以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、シート状ワーク(段ボールシート)Wの表面に対して印刷を実行するタイプの段ボール製函機に本発明を適用した例である(図1、図2)。製函機は、給紙部(シート状ワークの送り出し装置)S1を上流側として、続いて、印刷部(印刷ユニット)S2、製函部(スロッタ部、ダイカッタ部、フォールディング部、デリベリ部)S3(ここでは図示せず)の順序で接続されている。印刷加工を経たシート状ワークWは、スロッタ部において溝切りや罫線引きがなされ、ダイカッタ部において手穴や空気孔等の打ち抜き加工がなされ、フォールディング部において曲げ加工が行われ、デリベリ部において積み重ねられて排出される。なお、シート状ワークWの種類や用途に応じた加工を実現するために製函部S3の構成を変更することは任意である(例えば、上記で説明した機材以外の機材を追加し、より複雑な加工を行えるようにしてもよい)。
シート状ワークの送り出し装置(給紙部S1)は、一定の機幅を隔てて立設される左右の側壁2c(左右側面2c)を有するとともに上面に載置面2bを有する載置台2という筐体形の構成を有する。この載置台2には、その下方に吸引手段Qが取り付けられ、シート状ワークWを下方から吸引するサクションボックスとしての役割も有する(図3、図4)。また、載置台2の下流端には、載置台2の上面の高さに沿って上下1対のフィーダローラ10(10m,10j)が横設されている。シート状ワークWは、載置台2の載置面2b上に積み重ねた状態でセットされ、下側(最下層)のものから順次に一枚ごと送り出すようにして下流側に流される。送り出されたシート状ワークWは、同期駆動される1対のフィーダローラ10m,10j間に取り込まれることによって所定の搬送速度を維持しながら、多数色の印刷に応じた印刷部S2の印刷ローラRn(n=1,2・・)と圧接ローラRhに引き継がれる。
シート状ワークの送り出し装置S1は、シート状ワークWを積層して載置するための載置台2に、積層されたシート状ワークWのうちの最下層のシート状ワークW1を印刷ユニットS2側に送り出す複数の給紙ローラ3(3a,3b,3c,3d)と、複数の給紙ローラ3に対する突出量をその昇降動により調整することにより、複数の給紙ローラ3と最下層のシート状ワークW1との接離を調整するグレート4とが備えられている。また、載置台2の下流側の上方に垂直に屹立するようにフロントゲージ14が配置されている。フロントゲージ14は、上下に位置調整可能であり、シート状ワークWの厚みに合わせて、フロントゲージ14下端と載置台2(載置面2b)との間の距離dを調整する(図1、図3)。
シート状ワークWが積層される載置台2は、その上面の載置面2bにシート状ワークWが積層されるが、この載置面2bには、開口2aが設けてあり、この開口2aに複数の給紙ローラ3とグレート4が配置される。筐体構造の載置台2の一方側側面2cには、複数の給紙ローラ3の駆動手段であるサーボモータM3や、グレート4の駆動手段であるサーボモータM4a及びサーボモータM4bが配置される(図2)。また、印刷ローラRn(n=1,2・・)は、駆動手段M6により駆動される。
複数の給紙ローラ3は、載置台2の左右側面2cに掛け渡された複数の駆動軸8に取り付けられる。すなわち、互いに等間隔で取付けられている上記複数の駆動軸8それぞれに、同一の直径の給紙ローラ3が等間隔で複数個配される。給紙ローラ3は、グレード4の昇降動により、グレート4より上方に突出して載置台2の開口2aに現れたり、グレート4より下方側に位置したりする。また、上記各駆動軸8は、その一端が載置台2の側面2cから突出しており、当該一端にギヤ8aが取り付けられ、このギヤ8a及びこれと噛み合うギヤ9aを介してサーボモータ(給紙ローラ3の駆動手段)M3が取り付けられている(図5)。なお、駆動軸8に直接サーボモータM3を装着させることも可能である。各サーボモータM3は、電気的に接続された制御手段11によって制御される(図2)。そして、当該制御手段11の指令により各サーボモータM3に連結された各駆動軸8がそれぞれ独立して回転駆動する。本実施の形態では、駆動軸8の数は4つであり、この4つの駆動軸8に対して各サーボモータM3が取り付けられている。なお、連結ベルト等を使用して一つのサーボモータM3に対して2本の駆動軸8を同時に駆動させたり、4本の駆動軸8を同時に駆動させることも可能である。
グレート4は、載置台2の開口2aに配置される板状の部材である。このグレート4には、その昇降の際、給紙ローラ3と接触しないように、各給紙ローラ3(3a,3b,3c,3d)を受け入れるための複数の開口4aがその板状の部材を貫通して形成されている(図3、4)。グレート4は、その板状の四隅付近に配されたL字型部材15,15やアーム16等を介して揺動軸28に連結される。そして、この揺動軸28を介して上記駆動手段(サーボモータ)M4aの駆動軸23に連結され、その駆動力を得る(図1、図2)。ここで、制御手段11の指令によりサーボモータM4aに連結された揺動軸28が揺動駆動する。また、板状のグレート4の前後両端には、コ字状の爪部4b,4bが形成され、これら各爪部4bを介してグレート4の昇降を担うL字型部材15,15やアーム16等が連結されている。上記駆動軸23は、載置台2の一側面2cに設けられた軸受けによって取り付けられている(図6)。
給紙ローラ3により送り出されたシート状ワークWを印刷ユニットS2側に受け渡す上下のフィーダローラ10m,10jは、シート状ワーク送り出し装置S1の前端に配置される。フィーダローラ10は、上方側が駆動ローラ10mであり、その端部に複数のギヤを介して駆動手段であるサーボモータM10が取り付けられる。サーボモータM10は、前記制御手段11によって制御される(図2)。ここで、上下のフィーダローラ10m,10jそれぞれにサーボモータM10を取り付けても良く、ギヤ等を介して上下のフィーダローラ10m,10jを一つのサーボモータM10で駆動させても良い。また、制御手段11は、印刷ユニット2の印刷ローラR1とも連動している(図2)。このため、当該制御手段11の指令によりサーボモータM10に連結されたフィーダローラ10mの駆動軸36(もしくは、フィーダローラ10m,10jの駆動軸36,37)や駆動手段M6に連結された印刷ローラRn(n=1,2・・)が回転駆動するが、上記制御手段11は、給紙ローラ3とグレート4の駆動制御も行っているため、これらの制御により印刷位置のずれが生じないように設定が可能である(図2、図3)。
上記グレート4の揺動軸28には、グレート4を昇降させるカム機構Kが取り付けられる(図1、図6)。このカム機構Kは、載置台2の一側壁(一側面)2cに取り付けられたボックス24に内蔵される。カム機構Kは、固定カム22(駆動軸23に対して固定)及び可動カム20が2枚に重ね合わされた状態で取り付けられる。これらカム22と20に接触するリング25aを有し、各カム22,20の凹凸に合わせて支点25bを中心に揺動するアーム25がボックス24内に取り付けられる(図6(b))。このアーム25の揺動は、当該アーム25とヒンジ連結された連結部材26と、この連結部材26とヒンジ連結された連結具27を介して、載置台2の長手方向に沿って配される上記揺動軸28に揺動運動として伝達される。可動カム20は、上記駆動手段M4aとは別個の独立した駆動手段M4bを有する。すなわち、可動カム20は、上記ボックス24に取り付けられた軸受け34に通された継ぎ手29を介してタイミングプーリ30と連結固定される(図7)。そして、このタイミングプーリ30及びこれと連結されたタイミングベルト31及びタイミングプーリ32を介してサーボモータM4bから回転駆動を得る。グレート4が上昇している期間とグレート4が下降している期間との割合に変更がない場合は、固定カム22に対して可動カム20の位置が変わらないようにサーボモータM4bが回転駆動している。サーボモータM4bは、電気的に接続された制御手段11によって制御される。そして、当該制御手段11の指令によりサーボモータM4bに連結された可動カム20が回転駆動する。なお、制御手段11は、本装置の異常を検出し、その信号によってシート状ワークWの送り出しを停止させることもできる。
上記揺動軸28は、連結具29を介してグレート4の下方に配されたアーム16と連結される(図1,3)。アーム16は、グレート4の下方にシート状ワークWの進行方向に平行となるように配され、グレート4の四隅付近に配されたL字型部材15,L字型部材15を介してグレート4と連結される。グレート4の上記コ字状の爪部4b,4bに連結されるL字型部材15,L字型部材15は、L字形状の一方端が上記コ字状の爪部4bの突出部4cとヒンジ連結(ヒンジ15a)され、その他方端が上記アーム16とヒンジ連結(15b,15b)され、そして中央のヒンジ15d,15dを中心に回転する。例えば、アーム16が上記揺動軸28の回転により左側(図3から見て)に移動すると、L字型部材15は、ヒンジ15dを中心に回転するとともに、ヒンジ15a側が当初の位置より持ち上がる。これにより、グレート4が上昇する。逆に、アーム16が上記揺動軸28の回転により右側(図3の右側)に移動すると、当該連結具15は、ヒンジ15dを中心に回転するとともに、ヒンジ15a側が当初の位置より押し下がる。これにより、グレート4が下降することになる。
次に、シート状ワーク送り出し装置S1の給紙ローラ3やグレート4等の設定について説明する。ここで、一枚のシート状ワークWを給紙する1サイクル(1周期)を回転角360°とする。シート状ワークWが給紙部(シート状ワーク送り出し装置)S1及び印刷部(印刷ユニット)S2により正確に搬送・印刷されているとき、印刷ローラRn(n=1,2・・)は、上記シート状ワークWの1サイクルごとに1周するので、印刷ローラRnの1周期は、上記シート状ワークWの1サイクル(1周期)に対応する。同様に、シート状ワークWが正確に搬送・印刷されているとき、グレート4は、上記シート状ワークWの1サイクルごとに昇降駆動を繰り返すので、グレート4の昇降駆動の周期は、上記シート状ワークWの1サイクル(1周期)に対応する。同様に、シート状ワークWが正確に搬送・印刷されているとき、給紙ローラ3は、上記シート状ワークWの1サイクルごとに加速・等速・減速のサイクルを繰り返すので、給紙ローラ3の加速・等速・減速の周期は、上記シート状ワークWの1サイクル(周期)に対応する。
図8は、シート状ワーク送り出し装置S1のフィーダローラ10(10m,10j)、給紙ローラ3、グレート4の回転及び昇降の設定の手順を模式的に示したフローチャートである。最初にフィーダローラ10(10m,10j)の設定について説明する。まず、印刷ローラR1の直径2rp(印版Raの厚さを含む)と、印刷ローラRn(n=1,2・・・)の単位時間あたりの回転数Np(Np=1/周期T)を制御手段11に入力する(ステップ1)。ここで、印刷ローラRnの直径2rp及び印刷ローラRnの単位時間あたりの回転数Npから印刷ローラRnの周速度Vpが確定する。すなわち、周速度Vp=2rp×π×Np(数式1)で求められる。次に、上記数値から制御手段11がサーボモータM10の最適な単位時間当たりの回転数を算出する(ステップ2)。ここで、サーボモータM10の回転数は、印刷ローラR1の周速度Vpとフィーダローラ10(10m,10j)の周速度V10とが同一になるように算出される。そして、ステップ2での算出結果が制御手段11からサーボモータM10に出力される(ステップ3)。
次に、給紙ローラ3の設定について説明する。まず、シート状ワークWのサイズ(進行方向の長さ)、印刷ローラRnの直径2rp(印版Raの厚さを含む)と、印刷ローラRnの単位時間当たりの回転数Npを制御手段11に入力する(ステップ1)。印刷ローラRnの直径2rp及び印刷ローラRnの単位時間あたりの回転数Npから印刷ローラRnの周速度Vpが確定する。次に、上記数値から制御手段11が、各給紙ローラ3を駆動させる各サーボモータM3の加速・等速・減速を繰り返す回転の割合と周期を算出する(ステップ2)。ここで、各サーボモータM3の回転の割合は、各給紙ローラ3の等速時の周速度V3と上記印刷ローラR1の周速度Vpとが同一となるとともに、各給紙ローラ3の加速・等速・減速を繰り返す周期Trが印刷ローラRnの回転周期Tと一致するように算出される。また、各サーボモータM3の回転の加速・等速・減速の割合は、送り出すシート状ワークWのサイズ(進行方向の長さ)に対応できるように算出される。そして、ステップ2での算出結果が制御手段11から各サーボモータM3に出力される(ステップ3)。ここで、制御手段11は、各給紙ローラ3を駆動させるサーボモータM3毎に独立した算出結果を出力する。これにより、例えば、シート状ワークWのサイズ(進行方向の長さ)により、各給紙ローラ3の各々でシート状ワークWとの接触時間が異なる場合、シート状ワークWと接触していない給紙ローラ3については、回転を停止するようにサーボモータM3を制御することが可能となる。
上記グレート4は、固定カム22の駆動手段であるサーボモータM4aと、可動カム20の駆動手段であるサーボモータM4bの各回転により昇降する。まず、固定カム22のサーボモータM4aの設定について説明する。印刷ローラRnの直径2rp(印版Raの厚さを含む)と、印刷ローラRnの単位時間当たりの回転数Npを制御手段11に入力する(ステップ1)。また、現在の固定カム22の位相角度(グレート位相角度)を制御手段11に入力する。次に、上記数値から制御手段11が、サーボモータM4aの単位時間あたりの回転数を算出する(ステップ2)。また、現在の位相角度(グレート位相角度)から何度回転させれば、固定カム22のスタート時の位相角度が適したものとなるかを算出する。次に、上記位相角度の算出結果が制御手段11からサーボモータM4aに出力され、固定カム22の位相角度が調整される(ステップ3)。そして、ステップ2で得られた上記単位時間当たりの回転数の算出結果が制御手段11からサーボモータM4aに出力される(ステップ4)。なお、上記位相角度(グレート位相角度)とは、グレート4の所定の位置を0°と決め、グレート4が昇降を繰り返す1周期を回転角360°としたときの、グレート4に対する固定カム22の位相角度である。グレート4は、固定カム22(及び可動カム20)の回転による凹部、凸部の位置変化によって、これと接触するアーム25の揺動具合が変化し、上記グレート4の昇降位置が変化するため、固定カム22の位置は上記グレート位相角度に対応し、このグレート位相角度で表せる。そのため、現在の固定カム22の位相角度(グレート位相角度)が分かれば、スタート時の位相角度(グレート位相角度)との差だけ、固定カム22を回転させればよい。
次に、上記可動カム20のサーボモータM4bの設定について説明する。シート状ワークWのサイズ(進行方向の長さ)、印刷ローラRnの直径2rp(印版Raの厚さを含む)、印刷ローラRnの単位時間当たりの回転数Npを制御手段11に入力する(ステップ1)。そして、現在の可動カム20の固定カム22に対する位相差を制御手段11に入力する。次に、上記数値から制御手段11が、サーボモータM4bの単位時間あたりの回転数を算出する(ステップ2)。ここで、サーボモータM4bの単位時間当たりの回転数は、可動カム20の回転速度と固定カム22の回転速度とが一致するように算出される。また、現在の固定カム22に対して可動カム20を何度回転させればシート状ワークWのサイズ(進行方向の長さ)に対応できるかを算出する。ここで、可動カム20を固定カム22に対して相対的にずらすことで互いの凸部の重なり具合が変わり、シート状ワークWのサイズの変更に対応することができる(図9(b)の斜線部参照)。次に、上記相対的な位相角度の算出結果が制御手段11からサーボモータM4bに出力され、可動カム20の固定カム22に対する相対的な位相角度が調整される(ステップ3)。そして、ステップ2で得られた上記単位時間当たりの回転数の算出結果が制御手段11からサーボモータM4bに出力される(ステップ4)。ここで、本件カム機構Kは、固定カム22に対し、可動カム20を回転させ、その相対的な位置をずらすことで、これら2枚のカムを1枚もののカムとみたときの凹部、凸部の割合を変化させて、グレート4の昇降具合を変化させる構造である。よって、シート状ワークWの所定のサイズに合う(固定カム22に対する可動カム20の)相対的な位相角度が分かっており、現在の(固定カム22に対する可動カム20の)相対的な位相角度が分かれば、その差だけ、可動カム20を固定カム22に対して回転させれば、シート状ワークWのサイズの変更に合わせてカム(2枚のカムを1枚ものと見たときのカム)の凹凸の割合を変更することができる。
上記のようにフィーダローラ10m,10j、給紙ローラ3及びグレート4の回転及び昇降の設定を行ったシート状ワーク送り出し装置S1を用いて、実際にシート状ワークWを印刷部S2側に送り出す場合を説明する。使用する印刷ローラR1の印版R1aの厚みは7.2mm版(これを「基準印版」とする。)、印刷ローラRn(n=1,2・・・)の回転数Npは、300枚/分、すなわち0.2秒毎に1回転とする(周期T=0.2sec)。給紙ローラ3の直径は100mmである。また、上記給紙ローラ3が加速し始める時点では、グレート4の位置は最も高い位置からわずかに下降し始めた位置にあり(この時点ではグレートの上面の方が、給紙ローラ3の上端3jよりも高い位置にある)、グレート4が、一枚のシート状ワークWを給紙する1サイクル(1周期)を回転角360°とした角度5度分、言い換えると、グレート4の昇降駆動の1周期を360°とした角度5度分だけ駆動(下降駆動)したとき、グレート4の上面と給紙ローラ3の上端3jが一致するように設定される(図9)。また、シート状ワークWのサイズに合わせて給紙ローラ3とシート状ワークWとの接触時間(給紙ローラ3がシート状ワークWを送りだす距離)が最適なものとなるように、グレート4の可動カム20の位相角度(固定カム22に対する可動カム20の相対的な位相角度)が設定される。
そして、シート状ワーク送り出し装置S1の載置台2上にシート状ワークWを積層状態にして送り出すと、載置台2上に積層された各シート状ワークWのうち、最下層のシート状ワークW1は、上記フロントゲージ14と接触しないため、最下層から2番目のシート状ワークW2に対してスタート位置がずれてしまっている恐れがある。この点、本実施の形態では、まずフロントゲージ14を下降させてシート状ワークWを積載し、次に給紙ローラ3を正回転(シート状ワークWの進行方向に回転)させ、最下層のシート状ワークW1の前端部とフロントゲージ14とを接触させることにより、最下層のシート状ワークWのスタート位置を設定することができる(図3)。このスタート位置の設定は、印刷ユニットS2での印刷ずれ防止に対して極めて重要であり、後述する搬送ベルト43のフィーダローラ10への巻装とともに本発明では送り出し装置S1による正確な搬送を実現する。
上記設定の完了後、載置台2上に積層された各シート状ワークWを印刷ユニットS2側に送り出す。図9は、シート状ワーク送り出し装置S1の駆動時の給紙ローラ3の回転とグレート4の昇降の様子を一枚のシート状ワークWを給紙する1サイクル(1周期)を回転角360°として、この回転角360°を基準に表した図である。図9(a)は、給紙ローラ3の加速・等速・減速の割合を表した図である。図9(b)は、給紙ローラ3に対するグレート4の昇降の様子を表した図である。まず、給紙ローラ3が回転し始めた時点では、グレート4は、まだ給紙ローラ3の上端よりも高い位置にあるため、給紙ローラ3と最下層のシート状ワークW1とは接していない。その後、グレートが図9(a)の5度の位置に達したとき、グレート4の上面は、給紙ローラ3の上端3jと同一となりその後も下降する。この5度の時点で、給紙ローラ3と最下層のシート状ワークW1とが接触する。給紙ローラ3の加速・等速の回転によって、シート状ワークW1は、フィーダローラ10m,10j側に送り出される。そして、シート状ワークW1がフィーダローラ10m,10j側に十分に送り出された時点で、グレート4が再び上昇し、給紙ローラ3とシート状ワークW1との接触を絶つ。送り出されたシート状ワークW1は、フィーダローラ10m,10jによって印刷ローラRnまで送り出され、所定箇所に印刷される。給紙ローラ3は、グレート4によりシート状ワークW1との接触を絶たれた時点から減速し始め、シート状ワークW1を1枚送り出した時点で、再び加速を開始する(図9(a)の波形Rf)。上記を繰り返すことにより、積層されたシート状ワークWが順次、印刷部S2側に送り出される。
上記では、基準印版の厚さが7.2mmの場合で説明しているが、本実施の形態では、任意の厚さの印版にも対応できる。例えば、印版の厚さが基準より厚さの薄い3.6mmの場合でも、それに合わせて給紙ローラ3等の各駆動手段の設定を行えば(給紙ローラ3等の各駆動手段の回転速度を遅くすれば)、印刷ローラRnの表面速度(周速)に合わせてシート状ワークWを送り出すことが可能となる(図9(a)の波形Rb)。すなわち、印版の厚みが7.2mmから3.6mmに変更された場合、印刷ローラR1の直径2rpが印版の厚み減少分に応じた分だけ小さくなるため、印刷ローラRnが1回転する周期は(印刷ローラの回転速度を変更しなければ)変更前の周期T1のままであるが、周速度は(変更前の周速度)Vpより遅いVp’となる。これに合わせて、給紙ローラ3の等速時の周速度を遅くしなければならないが、本実施の形態では給紙ローラ3等の駆動手段が単独駆動であることにより、これに合せることができる(図9(a)の波形Rb)。
これに対し、従来の送り出し装置(同一の駆動軸D52に取り付けられたギヤ機構及びカム機構により、給紙ローラD12の回転駆動及びグレートD11の昇降駆動を得る構造)S11では、7.2mmの印版Raに対応したものであれば、他の厚みの印版(例えば3.6mm)には対応できなかった。すなわち、印版の厚みが7.2mmから3.6mmに変更された場合、印刷ローラRnの直径2rpが印版の厚み減少分に応じた分だけ小さくなるため、印刷ローラRnが1回転する周期は(印刷ローラの回転速度を変更しなければ)変更前の周期T1のままであるが、周速度は(変更前の周速度)Vpより遅いVp’となる。これに合わせて、給紙ローラD12の等速時の周速度を遅くしなければならない。周速度を遅くするには、駆動軸D52の回転速度を落とせばよい。しかしながら、駆動軸D52の回転速度を落とせば、給紙ローラD12の加速・等速・減速の周期がT1より長くなる。すなわち、各駆動部が同期駆動しているときのシート状ワークWを給紙する1サイクル(1周期)と給紙ローラD12の加速・等速・減速の周期が合わなくなり、ズレが生じる。(図9(a)の波形Rcのように、給紙ローラD12の加速・等速・減速の周期が変化し、シート状ワークWを給紙する1サイクル(1周期)に対し、ズレが生じる。ここでは、そのズレの例として、シート状ワークWの1サイクル(1周期)の回転角360°に対して回転角380°のとき、給紙ローラD12が加速・等速・減速の1周期を完了する例を示す)。また、グレートD11の昇降の周期も、駆動軸D52の回転速度を落としたことにより、T1よりも長くなる。すなわち、シート状ワークWを給紙する1サイクル(1周期)とグレートD11の昇降の周期が合わなくなり、ズレが生じる。このため、シート状ワーク送り出し装置からシート状ワークWを供給するタイミングが遅れ、シート状ワークが印刷ローラの下方に達した時点で、印刷ローラの印版の位置と、シート状ワークの印刷されるべき範囲とが徐々にずれていってしまう問題が生じる。なお、一枚のシート状ワークWを給紙する1サイクルを回転角360°として説明したが、これと印刷ローラR1の一回転とを同じとして説明しても、上記と同様の説明になる。
本実施の形態では、上記給紙ローラ3がシート状ワークWを送り出すとき、シート状ワークWのサイズ(進行方向の長さ)が異なる場合であっても、フロントゲージ14からフィーダローラ10m,10jまでの距離は変わらない。そのため、シート状ワークWが短い場合でも、長い場合でも、シート状ワークWがフィーダローラ10m,10jまで到達するまでの給紙ローラ3の送り出し量は同じである。ただ、シート状ワークWが長い場合は、当該シート状ワークWがフィーダローラ10m,10jに達した時点でも、シート状ワークWの大部分が給紙ローラ3上に残っているため、フィーダローラ10m,10j側のトルクを補うために、給紙ローラ3によってシート状ワークWを送り続ける必要がある。
ここで、最下層のシート状ワークW1がフィーダローラ10m,10jに達した時点では、最下層のシート状ワークW1の上に重なった二番目のシート状ワークW2は、最下層のシート状ワークW1からずれ、その一部が浮いた状態となる(図10(a)参照)。給紙ローラ3及びグレート4の下方にはシート状ワークWと給紙ローラ3を接触させるための吸引手段Qが設けられているため、この2番目のシート状ワークW2の浮き上がった部分が、この吸引手段Qによって引っ張られ、後方に位置する給紙ローラ3(例えば、給紙ローラ3d)と接触し、摩擦により傷ついてしまう恐れがある。また、後方の給紙ローラ3から推進力を得た上記他のシート状ワークW2が印刷ユニットS2側に移動しようとして、載置台4の前方のフロントゲージ14と載置台2との隙間(間隔d)に強引に進入し、シート状ワークW2が損傷してしまう恐れがある。
この点、本実施の形態では、図10(a)(b)に示すように、各給紙ローラ3aから3dのうち既にシート状ワークW1と接触しない後方の給紙ローラ3c,3dについてはその駆動を停止させる。ここで、最下層から2番目のシート状ワークW2が接触する順の後方側から順に(給紙ローラ3dの次に3c)停止させることが好ましい。後方側の二つの給紙ローラ3c,3dを同時に停止させることも可能である。停止は、給紙ローラ3の回転量からシート状ワークW1の移動距離を算出して行う。本実施の形態の給紙ローラ3a,3b,3c,3dは、それぞれサーボモータM3が設けられているので、上記のような順に停止させることが制御手段11により可能であり、このようにしても制御手段11の制御により印刷ずれが生じないようにすることが可能である。そして、最下層から2番目のシート状ワークW2は、給紙ローラ3a,3b,3c,3dの上の位置に配置され、最下層のシート状ワークW1になり、一度に4つの給紙ローラ3を回転させて送り出されることになる。このようにして、シート状ワークWを破損等させることなく、正確に送り出すことが可能になる(図10(c))。なお、給紙ローラ3a,3b,3c,3dを二つずつ駆動させるタイプでは、例えば、シート状ワークWの送り量を多くすることができ、前方側の給紙ローラ3a,3bと後方側の給紙ローラ3c,3dとの二つを単位として、後方側の給紙ローラ3c,3dを同時に停止させることとなる。
上記のようにシート状ワーク送り出し装置S1は、シート状ワークWを、順次印刷ユニットS2側に送り出す。この点、従来装置では、シート状ワークWの送り出し動作を停止させる場合は、グレート4を上昇させ、給紙ローラ3と最下層のシート状ワークW1との接触を絶てばよい。従来装置では、グレート4を昇降させるカム機構Kに緊急停止手段が設置され、この緊急停止手段を用いてグレート4を上昇させ、給紙ローラ3と最下層のシート状ワークW1との接触を絶つことが行われることがあった。しかし、本件シート状ワーク送り出し装置S1では、グレート4の駆動手段(サーボモータM4a及びM4b)が給紙ローラ3の駆動手段M3とは独立しているため、グレート4の昇降位置にかかわらずサーボモータM3の駆動を停止させれば、従来のように緊急停止手段を設けなくてもよくなり、構造の簡素化が図られる。ただし、本実施の形態で緊急停止手段を設け、不具合発生時に停止信号によって送り出し装置を緊急停止させれば、上記構造の場合よりも早く停止させることができ、廃棄されるシート状ワークWの数を減少させることができる。
次に、上記送り出し装置(給紙部)S1と、この送り出し装置S1から供給されたシート状ワークWの所定の位置に印刷を施す複数の印刷ローラR1と、シート状ワークWを搬送する搬送ベルト43とを備える印刷ユニットS2について説明する(図11)。
本実施の形態では、4色印刷を行うために、4つの印刷ローラRn(n=1,2・・・)が等間隔で設置されている。ここで、各印刷ローラRnが印刷を担当する印刷領域を、上流側から順に第1の印刷領域S2a、第2の印刷領域S2b、第3の印刷領域S2c、第4の印刷領域S2dとする。印刷ローラRnは、それぞれ独立した駆動手段M6を有しており、各駆動手段M6は上記制御手段11に電気的に接続され、制御手段11の指令により送り出し装置S1の各部と連動する。各印刷ローラR1の外周には、所定厚さの印版Raが貼り付けられる。この印版Raには、例えば、3.6mm版、7.2mm版といったものがあり、交換が可能である。なお、各印刷ローラRnには、それぞれの印版Raに接しながらインクを供給するインクローラ(図示せず)が各々配置されている。搬送ベルト43を挟んで、各印刷ローラRnの下方には、シート状ワークWが通過する際、各印刷ローラRnのシート状ワークWへの押圧を下支えする補助ローラRhが各々設けられている。また、各印刷領域S2a〜S2dには、搬送ベルト43に設けられた多数の吸引穴が形成されたサクションボックス56が各々設けられ、搬送ベルト43上のシート状ワークWを吸引する。なお、符号51,52,53はガイドローラである。
上記搬送ベルト43は、無端ベルトであり、第1の駆動ローラ44、第2の駆動ローラ45に掛け渡され、これらの駆動ローラの回転駆動により所定方向に回転する。第1の駆動ローラ44は、搬送ベルト43の両サイドに設置された固定フレーム(図示せず)に軸受けを介して取り付けられ、下流側の従動ローラ48の下方に配置される。駆動ローラ44の近傍(上方)には、搬送ベルト43にテンションを与え、第1の駆動ローラ44と搬送ベルト43との摩擦力を高めるためのテンションローラ49が軸受けを介して上記固定フレームに取り付けられている。このテンションローラ49は、略上下方向にスライド可能であり、このスライドにより第1の駆動ローラ44との距離を調整し、搬送ベルト43の第1の駆動ローラ44周辺でのテンションを調整している。第2の駆動ローラ45は、上記固定フレームに軸受けを介して取り付けられ、上流側の下方に配置され、その近傍(上方)には、搬送ベルト43にテンションを与え、第2の駆動ローラ45と搬送ベルト43との摩擦力を高めるためのテンションローラ50が、軸受けを介して固定フレームに取り付けられている。テンションローラ50は、略水平方向にスライド可能であり、このスライドにより、第2の駆動ローラ45との距離を調整し、搬送ベルト43の第2の駆動ローラ45周辺でのテンションを調整している。第1と第2の駆動ローラ44,45には、独立した駆動手段(サーボモータ)M5が取り付けられ、この駆動手段(サーボモータ)M5は上記制御手段11に電気的に接続されている。なお、ギヤ等を介することにより、1つの駆動手段M5で上記第1及び第2の駆動ローラ45を駆動させる構成としてもよい。
また、搬送ベルト43は、上記各駆動ローラ44,45の近傍に配されるテンションローラ49,50やガイドローラ等に掛け渡される。搬送ベルト43が掛け渡される上記各ローラは、搬送ベルト43の両サイドに設置された固定フレーム(図示せず)に各々回転可能に取り付けられている。すなわち、搬送ベルト43は、第1の駆動ローラ44、テンションローラ49、ガイドローラ51、ガイドローラ52,53、第2の駆動ローラ45、テンションローラ50、操舵軸46の順に掛け渡され、さらに、搬送ベルト43は、送り出し装置S1のフィーダローラ10m,10jのうちの従動ローラ10jに掛け渡される。なお、上記操舵軸46は、搬送ベルト43の走行中のブレを防止する。
上記のように、搬送ベルト43を第1及び第2の駆動ローラ44,45により駆動させると、従来の駆動ローラが1つの場合と比べ、搬送ベルト43の自重やサクションボックス56による吸引作用等による搬送ベルト43の伸びを抑制することができる。すなわち、駆動ローラが一つの場合は、駆動ローラと搬送ベルト43の接触面を境にして、搬送ベルト43が駆動ローラに強い力で引っ張られる部分と、駆動ローラの力が余りかからない緩み部分とに顕著に分かれてしまう。駆動ローラに引っ張られる部分は、通常、実際にシート状ワークWが搬送される搬送区間にあたり、この部分が強い引っ張り力により伸びてしまうと、シート状ワークWの搬送状態に影響し、印刷のズレを生じる一因となる。これに対して、2つの駆動ローラ44,45をそれぞれ配すると、各駆動ローラ44,45と搬送ベルト43の接触面を境にして、各駆動ローラ44,45に強い力で引っ張られる部分と、各駆動ローラ44,45の力が余りかからない緩み部分とが発生するが、これらが相殺されるため、結果として、搬送ベルト43に伸びが生じ難くなる。これにより、搬送ベルト43の搬送状態が一定維持され、シート状ワークWの安定した搬送が得られ、正確な印刷が可能となる。
ところで、従来装置においては、図12に示すように、送り出し装置S10と、印刷ユニットS20とが完全に分離しており、印刷ユニットS20は、複数の印刷ローラRn(n=1,2・・)の下方において、複数の印刷ローラRn(n=1,2・・)の全域に及ぶように搬送ベルト43が取り付けられている。すなわち、従来装置では、印刷ユニットS20の搬送ベルト43は、従動ローラ470,480、駆動軸440、テンションローラ490、ガイドローラ510,520に掛け渡されている。なお、上流側の従動ローラ470の上方には、当該従動ローラ470と同一径の補助ローラ500が設置されている。この印刷ユニットS20の駆動軸は、一つである。しかし、上記従来装置の印刷ユニットS20では、搬送ベルト43による搬送距離が長くなると、これらの長い距離に掛け渡される搬送ベルト43の伸びや、さらにはサクションボックス56による吸引等から、最後の印刷ローラR4の印刷位置(領域S2dの下流端)まで印刷ずれを生じさせずに搬送することは容易なことではない。特に、送り出し装置側から第1の印刷ローラR1の印刷位置(領域S2aの下流端)までシート状ワークWを正確に搬送しないと、その後の第2から第4の印刷ローラR2〜R4の印刷位置(各領域S2b〜S2dのそれぞれの下流端)には正確に搬送できない。すなわち、最初の送り出しが正確に行われないと、その後の調節では、いくら調節しても印刷ずれを防ぐことはできない。
これに対して、本実施の形態では、上述したように、上記搬送ベルト43は、送り出し装置S1側のフィーダローラ10m,10jのうちの従動ローラ10jに掛け渡されている(図11)。すなわち、送り出し装置S1側のフィーダローラ10に搬送ベルト43が掛け渡され、この搬送ベルト43が印刷ユニットS2の搬送手段を兼用している。したがって、送り出し装置S1によりフィーダローラ10まで達したシート状ワークW1は、これらフィーダローラ10m,10jの回転速度で搬送ベルト43によって印刷部S2側へと受け渡される。このため、特に第1の印刷ローラR1では、シート状ワークWと接し始める時点で、印刷ローラR1の印版Raの位置と、シート状ワークWの印刷されるべき範囲とが一致する。すなわち、重要な最初の位置での印刷ずれを、上記搬送ベルト43をフィーダローラ10に掛け渡すことにより防止できる。また、フィーダローラ10に掛け渡すことにより、従来の従動ローラ470が不要になり、部品点数の削減にもなる。なお、搬送ベルト43をフィーダローラ10jに掛け渡す場合は、上記搬送ベルト43の第2の駆動ローラ45を設けずとも、このフィーダローラ10jと第1の駆動ローラ44とで上記と同様の機能を発揮することが可能となる。以上のように、制御手段11は、厚さの異なる印版Raが印刷ローラRn(n=1,2・・)に装着されると、その厚さに応じてシート状ワークの送り出し装置S1の搬送速度、フィーダローラ10の搬送速度と上記搬送ベルト43を演算して変更し、またそれらの位置に応じた位相角度を演算して与えることによって、シート状ワークWへの印刷が適切に行われる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、上記実施の形態の給紙部(シート状ワーク送り出し装置)S1および印刷部(印刷ユニット)S2と、この印刷ユニットS2の下流側に設置される製函部(スロッタ部、ダイカッタ部、フォールディング部、デリベリ部)S3を有する製函機に用いられるシート状ワークの送り出し方法である。なお、製函部S3については、上記スロッタ部S3を例に説明するが、ダイカッタ部、フォールディング部、デリベリ部等のスロッタ部以外の他の位相合わせが必要な後加工装置にも適用可能である。
本実施の形態の送り出し方法は、少なくとも、送り出し装置S1及び印刷ユニットS2の主要な駆動部(給紙ローラ3、グレート4、印刷ローラRn等)が独立駆動する製函機に用いられることが前提となる。したがって、本実施の形態の送り出し方法は、送り出し装置S1の給紙ローラ3、グレート4及びフィーダローラ10j,10mの各駆動手段M3、M4a(及びM4b)及びM10が互いに独立しているとともに、印刷ユニットS2の印刷ローラRn及び搬送ローラ45の各駆動手段M6及びM5が互いに独立している製函機に対して適用される(図11参照)。また、本実施の形態の送り出し方法は、上記送り出し装置S1及び印刷ユニットS2の各駆動手段が独立しているだけでなく、印刷ユニットS2の次の工程に、位相合わせが必要な後加工装置(シート状ワークWに罫線(クリーズ)を付与する罫線付与ユニット、シート状ワークに所定の切込みを入れるスロッタユニットやダイカッタユニット等)を備え、これら後加工装置の各々の駆動手段が前記送り出し装置S1や印刷ユニットS2の各駆動手段と独立している製函機に対して適用される(図15参照)。
本実施の形態は、印版厚さに応じて、給紙ローラ3の加速パターンを決定し、この加速パターンからシート状ワークWが搬送速度Vsに達するまでの加速距離d0を演算で求め、この値から印刷ユニットS2の印刷ローラRnの位置に応じた位相角度δnを演算して設定するシート状ワークの送り出し方法である。より具体的には、所定の印刷・製函枚数Nsでのシート状ワーク送り出し装置S1の搬送速度(シート状ワークWが給紙ローラ3により送り出され等速状態に達したときの搬送速度)Vs、印刷部S2の搬送速度(搬送ベルト43の搬送速度)Vsを演算して設定するとともに、印刷ローラRn(n=1,2・・)にセットされた印版Raの厚さに応じて、シート状ワーク送り出し装置S1の給紙ローラ3の加速パターンを設定し、その加速パターンから加速距離d0を演算で求め、この距離d0から仮想送り出し位置P0を設定し、シート状ワークWが仮想の送り出し位置P0から等速Vsで搬送されるものとして、この仮想送り出し位置P0を基準として印刷部S2の印刷ローラRn(Nn=1,2・・)に応じた位相角度δnを演算し、印刷ローラRnの位相角度を設定する。
また、本実施の形態は、印版厚さに応じて、上記印刷ローラRnの位相角度だけでなく、後加工装置である製函部(スロッタ部)S3についても、位相角度を設定するシート状ワークの送り出し方法である。より具体的には、所定の印刷・製函枚数Nsでのシート状ワーク送り出し装置S1の上記搬送速度Vsだけでなく、製函部(スロッタ部)S3の製函速度Vyを演算して設定するとともに、シート状ワークが上記仮想の送り出し位置P0から等速Vsで搬送されるものとして、この仮想送り出し位置P0を基準として後加工装置である製函部(スロッタ部)S3の位置に応じた位相角度δnを演算して設定する。
図15は、上記給紙部S1および印刷部S2、製函部(スロッタ部)S3を含む製函機の側面概略図である。製函機は、シート状ワークWの搬送方向の上流側から下流側に向かって、まず、給紙部(シート状ワーク送り出し装置)S1が配置され、その下流側に印刷部(印刷ユニット)S2が配置され、更にその下流側に、製函部(スロッタ部)S3が配置される。この製函機では、送り出し装置S1の給紙ローラ3、グレート4(図示せず)
及びフィーダローラ10j,10mの各駆動手段M3、M4a・M4b(図示せず)及びM10が互いに独立しているとともに、印刷ユニットS2の印刷ローラRn及び搬送ローラ45の各駆動手段M6及びM5が互いに独立した構成となっている。また、製函部(スロッタ部)S3の駆動手段M13も、上記給紙部S1及び印刷ユニットS2の各駆動手段から独立した構成となっている。そして、これらの駆動手段は、上記制御手段11の指令により、駆動・停止することになる。なお、図15中の各印刷ローラRn(n=1,2,3,4)には、所定の厚みの印版Raが取り付けられている(図11参照)が、ここでは印版厚さまでを含む直径2rpの円として各印刷ローラRn(n=1,2,3,4)を表している。したがって、シート状ワークWは、実際の送り出し位置P1から予め設定された加速パターン(図16参照)に従って加速され、フィーダローラ10手前の位置でベルト搬送速度Vsに達し、上記フィーダローラ10を介して搬送ベルト43に受け渡される。更に、シート状ワークWは、この搬送速度Vsを保ったまま、搬送ベルト43により印刷ローラR1、R2、R3、R4の印刷位置へと搬送され、更に、次の製函部S3へと搬送され、溝切り等の加工がなされることになる。ここで、本実施の形態に用いる製函機では、フィーダローラ10m、10jのうち、下側のフィーダローラ10jに搬送ベルト43が掛け渡されているが、ここでは、フィーダローラ10m、10jが1つの駆動手段M10で駆動する場合で説明する。なお、フィーダローラ10m、10jの各駆動手段が互いに独立していてもよく、また、フィーダローラ10jに、駆動手段が取付けられておらず、搬送ローラ45の従動ローラとして駆動するのみであってもよい。
上記で説明したように、上記給紙部S1の給紙ローラ3、グレート4、フィーダローラ10m、10j及び上記印刷部S2の各印刷ローラRn(n=1,2,3,4)、搬送ローラ45の各駆動手段は互いに独立している。また、上記製函部(スロッタ部)S3の駆動手段も上記各駆動手段から独立している。そして、これら各駆動手段は、上記制御手段11により電気的に制御され、駆動・停止することになる(図22)。本実施の形態では、上記制御手段11が各々独立した各駆動手段を駆動させるに際し、位相角度の設定が必要となる印刷ローラRn(n=1,2,3,4)及び製函部(スロッタ部)S3について、共通の基準位置(仮想送り出し位置P0)を設定し、この基準位置からの印刷ローラRn(n=1,2,3,4)及び製函部(スロッタ部)S3までの距離を位相角度δnとして算出して設定し、印刷動作等を調整する。
図17は、上記製函機によりシート状ワークWが連続して搬送され、印刷され、更に、製函部(スロッタ部)S3により溝切り等がされる際の各駆動部の距離の関係を説明する図である。まず、上記印刷ローラRn(n=1,2,3,4)及び製函部(スロッタ部)S3の位相角度δnを算出する際の基準位置となる仮想の送り出し位置P0について説明する。ここではわかりやすくするために運転速度を一定速度とする。シート状ワークWの実際の物理的な送り出し位置は、フロントゲージ14の側端面14aにシート状ワークWが当接する位置、すなわち位置P1(図17参照)であるが、これより下流の搬送部(印刷部S2及び製函部S3)の任意の位置で、その位置が各駆動部の回転位相とどのような関係であるかを知りたい場合、シート状ワークWがある仮想送り出し位置P0から等速運動で送り出されてくるとして考えた方が都合がよい。つまり、シート状ワークWが加速を開始する上記実際の送り出し位置P1を上記基準とせず、搬送系(上記印刷ユニットS2や製函部S3側)から見たとき、シート状ワークWが送り出し位置P1より更に上流となる送り出し位置P0から等速運動で送り出されるとして、基準となる仮想送り出し位置P0を設定する。これにより、仮想の送り出し位置P0を基準とする印刷ローラRn及び製函部(スロッタ部)S3の各位相角度δnを、以下で説明する基準回転角度信号1周期分の長さL0を用いた単純な関係式で表すことが可能となる。なお、フロントゲージ14の側端面14aが、テーパ面であるときは、最下層のシート状ワークは側端面14aに当接はしていない場合があるが、このような場合でも、この側端面14aを実際の送り出し位置とみなす。
図17において、シート状ワーク送り出し装置S1のフロントゲージ14の側壁面14aからフィーダローラ10の中心までの距離をL1,上記フロントゲージ14の側壁面14aから第1の印刷ローラR1の中心までの距離をL2,各印刷ローラRn(n=1,2,3,4)のそれぞれの中心間の距離をL3、印刷ローラR4の中心から製函部(スロッタ部)S3の中心までの距離をL4とする。更に、各印刷ローラRnの直径(印版厚さを含む)を2rpとする。
シート状ワーク搬送時の各シート状ワークW間の距離(上流のシート状ワークWの先端から下流のシート状ワークWの先端までの距離)をL0とすると、この距離L0は、各印刷ローラRnの周長(印版厚さを含む周長)と等しい。シート状ワークWの単位時間(1分間)あたりの印刷・搬出枚数をNsとすると、搬送ベルト43の搬送速度Vsは、上記L0とNsを用いて、Vs=L0×Ns/60[mm/s]・・・(数式2)で表される。一方、印刷ローラRn(n=1,2,3,4)の周速度Vpは、単位時間あたりの回転数Np[rpm]を用いて、Vp=2πrp×Np/60[mm/s]・・・(数式1’)として表される。ここで、シート状ワーク搬送時には、搬送速度Vs=周速度Vpであり、L0×Ns/60[mm/s]=2πrp×Np/60[mm/s]が成り立ち、更に、単位時間(1分間)あたりのシート状ワークの印刷・搬出枚数Ns=印刷ローラRnの単位時間(1分間)あたりの回転数Npであるため、L0=2πrp[mm]・・・(数式3)が成り立つ。このL0は、本実施の形態のシート状ワークの送り出し方法を考える上で重要であり、以下で説明する加速距離d0とともに、上記シート状ワークの送り出し方法の制御定数として扱われる。なお、製函部(スロッタ部)S3も、上下のローラが回転駆動するものであるため、上下ローラの周速度(製函速度)Vyは、上記Vsと等しく、Vy=Vs・・・(数式4)が成り立つ。ここで、上記距離L0を、基準回転角度信号1周期分の長さとする。距離L0は、印版の厚さを変更しない限り、上記単位時間あたりのシート状ワークの印刷・搬出枚数Ns(=単位時間あたりの回転数Np)が変更されても一定であるため、この基準回転角度信号も、上記Ns値の変化に左右されず一定な値である。
図16は、本実施の形態のシート状ワークの送り出し装置S1がフィーダローラ10を介して搬送ベルト43上にシート状ワークWを送り出す際の搬送速度の変化を表すグラフである。縦軸は給紙ローラ3の周速度を表す速度軸、横軸は時間軸である。上記仮想送り出し位置P0と、各駆動部の位相角度δn(n=1,2,3,4)との関係は以下のように表される。進行方向側の先端が送り出し位置P1にある最下層のシート状ワークWは、給紙ローラ3によって加速され、搬送速度Vsに達した段階で等速になり、その速度で搬送ベルト43に受け渡される。ここで、シート状ワークWが上記速度Vsに達するまでの時間をta、シート状ワークWがフィーダローラ10に到達するまでの時間をtfとする。上記仮想送り出し位置P0は、シート状ワークWが実際の送り出し位置P1からフィーダローラ10に達するまでの時間tfの間、等速で搬送されたと仮定したときの送り出し位置である。実際の送り出し位置P1からシート状ワークWが搬送速度Vsに到達するまでに進んだ距離を加速距離d0とすると、加速度が一定の場合は、図16のグラフより仮想送り出し位置P0から実際の送り出し位置P1までの距離はこの加速距離d0に等しい。これらの関係をまとめると、d0は、上記L1(フロントゲージ14の側壁面14aからフィーダローラ10の中心までの距離)を用いて、L1+d0=Vs×tf・・・(数式5)で表すことができる。したがって、仮想の送り出し位置P0は、実際の送り出し位置P1から、更に上流に加速距離d0だけ遡った位置となり、この位置を以下の各部の位相合わせの基準位置とする。なお、上記(数式5)で、L1は既定値であるが、搬送速度Vs及び時間tfは、印版厚さが変更されると変化する値であるため、加速距離d0も印版厚さが変更されることで変化する。
ここで、加速距離d0を求めるときは、給紙ローラ3が一定の割合で加速する(加速度が一定である)ことを前提条件として、給紙ローラ3の搬送速度Vsの値と、加速度αあるいは加速時間taのうちのいずれかの値とを用いて簡単に算出できる。例えば、搬送速度Vsと加速時間taが規定値として与えられていれば、加速距離d0=1/2×Vs×ta・・・(数式9)で算出できる。或いは、搬送速度Vsと加速度αが規定値として与えられていれば、加速距離d0=1/2×Vs×Vs/α・・・(数式10)で算出できる。この給紙ローラ3の搬送速度Vs、加速度α,加速時間taの各値で表される給紙ローラ3の加速の態様を、給紙ローラ3の加速パターンと定義する。なお、Vs=α×taの関係から、搬送速度Vs、加速度α、加速時間taのいずれか2値が規定値として与えられれば、自動的に残る1値も確定する。
次に、印刷ローラRn(n=1,2,3,4)及び製函部(スロッタ部)S3の上記仮想送り出し位置P0に対する位相角度δn(n=1,2,3,4)を上記L0及びd0を用いて表す。図17では、上記仮想送り出し位置P0からL0ずつ進んだシート状ワークWが順に描かれている。距離L0は、各印刷ローラRnの周長(印版厚さを含む周長)と等しいので、例えば、仮想送り出し位置P0から送り出されると仮定されたシート状ワークWは、第1の印刷ローラR1が1周する間(印版Raが印刷ローラR1の中心を通る鉛直線X上の位置(図17参照)から回転し、再び、この位置に到達するまでの間)に、距離L0だけ進み、印刷ローラR1から距離d1だけ上流の位置に達する(図17参照)。したがって、第1の印刷ローラR1が1周するごとに、その印版Raと、シート状ワークWの印刷されるべき範囲(印刷位置)とをズレなく一致させるためには、印刷ローラR1が上記距離d1に相当する位相角度δ1だけ遅れて回転(印版Raが位相角度δ1だけ遅れて上記鉛直線X上の位置にくるように回転)するように予め設定しておけば、シート状ワークWと印刷ローラR1との間に印刷ズレは生じなくなる。これと同様に、仮想送り出し位置P0から送り出されたシート状ワークWは、各印刷ローラがn周分回転したとき、印刷ローラRnから距離dnだけ上流の位置にあるので、印刷ローラRnが距離dnに相当する位相角度δnだけ遅れて回転するように予め設定しておけば、シート状ワークWと印刷ローラRnとの間に印刷ズレは生じないことになる。ここで、上記距離L0を基準回転角度信号1周期分(360°)の長さとすると、この距離L0に対する距離dnの割合が位相角度δnであるので、δn=dn/L0×360 [°]・・・(数式6)と表せる。
ここで、上記製函機の距離L1=110mm,距離L2=1,170mm,各印刷ローラR1,R2,R3,R4のそれぞれの中心間の距離L3=1,255mm、距離L4=1,990mmである。また、印版Ra(印版厚さ7.2mm)を含む印刷ローラRnの直径は、2rp=336.1 [mm]である。上記仮想送り出し位置P0から印刷ローラRn(n=1,2,3,4)までの距離Yn(n=1,2,3,4)を、上記実際の送り出し位置P1から当該印刷ローラRn(n=1,2,3,4)までの距離L1,L2,L3およびL4との関係を用いて表す。上記仮想送り出し位置P0から各印刷ローラR1・・・R4までの距離Ynは、Yn=(n−1)×L3+L2+d0(n=1,2,3,4)で表せる(図17参照)。一方、距離Ynを距離L0で表すと、Yn=n×L0+dnとなり、dn=Yn−n×L0となる。よって、この2式から、dn=(n−1)×L3+L2+d0−n×L0と表せる。ここで、上記よりδn=dn/L0×360 [°]であるため、δn=((n−1)×L3+L2+d0−n×L0)/L0×360 [°]・・・(数式7)と表せる。本実施の形態のシート状ワークの送り出し方法では、上記数式から制御手段11が仮想送り出し位置P0からの位相角度δnを算出し、印刷ローラRn(n=1,2,3,4)の位相角度を設定する。ここで、上記数式7は、印刷ローラR1,R2,R3,R4が等間隔(距離L3)で配置されている場合の全印刷ローラに適応できる数式であるが、仮に、各印刷ローラRn(n=1,2,3,4)が等間隔に配置されていなくても、各印刷ローラごとに仮想送り出し位置P0からの距離Yn(n=1,2,3,4)を表す数式を出し、その数式を用いて、各々の位相角度δn(n=1,2,3,4)を求めればよい。なお、δn=((n−1)×L3+L2+d0−n×L0)/L0×360 [°]・・・(数式7)は、δn=(Yn−n×L0)/L0×360=Yn/L0×360−n×360[°]と変形できる。このYn/L0×360=θn[°](n=1,2,3,4)とすると、δn=θn−n×360[°]・・・(数式7’)と表せる(表1及び表2参照)。
また、上記仮想送り出し位置P0から製函部(スロッタ部)S3までの距離を、上記実際の送り出し位置P1から各駆動部までの距離L1,L2,L3およびL4との関係を用いて表すと、Y5=3×L3+L2+d0+L4となる。一方、距離Y5を距離L0で表すと、Y5=6×L0+d5となり、d5=Y5−6×L0となる。よって、この2式から、d5=3×L3+L2+d0+L4−6×L0と表せる。ここで、上記よりδ5=d5/L0×360 [°]であるため、δ5=(3×L3+L2+d0+Ln−6×L0)/L0×360 [°]・・・(数式8)と表せる。したがって、製函部S3の位相合わせをおこなう際は、この式から位相角度δ5を求める。なお、位相角度δ5が360°を超える場合は、δnから360°引いた角度を位相角度δ5とする。例えば、製函部(スロッタ部)S3の位相角度δ5が、δ5=590.1 [°]となって360 [°]を超える場合(図20参照)は、δ5−360=590.1−360=230.1 [°]を製函部S3の位相角度とすればよい。同様に、位相角度設定が必要な上記印刷ローラRn(n=1,2・・)やスロッタ部を含む後加工装置の位相角度δnとして算出された数値が360の倍数であるとき、360の倍数分を引いた数値をその駆動部の位相角度とすればよい。ここでは、印刷ローラの数が4つで、位相角度設定が必要な後加工装置が1つ(スロッタ部のみ)の場合を想定したが、本実施の形態のシート状ワークの送り出し方法は、印刷ローラが任意の数設置され、位相角度設定が必要な後加工装置が任意の数設置された製函機に適用可能である。なお、δ5=(3×L3+L2+d0+Ln−6×L0)/L0×360 [°]・・・(数式8)は、δ5=(Y5−6×L0)/L0×360=Y5/L0×360−6×360[°]と変形できる。このY5/L0×360=θ5[°]とすると、δ5=θ5−6×360[°]・・・(数式8’)と表せる(表1及び表2参照)。
次に、本実施の形態の上記シート状ワークの送り出し方法を用い、実際に製函機の各位相合わせを行う。
図23は、本実施の形態のシート状ワークの送り出し方法を用いて製函機の各位相合わせをするときの手順を示したフローチャートである。ここで、図17に示す製函機において、距離L1=110mm,距離L2=1,170mm,各印刷ローラR1,R2,R3,R4のそれぞれの中心間の距離L3=1,255mm、距離L4=1,990mmである。また、印版Ra(印版厚さ7.2mm)を含む印刷ローラRnの直径2rp=336.1 [mm]とする。この製函機を用いて、単位時間あたりのシート状ワークWの印刷枚数及び製函枚数がNsの場合の各駆動部の位相合わせをおこなう。
まず、ステップ1で、上記制御手段11に、印刷ローラRnの印版厚さを含む直径2rp及び単位時間あたりの印刷・製函枚数Nsを入力する。
次に、ステップ2で、上記制御手段11が、(数式1’)(数式4)よりシート状ワーク送り出し装置S1と搬送ベルト43の搬送速度Vs、製函部(スロッタ部)S3の製函速度Syの各値を算出する。また、上記制御手段11が、(数式3)より、距離L0=1,056mm(印版厚さ7.2mm)を算出する。ここで、上記距離L0を基準回転角度信号1周期分(360°)の長さとして制御手段11に記憶させる。
次に、ステップ3で、制御手段11が、給紙ローラ3の加速パターンを決定する。ここで、給紙ローラ3の加速パターンとは、給紙ローラ3の加速度α、加速時間ta、搬送速度Vsの各値で表される給紙ローラ3の加速の態様のことである(表1参照)。ここでは、基準印版の位相合わせであるため、上記各値のうち、加速度αか、加速時間taのいずれかを予め規定値として与えておく。このように、加速度αか、加速時間taのいずれかを規定値として与えておけば、この値と、ステップ1,2より得られた搬送速度Vsとを、上記数式9あるいは数式10に代入することで、単純な演算で加速距離d0が得られる。ここでは、加速距離d0=86[mm]と算出される。なお、以下で説明する印版厚さを変更したときの給紙ローラ3の加速パターンを決定するときには、この基準印版での加速パターンを基準の加速パターンとして利用して、当該印版厚さ変更時の加速パターンを決定する。
次に、ステップ4で、制御手段11が、ステップ3で得た加速距離d0を、実際の送り出し位置P1(フロントゲージ14の側壁面14a)から上流側に距離d0だけ遡った位置である仮想送り出し位置P0として設定する(図17参照)。ここでは、d0=86mmである。
次に、ステップ5で、制御手段11が、上記(数式7)及び(数式8)に、上記で算出した各値を代入し、各印刷ローラRn及び製函部S3の位相角度δnを算出する。上記距離L0及び距離d0が定まれば、上記各関係式に他の規定値とともにこれらの数値を代入することで、下流側の各駆動部の位相角度δnが算出される。ここでは、d1=200mm、d2=399mm、d3=598mm、d4=797mm、d5=675mmであり、δ1=68.2
[°]、δ2=136.0 [°]、δ3=203.9 [°]、δ4=271.7 [°]、δ5=230.1 [°]と算出される。
最後に、ステップ6で、制御手段11が、送り出し装置S1、印刷ユニットS2、製函部S3の各駆動手段を駆動させる。すなわち、制御手段11は、給紙ローラ3が、所定の加速・等速・減速の周期を繰り返すように駆動手段M3を駆動させるとともに、グレート4が、所定の昇降周期を繰り返すように駆動手段M4a,M4bを駆動させる。同様に、印刷ローラRn(n=1,2,3,4)が所定の周速度(搬送速度)Vsで回転するように駆動手段M6を駆動させ、製函部(スロッタ部)S3が所定の製函速度Vyで回転するように駆動手段M13を駆動させる。同様に、フィーダローラ10m、10j、搬送ローラ45が所定の周速度(搬送速度)Vsで回転するように駆動手段M10、M5を駆動させる。このとき、シート状ワークWは送り出されておらず、製函機は空運転状態である。そして、上記各部が所定の運転速度に達し、更に、印刷ローラRn及び製函部(スロッタ部)S3の回転軸が、上記仮想の送り出し位置P0に対する所定の位相角度に到達するとともに、グレート4の昇降の周期が、仮想送り出し位置P0に対して位相角度0[°]のタイミングでシート状ワークWを送り出せる状態となったら、待機状態となる。この状態になってから、シート状ワークWを送り出すことで、シート状ワークWを印刷ローラRn(n=1,2,3,4)の印刷位置や、製函部3の製函位置に正確に送り出すことができる。
図20は、上記印刷ローラRn及び製函部(スロッタ部)S3の位相合わせの結果を表にしたグラフである。横軸は、送り出し位置P0からの距離を表し、縦軸は、送り出し位置P0からの位相角度を示す。シート間隔L0(1,056mm)の整数倍の位置に対し、各ローラはその位置から前後したところに位置しているため、図に示すような位相角度δnをもっている。各印刷ローラRn(n=1,2・・)及び製函部(スロッタ部)S3が搬送されてくるシート状ワークWとの適正な相対位置を保つために、この位相角度δnから360°の整数倍の値を差し引いた位相角度を有して回転制御されることになる(位相同期制御)。
上記給紙ローラ3の加速パターンは制御手段11の上記基準回転角度信号に従っているので、たとえ製函機の製函速度が変わっても(単位時間当たりの印刷枚数・製函枚数Nsの変化)、その基準回転角に対する関係は変化せず、仮想送り出し位置P0は変化しない。それゆえ製函速度が変化しても上記印刷ローラRn及び製函部(スロッタ部)S3の位相補正値(上記位相角度δnのこと)を変化させる必要はない。
実際の製函機では印版厚さは一定ではなく、場合によっては上記の印版厚さより薄いタイプの印版が使用されることがある。印版厚さを変更する場合は、製函機の制御定数(上記加速距離d0及び基準回転角度信号1周期分の長さL0)を変更し、変更した制御定数を用いて印刷ローラRn(n=1,2,3,4)及び製函部(スロッタ部)S3の位相合わせをおこなう必要がある。以下に印版厚さを上記7,2mmから3.6mmのものに変更した場合の、制御定数の変化について説明する。
印版厚さを変更すると、印刷ローラRn(n=1,2,3,4)の周長が変化するので、基準回転角度信号の1周期分の長さもこれに合わせて変更する必要がある。ここでは、印版厚さ3.6(mm)で、印刷ローラRnの周長がL0’= 1,031(mm)であるため、基準回転角度信号1周期分の長さも1,031(mm)となる。
次に、印版厚さを変更したときの加速距離について説明する。図18は、本実施の形態の印刷ローラRnの印版Raの厚さを変更したときの、シート状ワーク送り出し装置S1がフィーダローラ10を介して搬送ベルト43上にシート状ワークWを送り出す際の搬送速度の変化を表すグラフである。各印刷ローラに厚さが異なる印版(厚さ7.2mmから厚さ3.6mmのものに変更)Raを使用した場合、シート状ワークWは実際の送り出し位置P1からある加速パターンに従って加速され、搬送速度Vs’に達し、その速度でフィーダローラ10を介して搬送ベルト43に受け渡される。
ここで、製函機の製函速度(時間当たりのシート状ワークWの印刷枚数・製函枚数)Nsを変更しなければ、各印刷ローラの回転数Npは変化しないが、その周速度(印版厚さを含む)Vp’は、Vp’=2πrp’(rp>rp’)となり変化する(ここでは遅くなる。図19参照)。ここで、シート状ワークWの搬送速度Vs’= Vp’であるので、シート状ワークWが搬送される搬送速度Vs’は、印版Raを変更する前と比べて変化する(遅くなる)。
図18は、給紙ローラ3の搬送速度を、基準印版での搬送速度Vsから、印版厚さを変更したときの搬送速度Vs’に変更するときの加速パターンの例である。ここでは給紙ローラ3の搬送速度をVsからVs’に変更する加速パターンとしては、一定の加速度で加速すること(グラフでいうと直線的に加速する場合で、S字ではないこと)を前提条件として、(a)印版変更前の加速時間taを固定して加速度を小さくする加速パターンと、(b)印版変更前の加速度αを固定して加速時間を短くする加速パターンと、(c)印版変更前の加速距離d0を固定して加速度を小さくする加速パターンの3種類の加速パターンを示す。それぞれの加速パターンでは、搬送速度Vs’は同じであるが、加速度や加速時間が異なるため、どの加速パターンを選択するかで、給紙ローラ3の加速距離が異なってくる。
表1は、基準印版での各印刷ローラ、後加工装置(スロッタ部)の位相角度と、印版変更時のそれぞれの加速パターンごとの各印刷ローラ、後加工装置の位相角度とを一般化して示した表である。この表1には、印版Raを7.2[mm]版から3.6[mm]版に変更した場合の、上記(a)(b)(c)それぞれの加速パターンの搬送速度、加速度、加速時間の大小の関係が、基準印版での搬送速度、加速度、加速時間と比較して表されている。制御手段11は、上記(a)(b)(c)それぞれの加速パターンのうち、いずれを用いて加速距離を算出してもよい。例えば、(a)の加速パターン(搬送速度Vs’、加速時間ta、加速度α’)から、上記数式9或いは10を用いて加速距離d0’を算出してもよい。ここでは、加速距離d0’=83.9[mm]と算出される。なお、加速距離d0=1/2×Vs×ta[mm]であり、加速距離d0’= 1/2×Vs’×ta[mm]であるため、d0’ =Vs’/Vs×d0[mm]が成り立つ。これと、Vs’/Vs=L0’/L0の関係から、d0’= L0’/L0×d0[mm]・・・数式(11)が成り立つ。この数式(11)を用いることにより、基準印版での加速距離d0の値と、各基準回転角度信号360°分の長さL0、L0’の各値から、加速距離d0’ =83.9[mm]を算出することも可能である。
また、(b)の加速パターン(搬送速度Vs’、加速時間ta’’、加速度α)から、上記数式9或いは10を用いて加速距離d0’ ’を算出してもよい。ここでは、加速距離d0’ ’=81.9[mm]と算出される。なお、加速距離d0’’=1/2×α×ta’’×ta’’ [mm]であり、加速距離d0=1/2×α×ta×ta[mm]であるため、この2式より、加速距離d0’’= d0×ta’’×ta’’ /ta/ta[mm]である。また、搬送速度Vs’=α×ta’’
[mm/s]であり、搬送速度Vs=α×ta[mm/s]であるため、この2式より、加速時間ta’’= Vs’/ Vs×taである。ゆえに、加速距離d0’’= d0×(
Vs’/ Vs)×(Vs’/ Vs)[mm]が成り立つ。これと、Vs’/Vs=L0’/L0の関係から、加速距離d0’’=
d0×(L0’/L0)×(L0’/L0)[mm]・・・数式(12)が成り立つ。この数式(12)を用いることにより、基準印版での加速距離d0の値と、各基準回転角度信号360°分の長さL0、L0’の各値から、加速距離d0’’ =81.9[mm]を算出することも可能である。
なお、(c)の加速パターンでは、加速距離が固定されているため、基準印版での加速距離d0=86.0[mm]と同じ加速距離である。ただ、基準回転角度信号360°分の長さが変更されているため、各印刷ローラRn(n=1,2,3,4)及び製函部(スロッタ部)S3の位相角度δn’’’ (n=1,2,3,4,5)は、基準印版での位相角度δn(n=1,2,3,4,5)と異なった値となる。
図24は、印版厚さを7.2(mm)から3.6(mm)に変更した場合の製函機の印刷ローラRn(n=1,2・・)及び製函部(スロッタ部)S3の位相合わせの手順を示したフローチャートである。製函速度Nsは一定であるから、製函機の各駆動手段の回転速度を印刷ローラRnの直径が変更になった比率で変更しなければならない。ベルト搬送速度Vs’は、Vs’= Vs x 1031/1056となる。すなわち、各搬送系のモータはベルト搬送速度に合わせて、1031/1056×100=97.63(%)の回転速度に変更することになる.また各印刷ローラRn(n=1,2・・)及び製函部(スロッタ部)S3の各位相角度も変更しなければならない。印版厚さを変更した場合の位相合わせの手順を図24で示す。ここで、上記基準印版での位相合わせと異なるのは、ステップ3からであるので、このステップ3を説明する。
ステップ3では、制御手段11が、給紙ローラ3の加速パターンを決定する。すなわち、基準印版での給紙ローラ3の加速パターンから得られる上記(a)の加速パターン(搬送速度Vs’、加速度α’、加速時間ta)と、(b)の加速パターン(搬送速度Vs’、加速度α、加速時間ta’’)と、(c)の加速パターン(搬送速度Vs’、加速度α’’’、加速時間ta’’’)のいずれかを選択する。そして、制御手段11が、上記選択した加速パターンから、上記数式9あるいは数式10を用いて、加速距離を算出する。ここでは、加速距離d0’=83.9[mm]と算出され、加速距離d0’’=83.9[mm] と算出される((c)の加速パターンを選択した場合は、加速距離d0は固定)。
ステップ3で加速距離d0’、あるいは加速距離d0’’が算出された後は、基準印版の場合と同様に、ステップ4、ステップ5、ステップ6の順序で印刷ローラRn及び製函部(スロッタ部)S3の位相合わせが行われる(図24)。表1は、基準印版での各印刷ローラRnや後加工装置(スロッタ部)S3の位相角度θn及びδn(n=1,2,3,4,5)と、印版変更時のそれぞれの加速パターンごとの各印刷ローラRnや後加工装置S3の位相角度θn’、 θn’’、 θn’’’ (n=1,2,3,4,5)とを一般化して示した表である。また、表2は、基準印版での各印刷ローラRnや後加工装置(スロッタ部)S3の位相角度θn及びδn(n=1,2,3,4,5)と、印版変更時のそれぞれの加速パターンごとの各印刷ローラRnや後加工装置(スロッタ部)S3の位相角度θn’、 θn’’、 θn’’’及びδn’、 δn’'、δn’’’(n=1,2,3,4,5)とを具体的な数値を代入して示した表である(θnについては、段落0067、0068参照)。また、表3は、その上段については、基準印版での仮想送り出し位置P0から各印刷ローラRn、後加工装置(スロッタ部)S3までの距離Yn(n=1,2,3,4,5)と、印版変更時のそれぞれの加速パターンごとの仮想送り出し位置P0’、P0’’、P0’’’(=P0)から各印刷ローラRn、後加工装置(スロッタ部)S3までの距離Yn’、 Yn’’、Yn’’’(n=1,2,3,4,5)を具体的な数値を代入して示した表であり、その下段については、基準印版でのシート状ワークの各印刷ローラRn、後加工装置(スロッタ部)S3の印刷位置からのズレdn(n=1,2,3,4,5)と、印版変更時のそれぞれの加速パターンごとのシート状ワークの各印刷ローラRn、後加工装置(スロッタ部)S3の印刷位置からのズレdn’、dn’’、dn’’’(n=1,2,3,4,5)とを具体的な数値を代入して示した表である。
図21は、上記各駆動部の位相合わせの結果を表したグラフである。ヨコ軸は、仮想の送り出し位置P0’からの距離を表し、タテ軸は、仮想の送り出し位置P0’からの位相角度を示す。印版Raの厚さが7.2mmから3.6mmになると印刷ローラRnの外周径が小さくなる(φ336.1→φ328.1)ため、シート間隔L0も小さくなる(1,056(mm)→1,031(mm))。各印刷ローラRnには図で示した値の位相角度をそれぞれ与えて位相同期制御する。仮想送り出し位置P0’から離れたローラ(印刷ローラRn及び製函部S3を含む)ほどその変化量が大きくなり、例えば印刷ローラR4は271.7[°] →312.5[°] (+40.8[°])、スロッタ部は230.1°→287.4[°](+57.3[°])となる。
なお、上記では、シート状ワークWの印刷されるべき範囲(印刷位置)が、その前端Waから始まる場合(図25参照)を例にとって、当該印刷されるべき範囲(印刷位置)と、各印刷ローラRnの印版Raが一致するようなシート状ワークの送り出し方法を説明したが、この送り出し方法は、シート状ワークWの印刷されるべき範囲(印刷位置)が、その前端Waからではなく、任意の位置Wbから始まる場合にも、当然、適用可能である。例えば、シート状ワークWの印刷されるべき範囲(印刷位置)が、その前端Waからl[mm]の位置Wbから始まる場合、基準印版での印刷ローラRnの周長L0(基準回転角度信号360[°]分の長さL0)を用いて、γ=l/L0×360[°]分の位相角度だけ各印刷ローラRnに補正値を与えておく。このように、補正しておけば、後は、上記で説明した手順で、基準印版での位相合わせを行えばよい。同様に、印版変更時の位相合わせでは、最初に、印版変更時の印刷ローラRnの周長L0’(基準回転角度信号360[°]分の長さ’ L0’)を用いて、γ’=l/L0’×360[°]分の位相角度だけ各印刷ローラRnに補正値を与えておき、後は、上記で説明した手順で、印版変更時の位相合わせを行えばよい。ここで、後加工装置(スロッタ部)S3については、シート状ワークWの印刷されるべき範囲(印刷位置)がどこであっても、シート状ワークWに対する加工位置には影響しないので、上記補正値を与える必要はない。
ここで、印刷ローラ(R1〜R4)の近傍には、図11、図12、図15、図17、図25に示すように、印版Raに当接するインキ供給ロールRiと印刷インキを蓄えるインキチャンバIkcbが設けられ、インキ供給ロールRiの表面にはインキチャンバIkcbから印刷インキが供給され、この印刷インキが印版Raに転移する。本実施の形態では、印刷ローラ(R1〜R4)が駆動手段M6により駆動されるとともに、インキ供給ロールRiが駆動手段M7により駆動され(図2、図22)、各インキ供給ロールRiは各印刷ローラ(R1〜R4)の周速度に合わせて回転している。