JP4889241B2 - ポリプロピレン系熱収縮性フィルム - Google Patents
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Description
これら熱収縮フィルム(シュリンクフィルム)のうち、ポリプロピレン系シュリンクフィルムは透明性や光沢性が高く外観に優れ、耐熱性と剛性に優れるという特徴を有する。
従来では、熱収縮フィルム用のポリプロピレン系樹脂としては、透明性と収縮率の観点からプロピレン−エチレンランダム共重合体が主体であった。しかし、従来のプロピレン−エチレンランダム共重合体はその製造にチーグラー・ナッタ系触媒が用いられており、結晶性と分子量に広い分布を有することからべたつきやブロッキング及びブリードアウトが悪く、また、収縮率も満足されるものではなかった。
近年、メタロセン系触媒により結晶性と分子量分布の狭い、特定の熱融解挙動を示す結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を用いる方法(特許文献1)が提案されており、べたつきやブロッキング及びブリードアウト等が改善され、収縮特性の向上がはかられている。
これら、耐衝撃性の改良と柔軟性の付与に関しては、一般にエラストマー等耐衝撃性に優れる樹脂をブレンドするといった手法が用いられ、フィルムとしての利用も増加している。
このようなブレンドは成形時に添加されるもの、押出機にて溶融混練されるもの、重合を多段階で行うもの等が一般的であるが、第一工程で結晶性ポリプロピレンを第二工程でプロピレン−エチレン共重合体エラストマーを製造する、いわゆるブロックタイプのリアクターTPOと称されるものは、ランダムコポリマータイプのエラストマーに比べて耐熱性と生産性に優れるという特徴を有し、また、機械的な混合により製造されるエラストマーに対して、生成物の品質が安定し製造コストが低下し、エラストマー組成を広く可変にできるなどの有利な特徴を有することから、経済性が高く、最近において非常に汎用されている。
しかし、その多くは、第一工程で製造される結晶性ポリプロピレンと第二工程で製造されるプロピレン−エチレン共重合体エラストマーとが相分離し、延伸フィルムにおいても透明性が十分ではなく、さらに、収縮後の透明性が著しく悪いため製品の外観を損ねるという問題がある。また、相分離することで界面からの裂けが生じやすく、耐衝撃性が十分とはいい難い。
そのため、これらの原料を用いてシュリンクフィルムを製造したとしても透明性等の要求性能を十分に満たすことはできない。
さらに、樹脂原料面での改良として、低分子量成分の生成を抑えるようエラストマーの固有粘度すなわち分子量をある程度以上高くする手法も開示されているが(特許文献3)、分子量を増加させても低結晶性成分の生成は抑制効果が小さくて、透明性が十分でなく、ベタツキやブリードアウトの改良も未だに不十分であって、エラストマーの分子量が高いことでブツやフィッシュアイなどと称される外観不良が発生しやすく延伸成形時に膜が裂けやすいといった多くの問題を有している。
このような数値規定は、実験的な実証などに基くものであり、後記する実施例と比較例との対照によっても確証されるものである。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR:2.16kg 230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること
[2]原料として以下の条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体を用いた層を少なくとも一層以上含み、少なくとも一方向に延伸することで熱収縮性を付与された多層ポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR:2.16kg 230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること
[3][1]又は[2]に記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルムにおいて、延伸をプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のDSCにより測定される融解ピーク温度よりも20℃以上低い温度で行うことを特徴とするポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンブロック共重合体によるポリプロピレン系熱収縮性フィルムが、テンター法で少なくとも一軸に延伸成形されたものであるポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンブロック共重合体によるポリプロピレン系熱収縮性フィルムが、インフレーション法で二軸延伸成形されたものであるポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
[6]プロピレン−エチレンブロック共重合体が以下の条件(A−iv)を満たすことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−iv)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる、ブロック共重合体の分子量における5.000以下の成分量W(Mw≦5,000)が、成分(A)中の0.6wt%以下であること
[7]プロピレン−エチレンブロック共重合体が以下の条件(A−v)〜(A−vi)を満たすことを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−v)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が0.5〜6wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が30〜85wt%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも6〜18wt%多くのエチレンを含量するプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が70〜15wt%の範囲にあること
(A−vi)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が55℃〜96℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が45℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が98℃以下であること
[8]プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が以下の条件(A−vii)〜(A−iix)を満たすことを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−vii)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が1.5〜6wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が30〜70wt%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも8〜16wt%多くのエチレンを含量するプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が70〜30wt%の範囲にあること
(A−iix)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が60℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が40℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること
(1)基本規定
本発明における、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムの原料として用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で第1工程よりも3〜20wt%多くのエチレンを含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%、逐次重合することで得られる。
なお、このようなプロピレン−エチレンブロック共重合体は、いわゆるブロック共重合体と通称されているものであるが、成分(A1)と成分(A2)のブレンド状態にあり、双方が重合で結合しているものではない。
(2−1)成分(A1)中のエチレン含量E(A1)
第1工程で製造される成分(A1)は、ベタツキを抑制し、耐熱性を発現するために、融点が比較的高く、結晶性を有するプロピレン単独重合体、或いはエチレン含量が7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体であらねばならない。エチレン含量が7wt%を超えると融点が低くなりすぎ耐熱性を悪化させるため、エチレン含量は7wt%以下、好ましくは6wt%以下とされる。
なお、成分(A1)はプロピレン単独重合体でも改良された柔軟性や透明性及び耐熱性を示すが、成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合には透明性を維持しながら充分な柔軟性を発揮させるために後述する成分(A2)の割合を極端に増加させる必要が生じ、これにより耐熱性及びベタツキやブロッキングなどの顕著な悪化を招くことが懸念される。
一方、成分(A1)をプロピレン−エチレンランダム共重合体とすると、成分(A1)自体の融点は低下することで耐熱性は悪化するように見えるが、充分な柔軟性を発揮するために必要な成分(A2)の量を抑制できることで、ブロック共重合体全体としての耐熱性はむしろ向上し、かつ、ベタツキやブロッキングの悪化が小さいため好ましい。
さらに融点を低下させられることで、延伸成形時の成形温度を低下させても充分な成形安定性が得られることで加熱収縮性能などが極めて優れた加熱収縮性フィルムを得ることができる。
これらの観点から、成分(A1)中のエチレン含量は好ましくは0.5wt%以上、より好ましくは1.5wt%以上である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体中に占める成分(A1)の割合が多過ぎるとプロピレン−エチレンブロック共重合体の柔軟性や耐衝撃性及び透明性の改良効果を充分に発揮することができない。そこで成分(A1)の割合は95wt%以下、好ましくは85wt%以下、より好ましくは70wt%以下とされる。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎるとベタツキが増加し、耐熱性が顕著に悪化するといった問題を生じるため、成分(A1)の割合は30wt%以上、好ましくは40wt%以上である。
(3−1)成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の柔軟性と耐衝撃性及び透明性を向上させるのに必要な成分である。
ここで、成分(A2)は上記効果を充分発揮するために特定範囲のエチレン含量であることが必要である。すなわち、本発明のブロック共重合体において、成分(A1)に対し成分(A2)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きく、結晶性はプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量で制御されるため、成分(A2)中のエチレン含量E(A2)は、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)よりも3wt%以上多くないとその効果を発揮できず、好ましくは6wt%以上、より好ましくは8wt%以上、成分(A1)よりも多くのエチレンを含む。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差をE(gap)(=E(A2)−E(A1))と定義すると、E(gap)は3wt%以上、好ましくは6wt%以上、より好ましくは8wt%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差E(gap)が大きくなり、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取り、透明性が低下する。これは元来、ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン含量が異なるものの相互の相溶性は、エチレン含量の違いが大きくなると低下するためである。E(gap)の上限については、段落0025に後述する固体粘弾性測定によりtanδのピークが単一になる範囲にあればよいが、そのためにはE(gap)は20wt%以下、好ましくは、18wt%以下、より好ましくは16wt%以下の範囲とされる。
成分(A2)の割合が多過ぎるとベタツキが増加しブロッキングに悪化が生じ、耐熱性の低下も顕著になるため、成分(A2)の割合は70wt%以下に抑えることが必要である。
一方、成分(A2)の割合が少なくなり過ぎると柔軟性と耐衝撃性の改良効果が得られないため、(A2)の割合は5wt%以上であることが必要であり、好ましくは15wt%以上、より好ましくは30wt%以上である。
本発明のポリプロピレン系フィルムに用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体のMFRは0.1〜30g/10minの範囲を取ることが必要である。本発明において、MFRが低すぎるとフィルムの表面にシャークスキンやメルトフラクチャメルトフラクチャと呼ばれる表面あれが発生し透明性や外観を著しく損なうばかりでなく延伸成形が困難となる。一方で、MFRが高すぎると収縮率や耐衝撃性が低下するため好ましくない。
そこで、本発明において成分(A)のMFRは0.1〜30g/10minの範囲を取らなくてはならず、0.5〜10g/10minの範囲が成形安定性やフィルム外観、物性のバランスの観点から好適である。
なお、本発明におけるメルトフローレート(MFR)はJIS K7210 A法 条件M に従い、試験温度:230℃ 公称加重:2.16kg ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm の条件で測定されたものである。
(5−1)tanδ曲線のピークによる規定
本発明のポリプロピレン系フィルムに用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することが必要である。
成分プロピレン−エチレンブロック共重合体が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、成形品の透明性を左右する相分離構造の回避は、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
本発明においては、透明性を発揮するために、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線が単一のピークを持つことが必要である。
なお、本発明のtanδ曲線のピークの実例、及び比較のための単一のピークを有しない場合のtanδ曲線の実例が、各々重合製造例−1及び3における実例として、図2及び図3に示されている。
固体粘弾性測定とは、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは周波数は1Hzを用い測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率と損失弾性率を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)を温度に対してプロットすると、tanδ曲線が得られ、本発明においては、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは非晶部のガラス転移を観測するものであり、ここでは本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析(分別法)を用いることが望ましい。
6−1−1.温度昇温溶離分別法
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体は、成分(A1)と(A2)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン系触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低い或いは非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある(このとき測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)。この場合には、T(A2)は測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することができないため、このような場合にはT(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は結晶性が低い或いは非晶性の成分(A2)の量とほぼ対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量とほぼ対応している。なお、TREF溶出曲線の実例は、重合製造例A−1における実例として、図1に例示されている。
本発明においては、具体的には次のように測定を行う。試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
6−2−1.成分(A1)と(A2)の分離
先のTREF測定により求めたT(A3)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(A3)における可溶成分の成分(A2)と、T(A3)における不溶成分の成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecukes 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
直径50mmで高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/ml)200mlを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次に、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mlまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製GSX−400又は同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950(1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536 (1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sββ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
したがって、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 (7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−×/100)}×100 ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
また、ブロック共重合体全体のエチレン含量E(W)は、上記より測定された成分(A1)と(A2)それぞれのエチレン含量E(A1)とE(A2)及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)wt%から以下の式により算出される。
E(W)={E(A1)×W(A1)+E(A2)×W(A2)}/100(wt%)
各成分の量を特定するために用いたTREF溶出曲線を用いることで、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体に、結晶性分布において付加的な特徴を見出すことができる。
6−3−1.溶出ピーク温度T(A1)
TREF溶出曲線における成分(A1)の溶出ピーク温度T(A1)が高いほど、成分(A1)は結晶性が高くなるが、このとき、成分(A1)の結晶性が高くなるとプロピレン−エチレンブロック共重合体の耐衝撃性と収縮後の柔軟性を改良するために必要な成分(A2)を多くしなくてはならない。
一方で、成分(A2)の割合が多くなりすぎるとベタツキやブロッキングの悪化や耐熱性の低下が生じるため、耐衝撃性と収縮後の柔軟性、透明性とのバランスを向上させるためには、T(A1)は高過ぎないほうがよい。さらに加熱収縮率は延伸温度の上昇と共に悪化する傾向があるが、T(A1)を低下させることで、延伸温度を低下させても安定した成形が可能となる点でも好ましい。
本発明において成分(A1)はプロピレン単独又はエチレン7wt%以下のランダム共重合体であるが、T(A1)はエチレン含量の増加により低下させることができる。このとき、充分な柔軟性と透明性、耐熱性のバランスを発揮するためには、T(A1)は96℃以下であることが好ましく、最も好ましい範囲は88℃以下であることが好ましい。
一方、ピーク温度T(A1)が55℃未満である場合には、成分(A1)の結晶が融解する温度は低く、ブロック共重合体が充分な耐熱性を発揮することができずブロッキングが悪化するため、本発明においては、ピーク温度T(A1)は55℃以上であることが好ましく、より好ましくは、60℃以上である。
T(A1)が低くとも高結晶側に結晶性分布を持つ場合には透明性の悪化が生じる。さらに、後述する延伸温度を低下させることが困難になるという問題が生じる。これは、高結晶側に結晶性分布を有することで延伸時に均一な延伸が困難になることが原因と推察される。そこで、TREF溶出曲線において高温側への結晶性の広がりは抑制されることが好ましい。この高結晶側への結晶性の広がりはTREF測定により評価可能であり、ピーク温度T(A1)に対し、成分プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の溶出終了温度T(A4)(但し、TREF測定における誤差を考えると全て溶出する温度を定義することは困難であるので、本発明においては全体の99wt%が溶出する温度を溶出終了温度T(A4)と定義する)は高くないほうが好ましく、高温側に溶出成分があるとその成分の結晶化度が増加してしまうので、本発明の好ましい要件としてT(A4)は98℃以下、好ましくは90℃以下である。
さらに、溶出ピークから終了までの温度差ΔT(T(A4)−T(A1))は好ましくは5℃以下、より好ましくは4℃以下、さらに好ましくは3℃以下の範囲にあればよい。
成分(A2)の結晶性が充分に低下していないとプロピレン−エチレンブロック共重合体成分(A)の柔軟性と透明性を確保することができないため、T(A2)は好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。
(7−1)分子量の規定
本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体成分(A)は、低分子量成分が少ないことを付加的な特徴とする。
低分子量成分、特に、その分子量が絡み合い点間分子量に満たない成分は、成形体の表面にブリードアウトし、ベタツキ性や透明性などを悪化させると考えられる。
ポリプロピレンの絡み合い点間分子量は、Journal of Polymer Science:Part B:Polyer Physics; 37 1023−1033(1999)に記載されるように、約5,000である。
したがって、本発明におけるブロック共重合体は、低分子量成分が少なく、重量平均分子量が5,000以下の成分量は、0.6wt%以下、好ましくは0.4wt%以下であることが望ましい。
本発明においては、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。 F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mlとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2ml注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4 α=0.7
PE:K=3.92×10−4 α=0.733
PP:K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:0.2ml
試料の調製 試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットから、分子量5,000以下の成分量も求めることができる。
(1)メタロセン系触媒
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を製造する方法は、メタロセン系触媒の使用を必須とするものである。
プロピレン−エチレンブロック共重合体において分子量及び結晶性分布が広いとベタツキやブリードアウトが悪化することは当業者に広く知られるところであるが、本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体においても、ベタツキ及びブリードアウトを抑制するため、かつ、加熱収縮性フィルムにおいて充分な透明性および加熱収縮性を発揮するために、分子量及び結晶性分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて重合されることが必要であり、チーグラー・ナッタ系触媒では本発明の優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体が得られないのは、後記の実施例と比較例との対比からも明らかである。
成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(c):有機アルミニウム化合物。
成分(a)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C5H4−aR1)(C5H4−bR2)MeXY (1)
[ここで、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。R1、R2は、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を示す。a及びbは置換基の数である。]
X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。
R1とR2は、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したR1とR2は、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。
なお、触媒成分は本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
成分(b)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
上記成分(b)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、
一般式 AIRaX3−a
(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは、水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
成分(a)と成分(b)及び必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(a)と成分(b)を接触させる
2)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(c)を添加する
3)成分(a)と成分(c)を接触させた後に成分(b)を添加する
4)成分(b)と成分(c)を接触させた後に成分(a)を添加する
5)三成分を同時に接触させる
本発明で使用する成分(a)と(b)及び(c)の使用量は任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1.000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分(b)に対する成分(c)の使用量は、成分(b)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。したがって、成分(a)に対する成分(c)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−5〜50、特に好ましくは10−4〜5の範囲内である。
本発明の触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(b)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
(2−1)逐次重合
本発明のプロピレン−エチレンブロック重合体(A)を製造実施するに際しては、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが前述した理由により必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には時間と共に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A1)と成分(A2)を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には成分(A1)と成分(A2)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(A1)、成分(A2)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いてもよい。
重合プロセス(重合方法)は、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶け易いため、成分(A2)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)の製造に対してはどのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A1)を製造する場合には、付着などの問題を避けるために気相法を用いることが望ましい。
したがって、連続法を用いて、まず結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体エラストマー成分(A2)を気相法にて重合することが最も望ましい。
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。
重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させることもできる。
第一工程で成分(A1)、第二工程で成分(A2)の逐次重合を行う場合、第二工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などの各公報を例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
本発明のポリプロピレン系フィルムに用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の各要素は以下のように制御され、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)に必要とされる構成要件を満たすよう製造することができる。
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)については、エチレン含量E(A1)とT(A1)を制御する必要がある。
本発明では、E(A1)を所定の範囲に制御するためには、第1工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、用いるメタロセン触媒の種類によって異なるが、供給比率の調整により必要とするエチレン含量E(A1)を有する成分(A1)を製造することができる。例えば、E(A1)を0〜7wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0〜0.3の範囲、好ましくは0〜0.2の範囲とすればよい。このとき、成分(A1)は結晶性分布が狭く、T(A1)はE(A1)の増加に伴い低下する。
そこで、T(A1)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A1)とこれらの関係を把握し、目標とする範囲を取るよう調整する。
低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)については、エチレン含量E(A2)とT(A2)を制御する必要がある。
本発明では、E(A2)を所定の範囲に制御するためには、E(A1)と同様に、第二工程におけるプロピレンに対するエチレンの供給量比を制御すれば良い。例えば、E(A2)を5〜20wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.01〜5の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲とすればよい。このとき、成分(A2)もエチレン含量の増加に伴い若干結晶性分布の増加が見られるものの、成分(A1)と同様に、T(A2)はE(A2)の増加に伴い低下する。
そこでT(A2)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A2)とT(A2)との関係を把握し、E(A2)を所定の範囲になるように制御すればよい。
成分(A1)の量W(A1)と成分(A2)の量W(A2)は、成分(A1)を製造する第一工程の製造量と成分(A2)の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えば、W(A1)を増やしてW(A2)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、それは、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。その逆も又同様である。
実際に条件を設定する際には、活性減衰を考慮する必要がある。すなわち、本発明にて実施するエチレン含有量E(A1)及びE(A2)の範囲においては、一般にエチレン含有量を高くするためにプロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると重合活性が高くなり、同時に活性減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第二工程の活性を維持するために第一工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、第一工程にて生産量W(A1)を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする、或いは第二工程にてエチレン含有量E(A2)を上げ、生産量W(A2)を上げ、必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くするような方法で条件を設定すればよい。
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体では、段落0025において記述したガラス転移温度Tgは、単一のピークを持つ必要がある。Tgが単一のピークを持つためには、成分(A1)中のエチレン含有量E(A1)と成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)の差の[E]gapすなわちE(A2)−E(A1)を20wt%以下、好ましくは18wt%、より好ましくは16wt%以下にし、実際の測定においてTgが単一のピークとなる範囲までE(gap)を小さくすればよい。
結晶性の共重合体成分(A1)のエチレン含有量E(A1)に応じて、低結晶性或いは非晶性の共重合体成分(A2)のエチレン含量E(A2)を適正範囲に入るよう、成分(A2)の重合時のプロピレンに対するエチレンの供給重量比を設定することで、所定の[E]gapを有する重合体を得ることが可能である。
また、本発明のような相分離構造を取らないブロック共重合体のTgは、成分(A1)中のエチレン含有量E(A1)と成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)、及び両成分の量比の影響を受ける。本発明においては、成分(A2)の量は5〜70wt%であるが、この範囲においてTgは成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)の影響をより強く受ける。
すなわち、Tgは非晶部のガラス転移を反映するものであるが、本発明のブロック共重合体成分(A)において成分(A1)は結晶性を持ち比較的非晶部が少ないのに対し、成分(A2)は低結晶性或いは非晶性であり、そのほとんどが非晶部であるためである。
したがって、Tgの値は、ほぼE(A2)によって制御され、E(A2)の制御法は段落0057に前述したとおりである。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)では、透明性を維持するために結晶性の共重合体成分(A1)と低結晶性或いは非晶性の共重合体エラストマー成分(A2)が相溶性していることを必須とするため、成分(A1)の粘度[η]A1、成分(A2)の粘度[η]A2、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)全体の粘度[η]Wの間には、見かけ上の粘度の混合則が概ね成立する。すなわち、
Log[η]W={W(A1)×Log[η]A1+W(A2)×Log[η]A2}/100
が概ね成立する。一般にMFRと[η]の間には一定の相関があるから、最初に柔軟性や耐熱性などの観点から、[η]A2、W(A1)、W(A2)を設定しておけば、上記の式に従って[η]A1を変化させることによって、MFRを自在に制御することができる。
T(A4)は、結晶性分布を示す指標であり、成分(A1)の結晶性分布が狭いほどT(A4)はT(A1)に近くなるため(低くなり)、T(A4)を低く制御することは、成分(A1)と成分(A2)の結晶性分布を狭く制御することに他ならない。
一般的には、メタロセン系触媒を用いることにより、チーグラー・ナッタ系触媒を用いる場合より、結晶性分布の狭いポリマーを得ることができるが、本発明のような逐次重合を行う系においては、結晶性分布を狭くするためにはメタロセン系触媒を用いるだけでは必要十分ではない。
最終的なプロピレン−エチレンブロック共重合体を望ましい物性を持ったものに調整するためには、成分(A1)と成分(A2)はそれぞれ異なった特定のポリマー組成を有する必要がある。つまり、第一工程と第二工程ではそれぞれのポリマー組成に対応する重合条件、特にモノマーガス組成をそれぞれ異なる特定の値に保つ必要がある。したがって、採用するプロセスにおいて成分(A2)の結晶性分布が広い場合は、第一工程から、第一工程に対応する特定のモノマーガス混合物を第二工程に持ち込まないように、移送工程を調整するなどの工夫も必要である。具体的には、移送工程に於けるパージ量を増加し、或いは窒素などの不活性ガスで希釈もしくは置換することにより、成分(A2)の結晶性分布を狭くすることができる。すなわち、移送工程を調整することにより、T(A4)を低く制御することができる。
一般的に、メタロセン系触媒を用いることによりチーグラー・ナッタ系触媒の場合より分子量分布の狭いポリマーを得ることができる。しかし、本発明のような逐次重合を行う系においては、分子量分布を狭くするためにはメタロセン系触媒を用いるだけでは必ずしも充分ではない。特に、低分子量成分の生成を防ぐためには、第一工程から第二工程へ移送する時間を短くしたり、移送工程に於いて第一工程に対応するモノマーガス混合物を窒素などの不活性ガスで完全に置換したりすることにより、重合条件とは独立に、W(Mw≦5,000)を小さく制御することができる。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムには加熱収縮性の向上、耐衝撃性の向上を目的にエチレン−α−オレフィン共重合体成分を配合しても良い。配合量の目安はおおよそ0〜10wt%であり、10wt%を超えると透明性が悪化し易くなる。
また、該エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は0.870〜0.920g/cm3、であることが好ましい。密度が0.870g/cm3を下回るとベタツキ易く、耐ブロッキング性が悪化し、0.920g/cm3を上回ると加熱収縮性、耐衝撃性の向上効果が見られなくなりやすい。
脂環式炭化水素樹脂としては極性基を有さないものや、あるいは、水素を添加して95%以上の水添率とした樹脂が好ましい。さらに好ましい樹脂は、石油樹脂又は石油樹脂の水素添加誘導体であり、該石油樹脂としては、例えば、荒川化学工業(株)製のアルコンまたはエクソンモービル(有)製のオペラ等の市販品が挙げられる。
非晶性の環状オレフィン系樹脂としては、シクロペンタジエン、テトラシクロドデセン等の重合体やそれらを主体とした共重合体が挙げられ、市販品としては三井化学社製アペルや日本ゼオン社製ゼオノア等が例示できる。
配合量の目安は概ね5w%未満である。5w%以上では本発明の樹脂組成物よりなるポリプロピレン系熱収縮性フィルムが脆くなり易い。
また、該脂環式炭化水素樹脂、非晶性環状オレフィン系樹脂は軟化点温度110℃以上160℃以下、若しくはガラス転移温度50℃以上120℃以下の物が加熱収縮率向上、透明性の確保の観点から好ましい。
(1)フィルムの製造方法
本発明のポリプロピレン系熱収縮フィルムは、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体を少なくとも一層含む未延伸シートを少なくとも一軸方向に延伸し、好ましくは、続いてエージングして経時収縮率を制御することにより得られる。
未延伸シートの製造には、公知のフィルムまたはシート成形方法を用いることができる。具体的な例としては、押出機により原料を可塑化し、Tダイから溶融押出した樹脂をエアナイフと冷却ロールを用いて冷却固化させるキャスト成形法、2本以上の冷却ロールでニップして冷却固化させるシート成形、あるいは、環状ダイから溶融押出した樹脂を空冷もしくは水冷により冷却固化するインフレーション成形等が挙げられる。
延伸方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、チューブラー法、テンター式延伸法、ロール間の速度差を利用したロール延伸法、パンタグラフ式バッチ延伸法などが挙げられる。
延伸方法の一例としてはTダイ方により得たシートを1.0〜5.0倍程度ロール延伸した後、テンター法により4.0〜10.0倍程度延伸する方法を例示できる。
また、延伸方法のもう一つの例として、環状ダイスより空冷もしくは水冷法により得たチューブ状の未延伸シートを溶融温度以下に加熱し、しかる後に空気によりバブル状に縦方向に3.0〜7.0倍、横方向に3.0〜7.0倍程度延伸するいわゆるチューブラー法による延伸法を例示できる。
延伸は、収縮率を向上させる目的より、延伸割れを起こさない範囲ででき得る限り低温で延伸することが好ましく、特に未延伸シートに予熱をかける工程がある場合は、予熱温度を成形可能な範囲内で、でき得る限り低くすることが収縮率向上の観点から好ましい。
延伸後には、経時収縮率を押さえるために、いわゆるエージングなどの既知の熱処理を行うのが好ましい。エージング等の熱処理の条件は経時収縮率と加熱収縮率のバランスを見て適宜設定できる。
なお、本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムが多層フィルムの場合の積層方法は、多層共押出法や、インラインラミネート法が挙げられるが、製造設備簡略化の観点から多層共押出法が好ましい。
なお、実施例及び比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210 A法 条件M に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
〔装置〕
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
〔測定条件〕
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)
試料濃度:5mg/ml
試料注入量:0.1ml
溶媒流速:1ml/分
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200.200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm2
保持圧力:800kgf/cm2
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。昇温時の吸熱曲線の面積からdHmを求めた。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。なお、測定法は、段落0038において詳述した方法による。
段落0029〜0033において詳述した方法による。
固体粘弾性測定に用いた試験片を用い、ブロック共重合体(A)の耐熱性を、以下の条件で評価した。
規格番号:JIS K7206(荷重を250gとした以外は50法に準拠)
測定機:全自動HDT測定機(東洋精機製)
試験片の形状:厚さ2mm 25mm×25mm平板を2枚重ね
試験片の作成方法:射出成形平板を上記形状に打ち抜き
状態の調節:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置(アニール無し)
試験加重:250g
昇温速度:50℃/時
試験片の数:3
[重合製造例A−1]
予備重合触媒の調製
(イオン交換性層状珪酸塩の化学処理)10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(イオン交換性層状珪酸塩の乾燥)先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉) かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520 珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素 96リットル/時間 向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。ここに、該珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1,160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mlに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71ML)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(r)−ジクロロ[1.1′−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2.180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mlに調製した。
(予備重合/洗浄)続いて、槽内温度を40℃昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5600ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5600ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mモル/リットル、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液を170ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
第一工程では、内容積0.4m3の攪拌装置付き液相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。液化プロピレンと液化エチレン、トリイソブチルアルミニウムをそれぞれ90kg/時、4.2kg/時、21.2g/時で連続的に供給した。水素供給量は第一工程のMFRが目標の値となるように調節した。さらに、上記の予備重合触媒を、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)、6.9g/時となるように供給した。また、重合温度が45℃となるように重合槽を冷却した。
第一工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、BD(嵩密度)は0.46g/cc、MFRは2.0g/10分、エチレン含有量は3.7wt%であった。
第二工程では、内容積0.5m3の攪拌式気相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。第一工程の液相重合槽より重合体粒子を含んだスラリーを連続的に抜き出し、液化プロピレンをフラッシングした後、窒素で昇圧して気相重合槽へ連続的に供給した。
重合槽は温度が80℃、プロピレンとエチレンと水素の分圧の合計が1.5MPaとなるように制御した。その際にプロピレンとエチレンと水素の分圧の合計に占めるプロピレンとエチレン及び水素の濃度は、それぞれ66.97vol%、32.99vol%、420volppmとなるように制御した。
さらに、活性抑制剤としてエタノールを気相重合槽に供給した。エタノールの供給量は、気相重合槽に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中のアルミニウムに対して、0.3mol/molとなるようにした。
こうして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体を分析したところ、活性は8.7kg/g−触媒、BDは0.41g/cc、MFRは2.0g/10分、エチレン含有量は8.7wt%であった。
重合製造例A−1で得られたブロック共重合体パウダーにブレンダーにより、酸化防止剤、中和剤、アンチブロッキング剤、滑剤を添加し、充分に撹拌混合した。
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガホス168)0.10重量部
中和剤:ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製 カルシウムステアレートG)0.05重量部
アンチブロッキング剤:合成シリカ(富士シリシア(株)製 サイリシア430)0.40重量部
滑剤:オレイン酸アミド(日本精化(株)製 ニュートロン)0.30重量部
得られたPP−1ペレットを用いて、TREF、エチレン含量、DSC、GPC、固体粘弾性、耐熱性の測定を行った。
測定により得られた各データを表4に示す。
得られた測定結果からPP−1は成分(A)として全ての要件を満たすといえる。
ここで、TREF測定結果について、各パラメータの位置づけを示すために、図1に溶出曲線を例示する。また、固体粘弾性測定結果について、各パラメータの位置づけを示すために、図2に温度に対する貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’と損失正接tanδの変化を例示する。
〔製造例PP−2〜3〕
[重合製造例A−2〜3]
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンブロック共重合体を製造した。重合条件及び重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを用いて、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−2〜3を得た。各種分析結果を表4に示す。
[重合製造例A−4]
重合製造例A−1において、第二工程を行わずに第一工程のみを行った点以外は重合製造例A−1と同様にして重合を実施し、プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造を行った。重合条件及び重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを用いて、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−4を得た。各種分析結果を表4に示す。
[重合製造例A−5]
(固体触媒成分の調製)
充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタン2,000ミリリットルを導入し、次いでMgCl2を2.6モル、Ti(O−n−C4H9)4を5.2モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を320ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを4,000ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で1.46モル導入した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにSiCl42.62モルを混合して30℃において30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにフタル酸クロライド0.15モルを混合して、70℃において30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl411.4molを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体成分(A1)を得た。この固体成分のチタン含有量は2.0wt%であった。
次いで、撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換し、ここへ、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5,000ミリリットル導入して上記で合成した固体成分(A1)を100グラム導入し、SiCl40.875molを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに(CH2=CH)Si(CH3)30.15mol、(t−C4H9)(CH3)Si(OCH3)20.075mol及びAl(C2H5)30.4molを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(A)を得た。このもののチタン含有量は、1.8wt%であった。
(予備重合)
撹拌および温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で十分置換した。ここへ、上記で調製した固体触媒成分(A)のn−ヘプタンスラリーを固体触媒成分(A)として100g導入し、更にn−ヘプタンを導入して液レベルを5000ミリリットルに調整した。次に、槽内温度を15℃に調節し、トリエチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液(10wt%)をAl(C2H5)3として0.1mol添加した。その後、プロピレンを50g/時間の速度で2時間供給して予備重合を行った。予備重合終了後、残モノマーをパージし、固体触媒をn−ヘプタンで充分に洗浄した。洗浄終了後、減圧乾燥を行い、予備重合触媒を得た。この予備重合触媒中には、固体触媒成分1g当たり2.0gのポリプロピレンが含まれていた。
こうして得られた予備重合触媒を用い、かつ、トリイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを10g/時で連続的に供給し、更に、表3に示す重合条件を用いた以外は重合製造例A−1と同様にしてプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーを用いて、製造例PP−1と同様の添加剤配合、造粒条件により、PP−5を得た。各種分析結果を表4に示す。
得られたPP−1ペレットを原料として、以下の条件によりポリプロピレン系熱収縮性フィルムを成形した。
〔熱収縮性フィルムの製造〕
(1)未延伸シートの成形法
単軸押出機を用いて成形温度220℃でPP−1をTダイから溶融押出し、15℃の冷却ロールで冷却固化させ、厚さ400ミクロンの未延伸シートを得た。
(2)延伸フィルムの成形法
前記未延伸シートをテンター炉に導入し、100℃で30秒間予熱をかけ、予熱温度と同等の温度雰囲気下、幅方向に30秒間かけて、6.5倍延伸し、引き続き同テンター炉内で幅方向に7.5%弛緩させつつ、85℃で30秒アニールした。延伸倍率が6倍、厚さが60μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムを40℃1日間状態調整し、評価用試料とした。
1)加熱収縮率:10cm×10cmの正方形状に、その一辺がフィルムの流れ方向と平行になるようフィルムを切り出し、これを所定の温度(80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、140℃)に加熱したオイルバスに10秒間浸漬した。10秒経過後直ちに別途用意した25℃のオイルバスに20秒間浸漬したのちフィルムの流れ方向に直交方向の長さを測定した。
2)ヘイズ(単位:%):得られた延伸フィルムの透明性をヘイズ測定により評価した。測定法はJIS K7136−2000に準拠した。
3)引張弾性率(単位:Mpa):下記の条件にて、フィルムの流れ方向(MD)および直交方向(TD)各々について測定し、フィルム剛性の尺度とした。引張弾性率の計算方法は、JIS K−7127−1999に準拠した。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:1mm/min
4)収縮後の柔軟性:1)の加熱収縮率の測定(120℃)に用いた収縮後のフィルムの引張弾性率を3)と同様にJIS K−7127−1999に準拠し測定した。
5)ブロッキング性
得られた熱収縮性フィルムを約50枚重ね、23℃、湿度50%の環境下1ヶ月間放置したものを評価した。ブロッキングが発生していないもしくは極軽微なものを○、明らかにブロッキングが発生しているものを×とした。
実施例1のPP−1をPP−2に代えた以外は実施例1と同様に操作し、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムの評価結果を表5に示す。
[比較例1]
実施例1のPP−1をPP−3に代えた以外は実施例1と同様に操作し、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムの評価結果を表5に示す。tanδのピークが複数あったため、透明性の劣るものとなった。
[比較例2]
実施例1のPP−1をPP−4に代えた以外は実施例1と同様に操作し、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムの評価結果を表5に示す。ブロック共重合体ではなく、ランダム共重合体であったため実施例に比べて柔軟性に劣るものとなり、また、加熱収縮率が劣るものとなった。
[比較例3]
実施例1のPP−1をPP−5に代えた以外は実施例1と同様に操作し、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムの評価結果を表5に示す。メタロセン触媒により重合されたものではなかったため、べたつきが目立ち、ブロッキングが発生してしまった。また、加熱収縮率が劣るものとなった。
以上の各実施例と各比較例とを対照して考察すれば、本発明の構成における各規定を満たす、本発明の新規なプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物を用い、本発明の規定を満たす成形条件により成形された熱収縮性フィルムにおいては、透明性及び柔軟性が非常に優れており、さらに、製品のブロッキング性が無く、本発明の構成要件の各規定が合理的で実験データにより確証されていることが理解される。
比較例−1ではブロック共重合体(A)のtanδのピークが単一ではないため相分離構造をとっており、透明性が悪化している。
比較例−2ではブロック共重合体ではなく、メタロセン触媒によるランダム共重合体を用いた場合を示した。耐ブロッキング性は問題無いが、ブロック共重合体でないため柔軟性に劣るものとなった。
比較例−3では、ブロック共重合体(A)がメタロセン触媒により重合されたものでなかったため、耐ブロッキング性が悪化した。
以上、透明性や柔軟性、加熱収縮性などの諸性質がおしなべて優れ、さらにブロッキングが少ない本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体からなる熱収縮性フィルムに比して、各比較例は、品質が見劣りがし、本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムの特徴を際立たせている。
Claims (8)
- 原料として以下の条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体を用い、少なくとも一方向に延伸することで熱収縮性を付与されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜85wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜15wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR:2.16kg 230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること - 原料として以下の条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を用いた層を少なくとも一層以上含み、少なくとも一方向に延伸することで熱収縮性を付与された多層ポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜85wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜15wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR:2.16kg 230℃)が0.1〜30g/10分の範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること - 請求項1又は請求項2に記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルムにおいて、延伸をプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のDSCにより測定される融解ピーク温度よりも20℃以上低い温度で行うことを特徴とするポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンブロック共重合体によるポリプロピレン系熱収縮性フィルムが、テンター法で少なくとも一軸に延伸成形されたものであるポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンブロック共重合体によるポリプロピレン系熱収縮性フィルムが、インフレーション法で二軸延伸成形されたものであるポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
- プロピレン−エチレンブロック共重合体が以下の条件(A−iv)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−iv)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる、ブロック共重合体の分子量における5,000以下の成分量W(Mw≦5.000)が、成分(A)中の0.6wt%以下であること - プロピレン−エチレンブロック共重合体が以下の条件(A−v)〜(A−vi)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−v)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が0.5〜6wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が30〜85wt%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも6〜18wt%多くのエチレンを含量するプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が70〜15wt%の範囲にあること
(A−vi)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が55℃〜96℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が45℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が98℃以下であること - プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が以下の条件(A−vii)〜(A−iix)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(A−vii)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が1.5〜6wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が30〜70wt%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも8〜16wt%多くのエチレンを含量するプロピレン−エチレンランダム共重合体で、全体における割合が70〜30wt%の範囲にあること。
(A−iix)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が60℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が40℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること
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