[go: up one dir, main page]

JP4868229B2 - 撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法 - Google Patents

撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4868229B2
JP4868229B2 JP2006295308A JP2006295308A JP4868229B2 JP 4868229 B2 JP4868229 B2 JP 4868229B2 JP 2006295308 A JP2006295308 A JP 2006295308A JP 2006295308 A JP2006295308 A JP 2006295308A JP 4868229 B2 JP4868229 B2 JP 4868229B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water repellent
water
acid
polyamine
paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006295308A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008111208A (ja
Inventor
正之 川喜田
国博 廣瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arakawa Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arakawa Chemical Industries Ltd filed Critical Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority to JP2006295308A priority Critical patent/JP4868229B2/ja
Publication of JP2008111208A publication Critical patent/JP2008111208A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4868229B2 publication Critical patent/JP4868229B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Description

本発明は、撥水剤の塗工に先立って紙に塗工される下塗り塗工液、その下塗り塗工層と撥水剤塗工層を併有する撥水紙、さらにはこの撥水紙の製造方法に関する。
冷凍食品用段ボール、野菜用段ボール等に使用される外装用ライナー(以下ライナーと略すことがある)には、クラフトパルプやクラフトパルプ系古紙を原料として製造される板紙に、ワックス系エマルジョンからなる撥水剤を塗工したものが従来使用されてきた。しかし、昨今では木材資源をできる限り保護する観点から、板紙原料として古紙の使用割合が増大する傾向にある。
板紙の表面特性は、填料や微細繊維の含有量が多い古紙の配合率が高くなるに従って変化し、この種の板紙に撥水剤を塗工しても、それだけでは十分な撥水効果が得られなくなって来ている。ちなみに、段ボールの製造において、撥水剤を塗工した板紙(ライナー)に中芯原紙を貼合する際、コルゲーターの熱により撥水剤が溶融し、これがパルプ繊維間の空隙に浸透する事により撥水度が低下する現象を一般的に「撥水剤の沈み」と呼ぶが、古紙の配合量の多い板紙では撥水剤の沈みが起こりやすく、これが起こると十分な撥水効果が得られないのが通例である。
この撥水剤の沈みは、現在汎用されているアニオン系内添サイズ剤やアニオン系紙力剤、さらにはポリビニルアルコール等の使用量を増加させても抑制することができない。
紙の両面に撥水剤を塗工し、さらに、ポリビニルアルコール、デンプンなどで例示される水溶性ポリマーを塗工する技術が剥離紙用原紙の製造方法として提案されている(特許文献1参照)。また、スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するアクリル系モノマーの2成分、又はこれに共重合可能な他のモノマーを加えた3成分の共重合体に、ハロゲン化アルキルを作用させて得た第四アンモニウム塩型共重合体を紙に塗工して滑り防止効果を付与する技術も知られている(特許文献2参照)。
さらに、塗工紙に耐水性を付与し、インキ受理性を向上させる上で有効な塗工液の製造方法として、ポリアルキレンポリアミン及び/又はポリアルキレンポリ尿素と二塩基性カルボン酸とを脱水素縮合させて第1反応生成物を得、この第1反応生成物と尿素との間で脱アンモニア反応を生起させて第2反応生成物を得、次いで第2反応生成物を例えばエピハロヒドリンと反応させて第3反応生成物を得た後、第3反応生成物を例えばホルムアルデヒドと反応させる処方が提案されている(特許文献3参照)。
また、紙の湿潤紙力増強剤として有用なポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂水溶液の製造法として、炭素数3〜12の脂肪族二塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体と、ポリアルキレンポリアミンとを特定な反応比で加熱縮合させてポリアミドポリアミンを得、このポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンとを特定の条件で反応させる方法が知られている。(特許文献4参照)
また、スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン系共重合体の4級化物と、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含有する下塗り層と撥水層の2層構造とすることなどが提案されているが(特許文献5参照)、さらに撥水剤の沈みが防止され、撥水効果のさらなる向上が望まれている。
特開昭59−144693号公報 特開昭57−56598号公報 特開昭58−2331号公報 特開2002−121280号公報 特開2005−336663号公報
本発明の目的は、撥水剤の塗工が予定される原紙に、撥水剤の塗工に先立って塗工することで、爾後塗工される撥水剤が熱の影響で紙層に沈むのを防止できる撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液を提供し、さらに紙の上に形成された前記下塗り塗工液の塗工層と、その上に形成された撥水剤層を併有する撥水紙及びその撥水紙の製造方法を提供することにある。
本発明は、撥水剤用下塗り塗工に使用する塗工液として、(A)スチレン系モノマーとアミノ基を有するビニルモノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体と、(B)酸成分としてモノカルボン酸を反応させて得られる化合物であって、ポリアミド、ポリアミドのエピハロヒドリン変性物およびアルキルケテンダイマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する撥水剤用下塗り塗工液とすること、特に、前記(B)成分のポリアミド又はポリアミドのエピハロヒドリン変性物である場合には、2級アミノ基を有するポリアミンを用いて得られるものを使用することにより、「撥水剤の沈み」を効果的に防止し、撥水剤塗工される板紙の撥水性能を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明の第一のカテゴリーは、
(A)スチレン系モノマーとアミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体(以下、(A)成分という)ならびに
(B)酸成分としてモノカルボン酸を反応させて得られる化合物であって、ポリアミンとモノカルボン酸から得られるポリアミド(ただし、(ポリアミド中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(該ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.05〜1であるものに限る。)またはポリアミンとモノカルボン酸から得られるポリアミドのエピハロヒドリン変性物(ただし、(ポリアミドのエピハロヒドリン変性物中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(該ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.05〜0.9、(ポリアミドのエピハロヒドリン変性物中に存在するポリアミンの2級アミノ基とエピハロヒドリン又はグリシドールが反応することにより生じる3級アミノ基の数)/(ポリアミド中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.1〜0.95であるものに限る。)のいずれか少なくとも1種の化合物(以下、(B)成分という)を含有する撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液。;好ましくは、前記(A)成分及び(B)成分を(A):(B)=4:96〜99:1の固形分比率とした撥水剤用下塗り塗工液。(B)成分のモノカルボン酸の炭素数が2〜36である前記撥水剤用下塗り塗工液、に関する。
また、本発明の第二のカテゴリーは、
前記の撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液を用いて得られる塗工層と撥水剤層とからなる撥水紙、に関する。
さらに、本発明の第三のカテゴリーは、
前記撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液を原紙に塗工、乾燥して形成した下塗り塗工層上に撥水剤を塗工し、乾燥する工程を含む下塗り塗工層と撥水剤層を併有する撥水紙の製造方法、に関する。
本発明によれば、紙に熱がかかった場合でも撥水剤の沈み込みが防止され、得られる撥水紙の撥水性を向上させることができる。その効果発現機構は定かではないが、上記した紙における撥水剤層用下塗り塗工液を塗工することによって紙表面が適度な疎水性を帯びるため、下塗り塗工層の上に塗工される撥水剤の定着が助長されるためであると推定される。
本発明の紙における撥水剤層用下塗り塗工液(以下、下塗り塗工液という。)は、前記(A)成分と(B)成分を含有するものである。
本発明の下塗り塗工液に用いる(A)成分は、スチレン系モノマーとアミノ基を有するビニル系モノマーを含有するモノマー成分を重合して得られるものであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。
当該(A)成分は、たとえば、所望のモノマー比にあるスチレン系モノマーとアミノ基を有するビニルモノマーとを、所望によりこれらと共重合可能な他のビニルモノマーをこれに加えてラジカル重合触媒の存在下に、水中又は有機溶媒中60〜120℃で1〜10時間重合させてカチオン性共重合体を形成させる、次にカチオン性重合体を含有する反応混合物から所望により有機溶媒を留去させた後、必要によりこれにエピハロヒドリンなどのような4級化剤を添加して40℃〜80℃で1〜5時間反応させることによって、水又は有機溶媒に分散させた状態で得ることができる。
使用できる有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の油性有機溶媒が例示でき、低級アルコール系有機溶媒と水との混合溶媒も上記した反応の反応溶媒として使用できる。
ラジカル重合触媒としては、水溶性ラジカル開始剤が使用でき、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、これらの過硫酸塩及び過酸化物と還元剤の組合せによるレドックス系重合触媒、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ系触媒、並びにターシャリブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物系を挙げることができる。さらに2,2’−アゾビスブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ系触媒、ベンジルパーオキシド等の油溶性有機過酸化物を使用できる。また、必要に応じてアルキルメルカプタン等の公知の連鎖移動剤を適宜併用しても差し支えない。
上記したスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼン等が挙げられ、これらのモノマーは1種又は2種以上が(A)成分の調製に使用できる。スチレン系モノマーの中では入手しやすく、安価である点でスチレンの使用が好ましい。
上記したアミノ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アリルアミン、ジ(メタ)アリルアミン等の2級アミノ基を有するビニル系モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の3級アミノ基を有するビニル系モノマー、またはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第3級アミノ基含有ビニルモノマ−とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの4級化剤との反応によって得られる第4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマ−等を挙げることができ、これらのビニル系モノマーは、1種又は2種以上が(A)成分の調製に使用することができる。上に例示したビニル系モノマーの中では、カチオン強度の観点から、3級アミノ基又は4級アミノ基を有するビニル系モノマーが好ましく、また、中でも具体的には、(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレートや(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミドまたはそれらのメチルクロライド、ベンジルクロライドの4級化物は入手がし易く安価である点でより好ましい。
(A)成分を調製する際に、所望により使用できる共重合可能なモノマーとしては、上記したスチレン系モノマー以外の疎水性モノマー、ノニオン性モノマー並びにアニオン性モノマーを挙げることができる。
スチレン系モノマー以外の疎水性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート、マレイン酸、及びフマル酸のジアルキルジエステル類、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、N−アルキル(メタ)アクリルアミド類、並びにメチルビニルエーテル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用可能である。
ニトリル、アリルアルコール、(メタ)アリルアルコール等のノニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アリルメチルエーテル、(メタ)アリルエチルエーテル等の炭素数1〜18個のアルキル基がエーテル結合した(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルホルメート;(メタ)アリルアセテート、アリルプロピオネート等の1〜18個の炭素原子を有する飽和カルボン酸の(メタ)アリルエステルなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用できる。
アニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、けい皮酸、ビニルエステル酸、2−(メタ)アクリルアミドグリコリック酸、α,β−不飽和トリカルボン酸及びα,β−不飽和テトラカルボン酸並びにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等の不飽和カルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びアクリル酸−3−スルホプロピルエステル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチル、アクリル酸ヒドロキシエチルの硫酸エステル塩、アクリル酸ポリオキシアルキレンオキサイドの硫酸エステル並びにこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩等などのスルホン酸基を有するモノマーを挙げることができ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用できる。
(A)成分を調製するに際して、共重合反応に供するスチレン系モノマーとアミノ基を有するビニルモノマーとのモノマー比は、スチレン系モノマー/アミノ基を有するビニルモノマーの重量比で60〜90/40〜10の範囲に、好ましくは70〜85/30〜15の範囲にある。そして、この共重合反応の場に上記した任意のモノマー成分を共存させる場合は、反応に供するスチレン系モノマー量の30重量%以下の量で、上記した任意のモノマー成分を使用することができるが、その量を20重量%以下とすることが好ましい。
3級アミノ基を有するカチオン性共重合体の4級化は、カチオン性共重合体を含有する反応混合物に適当な4級化剤を加えて常法通り行うことができる。
前記4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、塩化ベンジル、エピクロロヒドリン、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド及び3−クロル−2−ヒドロキシアンモニウムクロライド等の有機ハロゲン化物、並びにジメチル硫酸、及びジエチル硫酸等のジアルキル硫酸が何れも使用できる。
上述した合成例によって得られる本発明の(A)成分は、カチオン性共重合体の4級化物が水又は有機溶媒に分散した分散液の形態で取得される。
本発明に係る下塗り塗工液に用いる(B)成分は、酸成分としてモノカルボン酸を反応させて得られる化合物であって、ポリアミド、ポリアミドのエピハロヒドリン変性物およびアルキルケテンダイマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である。
本発明における(B)成分のポリアミドとは、モノカルボン酸とポリアミンとの反応によって得られるものである限り、公知のものを制限なく使用することができる。
本発明に用いるポリアミドを構成するモノカルボン酸としては、公知のものを制限なく使用することができ、脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、カプリン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、なたね油脂肪酸、トール油脂肪酸などが挙げられる。芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸、キノリン酸などが挙げられる。
また、反応を容易に進行させるために、酸クロライド等のハロゲン化物としてもよい。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。さらに、汎用性と性能面(分子構造のバランスに伴う撥水効果の観点と、乳化物の安定性も良好であること)、特にアミド化に対する反応性、融点と沸点及び分解温度の点から炭素数が12以上22以下のモノカルボン酸が好ましい。
ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリエチレンポリアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン等のポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミンが挙げられる。中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの2級アミノ基を有するポリアミンが、汎用工業試薬として入手が容易であり、常温で低粘度の液体で取り扱いやすく、安定供給の面からも好ましい。また、2級アミノ基を有するポリアミンを反応させて得られるポリアミドの場合には、ポリアミド中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(該ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.05〜1であることが好ましい。このようなポリアミドとすることによって、「撥水剤の沈み」をより効果的に防止し、より高い撥水効果を得ることができる。
モノカルボン酸を反応して得られるポリアミドを得るために用いられるポリアミンおよびモノカルボン酸の使用量は、ポリアミン中に含まれる1級アミノ基の数をM個、2級アミノ基の数をN個とすると、ポリアミン1モルに対し、モノカルボン酸を(M+0.05N)〜(M+N)モル程度使用すればよい。なお、(B)成分が複数のポリアミンを混合したものである場合には、Mは平均値とする必要がある。(M+0.05N)より少なくなる場合には、分子構造が2次元化する方向に向かい、分子間の相互作用も強くなるため、製品の安定性を悪化させる傾向があり、(M+N)を超える場合には、残存するモノカルボン酸成分の量が多くなるため紙の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
ポリアミドとモノカルボン酸との反応としては、特に限定されず公知の方法を採用すればよい。具体的には、例えば、ポリアミドとモノカルボン酸を混合し、150℃以上に加熱し、副生する水を除去しながら、2〜8時間程度反応させればよい。
本発明に用いる(B)成分のポリアミドのエピハロヒドリン変性物(以下、単に、エピハロヒドリン変性物ということがある。)は、ポリアミン、モノカルボン酸、およびエピハロヒドリン又はグリシドールを反応させて得られるものである。エピハロヒドリン変性物に用いるポリアミドおよびモノカルボン酸は、上記したポリアミドの場合と同様のものを使用すればよく、エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどを用いることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでも、安価で取り扱いの容易なエピクロロヒドリンの使用が好ましい。
エポキシ変性物を得るために用いるポリアミン、モノカルボン酸の使用量は、ポリアミン中に含まれる1級アミノ基の数をM個、2級アミノ基の数をN個とすると、ポリアミン1モルに対し、モノカルボン酸を(M+0.05N)〜(M+0.9N)モル程度使用すればよい。なお、エポキシ変性物が複数のポリアミンを混合したものである場合には、Mは平均値とする必要がある。エポキシ変性物を使用する場合も、上記未変性のポリアミドの場合と同様に、分子構造が2次元化する方向に向かい、分子間の相互作用も強くなるため、製品の安定性を悪化させる傾向があり、(M+0.9N)を超える場合には、残存するカルボン酸の量が多くなるだけでなく、残存物と成分エピハロヒドリン又はグリシドールの副反応が起きる可能性があり、製品の安定性を悪化させるほか、紙の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。また、エピハロヒドリン又はグリシドールの使用量は、ポリアミン1モルに対し、0.1N〜1.5Nモル程度が好ましく、更には0.3N〜0.75Nモル程度とすることが好ましい。
ポリアミン、モノカルボン酸およびエピハロヒドリン又はグリシドールの反応としては、特に限定されず公知の方法を採用すればよい。具体的には、例えば、ポリアミンおよびモノカルボン酸を150℃以上に加熱し、副生する水を除去しながら、2〜8時間程度反応させた後、これを溶剤又は水に溶解又は分散させてエピハロヒドリン又はグリシドールを加え、2〜6時間程度反応させればよい。分散させにくい場合には40℃以上120℃以下の範囲で加熱してもよいし、乳化分散剤を併用しても良い。
本発明における(B)成分の、モノカルボン酸を反応させて得られるアルキルケテンダイマーは、公知のものをそのまま使用してもよく、市販品をそのまま用いてもよい。
このようにして得られた(B)成分は、そのまま使用することができるが、通常は、水に分散させて用いられる。水に分散させる方法としては特に限定されず公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、(B)成分と水を機械的に乳化させる強制乳化法、(B)成分の溶融物に水を加えていき、反転させる反転乳化法、(B)成分および水に圧力をかけて乳化する高圧乳化法などが挙げられる。なお、乳化に際しては、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。乳化剤の使用量は特に限定されないが、通常、(B)成分100重量部に対し、1〜10重量部程度である。
使用する乳化剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、反応性乳化剤等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としてはテトラアルキルアンモニウムクロライド、トリアルキルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミン塩酸塩、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンアセテート、カチオン化澱粉などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリアルキレンオキサイドのブロックコポリマーなどが挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどが挙げられる。
反応性乳化剤の具体例としては、たとえば、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルの硫酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩や、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの脂肪族または芳香族カルボン酸塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化剤、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(特開平4−256429号公報参照)、特開昭63−23725号公報、特開昭63−240931号公報、特開昭62−104802号公報に記載の乳化剤等の各種のものがあげられる。さらには前記反応性乳化剤中のポリオキシエチレンを、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンをブロック共重合またはランダム共重合したものに代えたものもあげられる。なお、これらの市販品としては、例えば、KAYAMER PM−1(商品名、日本化薬(株)製)、KAYAMER PM−2(商品名、日本化薬(株)製)、KAYAMER PM−21(商品名、日本化薬(株)製)、SE−10N(商品名、(株)ADEKA製)、NE−10(商品名、(株)ADEKA製)、NE−20(商品名、(株)ADEKA製)、NE−30(商品名、(株)ADEKA製)、アデカリアソープSR−10(商品名、(株)ADEKA製)、アデカリアソープSR−20(商品名、(株)ADEKA製)、アデカリアソープER−20(商品名、(株)ADEKA製)、ニューフロンティアA229E(商品名、第一工業製薬(株)製)、ニューフロンティアN117E(商品名、第一工業製薬(株)製)、ニューフロンティアN250Z(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンRN−10(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンRN−20(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンRN−50(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンHS−10(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンKH−05(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンKH−10(商品名、第一工業製薬(株)製)、エミノールJS−2(商品名、三洋化成工業(株)製)、ラテルムK−180(商品名、花王(株)製)等がその代表例としてあげられる。これらのなかでは、ノニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
なお、必要に応じて、保護コロイドを用いてもよい。保護コロイドとしては、特に限定されず公知のものを使用できる。具体的には、例えば、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーおよびその他のモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アニオン性モノマーとは、少なくとも1つのアニオン性官能基および1つのビニル基を有するものであり、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。カチオン性モノマーとは、少なくとも1つのカチオン性官能基および1つのビニル基を有するものであり、具体的には、例えば、アリルアミンの他、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの第3級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第3級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの4級化剤との反応によって得られる第4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等が挙げられる。アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマー以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類、アリルアルコール等のアリル基を含有するアリル系モノマー類、イソプロピルアクリルアミド等のN−置換アクリルアミド系モノマー類、(メタ)アクリロニトリルなどの他、2官能ビニルモノマー系としてメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド系モノマー類やエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート系モノマー類、ジアリルアミン、ジビニルベンゼン等であり、3以上のビニル基を有する多官能ビニルモノマー類としては、1,3,5-トリアクロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどが挙げられる。なお、これらの重合方法は、ラジカル重合法等の公知の方法によればよい。保護コロイドの使用量は特に限定されないが、通常、(B)成分100重量部に対し、1〜10重量部程度である。
本発明の下塗り塗工液は、一般的には前記した(A)成分と(B)成分を所定の割合で混合することによって調製され、この塗工液を撥水剤の塗工に先立って原紙に塗工する。前記塗工液中の(A):(B)の固形分比率は、4:96〜99:1の範囲で選ぶことが好ましい。より好ましくは20:80〜80:20である。塗工を繰り返す煩わしさをいとわなければ(A)成分と(B)成分を別々に塗工することもできる。この場合、(A)成分と(B)成分との塗工順序はどちらを先行させても差し支えがない。
念のため付言すると(A)成分及び/又は(B)成分を撥水剤に配合すると凝集を起こすことが有るので(A)成分及び/又は(B)成分と撥水剤との混合は避けることが好ましい。また、後述するCobb吸水度に悪影響を及ぼさない限り、本発明の下塗り塗工液には、その液性を改変する目的で上記2成分以外の成分を添加することができる。
本発明に係る下塗り塗工液は、オンマシン又はオフマシンで原紙に塗工することができ、塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等を用いることができる。また、エアーとの2流体によるスプレー塗工も可能である。
下塗り塗工液の塗工量は、固形分換算で0.01〜0.5g/m2の範囲で選ばれる。塗工量が0.01g/m2未満である場合は本発明が企図している下塗り効果を十分発現させることができないことがある。下塗り塗工層の乾燥にはオンマシン、オフマシンを問わず、ドラムドライヤー、温風乾燥機、赤外線乾燥機等が使用できる。
下塗り塗工液を塗工した後の紙の2分Cobb吸水は、20〜60g/mの範囲になるように調節することが好ましい。2分Cobb吸水度が20g/m未満の場合は、撥水剤を塗工する際に撥水剤を弾いてしまうために、撥水剤を均一に塗工できない場合がある。また、2分Cobb吸水度が60g/m以上の場合は、撥水剤が紙のZ軸方向に深く浸透してしまうためにバリヤー効果が得られず、撥水効果が十分に発現しない場合がある。
本発明において乾燥した下塗り層上に塗工する撥水剤は、ワックス系成分を分散質とする水性エマルションが好ましい。このエマルジョンにおいて、分散質となるワックス系成分は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスなどの単一成分であっても、これらのワックス成分のブレンドであっても差し支えない。また分散質はマレイン化石油樹脂などの変性ワックス成分であっても、ロジンあるいは不飽和高級アルコール等であっても差し支えない。分散質の乳化に寄与する分散剤には特に制限は無く、ノニオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子、マレイン化石油樹脂などの自己乳化性を有する高分子乳化剤などが何れも使用できる。上記した水性エマルジョンでの分散質の表面電荷はアニオン性を示すものが好ましい。
撥水剤の塗工及びその塗工層の乾燥は常法通りこれを行うことができ、下塗り塗工液の塗工及び乾燥で説明した塗工機及び乾燥機が撥水剤の塗工乾燥にも使用できる。なお、ワックス系撥水剤の塗工量は、通常、固形分換算で0.1〜2g/m2の範囲で選択する。
本発明の下塗り塗工液及び撥水剤には、それぞれ必要に応じて酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉等の澱粉類、炭酸ジルコニウム、硫酸バンド等の金属化合物、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアンモニウムクロリド及びジシアンジアミドホルマリン樹脂などのカチオン性高分子、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子を配合することができる。この場合下塗り塗工液にはカチオン性のものを配合することが好ましく、撥水剤には、アニオン性のものを配合することが好ましい。更にまた、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、顔料等の添加物を下塗り塗工液及び撥水剤に配合させることも含有しても構わない。
本発明の撥水紙の原紙としては各種の紙及び板紙が使用可能である。特に古紙パルプの含有量が50重量%を超えて配合された紙については効果が大きい。
本発明の効果により、古紙パルプ配合量の増加によって表面性が変化して起こる撥水剤の沈みが殆どない。本発明の撥水紙は、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー等の板紙が挙げられるが、特に古紙の含有量の50重量%以上、とりわけ80重量%以上を含有しているライナーを対象にした場合に効果が大きい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例中の部および%は、特記しない限り重量部、および重量%である。
(原紙の製造方法)
濃度3.0%パルプスラリー(段ボール古紙 100%、フリーネス300mlCSF、紙中灰分11.0%)に硫酸アルミニウムを絶乾パルプに対して1.0%、ロジンエマルションサイズ剤(商品名:サイズパインN815、荒川化学工業(株)製)を絶乾パルプに対して0.2%添加し、白水にて1.0%スラリーに希釈し、次いで乾燥紙力増強剤(商品名:ポリストロンF6、荒川化学工業(株)製)を絶乾パルプに対して0.2%添加した。この時のパルプスラリーのpHは6.8であった。タッピ・シートマシンにて脱水し、5kg/cm
で2分間プレスした。次いで回転型乾燥機で105℃において4分間乾燥し、23℃、55%R.H.の条件下に24時間調湿することで、坪量150g/m、2分コブ吸水度72g/mの紙を得た。
(下塗り塗工液の製造方法)
製造例1 (A)成分の製造方法
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えたフラスコにイソプロピルアルコール 53部、スチレン 117.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート 40部、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート 2.8部を混合したモノマー混合液を、窒素気流下に攪拌しながら、80℃まで昇温し3時間保温した。更にパーブチルO(日本油脂株式会社製)を 1.6部仕込んで80℃で4時間保温した。ついで、イオン交換水490部、および酢酸 12.4部を仕込み中和した。更に55℃でエピクロロヒドリン 19.4部を仕込み、3時間保温した。共重合体の固形分濃度が20重量%になるように調整し、これをカチオン性共重合体(A)とした。
製造例2 (B)成分の製造方法
攪拌機、脱水管、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器にステアリン酸とパルミチン酸の混合物(ステアリン酸/パルミチン酸=65/35(重量比))601.2gを仕込み、加熱溶融したのちテトラエチレンペンタミン207.2gを加えた。窒素雰囲気下で180℃まで昇温した後、反応により生成する水を系外に除去しながら180℃から200℃で3時間保持し、反応生成水が39.4gに達したところで加熱を停止、冷却してアミド樹脂(1)を得た。続いてこのアミド樹脂(1)にデカン酸188.5gを加え、再び反応により生成する水を系外に除去しながら180℃から200℃で3時間反応を行い、(アミド樹脂中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.33であるアミド樹脂(2)を得た。このアミド樹脂(2)を80℃に冷却後、樹脂分100重量部に対して15〜30重量部のイソプロピルアルコールを加え、更に80℃に加熱したイオン交換水1002gとノニオン性界面活性剤(商品名:エパン720、第一工業製薬(株)製)16.0gを加えて攪拌した。懸濁状態となった反応液にカチオン化剤としてエピクロロヒドリン202.5gを投入し、この懸濁液を80℃〜85℃で約2〜4時間保温した後、室温まで冷却して、(アミド−エピハロヒドリン樹脂中に存在するポリアミンの2級アミノ基とエピハロヒドリンが反応することにより生じる3級アミノ基の数)/(ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.67である、固形分濃度20重量%のポリアミドのエピハロヒドリン変性物の水性分散液((B)−1)を得た。
製造例3 (B)成分の製造方法
攪拌機、脱水管、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器にステアリン酸657.1gを仕込み、加熱溶融したのちトリエチレンテトラミン168.9gを加えた。窒素雰囲気下で180℃まで昇温した後、反応により生成する水を系外に除去しながら180℃から200℃で3時間保持し、反応生成水が41.6gに達したところで加熱を停止、冷却してアミド樹脂(3)を得た。続いてこのアミド樹脂(3)にパルミチン酸14.8gを加え、再び反応により生成する水を系外に除去しながら180℃から200℃で3時間反応を行い、(アミド樹脂中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.025であるアミド樹脂(4)を得た。このアミド樹脂(4)を80℃に冷却後、樹脂分100重量部に対して15〜30重量部のイソプロピルアルコールを加え、80℃で加熱溶融させたものに、更に80℃に加熱したイオン交換水836gを加えて攪拌し懸濁させた。懸濁状態となった反応液にカチオン化剤としてエピクロロヒドリン166.7gを投入し、この懸濁液を80℃〜85℃で約2〜4時間保温した後、高圧乳化機を用いて、(アミド−エピハロヒドリン樹脂中に存在するポリアミンの2級アミノ基とエピハロヒドリンが反応することにより生じる3級アミノ基の数)/(ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.67である固形分濃度20重量%のアミド−エピハロヒドリン樹脂の水性分散液((B)−2)を得た。
なお、上記のアミド樹脂中に存在する2級アミノ基数と3級アミド基および3級アミノ基の数の比は、ASTM D 2074に準じたそれぞれの部分アミン価を測定することによって算出した値である。
(下塗り塗工液の調製方法)
(A)成分、(B)成分および(C)成分(本発明では使用しない他の成分)としてそれぞれ以下のものを使用し、それらを表1に示す割合で混合し、下塗り塗工液を調製した。なお、混合割合は、固形分の重量比(重量%)である。
(A)成分:製造例1によって得られたスチレン系モノマーとアミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体
(B)成分:以下の(B)−1〜(B)−3の3種を使用した。
(B)−1:製造例2によって得られたポリアミドのエピハロヒドリン変性物の水性分散液
(B)−2:製造例3によって得られたポリアミドのエピハロヒドリン変性物の水性分散液
(B)−3:モノカルボン酸を用いて反応して得られたアルキルケテンダイマー(商品名サイズパインK931、荒川化学工業(株)社製)
(C)成分:酸成分としてジカルボン酸を反応させて得られたポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン変性物(商品名「アラフィックス255」、荒川化学工業(株)製)
Figure 0004868229
*下塗り塗工液の固形分の重量%
(撥水紙の製造方法)
原紙に下塗り塗工液A〜Hそれぞれを、No.8バーコーターにて表1に記載の塗工量で塗工した後、循風乾燥機にて105℃、1分間、及び回転型乾燥機にて120℃、30秒間乾燥を行った。得られた塗工紙を23℃、55%R.H.の条件下に24時間調湿後、JIS P8140によりコブ吸水度、JIS P8147の傾斜方法により滑り角を測定した。測定結果を表2に記載した。
次に、上記で塗工した紙に、撥水剤(商品名:サイズパインW116H、荒川化学工業(株)製)を塗工量が0.15g/m及び0.3g/m及び0.45g/mになるようにNo.8バーコーターで塗工し、循風乾燥機にて105℃、1分間、及び回転型乾燥機にて120℃、30秒間乾燥を行い、撥水紙を得た。
得られた各撥水紙の裏面に、水をNo.10バーコーターで塗工し、回転型乾燥機にて120℃、2分間乾燥を行い、23℃、55%R.H.の条件下に24時間調湿後、撥水度を測定した。結果を表2に示す。撥水度の測定は、JAPAN Tappi No.68に準じて行った。
Figure 0004868229
*撥水度(R);R1が最も撥水性が低く、R10が最も高い。
表2に示す結果からわかるように、スチレン系モノマーとアミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体(A)とポリアミドのエピハロヒドリン変性物(B)を混合した下塗り塗工液を用いることで、(A)成分や(B)成分のみを使用した塗工液や、(A)成分とポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂(C)を混合した公知の下塗り塗工液との対比で良好な撥水度を示した。

Claims (5)

  1. (A)スチレン系モノマーとアミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体ならびに、
    (B)酸成分としてモノカルボン酸を反応させて得られる化合物であって、2級アミノ基を有するポリアミンとモノカルボン酸から得られるポリアミド(ただし、(ポリアミド中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(該ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.05〜1であるものに限る。)または2級アミノ基を有するポリアミンとモノカルボン酸から得られるポリアミドのエピハロヒドリン変性物(ただし、(ポリアミドのエピハロヒドリン変性物中に存在するポリアミンの2級アミノ基とモノカルボン酸が反応することにより生じる3級アミド基の数)/(該ポリアミン中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.05〜0.9、(ポリアミドのエピハロヒドリン変性物中に存在するポリアミンの2級アミノ基とエピハロヒドリン又はグリシドールが反応することにより生じる3級アミノ基の数)/(ポリアミド中に存在する2級アミノ基の数)の比が0.1〜0.95であるものに限る。)のいずれか少なくとも1種の化合物
    を含有する撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液。
  2. (A)成分および(B)成分を(A):(B)=4:96〜99:1の固形分比率で含有する請求項1記載の撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液。
  3. (B)のモノカルボン酸の炭素数が2〜36である請求項1又は2に記載の撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液を用いて得られる塗工層と撥水剤層とからなる撥水紙。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液を原紙に塗工、乾燥して形成した下塗り塗工層上に撥水剤を塗工、乾燥する工程を含む下塗り塗工層と撥水剤層を併有する撥水紙の製造方法。
JP2006295308A 2006-10-31 2006-10-31 撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法 Active JP4868229B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006295308A JP4868229B2 (ja) 2006-10-31 2006-10-31 撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006295308A JP4868229B2 (ja) 2006-10-31 2006-10-31 撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008111208A JP2008111208A (ja) 2008-05-15
JP4868229B2 true JP4868229B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=39443875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006295308A Active JP4868229B2 (ja) 2006-10-31 2006-10-31 撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4868229B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013234413A (ja) * 2012-05-11 2013-11-21 Taoka Chem Co Ltd 紙塗工用樹脂組成物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5824556B2 (ja) * 1974-08-07 1983-05-21 住友化学工業株式会社 繊維または紙の処理方法
JP2925026B2 (ja) * 1990-05-02 1999-07-26 荒川化学工業株式会社 ケテンダイマー系サイズ剤および該サイズ剤を用いてなる紙サイジング方法
JP3944823B2 (ja) * 2001-11-06 2007-07-18 星光Pmc株式会社 紙用添加剤及びそれを含有する紙
JP4371906B2 (ja) * 2004-05-27 2009-11-25 王子板紙株式会社 撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008111208A (ja) 2008-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6247215B2 (ja) 耐折り曲げ性に優れた耐油紙
JPWO2005121241A1 (ja) 水性分散液、組成物および紙用コーテイング剤
JP5467485B2 (ja) 製紙用嵩高剤
JP4868229B2 (ja) 撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法
TWI791577B (zh) 疏水性之含乙烯胺之聚合物組合物及其於製紙應用之用途
JP4589379B2 (ja) 反応性サイズの水性分散液、その製造方法およびその使用
JP6070071B2 (ja) 紙の製造方法
JP3970072B2 (ja) クリアー塗工用すべり性付与剤及びそれを塗工したクリア塗工紙
JP4371906B2 (ja) 撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法
JP2006104609A (ja) 紙用内添添加剤、紙の製造方法及び紙
TW202146596A (zh) 非氟共聚物組成物及紙用耐油劑
JP4868277B2 (ja) 板紙の製造方法
JPS6215679B2 (ja)
JP4941010B2 (ja) 撥水剤用下塗り塗工液、撥水紙およびその製造方法
JP7413904B2 (ja) 紙用添加剤、および紙
KR20150131144A (ko) 제지기 성능을 증가시키고 사이징을 향상시키기 위한 알데하이드-작용화된 폴리머를 사용하는 방법
JP5408560B2 (ja) サイズ剤組成物、抄紙方法、及び板紙の製造方法
JP4562477B2 (ja) 表面サイズ剤、表面サイジング組成物及び紙
JP5821684B2 (ja) 果実袋用紙
JP6213253B2 (ja) 果実袋用紙
JP4688603B2 (ja) 表面サイズ剤、表面サイジング方法及び紙
JP4868282B2 (ja) 汚れ防止方法
JP3274760B2 (ja) エステル化ロジン物質の水性分散液
JP5621956B2 (ja) 紙用搾水性向上剤
JP5420951B2 (ja) 紙の製造方法及びそれを用いた紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091006

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110817

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111020

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4868229

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250