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JP4936264B2 - 磁性体保持微粒子及びその製造方法 - Google Patents

磁性体保持微粒子及びその製造方法 Download PDF

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JP4936264B2
JP4936264B2 JP2001201786A JP2001201786A JP4936264B2 JP 4936264 B2 JP4936264 B2 JP 4936264B2 JP 2001201786 A JP2001201786 A JP 2001201786A JP 2001201786 A JP2001201786 A JP 2001201786A JP 4936264 B2 JP4936264 B2 JP 4936264B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性体を内包した高分子微粒子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄、ニッケル、コバルト、マンガンなどの磁性体を内包したマイクロカプセルが多数提案されている。
【0003】
例えば特開2000-48163号公報は、磁気表示媒体に用いる磁性体マイクロカプセルであって、マイクロカプセル内に極性液体、疎水性液体、熱可塑性樹脂および磁性粉が含有された磁性体マイクロカプセルを教えている。
【0004】
この磁性体マイクロカプセルは、アラビアゴム、ゼラチンなどのマイクロカプセル原料の水溶液に、極性液体、疎水性液体、熱可塑性樹脂(ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチルなど)およびフレーク状の磁性粉などを添加して、乳化重合することにより作製される。
【0005】
また、例えば特開2000-47266号公報は、磁気表示装置に用いる磁性体マイクロカプセルであって、マイクロカプセル内に分散媒および磁性粉が含有された磁性体マイクロカプセルを教えている。この磁性体マイクロカプセルは、メタクリル酸類を分散媒に溶解した溶液を、水−アルコール系溶液中に分散乳化させ、in situ重合法により作製される。
【0006】
しかし、これら従来方法により得られる磁性体マイクロカプセルはいずれも、微粒子の粒子径分布が広く、すなわち多分散であるため、製造後の回収時や使用時の諸条件を設定しにくい。また、表示装置に適用した場合には解像度が低くなるという難点がある。
【0007】
また、これら従来方法により得られる磁性体マイクロカプセルは、多孔質であるため、外部分散媒とカプセル内とが完全に遮断されておらず、磁性体が直接分散媒に接触し、分散媒中に溶け出し易い場合がある。このような磁性体の分散媒への溶解をさけるためには、その外側にさらに層を設ける必要が生じ、製造方法が煩雑になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、長期にわたり磁性体を保持できる磁性体保持微粒子およびその簡単な製造方法を提供することを主目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく研究を重ねた結果、以下の1)〜3)の知見を見出し、本発明を完成させた。
1)中空微粒子に、室温で液体であって加熱処理により磁性体に変化する磁性体原料を含浸させた後、加熱処理により磁性体原料を酸化等することにより磁性体とすれば、中空微粒子の中空部に磁性体が内包された磁性体保持微粒子が得られる。
2)この方法によれば、酸化される前の磁性体原料が液体であるため、固体の磁性体を溶媒に溶解させた溶液を中空微粒子に含浸させる方法より、多量の磁性体を微粒子に保持させることができる。
3)この方法によれば、微粒子内部と外部とがポリマー壁によりほぼ遮断された状態の磁性体保持微粒子が得られるため、磁性体の漏洩が少なく、長期にわたり磁性体を保持できる磁性体保持微粒子を製造することができる。
【0010】
本発明は、これらの知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものであって、次の発明を提供するものである。
項1. シェル及び中空部からなる中空微粒子の中空部に磁性体が内包された磁性体保持微粒子であって、シェルが、少なくとも1種の架橋性モノマーの重合体もしくは共重合体、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体からなる層を含む磁性体保持微粒子。
項2. 磁性体が鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の材料である項1に記載の磁性体保持微粒子。
項3. 磁性体が鉄単体、四三酸化鉄(Fe3O4)、一酸化鉄(FeO)および三酸化二鉄(Fe2O3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である項2に記載の磁性体保持微粒子。
項4. 磁性体が四三酸化鉄(Fe3O4)である項3に記載の磁性体保持微粒子。
項5. 平均粒子径が0.1〜20μmである項1に記載の磁性体保持微粒子。
項6. 下記の式で表される、磁性体が存在する中空部分の容積比率Bが10〜60%である項1に記載の磁性体保持微粒子。
【0011】
B=(rh'/rp')3×100
(式中、rp'は磁性体保持微粒子の半径であり、rh'はその中空部分の半径である。)
項7. 1微粒子当たりの磁性体の保持量が、中空微粒子の1重量部に対して0.001〜1.5重量部である項1に記載の磁性体保持微粒子。
項8. 中空微粒子の外表面上にも磁性体が付着している項1に記載の磁性体保持微粒子。
項9. 中空微粒子に、室温で液体または有機溶剤に溶解する固体であって加熱処理により磁性体となる磁性体原料を接触させる工程と、加熱処理により磁性体原料を磁性体にする工程とを含む磁性体保持微粒子の製造方法。
項10. 磁性体原料の加熱処理工程の後に、水を用いることにより、または塩酸、硫酸、硝酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の液体と水とを順次用いることにより微粒子を洗浄する工程を含む項9に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
項11. 磁性体原料がペンタカルボニル鉄、テトラカルボニルニッケルおよびテトラカルボニルコバルトからなる群より選ばれた少なくとも1種のカルボニル錯体である項9に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
項12. 磁性体原料がペンタカルボニル鉄である項9に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
項13. 中空微粒子が、少なくとも1種の架橋性モノマーの重合体もしくは共重合体、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体を主成分として含むシェル及び中空部からなるものである項9に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
項14. A.分散安定剤(a)を用いて、下記の親水性有機溶媒(b)または親水性有機溶媒(b)と水との混合液中に、下記の架橋性モノマー成分(c)、下記の種重合体粒子(d)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)を分散させる工程、
B.前記分散液中の架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)の溶解度を低下させることにより、種重合体粒子(d)に、架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)を吸収させる工程、
C.種重合体粒子(d)中で架橋性モノマー成分(c)を選択的に重合させることにより中空微粒子を得る工程、及び
D.前記中空微粒子を乾燥させることにより、中空部に存在する水不溶性有機溶媒(e)を除去する工程
を含む方法により前記中空微粒子を得る項9に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
(b)架橋性モノマー成分(c)を溶解し、かつ架橋性モノマー成分(c)を重合することにより得られる重合体又は共重合体を溶解しない親水性有機溶媒
(c)少なくとも1種の架橋性モノマー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの混合物である架橋性モノマー成分
(d)架橋性モノマー成分(c)に溶解ないしこれを吸収して膨潤する種重合体粒子
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、まず、本発明の製造方法について説明し、次いで、本発明の磁性体保持微粒子について説明する。
【0013】
本発明の磁性体保持微粒子の製造方法
本発明の製造法は、前記のように、中空微粒子に、室温で液体または有機溶剤に溶解する固体であって、加熱処理により磁性体となる磁性体原料を接触させた後、加熱処理により磁性体原料を磁性体にする方法である。
【0014】
中空微粒子としては、どのような物でもよいが、少なくとも1種の架橋性モノマーの重合体もしくは共重合体、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体を主成分として含むシェル及び中空部からなる微粒子を用いることが好ましい。
【0015】
この中空微粒子は種々の方法により製造することができるが、例えば特開平8−20604号公報に記載の方法により製造できる。より具体的には、例えば以下の工程A〜Dを含む方法により製造できる。
【0016】
工程A.
先ず、架橋性モノマー成分(c)を親水性有機溶媒(b)または親水性有機溶媒(b)と水との混合液に溶解させることにより、架橋性モノマー成分(c)の溶液を調製する。
【0017】
次いで、この溶液に、分散安定剤(a)、種重合体粒子(b)、水不溶性有機溶媒(e)および油溶性開始剤(f)を添加する。
【0018】
混合時の温度は特に制限されないが、例えば0〜4℃程度で混合すればよい。
【0019】
分散安定剤(a)
本発明で使用する分散安定剤(a)は、後述する工程Bで得られる、架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)を吸収した種重合体粒子(d)同士が、後述する工程Bおよび工程Cにおいて合一しないようにする作用を有するものが広い範囲から使用できる。
【0020】
例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸)共重合体等の高分子分散安定剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。このなかでも、ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤が好ましい。
【0021】
これら分散安定剤(a)の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般には、架橋性モノマー成分(c)に対して、0.1〜20重量%程度、特に1〜5重量%程度とするのが好ましい。
【0022】
親水性有機溶媒(b)
親水性有機溶媒(b)は、架橋性モノマー成分(c)を溶解し、かつ架橋性モノマー成分(c)を重合又は共重合させることにより得られる重合体又は共重合体を溶解しない溶媒である。
【0023】
親水性有機溶媒(b)としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸メチル等のエステル類を用いることができる。
【0024】
これらの中から、使用する架橋性モノマー成分(c)に応じて、その架橋性モノマー成分(c)を溶解し、かつ、その架橋性モノマー成分(c)の重合体又は共重合体を溶解しないものを選択すればよい。
【0025】
一般に架橋性モノマー成分(c)の溶解性に優れ、かつ、水と任意の割合で配合できるという理由から、エタノール等の低級アルコールを使用することが好ましい。
【0026】
親水性有機溶媒(b)は、単独で用いることができるが、前述のように水と組み合わせて用いてもよい。水は、架橋性モノマー成分(c)の溶解性を阻害しない範囲で、可能なかぎり多く配合することが好ましい。水を配合する場合は、親水性有機溶媒(b)の1重量部に対して、1重量部以下程度、より好ましくは0.2〜0.7重量部程度配合する。
【0027】
架橋性モノマー成分(c)
架橋性モノマー成分(c)は、少なくとも1種の架橋性モノマー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの混合物であり、水不溶性である。
【0028】
架橋性モノマーとしては、重合性反応基、特に重合性2重結合を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーが例示でき、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用できる。
【0029】
また、架橋性モノマーは、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合性反応基を1個有する単官能性モノマーと併用してもよい。かかる単官能性モノマーとしては、例えば、モノビニル芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体、ジオレフィン等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用できる。
【0030】
上記モノビニル芳香族単量体としては、下記一般式(1)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられる。
【0031】
【化1】
Figure 0004936264
【0032】
[式中、R1は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子であり、R2は、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、−SO3Na基、低級アルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、メチル基又は塩素原子が好ましく、R2は、水素原子、塩素原子、メチル基又は−SO3Na基であるのが好ましい。
【0033】
上記一般式(1)で示されるモノビニル芳香族炭化水素の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等があげられる。
【0034】
更に、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルナフタレン等を例示できる。これらモノビニル芳香族単量体は、単独であるいは2種類以上併用することができる。
【0035】
また、上記アクリル系単量体としては、下記の一般式(2)で表されるアクリル系単量体が挙げられる。
【0036】
【化2】
Figure 0004936264
【0037】
[式中、R3は、水素原子又は低級アルキル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、低級アミノアルキル基又はジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)アルキル基を示す。]
一般式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、R4は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級ヒドロキシアルキル基、低級アミノアルキル基が好ましい。
【0038】
上記アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルエキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシブチル、アクリル酸δ−ヒドロキシブチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−アミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジエチルアミノプロピル等が挙げられる。
【0039】
上記ビニルエステル系単量体としては、下記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
【0040】
【化3】
Figure 0004936264
【0041】
[式中、R5は水素原子又は低級アルキル基を示す。]
上記ビニルエステル系単量体の具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0042】
上記ビニルエーテル系単量体としては、下記の一般式(4)で表されるビニルエーテル系単量体が挙げられる。
【0043】
【化4】
Figure 0004936264
【0044】
[R6は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はシクロヘキシル基を示す。]
上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0045】
上記モノオレフィン系単量体としては、下記の一般式(5)で表されるものが挙げられる。
【0046】
【化5】
Figure 0004936264
【0047】
[式中、R7及びR8は、水素原子又は低級アルキル基であり、それぞれ異なっていても同一でもよい。]
上記モノオレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。
【0048】
上記ハロゲン化オレフィン系単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンをあげることができる。
【0049】
さらに、ジオレフィン類である、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等も単官能性単量体に含めることができる。
【0050】
上記架橋性モノマーとその他の単官能性モノマーとの好適な組合わせとしては、単官能性モノマーとしてのスチレン単独、アクリル酸エステル単独、メタクリル酸エステル単独、スチレンとアクリル酸エステル、スチレンとメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステル、スチレンとアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルと、架橋性モノマーとしてのジビニルベンゼンとの組合わせが挙げられる。
【0051】
単官能性モノマーを併用する場合、架橋性モノマー、即ち、重合性官能基を2個以上有する多官能性単量体の含有割合は、架橋性モノマー成分(c)の全体量に対して、架橋性モノマーが10重量%程度以上、特に30重量%程度以上であるのが好ましい。
【0052】
架橋性モノマーの使用量又は架橋性モノマーと単官能性モノマーとの混合物の使用量は、得ようとする中空微粒子の粒子径、シェルの厚さ、内径等に応じて適宜選択できるが、一般には、種重合体粒子(d)の1重量部に対して1〜100重量部程度、特に10〜50重量部程度とするのが好ましい。
【0053】
種重合体粒子(d)
種重合体粒子(d)は、架橋性モノマー成分(c)に溶解ないしこれを吸収して膨潤する性質を有するものである。この種重合体粒子において、「ないし」とは、架橋性モノマー成分(c)に対して溶解性を示すか、あるいは溶解性まで達しなくても少なくとも架橋性モノマー成分(c)を吸収して膨潤する性質のものという意味である。
種重合体粒子(d)としては、種重合体粒子(d)と水との間の界面張力(γx)(mN/m)と架橋性モノマー成分(c)を重合又は共重合することにより得られるポリマーと水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たすポリマー粒子を広く使用できる。
種重合体粒子(d)としては、例えば、架橋性モノマー成分(c)の多官能性モノマーおよび単官能性モノマーとして例示したモノマーを、1種あるいは2種以上重合又は共重合して得られる重合体または共重合体からなる粒子を用いることができる。
種重合体は、架橋性モノマー成分(c)を重合又は共重合させることにより得られるポリマーと同一であっても異なっていてもよい。
種重合体と、架橋性モノマー成分(c)を重合又は共重合させることにより得られるポリマーとが異なる場合の組み合わせとしては、架橋性モノマー成分(c)がジビニルベンゼンであり種重合体がスチレンである組み合わせ、架橋性モノマー成分(c)がエチレングリコールジメタクリレートであり種重合体がメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸ブチルである組み合わせなどを挙げることができる。
【0054】
種重合体粒子(d)は、単分散の粒度分布を有するものを用いるのが好ましい。また、粒径は、通常0.1〜10μm程度、好ましくは1〜3μm程度のものを用いる。
【0055】
このような種重合体粒子(d)は、重合体粒子の一般的な製法である分散重合法、乳化重合法などにより作製することができる。この他、塊状の重合体を粉砕し、分級することによっても容易に得ることができる。特に、粒子径の大きい粒子を得ることができ、かつ単分散の粒度分布を得ることができる分散重合法が好ましい。
【0056】
中空微粒子は、種重合体粒子(d)の直径が増大して形成されるため、種重合体粒子(d)の直径をn倍に増大するためには、架橋性モノマー成分(c)および水不溶性有機溶媒(e)を、種重合体粒子(d)の使用量のn3倍程度必要とする。
【0057】
従って、種重合体粒子(d)の使用量は、架橋性モノマー成分(c)と水不溶性有機溶媒(e)との合計量100重量部に対し、1〜100重量部程度、より好ましくは2〜10重量部程度とする。
【0058】
水不溶性有機溶媒(e)
水不溶性有機溶媒(e)は、架橋性モノマー成分(c)を重合又は共重合させることにより得られる重合体又は共重合体を溶解ないしこれらを膨潤させるものである。なお、この水不溶性有機溶媒(e)において、「ないし」とは、架橋性モノマー成分(c)から得られる重合体又は共重合を溶解するか、あるいは溶解まで達しなくても、少なくともこの重合体又は共重合を膨潤させる性質のものという意味である。
【0059】
水不溶性有機溶媒(e)としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒をあげることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が好ましい。
【0060】
水不溶性有機溶媒(e)の使用量は、種重合体粒子(d)の1重量部に対して1〜50重量部程度、より好ましくは5〜20重量部程度とする。
【0061】
油溶性開始剤(f)
油溶性開始剤(f)は、後述するように、種重合体粒子(d)内部に吸収された架橋性モノマー成分(c)の重合又は共重合を開始させるものであり、油溶性の重合開始剤を広く使用できる。
【0062】
例えば、ラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物等の架橋性モノマー成分(c)に可溶なものが挙げられる。
【0063】
また、紫外線等の光により重合開始する光重合開始剤を用いてもよい。このような光重合開始剤としては、油溶性であれば、特に制限されるものではなく、従来から使用されているものが挙げられる。
【0064】
油溶性開始剤(f)の使用量は、架橋性モノマー成分(c)の1重量部に対して、0.001〜0.1重量部程度、特に0.005〜0.05重量部程度とするのが好ましい。
【0065】
水溶性重合禁止剤
後述する工程Bにおいて、親水性有機溶媒(b)または親水性有機溶媒(b)と水との混合液に対する架橋性モノマー成分(c)の溶解度を低下させることにより、架橋性モノマー成分(c)が種重合体粒子(d)中に強制的に吸収され、分散媒である親水性有機溶媒(b)または親水性有機溶媒(b)と水との混合液中にはほとんど存在しなくなる。しかし、微量の架橋性モノマー成分(c)が分散媒中に残存しており、これが重合又は共重合すると微小重合体粒子が生じることとなる。この結果、得られる中空重合体粒子の粒径分布が不均一になるおそれがある。
【0066】
したがって、本発明方法では水溶性重合禁止剤を用いることが望ましく、これにより、分散媒中での架橋性モノマー成分(c)の重合又は共重合が防止され、得られる中空重合体粒子の粒度分布が、より均一なものとなる。なお、この重合禁止剤は水溶性であるため、種重合体粒子(d)中に吸収されるおそれはなく、種重合体粒子(d)中での重合反応を阻害するおそれはない。
【0067】
水溶性重合禁止剤は、水溶性でしかも架橋性モノマー成分(c)に不溶性のものであれば、特に制限されない。このような水溶性重合禁止剤としては、例えば、無機重合禁止剤および有機重合禁止剤があげられる。
【0068】
無機重合禁止剤としては、亜硝酸,チオシアン酸,イソチオシアン酸等のアルカリ金属塩,アルカリ土類金属塩,アンモニウム塩,ホスフィン酸等のアルカリ金属塩,アルカリ土類金属塩等の無機酸の塩類や、ナトリウム,カリウム等の臭化物、ナトリウム,カリウム,カルシウム,アンモニウム等のヨウ化物等のハロゲン化物、あるいは遷移金属イオンなどを挙げることができる。
【0069】
また、有機重合禁止剤としては、水溶性のハイドロキノン類,カテコール類,アミン類やニトロ化合物などを挙げることができる。
【0070】
工程B.
次に、上記の分散液中の架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)および油溶性開始剤(f)の溶解度を低下させることにより、種重合体粒子(d)に架橋性モノマー成分(c)および油溶性開始剤(f)を吸収させる。
【0071】
溶解度を低下させる手段としては、例えば、分散系に水を加える方法、分散系全体の温度を低下させる方法などを用いることができる。また、親水性有機溶媒(b)に水を混合して使用する場合には、上記親水性有機溶媒(f)を蒸発させて相対的に水の濃度を高めてもよい。好ましくは、分散系に水を加える方法、水を加えつつ分散系の温度を低下させる2段階の方法を採用する。
【0072】
水を添加する場合には、マイクロフィーダなどを用いることにより除々に添加する。あまりに急速に水を添加すると、一部の架橋性モノマー成分(c)が種重合体粒子(d)中に吸収されずにモノマー液滴が生じる。従って、このようなモノマー液滴が生じない程度の速度で水を添加する。
【0073】
水は、最終的に分散液中の親水性有機溶媒(b)の量が15重量%程度以下になるまで添加する。
【0074】
また、温度を低下させる場合には、−40〜0℃、より好ましくは−10〜0℃程度にまで低下させることが好ましい。
【0075】
このように、架橋性モノマー成分(c)等の溶解度を低下させることにより、架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)および油溶性開始剤(f)が、種重合体粒子(d)中に強制的に吸収される。この結果、種重合体粒子(d)が膨潤する。
【0076】
このとき、水不溶性有機溶媒(e)は種重合体粒子(d)を溶解するため、種重合体粒子(d)中に、この種重合体粒子(d)の溶解成分と、架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)および油溶性開始剤(f)が混在するようになる。
【0077】
架橋性モノマー成分(c)は、全添加量の50重量%以上、より好ましくは90重量%以上のできるだけ多くを種重合体粒子(d)中に吸収させることが好ましい。
【0078】
吸収率の調整は、架橋性モノマー成分(c)の溶解度低下の程度を変化させることにより行うことができる。例えば水の添加量や温度を調節することにより行うことができる。
【0079】
工程C.
次に、種重合体粒子(d)中に吸収された架橋性モノマー成分(c)を、種重合体粒子(d)中でシード(種)重合させる。
【0080】
シード重合は、一般に30〜90℃程度、好ましくは、30〜70℃程度の範囲で行われる。この重合反応は、油溶性開始剤(f)の作用により起こる。
【0081】
また、重合時間は、吸収された架橋性モノマー成分(c)の種類等により異なるが、一般に、3〜24時間程度が適当である。
【0082】
また、シード重合は、50〜200rpm程度の回転速度で撹拌しながら、または同程度の回数で震盪しながら行うことが望ましい。また、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0083】
架橋性モノマー成分(c)が重合又は共重合することにより、中空微粒子の外周(シェル部)に架橋性モノマー成分(c)からなる重合皮膜が形成され、微粒子の中空部(コア部)に水不溶性有機溶媒(e)が含まれたものが得られる。この結果、得られる中空微粒子は、単一の中空部を有するカプセル形状となる。
【0084】
また、シード重合反応の際に、水溶性重合禁止剤を用いる場合には、分散媒部に残存する架橋性モノマー成分(c)の重合又は共重合反応が抑制される。この結果、粒度分布の不均一の一因となる微小な微粒子の生成を防止することができるようになる。
【0085】
いずれにしても、得られる中空微粒子の平均粒子径が、0.1〜20程度、特に0.5〜10程度となるように膨潤およびシード重合を行うのが好ましい。
【0086】
中空微粒子の平均粒子径は、架橋性モノマー成分(c)および水不溶性有機溶媒(e)の合計重量と種重合体粒子(d)の重量との比を適宜設定することにより、調節することができる。
【0087】
工程D.
次いで、得られた中空微粒子を乾燥させることにより、内部の水不溶性有機溶媒(e)を蒸発により除去する。
【0088】
乾燥は、20〜100℃で、10〜105Pa程度の圧力の下で行うことができる。また、自然蒸発、減圧処理などによって行うこともできる。
【0089】
乾燥により、中空部の水不溶性有機溶媒(c)が蒸発するため、種重合体粒子(d)が、架橋性モノマー成分(c)の重合体又は共重合体からなるシェルの内側に付着して、第2のシェルを形成する。その結果、2層構造のシェルを有する中空微粒子が得られる。
【0090】
以上の工程A〜Dの結果、中空微粒子が得られる。
【0091】
この中空微粒子の平均粒子径(外径)は0.1〜20μm程度、特に0.5〜10μm程度の範囲にあるのが好ましい。
【0092】
また、この中空微粒子のシェルの厚さは0.02〜2μm程度、特に0.1〜1μm程度の範囲にあるのが好ましい。
【0093】
また、この中空微粒子の空隙率は、10〜60%程度、特に10〜50%程度であるのが好ましい。
【0094】
ここで、本明細書において、「空隙率」Aは、下記の式に従い算出されるものである。
【0095】
A(%)=(rh/rp)3×100
(式中、rpは中空微粒子の半径(シェルの外径の1/2)であり、rhは中空部分の半径(シェルの内径の1/2)である。)
中空微粒子の粒子径、シェル厚さおよび各層厚さは、電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡により測定したものである。
【0096】
磁性体原料の含浸
乾燥した中空微粒子に磁性体原料(g)を含浸させる。
磁性体原料(g)は、室温で液体であって、加熱処理などにより磁性体に変化するものであればよく、広い範囲から選ぶことができる。また、磁性体原料(g)は、加熱処理などにより得られる磁性体が、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性体を含む化合物となるようなものを用いることが好ましい。特に、鉄を含む化合物となる磁性体原料が好ましい。
【0097】
室温で液体であって、加熱処理などにより磁性体に変化する磁性体原料として、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)5)、テトラカルボニルニッケル(Ni(CO)4)などのカルボニル錯体などを例示できる。これらは適当な有機溶剤に希釈して用いてもよい
ペンタカルボニル鉄の加熱処理などにより得られる鉄単体(Fe)、ペンタカルボニル鉄の加熱処理などにより酸化されて生ずる四三酸化鉄(Fe3O4:マグネタイト)、一酸化鉄(FeO)および三酸化二鉄(Fe2O3)などは本発明の磁性体として用いることができる。特に、四三酸化鉄が好ましい。
【0098】
また、テトラカルボニルニッケルの加熱処理などにより生ずるニッケル単体(Ni)、酸化ニッケル(NiO)などは本発明の磁性体として用いることができる。室温で液体の磁性体原料に代えて、室温で固体であるが、トルエンのような有機溶剤に対する溶解度が高い磁性体原料を有機溶剤に溶解させた溶液を、中空微粒子に含浸させることもできる。このような磁性体原料としてテトラカルボニルコバルト(Co2(CO)8)などを例示できる。
【0099】
含浸は、磁性体原料に中空微粒子を浸漬することにより、中空微粒子に磁性体原料を接触させることにより行う。含浸時の温度は0〜40℃程度、より好ましくは10〜30℃程度とする。
中空微粒子に磁性体原料を含浸させることにより、微粒子の中空部に含まれるガスがこの磁性体原料で置換され、その結果、微粒子は重くなる。従って、微粒子の沈降を目安に含浸時間を適宜調節すればよい。含浸時間は数分間〜数時間程度、より好ましくは10分間〜24時間程度とする。
【0100】
加熱処理
次いで、磁性体原料を含浸させた微粒子を180〜250℃程度、より好ましくは200〜220℃程度で、3〜10時間程度、より好ましくは4〜5時間程度、加熱処理する。この加熱処理により、微粒子の中空部で磁性体原料が酸化される等して磁性体が生成する。
また、磁性体原料を有機溶剤に溶解させた溶液を微粒子に含浸させた場合には、微粒子の中空部で磁性体原料が酸化等されて磁性体が生成するとともに、有機溶剤が蒸発することにより除去される。このようにして、磁性体が中空部に内包された微粒子が得られる。
【0101】
乾燥
得られた微粒子は、通常、外表面にも磁性体が付着しているため、必要に応じて、1〜12N程度の酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸などを用いて洗浄した後、水で洗浄して外表面への付着物を除去すればよい。あるいは、得られた微粒子を水のみで洗浄してもよい。
【0102】
このようにして得られた微粒子は、分散液のままで使用してもよく、また濾過し必要に応じて水洗した後、粉体の形態で、各種用途に供することができる。
【0103】
分散液を乾燥して粉体の形態の磁性体保持微粒子を得る場合には、温度0〜90℃程度、圧力10〜105Pa程度の条件下で乾燥することができる。また、自然蒸発、減圧処理、シリカゲルなどの乾燥剤の使用によっても乾燥することができる。
【0104】
本発明の磁性体保持微粒子
本発明の磁性体保持微粒子は、シェル及び中空部からなる中空微粒子の中空部に磁性体が内包された磁性体内包微粒子であって、シェルが、架橋性モノマー成分(c)の重合体または共重合体(少なくとも1種の架橋性モノマーの重合体もしくは共重合体、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体である。)からなる層を有する。
【0105】
また、本発明の磁性体保持微粒子は、シェルが前記架橋性モノマー成分(C)の重合体または共重合体からなる層と、その内側に形成された種重合体粒子(d)からなる層との2層構造を有するものであってもよい。前述した特開平8−20604号公報に記載の方法により中空微粒子を製造する場合には、このような2層構造のシェルを有する磁性体保持微粒子が得られる。
【0106】
シェルの架橋性モノマーの重合体または共重合体からなる層を構成するポリマーは、上記の少なくとも1種の架橋性モノマー10〜100重量%、特に30〜100重量%及び上記の少なくとも1種の単官能性モノマー0〜90重量%、特に0〜70重量%からなる重合体又は共重合体であるのが好ましい。
【0107】
また、典型的には、この磁性体保持微粒子の平均粒子径(外径)は0.1〜20μm程度、特に0.5〜10μm程度の範囲にある。
【0108】
また、典型的には、この磁性体保持微粒子のシェルの厚さは0.02〜2μm程度、特に0.2〜1μm程度の範囲にある。
【0109】
また、磁性体が存在する中空部分の容積比率は10〜60%程度、特に10〜50%程度である。
【0110】
ここで、本明細書において、「磁性体が存在する中空部分の容積比率」Bは、下記の式に従い算出されるものである。
【0111】
B(%)=(rh’/rp’)3×100
(式中、rp’は磁性体保持微粒子の半径(シェルの外径の1/2)であり、rh’はその中空部分の半径(シェルの内径の1/2)である。)
この場合の微粒子の粒子径、シェル厚さ、内径は、電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡により測定した場合の粒子径である。
【0112】
また、磁性体は、通常、微粒子シェルの内壁に付着しているが、中空部に不均一に含まれていてもよい。
【0113】
また、一微粒子当たりの磁性体の保持量は、中空微粒子の1重量部に対して0.001〜1.5重量部程度、より好ましくは0.01〜1.5重量部程度、さらにより好ましくは1〜1.5重量部程度である。
【0114】
また、磁性体は、シェルの外側にも付着していてもよい。
【0115】
【発明の効果】
また、本発明の磁性体保持微粒子は、単一の中空部を有し、中空部の容積比率の高い中空微粒子に磁性体が内包されているため、1微粒子当たりの磁性体の保持量が多い。
【0116】
また、本発明の磁性体保持微粒子は、微粒子内部と外部とがポリマー壁によりほぼ遮断されているため、磁性体の漏洩が少なく、長期にわたり磁性体を保持できる。
【0117】
また、本発明方法によると、常温で液体の磁性体原料を中空微粒子に含浸させるため、固体の磁性体を溶媒に溶かして中空微粒子に含浸させる場合より、一微粒子当たりの磁性体の保持量が多くなる。
また、本発明方法によると、単分散の微粒子が得られることから、1微粒子あたりの磁性体の保持量が均一な磁性体保持微粒子が得られる。
【0118】
本発明の磁性体保持微粒子は、例えばタンパク質の担体としての用途に用いることができ、これにより、このタンパク質の回収を容易にすることができる。
【0119】
また、本発明の磁性体保持微粒子は、例えば磁気により情報を書き換えることができる表示装置における表示層材料として用いることもできる。
【0120】
【実施例】
つぎに、実施例及び比較例を掲げて本発明をより詳しく説明する。これら実施例は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではなく、種々の変更が可能である。
【0121】
参考例1
(A) 架橋性モノマー成分(c)としてのジビニルベンゼン(純度96%(エチルビニルベンゼン4%を含む))1.5gを、親水性有機溶媒(b)としてのエタノール70.0gおよび水30.0gの混合液中に溶解させた。
【0122】
次いで、分散安定剤(a)としてのポリビニルアルコール0.15g、種重合体粒子(d)としての単分散のポリスチレン粒子(平均粒子径:1.74μm、変動係数:3.4%)0.3g、水不溶性有機溶媒(e)としてのキシレン4.5gおよび油溶性開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド0.03gを前記のジビニルベンゼン溶液に添加し、撹拌することにより、エタノールおよび水の混合液に、ジビニルベンゼン、キシレンおよびベンゾイルパーオキサイドの均一溶液を添加したものの中に、ポリスチレン粒子が分散した分散液を得た。
(B) 次いで、この分散液に水を18ml/時間の速度で、合計400ml添加した。この間の分散液の温度は室温とした。この操作によりジビニルベンゼンの約100重量%がポリスチレン中に吸収された。
(C) 次いで、分散液を、70℃で24時間、窒素ガス雰囲気下で、60rpmの回転速度で撹拌することにより、ポリスチレン中でジビニルベンゼンを重合させることにより、中空微粒子を得た。
(D) 次いで、中空微粒子を減圧下で乾燥させて、内部に含まれていたキシレンを蒸発させた。
【0123】
得られた中空微粒子の収率は、重量換算で約10%であった。また、平均粒子径は、4.8μm、シェル厚さは0.3μm、空隙率は72%であった。
【0124】
実施例1
上記の参考例で得られた中空微粒子0.25gをペンタカルボニル鉄6mlに、室温下で、20時間浸漬した。
【0125】
次いで、200℃で4時間加熱処理した。
【0126】
さらに、この微粒子を、12Nの濃塩酸10mlおよび水10mlを用いて順次洗浄することにより、磁性体保持微粒子を得た。
【0127】
得られた磁性体保持微粒子は、単分散のものであった。磁性体の保持率は、磁性体保持微粒子の全重量に対して49重量%であった。
【0128】
試験例1
磁性体におけるペンタカルボニル鉄を含浸させる前の参考例1の中空微粒子および実施例1により得られた微粒子の双方について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。TEM写真を図1に示す。
【0129】
図1の(a)は、ペンタカルボニル鉄を含浸させる前の中空微粒子であり、(b)は、実施例1により得られた微粒子である。(c)および(d)は、微粒子の超薄層断面のTEM写真であって、それぞれペンタカルボニル鉄を含浸させる前の中空微粒子、および実施例1により得られた微粒子である。図1から、微粒子シェルの内側および外側に磁性体が付着していることが分かる。
【0130】
試験例2
実施例1で得られた微粒子および四三酸化鉄の双方について、X線回折分析を行った。
【0131】
図2の左欄に示すのは、実施例1で得られた微粒子についてのX線回折パターンである。また、図2の右上欄に示すのは、実施例1で得られた微粒子についてのX線回折パターンにおける各ピーク強度を数値化したものである。また、図2の右下欄に示すのは、四三酸化鉄についてのX線回折パターンにおける各ピーク強度を数値化したものである。両者のX線回折パターンの各ピークの位置および強度は略一致している。このことから、実施例1で得られた微粒子には四三酸化鉄が保持されていることが分かる。
【0132】
試験例3
実施例1により得られた磁性体保持微粒子を加熱した場合の重量の変化を測定した。結果を図3にグラフで示す。図3のグラフ中、実線は微粒子の重量減少率を示し、点線は加熱温度を示す。
【0133】
図3の結果、温度約750℃で微粒子の重量は50%程度にまで減少しており、微粒子には四三酸化鉄が最低約50%程度は保持されていたことが分かる。なお、このような高温では、微粒子シェルを構成するポリマーは殆ど残っていないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)および(c)は、参考例1により得られた中空微粒子の粒子構造を示す図面代用写真(TEM写真)であり、(b)および(d)は、実施例1により得られた微粒子の粒子構造を示す図面代用写真(TEM写真)である。
【図2】実施例1により得られた微粒子のX線回折パターンである。
【図3】実施例1により得られた微粒子を加熱した場合の重量減少率を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 中空微粒子に、室温で液体または有機溶剤に溶解する固体であって加熱処理により磁性体となる磁性体原料を接触させる工程と、加熱処理により磁性体原料を磁性体にする工程とを含むことを特徴とする磁性体保持微粒子の製造方法。
  2. 磁性体原料の加熱処理工程の後に、水を用いることにより、または塩酸、硫酸、硝酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の液体と水とを順次用いることにより微粒子を洗浄する工程を含む請求項に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
  3. 磁性体原料がペンタカルボニル鉄、テトラカルボニルニッケルおよびテトラカルボニルコバルトからなる群より選ばれた少なくとも1種のカルボニル錯体である請求項に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
  4. 磁性体原料がペンタカルボニル鉄である請求項に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
  5. 中空微粒子が、少なくとも1種の架橋性モノマーの重合体もしくは共重合体、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体を主成分として含むシェル及び中空部からなるものである請求項に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
  6. A.分散安定剤(a)を用いて、下記の親水性有機溶媒(b)または親水性有機溶媒(b)と水との混合液中に、下記の架橋性モノマー成分(c)、下記の種重合体粒子(d)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)を分散させる工程、
    B.前記分散液中の架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)の溶解度を低下させることにより、種重合体粒子(d)に、架橋性モノマー成分(c)、水不溶性有機溶媒(e)及び油溶性開始剤(f)を吸収させる工程、
    C.種重合体粒子(d)中で架橋性モノマー成分(c)を選択的に重合させることにより中空微粒子を得る工程、及び
    D.前記中空微粒子を乾燥させることにより、中空部に存在する水不溶性有機溶媒(e)を除去する工程
    を含む方法により前記中空微粒子を得る請求項に記載の磁性体保持微粒子の製造方法。
    (b)架橋性モノマー成分(c)を溶解し、かつ架橋性モノマー成分(c)を重合することにより得られる重合体又は共重合体を溶解しない親水性有機溶媒
    (c)少なくとも1種の架橋性モノマー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの混合物である架橋性モノマー成分
    (d)架橋性モノマー成分(c)に溶解ないしこれを吸収して膨潤する種重合体粒子
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