[go: up one dir, main page]

JP4915422B2 - 液滴吐出ヘッドの配線構造 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの配線構造 Download PDF

Info

Publication number
JP4915422B2
JP4915422B2 JP2009021037A JP2009021037A JP4915422B2 JP 4915422 B2 JP4915422 B2 JP 4915422B2 JP 2009021037 A JP2009021037 A JP 2009021037A JP 2009021037 A JP2009021037 A JP 2009021037A JP 4915422 B2 JP4915422 B2 JP 4915422B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wiring
constant potential
short
driver
line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009021037A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010173276A (ja
Inventor
浩司 今井
宏史 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2009021037A priority Critical patent/JP4915422B2/ja
Publication of JP2010173276A publication Critical patent/JP2010173276A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4915422B2 publication Critical patent/JP4915422B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、液体を吐出させるための圧電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドに適用される配線構造に関する。
液滴吐出ヘッドの一例として、被記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドが知られている。インクジェットヘッドでは、ノズル数を増やして記録される画像を高品質にするため、各ノズルに対応して設けられる圧力室の高密化が求められている。圧力室を高密化すると、隣接する圧力室間の距離が短くなるため、圧電アクチュエータを駆動する際の隣接する圧力室への影響、所謂クロストークが生じる。例えば特許文献1のインクジェットヘッドによれば、圧電アクチュエータを構成する圧電層のうち最も圧力室から離れた層に個別電極が形成され、個別電極の両側に溝が形成されている。このため圧電効果による活性部の変形時に、圧力室間の領域の変形をこの溝で吸収可能となる。
特開2003−311954号公報
このように個別電極の両側に溝を形成すると、溝を形成しない場合と比べ、活性部の変形が隣接する圧力室に伝播しにくくなり、上記クロストークを抑制することができる。しかし、更なる高品質化の要求により圧力室もより一層高密に配列することが求められており、より優れたクロストークの対策が求められている。
そこで本発明は、圧力室を高密化しても良好にクロストークを抑制可能な液滴吐出ヘッドを提供することを目的とし、このような目的を達成すべく構成された液滴吐出ヘッドに適用するに相応しい配線構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成すべく、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、複数の圧力室内の液体を選択的に吐出させるための圧電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドであって、前記圧電アクチュエータは、前記圧力室内の液体を選択的に吐出させるために選択的に駆動電圧が付与される個別電極と、第1の定電位が付与される第1定電位電極と、第2の定電位が付与される第2定電位電極とを備えている。この液滴吐出ヘッドによれば、圧電アクチュエータに個別電極と第1定電位電極とにより形成される活性部と、個別電極と第2定電位電極とにより形成される活性部とを設けることができ、2種の活性部の動作により所謂クロストークを良好に抑制可能となる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの配線構造は、このような液滴吐出ヘッドに適用され、前記圧電アクチュエータを駆動するための配線を有した液滴吐出ヘッドの配線構造であって、複数の前記配線が設けられた配線板と、前記配線板上に実装されて前記駆動電圧を選択的に出力するドライバとを有し、前記複数の配線には、前記ドライバに電源供給するための電源線と、前記ドライバをグランド電位とするためのグランド線と、前記第1定電位を前記第1定電位電極に供給するための第1定電位配線と、前記第2定電位を前記第2定電位電極に供給するための第2定電位配線と、前記電源線と前記第1定電位配線とを短絡する第1短絡線と、前記グランド線と前記第2定電位配線とを短絡する第2短絡線とが含まれ、前記配線板において幅方向に対向する2つの外縁において、前記第1及び第2の定電位配線のうちいずれか一方の定電位配線は、前記2つの外縁おいて最外側に配置され、他方の定電位配線は前記2つの外縁のうちの一方の外縁において、前記一方の定電位配線の内側に隣接して配置され、前記ドライバに接続されるグランド線及び電源線のうち前記他方の定電位配線と短絡される配線は、前記一方の外縁において前記他方の定電位配線の内側に隣接して配置され、前記一方の定電位配線と短絡される配線は、前記2つの外縁のうち他方の外縁において前記一方の定電位配線の内側に隣接して配置され、前記第1短絡線と前記第2短絡線が、それぞれが短絡する配線と同じ面上に設けられていることを特徴としている。
このような配線構造により、圧電アクチュエータの各電極に所定の電位を付与することができる。そして、第1及び第2短絡線を含めて配線板の同一の面に複数の配線を設けることができる。そのため、表裏両面に配線を設ける場合と比べ、配線構造の製造コストを低くすることができる。また、アクチュエータの分極工程後に容易に第1及び第2短絡線を容易に接続することができる。
前記配線板は前記圧電アクチュエータに接合される中央部と、前記中央部に対して互いに反対方向に引き延ばされる第1及び第2延在部とを有し、前記中央部には第1の前記ドライバと第2の前記ドライバとが実装され、前記第1延在部には、前記第1ドライバに対応する前記グランド線及び前記電源線が設けられ、前記第2延在部には、前記第2ドライバに対応する前記グランド線及び前記電源線が設けられており、前記第1延在部に設けられている配線が、前記第2延在部に設けられている配線に対して前記中央部を中心にして180度回転対称の関係で配置されていてもよい。
前記第2定電位配線が最外側に配置されていてもよい。
前記2つの外縁の各々に沿って一対の前記グランド線が設けられており、前記一対のグランド線が前記ドライバを介して接続されていてもよい。
前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室の中央部に対向する第1活性部と前記複数の圧力室の中央部分よりも外側の部分と対向する第2活性部とが形成されていて、前記個別電極と前記第1定電位電極とで挟まれた領域に形成された第1活性部と、前記個別電極と前記第2定電位電極とで挟まれた領域に形成された第2活性部とを有し、前記第1及び第2活性部はそれぞれ、電圧印加時に圧力室に向かう第1方向に伸長するとともにその第1方向と直交する第2方向に収縮する変形状態となるよう構成され、前記第1活性部への電圧印加時には前記第2活性部に電圧が印加されず、前記第1活性部に電圧を印加しないときには前記第2活性部に電圧が印加される構成であってもよい。
本発明によると、圧力室を高密化しても良好にクロストークを抑制可能な液滴吐出ヘッドを提供することができ、このような作用効果を奏する液滴吐出ヘッドに適した配線構造を提供することができるとともに、この配線構造の製造コストを下げることができる。
本発明の第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。 図1に示すインクジェットヘッドの部分縦断面図である。 図1に示すインクジェットヘッドの部分横断面図である。 図1に示すインクジェットヘッドに適用される配線構造の平面図である。 図1乃至図4に示す圧電アクチュエータ及び配線構造の電気的構成を示す電気回路図である。 図4に示す本発明の第1実施形態に係る配線構造と対比される別構成の配線構造の説明図であって、(a)がその平面図、(b)がその背面図である。 図1乃至図3に示す圧電アクチュエータの分極工程の説明図である。 本発明の第2実施形態に係る配線構造の平面図である。
これら図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ここでは、本発明に係る液滴吐出ヘッドをインクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドに適用した場合を例示し、該ヘッドよりインクが吐出する方向を下方として説明する。
図1乃至図3に示すインクジェットヘッド1は、流路ユニット2の上側から圧電アクチュエータ3を重ねて接合して構成される。両部品2,3は平面視略矩形状であり、便宜的にその長辺方向を「縦方向」、短辺方向を「横方向」とする。
図3には一部のみ示すが、流路ユニット2の下面にはノズル4が開口し、上面にはノズル4に連通する圧力室孔5が開口している。図1を参照すると、圧力室孔5は、横方向に長い略矩形状で、多数の圧力室孔5が流路ユニット2の上面に高密に配列されている。これら圧力室孔5は縦方向に略一定ピッチで並設されて複数の列をなし、横方向には千鳥状に配置されている。なお、各圧力室孔5は対応する1つのノズル4と連通し、流路ユニット2の下面には多数のノズル4が圧力室孔5と略同パターンで配列される。図3に戻り、これら圧力室孔5が圧電アクチュエータ3の下面で閉鎖されることによりインクジェットヘッド1に多数の圧力室6が形成される。流路ユニット2には、外部のインク供給源からのインクをその種類毎に貯留する共通インク室7が形成され、各圧力室6はこの共通インク室7の何れか1つと連通している。図1にはインクを流路ユニット2に導入するインク供給口47を示しており、流路ユニット2内には、該インク供給口47から共通インク室7及び各圧力室6を介して各ノズル4にインクを供給するためのインク流路が形成されている。
図2及び図3に示すように、圧電アクチュエータ3は、振動板であるボトム層8上に2つの圧電層9,10を積層してなる。ここでは、これら圧電層のうち下側を「中間層9」、上側を「トップ層10」と呼ぶ。ボトム層8は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、複数の圧力室6を覆うように、流路ユニット2の上面に配置されている。また、ボトム層8の厚みは20μm程度となっている。なお、ボトム層8の材料は、圧電材料には限られない。圧電層9,10は、ボトム層8と同様の圧電材料からなり、互いに積層されてボトム層8の上面に配置されている。この厚みも各20μm程度となっている。トップ層10の上部側には各圧力室6に対応し、各圧力室6の面積のほぼ全域と対向するように配置された略矩形状の個別電極11が設けられている。中間層9とトップ層10との間には各圧力室6に対応する上部定電位電極12が設けられ、ボトム層8と中間層9との間には多数の圧力室6に共通する下部定電位電極13が設けられている。
図2に示すように、個別電極11及び上部定電位電極12は互いの縦方向中心が略一致し、個別電極11の縦方向寸法は上部定電位電極12のそれよりも長い。そのため、個別電極11の縦方向中央部は上部定電位電極12と平面視で重なり、縦方向両端部は下部定電位電極13と平面視で重なっている。個別電極11の縦方向中央部と上部定電位電極12とで挟まれた部分は、これら電極11,12間で分極された第1活性部14をなす。また、個別電極11の縦方向各端部と下部定電位電極12とで挟まれた部分は、これら電極11,13間で分極された第2活性部15をなす。つまり、第1活性部14は圧力室6の中央部に対応して配置され、第2活性部15はこの第1活性部14の外側であって圧力室6の中央部の外側の部分に対応して配置される。
図1,図3に示すように、各個別電極11は、横方向に関してノズル4と反対側の端縁から、圧力室6と対向しない領域にまで横方向に突出するよう延びる部分を有し、この部分に端子部17が一体的に設けられている。上下の定電位電極12,13(図2及び図3参照)はそれぞれ、図示しない領域を上下に貫通するスルーホールを介し、トップ層10の上面に設けられた端子部18,19と電気的に導通している。このトップ層10の上面側には配線板20が重ねて設けられる。配線板20の下面側には、端子部17〜19と対応する接続端子が設けられており、配線板20は、これら接続端子が金属などの導電性材料からなる図示しないバンプ等を介して対応する端子部17〜19のそれぞれと電気的に導通するようにして、圧電アクチュエータ3に接合される。
図2及び図3を参照し、各個別電極11に付与される電位は、配線板20に実装されたドライバ23によって高電位とグランド電位との間で切り替えられるようになっている。対応する圧力室6の容積を変動させる駆動時には、個別電極11には例えば20V程度の高電位(以下「第1電位」と呼ぶ)が選択的に付与され、その後グランド電位(以下「第2電位」と呼ぶ)が付与される。一方、インクの吐出を要しない待機時には第2電位が付与される。また、配線板20を通じて上部定電位電極12には第1電位が常時付与され、下部定電位電極13には第2電位が常時付与される。このため、第1活性部14は、待機時に印加される電圧の方向と同方向に分極されて活性化され、第2活性部15は、駆動時に印加される電圧の方向と同方向に分極されて活性化されている。これら活性部を形成する一対の電極間に電位差が生じると、これら電極に挟まれた圧電層に電圧が印加されることとなり、積層方向の電界が生じる。圧電層の分極方向と電界方向とが同じ場合には逆圧電効果が生じ、圧電層9,10はその分極方向である積層方向に伸長し、該積層方向に直交する方向である水平方向に収縮する。
従って、待機時には、逆圧電効果の発揮に有効となる電圧が印加されていない第2活性部15は変形せず、有効となる電圧が印加されている第1活性部14は積層方向に伸張して水平方向に収縮する。このとき、中間層9はボトム層8に接合されているので、トップ層10と中間層9との間で水平方向への歪みに差が生じる。これによりボトム層8及び圧電層9,10は、圧力室6に向かう積層方向に突出変形する。駆動時は、逆圧電効果の発揮に有効となる電圧が印加されていない第1活性部14は変形から回復する。他方、有効となる電圧が印加された第2活性部15は積層方向に伸長して水平方向に収縮しようとするので、第2活性部15が圧力室6から離れる方向に反るように変形する。これら活性部14,15の変形の複合により圧力室6の容積が増大し、共通インク室7から圧力室6へとインクが供給されることとなる。そして、個別電極11の電位を下部定電位電極13と同電位にすると、上記同様ボトム層8及び圧電層9,10が圧力室6に向かうようにして積層方向に突出変形して圧力室6の容積が瞬時に減少する。これにより、この圧力室6内のインクがノズル4より下方に吐出される。
このように本インクジェットヘッド1においては、第1活性部14に対する電圧の印加と非印加との切替によって第1活性部14が変形する。これと同時に、第2活性部15に対する電圧の印加と非印加との切替が行われるが、この切替によって第2活性部15は、第1活性部14の変形が隣接する圧力室6に伝播するのを抑制するようにして変形する。このため、多数の圧力室6を高密化しても良好にクロストークを抑制することができる。
なお、本発明に係る液滴吐出ヘッド1の圧電アクチュエータ3の構成は上記のものに限られない。圧電アクチュエータが、各圧力室に対し2種の定電位電極と、1種の個別電極とを有し、これら3種の電極によって圧力室の中央部に対応する第1活性部と、この中央部よりも外側の部分に対応する第2活性部とが形成されていれば、どのように構成されていてもよい。なお、第2活性部15は圧力室6の外周縁よりも内側の領域を含んでいてもよい。これにより、第1活性部14だけでなく第2活性部15も圧力室6の容積変化に貢献することとなり、第1活性部14だけによる場合と比べ、圧力室6の容積変動量が大きくなる。
この圧電アクチュエータ3の製造時には、まずボトム層8、中間層9、トップ層10および各電極11〜13を前述した位置関係になるように互いに積層する。次に、この圧電アクチュエータ3の第1及び第2活性部14,15を分極するための分極工程を行うことにより、前述したようにインクを吐出するよう動作可能な圧電アクチュエータ3が作成される。この分極工程の詳細については後述する。
次に、図1を参照しつつ図4及び図5に基づき、圧電アクチュエータ3に電圧を印加するための配線構造について説明する。図4に示すように本配線構造は前述した配線板20を備えている。配線板20には、圧電アクチュエータ3に上側から重ねられて圧電アクチュエータ3の上部側に接合される矩形状のCOF部21と、このCOF部21の一端縁に接合された帯状の第1FPC部22と、COF部21の他端縁に接合された帯状の第2FPC部72とが含まれている。
COF部21を圧電アクチュエータ3に接合した状態において、第1FPC部22は圧電アクチュエータ3から外側へと一方向に引き出されるように設けられる。第2FPC部72は圧電アクチュエータ3から外側へと第1FPC部22とは反対の方向に引き出されるように設けられる。COF部21及び各FPC部22,72は何れも公知のフレキシブル配線板である。各FPC部22,72は例えばハンダ付けによってCOF部21の端縁に接合され、この接合によって両部21,22,72に設けられている配線が電気的に導通し合う。なお、各FPC部22,72には、COF部21との接合部分とは反対側の端縁において、各配線のコンタクトが設けられている。これらコンタクトはインクジェットプリンタの所定箇所に配設された基板上に実装されているレセプタクルコネクタに接続され得る。
配線板20のCOF部21には、各個別電極11に印加する電圧を選択的に出力する2つのドライバ23,73が実装されている。図中左側に配置された第1ドライバ23は第1FPC部22に設けられた配線に対応して設けられたものであり、図中右側に配置された第2ドライバ73は第2FPC部72に設けられた配線に対応して設けられたものである。また、配線板20には、多数の個別配線24,74、電源線(VDD2)25,125,75,175、グランド線(VSS2)26,176、上部定電位配線(VCOM)127,77、下部定電位配線(COM)28,128,78,178、第1短絡線29,79、及び第2短絡線30,80が設けられている。なお、図示しないが配線板20の各FPC部22,72には、その他に、圧電アクチュエータ3の駆動態様を指定する波形信号線、ドライバ23,73から個別電極11へ出力される駆動信号をチャンネルごと指示する印字データ線、クロック信号等を出力するための複数の制御信号線、ドライバ23,73自体の電源電圧線(VDD1)(例えば3.3V)及び接地電圧線(VSS1)(例えば0V)等が設けられており、これら配線がドライバ23,73に接続されている。
各個別配線24,74は、各個別電極11に対応して設けられ、各個別電極11に第1及び第2の電位をインクの吐出タイミングに応じて付与するための配線である。各個別配線24,74は、対応するドライバ23,73から各個別電極11の端子部17に対応する配線板20上の接続端子に向けて延びている。
電源線(VDD2)25,125,75,175は、対応するドライバ23,73に電源供給するための配線であり、ドライバ23,73に接続されている。グランド線(VSS2)26,176は対応するドライバ23,73をグランド電位に接続するための配線であり、ドライバ23,73に接続されている。
上部定電位配線(VCOM)127,77は、上部定電位電極12に高電位である第1電位を常時付与するための配線であり、上部定電位電極12の端子部18に対応する配線板20上の接続端子に向けて延びている。下部定電位配線(COM)28,128,78,178は、下部定電位電極13にグランド電位である第2電位を常時付与するための配線であり、下部定電位電極13の端子部19に対応する配線板20上の接続端子に向けて延びている。
第1短絡線29,79は、電源線125,75と上部定電位配線127,77とを接続する配線であり、第2短絡線30,80は、グランド線26,176と下部定電位配線28,178とを接続する配線である。なお、第1短絡線29,79および第2短絡線30,80は、圧電アクチュエータ3の作製工程において、後述する圧電アクチュエータ3の分極工程が終了した後に設けられる。
図5は上記圧電アクチュエータ3及び配線構造の電気的構成を説明する電気回路が示されている。但し、図5には第1ドライバ23に関連する構成のみを示している。図5に示すように、第1及び第2活性部14,15は、各電極11〜13を極板とする第1及び第2コンデンサ31,32とそれぞれ等価である。上部定電位配線(VCOM)127と下部定電位配線(COM)28,128とはこれらコンデンサ31,32を介して接続され、第1コンデンサ31が高電位側に位置する。コンデンサ31,32の充電時にはこれと等価の活性部14,15が変形し、コンデンサ31,32の放電時にはこれと等価の活性部14,15が変形状態から回復する。
ドライバ23は、第1コンデンサ31の充電/放電の状態と第2コンデンサ32の充電/放電の状態とが互いに逆の関係となるようにして、両コンデンサ31,32の状態を切り替える回路と等価であり、該回路は例えば電源線(VDD2)25,125とグランド線(VSS2)26との間に直列的に介在する2つのトランジスタ34,35より構成される。つまり、電源線25,125が第1トランジスタ34のコレクタに接続され、第1トランジスタ34のエミッタが第2トランジスタ35のコレクタに接続され、第2トランジスタ35のエミッタがグランド線26に接続される。そして個別配線24が、両トランジスタ34,35間を結ぶ配線と個別電極11との間を接続する。個別電極11は、第1活性部14と等価である第1コンデンサ31の低電位側極板として機能し、第2活性部15と等価である第2コンデンサ32の高電位側極板としても機能する。
前述したようにインクの吐出に際しては、個別電極11の電位をグランド電位である第2電位から高電位である第1電位へと立ち上げ、その後第1電位から第2電位へと立ち下げるという手順がとられる。また、待機時は個別電極11に第2電位が印加される。
個別電極11の電位の立ち上げは、第1トランジスタ34をONにして第2トランジスタ35をOFFにすることと等価である。このとき、電源線25,125が、第1トランジスタ34及び第2コンデンサ32を介して下部定電位配線28,128と接続され、第2コンデンサ32が充電される。個別電極11の電位の立ち下げは、第1トランジスタ34をOFFにして第2トランジスタ35をONにすることと等価である。このとき、上部定電位配線127が第1コンデンサ31及び第2トランジスタ35を介してグランド線26と接続され、第1コンデンサ31が充電される。また、立ち上げ時に充電された第2コンデンサ32が個別配線24、グランド線26、第2短絡線30及び下部定電位配線28,128により構成される閉回路上にあり、第2コンデンサ32に貯められた電荷が放電される。このときの各トランジスタ34,35のON/OFF設定は待機時にも維持される。そのため、個別電極11の電位の立ち上げ時を再び考慮すると、待機時に充電された第1コンデンサ31が上部定電位配線127、第1短絡線29及び個別配線24により構成される閉回路上にあり、第1コンデンサ31に貯められた電荷が放電される。
本配線構造には、個別配線24(74)、電源線25,125(75、175)、グランド線26(176)、上部定電位配線127(77)及び下部定電位配線28,128(78,178)と共に2本の短絡線29,30(79,80)が設けられているため、3種の電極11〜13に第1及び/又は第2電位を付与することができ、これら3種の電極11〜13によって構成される2種の活性部14,15を、クロストークが抑制されるようにして動作させることができる。
ここで、本実施形態に係る配線構造の特徴を明確にするために示す別構成の配線構造について図6を参照して説明する。図6に示す配線構造の配線板920においては、そのCOF部921において第1及び第2ドライバ923,973が実装され、各ドライバに対応する配線を設けた2つのFPC部922,972がCOF部921に接合されている。各FPC部922,927の構成は互いに同じである。即ち、何れのFPC部922,972においても、対応するドライバ923,973に接続される電源線925,975及びグランド線926,927と、圧電アクチュエータ3に所定の電位を付与するための上部定電位配線927,977及び下部定電位配線928,978と、電源線925,975及び上部定電位配線927,977を短絡する第1短絡線929,979と、グランド線926,976及び下部定電位配線928,978を短絡する第2短絡線930,980とが設けられている。以下では、第1FPC部922にのみ着目して説明し、第2FPC部927についての説明を省略する。
第1FPC部922には電源線925、グランド線926、上部定電位配線927及び下部定電位配線928の4つの配線からなる配線群が2群設けられており、各配線925〜928はFPC部922の延在方向と互いに平行に延在している。各配線群においては、下部定電位配線928、上部定電位配線927、グランド線926、電源線925が外縁側から中央側へとこの順で並んで設けられている。2つの定電位配線927,928は第1ドライバ923の外縁側領域を通過させて圧電アクチュエータ3側と接続させる必要があるという観点と、高電位側よりもグランド側を外側に配置したほうがショートなど、電気的な不具合を防ぎ易いという観点とに基づいて、4つの配線925〜928がこのようにして並べられている。従って、第1短絡線929は電源線925と上部定電位配線927とを接続するため、これら配線925,927間に介在するグランド線926と干渉しないよう配置され、第2短絡線930はグランド線926と下部定電位配線928とを接続するため、これら配線926,928間に介在する上部定電位配線927と干渉しないよう配置される必要がある。また、配線群が配線板920の外縁に2群設けられているのは、たとえば、どちらか一方の外縁のみに配線群が設けられた場合、各配線925〜928,975〜978が接続されるドライバ923,973および圧電アクチュエータ3の長手方向に対して、一方側からのみ電圧が供給されることとなり、ドライバ923,973及び圧電アクチュエータ3の長手方向他方側に対して内部で電圧降下が発生して、吐出特性のばらつきを呈することがある。そのため、配線群は、ドライバ923,973及び圧電アクチュエータ3の長手方向の両方側から電圧を供給することで、電圧降下が起こらないようにしている。また、各配線群の間には、図示しない複数の制御信号線や接地電圧線(VSS1)、電源電圧線(VDD1)がFPC部922,972の延在方向と平行に延在している。
この場合、第1及び第2短絡線929,930は、基板部の裏面に設けたジャンパ線937,938によって実現することができる。本実施形態では、両面フレキシブルプリント基板を用いている。ジャンパ線937,938は、例えば、汎用のジャンパーケーブルで接続したり、ジャンパチップを設けて接続することで、両面フレキシブルプりんと基板を用いなくても、配線が表面のみにある片面フレキシブルプリント基板で行なうことも可能である。しかし、短絡させる配線が高密度に形成されていて、ジャンパーケーブルでの接続は、接続工程において作業困難で製造しにくく、また、ジャンパチップを設ける場合、ジャンパ線を流れる放電電流が大きいため、チップの定格電流を超えてしまうことがあり、チップが壊れやすい。このような構造でジャンパ線を設けることで、上記問題なくジャンパ構造をとることができる。これにより基板部の表側面において第1及び第2短絡線929,930が、グランド線926又は上部定電位配線927を物理的に跨ぎ越すような架橋構造になるのを避けることができ、本配線構造が配線板920の厚さ方向に大型になるのを避けることができる。しかし、この構成によれば、第1FPC部922の表裏両面に配線が印刷形成されている必要があり、第1FPC部922の製造コストが嵩む。所謂両側引き出し方式の配線構造においては、2つのFPC部922の製造コストがかさむこととなり、配線構造のコストが全体的に大きくなってしまう。
図4に戻ると、本実施形態では、第1ドライバ23はCOF部21の上面側に実装され、第1FPC部22との接合部となる端縁に近接して配置されている。第1ドライバ23は平面視矩形状のICチップの形態をなし、その長手方向が端縁の延在方向と平行となるようにして配置されている。第1ドライバ23に対応する各個別配線24は、COF部21上にて、このように配置されるドライバ23から概ね反対側の端縁に向けて延在している。第2ドライバ73及びこれに対応する各個別配線74も同様の構成となっている。
第1FPC部22は略矩形帯状に形成され、その延在方向に延びる一対の外縁のそれぞれに近接する2つの配線群が設けられている。図中上側の外縁に近接して設けられた第1配線群は、第1ドライバ23に対応する電源線25、グランド線26及び下部定電位配線28の3つの配線からなり、図中下側の外縁に近接して設けられた第2の配線群は、第1ドライバ23に対応する電源線125、上部定電位配線127、及び下部定電位配線128の3つの配線からなる。つまり、第1配線群は、第2短絡線30により接続される2つの配線26,28が含まれており、図6に示す別構成においてはこれら2つの配線の間に挟まれるようにして配置されていた上部定電位配線が省略されている。同様に、第2配線群には、第1短絡線29により接続される2つの配線125,127が含まれており、図6に示す別構成においてはこれら2つの配線の間に挟まれるようにして配置されていたグランド線が省略されている。
言い換えると、第1配線群は、第2短絡線30で接続されるべき2つの配線26,28が隣り合うようにして配置されている。そのため、第1FPC部22の基板部の表側面上にて、これら2つの配線26,28に跨るようにしてハンダ等の導電材を設置するだけで、該2つの配線26,28を互いに電気的に導通させることができる。同様に、第2配線群は、第1短絡線29で接続されるべき2つの配線125,127が隣り合うようにして配置されている。そのため、第1FPC部22の基板部の表側面上にて、これら2つの配線125,127に跨るようにしてハンダ等の導電材を設置するだけで、これら2つの配線125,127を互いに電気的に導通させることができる。
このように本配線構造の第1FPC部22においては、第1及び第2短絡線29,30で短絡されるべき配線が互いに隣り合うようにして設けられるようにしている。このため、第1及び第2短絡線29,30を設ける面と該短絡線29,30で短絡される4種の配線25〜28を設ける面とを同一にしつつ、短絡されるべき配線上に導電材を設置するだけで該短絡線29,30を構成することができる。従って、第1FPC部22の基板部の裏側面に配線を印刷形成する必要がなくなり、配線板20の製造コストを下げることができる。また、表側面に短絡用の架橋構造を設ける必要がなく、配線板20が厚み方向に大型化して屈曲性が損なわれるのを避けることができる。
なお、第1FPC部22の上面には、例えば抵抗器やコンデンサ等の複数の電子素子36が実装されている。ここでは該電子素子36による電気的な作用について詳細に説明しないが、図4に示すように、第1短絡線29及び第2短絡線30を構成する導電材の設置箇所は、これら電子素子36の実装箇所と、第1FPC部22の延在方向と直交する方向に略一直線状に並んで設けられている。即ち、短絡線29,30を構成する導電材及び電子素子36が、第1FPC部22の延在方向に関して略同位置に設けられている。
ここで、第1FPC部22に電子素子36が実装されたり導電材が設置されたりすると、その箇所において第1FPC部22を自在に曲げにくくなってしまう。そこでこれら導電材及び電子素子36を第1FPC部22の延在方向に関して略同位置に配置したことにより、自在に曲げにくくなる箇所を極力減らし、第1FPC部22の取り回し易さや屈曲性が極力損なわれないようにしている。
また、第1及び第2短絡線29,30は、電子素子36と共に、第1FPC部22上において、なるべくCOF部21との接合部分に近接して配置されている。これにより、第1及び第2活性部14,15から第1及び第2短絡線29,30までの配線長をなるべく短くすることができ、第1ドライバ23に入力する電圧の電圧降下をなるべく小さくすることができ、第1ドライバ23に付与可能な最大定格電圧(VDD1+VDD2の合計)に対して電圧降下分が加わることで、ドライバ23の破壊されることを防止できる。また、活性部14,15における電圧変動をなるべく小さくすることができ、圧電アクチュエータ3を安定して動作させることができるようになる。
ここで、COF部21の一対の外縁にはそれぞれ、下部定電位電極13の端子部19と平面視で重なるよう配置されて該端子部19と導通される下部用接続端子60,160と、上部定電位電極12の端子部18と平面視で重なるよう配置されて該端子部18と導通される上部用接続端子61,161とが設けられている。図中下側の外縁に沿って設けられた下部用接続端子160は、COF部21と第1FPC部22との接合により、第1FPC部22の第2配線群を構成する下部定電位配線128と導通され、上部用接続端子161は、同上部定電位配線127と導通される。また、図中上側の外縁に沿って設けられる上部用接続端子60は、第1FPC部22の第1配線群を構成する上部定電位配線28と導通される。但し、下部用接続端子61は、第1配線群から下部定電位配線27を省略しているために、第1FPC部22に設けられた配線とは電気的に導通されていない。この下部用接続端子61は、第2FPC部72に設けた下部定電位配線77と導通されている。
第2FPC部72における配線のレイアウトは、第1FPC部22における配線のレイアウトと、COF部21の中央部を中心にして180度回転対称の関係にある。そのため、前述した第1FPC部22の配線レイアウトに基づく、電圧降下の低減や屈曲性の確保等の作用効果は、第2FPC部72においても同様にして得られる。
つまり、第2FPC部72には、その延在方向に延びる一対の外縁のそれぞれに近接して2つの配線群が設けられている。図中上側の外縁に近接して設けられた第1配線群は、第1FPC部22の第2配線群と同様、第2ドライバ73に対応する電源線75、上部定電位配線77及び下部定電位配線78の3つの配線からなり、図中下側の外縁に近接して設けられた第2配線群は、第1FPC部22の第1配線群と同様、第2ドライバ73に対応する電源線175、グランド線176、及び下部定電位配線178の3つの配線からなる。
そして、第2FPC部72の第1短絡線79は、第1配線群において隣り合うようにして配置された電源線75と上部定電位配線77とに跨るようにして設置された、ハンダ等の導電材によって構成されている。第2短絡線80は、第3配線群において隣り合うようにして配置されたグランド線176と下部定電位配線178とに跨るようにして設置された、ハンダ等の導電材によって構成されている。
そして、第2FPC部72においては、図中上側の第1配線群に上部定電位配線77が含まれており、この上部定電位配線77がCOF部21の図中上側の外縁に沿って設けられた上部用接続端子61に接続されている。逆に、図中下側の第2配線群には上部定電位配線が含まれていないため、COF部21の図中下側の外縁に沿って設けられた上部用接続端子161は第2FPC部72に設けられた配線とは電気的に導通していない。但し、前述したように該接続端子161への第1電位の付与は、第1FPC部22により行われており、本配線構造では、2つの上部用接続端子61,161への第1電位の付与を、2つのFPC部22,72のそれぞれが分担して行う構成となっている。これにより、圧電アクチュエータ3の長手方向に対して上部定電位電極12に両側から第1電位を付与可能となるため、圧電アクチュエータ3内部での電圧降下が小さくて済むようになり、インクの吐出特性への影響が小さくなる。
このように本配線構造においては、それぞれ2つの配線群を有した各FPC22,72において、一方の配線群からグランド線が省略されている。そのため、ドライバ23,73においては、グランド線が接続されている側から延びる個別配線24,74に出力される電位と、グランド線が接続されていない側から延びる個別配線24,74に出力される電位との間でばらつきが生じる可能性がある。このばらつきがあると、インクの吐出特性が圧力室毎に相違することとなり、高品質の画像を得るための安定したインク吐出制御が難しくなる。
ここで、図1を参照すると、本配線構造が適用されるインクジェットヘッド1の流路ユニット2の上面には、4個のインク導入口47が開口している。各インク導入口47は、外部のインク供給源から互いに種類の異なるインクを導入するよう構成されると共に、互いに独立した共通インク室7(図3参照)に連通している。そのため、本インクジェットヘッド1は互いに色の異なる複数種類のインクを選択的に吐出可能になっている。つまり、圧電アクチュエータ3の上面には、4種類のインクの各々に対応して複数の個別電極11が設けられており、第1及び/又は第2電位が付与される個別電極11の選択によって吐出されるインクの種類が決まる構成となっている。以下では説明の便宜のため、これら4種類のインクが、互いに色の異なるブラックインク、シアンインク、イエローインク及びマゼンタインクであるとしている。
図4に戻ると、配線板20には、第1及び第2ドライバ23,73の何れかに接続された多数の個別配線24,74が設けられているが、これら多数の個別配線24,74は、対応するインクの色毎に固めて配置されている。本実施形態では、例えばブラックインクの吐出に利用される個別電極11と導通されるブラック用配線群48と、同様のシアン用配線群49は、全て第1ドライバ23に接続されている。そして、ブラック用配線群48はグランド線が接続されている側に固めて配置され、シアン用配線群49はその反対側に固めて配置されている。他方、イエロー用配線群50、及びマゼンタ用配線群51は第2ドライバ73に接続されており、イエロー用配線群50はグランド線が接続されていない側に固めて配置され、マゼンタ用配線群51がその反対側に固めて配置されている。
このように、各ドライバ23,73に対して接続された箇所に応じてインク吐出特性が相違する可能性がある場合において、インクの色毎に個別配線を固めて配置することにより、異なるインク間では互いの吐出特性に違いが残るかもしれないものの、配線群48〜51の一つに着目すると、当該配線群を構成する複数の個別配線に関しては互いのインクの吐出特性を均一にすることができる。
ここで、本インクジェットヘッド1及び配線構造の製造手順について説明する。まず未分極状態の圧電アクチュエータ3が、流路ユニット2と積層接合されると共に、各FPC部22,72とは未接合状態のCOF部21と接合される。その後、COF部21に各FPC部22,72が接合され、圧電アクチュエータ3の分極工程が行われる。なお、この段階において各短絡線29,30,79,80は設けられていない。
分極工程においては、このような組立体を約100度の雰囲気下におき、各FPC部22,72の端部を分極装置に接続する。そして、個別配線24,74、上部定電位配線127,77及び下部定電位配線28,128,78,178を介し、圧電アクチュエータ3の各電極11〜13間で高電位差を生じさせることにより、第1及び第2活性部14,15を分極させる。
例えば、図7(a)では、上部定電位電極12には36V、個別電極11には0Vの電位を付与することにより、第1活性部14には、高電圧が付与されて第1活性部14が上向きに分極される。そして、図7(b)では、例えば、上部低電位電極12には28V、下部定電位電極13には−60V、個別電極11には28Vの電位をそれぞれ付与することにより、第2活性部15と、第1及び第2定電位電極12,13に挟まれた部分とが下向きに分極させる。
この後、第1FPC部22が分極装置から取り外されて第1及び第2短絡線29,30が設けられ、第2FPC部72が分極装置から取り外されて第1及び第2短絡線79,80が設けられる。
このように、本インクジェットヘッド1及び配線構造においては、分極工程を行っているときには、各短絡線29,30,79,80が設けられていない。逆に設けた上で分極工程を行うと、例えば図7(a)に示す場合においては、電源線と上部定電位配線とが同電位となるため、電源線を介して各ドライバ23,73に36Vの高電位が付与される。各ドライバ23,73は、主に各ドライバ23,73自体の電源電圧(例えば3.3V)と駆動用の電源電圧(例えば28V)とによる電圧値が最大定格電圧として規定されているため、このような状態で分極行程が行われると、この最大定格電圧を超える高電位が各ドライバ23,73に付与されてしまい、各ドライバ23,73の破壊を招く。同様に図7(b)に示す場合においても、グランド線と下部定電位配線とが同電位となるため、グランド線を介して60Vの高電位が各ドライバ23,73に付与されてしまい、各ドライバ23,73の破壊を招く。このため、本配線構造においては、圧電アクチュエータ3の分極工程を終了した後に、各短絡線29,30,79,80が設けられるが、基板部の表側面に各短絡線29,30,79,80が配置されるため、圧電アクチュエータ2の分極工程が終了した後であっても容易に設けることができる。
図8は本発明の第2実施形態に係る配線構造を示す平面図である。この配線構造の配線板220も、第1及び第2ドライバ223,273が実装されたCOF部221の各端縁に、各ドライバ223,273に対応する配線が設けられた第1FPC部222及び第2FPC部272がそれぞれ接合されている。
第1FPC部222においては、図中上側の外縁に近接して、下部定電位配線(COM)228、下部定電位配線(VCOM)227、電源線(VDD2)及びグランド線(VSS2)の4つの配線からなる第1配線群が、外縁側からこの順で並んで設けられている。図中下側の外縁に近接して、下部定電位配線(COM)328及びグランド線(VSS2)326の2つの配線からなる第2配線群が、外縁側からこの順で並んで設けられている。
第1配線群に設けられたグランド線226と、第2配線群に設けられたグランド線326とは、第1ドライバ223を介して互いに接続されており、第1FPC部222においてループ状に配置されている。このようにループ状に接続することにより、第1ドライバ223の内部の電圧降下が起こらないので動作が安定するとともに、電源線をループ状に接続した場合と比べ、グランド線をループ状に接続した方が第1ドライバ223の動作を安定させることができるようになる。
第1配線群においては、第1短絡線229によって短絡されるべき上部定電位配線227と電源線225とが互いに隣り合うようにして配置されている。従って、第1実施形態と同様にして、これら2つの配線225,227を跨ぐようにしてハンダ等の導電材を第1FPC部222の基板部の表側面に設置するだけで、これら2つの配線225,227を短絡する配線を構成することができる。また、第2配線群は、第2短絡線230によって短絡されるべき下部定電位配線228とグランド線226のみで構成されている。従って、第1実施形態と同様にしてこれら2つの配線226,228を跨ぐようにしてハンダ等の導電材を第1FPC部222の基板部の表側面に設置するだけで、圧電アクチュエータ3の分極工程後にこれら2つの配線を容易に短絡する配線を構成することができる。
第2FPC部272の配線レイアウトは、第1FPC部222の配線レイアウトと、COF部221の中央部を中心にした180度回転対称の関係にある。つまり、図中上側の外縁に近接して、下部定電位配線278及びグランド線276の2つの配線からなる第1配線群が、外縁側からこの順で並んで設けられている。図中下側の外縁に近接して、下部定電位配線378、上部定電位配線376、電源線375及びグランド線376の4つの配線からなる第2配線群が、外縁側からこの順で並んで設けられている。第1及び第2短絡線279,280はそれぞれ、第2FPC部272の基板部の表側面に設置されたバンプ等の導電材によって構成され、第1短絡線279は第2配線群側に設けられ、第2短絡線280は第1配線群側に設けられている。
COF部221の一対の外縁にはそれぞれ、第1実施形態と同様にして、下部用接続端子260,360と上部用接続端子261,361とが設けられている。本実施形態においても、各FPC部において、第1及び第2短絡線を表側面に設けるために2つの配線群のうち一方の配線群において上部定電位配線を省略しているが、各FPC部の配線レイアウトが互いに180度回転対称の関係となっているため、各外縁に設けられた上部用接続端子には、第1及び第2FPC部の何れか一方に設けられた上部定電位配線と接続可能となる。
このようにして本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記構成は本発明の範囲内で適宜変更可能である。
例えば、第1実施形態の各配線群において、上部定電位配線(COM)と下部定電位配線(VCOM)の配置を入れ替えると共に、電源線(VDD2)とグランド線(VSS2)の配置を入れ替えたとしても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらには、グランド線がループ状に設けられることとなるため、ドライバの動作をより安定させることができるようになる。
また、「第1電位」が高電位、「第2電位」がグランド電位であるとしたが、この関係は逆となっていても圧電アクチュエータ3を同様にして動作させることができる。その場合、第1短絡線は、高電位を付与する側となる下部定電位配線と電源線とを短絡する配線となっていればよく、第2短絡線は、グランド電位を付与する側となる上部定電位配線とグランド線とを短絡する配線となっていればよい。
本配線構造は、インクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドに限られず、インク以外の液体、例えば着色液を吐出して液晶表示装置のカラーフィルタを製造する装置や、導電液を吐出して電気配線を形成する装置等に使用する液体吐出装置に搭載される液体吐出ヘッドに対しても好適に適用することができる。
本発明は、圧力室を高密化しても良好にクロストークを抑制可能な液滴吐出ヘッドを提供することができ、且つクロストーク抑制のために3種の電極より形成された2種の活性部を夫々安定して動作させることができるという作用効果を奏し、被記録媒体にインクを着弾させることによって該媒体に画像を記録するインクジェットプリンタのインクジェットヘッドに適用すると有益である。
1 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)
3 圧電アクチュエータ
6 圧力室
11 個別電極
12 上部定電位電極(第1定電位電極)
13 下部定電位電極(第2定電位電極)
14 第1活性部
15 第2活性部
20 配線板
21 COF部(中央部)
22,72 FPC部(延在部)
23,73 ドライバ
24,74 個別配線
25,125,75,175 電源線
26,176 グランド線
127,77 上部低電位配線(第1定電位配線)
28,128,78,178 下部定電位配線(第2定電位配線)
29,79 第1短絡線
30,80 第2短絡線

Claims (5)

  1. 複数のノズルより液体を選択的に吐出させるよう動作する圧電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドに適用され、前記圧電アクチュエータを駆動するための配線を有した液滴吐出ヘッドの配線構造であって、
    前記圧電アクチュエータは、前記ノズルより液体を吐出させるために選択的に駆動電圧が供給される複数の個別電極と、第1の定電位が供給される第1定電位電極と、第2の定電位が供給される第2定電位電極とを有し、
    前記配線構造は、複数の前記配線が設けられた配線板と、前記配線板上に実装されて前記駆動電圧を選択的に出力するドライバとを有し、
    前記複数の配線には、前記ドライバに電源供給するための電源線と、前記ドライバをグランド電位とするためのグランド線と、前記第1定電位を前記第1定電位電極に供給するための第1定電位配線と、前記第2定電位を前記第2定電位電極に供給するための第2定電位配線と、前記電源線と前記第1定電位配線とを短絡する第1短絡線と、前記グランド線と前記第2定電位配線とを短絡する第2短絡線とが含まれ、
    前記配線板において幅方向に対向する2つの外縁において、前記第1及び第2の定電位配線のうちいずれか一方の定電位配線は、前記2つの外縁おいて最外側に配置され、他方の定電位配線は前記2つの外縁のうちの一方の外縁において、前記一方の定電位配線の内側に隣接して配置され、
    前記ドライバに接続されるグランド線及び電源線のうち前記他方の定電位配線と短絡される配線は、前記一方の外縁において前記他方の定電位配線の内側に隣接して配置され、前記一方の定電位配線と短絡される配線は、前記2つの外縁のうち他方の外縁において前記一方の定電位配線の内側に隣接して配置され、
    前記第1短絡線と前記第2短絡線が、それぞれが短絡する配線と同じ面上に設けられていることを特徴とする液滴吐出ヘッドの配線構造。
  2. 前記配線板は前記圧電アクチュエータに接合される中央部と、前記中央部に対して互いに反対方向に引き延ばされる第1及び第2延在部とを有し、前記中央部には第1の前記ドライバと第2の前記ドライバとが実装され、
    前記第1延在部には、前記第1ドライバに対応する前記グランド線及び前記電源線が設けられ、前記第2延在部には、前記第2ドライバに対応する前記グランド線及び前記電源線が設けられており、
    前記第1延在部に設けられている配線が、前記第2延在部に設けられている配線に対して前記中央部を中心にして180度回転対称の関係で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの配線構造。
  3. 前記第2定電位配線が最外側に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドの配線構造。
  4. 前記2つの外縁の各々に沿って一対の前記グランド線が設けられており、前記一対のグランド線が前記ドライバを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドの配線構造。
  5. 前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室の中央部に対向する第1活性部と前記複数の圧力室の中央部分よりも外側の部分と対向する第2活性部とが形成されていて、
    前記個別電極と前記第1定電位電極とで挟まれた領域に形成された第1活性部と、前記個別電極と前記第2定電位電極とで挟まれた領域に形成された第2活性部とを有し、
    前記第1及び第2活性部はそれぞれ、電圧印加時に圧力室に向かう第1方向に伸長するとともにその第1方向と直交する第2方向に収縮する変形状態となるよう構成され、前記第1活性部への電圧印加時には前記第2活性部に電圧が印加されず、前記第1活性部に電圧を印加しないときには前記第2活性部に電圧が印加される構成であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドの配線構造。
JP2009021037A 2009-01-31 2009-01-31 液滴吐出ヘッドの配線構造 Active JP4915422B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009021037A JP4915422B2 (ja) 2009-01-31 2009-01-31 液滴吐出ヘッドの配線構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009021037A JP4915422B2 (ja) 2009-01-31 2009-01-31 液滴吐出ヘッドの配線構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010173276A JP2010173276A (ja) 2010-08-12
JP4915422B2 true JP4915422B2 (ja) 2012-04-11

Family

ID=42704679

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009021037A Active JP4915422B2 (ja) 2009-01-31 2009-01-31 液滴吐出ヘッドの配線構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4915422B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4362688B2 (ja) * 2003-02-07 2009-11-11 ブラザー工業株式会社 圧電アクチュエータの製造方法
JP4419754B2 (ja) * 2004-08-27 2010-02-24 ブラザー工業株式会社 インクジェットヘッド
JP4563786B2 (ja) * 2004-12-03 2010-10-13 京セラ株式会社 液体吐出装置およびその駆動方法
JP4582009B2 (ja) * 2006-01-24 2010-11-17 ブラザー工業株式会社 インクジェットヘッド
JP4952903B2 (ja) * 2006-10-17 2012-06-13 ブラザー工業株式会社 記録ヘッド
JP5181465B2 (ja) * 2006-11-15 2013-04-10 ブラザー工業株式会社 記録ヘッドの駆動装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010173276A (ja) 2010-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5029821B2 (ja) フレキシブル配線体及び液滴吐出ヘッド
JP4557019B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP4775590B2 (ja) 電子機器
JP6232802B2 (ja) 圧電アクチュエータ、及び、液体吐出装置
JP4788764B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び液体移送装置
JP2011212865A (ja) 圧電アクチュエータ
JP2007196544A (ja) インクジェット式記録ヘッド
US8134078B2 (en) Flexible wiring cable
JP4497101B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2007203481A (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP7087325B2 (ja) 電子デバイス
JP5034593B2 (ja) 駆動回路付き配線基板の構造および液滴吐出ヘッド
JP2010125765A (ja) 液体吐出ヘッド
JP4631977B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの配線構造
JP4631976B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの配線構造
JP4915422B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの配線構造
US7994425B2 (en) Flexible wiring cable
US8136927B2 (en) Liquid droplet discharge head, liquid droplet discharge apparatus, and method for producing liquid droplet discharge head
JP5007727B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの配線構造
JP2008141078A (ja) 配線基板の接続構造およびその接続検査方法
JP2011245820A (ja) 圧電アクチュエータ及び液体噴射装置
JP2007055245A (ja) インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用ヘッド及びそれに用いるフレキシブルケーブル
JP5035261B2 (ja) ドライバicの配線構造および液滴吐出装置
JP4968253B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5093163B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111227

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120109

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150203

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4915422

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150