[go: up one dir, main page]

JP4917481B2 - フィルタ - Google Patents

フィルタ Download PDF

Info

Publication number
JP4917481B2
JP4917481B2 JP2007156688A JP2007156688A JP4917481B2 JP 4917481 B2 JP4917481 B2 JP 4917481B2 JP 2007156688 A JP2007156688 A JP 2007156688A JP 2007156688 A JP2007156688 A JP 2007156688A JP 4917481 B2 JP4917481 B2 JP 4917481B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
film
piezoelectric
lower electrode
resonator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007156688A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008311873A (ja
Inventor
基揚 原
時弘 西原
眞司 谷口
武 坂下
剛 横山
匡郁 岩城
政則 上田
康之 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2007156688A priority Critical patent/JP4917481B2/ja
Publication of JP2008311873A publication Critical patent/JP2008311873A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4917481B2 publication Critical patent/JP4917481B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Description

本発明は、フィルタに関し、より詳細には、ラダー型に設けられた複数の圧電薄膜共振器を有するフィルタに関する。
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、小型で軽量な共振子およびこれを組み合わせて構成したフィルタの需要が増大している。これまでは主として誘電体フィルタと表面弾性波(SAW)フィルタとが使用されてきたが、最近では、特に高周波での特性が良好で、かつ小型化とモノリシック化が可能な素子である圧電薄膜共振子およびこれを用いて構成されたフィルタが注目されつつある。
圧電薄膜共振子の中には、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプとSMR(Solidly Mounted Resonator)タイプがある。FBARタイプの圧電薄膜共振子は、基板上に下部電極、圧電膜、および上部電極からなる積層膜構造を有している。圧電膜を挟み下部電極と上部電極とが対向する部分(共振部)の下部電極の下に空隙が形成されている。ここで、FBARにおける空隙には、基板表面に設けた犠牲層をウエットエッチングすることにより下部電極と基板との間に形成される空隙(キャビティ)と、ウエットエッチングまたはドライエッチング等により基板に形成される空隙(バイアホール)とがある。SMRは空隙の代わりに音響多層膜を有している。音響多層膜は、音響インピーダンスが高い膜と低い膜を交互にλ/4(λ:弾性波の波長)の膜厚で積層されている。
非特許文献1にバイアホールを有するFBARが開示されている。また、特許文献1にキャビティを有するFBARが開示されている。図1はバイアホールを有するFBARの断面図であり、図2はキャビティを有するFBARの断面図である。図1を参照に、表面にSiO膜11を有するシリコンからなる基板10上に下部電極12、圧電膜14および上部電極16が順次設けられている。下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下の基板10に空隙18(バイアホール)が設けられている。図2を参照に、シリコンからなる基板10上に空隙18(キャビティ)が形成されるように支持膜として機能するSiO膜11が設けられている。SiO膜11上に下部電極12、圧電膜14および上部電極16が順次設けられている。下部電極12と上部電極16とは圧電膜14を挟んで対向する部分を空隙18上に有している。
ここで、下部電極12および上部電極16としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等あるいはこれらを組み合わせた積層材料を用いることができる。圧電膜14としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、基板10としては、シリコン、ガラス、GaAs等を用いることができる。
上部電極と下部電極との間に高周波の電気信号を印加すると、上部電極と下部電極とに挟まれた圧電膜内部に逆圧電効果によって励振される弾性波や圧電効果に起因する歪みによって生じる弾性波が発生する。そして、これらの弾性波が電気信号に変換される。このような弾性波は、上部電極と下部電極とがそれぞれ空気に接している面で全反射されるため、厚み方向に主変位をもつ縦振動波となる。下部電極、圧電膜および上部電極(上部電極上に付加される質量負荷膜を含む)からなる積層膜の総膜厚Hが、弾性波の波長λの1/2(1/2波長)の整数倍(n倍)となる周波数(つまりH=nλ/2となる周波数)において共振現象が生じる。ここで、圧電膜の材料によって決まる弾性波の伝搬速度をVとすると、共振周波数Fは、F=nV/(2H)となる。このことから、積層膜の総膜厚Hにより共振周波数Fを制御することができ、所望の周波数特性を有する圧電薄膜共振子を得ることができる。
圧電薄膜共振子を用いたフィルタとして、ラダー型フィルタが主に用いられる。ラダー型フィルタは、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列に直列共振器が接続され、並列共振器が並列に接続され、バンドパスフィルタとして機能する。図3(a)および図3(b)は、それぞれ直列共振器Sおよび並列共振器Pの等価回路図を示している。図3(c)は直列共振器Sおよび並列共振器Pの周波数特性を示している。直列共振器Sの通過量は共振周波数frsで最大値、反共振周波数fasで最小値を有する。並列共振器Pの通過量は共振周波数frpで最小値、反共振周波数fapで最大値を有する。図4(a)は直列共振器Sおよび並列共振器Pを1段で構成したラダー型フィルタの等価回路図である。図4(b)はこのフィルタの通過特性を示す。直列共振器Sの共振周波数frsと並列共振器Pの反共振周波数fapとをほぼ同じ周波数とすることで、バンドパスフィルタを構成することができる。
特許文献2から4には、基板に水平方向に伝搬する弾性波によって発生するインハーモニックモードと呼ばれるスプリアスモード(不要振動)を抑制する目的で、圧電膜を挟み下部電極と上部電極とが対向する部分(共振部)の輪郭形状を制御する技術が開示されている。
ELECTRONICS LETTERS JULY 1981 p507-p509 特開昭60−189307号公報 特開2005−33262号公報 特開2003−17974号公報 特開2000−31552号公報
圧電薄膜共振子は圧電膜自体を共振振動させるため、励振時の損失が少ない高品質の圧電膜が必要となる。このような、高品質の圧電膜を成膜するためには、成膜時に高いエネルギーを必要とする。例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜では、基板を1000℃以上に加熱する必要があり、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜では、プラズマの電力に加え400℃以上の基板加熱が必要である。また、スパッタ技術を用いた成膜でも、絶縁膜のスパッタによる基板温度上昇がある。このため、圧電膜は強い膜応力を有する。
圧電薄膜共振子において、弾性波は圧電膜の厚み方向に主変位をもつ縦振動波であるが、圧電膜が強い膜応力を有すると、励振時における厚み方向の変形が阻害されてしまう。これにより、反共振周波数での共振尖鋭度(Q値)が劣化する。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、圧電薄膜共振子の反共振周波数でのQ値を改善し、低損失で高性能なフィルタを提供することを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向する部分を有するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、を有する複数の圧電薄膜共振器を具備し、前記複数の圧電薄膜共振器はラダー型に設けられ、前記複数の圧電薄膜共振器のうち並列腕に設けられた前記圧電薄膜共振器は、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分が、軸の長さ比の異なる2つの楕円が1つの軸を共有することにより連結した形状をしていて、前記2つの楕円のうち一方の楕円は前記1つの軸を短軸とする楕円であり、他方の楕円は前記1つの軸を長軸とする楕円であり、前記一方の楕円の短軸と前記他方の楕円の長軸とは同じ長さであることを特徴とするフィルタである。本発明によれば、ラダー型に設けられた圧電薄膜共振器のうち、並列腕に設けられた圧電薄膜共振器の反共振周波数のQ値を改善することができる。このため、フィルタの通過帯域における損失を改善することができる
上記構成において、前記下部電極は前記1つの軸を長軸とする楕円を有し、前記上部電極は前記1つの軸を短軸とする楕円を有する構成とすることができる。この構成によれば、圧電膜にかかる応力を抑制することができる。よって、反共振周波数のQ値を改善することができ、フィルタの通過帯域における損失を改善することができる。
上記構成において、前記1つの軸を短軸とする楕円は、短軸の長さと長軸の長さとの比が7:8〜7:10である構成とすることができる。この構成によれば、反共振周波数のQ値をより改善することができ、フィルタの通過帯域における損失をより改善することができる。
上記構成において、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は、前記基板に設けられた空隙上に設けられている構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は、前記空隙に含まれる構成とすることができる。この構成によれば、圧電薄膜共振器の共振特性を向上させることができる。
上記構成において、前記圧電膜は(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛である構成とすることができる。
本発明によれば、ラダー型に設けられた圧電薄膜共振器のうち、並列腕に設けられた圧電薄膜共振器の反共振周波数のQ値を改善することができる。このため、通過帯域における損失が改善したフィルタを得ることができる。
まず、低損失なフィルタを実現するため、フィルタを構成する圧電薄膜共振器に関して行なったシミュレーションについて説明する。図5(a)はシミュレーションに用いた圧電薄膜共振器の上面図であり、図5(b)は図5(a)のX−X間の断面図である。
図5(a)および図5(b)を参照に、シリコンからなる基板10上に下部電極12が設けられている。下部電極12上に圧電膜14が設けられている。圧電膜14を挟み下部電極12と対向する部分を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。これにより、下部電極12、圧電膜14および上部電極16からなる積層膜17が形成される。圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部20)は、軸の長さ比が異なる2つの楕円(PおよびQ)が、1つの軸を共有することで連結した形状をしており、下部電極12は楕円Qを有し、上部電極16は楕円Pを有している。ここで、2つの楕円(PおよびQ)が共有する軸の長さをA、楕円Pの他方の軸の長さをB、楕円Qの他方の軸の長さをCとする。そして、A、B、Cそれぞれの長さの比率をa:b:cとする。共振部20の下の基板10には空隙18が設けられており、共振部20は空隙18に含まれる。圧電膜14には下部電極12に電気的に接続するための開口部22が設けられている。
共振部20の下に空隙18が形成されると、圧電膜14の膜応力により、図5(b)の破線に示すように、積層膜17に高さhの変形が生じる。ここで、図6に共振部20の形状と積層膜17の変形高さhとの関係について計算したシミュレーション結果を示す。図6の横軸は2つの楕円(PおよびQ)の軸の長さ比率a:b:cのうちa:cを7:5に固定した場合のbの比率を示し、縦軸は積層膜17の変形高さhを示している。また、圧電膜14の成膜時の膜応力が500MPa、250MPa、100MPaの各場合についての計算結果を示す。図6によれば、bの比率が9の場合、つまり、a:b:cが7:9:5の場合が最も積層膜17の変形が大きくなる。積層膜17の変形が最も大きいということは、圧電膜14の成膜時の膜応力が最も開放されているということである。
次に、図7(a)から図7(c)に、積層膜17に高さhの変形が生じた後の、圧電膜14の残留応力分布について計算したシミュレーション結果を示す。図7(a)は軸の長さ比率a:b:cが7:3:5の場合、図7(b)は7:9:5の場合、図7(c)は7:15:5の場合であり、また、図7(a)から図7(c)は、圧電膜14の成膜時の膜応力が500MPaの場合の結果である。図7(a)から図7(c)を参照に、bの比率を変化させることで、圧電膜14の残留応力分布に変化が生じ、軸の長さ比率a:b:cが7:9:5の場合が、共振部20の面積に対して、残留応力が162.5MPaと小さくなる領域(図7(a)から図7(c)中の斜線の領域)の占める割合が最も大きくなる。これより、積層膜17の変形が大きい場合は、圧電膜14の残留応力の小さい領域が最も大きくなることが確認できる。
これらの結果より、圧電膜14の成膜時の膜応力は、積層膜17のたわみ変形により一部緩和することができる。このたわみ変形の大きさは共振部20の形状により異なるため、共振部20の形状を最適化、つまり、軸の長さ比率a:b:cを7:9:5にすることにより、圧電膜14の残留応力の小さい領域を最も大きくすることができる。
次に、共振部20の形状を変化させた場合において、反共振周波数のQ値の変化についての結果を示す。図8(a)は2.0GHz帯の圧電薄膜共振器について、図8(b)は2.5GHz帯の圧電薄膜共振器についての反共振周波数のQ値の測定結果である。なお、測定に用いた圧電薄膜共振器の構成は図5(a)および図5(b)と同じである。また、基板10はSiを用い、下部電極12は厚さ250nmのRu膜からなり、上部電極16は厚さ250nmのRu膜からなる。圧電膜14は(002)方向を主軸とする配向性を示すAlN膜からなり、2.0GHz帯の圧電薄膜共振器では厚さ1150nmであり、2.5GHz帯の圧電薄膜共振器では厚さ1000nmである。
図8(a)および図8(b)を参照に、横軸は図6の横軸と同じであり、縦軸は反共振周波数のQ値を示している。また、実線は測定結果を3次曲線で近似した近似式を示している。図8(a)および図8(b)によれば、bの比率が7以上で反共振周波数のQ値が改善され、特に、bの比率が8〜10で反共振周波数のQ値がより改善される。この結果より、圧電膜14の残留応力の改善に対応して、反共振周波数のQ値も改善されることが確認できる。
次に、共振部20の形状を変化させた場合において、共振周波数のQ値の変化についての結果を示す。図9(a)は2.0GHz帯の圧電薄膜共振器について、図9(b)は2.5GHz帯の圧電薄膜共振器についての共振周波数のQ値の測定結果である。
図9(a)および図9(b)を参照に、横軸は図8(a)および図8(b)の横軸と同じであり、縦軸は共振周波数のQ値を示している。また、実線は図8(a)および図8(b)と同様に、測定結果を3次曲線で近似した近似式を示している。図9(a)および図9(b)によれば、共振周波数のQ値はbの比率が大きくなるに従い単純減少することが確認できる。これは、bの比率が大きくなる、つまり、上部電極16の長さが長くなるに従い、上部電極16の電気抵抗が増大するためである。
図8(a)から図9(b)に示す結果より、圧電膜14の残留応力を改善することで、特に、共振部20の形状を構成する2つの楕円(PおよびQ)の軸の長さ比率a:b:cを7:8〜10:5に設定することで、反共振周波数のQ値が改善した圧電薄膜共振器を得ることができる。また、bの比率を小さくすることで、共振周波数のQ値が改善した圧電薄膜共振器を得ることができる。このように、軸の長さ比率a:b:cを制御、つまり、共振部20の形状を制御することで、反共振周波数のQ値および共振周波数のQ値を制御することができる。そこで、これらの結果を踏まえ、実施例1に、低損失を実現することが可能なフィルタについて説明する。
図10は実施例1に係るラダー型フィルタの回路図である。図10を参照に、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列共振器S1、S2およびS3が直列に接続されている。直列共振器S1とS2との間のノードとグランドとの間に並列共振器P1が接続され、直列共振器S2とS3との間のノードとグランドとの間に並列共振器P2が接続されている。直列共振器Sと並列共振器Pは後述するような異なる構造を有する。
まず、直列共振器Sの構造について説明する。図11(a)は直列共振器Sの上面図であり、図11(b)は図11(a)のX−X間の断面図である。図11(a)および図11(b)を参照に、圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部20)は、1つの楕円からなる形状をしている。楕円の長軸は157μmであり、短軸は112μmである。つまり、楕円の長軸と短軸との長さの比は7:5である。その他の構成については、図5(a)および図5(b)に示す圧電薄膜共振器と同じであるので説明を省略する。なお、基板10はSiを用い、下部電極12は厚さ250nmのRu膜からなり、圧電膜14は厚さ1150nmの(002)方向を主軸とする配向性を示すAlN膜からなり、上部電極16は厚さ250nmのRu膜からなる。
次に、並列共振器Pの構造について説明する。図12(a)は並列共振器Pの上面図であり、図12(b)は図12(a)のX−X間の断面図である。図12(a)および図12(b)を参照に、圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部20)は、軸の長さ比の異なる2つの楕円(PおよびQ)が1つの軸を共有することにより連結した形状をしている。共有する軸の長さAは133μm、楕円Pの他の軸の長さBは171μm、楕円Qの他の軸の長さCは95μmである。つまり、A、B、Cそれぞれの長さの比率a:b:cは7:9:5である。共振部20の上部電極16上にTi膜からなる厚さ約100nmの質量負荷膜24が設けられている。質量負荷膜24が設けられることで、直列共振器Sの共振周波数と並列共振器Pの反共振周波数とをほぼ同じ周波数にすることできる。これにより、バンドパスフィルタの特性を得ることができる。その他の構成については、直列共振器Sと同じであり図11(a)および図11(b)に示しているので説明を省略する。
図13(a)から図13(f)を用い、直列共振器Sおよび並列共振器Pの製造方法を説明する。図13(a)から図13(c)は直列共振器Sに関して、図11(a)のX−X間に相当する断面図を示し、図13(d)から図13(f)は並列共振器Pに関して、図12(a)のX−X間に相当する断面図を示している。図13(a)および図13(d)を参照に、Siからなる基板10上に、下部電極12として、0.6〜1.2Paの圧力下のArガス雰囲気中でRu膜をスパッタリング法を用い形成する。その後、露光技術およびエッチング技術を用い、下部電極12を所定の形状にする。
図13(b)および図13(e)を参照に、基板10上および下部電極12上に、圧電膜14として、約0.3Paの圧力下のAr/N混合ガス雰囲気中でAlN膜をスパッタリング法を用い形成する。圧電膜14上に、上部電極16として、0.6〜1.2Paの圧力下のArガス雰囲気中でRu膜をスパッタリング法を用い形成する。並列共振器Pには、上部電極16上に、質量負荷膜24として、Ti膜をスパッタリング法を用い形成する。その後、露光技術およびエッチング技術を用い、圧電膜14、上部電極16および質量負荷膜24を所定の形状にする。
図13(c)および図13(f)を参照に、Deep−RIE(反応性ドライエッチング)法を用い、基板10裏面からエッチングすることにより、圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分の下の基板10に空隙18を形成する。以上により、直列共振器Sおよび並列共振器Pが完成する。
図14に実施例1に係るラダー型フィルタの通過特性と比較例1に係るラダー型フィルタの通過特性を示す。比較例1に係るラダー型フィルタは、直列共振器Sに図11(a)および図11(b)に示す圧電薄膜共振器を用いる。並列共振器Pに図11(a)および図11(b)に示す圧電薄膜共振器で、共振部20の上部電極16上にTi膜からなる厚さ約100nmの質量負荷膜24を設けた圧電薄膜共振器を用いる。
図14を参照に、実施例1に係るラダー型フィルタは、比較例1に係るラダー型フィルタに比べ、通過帯域において、損失が約0.1dB改善されている。このように、実施例1においては、通過帯域の損失が改善され、低損失のフィルタを得ることができる。
実施例1によれば、図12(a)および図12(b)に示すように、並列共振器Pは、圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部20)が、軸の長さ比の異なる2つの楕円(PおよびQ)が1つの軸を共有することにより連結した形状をしている。また、2つの楕円(PおよびQ)の軸の長さ比率a:b:cは7:9:5であるため、楕円Pは共有する1つの軸を短軸とする楕円であり、楕円Qは共有する1つの軸を長軸とする楕円である。これにより、図8(a)および図8(b)に示すように、並列共振器Pは反共振周波数のQ値を改善することができる。図3(c)で説明したように、並列共振器Pの通過量は反共振周波数で最大値を有する。このため、並列共振器Pの反共振周波数のQ値が改善されると通過量が増大する。よって、実施例1によれば、通過帯域の損失が改善され、低損失のフィルタを得ることができる。
また、図3(c)で説明したように、直列共振器Sの通過量は共振周波数で最大値を有する。図9(a)および図9(b)に示すように、共振周波数のQ値は、軸の長さ比率a:b:cのうちbの比率が大きくなるにつれて単調減少する。つまり、b、cがaに比べて短い形状をした共振部20の場合は、共振周波数のQ値を改善することができる。実施例1によれば、図11(a)および図11(b)に示すように、直列共振器Sの共振部20の形状は、長軸の長さと短軸の長さとの比が7:5である。このため、直列共振器Sの共振周波数のQ値を改善することができる。よって、実施例1によれば、通過帯域の損失が改善され、低損失のフィルタを得ることができる。
さらに、図12(a)および図12(b)に示すように、並列共振器Pの共振部20は、2つの楕円(PおよびQ)の軸の長さの比率a:b:cが7:9:5の場合を示したが、これに限らず、反共振周波数のQ値を改善することができる比率であればよい。特に、図8(a)および図8(b)に示すように、反共振周波数のQ値を改善できる、軸の長さ比率a:b:cが7:8〜10:5である場合でもよい。つまり、共有する1つの軸を短軸とする楕円Pは短軸の長さと長軸の長さの比が7:8〜10である場合でもよい。
さらに、図11(a)および図11(b)に示すように、直列共振器Sの共振部20は、長軸の長さと短軸の長さとの比が7:5の楕円である場合を示したが、これに限らずその他の大きさの楕円の場合でもよい。また、並列共振器Pのような2つの楕円が1つの軸を共有することにより連結した形状である場合でもよい。特に、共振周波数のQ値を改善することができる場合が好ましい。
さらに、実施例1によれば、図12(a)および図12(b)に示すように、下部電極12は共有する1つの軸を長軸とする楕円Qを有し、上部電極16は共有する1つの軸を短軸とする楕円Pを有している。これによれば、図13(b)および図13(e)に示す圧電膜14を所定の形状にエッチングする際、共振部20の円周に対して、圧電膜14をエッチングする領域を大きくすることができる。このため、共振部20の圧電膜14にかかる応力を抑制することができる。よって、反共振周波数のQ値を改善することができ、通過帯域の損失が改善したフィルタを得ることができる。
さらに、直列共振器Sおよび並列共振器Pは、圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部20)が、基板10に設けられた空隙18上に設けられている。また、圧電膜14を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する部分(共振部20)が、基板10に設けられた空隙18に含まれる。これらにより、優れた共振特性を有する圧電薄膜共振器を得ることができる。
さらに、圧電膜14として、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛を用いることで、良好な共振特性を有する圧電薄膜共振器を得ることができる。
実施例1において、FBARタイプの圧電薄膜共振器を用いたラダー型フィルタの場合を例に示したが、SMRタイプの圧電薄膜共振器を用いたラダー型フィルタの場合でもよい。さらに、基板10は、石英基板、ガラス基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16はRu膜を例に説明したが背景技術において説明した材料を用いることができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図1はバイアホールタイプの空隙を有する圧電薄膜共振子の断面図である。 図2はキャビティタイプの空隙を有する圧電薄膜共振子の断面図である。 図3(a)および図3(b)はそれぞれ直列共振器および並列共振器の等価回路図であり、図3(c)は直列共振器および並列共振器の周波数特性である。 図4(a)は1段構成のラダー型フィルタの等価回路図であり、図4(b)はラダー型フィルタの通過特性である。 図5(a)はシミュレーションに用いた圧電薄膜共振器の上面図であり、図5(b)は図5(a)のX−X間の断面図である。 図6は共振部の形状と積層膜の変形高さとについて計算したシミュレーション結果である。 図7(a)から図7(c)は共振部の形状別に、圧電膜にかかる残留応力分布を計算したシミュレーション結果である。 図8(a)および図8(b)は反共振周波数のQ値について計算したシミュレーション結果である。 図9(a)および図9(b)は共振周波数のQ値について計算したシミュレーション結果である。 図10は実施例1に係るラダー型フィルタの等価回路図である。 図11(a)は実施例1に係るラダー型フィルタを構成する直列共振器Sの上面図であり、図11(b)は図11(a)のX−X間の断面図である。 図12(a)は実施例1に係るラダー型フィルタを構成する並列共振器Pの上面図であり、図12(b)は図12(a)のX−X間の断面図である。 図13(a)から図13(c)は直列共振器Sの製造方法を示す断面図であり、図13(d)から図13(f)は並列共振器Pの製造方法を示す断面図である。 図14は実施例1に係るラダー型フィルタの通過特性を示す図である。
符号の説明
10 基板
11 SiO
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
17 積層膜
18 空隙
20 共振部
22 開口部
24 質量負荷膜

Claims (6)

  1. 基板と、前記基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向する部分を有するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、を有する複数の圧電薄膜共振器を具備し、
    前記複数の圧電薄膜共振器はラダー型に設けられ、前記複数の圧電薄膜共振器のうち並列腕に設けられた前記圧電薄膜共振器は、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分が、軸の長さ比の異なる2つの楕円が1つの軸を共有することにより連結した形状をしていて、前記2つの楕円のうち一方の楕円は前記1つの軸を短軸とする楕円であり、他方の楕円は前記1つの軸を長軸とする楕円であり、前記一方の楕円の短軸と前記他方の楕円の長軸とは同じ長さであることを特徴とするフィルタ。
  2. 前記下部電極は前記1つの軸を長軸とする楕円を有し、前記上部電極は前記1つの軸を短軸とする楕円を有することを特徴とする請求項記載のフィルタ。
  3. 前記1つの軸を短軸とする楕円は、短軸の長さと長軸の長さとの比が7:8〜7:10であることを特徴とする請求項1または2記載のフィルタ。
  4. 前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は、前記基板に設けられた空隙上に設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のフィルタ。
  5. 前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する部分は前記空隙に含まれることを特徴とする請求項記載のフィルタ。
  6. 前記圧電膜は、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のフィルタ。
JP2007156688A 2007-06-13 2007-06-13 フィルタ Expired - Fee Related JP4917481B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007156688A JP4917481B2 (ja) 2007-06-13 2007-06-13 フィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007156688A JP4917481B2 (ja) 2007-06-13 2007-06-13 フィルタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008311873A JP2008311873A (ja) 2008-12-25
JP4917481B2 true JP4917481B2 (ja) 2012-04-18

Family

ID=40239090

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007156688A Expired - Fee Related JP4917481B2 (ja) 2007-06-13 2007-06-13 フィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4917481B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2381312A2 (en) 2000-08-25 2011-10-26 Fujifilm Corporation Alkaline liquid developer for lithographic printing plate and method for preparing lithographic printing plate

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2951336B1 (fr) * 2009-10-09 2017-02-10 Commissariat A L'energie Atomique Dispositif a ondes acoustiques comprenant un filtre a ondes de surface et un filtre a ondes de volume et procede de fabrication
WO2013065488A1 (ja) * 2011-10-31 2013-05-10 株式会社村田製作所 圧電薄膜共振子、フィルタ装置及びデュプレクサ

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4149444B2 (ja) * 2005-01-12 2008-09-10 富士通メディアデバイス株式会社 圧電薄膜共振子及びこれを用いたフィルタ
JP4629492B2 (ja) * 2005-05-10 2011-02-09 太陽誘電株式会社 圧電薄膜共振子およびフィルタ
JP4846509B2 (ja) * 2005-10-20 2011-12-28 パナソニック株式会社 圧電共振器及び圧電共振器の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2381312A2 (en) 2000-08-25 2011-10-26 Fujifilm Corporation Alkaline liquid developer for lithographic printing plate and method for preparing lithographic printing plate

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008311873A (ja) 2008-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5080858B2 (ja) 圧電薄膜共振器およびフィルタ
JP5147932B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタ、通信モジュール、および通信装置
JP4838093B2 (ja) 圧電薄膜共振器およびフィルタ
JP6441761B2 (ja) 圧電薄膜共振器及びフィルタ
JP4870541B2 (ja) 圧電薄膜共振器およびフィルタ
US8749320B2 (en) Acoustic wave device and method for manufacturing the same
KR100771345B1 (ko) 압전 박막 공진자 및 필터
JP5322597B2 (ja) 共振子、フィルタ、デュープレクサおよび電子装置
WO2011036995A1 (ja) 弾性波デバイス
JP2008172494A (ja) 圧電薄膜共振器、弾性波デバイスおよび弾性波デバイスの製造方法。
JP2006311181A (ja) 圧電薄膜共振器およびフィルタ
JP4149444B2 (ja) 圧電薄膜共振子及びこれを用いたフィルタ
US8344590B2 (en) Acoustic wave device with frequency control film
JPWO2009066380A1 (ja) フィルタ、それを用いたデュプレクサおよびそのデュプレクサを用いた通信機
JP4917481B2 (ja) フィルタ
JP5390431B2 (ja) 弾性波デバイス
JP5750052B2 (ja) 弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置
JP5555466B2 (ja) 弾性波デバイス
JP5340876B2 (ja) 弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置
JP2014096833A (ja) 弾性波デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100430

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100603

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100929

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120126

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150203

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees