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JP4868052B2 - 金型の表面処理方法 - Google Patents

金型の表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は金型の表面処理方法に関する。特に、表面に炭素膜が被覆されている金型において、その炭素膜の形成方法に関する。
一定の形状、一定の品質の製品を大量に生産するために、金型を使用する技術が知られている。特許文献1の技術では、成形後の製品を金型から取り外し易くするために、金型の表面に炭素膜を被覆する。特許文献1では、耐摩耗性、耐食性、熱伝導性、摩擦特性、機械的強度を向上させるために、金型の表面に、繊維状のナノカーボン類を被覆する。これにより、例えば鋳造用金型の場合、鋳造型への溶湯の焼き付きを抑制し、鋳造型の寿命を延ばしている。なお、特許文献1では、ナノカーボン類の例として、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ及びカーボンナノフィラメントが挙げられている。これらは、結晶質カーボンに分類される。
特開2008−105082号公報
特許文献1の技術によると、繊維状ナノカーボンのアンカー効果により、炭素膜が金型表面から剥離することを抑制している。しかしながら、ナノカーボンのアンカー効果だけでは、繰り返し製造(鋳造)を行うと、炭素膜が金型表面から剥離してしまう。特許文献1には、炭素膜と金型表面の間に窒化層等を設けることにより、金型からの炭素膜の剥離が抑制されるという記載がある。しかしながら、このような方法でも、製造を繰り返すうちに、窒化膜が割れたり、炭素膜が窒化層から剥離してしまうことが避けられない。炭素膜が金型から剥離すると、再度炭素膜を被覆するためのメンテナンスが必要となる。炭素膜と金型の剥離を抑制し、金型の寿命をより長くする技術が求められている。
本明細書で開示される技術は、金型の表面を非晶質カーボンで被覆し、その非晶質カーボンの隙間に、フラーレンを効率よく充填することを特徴とする。別言すると、本明細書で開示される技術は、フラーレンによって、金型の表面の炭素膜(非晶質カーボン)を強化することを特徴とする。それにより、炭素膜を緻密化し、炭素膜が金型から剥離する現象を、従来の技術よりも顕著に抑制することができる。
なお、フラーレンとは、閉殻構造を有する炭素クラスタであり、通常は炭素数が60〜130の偶数である。具体例としては、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90,C92、C94、C96及び、これらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスタが挙げられる。本明細書でいうフラーレンは、上記のフラーレンの他、フラーレン分子に他の分子や官能基を化学的に修飾したフラーレン誘導体を含む。
本明細書で開示する金型の表面処理方法は、金型の表面を被覆している非晶質カーボンにフラーレンを供給し、非晶質カーボンの表面を被覆部材で被覆した状態で非晶質カーボンを400℃以上に加熱する。より具体的には、金型の表面を被覆している非晶質カーボンにフラーレンを供給し、被覆部材を非晶質カーボンの表面に接触させた状態で非晶質カーボンを400℃以上に加熱する。なお、非晶質カーボンの例として、カーボンナノファイバー、DLC(Diamond like Carbon)等が挙げられる。また、「被覆部材」は、非晶質カーボンを加熱する際に、非晶質カーボンの表面を被覆することができるものであれば、その材質は限定されない。例えば、「被覆部材」は、融点が400℃以上の金属板であってもよい。あるいは、「被覆部材」は、セラミックス板であってもよい。また、また、非晶質カーボンは、「被覆部材」を介して加熱してもよいし、「被覆部材」を介さずに加熱してもよい。
上記の表面処理方法によると、非晶質カーボンの隙間がフラーレンで充填される。フラーレンは、400℃以上に加熱すると、固体から気体へと昇華し、さらに非晶質になる。すなわち、上記の処理方法によると、非晶質カーボンが緻密化される。それにより、炭素膜(非晶質カーボン)と金型の結合が強固となり、炭素膜が金型から剥離することが顕著に抑制される。なお、被覆部材が炭素膜に接しているので、気体へ昇華したフラーレンは、炭素膜の内部に浸透する。すなわち、気体へ昇華したフラーレンは、炭素膜の外部へと移動することが制限される。例えば炭素膜の表面に被覆部材を接触させないで400℃以上に加熱すると、気体へ昇華したフラーレンは、炭素膜の外部に拡散することができる。そのため、炭素膜を十分に強化することができない。また、結晶質カーボンにフラーレンを供給すると、気体へ昇華したフラーレンが結晶質カーボンを通過し、金型内部に浸透する。そのため、結晶質カーボンにフラーレンを供給しても、炭素膜(結晶質カーボン)を強化する効果が低減する。本明細書に開示する技術は、「金型を被覆している炭素膜が非晶質カーボンである」こと、「炭素膜を被覆部材で被覆した状態で400℃以上に加熱する」ことの双方を満足することにより、強化された炭素膜を得ることができる。
被覆部材は、金型よりも融点が低い金属であってもよい。その場合、被覆部材(金属)を溶融した状態で、フラーレンが供給された金型を金属(金属溶湯)中に浸漬させることで、非晶質カーボンを400℃以上に加熱してもよい。
本明細書に開示する金型の表面処理方法では、被覆部材で被覆した状態で非晶質カーボンを400℃以上に加熱した後、その被覆部材で被覆した状態のままで非晶質カーボンを400℃未満に冷却してもよい。より具体的には、被覆部材を接触させた状態で非晶質カーボンを400℃以上に加熱した後、その被覆部材を接触させた状態のままで非晶質カーボンを400℃未満に冷却する。気体へ昇華して炭素膜内に浸透したフラーレンが、再び炭素膜の外部に拡散することを抑制できる。すなわち、気体へ昇華したフラーレンを、確実に炭素膜内で凝結させることができる。
金属(金属溶湯)中に浸漬させた金型を400℃以上に加熱した後、その金型を不活性雰囲気中で金属から分離してもよい。すなわち、金属中に浸漬させた金型を400℃以上に加熱した後、その金型を、不活性雰囲気中で溶融した金属から取り出してもよい。そして、金型を溶融した金属から取り出した後、その金型に付着した上記金属を、不活性雰囲気中で金型から除去してもよい。炭素膜、フラーレンが酸化することを抑制できる。
上記のように、金属溶湯に金型を浸漬させると、炭素膜に供給されたフラーレンが、金属溶湯で密閉される。気体へ昇華したフラーレンが、確実に炭素膜内に浸透する。
本発明によれば、金型の表面に設けた炭素膜が、金型表面から剥離することを抑制することができる。
炭素膜にフラーレンを供給した状態の概略図を示す。 フラーレンが炭素膜に浸透する現象の概略図を示す(1)。 フラーレンが炭素膜に浸透する現象の概略図を示す(2)。 フラーレンが炭素膜の外部に拡散する現象の概略図を示す。 フラーレンが炭素膜を通過し、金型に浸透する現象の概略図を示す。 実施例の炭素膜表面のSEM像を示す。 比較例の炭素膜表面のSEM像を示す(1)。 比較例の炭素膜表面のSEM像を示す(2)。
実施例を説明する前に、実施例の技術的特徴のいくつかを記す。金型の表面を被覆する非晶質カーボンへのフラーレンの供給は、非晶質カーボンの表面にフラーレンを含有した液体を塗布することで行うことができる。フラーレンを含有する液体を非晶質カーボンの表面に塗布することで、非晶質カーボン内にフラーレンを均一に供給することができる。なお、フラーレンを含有する液体は、アルコール類であることが好ましい。フラーレンはアルコール類に分散しやすいので、フラーレンを含有する溶液を容易に作製することができる。また、非晶質カーボンに液体を塗布した後、アルコール類が揮発し、非晶質カーボン内にフラーレンだけが残存する。そのため、アルコール類を拭き取る必要がない。
金型の材質は、SKD61(熱間ダイス鋼)とすることができる。この金型の一例としては、アルミニウム製品を製造するための鋳造型が挙げられる。金型の表面は炭素膜によって被覆されている。炭素膜は、フラーレンによって強化されている。そのため、アルミニウム溶湯の流動性を確保することができるとともに、アルミニウム溶湯が炭素膜内部に浸透することを抑制することができる。
なお、金型の表面に直接炭素膜(非晶質カーボン)を被覆してもよいし、金型と炭素膜の間に、窒化層、浸硫層を設けてもよい。
まず、炭素膜(非晶質カーボン)にフラーレンを塗布する方法を説明する。なお、金型表面に炭素膜を被覆する方法、あるいは、金型表面に窒化層、浸硫層を介して炭素膜を被覆する方法は公知である。そのため、ここでは説明を省略する。
図1に示すように、1重量%のフラーレンC60(フロンティアカーボン社製 nanom purple ST)を含有するイソプロピルアルコールを、非晶質カーボン4が形成された金型2の表面に刷毛で塗布した。イソプロピルアルコールは常温で揮発するので、非晶質カーボン4内には、フラーレンC60の粉末6だけが残存する。なお、以下の説明では、フラーレンC60の粉末6をフラーレン6と称し、非晶質カーボン4を炭素膜4と称すことがある。この段階で、炭素膜4とフラーレン6は、ファンデルワールス力で結合している。その後、300℃に加熱した。この段階で、炭素膜4とフラーレン6は共有結合している。フラーレン6は、炭素膜4の表面側に偏在し、炭素膜4の内部にまで浸透していない。
次いで、図2に示すように、炭素膜4の表面に金属板8を接触させ、金属板8を400〜700℃に加熱する。金属板8は、被覆部材の一例である。金属板8を加熱すると、炭素膜4の温度が上昇する。炭素膜4(フラーレン6)が400℃を超えると、粉末のフラーレン6が気体に昇華し、炭素膜4の内部に浸透する。その後、炭素膜4の表面に金属板8を接触させたまま、金型をおよそ300℃に冷却する。すると、気体のフラーレン6が炭素膜4内で固体に昇華(凝結)する。気体に昇華したフラーレン6が炭素膜4の外部に拡散することを抑制できる。その後、金属板8を取り除き、金型2を冷却する。なお、以下の説明では、固体から気体に相転位する現象を昇華と称し、気体から液体に相転位する現象を凝結と称する。昇華したフラーレン6は、炭素膜4の隙間に移動する。すなわち、フラーレン6が、炭素膜4の脆弱部分に充填される。フラーレン6が凝結すると、非晶質カーボン(炭素膜4)と非晶質化したフラーレンが金属結合する。炭素膜4が緻密化して強固になるので、炭素膜4が金型2から剥離することを顕著に抑制することができる。なお、炭素膜4とフラーレン6が金属結合によって強固に結合しているので、例えば炭素膜4の表面に高温の材料が接触しても、フラーレン6が、炭素膜4の外部、あるいは、金型2の内部に移動することが抑制される。なお、金型2の融点がおよそ1400℃なので、金型2の変形を抑制するために、金属板8は700℃以下に加熱することが好ましい。
上記したように、フラーレン6が供給された炭素膜4に400℃以上の熱を加えると、炭素膜4が強化される。そのため、その後炭素膜4に熱が加わっても、フラーレン6が、炭素膜4の外部、あるいは、金型2の内部に移動することが抑制される。炭素膜4の強度を長期間に亘って維持することができる。別言すると、緻密化した炭素膜4に熱が加わっても、炭素膜4の構造が変化しにくい。このような炭素膜4を有する金型2は、例えば、アルミニウム製品を製造する鋳造型として利用することができる。炭素膜4が緻密化しているので、アルミニウム溶湯が金型に浸入することを防止することができる。また、炭素膜4が金型2の表面から剥離することが抑制されるので、アルミニウム製品の離型抵抗、焼き付きを長期間に亘って小さく維持することができる。なお、金型2と炭素膜4の間に窒化層、浸硫層等を設ければ、昇華したフラーレン6が金型2内に浸炭することを、より確実に防止することができる。
図3は、フラーレン6を炭素膜4内に移動させる他の方法を示す。容器12内には、金属溶湯10が収容されている。金属溶湯10は400℃以上である。金属溶湯10として、例えば、融点が580℃のADC12(アルミニウム合金)、融点が231.9℃の錫等を使用することができる。まず、炭素膜4にフラーレン6を供給した(図1を参照)後に、金型2を金属溶湯10内に浸漬する。炭素膜4は、金属溶湯10によって瞬時に密閉されるとともに加熱される。この場合、金属溶湯10が、被覆部材として働く。炭素膜4が密閉された状態でフラーレン6が昇華するので、フラーレン6は、炭素膜4の内部に浸透する。その後、金型2を400℃未満にし、金属溶湯10から取り出し、付着している金属溶湯10を除去する。次いで、金型2を室温で冷却する。これにより、昇華しているフラーレン6が炭素膜4内で凝結する。例えば金属溶湯10として錫を使用する場合、450℃の錫10内に金型2を浸漬すると、金型2の表面が密閉された状態で、炭素膜4が400℃以上に加熱される。フラーレン6は昇華し、炭素膜4の内部に浸透する。その後金型を300℃に冷却すると、フラーレン6が炭素膜4内で凝結する。昇華したフラーレン6は、炭素膜4の外部に拡散しない。上記したように錫の融点は231.9℃なので、フラーレン6が炭素膜4内で凝結した後も、金属溶湯10は凝固しない。よって、金型2を、金属溶湯10から容易に取り出すことができる。この方法は、金型のほぼ全面に炭素膜を被覆する場合に特に有用である。例えば、入子の表面に炭素膜を被覆する場合、入子の全面に被覆された炭素膜を、一度に強化することができる。なお、金属溶湯10の凝固点は400℃以上であってもよい。この場合、金型2を400℃未満にした後に、金型2から凝固した金属溶湯10を取り除けばよい。
金型2を金属溶湯10から取り出す、あるいは、金型2から凝固した金属溶湯10を取り除く作業は、窒素(N)、アルゴン(Ar)等の不活性雰囲気で行うことが好ましい。炭素膜4及びフラーレン6が酸化することを抑制できる。
ここで、炭素膜4の表面に被覆部材を接触させないで、炭素膜4を400℃以上に加熱した例について説明する。上記したように、フラーレンは、400℃以上に加熱すると昇華する。図4に示すように、炭素膜4の表面が開放されていると、昇華したフラーレン6が炭素膜4の外部に移動する。そのため、炭素膜4が緻密化され難く、金型2からの剥離が改善されない。被覆部材は、昇華したフラーレン6を炭素膜4内に留める働きを行う。また、上述した実施例の被覆部材では、炭素膜4に供給されたフラーレン6に熱を伝達する働きを行う。
次に、炭素膜4の材料として、結晶質カーボンを使用した例について説明する。図5の符号4aは、結晶質カーボンを示している。図5に示すように、結晶質カーボン4aの表面に金属板8を接触させることにより、昇華したフラーレン6が、結晶質カーボン4aから外部(雰囲気)へ移動することを抑制することができる。しかしながら、昇華したフラーレン6が、結晶質カーボン4aの隙間を通過して、金型2内に移動する。すなわち、フラーレン6が金型2に浸炭する。そのため、炭素膜4aを緻密化する効果が減少し、金型2からの剥離が改善されない。
上記したように、金型2の表面に非晶質カーボンを設けること、及び、フラーレンが供給された後の非晶質カーボンを被覆部材で被覆した状態で、非晶質カーボンを400℃以上に加熱すること、の双方を満足することにより、炭素膜を強化することができる。
図6は、上記実施例の方法で処理した後の炭素膜4のSEM像である。図7は、金属2に炭素膜(非晶質カーボン)4を形成した後の炭素膜4のSEM像である。図8は、炭素膜4にフラーレン6を供給した状態(炭素膜4の加熱前の状態)のSEM像である。図8に示すように、非晶質カーボン4にフラーレン6を供給すると、フラーレン6のみが確認され、非晶質カーボン4が確認されない(図7も参照)。これは、フラーレン6が、非晶質カーボン4の内部に浸透しないで、非晶質カーボン4の表層に偏在していることを示している。それに対して、上記実施例の方法で処理すると、非晶質カーボン4の隙間をフラーレン6が充填していることが確認される(図6を参照)。すなわち、炭素膜4が緻密化していることが確認される。なお、図6は、アルミニウム製品を6000回製造した後の、炭素膜4のSEM像である。上記実施例の方法で処理した後の炭素膜は、長期間に亘って非晶質カーボンが残存していることが確認された。また、図示は省略するが、結晶質カーボンにフラーレンを供給し、結晶質カーボンを密閉した状態で加熱すると、金属表面に浸炭層が確認された。
本実施例の結果をまとめる。金属の表面に非晶質カーボンを被覆することにより、フラーレンが金型に浸炭することを抑制することができる。非晶質カーボンを被覆部材で被覆した状態で加熱することにより、昇華したフラーレンが非晶質カーボン外に移動することが抑制され、フラーレンが効果的に非晶質カーボン内に浸入する。その結果、炭素膜(非晶質カーボン)が緻密化し、炭素膜が金型から剥離しにくくなる。なお、結晶質カーボンは、繊維状であることが多い。繊維状の材料は、人体へ悪影響を与える虞がある。安全上の観点からも、非晶質カーボンを使用することが好ましい。また、炭素膜が金型から剥離した場合でも、繊維状の結晶質カーボンよりも、非晶質カーボンの方が、製品に与えるダメージが少ない。
なお、上記実施例では、刷毛を利用して、フラーレンを含有する液体を炭素膜に塗布する例について説明した。しかしながら、例えば、粉体のフラーレンを、直接炭素膜に付着させてもよい。あるいは、フラーレンを含有する液体を、スプレー等を利用して炭素膜に供給してもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:金型
4:非晶質カーボン
6:フラーレン
8:被覆部材

Claims (5)

  1. 金型の表面を被覆している非晶質カーボンにフラーレンを供給し、被覆部材を非晶質カーボンの表面に接触させた状態で非晶質カーボンを400℃以上に加熱する金型の表面処理方法。
  2. 前記被覆部材は、前記金型よりも融点が低い金属であり、
    その金属を溶融した状態で、フラーレンが供給された金型を金属中に浸漬させることで非晶質カーボンを400℃以上に加熱する、請求項1に記載の金型の表面処理方法。
  3. 前記被覆部材を接触させた状態で非晶質カーボンを400℃以上に加熱した後、その被覆部材を接触させた状態のままで非晶質カーボンを400℃未満に冷却する、請求項1又は2に記載の金型の表面処理方法。
  4. 前記金属中に浸漬させた金型を400℃以上に加熱した後、その金型を、不活性雰囲気中で溶融した金属から取り出す、請求項2に記載の金型の表面処理方法。
  5. 金型を溶融した金属から取り出した後、その金型に付着した前記金属を、不活性雰囲気中で金型から除去する、請求項4に記載の金型の表面処理方法。
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