本発明の好ましい形態は、
導電性薄膜、少なくとも1つの材料からなる有機光電変換膜、透明導電性薄膜の順に積層されてなる光電変換素子において、該有機光電変換膜が前記の一般式(I)で示される化合物及びフラーレン若しくはフラーレン誘導体を含んでなることを特徴とする光電変換素子である。
本発明で用いられる置換基Wについて記載する。
置換基Wとしてはハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といっても良い)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が挙げられる。
更に詳しくは、Wは、下記の(1)〜(48)などを表す。(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1から30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
(2−c)ビシクロアルキル基
好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
(2−d)トリシクロアルキル基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
(2−e)更に環構造が多い多環シクロアルキル基
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、更にアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
(3−a)アルケニル基
好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
(3−b)シクロアルケニル基
好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
(3−c)ビシクロアルケニル基
置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
(5)アリール基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
(6)複素環基
好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換の、芳香族若しくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数 2から50の5若しくは6員の芳香族の複素環基である。(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
(7)シアノ基
(8)ヒドロキシ基
(9)ニトロ基
(10)カルボキシ基
(11)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
(12)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
(13)シリルオキシ基
好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
(14)ヘテロ環オキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
(15)アシルオキシ基
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
(16)カルバモイルオキシ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
(17)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
(18)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
(19)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
(20)アンモニオ基
好ましくは、アンモニオ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキル、アリール、複素環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
(21)アシルアミノ基
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
(22)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
(23)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)
(24)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
(25)スルファモイルアミノ基
好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
(26)アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
(27)メルカプト基
(28)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
(29)アリールチオ基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
(30)ヘテロ環チオ基
好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
(31)スルファモイル基
好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
(32)スルホ基
(33)アルキル若しくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
(34)アルキル若しくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)
(35)アシル基
好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)
(36)アリールオキシカルボニル基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
(37)アルコキシカルボニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
(38)カルバモイル基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
(39)アリール及びヘテロ環アゾ基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
(40)イミド基
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
(41)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
(42)ホスフィニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
(43)ホスフィニルオキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
(44)ホスフィニルアミノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
(45)ホスフォ基
(46)シリル基
好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
(47)ヒドラジノ基
好ましくは炭素数0から30の置換若しくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
(48)ウレイド基
好ましくは炭素数0から30の置換若しくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
また、2つのWが共同して環を形成することもできる。このような環としては芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環や、これらが更に組み合わされて形成された多環縮合環が挙げられる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、及びフェナジン環が挙げられる。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)が挙げられる。より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
本発明で用いられる一般式(I)で示される化合物について詳細に記載する。
一般式(I)中、Z1は5又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。L1、L2、L3はそれぞれ無置換メチン基、又は置換メチン基を表す。D1は原子群を表す。nは0以上の整数を表す。
Z1は5又は6員環を形成するのに必要な原子群を表し、形成される環としては、通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン等。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン等。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン等。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール等。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸又は2−チオバルビツル酸及びその誘導体等。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2―ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニン及びその誘導体等。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド等。
(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等。
(j)2,4−チアゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノン等。
(l)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(m)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(n)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等。
(o)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオン等。
(p)ベンゾチオフェンー3−オン核:例えばベンゾチオフェンー3−オン、オキソベンゾチオフェンー3−オン、ジオキソベンゾチオフェンー3−オン等。
(q)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニルー1−インダノン、3−メチルー1−インダノン、3,3−ジフェニルー1−インダノン、3,3−ジメチルー1−インダノン等。
Z1で形成される環として好ましくは、1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェンー3−オン核、インダノン核であり、より好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェンー3−オン核、インダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核、バルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核及びそれらの誘導体である。
Z1により形成される環として好ましいものは下記の式で表される。
Z3は5ないし6員環を形成するに必要な原子群を表す。Z3としては上記Z1により形成される環中から選ぶことができ、好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核、バルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核及びそれらの誘導体である。
アクセプター部同士の相互作用を制御する事により、C60と共蒸着膜とした際、高い正孔輸送性を発現させる事ができることを見出した。アクセプター部の構造、及び立体障害となる置換基の導入により相互作用の制御を行う事が可能である。バルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核において、2つのN位の水素を好ましくは2つとも、置換基により置換する事で好ましく分子間相互作用を制御する事が可能であり、置換基としては前記置換基Wがあげられるが、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基である。
Z1により形成される環が1,3−インダンジオン核の場合、前記一般式(IV)で示される基又は前記一般式(V)で示される基である場合が好ましい。
前記一般式(IV)で示される基の場合、R41〜R44はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば置換基Wとして挙げたものが適用できる。また、R41〜R44はそれぞれ隣接するものが、結合して環を形成することができ、R42とR43が結合して環(例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環)を形成する場合が好ましい。R41〜R44としては全てが水素原子である場合が好ましい。
前記一般式(IV)で示される基が前記一般式(V)で示される基である場合が好ましい。
前記一般式(V)で示される基の場合、R41、R44、R45〜R48はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば置換基Wとして挙げたものが適用できる。R41、R44、R45〜R48としては全てが水素原子である場合が好ましい。
Z1により形成される環が2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)の場合、前記一般式(VI)で示される基である場合が好ましい。
前記一般式(VI)で示される基の場合、R81、R82はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば置換基Wとして挙げたものが適用できる。R81、R82としてはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基(2−ピリジル等)が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、t−ブチル)を表す場合がより好ましい。
R83は、酸素原子、硫黄原子又は置換基を表すが、R83としては酸素原子、又は硫黄原子を表す場合が好ましい。前記置換基としては結合部が窒素原子であるものと炭素原子であるものが好ましく、窒素原子の場合はアルキル基(炭素数1〜12)若しくはアリール基(炭素数6〜12)が好ましく、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、又はナフチルアミノ基が挙げられる。炭素原子の場合は更に少なくとも一つの電子吸引性基が置換していれば良く、電子吸引性基としてはカルボニル基、シアノ基、スルホキシド基、スルホニル基、又はホスホリル基が挙げられ、更に置換基を有している場合が良い。この置換基としては前記Wが挙げられる。R83としては、該炭素原子を含む5員環又は6員環を形成するものが好ましく、具体的には下記構造のものが挙げられる。
上記の基中のPhはフェニル基を表す。
L1、L2、L3はそれぞれ独立に、無置換メチン基、又は置換メチン基を表す。置換メチン基同士が結合して環(例、6員環例えばベンゼン環)を形成してもよい。置換メチン基の置換基は前記置換基Wが挙げられるが、L1、L2、L3は全てが無置換メチン基である場合が好ましい。
nは0以上の整数を表し、好ましくは0以上3以下の整数を表し、より好ましくは0である。nを増大させた場合、吸収波長域が長波長にする事ができるか、熱による分解温度が低くなる。可視域に適切な吸収を有し、かつ蒸着成膜時の熱分解を抑制する点でn=0が好ましい。
D1は原子群を表す。前記D1は−NRa(Rb)を含む基であることが好ましく、更に、前記D1が−NRa(Rb)が置換したアリール基(好ましくは、置換してよい、フェニル基又はナフチル基)を表す場合が好ましい。Ra、Rbはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、Ra、Rbで表される置換基は前記置換基Wが挙げられるが、好ましくは、脂肪族炭化水素基(好ましくは置換されてよいアルキル基、アルケニル基)、アリール基(好ましくは置換されてよいフェニル基)、又はヘテロ環基である。
前記ヘテロ環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサジアゾール等の5員環が好ましい。
Ra、Rbが置換基(好ましくはアルキル基、アルケニル基)である場合、それらの置換基は、−NRa(Rb)が置換したアリール基の芳香環(好ましくはベンゼン環)骨格の水素原子、又は置換基と結合して環(好ましくは6員環)を形成してもよい。この場合、後記の一般式(VIII)、(IX)又は(X)で表される場合が好ましい。
Ra、Rbは互いに置換基同士が結合して環(好ましくは5員又は6員環、より好ましくは6員環)を形成してもよく、また、Ra、RbはそれぞれがL(L1、L2、L3のいずれかを表す)中の置換基と結合して環(好ましくは5員又は6員環、より好ましくは6員環)を形成してもよい。
D1はパラ位にアミノ基が置換したアリール基(好ましくはフェニル基)である場合が好ましい。この場合、前記一般式(II)で示されることが好ましい。該アミノ基は置換されていてもよい。該アミノ基の置換基としては、前記置換基Wが挙げられるが、脂肪族炭化水素基(好ましくは置換されてよいアルキル基)、アリール基(好ましくは置換されてよいフェニル基)、又はヘテロ環基が好ましい。前記アミノ基はアリール基が2つ置換した、いわゆるジアリール基置換のアミノ基が好ましく、この場合、前記一般式(III)で示されることが好ましい。更に該アミノ基の置換基(好ましくは置換されてよいアルキル基、アルケニル基)はアリール基の芳香環(好ましくはベンゼン環)骨格の水素原子、又は置換基と結合して環(好ましくは6員環)を形成してもよい。
Ra、Rbが脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基の場合の置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルホニル基、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、芳香族ヘテロ環基である。具体例は前記置換基Wで挙げたものが適用できる。
Ra、Rbとして好ましくはアルキル基、アリール基、又は芳香族へテロ環基である。Ra、Rbとして特に好ましくはアルキル基、Lと連結して環を形成するアルキレン基、又はアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、Lと連結して5ないし6員環を形成するアルキレン基、又は置換若しくは無置換のフェニル基であり、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基である。
前記D1が下記の一般式(VII)で示される場合も好ましい。一般式(VII)
式中、R91〜R98はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。mは0以上の整数を表す。mは0又は1である場合が好ましい。Rx、Ryは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、mが2以上の場合、各6員環に結合するRx、Ryは異なる置換基であっても良い。また、R91とR92、R92とRxと、RxとR94、R94とR97、R93とRy、RyとR95、R95とR96、R97とR98はそれぞれ互いに独立して環を形成しても良い。また、L3(nが0のときはL1)との結合部は、R91、R92、R93の位置でも良く、その場合、一般式(VII)中のL3との結合部として表記されている部位に、それぞれR91、R92、R93に相当する置換基又は水素原子が結合し、隣接するR同士は結合して環を形成しても良い。ここで、「隣接するR同士は結合して環を形成しても良い。」とは、例えば、R91がL3(nが0のときはL1)との結合部になる場合、一般式(VII)の結合部にはR90が結合しているとするとR90とR93とが結合し環を形成してもよく、また、R92がL3(nが0のときはL1)との結合部になる場合、一般式(VII)の結合部にはR90が結合しているとするとR90とR91、R90とR93とがそれぞれ結合し環を形成してもよく、また、R93がL3(nが0のときはL1)との結合部になる場合、一般式(VII)の結合部にはR90が結合しているとするとR90とR91、R91とR92とがそれぞれ結合し環を形成してもよいことを言う。
上記の環はベンゼン環である場合が好ましい。
R91〜R98、Rx、Ryの置換基は前記置換基Wが挙げられる。
R91〜R96はいずれも水素原子である場合が好ましく、Rx、Ryはいずれも水素原子である場合が好ましい。R91〜R96は水素原子であり、かつRx、Ryも水素原子である場合が好ましい。
前記R97及びR98は、それぞれ独立に、置換されてよいフェニル基を表す場合が好ましく、該置換基としては前記置換基Wが挙げられるが、好ましくは無置換フェニル基である。
mは0以上の整数を表すが、0又は1が好ましい。
前記D1が一般式(VIII)、(IX)又は(X)で表される基である場合も好ましい。
一般式(VIII)
式中、R51〜R54はそれぞれ独立に、水素又は置換基を表す。該置換基として前記置換基Wが挙げられる。R52とR53、R51とR52はそれぞれ連結して環を形成してもよい。一般式(IX)
式中、R61〜R64はそれぞれ独立に、水素又は置換基を表す。該置換基として前記置換基Wが挙げられる。R62とR63、R61とR62はそれぞれ連結して環を形成してもよい。一般式(X)
式中、R71〜R73はそれぞれ独立に、水素又は置換基を表す。該置換基として前記置換基Wが挙げられる。R72とR73はそれぞれ連結して環を形成してもよい。
前記D1は前記一般式(II)又は(III)で示される基がより好ましく用いられる。
一般式(II)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。またR1とR2、R3とR4、R5とR6、R2とR5、R4とR6がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
R1〜R4における置換基は前記置換基Wが挙げられるが、好ましくはR1〜R4が水素原子、又はR2とR5若しくはR4とR6が5員環を形成する場合であり、より好ましくはR1〜R4のいずれもが水素原子である場合である。
R5、R6における置換基は前記置換基Wが挙げられるが、置換基の中でも、置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、置換アリール基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチレン基、フェナントリル基、アントリル基)が好ましい。R5、R6は好ましくはフェニル基、アルキル置換フェニル基、フェニル置換フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基又はフルオレニル基(好ましくは9,9’−ジメチル−2−フルオレニル基)である。
一般式(III)中、R11〜R14、R20〜R24、R30〜R34はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。またR11〜R14、R20〜R24、R30〜R34がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。その環形成の例としては、R11とR12、R13とR14が結合してベンゼン環を、R20〜R24の隣接する2つ(R24とR23、R23とR20、R20とR21、R21とR22)が結合してベンゼン環を、R30〜R34の隣接する2つ(R34とR33、R33とR30、R30とR31、R31とR32)が結合してベンゼン環を、R22とR34が結合してN原子と共に5員環を形成する場合が挙げられる。
R11〜R14、R20〜R24、R30〜R34で表される置換基は前記置換基Wが挙げられるが、好ましくはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)であり、これらの基は更に前記置換基W(好ましくはアリール基)が置換していてもよい。中でも、R20、R30が前記置換基である場合が好ましく、かつ、その他のR11〜R14、R21〜R24、R31〜R34は水素原子である場合がより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、特開2000−297068号公報に記載の化合物であり、前記公報に記載のない化合物も、前記公報に記載の合成方法に準じて製造することができる。
以下に、一般式(I)で示される化合物の具体例を示すが、一般式(I)のD 1 が一般式(VII)で示される基ではない化合物も参考のため記載している。以下において、一般式(I)のD 1 が一般式(VII)で示される基である化合物は、化合物(26)、(28)及び(69)であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記のR101、R102はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を表す。置換基としては前記置換基Wが挙げられるが、アルキル基、又はアリール基が好ましい。
前記フラーレン又はフラーレン誘導体について、以下詳細に記載する。
本発明においては、光電変換膜にフラーレン又はフラーレン誘導体を含有する光電変換素子を用いる。これらの化合物は有機p型半導体、有機n型半導体、又はこれらの有機半導体と電極間に積層される電子ブロック材料、正孔ブロック材料のいずれとして用いても良いが、好ましくは有機n型半導体として用いる場合である。
本発明のフラーレンとは、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレン540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブを表し、フラーレン誘導体とはこれらに置換基が付加された化合物のことを表す。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換又は無置換のアルキル基を意味する。このような置換基は前記置換基Wが挙げられる。
本発明のフラーレン誘導体として好ましくは、下記一般式(1)で表される場合である。一般式(1)
一般式(1)においてR1は置換基を表す。置換基としては、前述の置換基Wを用いることができる。置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、又は複素環基であり、好ましいもの及びそれらの好ましい具体例は置換基Wで示したものが挙げられる。アルキル基として更に好ましくは、炭素数1〜12までのアルキル基であり、アリール基、及び複素環基の環として好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、ベンズイミダゾール環、イミダゾピリジン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、又はフェナジン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、又はチアゾール環であり、特に好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、又はピリジン環である。これらは更に置換基を有していてもよく、その置換基は可能な限り結合して環を形成してもよい。なお、nfが2以上のとき複数のR1は同一であっても異なっていても良い。また、複数のR1は可能な限り結合して環を形成してもよい。
nfは1から60までの整数を表すが、好ましくは1から6までの整数である。
以下に本発明において好ましく用いられるフラーレン誘導体の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるフラーレン及びフラーレン誘導体は日本化学会編 季刊化学総説No.43(1999)、特開平10−167994号公報、特開平11−255508号公報、特開平11−255509号公報、特開2002−241323号公報、特開2003−196881号公報等に記載の化合物を用いることもできる。本発明に用いられるフラーレン及びフラーレン誘導体は例えば、日本化学会編 季刊化学総説No.43(1999)、特開平10−167994号公報、特開平11−255508号公報、特開平11−255509号公報、特開2002−241323号公報、特開2003−196881号公報等に記載の方法又は記載の方法に準じて製造することができる。
フラーレン、及びフラーレン誘導体と他材料(一般的にはp型半導体と呼ばれる)を接合させることで、ドナー〜アクセプター界面を導入することにより、励起子解離効率を増加させ、高光電変換効率を発現させることは知られているが、全ての材料で大きな光電変換効率の増大が見込める訳ではない。本発明に記載の一般式(I)で示される化合物を用いることで、大きな光電変換効率の増大が可能となった。
十分な量の該界面を導入するため、本発明の該化合物及びフラーレン若しくはフラーレン誘導体(本発明の材料組合せ)は、混合された状態で膜形成されることが望ましい。蒸着法であれば共蒸着法により、塗布法であれば混合液を用意して塗布することにより好ましく実現できる。
前記の本発明の材料組合せを用いる事により、暗電流の主要因の一つである、内部キャリアの湧き出しが少ない。
高速応答性のためには、有機光電変換膜内部にキャリアトラップがなく、電子、正孔ともスムーズに伝達される事が必要である。一般に、通常の材料では電子輸送性に劣るため高速応答が困難な材料が多い。本発明の材料組合せの構成において、フラーレン及びフラーレン誘導体は電子輸送性に優れており、励起子分離により生じた電子がフラーレン及びフラーレン誘導体内を経由して電荷が輸送させる構造にすることで、高速応答性を好ましく実現できる。ただし、そのためには膜の縦方向(両電極に向かう方向)にフラーレン若しくはフラーレン誘導体が繋がった構造になっていることが望ましく、この経路が途中で途切れていると、フラーレン(フラーレン誘導体)から混合(積層)されている他材料への電荷輸送が必要となり、この際のエネルギー的、物理接合的な障壁がトラップとなり応答性を劣化させる。上記達成には、フラーレン若しくはフラーレン誘導体を一定以上の量で導入する必要があり、それぞれ単層膜とした場合の量で、フラーレン若しくはフラーレン誘導体の量が、それ以外に混合膜を形成する材料の量の50%以上の量(モル比)であることが好ましく、200%以上の量であることが更に好ましく、300%以上の量であることが特に好ましい。
高速応答性を持たせるため、フラーレン若しくはフラーレン誘導体と混合させる材料(一般式(I)で示される化合物)は、その材料単体として、電子、正孔輸送性が高い材料である事が好ましいのは言うまでもない。ただし、フラーレン若しくはフラーレン誘導体により電子輸送能が補完されるため、少なくともホール輸送能が高いことが望ましい。
通常、単材料の光電変換材料層に直接上部透明電極を成膜すると、下層のダメージによる劣化や、上部電極と該材料層との間の悪い接触性により光電変換効率が減少したり、応答速度が遅くなったりする場合があるためと電極からの注入電流を抑制するため、上部電極と本発明の光電変換層の間に、正孔ブロッキング層(バッファー層)を付与する。しかし、本発明の光電変換層とすることで、フラーレン導入による膜耐性の強化、フラーレンと電極との正孔注入に対する大きなエネルギー障壁の導入、フラーレンの球状形状に由来すると思われる電極との良好な接触性により、該正孔ブロッキング層(バッファー層)が無くとも、光電変換効率、暗電流、応答速度等の性能が劣化しない。そのため、該正孔ブロッキング層(バッファー層)導入により場合によって発生する応答速度の劣化を構造的に排除することができる。
本発明規定の材料において、該構造は非平面型分子であることが好ましい。本発明規定の非平面型分子とは、二つ以上の平面型構造で規定される部分を有し、それらが175〜185度以外の角度をなしてSP2軌道を形成して結合した分子を差す。例えば、一般式(I)において、Z1がなす平面構造と、L2〜D1部がなす平面がL1で立体障害等により折れ曲がった構造をなしている場合を差す。該構造は、一般に知られている分子軌道計算等により求めることができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の材料組合せを下記の光電変換膜に含むことが好ましいが、この光電変換膜を含む光電変換層に用いられる前記本発明の材料組合せ以外の材料、更に前記光電変換膜を含む光電変換素子に用いる他の膜等の構成要素及び、前記光電変換素子を含む撮像素子についの好ましい実施形態を以下に記載する。
電極からの電荷(電子,正孔)の光電変換層への注入を抑制して、暗電流を効果的に減少させることが可能な光電変換素子を提供できる実施形態(第1〜第6の実施形態)を以下に記載する。
これらの実施形態は、一対の電極と、この一対の電極の間に配置された光電変換層を含む光電変換素子において、一対の電極の一方と光電変換層との間に、一対の電極の一方から光電変換層に電荷が注入されるのを抑制する第一の電荷ブロッキング層を設けるにあたり、第一の電荷ブロッキング層を複数層構造とすることで、第一の電荷ブロッキング層が単層構造のときよりも暗電流を抑制できる。更に、一対の電極の他方と光電変換層との間に、一対の電極の他方から光電変換層に電荷が注入されるのを抑制する第二の電荷ブロッキング層を設ける構成においても、第二の電荷ブロッキング層を複数層構造とすることで、第二の電荷ブロッキング層が単層構造のときよりも暗電流を抑制できる。更に、第一の電荷ブロッキング層及び第二の電荷ブロッキング層のそれぞれを構成する複数層のうち少なくとも2つの層が、それぞれ異なる材料からなる場合に、暗電流抑制効果をより向上させられる。更に、複数層のうち少なくとも2つの層が、それぞれ、無機材料からなる層と、有機材料からなる層である場合に、暗電流抑制効果をより向上させられる。以下の第1〜第6の実施形態で、電荷ブロッキング層の具体的構成について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の電荷ブロッキング層を有する光電変換素子の構成の一例を示す断面模式図である。
図1中、参照符号200は光電変換層であり、参照符号202は2層構造の電荷ブロッキング層であり、参照符号202a,202bは、電荷ブロッキング層202を構成する層である。また、参照符号201、204は電極である。
例えば電極204を光入射側の電極としたとき、電極204は、光電変換層200に光を入射させる必要があるため、透明性の高い材料で構成することが好ましい。透明性の高い電極としては、透明導電性酸化物(TCO)が挙げられる。又、電極201は、後述する撮像素子の構成にあるように、その下方に光を透過させる必要がある場合もあるため、同様に透明性の高い材料で構成することが好ましい。電極201を光入射側の電極としたときでも、電極204と電極201は透明性の高い材料で構成しておくことが好ましい。
電荷ブロッキング層202は、電極201と電極204に電圧が印加されたときに、電極204から光電変換層200へ電荷が移動するのを抑制するための層である。電荷ブロッキング層202が単層構造であると、電荷ブロッキング層202を構成する材料自体には中間準位(不純物準位等)が存在し、この中間準位を介して電荷(電子、正孔)の移動が生じて暗電流が増大してしまう。そこで、本実施形態では、これを防止するために、電荷ブロッキング層202を単層ではなく2層構造としている。
電荷ブロッキング層202を構成する層202aと層202bとの間に界面ができることによって、各層202a,202bに存在する中間準位に不連続性が生じ、中間準位等を介したキャリアの移動がしにくくなるため、暗電流を抑制することができると考えられる。但し、各層202a,202bが同一材料であると、各層202a,202bに存在する中間準位が全く同じとなる場合も有り得るため、暗電流抑制効果を更に高めるために、各層202a,202bを構成する材料を異なるものにすることが好ましい。
図2は、図1に示す2層構造の電荷ブロッキング層における中間準位の様子を示すエネルギーダイヤグラムであり、(a)は、層202a,202bがそれぞれ同一の材料からなる場合を示し、(b)は、各層202a,202bがそれぞれ異なる材料からなる場合を示す。
層202aと層202bの材料を同じにした場合、上述したように、界面が発生するため、単層構造に比べれば、暗電流は抑制することができる。しかし、図2(a)に示すように、各層202a,202bの中間準位(S1,S2)が同程度のエネルギー位置にある場合には、各層202a,202bの中間準位を経由した電荷の移動(図中、矢印で示される)が発生してしまう。
ここで、層202aと層202bの材料を異なるものにすると、例えば、図2(b)に示すように、層202bの中間準位(S20)が、層202aの中間準位(S10)よりも高いエネルギー位置にくるため、そのエネルギー準位の差が障壁となり、電荷の移動がその分、抑制される。このように、電荷ブロッキング層202を構成する2層をそれぞれ異なる材料で形成することにより、各層の中間準位の位置を確実に分散させることができ、これにより、中間準位を経由したキャリア移動を抑制する効果が高められることになる。
図1では、光電変換素子が電荷ブロッキング層を1つ有する例を示したが、図1において、電極201と光電変換層200との間に、電極201と電極204に電圧が印加されたときに、電極201から光電変換層200へ電荷が移動するのを抑制するための電荷ブロッキング層を設けた場合でも、この電荷ブロッキング層を2層構造にすることで、暗電流を抑制することができ、更に、2層の材料をそれぞれ異なるものとすることで、より暗電流を抑制することができる。
又、以上の説明では、電荷ブロッキング層202が2層構造の例を示したが、これは3層以上の構造であっても良い。この場合、電荷ブロッキング層を構成する層のうち少なくとも2つの層が、それぞれ異なる材料となっていれば、上述したように、電荷ブロッキング層内部に中間準位の段差を確実に形成することができる。例えば、電荷ブロッキング層を3層構造とした場合には、図3(a)に示すように、最下層と最上層を材料Aとし、その間の中間層を材料Aとは異なる材料Bとすれば良い。又は、図3(b)に示すように、最下層を材料Bとし、中間層と最上層を材料Aとすれば良い。又は、図3(c)に示すように、最下層と中間層を材料Aとし、最上層を材料Bとすれば良い。又は、図3(d)に示すように、最下層を材料A,Bとは異なる材料Cとし、中間層を材料Bとし、最上層を材料Aとすれば良い。
図4は、本実施形態の光電変換素子の別例(3層構造の電子ブロッキング層と3層構造の正孔ブロッキング層を有する光電変換素子)を示す断面模式図である。図5は、図4の光電変換素子に電圧を印加した際の、電子ブロッキング層及び正孔ブロッキングの中間準位を介した電荷移動の様子を説明するためのエネルギーダイヤグラムである。
図4の光電変換素子は、透明基板180上に画素電極(透明電極)190が設けられ、その透明電極190上に、3層構造の電子ブロッキング層192(192a〜192cの各層が積層された構造をもつ)と、光電変換層200と、正孔ブロッキング層203(203a〜203cの各層が積層された構造をもつ)と、が順次積層されており、更に、その上に対向電極300が設けられた構造を有する。各層192a〜192cのうち少なくとも2つの層が、それぞれ異なる材料からなる。ここでは、各層192a〜192cの材料がそれぞれ異なるものとする。同様に、各層203a〜203cのうち少なくとも2つの層が、それぞれ異なる材料からなる。ここでは、各層203a〜203cの材料がそれぞれ異なるものとする。
このような構成により、図5に示すように、電圧印加時においては、電子ブロッキング層192における各層の中間準位(S5,S6,S7)のエネルギー準位は異なり、その段差がエネルギー障壁となって、電子の移動がしにくくなる。同様に、正孔ブロッキング層203における各層の中間準位(S8,S9,S10)のエネルギー準位は異なり、その段差がエネルギー障壁となって、正孔の移動がしにくくなる。
次に、ブロッキング層の複数積層化について、中間準位に関する内容以外の効果について説明する。
これまで説明した、積層化により各層に存在する中間準位をずらす手法は「注入された電荷の輸送を阻害する」ことにより暗電流を抑制するが、ブロッキング層の複数層化は「電極からの電荷の注入を抑制する」ことにより暗電流を低減する効果も有する。
電極からの電荷の注入を抑制するには、「電極と、それと接する層の間のエネルギー障壁を大きくする」、「ブロッキング層を均質にし、電極がブロッキング層以下の層(光電変換層)に対して近接しないようにする」ことが重要である。
前者は、エネルギー的な注入障壁の設置という解決手法であり、後者は、物理的な構造として、膜の微細な欠陥に電極材料が入り込み、光電変換層と電極が近接してリーク箇所ができてしまうことを防止する解決手法である。
ブロッキング層を複数層化した構造にすると、複数層のうちの電極に接する層を、電極とエネルギー障壁差があるように設定し、電極に接しない層を、電荷輸送性があってかつ均一な層としてリーク箇所の発生を防止するように設定することができ、各層に機能を分割して持たせることができる。
電極と接するブロッキング層として無機材料からなる無機材料層を用い、その下層(無機材料層と光電変換層との間)のブロッキング層として有機材料からなる有機材料層を用いることで、より顕著に暗電流が抑制され、かつ信号電荷の読出しも阻害させないことが可能である。
即ち、図1において、層202aを無機材料層とし、層202bを有機材料層とする、図3(b),(d)において、Aを無機材料層とし、Bを有機材料層とする、図3c)において、Bを無機材料層とし、Aを有機材料層とする、図4において192c,203aを無機材料層とし、192a,192b,203b,203cを有機材料層とする、ことで、より顕著に暗電流が抑制され、かつ信号電荷の読出しも阻害されない。
無機材料層を構成する無機材料としては、Si、Mo、Ce、Li、Hf、Ta、Al、Ti、Zn、W、Zrのいずれかを用いることが好ましい。又は、無機材料としては、酸化物を用いることが好ましい。酸化物としては特にSiOを用いることが好ましい。
無機材料層は、電極からの電荷注入を防止するために、隣接する電極の仕事関数との間に、エネルギー障壁が生じるようなイオン化エネルギーIpを有する必要があり、より大きいIpを持つ事が望ましい。ただし、電荷ブロッキング層がこの無機材料層単体だけでは、層厚が薄いと、電極及び光電変換層間にリーク箇所が発生することで十分な注入防止効果が得られず、層厚が厚いと電荷輸送性が減少して、信号電荷を読み出す事が難しくなる。
そこで、この無機材料層に加えて、その下層に有機材料層を設けることが重要である。有機材料層は、光電変換層で発生した信号電荷を輸送するに十分な電荷輸送性を持つとともに、均一な層であり、材料から発生する暗電流の原因となるキャリアが少ない材料であることが望ましい。
これにより、ブロッキング層由来の暗電流を増加させず、かつ、光電変換効率を減少させずに、ブロッキング層を均一で厚いものとすることができ、無機材料層と併せた効果により、暗電流を抑制する事が可能になる。
次に、正孔ブロッキング層及び電子ブロッキング層を構成する有機材料の候補について説明する。
(正孔ブロッキング層)
正孔ブロッキング層には、電子受容性有機材料を用いることができる。
電子受容性材料としては、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体、トリアゾール化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール化合物などを用いることができる。また、電子受容性有機材料でなくとも、十分な電子輸送性を有する材料ならば使用することは可能である。ポルフィリン系化合物や、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(4−(ジメチルアミノスチリル))-4Hピラン)等のスチリル系化合物、4Hピラン系化合物を用いることができる。
正孔ブロッキング層の厚みは、10nm以上200nm以下が好ましく、更に好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。この厚みが薄すぎると、暗電流抑制効果が低下してしまい、厚すぎると光電変換効率が低下してしまうためである。
正孔ブロッキング材料の候補として、具体的には、下記のHB−1〜HB−5、BCPで示される材料が例として挙げられる。Eaはその材料の電子親和力、lpはその材料のイオン化ポテンシャルを示す。
実際に正孔ブロッキング層に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換層の材料により、選択の幅が規定される。隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、かつ、隣接する光電変換層の材料の電子親和力(Ea)と同等のEa若しくはそれより大きいEaを持つものが良い。
(電子ブロッキング層)
電子ブロッキング層には、電子供与性有機材料を用いることができる。具体的には、低分子材料では、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アニールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体などを用いることができ、高分子材料では、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体や、その誘導体を用いることができる。電子供与性化合物でなくとも、十分なホール輸送性を有する化合物であれば用いることは可能である。
電子ブロッキング層の厚みは、10nm以上200nm以下が好ましく、更に好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。この厚みが薄すぎると、暗電流抑制効果が低下してしまい、厚すぎると光電変換効率が低下してしまうためである。
また、電子ブロッキング材料の候補として、具体的には、例えば下記のEB−1〜EB−5、TPD、m−MTDATAで示される材料が挙げられる。
実際に電子ブロッキング層に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換層の材料により、選択の幅が規定される。隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、かつ、隣接する光電変換層の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp若しくはそれより小さいIpを持つものがよい。
本実施形態によれば、従来使用されてきた単層の電荷ブロッキング層ではなく、電荷ブロッキング層を複数層構造としたことにより、外部電界を加えた際に電極からの、光電変換層へのキャリア注入を抑えることができ、光電変換素子の光電流/暗電流比を大きく向上させることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、複数構造の電荷ブロッキング層を有する光電変換素子の具体例について、図6〜図11を参照して説明する。
電荷ブロッキング層には、隣接する電極からの正孔注入障壁が大きくかつ光電流キャリアである電子の輸送能が高い「正孔ブロッキング層」と、隣接する電極からの電子注入障壁が大きくかつ光電流キャリアである正孔の輸送能が高い「電子ブロッキング層」とがある。有機発光素子などでは、特開平11−339966号公報や特開2002−329582号公報のように、キャリアの発光層貫通を防ぐためにすでに有機材料を用いたブロッキング層が用いられているが、このような有機ブロッキング層を光電変換部において電極と光電変換層との間に挟むことによって、外部電圧を印加した際にS/N比を落とすことなく光電変換効率や応答速度を向上させることができる。
正孔ブロッキング層に用いる材料としては、そのイオン化ポテンシャルが、隣接する電極の材料の仕事関数以上であり、かつ、その電子親和力が、隣接する光電変換層の材料の電子親和力以上であるものが用いられる。電子ブロッキング層に用いる材料としては、その電子親和力が、隣接する電極の材料の仕事関数以下であり、かつ、そのイオン化ポテンシャルが、隣接する光電変換層の材料のイオン化ポテンシャル以下であるものが用いられる。その具体例は、第1の実施形態にて説明したとおりである。
以下、このような電荷ブロッキング層を有する光電変換部を含む光電変換素子の構造について具体的に説明する。
まず、正孔ブロッキング層を有する構成について説明する。
図6は、本実施形態の光電変換素子の概略構成を示す断面模式図である。
図6に示す光電変換素子は、対向する一対の電極100及び電極102と、電極100と電極102の間に形成された有機材料からなる光電変換層101と、光電変換層101と電極100との間に形成された正孔ブロッキング層103とからなる光電変換部を含んで構成される。
図示されるように、正孔ブロッキング層103は、材料層103a〜103cの各々を積層した3層構造となっている。上述したように、材料層103a〜103cのうち少なくとも2つの層が、それぞれ異なる材料からなることが好ましい。又、正孔ブロッキング層103は、複数層構造であれば良い。
図6に示す光電変換素子は、電極102上方から光が入射するものとしているため、電極102が光入射側の電極となる。又、図6に示す光電変換素子は、光電変換層101で発生した電荷(正孔及び電子)のうち、正孔を電極102に移動させ、電子を電極100に移動させるように、電極100,102に電圧が印加されるものとしている(つまり、電極100を電子取り出し用の電極としている)。
正孔ブロッキング層103の材料は、そのイオン化ポテンシャルが、隣接する電極100の材料の仕事関数以上であり、かつ、その電子親和力が、隣接する光電変換層101の材料の電子親和力以上であるものが用いられる。この正孔ブロッキング層103を電極100と光電変換層101との間に設けたことにより、電極100,102に電圧を印加したときに、光電変換層101で発生した電子を電極100に移動させることができると共に、電極100から光電変換層101へ正孔が注入されるのを抑制することができる。そして、正孔ブロッキング層103が3層構造となっていることによって、中間準位を介した電極100から光電変換層101への正孔注入抑制効果が高まる。
正孔ブロッキング層103全体の厚みは、10nm〜200nmが最もよい。光電変換層101で発生した電子を電極100に移動させる必要があるので、この厚みが大きすぎるとブロッキング性は向上するが、外部量子効率は低下してしまうためである。
又、電極100,102に外部から印加する電圧を、正孔ブロッキング層103の厚みと光電変換層101の厚みの総和(電極100と電極102との距離に相当)で割った値が1.0×105V/cmから1.0×107V/cmであることが好ましい。
又、図6に示す光電変換素子は、光電変換層101に光を入射させる必要があるため、電極102が透明な電極であることが好ましい。透明とは、波長が約420nm〜約660nmの範囲の可視光を80%以上透過することを言う。
又、図6に示す光電変換素子は、後述するが、電極100下方にも光を透過させる必要がある場合もあるので、電極100も透明電極であることが好ましく、正孔ブロッキング層103も透明であることが好ましい。
図7は、図6に示される構造の光電変換素子の変形例を示す断面模式図である。図6に示す光電変換素子において、光電変換層101で発生した電荷(正孔及び電子)のうち、電子を電極102に移動させ、正孔を電極100に移動させるように、電極100,102に電圧が印加されるものとした場合(つまり、電極102を電子取り出し用の電極とした場合)には、図7に示すように、電極102と光電変換層101との間に正孔ブロッキング層103(材料層103a〜103cを積層した3層構造を有する)を設けた構成にすれば良い。この場合、正孔ブロッキング層103は透明である必要がある。このような構成により、暗電流を抑制することができる。
なお、図6において、材料層103cを無機材料からなる層、材料層103a,103bを有機材料からなる層としたり、図7において、材料層103aを無機材料からなる層、材料層103b,103cを有機材料からなる層としたりといった具合に、電極界面に無機材料層、無機材料層と光電変換層との間に有機材料層が配置されている構成とすることで、上述したように、より顕著に暗電流を抑制しかつ信号電荷の読出しの阻害を防ぐことができる。
次に、電子ブロッキング層を有する構成について説明する。
図8は、本実施形態の光電変換素子の他の例(電子ブロッキング層を有する例)の概略構成を示す断面模式図である。図8において図6と同じ構成には同一の符号を付してある。
図8に示す光電変換素子は、対向する一対の電極100及び電極102と、電極100と電極102の間に形成された光電変換層101と、光電変換層101と電極102との間に形成された電子ブロッキング層104(材料層104a〜104cを積層した3層構造を有する)とからなる光電変換部を含んで構成される。上述したように、材料層104a〜104cのうち少なくとも2つの層が、それぞれ異なる材料からなることが好ましい。又、電子ブロッキング層104は、複数層構造であれば良い。
図8に示す光電変換素子は、電極102上方から光が入射するものとしているため、電極102が光入射側の電極となる。又、図8に示す光電変換素子は、光電変換層101で発生した電荷(正孔及び電子)のうち、正孔を電極102に移動させ、電子を電極100に移動させるように、電極100,102に電圧が印加されるものとしている(つまり、電極100を電子取り出し用の電極としている)。
電子ブロッキング層104の材料は、その電子親和力が、隣接する電極102の材料の仕事関数以下であり、かつ、そのイオン化ポテンシャルが、隣接する光電変換層101の材料のイオン化ポテンシャル以下であるものが用いられる。この電子ブロッキング層104を電極102と光電変換層101との間に設けたことにより、電極100,102に電圧を印加したときに、光電変換層101で発生した正孔を電極102に移動させることができると共に、電極102から光電変換層101へ電子が注入されるのを防ぐことができる。
電子ブロッキング層104の厚みは、10nm〜200nmが最もよい。光電変換層101で発生した正孔を電極102に移動させる必要があるので、この厚みが大きすぎるとブロッキング性は向上するが、外部量子効率は低下してしまうためである。
又、電極100,102に外部から印加する電圧を、電子ブロッキング層104の厚みと光電変換層101の厚みの総和(電極100と電極102との距離に相当)で割った値が1.0×105V/cmから1.0×107V/cmであることが好ましい。
又、図8に示す光電変換素子は、光電変換層101に光を入射させる必要があるため、電極102及び電子ブロッキング層104は透明であることが好ましい。
又、図8に示す光電変換素子は、後述するが、電極100下方にも光を透過させる必要がある場合もあるので、電極100も透明電極であることが好ましい。
図9は、図8に示される構造の光電変換素子の変形例を示す断面模式図である。図8に示す光電変換素子において、光電変換層101で発生した電荷(正孔及び電子)のうち、電子を電極102に移動させ、正孔を電極100に移動させるように、電極100,102に電圧が印加されるものとした場合(つまり、電極102を電子取り出し用の電極とした場合)には、図9に示すように、電極100と光電変換層101との間に電子ブロッキング層104を設けた構成にすれば良い。このような構成により、暗電流を抑制することができる。
なお、図8において、材料層104aを無機材料からなる層、材料層104b,104cを有機材料からなる層としたり、図9において、材料層104cを無機材料からなる層、材料層104a,104bを有機材料からなる層としたりといった具合に、電極界面に無機材料層、無機材料層と光電変換層との間に有機材料層が配置されている構成とすることで、上述したように、より顕著に暗電流を抑制しかつ信号電荷の読出しの阻害を防ぐことができる。
次に、電子ブロッキング層と正孔ブロッキング層を有する構成について説明する。
図10は、本実施形態の光電変換素子の他の例(電子ブロッキング層と正孔ブロッキング層の双方を有する光電変換部を有する例)の概略構成を示す断面模式図である。図10において図6及び図8と同じ構成には同一符号を付してある。
図10に示す光電変換素子は、対向する一対の電極100及び電極102と、電極100と電極102の間に形成された光電変換層101と、光電変換層101と電極100との間に形成された正孔ブロッキング層103(103a〜103c)と、光電変換層101と電極102との間に形成された電子ブロッキング層104(104a〜104c)とからなる光電変換部を含んで構成される。
図10に示す光電変換素子は、電極102上方から光が入射するものとしているため、電極102が光入射側の電極となる。又、図10に示す光電変換素子は、光電変換層101で発生した電荷(正孔及び電子)のうち、正孔を電極102に移動させ、電子を電極100に移動させるように、電極100,102に電圧が印加されるものとしている(つまり、電極100を電子取り出し用の電極としている)。
又、電極100,102に外部から印加する電圧を、正孔ブロッキング層103の厚みと電子ブロッキング層104の厚みと光電変換層101の厚みの総和(電極100と電極102との距離に相当)で割った値が、1.0×105V/cmから1.0×107V/cmであることが好ましい。
このような構成によれば、電極100と電極102双方からの電荷の注入を抑制することができ、効果的に暗電流を抑制することができる。
図11は、図10に示される光電変換素子の変形例を示す断面模式図である。
図10に示す光電変換素子において、光電変換層101で発生した電荷(正孔及び電子)のうち、電子を電極102に移動させ、正孔を電極100に移動させるように、電極100,102に電圧が印加されるものとした場合(つまり、電極102を電子取り出し用の電極とした場合)には、図11に示すように、電極100と光電変換層101との間に電子ブロッキング層104を設け、電極102と光電変換層101との間に正孔ブロッキング層103を設けた構成にすれば良い。
このような構成により、電極100と電極102双方からの電荷の注入を抑制することができ、効果的に暗電流を抑制することができる。
(第3の実施形態)
以下、図11に示す構造の光電変換素子を用いた固体撮像素子の構成例について説明する。以下の説明では、図12〜図16を参照する。各図においても、上記の実施形態と同様に、正孔ブロッキング層及び電子ブロッキング層の双方は複数層構造を有している。ただし、図12〜図16では、作図の都合上、各ブロッキング層は、特に複数層に区分けして描いていない。
図12は、本発明の第3の実施形態を説明するための固体撮像素子の1画素分の断面模式図である。図13は、図12に示す中間層の断面模式図である。この固体撮像素子は、図12に示す1画素が同一平面上でアレイ状に多数配置されたものであり、この1画素から得られる信号によって画像データの1つの画素データを生成することができる。
図12に示す固体撮像素子の1画素は、n型シリコン基板1と、n型シリコン基板1上に形成された透明な絶縁膜7と、絶縁膜7上に形成された第一電極膜11、第一電極膜11上に形成された中間層12、及び中間層12上に形成された第二電極膜13からなる光電変換部とを含んで構成され、光電変換部上には開口の設けられた遮光膜14が形成されており、この遮光膜14によって中間層12の受光領域が制限されている。また、遮光膜14及び第二電極膜13上には透明な絶縁膜15が形成されている。なお、絶縁膜7上に形成される光電変換部は、第一実施形態や第二実施形態で説明した光電変換素子の構成を採用することができる。
中間層12は、図13に示すように、第一電極膜11上に、下引き層兼電子ブロッキング層122と、光電変換層123と、正孔ブロッキング兼バッファ層124とがこの順に積層されて構成される。電子ブロッキング層122と正孔ブロッキング兼バッファ層124は、第一実施形態や第二実施形態で説明したように、それぞれ複数層で構成されている。
光電変換層123は、第二電極膜13上方からの入射光に応じて電子と正孔を含む電荷を発生し、かつ、正孔の移動度よりも電子の移動度が小さく、かつ、第一電極膜11近傍よりも第二電極膜13近傍の方が電子と正孔をより多く発生するような特性を持つ材料を含んで構成される。このような光電変換膜用の材料としては有機材料が代表として挙げられる。図12の構成では、光電変換層123は、緑色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。光電変換層123は、全画素で共通して用いることができるため、1枚構成の膜であれば良く、画素毎に分離しておく必要はない。
光電変換層123は、前記本発明の材料の組合せにより好ましく実現できる。それ以外の光電変換層123を構成する有機材料が含まれる場合、有機p型半導体及び有機n型半導体の少なくとも一方を含んでいることが好ましい。有機p型半導体及び有機n型半導体として、それぞれキナクリドン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、及びフルオランテン誘導体のいずれかを特に好ましく用いることができる。
有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
有機n型半導体(化合物)は、アクセプター性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。
p型有機色素、又はn型有機色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、又は錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、又は亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、又は亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社山本明夫著1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、又はシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、又はシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、又はシロキシ配位子が挙げられる。
中間層12は、前記本発明の組合せのp型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体及びn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を有する光電変換層を含有する場合が好ましい。このような場合、中間層12にバルクへテロ接合構造を含有させることにより、光電変換層123のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換層123の光電変換効率を向上させることができる。なお、バルクへテロ接合構造については、特開2005−303266(特願2004−080639)号において詳細に説明されている。
また、中間層12に含まれる光電変換層は、p型半導体の層、n型半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持ち、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含む場合が好ましく、更に好ましくは、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含む場合である。この有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、更に好ましくは0°以上60°以下であり、更に好ましくは0°以上40°以下であり、更に好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、中間層12全体に対して一部でも含めば良いが、好ましくは、中間層12全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、更に好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような状態は、中間層12に含まれる有機化合物の配向を制御することにより、光電変換素層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換膜の光電変換効率を向上させるものである。
有機化合物の配向が制御されている場合において、更に好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、更に好ましくは30°以上90°以下であり、更に好ましくは50°以上90°以下であり、更に好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°(すなわち基板に対して垂直)である。上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、中間層12全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、中間層12全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、更に好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、中間層12におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔ペア等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。以上の、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光電変換層において、特に光電変換効率の向上が可能である。これらの状態については、特開2006−086493(特願2004−079931)号において詳細に説明されている。光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、有機色素層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm以下、更に好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
これらの有機化合物を含む中間層12は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。
p型半導体(化合物)及びn型半導体(化合物)の少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。一方、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基盤温度、蒸着速度等が基本的なパラメ−タ−である。均一な蒸着を可能とするために基盤を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10−4Torr以下、好ましくは10−6Torr以下、特に好ましくは10−8Torr以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、アモルファス性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニタ−を用いて蒸着速度をPI若しくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
有機材料からなる光電変換層123では、上述した構成において第二電極13の上方から光が入射してくるとすると、光吸収によって発生する電子及び正孔が第二電極13近傍において多く発生し、第一電極11近傍ではそれほど多く発生しないのが一般的である。これは、この光電変換層123の吸収ピーク波長付近の光の多くが第二電極13近傍で吸収されてしまい、第二電極13近傍から離れるにしたがって、光の吸収率が低下していくことに起因している。このため、第二電極13近傍において発生した電子又は正孔がシリコン基板にまで効率良く移動されないと、光電変換効率が低下してしまい、結果的に素子の感度低下を招くことになる。また、第二電極13近傍で強く吸収された光波長による信号が減少することになるため、結果として分光感度の幅が広がってしまういわゆるブロード化を招くことにもなる。
また、有機材料からなる光電変換層123では、電子の移動度が正孔の移動度よりも非常に小さいのが一般的である。更に、有機材料からなる光電変換層123における電子の移動度は酸素の影響を受けやすく、光電変換層123を大気中に晒すと電子の移動度が更に低下しまうことも分かっている。このため、電子をシリコン基板1まで移動させようとする場合、第二電極13近傍において発生した電子の光電変換層123内での移動距離が長いと、電子の移動中にその一部が失活するなどして電極にて捕集されず、結果として感度が低下し、分光感度がブロード化してしまう。
感度低下及び分光感度のブロード化を防ぐためには、第二電極13近傍において発生した電子又は正孔をシリコン基板1にまで効率良く移動させることが有効であり、これを実現するためには、光電変換層123内で発生した電子又は正孔の取り扱い方が課題となる。
固体撮像素子1000は、上述した特性を持つ光電変換層123を有しているため、上述したように、光入射側の電極と反対の電極である第一電極膜11にて正孔を捕集してこれを利用することで、外部量子効率を上げることができ、感度向上及び分光感度のシャープ化が可能となる。そこで、固体撮像素子1000では、光電変換層123で発生した電子が第二電極膜13に移動し、光電変換層123で発生した正孔が第一電極膜11に移動するように、第一電極膜11と第二電極膜13に電圧が印加される。
下引き兼電子ブロッキング層122の1つの機能は、第一電極膜11上の凹凸を緩和するためのものである。第一電極膜11に凹凸がある場合、あるいは第一電極膜11上にゴミが付着していた場合、その上に低分子有機材料を蒸着して光電変換層123を形成すると、この凹凸部分で光電変換層123に細かいクラック、つまり光電変換層123が薄くしか形成されない部分ができやすい。この時、更にその上から第二電極膜13を形成すると、上記クラック部が第二電極膜13にカバレッジされて第一電極膜11と近接するため、DCショートやリーク電流の増大が生じやすい。特に、第二電極膜13としてTCOを用いる場合、その傾向が顕著である。このため、あらかじめ第一電極膜11上に下引き膜兼電子ブロッキング層122を設けることで凹凸を緩和して、これらを抑制することができる。
下引き膜兼電子ブロッキング層122としては、均質で平滑な膜であることが重要である。特に平滑な膜を得ようとする場合、好ましい材料として、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリカルバゾール、PTPDES、PTPDEKなどの有機の高分子系材料があげられ、スピンコート法で形成することもできる。
電子ブロッキング層122は、第一電極膜11から電子が注入されることによる暗電流を低減するために設けられており、第一電極膜11からの電子が光電変換層123に注入されるのを阻止する。
正孔ブロッキング兼バッファ層125は、正孔ブロッキング層として、第二電極膜13から正孔が注入されることによる暗電流を低減するために設けられており、第二電極膜13からの正孔が光電変換層123に注入されるのを阻止する機能とともに、場合によっては、第二電極膜13成膜時に光電変換層123に与えられるダメージを軽減する機能を果たす。
第二電極膜13を光電変換層123の上層に成膜する場合、第二電極膜13の成膜に用いる装置中に存在する高エネルギー粒子、例えばスパッタ法ならば、スパッタ粒子や2次電子、Ar粒子、酸素負イオンなどが光電変換層123に衝突する事で、光電変換層123が変質し、リーク電流の増大や感度の低下など性能劣化が生じる場合がある。これを防止する一つの方法として、光電変換層123の上層にバッファ膜125を設ける事が好ましい。
図12に戻り、n型シリコン基板1内には、その浅い方からp型半導体領域(以下、p領域と略す)4と、n型半導体領域(以下、n領域と略す)3と、p領域2がこの順に形成されている。p領域4の遮光膜14によって遮光されている部分の表面部には、高濃度のp領域(p+領域という)6が形成され、p+領域6の周りはn領域5によって囲まれている。
p領域4とn領域3とのpn接合面のn型シリコン基板1表面からの深さは、青色光を吸収する深さ(約0.2μm)となっている。したがって、p領域4とn領域3は、青色光を吸収してそれに応じた正孔を発生し、これを蓄積するフォトダイオード(Bフォトダイオード)を形成する。Bフォトダイオードで発生した正孔は、p領域4に蓄積される。
p領域2とn型シリコン基板1とのpn接合面のn型シリコン基板1表面からの深さは、赤色光を吸収する深さ(約2μm)となっている。したがって、p領域2とn型シリコン基板1は、赤色光を吸収してそれに応じた正孔を発生し、これを蓄積するフォトダイオード(Rフォトダイオード)を形成する。Rフォトダイオードで発生した正孔は、p領域2に蓄積される。
p+領域6は、絶縁膜7に開けられた開口に形成された接続部9を介して第一電極膜11と電気的に接続されており、接続部9を介して、第一電極膜11で捕集された正孔を蓄積する。接続部9は、第一電極膜11とp+領域6以外とは絶縁膜8によって電気的に絶縁される。
p領域2に蓄積された正孔は、n型シリコン基板1内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域4に蓄積された正孔は、n領域3内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p+領域6に蓄積された電子は、n領域5内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、固体撮像素子1000外部へと出力される。これらのMOS回路が特許請求の範囲の信号読み出し部を構成する。各MOS回路は配線10によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。なお、p領域2、p領域4に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各pn接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
このような構成により、例えば光電変換層123でG光を光電変換し、n型シリコン基板1中のBフォトダイオードとRフォトダイオードでB光及びR光を光電変換することができる。また上部でG光がまず吸収されるため、B−G間及びG−R間の色分離は優れている。これが、シリコン基板内に3つのPDを積層し、シリコン基板内でBGR光を全て分離する形式の固体撮像素子に比べ、大きく優れた点である。以下の説明では、固体撮像素子1000のn型シリコン基板1内に形成される無機材料からなる光電変換を行う部分(Bフォトダイオード及びRフォトダイオード)のことを無機層とも言う。
なお、n型シリコン基板1と第一電極膜11との間(例えば絶縁膜7とn型シリコン基板1との間)に、光電変換層123を透過した光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、n型シリコン基板1内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線10を接続しておけば良い。
第一電極膜11は、光電変換層123で発生して移動してきた正孔を捕集する役割を果たす。第一電極膜11は、画素毎に分離されており、これによって画像データを生成することができる。図12に示す構成では、n型シリコン基板1でも光電変換を行っているため、第一電極膜11は、可視光に対する透過率が60%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。第一電極膜11下方に光電変換領域が存在しない構成の場合には、第一電極膜11は透明性の低いものであっても構わない。材料としては、ITO、IZO、ZnO2、SnO2、TiO2、FTO、Al、Ag、及びAuのいずれかを最も好ましく用いることができる。第一電極膜11の詳細については後述する。
第二電極膜13は、光電変換層123で発生して移動してきた電子を吐き出す機能を有する。第二電極膜13は、全画素で共通して用いることができる。このため、固体撮像素子1000では、第二電極膜13が全画素で共通の一枚構成の膜となっている。第二電極膜13は、光電変換層123に光を入射させる必要があるため、可視光に対する透過性が高い材料を用いる必要がある。第二電極膜13は、その可視光に対する透過率が60%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。材料としては、ITO、IZO、ZnO2、SnO2、TiO2、FTO、Al、Ag、及びAuのいずれかを最も好ましく用いることができる。第二電極膜13の詳細については後述する。
無機層は、結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のpn接合又はpin接合が一般的に用いられる。この場合、シリコンの光進入深さで色分離を行っているため積層された各受光部で検知するスペクトル範囲はブロードとなる。しかしながら、図12に示すように光電変換層123を上層に用いることにより、すなわち光電変換層123を透過した光をシリコンの深さ方向で検出することにより色分離が顕著に改良される。特に図12に示すように、光電変換層123でG光を検出すると、光電変換層123を透過する光はB光とR光になるため、シリコンでの深さ方向での光の分別はBR光のみとなり色分離が改良される。光電変換層123がB光又はR光を検出する場合でも、シリコンのpn接合面の深さを適宜選択することにより顕著に色分離が改良される。
無機層の構成は、光入射側から、npn又はpnpnとなっていることが好ましい。特に、表面にp層を設け表面の電位を高くしておくことで、表面付近で発生した正孔、及び暗電流をトラップすることができ暗電流を低減できるため、pnpn接合とすることがより好ましい。
なお、図12では、光電変換部がn型シリコン基板1上方に1つ積層される構成を示したが、n型シリコン基板1上方に、光電変換部を複数積層した構成にすることも可能である。光電変換部を複数積層した構成については後の実施形態で説明する。このようにした場合は、無機層で検出する光は一色で良く、好ましい色分離が達成できる。また、固体撮像素子1000の1画素にて4色の光を検出しようとする場合には、例えば、1つの光電変換部にて1色を検出して無機層にて3色を検出する構成、光電変換部を2つ積層して2色を検出し、無機層にて2色を検出する構成、光電変換部を3つ積層して3色を検出し、無機層にて1色を検出する構成等が考えられる。また、固体撮像素子1000が、1画素で1色のみを検出する構成であっても良い。この場合は、図1においてp領域2、n領域3、p領域4を無くした構成となる。
無機層について更に詳細に説明する。無機層の好ましい構成としては、光伝導型、p−n接合型、ショットキー接合型、PIN接合型、MSM(金属−半導体−金属)型の受光素子やフォトトランジスタ型の受光素子が挙げられる。特に、図12に示したように、単一の半導体基板内に、第1導電型の領域と、第1導電型と逆の導電型である第2導電型の領域とを交互に複数積層し、第1導電型及び第2導電型の領域の各接合面を、それぞれ異なる複数の波長帯域の光を主に光電変換するために適した深さに形成してなる無機層を用いることが好ましい。単一の半導体基板としては、単結晶シリコンが好ましく、シリコン基板の深さ方向に依存する吸収波長特性を利用して色分離を行うことができる。
無機半導体として、InGaN系、InAlN系、InAlP系、又はInGaAlP系の無機半導体を用いることもできる。nGaN系の無機半導体は、Inの含有組成を適宜変更し、青色の波長範囲内に極大吸収値を有するよう調整されたものである。すなわち、InxGa1-xN(0≦X<1)の組成となる。このような化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて製造される。Gaと同じ13族原料のAlを用いる窒化物半導体のInAlN系についても、InGaN系と同様に短波長受光部として利用することができる。また、GaAs基板に格子整合するInAlP、InGaAlPを用いることもできる
無機半導体は、埋め込み構造となっていてもよい。埋め込み構造とは、短波長受光部部分の両端を短波長受光部とは異なる半導体で覆われる構成のものをいう。両端を覆う半導体としては、短波長受光部のバンドギャップ波長より短い又は同等のバンドギャップ波長を有する半導体であることが好ましい。
第一電極膜11と第二電極膜13の材料は、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、又はこれらの混合物などを用いることができる。金属材料としては、Li、Na、Mg、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Fr、Ra、Sc、Ti、Y、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe,Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In,Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Se、Te、Po、Br、I、At、B、C、N、F、O、S、Nの中から選ばれる任意の組み合わせを挙げることができるが、特に好ましいのはAl、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo、Ti、Ni、Pd、Znである。
第一電極膜11は、中間層12に含まれる正孔輸送性の光電変換層又は正孔輸送層から正孔を取り出してこれを捕集するため、正孔輸送性光電変換層、正孔輸送層などの隣接する層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。第二電極膜13は、中間層12に含まれる電子輸送性の光電変換層又は電子輸送層から電子を取り出してこれを吐き出すため、電子輸送性光電変換層、電子輸送層などの隣接する層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。これらの具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、シリコン化合物及びこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITO、IZOが好ましい。
電極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。ITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
透明な電極膜(透明電極膜)成膜時の条件について触れる。透明電極膜成膜時のシリコン基板温度は500℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃以下で、更に好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。また、透明電極膜成膜中にガスを導入しても良く、基本的にそのガス種は制限されないが、Ar、He、酸素、窒素などを用いることができる。また、これらのガスの混合ガスを用いても良い。特に酸化物の材料の場合は、酸素欠陥が入ることが多いので、酸素を用いることが好ましい。
また、透明電極膜の表面抵抗は、第一電極膜11であるか第二電極膜13であるか等により好ましい範囲は異なる。信号読出し部がCMOS構造である場合、透明導電膜の表面抵抗は、10000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、1000Ω/□以下である。信号読出し部が仮にCCD構造の場合、表面抵抗は1000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100Ω/□以下である。第二電極膜13に使用する場合には1000000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100000Ω/□以下である。
透明電極膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)のいずれかの材料である。透明電極膜の光透過率は、その透明電極膜を含む光電変換部に含まれる光電変換膜の吸収ピーク波長において、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
また、中間層12を複数積層する場合、第一電極膜11と第二電極膜13は、光入射側に最も近い位置にある光電変換膜から最も遠い位置にある光電変換膜まで、それぞれの光電変換層が検出する光以外の波長の光を透過させる必要があり、可視光に対し、好ましくは90%、更に好ましくは95%以上の光を透過する材料を用いる事が好ましい。
第二電極膜13はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで第二電極膜13を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、第二電極膜13の成膜中にプラズマが発生しないか、又はプラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
第二電極膜13の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置又はパルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
プラズマ発生源から基体への距離が2cm以上であって基体へのプラズマの到達が減ずるような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられ、それらについては沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
TCOなどの透明導電膜を第二電極膜13とした場合、DCショート、あるいはリーク電流増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層123に導入される微細なクラックがTCOなどの緻密な膜によってカバレッジされ、反対側の第一電極膜11との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る電極の場合、リーク電流の増大は生じにくい。第二電極膜13の膜厚を、光電変換層123の膜厚(すなわち、クラックの深さ)に対して制御する事により、リーク電流の増大を大きく抑制できる。第二電極膜13の厚みは、光電変換層123厚みの1/5以下、好ましくは1/10以下であるようにする事が望ましい。
通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態の固体撮像素子1000では、シート抵抗は、好ましくは100〜10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、透明導電性薄膜は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換層123での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、非常に好ましい。薄膜化に伴う、リーク電流の抑制、薄膜の抵抗値の増大、透過率の増加を考慮すると、透明導電性薄膜の膜厚は、5〜100nmであることが好ましく、更に好ましくは5〜20nmである事が望ましい。
透明電極膜の材料は、プラズマフリーである成膜装置、EB蒸着装置、及びパルスレーザー蒸着装置により成膜できるものが好ましい。例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が好適に挙げられ、具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムタングステン(IWO)等の導電性金属酸化物、窒化チタン等の金属窒化物、金、白金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。また、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)等に詳細に記載されているものを用いても良い。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第3の実施形態で説明した図12に示す構成の無機層を、n型シリコン基板内で2つのフォトダイオードを積層するのではなく、入射光の入射方向に対して垂直な方向に2つのフォトダイオードを配列して、n型シリコン基板内で2色の光を検出するようにしたものである。
図14は、本発明の第4の実施形態を説明するための固体撮像素子の1画素分の断面模式図である。
図14に示す固体撮像素子2000の1画素は、n型シリコン基板17と、n型シリコン基板17上方に形成された第一電極膜30、第一電極膜30上に形成された中間層31、及び中間層31上に形成された第二電極膜32からなる光電変換部とを含んで構成され、光電変換部上には開口の設けられた遮光膜34が形成されており、この遮光膜34によって中間層31の受光領域が制限されている。また、遮光膜34上には透明な絶縁膜33が形成されている。
第一電極膜30、中間層31、及び第二電極膜32は、第一電極膜11、中間層12、及び第二電極膜13と同じ構成である。
遮光膜34の開口下方のn型シリコン基板17表面には、n領域19とp領域18からなるフォトダイオードと、n領域21とp領域20からなるフォトダイオードとが、n型シリコン基板17表面に並んで形成されている。n型シリコン基板17表面上の任意の方向が、入射光の入射方向に対して垂直な方向となる。
n領域19とp領域18からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してB光を透過するカラーフィルタ28が形成され、その上に第一電極膜30が形成されている。n領域21とp領域20からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してR光を透過するカラーフィルタ29が形成され、その上に第一電極膜30が形成されている。カラーフィルタ28,29の周囲は、透明な絶縁膜25で覆われている。
n領域19とp領域18からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ28を透過したB光を吸収してそれに応じた正孔を発生し、発生した正孔をp領域18に蓄積する。n領域21とp領域20からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ29を透過したR光を吸収してそれに応じた正孔を発生し、発生した正孔をp領域20に蓄積する。
p型シリコン基板17表面の遮光膜34によって遮光されている部分には、p+領域23が形成され、p+領域23の周りはn領域22によって囲まれている。
p+領域23は、絶縁膜24,25に開けられた開口に形成された接続部27を介して第一電極膜30と電気的に接続されており、接続部27を介して、第一電極膜30で捕集された正孔を蓄積する。接続部27は、第一電極膜30とp+領域23以外とは絶縁膜26によって電気的に絶縁される。
p領域18に蓄積された正孔は、n型シリコン基板17内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域20に蓄積された正孔は、n型シリコン基板17内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p+領域23に蓄積された正孔は、n領域22内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、固体撮像素子2000外部へと出力される。これらのMOS回路が特許請求の範囲の信号読み出し部を構成する。各MOS回路は配線35によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。
なお、信号読出し部は、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成しても良い。つまり、p領域18、p領域20、及びp+領域23に蓄積された正孔をn型シリコン基板17内に形成したCCDに読み出し、これをCCDでアンプまで転送して、アンプからその正孔に応じた信号を出力させるような信号読出し部であっても良い。
このように、信号読み出し部は、CCD及びCMOS構造が挙げられるが、消費電力、高速読出し、画素加算、部分読出し等の点から、CMOSの方が好ましい。
なお、図14では、カラーフィルタ28,29によってR光とB光の色分離を行っているが、カラーフィルタ28,29を設けず、p領域20とn領域21のpn接合面の深さと、p領域18とn領域19のpn接合面の深さを各々調整して、それぞれのフォトダイオードでR光とB光を吸収するようにしても良い。この場合、n型シリコン基板17と第一電極膜30との間(例えば絶縁膜24とn型シリコン基板17との間)に、中間層31を透過した光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、n型シリコン基板17内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線35を接続しておけば良い。
また、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1つとし、n型シリコン基板17上方に光電変換部を複数積層した構成としても良い。更に、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを複数とし、n型シリコン基板17上方に光電変換部を複数積層した構成としても良い。また、カラー画像を作る必要がないのであれば、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1つとし、光電変換部を1つだけ積層した構成としても良い。
(第5の実施形態)
本実施形態の固体撮像素子は、第3の実施形態で説明した図12に示す構成の無機層を設けず、シリコン基板上方に複数(ここでは3つ)の光電変換層を積層した構成である。
図15は、本発明の第5の実施形態を説明するための固体撮像素子の1画素分の断面模式図である。
図15に示す固体撮像素子3000は、シリコン基板41上方に、第一電極膜56、第一電極膜56上に積層された中間層57、及び中間層57上に積層された第二電極膜58を含むR光電変換部と、第一電極膜60、第一電極膜60上に積層された中間層61、及び中間層61上に積層された第二電極膜62を含むB光電変換部と、第一電極膜64、第一電極膜64上に積層された中間層65、及び中間層65上に積層された第二電極膜66を含むG光電変換部とが、それぞれに含まれる第一電極膜をシリコン基板41側に向けた状態で、この順に積層された構成となっている。
シリコン基板41上には透明な絶縁膜48が形成され、その上にR光電変換部が形成され、その上に透明な絶縁膜59が形成され、その上にB光電変換部が形成され、その上に透明な絶縁膜63が形成され、その上にG光電変換部が形成され、その上に開口の設けられた遮光膜68が形成され、その上に透明な絶縁膜67が形成されている。
G光電変換部に含まれる第一電極膜64、中間層65、及び第二電極膜66は、図12に示す第一電極膜11、中間層12、及び第二電極膜13と同じ構成である。
B光電変換部に含まれる第一電極膜60、中間層61、及び第二電極膜62は、図12に示す第一電極膜11、中間層12、及び第二電極膜13と同じ構成である。ただし、中間層61に含まれる光電変換層は、青色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。
R光電変換部に含まれる第一電極膜56、中間層57、及び第二電極膜58は、図12に示す第一電極膜11、中間層12、及び第二電極膜13と同じ構成である。ただし、中間層57に含まれる光電変換層は、赤色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する材料を用いる。
中間層61、57に含まれる、それぞれの電子、正孔ブロッキング層は、それぞれの光電変換膜のHOMO、LUMOエネルギー準位と、それと接する各ブロッキング層のHOMO、LUMO準位の関係において、信号電荷の輸送に際しエネルギー障壁が生じないよう、適当な材料、構成を選択することが好ましい。
シリコン基板41表面の遮光膜68によって遮光されている部分には、p+領域43,45,47が形成され、それぞれの周りはn領域42,44,46によって囲まれている。
p+領域43は、絶縁膜48に開けられた開口に形成された接続部54を介して第一電極膜56と電気的に接続されており、接続部54を介して、第一電極膜56で捕集された正孔を蓄積する。接続部54は、第一電極膜56とp+領域43以外とは絶縁膜51によって電気的に絶縁される。
p+領域45は、絶縁膜48、R光電変換部、及び絶縁膜59に開けられた開口に形成された接続部53を介して第一電極膜60と電気的に接続されており、接続部53を介して、第一電極膜60で捕集された正孔を蓄積する。接続部53は、第一電極膜60とp+領域45以外とは絶縁膜50によって電気的に絶縁される。
p+領域47は、絶縁膜48、R光電変換部、絶縁膜59、B光電変換部、及び絶縁膜63に開けられた開口に形成された接続部52を介して第一電極膜64と電気的に接続されており、接続部52を介して、第一電極膜64で捕集された正孔を蓄積する。接続部52は、第一電極膜64とp+領域47以外とは絶縁膜49によって電気的に絶縁される。
p+領域43に蓄積された正孔は、n領域42内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p+領域45に蓄積された正孔は、n領域44内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p+領域47に蓄積された正孔は、n領域46内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、固体撮像素子3000外部へと出力される。これらのMOS回路が特許請求の範囲の信号読み出し部を構成する。各MOS回路は配線55によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。なお、信号読出し部は、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成しても良い。つまり、p+領域43,45,47に蓄積された正孔をシリコン基板41内に形成したCCDに読み出し、これをCCDでアンプまで転送して、アンプからその正孔に応じた信号を出力させるような信号読出し部であっても良い。
なお、シリコン基板41と第一電極膜56との間(例えば絶縁膜48とシリコン基板41との間)に、中間層57,61,65を透過してきた光を受光して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、シリコン基板41内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線55を接続しておけば良い。
このように、第3の実施形態及び第4の実施形態で述べた、光電変換層をシリコン基板上に複数積層する構成は、図15のような構成によって実現できる。
以上の説明において、B光を吸収する光電変換層とは、少なくとも400〜500nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であるものを意味する。G光を吸収する光電変換層とは、少なくとも500〜600nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であることを意味する。R光を吸収する光電変換層とは、少なくとも600〜700nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であることを意味する。
第3の実施形態や第5の実施形態のような構成の場合は、上層からBGR、BRG、GBR、GRB、RBG、RGBという順序で色を検出するパターンが考えられる。好ましくは最上層がGである。また、第4の実施形態のような構成の場合は、上層がR層の場合は下層が同一平面状にBG層、上層がB層の場合は下層が同一平面状にGR層、上層がG層の場合は下層が同一平面状にBR層といった組み合わせが可能である。好ましくは上層がG層で下層が同一平面状にBR層である構成である。
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態を説明するための固体撮像素子の断面模式図である。図16では、光を検出して電荷を蓄積する部分である画素部における2画素分の断面と、その画素部にある電極に接続される配線や、その配線に接続されるボンディングPAD等が形成される部分である周辺回路部との断面を併せて示した。
画素部のn型シリコン基板413には、表面部にp領域421が形成され、p領域421の表面部にはn領域422が形成され、n領域422の表面部にはp領域423が形成され、p領域423の表面部にはn領域424が形成されている。
p領域421は、n型シリコン基板413とのpn接合により光電変換された赤色(R)成分の正孔を蓄積する。R成分の正孔が蓄積されたことによるp領域421の電位変化が、n型シリコン基板413に形成されたMOSトランジスタ426から、そこに接続されたメタル配線419を介して信号読み出しPAD427に読み出される。
p領域423は、n領域422とのpn接合により光電変換された青色(B)成分の正孔を蓄積する。B成分の正孔が蓄積されたことによるp領域423の電位変化が、n領域422に形成されたMOSトランジスタ426’から、そこに接続されたメタル配線419を介して信号読み出しPAD427に読み出される。
n領域424内には、n型シリコン基板413上方に積層された光電変換層123で発生した緑色(G)成分の正孔を蓄積するp領域からなる正孔蓄積領域425が形成されている。G成分の正孔が蓄積されたことによる正孔蓄積領域425の電位変化が、n領域424内に形成されたMOSトランジスタ426’’から、そこに接続されたメタル配線419を介して信号読み出しPAD427に読み出される。通常、信号読み出しPAD427は、各色成分が読み出されるトランジスタ毎に別々に設けられる。
ここでp領域、n領域、トランジスタ、メタル配線等は模式的に示したが、それぞれの構造等はこれに限らず、適宜最適なものが選ばれる。B光、R光はシリコン基板の深さにより分別しているのでpn接合等のシリコン基板表面からの深さ、各不純物のドープ濃度の選択などは重要である。信号読み出し部となるCMOS回路には、通常のCMOSイメージセンサに用いられている技術を適用することができる。低ノイズ読出カラムアンプやCDS回路を初めとして、画素部のトランジスタ数を減らす回路構成を適用することができる。
n型シリコン基板413上には、酸化シリコン、窒化シリコン等を主成分とする透明な絶縁膜412が形成され、絶縁膜412上には酸化シリコン、窒化シリコン等を主成分とする透明な絶縁膜411が形成されている。絶縁膜412の膜厚は薄いほど好ましく5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
絶縁膜411,412内には、第一電極膜414と正孔蓄積領域としてのp領域425とを電気的に接続する例えばタングステンを主成分としたプラグ415が形成されており、プラグ415は絶縁膜411と絶縁膜412との間でパッド416によって中継接続されている。パッド416はアルミニウムを主成分としたものが好ましく用いられる。絶縁膜412内には、前述したメタル配線419やトランジスタ426,426’,426’’のゲート電極等も形成されている。メタル配線も含めてバリヤー層が設けられていることが好ましい。プラグ415は、1画素毎に設けられている。
絶縁膜411内には、n領域424とp領域425のpn接合による電荷の発生に起因するノイズを防ぐために、遮光膜417が設けられている。遮光膜417は通常、タングステンやアルミニウム等を主成分としたものが用いられる。絶縁膜411内には、ボンディングPAD420(外部から電源を供給するためのPAD)と、信号読み出しPAD427が形成され、ボンディングPAD420と後述する第一電極膜414とを電気的に接続するためのメタル配線(図示せず)も形成されている。
絶縁膜411内の各画素のプラグ415上には透明な第一電極膜414が形成されている。第一電極膜414は、画素毎に分割されており、この大きさによって受光面積が決定される。第一電極膜414には、ボンディングPAD420からの配線を通じてバイアスがかけられる。後述する第二電極膜405に対して第一電極膜414に負のバイアスをかけることで、正孔蓄積領域425に正孔を蓄積できる構造が好ましい。
第一電極膜414上には図12と同様の構造の中間層12が形成され、この上に、第二電極膜405が形成されている。
第二電極膜405上には中間層12を保護する機能を持つ窒化シリコン等を主成分とする保護膜404が形成されている。保護膜404には、画素部の第一電極膜414と重ならない位置に開口が形成され、絶縁膜411及び保護膜404には、ボンディングPAD420上の一部に開口が形成されている。そして、この2つの開口によって露出する第二電極膜405とボンディングPAD420とを電気的に接続して、第二電極膜405に電位を与えるためのアルミニウム等からなる配線418が、開口内部及び保護膜404上に形成されている。配線418の材料としては、Al−Si、Al−Cu合金等のアルミニウムを含有する合金を用いることもできる。
配線418上には、配線418を保護するための窒化シリコン等を主成分とする保護膜403が形成され、保護膜403上には赤外カット誘電体多層膜402が形成され、赤外カット誘電体多層膜402上には反射防止膜401が形成されている。
第一電極膜414は、図12に示す第一電極膜11と同じ機能を果たす。第二電極膜405は、図12に示す第二電極膜13と同じ機能を果たす。
以上のような構成により、1画素でBGR3色の光を検出してカラー撮像を行うことが可能となる。図16の構成では、2つの画素においてR,Bを共通の値として用い、Gの値だけを別々に用いるが、画像を生成する際はGの感度が重要となるため、このような構成であっても、良好なカラー画像を生成することが可能である。
以上説明した固体撮像素子は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ファクシミリ、スキャナー、複写機をはじめとする撮像素子に適用できる。バイオや化学センサーなどの光センサーとしても利用可能である。
また、以上の実施形態で説明した絶縁膜として挙げられる材料は、SiOx、SiNx、BSG、PSG、BPSG、Al2O3、MgO、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物等であるが、最も好ましい材料はSiOx、SiNx、BSG、PSG、BPSGである。
なお、第3の実施形態〜第6の実施形態において、光電変換層以外からの信号の読み出しは、正孔と電子のどちらを用いても構わない。つまり、上述してきたように、半導体基板とその上に積層される光電変換部との間に設けられる無機光電変換部や、半導体基板内に形成されるフォトダイオードにて正孔を蓄積し、この正孔に応じた信号を信号読み出し部によって読み出す構成としても良いし、無機光電変換部や半導体基板内に形成されるフォトダイオードにて電子を蓄積し、この電子に応じた信号を信号読み出し部によって読み出す構成としても良い。
又、第3〜第6の実施形態では、シリコン基板上方に設ける光電変換部として、図13に示した構成のものを用いているが、図1、図6〜図9等に示した構成のものを用いることも可能である。図13のような構成によれば、電子と正孔をブロッキングできるため、暗電流抑制効果が高い。又、光入射側とは反対側の電極を電子取り出し用の電極とした場合には、図12において、接続部9を第2電極13に接続し、図14において、接続部27を第2電極13に接続し、図15において、接続部54を第2電極58に接続し、接続部53を第2電極62に接続し、接続部52を第2電極66に接続した構成にすれば良い。
本実施形態で説明した固体撮像素子は、図12〜図16に示した1画素を同一平面上でアレイ状に多数配置した構成であるが、この1画素によってRGBの色信号を得ることができることから、この1画素は、RGBの光を電気信号に変換する光電変換素子と考えることができる。このため、本実施形態で説明した固体撮像素子は、図12〜図16に示すような光電変換素子が、同一平面上でアレイ状に多数配置した構成と言うことができる。
(第7の実施形態)
図17、18に示した構成の光電変換素子を用いて固体撮像素子を実現した第7の実施形態について説明する。
図17は、本発明の実施形態を説明するための撮像素子の部分表面模式図である。図18は、図17に示す撮像素子のA−A線の断面模式図である。なお、図17では、マイクロレンズ14の図示を省略してある。
n型シリコン基板1上にはpウェル層2が形成されている。以下では、n型シリコン基板1とpウェル層2とを併せて半導体基板という。半導体基板上方の同一面上の行方向とこれに直交する列方向には、主としてR光を透過するカラーフィルタ13rと、主としてG光を透過するカラーフィルタ13gと、主としてB光を透過するカラーフィルタ13bとの3種類のカラーフィルタがそれぞれ多数配列されている。
カラーフィルタ13rは、公知の材料を用いることができるが、このような材料は、R光を透過する。カラーフィルタ13gは、公知の材料を用いることができるが、このような材料は、G光を透過する。カラーフィルタ13bは、公知の材料を用いることができるが、このような材料は、B光を透過する。
カラーフィルタ13r,13g,13bの配列は、公知の単板式固体撮像素子に用いられているカラーフィルタ配列(ベイヤー配列や縦ストライプ、横ストライプ等)を採用することができる。
n領域4r上方には透明電極11rが形成され、n領域4g上方には透明電極11gが形成され、n領域4b上方には透明電極11bが形成されている。透明電極11r,11g,11bは、それぞれカラーフィルタ13r,13g,13bの各々に対応して分割されている。透明電極11r,11g,11bは、それぞれ、図1の下部電極11と同じ機能を有する。
透明電極11r,11g,11bの各々の上には、カラーフィルタ13r,13g,13bの各々で共通の一枚構成である光電変換膜12が形成されている。
光電変換膜12上には、カラーフィルタ13r,13g,13bの各々で共通の一枚構成である上部電極13が形成されている。
透明電極11rと、それに対向する上部電極13と、これらに挟まれる光電変換膜12の一部とにより、カラーフィルタ13rに対応する光電変換素子が形成される。以下では、この光電変換素子を、半導体基板上に形成されたものであるため、R光電変換素子という。
透明電極11gと、それに対向する上部電極13と、これらに挟まれる光電変換膜12の一部とにより、カラーフィルタ13gに対応する光電変換素子が形成される。以下では、この光電変換素子をG光電変換素子という。
透明電極11bと、それに対向する上部電極13と、これらに挟まれる光電変換膜12の一部とにより、カラーフィルタ13bに対応する光電変換素子が形成される。以下では、この光電変換素子をB光電変換素子という。
pウェル層2内のn領域には、R基板上光電変換素子の光電変換膜12で発生した電荷を蓄積するための高濃度のn型不純物領域(以下、n+領域という)4rが形成されている。なお、n+領域4rに光が入るのを防ぐために、n+領域4r上には遮光膜を設けておくことが好ましい。
pウェル層2内のn領域には、G基板上光電変換素子の光電変換膜12で発生した電荷を蓄積するためのn+領域4gが形成されている。なお、n+領域4gに光が入るのを防ぐために、n+領域4g上には遮光膜を設けておくことが好ましい。
pウェル層2内のn領域には、B基板上光電変換素子の光電変換膜12で発生した電荷を蓄積するためのn+領域4bが形成されている。なお、n+領域4bに光が入るのを防ぐために、n+領域4b上には遮光膜を設けておくことが好ましい。
n+領域4r上にはアルミニウム等の金属からなるコンタクト部6rが形成され、コンタクト部6r上に透明電極11rが形成されており、n+領域4rと透明電極11rはコンタクト部6rによって電気的に接続されている。コンタクト部6rは、可視光及び赤外光に対して透明な絶縁層5内に埋設されている。
n+領域4g上にはアルミニウム等の金属からなるコンタクト部6gが形成され、コンタクト部6g上に透明電極11gが形成されており、n+領域4gと透明電極11gはコンタクト部6gによって電気的に接続されている。コンタクト部6gは絶縁層5内に埋設されている。
n+領域4b上にはアルミニウム等の金属からなるコンタクト部6bが形成され、コンタクト部6b上に透明電極11bが形成されており、n+領域4bと透明電極11bはコンタクト部6bによって電気的に接続されている。コンタクト部6bは絶縁層5内に埋設されている。
pウェル層2内のn+領域4r,4g,4bが形成されている以外の領域には、R光電変換素子で発生してn+領域4rに蓄積された電荷に応じた信号をそれぞれ読み出すための信号読み出し部5rと、G光電変換素子で発生してn+領域4gに蓄積された電荷に応じた信号をそれぞれ読み出すための信号読み出し部5gと、B光電変換素子で発生してn+領域4bに蓄積された電荷に応じた信号をそれぞれ読み出すための信号読み出し部5bとが形成されている。信号読み出し部5r,5g,5bは、それぞれ、CCDやMOS回路を用いた公知の構成を採用することができる。なお、信号読み出し部5r,5g,5bに光が入るのを防ぐために、信号読み出し部5r,5g,5b上には遮光膜を設けておくことが好ましい。
図19は、図18に示す信号読み出し部5rの具体的な構成例を示す図である。図19において図17、18と同様の構成には同一符号を付してある。なお、信号読み出し部5r,5g,5bの各々の構成は同一であるため、信号読み出し部5g,5bの説明は省略する。
信号読み出し部5rは、ドレインがn+領域4rに接続され、ソースが電源Vnに接続されたリセットトランジスタ543と、ゲートがリセットトランジスタ543のドレインに接続され、ソースが電源Vccに接続された出力トランジスタ542と、ソースが出力トランジスタ542のドレインに接続され、ドレインが信号出力線545に接続された行選択トランジスタ541と、ドレインがn領域3rに接続され、ソースが電源Vnに接続されたリセットトランジスタ546と、ゲートがリセットトランジスタ546のドレインに接続され、ソースが電源Vccに接続された出力トランジスタ547と、ソースが出力トランジスタ547のドレインに接続され、ドレインが信号出力線549に接続された行選択トランジスタ548とを備える。
透明電極11rと上部電極13間にバイアス電圧を印加することで、光電変換膜12に入射した光に応じて電荷が発生し、この電荷が透明電極11rを介してn+領域4rへと移動する。n+領域4rに蓄積された電荷は、出力トランジスタ542でその電荷量に応じた信号に変換される。そして、行選択トランジスタ541をONにすることで信号出力線545に信号が出力される。信号出力後は、リセットトランジスタ543によってn+領域4r内の電荷がリセットされる。
このように、信号読み出し部5rは、3トランジスタからなる公知のMOS回路で構成することができる。
図18に戻り、光電変換膜12上には、基板上光電変換素子を保護するための2層構造の保護層15,16が形成され、保護層16上にカラーフィルタ13r,13g,13bが形成されている。
この撮像素子100は、光電変換膜12を形成した後に、カラーフィルタ13r,13g,13b等を形成することで製造するが、カラーフィルタ13r,13g,13bは、フォトリソグラフィ工程やベーク工程を含むため、光電変換膜12として有機材料を用いる場合、光電変換膜12が露出した状態で、このフォトリソグラフィ工程やベーク工程が行われると、光電変換膜12の特性が劣化してしまう。撮像素子100では、このような製造工程に起因する光電変換膜12の特性劣化を防止するために、保護層15,16が設けられている。
保護層15は、ALCVD法によって形成した無機材料からなる無機層であることが好ましい。ALCVD法は原子層CVD法であり緻密な無機層を形成することが可能で、光電変換層9の有効な保護層となり得る。ALCVD法はALE法若しくはALD法としても知られている。ALCVD法により形成した無機層は、好ましくはAl2O3、SiO2,TiO2,ZrO2,MgO,HfO2,Ta2O5からなり、より好ましくはAl2O3、SiO2からなり、最も好ましくはAl2O3からなる。
保護層16は、光電変換膜12の保護性能をより向上させるために保護層15上に形成されたものであり、有機ポリマーからなる有機層であることが好ましい。有機ポリマーとしてはパリレンが好ましく、パリレンCがより好ましい。なお、保護層16は省略しても良く、又、保護層15と保護層16の配置を逆にしても良い。光電変換膜12の保護効果が特に高いのは、図18に示した構成である。
透明電極11rと上部電極13に所定のバイアス電圧を印加すると、R基板上光電変換素子を構成する光電変換膜12で発生した電荷が透明電極11rとコンタクト部6rを介してn+領域4rに移動し、ここに蓄積される。そして、n+領域4rに蓄積された電荷に応じた信号が、信号読み出し部5rによって読み出され、撮像素子100外部に出力される。
同様に、透明電極11gと上部電極13に所定のバイアス電圧を印加すると、G基板上光電変換素子を構成する光電変換膜12で発生した電荷が透明電極11gとコンタクト部6gを介してn+領域4gに移動し、ここに蓄積される。そして、n+領域4gに蓄積された電荷に応じた信号が、信号読み出し部5gによって読み出され、撮像素子100外部に出力される。
同様に、透明電極11bと上部電極13に所定のバイアス電圧を印加すると、B基板上光電変換素子を構成する光電変換膜12で発生した電荷が透明電極11bとコンタクト部6bを介してn+領域4bに移動し、ここに蓄積される。そして、n+領域4bに蓄積された電荷に応じた信号が、信号読み出し部5bによって読み出され、撮像素子100外部に出力される。
このように、撮像素子100は、R光電変換素子で発生した電荷に応じたR成分の信号と、G光電変換素子で発生した電荷に応じたG成分の信号と、B光電変換素子で発生した電荷に応じたB成分の信号を外部に出力することができる。これにより、カラーの画像を得る事ができる。この形式により、光電変換部が薄くなるため、解像度が向上し、偽色を低減できる。また、下部回路によらず、開口率を大きくできるため、高感度が可能であり、マイクロレンズを省略可能なため、部品数の省略にも効果がある。
本実施形態では、有機光電変換膜は緑光高領域に最大吸収波長があり、可視光全体に吸収域を有する必要があるが、本発明の前記規定の材料で好ましく実現することができる。
以上、本発明の光電変換素子を撮像素子として用いることの実施形態を記載したが、本発明の光電変換素子は高い光電変換効率を示すため,太陽電池として用いても高い性能を示す。
太陽電池として用いる場合に好ましい素子構成は、本発明記載内容の構成を用いる他、非特許文献(Adv.Mater.,17,66(2005))等の構成に本発明記載の光電変換材料の組み合わせを適用することができる。
以下に、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は勿論この実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例1〜4、6〜9は「参考例」と読み替えるものとする。
図12の形態において、CMOS基板上に、アモルファス性ITO 30nmをスパッタ法により成膜後、フォトリソグラフィーによりCMOS基板上のフォトダイオード(PD)の上にそれぞれ1つずつ画素が存在するようにパターニングして画素電極11とし、その上に、EB−3を100nm、その上に、化合物(1)とフラーレン(C60)をそれぞれ単層換算で100nm、300nmの比率となるように共蒸着した層をそれぞれ真空加熱蒸着により成膜して光電変換層12とし、更に、上部電極としてスパッタ法によりアモルファス性ITOを5nm成膜して透明電極13とすることにより、固体撮像素子を作製した。上部電極上には、保護層として加熱蒸着によるSiO膜形成後、その上にALCVD法によりAl2O3層を形成した。光電変換層12の真空蒸着は全て4×10−4Pa以下の真空度で行った。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(3)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(18)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(19)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(28)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(59)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(60)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(62)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
実施例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(63)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例1]
実施例1において、光電変換層12を化合物(1)単独で100nm成膜した層に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例2]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(3)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例3]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(18)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例4]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(19)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例5]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(28)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例6]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(59)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例7]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(60)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例8]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(62)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
[比較例9]
比較例1において、光電変換層12における化合物(1)を化合物(63)に変更する事以外は同様にして固体撮像素子を作製した。
固体撮像素子の耐熱性は、固体撮像素子を、150℃に加熱したホットプレート上で30分経時し、経時前後の暗電流を測定し、経時前(室温20℃)より経時後に暗電流が上昇したものを×、変化しなかったものを○として、評価した。
実施例1〜9及び比較例1〜9における各光電変換素子の暗電流400pA/cm2時の最大感度波長での外部量子効率、相対応答速度(0から98%信号強度への立ち上がり時間)を表−Aに示す。なお、各素子の光電変換性能の測定の際には、それぞれ、適切な電圧を印加した。表−A
表−Aのように、本発明の撮像素子は、高応答速度で、高S/Nで撮像することができ、かつ耐熱性にも優れていることがわかる。