以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係る回路基板用電気コネクタ1(以下、単に「コネクタ1」という)全体を示す斜視図である。該コネクタ1は、回路基板(図示せず)上に配置される電気コネクタであって、後述の相手コネクタ2が上方から嵌合される電気絶縁材製、例えば合成樹脂製のハウジング10と、該ハウジング10に配列保持される複数の端子20と、該ハウジング10に保持され後述の相手コネクタ2の被ロック金具60と係止する複数のロック金具30とを有している。
ハウジング10は、略直方体外形をなしており、上方に開口した受入凹部11が形成されており、該受入凹部11にて後述の相手コネクタ2を上方から受け入れるようになっている。上記受入凹部11は、端子配列方向たるハウジング10の長手方向に延びる二つの側壁部12および該端子配列方向に対して直角な短手方向に延び該二つの側壁部12の端部同士を連結する二つの端壁部13から成る周壁によって囲まれて形成されており、該受入凹部11の中央部には底壁部から上方へ突出して端子配列方向に延びる中央壁部14が島状に形成されている。したがって、受入凹部11は上方から見て中央壁部14を囲んだ環状をなしている。
図1に見られるように、上記ハウジング10には、端子20を保持するための端子保持溝15が該ハウジング10の端子配列方向において所定の間隔で複数形成されている。該端子保持溝15は、両側壁部12の外面、上面、内面、底壁部の上面、そして側壁部12と対向する中央壁部14の外面にわたって延びて形成されている。該端子保持溝15は、板状に作られた後述の端子20の板厚よりも若干大きい幅寸法で形成されており、端子配列方向に見て、中央壁部14に対して左右対称をなしている。
図1に見られるように、ハウジング10の側壁部12の外面において端子配列方向両端部、すなわち端子配列方向で端子配列範囲を挟んだ位置には、ロック金具30を保持するためのロック金具保持溝16が形成されている。該ロック金具保持溝16は、上記側壁部12の外面にて上下方向全域にわたって形成されていて、後述のロック金具30の被保持部31が下方から圧入されるようになっている。
一方、端子配列方向両端部における上記側壁部12の内面には、後述するロック金具30のロック部32を収容するための内側凹部17が、該内面にて上下方向全域にわたって形成されている。該内側凹部17の上部における端子配列方向両端部には、互いに近づくように突出する規制突部17Aが形成されており、後述するように、該規制突部17Aが上記ロック部32の上方への変位を規制するようになっている。また、内側凹部17において該規制突部17Aよりも下方には、後述するように、ロック解除動作の際に上記ロック部32を受入凹部11から離れる方向へ案内する斜面17Bが上下方向に延びて形成されている(図5参照)。
また、端子配列方向両端部における上記側壁部12の底面部は、後述のロック金具30の連結部33の幅寸法(上下方向での寸法)の分だけ切り欠かれており、該連結部33を弾性変位可能に収容するための下側凹部18として形成されている。
端子20は、図1に見られるように、二列をなしてハウジング10の長手方向に配列されて該ハウジング10に保持されている。該端子20は、平坦面を維持して金属板をS字形状に打ち抜いて作られている。該端子20は、横S字状をなした姿勢で、端子配列方向に見たときに中央壁部14に対して対称をなして端子保持溝15内で保持されている。
端子20において受入凹部11内に収められている部分は、受入凹部11の凹部内面に沿って位置し該受入凹部11の開口側、すなわち上方へ向け開いたU字状をなしている。このU字状部分における二つの腕部のうち中央壁部14側に位置する腕部の上端部、すなわち端子20の一端には、受入凹部11へ向けて突出する接触部21が形成されている。また、上記二つの腕部のうち側壁部12側に位置する腕部の上端部には、受入凹部11へ向けて突出する係止突部22が形成されている。
端子20の他端は、側壁部12の外面に沿って下方へ延びる部分の下部からコネクタ外方、すなわち中央壁部14から離れる方向へ延びる接続部23として形成されている。該接続部23は、コネクタ1が回路基板(図示せず)上に配置されたとき、該接続部23の下面が該回路基板上の対応回路部と半田接続されるようになっている。
図2は、ロック金具30全体を示す斜視図である。該ロック金具30は、金属板を打ち抜くとともに屈曲して作られており、一端側に形成されハウジング10に保持される被保持部31と、他端側に形成され相手コネクタ2の被ロック金具60と係止するためのロック部32と、該被保持部31と該ロック部32とを連結する可撓な連結部33とを有している。
上記被保持部31は、図1に見られるように、ハウジング10の側壁部12の壁面に平行な板状をなし、ロック金具保持溝16内で該被保持部31の幅方向両端面で圧入保持されている。該被保持部31は、その下縁部で回路基板と半田接続されてもよい。この半田接続により、回路基板に対するコネクタ1の固定強度を向上させることができる。
上記ロック部32は、上記被保持部31と平行な板状をなし、略中央部に、上下方向に延びる長方形状の孔部32Aが板厚方向に貫通して形成されている。該孔部32Aを形成する縁部のうち上縁に位置する部分は、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部
62と上下方向で係止可能なロック縁部32A−1として形成されている(図4をも参照)。
上記ロック部32の上部は、図2によく見られるように、両端部が切り欠かれており、図1に見られるように、ハウジング10の内側凹部17の規制突部17Aの下方に位置する肩部32Bとして形成されている。後述するように、相手コネクタ2が抜出方向、すなわち上方にロック部32が変位したとき、該ロック部32の肩部32Bが上記規制突部17Aの下面に当接することにより、該ロック部32のそれ以上の変位が規制される。
上記ロック部32の上部の中間部、すなわち二つの上記肩部32Bの間に位置する部分の上縁には、図2に見られるように上端縁に向け板厚を減ずるテーパ状の案内面32Cが形成されている。該案内面32Cは、図1に見られるように、ハウジング10の内側凹部17内に収容された状態において上方に露出しており、相手コネクタ2が嵌合される際に、該相手コネクタ2の被ロック金具60を上記ロック部32よりも受入凹部11側へもたらすように案内する面として機能する。また、ロック部32の側縁部(図2における右縁部)には、ハウジング10の内側凹部17の斜面17Bと対応した角度で傾斜する斜面32Dが上下方向に延びて形成されている(図5をも参照)。
ロック部32がハウジング10の内側凹部17内に収容された状態において、該ロック部32の板面と該板面に対向する内側凹部17の内面との間には、隙間が形成されており、該隙間内においてロック部32の板厚方向での弾性変位が許容されている。また、上記ロック部32の斜面32Dとハウジング10の斜面17Bとの間にも端子配列方向で若干の隙間が形成されている(図5参照)。
図2に示されているように、連結部33は、上下方向に対して直角な面(仮想面)内で延びていて、被保持部31の右端の下部とロック部32の左端の下部とを連結している。該連結部33は、被保持部31の右縁部との連結部分が左方へ向けて折り返すように屈曲されているとともに、該連結部33の中間部分が右方へ向けて折り返すように屈曲されている。したがって、該連結部33は、端子配列方向で互いに平行に延びる二つの直状の腕部、すなわち、ロック部32の左縁部につながる第一腕部33Aおよび被保持部31の右縁部につながる第二腕部33Bを有している。該ロック金具30がハウジング10に取り付けられた状態において、第一腕部33Aは第二腕部33Bと離間して該第二腕部33Bよりも受入凹部11側に位置している。該第一腕部33Aおよび第二腕部33Bは、上記仮想面内にて両腕部の対向方向で弾性変位可能となっている。
また、上記連結部33において折り返された中間部分、すなわち第一腕部33Aと第二腕部33Bとを連結する部分は、後述のロック解除操作を受ける解除操作部34が第一腕部33A寄り位置に形成されている。本実施形態では、該解除操作部34は、図1に見られるように、ハウジング10の外部へ延出していて、解除操作が容易となっている。解除操作部は、治具等によって操作可能であればよく、ハウジング外へ延出していることは必須ではない。例えば、解除操作部は、ハウジング10の壁面とほぼ同位置で該ハウジング10から延出することなく露出した状態で設けられ、治具により操作可能となっていてもよい。
回路基板との半田接続を補強するための補強金具(図示せず)が該ハウジングに取り付けられる場合には、ロック金具を該補強金具と一体に形成してもよい。また、シールド板(図示せず)がハウジングに取り付けられる場合には、ロック金具を該シールド板と一体に形成してもよく、また、ロック金具をシールド板と別体で形成して、該シールド板に接触させてもよい。
図3は、図1のコネクタ1に嵌合される相手コネクタ2の全体を示す斜視図であり、コネクタ嵌合時における姿勢を上下反転させた状態で該相手コネクタ2を示している。すなわち、図3では上方が嵌合方向先方となっている。
上記相手コネクタ2もコネクタ1と同様に、回路基板(図示せず)上に取り付けられる
コネクタであり、図3に示されているように、略直方体外形をなす合成樹脂製のハウジング40と、該ハウジング40に配列保持される金属製の複数の端子50と、該ハウジング40に保持されコネクタ1のロック金具30と係止する複数の被ロック金具60とを有している。以下、端子50を、コネクタ1の端子20と区別すべく「相手端子50」と称する。
ハウジング40は、図3に示される状態で上方に開口した受入凹部41が形成されており、該受入凹部41にてコネクタ1の島状の中央壁部14を受け入れるようになっている。該受入凹部41は、端子配列方向たるハウジング40の長手方向に延びる二つの側壁部42および該端子配列方向に対して直角に延び二つの側壁部42の端部同士を連結する二つの端壁部43から成る周壁によって囲まれている。
該ハウジング40の周壁の外周面はコネクタ1の受入凹部11の内周面と適合した形状をなしている。コネクタ嵌合時において、該周壁は該コネクタ1と相手コネクタ2とが対応した姿勢で上記受入凹部11内へ嵌入される。
図3に見られるように、上記ハウジング40の側壁部42には、相手端子50を保持するための端子保持溝44が該ハウジング40の端子配列方向において所定の間隔で複数形成されている。該端子保持溝44は、両側壁部42の外面、上面、内面にわたって延びて形成されている。該端子保持溝44は、相手端子50の幅寸法よりも若干大きい幅寸法で形成されており、端子配列方向に見て対称をなしている。
図3に見られるように、ハウジング40の端壁部43には、被ロック金具60を保持するための被ロック金具保持溝45が形成されている。該被ロック金具保持溝45は、端子配列方向に対して直角に延びるスリット状をなしており、被ロック金具60が図3における上方から圧入されるようになっている。
相手端子50は、帯状の金属板を板厚方向で屈曲させることにより形成されており、ハウジング40の端子保持溝44へ図3における上方から圧入されて取り付けられている。該相手端子50は、側壁部42の外面、上面および内面に沿って逆U字状をなして延びる嵌入部51と、嵌入部51の二つの腕部のうち側壁部42の外面側に位置する腕部の下部からコネクタ外方、すなわち受入凹部41から離れる方向へ向けてハウジング40から延出する接続部52とを有している。
上記嵌入部51の二つの腕部のうち、側壁部42の内面側に位置する腕部において受入凹部41側に露出する面は、コネクタ1の端子20の接触部21に対応する対応接触部51Aとして形成されている。また、上記側壁部42の外面側に位置する腕部の露出面には、上記端子20の係止突部22と対応する被係止凹部51Bが形成されている。該被係止凹部51Bは相手端子50の板厚を局部的に減ずるプレス加工により形成されている。
図4は、コネクタ1のロック金具30と相手コネクタ2の被ロック金具60を抽出して両者の係止状態を示す斜視図である。したがって、同図においては、被ロック金具60は、図3に示される姿勢を上下反転させた状態となっている。すなわち、図4では下方が嵌合方向先方となっている。
被ロック金具60は、平坦面を維持して金属板を打ち抜いて形成されている。図4に見られるように、該被ロック金具60は、略U字形状をなし、該略U字形状の二つの腕部のうち、ロック金具30のロック部32側に位置する腕部において該ロック部32と対向する縁部には、上部および下部から突出する二つの突部が形成されている。
上記二つの突部のうち、図4において上側に位置する突部はその上面が半田によって回路基板と固定される固定部61として、下側に位置する突部はコネクタ1のロック金具30と係止するための被ロック部62として形成されている。図3に見られるように、被ロック金具60がハウジング40に取り付けられた状態において、上記固定部61および上記被ロック部62は、ハウジング40の端壁部43からコネクタ外方、すなわち相手端子50の接続部52の延出方向と同じ方向へ向けて突出している。
図4に示されているように、被ロック部62の下面(図3における上面)は、ロック金具30の案内面32Cに対応して傾斜する、すなわち、図4における下方に向かうにつれてロック金具30の被保持部31から離れるように傾斜するテーパ面をなす被案内面62Aとして形成されている。
以下、コネクタ1と相手コネクタ2との嵌合動作について説明する。
まず、コネクタ1および相手コネクタ2をそれぞれ対応する回路基板(図示せず)の対応回路部に半田接続して該回路基板に取り付ける。次に、図1のコネクタ1の上方に、図3の相手コネクタ2をその受入凹部41が下方に開口した姿勢(図3の姿勢を上下反転させた姿勢)で、該相手コネクタ2の周壁がコネクタ1の受入凹部11とそして相手コネクタ2の受入凹部41が該コネクタ1の中央壁部14と上下方向で対向するような正規位置に相手コネクタ2をもたらす。
次に、相手コネクタ2を下方へ移動してコネクタ1と嵌合させる。具体的には、相手コネクタ2の周壁をコネクタ1の受入凹部11に上方から嵌入させるとともにコネクタ1の中央壁部14を相手コネクタ2の受入凹部41に下方から嵌入させる。
コネクタ1の受入凹部11への相手コネクタ2の周壁の嵌入が開始されると、相手コネクタ2の相手端子50の嵌入部51が、コネクタ1の端子20の接触部21および係止突部22に当接した後、該接触部21と係止突部22との間で両者を押し広げながら受入凹部11内に進入する。また、上記相手コネクタ2の周壁の嵌入の開始とほぼ同時に、該相手コネクタ2の受入凹部41へのコネクタ1の中央壁部14の嵌入が開始する。
相手コネクタ2の嵌入が進行すると、コネクタ1の端子20の接触部21が相手端子50の対応接触部51Aと弾性接触するとともに、端子20の係止突部22が相手端子50の被係止凹部51B内に突入して該被係止凹部51Bとコネクタ嵌合方向(上下方向)で係止可能な状態となる。
一方、上記相手端子50の嵌入部51が端子20の接触部21および係止突部22に当接するのとほぼ同時に、相手コネクタ2の被ロック金具60の被案内面62Aがコネクタ1のロック金具30の案内面32Cと当接する。
相手コネクタ2の嵌入が進行すると、ロック金具30のロック部32が孔部32Aの上方に位置する部分で、被ロック金具60の被ロック部62によって、ロック部32の板厚方向にて第二腕部33B側へ向けて、すなわち受入凹部11から離れる方向へ向けて押圧される。この結果、第一腕部33Aと第二腕部33Bとの対向方向にて、該第一腕部33Aおよびロック部32が第二腕部33B側へ向けて弾性変位する。また、このとき、第二腕部33Bも上記対向方向にて被保持部31側へ向けて若干弾性変位する。
そして、上記相手コネクタ2の嵌入がさらに進行して、上記被ロック部62が孔部32Aの位置に到達すると、上記第一腕部33Aと第二腕部33Bおよびロック部32が弾性変位状態から解除されて自由状態に戻る。この結果、上記被ロック部62は、上記孔部3
2A内に進入してロック縁部32A−1の下方に位置し、該ロック縁部32A−1とコネクタ嵌合方向(上下方向)で係止可能な状態となる。
コネクタ1,2同士の嵌合は、コネクタ1の中央壁部14の上面が相手コネクタ2の受入凹部41の底面に当接するまで該相手コネクタ2が嵌入されることにより完了する。
本実施形態では、コネクタ嵌合状態において、相手コネクタ2を抜出する方向(上方)へ不用意な外力が作用したとき、コネクタ1のロック金具30のロック縁部32A−1が相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62と係止するとともに、上記端子20の係止突部22が相手端子50の被係止凹部51Bと係止するので、相手コネクタ2の抜けが防止される。また、上記端子20の係止突部22および相手端子50の被係止凹部51Bは必須ではなく、ロック金具30と被ロック金具60との係止のみによって相手コネクタ2の抜けを防止することとしてもよい。
また、上記不用意な外力が過度に作用して、上記ロック金具30のロック部32が被ロック金具の60の被ロック部62によって上方へもち上げられたとき、該ロック部32自体の肩部32Bがハウジング10の内側凹部17の規制突部17Aに当接することにより、それ以上のロック部32の変位が規制される。したがって、上記ロック金具30のロック縁部32A−1と被ロック金具60の被ロック部62との係止状態が維持されるので、相手コネクタ2の抜けが確実に防止される。
次に、コネクタ1のロック金具30と相手コネクタ2の被ロック金具60とのロック解除動作について説明する。図5は、図4のV−V断面図であり、図4での上下方向における、ロック金具30の孔部32Aの位置での横断面を示している。図5においては、ロック金具30およびハウジング10の一部を断面とし、被ロック金具60を断面とせずに示している。
まず、ロック金具30の解除操作部34を端子配列範囲側、すなわち図5における右方へ向けて治具(図示せず)で押圧する。該解除操作部34が押圧されると、ロック部32の斜面32Dがハウジング10の斜面17Bに当接するとともに、該斜面17Bに沿って第二腕部33B側(図5における上方)へ移動する。この結果、第一腕部33Aと第二腕部33Bとの対向方向(図5における上下方向)にて該第一腕部33Aおよびロック部32は、二点鎖線で示されるように、第二腕部33B側へ向けて弾性変位する。このとき、第二腕部33Bは、ほとんど弾性変位しない。
上記第一腕部33Aおよびロック部32が弾性変位すると、ロック金具30のロック縁部32A−1が被ロック金具60の被ロック部62と係止可能な位置からずれる。そして、かかる状態を維持したまま相手コネクタ2を上方へもち上げることにより該相手コネクタ2を容易に抜出できる。
本実施形態では、ロック金具30において連結部33に二つの腕部33A,33Bが設けられているので、該二つの腕部33A,33Bの長さ分だけ該連結部33の全長が大きくなる。したがって、小さな力でも連結部33が撓みやすくなるので、コネクタの嵌合動作が繰り返し行われても、連結部33においていわゆる「へたり」が生じにくく、該連結部33の復元力が低下しにくい。この結果、コネクタ嵌合完了状態において、ロック金具30のロック部32を被ロック金具60の被ロック部62との係止が可能な位置に確実に戻すことができ、ロック機能を良好に維持することができる。
また、連結部33は、中間部が屈曲形成されることにより二つの腕部33A,33Bが形成されているので、一つの腕部の長さの範囲内で形成することが可能である。したがっ
て、ロック金具30ひいてはコネクタ1の、上記腕部33A,33Bの長手方向での大型化を回避できる。
さらに、本実施形態では、第一腕部33Aと第二腕部33Bとは上下方向に対して直角な同一面(仮想面)内に設けられていて、上下方向にて同一位置に設けられているので、上下方向においてロック金具30ひいてはコネクタ1の小型化を図ることができる。上下方向でのコネクタ寸法が十分に小さく形成されている場合には、ロック金具の腕部同士が上下方向で異なる位置に設けられていてもよい。
本実施形態では、ロック金具が二つの腕部を有していることとしたが、腕部の数はこれに限られず、連結部の中間部で折り返される箇所の数を増やして、腕部を三つ以上設けてもよい。腕部の数が増えることにより連結部の全長が延びるので、該連結部をさらに撓みやすくすることができ、この結果、該連結部の復元力の低下をより良好に回避できる。
本実施形態では、相手コネクタに被ロック金具が設けられ、該被ロック金具の被ロック部がコネクタのロック金具のロック縁部と係止することとしたが、相手コネクタにおいて必ずしも被ロック金具を設ける必要はない。例えば、相手コネクタに被ロック金具を設けずに、ハウジングの端子配列方向両端部にて側壁部から突出する突起として被ロック部を形成することが可能である。このように、被ロック部をハウジングの一部として形成しても、該被ロック部と上記ロック縁部との係止により相手コネクタの不用意な抜けを防止することができる。
<第二実施形態>
本実施形態は、ロック金具の規制部によってロック部の変位が規制される点で、ハウジングの規制突部によってロック部の変位が規制される第一実施形態と異なっている。本実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタの基本的な構成は、第一実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタと同じであるので、ここでは、相違点であるコネクタのロック金具の形態を中心に説明し、第一実施形態と共通する部分については同一符号を付して説明を省略する。また、ロック金具については、第一実施形態のロック金具の符号に「100」を加えた符号を付して説明する。
図6は、本実施形態に係るロック金具全体を示す斜視図である。本実施形態におけるロック金具130は、第一実施形態におけるロック金具30と基本的な構成が同じである。
被保持部131は、図6に見られるように、板状をなし、その下縁部で回路基板(図示せず)と半田接続されていて、この半田接続により該回路基板に対するコネクタ1の固定強度の向上が図られている。該被保持部131は、上端寄り位置に四角形状の窓部131Aが該被保持部131の板厚方向に貫通して形成されている。該窓部131Aには、後述のロック部132が進入しており、該窓部131Aを形成する縁部のうち上方の縁部は該ロック部132の上方への変位を規制するための規制部131A−1として形成されている。上記被保持部131を保持するハウジング10は、上記ロック部132が上記窓部131Aに進入することを許容する空間(図示せず)が形成されている。また、上記窓部131Aに代えて、下方に開口した切欠部が形成されていてもよい。
ロック部132は、コネクタ嵌合方向、すなわち上下方向に対して直角な面(仮想面)内で延び左方に開口するU字状をなして形成されている。かかるU字状部分の二つの腕部のうち上記窓部131Aに進入して位置する一方の腕部は、図6に示されているように、該窓部131A内へ進入しており、規制部131A−1の下方に位置している。また、該ロック部132の他方の腕部の下縁は、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62と上下方向で係止するためのロック縁部132Aとして形成されている。
連結部133は、ロック部132の上記他方の腕部の左端から下方へ延びてから左方へ延び、中間部にて右方へ向けて折り返されて被保持部131の左端の下部に連結されている。図6に見られるように、該連結部133の第一腕部133Aおよび第二腕部133Bは、上記ロック部132よりも下方位置で、第一実施形態と同様に、互いに平行に延びている。
このような構成のロック金具130を有するコネクタ1に相手コネクタ2が上方から嵌入されると、嵌合途中において、まず、ロック部132が、被ロック金具60の被ロック部62によって押圧され、該ロック部132および第一腕部133Aが第二腕部133B側へ弾性変位し、ロック部132が被保持部131の窓部131Aへさらに進入する。
相手コネクタ2の嵌入が進行し、上記被ロック部62が上記ロック部132の位置を通過すると、ロック部132および第一腕部133Aが弾性変位状態から解除されて図6に示されるような自由状態に戻り、上記被ロック部62はロック部132のロック縁部132Aと係止可能な状態となり、コネクタ嵌合完了後もこの状態が維持される。
また、相手コネクタ2に不用意な過度の外力が抜出方向(上方)に作用して、該ロック部132が該被ロック部62によって上方へもち上げられたとき、該ロック部132が上記窓部131Aの規制部131A−1に当接し、該ロック部132の上方への変位が規制される。この結果、上記ロック縁部132Aと上記被ロック部62との係止状態が維持されるので、相手コネクタ2の無理な抜けが確実に防止される。また、既述したように、本実施形態では、被保持部131の下縁部が半田接続によって回路基板に固定されているので、上記窓部131Aが上記規制部131A−1の変位を規制する強度は十分に大きく確保されている。
本実施形態では、このように、ロック金具130の規制部131A−1、すなわち金属部分によってロック部132の規制を行うので、合成樹脂製のハウジングの規制突部によってロック部の規制を行う第一実施形態と比較して、規制部の強度を大きくして、より確実にロック部132の規制を行うことができる。
<第三実施形態>
本実施形態は、二つのロック金具部分が底板部によって連結されている点で、第一実施形態と異なっている。本実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタの基本的な構成は、第一実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタと同じであるので、ここでは、相違点であるコネクタのロック金具の形態を中心に説明し、第一実施形態と共通する部分については同一符号を付して説明を省略する。また、ロック金具については、第一実施形態のロック金具の符号に「200」を加えた符号を付して説明する。
図7は、本実施形態に係るロック金具全体を示す斜視図である。本実施形態におけるロック金具230は、金属板を打ち抜くとともに板厚方向で屈曲して作られている。該ロック金具230は、被保持部231、ロック部232、連結部233および解除操作部234が両端部にそれぞれ設けられている。以下、該被保持部231、ロック部232、連結部233および解除操作部234から成る部分を「ロック金具部分」という。
図7に見られるように、ロック金具230は、二つのロック金具部分が後述の底板部235によって連結されて構成されており、該底板部235が延びる方向において該二つのロック金具部分が対称をなして形成されている。本実施形態では、二つのロック金具部分のうち、図7において奥側に位置するロック金具部分および上記底板部235について説明し、手前側に位置するロック金具部分の説明を省略する。
被保持部231は、図7に見られるように、ハウジング10(図示せず)の側壁部の壁面に対して平行に延びる板状をなしている。ロック部232は、上記被保持部231と平行な板状をなし、上下方向に延び下方に開口した切欠部232Aが形成されている。該切欠部232Aを形成する縁部のうち上縁に位置する部分は、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62と上下方向で係止可能なロック縁部232A−1として形成されている。第一実施形態と同様、ロック部232の上部には肩部232Bおよび案内面232Cが形成されている。
図7に示されているように、被保持部231の左端とロック部232の左端の上部とを連結する連結部233は、その中間部分が折り返されて屈曲されて右方へ開口したU字状をなしている。したがって、該連結部233の第一腕部233Aおよび第二腕部233Bは、第一実施形態と同様、互いに平行に延びている。
図7に見られるように、解除操作部234は、上記ロック部232と第一腕部233Aとの連結部分における下縁から延び、ロック部232から離れるように端子配列方向で直状に延びている。ロック金具230をハウジング10に取り付けた状態において、解除操作部234はハウジング外部へ延出する。
図7に見られるように、底板部235は、板面がコネクタ嵌合方向(上下方向)に対して直角をなし両ロック金具部分よりも下方に位置している。また、該底板部235は、上記対向方向での両端部が上方へ向けて屈曲されていて、各ロック金具部分の第二腕部233Bの下縁にそれぞれ連結されている。
このような構成のロック金具230を有するコネクタ1に相手コネクタ2が上方から嵌入されると、嵌合途中において、まず、ロック部232が、被ロック金具60の被ロック部62によって押圧され、ロック部232および第一腕部233Aが第二腕部233B側へ向けて弾性変位する。
相手コネクタ2の嵌入がさらに進行し、上記被ロック部62が上記ロック部232の切欠部232Aの位置に到達すると、ロック部232および第一腕部233Aが弾性変位状態から解除されて図7に示されるような自由状態に戻り、上記被ロック部62はロック部232のロック縁部232A−1と係止可能な状態となり、コネクタ嵌合完了後もこの状態が維持される。
また、相手コネクタ2をコネクタ1から抜出することが必要となったときには、解除操作部234を、上記第一腕部233Aと第二腕部233Bとの対向方向で該第二腕部233Bから離れる方向、すなわち一対の解除操作部234の自由端同士が近づく方向へ押圧する解除操作を行う。この結果、解除操作部234の基部を支点として該解除操作部234が傾くよう変位することにより第一腕部233Aおよびロック部232が上記対向方向で第二腕部233B側へ向けて弾性変位するので、該ロック部232のロック縁部232A−1と被ロック部62とが係止可能な状態から解除されるので、該相手コネクタを容易に抜出できる。
<第四実施形態>
図8は、本実施形態におけるロック金具全体を示す斜視図である。この図8では、本実施形態のロック金具について、第一実施形態のロック金具の符号に「300」を加えた符号を付している。本実施形態は、図8に示されるように、連結部333が被保持部331の左端から延びている点そしてロック部332の右端から突部332Eが突出している点で、連結部が被保持部の右端から延び、ロック部に突部が設けられていない第一実施形態と異なっている。
本実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタの基本的な構成は、第一実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタと同じであるので、ここでは、相違点であるコネクタのロック金具の形態を中心に説明し、第一実施形態と共通する部分については同一符号を付して説明を省略する。
図8に見られるように、本実施形態では、ロック金具330の連結部333は、上下方向から見たときにU字状をなすようにその板厚方向に屈曲されていて、被保持部331の左端の下部とロック部332の左端の下部とを連結している。該連結部333は、端子配列方向(図8にて左右方向)で互いに平行に延びる二つの直状の腕部、すなわち、ロック部332の左端につながる第一腕部333Aおよび被保持部331の左端につながる第二腕部333Bを有している。
本実施形態では、上記第二腕部333Bが被保持部331の左端から延びているので、図2に示される第一実施形態のロック金具30のように、被保持部31の右端と第二腕部33Bとの連結位置で左方へ向けて折り返すようにして全体を略S字状に屈曲させる必要がない。したがって、本実施形態によれば、第一腕部333Aと第二腕部333Bとの対向方向でのロック金具330の寸法を、上記連結位置での屈曲部が一つ少ない分だけ、第一実施形態のロック金具30よりも小さくすることができる。
また、本実施形態では、図8に見られるように、ロック金具330は、ロック部332の右端の下部から突部332Eが右方へ突出している。該突部332Eの上面は、肩部332Bと同様に、ロック部332が上方へ変位したときに、ハウジング10(図示せず)に形成された対応部分に規制される被規制面としての機能を有している。具体的には、上記ハウジング10は、ロック部332を収容する内側凹部17に、上記突部332Eと対応して没した規制凹部が形成されており、該規制凹部の規制面としての上側内壁面と上記突部332Eの被規制面としての上面とが当接可能となっている。このように、ロック部332は、上記肩部332Bに加えて、上記突部332Eをも有しているので、上方へ向けたロック部332の変位をより確実に規制できる。
このような構成のロック金具330を有するコネクタ1に相手コネクタ2が上方から嵌入されると、嵌合途中において、まず、ロック部332が、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62によって押圧され、ロック部332および第一腕部333Aが第二腕部333B側へ向けて弾性変位する。
相手コネクタ2の嵌入がさらに進行し、上記被ロック部62が上記ロック部332の切欠部332Aの位置に到達すると、ロック部332および第一腕部333Aが弾性変位状態から解除されて図8に示されるような自由状態に戻り、上記被ロック部62はロック部332のロック縁部332A−1と係止可能な状態となり、コネクタ嵌合完了後もこの状態が維持される。
<第五実施形態>
図9は、本実施形態におけるロック金具全体を示す斜視図である。この図9では、本実施形態のロック金具について、第四実施形態のロック金具の符号に「100」を加えた符号を付している。図9に見られるように、本実施形態は、連結部433が、被保持部431の左端との連結位置で屈曲されている点で、連結部433が、被保持部431の左端と連結部433の中間部の屈曲位置との間に左右方向で真っ直ぐに延びる第二腕部が介在している第四実施形態と異なっている。本実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタの基本的な構成は、第四実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタと同じであるので、ここでは、ロック金具について、第四実施形態との相違点である連結部を中心に説明する。
図9に示されるように、本実施形態のロック金具430は、連結部433が、被保持部431の左端との連結位置で屈曲されており、図8に示される第四実施形態のロック金具330の第二腕部333Bを省略したような形状をなしている。被保持部431およびロック部432の形状は、第四実施形態の被保持部331およびロック部332の形状と全く同じである。
本実施形態では、コネクタの嵌合途中において、ロック部432が、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62によって押圧され、上記連結部433が弾性変位することにより、ロック部432が上記被保持部431側へ向けて変位する。
本実施形態の連結部433は、屈曲して形成されていて、互いに異なる方向、すなわち端子配列方向(図9にて左右方向)に延びる部分433Aと、該端子配列方向に対して直角に延びる部分433Cとを有している。該連結部433では、この二つの部分433A,433Cのうち一方を短くしても、他方を長く形成することにより、該連結部433の可撓な部分の全長(ばね長)を十分に大きく確保できる。
したがって、上記二つの部分433A,433Cのうち一方の部分433Aを、従来のような一方向のみに延びる弾性腕部よりも短く形成したとしても、本実施形態の連結部433は、他方の部分433Cを有しているので、該連結部433のばね長を十分に大きく確保できる。また、上記一方の部分433Aを従来における上記弾性腕部よりも短く形成できる分、コネクタを小型化することができる。
このように、本実施形態では、上記連結部433を十分なばね長をもって形成できるので、小さな力でも該連結部433が撓みやすくなり、コネクタの嵌合が繰り返し行われても、連結部433において「へたり」が生じにくく、該連結部433の復元力が低下しにくい。この結果、コネクタ嵌合完了時において、ロック部430は相手コネクタ2の被ロック部62と係止可能な位置に確実に戻る。また、連結部433を屈曲して形成することにより、ロック金具430ひいてはコネクタ1の大型化を回避できる。
<第六実施形態>
図10は、本実施形態におけるロック金具全体を示す斜視図である。この図10では、本実施形態のロック金具について、第四実施形態のロック金具の符号に「200」を加えた符号を付している。図10に見られるように、本実施形態は、連結部533が、ロック部532の左端との連結位置で屈曲されている点で、連結部533が、ロック部532の左端と連結部533の中間部の屈曲位置との間に左右方向で真っ直ぐに延びる第一腕部が介在している第四実施形態と異なっている。本実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタの基本的な構成は、第四実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタと同じであるので、ここでは、ロック金具について、第四実施形態との相違点である連結部を中心に説明する。
図10に示されるように、本実施形態のロック金具530は、連結部533が、ロック部532の左端との連結位置で屈曲されており、第四実施形態のロック金具330の第一腕部333Aを省略したような形状をなしている。被保持部531およびロック部532の形状は、第四実施形態の被保持部331およびロック部332の形状と全く同じである。
本実施形態では、コネクタの嵌合途中において、ロック部532が、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62によって押圧されて、上記連結部533が弾性変位することにより、ロック部532が上記被保持部531側へ向けて変位する。
本実施形態の連結部533が、互いに異なる方向、すなわち端子配列方向(図10にて左右方向)に延びる部分533Bと、該端子配列方向に対して直角に延びる部分533Cとを有している点は、図9に示される第五実施形態と同様である。したがって、該連結部533によっても、この二つの部分533B,533Cのうち一方の部分533Bを短くしても、他方の部分533Cを長く形成することにより、ロック金具530ひいてはコネクタ1を大型化させることなく、該連結部533のばね長を十分に大きく確保できる。この結果、連結部533の復元力が低下しにくくなり、コネクタ嵌合完了時に、ロック部530を相手コネクタ2の被ロック部62と係止可能な位置に確実に戻すことができる。
<第七実施形態>
図11は、本実施形態におけるロック金具全体を示す斜視図である。この図11では、本実施形態のロック金具について、第六実施形態のロック金具の符号に「100」を加えた符号を付している。図11に見られるように、本実施形態は、連結部633が、被保持部631およびロック部632のそれぞれとの連結位置で屈曲されている点そして上方へ向けたロック部632の変位がロック金具630によって規制される点で、連結部が、ロック部から真っ直ぐに延びる部分を有しており、上方へ向けたロック部の変位がハウジングによって規制される第六実施形態と異なっている。
本実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタの基本的な構成は、第六実施形態におけるコネクタおよび相手コネクタと同じであるので、ここでは、ロック金具について、第六実施形態との相違点である連結部を中心に説明する。
被保持部631は、ハウジング10の側壁部12の壁面に対して平行に延びる板状をなし、その下縁部で回路基板(図示せず)と半田接続されていて、この半田接続により該回路基板に対するコネクタ1の固定強度の向上が図られている。該被保持部631は、図11に見られるように、上端寄り位置に横長な四角形状の窓部631Aが該被保持部631の板厚方向に貫通して形成されている。該窓部631Aには、後述のロック部632の突部632Eが進入しており、該窓部631Aを形成する縁部のうち上方の縁部は該突部632Eの上方への変位を規制するための規制部631A−1として形成されている。上記被保持部631を保持するハウジングの側壁部12は、上記突部632Eが上記窓部631Aに進入することを許容する空間(図示せず)が形成されている。また、上記窓部631Aに代えて、下方に開口した切欠部が形成されていてもよい。
ロック部632は、上記被保持部631に対して直角な板状をなし、下方に開口した切欠部632Aが形成されている。該切欠部632Aを形成する縁部のうち上縁に位置する部分は、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62と上下方向で係止可能なロック縁部632A−1として形成されている。ロック部632の上部には案内面632Cが形成されている。また、ロック部632は、上記被保持部631寄りに位置する該ロック部632の端縁から突出する突部632Eを有している。該突部632Eは、上記被保持部631の窓部631A内に進入していて、規制部631A−1の下方に位置している。
図11に見られるように、本実施形態では、連結部633は、その中間位置、被保持部631の左端の下部との連結位置、ロック部632の上記被保持部631と離れた側の端縁の下部との連結位置の合計三箇所で直角に屈曲されている。このように屈曲された連結部633は、端子配列方向(図11での左右方向)に延びる部分633Aと、該端子配列方向に対して直角に延びる部分633Cとを有している。
本実施形態では、相手コネクタ2の被ロック金具60は、その板面が相手コネクタ2の側壁部42の壁面と平行をなした姿勢で該相手コネクタ40のハウジング40に保持されている。該被ロック金具60は、上記ロック金具630と対応する位置で、該相手コネクタ2の端壁部43の外面から、固定部61および被ロック部62が端子配列方向に突出している。
本実施形態では、コネクタの嵌合途中において、上記ロック部632が、相手コネクタ2の被ロック金具60の被ロック部62によって、端子配列方向を押圧方向として、端子配列範囲側(図11の右方側)の面が圧せされる。その結果、上記連結部633が弾性変位することにより、ロック部632が上記押圧方向の成分をもって、上記連結部633の端子配列方向に対して直角に延びる部分633C側へ向けて変位する。図11に見られるように、被保持部631の窓部631Aは横長形状をなしていて、上記窓部631A内での突部632Eの変位が許容されているので、上記押圧方向での上記ロック部632の変位が妨げられることがない。
本実施形態の連結部633が、互いに異なる方向、すなわち端子配列方向(図11にて左右方向)に延びる部分633Aと、該端子配列方向に対して直角に延びる部分633Cとを有している点は、図10に示される第六実施形態と同様である。したがって、該連結部633によっても、この二つの部分633A,633Cのうち一方の部分633Aを短くしても、他方の部分633Cを長く形成することにより、ロック金具630ひいてはコネクタ1を大型化させることなく、該連結部633のばね長を十分に大きく確保できる。この結果、連結部633の復元力が低下しにくくなり、コネクタ嵌合完了時に、ロック部632を相手コネクタ2の被ロック部62と係止可能な位置に確実に戻すことができる。
コネクタ嵌合状態、すなわち、上記被ロック部62が上記ロック部632のロック縁部632A−1と係止可能な状態において、相手コネクタ2に不用意な過度の外力が抜出方向(上方)に作用して、該ロック部632が該被ロック部62によって上方へもち上げられたとき、該ロック部632の突部632Eが上記窓部631Aの規制部631A−1に当接し、該突部632Eの上方への変位が規制される。この結果、上記ロック縁部632A−1と上記被ロック部62との係止状態が維持されるので、相手コネクタ2の無理な抜けが確実に防止される。また、既述したように、本実施形態では、被保持部631の下縁部が半田接続によって回路基板に固定されているので、上記規制部631A−1が上記突部632Eの変位を規制する強度は十分に大きく確保されている。
<第八実施形態>
本実施形態は、ロック金具30の被保持部31がハウジング10の端壁部13で保持されている点で、ロック金具30がハウジング10の側壁部12で保持されている第一実施形態と異なっている。本実施形態では、以下、第一実施形態の相違点を中心に説明する。
図12は、本実施形態に係るコネクタ1’を示す斜視図である。該コネクタ1’は、ハウジング10のロック金具保持溝16および内側凹部17が端壁部13に形成されている点で、ロック金具保持溝16および内側凹部17がハウジング10の側壁部12に形成されている第一実施形態のコネクタ1と構成が異なっている。
本実施形態では、図12に見られるように、上記ロック金具保持溝16は上記端壁部13の外面に形成され、上記内側凹部17は該ロック金具保持溝16と対応する位置で上記端壁部13の内面に形成されている。ロック金具保持溝16および内側凹部17自体の形状は、第一実施形態のロック金具保持溝16および内側凹部17の形状と全く同じである。
また、図12に見られるように、本実施形態のロック金具30は、第一実施形態のロック金具30と全く同じ形状の部材である。該ロック金具30は、被保持部31およびロック部32の板面が、端壁部13の壁面と平行をなした姿勢で保持されていて、ロック部32が端子配列方向で変位するようになっている。
本実施形態では、ロック金具30の被保持部31をハウジング10の端壁部13で保持することとしたので、該被保持部31を側壁部12で保持する場合と比較して、ロック金具保持溝16および内側凹部17を側壁部12に形成しなくて済む分、端子配列方向でのコネクタの寸法を小さくできる。
また、本実施形態では、相手コネクタ2の被ロック金具60は、第七実施形態と同様に、その板面が相手コネクタ2の側壁部42の壁面と平行をなした姿勢で該相手コネクタ40のハウジング40に保持されている。該被ロック金具60は、コネクタ1’のロック金具30と対応する位置で、相手コネクタ2の端壁部43の外面から、固定部61および被ロック部62が端子配列方向に突出している。コネクタ嵌合途中にて、上記ロック金具30のロック部32は、上記被ロック金具60の被ロック部62によって端子配列方向に押圧されて同方向に変位する。
本実施形態では、第一実施形態のロック金具30をハウジング10の端壁部13で保持する形態を説明したが、該端壁部に保持されるロック金具はこれに限られず、第二実施形態ないし第七実施形態のロック金具を用いることも可能である。ただし、第三実施形態のロック金具230(図7参照)を用いる場合には、各ロック金具部分を底板部235から切り離したうえで該ロック金具部分を保持させる必要がある。
第一実施形態ないし第六実施形態のロック金具を上記端壁部13に保持させた場合には、該ロック金具のロック部は端子配列方向に変位するが、第七実施形態のロック金具630を上記端壁部13に保持させた場合には、該ロック金具630のロック部632は、端子配列方向に対して直角な方向に変位する。
ロック金具を端壁部13に保持させる場合、一つの端壁部13で保持される二つのロック金具同士を互いに連結して一部材としてもよい。例えば、図8にて二点鎖線で示されているように、ロック金具の被保持部の右端を延ばし、その先に他のロック金具の被保持部を連結して形成することにより、対称をなす二つのロック金具を一部材として作ることが可能である。
本実施形態では、図12に見られるように、一つの端壁部に二つのロック金具が保持されているが、ロック金具の数はこれに限られず、例えば、一つの端壁部に一つのロック金具を設けることとしてもよい。
第五実施形態ないし第七実施形態では、屈曲して形成されたロック金具の連結部は、互いに異なる方向に延びる二つの部分、すなわち、端子配列方向に延びる部分および該端子配列方向に対して直角な部分が、それぞれ真っ直ぐに延びて形成されている。しかし、これら二つの部分のそれぞれの形状は、これに限られず、例えば、折り返すように屈曲されていてもよい。このように、上記二つの部分のうち少なくとも一方を折り返すように屈曲することにより、連結部の全長を長くして、ばね長を大きくすることができる。
例えば、図9に示される第五実施形態のロック金具430において、連結部433の二つの部分、すなわち端子配列方向に延びる一方の部分433A,端子配列方向に対して直角に延びる他方の部分433Cのうち、被保持部431から延びる他方の部分433Cを、上記一方の部分433Aの位置を超える位置まで延長してから折り返すように屈曲し、該一方の部分433Aに連結させることが可能である。
第一、第二、第四ないし第八実施形態では、ロック金具の連結部は、被保持部およびロック部の上下方向に延びる端縁の下部に連結されているが、連結部の連結位置はこれに限られず、上記端縁の上部や中間部であってもよい。また、第三実施形態では、連結部は、被保持部およびロック部の上下方向に延びる端縁の上部に連結されているが、これに代えて、該端縁の下部や中間部に連結されていてもよい。さらに、連結部は、被保持部およびロック部の上縁や下縁に連結されていてもよい。
ロック金具のロック部において、第一、第四、第五、第六、第八実施形態の孔部、第二実施形態のロック縁部の下方の空間および第三および第七実施形態の切欠部は、互いにそれぞれの形状に変更することが可能である。例えば、第一実施形態の孔部を第三実施形態のような切欠部に変更することができる。