以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機の斜視図であり、前方斜め上方から見た図である。
この洗濯機1は、やや縦長のハウジング2によって外殻が構成されている。ハウジング2の上面には給水口9が設けられており、この給水口9に水道等の給水設備が接続される。ハウジング1の前面上方には、操作パネル56が配置されている。操作パネル56を操作することにより、ユーザは、洗濯機1に所望の運転を行わせることができる。
操作パネル56の左横には、洗剤および柔軟材を収容するための収容部7が引き出し可能に配置されている。
ハウジング2の前面は、下から上に見ると、下方部が垂直に立ち上がり、途中から斜め後方に向かって緩く傾斜した面となっている。そして前面の中央部上寄りには、扉6が設けられている。扉6は、正面側から見ると角が丸められた正方形状であるが、その内部には、後述する外槽5を塞ぐための円形のシールパッキン(図示せず)が備えられている。ハウジング2の前面下方には、独立して取り外し可能な前パネル2aが設けられていて、前パネル2aを取り外すことにより、洗濯機1の下方前部が露出し、その下方前部に備えられたポンプ、切替バルブおよびフィルタ等(これらについては後述する)のメンテナンスを容易に行うことができる。
さらに、前パネル2aの右側には、窓80が形成され、窓80は蓋81によって覆われている。蓋81を取り外すと、フィルタ14(後述する)が露出し、フィルタ14で捕獲された糸屑等の除去を容易に行える構成である。
ハウジング2の上面後方は、一段低くされた低段面2bとなっている。この洗濯機1は、ハウジング2の背丈が比較的高いので、設置しようとした場合に、ハウジング2の上部が水道栓と干渉する場合がある。そこで、水道栓が低い場合でも、洗濯機1を支障なく配置できるよう、上部後部に背の低い段差面2bが形成されている。
図2は、この発明の一実施形態に係る洗濯機を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を側方から見た概略側断面図である。以下では、この実施形態に係る洗濯機1およびその構成要素(構成部品)の説明に関し、便宜上、図2における左側を正面(前)側、右側を背面(後)側、上側を上面(上)側、下側を底面(下)側、手前を右側、奥を左側として説明する。
ハウジング2内の中央部には洗濯・脱水槽としてのドラム3が配置されている。
ドラム3は、円筒状をしており、同じく円筒状の外槽5内に同軸状に収容されている。この実施形態では、ドラム3および外槽5が洗濯槽を構成しており、ドラム3の前方が斜め上方を向くいわゆる斜めドラム配置構造になっている。ドラム3および外槽5の前端面は開放しており、それを扉6が塞いでいる。外槽5の後端面後方には図示しないモータが備えられ、ドラム3はモータ(図示せず)によりドラム3の中心軸を中心に回転される。
ハウジング2上面の給水口9には、4方弁である第1切替バルブ44を介してハウジング2内に配置された給水管8が接続されている。給水管8の、給水口9に接続された一端とは反対側の他端は、外槽5の周面壁の最上部に接続され、給水管8を介して給水口9と外槽5内は連通している。給水管8の途中部には、上述した収容部7が配置されている。
収容部7は、ハウジング2の前方へ引き出し可能なボックス(図示せず)を有し、ボックス内は洗剤収容室および柔軟剤収容室に区画されている。ボックスが引き出され、洗剤および柔軟剤がそれぞれの収容室に収容され、ボックスが押し込まれることにより、洗剤および柔軟剤のセットが完了する。そして、収容部7に給水管8から水が供給されると、洗剤収容室と柔軟剤収容室とにそれぞれ収容された洗剤および/または柔軟剤は、給水管8を介して供給された水に溶解して外槽5内に供給される。なお、洗剤および/または柔軟剤が溶解されていない水を外槽5内に供給することも選択的に可能である。
また、収容部7には、その後側面の上下方向途中に、呼び水管48の一端が接続されている。呼び水管48は、その他端がハウジング2内に備えられた供給ポンプ33に接続されており、ハウジング2内で水を汲み出すために供給ポンプ33を駆動させるときに、収容部7から供給ポンプ33に呼び水を供給するものである。
給水管8は、第1切替バルブ44にて洗剤用給水管42と柔軟剤用給水管43とに分岐し、洗剤用給水管42および柔軟剤用給水管43は収容部7で合流する。
そして、第1切替バルブ44は、給水口9からの水が流入する入口と洗剤用給水管42につながる洗剤用水出口45と柔軟剤用給水管43につながる柔軟剤用水出口46とを備えている。
そのため、第1切替バルブ44を切替えることにより、第1切替バルブ44の入口から流入する水を、洗剤用水出口45から洗剤用給水管42を介して収容部7の上述した洗剤収容室へ流すこと、または柔軟剤用水出口46から柔軟剤用給水管43を介して収容部7の上述した柔軟剤収容室へ流すことが選択的に可能である。
次に、この洗濯機1による洗濯および脱水について具体的に説明する。洗濯をする衣類は、扉6が開けられて、ハウジング2の前面からドラム3内に収容される。扉6が閉められた後、洗濯時には、外槽5に給水管8からの水が溜められる。外槽5は空密的、液密的に構成されているが、ドラム3はその周面に多数の小孔が形成されている。従って、外槽5に水が溜められると、溜められた水はドラム3内にも入り、洗浄用の水がドラム3内にも溜まる。ドラム3の内周面には、適宜の箇所に図示しないバッフルが突設されている。ドラム3がモータ(図示せず)により回転されると、ドラム3内の水を含んだ衣類はバッフル(図示せず)により持ち上げられ、自然落下されるいわゆる叩き洗いが行われる。
外槽5の最下端部、すなわち後端面下方には、後方に向けて開いた排水口10が形成され、その後方側に排水バルブ12が取り付けられている。そして排水バルブ12には下方に延びる排水管11が接続され、その途中にはフィルタ14および第2切替バルブ13が、この順で介挿されている。なお、排水管11は、実際には途中で折れ曲がり、その開口部がハウジング2の右側面下端部から露出される(図1参照)。
このフィルタ14には、排水管11とは別に、分岐管15が接続されており、第2切替バルブ13を切替えることで、フィルタ14を通過する水を、引き続き排水管11に沿ってハウジング2外へ排出するか、分岐管15へ流出させるかを選択することができる。
排水口10を外槽5の後方へ向けて開口し、その後方に排水バルブ12を配置することにより、排水口10および排水バルブ12の位置を、外槽5の最下端部の高さとほぼ等しい位置にすることができる。これにより、外槽5の下方に配置される各種構成要素の配置空間に、排水口10および排水バルブ12が入り込まず、各種構成要素の配置空間を広く確保することができる。特に、洗濯機1が運転されると、外槽5は振動するため、外槽5に固定されている排水口10や排水バルブ12が、外槽5よりも下方に突出していると、外槽5の振動に伴い排水バルブ12も一緒に振動するので、その振動分を勘案して下方空間を空けておく必要がある。この実施形態では、外槽5の後方を利用して排水口10および排水バルブ12を配置したので、外槽5の下方空間を他の構成要素を配置するために良好に活用することができる。
排水バルブ12および第2切替バルブ13が「開」にされると、外槽5内の水がハウジング2外へ排出される。その一方で、排水バルブ12が「開」にされて第2切替バルブ13が「閉」にされると、外槽5内の水は、フィルタ14を介して分岐管15へ流出する。
そして、外槽5内の水が排出された後、モータ(図示せず)によってドラム3が脱水回転(高速回転)され、衣類に含まれる水分が脱水される。
この実施例に係る洗濯機1は、洗濯および脱水に加えて、乾燥を行うことができる。そのために、外槽5の後端面下方には、乾燥風路16の出口17が接続されている。乾燥風路16は、外槽5の後端面沿いに斜め上方に延び、外槽5の上部沿いに前方側へ回り込み、外槽5の上部周面に沿って前方へと延び、その先端は、外槽5の前方周面に入口18として接続されている。これにより、外槽5内部と乾燥風路16とは連通している。この乾燥風路16は、外槽5の後端面沿いに斜め上方へ延びる領域が、除湿パイプ19として機能している。衣類が乾燥されることで、衣類に含まれる水分は気化して水蒸気となり、その水蒸気を含むドラム3内の高温多湿の空気は、出口17から出て除湿パイプ19内を上方へ移動する。その際、除湿パイプ19内では、熱交換用給水管49から供給される水が落下される。詳しくは、熱交換用給水管49は、その一端が第1切替バルブ44に接続され、その他端が除湿パイプ19の上部に接続されている。そのため、第1切替バルブ44を切替えることにより、給水口9からの水が、熱交換用給水管49から除湿パイプ19内に落下される。なお、熱交換用給水管49とは別に、熱交換用タンク水給水管24からも除湿パイプ19内に水が供給され得る。熱交換用タンク水給水管24については、後に詳説する。
除湿パイプ19内を水が落下されると、その水と高温多湿の空気とが熱交換をして、高温多湿の空気の冷却および除湿が行われる。そして、水と除湿された際に液化した水分とは、除湿パイプ19内を落下した後、出口17から外槽5を介して排水口10に達する。
乾燥風路16内には、空気の流れ方向に見て、除湿パイプ19の下流側にフィルタ20が内挿され、さらにその下流側にはブロア21が設けられている。ブロア21が回転されることによって、ドラム3内の空気が出口17から出て乾燥風路16内を移動され、入口18から再びドラム3内へと供給される。乾燥風路16のブロア21よりも下流側には、ヒータ22が内挿されている。乾燥風路16を通る空気は、除湿パイプ19において除湿され、その後、ヒータ22によって加熱されて、入口18からドラム3へと供給される。
ドラム3の下方には、貯水槽としてのタンク4が設けられている。このタンク4は、外槽5に溜められて使用された後の水を溜めるためのものであり、密閉構造をしたタンクである。外槽5の水をタンク4に導くために、分岐管15の、フィルタ14に接続されている一端とは反対側の他端がタンク4内で開口している。詳しくは、分岐管15の途中には貯水バルブ25が介挿されており、分岐管15は、フィルタ14から貯水バルブ25までの範囲においては、フィルタ14から貯水バルブ25に向かって斜め上方に延び、貯水バルブ25からは下方に延びてタンク4の上面を貫通し、分岐管15の他端がタンク4内の上下方向途中に配置されている。
そのため、外槽5の水は、第2切替バルブ13が閉じられ、排水バルブ12および貯水バルブ25が開かれることにより、タンク4内へ導かれる。
また、タンク4には、エア抜きホース51の一端が接続されている。エア抜きホース51は、タンク4から外槽5の後方を通って上方に延び、その他端が除湿パイプ19の上部に接続されている。これにより、タンク4内部と乾燥風路16とは連通している。
タンク4には、タンク4内に入口26が開口した溢水路としての圧力調整用排水管29が備えられている。圧力調整用排水管29の途中には逆止弁28が介在されている。そして、圧力調整用排水管29の出口側は排水管11の第2切替バルブ13よりも下流側に合流されている。
圧力調整用排水管29には、また、オーバーフロー管23が接続されている。そのため、外槽5内に所定量以上の水が供給された場合、その所定量以上の水が、オーバーフロー管23により外槽5の外部にオーバーフローされ、排水管11を介して機外へ排出される。
タンク4には、タンク4内に溜められた水を循環させるために、その側方に形成された出口31および入口30間を連通する循環管32が設けられている。循環管32には、出口31から入口30に向かって順番に、供給ポンプ33、第3切替バルブ34およびエゼクタ35が、水の循環方向に沿うように介挿されている。
第3切替バルブ34は5方弁であり、供給ポンプ33から吐出されて1方向から流入する水を4方向のいずれかへ流出させるように切替える。すなわち、エゼクタ35を介して入口30からタンク4へ水を戻すための第1出口36、第2出口37、第3出口38および第4出口39を有する。
第2出口37には、タンク排水管40がつながっており、タンク排水管40は圧力調整用排水管29の逆止弁28よりも下流側に合流されている。
第3出口38には、上述した熱交換用タンク水給水管24の一端が接続されている。熱交換用タンク水給水管24の他端は、除湿パイプ19の上部に接続されている。
第4出口39には、タンク水給水管41の一端がつながっており、タンク水給水管41の他端は、収容部7を介して給水管8に接続されている。
そのため、第3切替バルブ34を切替えることによって、タンク4内の水を、供給ポンプ33で汲み出し、循環管32を通して循環させることができる。
また、第3切替バルブ34を切替えることによって、タンク4内の水を、供給ポンプ33で汲み出し、タンク排水管40、圧力調整用排水管29および排水管11を介して機外へ排水させることができる。
また、第3切替バルブ34を切替えることによって、タンク4内の水を、供給ポンプ33で汲み出し、熱交換用タンク水給水管24を介して除湿パイプ19に供給することができ、水道水に代えて、この水と除湿パイプ19内の高温多湿の空気とを熱交換をさせて、高温多湿の空気の冷却および除湿を行わせることができる。
さらに、第3切替バルブ34を切替えることによって、タンク4内の水を、供給ポンプ33で汲み出し、タンク水給水管41から給水管8へ送り、洗濯に再利用するために外槽5へ溜めることができる。
タンク4の近傍には、オゾン発生装置47が設けられている。オゾン発生装置47は、図示しないフィルタを介して取り込んだ空気に対し無声放電を行ってオゾンを発生する装置である。オゾン発生装置47を通過した空気にはオゾンが含まれている。
この実施形態では、オゾン発生装置47から出力されるオゾンを含む空気を、第1供給路53を用いてエゼクタ35へ与える。第1供給路53を通って供給されるオゾンは、エゼクタ35において、循環されているタンク4内の水に混合される。より具体的には、エゼクタ35において、エゼクタ35を水が通過する際に生じる負圧により、第1供給路53から供給されるオゾンを含む空気が水内に細かな泡として混入する。そして、水内に、色素、臭い成分および雑菌が含まれていた場合、これらはオゾンにより酸化され、タンク4内の水は、脱色、脱臭および除菌される。
エゼクタ35を介してタンク4内の水にオゾンが供給され続けると、オゾンの供給に伴いタンク4内の圧力が増加して、供給されるオゾンによりタンク4から水が押し出される。オゾン発生装置47からは、オゾンだけが出力されるのではなく、オゾンを含む空気が出力されるので、このオゾンを含む空気はエゼクタ35において細かな気泡となって水に混ざり込む。水に混ざり込んだ細かな気泡のうち、オゾンは、水中で酸化反応により消滅するが、空気はタンク4内の上方に次第に溜まり、タンク4内の水を加圧する。エア抜きホース51によってタンク4内の空気の一部は乾燥風路16へと逃がされるが、タンク4内の気圧が上昇すると、タンク4内の水は、入口26から、圧力調整用排水管29および排水管11を通って、ハウジング2外へ排出される。排出される水の量は、タンク4に供給されるオゾンの量に応じて変化する。
なお、排出される水は、供給されるオゾンにより浄化された水であり、しかも、オゾンは酸化反応により消滅している。よって、排出される水は浄化された無害な水である。
また、上述したように、タンク4内部と外槽5内部とは、圧力調整用排水管29およびオーバーフロー管23を介して連通している。このため、タンク4内に溜められた水が、タンク4内の空気圧と外槽5内の空気圧との差に応じて排水されるに止まり、タンク4内の水がハウジング2外へ排出され過ぎることを防止できる。
オゾン発生装置47で発生されるオゾンを含んだ空気は、さらに、第2供給路54によって乾燥風路16へ与えられる。与えられる位置は、乾燥風路16におけるフィルタ20の下流側で、ブロア21の上流側(ブロア21の吸い込み側)である。ブロア21が回転すると、その吸い込み側が負圧となり、第2供給路54を介してオゾンを含む空気がブロア21へと吸い込まれる。そして乾燥風路16を循環される空気にオゾンが混入されて、オゾンは入口18からドラム3へと供給される。乾燥風路16を空気が循環されるのは、ドラム3内の衣類が乾燥される際である。このため、乾燥される衣類に対し、オゾンが供給され、衣類に付着されている臭い成分や、雑菌成分は、供給されるオゾンにより酸化されて、消臭され、あるいは除菌される。
このように、この実施形態に係る洗濯機1では、オゾン発生装置47で発生されるオゾンを、2通りに活用している。1つは、タンク4にドラム3および外槽5で使用した後の水を溜めることにより、溜めた水の脱色、脱臭、除菌および汚れの分解といった浄化に活用している。また、水の浄化とは別に、オゾンを乾燥運転中のドラム3に供給することにより、乾燥される衣類の脱臭や除菌に活用している。
また、ドラム3を収容した外槽5は、液密的かつ空密的な構造であり、オゾン発生装置47で発生されるオゾンは、タンク4および外槽5がオーバーフロー管23およびエア抜きホース51でつながれている構造上、タンク4と外槽5との間を流通はするが、ハウジング2から外部に漏れることはない。よって、オゾン臭等が外部に漂ったりしない、安全でかつ使用上の不都合のない装置とすることができる。
なお、排水バルブ12、貯水バルブ25、第2切替バルブ13、排水管11および分岐管15は、貯水制御手段として機能し、第1切替バルブ44、給水管8、給水口9、タンク水給水管41、第3切替バルブ34、供給ポンプ33および循環路32は給水手段として機能する。また、循環路32、供給ポンプ33および第3切替バルブ34は循環手段として機能し、循環路32、供給ポンプ33、第3切替バルブ34、タンク排水管40、圧力調整用排水管29および排水管11は排水手段として機能する。
この実施形態に係る洗濯機1の特徴は、洗濯槽(ドラム3および外槽5)とタンク4との洗浄およびこの洗浄を行う実行手段にあり、以下にて説明する。
図3は、図1および図2に示す洗濯機における制御回路構成ブロック図であって、洗濯槽(ドラムおよび外槽)とタンクとの洗浄に関連する部分を示したものである。
図3に示すように、洗濯機1には、たとえばマイクロコンピュータ等で構成された、貯水槽自動洗浄運転実行手段、洗浄運転実行手段およびすすぎ運転実行手段としての制御部55が備えられている。
制御部55は、操作パネル56の操作、ならびに内蔵するカウンタ58に応じて、排水バルブ12、第2切替バルブ13、ブロア21、ヒータ22、貯水バルブ25、供給ポンプ33、第3切替バルブ34、第1切替バルブ44、オゾン発生装置47、ドラム3およびドアロック60の切り換え制御を行う。
カウンタ58は、洗濯機1における洗濯回数をカウントするものである。
ドアロック60は、扉6を、閉じた状態でロックするものである。
操作部56は、ハウジング2の前側上端部の表面に設けられ、その中には、表示手段としての運転状況表示パネル66および各種操作キーが配置されている。
運転状況表示パネル66は、洗濯機1の運転状況を示すものである。これにより、ユーザは、運転状況を容易に把握することができ、洗濯機1の使い勝手が良い。
また、操作キーの中には、本実施例に関連するものとして、洗浄キー64および貯水槽自動洗浄運転停止手段としての停止キー65があり、これらをユーザが操作することにより、各キー操作に対応する信号が制御部55に入力される。
洗浄キー64は、洗濯槽(ドラム3および外槽5)およびタンク4の洗浄を行うときに押すキーである。
停止キー65は、洗濯機1の各運転を停止させるときに押すキーである。
この洗濯機1では、洗濯が開始されると、たとえば以下の、洗い工程→脱水→すすぎ1工程→脱水→すすぎ2工程→脱水→乾燥工程、の順で洗濯乾燥コースが行われる。
洗濯乾燥コースでは、制御部55は、図2に示すように、排水バルブ12を閉じてから、第1切替バルブ44を切替えて、水道栓(図示せず)からの水道水を、給水管8を介して外槽5に溜め、また収容部7に収容した洗剤を水道水に溶解させながら外槽5内へ供給し、そしてモータ(図示せず)を駆動してドラム3を回転させて衣類を洗う洗い工程を行う。なお、洗い工程において予めタンク4に溜められた水が外槽5に供給されてもよい。
洗い工程終了後、制御部55は、貯水バルブ25を閉じてから、排水バルブ12および第2切替バルブ13を開き、洗い工程に用いられた外槽5内の洗い水を、排水管11から機外へ排出する脱水を行う。脱水において、制御部55はドラム3を高速回転させるので、衣類に含まれた洗濯水も機外へ排出される。
脱水終了後、制御部55は、排水バルブ12および第2切替バルブ13を閉じ、第1切替バルブ44を切替えて、水道栓(図示せず)からの水道水を、給水管8を介して外槽5に溜め、モータ(図示せず)を駆動してドラム3を回転させて、衣類をすすぐすすぎ工程を行う。
制御部55は、貯水バルブ25を閉じ、排水バルブ12および第2切替バルブ13を開いてすすぎ工程に用いられたすすぎ水を排水管11から機外へ排出する。
すすぎ工程終了後、制御部55は、すすぎ水の脱水を行い、脱水終了後、すすぎ工程を再度行う。なお、先のすすぎ工程が、上述したすすぎ1工程であり、すすぎ1工程の後のすすぎ工程がすすぎ2工程である。また、すすぎ2工程において、制御部55は、第2切替バルブ13を閉じ、排水バルブ12および貯水バルブ25を開いて、すすぎ水を分岐管15に流してタンク4に溜める。なお、この洗濯機1においては、タンク4内に溜められた水の、洗濯での使用有無にかかわらず、すすぎ2工程に用いたすすぎ水はタンク4に導かれる。そのため、タンク4内に溜められる水が所定量を上回った場合には、その超過分が機外へ排出される。また、すすぎ2工程以降の脱水において、外槽5内の水は、機外へ排出されずに分岐管15を介してタンク4へ導かれてもよい。
そして、すすぎ2工程終了後、制御部55は、すすぎ水の脱水を行い、脱水終了後、以下に述べる乾燥工程を行う。
乾燥工程において、制御部55は、ヒータ22をONし、ブロア21およびドラム3を回転させ、熱風を乾燥風路16、ドラム3および外槽5内で循環させ、ドラム3内の衣類に含まれる水分を気化させて、衣類の乾燥を行う。このとき、制御部55は、第1切替バルブ44を切替えて、水道栓(図示せず)からの水道水を、熱交換用給水管49から除湿パイプ19内に落下させることにより、上述したように、気化した水分(水蒸気)を液化させる。なお、制御部55は、供給ポンプ33を駆動し、第3切替バルブ34を切替えて、タンク4内に溜められた水を、上述した水道水に代えて、熱交換用タンク水給水管24から除湿パイプ19内に落下させてもよい。そして、制御部55は、排水バルブ12を開き、貯水バルブ25または第2切替バルブ13を開いて、除湿パイプ19内に落下された水および液化した水分を、貯水バルブ25を開く場合にはタンク4に溜め、第2切替バルブ13を開く場合には機外へ排出する。
また、乾燥工程において、制御部55は、図示しない温度センサが測定する出口17の温度を、時間の経過とともに常に監視している。出口17の温度は、ヒータ22によって加熱され、入口18からドラム3内に入り、衣類の水分を吸収して出口17を通過する空気の温度である。制御部55は、出口17の温度によって、衣類の乾燥の度合いを判断する。詳しくは、出口17の温度が所定温度(ハイリミッタ)に達したか否かにより、衣類の乾燥がほぼ完了したか否かの判別をする。
そして、衣類の乾燥がほぼ完了に乾燥したとき、図示しないタイマにより予め定めた設定時間(衣類の量によって変動する)、たとえば出口17の温度が上記した所定温度を所定時間維持するように、ヒータ22が制御部55によって適宜ONまたはOFFされる。出口17の温度の制御を開始すると同時に、制御部55は、ドアロック60をONして扉6を閉じた状態でロックし(以前からロックされているのであれば省略される)、オゾン発生装置47を動作させる。これにより、オゾン発生装置47で発生されるオゾンを含む空気は、第2供給路54を通って乾燥風路16に与えられ、入口18からドラム3内の衣類へ供給される。このため、衣類の消臭および除菌が行われる。このように、衣類の乾燥がほぼ完了してから、衣類にオゾンを浴びせるので、オゾンが衣類の内部にまで効率よく浸透し、衣類の消臭および除菌の効果を向上することができる。また、扉6はロックされており、不用意に開かれることがないので、ドラム3内に供給されたオゾンが漏れ出す心配もない。
そして、上記した設定時間までドラム3内にオゾンを供給した後、制御部55は、オゾン発生装置47の作動を停止させ、ヒータ22をOFFし、オゾンの供給を停止する。なお、ブロア21およびドラム3の回転は継続されており、加熱されていない空気がドラム3内に供給されて、所定温度まで衣類を冷却するいわゆるクールダウン運転が、所定時間行われる。このクールダウン運転中において、ドラム3を含めたハウジング2内全てのオゾンが酸化反応により消滅し、オゾンの濃度は人体にとって影響のないレベルにまで低下する。また、扉6は、ドラム3内へのオゾン供給開始時からクールダウン運転が終了した後も、引き続き、所定時間ロックされており、不用意に開かれることがないので、オゾンが漏れ出す虞はなく、オゾンの制御が安全なものとなる。その後、ブロア21およびドラム3が回転を停止され、乾燥工程は終了する。このため、乾燥工程終了後に、ユーザが扉6を開けたときに、オゾン臭等が外部に漂ったりせず、安全である。また、衣類も冷却されているので快適に取り出すことができる。
なお、上記の例では、衣類の乾燥がほぼ完了したときにオゾンの供給を開始したが、衣類の乾燥が完全に完了してからオゾンの供給を開始してもよい。この場合、オゾンが衣類の内部にまでさらに効率よく浸透し、衣類の消臭および除菌の効果を一層向上することができる。また、洗い工程前の乾燥した衣類にオゾンを予め供給することで、衣類の消臭および除菌効果をより一層向上することができる。
また、制御部55は、操作パネル56の図示しないオゾン洗浄キーの操作に応じ、または洗濯の各工程において、第3切替バルブ34を切替え、供給ポンプ33を駆動してタンク4内の水をタンク4と循環路32との間で循環させ、そしてオゾン発生装置47を動作させ、発生したオゾンを、第1供給路53およびエゼクタ35を介して循環路32内の水に混合させ、タンク4内の水を、脱色、脱臭および除菌してもよい。
以上が洗濯乾燥コースの流れに沿った、制御部55の動作である。
(タンク自動洗浄運転)
この洗濯機1においては、上述したように、すすぎ水および脱水に用いた水をタンク4に溜めて浄化し、次回の洗濯に用いることができる。しかし、タンク4に溜められた水は、オゾンにより浄化されても、ある程度の時間が経過すると、雑菌が繁殖し、洗濯には利用できなくなる。また、そのような雑菌が繁殖した水を蓄えるタンク4内にも雑菌が繁殖するので、タンク4内を衛生的に維持するために、制御部55は、定期的にタンク4内を洗浄するタンク(貯水槽)自動洗浄運転を行う。
詳しくは、空のタンク4内に水が溜められると(より詳しくは、タンク4内に溜められた水のオゾンによる浄化が完了した後に)、制御部55は、図3に示すように、カウンタ58に、このときの洗濯を1回目としてカウントを開始させる。
そして、次回の洗濯において、タンク4内に溜められた水の、洗濯での使用有無にかかわらず、カウンタ58は2回目のカウントをする。その後の洗濯においてもカウンタ58はカウントを継続し、たとえば、10回目のカウントがなされると、制御部55は、10回目のカウントがなされた洗濯の次回、すなわち11回目の洗濯における、すすぎ2工程、すなわち洗濯における最後のすすぎ工程において、タンク4の洗浄を行う。
図4は、タンク自動洗浄運転を説明するタイミング図であり、この図に沿って、タンク自動洗浄運転を経時的に説明する(図4に示す構成要素以外については図2を参照)。
すすぎ2工程の終盤(T1)においては、ドラム3の回転は停止されており、タンク4内に設けられたタンク水位センサ61はOFFされ、排水バルブ12、貯水バルブ25および第1切替バルブ44は閉じられ、第2切替バルブ13は開かれ、第3切替バルブ34はリセット状態(タンク水給水管41と第4出口39とがつながっている状態)にあり、供給ポンプ33は駆動されておらず、オゾン発生装置47は動作されていない。なお、タンク水位センサ61は、タンク4内に所定水位の水、たとえばタンク4の最大貯水量の半分(約20L)の量に相当する水が溜められているかを検出するものであり、所定水位以上の水が溜められていればONされ、所定水位未満であればOFFされる。
そして、すすぎ2工程が完了されて(T2)、その後、たとえば5秒経過すると、排水バルブ12が開かれ、外槽5内のすすぎ水は排水管11から機外へ排出される。
その後、制御部55は、第1切替バルブ44を開き、給水口9からの水道水が給水管8および外槽5を介して排水管11に流出する(T3)。また、貯水バルブ25が開かれて第2切替バルブ13が閉じられるので、排水管11に流出した水道水は、分岐管15からタンク4内に溜められる。これにより、タンク4内の水位が上昇し、タンク水位センサ61がONされる。
そして、タンク水位センサ61がONされてから、たとえば2分経過し、タンク4内への給水が完了すると、第1切替バルブ44および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13が開かれる(T4)。なお、排水バルブ12は継続して開かれているので、外槽5内の水が排水管11から機外へ排出される。そして、供給ポンプ33が駆動され、第3切替バルブ34が切替えられて(ONされて)第1出口36と循環路32とがつながることにより、タンク4内の水は、循環路32およびタンク4内で循環される。また、オゾン発生装置47が動作され、オゾンが第1供給路53およびエゼクタ35を介してタンク4内へ供給されることにより洗浄手段として機能し、タンク4内の浄化が行われる。なお、たとえば塩素を含んだ専用の洗浄剤を洗浄手段としてタンク4内へ供給し、その洗浄剤でタンク4内の浄化を行ってもよい。もちろん、オゾンおよび洗浄剤を併用しても構わない。また、外槽5内では、モータ(図示しない)が正転駆動され、ドラム3が脱水回転される。ドラム3の回転は、一定の回転数に至るとその回転数が維持される。ドラム3の脱水回転により、ドラム3内の衣類に含まれる水分が脱水され、排水管11を介して機外へ排出される。
そして、オゾン発生装置47の動作が停止され、第3切替バルブ34が切替えられて第2出口37とタンク排水管40とがつながり、タンク4内の水は、供給ポンプ33に汲み出されてタンク排水管40、圧力調整用排水管29および排水管11を介して機外へ排出される(T5)。これにより、タンク4内の水位は低下し、タンク水位センサ61がOFFされる。
タンク水位センサ61がOFFされてから、ドラム3の回転数が低下され、ドラム3の回転が停止されると、排水バルブ12が閉じられる(T6)。その後、供給ポンプ33の駆動が停止される(T7)。そして、第3切替バルブ34がリセット状態に切替えられてタンク自動洗浄運転が完了する。このとき、図示しないブザーを鳴らすことにより、タンク自動洗浄運転が完了したことをユーザに知らせてもよい。なお、ドアロック60は、本体ケーシング2内の全てのオゾンが酸化反応により消滅するまで、所定の時間ONされたままである。また、タンク水位センサ61がOFFされてからT7までの間は、たとえば3分間であり、T7では、タンク4内の水が全て排出される。
このような、タンク自動洗浄運転により、洗濯回数が所定回数に達する毎にタンク4内が洗浄されるので、タンク4内を清潔に保つことができ、衛生的な洗濯機1を提供することができる。また、きれいな水道水を用いてタンク自動洗浄運転が行われることにより、タンク4内は一層清潔に洗浄される。さらに、オゾンまたは洗浄剤が用いられるので、タンク4内はより一層清潔に洗浄される。そして、タンク自動洗浄運転後には、タンク4内は空になるのでタンク4内を清潔に保つことができる。また、タンク4内に供給されたオゾンまたは洗浄剤の洗浄力は、きれいな水道水には費やされず、タンク4の洗浄に集中されるので、タンク4は効果的に洗浄される。
タンク自動洗浄運転は、上述したように、制御部55が所定の洗濯回数毎に行う運転であるので、ユーザが介入することはないが、ユーザは、タンク自動洗浄運転を行いたくない場合には、停止キー65(図3参照)を押してタンク自動洗浄運転の実行をキャンセルすることができる。これにより、洗濯機1の使い勝手を向上することができる。
そして、タンク自動洗浄運転とは別に、ユーザが洗浄キー64(図3参照)を押すことで、貯水槽(タンク4)および洗濯槽(ドラム3および外槽5)の洗浄運転(貯水槽洗浄運転および洗濯槽洗浄運転)ならびにすすぎ運転(貯水槽すすぎ運転および洗濯槽すすぎ運転)を行うことができる。なお、貯水槽洗浄運転とは、洗浄運転においてタンク4に関連する運転のことであり、同様に洗濯槽洗浄運転は、洗濯槽に関連する運転のことである。また、貯水槽すすぎ運転とは、すすぎ運転においてタンク4に関連する運転のことであり、同様に洗濯槽すすぎ運転は、洗濯槽に関連する運転のことである。
図5は、洗浄運転を説明するタイミング図であり、図5Aは、洗浄運転開始時においてタンク4内に水が溜められていない(タンク水位センサ61がOFF)場合におけるものであり、図5Bは、図5Aにおいて、タンク4および外槽5内の水の水位を抜き出して示したものである。そして、図5Cは、洗浄運転開始時においてタンク4内に予め水が溜められている(タンク水位センサ61がON)場合におけるものであり、図5Dは、図5Cにおいて、タンク4および外槽5内の水の水位を抜き出して示したものである。図6は、すすぎ運転を説明するタイミング図であり、図7は、つけおき運転を説明するタイミング図である。
図3に示すように、洗浄キー64を押すと、制御部55が、図5および図6のタイミングに沿って、洗浄運転およびすすぎ運転を行う。なお、洗浄運転およびすすぎ運転が完了するまでの残り時間が、操作パネル56の図示しない時間表示窓に表示される。
(洗浄運転)
<1>洗浄運転開始時においてタンク4内に水が溜められていない場合
図5AおよびBに示すように、洗浄運転が開始されると、第1切替バルブ44が開かれ、給水口9からの水道水が外槽5に溜められる(T1)。なお、T1において、タンク4および外槽5内の水位は共に空(0L)である。
そして、所定の水位(洗浄剤供給水位、たとえば約10L)まで外槽5に水が溜められたことを外槽5に設けられた外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられる(T2)。このとき、扉6を開いて、上記した洗浄剤を外槽5内に供給することができる。なお、洗浄剤供給水位(約10L)まで外槽5に水が溜められてから洗浄剤が供給されることにより、この洗浄剤は、水に溶解することができる。そのため、水に溶解することなく直接洗濯槽に洗浄剤が供給される場合と比べて、洗濯槽の部品が洗浄剤により劣化される懸念を解消することができる。これにより、洗濯機1の安全性を向上することができる。
そして、T2から、たとえば1分経過すると、外槽5内に洗浄剤が供給されていなくても、ドアロック60がONされ、第1切替バルブ44が開かれ、給水口9からの水道水が外槽5に溜められる(T3)。なお、ドアロック60は、洗浄運転およびすすぎ運転が完了するまでONされる。
そして、所定の水位(槽洗浄水位、たとえば約30L)まで外槽5に水が溜められたことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられ、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T4)。ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転されること(攪拌運転)により、洗濯槽内に供給された洗浄剤を水に対してむらなく(溶け残しなく)溶解させることができ、洗濯槽の洗浄効果を向上させることができる。これにより衛生的な洗濯機1を提供することができる。
そして、ドラム3の回転が、たとえば2分間続けられると、貯水バルブ25が開かれ、かつ第2切替バルブ13が閉じられる(T5)。
その後、排水バルブ12が開かれる(T6)。これにより、外槽5内の、洗浄剤が攪拌された水が分岐管15を介してタンク4内に溜められ、外槽5内の水位は下がる。このように、洗浄剤が攪拌されてむらなく溶解した水がタンク4に溜められるので、タンク4の洗浄効果を向上させることができ、衛生的な洗濯機1を提供することができる。
そして、外槽5の水位が、洗浄剤供給水位(約10L)まで下がったことを外槽水位センサ57が検出し、かつタンク4内に、タンク4の最大貯水量の半分(約20L)の水が溜められたことをタンク水位センサ61が検出すると、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13および第1切替バルブ44が開かれる(T7)。これにより、給水口9から水道水が外槽5内に溜められる。
そして、槽洗浄水位(約30L)まで外槽5に水が溜められたことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられ、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T8)。これと同時に、第3切替バルブ34が切替えられて第1出口36と循環路32とがつながる。そして、供給ポンプ33が駆動されることにより、タンク4と循環路32との間でタンク4内の水が循環する(T9)。このため、洗浄剤を含んだ水がタンク4内で循環すること(循環洗浄運転)により、タンク4の洗浄効果を向上させることができる。また、この循環洗浄運転は、上述したように、タンク4の最大貯水量の半分の水が溜められてから行われる。このため、循環洗浄運転におけるタンク4内の水の流量および循環速度を最適化することができ、循環洗浄運転によるタンク4の洗浄効果を向上させることができる。よって衛生的な洗濯機1を提供することができる。
そして、ドラム3の回転(攪拌運転)が、たとえば2分間続けられると、供給ポンプ33の駆動が停止される(T10)。これと同時に貯水バルブ25が開かれ、第2切替バルブ13が閉じられ、かつ第3切替バルブ34が切替えられてリセット状態に戻された後に、排水バルブ12が開かれる(T11)。これにより、外槽5内の、洗浄剤が攪拌された水がタンク4に溜められる。
外槽5内の水位が排水停止水位(約20L)まで減少したことを外槽水位センサ57が検出すると、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13が開かれる(T12)。このとき、タンク4内には、約30Lの水が溜められている。
そして、供給ポンプ33が駆動され、タンク4内の水がタンク水給水管41および給水管8を介して外槽5に供給され、外槽5内の水位は槽洗浄水位(約30L)まで上昇する(T13)。
そして、タンク4内の水位が減少し、タンク水位センサ61がOFFされると、供給ポンプ33の駆動が停止され、第3切替バルブ34が切替えられて第1出口36と循環路32とがつながり、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T14)。このとき、タンク4内には約20Lの水が溜められている。
ドラム3の回転の途中において、供給ポンプ33が駆動され、タンク4と循環路32との間でのタンク4内の水の循環、すなわち循環洗浄運転が行われる(T15)。
そして、ドラム3の回転(攪拌運転)が、たとえば2分間続けられると、供給ポンプ33の駆動が停止される(T16)。これと同時に貯水バルブ25が開かれ、第2切替バルブ13が閉じられ、かつ第3切替バルブ34が切替えられてリセット状態に戻された後に、排水バルブ12が開かれる(T17)。これにより、外槽5内の、洗浄剤が攪拌された水がタンク4に溜められる。
そして、外槽5の水位が、排水停止水位(約20L)まで下がったことを外槽水位センサ57が検出し、かつタンク4内の水位が増加してタンク水位センサ61がONされると、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13および第1切替バルブ44が開かれる(T18)。これにより、給水口9から水道水が外槽5内に溜められる。このとき、タンク4内には約30Lの水が溜められる。
そして、槽洗浄水位(約30L)まで外槽5に水が溜められたことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられ、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T19)。これと同時に、第3切替バルブ34が切替えられて第1出口36と循環路32とがつながる。
ドラム3の回転の途中において、駆動ポンプ33が駆動され、タンク4と循環路32との間でのタンク4内の水の循環、すなわち循環洗浄運転が行われる(T20)。循環運転は、ドラム3の回転途中において、T20からT21まで、たとえば10分間行われる。
そして、ドラム3の回転(攪拌運転)が、たとえば25分間続けられると、ドラム3の回転が停止される(T22)。そして、図7に示すつけおき運転が、たとえば11時間行われる。つけおき運転は、所定の静止時間(第1工程)の後、たとえば2分間ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転されてから(第2工程)、ドラム3が正転方向へたとえば30秒間回転される(第3工程)、たとえば合計10分間のサイクルが上述した11時間継続される。これにより、洗濯槽の洗浄効果を向上させることができ、衛生的な洗濯機1を提供することができる。
そして、図5Aに示すように、つけおき運転が完了すると、第3切替バルブ34が再度切替えられて第1出口36と循環路32とがつながり、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T23)。そして、供給ポンプ33が駆動され、循環洗浄運転が行われる(T24)。ドラム3の回転が、たとえば5分間回転されると、洗浄運転が完了する(T25)。
このように、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転する攪拌運転と循環洗浄運転とが同時に行われるので、洗浄運転に要する時間を短縮することができる。
また、外槽5の洗浄剤が溶解された水のタンク4へ貯水(貯水槽洗浄運転)と循環洗浄運転とが、複数回行われるので、タンク4の洗浄効果を向上させることができ、衛生的な洗濯機1を提供することができる。また、洗濯槽洗浄運転に貯水槽洗浄運転をリンクして並列的に行うことができ、洗濯槽およびタンク4を効率的に洗浄できるので、洗浄効率を向上することができる。
<2>洗浄運転開始時においてタンク4内に予め水が溜められている場合
図5CおよびDに示すように、洗浄運転が開始されると、第1切替バルブ44が開かれ、給水口9からの水道水が外槽5に溜められる(T1)。なお、T1において、外槽5の水位は、空(0L)であり、タンク4内の水位は、約30Lである。
そして、洗浄剤供給水位(約10L)まで外槽5に水が溜められたことを外槽5に設けられた外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられる(T2)。このとき、扉6を開いて、上記した洗浄剤を外槽5内に供給することができる。
そして、T2から、たとえば1分経過すると、外槽5内に洗浄剤が供給されていなくても、ドアロック60がONされ、第3切替バルブ34がリセット状態に切替えられる(T3)。なお、ドアロック60は、洗浄運転およびすすぎ運転が完了するまでONされる。
そして、供給ポンプ33が駆動され、タンク4内の水がタンク水給水管41および給水管8を介して外槽5に供給される(T4)。
そして、排水停止水位(約20L)まで外槽5内の水位が上昇し、その一方でタンク4内の水位が、たとえば約20Lまで減少し、タンク水位センサ61がOFFされると、供給ポンプ33の駆動が停止される(T5)。
T6は、T5と変わらず、その後、第1切替バルブ44が開かれ、給水口9から水道水が外槽5内に溜められる(T7)。
そして、槽洗浄水位(約30L)まで外槽5に水が溜められたことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられ、ドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T8)。これと同時に、第3切替バルブ34が切替えられて第1出口36と循環路32とがつながる。その後、供給ポンプ33が駆動されることにより、タンク4と循環路32との間でタンク4内の水が循環する(T9)。
そして、ドラム3の回転(攪拌運転)が、たとえば2分間続けられると、供給ポンプ33の駆動が停止される(T10)。これと同時に貯水バルブ25が開かれ、第2切替バルブ13が閉じられ、さらに第3切替バルブ34が切替えられてリセット状態に戻される。その後、排水バルブ12が開かれ、外槽5内の、洗浄剤が攪拌された水がタンク4に溜められることにより、タンク4内の水位が上昇し、タンク水位センサ61がONされる(T11)。
外槽5内の水位が排水停止水位(約20L)まで減少したことを外槽水位センサ57が検出すると、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13が開かれる(T12)。このとき、タンク4内には約30Lの水が溜められている。
T12以降は、上述した洗浄運転開始時においてタンク4内に水が溜められていない場合の洗浄運転におけるT12以降と同じである。
(すすぎ運転)
図5Aに示すように、洗浄運転完了時において、供給ポンプ33の駆動は停止され、第1切替バルブ44、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、かつ第2切替バルブ13が開かれている(T25)。そして、図6に示すように、すすぎ運転が開始されると、貯水バルブ25が開かれ、第2切替バルブ13が閉じられ、そして、第3切替バルブ34が切替えられて第2出口37とタンク排水管40とがつながってから供給ポンプ33が駆動され、タンク4内の水が、タンク排水管40、圧力調整用排水管29および排水管11を介して機外へ排出される。なお、タンク4内の水が機外へ排出されるのに伴ってタンク4内の水位が下がり、その水位がタンク4の最大貯水量の半分(約20L)を下回ると、タンク水位センサ61がOFFされる。
タンク水位センサ61がOFFされてから、たとえば3分経過し、供給ポンプ33の駆動が停止されると、貯水バルブ25が閉じられ、第3切替バルブ34が切替えられてリセット状態に戻される(T26)。そして、排水バルブ12および第2切替バルブ13が開かれて、外槽5内の水が排水管11から機外へ排出される。これにより、外槽5内の水が低下する。なお、外槽5内の水の水位が上述した洗浄剤供給水位(約10L)から空(0L)になるまで減少するのに、たとえば30秒要する。
そして、外槽5内の水位が空(0L)になったことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44および貯水バルブ25が開かれ、第2切替バルブ13が閉じられる(T27)。これにより、給水口9からの水道水が、外槽5および分岐管15を介してタンク4内に溜められる。
タンク4内の水位がタンク4の容量の半分(約20L)に至るとタンク水位センサ61がONされる(T28)。そして、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13が開かれ、かつ第3切替バルブ34が切替えられて第1出口36と循環路32とがつながってから、供給ポンプ33が、たとえば5分間駆動される。
なお、第1切替バルブ44は引き続き開かれているので、外槽5内の水位が上昇し、この水位が槽洗浄水位(約30L)まで上昇したことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられる(T29)。
そして、供給ポンプ33の駆動が停止されると、貯水バルブ25が開かれ、第2切替バルブ13が閉じられ、かつ第3切替バルブ34が切替えられてリセット状態に戻される(T30)。
そして、排水バルブ12が開かれて外槽5内の水がタンク4に溜められ、外槽5の水位が排水停止水位(約20L)まで減少したことを外槽水位センサ57が検出すると、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、第2切替バルブ13が開かれ、第3切替バルブ34が切替えられて第1出口36と循環路32とがつながる(T31)。
その後、供給ポンプ33が駆動されてタンク4と循環路32との間でタンク4内の水が、たとえば10分間循環される(T32)。
供給ポンプ33の駆動開始と同時に第1切替バルブ44が開かれ、外槽5内の水位が槽洗浄水位(約30L)まで上昇したことを外槽水位センサ57が検出すると、第1切替バルブ44が閉じられてからドラム3が正転および逆転方向へ交互に回転される(T33)。なお、このときドラム3は低速回転される。
そして、ドラム3が、たとえば3分間回転された後、供給ポンプ33の駆動が停止され、排水バルブ12および貯水バルブ25が開かれ、かつ第2切替バルブ13が閉じられて、外槽5内の水がタンク4に流入する(T34)。なお、ドラム3の回転と外槽5内の水のタンク4への流入とが同期する撒水すすぎ運転が行われてもよい。その場合、洗濯槽から剥離された汚れ成分を洗濯槽内に残留させることなく排水することができる。これにより、すすぎ効果を向上することができ、衛生的な洗濯機1を提供することができる。
外槽5内の水が全て排出されると、第3切替バルブ34が切替えられて、第2出口37とタンク排水管40とがつながり、かつ供給ポンプ33が駆動されて、タンク4内の水が、タンク排水管40、圧力調整排水管29および排水管11を介して機外へ排出される(T35)。
タンク4内の水位が、タンク4内の最大貯水量の半分(約20L)を下回ってから、たとえば3分経過すると、タンク4内の水が全て排出される(T36)。
そして、T27からT36までのサイクルが2回行われると、排水バルブ12および貯水バルブ25が閉じられ、かつ供給ポンプ33の駆動が停止されて第3切替バルブ34がリセット状態に戻されてからすすぎ運転が完了する。これにより、外槽5およびタンク4の貯水および排水(すすぎ運転)が複数回行われるので洗濯槽およびタンク4のすすぎ効果を向上させることができ、衛生的な洗濯機1を提供することができる
なお、洗浄運転およびすすぎ運転において、適宜オゾン発生装置47が動作されて、オゾンが第1供給路53および第2供給路54を介して外槽5およびタンク4内へ供給されてもよい。これにより、タンク4ならびにドラム3および外槽5がオゾンにより脱臭および除菌される。その場合、ドアロック60は、すすぎ運転完了後、本体ケーシング2内の全てのオゾンが酸化反応により消滅するまで、所定の時間ONされたままである。
以上により、洗濯槽すすぎ運転と貯水槽すすぎ運転とをリンクして行うことができ、すすぎ効率を向上することができる。