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JP4907017B2 - カーボンナノチューブ膜体の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ膜体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカーボンナノチューブ膜体の製造方法に関し、更に詳しくは、所定の方向に高配向するカーボンナノチューブ膜体の製造方法に関する。本発明の製造方法によって製造されるカーボンナノチューブ膜体は、電界電子放出素子、磁性材料、超伝導材料及び二次電池の電極材料等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブの配向膜を得る方法としては大きく分けて2つに大別することができる。1つは基板上にFe、Co及びNi等の触媒をコーティングして、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により垂直方向に伸びたカーボンナノチューブ配向膜を得る方法であり、もう1つは炭化珪素単結晶を昇華分解することにより、基板に対して垂直に伸びたカーボンナノチューブ配向膜を得る方法である(特願平9−87518号公報)。
【0003】
また、CVDを用いて、SOI(Silicon on Insulator)基板上に炭化珪素単結晶を堆積させた後、基板を剥離し、炭化珪素単結晶を昇華分解して、ナノチューブの自立膜を得る方法も提案されている(特願平10−282214号公報)。
しかしながら、触媒を用いたCVD法の場合、比較的大面積のカーボンナノチューブを得ることは可能であるが、チューブが曲がりやすく、また、触媒として用いた金属がナノチューブ内部に残るため、配向膜の品質に問題があった。一方、炭化珪素単結晶を昇華分解してカーボンナノチューブ膜を得る方法の場合、炭化珪素単結晶が高価で且つ長さが限定されるといった問題があった。
【0004】
カーボンナノチューブは、これを利用して電界電子放出素子等へ広く応用されている。例えば、電界電子放出素子の場合、カーボンナノチューブがその成長方向に導電性を有するという性質を利用して、カーボンナノチューブ(膜)を導電性基板上に効率よく形成され構成される。このとき、カーボンナノチューブの原料として炭化珪素単結晶(6H−SiCウェハー)を用い、昇華分解法により作製する場合、炭化珪素の電気抵抗が高いため、炭化珪素の完全分解の途中でカーボンナノチューブ(膜)の成長を停止させ、カーボンナノチューブ(膜)と炭化珪素単結晶の界面にグラファイト層を生成させる必要があった。そのため、素子として機能させるためにカーボンナノチューブ(膜)及びグラファイトの電気抵抗率を考慮して電流を供給する等の措置をとる必要があり、基板の低抵抗化処理が律速されるおそれがある。また、グラファイト層を生成させるには、カーボンナノチューブが生成する温度で長時間加熱することが必要であるため、生産性、コスト等の面で問題である。
【0005】
また、CVD法にてSOI基板上に炭化珪素単結晶を堆積させ、昇華分解する方法では、市販されているSOI基板のSi活性層の膜厚、結晶性等をカーボンナノチューブの形成に都合の良いように最適化させる工程が必要で、大量生産には不向きであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、所定方向に配向するカーボンナノチューブ膜体を、大面積で且つ容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
参考発明のカーボンナノチューブ膜は、基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなることを特徴とする。
また、参考発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法は、基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を形成することを特徴とする。
【0008】
参考発明のカーボンナノチューブ膜付き基板は、基板と、該基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜と、を備えることを特徴とする。
また、参考発明のカーボンナノチューブ膜付き基板の製造方法は、基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を形成することを特徴とする。
【0009】
上記炭化珪素多結晶膜が形成される上記基板を構成する材料は、上記炭化珪素多結晶膜が形成される際に炭化珪素と反応しにくいものであれば特に限定されない。また、上記基板を構成する材料の融点は、好ましくは1300℃以上、より好ましくは1600℃以上、更に好ましくは1800℃以上である。但し、上限は、通常4000℃である。上記基板を構成する材料の融点が低すぎると上記炭化珪素多結晶膜を形成中に基板の変形や融解が発生するため、好ましくない。
また、上記基板は導電性を有することが好ましい。これによって、基板に形成されるカーボンナノチューブ膜との電気伝導性を利用した製品を容易に製造することができる。
【0010】
更に、上記基板を構成する材料は、炭化珪素との熱膨張係数差が6×10−6(/℃)未満のものが好ましい。より好ましくは3×10−6(/℃)未満である。炭化珪素との熱膨張係数差が0でもよい。この熱膨張係数差が大きいと、基板に炭化珪素多結晶膜を形成した際に、多結晶膜に亀裂が生じる可能性がある。上記基板を構成する材料の例としては、C,Cr,Hf,Ir,Mo,Nb,Pt,Rh,Re,Ti,W,Zrあるいはこれらの金属元素を含む合金等が挙げられる。これらのうち、C,Mo及びWが好ましい。
【0011】
上記基板の厚さは特に限定されないが、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。基板の厚さが薄いほど、炭化珪素多結晶膜への残留応力は小さくなるためである。一方、厚すぎると炭化珪素多結晶膜への残留応力が増加し、多結晶膜の割れが生じるため、好ましくない。
【0012】
上記炭化珪素多結晶膜は、例えば、気相成長法、液相成長法等により基板上に形成することができる。これらのうち、気相成長法が好ましく、例えば、CVD法、MBE法及びスパッタ法等が挙げられるが、CVD法及びスパッタ法が好ましい。
【0013】
上記炭化珪素多結晶膜の表面は、結晶面がいろいろな方位を向いた状態になっている。上記基板に対して垂直に配向したカーボンナノチューブ膜を得るためには、上記炭化珪素がα−SiCである場合、(0001)面に配向していることが好ましく、β−SiCの場合は(111)面に配向していることが好ましい。気相成長法を用いると、α−SiCの場合、(0001)面に、また、β−SiCの場合は(111)面に配向するように炭化珪素多結晶膜を形成することは容易である。
上記CVD法によりβ−SiC多結晶膜を形成する場合の成膜温度は、通常、650〜950℃、好ましくは750〜850℃である。この温度範囲であれば、形成される炭化珪素多結晶膜が(111)面に配向しやすくなる。
一方、α−SiC多結晶膜を形成する場合の成膜温度は、通常、1400〜2000℃、好ましくは1550〜1850℃である。この温度範囲であれば、形成される炭化珪素多結晶膜が(0001)面に配向しやすくなる。
【0014】
上記炭化珪素多結晶膜の膜厚はカーボンナノチューブの長さと比例関係にあるので、例えば、CVD法で製造する場合、成長時間をコントロールすることにより、カーボンナノチューブの長さを容易に制御することができる。
【0015】
本発明において、カーボンナノチューブ膜は、炭化珪素多結晶膜を微量酸素を含有する雰囲気において加熱すると、Siが酸化されてSiOとして蒸発し、残ったCが筒状のチューブ構造をとって配列することで製造される。上記「微量酸素を含有する雰囲気」とは、微量の酸素を含有する環境(条件)であれば、特に限定されず、減圧状態であっても、常圧であっても、あるいは加圧状態であってもよいし、また、酸素以外の気体の存在下であってもよい。好ましくは、真空中あるいは不活性ガス雰囲気である。
【0016】
微量酸素を含有する真空中において炭化珪素多結晶膜を加熱する場合、炭化珪素の分解により珪素原子を除去可能な限りにおいて、真空度及び加熱温度は特に限定されない。好ましい真空度は、10−3〜10−10Torrであり、より好ましくは10−5〜10−9Torrである。真空度が高すぎると、形成されるカーボンナノチューブ同士が食い合うことにより、一部のチューブが他を吸収して大きく成長する場合があり、カーボンナノチューブのサイズを制御することが困難になる。また、好ましい加熱温度は、1200〜2000℃であり、より好ましくは1400〜1800℃である。加熱温度が高すぎると、炭化珪素から珪素原子が失われる速度が大きくなり、カーボンナノチューブの配向が乱れやすくなるとともにチューブ径が大きくなる傾向がある。更に、温度が高くなると、グラファイト層が形成されるので好ましくない。
【0017】
また、微量酸素を含有する不活性ガス雰囲気において炭化珪素多結晶膜を加熱する場合の不活性ガスとしては、He及びAr等が挙げられるが、Arが好ましい。含有される酸素の量は、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。尚、通常、下限は0.000001%である。
不活性ガス雰囲気において炭化珪素多結晶膜を加熱する場合、炭化珪素の分解により珪素原子を除去可能な限りにおいて、雰囲気の圧力及び加熱温度は特に限定されない。好ましい加熱温度は、1200〜2000℃であり、より好ましくは1400〜1800℃である。加熱温度が高すぎると、炭化珪素から珪素原子が失われる速度が大きくなり、カーボンナノチューブの配向が乱れやすくなるとともにチューブ径が大きくなる傾向がある。更に、温度が高くなると、グラファイト層が形成されるので好ましくない。
【0018】
上記炭化珪素多結晶膜を加熱する手段としては特に限定されず、電気炉、レーザービーム照射、直接通電加熱、赤外線照射加熱、マイクロ波加熱及び高周波加熱等の手段によることができる。
【0019】
参考発明のカーボンナノチューブ膜付き基板は、上記のように、導電性等を有する基板上にカーボンナノチューブ膜を形成することによって得ることができる。この場合、多結晶膜を構成する炭化珪素から珪素原子を完全に除去してなるものでもそうでなくてもいずれでもよい。このようなカーボンナノチューブ膜付き基板は、電界電子放出素子、二次電池等に有用である。
【0020】
本発明により製造されるカーボンナノチューブ膜体は、基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を形成し、次いで、熱処理することにより該基板から分離されたことを特徴とする。
また、本発明のカーボンナノチューブ膜体の製造方法は、基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を形成し、次いで、熱処理することにより該基板から該カーボンナノチューブ膜を分離することを特徴とする。
【0021】
本カーボンナノチューブ膜体は、基板に形成されたカーボンナノチューブ膜を基板から分離して得られ、分離されたカーボンナノチューブ膜体は、両端が開口した状態となる。尚、基板にカーボンナノチューブ膜を形成する方法は、前記のとおりである。
基板に形成されたカーボンナノチューブ膜を基板から分離するために熱処理を行うが、その加熱温度は、好ましくは300〜700℃、より好ましくは350〜650℃である。加熱温度が高すぎると、カーボンナノチューブや基板を損傷するおそれがある。また、加熱時間は、好ましくは5〜60分、より好ましくは10〜30分である。
基板の熱処理の雰囲気は特に限定されないが、大気が好ましい。また、圧力も特に限定されず、加圧状態、常圧及び減圧状態のいずれでもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する(実験例1−3は参考例であり、実験例4は実施例である)
例1
例1の製造方法の概略図を図1に示す。基板1として表面を鏡面研磨したグラファイト多結晶体を用いた。まず、熱CVD法により炭化珪素多結晶体を厚さ0.2μmとなるようにグラファイト基板の上に堆積させた。基板1をエタノール、続いてアセトンにて超音波洗浄を行って脱脂した後、反応管の中に入れて、水素プラズマ中、800℃で60分間加熱した。基板温度が安定した後、原料ガスを導入し、成膜を開始した。Cの原料ガスとしてCを、Siの原料ガスとしてSiHClを使用した。原料ガスは水素で10%に希釈・充填したボンベから供給され、反応室へ入る前にキャリアガスの水素と混合した。それぞれのガス流量はHが343sccm、SiHClが14sccm、Cが9sccmであった。炭化珪素多結晶膜2を約0.2μm堆積させた後、基板を取り出した。X線回折によると、図2に示すようにβ−SiC(111)のピークが支配的であった。また、高速電子線回折では<111>配向によるスポットが確認された。従って、堆積した膜2はβ−SiCで<111>に強く配向しているものと考えた。その後、基板を真空炉内にセットし、真空中(1×10ー4Torr)、1700℃、30分の条件で炭化珪素を昇華分解させた。基板上の膜を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図3に示すような基板に対して垂直に配向したカーボンナノチューブ膜3を得ることができた。
【0023】
例2
基板として表面を鏡面研磨したモリブデン多結晶体を用いた。まず、マイクロ波プラズマCVD法により炭化珪素多結晶体を厚さ0.2μmとなるようにモリブデン基板の上に堆積させた。基板をエタノール、続いてアセトンにて超音波洗浄を行って脱脂した後、反応管の中に入れて、水素プラズマ中、525℃で60分間加熱した。この時のマイクロ波出力は400Wであった。基板温度が安定した後、原料ガスを導入し、成膜を開始した。Cの原料ガスとしてCHClを、Siの原料ガスとしてSiHを使用した。この時の原料ガス供給比[CHCl]/[SiH]は1.24であった。原料ガスは水素で10%に希釈・充填したボンベから供給され、反応室へ入る前にキャリアガスの水素と混合した。それぞれのガス流量はHが99sccm、SiHが0.41sccm、CHClが0.51sccmであった。炭化珪素多結晶膜を約0.2μm堆積させた後、基板を取り出した。X線回折によると、β−SiC(111)のピークが支配的であった。また、高速電子線回折では<111>配向によるスポットが確認された。従って、堆積した膜はβ−SiCで<111>に強く配向しているものと考えた。その後、基板を真空炉内にセットし、真空中(1×10−4Torr)、1700℃、30分の条件で炭化珪素を昇華分解させた。基板上の膜を透過型電子顕微鏡で観察したところ、基板に対して垂直に配向したナノチューブ膜を得ることができた。
【0024】
例3
基板として表面を鏡面研磨したタングステン多結晶体を用いた。まず、熱CVD法により炭化珪素多結晶体を厚さ0.2μmとなるようにタングステン基板の上に堆積させた。基板をエタノール、続いてアセトンにて超音波洗浄を行って脱脂した後、反応管の中に入れて、水素プラズマ中、800℃で60分間加熱した。基板温度が安定した後、原料ガスを導入し、成膜を開始した。Cの原料ガスとしてCを、Siの原料ガスとしてSiHClを使用した。原料ガスは水素で10%に希釈・充填したボンベから供給され、反応室へ入る前にキャリアガスの水素と混合した。それぞれのガス流量はHが343sccm、SiHClが14sccm、Cが9sccmであった。炭化珪素多結晶膜を約0.2μm堆積させた後、基板を取り出した。X線回折によると、β−SiC(111)のピークが支配的であった。また、高速電子線回折では<111>配向によるスポットが確認された。従って、堆積した膜はβ−SiCで<111>に強く配向しているものと考えた。その後、基板を真空炉内にセットし、真空中(1×10−4Torr)、1700℃、30分の条件で炭化珪素を昇華分解させた。基板上の膜を透過型電子顕微鏡で観察したところ、基板に対して垂直に配向したナノチューブ膜を得ることができた。
【0025】
例4
基板として表面を鏡面研磨したグラファイト多結晶体を用いた。まず、熱CVD法により炭化珪素多結晶体を厚さ0.2μmとなるようにグラファイト基板上に堆積させた。基板をエタノール、アセトンにて超音波洗浄を行って脱脂した後、反応管の中に入れて、水素プラズマ中、800℃で60分間加熱した。基板温度が安定した後、原料ガスを導入し、成膜を開始した。Cの原料ガスとしてCを、Siの原料ガスとしてSiHClを使用した。原料ガスは水素で10%に希釈・充填したボンベから供給され、反応室へ入る前にキャリアガスの水素と混合した。それぞれのガス流量はHが343sccm、SiHClが14sccm、Cが9sccmであった。炭化珪素多結晶膜を約0.2μm堆積させた後、基板を取り出した。X線回折によると、β−SiC(111)のピークが支配的であった。また、高速電子線回折では<111>配向によるスポットが確認された。従って、堆積した膜はβ−SiCで<111>に強く配向しているものと考えた。その後、基板を真空炉内にセットし、真空中(1×10−4Torr)、1700℃、30分の条件で炭化珪素を昇華分解させた。その後、加熱炉内にセットし、大気中、650℃で30分間加熱し、基板からナノチューブ膜を分離することができた。
【0026】
実施例の効果
上記実施例で示したように、多種類の基板を利用して、カーボンナノチューブ膜、カーボンナノチューブ膜体及びカーボンナノチューブ膜付き基板を容易に製造することができた。このようにして製造されたカーボンナノチューブ膜はカーボンナノチューブの優れた機能特性を最大限に引き出すことが可能であると考えられる。
【0027】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
例えば、カーボンナノチューブ膜にセラミックス、金属等からなる支持板を接合させて利用することができる。この場合、カーボンナノチューブ膜、炭化珪素多結晶膜及び支持板の3層構造とすることができる。
また、カーボンナノチューブ膜体に上記素材等からなる支持板を接合させて利用することができる。この場合、カーボンナノチューブ膜体の片側に接合してもよいし、両側を2枚の支持板で覆ったものでもよい。これらの形態は、板状、フィルム状、筒状等いずれでもよく、その表面も平滑面でも凹凸面でもよい。
【0028】
【発明の効果】
参考発明のカーボンナノチューブ膜及びカーボンナノチューブ膜付き基板は、カーボンナノチューブが炭化珪素多結晶膜に対して垂直配向されているので、大面積の膜としたときに有用である。また、炭化珪素多結晶膜を完全に昇華分解することで、グラファイトを生ずることなく、カーボンナノチューブを生成することができるので、カーボンナノチューブのみの性質と、炭化珪素多結晶膜を形成する基板のみの性質をそのまま生かした製品への応用が可能となる。特に、基板として融点が高く、グラファイト等のように導電性を有する材料を用いた場合は、製造時の変形がなく、カーボンナノチューブ膜と基板のみという単純な構成で製品として用いることができる。
【0029】
参考発明のカーボンナノチューブ膜の製造方法及びカーボンナノチューブ膜付き基板の製造方法によれば、基板に対して垂直配向したカーボンナノチューブ膜を大面積で且つ容易に作製することができる。特に、原料である炭化珪素は多結晶膜であるためにエピタキシャル成長させる必要がないので、堆積時及び昇華分解時の炭化珪素と反応性が低い基板であればアモルファス材料、セラミックス材料、金属材料等多くのものが使用可能であり、高価な単結晶ウェハーを使用する必要はない。従って、従来技術と比較して大幅な製造コストの削減が可能である。また、炭化珪素多結晶膜の面積が大きくてもカーボンナノチューブの配向性が乱れることのないカーボンナノチューブ膜を得ることが可能である。
【0030】
本発明のカーボンナノチューブ膜体の製造方法によれば、基板に対して垂直配向したカーボンナノチューブ膜を損傷等受けずに基板から分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実例1のカーボンナノチューブ膜の製造方法を示す模式的説明図である。
【図2】 実例1において測定されたX線回折パターンであり、(a)はカーボンナノチューブ形成前の炭化珪素多結晶膜付き基板を、(b)は炭化珪素多結晶膜形成前のグラファイト基板を示す。
【図3】 実例1のカーボンナノチューブ膜の断面の透過電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1;グラファイト基板、2;炭化珪素多結晶膜、3;カーボンナノチューブ膜。

Claims (7)

  1. 基板上に炭化珪素からなる多結晶膜を形成させ、その後、該炭化珪素多結晶膜が形成された基板を、微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪素多結晶膜を炭化珪素が分解して該炭化珪素多結晶膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することにより、炭化珪素から珪素原子を完全に除去して得られる多数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を形成し、次いで、熱処理することにより該基板から該カーボンナノチューブ膜を分離することを特徴とするカーボンナノチューブ膜体の製造方法。
  2. 上記基板の融点は1300℃以上である請求項1に記載のカーボンナノチューブ膜体の製造方法
  3. 上記基板が導電性を有する請求項1又はに記載のカーボンナノチューブ膜体の製造方法
  4. 上記基板を構成する材料は、C,Mo及びWからなる群より選ばれる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ膜体の製造方法。
  5. 上記炭化珪素がα−SiCである場合、上記カーボンナノチューブが(0001)面に対して垂直に配向している請求項1乃至のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ膜体の製造方法
  6. 上記炭化珪素がβ−SiCである場合、上記カーボンナノチューブが(111)面に対して垂直に配向している請求項1乃至のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ膜体の製造方法
  7. 上記熱処理の加熱温度が300〜700℃である請求項1〜のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ膜体の製造方法
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