以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)全体的な構成の説明
図1には、本発明に係る放射性物質測定装置の好適な実施形態が示されている。この放射性物質測定装置は、本実施形態において、放射性ヨウ素の測定を行うヨウ素サンプラである。すなわち、図1に示される装置は、被測定気体中における放射性ヨウ素を捕集し、捕集された放射性ヨウ素からの放射線を測定することにより、放射性ヨウ素の濃度等を求めるものである。もちろん、本発明は他の放射性物質測定装置に対しても適用可能なものである。
図1において、ヨウ素サンプラは下部10及び上部12に大別され、下部10には後に詳述するターンテーブル、複数の台座ユニット及び昇降機構等が設けられている。一方、上部12には、複数のステーション列、具体的には供給ステーション16、捕集ステーション、測定ステーション及び回収ステーション18が設けられている。それらのステーションは図示されるように上面板14上に設置されている。
供給ステーション16は、複数のカートリッジからなる未使用積層体を収容し、最下段のカートリッジを順次供給するステーションである。カートリッジは、例えば放射性ヨウ素を吸着する活性炭などを含む捕集部材である。捕集ステーションは、カートリッジを利用して被測定気体中に含まれる放射性ヨウ素を捕集するステーションである。測定ステーションは、捕集後のカートリッジに含まれる放射性ヨウ素からの放射線を検出するステーションである。回収ステーション18は、測定後のすなわち使用済みのカートリッジを受け入れて回収するステーションである。
下部10には、上面板14、第1中間テーブル20、第2中間テーブル22及びベースフレーム24が含まれる。上面板14と第1中間テーブル20との間は搬送室26とされており、その搬送室26には後に詳述するターンテーブルが回転可能に設けられている。搬送室26においてステーション間におけるカートリッジの搬送が行われる。このターンテーブルはカートリッジを水平方向に搬送するものであるが、カートリッジの垂直方向への搬送は複数の台座ユニットによってなされる。これについては後に詳述する。第1中間テーブル20と第2中間テーブル22との間は中間室28とされており、その中間室28には後に説明する昇降機構が設けられている。第2中間テーブル22とベースフレーム24との間は地下室30とされており、その地下室30には伝達機構等が設けられている。これについても後に詳述する。
図2には、カートリッジの一例が示されている。(A)はカートリッジ34の上面図であり、(B)はカートリッジ34の側面図であり、(C)はカートリッジ34の斜視図である。カートリッジ34は、それ全体として円盤状の形態を有している。
図3には、カートリッジの他の例が示されている。(A)はカートリッジ32の上面図であり、(B)はカートリッジ32の側面図であり、(C)はカートリッジ32の斜視図である。このカートリッジ32はそれ全体として概ね円盤状の形態を有し、より詳しくは、円盤状の形態を有するカートリッジ本体32Bの周囲に、中空円盤状のゴムパッキン32Aを装着してなるものである。ゴムパッキン32Aは、各ステーションへのカートリッジ収容時にステーションにおける気密性をより高めるシール作用を発揮する。カートリッジ32において、捕集及び測定を適正に行うために、カートリッジ本体32Bとの間にろ紙を挟みつつゴムパッキン32Aを装着するようにしてもよい。本実施形態に係るヨウ素サンプラは複数種類のカートリッジを受け入れることが可能である。
図4には、右側斜め前方から見たヨウ素サンプラの斜視図が示されている。すでに説明したように、上面板14上には複数のステーションが設置されており、具体的には、供給ステーション16、捕集ステーション36、測定ステーション38、回収ステーション18が設置されている。図5には、供給ステーション16が有する扉40Bが開かれた状態が示されている。供給ステーション16は、密閉ケース40を有している。すなわち供給ステーション16の内部には複数のカートリッジ(未使用カートリッジ)からなる積層体が収納されており、それらの全体を包み込むように箱状の密閉ケース40が設けられている。密閉ケース40は、具体的には、本体40Aと扉40Bとによって構成される。本体40Aの前面側には、カートリッジを補充するための前面側開口(スリット)40Cが形成されている。扉40Bには透明プレートからなる窓40Dが形成されている。扉40Bは本体40Aに対して開閉運動するものである。扉40Bにおける本体40Aとの接触部分40Eに気密性を高めるためのパッキン等を設けるのが望ましい。このような密閉ケース40を設けたのは、未使用カートリッジを乾燥状態において貯蔵するためである。すなわち、カートリッジが水分を吸着してしまうと放射性ヨウ素の捕集作用が低下してしまうため、除湿状態で貯蔵を行うために密閉ケース40が設けられている。なお、密閉ケース40内には除湿手段が設けられており、これについては後に説明する。
図6には、本実施形態に係るヨウ素サンプラの上面図が示されている。図示されるように、上面板14上には回形のステーション列が構成されており、具体的には、90度の角度間隔をもって供給ステーション16、捕集ステーション36、測定ステーション38及び回収ステーション18が設置されている。ちなみに、カートリッジは供給ステーション16から回収ステーション18へ向けて時計回り方向に移送される。
図7には、供給ユニットにおける密閉ケース本体を取り外した状態が示されている。ただし、密閉ケース本体の一部を構成する底板46については図示されている。供給ステーション16は、タワー機構42と保持機構44とを有する。タワー機構42は、未使用積層体を収容保持するものであり、タワー機構42はケース50と開閉バーユニット52とを有している。開閉バーユニット52については後に図28乃至図31を用いて詳述する。
保持機構44は、駆動部55と一対の水平アームユニット54とを有するものである。一対の水平アームユニット54は、積層体における最下段のカートリッジを横方向から挟んで保持する機構である。各水平アームユニット54は水平方向に運動するアームとそのアームの先端部に設けられた2つの保持ローラとを有する。駆動部55は一対の水平アームユニット54を開運動及び閉運動させるものである。駆動部55はモータ及び複数のばね等を含んで構成されている。
図8には、図7に示したタワー機構42を取り外した状態が示されている。図示されるように、最下段のカートリッジ56が一対の水平アームユニット54によって保持されており、カートリッジ56の下面側には台座ユニット58の上面である台座面が接している。台座ユニット58は供給ステーションにおいて最下段のカートリッジを下方に搬送するためのユニットである。底板46には開口部60が形成されており、その開口部60を通ってカートリッジが下方に送り出される。供給ステーション16が上昇状態にある場合、開口部60と台座ユニット58の接触部分とがシールされて気密状態となる。すなわち、台座ユニット58はその上昇状態において、気密構造を有する供給ステーションの下面側開口部60を塞ぐ部材としても機能している。
回収ステーション18は回収タワー62を有している。回収タワー62は使用済みの複数のカートリッジを収容するものである。回収タワー62の上側には開口62Aが形成されており、その一方、回収タワー62の下側にはベースプレート64が連結されている。ベースプレート64は台座として機能するものであり、その中央部には開口部66が形成されている。回収ステーション18の詳細については後に図32乃至図37を用いて説明する。図9には、図8に示した回収タワーを取り外した状態が示されている。上面板14には回収ステーションの設置位置に挿通孔14Dが形成されており、図9においてはその挿通孔14Dから台座ユニット70の一部が上方に突き出ている。挿通孔14Dの近傍には2つの位置決めピン68が設けられている。これらの位置決めピン68は回収タワーの設置時において水平方向の位置決めを行うための係合部材である。
図10には、図9に示した保持機構44及び底板46を取り外した状態が示されている。上面板14の奥側には図示されるように捕集ステーション36及び測定ステーション38が設けられている。捕集ステーション36は捕集室ケース72を有する。捕集室ケース72の内部は捕集室であり、そこには未使用のカートリッジが挿入される。ノズル74は捕集室ケース72に連結されており、そのノズル74を介して被測定気体であるエアが導入される。必要に応じてそのエアに対しては事前に加温処理が適用され、これによって湿度が下げられる。測定ステーション38は鉛などからなる遮蔽部材76を有している。
図11には、図10に示した遮蔽部材76を取り外した状態が示されている。図示されるように、測定ステーション38はその内部に検出器78及びケース80を有し、ケース80の内部は測定室とされている。そこには捕集後のカートリッジが挿入される。検出器78としては各種の検出器を利用可能であり、例えば高電子増倍管とシンチレータとを組み合わせた検出器を用いるようにしてもよい。また、半導体検出器等を利用することも可能である。
図12には、実質的にすべてのステーションを取り外した状態が示されている。上面板14にはその中心から見て90度の角度間隔をもって4つの挿通孔14A,14B,14C,14Dが形成されており、それぞれの挿通孔14A,14B,14C,14Dは各ステーションに対応している。これと同様に、各ステーションに対応して4つの台座ユニット58,82,84,70が設けられている。具体的には、図12に示す状態において、挿通孔14Aから台座ユニット58の上部が上方に突き出ている。その上面は台座面58Aである。次の捕集ステーションにおいては、挿通孔14Bから台座ユニット82の上部が突き出ている。符号82Aは台座面を表しており、符号82Bは漏斗形状を有するエアー排出路を示している。その次の測定ステーションにおいては、挿通孔14Cから、台座ユニット84における上部が突き出ており、その上部は台座面84Aである。最後の回収ステーションにおいては、挿通孔14Dから台座ユニット70の上部が突き出ており、その上面は台座面70Aである。図12においては4つの台座ユニット58,82,84,70がすべて上昇状態にあるが、それらの下降状態については後に図15を用いて説明する。いずれにしても、本実施形態においては、ヨウ素サンプラの上部において円周方向に沿ってステーション列が構成されており、下部においては円周方向に沿って台座ユニット列が構成されている。
図13には、図12に示した上面板14を取り外した状態が示されている。すなわち、図13には搬送室26内の構造が示されている。搬送室26には図示されるようにカートリッジの水平方向搬送を行うターンテーブル86が設けられている。このターンテーブル86は回転板であり、円周方向に沿って形成された4つの移送開口を有する。ターンテーブル86については後に図19乃至図24を用いて詳述する。ターンテーブル86の周囲に沿って4つの切り欠きが形成されており、それらの切り欠きを利用して回転板の回転方向の位置決めを行うためのラッチ機構88が設けられている。ちなみに、ターンテーブル86を回転駆動するモータは第1中間テーブル20の下方側に固定的に設置されている。そのモータの軸は第1中間テーブル20を通過してターンテーブル86の下面に連結されている。
図14には、図13に示したターンテーブル86を取り外した状態が示されている。第1中間テーブル20には4つのステーションに対応して4つの挿通孔20A,20B,20C,20Dが形成されている。それらの挿通孔20A,20B,20C,20Dには4つの台座ユニット58,82,84,70が挿通されている。第1中間テーブル20の中央部には上述した駆動モータに連結された回転軸90が設けられている。
図15には、図14に示した構成と同じ構成が示されているが、この図15においては4つの台座ユニットがすべて下方端に位置決めされており、すなわち下降状態が示されている。このような状態では、各台座ユニットの上面である台座面58A,82A,84A,70Aが実質的に第1中間テーブル20の上面である滑り面92と同じ高さになり、すなわち面一状態が形成される。滑り面92は、下方に落とし込まれたカートリッジを水平方向に搬送する場合におけるスライド面として機能するものである。すなわち、図13に示したターンテーブルとこの滑り面92の協働により複数のカートリッジが水平方向に同時に円滑に搬送される。一回の搬送において個々のカートリッジは90度の回転角度分だけ移送され、すなわちステーション間において水平方向にカートリッジが90度回転搬送される。
図16には、図14及び図15に示した第1中間テーブル20を取り外した状態が示されている。すなわち、中間室28に設けられている機構が現れている。中間室28を中心として昇降ユニット94が設けられている。昇降ユニット94は、2つの昇降テーブル96,98と、駆動モータ104と、第1昇降機構100と、第2昇降機構102と、2つの伝達機構とを有するものである。昇降テーブル96,98は、両者合わせて1枚のプレートによって構成してもよいが、本実施形態においては2つの昇降テーブル96,98の間に駆動モータが配置されること及び重量軽減等の観点から、連動して昇降する2つの部材をもって共通ベースが構成されている。すなわち、2つの昇降テーブル96,98の両者併せて共通ベースとして機能するものである。
昇降テーブル96は、図示される例において、台座ユニット58及び台座ユニット82を搭載している。一方、昇降テーブル98は、図示される例において、台座ユニット84及び台座ユニット70を搭載している。ただし、2つの昇降テーブル96,98は同時に昇降駆動されており、それらは基本的に同じ高さに位置決めされる。
駆動モータ104の駆動力は後に説明する第1伝達機構を介して第1昇降機構100に伝達されている。第1昇降機構100は上下方向の案内を行うガイド機構と昇降テーブル96の上下方向の駆動を行う送りねじとを有する。その送りねじの回転力は後に説明する第2伝達機構を介して第2昇降機構102に伝達されている。第2昇降機構102は、第1昇降機構100と同様に、垂直方向の案内を行うガイド機構と送りねじとを有しており、第1昇降機構100と第2昇降機構102は互いに連動してエレベータ動作を行う。
図17には図16に示した2つの昇降テーブル96,98を取り外した状態が示されている。第1昇降機構100は上述したようにガイド機構108と送りねじ106とで構成され、これと同様に、第2昇降機構102もガイド機構112と送りねじ110とで構成される。駆動モータ104からの駆動力はベルト等を有する第1伝達機構114を介して第1昇降機構100に伝えられている。
図18には、図17に示した第2中間テーブル22を取り外した状態が示されている。すなわち図18には地下室30に含まれる機構が現れている。送りねじ106と送りねじ110との間には第2伝達機構116が設けられており、すなわち第2伝達機構116はベルトの回転運動により送りねじ106の回転力を送りねじ110の回転に変換するものである。
以上説明したように、本実施形態に係るヨウ素サンプラは、その上部に、複数のステーションを有し、その下部に、ステーション間においてカートリッジを搬送するための機構を備えている。なお、図1に示した構成において、下部10の側面は所定の化粧板等によって覆われているが図示省略されている。また下部10の下方には脚部が設けられるが、それについては図示省略されている。
(2)回転移送機構の説明
次に、図19乃至図24を用いて回転移送を行う機構について説明する。
図19には、ターンテーブル86が示されている。ターンテーブル86は、カートリッジを水平方向に搬送する機構である。ターンテーブル86は円盤形状を有する本体119とそれに設けられた複数の位置決め機構とを有している。更に、本体119には円周方向に沿って90度の間隔をもって4つの移送開口118A,118B,118C,118Dが形成されている。4つの位置決め機構は、それぞれ、後側位置決めユニット120と前側位置決めユニット122とにより構成されるのもである。
図20乃至図22には移送開口118Aにカートリッジ124が差し込まれている状態が示されている。図20は斜視図であり、図21は上面図であり、図22は側面図である。図21において、各移送開口は、中央部分を成す円形部分126と、その両側に形成された2つの矩形部分128,130とにより構成されるものである。2つの矩形部分128,130にはそれぞれ位置決めユニットが配置される。円形部分126はカートリッジをくわえ込む部分である。
図23には一対の位置決めユニット120,122の動作が示されている。(A)には倒れ込み状態が示されており、(B)には跳ね上げ状態が示されている。後側位置決めユニット120と前側位置決めユニット122は互いに対称の構造を有するため、以下においては後側位置決めユニット120を代表してその構成を説明する。位置決めユニット120は、揺動軸132Aを中心として揺動運動あるいはシーソー運動をするアーム部材132を有する。アーム部材132は揺動軸132Aの位置において若干屈曲している。すなわちカートリッジ側の前部分よりも後部分の方が上方に跳ね上がっている。前側部分の先端部には回転軸138Aが設けられ、それにはローラ138が取り付けられている。ローラ138はカートリッジの側面及び台座ユニットの側面に接触する接触子であり、回転軸138Aに回転自在に取り付けられている。アーム部材132の後端にはバネ140が連結されている。このバネ140はアーム部材132に対してそれが常に倒れ込む方向に付勢力を働かせている。すなわち、自重によってもアーム部材132は倒れ込み運動するが、バネ140をさらに設けて付勢力を働かせることにより、自然状態において倒れ込み状態を確実に形成することが可能である。
(A)に示す倒れ込み状態において、一対の位置決め機構の間隔、具体的には一対のローラによって規定される間隔がW1で表されている。一方、跳ね上げ状態において、一対のローラよって規定される間隔がW2で表されている。図示されるように、W1よりもW2の方が大きい。すなわち跳ね上げ状態においてはより大きな直径を有する部材を挿通させることが可能であり、その一方において、倒れ込み状態においては一対のローラーによってその間にある部材を位置決めすることが可能である。
本実施形態においては、カートリッジの外径(直径)をW0とし、各台座ユニットの外径(直径)をW3とした場合、W3の方がW0よりも大きい。この場合において、W3は各台座ユニットの側面に設けられたOリングを含めた寸法であってもよいし、そうでなくてもよい。
本実施形態においては、少なくとも供給ステーション及び捕集ステーションにおいては、W0≦W1≦W3≦W2の関係が成立している。ここで、W0とW1とが実質的に同一であってもよいし、W2とW3とが実質的に同一であってもよい。いずれにしても、本実施形態においてはカートリッジの直径W0よりも台座ユニットの直径W3の方が大きくなっている。これは、供給ステーション等における下面側の開口部を台座ユニットによってふさぐためである。すなわち、カートリッジの直径よりも台座ユニットの直径の方が小さい場合、開口部を台座ユニットによって密閉することが困難となるのであり、その一方において、上述のような寸法を設定しておけば、台座ユニットを開口部の蓋部材として機能させることが可能となる。しかし、そのような寸法設定によると、ターンテーブルにカートリッジを降ろしてセットした場合において、マージンが大き過ぎて、移送開口の中心とカートリッジの中心とがずれてしまうという別の問題が生じる。そこで、本実施形態においては一対の位置決めユニットが設けられており、それらが倒れ込み運動することによりセンター合わせが行われている。一対の位置決めユニットはその跳ね上げ状態において台座ユニットを十分に通過させることが可能な離間状態となるため、台座ユニットの上昇時あるいは下降時において一対の位置決めユニットがその運動を妨げることはない。また、本実施形態においては各位置決めユニットにおいて接触子が回転自在なローラ138によって構成されているため、台座ユニットの側面においてローラを自在に回転運動をさせることが可能であり、台座ユニットの側面に設けられているシール部材を傷つけてしまうことが効果的に防止されている。また、シール部材が側面から膨らみをもって横方向に出っ張っていてもローラ138であればそれを円滑に乗り越えることが可能である。ちなみに、上記のような寸法設定が測定ステーションにおいても採用されるのが望ましい。すなわち、測定ステーションにおいてもある程度の気密状態が望まれるため、台座ユニットによって下面側の開口部をできる限り気密性をもってふさぐように構成するのが望ましい。なお、回収ステーション18は通常、廃棄物を収容するステーションである為、その開口部に対して気密構造を採用する必要は基本的にないと考えられる。ただし、搬送室へのゴミの進入等の別の理由から回収ステーションにおいてもその下面側において気密構造を採用するようにしてもよい。
図24には、一対の位置決めユニット120,122の別の作用が示されている。上述したように、一対の位置決めユニット120,122はそれが跳ね上げ状態から倒れ込み状態へ移行する際においてカートリッジに対してそれを開口中心に位置決める作用を発揮するものであるが、一対の位置決めユニット120,122の機能はそれだけではなく、さらにそれらのユニットはカートリッジを水平方向に案内する場合においても機能するものである。
すなわち、後側位置決めユニット120に着目すると、例えば移送開口118A内に差し込まれたカートリッジ124の中心125が円形部分126の中心(すなわち移送開口の中心)からずれているような場合において、ターンテーブルを回転させてカートリッジ124を符号142で示される円弧方向に送り出すと、カートリッジ124の後側の側面にローラ138が当たることになる。
ローラ138においては、その中央部138Aがくびれており、すなわち細くなっており、その一方において中央部138Aの両側138B及び138Cが肥大しており、すなわち大径部とされており、このような固有の形態により、カートリッジ124に対してローラ138が接触すると、符号140−1及び140−2で示されるような内向きの力が働くことになる。すなわち、ローラ138における2点あるいは2面がカートリッジ124の後側における2点あるいは2面に接することになり、カートリッジ124の中心125を円形部分126の中央に送り出す力が働くことになる。その結果、カートリッジ124を符号142に示される円弧方向に移送すればするほど、その中心125は徐々に円形部分126の中心に合わせられることになる。
なお、図24においては、構成を明確に図示するために、カートリッジ124がやや小さく描かれている。実際には、2つの位置決めユニット120,122がカートリッジ124の側面124Aに常時接触しあるいは極めて近接した状態になり、前側位置決めユニット122においてもローラ138の位置決め作用が期待できる。例えば、カートリッジ124の搬送途中においてカートリッジ124が搬送方向と直交する方向に逃げ出そうとしたような場合においては前側位置決めユニット122におけるローラ138等によりカートリッジ124を円形部分126の中心付近に定位させておくことが可能である。
以上のように、一対の位置決めユニットはそれぞれ固有の形態をもったローラを有しており、それぞれの位置決めユニットが倒れ込み運動をする際にカートリッジの位置決め作用を得られると共に、ターンテーブルの回転時においても特に後側位置決めユニットによりカートリッジの位置決め作用を得ることが可能である。ちなみに、各位置決めユニットにおいては上述したようにアーム部材に対してバネによる付勢力が与えられており、すなわちアーム部材は常に倒れ込み方向への力が加えられているので、そのような力をも利用して位置決め作用をより効果的に発揮させることが可能である。また、ターンテーブルの回転時において不用意に位置決めユニットが跳ね上げ状態となることを効果的に防止できる。
(3)昇降動作の説明及び気密方法の説明
次に、図25乃至図27を用いて昇降時の動作及び気密方法について説明する。
図25には展開図が示されている。すなわち、4つのステーションは上方から見て円形に配列されているのであるが、図25においてはそれぞれのステーションにおける動作を明確に表すためにそれらを直線的に配列したものが示されている。すでに説明したように、上部12には供給ステーション16、捕集ステーション36、測定ステーション38及び回収ステーション18が時計回りの方向(図25において左方向)に沿って並んでいる。一方、下部10にはターンテーブル86が設けられており、さらにその下方には昇降ユニット94が設けられている。昇降ユニット94は連動して昇降動作する2つの昇降テーブル96,98を備えている。昇降テーブル96上には台座ユニット58,82が搭載されており、昇降テーブル98上には台座ユニット84,70が搭載されている。
図26及び図27には図25に示した供給ステーション16及び捕集ステーション36の拡大図が示されている。図26は台座ユニット58,82が上昇状態にある場合における拡大図であり、図27は台座ユニット58,82が下降状態にある場合の拡大図である。
図26及び図27において、上面板14の上には供給ステーション16及び捕集ステーション36が設置されている。具体的には、供給ステーション16は密閉ケース40を有する。密閉ケース40は底板46を含むものである。密閉ケース40内には積層体150が保持されており、その最下段のカートリッジは一対の水平アームユニット54によって保持されている。本実施形態においては、密閉ケース40内に除湿手段としてヒーター152及び除湿剤154が設けられている。ヒーター152は密閉ケース40内を加温することにより湿度を下げる手段である。ヒーター152とともに対流を生じさせるためのファン等を設けるのが望ましい。除湿剤154は交換可能なものであり、例えばシリカゲル剤などを用いるようにしてもよい。
図27に示されているように、底板46には開口部60が形成されている。その下方には位置決め機構144及び台座ユニット58が設けられている。位置決めユニット144は上述したように一対の位置決めユニットにより構成されるものである。台座ユニット58は、昇降テーブル96に固定された昇降ガイド156、中間体158、台座本体160を有している。昇降ガイド156は筒状のベース部材であり、その内部は中空とされており、そこには中間体158の下部が昇降自在に差し込まれている。中間体158の上部には凹部が形成されており、またその中心軸上に沿って貫通孔が形成されており、凹部及び貫通孔にまたがって台座本体160が昇降自在に差し込まれている。ちなみに、中間体158と台座本体160は両者あわせて台座ブロックを構成するものである。台座本体160は上部と下部とからなり、上部は円盤状に水平に広がった形態を有し、下部は下方に伸長した棒状の形態を有する。台座本体160の下端は台座ユニット58の下降状態においてストッパ166に衝突する。これによって下方の位置決めがなされる。
昇降ガイド156と中間体158との間には付勢手段としてのバネ162が設けられている。そのバネ162は、昇降ガイド156に対して中間体158を上方に付勢している。一方、中間体158と台座本体160との間には付勢手段としてのバネ164が設けられており、そのバネ164は中間体158に対して台座本体160を下方に付勢している。よって、台座ユニット58が上昇し、それが上昇端に到達すると、それ以降の上方への運動力がバネ162によって吸収されることになる。上昇端は、台座本体160の上面である台座面が積層体における最下段のカートリッジの下面に突き当たることにより規定される。逆に、台座ユニット58が下方に運動し、ストッパ166に対して台座本体160が突き当たると、それ以降の下方の運動力はバネ164によって吸収されることになる。そのような下方端においては台座ユニット58における台座面58Aが図27に示されるように第1中間テーブル20の上面である滑り面92と実質的に同じ高さになる。ちなみに、台座ユニット58が上昇状態にある場合、位置決め機構144においては上述したように跳ね上げ状態が形成され、台座ユニット58が下方へ運動すると、位置決め機構144が跳ね上げ状態から倒れ込み状態に変化し、その際において台座ユニット58よりも直径が小さなカートリッジに対して横方向からセンター合わせの力が加えられることになる。すなわち、ターンテーブル86の移送開口の中心にカートリッジの中心を自然に合わせるあるいは近接させることが可能となる。上昇状態では、中間体158の側周囲面に形成されたリング状の溝に入れられたOリング168が供給ステーション16の下側の開口縁に密着し、気密状態が形成される。Oリング168は自然状態において溝から外側へややはみ出ている。
次に、図26及び図27を用いて捕集ステーション36について説明する。捕集ステーション36においても、上述した供給ステーション16と基本的に同一の構造が採用されており、基本的に同一の動作が実行される。ただし、一部の構造及び一部の動作において相違がある。
捕集ステーション36は捕集室ケース72を有し、その内部には未使用のカートリッジが位置決められる。図27に示されるように、捕集室ケース72の内部には上下運動可能にスリーブ部材184が設けられており、スリーブ部材184の上側にはバネ188が設けられている。すなわちスリーブ部材184は常に下方へ付勢力を受けている。スリーブ部材184の下方縁が開口部184Aとして機能する。すなわち、その開口部184Aと台座ユニット82の上部との密着により気密状態が形成される。なお、スリーブ部材184には複数の溝が形成され、それぞれの溝にはOリング186が設けられている。それらのOリング186はスリーブ部材184の外側にエアが流れ込まないように、その部分をシールするための部材である。すなわち、カートリッジに対してできるだけ多くのエアを通過させるために必要なシール構造が採用されている。
開口部184Aの下方には位置決め機構146及び台座ユニット82が設けられている。台座ユニット82は、上述した台座ユニット58と同様に、昇降ガイド170、中間体172、台座本体174を含むものである。昇降ガイド170と中間体172との間にはバネ176が設けられており、中間体172と台座本体174との間にもバネが設けられている。符号180は、台座本体174の下端をなす部材であり、それは台座ユニット82の下降状態においてストッパ178の上面に突き当たる。台座本体174の下端は円筒形状をもって下方に伸長しており、ストッパ178の中空部に差し込まれている。その差し込み部分が符号174Aで示されている。符号82Aは台座ユニット82の台座面を表しており、符号82Bはエア排出路を表している。この台座ユニット82においても、中間体172の周囲にリング状の溝が形成されており、その溝内にはシール部材としてのOリング182が設けられている。図26に示されるように、台座ユニット82の上昇状態においては、図27に示した開口部184Aと台座ユニット82の側面とが密着し、特にその両者間においてシール部材182が介在することになるので、気密状態を容易に形成することが可能である。ちなみに、台座ユニット82の上方への運動時においては上昇端を超えた上昇力がバネ176によって吸収され、逆に、下方方向への下方端を超えた運動力がもう一つのバネによって吸収されている。よって、台座ユニット82が下方端にある状態では、その台座面82Aのレベルが滑り面92と一致し、カートリッジを横方向に円滑に送り出すことが可能となる。
この捕集ステーションにおいても、位置決め機構146による位置決め作用が発揮されており、具体的には、例えばカートリッジを引き下ろす際にその中心を移送開口の中心に近接させることが可能であり、またターンテーブル86を回転させてカートリッジを前方に送り出す場合において位置決め機構146による位置決め作用を発揮させることが可能である。
(4)開閉バーユニットの説明
次に、図28乃至図31を用いて開閉バーユニットについて説明する。
図28には供給ステーション内部に設けられるタワー機構42が図示されている。タワー機構42は未使用積層体を収容するケース50と、そのケース50の前方側開口を実質的に開閉するための開閉バーユニット52と、を有する。開閉バーユニット52は、前方側開口の右側及び左側のそれぞれに配置された一対のバーを有している。各バーはカートリッジの差し込み時においてカートリッジの側面がバーに当接した場合においてゆるやかに湾曲する程度の硬さをもった部材により構成されるのが望ましい。開閉バーユニット52は、カートリッジ差し込み時にその差し込み力を使って開運動し、カートリッジ差し込み後において自然に閉運動するものである。その状態では積層体が前面側の開口を介して外部に出ることが規制される。
図29には開閉バーユニット52の作用が示されている。開閉バーユニット54は第1機構190と第2機構192とにより構成される。それらの機構190,192は互いに対称の構造を有しているため、第1機構190を代表して説明すると、当該第1機構190は、回転軸200を中心として回転可能に設けられたアーム196と、そのアーム196の先端すなわち作用端に設けられた垂直方向に伸長するバー194とを有する。さらに、アーム196にはバネ198が取り付けられており、バネ198によってアーム196には常に閉運動方向に付勢力が及んでいる。回転軸200はケース50の後方側に設定されている。第2機構192も上記の第1機構190と同様の構成を有し、すなわち第2機構192は、アーム204、バー202、バネ206を有し、回転軸200を中心として回転運動可能なものである。
図29に示されるように、前面側からカートリッジ208がケース50の内部方向へ押し出されると、カートリッジ208の前方側面に一対のバー194,202が当たることになり、その当たり作用によって2つのアーム196,204が回転軸200を中心として開運動をすることになる。その際において一対のバー194,202はカートリッジ208の側面上をすべることになる。そのまま更にカートリッジ208を奥側へ押し込むと、一対のバー194,202はカートリッジ208の直径まで開いた上でそこから徐々に閉運動を行い、最終的に図30に示されるようにカートリッジ208がケース50内に収容される。そのような状態では、上述したバネの作用により各アームには閉じ方向への付勢力が働いているため、カートリッジ208が不用意に外部に出てしまうことはない。すなわち、カートリッジ208の脱出を規制することが可能となる。カートリッジ208を差し込む際においても2つのバー194,202が最大に広がったとしても、それらはカートリッジ208のちょうど直径に相当する分しか開かないため、しかもそのような最大の開きは瞬時に生じるだけであるので、ケース50内にすでに収納されているカートリッジが外部に出てしまうこともない。そもそも、ケース50内において積層体は自立可能なものである。
図31には変形例が示されている。図31に示される開閉バーユニット209は、第1機構210及び第2機構212を有し、それぞれの機構はアーム216,222及びバー214,220を有する。ただし、図29及び図30に示した開閉バーユニットとは異なり、この変形例においてはそれぞれのアーム216,222の回転軸がケース50の後方センター位置から左右方向に変位した位置に設定されており、具体的には、回転軸218がアーム216の回転軸であり、回転軸224がアーム222の回転軸である。このような独立した回転軸設定によれば、カートリッジを差し込む際に、より円滑に開運動を行わせることができ、その一方において、カートリッジが収納された以降においてそれが外側に出ることをより効果的に規制することが可能となる。
(5)回収ステーションの説明
次に、図32乃至図37を用いて回収ステーションについて具体的な構成を説明する。図32には回収ステーション18内に積層体が収容されている状態が示されている。図33には回収ステーション18内に積層体が収容されていない状態が示されている。
図32及び図33において、回収ステーション18は回収タワー226を有する。この回収タワー226は図8に示した回収タワー62に相当するものである。回収タワー226は、その前面側にスリット226Bを有しており、そのようなスリット226Bを介して回収タワー226の内部を観察することが可能である。すなわち、使用済みのカートリッジがどの程度回収されているのか(、すなわち積層体の高さ)を外部から容易に確認することが可能である。回収タワー226の上部には開口226Aが形成されている。カートリッジ廃棄時においてはその開口226Aが利用される。これについては後に説明する。
回収タワー226の下方にはベースプレート228が連結されている。ベースプレート228上には2つの位置決めピンに対応した2つの位置決め孔230が形成されている。図32及び図33には2つの位置決め孔の内で一方の位置決め孔230のみが図示されている。他方の位置決め孔にはロック機構232が設けられている。このロック機構232は垂直な挿通孔232Aを有し、それは位置決め孔に連通するものである。ハンドルを一方方向に回転させることにより、挿通孔232Aに挿入された位置決めピンをくわえ込んでロックすることが可能である。他方向にハンドルを回転させれば、位置決めピンをリリースすることが可能である。より詳しくは、図34に示されるように、上面板14には2つの位置決めピン68が設けられている。具体的には、台座ユニット70を挿通させる挿通孔14Dの近傍に2つの位置決めピン68が設けられている。それらの位置決めピン68には図32及び図33を用いて説明した2つの位置決め孔が差し込まれ、これによって上面板14上の適正な位置に回収タワーをセットすることが可能となる。すなわち、回収タワーは以下に説明するように上面板14に対して着脱可能であり、特に廃棄時において回収タワーを取り外すことが可能である。なお、図35には回収ステーション18の正面図が示されており、図36には回収ステーション18の上面図が示されている。
以上のように、回収ステーションにおいては回収タワーが取り外し可能であるため、図37に示されるように、積層体を廃棄する必要が生じた場合においては、回収タワー226を取り外して、それを傾け、その上部の開口226Aが低くなるような姿勢にすることにより、その内部から積層体234を自然に外部に流し出すことが可能である。すなわち積層体の廃棄を極めて簡便に行えるという利点が得られる。
(6)全体的な動作の説明
次に、図38乃至図44を用いて本実施形態に係るヨウ素サンプラについての全体的な動作を説明する。
図38には、捕集工程及び測定工程が実行されている状態が示されている。すなわち、そのような状態では、昇降テーブル96,98が上昇した状態にあり、すなわち4つの台座ユニット58,82,84,70が上昇端に位置決められている。その状態では、位置決め機構144,146,236はそれぞれ跳ね上げ状態にある。位置決め機構238は、台座ユニット70における中間部分が細いために、倒れ込み状態にある。より詳しく説明すると、供給ステーション16においては、台座ユニット58の台座面が最下段のカートリッジ240の下面に当接している。捕集ステーション36においては、台座ユニット82が上昇端に位置決められ、これによりカートリッジ242は放射性ヨウ素を捕集するための適切な位置に位置決められている。測定ステーション38においては、台座ユニット84が上昇端にあり、これにより捕集後のカートリッジ244が適正な検出位置に位置決められている。回収ステーション18においては、台座ユニット70が上昇端にあり、その内部に使用済みカートリッジ246が差し込まれている。当該カートリッジ246は回収ステーション18の下部に設けられた一対の開閉運動する爪部材よりも上方に位置決められている。そのような爪部材は上方へのカートリッジの運動を許容し、一方、下方へのカートリッジの運動を規制し、つまり使用済みカートリッジの積層体を下方において支持する公知部材である。
捕集工程及び測定工程が完了すると、図39に示されるように、供給ステーション16に設けられた一対の水平アームユニット54が開運動し、最下段のカートリッジ240が開放される。
次に、図40に示されるように、昇降テーブル96,98が下方へ運動する。図40においてはそれらの下降途中における一時停止状態が示されている。ただし、そのような一時停止によらずに次の図41に示される動作が実行されてもよい。
図41においては、一対の水平アームユニット54によるカートリッジ248の保持動作が示されている。すなわち次に最下段となるカートリッジが符号248で示されている。それ以前において最下段のカートリッジであったカートリッジ240は台座機構に受け渡されている。
次に、図42に示されるように、昇降テーブル96,98が下降状態になると、それぞれの台座ユニット58,82,84,70が個別的に下方端に位置決められることになる。その場合においては、各台座ユニット58,82,84,70の台座面レベルが滑り面レベルに実質的に一致し、すなわち面一状態が形成される。昇降テーブル96,98の下降途中において、位置決め機構144,146,236は跳ね上げ状態から倒れ込み状態に変化することになり、その過程においてカートリッジ240,242,244の位置決め作用が発揮される。なお、図42においては、位置決め機構144,146,236においてそれぞれのアーム部材が若干ながら上方に持ち上げられた状態となっている。もちろん、そのような状態ではなく、各アーム部材が完全に倒れ込んだ状態が生じるようにしてもよい。倒れ込み状態における一対のローラの間隔がカートリッジの外径に一致していてもよいし、それよりもわずかだけ大きくてもよく、あるいはそれよりもわずかだけ小さくてもよい。
次に、図43に示されるように、ターンテーブル86が90度だけ回転駆動され、これによってカートリッジ240,242,244が水平方向に回転移送される。すなわち次のステーションへ渡される。
そして、図44に示されるように、昇降テーブル96,98をともに上方へ運動させることにより、それぞれの台座ユニット58,82,84,70を上昇端に位置決めることが可能となる。その場合において、供給ステーション16では、次に使用されるべきカートリッジ248の下面側に、台座ユニット58の上面である台座面が接触することになり、捕集ステーション36においては、未使用のカートリッジ240が、捕集のための適正な位置に位置決められる。測定ステーション38においては、捕集済みカートリッジ242が放射線検出のための適正な位置に位置決められ、回収ステーション18においては、測定完了後のカートリッジ244が積層体の最下段に追加される。
以上説明したように、本実施形態のヨウ素サンプラによれば、第1に、供給ステーションが密閉構造を有するため、その内部に除湿手段を配置して、比較的に小さな除湿空間を形成し、除湿効率を高めることが可能である。その場合において、供給ステーションの下部に形成された開口部は、台座ユニットを利用して塞がれるため、開口部を塞ぐための別部材を設ける必要がないので、装置構成を簡略化できるという利点が得られる。しかも、当該台座ユニットの周囲にはシール部材が設けられているため、開口部の開口縁と台座ユニットの周囲との間における気密性を良好にすることが可能である。
第2に、4つの台座ユニットが共通ベースすなわち連動して昇降運動する2つの昇降テーブル上に搭載され、それらの昇降テーブルが単一の駆動源によって駆動されているため、それぞれの台座ユニットごとに独立して駆動源を設ける場合に比べて装置構成を簡略化できるという利点がある。その場合においても、それぞれのステーションにおいて付勢手段を利用して上昇端及び下降端を適正に規定することが可能であるので、上昇状態において気密性や測定感度を良好に維持できるという利点が得られる。また下降状態において台座面レベルを滑り面レベルに合わせることが可能であるので各カートリッジを水平方向に円滑に搬送できるという利点が得られる。
第3に、ターンテーブルにおける各移送開口ごとに位置決め機構が設けられ、その位置決め機構として一対の位置決めユニットを採用したので、それらの跳ね上げ状態から倒れ込み状態への姿勢変更に伴い、カートリッジの中心を移送開口の中心に合致または近接させることが可能である。更に位置決めユニットにおける接触子として中央が細く両端部が肥大化したローラを利用したので、カートリッジを水平方向に搬送する際において後側からそのようなローラを当接させるだけで自然にカートリッジの位置決め(特に移送方向と直交する方向の位置決め)を行えるという利点が得られる。
第4に、供給ステーションにおいては開閉バーユニットが設けられているため、手前側から補充用のカートリッジを差し込むだけで規制状態を簡単に解除できるとともに、差込後において規制状態を自然に生じさせることが可能である。開閉バーユニットに設けられる一対の開閉バーはある程度の軟らかさをもった部材で構成されているため差し込むカートリッジに対して物理的な負荷が生じることもない。またそのような一対の開閉バーはカートリッジの差込時において湾曲する程度の軟らかさしか有していないため、逆に言えばある程度の硬さを有しているため、収納されたカートリッジが不用意に外に脱出してしまうことも効果的に防止できる。特に、本実施形態においては前方開口にせり出る左右に変位した一対のバーを利用したので手前側からカートリッジを押し込むとそれに対して左右方向にバランス良く自然に開閉バーを開運動させることが可能である。
第5に、回収ステーションにおいては、回収タワーを取り外し可能に構成し、その回収タワーを転倒あるいは傾けることによりその上部開口から使用済み積層体を外部に容易に取り出せるように構成したので、カートリッジの廃棄時の作業性を極めて良好にできるという利点がある。しかも回収タワーの前面側にはスリットが形成されており、そのスリットを介して使用済みカートリッジの個数を確認できるという利点が得られる。
10 下部、12 上部、14 上面板、16 供給ステーション、18 回収ステーション、20 第1中間テーブル、22 第2中間テーブル、24 ベースフレーム、26 搬送室、28 中間室、30 地下室、36 捕集ステーション、38 測定ステーション、40 密閉ケース、42 タワー機構、52 開閉バーユニット、54 一対の水平アームユニット、58,82,84,70 台座ユニット、86 ターンテーブル、94 昇降ユニット、96,98 昇降テーブル、120 後側位置決めユニット、122 前側位置決めユニット、138 ローラ、156,170 昇降ガイド、158,172 中間体、160,174 台座本体。