における周方向中央部の内周縁と切欠部21の内周縁との間の間隔(図5及び図6中の上下間隔)は、受口本体部11のフランジ11bの外周縁の直径(外径)より前記所定量大きくなる。これにより、波付管40の挿通時に係止具20を周方向中央部と切欠部21とを結ぶ方向に移動して位置調整自在である。そして、係止具20を切欠部21側に偏移すると、切欠部21側に偏って設けた係止突条23a,23bが受口本体部11の開口11aの内周面の外方(即ち、波付管40の外面と干渉しない位置)に移動することになる。なお、当該自由状態で、係止具20の一対の係止爪22a,22bの内周縁間の間隔も、上記のような係止具20の位置調整を妨げないよう、受口本体部11の外周面の直径(外径)より所定量大きくなる。また、係止具20は、切欠部21を閉じた略密接状態では、受口側取付部22の内周面と受口本体部11のフランジ11bの外周縁との間の隙間をほぼ消失することにより、係止突条23a,23bを受口本体部11の開口11aの内周面から内方へ突出する突出位置に配置するようになっている。即ち、係止具20の切欠部21を閉じた状態では、係止具20の受口側取付部22における周方向中央部の内周縁と切欠部21の内周縁との間の間隔は、受口本体部11のフランジ11bの外周縁の直径とほぼ同一となり、波付管40の挿通後において係止具20を周方向中央部と切欠部21とを結ぶ方向に移動不能となる。
次に、上記のように構成した実施の形態1に係る波付管接続装置の使用方法並びに作用及び効果について、図10〜図13を参照して説明する。図10は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置において図4に示す受口本体部への係止具の取着状態から受口本体部に波付管の一端部を挿入して係止具により固定した状態を示す側面図である。なお、図10の(a)は受口本体部、係止具及び波付管の上半部を断面にて示す。また、図10の(b)は係止具の係止爪による受口本体の係止部位を拡大して示す。図11は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置において図4に示す受口本体部への係止具の取着状態から受口本体部に波付管の一端部を挿入して係止具により固定した状態を示す上面図である。なお、図11の(a)は受口本体部、係止具及び波付管の右半部(図11では上半部として図示)を断面にて示す。また、図11の(b)は係止具の係止突起による波付管の係止部位を拡大して示す。図12は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置の係止具に波付管を挿通する前後の係止具の拡開・縮径状態を示す正面図であり、(a)はその拡開状態を、(b)はその縮径状態を示す。
実施の形態1に係る波付管接続装置を使用して波付管を接続乃至連結するには、まず、図3に示すように、受口本体部11に係止具20を対向配置する。次に、受口本体部11のフランジ11bに係止具20の係止爪22a及び掛止爪22bを順次または同時に押し付ける。すると、係止具20の切欠部21が係止爪22a,22bからの力により原位置から離間し、係止具20がその弾性に抗して自由状態から若干拡開する。そして、係止具20の係止爪22a,22bが受口本体部11のフランジ11bを越えてその奥側に位置したときに、図4に示すように、当該係止爪22a,22bがフランジ11bを掛止する。図4では、係止爪22aが受口本体部11の上側を、係止爪22bが受口本体部11の下側を掛止するよう図示している。このとき、同時に、係止具20が弾性により形状復帰して、切欠部21の間隔を原位置の離間状態に復帰する。これにより、係止具20の受口側取付部22を受口本体部11の開口11aの外周に取付けることができる。
次に、図10に示すように、波付管40の先端部を係止具20の波付管係止部23側から内部に挿通し、受口本体部11の内部に挿入する。このとき、図12(a)に示すように、係止具20を、その弾性に抗して、手等により切欠部21を離間する方向に若干引っ張って拡開し、この拡開状態を維持して、波付管40の先端部を係止具20に挿通する。このとき、係止具20の係止突条23a,23bを含む全体の内周縁が、波付管40の外面より外方に位置するため、係止具20の係止突条23a,23bが波付管40の山部41と干渉することはなく、波付管40を係止具20に円滑に挿通することができる。このときの係止具20の左右両側部の内周面間の距離はD1となる。なお、波付管40は、通常、その先端が受口本体部11の段差部13に当接する程度まで挿入する。なお、このとき、上記のように、受口側取付部22の内周面における周方向中央部と切欠部21との間の間隔を受口本体部10のフランジ11bの外径より前記所定量大きくしている場合係止具20は、周方向中央部と切欠部21とを結ぶ方向(図4中の上下方向)に若干移動自在となる。したがって、この場合、係止具20を切欠部21の位置する方向(図4中の下方)に偏移することで、切欠部21側に偏って形成した係止突条23a,23bを更に図4中の下方に移動して、係止突条23a,23bの内周縁が受口本体部11の内周面から内方に位置せず外方に配置されるように位置調整することができる。その結果、係止具20を受口本体部11に取付けた状態で波付管40を係止具20に挿通する際に、波付管40の外面が係止具20の係止突条23a,23bと干渉することなく、波付管40を係止具20から受口本体部11の内部に円滑に挿入することができる。
次に、波付管40の先端部を係止具20に挿通して受口本体部11の内部に完全に挿入したら、係止具20から手等を離して解放する。すると、係止具20が、自身の弾性により、切欠部21を原位置の離間状態に復帰して自由状態へと形状を復元する。このとき、係止具20の切欠部21の離間間隔(即ち、係止具20の自由状態での内周面の内径及び係止突条23a,23bの突出量)を適宜設定することにより、係止具20の両係止突条23a,23bの一部が波付管40の谷部42内に進入して一部係止状態となるようにすることもできる。次に、係止具20の一方の取着部25の螺入孔25aから他方の取着部26の螺入孔へとビス30のねじ部32を螺入し締付けていく。すると、係止具20が自身の弾性に抗して縮径し、切欠部21の間隔を縮めていき、最終的に、図12(b)に示すように、取着部25及び取着部26を互いに密接して切欠部21の間隔を消失する。このときの係止具20の左右両側部の内周面間の距離はD2となる。すると、係止具20の両係止突条23a,23bの全体が波付管40の谷部42内に完全に進入して完全な係止状態となる。なお、説明の便宜上、図12ではビス30の図示は省略している。
上記波付管40の挿通時における係止具20の拡開量(即ち、波付管40の挿通に必要な係止具20の両側部内周面間の距離D1)について図13を参照して考察する。図13は本発明の実施の形態1に係る波付管接続装置における係止突条の形成範囲を従来例と比較して概略的に示す説明図である。まず、実施の形態1の波付管接続装置では、図13に示すように、係止具20は、係止突条23a,23bの始端を切欠部21の中央から所定角度θの位置に配置している。これは、図13中に二点鎖線で示す従来例の場合(係止具の周方向中央部付近の位置)より、切欠部21側に偏った位置となる。また、係止突条23a,23bの最大突出高さ位置LH部分は、係止具20の切欠部21の中央から第2の仮想線L2の手前側となる所定角度θLHの位置に配置されている。これは、図13中に二点鎖線で示す従来例の場合(第2の仮想線L2上の位置)より、やはり切欠部21側に偏った位置となる。ここで、切欠部21の間隔を拡大して係止具20を拡開すると、係止具20は、切欠部21と対向する基端部(周方向中央部)から切欠部21側(周方向先端部)へと向かうにつれ、その拡開量乃至離間量が相対的に大きくなる。即ち、係止具20の係止突条23a,23bは、係止具20の拡開に伴い周方向中央部側の基端(始端)側から切欠部21側の先端(終端)側に向かってより大きな度合いで離間することになる。特に、係止具20は、係止突条23a,23bのうち、切欠部21側の終端側と反対側の始端部分から前記最大突出高さ部分へと向かってより大きな度合いで波付管40の外面から離間することになる。したがって、波付管40を挿通するときに必要な係止具20の拡開量は、従来例の場合よりも相当小さくてすみ、係止具20の少ない拡開量で係止突条23a,23bを波付管40の外面と干渉しない位置に容易に移動させて配置することができる。その結果、波付管40の挿通時に係止具20を過度に拡開する必要がなく、係止具20への負担・負荷を大幅に低減することができる。また、従来例より少ない拡開量で波付管40の挿通が可能となるため、係止具20を従来例と同等の拡開量まで拡開する場合、係止具20の係止突条23a,23bの突出量を全体的に増大することができ、波付管40に対する係止力乃至係合力を大幅に向上することができる。なお、上記のような利点は係止具20を拡開して波付管40を係止突条23a,23bから取外す場合も同様に得ることができる。
また、実施の形態1によれば、係止具20を拡開したときにより大きな拡開割合(周方向中央部から切欠部21へと向かう方向において、係止具20の一定の拡開量に応じて係止突条23a,23b間の距離が拡大する割合)を得ることができる切欠部21側の位置に係止突条23a,23bの最大突出高さLH部分を配置することができ、波付管40の挿通のために必要な係止具20の拡開量をより小さくすることができる。更に、実施の形態1では、係止突条23a,23bが係止具20の内周面において、第2の半部から第1の半部へと向かって徐々に突出高さを増大して突出し、第1の半部の途中で最大突出高さLHとなるため、係止具20の周方向中央部から離れるにつれて係止突条23a,23bの突出高さが徐々に増大することになる。したがって、係止具20の周方向中央部から離れるにつれて係止具20の周方向両側部の離間距離(間隔)は増大することから、より少ない係止具20の拡開量でも、係止突条23a,23bの突出高さの大きい部分を波付管40の外面からより大きく離間することができる。その結果、一層少ない係止具20の拡開量で、係止具20の内周側に配置される係止突条23a,23bに波付管40の外面を干渉させることなく挿通することができ、また、係止突条23a,23bの突出高さをより大きくして、係止具20による波付管40の係止力・係合力を高めながら当該係止具20に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。加えて、係止突条23a,23bを係止具20の第1の仮想線L1を中心として線対称となるよう切欠部21の両側方にそれぞれ形成したため、波付管40の谷部42を対称的に同等の係止力で係止することができる。したがって、係止具20の係止突条23a,23bによる波付管40の係止をより円滑かつ確実に行うことができる。上記のようにして、実施の形態1に係る波付管接続装置は、波付管40を受口10に連結するための係止具20を従来よりも小さな拡開量としても、当該係止具20の内周側に配置される係止突条23a,23bに波付管40の外面を干渉させることなく挿通することができ、係止具20による波付管40の係合力を高めながら当該係止具20に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。
実施の形態2
図14は本発明の実施の形態2に係る波付管接続装置の係止具を概略的に示す説明図である。
図14に示すように、実施の形態2に係る波付管接続装置では、係止具120は、実施の形態1と同様、波付管係止部(図示略)の内周面に、係止突起としての一対の係止突条123a,123bを一体形成している。一方、実施の形態2では、係止突条123a,123bは、係止具120の第2の仮想線L2から切欠部21側にのみ形成されている。即ち、係止突条123a,123bの始端は、実施の形態1の係止突条23a,23bよりも更に切欠部21側となる第2の仮想線L2上に配置される一方、係止突条123a,123bの終端は、実施の形態1の係止突条23a,23bと同様、切欠部21直近位置(係止具20の周方向両先端位置)まで延びている。また、係止突条123a,123bの最大突出高さLH部分は、実施の形態1と同様の角度位置(例えば、切欠部21中央から約60度の角度位置)に配置されている。なお、係止突条123a,123bの平面形状は、実施の形態1の係止突条23a,23bの三日月形板形状の先端部(第2の仮想線L2より始端側の部分)を切除したような略三日月形板形状乃至略弓形板形状とされている。
実施の形態2に係る波付管接続装置は、係止突条123a,123bを係止具120の第2の仮想線L2から切欠部21側にのみ形成したことにより、波付管40の外面との干渉を避けるためにはより大きな係止具120の拡開量を必要とする係止具120の周方向中央部側の半部(第2の仮想線L2より周方向中央部側部分)には係止突条123a,123bが全く形成されないことになる。その結果、一層少ない係止具120の拡開量で、係止具120の内周側に配置される係止突条123a,123bに波付管40の外面を干渉させることなく挿通することができる。また、係止突条123a,123bの突出高さをより大きくして、係止具120による波付管40の係合力を高めながら当該係止具120に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。
実施の形態3
図15は本発明の実施の形態3に係る波付管接続装置の係止具を概略的に示す説明図である。
図15に示すように、実施の形態3に係る波付管接続装置では、係止具220は、実施の形態2と同様、波付管係止部(図示略)の内周面に、係止突起としての一対の係止突条223a,223bを一体形成している。一方、実施の形態3では、係止突条223a,223bは、多数の矩形状の小片板状体を係止具の内周に沿って一定間隔で配置した凹凸状とされる。即ち、実施の形態3では、これら多数の小片板状体を係止具220の内周に沿って非連続的(断続的)に設けることで、係止突条223a,223bを構成している。なお、係止突条223a,223bは、その始端となる小片板状体が係止具220の第2の仮想線L2に若干かかる位置に配置され、同位置からその他の小片板状体が切欠部21まで延びるよう、ほぼ第2の仮想線L2から切欠部21側にのみ形成されている。即ち、係止突条223a,223bの始端は、実施の形態2の係止突条123a,123bとほぼ同様の位置である第2の仮想線L2上(正確には第2の仮想線L2を若干超えた位置)に配置される一方、係止突条223a,223bの終端は、実施の形態1の係止突条23a,23bと同様、切欠部21直近位置(係止具20の周方向両先端位置)まで延びている。更に、係止突条223a,223bの最大突出高さLH部分(即ち、最大突出高さの小片板状体を配置する角度位置)は、実施の形態1と同様の角度位置(例えば、切欠部21中央から約60度の角度位置)とすることができる。或いは、始端位置の小片板状体を最大突出高さとして、切欠部21に向かうにつれて小片板状体の突出高さを徐々に減少することもできる。このように、係止突条223a,223bの平面形状は、実施の形態2の係止突条123a,123bの形状を所定間隔で凹凸状に断続させたような形状とされている。
実施の形態3に係る波付管接続装置は、基本的に、係止突条223a,223bを係止具220の第2の仮想線L2から切欠部21側にのみ形成したことにより、実施の形態2と同様、一層少ない係止具220の拡開量で、係止具220の内周側に配置される係止突条223a,223bに波付管40の外面を干渉させることなく挿通することができる。また、係止突条223a,223bの突出高さをより大きくして、係止具220による波付管40の係合力を高めながら当該係止具220に大きな負担がかかるのを確実に防止することができる。
実施の形態4
図16は本発明の実施の形態6に係る波付管接続装置の係止具及び首付ビスを示す正面図である。なお、図16は係止具の下半部を断面にて示す。また、図16の(a)は係止具の正面全体を首付ビスと共に示し、(b)は係止具の正面の要部を首付ビスと共に拡大して示す。
図16に示すように、実施の形態4に係る波付管接続装置は、近接具として首付ビス330を使用している。詳細には、首付ビス330は、頭部331と、頭部331より小径となって頭部331から突出する円柱状の首部332と、当該首部332よりねじ山の分だけ大径となって首部332から同軸状に延びるねじ部333とからなる。また、係止具320の一方の取着部325は、螺入孔325a及び挿通孔325bを同軸状に貫通形成し、かつ、螺入孔325aを外側に、挿通孔325bを内側に配置してなる複合孔を有している。また、係止具320は、当該複合孔の螺入孔325aを、首付ビス330の首部332の直径より大径で、かつ、ねじ部333の直径よりねじ山の分だけ小径の断面円形の貫通孔としている。更に、係止具320は、挿通孔325bを首付ビス330のねじ部333の直径より大径の断面円形の貫通孔としている。一方、係止具330の他方の取着部26は、実施の形態1の取着部26と同様の構成であり、前記一方の取着部325の複合孔と対向すると共に、首付ビス330のねじ部333の直径より小径の螺入孔26を有している。
実施の形態4の波付管接続装置は、首付ビス330のねじ部333を一方の取着部325の螺入孔325aに螺入して当該ねじ部333の基端部を完全に一方の取着部325の挿通孔325bに配置すると共に、当該ねじ部333の先端部を他方の取着部26の螺入孔26aに螺入して、首付ビス330のねじ部333の他方の取着部26の螺入孔26aへの螺入量を調整することにより、係止具320の弾性に抗して切欠部21の間隔を増減調整して一定間隔に保持することで、係止具320の拡開量を一定量に保持自在としている。即ち、実施の形態4では、首付ビス330のねじ部333の基端のねじ山の開始位置で当該開始位置のねじ山と首部332との間に肩部が形成され、当該ねじ山(肩部)が一方の取着部325の複合孔の螺入孔325aと挿通孔325bとの間の肩部(段差部)に当接係止されて、ねじ部333の戻りが阻止される。一方、ねじ部333の先端が他方の取着部26の螺入孔26aに螺入されているため、首付ビス330を正回転(ねじの螺入方向へ回転、即ち、時計回り方向へ回転)すると、その回転量に応じて、他方の取着部26の螺入孔26aにおけるねじ部333の先端部の螺入量が増大し、逆に、首付ビス330を逆回転(ねじの螺退方向へ回転、即ち、反時計回り方向へ回転)すると、その回転量に応じて、他方の取着部26の螺入孔26aにおけるねじ部333の先端部の螺入量が減少する。したがって、実施の形態4に係る波付管接続装置は、係止具330において、他方の取着部26の螺入孔26aに対する首付ビス330のねじ部333の螺入量を増減調整することで、係止具320の切欠部21の間隔を任意の間隔に増減調整して一定間隔に保持することができる。その結果、係止具320の拡開量を当該切欠部21の一定間隔に応じた一定拡開量として、係止具320を任意の拡開状態に保持自在となる。例えば、首付ビス330により、係止具320の弾性に抗して切欠部21を強制離間し、係止突条23a,23bが波付管40の外面から外方へ退避する状態へと係止具320を変形維持し、波付管40の挿通を一層容易に行うようにすることもできる。
ところで、本発明の波付管係止装置では、係止具は、前記所定量の拡開状態(即ち、自由状態での拡開状態)でその内部に波付管を挿通できるよう、その自由状態時の内径を波付管の外径より若干大きく設定することもできる。或いは、上記実施の形態1のように、係止具を前記自由状態での拡開状態から更に一定量拡開したときに波付管の挿通を許容するよう、その自由状態時の内径を波付管の外径より若干小さく設定することもできる。また、上記実施の形態3の説明からも明らかなように、係止具において係止突起を設ける角度範囲は、係止具の内周面の周方向中央部の所定角度範囲を除く角度位置(従来の始端位置より切欠部側へと変位した角度位置)とする限りにおいて、任意の角度位置とすることができる。即ち、係止突起の始端位置は、実施の形態1の場合の角度位置(切欠部の中央から約135度)とする以外にも、係止具の内周面の周方向中央部の所定角度範囲を除く角度位置(従来の始端位置より切欠部側へと変位した角度位置)とする限りにおいて、任意の角度位置とすることができる。例えば、係止突起の始端位置は、切欠部の中央から約135度の角度位置θとする以外にも、切欠部の中央から約120度の角度位置としたり、切欠部の中央から約90度の角度位置としたりすることができる。なお、係止具の拡開量の低減及び係止突起による係止力の確保の点から、係止突起の始端は、切欠部の中央から90度〜135度の角度範囲に設けることが好ましい。係止突起の始端を切欠部の中央から約90度の角度位置とした場合、係止突起は、第2の仮想線L2より切欠部21側にのみ設けられることになり、第2の仮想線L2より周方向中央部側には一切存在しないことになる。
また、係止突起の最大突出高さLH部分の角度位置θLHも、実施の形態1のように切欠部の中央から約60度の角度位置(第2の仮想線L2から切欠部側へと約30度入った位置)とする以外にも、第2の仮想線L2上等、その他の角度位置に配置することができる。なお、係止突起の最大突出高さLH部分は、前記下半部側(第2の仮想線L2より切欠部側)に配置される限りにおいて、同一寸法であれば従来より少ない係止具の拡開量で、係止突起が波付管の外面と干渉しない位置(波付管の外面から外方に離間した位置)に配置されるため、任意の位置に配置することができる。なお、実施の形態1のように、係止具の内周面において第2の仮想線L2より切欠部側の位置に係止突起の最大突出高さLH部分を配置した場合、当該最大突出高さLH部分を係止具の内周面において第2の仮想線L2上または周方向中央部側に配置する場合と比較して、係止具を同一量拡開したときに、一対の係止突起間の離間割合をより大きな拡開割合とすることができ、波付管の挿通のために必要な係止具の拡開量をより小さくすることができる。また、本発明の近接具は、係止具の一対の取着部に挿通して両取着部を締結することができる限りにおいて、ビスや首付ビスのほか、ボルト及びナットの組合せ等、任意の締結具から構成することができる。更に、上記実施の形態の係止具20等と同様の係止具を受口10の第2の受口本体部12に着脱自在に取着する場合、その係止具は、直径が前記係止具20等より若干小さくなるのみで、その他の構成は同一となる。