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JP4916264B2 - ヒュージング溶接用電極 - Google Patents

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Description

本発明は、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金を素材としたヒュージング溶接用の電極に関する。
従来から、絶縁被覆導線と金属端子を結合する製造工程においては、ヒュージング溶接が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。そして、大量生産ラインでは、連続的にヒュージング溶接が実施されている。このため、ヒュージング溶接用の電極は、高熱,高負荷を繰り返し受ける状況下にあり変形しやすいので、その素材としては変形に耐え得るものでなければならない。しかも、ヒュージング溶接用電極の本来の必要条件である、高電気伝導度、高熱伝導性及び高強度,高耐摩耗性を備えていることが要求される。
このような背景のもと、ヒュージング溶接用電極としてはCu−Cr、Cu−Cr−Zr等のCu合金や、Al23等の硬質物質を分散させたCu材が用いられている。熱伝導特性や強度、コスト等の総合的な観点から、Cu−Cr合金が用いられる場合が多い。
昨近、耐変形性や耐熱性の観点から、W系やMo系の合金や、或いはそれらにCeの酸化物やThの酸化物を分散させた合金が使用されるようになっている。
また、特許文献1には、W電極を熱処理して表面に酸化物被膜を形成した抵抗溶接電極が提案されている。
セイワ製作所HP (http://www.seiwamfg.co.jp/manu/top_fus_a.html) 特開2001−9574号公報
ところで、特許文献1で紹介されている電極は、溶接電流や電圧などの溶接条件が変動することを防止して溶接品質を安定化できる、一般的な抵抗溶接用電極を提供しようとするものであって、W電極表面に酸化物被膜を形成することにより前記効果が期待できる。
しかしながら、同じ抵抗溶接用の電極であっても、先端に加熱・加圧が繰返し加えられる態様で用いられるW若しくはMo系のヒュージング溶接用電極にあっては、繰返し加えられる加熱・加圧によって先端部に脱粒損耗・欠損が生じ、当該電極が短時間で本来の用を果たさなくなるようになることがある。このため、交換頻度が高くなり、結果としてコスト高となってしまう問題があった。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、ヒュージング溶接に用いられる電極として、使用面での脱粒損耗・欠損を抑制し、耐久性を安定的に高めたW若しくはMo系のヒュージング溶接用電極を安価に提供することを目的とする。
本発明のヒュージング溶接用電極は、その目的を達成するため、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなり、横断面平均粒子径が50μm以上であり、かつアスペクト比が1.5以上になるように軸方向に伸びた組織を有することを特徴とする。特に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金が焼結とスエージング加工、並びにその後に焼きなましの熱処理が施され、繊維状組織を有しているものが好ましい。
W若しくはWを基材とする合金にあっては、常温の硬度がHV300〜430であることが好ましい。また、Mo若しくはMoを基材とする合金にあっては、常温の硬度がHV180〜260であることが好ましい。
W又はMo若しくはそれらを基材とする合金には、2a族元素,4a族元素、5a族元素、6a族元素又は希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物及びホウ化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を分散させたものであってもよい。これらの微粒子としては、平均粒子径が2μm以下のものを合計で0.5〜10質量%の割合で分散させたものが好ましい。
本発明のヒュージング溶接用電極は、さらに、Cu又はCu合金を電極本体とし、その先端部に、前記特徴を有するW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を装着した二重構造とすることが好ましい。
本発明のヒュージング溶接用電極においては、通電焼結とその後のスエージング加工を経て製造されたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金に、その後さらに熱処理を施すことによって、スエージング加工時に導入されて残留している加工残留応力を開放するとともに、当該合金を構成する繊維状組織の結晶粒のアスペクト比を比較的小さく、かつ横断面平均粒子径を比較的大きくしている。このため、耐久性が安定的に高められたヒュージング溶接用電極を安価に提供することが可能となる。
本発明者等は、W電極を用いてヒュージング溶接する際に、電極先端に生じる損耗・欠損の発生原因とその対策について種々の検討を重ねた。Mo電極でも同様と推測する。
まず、溶接時の電極先端部の損耗状況を観察すると、図1に見られるように電極の先端では、先端から垂直方向に伸びたクラックが電極の径方向に伸展したクラックと連結することで、電極の先端表面の粒子が脱落し、欠損していくことがわかる。
ところで、ヒュージング溶接用の電極に用いられるWの棒材は、通常、通電焼結とその後のスエージング加工を経て製造されている。このため、微細な繊維状組織を有している。しかも、スエージング加工等、製造工程で強加工が施されているために、加工残留応力が存在し、非常に硬い状態となっている。
このような状態のままでW棒材を電極に用いると、溶接時に電極先端部に加熱・加圧による応力が繰返し加わって、前記残留応力との相乗作用で、溶接の初期の段階からクラックが発生し、徐々に伸展して行くものと推測される。
したがって、電極先端に生じる損耗・欠損の発生を抑制するためには、クラックの伸展及びクラックの連結を抑えることが有効であり、当初の残留応力を極力排除しておくことが有効であると推測される。
通常、金属材料における残留応力は焼きなましの熱処理を行うことによって除去される。そこで、ヒュージング溶接用の電極に用いられるWの棒材にあっても、スエージング加工等の強加工が施された棒材にさらに焼きなましの熱処理を施して加工残留応力を除去した棒材を素材とすれば、溶接の初期段階から生じるクラックの発生を抑制し得ることを見出したものである。実際に熱処理を施したW材を電極素材に用いたものでは図2に見られるようにクラックの発生が少ない。
ところで、ヒュージング溶接用の電極に用いられるW棒材の加工残留応力量は、常温での硬さを評価することにより大よそ推定することができる。スエージング加工等の強加工が施されたW棒材の断面硬さは通常HV450程度であるのに対して、十分な焼きなまし処理が施された後にあってはHV300弱程度となる。
適正な焼きなまし状態を呈する硬さについての詳細な説明は後述の実施例に譲るが、溶接の初期段階から生じるクラックの発生を抑制し、かつ電極としてその先端形状を維持するには、W若しくはWを基とする合金を電極素材として用いる場合には、HV300〜430の範囲に調整しておくことが好ましい。
この値を超えると、残留応力の低減が不十分で、比較的初期段階からの電極先端にクラックが発生する虞がある。逆にHV300を下回るほどまで焼きなますと電極としての使用の際に先端径が拡大し、比較的短時間で電極寿命を迎えることになる。
なお、Mo若しくはMoを基とする合金を電極素材とした場合では、同様に、HV180〜260の範囲に調整しておくことが好ましい。
溶接時の電極先端部の損耗には、加工残留応力のみでなく、電極先端表面の結晶粒子の分布状況、すなわち金属組織も大きく影響している。
すなわち、スエージング加工により金属組織を繊維状組織とすることは、クラックの伸展方向をより垂直方向に向かわせるために、脱粒を抑制する意味では極めて有効である。しかしながら、前記したように、大きい加工残留応力に起因する弊害をもたらす。焼きなましの熱処理を施すと繊維状組織に変化が生じる。繊維状組織が完全に消滅し、粒状組織にまでなってしまうと、径方向のクラック伸展により脱粒が起こりやすくなって、電極先端部の損耗が大きくなってしまう。また、焼きなましの熱処理を施すと結晶粒も大きくなる。
焼きなましの熱処理後の適正な組織状態についての詳細な説明は後述の実施例に譲るが、芯材の損耗・欠損を抑制するためには、繊維状組織を維持した粒子の長径/短径比、いわゆるアスペクト比が1.5以上であって、それぞれの粒子の横断面平均径が50μm以上であることが必要である。
アスペクト比が1.5に満たないと電極先端で脱粒が起きやすくなる。また、横断面平均粒子径が50μmに満たないと、粒子が脱落しやすくなったり、電気抵抗が大きくなったりして電極損耗が激しくなる。
粒界は、粒界を挟んで隣接する原子間の結合強度が弱い部分であるので、結晶粒子径が小さくなると、粒界面積が増加して粒子が脱落し易くなる。特に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金の場合、横断面平均粒子径が50μm未満であるとその影響が顕著で、衝撃により粒子が脱落しやすく、電気抵抗が大きくなる。したがって、横断面平均粒子径は50μm以上とすることが好ましい。そのため、理想的には、粒界がない単結晶が好ましい。
加熱しながらスエージング加工することにより、本発明のヒュージング溶接用電極の芯材材料を製造する場合、加工温度を再結晶温度以上で焼結温度程度になるまで高くしてスエージング加工用治具の温度も再結晶温度以上で焼結温度程度になるようにできればW又はMoが粒成長し、W又はMo粒子の横断面平均粒子径を限りなく大きくすることができる。しかしながら、実際のところ上記のような焼結温度に近い高温での加工ができず、W又はMo粒子の横断面平均粒子径も3mmが限界である。なお、コスト的な側面をも考慮すると、加工温度を抑え、その横断面平均粒子径は300μm程度を上限とすることが現実的である。
また、加熱しながらスエージング加工することにより本発明のヒュージング溶接用電極の芯材材料を製造する場合は、W又はMoは体心立方格子の結晶構造を有し、もともと展性延性がある材料でなく脆性材料であり、塑性加工がし難く、脆性延性遷移温度(約400℃)を超える温度以上で加工してもW又はMo粒子が延びきれず、途中で切断されてしまいアスペクト比が50となるまでしか加工できない。なお、コスト的な側面をも考慮すると、加工温度を抑え、そのアスペクト比は20程度を上限とすることが現実的である。
さらに、本発明のようなW系又はMo系の金属・合金をヒュージング溶接用二重電極の芯材に用いると、当該W系又はMo系の金属・合金が端子金属と合金化反応を起こすことがある。端子金属との合金化反応が進行すると芯材の先端形状が変形し、結果的に電極寿命を短くすることにつながる。
端子金属との合金化反応を抑制させるためには、W系又はMo系の金属・合金中に2a族元素,4a族元素,5a族元素,6a族元素又は希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物及びホウ化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を分散させることが好ましい。
これらの微粒子は、Sn、Ag、Ni、Cu、Zn、Fe、Co等の端子構成成分や端子めっき成分との反応性に乏しいため、ヒュージング溶接用二重電極の芯材であるW系又はMo系の金属・合金に対して端子金属と濡れ難くし、W系又はMo系の金属・合金と端子金属との合金化反応を抑制する。
本発明のヒュージング溶接用W系又はMo系の金属・合金中にも、2a族元素,4a族元素、5a族元素、6a族元素又は希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物及びホウ化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を分散させると、当該電極の微細割れを抑制する上でも有効である。
W系又はMo系の金属・合金中に分散させた微粒子は、電極が衝撃を受けた際の割れの伝播をピン止めする作用を発揮し、結果的に耐衝撃性に優れ、割れ発生を抑制する。
添加効果を得るには微粒子は0.5質量%以上分散させることが好ましいが、10質量%を超えると電気伝導性が大きく低下し、電極と被溶接材での電気抵抗が高くなって被溶接材間に十分な溶接電流が通電しにくくなるため、安定したヒュージング溶接を進め難くなる。
また、含有させる微粒子の粒子径は、2μm以下にすることが好ましい。2μmを超える微粒子を含有させると熱膨張率の差によって芯材の破壊の起点になりやすい。
次に、本発明のヒュージング溶接用電極の製造方法について説明する。
一般に、W系又はMo系の金属・合金は、焼結法で製造される。本発明のW系又はMo系の金属・合金も焼結法で製造される。通電焼結法を採用することが好ましい。
なお、通電焼結体からなるW系又はMo系の金属・合金にあっては、10〜200ppm程度のK(カリウム)を、酸化物、窒化物、金属K、炭化物或いは硼化物の形態でドープされたものが多用されている。本明細書中では、W系又はMo系の金属・合金としてはKドープのものも包含していることを付言しておく。
必要に応じて微粒子を加えたW系又はMo系の金属・合金の酸化物粉末あるいは金属粉末を還元雰囲気で熱処理し、得られた粉末を適宜形状に成形して予備焼結、通電焼結した後、焼結体にスエージング加工を施して棒状のW系又はMo系の金属・合金を得る。
得られた棒状の金属・合金に焼きなましの熱処理を施す。
その条件としては、W系の金属・合金の場合、非酸化性雰囲気中、1400〜3000℃で1秒以上1時間以下の処理が好ましい。又、Mo系の金属・合金の場合、非酸化性雰囲気中、980〜2100℃で1秒以上1時間以下の処理が好ましい。処理温度が上記に満たないと、或いは処理時間が1秒に満たないと、スエージング加工時に導入された加工残留応力の開放が不十分で、使用時に先端面での脱粒が起こり、電極等として用いる際の寿命が短くなる。逆にW系の金属・合金、Mo系の金属・合金の処理温度が、それぞれ3000℃、2100℃を超えたり、或いは処理時間が1時間を超えるほどに長くしたりすると、スエージング加工時に導入された繊維状組織に再結晶が進行し、アスペクト比が小さくなって硬度が低下し、電極等として用いる際の寿命が短くなる。また、アスペクト比は1.5以上を維持するものの、組織の再結晶が比較的進みにくいため横断面平均粒子径を50μm以上にすることはできない。逆に処理温度が上記温度を超えたり、或いは処理時間が1時間を超えるほどに長くしたりすると、スエージング加工時に導入された繊維状組織に再結晶が進行し、アスペクト比が小さくなりすぎ、横断面平均粒子径も大きくなりすぎるため硬度が低下し、電極等として用いる際の寿命が短くなる。
上記に示したように、芯材のアスペクト比と横断面平均粒子径と規定値範囲内にするためには、熱処理における処理温度と処理時間のバランスを保つことが必要である。
加熱しながらスエージング加工することにより、本発明のヒュージング溶接用二重電極の芯材を製造する場合、横断面平均粒子径を50μm以上にするには、最初のスエージング加工の工程で粒成長させて横断面平均粒子径を50μm近傍まで成長させて、その後再結晶温度以上の熱処理により横断面平均粒子径を50μm以上にする方法と、スエージング加工では粒成長が十分でなくても、後工程の熱処理で粒成長させて横断面平均粒子径を50μm以上とするようにすればよい。効果的に粒成長をさせて必要な粒径にするには、HIP(熱間静水圧)処理をスエージング加工工程の前後に入れるとよい。粒成長には、再結晶化エネルギーを与えるための温度と圧力と時間のファクターが効いている。
また、アスペクト比を1.5以上にするには、スエージング加工工程で少なくとも延性脆性遷移温度(約400℃)以上にして、脆性破壊が起こらないように加工圧力を適切にかけ数回の加工を実施することが好ましい。
上記で得たW系又はMo系の棒体を所定の長さに裁断し、Cu又はCu合金からなる電極本体の先端部に装着して二重電極を製造する。この場合、W系又はMo系棒体は、一端が一部電極本体に埋設され、電極本体から突起した構造となるように装着する。
電極本体に用いるCu又はCu合金には、通常の純銅、あるいはCu−Cr合金、Cu−Cr−Zr合金等が使用される。
電極本体に装着する態様としては、Cu又はCu合金からなる棒状態の電極本体の先端部に穿った孔に、上記で得たW系又はMo系の棒体の後端部を圧入しても良いし、ロウ材を介して挿し込んでも良い。或いは焼き嵌めを行っても良いし、W系又はMo系の棒体を銅材で鋳包んだ後冷間鍛造を施しても良い。W系又はMo系の棒体とCu系電極本体が密に接合されていれば、電気伝導,熱伝導の点で問題になることはない。
二重構造の電極構造体を形成した後、先端に研削加工を施して、適宜所要の形状に整えれば十分である。
実施例1:
供試材として、φ1.5mmのポリウレタン被覆銅線とSnメッキ圧着端子を用いた。電極として、図3に示すような、φ4mm×13mmのタングステン芯材1の端部をφ8mm×22mmの銅材2中に埋め込んで接合した二重構造の電極3を用いた。タングステン芯材1としては、純度99.95%のW粉末を通電焼結した後にスエージング加工とセンターレス研磨を行って直径4mmとし、非酸化性雰囲気中、1400〜3000℃の温度範囲及び1秒以上1時間以下の範囲で種々変更した各種条件の熱処理を施して組織、硬度を変えたものを作製した。このタングステン芯材1の後端をCu2の先端に埋め込んでタングステン芯材1の先端が、Cu2より突起した形状の二重構造の電極3を作製した。なお、表2中、最下段に記載のものは、熱処理を施さず、センターレス研磨までを施した比較例である。
表1に示す条件で連続打点のヒュージング溶接を行った。そして、端子と導線の導通をチェックし導通がないものを溶接不良として電極寿命を求めた。
その結果を表2に示す。
Figure 0004916264
表2の結果からもわかるように、熱処理条件が適切で、芯材のアスペクト比が1.5以上で、かつ横断面平均径が50μm以上となったものを芯材とした電極では、何の問題もなく5000打点を超えるヒュージング溶接が行えた。
これに対して、熱処理の温度が低すぎたり、或いは時間が短すぎたりすると、アスペクト比は1.5以上を維持するものの、横断面平均粒子径を50μm以上にすることはできず、このような芯材を用いると、先端面で脱粒が起こり、5000打点までのヒュージング溶接は行えなかった。また、処理温度が高すぎたり、或いは処理時間が長すぎたりすると、アスペクト比が小さくなりすぎたり、横断面平均粒子径が大きくなりすぎたりする傾向が見られ、このような芯材を用いると、硬度が低くなって芯材の変形が大きくなり、所望の電極寿命は得られなかった。
なお、本実施例では、芯材の形状として円柱状のものを用いたが、角柱状、多角柱状のものでも同様の結果となった。又、絶縁膜被覆銅線の絶縁被膜として本実施例では、ポリウレタンを使用したが、ポリイミドその他の絶縁膜を用いても同様の結果となった。圧着端子として、本実施例ではSnメッキ品を用いたが、Agメッキ品その他のメッキ品を用いてもよく、リン青銅、洋白、コバールその他の材質のものを用いても同様の結果となった。
Figure 0004916264
実施例2:
実施例1と同様、供試材として、ポリウレタン被覆銅線とSnメッキ圧着端子を用いた。電極として、φ4mm×13mmのモリブデン芯材の端部をφ8mm×22mmの銅材中に埋め込んで接合した二重構造の電極を用いた。モリブデン芯材として、純度99.95%のMo粉末を通電燒結した後にスエージング加工とセンターレス研磨を行って直径6mmとし、非酸化性雰囲気中、980〜2100℃の温度範囲及び1秒以上1時間以下の範囲で種々変更した各種条件の熱処理を施して組織を変えたものを作製した。このモリブデン芯材の後端をCuの先端に埋め込んでモリブデン芯材1の先端が、Cu2より突起した形状の二重構造の電極を作製した。なお、表3中、最下段に記載のものは、熱処理を施さず、センターレス研磨までを施した比較例である。
実施例1と同じ条件で連続打点のヒュージング溶接を行い、実施例と同じ評価を行った。
その結果を表3に示す。
表3の結果からわかるように、実施例1と全く同様に、熱処理条件が適切で、芯材のアスペクト比が1.5以上で、かつ横断面平均径が50μm以上となったものを芯材とした電極では、何の問題もなく5000打点を超えるヒュージング溶接が行えた。
これに対して、熱処理の温度が低すぎたり、或いは時間が短すぎたりすると、アスペクト比は1.5以上を維持するものの、横断面平均粒子径を50μm以上にすることはできず、このような芯材を用いると、先端面で脱粒が起こり、5000打点までのヒュージング溶接は行えなかった。また、処理温度が高すぎたり、或いは処理時間が長すぎたりすると、アスペクト比が小さくなりすぎたり、横断面平均粒子径が大きくなりすぎたりする傾向が見られ、このような芯材を用いると、硬度が低くなって芯材の変形が大きくなり、所望の電極寿命は得られなかった。
なお、本実施例では、芯材の形状として円柱状のものを用いたが、角柱状、多角柱状のものでも同様の結果となった。又、絶縁膜被覆銅線の絶縁被膜として本実施例では、ポリウレタンを使用したが、ポリイミドその他の絶縁膜を用いても同様の結果となった。圧着端子として、本実施例ではSnメッキ品を用いたが、Agメッキ品その他のメッキ品を用いてもよく、リン青銅、洋白、コバールその他の材質のものを用いても同様の結果となった。
Figure 0004916264
実施例3:
粒子径0.5μmのCeO2粉末を種々の配合割合で分散させたWを芯材とし、電極寿命に及ぼすCeO2粉末の含有量と幅寸法比率の影響を調査した。
芯材にCeO2粉末を含有させた以外は、実施例1と同じであり、芯材の熱処理を1600℃×30分の条件として、アスペクト比が1.7,横断面平均径が100μm、常温硬度がHV380の芯材特性とした。
表4に示す結果からわかるように、CeO2粉末の含有量が0.5〜10質量%の条件では、5000打点以上の電極寿命で改善効果が見られた。
これに対して、CeO2粉末含有量が0.5質量%未満でもアスペクト比と横断面粒子径の効果で電極寿命は5000打点以上となったが、芯材先端には比較的多くのめっき金属が堆積していた。また、CeO2粉末含有量が10質量%を超えると寿命改善作用が消滅していた。これは、電極先端へのめっき金属の堆積量が多くなり、電極と被溶接材での電気抵抗が高くなって溶接が不十分になってしまうためと推測される。
なお、本実施例では、芯材の形状として円柱状のものを用いたが、角柱状、多角柱状のものでも同様の結果となった。又、絶縁膜被覆銅線の絶縁被膜として本実施例では、ポリウレタンを使用したが、ポリイミドその他の絶縁膜を用いても同様の結果となった。圧着端子として、本実施例ではSnメッキ品を用いたが、Agメッキ品その他のメッキ品を用いてもよく、リン青銅、洋白、コバールその他の材質のものを用いても同様の結果となった。
Figure 0004916264
実施例4:
粒子径と材質を種々変更した微粒子を、1質量%分散させたWを芯材として電極寿命を調査した。
芯材の特性及び溶接条件は、実施例3と同じである。
表5に示す結果からわかるように、粒子径が2μm以下の微粒子をWに分散させた場合は、電極寿命が大幅に延びた。電極寿命の改善は、2a族元素,4a族元素,5a族元素,6a族元素又は希土類元素の化合物である限り、微粒子の種類に拘らず有効であった。
また、CeOの微粒子の粒子径を0.5〜3μmで変更した場合は、粒子径が2μm以下で電極寿命の改善効果が見られた。
なお、本実施例では、芯材の形状として円柱状のものを用いたが、角柱状、多角柱状のものでも同様の結果となった。又、絶縁膜被覆銅線の絶縁被膜として本実施例では、ポリウレタンを使用したが、ポリイミドその他の絶縁膜を用いても同様の結果となった。圧着端子として、本実施例ではSnメッキ品を用いたが、Agメッキ品その他のメッキ品を用いてもよく、リン青銅、洋白、コバールその他の材質のものを用いても同様の結果となった。
Figure 0004916264
従来のヒュージング溶接用電極における芯材先端部の損耗状況を模式的に説明する図 本発明のヒュージング溶接用電極における芯材先端部の損耗状況を模式的に説明する図 二重構造の埋め込み型ヒュージング電極の構造(a)とヒュージング溶接状況(b)を説明する図

Claims (7)

  1. W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなり、横断面平均粒子径が50μm以上であり、かつアスペクト比が1.5以上になるように軸方向に伸びた組織を有することを特徴とするヒュージング溶接用電極。
  2. 焼結とスエージング加工、並びにその後に焼きなましの熱処理が施され、繊維状組織を有する請求項1に記載のヒュージング溶接用電極。
  3. W若しくはWを基材とする合金からなり、常温の硬度がHV300〜430である請求項1又は2に記載のヒュージング溶接用電極。
  4. Mo若しくはMoを基材とする合金からなり、常温の硬度がHV180〜260である請求項1又は2に記載のヒュージング溶接用電極。
  5. 合金中に、2a族元素,4a族元素、5a族元素,6a族元素又は希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物及びホウ化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子が0.5〜10質量%の割合で分散されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒュージング溶接用電極。
  6. 分散された微粒子が、平均粒子径が2μm以下である請求項5に記載のヒュージング溶接用電極。
  7. Cu又はCu合金からなる電極本体の先端部に、請求項1〜6のいずれかに記載のW又はMo若しくはそれらを基材とする合金が芯材として装着されているヒュージング溶接用電極。
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