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JP4868336B2 - 機能性米粉、その製造方法及び該米粉を用いた飲食品 - Google Patents

機能性米粉、その製造方法及び該米粉を用いた飲食品 Download PDF

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Description

本発明は、米を牛乳あるいは牛乳加工品とともに加熱調理した後、乾燥・粉砕することを特徴とする食品素材の製造方法及び該方法によって製造された食品素材に関する。米は高アミロース米あるいはae米、およびこれらの発芽玄米が好適である。乾燥は、凍結乾燥により行うことが好ましい。
現在、国際協調の視点から輸入されながらも、国内に適正用途がないために過剰在庫となっている200万トンに及ぶ輸入米の用途開発が必要とされている。これらの米は、主食用には使えず、酒や米菓等の加工用途においても、国産低アミロース米に比べて使いにくいとされている。また、全国に米粉利用推進協議会等が設立され、米パン、米麺などの粉体利用の拡大が必要とされている。
従来の米利用技術としては、(1)酒造、米菓製造、味噌製造等の加工用途への利用、(2)直接粉砕して米菓原料等への利用、(3)炊飯して血糖上昇抑制米飯としての利用等が挙げられる。
上記(1)〜(3)のそれぞれの従来技術における加工用米、特に高アミロース米の問題点としては、(1)吸水性や糊化特性が劣る、古米やインディカ米特有の異臭がある、(2)膨化しにくく、硬いせんべいになる、(3)米飯は硬くて粘りが弱く、75グラム以上食べることをいやがる試食者が多い、等の点が挙げられる。
本発明者らは、国産米の需要拡大のための利用技術に関する研究を行う中で、国産高アミロース米の利用技術として、酪製品との混合利用を発案した。従来は米飯としての利用が主であったが、現在、米粉の用途開発が必要とされているので、混合炊飯後に乾燥・粉砕して粥やスープ、パンや菓子の原料としての素材化を試みた結果、従来の輸入米や高アミロース米の問題点とされてきた、精米特性、硬度、異臭等の問題が解決された良好な食味の素材となるのみならず、従来の定説とは異なり、原料米の難消化性が粉末になっても保持されており、摂食後の消化性も抑制されていることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、請求項1に係る本発明は、高アミロース米及び/またはae米と、牛乳及び/または牛乳加工品と、を混合・加熱することにより米の澱粉を糊化させた後に、急速乾燥して粉砕することを特徴とする米粉の製造方法である。
請求項2に係る本発明は、加熱後に、さらに牛乳及び/または牛乳加工品を添加することを特徴とする請求項1に記載の米粉の製造方法である。
請求項3に係る本発明は、牛乳及び/または牛乳加工品が、無脂肪加工乳及び/またはヨーグルトである請求項1又は2に記載の米粉の製造方法である。
請求項4に係る本発明は、高アミロース米及び/またはae米が、発芽玄米であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の米粉の製造方法である。
請求項5に係る本発明は、請求項1〜4に記載の製造方法で得られた米粉である。
請求項6に係る本発明は、請求項5に記載の米粉を用いて製造した飲食品である。
請求項7に係る本発明は、請求項5に記載の米粉を含有する食品添加物である。
本発明の特徴としては、
(1)米を牛乳や脱脂ミルク及び/あるいはヨーグルト等の牛乳加工品と混合炊飯して澱粉を糊化させた後、急速乾燥し、その後に粉砕する。
(2)これにより、澱粉が糊化した状態で粉砕性と風味が改善され、スープ、菓子・パン原料としての品質が向上する。
(3)原料米として、高アミロース米やae米を使用することにより、レジスタントスターチが増加し、製造後でも極めて高い数値を示す。
(4)さらに発芽工程を加えることにより、GABA等の機能性成分が増加し、オリゴ糖やアミノ酸の増加により、呈味性も向上する、
等の点が挙げられる。
(1)本発明による乳カゼインを含む米粉は、風味と食感に優れており、シリアル、スープ、菓子、パン等の食品素材として幅広く利用可能である。
(2)本発明による高アミロース米やae米の粉は、従来に比べて格段に食味が向上しており、レジスタントスターチも多いので、糖尿病予防等の生理機能性が期待できる。
(3)本発明による発芽玄米粉は、食味と加工適性に優れており、GABA等の機能性成分も多いので、高血圧予防等の機能性が期待できる。
(4)本発明におけるハーブ混合炊飯米を利用した米粉は、レジスタントスターチが多いおいしい機能性米粉としての利用が期待できる。
(5)本発明における包括酵素/包括フレーバーを含有する米粉は、おいしくて香気があり、かつ、摂食後の消化性に優れており、若者向けの米加工品や老人食や幼児食の素材としての用途が期待できる。
本発明の米粉は、乳カゼインを含有し、かつ、澱粉が糊化していることを特徴とするものである。
本発明における乳カゼインとは、牛乳の主要タンパク質であるカゼインを指す。なお、牛乳中のタンパク質含量は約3%、カゼイン含量は約2.4%である。
本発明の米粉における乳カゼインの含量は0.1〜50%であり、望ましくは0.5〜20%、より望ましくは1〜10%が適している。0.1%未満では、含量が少なすぎて混合効果が顕著でない。50%を超えると、澱粉に対してタンパク質含量が高すぎるために、乾燥後の粉砕が困難となり、微粉にならなくなるので不適当である。
本発明における澱粉の糊化とは、加熱処理によって米澱粉分子の水素結合が切断されて水和しやすくなることを指す。米澱粉は糊化温度が50〜80℃であるので、炊飯や蒸気処理等の加熱処理によって容易に糊化する。
本発明における高アミロース米とは、澱粉のアミロース含量が25%以上の米を指し、品種としては、ホシユタカ、夢十色、ミレニシキなどが挙げられる。これらの高アミロース米は、2種以上の混合物であっても良い。
本発明におけるae米とは、澱粉枝作り酵素(ブランチングエンザイム)が欠損することによって見かけのアミロース含量が高くなった米を指し、品種としては、九州大学の佐藤 光研究室で育成されたEM10、EM72等がこれに相当する。これらのae米は、2種以上の混合物であっても良い。
なお、EM10及びEM72は、九州大学の佐藤 光研究室から、請求により分譲を受けることができる。
上記の高アミロース米とae米は、どちらか一方のみであっても良いし、両者の混合物であっても良い。
本発明の米粉は、さらに、包括酵素および/または包括香料を含むものであっても良い。
本発明における包括酵素とは、水溶性澱粉、アラビアガム、食用蛋白質ゼインやグリアジン等によって包括安定化した酵素を指す。ゼインやグリアジンは、トウモロコシや小麦の主要蛋白質であり、可食性である。これらの可食性高分子で酵素を包括することにより、米粉製造時には澱粉分解等の酵素活性が抑えられ、摂食後には酵素が作用してデンプンや脂質の分解を促進し、胃もたれ感の少ない、消化性の良い食品素材となる。
本発明で使用する酵素としては特に限定されないが、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ等を挙げることができる。また、これらの酵素は2種以上を併用することもできる。
本発明における包括香料(包括フレーバー)とは、食用蛋白質ゼインやグリアジンあるいはアラビアガムや水溶性澱粉等によって包括安定化した香料を指す。包括安定化して本発明の米粉に混合することによって、従来の米粉とは異なり、香気のある米粉を製造することができる。また、包括安定化することにより、米粉製造工程中にも飛散することなく、製品中に香気が残存する。
本発明で用いる香料としては特に限定されないが、柑橘系フレーバー、コーヒーフレーバー、醤油系フレーバー、肉汁系フレーバー、ガーリックフレーバー等を挙げることができる。また、これらの香料は2種以上を併用することもできる。
なお、本発明における包括酵素および包括香料は、酵素及び香料が共に包括され、一体となったものであっても良い。
本発明における包括酵素・香料の製造方法の具体例を以下に示す。
(1)まず、酵素(例えばα−アミラーゼ)の粉末1gを香料(例えばコーヒーオイル)5ml中に懸濁する。
(2)アラビアゴム5gおよび可溶性澱粉15gを溶解した200mlの水溶液中に、上記の(1)を加え、ホモゲナイザー等で強く攪拌してo/wエマルションを調製する。
(3)(2)のエマルションをスプレードライヤー等によって噴霧乾燥して、粉末状の包括酵素・香料を得る。噴霧乾燥条件は、インレット温度150℃、アウトレット温度93℃、ポンプ目盛4、アスピレーター目盛6とするのが好ましい。
以下に、本発明の米粉の製造方法について説明する。
本発明の米粉の製造方法は、米と牛乳及び/または牛乳加工品とを混合・加熱することにより米澱粉を糊化させた後に、急速乾燥して粉砕することを特徴とする。
本発明における原料米としては、上記の高アミロース米やae米などが好適である。これらの高アミロース米とae米は、どちらか一方のみを用いても良いし、両者の混合物を用いても良い。
原料米の形態は、澱粉が糊化されていないものであれば、特に限定されない。したがって、原料米は、玄米、分搗き米、白米の何れであっても良い。また、原料米は、洗米、浸漬、水切り等の前処理をしたものが好適である。
浸漬条件は、水温15〜50℃、好ましくは25〜40℃で、1〜96時間、好ましくは6〜72時間とする。特に、玄米に対して浸漬条件を、水温15〜50℃、好ましくは25〜40℃で、6〜72時間、好ましくは18〜36時間とすることによって、玄米を発芽させると一層好適である。
本発明における発芽玄米とは、玄米を上記のような条件で吸水させることで発芽させたものを指し、γーアミノ酪酸(GABA)等の機能性成分が多いという特徴があり、生理機能性が期待される。
本発明における牛乳加工品とは、脱脂粉乳等の牛乳を脱脂して粉末化したものや、低脂肪加工乳、無脂肪加工乳、ヨーグルトのような牛乳を発酵させた食品等を指す。これらの牛乳加工品は、2種以上を併用することもできる。
本発明において牛乳と牛乳加工品は、どちらか一方のみを用いても、あるいは両者を併用しても良い。
本発明の米粉の製造方法においては、まず、上記の原料米と牛乳及び/または牛乳加工品とを混合・加熱する。
このとき、原料米に対する牛乳の配合量は、原料米100g(乾燥重量)に対して4.2〜2083g、好ましくは21〜833g、より好ましくは42〜417g、特に好適には160〜170gとする。また、原料米に対する牛乳加工品の配合量は、原料米100g(乾燥重量)に対して0.3〜167g、好ましくは1.5〜66.8g、より好ましくは3〜33.4gとする。
原料米と牛乳及び/または牛乳加工品とを混合する方法は、特に限定されない。
本発明においては、上記の原料米と牛乳及び/または牛乳加工品に加えて、さらにハーブまたはその抽出物を添加・混合して加熱処理することができる。
本発明におけるハーブとは、食用の薬草を指し、例えばレモンバーム、ミント、ラベンダー、セージ等を挙げることができる。
本発明におけるハーブ抽出物とは、ハーブを熱水や水、有機溶媒等により抽出して得られた抽出液及びその濃縮物、乾燥物を指し、その形態は問わない。
上記の混合物に対する加熱処理とは、米澱粉の糊化温度である50〜80℃以上200℃以下、好ましくは95〜180℃の温度で加熱する処理であれば良い。加熱手段としては特に限定されないが、炊飯、蒸気処理、レトルト加工のような高温高圧加工、エクストルーダー処理のような加熱押し出し成形加工等が挙げられる。
このような加熱処理により、原料米に含まれる澱粉が糊化される。
上記のように糊化された原料は、そのまま直ちに、あるいは、さらに牛乳及び/または牛乳加工品を添加した後に、次の乾燥処理工程に供することができる。
加熱処理後に添加する牛乳加工品としては、上記したものを用いることができ、2種以上を併用することもできる。
加熱処理後に添加する牛乳と牛乳加工品は、どちらか一方のみを用いても、あるいは両者を併用しても良い。
加熱処理後に添加する牛乳及び/または牛乳加工品の配合量は、上記した加熱処理前における配合量との合計で、原料米100g(乾燥重量)に対して4.2〜2083g、好ましくは21〜833g、より好ましくは42〜417gとなるように設定すればよい。
これらを添加した後は、例えばホモジナイザー、振とう機、ジェットミキサー等の適当な手段を用いてよく撹拌する。
このように、加熱処理後にさらに牛乳及び/または牛乳加工品を添加することによって、得られる米粉の物性値等を変化させることができる。
本発明における急速乾燥とは、加熱処理後に米が含有する水分と温度の低下によって糊化澱粉が老化したり、あるいは微生物等によって変質・腐敗する前に乾燥させることを指す。具体的には、水分減少速度1%/時間以上の速度で乾燥する処理を指す。1%/時間未満の速度で乾燥すると、微生物による繁殖が防止されるとされている米の水分含量15%以下に到達する前に、微生物による変質腐敗が進行するので不適当である。
急速乾燥手段としては特に限定されないが、熱風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、膨化乾燥などを挙げることができる。
急速乾燥手段の例である凍結乾燥とは、凍結状態で0.1Tor以下に強く減圧することによって水を昇華させて乾燥することを指し、これによって微粉砕が可能になる。
急速乾燥手段の別の例である熱風乾燥とは、水分の蒸発が加速される80℃以上の熱風を試料にかけることによって、急速に乾燥する処理を指す。
次いで、このようにして急速乾燥させた乾燥糊化物を粉砕することにより、粉末状、好ましくは微粉末状とする。
ここで、粉砕手段としては、コーヒーミル、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機、超遠心粉砕機などの使用を挙げることができる。
本発明においては、さらに、包括酵素および/または包括香料を米粉に添加することができる。本発明における包括酵素および/または包括香料としては、上記したものを使用することができる。
米粉製造工程中のどの段階で包括酵素および/または包括香料を添加するかは、特に制限されないが、例えば粉砕処理後の米粉に添加混合することができる。
このような包括酵素を添加することにより、米粉製造時には酵素活性が抑えられ、摂食後には酵素が作用して澱粉や脂質の分解を促進し、胃もたれ感の少ない、消化性の良い食品素材とすることができる。
また、このような包括香料を添加することにより、香気のある米粉とすることができるし、米粉製造工程中に香料が飛散することなく、香気が多く残存した米粉とすることができる。
上記のようにして得られた本発明の米粉は、乳カゼインを0.1〜50%含有し、かつ、澱粉が糊化しており、高アミロース米に特有の異臭や硬さが除去され、良好な風味を有している。しかも、澱粉が糊化した状態で乾燥しているために、そのまま直接食べることも可能であり、水で戻すことも可能であり、食する前に加熱糊化する必要がない。また、これをヨーグルトのような液状食品に添加すると、粘度を上昇させ、酸味を和らげ、保存時の離水を抑制する効果がある。
本発明の米粉は、スープやパン、クッキー、ヨーグルト、シリアル、ジュース等の飲食品の製造に用いることができる。本発明の米粉を用いてこれら飲食品を製造する方法としては、原料の一部を本発明の米粉で置き換えることや、飲食品製造後に本発明の米粉を添加すること等が挙げられる。
また、本発明の米粉は、増粘剤、安定化剤、風味改善剤、栄養強化剤等の食品添加物として用いることができる。本発明の米粉を食品添加物とする際には、他の食品添加物や、通常食品添加物の製造に用いられる助剤を併用することができる。本発明の米粉を含有する食品添加物は、スープやパン、クッキー、ヨーグルト、シリアル、ジュース等様々な飲食品に用いることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
高アミロース米「夢十色」と無脂肪加工乳を混合炊飯後、凍結乾燥して粉砕した。高アミロース米の炊飯方法及び粉末化の方法は以下の通りである。
(1)高アミロース米「夢十色」の白米を洗米し、米の乾燥重量の1.5倍の加水量で1時間浸漬し、ザル上げして30分間水切りし、米の乾燥重量の1.6倍の無脂肪加工乳を加え、家庭用炊飯器で普通炊きした。
(2)(1)の炊飯米100gに、無脂肪加工乳140cc(140g)、水140cc、プレーンヨーグルト40gを加え、ホモジナイザーでよく攪拌した。
(3)(2)の米粉溶液を、−80℃で18時間凍結後、アイラ製凍結乾燥機FD50に24時間供することにより、凍結乾燥した。
(4)(3)の試料をサイクロンミル(UDY製、SFC−S1)により粉砕し、本発明の米粉を得た。
このようにして調製した高アミロース米粉の乳カゼイン含量を測定した。測定は、試料粉末から5%SDS、2%メルカプトエノール含有トリス緩衝液(50mM,pH8.0)で抽出し、SDS電気泳動を行い、CBB(クマシ−ブリリアントブルー)により染色後、デンシトメーターでカゼイン画分の濃度を定量することにより行った。
その結果、本発明米粉の乳カゼイン含量は、5.0%であった。
上記の本発明米粉と、「コシヒカリ」を原料に使用して上記と同様にして調製したコシヒカリ米粉を、それぞれヨーグルトに5%添加して米粉含有ヨーグルトを調製した。
これらの米粉含有ヨーグルトについて、8名のパネラーによる食味試験と、利水防止効果測定試験を行った。なお、利水防止効果測定試験は、米粉含有ヨーグルト2mLをファルコンチューブに入れ、室温下3000gで5分間、遠心分離した後の上澄み液の量を比較することにより行った。
その結果、本発明米粉含有ヨーグルトは、コシヒカリ米粉含有ヨーグルトに比べて、食味試験結果が良好であり、離水防止効果があった。
実施例2
高アミロース米「夢十色」、ae米「EM10」を原料として、実施例1と同様に無脂肪加工乳と混合炊飯し、凍結乾燥後に粉砕した。
このようにして得た米粉と、「コシヒカリ」を原料として上記と同様にして調製した米粉を用いて、以下のようにしてスープを調製した。
(1)タマネギ1個を輪切りにし、フライパンで炒めた。
(2)(1)を鍋に入れ、水3カップ、コンソメの素(味の素製)1個を加え、煮立てた。
(3)上記の米粉20gを50mLの水に懸濁したものを(2)に加え、塩と胡椒で味付けし、スープとした。
高アミロース米粉とae米粉を用いたスープは、コシヒカリ米粉を用いたスープよりも粘度が低くてサラリとしたスープとなった。
また、上記の米粉のレジスタントスターチ含量をメガザイム社製レジスタントスターチ測定キットで測定した結果、夢十色で25%、EM10で97.5%であり、コシヒカリの場合の8.1%と比べて著しく高かった。
なお、レジスタントスターチ(酵素抵抗性澱粉)とは、健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのない澱粉およびその部分水解物を指し、大腸がんの発生防止に働くなど、近年その機能性が注目されている。
実施例3
高アミロース米「夢十色」、ae米「EM10」の玄米を38℃の水に24時間浸漬することにより、発芽玄米を調製した。これらの発芽玄米を、炊飯を玄米モードで行うこと以外は実施例1と同様にして無脂肪加工乳と混合炊飯し、凍結乾燥して粉砕した。なお、対照として、「コシヒカリ」発芽玄米を用いて上記と同様にして米粉を調製した。
強力粉の30%を、上記で得られた各種米粉で置き換えて、以下のようにパンを調製した。
(1)ボールにバター10g、砂糖10g、塩1gを加え、混合した。
(2)牛乳30ccを37℃に加温し、これに(1)と卵15gを加え、混合した。
(3)ドライイースト3.3gをぬるま湯20ccに溶き、砂糖3gを加え、30℃で30分間発酵させた。
(4)(2)に、強力粉50gと(3)を混合し、さらに強力粉50gを混合した。
(5)30℃で30分間発酵させて、生地が2.5倍に膨張したことをフィンガーテストで確認した後、ガス抜きをした。
(6)生地を20gずつ秤取り、乾燥布巾をかけて10分間置き、ベンチタイムとした。
(7)生地を成型し、乾燥布巾をかけて38℃、40分間発酵させた。
(8)生地に3倍に希釈した卵液を刷毛で塗り、180℃に予熱したオーブンで10分間焼いた。
このようにして調製したパンのGABA含量及びレジスタントスターチ含量を測定した。GABA含量の測定は、試料を11規定の塩酸中で加水分解(110℃、18時間)した後、アミノ酸自動分析計(日立製作所製、L8500)を用いて行った。レジスタントスターチ含量の測定は、実施例2と同様の方法で行った。
その結果、夢十色米粉及びEM10米粉を添加したパンは、コシヒカリ米粉を添加したパンに比べてGABA含量が高く、風味の良好なパンとなった。これらのパンのレジスタントスターチの測定値は、それぞれ、夢十色は8%、EM10は32%であった。一方、コシヒカリの場合は2%であった。
実施例4
実施例3と同様にして調製した高アミロース米「夢十色」の発芽玄米の米粉(発芽玄米粉)、実施例1と同様にして調製した夢十色白米の米粉(白米粉)、及び、夢十色白米を粉砕機(UDY製、SFC−S1)により粉砕して得た米粉(生米粉)を用いて、強力粉の30%を置換して、実施例3と同様にパンを調製した。
これらのパンと、強力粉100%使用のパンを図1に示す。図1左から(1)強力粉100%、(2)夢十色発芽玄米粉30%使用、(3)夢十色白米粉30%使用、(4)夢十色生米粉30%使用、を示す。
実施例5
輸入されたタイ精米(高アミロース米)を、実施例1と同様にして無脂肪加工乳と混合炊飯後、凍結乾燥し、粉砕して米粉を調製した(本発明品)。対照として、無脂肪加工乳及びヨーグルトの代わりに水を加えたこと以外は上記と同様にして、米粉を調製した(対照品)。
このようにして得た米粉を20%濃度で湯に溶いてスープを調製した。本発明品から調製したスープは、対照品を用いたスープに比べて、異臭がなく、風味が優れていた。
実施例6
高アミロース米「夢十色」を試料とし、実施例1に示す方法で無脂肪加工乳を添加して炊飯した後、凍結乾燥、粉砕して調製した本発明米粉、及びプレーンヨーグルトを使用して、以下のようにしてクッキーを試作した。
(1)小麦粉50g、バター20g、塩0.5g、砂糖20g、卵2.5gをよく混ぜ合わせた生地をラップに包み、2時間冷凍庫で寝かせた。
(2)オーブンを170℃に保温し、170℃、15分で焼き上げた。
各試験区は以下の通りである。
試験区A:上記(1)の原料の他に、本発明米粉15g及びプレーンヨーグルト5gを添加した。
試験区B:上記(1)の原料の他に、本発明米粉15gを添加した。
試験区C:上記試験区Bにおいて、本発明米粉の代わりに、「コシヒカリ」を用いて上記と同様にして調製した米粉を用いた。
試験区D:上記(1)記載の原料のみを用いた。
このようにして得られたクッキーを図2に示す。左から(A)試験区A、(B)試験区B、(C)試験区C、(D)試験区Dを示す。
このクッキーの食味評価試験を8名のパネラーにより7段階(3,2,1,0,-1,-2,-3)で行った結果、「食感」、「味・香り」の項目において、本発明米粉が有意に優れていた。結果を表1に示す。
実施例7
市販のプレーン・ヨーグルトに、実施例1のようにして調製した本発明の高アミロース米粉(夢十色)を5%添加し、米粉含有ヨーグルトを調製した(夢十色炊飯米FD粉5%)。なお、対照として、高アミロース米の代わりにコシヒカリを用いて上記と同様に調製した米粉を使用した(コシヒカリ炊飯米FD粉5%)。
これらの米粉含有ヨーグルト及び米粉を添加しないヨーグルトについて、糊化粘度特性を測定した。糊化粘度の測定は、試料3.5gに純粋25mlを加え、豊島らの方法(豊島英親ら、日本食品科学工学会誌、44(8), 579-584, 1997)により、ラピッドビスコアナライザー(RVA、フォス・ジャパン製)を用いて測定した。単位はラピッドビスコアナライザーユニット(RVU)で表示した。結果を図3に示す。図3中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。
その結果、米粉を添加することでヨーグルトの粘度が上昇し、安定化することが示された。高アミロース米(夢十色)の場合は、コシヒカリの場合に比べて、ヨーグルトの粘度上昇が少なく、安定性を保ちながら、良好な食感を示した。
実施例8
各種の玄米(ae米である「EM10」、高アミロース米である「夢十色」、及び対照として低アミロース米である「北陸149号」と「あゆのひかり」)を35℃の温湯に18時間浸漬して発芽玄米を調製した。これらの発芽玄米を用いて、以下のようにして炊飯、凍結乾燥及び粉砕して米粉を調製した。
(1)上記の発芽玄米をザル上げして30分間水切りし、米の乾燥重量の1.6倍の無脂肪加工乳(及び0.4倍のプレーンヨーグルト)を加え、家庭用炊飯器で玄米モードで炊いた。
(2)(1)の炊飯米100gに、無脂肪加工乳140cc(140g)、水140cc(及びプレーンヨーグルト40g)を加え、ホモジナイザーでよく攪拌した。
(3)(2)の米粉溶液を、−80℃で18時間凍結後、アイラ製凍結乾燥機FD50に24時間供することにより、凍結乾燥した。
(4)(3)の試料をサイクロンミル(UDY製、SFC−S1)により粉砕し、米粉試料を得た。
なお、上記工程(1)及び(2)においてヨーグルトを添加せず無脂肪加工乳(脱脂ミルク)のみを使用した試料を試料1〜4とし、同工程においてヨーグルトを使用した試料を試料5〜8とした(表2参照)。
このようにして得た米粉試料中のレジスタントスターチ含量を、メガザイム社製レジスタントスターチ測定キットで測定した。結果を表2及び図4に示す。表2及び図4において、RSとはレジスタントスターチ含量を指す。
その結果、ae米であるEM10と高アミロース米である夢十色が高含量を示した。
実施例9
高アミロース米(夢十色)とコシヒカリを試料とし、無脂肪加工乳(脱脂ミルク)との混合炊飯米、無脂肪加工乳(脱脂ミルク)及びヨーグルトとの混合炊飯米を、以下のようにして調製した。
(1)高アミロース米「夢十色」の白米を洗米し、米の乾燥重量の1.5倍の加水量で1時間浸漬し、ザル上げして30分間水切りし、米の乾燥重量の1.6倍の無脂肪加工乳(及び0.4倍のプレーンヨーグルト)を加え、家庭用炊飯器で普通炊きした。
(2)(1)の炊飯米100gに、無脂肪加工乳140cc(140g)、水140cc(及びプレーンヨーグルト40g)を加え、ホモジナイザーでよく攪拌した。
(3)(2)の米粉溶液を、−80℃で18時間凍結後、アイラ製凍結乾燥機FD50に24時間供することにより、凍結乾燥した。
(4)(3)の試料をサイクロンミル(UDY製、SFC−S1)により粉砕し、米粉試料を得た。
なお、対照として牛乳加工品を添加しない炊飯米を試料1〜2とし、上記工程(1)及び(2)においてヨーグルトを添加せず無脂肪加工乳のみを使用した試料を試料3〜4とし、同工程においてヨーグルトを使用した試料を試料5〜6とした(表3参照)。
このようにして得た米粉試料中のレジスタントスターチ含量をメガザイム社製レジスタントスターチ測定キットで測定した結果、いずれの場合も一般米(コシヒカリ)に比べて高アミロース米(夢十色)の方が高い含量を示した。結果を表3及び図5に示す。表3及び図5において、RSはレジスタントスターチを指す。
実施例10
高アミロース米「夢十色」の白米にハーブ(ミント)抽出液を10%(w/w)添加したものについて、実施例7と同様の方法で、RVAにより糊化粘度特性を測定した(夢十色+ハーブ抽出液)。ハーブ抽出液は、ミントの葉0.3gを40℃の水15mlで2分間抽出したものを用いた。なお、対照として、ハーブ抽出液を添加しない夢十色白米についても測定した(夢十色)。
その結果を図6に示す。図6中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。ハーブの添加によって夢十色の糊化粘度が上昇し、α-アミラーゼ活性が阻害される結果、摂食後のα-アミラーゼ活性の上昇が抑制されることが期待される。
実施例11(ミルク炊飯高アミロース米粉はヨーグルトの酸味をマスクする)
市販のプレーンヨーグルトに、高アミロース米(夢十色)粉をそれぞれ1.25%、2.5%、3.75%添加した、米粉含有ヨーグルトを調製した。これについて、8名のパネラーにより酸味の強さを評価した結果、米粉の添加がヨーグルトの酸味を抑制することが示された。結果を図7に示す。なお、米粉は実施例1のように、無脂肪加工乳混合炊飯の後、凍結乾燥・粉砕して調製した。
実施例12(無脂肪加工乳・ヨーグルトの混合炊飯の効果(1)生米粉との比較)
実施例7の場合と同様、市販のプレーンヨーグルトに、夢十色米粉にヨーグルトと無脂肪加工乳を混合炊飯した後に凍結乾燥・粉砕して調製した本発明の高アミロース米粉を5%添加した米粉含有ヨーグルトを調製した。
この米粉含有ヨーグルトの糊化特性を実施例7と同様の方法でRVAにより測定した結果を図8に示す。対照として、夢十色白米を粉砕した生米粉と、本発明米粉の調製に使用したのと同量のヨーグルト及び無脂肪加工乳を混合した場合の糊化特性も、同図に示す。図8中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。
その結果、混合炊飯米粉(炊飯米FD粉)は低温時に粘度が高く、高温時に低粘度を示し、降温に伴って粘度が上昇し、優れた安定化効果を示した。一方、生米粉の場合は、糊化前は懸濁状態で粘度安定化効果を示さず、糊化に伴って粘度が急激に増加し、低温に下がっても老化による粘度増加が継続し、ゲル状となってしまった。
実施例13(無脂肪加工乳・ヨーグルトの混合炊飯の効果(2)炊飯粉との比較)
実施例7の場合と同様、市販のプレーンヨーグルトに、夢十色にヨーグルトと牛乳を混合炊飯した後に凍結乾燥・粉砕して調製した本発明の高アミロース米粉を5%添加した米粉含有ヨーグルトを調製した。
この米粉含有ヨーグルトの糊化特性を実施例7と同様の方法でRVAにより測定した結果を図9に示す。対照として、夢十色を単独で炊飯した後に凍結乾燥・粉砕して調製した炊飯米粉に、本発明米粉の調製に使用したのと同量のヨーグルト及び無脂肪加工乳を混合した場合の糊化特性も同図に示す。図9中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。
その結果、混合炊飯粉(混合炊飯FD粉)は低温時に粘度が高く、高温時に低粘度を示し、降温に伴って粘度が上昇し、優れた安定化効果を示した。一方、単独炊飯米粉(炊飯米FD粉)の場合は、類似した糊化特性を示したが、粘度が高く、特に、降温時の老化が著しく、口当たりの悪いゲル状の糊液となってしまった。これは実施例7におけるコシヒカリの場合と同様の傾向であった。
実施例14(凍結乾燥と熱風乾燥の比較)
実施例7の場合と同様、市販のプレーンヨーグルトに、夢十色にヨーグルトと牛乳を混合炊飯した後に凍結乾燥・粉砕して調製した本発明の高アミロース米粉を5%添加した米粉含有ヨーグルトを調製した。
この米粉含有ヨーグルトの糊化特性を実施例7と同様の方法でRVAにより測定した結果を図10に示す。対照として、凍結乾燥に替えて熱風乾燥(85℃2時間、通風乾燥15℃で一晩)後に粉砕して調製した夢十色米粉を5%混合した場合の糊化特性も同図に示す。図10中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。
その結果、凍結乾燥粉(FD粉)は低温時に粘度が高く、高温時に低粘度を示し、降温に伴って粘度が上昇し、優れた安定化効果を示した。一方、熱風乾燥米粉の場合も、初期粘度が凍結乾燥に比べて僅かに低くはなるものの、類似した良好な粘度特性を示した。
一方、ニオイセンサー(インテリジェントセンサーテクノロジ−(株)製)により香気の変化を測定した結果、凍結乾燥の方が香気の持ちが良く、良好な結果を示した。
実施例15(生米粉、単独炊飯粉、混合炊飯粉の製パン後の比較)
実施例1と同様に本発明米粉を調製した。強力粉の30%を本発明米粉で置き換えて、以下の方法により製パンした(試験区C:混合炊飯)。
(1)ボールにバター10g、砂糖10g、塩1gを加え、混合した。
(2)牛乳30ccを37℃に加温し、これに(1)と卵15gを加え、混合した。
(3)ドライイースト3.3gをぬるま湯20ccに溶き、砂糖3gを加え、30℃で30分間発酵させた。
(4)(2)に、強力粉50gと(3)を混合し、さらに強力粉50gを混合した。
(5)30℃で30分間発酵させて、生地が2.5倍に膨張したことをフィンガーテストで確認した後、ガス抜きをした。
(6)生地を20gずつ秤取り、乾燥布巾をかけて10分間置き、ベンチタイムとした。
(7)生地を成型し、乾燥布巾をかけて38℃、40分間発酵させた。
(8)生地に3倍に希釈した卵液を刷毛で塗り、180℃に予熱したオーブンで10分間焼いた。
比較のため、「夢十色」精米をサイクロンミル(UDY製、SFC−S1)により粉砕して調製した生米粉を本発明米粉の代わりに用いると共に、上記(2)工程において、本発明米粉製造時の添加量に相当する無脂肪加工乳及びヨーグルトを牛乳と一緒に加えたこと以外は、上記と同様の方法で製パンした(試験区A:精米粉+ミルク+ヨーグルト)。
また、さらに比較のため、「夢十色」精米を単独で炊飯したものを、実施例1と同様に凍結乾燥・粉砕して調製した単独炊飯米粉を本発明米粉の代わりに用いると共に、上記(2)工程において、本発明米粉製造時の添加量に相当する量の無脂肪加工乳及びヨーグルトを牛乳と一緒に添加したこと以外は、上記と同様の方法で製パンした(試験区B:炊飯米+ミルク+ヨーグルト)。
これら3種類のパンを8名のパネラーにより7段階で(3,2,1,0,-1,-2,-3)試食した結果を表4に示す。そのうち、食感についての評価結果を図11に、味についての評価結果を図12に示す。混合炊飯粉(試験区C)の場合が最も食感と風味の点で優れており、ついで単独炊飯粉(試験区B)、生米粉(試験区A)の順であった。

*は危険率5%で有意差あり。**は危険率1%で有意差あり。
実施例16(包括酵素および包括フレーバーを添加したミルク炊飯米粉)
包接酵素・フレーバーを下記のようにして調製した。
(1)微生物起源の食品用耐熱性α−アミラーゼ(大和化成製クライスターゼM8)の粉末1gをコーヒーオイル(イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ製、オリーブオイル中8%コーヒーオイル含有)5ml中に懸濁した。
(2)アラビアゴム5gおよび可溶性澱粉15gを溶解した200mlの水溶液中に、上記の(1)を加え、ホモゲナイザー(ヤマト科学製ウルトラターラクス)で強く攪拌してo/wエマルションを調製した。
(3)(2)のエマルションをスプレードライヤー(ヤマト科学製ミニスプレードライヤーADL310)によって噴霧乾燥して包接酵素・フレーバー粉末を調製した。噴霧乾燥条件は、インレット温度150℃、アウトレット温度93℃、ポンプ目盛4、アスピレーター目盛6とした。
次に、実施例1と同様に、高アミロース米「夢十色」の精米(歩留まり90%)と無脂肪加工乳を混合炊飯後、凍結乾燥して粉砕した。
このようにして調製した本発明の高アミロース米粉を、実施例3と同様に、製パンの原料粉として市販強力粉の30重量%を置き換えて使用して製パンした。
比較試料として、「夢十色」の精米をサイクロンミル(UDY製、SFC−S1)により粉砕して調製した生米粉を、本発明米粉の代わりに用いたこと以外は、上記と同様に製パンした。
なお、上記製パン工程に置いて、上記のようにして調製した包括酵素フレーバー0.5gを、小麦粉米粉混合粉末に対して添加して製パンした。比較対照として、包括酵素フレーバーを加えないパンも調製した。
これらのパンを8名のパネラーにより試食した結果、包括酵素フレーバーを添加して製造したパンは、コーヒーの香りがして風味に優れていた。これに対し、包括酵素フレーバーを添加しないで調製したパンはコーヒーの香りがしなかった。
また、包括酵素フレーバーを添加して調製したパンは、食後の胃もたれ感がなかった。これに対し、包括酵素フレーバーを添加しないで調製したパンは、やや胃もたれ感があった。
さらに、「夢十色」精米粉を使用して調製したパンは、ミルク炊飯後に凍結乾燥・粉砕した本発明の米粉を使用して調製したパンに比べて、食感の点で劣っていた。
実施例17(乳カゼイン添加量)
実施例1と同様にして試料米(夢十色、白米)200gを洗米、浸漬、水切りしたものに、牛乳をそれぞれ8ml又は420ml加えて、家庭用炊飯器で普通炊きした後、実施例1と同様にして凍結乾燥、粉砕することにより、試験区No2及びNo3の試料とした。また、白米20gに牛乳420mlを加えて炊飯したこと以外は上記と同様にして、試験区No4の試料を得た。実施例3と同様に、得られた米粉で強力粉の30%を置換して製パンした。対照(試験区No1)としては、牛乳を加えずに単独炊飯したこと以外は上記と同様に調製した米粉を使用した。
得られたパンの食味試験を8名のパネラーにより行った結果は表5の通りであった。なお、表5中の試食結果は、食味の総合評価を3段階(○、△、×)で示した。また、表5中のカゼインの割合は、カゼインを2.4%含む牛乳の使用量から割り出した値である。
その結果、試験区No2(カゼイン含量0.096%)は、試験区No1(カゼイン含量0.0%)に対する牛乳添加効果がほとんどなかった。また、試験区No4(カゼイン含量50.4%)はタンパク質が多すぎ、澱粉が不足するために、パンの膨張性および食感が悪くなった。一方、試験区No3(カゼイン含量5.0%)の本発明例は、対照に比べて、パンの風味が良好であり、膨張性、食感ともに優れていた。
本発明の産業上の用途としては、スープ、シリアル製造、製パン、製菓、増粘添加剤等の食品製造分野での利用が期待される。
実施例4で製造したパンの図である。左から(1)強力粉100%、(2)夢十色発芽玄米粉30%使用、(3)夢十色白米粉30%使用、(4)夢十色生米粉30%使用。 実施例6で製造したクッキーの図である。左から(A)本発明米粉30%+ヨーグルト使用、(B)本発明米粉30%使用、(C)コシヒカリ米粉30%使用、(D)コントロールを示す。 実施例7における、米粉の添加によるヨーグルトの糊化粘度の変化を示すグラフである。図中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。 実施例8における、米粉のレジスタントスターチ含量を示すグラフである。縦軸はレジスタントスターチ含量(%)を示す。 実施例9における、米粉のレジスタントスターチ含量を示すグラフである。縦軸はレジスタントスターチ含量(%)を示す。 実施例10における、ハーブの添加による高アミロース米の糊化粘度の変化を示すグラフである。図中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。 実施例11における、米粉含有ヨーグルトの酸味の強さの食味評価結果を示す。 実施例12における、混合炊飯米粉と生米粉の添加によるヨーグルトの糊化粘度の変化を示すグラフである。図中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。 実施例13における、混合炊飯米粉と単独炊飯米粉の添加によるヨーグルトの糊化粘度の変化を示すグラフである。図中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。 実施例14における、凍結乾燥米粉と熱風乾燥米粉の添加によるヨーグルトの糊化粘度の変化を示すグラフである。図中、折れ線は温度を表し、曲線は糊化粘度を表す。 実施例15で製造したパンの食感の評価結果を示す。 実施例15で製造したパンの味の評価結果を示す。

Claims (7)

  1. 高アミロース米及び/またはae米と、牛乳及び/または牛乳加工品と、を混合・加熱することにより米の澱粉を糊化させた後に、急速乾燥して粉砕することを特徴とする米粉の製造方法。
  2. 加熱後に、さらに牛乳及び/または牛乳加工品を添加することを特徴とする請求項1に記載の米粉の製造方法。
  3. 牛乳及び/または牛乳加工品が、無脂肪加工乳及び/またはヨーグルトである請求項1又は2に記載の米粉の製造方法。
  4. 高アミロース米及び/またはae米が、発芽玄米であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の米粉の製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の製造方法で得られた米粉。
  6. 請求項5に記載の米粉を用いて製造した飲食品。
  7. 請求項5に記載の米粉を含有する食品添加物。
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