JP4877689B2 - エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート、及びこれを用いた切断片の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギー線照射と加熱処理とにより被着体の切断片を容易に剥離回収できるエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートと、これを用いた切断片、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウエハや積層コンデンサシートなどの被切断体を所定寸法の切断片に切断する際、該被切断体(被着体)に貼り合わせて、切断されたチップ等の切断片を容易に剥離回収するための粘着シートとして、プラスチックなどの高弾性フィルム又はシート基材上に発泡剤を含む感圧粘着剤層を設けた熱剥離型粘着シートが知られている(特公昭50−13878号公報、特公昭51−24534号公報、特開昭56−61468号公報、特開昭56−61469号公報、特開昭60−252681号公報など)。この熱剥離型粘着シートは、被着体の切断加工に耐える粘着保持力と、形成された切断片の容易な剥離回収との両立を図ったものである。すなわち、この粘着シートは、被着体との貼り合わせ時には高い粘着性を有する一方、切断片の回収時には、加熱により熱膨張性微小球を含有する発泡性感圧接着剤層が発泡又は膨張して感圧接着剤層の表面が凹凸状に変化し、被着体との粘着面積の減少により粘着力が低下又は喪失するため、前記切断片を容易に剥離することができるという特徴を有する。
【0003】
しかし、上記の熱剥離型粘着シートでは、被着体を切断加工する際、粘着剤層が柔らかく、また熱膨張性微小球を含むことから粘着剤層が厚いため、切断刃によって粘着剤が巻き上げられたり、粘着剤層のぶれに伴ってチッピングが起こる問題がある。これらの問題を解決するには、粘着剤層を薄くすることが有効であるが、上記熱剥離型粘着シートにおいて粘着剤層の厚みを熱膨張性微小球以下に薄層化すると、熱膨張性微小球が粘着剤層の表面から突出して、粘着剤層表面の平滑性が損なわれ、被着体を保持しておくのに十分な粘着力が発現できなくなり、粘着シートとしての役割を果たさなくなる。
【0004】
特に、バンプ付きウエハなど凹凸のあるウエハをダイシングする場合には、切削水の侵入やチッピングを防ぐために、粘着テープとウエハとの貼り合わせ時には、凹凸を緩和できるだけの十分な粘着層厚と低粘弾性が要求され、ダイシング時には、チッピングや粘着剤の巻き上げを防ぐための適度な弾性が必要となり、さらにチップ片に切断して剥離したときにはチップ裏面への低汚染性が要求され、これらの要求特性をバランスよく同時に満たすのは非常に困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、被着体貼り合わせ時には凹凸を緩和して良好な粘着性を有すると共に、切断工程時において粘着剤の巻き上げやチッピングを起こすことがなく、且つ切断後の切断片の剥離回収を容易に行うことができ、さらに剥離後の被着体に対して低汚染性を発現するエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート、該粘着シートを用いた切断片の製造方法、及びその切断片を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、基材の少なくとも片面にエネルギー線硬化型粘弾性層、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘弾性層、及び粘着層とをこの順に積層すると、(i)粘着シート貼着時には十分な流動性を有するため、被着体の凹凸を緩和できること、(ii)エネルギー照射により該エネルギー線硬化型粘弾性層を硬化させた後も粘着性を有するため、良好な被着体保持性を有すること、(iii)粘着層は薄層化が可能であり、しかもエネルギー線硬化型粘弾性層を硬化させるので、被着体を切断する際に切断刃による粘着剤の巻き上げやチッピング等の工程上の不具合を伴わないこと、(iv)熱剥離性を有するため、切断片を損傷させることなく容易に剥離回収できること、及び(v)熱膨張性微小球の発泡又は膨張に伴う界面への応力集中を表面の粘着層が適度に緩和し、該応力集中に伴う粘着剤の微細な凝集破壊を防止でき、被着体への汚染を低減できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも片側に、エネルギー線硬化型粘弾性層、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘弾性層、粘着層とがこの順に積層されているエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートを提供する。
【0008】
本発明は、また、上記のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの粘着層表面に被切断体を載置し、エネルギー線硬化型粘弾性層をエネルギー線照射により硬化させた後、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで熱膨張性粘着層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ、詳細に説明する。図1は本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの一例を示す概略断面図である。この例では、基材1の一方の面に、エネルギー線硬化型粘弾性層2が設けられ、熱膨張性粘弾性層3、粘着層4、セパレータ5がこの順で積層されている。本発明に係わる粘着シートの形状はシート状、テープ状等、慣用乃至公知の適宜の形態を採りうる。
【0011】
基材1はエネルギー線硬化型粘弾性層2等の支持母体となるもので、熱膨張性粘弾性層3の加熱処理により機械的物性を損なわない程度の耐熱性を有するものが使用される。このような基材1として、例えば、ポリエステル、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムやシートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基材1は被着体の切断の際に用いるカッターなどの切断手段に対して切断性を有しているのが好ましい。また、基材1として軟質ポリオレフィンフィルム若しくはシート等の耐熱性と伸縮性とを具備する基材を使用すると、被切断体の切断工程の際、基材途中まで切断刃が入れば、後に基材を伸張することができるので、切断片間に隙間を生じさせることが必要な切断片回収方式に好適となる。なお、エネルギー線硬化型粘弾性層2を硬化させる際にエネルギー線を用いるため、基材1(又は熱膨張性粘弾性層3等)は所定量以上のエネルギー線を透過しうる材料で構成される必要がある。基材1は単層であってもよく多層体であってもよい。また、基材1に後述する適宜な離型剤にて表面処理を施し、その処理面にエネルギー線硬化型粘弾性層を形成すると、エネルギー線硬化型熱膨張性粘着シートにエネルギー線を照射し、該エネルギー線硬化型粘弾性層を硬化させた後、基材1を剥離することで、該エネルギー線硬化型熱膨張性粘着シート自体を薄層化することも可能である。
【0012】
基材1の厚さは、被着体の貼り合わせ、被着体の切断、切断片の剥離、回収などの各工程における操作性や作業性を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常500μm以下、好ましくは3〜300μm程度、さらに好ましくは5〜250μm程度である。基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性などを高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗り剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理等が施されていてもよい。また、基材1は、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等により離型剤処理をすることにより、エネルギー線硬化性粘弾性層2の硬化後に剥離することも可能である。
【0013】
エネルギー線硬化型粘弾性層2は、エネルギー線硬化性を付与するためのエネルギー線反応性官能基を化学修飾した化合物、又はエネルギー線硬化性化合物(又はエネルギー線硬化性樹脂)を含有するとともに、熱膨張性粘弾性層3が圧着される際に熱膨張性微小球の凹凸を緩和できる程度の粘弾性を有している(図1の拡大図参照)。また、エネルギー線硬化型粘弾性層2は、エネルギー線照射後には弾性体となるものが好ましい。このような観点から、エネルギー線硬化型粘弾性層2は、エネルギー線反応性官能基で化学的に修飾された粘弾性を有する母剤、又はエネルギー線硬化性化合物(又はエネルギー線硬化性樹脂)を粘弾性を有する母剤中に配合した組成物により構成されるものが好ましく用いられる。
【0014】
前記母剤としては、例えば、天然ゴムや合成ゴムあるいはそれらを用いたゴム系粘着剤、シリコーンゴムあるいはその粘着剤、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステルなどのC1-20アルキルエステルなど]の単独又は共重合体や該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他のモノマー[例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基若しくは酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;N−ビニルピロリドンなどのビニル基含有複素環化合物;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;アクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等]との共重合体からなるアクリル系樹脂あるいはその粘着剤、ポリウレタン系樹脂やその粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体など、適宜な粘弾性を有する有機粘弾性体を用いうる。なお、該母剤として、後述の熱膨張性粘弾性層3を構成する母剤と同一又は同種の成分を用いることにより、エネルギー線硬化型粘弾性層2と熱膨張性粘弾性層3とを密着性よく積層できる。好ましい母剤にはアクリル系粘着剤などの粘着物質が含まれる。母剤は1種の成分で構成してもよく、2種以上の成分で構成してもよい。
【0015】
エネルギー線硬化型粘弾性層2をエネルギー線硬化させるための化学修飾に用いるエネルギー線反応性官能基、及びエネルギー線硬化性化合物としては、可視光線、紫外線、電子線などのエネルギー線により硬化可能なものであれば特に限定されないが、エネルギー線照射後のエネルギー線硬化型粘弾性層2の3次元網状化が効率よくなされるものが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0016】
化学修飾に用いられるエネルギー線反応性官能基としては、例えば、アクリレート基などの炭素−炭素二重結合を有する官能基などが挙げられる。
【0017】
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0018】
エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート、分子末端にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂や光カチオン重合型樹脂、ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー、ジアゾ化したアミノノボラック樹脂やアクリルアミド型ポリマーなど、感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマーなどが挙げられる。さらに高エネルギー線で反応するポリマーとしては、エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサンなどが挙げられる。なお、エネルギー線硬化性樹脂を使用する場合には、前記母剤は必ずしも必要でない。
【0019】
エネルギー線硬化性化合物の配合量は、例えば、母剤100重量部に対して、5〜500重量部程度、好ましくは15〜300重量部、さらに好ましくは20〜150重量部程度の範囲である。また、エネルギー線硬化型粘弾性層2は、熱膨張性微小球の凹凸を緩和し、且つ硬化後は熱膨張性微小球の熱膨張を妨げないものが好ましい。従って、エネルギー線硬化型粘弾性層2のエネルギー線照射後における動的弾性率は、熱膨張性微小球の膨張開始温度において、せん断貯蔵弾性率1×105〜1×108Pa、好ましくは3×105〜5×107Pa程度(サンプル:厚さ1mmフィルム状、周波数:1Hz、粘弾性スペクトルメーター(メイトリックス社製)を用いトーション法にて測定)のものが用いられる。なお、被着体の切断工程を行う常温域では、エネルギー線照射後、1×108Pa以上の貯蔵弾性率であってもよい。この貯蔵弾性率は、エネルギー線硬化性を付与する化合物の種類やエネルギー線硬化性化合物の配合量、粘弾性体のガラス転移温度、エネルギー線照射条件などを適宜選択することにより調整できる。
【0020】
エネルギー線硬化型粘弾性層2には、上記成分のほか、エネルギー線硬化性を付与する化合物を硬化させるためのエネルギー線重合開始剤、及びエネルギー線硬化前後に適切な粘弾性を得るために、熱重合開始剤、架橋剤、粘着付与剤、加硫剤等の適宜な添加剤が必要に応じて配合される。
【0021】
エネルギー線重合開始剤としては、用いるエネルギー線の種類に応じて公知乃至慣用の重合開始剤を適宜選択できる。エネルギー線重合開始剤は単独であるいは2種以上を混合して使用できる。エネルギー線重合開始剤の配合量としては、通常、上記母剤100重量部に対して0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度である。なお、必要に応じて前記エネルギー線重合開始剤とともにエネルギー線重合促進剤を併用してもよい。
【0022】
エネルギー線硬化型粘弾性層2は、例えば、エネルギー線硬化性樹脂、あるいは母剤、エネルギー線重合性化合物、及びエネルギー線重合開始剤、さらに必要に応じて添加剤、溶媒等を含むコーティング液を基材1上に塗布する方式、適当なセパレータ5(剥離紙など)上に前記コーティング液を塗布してエネルギー線硬化型粘弾性層2を形成し、これを基材1上に転写(移着)する方法など、慣用の方法により形成できる。
【0023】
エネルギー線硬化型粘弾性層2の厚さは、通常10〜150μm程度、好ましくは30〜100μm程度である。このような厚さであると、十分な凹凸緩和能力が発現し、例えば、被着体をバンプ付き半導体ウエハとする場合にバンプ高さを緩和できる。
【0024】
熱膨張性粘弾性層3は、粘弾性を有する母剤、及び熱膨張性を付与するための熱膨張性微小球を含んでいる。
【0025】
熱膨張性粘弾性層3の母剤としては、熱膨張性微小球の熱膨張を阻害しない範囲の粘弾性を有していれば特に限定されないが、例えば、従来公知の感圧接着剤(粘着剤)等の粘着物質を使用することができる。感圧接着剤として、例えば、天然ゴムや各種の合成ゴム等のゴム系感圧接着剤;シリコーン系感圧接着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこのエステルに対して共重合可能な他の不飽和単量体との共重合体等のアクリル系感圧接着剤(例えば、前記エネルギー線硬化型粘弾性層2の母剤として記載したアクリル系粘着剤など)等が例示される。また、熱膨張性粘着層3には、エネルギー線硬化型粘着剤を使用することもできる。該母剤として、前記エネルギー線硬化型粘弾性層2を構成する母剤と同一又は同種の成分を用いることにより、エネルギー線硬化型粘弾性層2と熱膨張性粘弾性層3とを密着性よく積層できる。母剤は1種の成分で構成してもよく、2種以上の成分で構成してもよい。
【0026】
熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球であればよい。前記殻は、通常、熱可塑性物質、熱溶融性物質、熱膨張により破裂する物質などで形成される。前記殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は慣用の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。熱膨張性微小球として、例えば、マツモトマイクロスフェア[商品名、松本油脂製薬(株)製]などの市販品を利用することもできる。
【0027】
熱膨張性微小球の平均粒径は、分散性や薄層形成性などの点から、一般に1〜80μm程度、好ましくは3〜50μm程度である。また、熱膨張性微小球としては、加熱処理により粘着剤を含む粘着層の粘着力を効率よく低下させるため、体積膨張率が5倍以上、特に10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有するものが好ましい。なお、低い膨張率で破裂する熱膨張性微小球を用いた場合や、マイクロカプセル化されていない熱膨張剤を用いた場合には、粘着層4と被着体との粘着面積が十分には低減されず、良好な剥離性が得られにくい。
【0028】
熱膨張性微小球の使用量は、その種類によっても異なるが、熱膨張性粘弾性層3を構成する母剤100重量部に対して、例えば10〜200重量部、好ましくは20〜125重量部程度である。10重量部未満であると、加熱処理後の効果的な粘着力低下が不十分になりやすく、また、200重量部を超えると、熱膨張性粘弾性層3の凝集破壊や、エネルギー線硬化型粘弾性層2と熱膨張性粘弾性層3との界面破壊が生じやすい。
【0029】
熱膨張性粘弾性層3には、粘着剤、熱膨張性微小球の他に、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、界面活性剤等の適宜な添加剤を配合してもよい。
【0030】
熱膨張性粘弾性層3の形成には、例えば、粘着剤、熱膨張性微小球、及び必要に応じて添加剤、溶媒等を含むコーティング液をエネルギー線硬化型粘弾性層2上に直接塗布、てセパレータ5を介して圧着する方法、適当なセパレータ5(剥離紙など)上に前記コーティング液を塗布して熱膨張性粘弾性層3を形成し、これをエネルギー線硬化型粘弾性層2上に圧着転写(移着)する方法など適宜な方法にて行うことができる。
【0031】
なお、後者の方法(圧着転写)によりエネルギー線硬化型粘弾性層2上に熱膨張性粘弾性層3を形成すると、粘弾性層3との界面にボイド(空隙)が残る場合がある。この場合、オートクレーブ等により加温加圧処理を施し、ボイドを拡散させて消滅させることが可能である。
【0032】
熱膨張性粘弾性層3の厚さは、被着体切断時の糊巻き上げの防止や振動防止の観点から薄層化されるが、表面の平滑性を保持するため、熱膨張性微小球の最大粒径以下に設定するのが好ましい。例えば、熱膨張性粘弾性層3の厚さは、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜20μm程度である。
【0033】
粘着層4は、熱膨張性微小球の発泡もしくは膨張に伴う被着体界面への応力集中を緩和し、熱膨張性粘弾性層3中の粘着剤の凝集破壊を防ぎ、加熱後は、該熱膨張性微小球が変形した際の凹凸形状に追従し、被着体との接触面積を低下させることで効率よく粘着力の低下を発現させる機能を有している。また、粘着層4は、被着体を保持するため、粘着性を付与するための粘着物質を含んでいる。前記粘着性物質としては従来公知の感圧接着剤等を使用することができる。感圧接着剤として、例えば、天然ゴムや各種の合成ゴム等のゴム系感圧接着剤;シリコーン系感圧接着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこのエステルに対して共重合可能な他の不飽和単量体との共重合体等のアクリル系感圧接着剤等が例示される。特に、粘着力の調整などの点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0034】
また、粘着層4を構成する粘着剤としてエネルギー線硬化性粘着剤を使用することもできる。エネルギー線硬化性粘着剤としては、前記エネルギー線硬化型粘弾性層2において、粘着性を有する母剤中にエネルギー線硬化性化合物(又はエネルギー線硬化性樹脂)を配合したものを用いることができる。あるいは、粘着性を有する母剤を炭素−炭素二重結合などのエネルギー線反応性官能基で化学的に修飾したものを用いることも可能である。該粘着性を有する母剤としては、アクリル系感圧接着剤が好ましく用いられる。
【0035】
さらに粘着層4が高いゲル分率(通常は90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上)を有する場合には、粘着層4の遊離成分による被着体離面の汚染を低減することができる。なお、ゲル分率は、トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒中に粘着物質を浸漬(通常、室温で7日間)させた後、乾燥させて得られる重量減少率により求められる。
【0036】
粘着層4には、粘着剤の他に、必要に応じて、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、界面活性剤などの適宜な添加剤を配合してもよい。ただし、エネルギー線硬化型粘弾性層2を硬化させるエネルギー線の透過を著しく阻害する物質を使用もしくは添加することは好ましくない。
【0037】
粘着層4の形成には、例えば液状の粘着剤を熱膨張性粘弾性層3の上に塗布する方法や、セパレータ5上に形成した粘着層4を熱膨張性粘弾性層3の上に移着する方法などの適宜な方式にて行うことができる。
【0038】
粘着層4の厚さは、粘着シートの使用目的や加熱による粘着力の低減性などに応じて適宜に決定しうる。一般には、粘着層4の厚さが薄すぎると粘着力不足や加熱による熱膨張性粘弾性層3の凹凸変形時に凝集破壊が生じやすくなり、厚すぎると加熱による熱膨張性粘弾性層3の凹凸変形に追従し難くなるため、その加熱変形時の凝集破壊の防止性、被着体切断時の粘着剤の巻き上げやブレ防止、ひいては被着体に対する粘着力の低減ないし喪失性などの点より、層厚は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは1〜5μmの範囲が採用される。
【0039】
セパレータ5としては、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキルアクリレート系樹脂、フッ素系樹脂などで代表される剥離剤により表面コートしたプラスチックフィルムや紙等からなる基材、あるいはポリエチレンやポリプロピレンなどの無極性ポリマーからなる粘着性の小さい基材などを使用できる。
【0040】
セパレータ5は、上記のように、エネルギー線硬化型粘弾性層2上に熱膨張性粘着層3を圧着転写(移着)する際等の仮支持体として、また、実用に供するまで粘着層4を保護する保護材として用いられる。
【0041】
図2は本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの他の例を示す概略断面図である。この例では、基材1の一方の面に、エネルギー線硬化型粘弾性層2、熱膨張性粘弾性層3、粘着層4及びセパレータ5がこの順に積層されているとともに、基材1の他方の面に粘着層6及びセパレータ7が積層されている。この粘着シートは、基材1のエネルギー線硬化型粘弾性層2およびその上に熱膨張性粘弾性層3が形成されている面とは反対側の面に、粘着層6とセパレータ7が設けられている点でのみ、図1の粘着シートと相違する。
【0042】
粘着層6は粘着性物質を含んでいる。この粘着性物質としては、前記粘着層4における粘着性物質(粘着剤)と同様のものを使用でき、必要に応じて、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、界面活性剤などの適宜な添加剤を配合してもよい。ただし、エネルギー線硬化型粘弾性層2を硬化させるエネルギー線の透過を著しく阻害する物質を使用もしくは添加することは好ましくない。
【0043】
粘着層6の厚さは、粘着層4の被着体への圧着、被着体の切断及び切断片の剥離、回収などにおける操作性等を損なわない範囲で適宜設定できるが、一般に1〜50μm、好ましくは3〜30μm程度である。
【0044】
粘着層6の形成は、粘着層4に準じた方法により行うことができる。セパレータ7としては、前記粘着層4上のセパレータ5と同様のものを使用できる。このような粘着シートは粘着層6を利用することにより、台座面に固定して使用することができる。
【0045】
図3は本発明の切断片の製造方法の一例を示す概略工程図である。より詳細には、図3は、図1のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート(セパレータ5を剥がした状態のもの)の粘着層4の表面に被切断体(被着体)8を圧着して貼り合わせ、エネルギー線9の照射によりエネルギー線硬化型粘弾性層2を硬化させた後、切断線10に沿って所定寸法に切断して切断片とし、次いで加熱処理により熱膨張性粘弾性層3中の熱膨張性微小球を膨張および発泡させて、前記切断片8aを剥離回収する一連の工程を断面図で示した工程図である。なお、エネルギー線9の照射によりエネルギー線硬化型粘弾性層2を硬化させた後に、粘着層4表面に被切断体(被着体)8を圧着して貼り合わせ、切断線10に沿って切断してもよい。
【0046】
図3において、1は基材、2aはエネルギー線照射後の硬化したエネルギー線硬化型粘弾性層、3aはエネルギー線照射後さらに加熱により熱膨張性微小球を膨張させた後の熱膨張性粘弾性層を示す。
【0047】
エネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの粘着層4と被着体8との圧着は、例えば、ゴムローラ、ラミネートロール、プレス装置などの適宜な押圧手段で圧着処理する方式などにより行うことができる。なお、圧着処理の際、必要ならば、粘着性物質のタイプに応じて、熱膨張性微小球が膨張しない温度範囲で加熱したり、水や有機溶剤を塗布して粘着性物質を賦括させたりすることもできる。
【0048】
エネルギー線9としては可視光線や紫外線、電子線などを使用できる。エネルギー線の照射は適宜な方法で行うことができる。ただし、エネルギー線9の照射熱により熱膨張性微小球が膨張を開始することがあるため、できるだけ短時間の照射にとどめるか、あるいは放射線硬化型熱剥離性粘着シートを風冷するなどして熱膨張性微小球が膨張を開始しない温度に保つことが望ましい。
【0049】
被着体8の切断はダイシング等の慣用の切断手段により行うことができる。加熱条件は、被着体8(又は切断片8a)の表面状態や耐熱性、熱膨張性微小球の種類、粘着シートの耐熱性、被着体(被切断体)の熱容量などにより適宜設定できるが、一般的な条件は、温度350℃以下、処理時間30分以下であり、特に温度80〜200℃、処理時間1秒〜15分程度が好ましい。また、加熱方式としては、熱風加熱方式、熱板接触方式、赤外線加熱方式などが挙げられるが、特に限定されない。
【0050】
また、粘着シートの基材1に伸縮性を有するものを使用した場合、伸張処理は例えば、シート類を二次元的に伸張させる際に用いる慣用の伸張手段を使用することにより行うことができる。
【0051】
本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートは、粘着性物質(粘着剤)を含む粘着層4が有する流動性により、被着体8の凹凸を十分に緩和して強固に粘着保持でき、例えば搬送時の振動等により被着体が剥がれない。また、粘着層4は薄く形成可能であり、且つ、切断工程の前にエネルギー線9を照射することによりエネルギー線硬化型粘弾性層2を硬化させるため、切断工程時において切断刃による粘着層の巻き上げや粘着層等のぶれに伴うチッピング等を従来の熱膨張性粘着シートに比べて大幅に低減しつつ所定の寸法に切断できる。さらに、熱膨張性粘弾性層3は熱膨張性微小球を含み、熱膨張性を有するので、切断工程後の加熱処理により、熱膨張性微小球が速やかに発泡又は膨張し、前記熱膨張性粘弾性層3が体積変化して凹凸状の三次元構造が形成される。そして、それに伴って粘着層4の表面も凹凸状に変形し、切断された切断片8aとの接着面積ひいては接着強度が大幅に低下若しくは喪失する。かくして、上記粘着層4の形成、エネルギー線照射によるエネルギー線硬化型粘弾性層2の硬化、および加熱処理による熱膨張性粘弾性層3に含まれる接着強度の著しい低下若しくは喪失により、被着体8の切断工程、切断片8aの剥離、回収工程における操作性及び作業性が大幅に改善され、生産効率も大きく向上できる。また、熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘弾性層3の外側に粘着層4が設けられているため、被着体との接着界面において熱膨張性微小球の変形に伴う微細な凝集破壊が起こらず、被着体の転写汚染を防止できる。
【0052】
本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートは、被着体を永久的に接着させる用途にも使用できるが、被着体を所定期間接着すると共に、接着目的を達成した後には、その接着状態を解除することが要求若しくは望まれる用途に適している。このような用途の具体例として、被着体としてはバンプやランドを付随した半導体ウエハが好適であり、特に、該半導体部品の研削工程及び切断工程に対して好ましく用いられる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、被着体貼り合わせ時には被着体の凹凸を十分に緩和して良好な粘着性を発揮すると共に、切断工程時における粘着剤の巻き上げやチッピングを抑制でき、且つ切断後には、高度な精度で切断加工された切断片を汚染を少なく容易に剥離回収することができる。そのため、切断片の剥離、回収工程における操作性及び作業性を著しく高めることができ、ひいては、小型の或いは薄層の半導体チップや積層コンデンサチップなどの切断片の生産性を大きく向上できる。また、被着体との接着界面での粘着剤の微細な凝集破壊に起因する被着体の汚染を防止できる。
【0054】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
ヒドロキシル基含有アクリル系ポリマーにメタクリロイルオキシエチレンイソシアネートをヒドロキシル基の0.9当量付加させた紫外線反応性ポリマー(重量平均分子量50万)100重量部、光反応開始剤3重量部、及び架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)0.2重量部を配合した混合液1を調製した。この混合液1を、厚さ50μmのポリエステルフィルム(基材)に塗布し乾燥させ、厚さ30μmの紫外線硬化型粘弾性層を形成した。
一方、上記アクリル系ポリマーにメタクリロイルオキシエチレンイソシアネートをヒドロキシル基の0.5当量付加させた紫外線反応性ポリマー100重量部、120℃熱膨張性微小球(商品名「マツモトマイクロスフェア F−50D」、松本油脂製薬(株)製:F−50Dをふるいにより分級し最大粒径40μm以下のものを使用)30重量部、及び架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)1重量部を配合した混合液2を調製した。この混合液2を、表面シリコーン離型剤処理したポリエステルフィルム(セパレータ)の処理面に塗布し乾燥させ、厚さ25μmの熱膨張性粘弾性層を形成した。
また、上記アクリル系ポリマーにメタクリロイルオキシエチレンイソシアネートをヒドロキシル基に対して0.65当量付加させた紫外線反応性ポリマー100重量部、光反応開始剤3重量部を配合した混合液3を調製した。
前記アクリル系紫外線硬化型粘弾性層上に上記の熱膨張性粘弾性層をラミネーターにより圧着転写し、さらに、前記熱膨張性粘弾性層上に混合液3を塗布し、乾燥させて層厚1.5μmの粘着層(紫外線照射後ゲル分率99%)を設けて、紫外線硬化型熱剥離性粘着シートを得た。
【0055】
実施例2
アクリル系ポリマー(エチルアクリレート:ブチルアクリレート:アクリル酸=80:20:5(重量比)、重量平均分子量100万)100重量部に対し、炭素−炭素二重結合含有6官能オリゴマー35重量部、光反応開始剤3重量部、及び架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)0.8重量部を配合した混合液4を調製した。この混合液4を、厚さ50μmのポリエステルフィルム(基材)に塗布し乾燥させ、厚さ40μmの紫外線硬化型粘弾性層を形成した。
一方、上記アクリル系ポリマー100重量部に対し、120℃熱膨張性微小球(商品名「マツモトマイクロスフェア F−50D」、松本油脂製薬(株)製:F−50Dをふるいにより分級し最大粒径40μm以下のものを使用)30重量部、及び架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)2重量部を配合した混合液5を調製した。この混合液5を、表面シリコーン離型剤処理したポリエステルフィルム(セパレータ)の処理面に塗布し乾燥させ、厚さ25μmの熱膨張性粘弾性層を形成した。
また、上記アクリル系ポリマー100重量部に対し、架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)5重量部を配合した混合液6を調製した。
前記アクリル系紫外線硬化型粘弾性層上に上記の熱膨張性粘弾性層をラミネーターにより圧着転写し、さらに、前記熱膨張性粘弾性層上に混合液6を塗布し、乾燥させて層厚1.5μmの粘着層(ゲル分率98.5%)を設けて、紫外線硬化型熱剥離性粘着シートを得た。
【0056】
比較例1
粘着層を設けなかった点以外は実施例1と同様の操作により紫外線硬化型熱剥離性粘着シートを得た。
【0057】
評価実験
実施例及び比較例で得た各粘着シート(幅200mm)に高さ40μmの金バンプ付6インチ半導体ウエハを貼り合わせた後、粘着シート側から紫外線(50mJ)を15秒間照射して硬化を行い、回転丸刃にてウエハを10mm角に切断し、チッピング(チップ飛び)の有無を目視により確認した。切断工程後、加熱処理を120℃の熱風乾燥機中で5分間行い、切断片(チップ)をエアーピンセットにてピックアップした。このときピックアップ可能な場合の加熱剥離性を「良好」、ピックアップできなかった場合を「不良」と判定した。さらに、シート貼り合わせ前のウエハ状態と剥離後のチップ裏面をESCAにて分析し、ウエハ裏面の表面炭素元素増加率を算出し、炭素元素増加率が10%未満の場合の剥離面の汚染性を「良好」、10%以上の場合を「不良」と判定した。
また、紫外線照射により紫外線硬化型粘弾性層を硬化させた後、熱膨張性微小球が膨張する温度120℃における該紫外線硬化型粘弾性層のせん断貯蔵弾性率を、メイトリックス社製粘弾性スペクトルメーター(周波数1Hz、トーション法)にて測定した。
【0058】
評価結果を表1に示した。なお、実施例及び比較例の何れの場合も、加熱剥離の際、目視において剥離したポリエステルフィルム及びチップに糊残りは認められなかった。
【表1】
【0059】
表1より明らかなように、実施例の粘着シートでは、紫外線照射による紫外線硬化型粘弾性層の硬化に伴い、粘着層の粘着力が適度に低下し、且つ粘着層を薄くできるので、切断時の粘着剤の巻き上げとチップ飛びを防止できる。さらに加熱処理を施すことにより粘着力が消失して容易に剥離され、切断片への汚染を防止できる。これに対し、粘着層を有しない比較例1の粘着シートでは、剥離後の剥離面に汚染が見られた。なお、ウエハ裏面の表面炭素元素増加率は、実施例1と2では数%であったが、粘着層の無い比較例1では18%増加していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の切断片の製造方法の一例を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1 基材
2 エネルギー線硬化型粘弾性層
2a エネルギー線照射後の硬化した粘弾性層
3 熱膨張性粘弾性層
3a 加熱処理後の熱膨張性粘弾性層
4 粘着層
5 セパレータ
6 粘着層
7 セパレータ
8 被着体(被切断体)
8a 切断片
9 エネルギー線
10 切断線
Claims (12)
- 基材の少なくとも片側に、エネルギー線硬化型粘弾性層、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘弾性層、及び粘着層がこの順に積層されているエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- 粘着層の厚さが0.1〜10μmである請求項1記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- 粘着層が感圧接着剤で構成されている請求項1又は2記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- 粘着層がエネルギー線硬化型粘着剤で構成されている請求項1又は2記載の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- エネルギー線硬化型粘弾性層が有機粘弾性体とエネルギー線硬化性化合物との組成物、エネルギー線硬化性樹脂、及びエネルギー線反応性官能基により化学的に修飾された有機粘弾性体から選択された少なくとも一つにより構成されている請求項1〜4の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- エネルギー線硬化型粘弾性層が粘着物質で構成されている請求項1〜5の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- エネルギー線硬化型粘弾性層の厚さが10〜150μmである請求項1〜6の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- エネルギー線を照射した後のエネルギー線硬化型粘弾性層の熱膨張性微小球の膨張開始温度におけるせん断貯蔵弾性率が1×105〜1×108Paとなる請求項1〜7の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- 熱膨張性粘弾性層が粘着物質で構成されている請求項1〜8の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- 熱膨張性粘弾性層の厚さが熱膨張性微小球の最大粒径以下である請求項1〜9の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シート。
- 請求項1〜10の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートの粘着層表面に被切断体を載置し、エネルギー線硬化型粘弾性層をエネルギー線照射により硬化させた後、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで熱膨張性粘着層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法。
- 請求項1〜10の何れかの項に記載のエネルギー線硬化型熱剥離性粘着シートにエネルギー線を照射してエネルギー線硬化型粘弾性層を硬化させた後、粘着層表面に被切断体を載置し、前記被切断体を切断して切断片とし、次いで熱膨張性粘着層を加熱により発泡させて、前記切断片を剥離回収する切断片の製造方法。
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