JP4942884B2

JP4942884B2 - Monoglyceride production method

Info

Publication number: JP4942884B2
Application number: JP2001240550A
Authority: JP
Inventors: 大也村田; 博南雲; 二郎橋本; 広樹沢田
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2001-08-08
Filing date: 2001-08-08
Publication date: 2012-05-30
Anticipated expiration: 2021-08-08
Also published as: JP2003049192A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はモノグリセリドの製造法及び該製造法で製造されたモノグリセリドからなる油性向上剤に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
モノグリセリドは、グリセリンと脂肪酸からなるモノエステルで、工業用及び食品用乳化剤として広く用いられている。また、特開平９−１３０５２号には、油性向上剤として燃料油に添加すると有用であることが開示されている。モノグリセリドの主な製法として、１）油脂等のグリセリン脂肪酸エステルとグリセリンをエステル交換反応させる方法、２）脂肪酸とグリセリンをエステル化させる方法が挙げられる。どちらも様々な反応条件下で合成されているが、何れも原料の油脂や脂肪酸とグリセリン、又は反応生成物とグリセリンが均一に混じらないことから、不均一反応となり、モノグリセリドを十分効率的に得ることが出来なかった。例えば、分子蒸留器や薄膜蒸留器等を用いてモノグリセリドを得る方法や特開平９−２６８２９９号に示されるような酵素による反応では、高収率でモノグリセリドが得られることが知られている。しかしながら、これらの方法は、設備投資等のコストがかかり、経済的ではない。それに対し、反応温度を上げることで油脂や脂肪酸とグリセリン、又は反応生成物とグリセリンの相互の溶解性を上げることは、モノグリセリドの収量を上げる有効な方法の１つである。しかし、「モノグリセリド製造と応用」（津田滋著、１９５８年、槙書店発行）に記載されている様に、反応温度を上げることは、グリセリンの重合を起こすので望ましくない。特に、グリセリン脱水縮合物は、グリセリンと比較して減圧留去しにくいため、用途によってグリセリン脱水縮合反応は出来るだけ抑制した方がよい。例えば、油性向上剤として燃料油に添加する場合は、モノグリセリドの水酸基が金属表面に吸着し、アルキル基が油性膜を形成し潤滑性を向上させるため、よりモノグリセリド純度を高くする必要がある。また、グリセリン及びグリセリン脱水縮合物は、燃料への溶解性が悪くかつ金属表面等に吸着しやすいことから、これらをできるだけ低減させることは重要である。特に上記の理由よりグリセリン脱水縮合反応を抑制することは非常に重要である。
【０００３】
グリセリン脱水縮合物の生成を抑制するには、高温下での反応時間を短くすることが有効である。ＵＳＰ３０８３２１６には、短時間に高温で反応させる方法が記載されているが、設備投資等にコストがかかる。また、モノグリセリドの製造にはこれまで反応速度を上げるため、また収率を上げるために、種々の触媒反応が用いられてきたが、これらも濾過工程が必要であるなどのコスト負担を有する。しかも、用途に応じて、特に油性向上剤として利用する際は、触媒成分の混入を避ける必要がある。例えば、燃料油添加剤では濾過漏れによる触媒成分の混入はエンジントラブルを起こすため避けなければならない。従って、触媒の利用は好ましくない。
【０００４】
以上のことから、従来法では、触媒を用いないで簡便にグリセリン脱水縮合物の少ないモノグリセリドを製造することは困難であった。
【０００５】
本発明の課題は、グリセリン脂肪酸エステルとグリセリンから、触媒を用いず、簡便かつ安価な方法で、グリセリン脱水縮合物の少ない、油性向上剤として有用な高純度のモノグリセリドを製造する方法を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、グリセリン脂肪酸エステルとグリセリンとを、無触媒下で、反応系内の酸価を１ｍｇＫＯＨ／ｇ以上に保持してエステル交換反応させるモノグリセリドの製造法、及びこの製造法で製造されたモノグリセリドからなる油性向上剤である。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するグリセリン脂肪酸エステルは、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドを含み、これらが複数混合したものや、油脂を主成分とするものである。トリグリセリドとしては、天然油脂、合成油脂、又はこれらの一部が酸化、還元等の変性を起こした油脂等が挙げられる。油性向上剤、例えば燃料油添加剤として利用する際には、天然油脂として大豆油や菜種油等を用いたものが好ましい。また、グリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応により得られるものでもよい。この時、用いる脂肪酸は特に限定されるものではないが、炭素数８〜２２の脂肪酸が好ましい。上述の「モノグリセリド製造と応用」（津田滋著）には、炭素数１８の脂肪酸は、炭素数の短い脂肪酸よりもグリセリンの溶解性を下げるため、モノグリセリドの純度を下げると明記されているが、本発明の方法によると、炭素数１８の脂肪酸を用いた場合でも純度が高いモノグリセリドを得ることができる。本発明において、炭素数１８の脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、トール油脂肪酸等が好ましく用いられ、特にこれらの混合物が好ましい。例えば、非油脂系油から得られたトール油脂肪酸とグリセリンのモノグリセリドを製造する際は、グリセリン脂肪酸エステルとして、トール油脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応により得られた反応物を用いることがさらに好ましい。
【０００８】
脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応条件は、特に限定されるものではないが、連続してエステル交換反応に用いる際は、簡便性の点より、触媒を用いないで、１７０〜３００℃で一定温度もしくは昇温しながらエステル化を行い、系内の水分を除去しながら反応させるのが好ましい。
【０００９】
本発明で使用するグリセリンは、特に限定されるものではなく、本発明のエステル交換反応における未反応グリセリンの回収物を用いることも可能である。
【００１０】
本発明においては、グリセリン脂肪酸エステルとグリセリンのエステル交換反応において、無触媒下で、反応系内の酸価を１ｍｇＫＯＨ／ｇ（単位は以下省略）以上に保った状態で反応させる。本発明において、無触媒とは、触媒を添加しないか、ごく少量しか添加しないことを意味する。ごく少量とは、以下に記述するメリットが達成される量である。無触媒で反応することにより、一連のプロセスの簡略化、コスト削減を達成でき、また燃料油添加剤等のように、触媒成分の混入を避けなければならない用途において、触媒濾過工程で濾過漏れの恐れがないというメリットである。また、反応系内の酸価を１以上に保つのは、グリセリンの脱水縮合物の生成を抑制するためである。
【００１１】
従来、エステル化反応又はエステル交換反応では多くの場合、製品の酸価を低くすることが望まれている。このため、できるだけ反応を促進させて酸価を下げることが行われてきた。本発明では、この酸価を１以上に保持することによりグリセリンの脱水縮合反応が抑制されることを見出したのである。また、反応終了時に好ましくない酸価になっていても、反応後にグリセリンを還流する等の方法で容易に酸価を制御することができることも本発明の特徴の一つである。
【００１２】
酸価を１以上に保つ方法は、反応初期の酸価を１以上にしておき、その後、不活性ガスを系内に流通させてパージングを行う時には、酸価が下がらない程度にガス流量を抑えて反応を行う。また密閉系で行う場合には、不活性ガス雰囲気下で反応を行う。中でもジグリセリン等のグリセリン脱水縮合物の生成を抑制するという点では、密閉系で行った方が有効である。不活性ガスとしては、窒素やアルゴン等が挙げられる。このときの圧力は、常圧又は加圧で行う。簡便に行うには、常圧又は微加圧が好ましい。本発明において微加圧とは耐圧設備対応が低減できる圧力を意味し、０．２ＭＰａ以下の圧力が好ましい。反応初期の酸価を１以上にする方法として、エステル交換反応前に脂肪酸を添加する方法、脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応で未反応の脂肪酸を利用する方法等が挙げられる。エステル化反応で未反応の脂肪酸を利用する方法とは、グリセリン脂肪酸エステルとして脂肪酸とグリセリンのエステル化反応により得られたグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、エステル化反応の末期、酸価が１以上の状態で、連続して密閉系にして、エステル交換反応を行う方法である。酸価の上限は特に限定されないが、５以下が好ましい。用途に応じて反応物の酸価が高くて好ましくない場合などは、酸価を１〜３の範囲に保持することが更に好ましい。従って、密閉系にした後でも、反応初期の酸価が高い場合、酸価を下げる工程を行ってもよい。酸価を下げる方法は特に限定されないが、密閉系にしている場合は、一度開放系にして窒素を流しエステル化反応を促進させて酸価を下げるのが好ましい。
【００１３】
本発明において、グリセリン脂肪酸エステルとして脂肪酸とグリセリンのエステル化反応により得られたグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、原料の仕込比は、グリセリン／脂肪酸（モル比）が０．３３以上が好ましく、モノグリセリドを高回収するには１以上が更に好ましく、モノグリセリドの生産性及びグリセリン仕込量が多いとジグリセリンの生成量が増えることを考慮すると１．４〜２．０が特に好ましく、１．６〜１．８が最も好ましい。ただし、グリセリン脂肪酸エステルとして、油脂等を用いる場合は、用いたグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度に合わせて、仕込み比を換算する。
【００１４】
エステル交換反応の温度は２３５〜３００℃が好ましく、モノグリセリドの収量及びグリセリンの脱水縮合反応速度等を考慮すると２４０〜２７０℃がより好ましく、特に２５０〜２６０℃が好ましい。
【００１５】
上記のような方法で得られた反応物を、燃料油添加剤等の利用やその他の目的でグリセリンの除去が必要な場合は、グリセリンの除去を行う。グリセリンの除去方法は、減圧によりグリセリンを留去する方法、水蒸気蒸留によりグリセリンを除去する方法、分層によりグリセリン層を除去する方法、水洗による除去方法、吸着剤等を用いて除去する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを組み合わせても良い。ただし、用途に応じて反応物の酸価が高くて好ましくない場合、反応終了時に減圧にしてグリセリンを還流させながら冷却した後、減圧によりグリセリンを留去する方法、又は／及び水蒸気蒸留によりグリセリンを除去する方法が簡便な方法として好ましい。この還流中にグリセリンの脱水縮合反応も促進されるが、定温反応時間と比較して短時間で終了させることが可能であり、また系内温度が低下していくために、その量を十分に抑制できる。生成物からのグリセリンの留去は、出来る限り反応物であるモノグリセリドが著しく留出しない条件で行う。具体的には１．３３ｋＰａ以下の圧力で１５０〜２２０℃で行うのが好ましい。なお、水蒸気蒸留による除去とは、水蒸気を反応生成物に吹き込み、水蒸気と共にグリセリンを系外に留出させる方法である。具体的には１３．３ｋＰａ以下の圧力で、８０〜２２０℃で行う。加水分解やエステル交換反応を抑制するには、４．０ｋＰａ以下の圧力で、１７０℃以下で行うのが好ましい。
【００１６】
上記のようにして製造したモノグリセリドは、油性向上剤、例えばディーゼル燃料等の燃料や潤滑油基油等の燃料油添加剤等として使用できる。また、用途の要求に応じて、単独、又は他の成分と混合して使用することが出来る。特に、本発明の製造法で得られるモノグリセリドの有する粘度、流動性、更にモノグリセリドの純度が高く、グリセリン脱水縮合物が少ない点から低硫黄分ディーゼル軽油流体の金属接触面における摩耗量の低減が可能な軽油添加剤としての利用が好ましい。
【００１７】
【実施例】
実施例及び比較例におけるモノグリセリド純度及びグリセリン脱水縮合物の生成量は以下の方法で測定し、燃料油への溶解性は以下の方法で評価した。
【００１８】
＜モノグリセリド純度＞
ゲルパーミッションクロマトグラフィー（カラム：ＴＳＫｇｅｌＧ２０００ＨＸＬ＋ＴＳＫｇｅｌＧ１０００ＨＸＬ、検出器：ＲＩ、溶離液：ＴＨＦ）により分析し（以下ＧＰＣ面積％）、モノグリセリド純度を以下の式により求めた。
【００１９】
モノグリセリド純度（％）＝［モノグリセリド（ＧＰＣ面積％）］／［モノグリセリド（ＧＰＣ面積％）＋ジグリセリド（ＧＰＣ面積％）＋トリグリセリド（ＧＰＣ面積％）］
＜グリセリン脱水縮合物の生成量＞
実施例及び比較例すべてにおいて、トリグリセリン以上の分子量を有するグリセリン脱水縮合物は見られなかったので、ジグリセリンの生成量で示した。なお、ジグリセリン生成量とは、エステル化させていないジグリセリンの量のことを示し、ガスクロマトグラフィー（キャピラリーカラム：ウルトラアロイ、キャリアーガス：ヘリウム、以下ＧＣ）にて分析した。実施例及び比較例記載の未反応ジグリセリン量はＧＣ面積％である。実施例２〜３及び比較例３〜４のジグリセリン量は、未反応グリセリンの除去工程前であるため、系内のグリセリンをすべて減圧により除去出来たと仮定した場合のジグリセリンのＧＣ面積％である。
【００２０】
＜燃料油への溶解性＞
燃料油に対する溶解性を確認するため、キシレンへの溶解性テストを行った。実施例及び比較例で得られたモノグリセリドをキシレンに１０重量％溶解させて外観を比較した。キシレンへの不溶解物が多いとこの溶液は白濁する。
【００２１】
実施例１
圧力弁を付けたフラスコにトール油脂肪酸１５４２．０ｇとグリセリン８２２．４ｇを仕込んだ後、攪拌しながら２６０℃まで加熱した。加熱中は、窒素を系内に流通させて、反応生成水を系外に留出させながら、エステル化反応を促進させた。２６０℃到達後、直ちに反応系を窒素パージングによる密閉系にした。このときの酸価は１．８、モノグリセリド純度は４６．５％であった。引き続き、２６０℃密閉系にてエステル交換反応を行った（系内圧力：０．１４ＭＰａ以下）。エステル交換反応をトータル６時間行い反応を終了させた。反応終了時の酸価は１．９、モノグリセリド純度は６２．９％、さらに加熱を止めて５．３ｋＰａまで徐々に減圧して、グリセリンを還流させながら系内温度を２００℃まで冷却した。この時の酸価は０．２５、さらに、０．１３ｋＰａまで減圧にしてエステル化されていないグリセリンを系外へ除去し、モノグリセリド１７９８．６ｇを得た。モノグリセリド純度６０．１％、酸価：０．１４、未反応ジグリセリン量０．５４％、キシレン溶解テスト：透明。
【００２２】
比較例１
フラスコにトール油脂肪酸１５４０．７ｇとグリセリン８２３．７ｇを仕込んだ後、攪拌しながら２６０℃まで加熱した。加熱中は、窒素を系内に流通させて、反応生成水を系外に留出させながら、エステル化反応を促進させた。２６０℃到達後、開放系にして窒素を系内に流通させたまま（Ｎ₂流通量：０．１Ｌ／ｍｉｎ）、エステル交換反応を７時間行った。２６０℃到達時の酸価は１．５であったが、１０分以内に酸価は１を切った。反応終了時の酸価は０．２０、モノグリセリド純度は６０．５％。加熱を止めて系内温度を２００℃まで冷却し、さらに、０．１３ｋＰａまで減圧にしてエステル化されていないグリセリンを系外へ除去し、モノグリセリド１８００．４ｇを得た。モノグリセリド純度５９．４％、酸価：０．１３、未反応ジグリセリン量１．４６％、キシレン溶解テスト：白濁。
【００２３】
比較例２
比較例１において、２６０℃でのエステル交換反応時間を３時間とする以外は同様に反応を行った。２６０℃到達時の酸価は１．７であったが、比較例１と同様に１０分以内に酸価は１を切った。反応終了時の酸価は０．２５、モノグリセリド純度は５０．９％。比較例１と同様にグリセリンを系外へ除去し、モノグリセリド１７７２．４ｇを得た。モノグリセリド純度４９．７％、酸価：０．１４、未反応ジグリセリン量０．５３％、キシレン溶解テスト：透明。
【００２４】
実施例１及び比較例１〜２の結果をまとめて表１に示す。表１から、酸価を１以上に保ちながらエステル交換反応を行うことが未反応のジグリセリン量を抑制していることが明らかである。未反応のジグリセリン量がほぼ同等である場合には、明らかに、従来法（比較例２）ではモノグリセリド純度が低い。
【００２５】
【表１】

【００２６】
実施例２
グリセリンとトール油脂肪酸より合成されたトール油脂肪酸エステル（モノグリセリド純度：４６．５％、未反応グリセリン含有量：０．５％、酸価：０．３）５００ｇとグリセリン１４０．２ｇ、さらにトール油脂肪酸２３．０ｇをオートクレーブに仕込んで窒素によるパージングを行い、２６０℃まで昇温した。昇温中は、熱による気体の膨張により圧力の上昇を防ぐため、反応系内を開放と密閉を繰り返した。２６０℃到達後の酸価は３．１、その後、密閉系にして反応を６時間続けた。反応終了時の酸価：２．５、モノグリセリド純度：６２．９％、未反応ジグリセリン量：０．５２％、キシレン溶解テスト：透明。
【００２７】
実施例３
実施例２で用いたトール油脂肪酸エステル４９９ｇとグリセリン１３１．５ｇ、さらにトール油脂肪酸１０．０ｇをオートクレーブに仕込んで、実施例２と同様の装置及び方法で反応させた。２６０℃到達後の酸価は１．６、反応終了時の酸価：１．６、モノグリセリド純度：６２．１％、未反応ジグリセリン量：０．５９％、キシレン溶解テスト：透明。
【００２８】
比較例３
実施例２で用いたトール油脂肪酸エステル５００ｇとグリセリン１３０．０ｇをオートクレーブに仕込んで、実施例２と同様の装置及び方法で反応させた。２６０℃到達後の酸価は０．４、反応終了時の酸価：１．７、モノグリセリド純度：６１．６％、未反応ジグリセリン量：０．８６％、キシレン溶解テスト：白濁。
【００２９】
比較例４
比較例３の反応において窒素を系内に流通させながら行った。２６０℃到達後の酸価は０．４、反応終了時の酸価：０．４、モノグリセリド純度：５８．６％、未反応ジグリセリン量：１．０８％、キシレン溶解テスト：白濁。
【００３０】
実施例２〜３及び比較例３〜４の結果をまとめて表２に示す。表２より酸価を１以上に保ちながらエステル交換反応を行うことが未反応のジグリセリン量を抑制する点で、またモノグリセリドの純度を高めるという点で有効であることが明らかである。
【００３１】
【表２】

[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a monoglyceride and an oiliness improver comprising a monoglyceride produced by the production method.
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
Monoglycerides are monoesters composed of glycerin and fatty acids, and are widely used as industrial and food emulsifiers. JP-A-9-13052 discloses that it is useful to be added to fuel oil as an oiliness improver. Examples of the main production method of monoglyceride include 1) a method of transesterifying glycerin fatty acid ester such as oil and fat with glycerin, and 2) a method of esterifying fatty acid and glycerin. Both are synthesized under various reaction conditions, but since all of the raw oils and fatty acids and glycerin, or the reaction product and glycerin are not mixed uniformly, the reaction becomes heterogeneous and monoglycerides are obtained sufficiently efficiently. I couldn't. For example, it is known that a monoglyceride can be obtained in a high yield by a method for obtaining monoglyceride using a molecular distiller, a thin film distiller or the like, or a reaction by an enzyme as disclosed in JP-A-9-268299. However, these methods require capital investment and are not economical. On the other hand, increasing the mutual solubility of fats and oils, fatty acids and glycerin, or reaction products and glycerin by raising the reaction temperature is one of effective methods for increasing the yield of monoglyceride. However, as described in “Production and application of monoglycerides” (Shigeru Tsuda, 1958, published by Tsuji Shoten), raising the reaction temperature is undesirable because it causes polymerization of glycerin. In particular, since glycerin dehydration condensate is less likely to be distilled off under reduced pressure than glycerin, it is better to suppress the glycerin dehydration condensation reaction as much as possible. For example, when added to fuel oil as an oiliness improver, the monoglyceride hydroxyl group is adsorbed on the metal surface, and the alkyl group forms an oily film to improve lubricity. Therefore, it is necessary to further increase the monoglyceride purity. Further, since glycerin and glycerin dehydrated condensate are poorly soluble in fuel and easily adsorbed on metal surfaces, it is important to reduce them as much as possible. In particular, it is very important to suppress the glycerin dehydration condensation reaction for the above reasons.
[0003]
In order to suppress the formation of glycerin dehydrated condensate, it is effective to shorten the reaction time at high temperature. US Pat. No. 3,083,216 describes a method of reacting at a high temperature in a short time, but costs are high for capital investment and the like. In addition, in the production of monoglycerides, various catalytic reactions have been used so far in order to increase the reaction rate and to increase the yield, but these also have a cost burden such as requiring a filtration step. In addition, depending on the application, it is necessary to avoid mixing of catalyst components, particularly when used as an oiliness improver. For example, in a fuel oil additive, mixing of catalyst components due to filtration leakage causes engine trouble and must be avoided. Therefore, the use of a catalyst is not preferable.
[0004]
From the above, in the conventional method, it was difficult to easily produce a monoglyceride with little glycerin dehydration condensate without using a catalyst.
[0005]
An object of the present invention is to provide a method for producing a high-purity monoglyceride useful as an oiliness improver from a glycerin fatty acid ester and glycerin, using a simple and inexpensive method without using a catalyst, and having a small amount of glycerin dehydration condensate. It is in.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The present invention relates to a process for producing a monoglyceride in which a glycerin fatty acid ester and glycerin are transesterified in the absence of a catalyst while maintaining the acid value in the reaction system at 1 mg KOH / g or more, and a monoglyceride produced by this process It is an oiliness improver consisting of
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The glycerin fatty acid ester used in the present invention contains triglycerides, diglycerides, and monoglycerides, and those in which a plurality of these are mixed or oils and fats are the main components. Examples of the triglyceride include natural fats and oils, synthetic fats and oils, and fats and the like in which some of these have undergone modification such as oxidation and reduction. When used as an oiliness improver, for example, as a fuel oil additive, those using soybean oil, rapeseed oil, etc. as natural fats and oils are preferred. The glycerin fatty acid ester may be obtained by an esterification reaction between a fatty acid and glycerin. At this time, the fatty acid to be used is not particularly limited, but a fatty acid having 8 to 22 carbon atoms is preferable. In the above-mentioned “monoglyceride production and application” (by Shigeru Tsuda), it is clearly stated that fatty acids having 18 carbon atoms lower the solubility of glycerin than fatty acids having a short carbon number, thus lowering the purity of monoglycerides. According to the method of the present invention, a monoglyceride having high purity can be obtained even when a fatty acid having 18 carbon atoms is used. In the present invention, as the fatty acid having 18 carbon atoms, stearic acid, oleic acid, linoleic acid, tall oil fatty acid and the like are preferably used, and a mixture thereof is particularly preferable. For example, when producing tall oil fatty acid and glycerin monoglyceride obtained from non-fat oil, it is more preferable to use a reaction product obtained by esterification reaction of tall oil fatty acid and glycerin as glycerin fatty acid ester. .
[0008]
The esterification reaction conditions of fatty acid and glycerin are not particularly limited, but when used continuously in the transesterification reaction, from a point of simplicity, without using a catalyst, a constant temperature at 170 to 300 ° C. Alternatively, it is preferable to carry out the esterification while raising the temperature and carry out the reaction while removing moisture in the system.
[0009]
The glycerin used in the present invention is not particularly limited, and a recovered product of unreacted glycerin in the transesterification reaction of the present invention can also be used.
[0010]
In the present invention, in the transesterification reaction between glycerin fatty acid ester and glycerin, the reaction is carried out in a state where the acid value in the reaction system is kept at 1 mg KOH / g (unit is omitted) or more in the absence of a catalyst. In the present invention, non-catalyst means that no catalyst is added or only a very small amount is added. A very small amount is an amount that achieves the benefits described below. By reacting without a catalyst, the series of processes can be simplified and cost reduction can be achieved, and in applications where catalyst components such as fuel oil additives must be avoided, filtration leakage can be prevented in the catalyst filtration step. The advantage is that there is no fear. The reason for keeping the acid value in the reaction system at 1 or more is to suppress the formation of a dehydrated condensate of glycerin.
[0011]
Conventionally, in the esterification reaction or transesterification reaction, it is often desired to lower the acid value of a product. For this reason, the reaction has been promoted as much as possible to reduce the acid value. In the present invention, it was found that the dehydration condensation reaction of glycerin is suppressed by maintaining this acid value at 1 or more. It is also one of the features of the present invention that the acid value can be easily controlled by a method such as refluxing glycerin after the reaction, even if the acid value becomes unfavorable at the end of the reaction.
[0012]
In the method of keeping the acid value at 1 or more, when the acid value at the initial stage of the reaction is set to 1 or more and then purging is performed by circulating an inert gas in the system, the gas flow rate is suppressed so that the acid value does not decrease. To react. Moreover, when performing by a closed system, it reacts in inert gas atmosphere. In particular, it is more effective to use a closed system in terms of suppressing the production of glycerin dehydration condensate such as diglycerin. Examples of the inert gas include nitrogen and argon. The pressure at this time is normal pressure or pressurization. In order to carry out simply, normal pressure or slight pressure is preferable. In the present invention, the slight pressurization means a pressure that can reduce the pressure-resistant equipment, and a pressure of 0.2 MPa or less is preferable. Examples of a method for setting the acid value at the initial stage of the reaction to 1 or more include a method of adding a fatty acid before a transesterification reaction and a method of using an unreacted fatty acid in an esterification reaction between a fatty acid and glycerin. The method of utilizing unreacted fatty acid in the esterification reaction is a state in which the acid value is 1 or more at the end stage of the esterification reaction when the glycerin fatty acid ester obtained by the esterification reaction of fatty acid and glycerin is used as the glycerin fatty acid ester In this method, the transesterification reaction is performed continuously in a closed system. The upper limit of the acid value is not particularly limited, but is preferably 5 or less. When the acid value of the reaction product is high and unfavorable depending on the application, it is more preferable to keep the acid value in the range of 1 to 3. Therefore, even after the closed system is used, when the acid value at the initial stage of the reaction is high, a step of lowering the acid value may be performed. The method for lowering the acid value is not particularly limited. However, in the case of a closed system, it is preferable to lower the acid value by opening the system once and flowing nitrogen to promote the esterification reaction.
[0013]
In the present invention, when a glycerin fatty acid ester obtained by esterification of a fatty acid and glycerin is used as the glycerin fatty acid ester, the feed ratio of the raw material is preferably glycerin / fatty acid (molar ratio) of 0.33 or more, and high monoglyceride. One or more is more preferable for the recovery, and 1.4 to 2.0 is particularly preferable in view of the increase in monoglyceride productivity and the amount of diglycerin charged. Is most preferred. However, when fats and oils are used as the glycerin fatty acid ester, the charging ratio is converted according to the degree of esterification of the glycerin fatty acid ester used.
[0014]
The temperature of the transesterification reaction is preferably 235 to 300 ° C, more preferably 240 to 270 ° C, and particularly preferably 250 to 260 ° C in consideration of the yield of monoglyceride and the dehydration condensation reaction rate of glycerin.
[0015]
In the case where glycerin needs to be removed from the reactant obtained by the above method for the use of a fuel oil additive or for other purposes, glycerin is removed. The method for removing glycerin includes a method for distilling glycerin under reduced pressure, a method for removing glycerin by steam distillation, a method for removing a glycerin layer by phase separation, a method for removing by water washing, a method for removing by using an adsorbent, etc. Although it is mentioned, it is not limited to these, You may combine these. However, when the acid value of the reaction product is high depending on the use, it is not preferable. After cooling, the glycerin is refluxed at the end of the reaction, and then cooled. The removal method is preferable as a simple method. Although the dehydration condensation reaction of glycerin is promoted during this reflux, it can be completed in a short time compared to the constant temperature reaction time, and the temperature in the system is lowered. Can be suppressed. Distillation of glycerin from the product is carried out under the condition that monoglyceride as a reaction product is not significantly distilled as much as possible. Specifically, it is preferably performed at 150 to 220 ° C. at a pressure of 1.33 kPa or less. The removal by steam distillation is a method in which steam is blown into the reaction product and glycerin is distilled out of the system together with the steam. Specifically, it is performed at 80 to 220 ° C. at a pressure of 13.3 kPa or less. In order to suppress hydrolysis and transesterification, it is preferably carried out at 170 ° C. or lower at a pressure of 4.0 kPa or lower.
[0016]
The monoglyceride produced as described above can be used as an oil improver, for example, a fuel such as diesel fuel or a fuel oil additive such as a lubricating base oil. Moreover, according to the request | requirement of a use, it can be used individually or in mixture with another component. In particular, the monoglyceride obtained by the production method of the present invention has low viscosity, fluidity, high purity of monoglyceride, and less glycerin dehydration condensate. The use as a light oil additive is preferable.
[0017]
【Example】
The monoglyceride purity and the amount of glycerin dehydrated condensate produced in Examples and Comparative Examples were measured by the following methods, and the solubility in fuel oil was evaluated by the following methods.
[0018]
<Monoglyceride purity>
Analysis by gel permeation chromatography (column: TSKgelG2000HXL + TSKgelG1000HXL, detector: RI, eluent: THF) (hereinafter referred to as GPC area%), the monoglyceride purity was determined by the following equation.
[0019]
Monoglyceride purity (%) = [monoglyceride (GPC area%)] / [monoglyceride (GPC area%) + diglyceride (GPC area%) + triglyceride (GPC area%)]
<Production amount of glycerin dehydrated condensate>
In all of Examples and Comparative Examples, no glycerin dehydrated condensate having a molecular weight equal to or higher than triglycerin was found, and thus the amount of diglycerin was shown. The amount of diglycerin produced indicates the amount of diglycerin that has not been esterified, and was analyzed by gas chromatography (capillary column: ultraalloy, carrier gas: helium, hereinafter GC). The amount of unreacted diglycerin described in Examples and Comparative Examples is GC area%. Since the amount of diglycerin in Examples 2 to 3 and Comparative Examples 3 to 4 was before the removal step of unreacted glycerin, the GC area% of diglycerin when it was assumed that all the glycerin in the system could be removed by reduced pressure. is there.
[0020]
<Solubility in fuel oil>
In order to confirm the solubility in fuel oil, a solubility test in xylene was conducted. The monoglycerides obtained in Examples and Comparative Examples were dissolved in xylene at 10% by weight and the appearances were compared. If there are many insoluble substances in xylene, this solution becomes cloudy.
[0021]
Example 1
A flask equipped with a pressure valve was charged with 1542.0 g of tall oil fatty acid and 822.4 g of glycerin, and then heated to 260 ° C. with stirring. During the heating, nitrogen was circulated in the system, and the esterification reaction was promoted while distilling the reaction product water out of the system. Immediately after reaching 260 ° C., the reaction system was closed by nitrogen purging. The acid value at this time was 1.8, and the monoglyceride purity was 46.5%. Subsequently, a transesterification reaction was performed in a 260 ° C. closed system (internal pressure: 0.14 MPa or less). The transesterification reaction was carried out for a total of 6 hours to complete the reaction. At the end of the reaction, the acid value was 1.9, the monoglyceride purity was 62.9%, the heating was stopped, the pressure was gradually reduced to 5.3 kPa, and the system temperature was cooled to 200 ° C. while refluxing glycerin. At this time, the acid value was 0.25, and glycerol that had not been esterified was removed from the system by reducing the pressure to 0.13 kPa to obtain 1798.6 g of monoglyceride. Monoglyceride purity 60.1%, acid value: 0.14, unreacted diglycerin content 0.54%, xylene dissolution test: transparent.
[0022]
Comparative Example 1
The flask was charged with 1540.7 g of tall oil fatty acid and 823.7 g of glycerin, and then heated to 260 ° C. with stirring. During the heating, nitrogen was circulated in the system, and the esterification reaction was promoted while distilling the reaction product water out of the system. After reaching 260 ° C., the transesterification reaction was carried out for 7 hours with an open system and nitrogen flowing in the system (N ₂ flow rate: 0.1 L / min). The acid value at the time of reaching 260 ° C. was 1.5, but the acid value was cut within 1 within 10 minutes. The acid value at the end of the reaction was 0.20, and the monoglyceride purity was 60.5%. Heating was stopped, the system temperature was cooled to 200 ° C., and the pressure was reduced to 0.13 kPa to remove non-esterified glycerin from the system to obtain 1800.4 g of monoglyceride. Monoglyceride purity 59.4%, acid value: 0.13, unreacted diglycerin content 1.46%, xylene dissolution test: cloudiness.
[0023]
Comparative Example 2
In Comparative Example 1, the reaction was carried out in the same manner except that the transesterification time at 260 ° C. was 3 hours. The acid value at the time of reaching 260 ° C. was 1.7, but the acid value was cut off within 10 minutes as in Comparative Example 1. The acid value at the end of the reaction was 0.25, and the monoglyceride purity was 50.9%. Glycerin was removed out of the system in the same manner as in Comparative Example 1 to obtain 1772.4 g of monoglyceride. Monoglyceride purity 49.7%, acid value: 0.14, unreacted diglycerin content 0.53%, xylene dissolution test: transparent.
[0024]
Table 1 summarizes the results of Example 1 and Comparative Examples 1 and 2. From Table 1, it is clear that performing the transesterification while keeping the acid value at 1 or more suppresses the amount of unreacted diglycerin. When the amount of unreacted diglycerin is almost the same, the monoglyceride purity is obviously low in the conventional method (Comparative Example 2).
[0025]
[Table 1]

[0026]
Example 2
Tall oil fatty acid ester synthesized from glycerin and tall oil fatty acid (monoglyceride purity: 46.5%, unreacted glycerin content: 0.5%, acid value: 0.3), glycerin 140.2 g, and tall oil 23.0 g of fatty acid was charged into an autoclave and purged with nitrogen, and the temperature was raised to 260 ° C. During the temperature increase, the reaction system was repeatedly opened and closed in order to prevent an increase in pressure due to gas expansion due to heat. The acid value after reaching 260 ° C. was 3.1, and then the reaction was continued for 6 hours in a closed system. Acid value at the end of the reaction: 2.5, monoglyceride purity: 62.9%, unreacted diglycerin content: 0.52%, xylene dissolution test: transparent.
[0027]
Example 3
499 g of tall oil fatty acid ester and 131.5 g of glycerin used in Example 2 and 10.0 g of tall oil fatty acid were charged into an autoclave and reacted in the same apparatus and method as in Example 2. The acid value after reaching 260 ° C. is 1.6, the acid value at the end of the reaction is 1.6, the monoglyceride purity is 62.1%, the amount of unreacted diglycerin is 0.59%, and the xylene dissolution test is transparent.
[0028]
Comparative Example 3
500 g of tall oil fatty acid ester and 130.0 g of glycerin used in Example 2 were charged into an autoclave and reacted with the same apparatus and method as in Example 2. The acid value after reaching 260 ° C. is 0.4, the acid value at the end of the reaction is 1.7, the monoglyceride purity is 61.6%, the amount of unreacted diglycerin is 0.86%, and the xylene dissolution test is cloudy.
[0029]
Comparative Example 4
The reaction of Comparative Example 3 was carried out with nitrogen flowing through the system. The acid value after reaching 260 ° C. was 0.4, the acid value at the end of the reaction was 0.4, the monoglyceride purity was 58.6%, the amount of unreacted diglycerin was 1.08%, and the xylene dissolution test was cloudy.
[0030]
Table 2 summarizes the results of Examples 2-3 and Comparative Examples 3-4. From Table 2, it is clear that performing the transesterification while keeping the acid value at 1 or more is effective in terms of suppressing the amount of unreacted diglycerin and increasing the purity of monoglyceride.
[0031]
[Table 2]

Claims

A method for producing a monoglyceride, in which a glycerin fatty acid ester and glycerin are transesterified in a closed system while keeping the acid value in the reaction system at 1 mg KOH / g or more in the absence of a catalyst.

The process according to claim 1, wherein the glycerin fatty acid ester is obtained by an esterification reaction between a fatty acid and glycerin.

The process according to claim 1 or 2, wherein glycerol is refluxed after the transesterification reaction.

The production method according to any one of claims 1 to 3, wherein residual glycerin is distilled off after the transesterification reaction and / or after glycerin reflux.

The production method according to any one of claims 1 to 4 , wherein the transesterification reaction is performed under normal pressure or a pressure of 0.2 MPa or less.