本発明は、車線維持支援制御及び車間距離制御に関し、特に、車間距離制御により先行車両による車線区分線の遮蔽を回避する走行支援装置及び車間距離設定方法に関する。
先行車両が検出される場合は先行車と所定の車間距離を保ちながら先行車を追尾し、先行車が検出されない場合は設定された車速で走行するなど、運転者による車速制御操作を低減した車間距離維持支援システムが知られている。このような、走行支援装置を搭載した車両では運転者は主にハンドル操作するだけで前後の車両と車間距離を保つことができる。そしてさらに、撮影装置により前方の車線区分線(以下、白線という)を認識して当該レーン内を走行するよう操舵トルクを制御する車線維持支援システムが知られている。
しかしながら、先行車両に接近すると先行車の存在により撮影装置が白線を撮影することができず、白線認識が困難になってしまう(例えば、特許文献1参照。)。ここで、車間距離維持支援システムにおける目標車間距離は、先行車との車間距離を時間に置き換えて(例えば、2秒)設定するため、設定が同じであれば自車両の車速が低いほど目標車間距離が短くなる。
このため、車間距離維持支援システムと車線維持支援システムを共に作動させた場合、自車両の車速が低いと目標車間距離が短くなることから、先行車が撮影装置の白線認識距離内に存在する頻度が高まってしまう。先行車両が白線認識距離内に存在すると、白線認識率が低下し、操舵トルクの印加量を誤ったり警報のタイミングがずれてしまう。
そこで、車間距離が小さい場合には狭い処理エリアの画像情報を処理し、車間距離の増大に応じて処理エリアを広げて画像情報を処理する走行制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、検出された先行車との車間距離を白線認識の処理エリアとする白線認識装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平10−49672号公報
特開平7−117523号公報
特開平9−311999号公報
しかしながら、実際には車間距離が短くても白線が先行車に隠れていなければ白線を認識できるため、特許文献2記載の走行制御装置のように、車間距離に応じて一律に画像情報の処理エリアを設定してしまうと、白線認識が可能な場合でも白線が認識されないので、車線維持支援システムの適用範囲が狭くなってしまう。また、特許文献3記載の白線認識装置でも同様に、先行車が白線を遮蔽しているか否かに関わらず白線認識の処理エリアを車間距離とすると、より手前の処理エリアでしか白線認識しないことになるので、白線認識が可能な場合でも白線を認識せず、車線維持支援システムの適用範囲が狭くなってしまう。
本発明は、上記課題に鑑み、先行車両が白線認識距離内に存在しても、白線認識して走行支援が可能な走行支援装置及び車間距離設定方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、車両前方を撮影する撮像手段と、前記撮像手段が撮影した画像データから走行レーンを区分する車線区分線を認識する区分線認識手段と、車線区分線の認識結果に基づき車線を維持する操舵トルクを生成する操舵トルク生成手段と、自車両の走行レーンに検出された先行車両に追従走行し、前記先行車両が検出されない場合に設定車速で定速走行する車両走行制御手段と、を有する走行支援装置において、一定の車線区分線認識距離を記憶する車線区分線認識距離記憶手段と、追従走行の際に自車両の車速に応じた仮目標車間距離を決定する仮目標距離決定手段と、前記区分線認識手段が認識する前記車線区分線認識距離内の車線区分線を、前記先行車両が遮蔽していることを検出する遮蔽検出手段と、前記先行車両が車線区分線を遮蔽しなくなる遮蔽回避距離を検出する遮蔽距離検出手段と、を有し、前記遮蔽検出手段が前記車線区分線認識距離内の車線区分線が前記先行車両により遮蔽されていることを検出しない場合、前記仮目標車間距離を目標車間距離に決定し、前記遮蔽検出手段が前記車線区分線認識距離内の車線区分線が前記先行車両により遮蔽されていることを検出した場合、前記車線区分線認識距離を上限に、前記遮蔽回避距離を目標車間距離に決定する目標車間距離決定手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、先行車両が白線を遮蔽している場合にのみ、遮蔽を回避できる距離を目標車間距離に決定するので、先行車との車間距離を一律に増大させることを回避し、走行支援装置のドライバの受容性を向上させることができる。また、先行車両が白線認識距離内に存在しないことになるので、白線認識率の低下、操舵トルクの誤印加、及び、不要警報の出力等を防止することができる。
また、本発明の一形態において、走行環境を検出する走行環境検出手段と、走行環境に応じて認識距離を可変に設定する認識距離設定手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、走行環境に応じて認識距離が可変となるので、車間距離の増大量及び機会をさらに低減でき、走行支援装置のドライバの受容性を向上させることができる。
また、本発明の一形態において、走行環境検出手段は、ヘッドライトのオン、ボッツドッツの検出、又は、前記撮像手段のシャッター速度、のいずれかから走行環境を検出する、 ことを特徴とする。
本発明によれば、夜間又は昼間の別、車線区分線の種類等を精度よく検出でき、走行環境に適した認識距離に設定することができる。
また、本発明の一形態において、遮蔽検出手段は、画像データに撮影された先行車両の画像領域と、車線区分線の画像領域の位置情報から、先行車両が車線区分線を遮蔽していることを検出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、レーダ装置により先行車両までの距離を検出し、かかる距離を目標車間距離とする場合と比較して、画像データにおいて実際に白線が遮蔽されている距離を算出するので、過不足のない目標車間距離を設定することができる。
また、本発明の一形態において、遮蔽検出手段は、自車両前方の立体物を検出する立体物検出手段が検出した、先行車両の車幅、幅員方向の自車両の位置、又は、走行レーンの幅員、のいずれかに基づき先行車両が車線区分線を遮蔽していることを検出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、比較的容易な処理で先行車両が車線区分線を遮蔽していることを検出できるのでシステム負荷を低減できる。
先行車両が白線認識距離内に存在しても、白線認識して走行支援が可能な走行支援装置及び車間距離設定方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
図1は本実施形態の運転支援装置100の制御手順の概略を示す図である。走行支援装置100は、車間距離を維持する場合、目標車間距離が白線認識距離内の場合には、先行車両が白線を遮蔽しているか否かを判定し、遮蔽している場合には遮蔽されなくなる目標車間距離にて車間を維持する。図1は走行支援装置100の制御の概略を示す。図1(a)では、先行車両が白線認識距離内を走行していても、白線を遮蔽していないので目標車間距離を増大させない。図1(b)では、先行車両が白線認識距離内を走行していて、かつ、白線を遮蔽しているので目標車間距離を増大させる。すなわち、白線認識距離内を先行車両が走行していても、白線認識に影響がなければ目標車間距離を増大しないので、先行車との車間距離が長くなることを回避でき、走行支援装置100の運転者の受容性を向上させることができる。また、遮蔽されている場合は白線認識可能な状態を維持するよう車間距離を増大させるので、白線認識率の低下、操舵トルクの誤印加、及び、不要警報の出力等を防止することができる。
図2は、走行支援装置100のブロック図の一例を示す。走行支援装置100は、車間距離を制御する車間距離制御ECU(Electronic Control Unit)15が、各種のECUとCAN(Controller Area Network)等の車内LANにより接続されて構成される。車間距離制御ECU15等の各ECUはCPU,RAM、ROM等を備えたコンピュータである。
白線認識及び車線維持支援制御について説明する。車線維持支援制御は、LKAS(Lane Keeping Assist System)やLDW(Lane Departure Warning)と称されるが、本実施形態ではこれらを区別せず単に車線維持支援制御という。
車間距離制御ECU15にはLKAスイッチ9及び白線認識ECU12が接続されており、LKAスイッチ9がオンに操作されると作動可能状態となる。白線認識ECU12にはカメラ11が接続されている。カメラ11は、例えば室内ルームミラーに搭載されており、車両前方へ向けて水平下向きに所定角範囲で広がる領域を撮影する。カメラ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)の光電変換素子により、所定の輝度階調(例えば、256階調)の画像データを出力する。
白線認識ECU12は、カメラ11が所定のサイクル時間で順次撮影する画像データに対し画像処理を行い、映し出されている道路上に描かれた走行レーンを区切る左右の車線区分線(以下、白線という)を検出する。
図3はカメラ11が撮影する画像データの一例を示す。画像データに撮影される直線状の白線は、自車両に対し左白線31と右白線32が上方で交差する略ハの字形状となる。図3の画像データに撮影される範囲の一部又は全てが白線認識距離となる。白線の認識が良好な場合、カメラ11の取り付け位置は固定であるのでカメラ11が単焦点であれば撮影範囲、すなわち白線認識距離は一定であり、白線認識距離の長さは白線認識ECU12にとって既知である。また、カメラ11がズーム機能を備えている場合、ズーム倍率と撮影範囲には一定の関係があるので、白線認識ECU12にとって白線認識距離は既知となる。また、夜間、雨天、雪、路面反射、カーブ、坂路等の影響等により白線認識が良好でない場合、これら走行環境に応じて白線認識距離が可変となる場合がある。
1本の白線は両端に高周波成分たるエッジを有するので、車両前方の画像データの輝度値を水平方向に微分すると、白線の両端にピークが得られそれを前後方向に結んだエッジ線が推定できる。推定した複数のエッジ線から一対となる複数組の白線候補線を抽出し、複数組の白線候補線のなかから、輝度や路面とのコントラストから定められる閾値や白線幅の閾値等から白線と認められる1本の白線を選定する。
晴天など好ましい撮影条件下では、左白線31、右白線32はそれぞれ1本ずつに定まり、その白線をそれぞれモデル式に表現することで、左右の2本の白線の消失点(交点)の座標が算出できる。カメラ11の路面からの高さ、及び、路面に対する光軸のなす角は既知であるので、これらと消失点の座標から白線情報(道路曲率、ヨー角Yaw、幅員W、目標走行線Oからのオフセット量D)を算出する。
車間距離制御ECU15は、目標走行線(例えば中央線)からのオフセット量Dがゼロになるようオフセットと反対方向にオフセット量Dに応じた目標操舵力(例えば右が正、左が負)を決定し、パワーステアリングECU16に送信する。パワーステアリングECU16は、ステアリングシャフトを回転駆動するパワステ用アクチュエータに接続されており、目標操舵力に応じてステアリングシャフトを操舵する。したがって、左白線31と右白線32とが区切る走行レーン内を自車両が走行するように車線維持支援制御が実現される。なお、車間距離制御ECU15は自車両が例えば数秒後に車線から逸脱するおそれがあると判定した場合、メータECU19にブザー出力器21の吹鳴やインフォメーション表示部20の警告表示を要求する。
車間距離制御について説明する。車間距離制御は車間距離制御ECU15が、車内LANを介して接続されたエンジンECU17、ブレーキECU18及びメータECU19を制御して実現する。エンジンECU17には、ブレーキ操作の有無を検出するストップランプスイッチ23が接続されている。
車間距離制御はACCスイッチ14のメインスイッチがオンに操作されると作動可能状態となり、オフに操作されると作動を停止する。ACCスイッチ14は、押下式の上記メインスイッチと、例えばステアリングコラムに設置されたレバー式のモーメンタリースイッチとを有し、ステアリングホイールの回動面と略平行な方向(以下、前後方向という)と、その方向と略直交する方向(以下、上下方向という)とに揺動し得るように取り付けられている。例えばACCスイッチ14を下方に下げるとその時の車速を定速走行のセット車速に設定し、次回、下方に下げると減速し減速後の車速をセット車速に設定する(−set)。また、ACCスイッチ14を上方に上げるとセット車速から加速し、加速後の車速をセット車速に設定する。そして、次述するCanCel操作やブレーキペダルの操作等によりいったん車間距離制御が解除された後、所定以上の車速においてACCスイッチ14を上方に上げると車間距離制御に復帰する(+reg)。また、ACCスイッチ14を前方に操作すると定速走行と追従走行が切り換えられ(Mode設定)、後方に操作すると定速走行と追従走行のいずれもが解除される(Cancel操作)。
車間距離制御ECU15に接続されたレーダ装置13は、車両の例えばフロントグリル内に設置され車両前方に向けてミリ波を送信すると共に先行車両に反射したミリ波を受信し、送信したミリ波が受信されるまでの時間で先行車両との相対距離を、送信波と受信波の周波数との差に基づき相対速度を検出する。また、レーダ装置13はレーダパルスを左右方向に走査して先行車両の方向を検出する。
車間距離制御ECU15は、レーダ装置13の検出結果と、車速センサ22が検出する車速情報、自車両の操舵角(カーブ半径)、ヨーレート等に基づいて、追従すべき先行車両が自車線に存在するか否かを判定し、先行車両が存在すれば追従走行を、先行車両が存在しなければ、設定された車速で走行する定速走行を行う。
図4(a)〜(d)は定速走行及び追従走行の一例を示す図である。図4(a)のように先行車両が検出されない場合、車間距離制御ECU15は自車両をセット車速で定速走行させる。この場合、車間距離制御ECU15は車速情報と運転者がACCスイッチ14から設定したセット車速とを比較して、目標加減速度を決定しエンジンECU17に送信する。エンジンECU17は主にスロットルコントロールモータを制御してスロットル開度を制御しセット車速で定速走行させる。
図4(b)のように先行車両が検出された場合、自車両は先行車両に追従走行する。車間距離制御ECU15は、追従すべき先行車両に対し、レーダ装置13が検出した相対距離、車速情報、及び、3段階程度からユーザにより設定されている設定車間距離(距離大、距離中、距離小)を参照して、先行車両との目標車間距離を決定する。車間距離制御ECU15は、目標車間距離になるように、目標加速度(車間を詰める場合)、減速度勾配(車間を広げる場合)、ブレーキ制御要求(減速度が大きい場合)、を決定し、エンジンECU17及びブレーキECU18に送信する。図4(a)の低速速走行から図4(b)の追従走行に切り替わる場合、先行車両が自車両よりも低速になるので、車間距離制御ECU15は自車両を先行車両と同じ車速に減速する。
以降は、図4(c)のように先行車両に追従して走行する。目標車間距離は先行車両までの到達時間(TTC:Time To Collision)により決定されるため車速に比例して増大するので、設定車間距離が同じであっても目標車間距離は先行車両の車速に応じて変化する。車間距離制御ECU15は、目標車間距離を決定しながら、目標加速度、減速度勾配及びブレーキ制御要求の有無を算出する。
図4(d)のように先行車両が車線変更したり車速を上げたため補足できなくなった場合、先行車両の車速よりも自車両のセット車速の方が速いことになるので、自車両は定速走行に移行する過程で加速する。車間距離制御ECU15は目標加減速度を算出しエンジンECU17に送信するので、自車両は徐々に加速し図4(a)の定速走行に移行する。
なお、先行車両が急制動した場合など先行車両と異常接近するおそれが生じた場合、車間距離制御ECU15はメータECU19に、ブザー出力器21によるブザーの吹鳴又はインフォメーション表示部20による警告ランプの点灯などを要求する警告要求を送信する。以下では、目標加速度、減速度勾配及び、ブレーキ制御要求、及び、警告要求を距離制御情報という。
エンジンECU17は、車間距離制御ECU15から距離制御情報を受信すると、距離制御情報から判断する運転状態に応じて、内燃機関(ガソリンエンジン等)のスロットル開度やトランスミッションのアクチュエータ駆動手段に対して駆動命令を出力する。これらのアクチュエータにより、内燃機関の出力、制動力(エンジンブレーキ)又は変速シフトを制御することが可能となり、車速や車間距離が制御される。
また、ブレーキECU18には車速センサ22及び油圧回路に備えられた増圧制御弁と減圧制御弁の開閉をデューティ制御するブレーキアクチュエータ24が接続されている。ブレーキECU18は車間距離制御ECU15から距離制御情報、特にブレーキ制御要求を受信すると、ブレーキアクチュエータ24を制御してブレーキ制御要求に応じて車両を制動する。すなわち、スロットル開度の制御やシフトダウンでは十分な目標減速度が得られない場合、車両に制動が加えられる。
メータECU19にはブザー出力器21及びインフォメーション表示部20が接続されている。インフォメーション表示部20は液晶ディスプレイ等で構成され、ACCスイッチ14の操作情報に基づき、車間距離制御のオン/オフ、制御状況(制御モード、設定車間距離)等を表示する。また、車間距離制御ECU15から距離制御情報、特に警告表示要求を受信した場合、メータECU19は接近警告をインフォメーション表示部20に表示させ、また、ブザー出力器21から警報音を吹鳴させる。
本実施例では、目標車間距離が白線認識距離以上となるように目標車間距離を決定する走行支援装置100について説明する。
図5は車速と目標車間距離、車速と白線認識距離の関係の一例を示す。これまで説明したように、追従走行する場合、目標車間距離は車速に比例したものとなるのに対し、白線認識距離は車速に依存せず一定となる。本実施例の走行支援装置100は、目標車間距離が白線認識距離以上となるように目標車間距離を決定する。図5に示すように、目標車間距離は車速Aまで白線認識距離よりも小さい。したがって、車速A以下では目標車間距離に白線認識距離を設定し、車速Aを超えたら車速に応じた目標車間距離とする。以下、区別するため、車速に比例した目標車間距離を仮目標距離という。これにより、図5の斜線部に先行車両が存在することを防止できるので、先行車に遮蔽されずに白線を撮影することができる。
図6(a)は走行支援装置100の機能ブロック図を示す。かかる機能ブロックは白線認識ECU12又は車間距離制御ECU15の少なくとも一方のCPUがプログラムを実行することで実現する。白線認識距離決定手段41は、所定の白線認識距離を記憶している。白線認識距離は可変であるが昼間や夜間などの走行状況が変わらない範囲では一定としてよく、走行状況に応じた白線認識距離を記憶している。なお、白線認識ECU12の白線認識距離を白線認識結果に基づき決定してもよい。認識された白線の長さは画像データのピクセル数から明らかとなるのでかかる長さが白線認識距離である。
仮目標距離決定手段42は、自車両の車速情報及びユーザにより設定されている3段階程度の設定車間距離(距離大、距離中、距離小)を参照して、仮の目標車間距離を決定する。白線認識距離と仮目標距離は図5の如き関係となる。そして、目標車間距離決定手段43は、白線認識距離と仮目標距離のうち、大きい方を目標車間距離に決定する。
図7は走行支援装置100が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。図7のフローチャート図は、先行車両が検出された状態で、車速が所定以上変化した場合や所定のサイクル時間毎に繰り返して実行される。
まず、仮目標距離決定手段42は車間距離の仮目標距離を決定し(S10)、白線認識距離決定手段41が現在の白線認識距離を決定する(S20)。ついで、目標車間距離決定手段43は仮目標距離が白線認識距離以上か否かを判定する(S30)。仮目標距離が白線認識距離以上の場合(S30のYes)、目標車間距離決定手段43は目標車間距離を仮目標距離に決定し(S40)、仮目標距離が白線認識距離以上でない場合(S30のNo)、目標車間距離決定手段43は目標車間距離を白線認識距離に決定する(S50)。
本実施例によれば、白線認識距離内には先行車両が存在しないことになるので、白線認識率の低下、操舵トルクの誤印加、及び、不要警報の出力等を防止することができる。以下、本実施例の方法の目標車間距離の決定方法を目標車間距離の増大制御という。
なお、白線認識距離が固定の場合、車速Aは設定車間距離(距離大、距離中、距離小)に応じて一意に定まるので、予め設定車間距離毎に車速Aを定めておき、自車両の車速が車速A以下になった場合に目標車間距離を白線認識距に設定してもよい。
実施例1では、仮目標距離が白線認識距離以下の場合、一律に目標車間距離を白線認識距離に設定したが、この場合、先行車との車間距離が増大する傾向になる。しかしながら、車間距離が比較的長い状態が続くと割込み車両が増えるなど、運転者が煩わしさを感じる場合がある。そこで、本実施形態では、車線維持支援制御が作動可能な場合にのみ実施例1と同様に目標車間距離を設定する走行支援装置100について説明する。
図6(b)は本実施例の走行支援装置100の機能ブロック図を示す。なお、図6(b)において図6(a)と同一部分には同一の符号を付しその説明は省略する。作動判定手段44は、車線維持支援制御が作動状態か否かを判定する。例えば、車線維持支援制御が作動するには次の条件を満たす必要がある。
・LKAスイッチ9がオンであること
・白線認識ECU12やカメラ11に異常が検出されていないこと
・ウィンカ操作、強いステアリング操作(車線変更や右左折)がされていないこと
・ワイパーのスイッチが所定位置(Hi等)に操作されていないこと
・所定の車速範囲であること
作動判定手段44は、以上の条件を判定して車線維持支援制御が作動状態か否かを判定する。
図8は、走行支援装置100が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。図8のフローチャート図は所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
作動判定手段44は、白線認識ECU12及びカメラ11が正常状態か否か(S110)、車線維持支援のLKAスイッチ9がオンか否か(S120)、車速が所定範囲か否か(S130)、白線認識が可能か否か(S140)、運転者の所定の操作が検出されていないかどうか(S150)を判定し、全ての判定がYesの場合に、目標車間距離を決定する(S160)。ステップS160の目標車間距離の決定方法は実施例1と同様である。なお、図8の判定順序は順不同である。
本実施例によれば、車線維持支援制御が実際に作動している場合にのみ、仮車間距離と白線認識距離の大きい方を目標車間距離に決定するので、先行車との車間距離を一律に増大させることを回避し、走行支援装置100のドライバの受容性を向上させることができる。
実施例1では、仮目標距離が白線認識距離以下の場合、一律に目標車間距離を白線認識距離に設定したが、先行車両が白線を遮蔽していなければ仮目標距離が白線認識距離以下であっても、目標車間距離を白線認識距離に設定する必要はない。
本実施例では、仮目標距離が白線認識距離内の場合には、先行車両が白線を遮蔽しているか否かを判定し、遮蔽している場合には遮蔽されなくなる車間距離(次述の遮蔽回避距離)を目標車間距離に決定する走行支援装置100について説明する。
図9は、先行車両による白線の遮蔽の一例を示す図である。図9(a)と図9(b)ではいずれも白線認識距離内を先行車両が走行しているが、図9(a)では先行車両が白線を遮蔽していないのに対し、図9(b)では白線を遮蔽している。本実施例では、図9(b)のように白線認識距離内の白線を遮蔽している場合にのみ、先行車両が白線を遮蔽しない距離を目標車間距離に決定する。
図6(c)は本実施例における走行支援装置100の機能ブロック図を示す。なお、図6(c)において図6(b)と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。遮蔽検出手段45は先行車両が白線を遮蔽していることを検出する。先行車両は自車両と同程度の速度で走行しているので、画像データのうち先行車両が撮影された領域は、路面や地物が撮影された領域に比べ画像データ間の画素値の変化が少ない。
図9(c)は遮蔽量の検出を説明する図である。遮蔽検出手段45は、レーダ装置13が検出する先行車両との相対距離と方向に基づき矩形領域の先行車両領域を決定する。レーダ装置13の座標空間と画像データの座標空間は、例えば、レーダ装置13の座標系の全ての座標をカメラ11の座標系の1平面上に射影する射影変換行列を求めておくことで対応づけられている。
例えば、この先行車両領域から、画素値の変化が少ない領域や車両形状や車両の特徴量(ナンバープレート、ブレーキランプの点灯、縦横比等)を用いたパターンマッチング等を用いて先行車両領域を確定してもよい。また、レーダ装置13を用いることなく先行車両領域を検出してもよい。
そして、遮蔽検出手段45はこの先行車両領域が白線の領域と重なるか否かを判定する。白線認識距離のすべての白線を先行車両が遮蔽することは少ないので、認識された白線を白線認識距離内で延長し延長された白線と先行車両が重なるか否かを検出する。なお、左右に白線がある場合であって、一方の白線が認識されず他方の白線が認識される場合、認識された白線を目標走行線に対し線対称に仮定して、仮定された白線を先行車両領域が遮蔽しているか否かを判定してもよい。
遮蔽検出手段45は遮蔽される比率(以下、遮蔽度という)を算出し、遮蔽度が所定以上となると遮蔽されていると判定する。遮蔽度は、例えば過去の50個の画像データに対する、遮蔽が検出された画像データの数の比、白線認識距離に対する遮蔽位置(図9(c)のBまでの距離)の程度、又は、その両方である。
遮蔽距離検出手段46は、白線が遮蔽される直前の距離を検出し(図9(c)のBまでの距離)、先行車両が白線を遮蔽しない距離(以下、遮蔽回避距離という)を検出する。遮蔽回避距離は白線認識距離に近くなるが、目標車間距離を広くしながら先行車両領域が白線を遮蔽しなくなる距離をフィードバックしながら目標車間距離を決定することで、白線認識距離よりも短い距離を目標車間距離に決定できる。先行車両に白線が遮蔽されなくなった時の車間距離が遮蔽回避距離となる。
このようにして、仮目標距離が白線認識距離内の場合であって、かつ、先行車両が白線を遮蔽している場合、目標車間距離は先行車両が白線を遮蔽しない距離に設定される。
図10は、走行支援装置100が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。図10のフローチャート図は遮蔽が検出された場合に実行される。
まず、遮蔽検出手段45は白線の遮蔽度を検出し(S210)、遮蔽度に基づき遮蔽されているか否かを判定する(S220)。遮蔽度が所定未満の場合(S220のNo)、目標車間距離決定手段43は仮目標距離を目標車間距離に設定したままである。遮蔽度が所定以上の場合(S220のYes)、遮蔽距離検出手段46は先行車両に遮蔽されなくなる遮蔽回避距離を検出する(S230)。目標車間距離決定手段43は、遮蔽回避距離を目標車間距離に決定する。
本実施例のいくつかの変形例について図11に基づき説明する。図9(c)では白線の延長部と先行車両の位置が重なるか否かにより遮蔽されていることを検出し、さらにその遮蔽度から遮蔽されているか否かを判定したが、画像データにおける先行車両の位置から遮蔽度を検出してもよい。遮蔽されるまでの白線情報から幅員W、目標走行線Oからのオフセット量Dは検出されていると考えてよい。したがって、左右の白線に対する自車両の相対的な位置は既知である。このように画像データにおける白線位置は推定することができるので、遮蔽検出手段45はこれに先行車両が撮影された先行車両領域を当てはめて、先行車両が白線を遮蔽しているか否かを判定する(図11(a))。
また、先行車両の車幅を利用してもよい。レーダ装置13が発信するミリ波は先行車両で反射してレーダ装置13で受信されるので、反射波に車幅情報が含まれる。左右の白線に対する自車両の相対的な位置は既知であるので、遮蔽検出手段45は自車両の位置を基準に車幅の大きさにより白線を遮蔽しているか否かを判定する(図11(b))。
また、自車両の白線に対する相対位置に基づき白線が遮蔽されているか否かを判定してもよい。走行レーン内で右又は左に寄るほど(オフセット量Dが大きいほど)寄った方向と反対方向の白線が先行車両により遮蔽されやすくなる。したがって、遮蔽検出手段45はオフセット量Dが所定以上の場合、遮蔽度が所定以上であると判定する(図11(c)。
また、幅員に基づき白線が遮蔽されているか否かを判定してもよい。幅員が短いほど白線が先行車両により遮蔽されやすくなる。したがって、遮蔽検出手段45は白線情報における幅員が所定以下の場合、遮蔽度が所定以上であると判定する(図11(d))。
図11(a)〜(d)のように、単に遮蔽されていることを検出した場合、遮蔽回避距離を決定することが困難なので、この場合の目標車間距離は例えば白線認識距離とする。したがって、遮蔽の有無を検出した場合、一様に目標車間距離を白線認識距離とすることができる。
本実施例によれば、先行車両が白線を遮蔽している場合にのみ、遮蔽を回避できる遮蔽回避距離を目標車間距離に決定するので、先行車との車間距離を一律に増大させることを回避し、ドライバの受容性を向上させることができる。レーダ装置13により先行車両までの距離を検出し、かかる距離を目標車間距離とする場合と比較して、画像データにおいて実際に白線が遮蔽されている距離を算出するので、過不足のない目標車間距離を設定することができる。
実施例3では、白線の遮蔽度が高い場合に白線が先行車両に遮蔽されているとして、目標車間距離を増大させた。これに対し本実施例では、将来の、車間距離を予測して車間距離が白線認識距離以下に短縮する可能性が高い場合、事前に目標車間距離を長く設定しておく走行支援装置100について説明する。
すなわち、走行支援装置100は、車間距離が短縮するイベントを事前に予測して、車間距離の必要量を予測して車間距離を予め長く取っておく。例えば、現時点では、目標車間距離が白線認識距離より大きいが、先行車両が減速するような場合、目標車間距離が白線認識距離以下となるので、その前に目標車間距離を長めに設定する。
図12は、先行車の車速と車間距離の関係の一例を示す。図12(a)は先行車の車速を、図12(b)は本実施例の手法を適用しない場合の車間距離の変化を、図12(c)は本実施例の手法を適用した場合の車間距離の変化を、それぞれ示す。
先行車両はカーブに進入する時点で減速を開始し、カーブを通過するまで車速を低下させ、カーブを通過したら加速を開始するので車速が増大しやがて安定する。この先行車両に追従する自車両は、同様に減速しまた加速するので、図12(b)に示すように減速時には車間距離が低下し、加速時には車間距離が増大する。しかしながら、カーブ走行中の先行車の車速やその継続時間によっては、目標車間距離が白線認識距離に入ってしまう。
そこで、本実施例の走行支援装置100は、先行車がカーブへ進入することを予測して、車間距離が小さくなる前に事前に車間距離を増大させておく。自車両がカーブに進入する前に車間距離を大きくなるので、車速が低下する先行車両に追従走行して車間距離が小さくなっても、カーブ走行中に目標車間距離が白線認識距離以下になることを防止でき、先行車が白線認識距離内に入ることを防止できる。
図13(a)は本実施例における走行支援装置100の機能ブロック図を示す。なお、図13(a)において図6(a)と同一構成部の説明は省略する。減速予測手段47は、白線情報の道路曲率、ナビゲーションシステムの道路地図情報、路車間通信、先行車両との車車間通信等から先行車両が減速することを予測する。例えば、カーブの存在や右左折が予測されれば減速すると予測する。先行車両の減速が予測された場合、目標車間距離決定手段43は、仮目標距離を増大させた距離を目標車間距離に決定する。増大量は、先行車両がどの程度の車速まで減速し、その時間がどのくらいかにより決定することが好ましい。目標車間距離決定手段43は、例えば白線情報や、路車間通信又は道路地図情報から得られた道路曲率及びカーブ長に基づき増大量を決定する。
図14は、走行支援装置100が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。図14のフローチャート図は先行車両に追従走行している間、所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
まず、減速予測手段47は、車間距離が短縮されるイベントを抽出する(S310)。減速予測手段47は自車量の前方所定距離内のカーブ等を抽出する。そして、減速予測手段47は、イベント中に車間距離が白線認識距離以下になるか否かを判定する(S320)。白線認識距離以下になるか否かは、例えばカーブの曲率半径、カーブ長、現在の車間距離にそれぞれ重み付けして加算した合計値又はいずれかが閾値を満たす場合に、白線認識距離以下になると判定される。
車間距離が白線認識距離以下になると予想されない場合(S320のNo)、目標車間距離決定手段43は仮車間距離を目標車間距離にしたまま走行する。
車間距離が白線認識距離以下になると予想された場合(S320のYes)、目標車間距離決定手段43は目標車間距離の増大量を算出する(S330)。増大量は、例えば、カーブの曲率半径、カーブ長、現在の車間距離にそれぞれ重み付けして加算した合計値に応じて、目標車間距離の増加量を決定し、目標車間距離を決定する(S340)。
なお、ステップS320において、先行車両の車速(自車両の車速)が曲率半径及びカーブ長に比して高い場合にのみ、車間距離が白線認識距離以下になると判定してもよい。これは、先行車両が急減速して自車両との車間距離が急減し白線認識距離内になると予測できるからである。
また、本実施例では、自車両直前の先行車両の車速を予測して車間距離が短縮されるイベントを抽出したが、先行車両の先行車両(以下、先々車両という)の車両位置及び車速から、車間距離が短縮されるか否かを判定してもよい。先々車両の車両位置及び車速は路車間通信や車車間通信で取得する。
先々車両がカーブに進入する場合や右左折する場合にこれを検出し、カーブの曲率半径及びカーブ長、先々車両の車速から車間距離が白線認識距離以下になるか否かを判定する。先行車両の車速は先々車両の車速に影響されると考えられるので、より前方を走行する先々車両の車両位置・車速から車間距離が白線認識距離以下になるか否かを判定することで、より早期に目標車間距離を増大させることができる。
また、隣接レーンから自車両の直前に割込みがあることを予測して事前に車間距離を増大させてもよい。他車両が割り込みした場合、当該他車両が先行車両となるので、車間距離が白線認識距離内となるおそれがある。カメラ11は隣接レーンの他車両を撮影しているので、その他車両と白線との距離、ウィンカ点滅等から他車両が割り込みすることを予測し、予め目標車間距離を増大させておく。これにより、割込みされても車間距離が白線認識距離内となることを低減できる。
本実施例によれば、将来の車間距離を予測して車間距離が白線認識距離以下に短縮する可能性が高い場合、事前に目標車間距離を長く設定しておくので、白線が先行車両に遮蔽されることを防止できる。
実施例1で説明したように白線認識距離は走行環境によって変動する場合がある。例えば、昼間は10〜50m、夜間はLoビームの照射範囲の都合から10〜30mである。また、より動的に白線認識距離を切り換える例として、諸外国においてボッツドッツや反射板(キャッツアイ)により走行線を区切る道路を走行する場合がある。ボッツドッツとは、車線区分線上又は車線区分線があるべき仮想線上に直径10cm、高さ1cm程度の円形の石を所定間隔に配置したものである。ボッツドッツを認識する場合、小さな点の検出を行う必要があることから、通常の白線検出とは異なる特別なロジックを用意する。
ボッツドッツにより区切られた走行レーンを走行する場合、ボッツドッツを検出した白線認識ECU12は自動的にボッツドッツモードに移行するが、直径10cm程度の点をカメラ11で認識するため、20mより遠方は検出が困難となっている。このため、ボッツドッツモードでは10〜20mの画像処理量を増大させ、20m以上遠方は処理しない。一方、白線により走行レーンを区切る道路を走行する場合、白線モードに移行し、10〜50m程度が白線認識距離となる。
本実施例の走行支援装置100は、夜間、昼間、白線、ボッツドッツ等の走行環境に応じて白線認識距離を可変とする。なお、機能ブロック図は図6(a)と同様である。本実施例の白線認識距離決定手段41は、白線認識ECU12がヘッドライトのオン/オフ、ボッツドッツモード/白線認識モードを検出して、白線認識距離を決定する。すなわち、目標車間距離決定手段43はアクティブに白線認識距離を決定する。
図15は、走行支援装置100が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。図15において図7と同一ステップの説明は省略する。ステップS21において白線認識距離決定手段41は走行環境を抽出し、走行環境に応じて白線認識距離を決定する(S21)。以降は、図7と同様である。
本実施例によれば、実施例1と同様に白線認識距離内には先行車両が存在することを防止でき、さらに、白線認識距離を走行環境に応じて低減できるので先行車との車間距離を低減させ、ドライバの受容性を向上させることができる。
なお、本実施例ではヘッドライトのオンにより夜間であることを検出したが、車両周辺の明るさから白線認識距離を決定してもよい。車両周辺の明るさはカメラ11のシャッター速度から検出する。例えば、夜間、自車ヘッドランプなし、かつ、周辺に街灯のない場合、シャッター速度は光量を得るため遅くなることから車両周辺が暗いことを検出し、目標車間距離決定手段43は白線認識距離を短くすることができる。
実施例1のように白線認識距離を増大できれば、白線が先行車により遮蔽されないが、運転者によっては車速が遅いのに車間距離が増大することに違和感を覚える場合がある。そこで、本実施例では、運転者の意志(操作)によって実施例1の方法を実行するか否かを判定する走行支援装置100について説明する。運転者の意志により実施例1の方法の実行可否を設定できるので、例えば、趣向に応じて運転者が車間距離を増大させるか否かを設定できる。
図16は設定操作画面の一例を示す。キーボードや音声入力装置により所定の操作を入力すると、ナビ画面やインフォメーション表示部20に設定操作画面が表示される。図16では「LKAS用車間距離制限設定」と表示されている。これに対し運転者は「有効」又は「無効」を選択できる。なお、インストルメントパネルやステアリング上に物理的なスイッチを用意してもよい。
・運転者の操作の学習
図16のように設定操作画面を設けるのでなく、運転者の操作を学習してもよい。例えば、実施例1のように仮目標距離よりも長い目標車間距離が設定されている場合に、運転者が車間距離を短縮する操作(例えば、設定車間距離(距離大、距離中、距離小)の設定)を入力した場合、運転者は車間距離が長すぎると感じている可能性が高い。したがって、かかる操作を検出した場合、仮目標距離よりも長い目標車間距離を設定することを禁止する。
図13(b)は本実施例における走行支援装置100の機能ブロック図を示す。なお、図13(b)において図6(a)と同一構成部の説明は省略する。車間距離増減禁止手段48は、運転者の操作を検出して目標車間距離の増大又は目標車間距離の減少を禁止する。すなわち、仮目標距離よりも長い目標車間距離が設定されている場合に、運転者が車間距離を短縮する操作を入力した場合、車間距離増減禁止手段48は目標車間距離の増大を禁止し、仮目標距離が目標車間距離として設定されている場合に、運転者が車間距離を増大する操作を入力した場合、車間距離増減禁止手段48は目標車間距離の増大を許可する。
図17は、走行支援装置100が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。図17のフローチャート図は、仮目標距離よりも長い目標車間距離が設定されている場合に所定のサイクル時間毎に繰り返される。
目標車間距離決定手段43は、仮目標距離よりも長い目標車間距離が設定されているか否かを判定する(S410)。仮目標距離よりも長い目標車間距離が設定されていない場合(S410のNo)、そのまま終了する。
仮目標距離よりも長い目標車間距離が設定されている場合(S410のYes)、車間距離増減禁止手段48は設定車間距離の操作を検出し(S420)、車間距離を短縮させる操作があったか否かを判定する(S430)。
車間距離を短縮させる操作があった場合(S430のYes)、車間距離増減禁止手段48は仮目標距離よりも長い目標車間距離を設定することを禁止し(S440)、車間距離を短縮させる操作がない場合(S430のNo)、車間距離増減禁止手段48は仮目標距離よりも長い目標車間距離を設定したまま処理を終了する(S450)。
したがって、図17の処理によれば図16のような設定操作画面を作成する必要がないので、コスト増を抑制できかつ運転者にとって分かりやすい操作環境を提供できる。
なお、車間距離増減禁止手段48が仮目標距離よりも長い目標車間距離を設定することを禁止した場合、目標車間距離決定手段43はイグニッションオフまで目標車間距離の増大制御の禁止を継続する。これにより、イグニッションオフまでに再度、目標車間距離が仮車間距離より大きくなることを防止でき運転者が煩わしく感じることを防止できる。
本実施例によれば、運転者の意志(操作)を検出して目標車間距離の増大制御を実行するか否かを切り換えるので、より運転者の受容性を向上させることができる。
運転支援システムの制御手順の概略を示す図である。
走行支援装置のブロック図の一例である。
カメラが撮影する画像データの一例を示す図である。
定速走行及び追従走行の一例を示す図である。
車速と目標車間距離、車速と白線認識距離の関係の一例を示す図である。
走行支援装置の機能ブロック図の一例である。
走行支援装置が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。
転支援装置が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。
先行車両による白線の遮蔽の一例を示す図である。
転支援装置が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。
遮蔽度を検出例を示す図である。
先行車の車速と車間距離の関係の一例を示す図である。
走行支援装置の機能ブロック図の一例である。
走行支援装置が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。
走行支援装置が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。
設定操作画面の一例を示す図である。
走行支援装置が目標車間距離を決定する手順を示すフローチャート図である。
符号の説明
9 LKAスイッチ
11 カメラ
12 白線認識ECU
13 レーダ装置
14 ACCスイッチ
15 車間距離制御ECU
16 パワーステアリングECU
17 エンジンECU
18 ブレーキECU
19 メータECU
41 白線認識距離決定手段
42 仮目標距離決定手段
43 目標車間距離決定手段
45 遮蔽検出手段
46 遮蔽距離検出手段