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JP4922971B2 - 熱間圧延用複合ロール及びその製造方法 - Google Patents

熱間圧延用複合ロール及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼材の圧延において、特に、棒鋼、線材、あるいは形鋼の熱間圧延において、圧延機群のなかで、特に圧延速度が遅い上流側の粗圧延機の使用に適した熱間圧延用複合ロール及びその製造方法に関する。
従来、圧延用のロールとしては、主としてダクタイル鋳鉄製のロールが使用されてきた。しかし、近年、鋼材の圧延においては、寸法精度と形状精度が高い製品への要求が高まり、一方では、生産性の向上が望まれており、製品品質やその生産効率に直接影響する圧延用ロールに、摩耗並びに消耗が少ないことが強く要求されてきた。
そこで、例えば、特許文献1に開示されたいわゆるハイス系ロールが開発された。このハイス系ロールは、摩耗が極めて少ないことから、鋼板の圧延や、棒鋼、線材、あるいは形鋼の熱間圧延において、仕上げ及び中間圧延機群に広く適用されている。
例えば、鋼系材料からなる芯材の周囲に、質量%で、C:1.5〜2.4%、V:3.0〜6.0%、及びCr、Mo、及びWの少なくとも1種の元素を含有し、必要により接種材として、Al:0.05〜0.20%、及びTi:0.02〜0.10%のいずれか1種又は2種の元素を添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる溶湯を溶着させて外層材を形成する連続鋳掛け鋳造法を用いて複合ロールとし、外層材の組織が30〜150μmの結晶粒径を有すると共に、その粒界に、共晶炭化物で囲まれた金属組織、あるいは上記結晶の基地組織内に、更に初晶炭化物が分散晶出した金属組織からなり、ショアー硬さを75〜90の範囲にして使用している。
また、特許文献2には、遠心鋳造法にて、前記した溶湯を外層材として溶着させた複合ロールが開示されている。
国際公開第91−19824号パンフレット 特開2001−247928号公報
しかしながら、前記したハイス系ロールの使用は、圧延速度の大きな仕上げ及び中間圧延機群での使用に限定されていた。なぜなら、このハイス系ロールを、圧延速度が小さな粗圧延機群に使用する場合、ロールが高温となった鋼材と比較的長い時間接触することにより、熱伝導によってロールの内部まで温度が上昇し、また水冷による冷却がロールの回転ごとに繰り返されることにより、ロールの表面から深いき裂が生じるからである。このため、このき裂が起点となって、ロールの表面が損傷し、ひいては表面の一部が剥離するため、全く使用に耐えるものではなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、熱間粗圧延において、特に熱疲労き裂に対して、損傷が小さく、かつこの種のロールが有する耐摩耗性を適度に有して消耗が少ない熱間圧延用複合ロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールは、金属製の中空式冷却型の上部内側面に冷却緩衝材を有する組合せモールドの内部に、鋼を素材とする中実又は中空の芯材を同心垂直に挿入し、該芯材の外周の環状空隙部に溶湯を注入して該芯材を連続的に降下させ、該芯材の外表面に前記溶湯を溶着させながら冷却により凝固させ、該芯材の外周に肉盛層を形成した後、熱処理と機械加工を行って製造される熱間圧延用複合ロールであって、
前記溶湯は、C:1.0質量%以上2.0質量%以下、Si:0.2質量%以上2.0質量%以下、Mn:0.2質量%以上2.0質量%以下、V:4.0質量%以上8.0質量%以下、Cr:2.0質量%以上5.0質量%以下、Mo及びWのいずれか1種又は2種を2.0質量%以上8.0質量%以下、及びTi:0.05質量%以上0.30質量%以下含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなり、
かつ、前記肉盛層に晶出したMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物の占有率を3.0面積%以下、及び前記金属炭化物のサイズと前記肉盛層の二次デンドライト組織の結晶粒サイズを、それぞれ50μm以下に微細化した。
第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールにおいて、前記溶湯は、更に、Ni:1.0質量%以上5.0質量%以下、Co:1.0質量%以上5.0質量%以下、及びNb:0.02質量%以上0.20質量%以下のいずれか1種又は2種以上を含有することが好ましい。
第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールにおいて、前記熱処理により、前記肉盛層の硬さを、ショアー硬さ:45以上75以下、かつ破壊靱性値KIC又は疲労破壊靱性値KICf:30MPa・m0.5以上とすることが好ましい。
第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールにおいて、大気雰囲気のもと900℃で24時間保持した場合、酸化による前記肉盛層の重量増加量が、1時間あたり16g/m以下の耐高温酸化特性を有することが好ましい。
第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールにおいて、大気雰囲気のもと800℃で15分間の熱間摩耗試験を行った場合、前記肉盛層の熱間摩耗量が8mg以下である耐熱間摩耗特性を有することが好ましい。
第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールにおいて、800℃の温度からの急冷に対し、前記肉盛層の表層部にき裂が発生しない耐熱衝撃特性を有することが好ましい。
第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールを、棒鋼、線材、又は形鋼からなる鋼材の熱間圧延における粗圧延に適用した場合、該熱間圧延による純摩耗損耗量が、前記鋼材の圧延量10000トンにつき0.6mm以下であることが好ましい。
前記目的に沿う第2の発明に係る熱間圧延用複合ロールの製造方法は、第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールを製造する方法であって、前記組合せモールドとして、前記冷却緩衝材が黒鉛の銅製水冷モールドを使用し、前記芯材を10mm/分以上150mm/分以下の範囲の速度で引抜く。
前記目的に沿う第3の発明に係る熱間圧延用複合ロールの製造方法は、第1の発明に係る熱間圧延用複合ロールを製造する方法であって、前記熱処理として、焼入れ又は焼ならし後に、550℃以上710℃以下の温度範囲内で焼戻しを行う。
請求項1〜7記載の熱間圧延用複合ロール、及び請求項8、9記載の熱間圧延用複合ロールの製造方法は、C量とV量の調整を行い、更にTiを所定量添加することにより、熱衝撃による熱き裂の伝播が優先的に発生するMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物を、粒状でかつ微細に分布できる。また、Cr量と、Mo及びWのいずれか1種又は2種の量を調整することにより、肉盛層に晶出するこの金属炭化物の量を調整できる。
これにより、肉盛層に晶出したMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物の占有率を3.0面積%以下にできると共に、肉盛層におけるこの金属炭化物のサイズと二次デンドライト組織の結晶粒サイズを、それぞれ50μm以下に微細化できるので、熱間粗圧延機でのロール損耗が著しく減少する。その結果、大量の鋼材の連続圧延が可能となり、経済的でしかも圧延製品の生産性の向上が図れ、更に圧延製品の品質向上がなされるため、工業的に大きな価値を有する。
特に、請求項2記載の熱間圧延用複合ロールは、溶湯が、更に、Ni、Co、及びNbのいずれか1種又は2種以上を含有するので、肉盛層の合金化を促進でき、熱間圧延用複合ロールの製品品質を向上できる。
請求項3記載の熱間圧延用複合ロールは、肉盛層の硬さを、ショアー硬さ:45以上75以下、かつ破壊靱性値KIC又は疲労破壊靱性値KICf:30MPa・m0.5以上にするので、熱間圧延用複合ロールとして必要な硬さを備える範囲で、従来よりも軟らかくでき、熱間圧延用複合ロールの寿命を伸ばすことができる。
また、所定の疲労破壊靱性値KICfを有するので、圧延の操業トラブルに遭遇した際のき裂発生や進展によるロール損耗を抑制できる。
請求項4記載の熱間圧延用複合ロールは、所定の耐高温酸化特性を有するので、熱間圧延用複合ロールの高温での使用に際し、熱間摩耗特性、肌荒れ性、及び焼付き性現象を改善できるため、製品の表面品質も良好にできる。
請求項5記載の熱間圧延用複合ロールは、所定の耐熱間摩耗特性を有するので、熱間圧延用複合ロールの長寿命化が図れ、ランニングコストの低減が図れて経済的である。
請求項6記載の熱間圧延用複合ロールは、所定の耐熱衝撃特性を有するので、熱間圧延用複合ロールと圧延する鋼材との摩擦発熱、及び鋼材の加工発熱が加わる際に、熱間圧延用複合ロールに大きな熱負荷がかかり、その後、熱間圧延用複合ロール表面が急冷された場合にも、き裂の発生を防止できる。
請求項7記載の熱間圧延用複合ロールは、棒鋼、線材、又は形鋼からなる鋼材の熱間圧延における粗圧延に適用した場合、熱間圧延による純摩耗損耗量が、鋼材の圧延量10000トンにつき0.6mm以下であるので、従来よりも熱間圧延用複合ロールの寿命を伸ばすことができ、ランニングコストの低減が図れて経済的である。
請求項8記載の熱間圧延用複合ロールの製造方法は、組合せモールドとして、冷却緩衝材が黒鉛の銅製水冷モールドを使用するので、溶湯が急激に冷却されることを防止でき、その結果、芯材を10mm/分以上150mm/分以下の速度で引抜いても、割れが発生しない肉盛層を芯材の外表面に形成できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る熱間圧延用複合ロールの製造方法の説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る熱間圧延用複合ロール(以下、単にロールともいう)は、金属製の中空式冷却型10の上部内側面に冷却緩衝材11を有する組合せモールド12の内部に、鋼を素材とする中実又は中空の芯材13を同心垂直に挿入し、芯材13の外周の環状空隙部に溶湯14を注入して芯材13を連続的に降下させ、芯材13の外表面に溶湯14を溶着させながら冷却により凝固させて(連続鋳掛け鋳造法)、芯材13の外周に肉盛層15を形成した後、熱処理と機械加工を行って製造されるものである。以下、詳しく説明する。
熱間圧延用複合ロールを構成する肉盛層15は、耐摩耗性を確保し、かつ耐熱き裂性を向上するため、硬い粒状の炭化物であるMC金属炭化物(Mは金属、Cは炭素を意味し、MCからなる金属炭化物である。以下、MC型炭化物、又はMC炭化物もいう)を主体に使用するものである。
このMC炭化物の晶出量は、面積率(占有率)で5%以上(5面積%以上)確保することが必要である。
一方、MC炭化物と同時に晶出するM炭化物、MC炭化物、MC炭化物、及びMC炭化物は、少量では、本発明の効果を損なうものではなく、耐摩耗性の確保に有効なものであるが、耐熱き裂伝播特性においては望ましくないので、合計で5面積%以下にすることが必要である。
特に、肉盛層に晶出したMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物(特に、MC金属炭化物)の占有率は、3.0面積%(好ましくは、2.0面積%)以下とする。ここで、占有率が3.0面積%を超える場合、この金属炭化物量が多くなり過ぎ、これに沿ってき裂が伝播する。一方、この金属炭化物は、その量が少なければ好ましいため、下限値については規定していないが、実際には、少なくとも0.1面積%程度存在する。
これらの事項に基づき、熱間圧延用複合ロールの肉盛層15を形成する溶湯の化学成分、及びその量を限定した理由について、以下説明する。
C(炭素):1.0質量%以上2.0質量%以下
Cは、ロールの性能に直接影響する硬さを得るために最も重要な元素である。
しかし、含有量が1.0質量%より少ない場合、耐摩耗性及び耐肌荒れ性を向上するために有効な硬い炭化物の晶出量が少なくなり、更に基地に固溶するCが不足する。このため、焼入れによっても十分な基地硬さを得られなくなると同時に、合金添加の効果を十分発揮できず、耐摩耗性が著しく劣化する。一方、含有量が2.0質量%を超える場合、本来は脆い炭化物の晶出量が増加し、特に、粗大な炭化物が凝集して結晶粒界に晶出し、前述の通り、圧延中にこれが表層から剥離し、圧延製品を損傷し、使用に耐えない。
以上のことから、Cの含有量を1.0質量%以上2.0質量%以下としたが、より効果を高めるため、上限を1.8質量%、下限を1.5質量%とすることが好ましい。
Si(ケイ素):0.2質量%以上2.0質量%以下、Mn(マンガン):0.2質量%以上2.0質量%以下
SiとMnは、本発明を特徴づけるものではないが、共に脱酸効果と溶湯の流動性を高めることを目的として、一般の高速度鋼に含まれる量、即ち各々0.2質量%以上2.0質量%以下含有させている。なお、SiとMnの各含有量が0.2質量%未満の場合、その効果が不十分であり、一方2.0質量%を超える場合、靱性が低下する。
以上のことから、SiとMnの含有量を、各々0.2質量%以上2.0質量%以下としたが、それぞれ上限を1.5質量%、下限を0.3質量%とすることが好ましい。
V(バナジウム):4.0質量%以上8.0質量%以下
Vは、優先的にCと結合し、前記した既存のロールに認められるセメンタイト(FeC)やクロム炭化物(Cr)に比べ、極めて硬い粒状のMC型炭化物であるVC炭化物を晶出させ、耐摩耗性を向上させるため、極めて有効な元素である。
また、本実施の形態においては、MC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物のサイズを50μm以下、更には30μm以下まで微細にすることが望ましく、微小で粒状に晶出させ、かつ極めて硬いVC炭化物を積極的に利用することが不可欠である。このVC炭化物は、溶湯より優先的に初晶として晶出し、凝固組織を決定する理由からも、Vは重要な元素であり、その含有量はC量との関係で選択される。
ここで、前記したCの含有量が1.0質量%以上2.0質量%以下の範囲では、Vの含有量が4.0質量%未満の場合、VC炭化物が晶出せず、耐摩耗性を向上させ得ない。一方、含有量が8.0質量%を超える場合、前記した通り、初晶の炭化物が多量に晶出し、材料靱性を損なうと共に、炭化物が粒界に偏析して、これが圧延使用中に欠け落ち、耐肌荒れ性を損なう。
以上のことから、Vの含有量を4.0質量%以上8.0質量%以下としたが、より効果を高めるため、上限を7.0質量%、下限を5.0質量%とすることが好ましい。
Cr(クロム):2.0質量%以上5.0質量%以下
Crは、一部が基地組織にも固溶して焼入れにより硬さを向上させ、更に焼戻しにおいて二次析出効果を促進し、Crも一部が基地組織に固溶し、高温での強度及び硬さを向上する。
このため、熱間圧延に供した場合、耐摩耗性を向上させる作用を有しており、その効果を現わすために、Crの含有量を2.0質量%以上5.0質量%以下としたが、より効果を高めるため、上限を4.0質量%、下限を3.0質量%とすることが好ましい。
Mo(モリブデン)及びW(タングステン)のいずれか1種又は2種(以下、共晶炭化物形成材ともいう)を2.0質量%以上8.0質量%以下
MoとWは、主として硬いMC型の共晶炭化物(即ち、MC金属炭化物)を形成し、耐摩耗性を向上させるもので、前記した特許文献1においては、積極的に用いられていた。この炭化物は、棒状となって結晶粒界に晶出する。この点では、前記Vで説明した凝集して晶出するセメンタイトやクロム炭化物ほど著しく有害ではないが、複数の炭化物が密集して晶出した場合には、結果的に大きな炭化物としてみなされ、これが欠け落ちる。このため、炭化物の晶出量を少量に抑制することが不可欠であり、実用的には、組織に占める面積率で3.0%以下とすることが望ましい。なお、熱間圧延用複合ロールの肉盛層は、鋳造時に晶出したMC型炭化物が、その後の熱処理工程を経てMC型炭化物になる。
一方、MoはCrと同様、一部が基地組織にも固溶して焼入れにより硬さを向上させ、更に焼戻しにおいて二次析出効果を促進し、Wも一部が基地組織に固溶し、高温での強度及び硬さを向上する。
このため、熱間圧延に供した場合、耐摩耗性を向上させる作用を有しており、その効果が現れるためには、1種又は2種を前記した量含有することが必要である。なお、前記したMC金属炭化物の量を考慮した場合、MoとWの両元素の総量を、2.0質量%以上8.0質量%以下としたが、より効果を高めるため、上限を6.0質量%、下限を3.0質量%とすることが好ましい。
Ti(チタン):0.05質量%以上0.30質量%以下
Tiは、極めて微細で、かつ極めて硬いTiC炭化物を生成するが、併せてMC炭化物の晶出核の役目を果たし、炭化物の分散を促進することで有効である。その含有量は、少量でも効果があるが、実用的な下限値は0.05質量%である。しかし、Tiは極めて強い酸化元素であり、酸化生成物を介在物欠陥として肉盛層に残存させないため、0.30質量%を上限とした。
なお、AlとZrも、それぞれ0.20質量%以下含有することで、Tiと同様の効果をそれぞれ奏するため、AlとZrが含まれていても、本願発明の効果を損なうものではない。
以上のことから、Tiを0.05質量%以上0.30質量%以下としたが、上限を0.25質量%、下限を0.07質量%とすることが好ましい。
以上に示した化学成分を有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるものが原溶湯である。
これにより、肉盛層15に晶出したMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物の占有率を3.0面積%(更には、2.0面積%)以下にできると共に、この金属炭化物のサイズ(最大幅)と肉盛層15の二次デンドライト組織の結晶粒サイズ(二次デンドライトアームの間隔)を、それぞれ50μm以下(この金属炭化物については、30μm以下、更には20μm以下)に微細化できる。
また、以上に示した溶湯は、更にNi、Co、及びNbのいずれか1種又は2種以上を含有してもよい。
Ni(ニッケル):1.0質量%以上5.0質量%以下
Niは、1.0質量%以上添加すると、焼入れ性を向上させる効果を有する。
直径の大きいロール等で大きな硬度深度が要求される場合には、その要求に応じて添加するとよい。しかし、多量に添加すると、残留オーステナイトが過剰となり、かえって高硬度が得られなくなるため、5.0質量%以下の範囲で用いることが有効である。
以上のことから、Niを添加する場合、その量を、1.0質量%以上5.0質量%以下としたが、上限を3.0質量%、更には2.0質量%、下限を1.5質量%とすることが好ましい。
Co(コバルト):1.0質量%以上5.0質量%以下
Coは、1.0質量%以上添加すると、高温使用下で基地の硬さと強度を向上させると共に、耐食性にも効果がある。また、熱処理時には、焼戻し抵抗を増大させるため、高温での焼戻し処理が可能になる。一方、5.0質量%を超える量を添加する場合は、鋳造時の溶湯の流動性を悪くすると共に、基地の靱性を悪くするため、5.0質量%以下の範囲で用いることが有効である。
以上のことから、Coを添加する場合、その量を、1.0質量%以上5.0質量%以下とするが、上限を4.0質量%、下限を2.0質量%とすることが好ましい。
Nb(ニオブ):0.02質量%以上0.20質量%以下
Nbは、Vと同様にMC型炭化物を生成するため、Vの代替元素として、0.02質量%以上0.20質量%以下添加することが有効である。ここで、Nbの添加により過共晶域となり、初晶としてMC型炭化物が偏析して晶出しない範囲として、0.20質量%を上限値とした。
以上のことから、Nbを添加する場合、その量を、0.02質量%以上0.20質量%以下とするが、上限を0.17質量%、下限を0.05質量%とすることが好ましい。
以上に示した化学成分を有する溶湯14を芯材13の外表面に溶着させて、芯材13の外周に肉盛層15を形成した中間品に対し、更に熱処理が施されている。
この熱処理としては、まず中間品の肉盛層に焼入れ又は焼きならしを施す。具体的には、従来技術と同様、まず熱処理炉にて中間品全体を900℃以上1100℃以下の温度範囲内に加熱し、一定時間(例えば、1〜10時間程度)保持した後、大気中もしくは衝風にて、常温近くまで冷却する。これにより、肉盛層15の生地を、硬いマルテンサイトもしくはベイナイトにできる。
この後で、550℃以上かつA変態点(即ち710℃)以下の温度範囲内で焼戻しを施し、必要に応じて、更にもう1回、もしくは2回以上、550℃以上710℃以下の温度範囲内からの焼戻しを行う。
従来技術においては、焼入れ又は焼ならし後、500〜600℃の温度範囲内で、1回もしくは2回以上の焼戻しを実施し、これにより、肉盛層のシュアー硬さ(HS)を75〜90にしていた。しかし、本願発明では、従来よりも高い焼戻し温度で、1回もしくは2回以上の焼戻しを行い、ショアー硬さ(HS)を45以上75以下(好ましくは、上限を70、下限を50)に調質して、基地組織に対して十分に靱性を与える。
また、ショアー硬さは、焼戻し温度と基本的には対応するが、従来のハイス系ロールと比べて破壊靱性値が向上する75以下とし、下限値は本発明の化学成分範囲で耐摩耗性の向上が可能な45とした。
このようにして製造した中間品に対し、寸法と形状を整える機械加工が施されることにより、熱間圧延用複合ロールとなる。
なお、熱間圧延用複合ロールを圧延に使用するに際し、圧延速度が比較的遅い使用条件の場合は、前記した焼戻し温度範囲内の高温側で焼戻しを実施して、前記したショアー硬さ範囲内で低いショアー硬さに調整する。一方、圧延速度が比較的速い使用条件で熱間圧延用複合ロールを使用する場合は、前記した焼戻し温度範囲内の低温側で焼戻しを実施して、前記したショアー硬さ範囲内で高いショアー硬さに調整する。
このような熱間圧延用複合ロールを、棒鋼、線材、又は形鋼からなる鋼材の熱間圧延に適用した場合、熱間圧延による熱間圧延用複合ロールの純摩耗損耗量が、鋼材の圧延量10000トンにつき片肉で0.6mm以下となる。
続いて、前記した熱間圧延用複合ロール10を製造する連続鋳掛け肉盛溶接用モールド装置(以下、単に肉盛溶接用モールド、連続鋳掛け肉盛溶接用モールドともいう)16について、図1を参照しながら説明する。なお、肉盛溶接用モールド16は、特開2000−176628号公報に開示された連続鋳掛け肉盛溶接用モールドと略同様の構成を有している。
肉盛溶接用モールド16は、銅製水冷モールドである組合せモールド12を有している。この組合せモールド12は、金属製の中空式冷却型10を有し、その上部内側面には、黒鉛で構成された冷却緩衝材11が設けられている。
この組合せモールド12の上方には、電磁誘導加熱コイル17で外包された中空環状の耐火枠18が配置されている。
なお、図1において、19はガラスコーティング層、20は予熱用の電磁誘導加熱コイルを、それぞれ示している。
次に、本発明の一実施の形態に係る熱間圧延用複合ロールの製造方法について、図1を参照しながら説明する。
まず、連続鋳掛け肉盛溶接用モールド16の中央に、芯材13を同心垂直に立てて挿入し、この芯材13全体を、予熱用の電磁誘導加熱コイル20により予熱しながら、下方へ引抜く。このとき、前記した化学成分を有し、融点を超える所定の温度に調整した溶湯14を、耐火枠18と芯材13との環状空隙部に注入して、電磁誘導加熱コイル17により、溶湯14の温度を前記所定の温度範囲となるように、誘導加熱を行って調整する。そして、耐火枠18の下方に配置した組合せモールド12により、溶湯14を凝固させて肉盛層15を形成し、しかる後、一体となった肉盛層15と芯材13を順次下方へ連続的に引き出して、熱間圧延用複合ロールの中間品を製造する。
従来技術では、組合せモールドとして、黒鉛を内装した鉄製モールドが用いられてきた。しかし、本願発明においては、肉盛層15の組織を緻密にするため、凝固冷却速度を増大する必要があり、従来の鉄製モールドに代えて、熱伝導が極めて良好で肉盛層15からの脱熱を飛躍的に向上できる銅製水冷モールド(銅合金製水冷モールドでもよい)を採用した。その結果、肉盛層15は、理想的な鋳造組織となり、かつ遠心鋳造等のような他の方法に比べ、極めて緻密な組織が得られる。
以上の方法により、芯材13を、10mm/分以上150mm/分以下(好ましくは、20mm/分以上130mm/分以下)の範囲の速度で、順次下方へ引抜くことができる。
このようにして製造した中間品に、更に前記した熱処理を施す。
この熱処理としては、熱処理炉にて中間品全体を900℃以上1100℃以下の温度範囲内に加熱し、一定時間(例えば、1〜10時間程度)保持した後、大気中もしくは衝風にて、常温近くまで冷却して、中間品の肉盛層15に焼入れ又は焼きならしを施す。
そして、550℃以上710℃以下の温度範囲内で焼戻しを施し、更に再度、もしくは2回以上550℃以上710℃以下の温度範囲内から焼戻しを行う。
これにより、芯材13の外周に形成した肉盛層15の硬さを、ショアー硬さ:45以上75以下、かつ破壊靱性値KIC又は疲労破壊靱性値KICf:30MPa・m0.5以上(好ましくは、35MPa・m0.5以上)にできる。
このように、熱処理が施された中間品に対して、寸法と形状を整える機械加工を施すことにより、熱間圧延用複合ロールが製造される。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、図1に示す肉盛溶接用モールド16を使用して前記した方法により、表1に示す化学成分及びその量を有する溶湯から、熱間圧延用複合ロールの中間品を製造し、試験片を切り出した。そして、この試験片に対して前記した熱処理を行い、これを実施例及び比較例とした。なお、実施例1〜5は、各化学成分の量を前記した範囲内に設定した結果であり、一方、比較例1は炭素成分の量を、また比較例2はチタン成分の量を、それぞれ前記した範囲外(比較例1の炭素成分:2.2質量%、比較例2のチタン成分:0質量%)に設定した結果である。
ここで、実施例1〜5、比較例1、2、及び参考例(一般のハイス材)の化学成分とその熱処理条件を、表1、表2にそれぞれ示す。なお、表1に示す化学成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物である。
比較例1、2の代表的な光学顕微鏡写真(AM)と、実施例1〜5の代表的な光学顕微鏡写真を、図2(A)、(B)にそれぞれ示すが、比較例と実施例の金属組織は共に、微細な粒状のMC金属炭化物が主体となっていた。しかし、比較例は実施例と比較して、大きな板状(もしくは層状)のMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物(図2(A)、(B)中の黒部分)が多く晶出していた。
ここで、実施例1〜5、比較例1、2、及び参考例について、晶出した金属炭化物(MC炭化物、MC炭化物、及びその合計値)の占有率と、結晶粒サイズ(2−DAS、MC炭化物、及びMC炭化物)の測定結果を、それぞれ表3に示す。
表3に示すMC炭化物の占有率は、実施例1〜5のいずれについても比較例1、2より高く、MC炭化物(MC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物が存在するが、主としてMC金属炭化物)の占有率は、比較例1、2と比べて極端に低減できることを確認できた。なお、実施例1〜5は、MC炭化物の占有率をいずれも3.0面積%以下に低減できた。
また、実施例1〜5の2−DAS(二次デンドライト組織のアームの間隔、即ち二次デンドライト組織の結晶粒サイズ)は、いずれも比較例1、2、及び参考例より小さく、50μm以下にできることを確認できた。
更に、実施例1〜5のMC炭化物の結晶粒サイズは、いずれも比較例1、2、及び参考例よりも小さく、30μm以下にできることを確認できた。
この実施例1〜5、比較例1、2、及び参考例について、その基礎物性の1つである破壊靱性値(KIC)を室温で測定した。なお、破壊靱性値の測定は、深さ12.5mmのノッチが形成された厚み25mmの3点曲げ試験片を、間隔100mmのスパン上に載置し、ASTM−E813−81に基づいて行った。この3点曲げ試験片のノッチは、その深さが2段となっており、1段目の深さが10mm、内幅が2mm、2段目の内幅が0.2mmである。
測定の結果、実施例1〜5の破壊靱性値K1Cは、比較例1、2、及び参考例よりも高い数値(30MPa・m0.5以上、ここでは、35MPa・m0.5以上)であった。なお、実施例1〜5のショアー硬さは、45以上75以下の範囲内であった。
続いて、実施例3と比較例1の試験片を使用し、耐高温酸化特性について検討した結果について説明する。
高温酸化試験を行うに際し、試験片(25×12.5×12.5mmt)をアセトンで超音波洗浄し、乾燥した後、その質量を測定して、酸化試験に供した。酸化試験では、大気雰囲気中の電気炉に900℃で12時間維持した後、また24時間維持した後、それぞれアルミナ坩堝を用いて冷却を行った。そして、酸化試験後の試験片と、捕集したスケールの質量を測定し、酸化増量(酸化による重量増加量)を算出した。この結果を、表4に示す。
表4に示すように、酸化による重量増加量は、900℃で12時間と24時間のいずれも、比較例1が1時間あたり20g/m程度であったが、実施例3では、10g/m程度まで低減できた(900℃で24時間保持した場合の酸化による重量増加量:1時間あたり16g/m以下、ここでは、11g/m以下)。
以上のことから、実施例3の試験片は、耐高温酸化特性を有することを確認できた。
次に、耐熱衝撃特性について検討した結果について説明する。
熱衝撃試験を行うに際し、試験片(25×12.5×12.5mmt)に対して浸透探傷試験法(PT検査)を用い、熱き裂の有無を、試験前に事前確認した。そして、所定テスト温度(500〜800℃)に保持した大気中の電気炉に投入し、5分間保持した後、予め準備した水槽(500mLの容器中、水温25℃±2℃)の中へ投入した(水中焼入れ方式)。
この結果、実施例1〜5のいずれについても、570℃以下の温度からの急冷に対し、試験片の表層部にき裂が発生せず、特に実施例1は、800℃までの温度についてもき裂の発生がなかった。
以上のことから、実施例1〜5の試験片は、耐熱衝撃特性を有することを確認できた。
続いて、耐熱間摩耗特性について検討した結果について説明する。
熱間摩耗試験を行うに際しては、大気雰囲気のもと600℃で、S45C製の円盤状(直径100mm、厚み15mm)の対向材を回転速度100回/分に設定し、この対向材に、試験片を荷重10kgで2時間押付け、その摩耗量を測定した。また、同様に、800℃で、対向材に試験片を15分間押付け、その摩耗量を測定した。この結果を、前記した表4に示す。
表4に示す600℃で2時間の試験結果から、実施例3の方が、基地の硬さが高くMC金属炭化物の量が多いため、比較例1より摩耗減量が少ないことが分かった。しかし、800℃で15分間の試験結果では、耐高温酸化性や耐高温特性が優れた実施例3の方が摩耗減量が少ないことが分かった。
なお、実施例3は、熱間摩耗量が1mg程度(8mg以下)であり、比較例1の試験片と比較して、耐熱間摩耗特性を有することを確認できた。
最後に、耐疲労き裂伝播特性について検討した結果について説明するが、この評価は、内野、小田、鈴木、橋本、「熱間圧延におけるハイス系白鋳鉄ロールのき裂伝ぱについての解析」:日本機械学会論文集(A編)、70巻、694号(2004−6)、p858−p864の内容に基づいているため、その評価方法については、以下簡単に説明する。
疲労き裂伝播試験には、前記した破壊靱性値の3点曲げ試験片を用いた。なお、切欠き先端部は、ワイヤーカット法を用いて、半径0.1mmに加工した。そして、耐疲労き裂伝播特性は、試験片の両側の切欠き前方に、クラックゲージを貼り、き裂長さの変化を測定した。なお、応力比R(Pmin/Pmax)=0.3の片振り条件のもとで、8.33Hz(500cpm)の交番曲げモーメントを付加した。
この試験結果を用い、き裂長さaと繰返し数Nから疲労き裂伝播速度da/dNを求め、得られた疲労き裂伝播速度da/dNと応力拡大係数幅ΔKとの関係を、図3に示す。なお、応力拡大係数幅ΔKは、下限界応力拡大係数ΔKthより大きい範囲で、Paris−Erdoganの関係式 da/dN=C(ΔK が成り立つことが知られている。
図3において、ΔKがある値以上になるとき、き裂が伝播し始め、その速度は、ΔKとの相関関係を示し、ΔKが増加すると共に、伝播速度は大きくなる。
ここで、耐疲労き裂伝播特性の曲線(da/dN−ΔK)から、下限界応力拡大係数ΔKthを求めた結果、実施例3と比較例2のΔKthは、それぞれ17.1MPa・m0.5、12.2MPa・m0.5であった。この下限界応力拡大係数ΔKthは、初期き裂の発生抵抗値を示しており、この値が大きいほど、疲労寿命が長いといわれている。
また、上限界応力拡大係数を求めた結果、実施例3と比較例2とでは、それぞれ27MPa・m0.5、17.7MPa・m0.5であった。なお、実施例3の下限界応力拡大係数は、参考例である一般ハイス材の結果(10.5MPa・m1/2)より高い値を示した。このとき、疲労き裂伝播速度da/dNは、8×10−5以上2×10−4以下(10−6以上10−3以下の範囲内)である。
ここで、実施例3の下限界応力拡大係数と上限界応力拡大係数から求められる直線の傾きを表すm値は、実施例3が比較例2に比べて2倍以上低いことから、実施例3の疲労き裂伝播速度は非常に遅く、優れた耐疲労き裂伝播特性を有することを確認できた(応力拡大係数幅ΔK:16MPa・m0.5以上27MPa・m0.5以下、疲労き裂伝播速度da/aN:10−6以上10−3以下)。
なお、不安定破壊(突発的な脆性破壊)が発生する疲労破壊靱性値については、KICf=Kmaxと定義すれば、実施例の疲労破壊靱性値KICfが30MPa・m0.5以上となり、比較例や参考例に比べて高い値を示すことも確認できた。
従って、実施例は、疲労き裂特性因子の全てが、比較例や参考例に比べて優れることを確認できた。
以上のことから、本発明の熱間圧延用複合ロールを使用することで、熱間粗圧延、特に熱疲労き裂に対し、損傷が小さくかつこの種のロールが有する耐摩耗性を適度に有して消耗を少なくできることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の熱間圧延用複合ロール及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
本発明の一実施の形態に係る熱間圧延用複合ロールの製造方法の説明図である。 (A)は比較例に係る光学顕微鏡による組織写真、(B)は実施例に係る光学顕微鏡による組織写真である。 疲労き裂伝播速度と応力拡大係数幅との関係を示す説明図である。
符号の説明
10:中空式冷却型、11:冷却緩衝材、12:組合せモールド、13:芯材、14:溶湯、15:肉盛層、16:連続鋳掛け肉盛溶接用モールド、17:電磁誘導加熱コイル、18:耐火枠、19:ガラスコーティング層、20:予熱用の電磁誘導加熱コイル

Claims (9)

  1. 金属製の中空式冷却型の上部内側面に冷却緩衝材を有する組合せモールドの内部に、鋼を素材とする中実又は中空の芯材を同心垂直に挿入し、該芯材の外周の環状空隙部に溶湯を注入して該芯材を連続的に降下させ、該芯材の外表面に前記溶湯を溶着させながら冷却により凝固させ、該芯材の外周に肉盛層を形成した後、熱処理と機械加工を行って製造される熱間圧延用複合ロールであって、
    前記溶湯は、C:1.0質量%以上2.0質量%以下、Si:0.2質量%以上2.0質量%以下、Mn:0.2質量%以上2.0質量%以下、V:4.0質量%以上8.0質量%以下、Cr:2.0質量%以上5.0質量%以下、Mo及びWのいずれか1種又は2種を2.0質量%以上8.0質量%以下、及びTi:0.05質量%以上0.30質量%以下含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなり、
    かつ、前記肉盛層に晶出したMC、MC、及びMのいずれか1種又は2種以上からなる金属炭化物の占有率を3.0面積%以下、及び前記金属炭化物のサイズと前記肉盛層の二次デンドライト組織の結晶粒サイズを、それぞれ50μm以下に微細化したことを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  2. 請求項1記載の熱間圧延用複合ロールにおいて、前記溶湯は、更に、Ni:1.0質量%以上5.0質量%以下、Co:1.0質量%以上5.0質量%以下、及びNb:0.02質量%以上0.20質量%以下のいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールにおいて、前記熱処理により、前記肉盛層の硬さを、ショアー硬さ:45以上75以下、かつ破壊靱性値KIC又は疲労破壊靱性値KICf:30MPa・m0.5以上としたことを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  4. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールにおいて、大気雰囲気のもと900℃で24時間保持した場合、酸化による前記肉盛層の重量増加量が、1時間あたり16g/m以下の耐高温酸化特性を有することを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  5. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールにおいて、大気雰囲気のもと800℃で15分間の熱間摩耗試験を行った場合、前記肉盛層の熱間摩耗量が8mg以下である耐熱間摩耗特性を有することを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  6. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールにおいて、800℃の温度からの急冷に対し、前記肉盛層の表層部にき裂が発生しない耐熱衝撃特性を有することを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  7. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールを、棒鋼、線材、又は形鋼からなる鋼材の熱間圧延における粗圧延に適用した場合、該熱間圧延による純摩耗損耗量が、前記鋼材の圧延量10000トンにつき0.6mm以下であることを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールを製造する方法であって、前記組合せモールドとして、前記冷却緩衝材が黒鉛の銅製水冷モールドを使用し、前記芯材を10mm/分以上150mm/分以下の範囲の速度で引抜くことを特徴とする熱間圧延用複合ロールの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱間圧延用複合ロールを製造する方法であって、前記熱処理として、焼入れ又は焼ならし後に、550℃以上710℃以下の温度範囲内で焼戻しを行うことを特徴とする熱間圧延用複合ロールの製造方法。
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