(A)第1の実施形態
以下、本発明の端末装置、中央局装置、同期確立システム及び同期確立方法を適用した第1の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態は、CDM方式を採用した1対N通信を行なうアクセスネットワークシステムに本発明を適用する場合を説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)下り送信時の構成
まず、中央局2から端末装置3(3−1〜3−N;Nは2以上の整数)に向けた送信信号の流れ(以下、この方向を下り方向とする)に沿ったアクセスネットワークシステムの構成を説明する。
図1は、第1の実施形態のアクセスネットワークシステムの下り送信に沿った構成を示す概略的ブロック構成図である。
図1において、第1の実施形態のアクセスネットワークシステム1は、中央局2、複数(図1ではN台)の端末装置3(3−1〜3−N)、分配多重器4、共通伝送路6、分岐伝送路7(7−1〜7−N)、を少なくとも有して構成される。
図1のアクセスネットワークシステム1は、分配多重器4が共通伝送路6の一端に設けられ、この共通伝送路6の他端に結合された中央局2と、分配多重器4によって分岐されて形成されるN個の分岐伝送路7(7−1〜7−N)のそれぞれに結合された第1端末装置3−1〜第N端末装置3−Nとを有して構成される。
このような構成を備えることにより、中央局2と端末装置3(3−1〜3−N)との間は、共通伝送路6及び分岐伝送路7(7−1〜7−N)を介して接続されており、Nチャネル分の通信が可能となる。
なお、以後、各チャネルに係る装置について、どのチャネルが備える装置であるかを識別する必要のある場合は、主番号の後にチャネル番号を付して示すこととする。例えば、第1チャネル〜第Nチャネルに対応する中央局の送信部を示す場合には、第1送信部10−1〜第N送信部10−Nと示す。また逆に、どのチャネルが備える装置であるかを識別する必要のない場合は、主番号のみ示す。例えば、第1送信部10−1から第N送信部10−Nを総称して、単に送信部10と示す。
中央局2は、例えば事業者側に備えられる局側ノードであり、センタノード、サービスノード等とも呼称されるものである。中央局2は、送信構成として、Nチャネル分の送信部10(10−1〜10−N)と、1個の加算部11と、を少なくとも有して構成されるものである。図1では、説明便宜上、中央局2の主な送信処理の構成のみを示している。
送信部10は、各チャネル(第1チャネル〜第Nチャネル)のデータ信号(第1データ信号〜第Nデータ信号)を拡散変調し、拡散変調信号(以下では、単に拡張信号ともいう)を符号化送信信号として加算器11に出力するものである。なお、第1送信部10−1〜第N送信部10−Nのそれぞれは全て同一構成である。
さらに、送信部10は、同期信号付与部13と、拡散符号化部12とを少なくとも有して構成される。
同期信号付与部13は、各チャネルのデータ信号に同期信号を付与し、同期信号を付与したデータ信号を拡散符号化部12に与えるものである。
拡散符号化部12は、同期信号付与部13から同期信号が付与されたデータ信号を受け取ると、拡散符号を用いて、同期信号が付与されたデータ信号を拡散符号化し、拡散符号化した送信信号(符号化送信信号)を加算器11に与えるものである。ここで、拡散変調に使用する拡散符号としては、自己相関間特性及び相互相関特性が共に良い符号(例えば、直交ゴールド符号等)を適用することができる。
加算部11は、各送信部10から各符号化送信信号(図1では第1の拡散信号〜第Nの拡散信号)を受け取り、各符号化送信信号を多重化し、多重化して生成した信号(符号分割多重信号)を共通伝送路6に出力するものである。
共通伝送路6は、中央部2から出力された符号分割多重信号を分配多重器4に与える伝送路である。共通伝送路6は、例えば光ファイバで実現するPONシステムや、又は電気信号のまま伝送する電気回線等を適用することができる。なお、光ファイバを利用する場合、送信部10から出力される符号化送信信号を光信号に変換する光信号変換手段を備え、この光信号変換手段による変換された光信号を多重化して共通伝送路6に出力する構成を備えることで実現することができる。
分配多重器4は、1入力信号をN分岐して出力したり、あるいは、N入力信号をあわせて1信号として出力したりする機能を有するものである。図1では、分配多重器4は、中央局からの符号分割多重信号をN分岐して各端末装置3(3−1〜3−N)に与える。
端末装置3は、加入者側に設けられるノードであり、例えばエッジノード等と呼称されるものである。端末装置3は、分配多重器4から符号分割多重信号を受け取り、この符号分割多重信号を復号する受信部を少なくとも備える。
図2は、端末装置3が備える受信部の内部構成を示すブロック図である。図2において、端末装置3の受信部20は、マッチドフィルタ21、同期信号検出部22、可変移相器23、クロック信号再生部24、ゲート部25、分岐器60、62、を少なくとも有して構成される。
マッチドフィルタ21は、受信した符号分割多重信号から相関出力信号を再生して出力するものである。マッチドフィルタ21から出力された相関出力信号は、分岐器60により分岐され、一方はクロック信号再生部24に与えられ、他方はゲート部25に与えられる。
クロック信号再生部24は、分岐器60により分岐された相関出力信号を受け取り、この相関出力信号から再生クロック信号を生成して、可変移相器25に与えるものである。
なお、クロック信号再生部24により生成された再生クロック信号は、上述のラッチ信号として利用されるほかに、後述する端末装置3の送信部30で実行される送信処理のために利用される。
可変移相器23は、クロック信号再生部24から再生クロック信号を受信すると、位相を変化させた再生クロック信号をゲート部25に与えるものである。
ゲート部25は、分岐器60により分岐された相関出力信号を受け取り、この相関出力信号を、可変移相器23からの再生クロック信号によってラッチ処理して出力するものである。ゲート部25からの出力信号は、分岐器62により分岐され、一方は受信部20の出力信号として出力され、他方は同期信号検出部22に出力される。
同期信号検出部22は、分岐器62により分岐されたゲート部25からの出力信号を受け取り、この出力信号に含まれている同期信号を検出し、この同期信号を後述する端末装置3の制御部25に与えるものである。
(A−1−2)上り送信時の構成
次に、端末装置3(3−1〜3−N)から中央局2に向けた送信信号の流れ(以下、この方向を上り方向とする)に沿ったアクセスネットワークシステム1の構成を説明する。
図3は、第1の実施形態のアクセスネットワークシステムの上り送信の構成を示す概略的ブロック構成図である。図3では、端末装置3が備える送信部30(30−1〜30−N)のみを示している。
端末装置3の送信部30(30−1〜30−N)は、端末装置3の送信処理を行なうものである。ここで、端末装置3における送信処理とは、端末装置3が中央局2に向けて送信する信号に同期信号を付与する同期符号付与処理、送信信号を符号化する符号化処理と、フレーム同期を確立するときに送信するフレーム同期信号を作成するフレーム同期信号作成処理を指す。同期符号付与処理、符号化処理及びフレーム同期信号作成処理は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)等の周知の装置を利用して行なわれる。これらの処理を統括をするCPU(図示を省略)を駆動されるためのクロック信号として、クロック信号再生部24で生成された再生クロック信号が利用される。
図3において、第1の実施形態の送信部30(30−1〜30−N)は、データ信号符号化部31(31−1〜31−N)と、同期信号付与部32(32−1〜32−N)と、可変移相器33(33−1〜33−N)と、フレーム同期信号符号化部34(34−1〜34−N)と、セレクタ35(35−1〜35−N)と、を少なくとも有して構成されるものである。
データ信号符号化部31は、同期信号付与部32から同期信号が付与されたデータ信号を受け取り、再生クロック信号に同期して形成される送信信号を、チャネル毎に割り当てられている符号で符号化し、符号化送信信号を生成してセレクタ35に与えるものである。
第1の実施形態では、データ信号符号化部31は、各チャネル毎に割り当てられている符号として拡散符号を用いて拡散符号化を行なう。例えば、第1チャネルのデータ信号符号化部31−1には第1拡散符号が入力されて拡散符号化を行なう。
ここで、データ信号とは、送信すべき情報が載られている信号を指し、送信されるときには、後述する同期信号が付与されて送信信号として生成されて送信される。
同期信号付与部32は、同期信号をデータ信号に付与して送信信号を生成してデータ信号符号化部31に与えるものである。
フレーム同期信号符号化部34は、フレーム同期信号を全端末装置3に共通のフレーム同期拡散符号で符号化し、符号化フレーム同期信号を生成し、セレクタ35に与えるものである。
ここで、フレーム同期信号とは、後述するフレームの先頭を検出するために必要な信号を指す。中央局2で復号化後、フレーム周期で相関ピークが立てばよく、特に情報を載せる必要はない。よって、フレーム同期信号は常に論理”1”のような信号で良い。
セレクタ35は、図示しない各端末装置3の制御部からの制御信号に応じて、入力信号を入力する入力ポートを切り替えるものである。このように、入力ポートを切り替えることにより、出力する出力信号を変えることができる。セレクタ35は、例えば、3個の入力ポートと1個の出力ポートを備えるものとし、第1の入力ポートはフレーム同期信号符号化部34に接続し、第2の入力ポートは開放され、第3の入力ポートはデータ信号符号化部31に接続され、出力ポートは可変移相器33に接続するものとする。
可変移相器33は、セレクタ35からの出力信号の送信タイミングを調整するものである。すなわち、可変移相器33は、セレクタ35により選択された符号化送信信号又は符号化フレーム同期信号に、送信タイミングを調整するために必要な遅延を付加して出力するものである。
分配多重器4は、各端末装置3から送信された信号(符号化送信信号又は符号化フレーム同期信号)を多重化して、符号分割多重信号として共通伝送路6を通じて中央局2に与えるものである。
次に、中央局2の受信構成について説明する。図3では、中央局2が備える受信構成、すなわち各端末装置3からの信号を受信する構成を示す。
図3において、中央局2は、受信構成として、分配器49、送信信号受信部40(第1受信信号受信部40−1〜第N送信信号受信部40−N)、フレーム同期信号受信部55、を少なくとも有して構成される。
分配器49は、共通伝送路6を通じて受信した符号分割多重信号を受信し、符号分割多重信号を、各送信信号受信部40及びフレーム同期信号受信部55に分配するものである。
送信信号受信部40は、各チャネル毎の受信処理部であり、分配器49により分配された符号分割多重信号を受け取ると、受け取った信号に対して受信処理を行なうものである。
フレーム同期信号受信部55は、分配器49により分配された符号分割多重信号に対して受信処理を行なうものである。
ここで、送信信号受信部40及びフレーム同期信号受信部55は、送信タイミングの修正情報を、各端末装置3の可変移相器33に通知する送信タイミング修正情報通知機能を有する。なお、この送信タイミング修正情報通知機能の詳細な説明については後述する。
例えば、図3においては、第1チャネルを例にして送信タイミング修正情報通知の概念を示しており、中央局2の第1送信信号受信部40−1又はフレーム同期信号受信部55が、端末装置3−1の可変移相器33−1に送信タイミング修正情報を通知する様子を破線によって示している。
図4は、中央局2が備える送信信号受信部40の内部構成を示すブロック図である。図4において、中央局2の送信信号受信部40は、送信信号用マッチドフィルタ41、ゲート部45、同期信号検出部42、分岐器43、を少なくとも有して構成される。
送信信号用マッチドフィルタ41は、受信した符号分割多重信号を復号して相関信号を生成し、その生成した相関信号をゲート部45に与えるものである。
ゲート部45は、送信信号用マッチドフィルタ41から相関信号を受け取り、この相関信号をクロック信号生成部44からのマスタークロック信号でラッチ処理して、分岐器43に与えるものである。ゲート部45からの出力信号は、分岐器43により分岐され、一方は送信信号受信部40の出力信号として出力され、他方は同期信号検出部42に与えられる。
同期信号検出部42は、分岐器43を介してゲート部45からの出力信号を受け取り、この受け取った出力信号に含まれている同期信号を検出するものである。
図5は、中央局2のフレーム同期信号受信部55の内部構成を示すブロック図である。図5において、中央局2のフレーム同期信号受信部55は、フレーム同期信号用マッチドフィルタ56、しきい値判定部57、を少なくとも有して構成される。
フレーム同期信号用マッチドフィルタ56は、受信した符号分割多重信号を復号して相関信号を生成し、この相関信号を出力するものである。
しきい値判定部57は、フレーム同期信号用マッチドフィルタ56から出力される相関出力信号の振幅が、設定された値を超えたか否かを判定し、その結果を出力する。
(A−1−3)上り同期確立に係る構成について
次に、第1の実施形態の上り同期確立に係る構成を図6を参照しながら説明する。なお、以下の上り同期確立処理は、途中参加の端末装置3だけでなく、すべての端末装置3が行なうものである。
図6は、上り同期を実行する際に、中心的役割を果たす制御系統を示すアクセスネットワークシステム1の概略的ブロック構成図である。
なお、図6では、説明をわかりやすくするために、上り同期確立のために必要となる受信タイミングの調整を行う機能部分のみを抽出して系統的に示してある。すなわち、端末装置3については、可変移相器33、受信部20及び制御部52のみを示し、また中央局2については、送信部10、送信信号受信部40、フレーム同期信号受信部55、送信部10及び修正情報生成部51のみを示す。
第1の実施形態の上り同期を確立する処理は、中央局2が、各端末装置3に対し、フレーム同期信号の送信を許可するフレーム同期信号許可情報を含む信号(以下では、フレーム同期信号許可信号ともいう)を送信する。
このフレーム同期信号許可信号を受信した端末装置3の可変移相器33は、符号化送信信号又は符号化フレーム同期信号を、中央局2の送信信号受信部40及びフレーム同期信号受信部55に送信する。
中央局2の送信信号受信部40が符号化送信信号を受信すると、送信信号受信部40の同期信号検出部42(図4参照、図6では図示を省略してある。)が、同期信号検出結果を反映する信号を生成する。そして、この同期信号検出結果を反映する信号は、中央局2の修正情報生成部51に与えられる。
一方、中央局2のフレーム同期信号受信部55が符号化フレーム同期信号を受信すると、フレーム同期信号受信部55のしきい値判定部57(図5を参照、図6では図示を省略してある。)が、フレーム同期信号検出結果を反映する信号を生成する。そして、このフレーム同期信号検出結果を反映する信号は、同じく中央局2の修正情報生成部51に与えられる。
ここで、中央局2の修正情報生成部51は、端末装置3に対する送信タイミングの修正情報を通知する送信タイミング修正情報通知機能を有するものである。修正情報生成部51は、端末装置3に対する送信タイミングの修正情報を生成すると、送信タイミング修正情報を端末装置3の受信部20に送信する。
端末装置3の受信部20が送信タイミング修正情報(移相量情報)を受信すると、制御部52に送信タイミング修正情報を与えて、この送信タイミング修正情報に基づいて位相遅延量を算出し、この位相遅延量分の位相遅延を符号化送信信号に付加するよう可変移相器33に指示して、受信タイミングを調整する。受信タイミングが調整された符号化送信信号を中央局2に向けて送信することで、フィードバックループが完成される。
(A−1−4)信号形式について
図7は、中央局2と端末装置3との間で送受信される信号の形式である。
図7(A)は、中央局2から端末装置3へ向けて送信される信号(下り信号)の概略的構成図である。同期信号とデータ信号とが組み合わされて1フレーム分が構成され、この信号はこのフレームの繰返しによって構成される。同期信号は、固定信号と制御信号とで構成される。固定信号は、あらかじめ決められたパターンをもつビット列であり、受信側が後述するビット同期のために利用される。
図7(B)は、端末装置3から中央局2へ向けて送信される信号(上り信号)の概略的構成図である。上述の下り信号と同様に、フレームの繰返しによって構成されているが、第1の実施形態の上り信号のフレーム内には無信号区間が挿入されている点が下り信号と異なる。この無信号区間は、端末装置3が送信を停止する時間帯をいう。
第1の実施形態では、途中参加する端末装置3がビット同期を確立する際、この無信号区間に、途中参加の端末装置3が、ビット同期信号を中央局2に送信することで、既に同期確立している他の端末装置3との間の干渉を回避することができる。
なお、この無信号区間長は、適宜運用に応じて決定することができ、また一度決定した区間長を適宜変更するようにしても良い。
(A−1−5)符号化処理(拡散変調処理)及び復号処理(逆拡散処理)について
図8は、符号化処理及び復号処理の原理を説明する図である。
図8(A)は、送信信号の時間波形の一部(図8(A)では2ビット分)を切り出して示す図である。図8(B)は、相関出力信号の相互相関の時間波形を示す図である。図8(C)は、相関出力信号の自己相関の時間波形を示す図である。図8(D)は、相関出力信号の相互相関の時間波形を示す図である。なお、図8(A)〜(D)において、横軸は時間軸を示し、縦軸は省略しているが縦軸方向に信号強度をそれぞれ任意のスケールで示してある。
符号化処理及び復号処理は、拡散変調とも呼ばれ、送信すべきデジタル信号を構成する各ビットを、そのビット間隔よりも狭い間隔をもつビットパターンに変換する処理を指す。
このビットパターンを構成するビット列が符号であり、各チャネルに異なる符号が割り当てられている。符号の相違とは、このビットパターンの相違に相当する。図8(B)に示す例は、(1、1、0、1、0、0、0、1、1、0、1、0、0、1、0、0)で与えられる16ビットのビット列で与えられる符号の一例である。
符号化とは、図8(A)に示す信号と図8(B)に示す信号との積信号生成することに相当する。この積信号を生成する方法は、例えば、図8(A)に示す信号と図8(B)に示す信号のバイアス電圧を調整して、これらの信号の振幅の中心を0レベルに設定し、「0」及び「1」の2値によって形成される信号形式を、「+1」及び「−1」の2値によって形成される信号形式に変更して、両者の積を求める。この積を求めるには、例えば、排他的論理輪演算EXOR(エクスクルーシブ・オア)ゲートの出力にインバータを接続したゲート回路であるEXNOR(エクスクルーシブ・ノア)回路を用いる。もちろん、この他の既存の方法を適用して、上述した処理と等価の処理を行なうようにしても可能である。
図8(C)及び図8(D)に示す相関出力信号は、符号化された信号を再度符号化と同一の符号との積信号を求め、積信号の各ビットの総和を求めること(復号すること)によって生成される。すなわち、符号化送信信号が多重された符号分割多重信号と、符号信号との積信号を求める。復号に用いられた符号と同一の符号で復号された符号化送信信号成分は、自己相関信号として復号される。また、復号に用いられた符号と異なる符号で復号された符号化送信信号成分は、相互相関信号として生成される。
図8(C)に示すように、自己相関信号の時間波形は、送信信号の1ビット間隔毎に強い正負のピーク(以後、自己相関ピークという)が現れる。図8(C)では、自己相関ピークの矢印で示している。自己相関信号に対して、この自己相関ピークのみを取り出すしきい値処理を施せば、送信信号を取り出せることを意味している。
一方、相互相関信号の時間波形には、図8(D)に示すように、自己相関信号のようなピークは現れない。特に送信信号の直交符号系列の符号によって拡散変調を行なって符号化送信信号を生成した場合には、自己相関ピークの現れる時間軸上の位置において、相互相関信号は無音状態(0レベルに等しい信号強度の状態)となる。
従って、直交符号系列の符号によって拡散変調を行なった場合には、多重化して得られる符号分割多重信号を復号処理して得られる相関出力信号において、相関ピークが他チャネルの信号成分の干渉を受けにくいので、しきい値処理によって送信信号を復元することが一層容易であり確実に行なえることとなる。
(A−1−6)フレーム同期信号について
図9は、フレーム同期信号について説明する図である。図9(A)及び図9(B)は、端末装置3のセレクタ35の入力ポートに到達した符号化送信信号と符号化フレーム同期信号の時間軸上の相対的な位置を示している。フレーム同期信号の符号周期は、上りフレームの周期と一致しており、かつ、符号の先頭は上りフレームの先頭と一致している。
図9(C)は、中央局2のフレーム同期信号用マッチドフィルタ56で相関処理された自己相関波形を示している。自己相関ピークの出現する周期はフレームの周期と一致しており、かつ、その位相はフレームの先頭と一致する。
また、特筆すべきは、フレーム同期信号の符号長は、送信信号の符号化に用いる符号の符号長に比べて非常に長いことである。一般に、自己相関ピークの高さは符号長に比例する。そのため、長い符号で符号化した信号の送信パワーを低く抑えても、受信側で相関処理を行なうと強い自己相関ピークが得られ、しきい値処理が容易になる。
(A−1−7)フレーム同期とビット同期について
図8(A)及び(B)で示したように、送信信号の1ビットは所定の拡散符号によって符号化される。そして、各チャネルで符号化された送信信号は、多重化された多重化送信信号を形成する。
多重化する際、各チャネルの送信ビットの時間位相がそろっている状態をビット同期状態と呼ぶ。直交符号系列を用いた同期CDM通信では、このビット同期が確立した状態で、信号の送受信を行なうという前提のもとで、相関ピークが他チャネルの信号成分の干渉を受けにくいという、同期CDM特有の恩恵が得られる。従って、アクセスネットワークシステム1において、安定した信号の送受信を行なうためにはビット同期の確立は必須である。
一方、フレーム同期とは、図7で示した各チャネルが送信するフレームの先頭が一致している状態を指す。一般に、符号分割多重アクセスネットワークシステム上で、フレーム同期を行なわずにデータの送受信を行なうことは可能である。
しかし、第1の実施形態のシステム1の下り方向通信ではフレーム同期をすることを前提とする。
(A−1−8)同期信号の構成
第1の実施形態の同期信号の構成について説明する。
端末装置3から中央局2に向けて送信される固定信号が受信されるためには、マスタークロック信号の周波数と、固定信号から抽出されるクロック信号の周波数とが一致するだけでは不十分であり、両者の位相も一致するように同期させることが必要である。
これは、図8の説明でも説明したように、マスタークロック信号の時間軸上での立ち上がり位置が自己相関ピークの時間軸内に存在するように、相関出力信号とマスタークロック信号との時間軸上での位置関係を調整する必要があることに相当する。
図12は、同期信号の構成を示す構成図である。ここでは、同期信号を構成する固定信号は、その一例として、(0,1,0,1,0)という5ビットの信号を想定する。この5ビットの信号が中央局2において再現できれば、固定信号が受信できたことになる。
一方、制御信号は、端末装置3に対して送信信号及び同期信号の送信停止命令あるいは送信許可命令を与えるための送信許可ビットEN1、EN2と、D7〜D0の8ビットからなる移相量情報信号とを有する。
例えば、送信許可ビットとしては、例えば、(EN1,EN2)について、(0,0)は全信号送信停止を示し、(0,1)はフレーム同期信号送信許可を示し、(1,0)はビット同期信号送信許可を示し、(1,1)はビット同期完了を示す、とあらかじめ規定しておく。
また、移相量情報信号としては、例えば、端末装置3が備える可変移相器33に対して設定する移相量を0ps(ピコ秒)である場合には、D7〜D0までの8ビット(D7、D6、D5、D4、D3、D2、D1、D0)を(0,0,0,0,0,0,0,0)とする。そして、0psから255psまでの移相量を、8ビットの2進数値を用いて示すことができる。例えば、255psの場合、(1,1,1,1,1,1,1,1)となる。
(A−2)第1の実施形態の動作
以下では、上り同期方法の説明をするが、その前に通常の通信動作を説明する。通常の通信動作の説明においては、既に上り同期が終了しており、中央局2と端末装置3との間で受信タイミングの調整が取れているものとする。
(A−2−1)通常の通信動作;下り送信
まず、中央局2から端末装置3に向けた送信(下り送信)の動作を説明する。
下り送信では、送信すべきデータ信号に同期信号が付与された後、同期信号と共に符号化されて、符号化送信信号に変換される。同期信号の付与は同期信号付与部13により行なわれ、符号化は拡散符号化部12により行なわれる。
各送信部10の符号化送信信号は加算部11により加算されて、符号分割多重信号として生成され、この符号分割多重信号が端末装置3に送信される。
なお、拡散符号化部12には、各チャネルに割り当てられた拡散符号が入力される。例えば、第1チャネルの拡散符号化部12には、第1チャネルに割り当てられた第1拡散符号が入力される(図1参照)
端末装置3では、符号分割多重信号を受信し、マッチドフィルタ21(図2参照)により復号処理が行なわれる。ここで、復号化処理とは、符号分割多重信号をあらかじめ自チャネルに割り当てられた符号を用いて逆拡散処理をして、この符号に対する相関出力信号を生成する処理を指す。
相関出力信号は、クロック信号再生部24(図2参照)に入力されて、再生クロック信号が生成されて出力される。この再生クロック信号の生成には、種々の方法を適用することができるが、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路を用いた既存の方法を適用することができる。また、相関出力信号は、上述の再生クロック信号でラッチ処理することによって、受信データとして生成されて確定される。
(A−2−2)通常の通信動作;上り送信
次に、端末装置3から中央局2に向けた送信(上り送信)の動作を説明する。
上り送信では、端末装置3からの符号分割多重信号が中央局2の分配器49によりN分岐されて、各チャネル毎の送信信号受信部40に与えられる。
送信信号受信部40では、上り信号(符号分割多重信号)に対して自チャネルに割り当てられている符号を用いて逆拡散処理が施され、自チャネルに対する相関出力信号が生成される。すなわち、送信信号受信部40では、上り信号に対して復号処理が施される。この相関出力信号は、マスタークロック信号でラッチ処理され、受信データとして生成されて確定される。
(A−2−3)システムフロー
第1の実施形態のアクセスネットワークシステム1は、中央局2の電源投入により起動する。
データ信号の送受信を開始するに先立って、まず中央局2と、この時点で電源投入されている端末装置3との間でフレーム同期及びビット同期を確立する作業が行なわれる。これを初期調整と呼ぶ。初期調整の方法としては、種々の既知方法を適用することができるが、例えば、特許文献1に記載の方法を用いることができる。
初期調整が完了した後、中央局2と端末装置3との間でデータ信号の送受信を開始する。このデータ信号の送受信については、(A−2−1)及び(A−2−2)の通常の通信動作の項で説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
通常の通信動作を行なっている最中に、ある端末装置3が途中参加する状況が発生する。このとき、既に同期が確立している端末装置3と中央局2との間の通信動作に影響を与えずに、途中参加を実現する処理を、以下に説明する。
(A−2−4)途中参加を実現する同期確立処理
図10は、途中参加の実現する同期確立処理の動作を説明するフローチャートである。
上記のように、中央局2と少なくとも1つの端末装置3が通常の通信動作を行なっている最中に、中央局2と接続する他の端末装置3の電源が投入されたとき、中央局2は、それを検知し、以下で説明する同期確立処理を行なう。
なお、図10に示すフローチャートは、終了条件はなく、無限ループとする。これは、システムが通常の通信動作を行なっている間に、常に途中参加する端末装置3を監視するためである。
まず、中央局2は、端末装置3−n(nは1〜Nの整数)の電源状態を確認するため、nを初期化(n=1)し、自局内にある端末管理テーブル(図示しない)を参照して端末装置3−n(ここでは、n=1)の電源状態を確認する(ステップS10)。
ここで、端末管理テーブルは、少なくとも中央局2が確認した各端末装置3の電源状態を管理するテーブルであり、中央局2は、端末装置3の電源が投入された状態(電源ON状態)であるか、又は、電源が切られた状態(電源OFF状態)であるかを確認すると、その結果を記録する。
ステップS10において、端末装置3−nが電源OFFである場合、ステップS20に移行し、現在の端末装置3−nの電源状態の確認処理を行ない、端末装置3−nが電源ONである場合、ステップS110に移行する。
ステップS110では、端末管理テーブルにおける次の端末装置3の電源状態を確認するため、中央局2は引数nの値を1つ増加する。従って、電源ONが確認されている端末装置3に関しては何も行なわないことを示す。ステップ120では、中央局2は、引数nの値を調べ、n=Nならばn=1にセットし、それ以外ならそのままステップS10へ移行する。
一方、ステップS10において、端末管理テーブルにおいて端末装置3−nが電源状態OFFであることを確認すると、中央局2は、端末装置3−nが現在も電源OFFであるかを確認するために、フレーム同期信号送信許可信号を、当該第n端末装置3−nに向けて送信する(ステップS20)。なお、このフレーム同期信号送信許可信号の具体的な一例については、後述の同期信号構成の欄において詳細に説明する。
中央局2からのフレーム同期信号送信許可信号が第n端末装置3−nに与えられると、第n端末装置3−nが電源ON状態となっている場合、第nフレーム同期信号許可信号が第n端末装置3−nに受信され、第nフレーム同期信号が第n端末装置3−nから中央局2に送信される(ステップS30)。
ここで、第n端末装置3−nにおける可変移相器33の移相量は任意である。このとき、第n端末装置3−nでは、上り同期を行なうために、中央局2からの指示を待っている状態である。
なお、ステップS30の動作は、第n端末装置3−nの電源がONの状態の場合のみ実行可能であるが、電源がOFFの状態の場合には、第nフレーム同期信号送信許可信号を受信することも、第nフレーム同期用信号を送信することもできない。
第n端末装置3−nからの第nフレーム同期信号が中央局2に与えられ、中央局2における第nフレーム同期信号の受信が成功した場合にはステップS50の処理に移行し、第nフレーム同期信号の受信が失敗した場合にはステップS110に移行し、次の端末装置3について確認の処理が行なわれる(ステップS40)。
なお、ステップS110及びS120での動作に関しては上述の通りなので割愛する。ステップS110に移行するということは、前回の確認時に電源が入っていないということを確認した端末装置3に対して再度電源状態を確認したら、依然電源が入っていない状態であったとみなす。従って、中央局2は、引数nを1つ増加させ、次の端末装置3についての確認処理を行なう。
ステップS40において中央局2における第nフレーム同期信号の受信が成功すると、中央局2は、受信した符号化フレーム同期信号の自己相関ピーク位置と自局内のフレームの受信タイミングを比較し、それらの位相差を検出する。そして、この位相差がゼロになるように、第n端末装置3−nの可変移相器33での第n移相量を計算する。そして、中央局2は、第nフレーム同期完了通知と共に第n移相量を、第n端末装置3−nに向けて送信する(ステップS50)。これにより、端末装置3−nのフレーム同期が完了する。なお、第nフレーム同期完了通知の具体的な一例については、図12に示す同期信号の構成を適用することができる。
次に、中央局2は、第nビット同期信号送信許可信号を第n端末装置3−nに送信する(ステップS60)。
この第nビット同期信号送信許可信号は、1つ以上の同期信号から構成されている。その同期信号に含まれる制御信号には、第n可変移相器33に設定すべき移相量を設定指示する移相量情報が載せられている。
中央局2からの第nビット同期送信許可信号が第n端末装置3−nに与えられると、第n端末装置3−nにおいて、第nビット同期信号送信許可信号に含まれている第n制御信号により与えられる第n移相量情報が読み取られ、この第n移相量情報に従った第n移相量が第n端末装置3−nの第n可変移相器33に設定される。そして、第n端末装置3−nは、第nビット同期信号を中央局2に送信する(ステップS70)。この第nビット同期信号は、1つ以上の固定信号から構成されるものである。
ここで、端末装置3における第nビット同期信号の送信タイミングについて図11を参照して説明する。図11は、中央局2において、各端末装置3が送信した信号の到着タイミングを示す図である。横軸は時間を示す。
図11において、端末装置3−a〜3−i(図11(A)〜(C))は、中央局2との間で既に同期が確立している端末装置であり、通常の動作をしている。端末装置3−n(図11(D))は、ステップS70の処理を行なう途中参加の端末装置とする。
この場合、端末装置3−nは、固定信号からなる第nビット同期信号を、上りフレームに設けられた無信号区間内で送信するものとする。これにより、既に同期している他の端末装置3が送信する信号(例えば、同期信号やデータ信号)と時間的に重ならない時間に、第nビット同期信号を送信することができ、相互の干渉を回避することができる。
ここで、端末装置3−nは、ステップS20〜S50までの処理により、中央局2との間でフレーム同期が確立している。そのため、端末装置3−nは、上りフレームの無信号区間を知ることができるので、この無線信号区間に第nビット同期信号を送信することができる。
第n端末装置3−nからの第nビット同期信号が中央局2に与えられ、中央局2の第n送信信号受信部40−nによる第nビット同期信号の受信が成功した場合にはステップS95に移行し、第nビット同期信号の受信が失敗した場合にはステップS90に移行する(ステップS80)。このとき、第n固定信号の判定処理が第n送信信号受信部40−nにより行なわれる。
ステップS80において、第n送信信号受信部40−nによる第nビット同期信号の受信が失敗した場合、中央局2において第n端末装置3−nの送信タイミングの修正がなされ、送信タイミング修正情報を載せた第nビット同期信号送信許可信号を第n端末装置3−nに送信する(ステップS90)。
すなわち、ステップS90において、中央局2は、第n移相量を変化させ、前回第n端末装置3−nに与えた移相量とは異なる移相量を修正情報として生成し、この修正情報(第n移相量)を載せた第nビット同期信号送信許可信号を端末装置3−nに送信する(ステップS90)。
一方、ステップS80において、第n送信信号受信部40−nによる第nビット同期信号の受信が成功した場合、中央局2は、第nビット同期完了通知を第n端末装置3−nに与えると共に、第n移相量を、第n端末装置3−nの可変移相器33の第n移相量として確定し、固定する(ステップS95)。
そして、中央局2は、自局内に備える端末管理テーブルに、端末装置3−nの電源状態をONに更新する(ステップS100)。その後、ステップS110及びS120を経て、ステップS10に戻り、次の端末装置3についても同様の処理を行なう。
ここで、ステップS80における第n送信信号受信部40−nによる第n固定信号の判定処理について説明する。
同期判定に利用される第1〜第n固定信号は、第1端末装置3−1〜第n端末装置3−nに割り当てる信号として、全て同一の信号としても良いし、又は全て異なる信号としても良い。
固定信号の判定方法としては、種々の方法を適用することができるが、例えば、あらかじめ中央局2及び端末装置3の記憶装置(図示しない)に固定信号を記憶させておき、再生された固定信号と記憶装置の固定信号とのパターンマッチングを行ない、一致した場合には固定信号の受信が成功したものとし、一致しない場合には固定信号の受信が失敗したものとする方法を適用できる。なお、固定信号のパターンマッチング方法には種々の既存技術を適用できる。
また、別の固定信号の判定方法としては、例えば、中央局2が送信許可信号(第nフレーム同期信号送信許可信号及び又は第nビット同期信号送信許可信号)を端末装置3に送信する際、あらかじめ返送すべき固定信号の指示情報を送信許可信号に載せて送信する。そして、中央局2において、再生した固定信号と返送指示した固定信号とのパターンマッチングを行ない、一致した場合には固定信号の受信が成功したものとし、一致しない場合には固定信号の受信が失敗したものとする方法を適用できる。なお、この場合の固定信号のパターンマッチング方法にも種々の既存技術を適用できる。
図13は、端末装置3から中央局に向けて送り返す固定信号を指示する送信許可信号(同期信号)の一例を示す構成図である。
図13に示す送信許可信号の制御信号は、図12で説明した送信許可ビットと、移相量情報信号のほかに、F4〜F0の5ビット(F4,F3,F2,F1,F0)の信号によって構成される。
(A−2−5)端末装置3における信号処理の詳細説明
図14を参照して、端末装置3における中央局2からの各種送信許可信号を受信してから中央局2に返答信号を送信するまでのステップについて説明する。
図14は、端末装置3における、送信許可信号を受信してから返答信号を送信する信号処理のステップの説明に必要な部分のみを示すブロック図である。
中央局2から送信された固定信号は、マッチドフィルタ21によって相関出力信号して制御されて出力され、ゲート部25によって相関出力信号は、マスタークロック信号でタッチ処理されて出力される。この出力信号は、分岐器62で分岐されて、同期信号検出部22に入力されて、同期信号が検出される。
この検出された同期信号に含まれる制御信号は、図12に示すように、送信停止あるいは送信許可に関する情報及び移相量がデジタルデータの形式で表された信号である。制御信号は、図14に示すように、制御部52に入力される。
ここで、制御信号とは、端末装置3が備える受信部20において抽出された送信タイミング修正情報を指す。
この送信タイミング修正情報により通知された位相遅延量を算出して、この位相遅延量分の位相遅延を、符号化送信信号に付加するように可変移相器33に指示するとは、具体的な一例を挙げると、次の内容である。
可変移相器33は、例えば、Maxim社製のDS1023などを適宜利用することが可能である。この可変移相器33は、入力端子(図14ではINと示す)から入力された信号に、任意の遅延量を付加して出力端子(図14ではOUTと示す)から出力する機能を有している。遅延量は、制御部52の備える出力端子(P0、…、P7)から出力される2値の電圧信号によって制御される。
セレクタ35は、例えば、アナログデバイス社製のAD8174などを適宜利用することが可能である。このセレクタ35は、複数の入力ポートから入力された信号のうち1つを選択して出力する機能を有している。入力ポートの選択は、制御部52の備えるSEL端子から出力される電圧信号によって制御される。
制御信号の(EN1、EN2)ビットが(0,0)、すなわち、全信号送信停止であれば、第2の入力ポート(開放)を出力ポートに接続することで送信を停止することができる。
(EN1、EN2)ビットが(0,1)、すなわち、フレーム同期信号送信許可であれば、第1の入力ポート(フレーム同期信号符号化部34に接続)を出力ポートに接続することで、符号化フレーム同期信号を出力することができる。
(EN1、EN2)ビットが(1,0)、すなわち、ビット同期信号送信許可であれば、第3の入力ポート(送信信号符号化部31に接続)を出力ポートに接続することで、ビット同期信号を出力することができる。
(EN1、EN2)ビットが(1,1)、すなわち、フレーム同期完了であれば、第3の入力ポートを出力ポートに接続することで、送信信号を出力することができる。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、フレーム同期完了後、途中参加の端末装置が、上りフレームの無信号区間に、ビット同期信号を送信することにより、中央局における同期確立中の端末装置からの信号との干渉を回避できるので、同期確立中の端末装置の通信を停止させることなく、途中参加の端末装置の同期を確立することができる。
(B)他の実施形態
第1の実施形態では、1対N通信システムの適用用途は限定されるものではない。すなわち、PONに限定されるものではなく、伝送路が電気的伝送路であってもよい。
第1の実施形態では、受信構成における可変移相器23、33を、サンプリングクロックの経路に設けたものを示したが、所定の位相関係を達成できるならば、データ信号経路に設けるようにしても良く、サンプリングクロックの経路及びデータ信号経路の双方に設けるようにしてもよい。
第1の実施形態では、拡散復調のために相関出力を得る構成がマッチドフィルタのものを示したが、スライディング相関器などの他の相関演算構成を適用するようにしても良い。
第1の実施形態では、端末管理テーブルに基づいて、端末装置の電源状態を確認する際、n=1として端末装置3−1から順に確認するものとしたが、ランダムに確認対象の端末装置を決定するようにしても良い。
第1の実施形態では、中央局から各端末装置に対する位相指示を同期信号に含めることとしたが、各端末装置に位相指示をすることができれば、他の信号を通知するようにしてもよい。