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JP4871537B2 - 膜−電極接合体の製造方法 - Google Patents

膜−電極接合体の製造方法 Download PDF

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JP4871537B2
JP4871537B2 JP2005205659A JP2005205659A JP4871537B2 JP 4871537 B2 JP4871537 B2 JP 4871537B2 JP 2005205659 A JP2005205659 A JP 2005205659A JP 2005205659 A JP2005205659 A JP 2005205659A JP 4871537 B2 JP4871537 B2 JP 4871537B2
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Description

本発明は、固体高分子電解質型燃料電池などに用いられる、固体高分子電解質膜を有する膜−電極接合体の製造方法に関する。
固体高分子電解質型燃料電池は、一対の触媒層に挟持された高分子電解膜を備える膜−電極接合体を有しており、燃料ガスとして純水素または改質水素ガスを一方の触媒層(燃料極)へ供給し、酸化剤として酸素ガスまたは空気を他方の触媒層(空気極)へ供給して起電力を得るものである。
上記膜−電極接合体の製造方法としては、たとえば、金属触媒が担持されたカーボン粒子と、水素イオン伝導性の高分子電解質と、有機溶剤とを含む触媒ペーストを、高分子電解質膜の両面に塗布または噴霧し、加熱乾燥により有機溶剤を除去して高分子電解質膜の両面に触媒層を形成した後、カーボンペーパーなどのガス拡散層を触媒層両面に配し、ホットプレスにより触媒層とガス拡散層を接合する方法が挙げられる。
上記触媒層を構成する高分子電解質として、Nafion(登録商標)に代表されるスルホン化パーフルオロ炭化水素系の高分子電解質を用いた場合、高分子電解質が熱可塑性であることから、ホットプレス等の熱圧着法により触媒層とガス拡散層とを容易に接合することができる。
一方、上記高分子電解質として、スルホン化ポリアリーレンなどのプロトン酸基含有芳香族系ポリマー(たとえば、特許文献1参照)のような耐熱材料を用いた場合、触媒金属の劣化温度を超えるような温度条件か、あるいは、触媒層中の細孔を潰してしまうような圧力条件でないと、十分な接合強度を実現させることができなかった。
このように、触媒層とガス拡散層との接合強度が十分でないと、特に高加湿、高電流密度の作動条件下において、ガス拡散層と触媒層との間に空隙が生じ、フラッティングが生じやすくなる。フラッティングが生じると、初期の発電性能が低下するだけでなく、長時間に渡って安定した発電性能を得ることが困難になる。また、燃料極側でフラッティングが生じて燃料ガスの供給が滞ると、電極基材のカーボンペーパーや、触媒を担持したカーボン粒子の腐食を進行させて燃料電池の寿命を縮めることがある。
米国特許第5,403,675号公報
本発明の課題は、固体高分子電解質膜の両面に形成されたプロトン酸基含有芳香族系ポリマーを含む触媒層と、該触媒層上に接合されたガス拡散層との間の接合強度を向上させ、発電耐久性に優れた固体高分子膜−電極接合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、特定のプロトン酸基含有芳香族系ポリマーを含む接着剤層を介在させて、触媒層とガス拡散層とを接合することにより、触媒層とガス拡散層との間の接合強度を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る膜−電極接合体の製造方法は、固体高分子電解質膜の両面に、
プロトン酸基含有芳香族系ポリマーと、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを含有する触媒層を有し、該触媒層上にガス拡散層を有する膜−電極接合体の製造方法であって、少なくとも一方の触媒層とガス拡散層とを、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーを含有する接着剤層を介在させて接合する工程を含むことを特徴とする。
前記接着剤層を構成するプロトン酸基含有芳香族系ポリマーは、前記触媒層を構成するプロトン酸基含有芳香族系ポリマーと同一であることが好ましく、該ポリマーは、特定の構成単位を有するスルホン化ポリアリーレンであることがより好ましい。
また、前記接着剤層は、さらに導電性フィラーを含有してもよく、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーと該導電性フィラーとを、5/95〜60/40の質量比(ポリマー/フィラー)で含有することが好ましい。
本発明によれば、固体高分子電解質膜上に形成された触媒層とガス拡散層とを、充分な接合強度で接合することができるため、発電耐久性に優れた膜−電極接合体を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる膜−電極接合体は、触媒層およびガス拡散層を含む電極層と、固体高分子電解質膜とを有し、該電解質膜の両面に触媒層が形成され、該触媒層上にガス拡散層が接合されている。そして、本発明の膜−電極接合体の製造方法は、少なくとも一方の触媒層とガス拡散層とを、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーを含有する接着剤層を介在させて接合する工程を含むことを特徴とする。以下、本発明に係る膜−電極接合体の製造方法、ならびに、該製造方法に用いられる構成材料などについて詳細に説明する。
〔触媒層〕
本発明の製造方法により得られる膜−電極接合体を構成する触媒層は、触媒を担持したカーボンとプロトン酸基含有芳香族系ポリマーとを含有する。
(i)触媒を担持したカーボン
本発明で用いられる触媒としては、白金または白金合金が用いられる。白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。このような白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、コバルト、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズから選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
上記触媒を担持するカーボンとしては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150」、「#3250」などが
挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
これらのカーボンの形態としては、粒子状のほか、繊維状も用いることができる。また、カーボンに担持される触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、担持量がカーボン重量に対して、0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲である。
(ii)プロトン酸基含有芳香族系ポリマー
上記触媒層を構成するプロトン酸基含有芳香族系ポリマーは、前記触媒を担持したカーボンを結着させるバインダー成分として働くとともに、燃料極では触媒上の反応によって発生したイオンをイオン伝導膜へ効率的に供給し、また、空気極ではイオン伝導膜から供給されたイオンを触媒へ効率的に供給する。
上記プロトン酸基含有芳香族系ポリマーは、上記機能を有すれば特に限定されないが、スルホン酸基もしくはリン酸基からなるイオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)と、イオン伝導成分を有さないポリマーセグメント(B)とが共有結合しているブロック共重合体が好適である。より好ましくは、該共重合体を形成する主鎖骨格が、芳香環を結合基で共有結合させた構造を有するポリアリーレンであり、特に好ましくは、下記一般式(A)で表される構成単位(以下、「構成単位(A)」または「スルホン酸ユニット」ともいう。)と、下記一般式(B)で表される構成単位(以下、「構成単位(B)」または「疎水性ユニット」ともいう。)とを含む、下記一般式(C)で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレン(以下「スルホン化ポリアリーレン」ともいう。)である。このようなスルホン化ポリアリーレンを使用すると、より耐熱性の高く、機械的強度の高い電極触媒層を形成することができる。以下、本発明で特に好ましく用いられるスルホン化ポリアリーレンについて具体的に説明する。
<スルホン化ポリアリーレン>
(スルホン酸ユニット)
Figure 0004871537
上記式(A)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−
、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示す。これらの中では、−CO−および−SO2−が好ましい。
Zは、独立に直接結合、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−C(CH32−、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合および−O−が好ましい。
Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜
12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示す。芳香族基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基およびナフチル基が好ましい。また、Arは、−SO3H、
−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで表される置換基を少なくとも1個
有していることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上有することが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
上記構成単位(A)の好ましい構造としては、上記式(A)において、
(1)m=0、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−O(CH24SO3Hを有するフェニル基である構造
などを挙げることができる。
(疎水性ユニット)
Figure 0004871537
上記式(B)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−、シクロヘキシリデン基
、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合、−CO−、−SO2−、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基および−O−が好ましい。なお、R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部
がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示す。
上記R1〜R16におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。アリール基と
しては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
上記構成単位(B)の好ましい構造としては、上記式(B)において、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であ
り、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニト
リル基である構造
などが挙げられる。
(ポリマー構造)
Figure 0004871537
上記式(C)中、A、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよびR1〜R16は、上記式(A)および(B)中で定義した通りであり、xおよびyは、x+y=10
0モル%とした場合のモル比を示す。
本発明で特に好ましく用いられるスルホン化ポリアリーレンは、上記構成単位(A)、すなわちxのユニットを0.5〜99.999モル%、好ましくは10〜99.99モル%の割合で含有し、上記構成単位(B)、すなわちyのユニットを99.5〜0.001モル%、好ましくは90〜0.01モル%の割合で含有している。
(スルホン化ポリアリーレンの製造方法)
上記スルホン化ポリアリーレンの製造方法としては、たとえば、下記に示すA法、B法およびC法が挙げられる。
(A法)たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記構成単位(A)となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記構成単位(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化してスルホン酸基に変換する
方法。
(B法)たとえば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記式(A)で表される骨格を有するが、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記構成単位(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを共重合させ、得られた共重合体をスルホン化剤を用いてスルホン化する方法。
(C法)上記式(A)中のArが、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、たとえば、特開2005−60625号公報に記載の方法で、上記構成単位(A)となりうる前駆体のモノマーと、上記構成単位(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを共重合させ、次いで、アルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法。
上記A法で用いることができる、上記構成単位(A)となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーとしては、たとえば、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
上記B法で用いることができる、上記構成単位(A)となりうるスルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しないモノマーとしては、たとえば、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
上記C法で用いることができる、上記構成単位(A)となりうる前駆体のモノマーとしては、たとえば、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
また、いずれの方法においても用いられる、上記構成単位(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとしては、
r=0の場合、たとえば、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルなどが挙げられる。これらの化合物において、塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物なども用いることができる。
r=1の場合、たとえば、特開2003−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
r≧2の場合、たとえば、特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346164号公報、特願2003−348523号、特願2003−348524号、特願2004−211739号、特願2004−211740号に記載の化合物を挙げることができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンを得るためには、まず、上記構成単位(A)となりうるモノマーと、上記構成単位(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを、触媒の存在下で共重合させ、前駆体のポリアリーレンを得ることが必要である。この共重合を行う際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系は、(i)遷移金属塩および配位子となる化合物、または、配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)と、(ii)還元剤とを必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために「塩」
を添加してもよい。これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件は、たとえば、特開2001−342241号公報に記載されている条件を採用することができる。
本発明で用いられるスルホン化ポリアリーレンは、上記のようにして得られた前駆体のポリアリーレンを、スルホン酸基を有するポリアリーレンに変換することにより得ることができる。この方法としては、下記の3通りの方法がある。
(a法)上記A法で得られた、前駆体のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを、特開2004−137444号公報に記載の方法で脱エステル化する方法。
(b法)上記B法で得られた前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
(c法)上記C法で得られた前駆体のポリアリーレンに、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。
上記のような方法により製造される、上記式(C)で表されるスルホン化ポリアリーレンのイオン交換容量は、通常、0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。イオン交換容量が上記範囲よりも低いと、プロトン伝導度が低くなり発電性能が低下する傾向にある。一方、イオン交換容量が上記範囲を超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
上記イオン交換容量は、たとえば、上記構成単位(A)となりうる前駆体のモノマーおよび上記構成単位(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーの種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
このようにして得られるスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
〔触媒層の形成方法〕
上記触媒層を、後述する高分子電解質膜上に形成する方法については特に限定はされないが、たとえば、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーと、触媒を担持したカーボン粒子と、有機溶媒とを混合して触媒ペースト組成物を調製し、高分子電解質膜上に塗布、乾燥して電極触媒層を作製する方法や、前記触媒ペースト組成物を転写基材に塗布、乾燥して転写基材上に触媒層を形成後、ホットプレスなどの熱転写により高分子電解質膜上に触媒層を転写する方法などを挙げることができる。
上記有機溶媒としては特に限定されないが、沸点(bp)が75〜250℃であることが好ましい。有機溶剤の沸点が前記範囲未満であると、触媒ペーストの乾燥性が速く、ダイのノズルが詰まりやすい等の現象により、塗工時の生産性が低下することがあり、一方、前記範囲を越えると、溶媒の除去が困難となり、電極中の細孔が閉塞し、発電性能が低下することがある。
また、上記有機溶媒は、溶解性パラメータ(δ)の範囲が7.5〜13(cal/mol)1/2であることが好ましい。有機溶媒の溶解性パラメータが前記範囲外であると、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーの溶解性が低下し、触媒を担持したカーボンへの該ポリマーの被覆が過剰となり、触媒層中の細孔が閉塞する傾向にある。
また、上記有機溶媒は、−O−、−OH、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO
−および−CONR−(Rは水素原子または炭化水素基)からなる群より選ばれる基を少
なくとも1種以上有することが好ましい。
上記のような有機溶媒としては、たとえば、エタノール(bp:78.3℃、δ:12.92)、n−プロピルアルコール(bp:97℃、δ:11.97)、2−プロパノール(bp:82.4℃、δ:11.50)、2−メチル−2−プロパノール(bp:82.5℃、δ:11.11)、2−ブタノール(bp:99.5℃、δ:11.11*)、
n−ブチルアルコール(bp:117℃、δ:11.30)、2−メチル−1−プロパノール(bp:108℃、δ:11.11*)、1−ペンタノール(bp:138℃、δ:
10.96*)、2−ペンタノール(bp:119℃、δ:10.77*)、3−ペンタノール(bp:115℃、δ:10.77*)、2−メチル−1−ブタノール(bp:12
9℃、δ:10.77*)、3−メチル−1−ブタノール(bp:131℃、δ:10.
77*)、2−メチル−2−ブタノール(bp:102℃、δ:10.58*)、3−メチル−2−ブタノール(bp:112℃、δ:10.58*)、2,2−ジメチル1−プロ
パノール(bp:113℃、δ 10.58*)、シクロヘキサノール(bp:161℃、δ:12.44*)、1−ヘキサノール(bp:157℃、δ:10.68*)、2−メチル−1−ペンタノール(bp:148℃、δ:10.51*)、2−メチル−2−ペンタ
ノール(bp:121℃、δ:10.34*)、4−メチル−2−ペンタノール(bp:
132℃、δ:10.34*)、2−エチル−1−ブタノール(bp:147℃、δ:1
0.51*)、1−メチルシクロヘキサノール(bp:156、δ:11.76*)、2−メチルシクロヘキサノール(bp:168℃、δ:11.74*)、3−メチルシクロヘ
キサノール(bp:168℃、δ:11.74*)、4−メチルシクロヘキサノール(b
p.171℃、δ:11.74*)、1−オクタノール(bp.195℃、δ 10.28*)、2−オクタノール(bp:180℃、δ:10.14*)、2−エチル−1−ヘキサノール(bp:184℃、δ:10.14*)、ジオキサン(bp:101℃、δ:10
.0)、ブチルエーテル(bp:140℃、δ:7.78*)、フェニルエーテル(bp
:187℃、δ:12.16)、イソペンチルエーテル(bp:173℃、δ:7.63*)、1,2−ジメトキシエタン(bp:85.2、δ:7.63 *)、ジエトキシエタ
ン(bp:102℃、δ:7.63*)、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(bp:
160℃、δ:8.10*)、ビス(2−エトキシエチル)エーテル(bp:189℃、
δ:8.19*)、シネオール(bp:176℃、δ:8.97*)、ベンジルエチルエーテル(bp:185℃、δ:9.20*)、アニソール(bp:154℃、δ:9.38*)、フェネトール(bp:170℃、δ:9.27*)、アセタール(bp:104℃、
δ:7.65*)、メチルエチルケトン(bp:79.6、δ:9.27)、2−ペンタ
ノン(bp:102℃、δ:8.30*)、3−ペンタノン(bp:102℃、δ:8.
30*)、シクロペンタノン(bp:131℃、δ:12.81*)、シクロヘキサノン(bp:156℃、δ:9.88)、2−ヘキサノン(bp:128℃、δ:8.84*)
、4−メチル−2−ペンタノン(bp:117℃、δ:8.68*)、2−ヘプタノン(
bp:151℃、δ:8.84*)、2,4−ジメチル−3−ペンタノン(bp:125℃、δ:8.49)、2−オクタノン(bp:173℃、δ:8.81*)、γーブチロラ
クトン(bp:204、δ:12.78)、酢酸−n−ブチル(bp:126℃、δ:8.46)、酢酸イソブチル(bp:126℃、δ:8.42)、酢酸sec-ブチル(bp:112℃、δ:8.51*)、酢酸ペンチル(bp:150℃、δ:8.69*)、酢酸イソペンチル(bp:142℃、δ:8.52*)、3−メトキシブチルアセタート(bp
:173℃、δ:8.52*)、酪酸メチル(bp:102℃、δ:8.72*)、酪酸エチル(bp:121℃、δ:8.70*)、乳酸メチル(bp:145℃、δ:12.4
2*)、乳酸エチル(bp:155℃、δ:10.57)、乳酸ブチル(bp:185℃
、δ:11.26*)、2−メトキシエタノール(bp:125℃、δ:11.98*)、2−エトキシエタノール(bp:136℃、δ:11.47*)、2−(メトキシメトキ
シ)エタノール(bp:168℃、δ:11.60*)、2−イソプロポキシエタノール
(bp:142℃、δ:10.92*)、1−メトキシ−2−プロパノール(bp:12
0℃、δ:11.27*)、1−エトキシ−2−プロパノール(bp:132℃、δ:1
0.92*)、ジメチルスルホキシド(bp:189℃、δ:12.93)、N−メチル
ホルムアミド(bp:185℃、δ:12.93)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp:153℃、δ:12.14)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp:178℃、δ:10.07*)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp:166℃、δ:11.12)
、N−メチル−2−ピロリドン(bp:202℃、δ:11.17 )、テトラメチル尿
素(bp:177.5℃、δ:10.6)などが挙げられる。
上記有機溶媒は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記例示中δは溶解性パラメータの値((cal/mol)1/2)を示し、数値の後に「*」を付した値は、Fedorsの計算値(R.F Fedors, Polym. Eng. Sci., 14(2)147(1974)参照)である。
上記有機溶媒の使用割合は、触媒ペースト組成物中5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜90重量%であることが望ましい。有機溶媒を前記範囲内の量で用いることにより、組成物がペースト状となりハンドリングに好適であるとともに、発電に必要な電極中の細孔容積を十分確保できる。
上記触媒ペースト組成物には、必要に応じてさらに水を添加してもよい。触媒ペースト組成物に水を添加すると、ペースト調製時の発熱を低減する効果がある。水は、触媒ペースト組成物中0重量%〜70重量%、好ましくは2重量%〜30重量%となる量で添加することができる。水の添加量が、上記範囲内にあると触媒ペースト調製時の発熱を効率的に低減できる。
上記触媒ペースト組成物には、必要に応じてさらに分散剤を添加してもよい。触媒ペースト組成物に分散剤を添加すると、触媒ペースト組成物の分散性、保存安定性および流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
上記分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、たとえば、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1
,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロラ
イド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロラ
イド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタ
デセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、たとえば、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω−フルオロアクカノイル−N−エ
チルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベ
タインなどが挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、たとえば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記分散剤は、好ましくは塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは分子量5千〜3万の界面活性剤である。
上記触媒ペースト組成物において、上記分散剤の含有量は0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜2重量%である。分散剤の含有量が前記範囲内にあると、分散性、保存安定性および流動性に優れた触媒ペースト組成物が得られる。
上記触媒ペースト組成物において、触媒が担持されたカーボンの含有量は1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%である。触媒が担持されたカーボンの含有量が前記範囲未満であると、電極反応率が低下することがあり、一方、前記範囲を超えると、触媒ペースト組成物の粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。
上記触媒ペースト組成物において、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーの含有量は0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%である。プロトン酸基含有芳香族系ポリマーの含有量が前記範囲未満であると、バインダーとしての役割を果たせなくなり、触媒電極を形成できないことがあり、一方、前記範囲を超えると、触媒電極中の細孔容積が減少する傾向にある。
上記触媒ペースト組成物の調製方法は特に限定はされないが、たとえば、上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。各成分の混合順序は特に限定されないが、たとえば、全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加して一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、有機溶媒の量を調整して、組成物の粘度を調整してもよい。
上記触媒ペースト組成物の高分子電解質膜への塗布方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などが挙げられる。
また、他の基材(転写基材)上に塗布して触媒層をいったん形成した後、該触媒層を高分子電解質膜に転写してもよい。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、または、表面を離型剤処理したガラス板や金属板などを用いることができる。
塗布された塗膜の厚さ(すなわち触媒層の厚さ)は特に制限されないが、触媒として担持された金属が、コーティングの単位表面積当り0.05〜4.0mg/cm2、好まし
くは0.1〜2.0mg/cm2の範囲で触媒層中に存在することが望ましい。この範囲
にあれば充分に高い触媒活性が発揮され、また、効率的にプロトンを取り出すことができる。
上記触媒ペースト組成物の塗布後の溶媒の除去は、乾燥温度20℃〜180℃、好ましくは50℃〜160℃で、乾燥時間5分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。必要に応じて、水浸漬により除去することもできる。水浸漬温度5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
上記のようにして形成された導電性シート状の触媒層の細孔容積は、0.1〜3.0ml/g−(電極触媒層)、好ましくは0.2〜2.0ml/g−(電極触媒層)の範囲にあることが望ましい。細孔容積が前記範囲を超えると、機械的特性が低下する傾向にあるだけでなく、電子伝導およびプロトン伝導経路が切断され、発電性能が低下するおそれがある。一方、細孔容積が前記範囲未満であると、ガスの拡散性が悪く、発電性能が低下することがある。
〔高分子電解質膜〕
膜−電極接合体を構成する高分子電解質膜は、プロトン交換基を有するポリマーからなることが好ましい。プロトン交換基としては、たとえば、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などを挙げることができる。また、このようなプロトン交換基を有するポリマーは特に限定されず、公知のポリマーを用いることができ、たとえば、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるプロトン交換基含有ポリマーや、スルホン酸基を有するポリアリーレンなどが好ましく用いられる。中でも、耐熱性が良好な観点から、スルホン酸基を有するポリアリーレン、特に上記式(C)で表されるスルホン化ポリアリーレンが好ましい。
上記高分子電解質膜は、上記のようなプロトン交換基含有ポリマーを溶剤中で溶解または膨潤させ、それを基体上に流延してフィルム状に成形するキャスティング法などにより作製したものを用いることができ、また、市販の高分子電解質膜を用いることもできる。
〔ガス拡散層〕
膜−電極接合体を構成するガス拡散層としては、特に限定されず、燃料電池に一般的に用いられる電極基材、例えば、導電性物質を主たる構成材とする多孔質導電シートなどを用いることができる。
上記導電性物質としては、たとえば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛や膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが挙げられる。導電性物質の形態は、繊維状や粒子状など特に限定されないが、繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)、特に炭素繊維が好ましい。
無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートとしては、織布および不織布のいずれの構造も使用可能である。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織などを特に限定されることなく用ることができる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法などの方法で製造されたものを特に限定されることなく用いることができる。また、無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートは編物であってもよい。
このような布帛として特に炭素繊維を用いる場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化または黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工をした後に、炭化もしくは黒鉛化した不織布、耐炎化糸、炭化糸または黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましい。たとえば、東レ製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが好ましく用いられる。
多孔質導電シートには、導電性向上のために補助剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子や、炭素繊維などの導電性繊維を添加することも好ましい。
〔接着剤層〕
本発明の膜−電極接合体の製造方法において、少なくとも一方の触媒層とガス拡散層とを接合する際に、該触媒層とガス拡散層との間に介在させる接着剤層は、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーを含有することが好ましく、特に触媒層に含有されているプロトン酸基含有芳香族系ポリマーと同一のものを含有していることが好ましい。このような接着剤層を接合界面に介在させて接合することにより、上記ガス拡散層と触媒層との接合強度を向上させることができる。
また、上記接着剤層は、触媒層とガス拡散層間の導電性を良好に保つために、導電性フィラーを含有していることが好ましい。このような導電性フィラーとしては、たとえば、カーボン粉、カーボン(炭素)繊維、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーおよび表面を炭素膜で被覆した炭化ケイ素ウイスカーなどを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられる導電性フィラーの形状は、特に限定されるものではなく、粒状や繊維状などのあらゆる形状のものが使用できるが、細孔容積確保の観点から繊維状のものが好ましい。また、大きさとしては、好ましくは30mm、より好ましくは1mm以下である。大きさが上記範囲を越えると電極触媒層表面に突出し、プロトン伝導膜を破損させるおそれがある。
上記カーボン粉としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましいものである。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「
バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150」、「#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
炭素繊維としては、たとえば、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などが挙げられ、これらの中では気相成長炭素繊維が好ましい。
上記接着剤層は、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーと導電性フィラーとを、5/95〜60/40の質量比(ポリマー/フィラー)で含有することが望ましい。プロトン酸基含有芳香族系ポリマーの含有量が前記範囲より少ないと充分な接着強度を得ることが難しく、一方、前記範囲を超えると、接着剤層の抵抗が高くなりすぎたり、また、該ポリマーにより接着剤層の細孔が閉塞されてガス拡散性が著しく低下するおそれがある。
〔接着剤層の形成方法〕
本発明における接着剤層を、ガス拡散層と触媒層との接合界面に介在させる方法としては特に限定はされないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
(1)ガス拡散層の触媒層と接する面または触媒層のガス拡散層と接する面に、導電性フィラーとプロトン酸基含有芳香族系ポリマーと有機溶剤とを含む接着剤組成物を塗布または噴霧し、加熱乾燥により有機溶剤を除去して接着剤層を形成する方法。
(2)前記接着剤層組成物を転写基材に塗布し、加熱乾燥により有機溶剤を除去して転写基材上に接着剤層を形成後、ホットプレスなどの熱転写法により転写基材上の接着剤層を、ガス拡散層の触媒層と接する面または触媒層のガス拡散層と接する面に転写する方法。
上記有機溶媒としては特に限定されないが、沸点(bp)が75〜250℃であることが好ましい。有機溶媒の沸点が前記範囲未満であると、接着剤組成物の乾燥性が速く、ダイのノズルが詰まりやすい等の現象により、塗工時の生産性が低下することがあり、一方、前記範囲を越えると、溶媒の除去が困難となり、触媒層とガス拡散層との間の接触抵抗が増加し、発電性能が低下することがある。
また、上記有機溶媒は、溶解性パラメータ(δ)の範囲が7.5〜13(cal/mol)1/2であることが好ましい。有機溶媒の溶解性パラメータが前記範囲外であると、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーの溶解性が低下し、導電性フィラーへの該ポリマーの被覆が過剰となり、ガス拡散層と触媒層との間のガス通気性が低下することがある。
また、上記有機溶媒は、−O−、−OH、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO
−および−CONR−(Rは水素原子または炭化水素基)からなる群より選ばれる基を少なくとも1種以上有することが好ましい。
上記有機溶媒の具体例としては、上記触媒ペースト組成物に用いられる有機溶媒として例示したものと同様のものが挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機溶媒の使用割合は、接着剤組成物中50重量%〜99重量%、好ましくは70重量%〜95重量%であることが望ましい。有機溶媒を前記範囲内の量で用いることにより、接着剤組成物がペースト状となりハンドリングに好適であるとともに、触媒層とガス拡散層との間のガス通気性が十分確保できる。
上記接着剤組成物には、必要に応じてさらに分散剤を添加してもよい。接着剤組成物に分散剤を添加すると、接着剤組成物の分散性、保存安定性および流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
上記分散剤としては、上記触媒ペースト組成物に用いることができる分散剤として例示したものと同様のものが挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記分散剤は、好ましくは塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは分子量5千〜3万の界面活性剤である。
上記接着剤組成物において、上記分散剤の含有量は0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜2重量%である。分散剤の含有量が前記範囲内にあると、分散性、保存安定性および流動性に優れた接着剤組成物が得られる。
上記接着剤組成物の調製方法は特に限定はされないが、たとえば、上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
上記接着剤組成物の塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などが挙げられる。
また、転写基材上に塗布して接着剤層をいったん形成する場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、または、表面を離型剤処理したガラス板や金属板などを用いることができる。
接着剤層の塗布量(乾燥後の量)は、塗布面の単位面積当たりの重量が0.01〜10mg/cm2、好ましくは0.01〜1mg/cm2である。塗布量が前記範囲未満の場合、接着剤層による結着強度が弱く、ガス拡散層が剥離するおそれがある。一方、塗布量が前記範囲を超える場合、ガス拡散層と触媒層との間の接触抵抗の増加やガス通気性の低下を招くおそれがある。
上記接着剤組成物の塗布後の溶媒の除去は、乾燥温度20℃〜180℃、好ましくは50℃〜160℃で、乾燥時間5分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。必要に応じて、水浸漬により除去することもできる。水浸漬温度は5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃であり、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、イオン交換容量および分子量の測定、ならびに、燃料電池の作成および性能の評価は以下のようにして行った。
(1)イオン交換容量
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで充分に洗浄して、フリーに残存している酸を除去した。乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からイオン交換容量を求めた。
(2)分子量
スルホン酸基を有しないポリアリーレンの分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有
するポリアリーレンの分子量は、臭化リチウムおよび燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
(3)燃料電池の作製および発電評価
下記実施例および比較例で作製した膜−電極接合体を2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の燃料電池を組み立てた。
作製した燃料電池の温度を80℃に保ち、湿度100%RHで水素および酸素を背圧0.15MPaで供給し、電極触媒層の面積に対して一定の電流密度1.0A/cm2で負
荷したときのセル電圧の初期値、100時間(100h)後および500時間(500h)後の値を測定した。
また、上記500時間の発電耐久試験後、燃料電池を分解して膜−電極接合体を取り出し、ガス拡散層の剥離の有無を観察した。
<合成例1>
2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノン131.86g(303mmol)、4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル84.99g(190mmol)、ヨウ化ナトリウム7.4g(49mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド7.4g(11mmol)、トリフェニルホスフィン29.8g(113mmol)、亜鉛49.4g(760mmol)を、冷却管および三方コックを取り付けた三口フラスコに入れ、70℃のオイルバスにつけた。窒素置換後、窒素雰囲気下でN−メチル−2−ピロリドン1,000mLを加え、重合反応を開始した。20時間反応後、反応溶液をN−メチル−2−ピロリドン500mLで希釈し、これを大過剰の塩酸/メタノール溶液(1/10)に注いでポリマーを析出させた。洗浄およびろ過を繰り返して精製し、真空乾燥後、白色の粉末を得た。収量は174.4g、収率は93%であった。また、重量平均分子量は127,000であった。
得られた重合体150gに対し、濃硫酸1,500mLを加えて攪拌し、室温で24時間スルホン化反応を行った。得られた反応液を大量の純水中に注いでスルホン化ポリマーを析出させた。中性近くになるまでポリマーの水洗浄を続け、ろ過後、スルホン化ポリマーを回収し、90℃で真空乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は185.0gであった。このポリマーのイオン交換容量は2.1meq/gであり、重量平均分子量は189,000であった。
<合成例2>
(1)疎水性ユニット(I)の合成
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管および冷却管を取りつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル48.8g(284mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン89.5g(266mmol)および炭酸カリウム47.8g(346mmol)をはかりとった。フラスコ内を窒素置換した後、スルホラン346mLおよびトルエン173mLを加えて攪拌し、オイルバスを用いて反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成した水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル9.2g(53mmol)を加え、さらに5時間反応させた。反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過して乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿物を濾過して乾燥することにより、白色粉末
の目的物109gを得た。得られた化合物は、GPCによる数平均分子量(Mn)が9,500であった。得られた化合物は下記式(I)で表されるオリゴマーであることを確認した。
Figure 0004871537
(2)スルホン化ポリアリーレン(II)の合成
攪拌機、温度計および窒素導入管を取りつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.2g(337mmol)、(1)で得られたMn9,500の疎水性ユニット48.7g(5.1mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mmol)および亜鉛53.7g(821mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を、攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れ、115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間攪拌後、反応液をアセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。次いで、沈殿物を1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体122gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は135,000であった。得られた重合体は下記式(II)で表されるスルホン化ポリアリーレンと推定される。このスルホン化ポリアリーレン(II)のイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0004871537
<合成例3>
(1)疎水性ユニット(III)の合成
撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた500mLの3口フラスコに、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン17.8g(50.0mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.1g(45.0mmol)、炭酸カリウム8.1g(58.5mol)、スルホラン117gおよびトルエン40gを入れ、窒素雰囲気下、130℃で撹拌した。トルエンとの共沸により水分を取り除いた後、トルエンを系外に取り除き、195℃で7時間撹拌した。反応溶液を100℃まで冷やしてから、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン5.34g(15.0mmol)を加え、再度195℃で3時間撹拌した。トルエンにより希釈し、セライト濾過に
より固形分を取り除いた。濾液をメタノール/濃塩酸溶液(メタノール2.0L/濃塩酸0.2L)に注いで反応物を凝固させた。吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、風乾した。これをテトラハイドロフランに再溶解し、メタノール3.0Lに注いで反応物を凝固させた。吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体を風乾して、さらに真空乾燥することにより目的の疎水性ユニット22.1gを得た(収率75%)。GPC(ポリスチレン換算)で求めた生成物の数平均分子量は8,000、重量平均分子量は14,000であった。得られた化合物は下記式(III)で表わされるオ
リゴマーであることを確認した。
Figure 0004871537
(2)スルホン化ポリアリーレン(IV)の合成
撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた500mLの3口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル31.6g(78.7mmol)、(1)で得られた疎水性ユニット14.1g(1.76mmol)、トリフェニルホスフィン8.39g(32.0mmol)、亜鉛12.6g(192mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.09g(3.2mmol)およびよう化ナトリウム0.36g(2.4mmol)をはかりとった。40℃に加熱したオイルバスにフラスコをつけ、2時間真空乾燥した。内部を数回乾燥窒素置換した後、脱水したジメチルアセトアミド100mLを加え、重合を開始した。反応温度が90℃を超えないように制御しながら、3時間重合を続けた。反応終了後、ジメチルアセトアミドを360g加え希釈し、セライト濾過により不溶分を取り除き、固形分含量が12%となるように濃縮した。
得られた濃縮液を、撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた1Lの3口フラスコに入れ、臭化リチウム15.1g(173mmol)を加え、120℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液をアセトン4Lに注ぎ、反応物を凝固させた。吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、風乾し、さらに真空乾燥をすることにより目的の重合体30.0gを得た(収率87%)。GPC(ポリスチレン換算)で求めた生成物の数平均分子量は102,000、重量平均分子量は320,000であった。得られたポリマーは、下記式(IV)で表わされるスルホン化ポリアリーレンと推定される。このスルホン化ポリアリーレン(IV)のイオン交換容量は2.1meq/gであった。
Figure 0004871537
〔実施例1〕
膜−電極接合体を作製するにあたり、まずは、以下の方法で触媒層を両面に備えた高分子電解質膜を作製した。
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例2で得られたス
ルホン化ポリアリーレン(II)の15%N−メチル−2−ピロリドン溶液3.23gおよびN−メチル−2−ピロリドン12.47gの混合物をウエーブローターで10分間攪
拌した後、分散剤(楠本化成株式会社製「DA234」)0.028gを加え、さらにウエーブローターで30分間攪拌し、スルホン化ポリアリーレン(II)を含有した触媒ペースト組成物を得た。
上記の方法で得られた触媒ペースト組成物を、合成例1で得られたスルホン化ポリマーからなる膜厚50μmの高分子電解質膜の両面に、ドクターブレードを用いて塗布し、120℃で1時間加熱乾燥することにより、白金量が1.0mg/cm2になる触媒層を両
面に備えた高分子電解質膜を1枚得た。
続いて、以下の方法により、撥水化処理されたカーボンペーパー(東レ製)の片面に接着剤層を形成した。
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」1.51g、蒸留水0.88g、合成例3で得られたスルホン化ポリアリーレン(IV)の15%N−メチル−2−ピロリドン溶液3.23gおよびN−メチル−2−ピロリドン12.47gの混合物をウエーブローターで10分間攪拌した後、分散剤(楠本化成株式会社製「DA234
」)0.028gを加え、さらにウエーブローターで30分間攪拌し、スルホン化ポリアリーレン(IV)を含有した接着剤組成物を得た。
上記の方法で得られた接着剤組成物を、撥水化処理されたカーボンペーパー(東レ製)の片面にドクターブレードを用いて塗布し、120℃で1時間加熱乾燥することにより、塗布量が0.2mg/cm2になる接着剤層を片面に有するガス拡散層を2枚得た。
次に、高分子電解質膜の両面に形成された触媒層に、接着剤層面が接するようにガス拡散層を配置して挟み、圧力100kg/cm2下、160℃で15分間ホットプレス成形
して、膜−電極接合体を作製した。発電評価の結果を表1に示す。
〔実施例2〕
接着剤組成物中のスルホン化ポリアリーレンとして、合成例3で得られたスルホン化ポリアリーレン(IV)の代わりに、触媒層中のスルホン化ポリアリーレンと同じ合成例2で得られたスルホン化ポリアリーレン(II)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製した。発電評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
ガス拡散層に接着剤層を形成しないものを用いた以外は、実施例1と同様にして膜−電極接合体を作製した。ガス拡散層の剥離が観察された。発電評価の結果を表1に示す。
Figure 0004871537

Claims (3)

  1. 固体高分子電解質膜の両面に、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーと、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを含有する触媒層を有し、該触媒層上にガス拡散層を有する膜−電極接合体の製造方法であって、
    少なくとも一方の触媒層とガス拡散層とを、プロトン酸基含有芳香族系ポリマーおよび導電性フィラーを含有する接着剤層を介在させて接合する工程を含み、
    前記接着剤層に含まれるプロトン酸基含有芳香族系ポリマーが、前記触媒層に含まれるプロトン酸基含有芳香族系ポリマーと同一であり、
    前記触媒層および接着剤層に含まれるプロトン酸基含有芳香族系ポリマーが、イオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)と、イオン伝導成分を有さないポリマーセグメント(B)とが共有結合しているブロック共重合体である
    ことを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
  2. 前記触媒層に含まれるプロトン酸基含有芳香族系ポリマーが、下記一般式(A)で表される構成単位と、下記一般式(B)で表される構成単位とを有するスルホン化ポリアリーレンであることを特徴とする請求項1に記載の膜−電極接合体の製造方法。
    Figure 0004871537
    [式(A)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示し、
    Zは、独立に直接結合、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、
    Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し、
    mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。]
    Figure 0004871537
    [式(B)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、
    Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、
    1〜R16は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、
    sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。]
  3. 前記接着剤層が、前記プロトン酸基含有芳香族系ポリマーと導電性フィラーとを、5/95〜60/40の質量比(ポリマー/フィラー)で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の膜−電極接合体の製造方法。
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