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JP4941077B2 - ガスバリア性透明ポリ乳酸フィルム - Google Patents

ガスバリア性透明ポリ乳酸フィルム Download PDF

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Description

本発明は、食品や非食品等の包装分野に用いられる包装用の基材となるフィルムが植物由来のプラスチック、特にポリ乳酸からなる、透明性を有するガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムに関し、さらに詳しくは、基材フィルムは植物由来であるため環境適性にも優れたものであり、さらに酸素や水蒸気等のガス遮断性が優れる上に、透明性、機械的強度、寸法安定性を有するガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムに関する。
近年、環境問題の意識,石油資源の枯渇問題の高まりから、包装材料の原材料を、植物由来の材料への置き換えの必要性が要求されている。食品や非食品等の包装に用いられる包装材料には、基材としてポリエステルフィルムやナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの汎用のプラスチックを用いる場合が多い。これらのプラスチックは、機械的な強度や耐久性に優れている上に、低コストのため世の中に広く用いられている。
しかしながら、該プラスチック材料は石油資源由来の材料であり、将来石油資源が枯渇したとき入手困難と成ってしまう。また、該プラスチックから出来た包装材料は不要に成ったとき、焼却処分、あるいは埋め立て処分されるが、どちらも問題がある。まず、焼却処分の問題点は、該プラスチック材料の燃焼カロリーが高いため、炉を傷めたり,一緒に焼却する食品等からダイオキシン等の有害物質を誘発したりする。一方、埋め立ての問題点としては、石油由来のプラスチックは、分解しにくく、ゴミとして永久的に残ってしまう。
そこで、この様な問題を解決すべく、植物由来であり、しかも燃焼カロリーが低く、環境中で分解されて水と二酸化炭素にまでなる植物由来の樹脂からなる基材が上市されている。例えば、微生物によって産出される脂肪族ポリエステルやカードラン、プルラン等の多糖類、乳酸を化学重合して得られるポリ乳酸、ラクトンの開環重合によって得られるポリカプロラクトン、天然に由来のデンプン、セルロース、キチン・キトサン等がある。
しかしながら、このような植物由来の樹脂単体では十分な強度が得られていないのが現状である。さらに包装材料として用いるためには、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
バリア性を有する高分子樹脂としては、比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂のフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルム等が良く用いられてきた。しかし、それらは温度・湿度などによるガスバリア性の影響が大きい、また、環境適性の面で問題がある。また、アルミニウム等の金属からなる金属箔等を用いたものは、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性を持つが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、また、検査の際金属探知器が使用できないなど多くの欠点を有し問題がある。
そのため、アルミニウム箔の代替として、無機酸化物を基材フィルムに真空蒸着法などにより蒸着を施して蒸着フィルムを作製する方法が提案(例えば、特許文献1参照。)されているが、基材フィルムが通常のポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられている。
また、生分解の蒸着フィルムの提案(例えば、特許文献2参照。)もあるが、前処理の効果が不十分で密着性に問題があり実用的でない。
以下に先行技術文献を示す。
特開2005−59265号公報 特開2005−111783号公報
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、植物由来の樹脂を用いたフィルムの酸素や水蒸気等のガスバリア性に優れた、環境適合性を含めて実用性の高い、ガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、ポリ乳酸樹脂からなるフィルム基材の少なくとも片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理層、厚さ5〜100nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層、下記に示すA液とB液とC液を配合比(wt%)で70/20/10に混合した溶液を塗布乾燥したガスバリア性被覆層、ポリ乳酸樹脂を主成分とする接着剤層、PBS樹脂(ポリブチレンサクシネート)から成るシーラント層を順次積層したことを特徴とするガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムである。
A液:テトラエトキシシラン(以下TEOSとする)17.9gとメタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分5wt.%(SiO 換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5wt.%水/メタノール溶液(水/メタノール重量比=95/5)。
C液:β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランとイソプロピルアルコール(IPA溶液)に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5wt.%(R Si(OH) 換算)に調整した加水分解溶液
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムにおいて、前記RIEによる前処理が、その自己バイアス値200V以上2000V以下とし、またEd=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100W・m-2・sec以上1000W・m-2・sec以下である低温プラズマ処理であることを特徴とするガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムである。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムにおいて、前記RIEにより前処理された表面をX線光電子分光分析装置(XPS)で測定した時の(COOのピークの半値幅)/(CCのピークの半値幅)が処理することにより、1.1倍以上になったことを特徴とするガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムである。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムにおいて、前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)が、酸化アルミニウム、酸化珪素あるいはそれらの混合物からなることを特徴とするガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムである。
本発明に係るガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムは、ポリ乳酸樹脂からなるフィルム基材の少なくとも片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理層、厚さ5〜100nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を順次積層したことにより、植物性由来の樹脂であるポリ乳酸樹脂を主成分とするため、石油枯渇の問題、ゴミに成ったときの廃棄問題に対して解決案の一つとして、提案することができる。また、使用後、焼却されたときの熱量が下がり、炉を傷めず、しかも食品などに含まれる塩素と反応して、ダイオキシン発生する問題等も無くなる。また、埋立てられたり、自然環境中に散乱した場合でも、環境中の微生物の作用により、分解する。従って、環境負荷が低減された環境対応に優れ、かつガスバリア性、透明性、機械的強度および寸法安定性に優れた生分解性を有するバリア性積層包装材料を提供できる。
また、本発明により、透明ポリ乳酸フィルムに透明性を有する無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設けた構成とすることで、ポリ乳酸フィルムに不足していた、酸素、水蒸気、その他の内容物を変質させる気体(ガス)遮断する優れたガスバリア性を備えることから、内容物の変質を制御し、それらの機能や性質を保持することが要求される食品、非食品および医薬品等の包装分野の包装材料として好適に使用される、ガスバリア性、透明性、機械的強度および寸法安定性に優れたポリ乳酸フィルムを提供できる。
さらに、本発明の植物由来のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを用いて、各種の包装形態の包装体を得ることができる。例えば、ガゼット、三方シール、四方シール、スタンディングパウチ、バッグインボックス、プレススルーパックなどの生分解性とガスバリア性を要求される、食品、および医薬品などの非食品包装分野の包装体として好適に使用できる。
さらにまた、本発明の植物由来のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを用いて、生分解性とガスバリア性を要求される包装分野の各種ラベル、蓋材として好適に使用できる。
本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムの層構成の1実施例を示す側断面図であり、図2は本発明に係るガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムの層構成のその他の1実施例を示す側断面図である。
本発明に係る1実施例のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムは、図1に示すように、ポリ乳酸樹脂からなるフィルム基材(1)の少なくとも片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理層(2)、厚さ5〜100nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を順次積層し、さらに該蒸着薄膜層(3)の上に、オーバーコート層(4)を設けた構成の植物由来のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムである。
また、図2に示すように、該RIEの上に接着剤層(5)を介してシーラント層(6)を積層しても良い。このようにシーラント層(6)側、つまり内容物側に蒸着薄膜層(3
)を設けることで、内容物からの水分の影響でポリ乳酸からなるフィルム基材(1)が加水分解されることを制御することができる。また、上記構成は、シーラント層(6)をバリア層としての蒸着薄膜層(3)側に貼り合わせた構成であるが、該シーラント層(6)を蒸着薄膜層(3)が形成されていない側に貼り合わせても良い。この様な構成にする利点としては、内容物が乾燥したものであるとき、一般的に用いられ、包装材料の外部からの水分の影響でポリ乳酸樹脂からなるフィルム基材(1)が加水分解されることを制御することができる。従って、常温時においては安定した包装材料としての機械的強度を維持することができる。
本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムは、上記のような構成であるから、包装材料全体が、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解してそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命を短縮したり、環境を汚染することもない。
本発明において用いられるポリ乳酸樹脂としては、環状二量体ラクチドを経由して得られる重合法、あるいは環状二量体ラクチドを経由しない直接重合法、さらには加熱溶液重縮合法などで得られるが、特に限定されるものではない。ポリ乳酸樹脂は、一般に、水により加水分解されて低分子化した後、微生物により分解されるものと考えられており、融点などの調整が比較的容易であって、熱溶着性にも優れ、透明性、加工性および塗工性、コスト等の点で他の植物由来の樹脂よりも優れているものである。
本発明において用いられるポリ乳酸樹脂からなるフィルム基材(1)は、上記ポリ乳酸樹脂をフィルム状に加工して用いられる。特に、比較的加工適性に優れる二軸方向に任意に延伸されたポリ乳酸樹脂からなるフィルムがより好ましい。また、この基材(1)の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良く、薄膜との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいても良く、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しても構わない。
前記基材(1)の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあること、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によって6〜30μmとすることが好ましい。また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺フィルムとすることが望ましい。
この上記ポリ乳酸樹脂中に、他の物性を損わない範囲で各種添加剤、例えば、イソシアネート化合物等の硬化剤、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、充填剤等を必要に応じて添加することも可能である。
基材(1)と無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)との密着を強化するために、表面にプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施すことが有効である。このRIEによる処理を行うことで、発生したラジカルやイオンを利用してプラスチック基材の表面に官能基を持たせるなどの化学的効果と、表面をイオンエッチングして不純物を飛ばしたり平滑化するといった物理的効果の2つの効果を同時に得ることが可能である。
このような表面処理を行うことで、後に行う蒸着の際に酸化アルミニウムの緻密な薄膜を形成させることができる。その結果、基材(1)と無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)層との密着性を強化させることができ、更なるガスバリア性向上に繋がる。加工速度、エネルギーレベルなどで示される処理条件は、基材種類、用途、放電装置特性などに応じ、適宜設定するべきである。ただし、プラズマの自己バイアス値は200V以上2000V以下、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100W・m-2・sec以上1000W・m-2・sec以下にすることが必要であり、これより若干低い値でも、ある程度密着性を発現するが、未処理品に比べて優位性が低い。また、高い値であると、強い処理がかかりすぎて基材表面が劣化し、密着性が下がる原因になる。プラズマ用の気体及びその混合比などに関してはポンプ性能や取り付け位置などによって、導入分と実効分とでは流量が異なるので、用途、基材、装置特性に応じて適宜設定するべきである。RIEによる前処理と無機酸化物蒸着を、同一製膜機(インライン製膜機)にて行うこともできる。インラインで行った方が、活性過度を保てるし、巻き取った際に、処理面がフィルムに触れて汚染されたりしないため好ましい。
本発明において用いられる無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであれば良い。その中でも、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が酸素透過率及び水蒸気透過率に優れるので好ましい。ただし、本発明の蒸着薄膜層(3)は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
前記蒸着薄膜層(3)の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、5〜100nmの範囲内である。
無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を形成する方法としては、種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
本発明で用いられるオーバーコート層(4)は、本発明の積層体の表面側に位置する無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を保護する目的で設けられるものである。コート剤としては、表面を保護する目的以外に、よりガスバリア性を向上させる目的で、水酸基含有高分子化合物,金属アルコキシド及び/又はその加水分解物及び/又はその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つコーティング剤が用いられる。水酸基含有高分子化合物としては、ポリビニルアルコールまたはポリ(ビニルアルコール−CO−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つものが好ましく用いられる。しかし、これらに限定する必要は無く、表面を保護するだけの目的と、基材フィルムが植物由来、生分解性ということから、同じ植物由来、生分解性を有するポリ乳酸樹脂からなるコート剤を調整して塗布形成することも良くある。
本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを構成する各種材料を積層する接着剤層(5)としては、特に限定する必要ないが、同じ植物由来系で生分解性樹脂であり、植物性由来度が上がるという観点から、ポリ乳酸樹脂を主成分とする接着剤が好ましく用いられる。
本発明で用いられるシーラント層(6)は、本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを、例えば、袋体などを形成する際に接着層として設けられるものである。植物由来度を高めるために、植物由来度の樹脂を用いることが好ましく、植物に含まれる糖類グルコースを発酵させてできるコハク酸を原料として使用するポリブチレンサクシレート(PBS)が好ましく用いられ、また、ポリ乳酸に脂肪酸エステル,エポキシ化大豆油等の可塑剤を添加、あるいはPBS、ポリカプロラクトン(PCL)等の樹脂をブレンドして、軟質化したポリ乳酸も好ましく用いる。ポリ乳酸は軟質化することにより、ガラス転移点も下がり熱融着もしやすくなる特徴がある。また、ポリ乳酸の生分解性を生かすために、上記材料のほか、PCL、脂肪族ポリエステル等をシーラント層(6)として、しばしば用いる。シーラント層(6)の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
上述した本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを用いて種々の包装形態の包装体とすることができる。例えば、包装形態として袋体とする製袋方法としては、横ピロー、縦ピロー、ガゼット、三方シール、四方シール等の製袋方法の中から適宜選択して袋体とされるが、完成した袋体のガスバリア性を保持するためには継ぎ目においてもガスバリア性が発揮されるヒートシールによる製袋とすることにより得られる袋体が好ましい場合が多い。また、袋体に自立性を要求されることがあるが、袋体の形態として自立性のあるスタンディングパウチとすることもできる。 上記で得られる三方シール、ガゼット、スタンディングパウチなどの袋体に雄爪および雌爪よりなるプラスチックチャックをその袋の取り出し口に設けることもできる。プラスチックチャックは、ポリ乳酸樹脂を成形してなるポリ乳酸樹脂製チャックとすることが望ましい。
また、本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを用いた包装体として、薬品の錠剤等を包装する、表側になる透明なブリスター成形用シートと裏側の押圧破断可能な台紙からなるプレススルーパック(PTP)包装形態の包装体とすることもできる。また、本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを用いた包装体として、柔軟性のあるフィルムからなる袋(バッグ)を、例えば、段ボール製の外箱(ボックス)に収納してなる、食品、工業用薬品などの液体や粘性液体等を充填するバッグインボックス(BIB)包装形態の包装体とすることもできる。さらに、本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを、各種ラベル、蓋材として使用することもできる。
本発明のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを用いて得られる上記のガゼット、三方シール、四方シール、スタンディングパウチ、バッグインボックス、プレススルーパック、ラベル、蓋材等は、バリア性積層包装材料を構成する積層材料を生分解性を有するポリ乳酸樹脂もしくはポリ乳酸樹脂を主成分とすることで、包装材料およびその材料からなる包装体全体が、黴、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、ポリマーがオリゴマーやモノマー、あるいはさらに低分子の物質にまで分解される性質を有し、最終的には、水、炭酸ガス、メタン等にまで分解され、埋立処理場や自然環境中において分解する。埋め立てられたり、ゴミとして自然環境中に散乱したりした場合であっても、分解してそのままの形で残らないため、埋立処理場の寿命を短縮したり、環境を汚染することもない。
以下に、本発明に係るガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムについて、具体的に実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。
<実施例1>
ポリ乳酸フィルムとして、ユニチカ製TF25μmフィルムを使用し、該フィルム上に、印加電力120W、処理時間0.1SEC、処理ガス:アルゴン、処理ユニット圧力2.0Paの条件にてリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理を施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。この上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入して、厚さ15nmの酸化アルミニウムを蒸着した。次いで、下記に示すA液とB液とC液を配合比(wt%)で70/20/10に混合した溶液をグラビアコート法により蒸着層上に塗布乾燥し、厚さ0.3μmのガスバリア性被膜層を形成して、加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体を作成した。
A液:テトラエトキシシラン(以下TEOSとする)17.9gとメタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分5wt.%(SiO2換算)の加水分解溶液。B液:ポリビニルアルコールの5wt.%水/メタノール溶液(水/メタノール重量比=95/5)。C液:β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランとイソプロピルアルコール(IPA溶液)に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5wt.%(R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液。
該ガスバリア積層体フィルムに、シーラントフィルムとして三菱化学製PBS樹脂を用いたPBSフィルム30μmを2液硬化型接着剤を用いてドライラミネートにより積層して実施例1のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを得た。
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
実施例1において、RIE前処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1のポリ乳酸フィルムガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを得た。
<比較例2>
実施例1において、ポリ乳酸フィルムとして、東セロ製パルグリーンLC−4の厚さ15μmフィルムを使用し、上記実施例1においてC液の代わりに以下に示すD液を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2のポリ乳酸フィルムガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを得た。
D液:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとIPA溶液に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5%(重量比R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液。
<比較例3>
実施例1において、ポリ乳酸フィルムにRIE処理を施さず、酸化アルミ膜を25nmの厚みで蒸着し、該蒸着面に100nm厚のオーバーコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムを得た。
<評価方法>
前記実施例1および比較例1〜3で得られたガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムをゲルボで室温にて、5回屈曲させた後、モコン法を用いて、酸素透過度(単位:ml/m2
day・atm)を30℃−70%RHの条件で測定した。また、シーラントフィルム、ガスバリア積層体フィルム間のラミネート強度を、試料巾15mm、剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で測定した。これらの結果を、表1に示す。
Figure 0004941077
表1には、実施例1および比較例1〜3で得られたガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムの酸素透過度、ラミネート強度を測定した結果を記した。
<比較結果>
表1から、実施例1は、酸素透過度、ラミネート強度共に良好であった。比較例1、3は、酸素透過度、ラミネート強度共に非常に悪かった。比較例2は、他の比較例に比べて良かったが完全ではなかった。
本発明に係るガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムの層構成の1実施例を示す側断面図である。 本発明に係るガスバリア性透明ポリ乳酸フィルムの層構成のその他の1実施例を示す側断面図である。
符号の説明
1・・・フィルム基材
2・・・前処理層
3・・・蒸着薄膜層
4・・・オーバーコート層
5・・・接着剤層
6・・・シーラント層

Claims (4)

  1. ポリ乳酸樹脂からなるフィルム基材の少なくとも片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理層、厚さ5〜100nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層、下記に示すA液とB液とC液を配合比(wt%)で70/20/10に混合した溶液を塗布乾燥したガスバリア性被覆層、ポリ乳酸樹脂を主成分とする接着剤層、PBS樹脂(ポリブチレンサクシネート)から成るシーラント層を順次積層したことを特徴とするガスバリア性透明ポリ乳酸フィルム。
    A液:テトラエトキシシラン(以下TEOSとする)17.9gとメタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分5wt.%(SiO 換算)の加水分解溶液。
    B液:ポリビニルアルコールの5wt.%水/メタノール溶液(水/メタノール重量比=95/5)。
    C液:β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランとイソプロピルアルコール(IPA溶液)に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5wt.%(R Si(OH) 換算)に調整した加水分解溶液。
  2. 前記RIEによる前処理が、その自己バイアス値200V以上2000V以下とし、またEd=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100W・m−2・sec以上1000W・m−2・sec以下である低温プラズマ処理であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルム。
  3. 前記RIEにより前処理された表面をX線光電子分光分析装置(XPS)で測定した時の(COOのピークの半値幅)/(CCのピークの半値幅)が処理することにより、1.1倍以上になったことを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルム。
  4. 前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素あるいはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガスバリア性透明ポリ乳酸フィルム。
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