JP5012300B2 - 車両の制振制御装置 - Google Patents
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Description
図1(A)は、本発明の制振制御装置の好ましい実施形態が搭載される自動車等の車両を模式的に示している。同図に於いて、左右前輪12FL、12FRと、左右後輪12RL、12RRを有する車両10には、通常の態様にて、運転者によるアクセルペダル14の踏込みに応じて後輪に駆動力又は駆動トルクを発生する駆動装置20が搭載される。駆動装置20は、図示の例では、駆動トルク或いは回転駆動力が、エンジン22から、トルクコンバータ24、自動変速機26、差動歯車装置28等を介して、後輪12RL、12RRへ伝達されるよう構成される。しかしながら、エンジン22に代えて電動機が用いられる電気式、或いは、エンジンと電動機との双方を有するハイブリッド式の駆動装置であってもよい。また、車両は、四輪駆動車又は前輪駆動車であってもよい。なお、簡単のため図示していないが、車両10には、通常の車両と同様に各輪に制動力を発生する制動系装置と前輪又は前後輪の舵角を制御するためのステアリング装置が設けられる。
(1)駆動輪に於いて路面との間に作用する力による駆動輪の車輪トルク推定値の算出、
(2)車体振動の運動モデルによるピッチ/バウンス振動状態量の演算、
(3)ピッチ/バウンス振動状態量を抑制する車輪トルクの修正量(車輪トルク補償量)の算出とこれに基づく要求駆動トルクの補償又は修正
が実行される。(1)の車輪トルク推定値は、後述の如く、制動制御装置50bから受信した駆動輪の車輪速値(又は、駆動輪の車輪回転速)、或いは、エンジンの回転速neに基づいて算出されてよい。
車両に於いて、運転者の駆動要求に基づいて駆動装置が作動して車輪トルクの変動が生ずると、図2(A)に例示されている如き車体10に於いて、車体の重心Cgの鉛直方向(z方向)のバウンス振動と、車体の重心周りのピッチ方向(θ方向)のピッチ振動が発生し得る。また、車両の走行中に路面から車輪上に外力又はトルク(外乱)が作用すると、その外乱が車両に伝達され、やはり車体にバウンス方向及びピッチ方向の振動が発生し得る。そこで、図示の実施形態に於いては、車体のピッチ・バウンス振動の運動モデルを構築し、そのモデルに於いて要求駆動トルク(を車輪トルクに換算した値)と、現在の車輪トルク(の推定値)とを入力した際の車体の変位z、θとその変化率dz/dt、dθ/dt、即ち、車体振動の状態変数を算出し、モデルから得られた状態変数が0に収束するように、即ち、ピッチ/バウンス振動が抑制されるよう駆動装置の駆動トルクを調節して(要求駆動トルクが修正される。)、車輪トルクが制御される。なお、本実施形態に於いては、車輪トルクの制御は、駆動装置からの車輪へ伝達される駆動トルクの制御により実行されるが、更に制動装置又は操舵装置を作動して車輪トルクが制御されるようになっていてもよいことは理解されるべきである。
本発明の実施形態に於ける制振制御に於いては、既に触れたように、まず、車体のバウンス方向及びピッチ方向の力学的運動モデルを仮定して、運転者要求車輪トルクTw0と車輪トルク推定値Tw(外乱)とを入力としたバウンス方向及びピッチ方向の状態変数の状態方程式を構成する。そして、かかる状態方程式から、最適レギュレータの理論を用いてバウンス方向及びピッチ方向の状態変数を0に収束させる入力(トルク値)を決定し、得られたトルク値に基づいて要求駆動トルクが修正される(ピッチ・バウンス方向の状態変数が0となるとき車両の状態は正常であるということができるので、ここでの要求駆動トルクの「修正」は、駆動トルク制御に於けるピッチ・バウンス方向について車両の正常な状態するための駆動トルクの「補償」である。)。
dX(t)/dt=A・X(t)+B・u(t) …(2a)
ここで、X(t)、A、Bは、それぞれ、
a1=-(kf+kr)/M、a2=-(cf+cr)/M、
a3=-(kf・Lf-kr・Lr)/M、a4=-(cf・Lf-cr・Lr)/M、
b1=-(Lf・kf-Lr・kr)/I、b2=-(Lf・cf-Lr・cr)/I、
b3=-(Lf2・kf+Lr2・kr)/I、b4=-(Lf2・cf+Lr2・cr)/I
である。また、u(t)は、
u(t)=T
であり、状態方程式(2a)にて表されるシステムの入力である。従って、式(1b)より、行列Bの要素p1は、
p1=h/(I・r)
である。
u(t)=−K・X(t) …(2b)
とおくと、状態方程式(2a)は、
dX(t)/dt=(A−BK)・X(t) …(2c)
となる。従って、X(t)の初期値X0(t)をX0(t)=(0,0,0,0)と設定して(トルク入力がされる前には振動はないものとする。)、状態変数ベクトルX(t)の微分方程式(2c)を解いたときに、X(t)、即ち、バウンス方向及びピッチ方向の変位及びその時間変化率、の大きさを0に収束させるゲインKが決定されれば、ピッチ・バウンス振動を抑制するトルク値u(t)が決定されることとなる。
J=1/2・∫(XTQX+uTRu)dt …(3a)
(積分範囲は、0から∞)
の値が最小になるとき、状態方程式(2a)に於いてX(t)が安定的に収束し、評価関数Jを最小にする行列Kは、
K=R−1・BT・P …(3b)
により与えられることが知られている。ここで、Pは、リカッティ方程式
-dP/dt=ATP+PA+Q−PBR−1BTP …(3c)
の解である。リカッティ方程式は、線形システムの分野に於いて知られている任意の方法により解くことができ、これにより、ゲインKが決定される。
図2(B)の制振制御器のフィードバック制御部分に於いて、フィードフォワード制御部分へ外乱として入力される(実際に発生している)車輪トルクは、理想的には、各輪にトルクセンサを設け、実際に検出されればよい。しかしながら、試験車両等を除き、通常の車両に於いては、車両の設計上又はコスト上の問題により、各輪に車輪トルク値を検出するセンサ、例えば、ホイールトルクセンサやホイール六分力計などは搭載されない。そこで、本実施形態では、走行中の車両に於けるその他の検出可能な値から車輪トルク推定器(C6)にて推定された車輪トルク推定値が用いられる。
Tw=M・r2・dω/dt …(5)
と推定することができる。ここに於いて、Mは、車両の質量であり、rは、車輪半径である。[駆動輪が路面の接地個所に於いて発生している駆動力の総和が、車両の全体の駆動力M・G(Gは、加速度)に等しいとすると、車輪トルクTwは、
Tw=M・G・r …(5a)
にて与えられる。車両の加速度Gは、車輪速度r・ωの微分値より、
G=r・dω/dt …(5b)
で与えられるので、車輪トルクは、式(5)の如く推定される。]
ωe=ne×トランスミッション(変速機)ギア比×デフ(差動装置)ギア比 …(8)
により与えられる。また、変速機の出力軸の回転速noを用いる場合には、
ωo=no×デフギア比 …(9)
により与えられる。そして、式(8)又は(9)の駆動輪の車輪回転速ωの推定値は、式(5)に代入され、車輪トルク推定値が算出される。
(a)車輪速センサの信号に異常が発生し、「異常状態」と判定されたとき。
(b)ABS、VSC、TRC等のその他の制御装置又は制動制御装置50b(図1B)に於いて、車輪速センサの異常を判定したとき。
(c)車輪速センサの信号から算出される車輪速と、駆動装置の出力軸の回転速から式(8)により算出される車輪速との差が、所定期間、所定値を越えているとき。
(d)車輪速センサの信号から算出される車輪速と、変速機の出力軸の回転速から式(9)により算出される車輪速との差が、所定期間、所定値を越えているとき。
なお、以下に述べる如く、本実施形態に於いては、車輪の特性の変化が特性変化検出器に於いて監視され、車輪径が車両の組立・製造時又は再調整時に於いて計測又は設定された値と相違することが検出された場合には、車輪トルク値は、上記の車輪回転速を用いた推定方法に代えて、エンジンの出力軸でのトルクを用いた推定方法により推定されるようになっていてよい。
上記の記載から理解される如く、制振制御器では、サスペンションの減衰率cf、cr及び弾性率kf、kr、車輪径r、重心高hといった予め実験的に又は理論的に取得された車両の各部の特性・構造を表すパラメータ(所謂、車両の諸元を含む)を用いた運動モデルC4で演算される状態変数が実際の車両又はその駆動装置(C3)の応答に於ける状態と同等であるとの前提の下、要求車輪トルクの補償成分Uが算出され、駆動制御器へ渡される。また、駆動制御器の制御指令決定部C2から車両の駆動装置へ送出される駆動トルクの制御指令は、予め実験的に又は理論的に取得された駆動装置の入出力応答特性に基づいて制御指令決定部に入力される要求駆動トルクを実現させるよう決定される。
当業者に於いて良く知られている如く、車両の車体を車輪上にて支持し懸架するサスペンションは、概して、スプリングとショックアブソーバから成り、その特性は、図3のモデルに例示されている如く、前後輪のそれぞれについて、弾性率kf、kr、減衰率cf、crにより表される(図3のモデルは、二輪モデルなので、各特性値は、それぞれ、左右輪についての和である。)。かかる特性値はいずれも、通常、サスペンション(ショックアブソーバ)のピストンのストローク回数又は時間とともに徐々に低減するところ、減衰率又はダンパ率は、サスペンションのストローク回数又は時間をパラメータとして、図4の左図に例示されている如く実際の値を推定できることが知られている(図4右図及び図4の説明参照)。一方、弾性率は、サスペンションのピストンのストローク量の共振周波数に反映される。そこで、本実施形態に於いては、特性変化検出器C8に於いてサスペンションのストローク量を参照して、弾性率kf、kr、減衰率cf、crの変化を検出し、運動モデル内のパラメータの更新が為されるようになっていてよい。
sf=z+Lf・tanθ
sr=z−Lr・tanθ …(10)
により与えられてよい(図3(A)参照)。
|Fresof−Festf|>Δ 或いは、
|Fresor−Festr|>Δ
が成立しているときは、下記の式
kf=(2πFresof)2・Wf
kr=(2πFresor)2・Wr …(12)
により、現在の弾性率が算出され、運動モデルの演算式(式(2a)、(3b)の行列A、Kの演算)に代入されるようになっていてよい(弾性率の更新)。
例1の説明からも理解される如く、サスペンションは、使用されるとともに劣化し、その特性が変化する。従って、例1の如く検出される減衰率、弾性率の精度がさほど期待できない場合には、ストローク量sf、srを参照してサスペンション作動量を監視し、かかるサスペンション作動量の増大に応じて車輪トルク補償成分の制御ゲインの低減が実行されてよい。
(a)ストローク量総移動量:∫|dsi/dt|dt(sf、srの時間微分の絶対値の時間積分値)により演算される。積分範囲は、初期設定時から現在の時点までとされる。
(b)ストローク量の反転回数:初期設定時からsf、srの時間微分の正負の反転回数をカウントすることにより算出。なお、減衰率の変化量に相当する。
(c)ストロークの上下限閾値の到達回数:ストローク量sf、srに対して所定の上限及び下限の閾値が設定され、初期設定時から実際のsf、sr値が上下限閾値に到達した回数をカウントすることにより算出。
(d)例1の算出されるストローク量の共振周波数より算出される弾性率と初期設定時の弾性率との差分
Gc=1−λ・τ(≧0) …(13)
ここで、λは、任意に設定される正の係数であり、τは、上記の(a)〜(d)のいずれかの量である。なお、上記の量(a)〜(d)の全てを監視するようになっていてもよく、或いは、そのうちの任意に選択された少なくとも一つを監視するようになっていてもよい。
上記の制振制御の原理の説明、車輪トルク推定の説明から理解されるように、本実施形態の制御では、車輪径が車輪トルクの補償成分の演算に使用される。また、車輪トルクの補償成分の演算に使用される重心高hの値は、車輪径によって変化する。かくして、制振制御を精度よく実行するには、演算に使用される車輪径の値は、実際の車輪径にできるだけ合致していることが好ましい。しかしながら、実際の車輪径は、車両の使用中のタイヤの空気圧等の変化、或いは、使用者に於いてしばしば任意に実行されるタイヤ交換などにより変化する。そこで、本実施形態に於いては、車両の走行中に車輪径を推定し、推定された車輪径に応じて、運動モデル部C4又は車輪トルク推定器C6の演算の態様を変更し、制振制御に於ける車輪径の変更に起因する影響を抑制することが試みられる。
(a)GPS情報による検出:カーナビゲーションシステム72からの自車の位置情報の時間微分値から絶対車速Vxを算出する。
(b)ソナー装置、レーダー装置70等(例えば、ミリ波センサを採用したFMCW方式レーダー装置)又はビデオカメラ画像により取得される自車両前方の停止物、路面マーカー、先行車との相対速度から絶対車速Vxを算出する(先行車との相対速度が検出される場合には、先行車との車車間通信等により先行車の車速が取得される。)。
(c)Gセンサ等の前後加速度の車両発進時から時間積分値より絶対車速Vxを決定する。
(なお、通常、車速は、転動輪(従動輪)の車輪速が参照されるが、車輪径の検出に於いては、転動輪の車輪径も検出対象となるため、図6の制御では参照されない。)
ri=Vx/ωi …(14)
ここで、ωiは、各輪の車輪回転速である。かくして、各輪半径riが算定されると、全輪について初期設定時の値と相違していないか否かが判定される。(各輪について、初期設定時の値と検出値riとの差分が所定値以上であるか否かにより判定されてよい。)全輪について変化がない場合又は従動輪1輪のみ変化があった場合には、図6の処理は、そのまま終了する(ステップ130、135)。一方、駆動輪(本実施形態では後輪)の一方のみ変化している場合には(ステップ140)、車輪トルク推定器C6に於ける式(5)を用いた車輪トルク推定値の演算に於いて(通常は、両輪の車輪速は、基本的には、略同一であるとの前提のもと、いずれか一方又は両輪の車輪回転速の平均値が用いられる。)、車輪径の変化のない車輪回転速ωのみを用いるよう特性変化検出器C8から車輪トルク推定器C6へ推定方法の切換指令が送出される(ステップ150)。車輪トルク推定器C6は、かかる指令を受信すると、式(5)を用いた車輪トルク推定に於いて、車輪径の変化のない駆動輪の車輪回転速のみを使用するよう構成される。
(i)二つの駆動輪の車輪径が変化した場合−運動モデル部C4及び車輪トルク推定器C6で使用される車輪径rが(現在の)検出された値に更新される。また、重心高hが、
h=ho+Lf・Δrr/(Lf+Lr) …(15a)
に更新される。ここで、hoは、初期設定時の重心高であり、Δrrは、駆動輪の車輪径の変化量である。
(ii)二つの従動輪の車輪径が変化した場合−重心高hが
h=ho+Lr・Δrf/(Lf+Lr) …(15b)
に更新される。ここで、Δrfは、従動輪の車輪径の変化量である。
(iii)三輪以上の車輪径が変化した場合−重心高hが
h=ho+(Δrf+Δrr)/2 …(15c)
に更新される。また、二つの駆動輪の車輪径が変化しているときは、運動モデル部C4及び車輪トルク推定器C6で使用される車輪径rが(現在の)検出された値に更新される。
上記の例3の処理とは別に、車両の等速走行中に、車輪回転速ωiが相互に比較されるようになっていてよい。この場合(絶対車速Vxが従動輪の車輪速以外から取得できない場合も含む。)、車輪回転速には、車輪径だけでなく、車輪のその他の特性の変化、タイヤのアンバランス、ユニフォーミティの変化も反映される。かくして、車輪回転速の比較に於いて、各輪の値が互いに相違すると判定される場合には(例えば、全輪の回転速の平均値と各輪回転速との偏差が検査され、その偏差の絶対値が少なくとも一つの車輪に於いて所定量以上であるとき(誤差の範囲を超えていると判定されるとき))、もはや初期設定時の状態が維持されていないこととなるので、制御ゲインGcが低減され、車輪トルク制御に於ける制振制御の寄与を抑制するようになっていてよい(その場合、特性変化検出器C8から制御ゲイン調節器C7へ制御ゲインの低減指令が送出される。)。低減後の制御ゲインGcは、任意に設定されてよく、例えば、初期設定時の1/2倍又は0倍などであってよい。
Tw=変速機ギア比×デフギア比×駆動装置出力軸トルク
により与えられてよい。駆動装置出力トルクは、任意の形式にてエンジン又はモータの作動条件から推定された値でよい。また、駆動装置の出力軸にトルクセンサが設けられている場合には、そのトルクセンサの検出値が用いられてよい。
エンジン又はモータの駆動出力の発生効率は、車両の使用とともに、磨耗・消耗及びその他の要因により、経時的に変化する。従って、同一の制御指令を駆動装置に与えても、車輪に於いて実現される車輪トルクの応答速度、実現量も経時的に変化し、従って、制振制御の作用効果又は精度が低下することとなる。そこで、本実施形態に於いては、エンジン又はモータ等の駆動装置の発生トルクの指令値の実現の程度を参照して、制御ゲインGcが調節されるようになっていてよい。
駆動装置の出力状態の変化に対する制振制御の修正の別の態様として、駆動装置の使用量に応じて、制御ゲインGcを低減するようになっていてもよい。駆動装置の使用量として参照する量は、上記の積分値の比(I要求/I実現)の他、車両の走行距離であってもよい。制御ゲインGcは、駆動装置の使用量として参照する量が任意に設定される所定値まで増大したときに低減されるようになっていてもよく(この場合、低減後の制御ゲインは、例えば、初期設定時の1/2倍又は0などであってよい。)、また、駆動装置の使用量として参照する量の増大とともに低減されるようになっていてもよい。かかる構成によれば、上記に列記した例と同様に、制振制御の作用効果又は精度の劣化に対応して、車輪トルク制御に於ける制振制御の寄与が抑制されることとなる。
既に触れたように、本発明の制振制御の補償成分は、駆動出力又は駆動トルクを通常より多く変動させる振動成分であるので、車両の駆動系全体又は車両システムの作動負担が大きくなる。換言すれば、制振制御による補償成分が発生すればするほど、駆動系の構成要素は、消耗又は劣化し、これにより制振制御自体の作用効果又は精度も劣化することが予想される。そこで、本実施形態では、補償成分の発生量又は発生履歴に応じて制御ゲインを低減し、精度の劣化した状態で制振制御がいつまでも初期設定時のまま作用することを回避し、駆動系の構成要素を保護するようになっていてよい。
(i)補償成分Uの絶対値又は実効値の時間積分値
(ii)補償成分Uの反転回数:初期設定時からUの時間微分の正負の反転回数をカウントすることにより算出。
(iii)補償成分Uの上下限閾値の到達回数:補償成分Uに対して所定の上限及び下限の閾値が設定され、初期設定時からUが上下限閾値に到達した回数をカウントすることにより算出。
(a)補償成分参照値の増大とともに、制御ゲインGcを徐々に低減。
(b)補償成分参照値が、対応する所定の閾値に到達したときに、制御ゲインGcを所定量低減(0に設定されてもよい。)
(c)補償成分参照値が、対応する所定の閾値に到達した後、補償成分参照値の増大とともに、制御ゲインGcを徐々に低減。
なお、いずれの参照値を用いて、いずれの態様にて制御ゲインを低減するかは、当業者に於いて任意に選択されてよいことは理解されるべきである。
補償成分Uに於いて比較的高い振動成分が含まれていると、駆動系装置の発生又は伝達する出力変動が激しくなり、構成要素の負担が増大する。そこで、制御ゲイン調節器C7に於いて、補償成分Uをローパスフィルタにて濾波し、比較的高い振動成分が駆動装置へ入力されないようになっていてよい。かかるローパスフィルタによる濾波は、上記の補償成分参照値のいずれかが所定値に達した後にのみ実行されるようになっていてもよく、初期設定時から実行されてもよい。
12FL、FR、RL、RR…車輪
14…アクセルペダル
20…駆動装置
30FL、FR、RL、RR…車輪速センサ
32…Gセンサ
50…電子制御装置
Claims (10)
- 車両の車輪と路面との接地個所に於いて発生する車輪トルクを制御することにより前記車両のピッチ又はバウンス振動を抑制する車両の制振制御装置であって、前記ピッチ又はバウンス振動振幅を抑制するよう前記車両の車輪トルクを補償する車輪トルク補償量を算定する車輪トルク補償量算出手段と、前記車両の構成要素の特性の経時変化を検出又は推定する特性変化検出手段と、前記車輪トルク補償量に基づいて前記車輪トルクを制御する手段とを含み、前記特性変化検出手段により検出又は推定された前記車両の構成要素の特性の経時変化を表す指標値が増大したときには、前記車輪トルク補償量算出手段が前記指標値に基づいて前記車輪トルク補償量の制御ゲインを変更することにより前記車輪トルク補償量の大きさを変更することを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記経時変化を表す指標値が増大するとともに前記車輪トルク補償量の大きさが低減されることを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記経時変化を表す指標値が増大するとともに前記車輪トルク補償量の大きさが増大されることを特徴とする装置。
- 請求項3の装置であって、前記制御ゲインが前記車両の前後加速度に基づいて決定される閾値以下に制限されることを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記車両の構成要素が前記車両のサスペンションを含み、前記特性変化検出手段が前記車両のサスペンションの減衰率又は弾性率の変化を検出することを特徴とする装置。
- 請求項5の装置であって、前記車両のサスペンションの減衰率又は弾性率の変化が所定量を超えたときには、前記車輪トルク補償量の大きさが低減されることを特徴とする装置。
- 請求項6の装置であって、前記車両のサスペンションの減衰率又は弾性率の変化が前記サスペンションのストローク量に基づいて算出されることを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記特性変化検出手段が前記車両の構成要素の特性の経時変化を表す指標として前記車輪トルク補償量の実行量を監視し、前記車輪トルク補償量算出手段が現在までの前記車輪トルク補償量の実行量に基づいて現在以降の前記車輪トルク補償量の大きさを低減することを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記車両の構成要素が前記車両の車輪を含み、前記特性変化検出手段が前記車輪の特性の経時変化を監視し、前記車輪の特性の経時変化が検出されたときには、前記車輪トルク補償量算出手段が前記車輪トルク補償量の大きさを低減することを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記車輪トルクの推定値を前記車両の車輪速又は前記車両の駆動装置の出力軸の回転速に基づいて推定する車輪トルク推定手段を含み、前記車輪トルク補償量算出手段が前記車輪トルクの推定値を用いて前記車輪トルク補償量を算定する装置にして、前記特性変化検出手段が前記車輪の特性の変化を経時的に監視し、前記車輪の特性の異常を検出したときには、前記車輪トルク補償量算出手段が前記車両の駆動装置の出力軸トルクに基づいて推定される前記車輪トルクの推定値を用いて前記車輪トルク補償量を算定することを特徴とする装置。
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