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JP4851003B2 - 肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤 - Google Patents

肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤 Download PDF

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JP4851003B2 JP2000389245A JP2000389245A JP4851003B2 JP 4851003 B2 JP4851003 B2 JP 4851003B2 JP 2000389245 A JP2000389245 A JP 2000389245A JP 2000389245 A JP2000389245 A JP 2000389245A JP 4851003 B2 JP4851003 B2 JP 4851003B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を含有する肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤に関する。さらに詳しくは、 Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を含有する各種の原因により生じる肝臓障害、肝虚血−再灌流障害に基づく疾患の予防・治療剤、肝臓保存剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
虚血による組織・臓器障害が心筋梗塞、脳梗塞、ショックおよび移植臓器障害などの病態に深く関与することが知られている。血流再開が虚血短時間のうちになされれば組織・臓器障害は可逆性であるが、虚血が長時間にわたればその障害は不可逆性のものとなる。しかし、一定の時間虚血にさらされた組織・臓器に血流再開がなされた場合に、さらに障害が増悪する現象(再灌流障害あるいはoxygen paradox)が報告されている。
この現象は各種の臓器(心臓、脳、肝臓、腎臓、膵臓、消化管等)において見られるものである。近年、虚血−再灌流障害の主要な機構の1つとして、虚血および血流再開時に生じるフリーラジカル、活性酸素が引き金となり、生体膜の脂質過酸化、生体膜障害の結果、組織・臓器障害に至るものと考えられている。
また、各種の原因によるショック時には、血流量低下に基づく低酸素状態の持続により引き起こされる臓器障害がある。その中でも多臓器不全と呼ばれる病態をもたらすエンドトキシンショックは臨床上もっとも重要な病態の1つと考えられる。この多臓器不全は、エンドトキシンによりアナフィラトキシンその他の化学作動物質が放出され、これらの物質による末梢循環障害から不完全虚血状態に陥る結果生ずると考えられるが、この多臓器不全の少なくとも一部の機構として、先のフリーラジカル、活性酸素が引き金となる生体膜の脂質過酸化、生体膜障害が関与していると考えられている。
【0003】
このような虚血−再灌流障害におけるラジカル、活性酸素産生系としては、キサンチンオキシダーゼによるヒポキサンチンからキサンチンへの酵素反応時の活性酸素の生成、好中球の内皮細胞への接着から細胞障害に至る過程で多くの因子および特異的分子が関与し、同時に生じる活性酸素の生成、アラキドン酸カスケードにおけるフリーラジカルの産生、ミトコンドリアの電子伝達系からの電子の漏れにより生じる活性酸素の生成、その他、再灌流により内皮細胞から放出された一酸化窒素(NO:内皮細胞由来弛緩剤(EDRF))と活性酸素との反応により生じるラジカルの生成等が考えられている。
【0004】
そこで、虚血−再灌流障害の予防・治療剤として、キサンチンオキシダーゼを阻害し活性酸素の生成を抑制するアロプリノール(allopurinol)やスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)、過酸化水素(H22)を消去するカタラーゼ・グルタチオンペルオキシダーゼ、ヒドロキシラジカル(・OH)を消去するマンニトール(mannitol)、過酸化脂質ラジカルなどを捕捉するビタミンE等のラジカルスカベンジャーの利用が研究されている。
【0005】
その他、虚血−再灌流障害におけるCaの過負荷(Ca verload)を抑制するためのCa拮抗薬の使用や、再灌流早期に生じるアシドーシスの遷延(acidosis reperfusion)、虚血後の段階的な再灌流(staged reperfusion)などの治療法が検討されている。
【0006】
しかしながら、これらのラジカルスカベンジャーを含めた虚血−再灌流障害の予防・治療剤として臨床的に実用化されるに至ったものはこれまで知られていない。
その一方で、虚血による組織・臓器障害に対し、経皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)や経皮的冠血管形成術(PTCA)が盛んに行われ、また、t−PA等により、より早期、簡便に血行再建が企られることが期待され、さらに、近年の臓器移植の進展を考えれば、随伴する再灌流障害を最小限に抑えて再疎通による恩恵を最大限に受けることが臨床上重要であり、そのための薬剤が希求されている。
【0007】
近年、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物として、後述する一般式(I)により表される化合物が報告されている(WO98/06433号)。また、ある種のイソキノリンスルホンアミド誘導体およびイソキノリン誘導体もRhoキナーゼ阻害活性を有することが報告されている(WO98/06433号およびNaunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology 385(1) Suppl. R219, 1998 11)。
更に、エタクリン酸、4−[2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)アクリロイル]桂皮酸等のある種のビニルベンゼン誘導体や桂皮酸誘導体がRhoキナーゼ阻害活性を有することを報告している(WO00/57914号、特開2000−44513号)。
【0008】
これらのRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物の医薬用途はWO98/06433号に開示され、広く高血圧症治療薬、狭心症治療薬、脳血管攣縮抑制薬、喘息治療薬、末梢循環障害治療薬、早産予防薬、動脈硬化症治療薬、抗癌薬、抗炎症薬、免疫抑制薬、自己免疫疾患治療薬、抗AIDS薬、骨粗鬆症治療薬、網膜症治療薬、脳機能改善薬、避妊薬、消化管感染予防薬として有用である旨の記載が認められる。
【0009】
さらに、一般式(I)により表される化合物は、強力で持続性のある高血圧症治療薬、狭心症治療薬、腎および末梢循環障害治療薬、脳血管攣縮抑制薬等の冠・脳・腎および末梢動脈等の循環器系用疾患予防・治療剤として、さらに、喘息治療薬として有用であることが既に公知である(特開昭62−89679号、特開平3−218356号、特開平4−273821号、特開平5−194401号、特開平6−41080号およびWO95/28387号等)。
【0010】
また、上記WO98/06433号記載のイソキノリンスルホンアミド誘導体は、血管拡張剤、高血圧症治療剤、脳機能改善剤、抗喘息剤、心臓保護剤、血小板凝集阻害剤、精神症候治療剤、抗炎症剤、過粘性症候群治療または予防剤、緑内障治療剤、眼圧低下剤、脳血栓における運動麻痺の改善剤、ウィルス感染症予防治療剤および転写調節因子阻害剤として有用であることが公知である(特開昭57−200366号、特開昭61−227581号、特開平2−256617号、特開平4−264030号、特開平6−56668号、特開平6−80569号、特開平6−293643号、特開平7−41424号、特開平7−277979号、WO97/23222号、特開平9−227381号、特開平10−45598号および特開平10−87491号)。
【0011】
更に、上記文献(Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology 385(1) Suppl. R219, 1998)記載のイソキノリン誘導体は、血管攣縮による脳組織障害の予防・治療剤として有用であることが既に公知である(WO97/28130号)。
【0012】
しかし、これらのRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物が虚血−再灌流障害の治療・予防剤として有用であることは何ら記載されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、有用な新規虚血−再灌流障害の治療・予防剤を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような状況のもと鋭意研究を重ねた結果、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物が肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤、すなわち、 各種の原因により生じる肝臓障害、肝虚血−再灌流障害に基づく疾患の予防・治療剤、肝臓保存剤等として有用であることを見出して本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を含有する肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤。
(2)Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物が下記一般式(I)
【0016】
【化6】
Figure 0004851003
【0017】
〔式中、Raは式
【0018】
【化7】
Figure 0004851003
【0019】
〔式(a)および(b)中、Rは水素、アルキルまたは環上に置換基を有していてもよいシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルもしくはアラルキルを示すか、あるいは式
【0020】
【化8】
Figure 0004851003
【0021】
(式中、R6は水素、アルキルまたは式:−NR89(ここで、R8、R9は同一または異なって水素、アルキル、アラルキルまたはフェニルを示す。)を示し、R7は水素、アルキル、アラルキル、フェニル、ニトロまたはシアノを示す。または、R6とR7は結合して環中にさらに酸素原子、硫黄原子または置換基を有していてもよい窒素原子を含有していてもよい複素環を形成する基を示す。)を示す。
【0022】
1は水素、アルキルまたは環上に置換基を有していてもよいシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルもしくはアラルキルを示す。
【0023】
または、RとR1は結合して隣接する窒素原子とともに環中にさらに酸素原子、硫黄原子または置換基を有していてもよい窒素原子を含んでいてもよい複素環を形成する基を示す。
【0024】
2は水素またはアルキルを示す。
【0025】
3、R4は同一または異なって水素、アルキル、アラルキル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アラルキルオキシ、シアノ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アラルキルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイルまたはアジドを示す。
【0026】
Aは式
【0027】
【化9】
Figure 0004851003
【0028】
(式中、R10、R11は同一または異なって水素、アルキル、ハロアルキル、アラルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシまたはアルコキシカルボニルを示す。または、R10とR11は結合してシクロアルキルを形成する基を示す。l、m、nはそれぞれ0または1〜3の整数を示す。)を示す。
【0029】
式(c)中、Lは水素、アルキル、アミノアルキル、モノ・ジアルキルアミノアルキル、テトラヒドロフルフリル、カルバモイルアルキル、フタルイミドアルキル、アミジノを示すか、あるいは式
【0030】
【化10】
Figure 0004851003
【0031】
(式中、Bは水素、アルキル、アルコキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、α−アミノベンジル、フリル、ピリジル、フェニル、フェニルアミノ、スチリルまたはイミダゾピリジルを示す。
【0032】
1は水素、ハロゲン、水酸基、アラルキルオキシまたはチエニルメチルを示す。
【0033】
Wはアルキレンを示す。
【0034】
2は水素、ハロゲン、水酸基またはアラルキルオキシを示す。
【0035】
Xはアルキレンを示す。
【0036】
3は水素、ハロゲン、水酸基、アルコキシ、ニトロ、アミノ、2,3−ジヒドロフリルまたは5−メチル−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−6−イルを示す。
【0037】
Yは単結合、アルキレンまたはアルケニレンを示す。)を示す。
【0038】
また、式(c)中、破線は一重結合または二重結合を示す。
【0039】
5は水素、水酸基、アルコキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルカノイルオキシまたはアラルキルオキシカルボニルオキシを示す。〕
Rbは水素、アルキル、アラルキル、アミノアルキルまたはモノ・ジアルキルアミノアルキルを示す。
【0040】
Rcは置換基を有していてもよい含窒素複素環を示す。〕
により表されるアミド化合物、その異性体および/またはその製薬上許容されうる酸付加塩である上記(1)記載の肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤。
(3)Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物が、(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサンおよび/またはその製薬上許容されうる酸付加塩である上記(1)記載の肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤。
(4)肝臓障害に基づく疾患が肝虚血−再灌流障害に基づく疾患である上記(1)〜(3)記載の肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤。
(5)肝臓障害に基づく疾患が肝臓保存剤としての使用である上記(1)〜(3)記載の肝臓障害に基づく疾患の予防・治療剤。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明において「臓器障害に基づく疾患」とは、各種の原因により生じる種々の臓器障害を意味し、例えば、肝不全、腎不全等の各種臓器不全をいう。また、特に、虚血に伴う臓器障害であって、心臓、脳、肝臓、腎臓、膵臓、消化管等の臓器障害が含まれる。さらに、虚血に伴う各種の原因によるショック時、血流量低下に基づく低酸素状態の持続により引き起こされる臓器障害等も含まれ、エンドトキシンショック等によりもたらされる多臓器不全も含まれる。
特に、本発明はこれらの「臓器障害に基づく疾患」のうち、「肝臓障害に基づく疾患」に関するものである。
「虚血−再灌流障害」とは、各種の梗塞、手術、移植、血栓溶解療法、血管再建術等の原因により局所の血流が途絶え虚血状態に陥った後、再び血流が再開され再灌流された際に生じる組織損傷、組織・臓器の機能障害を意味する。
特に、本発明はこれらの「虚血−再灌流障害」のうち、「肝虚血−再灌流障害」に関するものである。
「虚血−再灌流障害に基づく疾患」とは、上記虚血−再灌流障害により各種組織および臓器(心臓、脳、肝臓、腎臓、膵臓、消化管等)に認められ、例えば、心不全、再灌流不整脈、肝不全、腎不全等、およびこれらの疾患に付随する病態を包含する。
特に、本発明はこれらの「虚血−再灌流障害に基づく疾患」のうち、「肝虚血−再灌流障害に基づく疾患」に関するものである。
【0042】
本発明において使用される「Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物」としては、Rhoキナーゼ阻害作用を有するものであればいかなるものでもよい。〔本発明において、Rhoキナーゼとは、Rhoの活性化に伴い活性化されるセリン/スレオニンキナーゼを意味する。例えば、ROKα(ROCKII:Leung, T.ら, J.Biol.Chem.,270,29051-29054,1995)、p160ROCK(ROKβ、ROCK−I :Ishizaki,T.ら, The EMBO J.,15(8),1885-1893, 1996)およびその他のセリン/スレオニンキナーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。〕
【0043】
本発明において使用されるRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物として、具体的には、上記WO98/06433号、WO97/28130号、Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology 385(1), Suppl., R219, (1998)、 WO00/57914号および特開2000−44513号に記載のアミド化合物、イソキノリンスルホンアミド誘導体、イソキノリン誘導体およびビニルベンゼン誘導体や桂皮酸誘導体が挙げられる。
【0044】
たとえば、前記アミド化合物としては上記一般式(I)により表される化合物が、前記イソキノリンスルホンアミド誘導体としては塩酸ファスジル〔ヘキサヒドロ−1−(5−イソキノリニルスルホニル)−1H−1,4−ジアゼピン〕等が、また、前記イソキノリン誘導体としては、ヘキサヒドロ−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩、(S)−(+)−ヘキサヒドロ−2−メチル−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩、ヘキサヒドロ−7−メチル−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩、ヘキサヒドロ−5−メチル−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩、ヘキサヒドロ−2−メチル−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩、(R)−(−)−ヘキサヒドロ−2−メチル−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩、(R)−(+)−ヘキサヒドロ−5−メチル−1−〔(4−メチル−5−イソキノリニル)スルホニル〕−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩等が挙げられる。
さらに、前記ビニルベンゼン誘導体や桂皮酸誘導体としては、エタクリン酸、4−[2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)アクリロイル]桂皮酸等が挙げられる。
【0045】
特に好ましくは、一般式(I)により表されるアミド化合物である。
また、本発明においては、1種類のRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を単独で含めることも、また必要に応じて数種類を併用して含めることもできる。
【0046】
本明細書中、一般式(I)の各記号の定義は次の通りである。
【0047】
R、R1におけるアルキルとは炭素数1〜10個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルであって、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられ、炭素数1〜4個のアルキルが好ましい。
【0048】
R、R1におけるシクロアルキルとはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の炭素数3〜7個のシクロアルキルを示す。
【0049】
R、R1におけるシクロアルキルアルキルとはシクロアルキル部が前記炭素数3〜7個のシクロアルキルであり、アルキル部が炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等)であるシクロアルキルアルキルであって、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロプロピルエチル、シクロぺンチルエチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロぺンチルプロピル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘプチルプロピル、シクロプロピルブチル、シクロぺンチルブチル、シクロヘキシルブチル、シクロヘプチルブチル、シクロプロピルヘキシル、シクロぺンチルヘキシル、シクロヘキシルヘキシル、シクロヘプチルヘキシル等が挙げられる。
【0050】
R、R1におけるアラルキルとは、アルキル部として炭素数1〜4個のアルキルを有するものであって、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル等のフェニルアルキルを示す。
【0051】
R、R1における環上に置換基を有していてもよいシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、アラルキルの置換基とは、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、アルキル(R、R1におけるアルキルと同義)、アルコキシ(炭素数1〜6個の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシであって、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を示す。)、アラルキル(R、R1におけるアラルキルと同義)、ハロアルキル(R、R1において示したアルキルに1〜5個のハロゲンが置換したものであり、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等を示す。)、ニトロ、アミノ、シアノ、アジド等が挙げられる。
【0052】
RとR1が結合して隣接する窒素原子とともに環中にさらに酸素原子、硫黄原子または置換基を有していてもよい窒素原子を含んでいてもよい複素環を形成する基としては、5〜6員環、これらの結合環が好適であり、具体的には1−ピロリジニル、ピぺリジノ、1−ピぺラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、1−イミダゾリル、2,3−ジヒドロチアゾール−3−イル等が例示される。また、置換基を有していてもよい窒素原子における置換基としてはアルキル、アラルキル、ハロアルキル等が挙げられる。ここで、アルキル、アラルキル、ハロアルキルはR、R1において示したものと同義である。
【0053】
2におけるアルキルとはR、R1におけるアルキルと同義である。
【0054】
3、R4におけるハロゲン、アルキル、アルコキシ、アラルキルはR、R1において示したものと同義である。
【0055】
3、R4におけるアシルとは炭素数2〜6個のアルカノイル(アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル等)、ベンゾイル、またはアルカノイル部が炭素数2〜4個のフェニルアルカノイル(フェニルアセチル、フェニルプロピオニル、フェニルブチリル等)を示す。
【0056】
3、R4におけるアルキルアミノとは、アルキル部に炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルを有するアルキルアミノであって、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、第2級ブチルアミノ、第3級ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等を示す。
【0057】
3、R4におけるアシルアミノとは、アシルとして炭素数2〜6個のアルカノイル、ベンジル、またはアルカノイル部が炭素数2〜4個のフェニルアルカノイル等を有するアシルアミノであって、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、バレリルアミノ、ピバロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニルアセチルアミノ、フェニルプロピオニルアミノ、フェニルブチリルアミノ等を示す。
【0058】
3、R4におけるアルキルチオとは、アルキル部に炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルを有するアルキルチオであって、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、第2級ブチルチオ、第3級ブチルチオ、ぺンチルチオ、ヘキシルチオ等を示す。
【0059】
3、R4におけるアラルキルオキシとは、そのアルキル部に炭素数1〜4個のアルキルを有するアラルキルを有するものであって、ベンジルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、2−フェニルエチルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、4−フェニルブチルオキシ等を示す。
【0060】
3、R4におけるアラルキルチオとは、そのアルキル部に炭素数1〜4個のアルキルを有するアラルキルを有するものであって、ベンジルチオ、1−フェニルエチルチオ、2−フェニルエチルチオ、3−フェニルプロピルチオ、4−フェニルブチルチオ等を示す。
【0061】
3、R4におけるアルコキシカルボニルとは、アルコキシ部に炭素数1〜6個の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシを有するものであって、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、第2級ブトキシカルボニル、第3級ブトキシカルボニル、ぺンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等を示す。
【0062】
3、R4におけるアルキルカルバモイルとは、炭素数1〜4個のアルキルでモノまたはジ置換されたカルバモイルであって、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ジプロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル等を示す。
【0063】
5におけるアルコキシとはR、R1におけるアルコキシと同義である。
【0064】
5におけるアルコキシカルボニルオキシとは、アルコキシ部に炭素数1〜6個の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシを有するものであって、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、イソブトキシカルボニルオキシ、第2級ブトキシカルボニルオキシ、第3級ブトキシカルボニルオキシ、ぺンチルオキシカルボニルオキシ、ヘキシルオキシカルボニルオキシ等を示す。
【0065】
5におけるアルカノイルオキシとは、アルカノイル部に炭素数2〜6個のアルカノイルを有するものであって、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ等を示す。
【0066】
5におけるアラルキルオキシカルボニルオキシとは、そのアルキル部に炭素数1〜4個のアルキルを有するアラルキルを有するものであって、ベンジルオキシカルボニルオキシ、1−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ、2−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ、3−フェニルプロピルオキシカルボニルオキシ、4−フェニルブチルオキシカルボニルオキシ等を示す。
【0067】
6におけるアルキルはR、R1におけるアルキルと同義である。また、R8、R9におけるアルキルはR、R1におけるアルキルと同義であり、R8、R9におけるアラルキルはR、R1におけるアラルキルと同義である。
【0068】
7におけるアルキルはR、R1におけるアルキルと同義であり、R7におけるアラルキルはR、R1におけるアラルキルと同義である。
【0069】
6とR7が結合して環中にさらに酸素原子、硫黄原子または置換基を有していてもよい窒素原子を含有していてもよい複素環を形成する基とは、イミダゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、オキサゾール−2−イル、イミダゾリン−2−イル、3,4,5,6−テトラヒドロピリジン−2−イル、3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル、1,3−オキサゾリン−2−イル、1,3−チアゾリン−2−イルまたはハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、アミノ、フェニル、アラルキル等の置換基を有していてもよいベンゾイミダゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル等が挙げられる。ここで、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アラルキルとはR、R1において示したものと同義である。
【0070】
また、上記の置換基を有していてもよい窒素原子における置換基としては、アルキル、アラルキル、ハロアルキル等が挙げられる。ここで、アルキル、アラルキル、ハロアルキルとはR、R1において示したものと同義である。
【0071】
10、R11におけるヒドロキシアルキルとは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルに1〜3個のヒドロキシが置換したものであり、たとえばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。R10、R11におけるアルキルはR、R1におけるアルキルと同義であり、R10、R11におけるハロアルキル、アルコキシカルボニルはR、R1において示したものと同義であり、R10、R11におけるアラルキルはR、R1におけるアラルキルと同義である。R10、R11が結合して形成するシクロアルキルもR、R1におけるシクロアルキルと同義である。
【0072】
LにおけるアルキルはR、R1におけるアルキルと同義である。
【0073】
Lにおけるアミノアルキルとは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルにアミノが置換したものであり、たとえばアミノメチル、2−アミノエチル、1−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、5−アミノペンチル、6−アミノヘキシル等が挙げられる。
【0074】
Lにおけるモノ・ジアルキルアミノアルキルとは、炭素数1〜4個のアルキルでモノまたはジ置換されたアミノアルキルであって、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、プロピルアミノメチル、ジプロピルアミノメチル、ブチルアミノメチル、ジブチルアミノメチル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジエチルアミノエチル等を示す。
【0075】
Lにおけるカルバモイルアルキルとは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルにカルバモイルが置換したものであり、たとえばカルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、1−カルバモイルエチル、3−カルバモイルプロピル、4−カルバモイルブチル、5−カルバモイルペンチル、6−カルバモイルヘキシル等が挙げられる。
【0076】
Lにおけるフタルイミドアルキルとは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルにフタルイミドが置換したものであり、たとえばフタルイミドメチル、2−フタルイミドエチル、1−フタルイミドエチル、3−フタルイミドプロピル、4−フタルイミドブチル、5−フタルイミドペンチル、6−フタルイミドヘキシル等が挙げられる。
【0077】
BにおけるアルキルはR、R1におけるアルキルと同義である。
【0078】
BにおけるアルコキシはR、R1におけるアルコキシと同義である。
【0079】
BにおけるアラルキルはR、R1におけるアラルキルと同義である。
【0080】
BにおけるアラルキルオキシはR3,R4におけるアラルキルオキシと同義である。
【0081】
BにおけるアミノアルキルはLにおけるアミノアルキルと同義である。
【0082】
BにおけるヒドロキシアルキルはR10、R11におけるヒドロキシアルキルと同義である。
【0083】
Bにおけるアルカノイルオキシアルキルとは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルに炭素数2〜6個のアルカノイル部を有するアルカノイルオキシが置換したものであって、たとえばアセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、バレリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、アセチルオキシエチル、プロピオニルオキシエチル、ブチリルオキシエチル、バレリルオキシエチル、ピバロイルオキシエチル等が挙げられる。
【0084】
Bにおけるアルコキシカルボニルアルキルとは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキルに炭素数1〜6個のアルコキシ部を有するアルコキシカルボニルが置換したものであって、たとえばメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、イソブトキシカルボニルメチル、第2級ブトキシカルボニルメチル、第3級ブトキシカルボニルメチル、ぺンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルオキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、エトキシカルボニルエチル、プロポキシカルボニルエチル、イソプロポキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチル、イソブトキシカルボニルエチル、第2級ブトキシカルボニルエチル、第3級ブトキシカルボニルエチル、ぺンチルオキシカルボニルエチル、ヘキシルオキシカルボニルエチル等が挙げられる。
【0085】
1、Q2、Q3におけるハロゲンはR、R1におけるハロゲンと同義である。
【0086】
1、Q2におけるアラルキルオキシはR3、R4におけるアラルキルオキシと同義である。
【0087】
3におけるアルコキシはR、R1におけるアルコキシと同義である。
【0088】
W、X、Yにおけるアルキレンとは炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキレンであって、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等を示す。
【0089】
Yにおけるアルケニレンとは炭素数2〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルケニレンであって、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン等を示す。
【0090】
RbにおけるアルキルとはR、R1におけるアルキルと同義である。
【0091】
RbにおけるアラルキルとはR、R1におけるアラルキルと同義である。
【0092】
RbにおけるアミノアルキルとはLにおけるアミノアルキルと同義である。
【0093】
Rbにおけるモノ・ジアルキルアミノアルキルとはLにおけるモノ・ジアルキルアミノアルキルと同義である。
【0094】
Rcにおける含窒素複素環とは、単環の場合、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、トリアゾールを示し、縮合環の場合、ピロロピリジン(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン、1H−ピロロ〔3,2−b〕ピリジン、1H−ピロロ〔3,4−b〕ピリジン等)、ピラゾロピリジン(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン、1H−ピラゾロ〔4,3−b〕ピリジン等)、イミダゾピリジン(1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピリジン等)、ピロロピリミジン(1H−ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、1H−ピロロ〔3,2−d〕ピリミジン、1H−ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン等)、ピラゾロピリミジン(1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリミジン、1H−ピラゾロ〔4,3−d〕ピリミジン等)、イミダゾピリミジン(イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジン、1H−イミダゾ〔4,5−d〕ピリミジン等)、ピロロトリアジン(ピロロ〔1,2−a〕−1,3,5−トリアジン、ピロロ〔2,1−f〕−1,2,4−トリアジン)、ピラゾロトリアジン(ピラゾロ〔1,5−a〕−1,3,5−トリアジン等)、トリアゾロピリジン(1H−1,2,3−トリアゾロ〔4,5−b〕ピリジン等)、トリアゾロピリミジン(1,2,4−トリアゾロ〔1,5−a〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリミジン、1H−1,2,3−トリアゾロ〔4,5−d〕ピリミジン等)、シンノリン、キナゾリン、キノリン、ピリドピリダジン(ピリド〔2,3−c〕ピリダジン等)、ピリドピラジン(ピリド〔2,3−b〕ピラジン等)、ピリドピリミジン(ピリド〔2,3−d〕ピリミジン、ピリド〔3,2−d〕ピリミジン等)、ピリミドピリミジン(ピリミド〔4,5−d〕ピリミジン、ピリミド〔5,4−d〕ピリミジン等)、ピラジノピリミジン(ピラジノ〔2,3−d〕ピリミジン等)、ナフチリジン(1,8−ナフチリジン等)、テトラゾロピリミジン(テトラゾロ〔1,5−a〕ピリミジン等)、チエノピリジン(チエノ〔2,3−b〕ピリジン等)、チエノピリミジン(チエノ〔2,3−d〕ピリミジン等)、チアゾロピリジン(チアゾロ〔4,5−b〕ピリジン、チアゾロ〔5,4−b〕ピリジン等)、チアゾロピリミジン(チアゾロ〔4,5−d〕ピリミジン、チアゾロ〔5,4−d〕ピリミジン等)、オキサゾロピリジン(オキサゾロ〔4,5−b〕ピリジン、オキサゾロ〔5,4−b〕ピリジン等)、オキサゾロピリミジン(オキサゾロ〔4,5−d〕ピリミジン、オキサゾロ〔5,4−d〕ピリミジン等)、フロピリジン(フロ〔2,3−b〕ピリジン、フロ〔3,2−b〕ピリジン等)、フロピリミジン(フロ〔2,3−d〕ピリミジン、フロ〔3,2−d〕ピリミジン等)、2,3−ジヒドロピロロピリジン(2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔3,2−b〕ピリジン等)、2,3−ジヒドロピロロピリミジン(2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔3,2−d〕ピリミジン等)、5,6,7,8−テトラヒドロピリド〔2,3−d〕ピリミジン、5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン等が挙げられ、これらの環が水素添加されている芳香族環を形成する場合、環中の炭素原子がカルボニルでもよく、たとえば2,3−ジヒドロ−2−オキソピロロピリジン、2,3−ジヒドロ−2,3−ジオキソピロロピリジン、7,8−ジヒドロ−7−オキソ−1,8−ナフチリジン、5,6,7,8−テトラヒドロ−7−オキソ−1,8−ナフチリジン等も含まれる。好ましくはピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジンである。
【0095】
また、これらの環はハロゲン、アルキル、アルコキシ、アラルキル、ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ホルミル、アシル、アミノアルキル、モノまたはジアルキルアミノアルキル、アジド、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルコキシアルキル(メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル等)、置換基を有していてもよいヒドラジノ等の置換基によって置換されていてもよい。
【0096】
ここで、置換基を有していてもよいヒドラジノの置換基としては、アルキル、アラルキル、ニトロ、シアノ等が挙げられるが、アルキル、アラルキルはR、R1におけるアルキル、アラルキルと同義であり、たとえばメチルヒドラジノ、エチルヒドラジノ、ベンジルヒドラジノ等が例示される。
【0097】
一般式(I)で示される化合物としては、具体的には次の化合物を挙げることができる。
(1)4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(2)1−ベンジルオキシカルボニル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(3)1−ベンゾイル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(4)1−プロピル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(5)1−〔3−(2−(2−チエニルメチル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(6)4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(7)1−ベンジル−4−(4−ピリジルカルバモイル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
(8)3−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(9)1−ベンジル−3−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(10)1−(2−(4−ベンジルオキシフェノキシ)エチル)−4−(N−(2−ピリジル)−N−ベンジルカルバモイル)ピリジン
(11)1−ホルミル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(12)4−(3−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(13)1−イソプロピル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(14)1−メチル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(15)1−ヘキシル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(16)1−ベンジル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(17)1−(2−フェニルエチル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(18)1−(2−(4−メトキシフェニル)エチル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(19)1−(2−(4−メトキシフェニル)エチル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(20)1−(2−(4−クロロフェニル)エチル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
【0098】
(21)1−ジフェニルメチル−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(22)1−〔2−(4−(5−メチル−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−6−イル)フェニル)エチル〕−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(23)1−(4−(4,5−ジヒドロ−2−フリル)フェニル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(24)1−(2−ニトロフェニル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(25)1−(2−アミノフェニル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(26)1−ニコチノイル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(27)1−イソニコチノイル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(28)1−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(29)1−アセチル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(30)1−(3−(4−フルオロベンゾイル)プロピル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(31)1−(3−(4−フルオロベンゾイル)プロピル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(32)1−(1−(4−ヒドロキシベンゾイル)エチル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(33)1−(1−(4−ベンジルオキシベンゾイル)エチル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(34)1−(2−(4−ヒドロキシフェノキシ)エチル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(35)1−(4−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシブチル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(36)1−(1−メチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシエチル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(37)1−シンナミル−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(38)1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(39)1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−4−(3−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(40)1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
【0099】
(41)1−(2−フェニルエチル)−4−〔N−(2−ピリジル)−N−(2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル)カルバモイル〕ピペリジン
(42)1−ベンジルオキシカルボニル−4−(2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(43)1−(3−クロロフェニル)カルバモイル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(44)1−〔N−(2−ピリジル)−N−(2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル)カルバモイル〕ピペリジン
(45)1−メチル−4−(4−ピリジルカルバモイル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン
(46)1−ニコチノイル−3−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(47)1−〔2−(4−フルオロベンゾイル)エチル〕−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(48)1−(6−クロロ−2−メチルイミダゾ〔1,2−a〕ピリジン−3−カルボニル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(49)1−(4−ニトロベンジル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(50)1−ヘキシル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(51)1−ベンジルオキシカルボニル−4−(2−クロロ−4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(52)4−(2−クロロ−4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(53)1−(2−クロロニコチノイル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(54)3−(2−クロロ−4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(55)1−(4−フタルイミドブチル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(56)1−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシシンナモイル)−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(57)1−カルバモイルメチル−4−(4−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(58)1−ベンジルオキシカルボニル−4−(5−ニトロ−2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(59)4−(5−ニトロ−2−ピリジルカルバモイル)ピペリジン
(60)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
【0100】
(61)トランス−4−アミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(62)トランス−4−ホルムアミドメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(63)トランス−4−ジメチルアミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(64)N−ベンジリデン−トランス−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキシルメチルアミン
(65)トランス−4−ベンジルアミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(66)トランス−4−イソプロピルアミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(67)トランス−4−ニコチノイルアミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(68)トランス−4−シクロヘキシルアミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(69)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミド−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(70)トランス−4−アミノ−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(71)トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(72)トランス−4−アミノメチル−シス−2−メチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(73)(+)−トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミドプロピル)−1−シクロヘキサンカルボン酸
(74)(+)−トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミドプロピル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(75)(−)−トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミドプロピル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(76)(+)−トランス−4−(1−アミノプロピル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(77)(−)−トランス−4−(1−アミノプロピル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(78)(−)−トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミドエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(79)(+)−トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミドエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(80)(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
【0101】
(81)(−)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(82)トランス−4−(4−クロロベンゾイル)アミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(83)トランス−4−アミノメチル−1−(2−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(84)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチル−1−(2−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(85)トランス−4−メチルアミノメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(86)トランス−4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)メチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(87)トランス−4−アミノメチル−1−(3−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(88)トランス−4−アミノメチル−1−〔(3−ヒドロキシ−2−ピリジル)カルバモイル〕シクロヘキサン
(89)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチル−1−(3−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(90)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチル−1−〔(3−ベンジルオキシ−2−ピリジル)カルバモイル〕シクロヘキサン
(91)トランス−4−フタルイミドメチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(92)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチル−1−(3−メチル−4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(93)トランス−4−アミノメチル−1−(3−メチル−4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(94)4−(トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチルシクロヘキシルカルボニル)アミノ−2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド
(95)4−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)アミノ−2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド
(96)トランス−4−アミノメチル−1−(2−メチル−4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(97)トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミドエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(98)トランス−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(99)トランス−4−(2−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(100)トランス−4−(2−アミノ−1−メチルエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
【0102】
(101)トランス−4−(1−アミノプロピル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(102)トランス−4−アミノメチル−トランス−1−メチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(103)トランス−4−ベンジルアミノメチル−シス−2−メチル−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(104)トランス−4−(1−ベンジルオキシカルボキサミド−1−メチルエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(105)トランス−4−ベンジルオキシカルボキサミドメチル−1−(N−メチル−4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(106)トランス−4−(1−アセタミド−1−メチルエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン
(107)トランス−N−(6−アミノ−4−ピリミジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(108)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(109)(+)−トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(110)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(111)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(112)(+)−トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(113)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(114)(+)−トランス−N−(2−アミノ−4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(115)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(116)(+)−トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(117)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン−4−イル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(118)トランス−N−(4−ピリミジニル)−4−アミノメチルシクロへキサンカルボキサミド
(119)トランス−N−(3−アミノ−4−ピリジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(120)トランス−N−(7H−イミダゾ〔4,5−d〕ピリミジン−6−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
【0103】
(121)トランス−N−(3H−1,2,3−トリアゾロ〔4,5−d〕ピリミジン−7−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(122)トランス−N−(1−ベンジル−1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(123)トランス−N−(1H−5−ピラゾリル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(124)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(125)トランス−N−(4−ピリダジニル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(126)トランス−N−(7H−ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(127)トランス−N−(2−アミノ−4−ピリジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(128)トランス−N−(チエノ〔2,3−d〕ピリミジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(129)トランス−N−(5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔1,5−a〕ピリミジン−7−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(130)トランス−N−(3−シアノ−5−メチルピラゾロ〔1,5−a〕ピリミジン−7−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(131)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(132)トランス−N−(2−(1−ピロリジニル)−4−ピリジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(133)トランス−N−(2,6−ジアミノ−4−ピリミジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(134)(+)−トランス−N−(7−メチル−1,8−ナフチリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(135)トランス−N−(1−ベンジルオキシメチルピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(136)(+)−トランス−N−(1−メチルピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(137)トランス−N−ベンジル−N−(2−ベンジルアミノ−4−ピリジル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(138)トランス−N−(2−アジド−4−ピリジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(139)トランス−N−(2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(140)トランス−N−(2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0104】
(141−1)トランス−N−(2−カルボキシ−4−ピリジル)−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(141−2)(R)−(+)−トランス−N−(3−ブロモ−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(142)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(143)トランス−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(144)トランス−N−(4−ピリジル)−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(145)トランス−N−(1−メチルピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(グアニジノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(146)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(2−イミダゾリン−2−イル)アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(147)トランス−N−(1−ベンジルオキシメチルピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(148)トランス−N−(2−アミノ−4−ピリジル)−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(149)トランス−N−(1−ベンジルオキシメチル−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(2−イミダゾリン−2−イル)アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(150)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルグアニジノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(151)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(3−フェニルグアニジノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(152)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(3−プロピルグアニジノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(153)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(3−オクチルグアニジノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(154)トランス−N−(1−ベンジルオキシメチルピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(2−ベンジル−3−エチルグアニジノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
(155)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(イミダゾール−2−イル)アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(156)トランス−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(チアゾール−2−イル)アミノメチルシクロヘキサンカルボキサミド
(157)(R)−(+)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(158)N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)ベンズアミド
(159)N−(4−ピリジル)−4−アミノメチル−2−ベンジルオキシベンズアミド
(160)N−(4−ピリジル)−4−アミノメチル−2−エトキシベンズアミド
【0105】
(161)(R)−(−)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−3−ニトロベンズアミド
(162)(R)−(−)−N−(4−ピリジル)−3−アミノ−4−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(163)(R)−(+)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−3−クロロベンズアミド
(164)N−(4−ピリジル)−3−アミノメチルベンズアミド
(165)(R)−(+)−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(166)(R)−(+)−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(167)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−グアニジノメチルベンズアミド
(168)N−(4−ピリジル)−4−グアニジノメチルベンズアミド
(169)(R)−(+)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−3−フルオロベンズアミド
(170)N−(4−ピリジル)−4−アミノメチルベンズアミド
(171)N−(4−ピリジル)−4−アミノメチル−2−ヒドロキシベンズアミド
(172)N−(4−ピリジル)−4−(2−アミノエチル)ベンズアミド
(173)N−(4−ピリジル)−4−アミノメチル−3−ニトロベンズアミド
(174)N−(4−ピリジル)−3−アミノ−4−アミノメチルベンズアミド
(175)(S)−(−)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(176)(S)−(−)−N−(4−ピリジル)−2−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(177)(R)−(+)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−2−クロロベンズアミド
(178)(R)−(+)−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−(3−プロピルグアニジノ)エチル)ベンズアミド
(179)(R)−(−)−N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)−3−アジドベンズアミド
(180)(R)−(+)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−2−ニトロベンズアミド
【0106】
(181)(R)−(−)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−3−エトキシベンズアミド
(182)(R)−(+)−N−(3−ヨード−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)ベンズアミド
(183)(R)−(+)−N−(3−ヨード−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)−3−アジドベンズアミド
(184)(R)−(−)−N−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−3−ヒドロキシベンズアミド
(185)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−グアニジノメチル−3−ニトロベンズアミド
(186)(R)−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−グアニジノエチル)−3−ニトロベンズアミド
(187)(R)−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)−2−ニトロベンズアミド
(188)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−グアニジノベンズアミド
(189)(R)−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノエチル)−3−ニトロベンズアミド
(190)(R)−N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−グアニジノエチル)ベンズアミド
(191)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノ−2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド
(192)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−アミノメチル−3−ニトロベンズアミド
(193)N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(194)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(195)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−1−アミノアセチル−4−ピペリジンカルボキサミド
(196)N−(1−メトキシメチル−1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(197)N−(2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(198)N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−1−(2−フェニルエチル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(199)N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−1−アミジノ−4−ピペリジンカルボキサミド
(200)N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−4−ピペリジンカルボキサミド
【0107】
(201)N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−1−ベンジル−4−ピペリジンカルボキサミド
(202)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−1−(2−フェニルエチル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(203)N−(1H−ピラゾロ〔3,4−b〕ピリジン−4−イル)−1−(3−フェニルプロピル)−4−ピペリジンカルボキサミド
(204)N−(1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−4−イル)−4−(1−アミノ−1−メチルエチル)ベンズアミド
好ましくは、化合物(80)、(109)、(110)、(112)、(115)、(142)、(143)、(144)、(145)、(153)、(157)、(163)、(165)、(166)および(179)が挙げられる。
【0108】
本発明において使用され得るRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物は製薬上許容される酸付加塩でも良く、その酸とは塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、マンデル酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸等の有機酸が挙げられる。また、カルボキシル基を有する化合物は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の金属との塩、リジン等のアミノ酸との塩とすることもできる。さらに、それらの1水和物、2水和物、1/2水和物、1/3水和物、1/4水和物、2/3水和物、3/2水和物、6/5水和物等も本発明に含まれる。
【0109】
一般式(I)で示される化合物は、例えば特開昭62−89679号、特開平3−218356号、特開平5−194401号、特開平6−41080号、WO95/28387号、WO98/06433号等に記載されている方法により合成することができる。
【0110】
上述のRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物に光学異性体、そのラセミ体またはシス−トランス異性体が存在する場合には、本発明においてはこれらすべてを使用することができ、これらの異性体は常法により単離するか、各異性体原料を用いることによって製造することができる。
【0111】
また、本発明においては、1種類のRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を単独で含めることも、また必要に応じて数種類を併用して含めることもできる。
【0112】
本発明の臓器障害に基づく疾患の予防・治療剤は、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を含有し、更に必要に応じて製剤上許容し得る担体(賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、溶解補助剤等)と混合して調製された、各種固形製剤、半固形製剤又は液体製剤である。これらの製剤は、経口、注射、あるいは局所投与等の任意の投与方法によって投与することができる。
【0113】
固形製剤とする場合は、添加剤、たとえば、ショ糖、乳糖、セルロース糖、D−マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン類、寒天、アルギネート類、キチン類、キトサン類、ペクチン類、トランガム類、アラビアゴム類、ゼラチン類、コラーゲン類、カゼイン、アルブミン、リン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、ポリエチレングリコール、炭酸水素ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が用いられる。
【0114】
半固形製剤とする場合は、動植物性油脂(オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマシ油等)、鉱物性油脂(ワセリン、白色ワセリン、固形パラフィン等)、ロウ類(ホホバ油、カルナバロウ、ミツロウ等)、部分合成もしくは全合成グリセリン脂肪酸エステル(ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等)等が用いられる。これらの市販品の例としては、ウイテプゾール(ダイナミッドノーベル社製)、ファーマゾール(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0115】
液体製剤とする場合は、添加剤、たとえば塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセリン、オリーブ油、プロピレングリコール、エチルアルコール等が挙げられる。特に注射剤とする場合は、無菌の水溶液、たとえば生理食塩水、等張液、油性液、たとえばゴマ油、大豆油が用いられる。また、必要により適当な懸濁化剤、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、非イオン性界面活性剤、溶解補助剤、たとえば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を併用してもよい。
【0116】
本発明の臓器障害に基づく疾患の予防・治療剤において、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物の投与量は、投与方法により異なるが、通常、1日あたり、経口投与の場合0.1〜1000mg/kg、好ましくは0.1〜500mg/kg、注射の場合、0.03〜300mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/kg、局所投与の場合0.1〜1000mg/kg、好ましくは0.1〜500mg/kgである。
【0117】
【実施例】
以下、本発明を製剤処方例および実験例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0118】
なお、以下の製剤処方例および実験例には、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物としては、一般式(I)で表される化合物のひとつである(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサン 2HCl・1H2O(以下、Y−27632と称する)を用いた。
【0119】
Figure 0004851003
本発明化合物(Y−27632)、乳糖、トウモロコシデンプンおよび結晶セルロースを混合し、ポリビニルピロリドンK30糊液を用いて練合し、20メッシュの篩を通して造粒した。50℃で2時間乾燥した後、24メッシュの篩を通し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、直径7mmの杵を用いて、1錠120mgの錠剤を製した。
【0120】
Figure 0004851003
本発明化合物(Y−27632)、乳糖およびトウモロコシデンプンを混合し、ポリビニルピロリドンK30糊液を用いて練合し、20メッシュの篩を通して造粒した。50℃で2時間乾燥した後、24メッシュの篩を通し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、硬カプセル(4号)に充填し120mgのカプセル剤を製した。
【0121】
Figure 0004851003
塩化ナトリウムを約80部の注射用蒸留水に溶解させ、次いで本発明化合物(Y−27632)を加えて溶解後、全量(100部)とする。メンブランフィルター(0.2nmを用い濾過後、2ml容のアンプルに充填し、115℃、30分間滅菌して2ml容の注射剤を製した。
【0122】
実験例1:ラット阻血再灌流モデル
Wistarラット(230〜280g)を6匹づつ2群に分類した。Y-27632投与群にはY-27632(3,10,30mg/kg)を蒸留水で溶解後、経口投与し、Control群にはVehicle(蒸留水)を投与した。投与から2時間後、門脈左枝をクランプすることにより90分間部分阻血を行い、その後再潅流した。再潅流後、近赤外分光法を用いて経時的に1時間まで、総ヘモグロビン量、オキシヘモグロビン量、デオキシヘモグロビン量およびチトクローム-a含量を測定した((1)Tashiro H, Suzuki S, Kanashiro M, et al. A new method for determining graft function after liver transplantation by near-infrared spectroscopy. Transplantation 1993;56:1261.(2)Hirao, K.1994.Absorption spectrum determining method and spectrometric measuring apparatus for light-diffusive object using the method. United States Patent, Patent No.533610. Date of patent Aug.2.1994. (3)Ohdan H, Fukuda Y, Suzuku S, et al. Simultaneous evaluation of nitric oxide synthesis and tissue oxygenation in rat liver allograft rejection using near-infrared spectroscopy. Transplantation 1995;60:530. )。再潅流1時間後に肝組織を摘出するとともに、血清におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ:AST(GOT),アラニンアミノトランスフェラーゼ:ALT(GPT),乳酸デヒドロゲナーゼ:LDH,ヒアルロン酸およびエンドセリン-1:ET-1の測定を行った。なお有意差検定にはt検定を用いた。
総ヘモグロビン量
結果を図1に示す。再潅流後、Control群においては総ヘモグロビン量の上昇傾向の持続を認め、肝局所でうっ血を呈していると考えられた。一方、Y-27632投与群においては、軽度のうっ血のみであり、有意な改善が認められた。さらに、一時間後にはほぼ正常肝と同等量のヘモグロビン量にまで回復した。
オキシヘモグロビン量
結果を図2に示す。再潅流後、Control群ではオキシヘモグロビン量の低下を認め、低値を維持し回復傾向を認めなかった。一方、Y-27632投与群においては、Control群と比較して有意に、再潅流直後よりオキシヘモグロビン量が維持されていた。またその効果は容量依存的であった。このことから、Y-27632投与により低酸素状態を予防できていると考えられた。
デオキシヘモグロビン量
結果を図3に示す。再潅流後、Control群においては、うっ血所見に一致して著明に上昇し、改善傾向を認めなかった。一方、Y-27632投与群では、Control群と比較して有意に低値を示し、30mg/kg投与群においては20分後には正常レベルまで低下した。
チトクローム-a量
結果を図4に示す。再潅流後、Control群では、ミトコンドリアの破壊によりチトクローム-a量が減少していた。一方、Y-27632投与群では、チトクローム-a量の減少が有意に抑制されていた。
摘出肝臓の病理組織学的所見
Control群では急性鬱血の所見を認めたが、Y-27632投与群では同所見を認めなかった。
血清におけるAST,ALT,LDH,ヒアルロン酸およびET-1量
AST,ALTおよびLDHの測定結果を表1に、またヒアルロン酸およびET-1の測定結果を表2に示す。Y-27632投与群では、Control群と比較して、AST,ALTが30mg/kg投与群で、また、LDHが10,30mg/kg投与群で有意に低下していたが,ヒアルロン酸およびET-1は、コントロール群と30mg/kg投与群との間に有意差を認めなかった。
【0123】
【表1】
Figure 0004851003
【0124】
【表2】
Figure 0004851003
【0125】
以上、Y-27632投与により、血管内の酸素化障害の指標(総ヘモグロビン量、オキシヘモグロビン量、デオキシヘモグロビン量)および肝細胞自体の障害の指標(チトクローム-a量,血清におけるAST,ALT,LDH量)のいずれもが有意に改善していた。一方類洞内皮細胞の障害の指標(血清ヒアルロン酸およびET-1)は有意ではなかった。以上のことからRhoキナーゼ阻害薬(Y-27632)の投与により再潅流後の酸素化障害や肝細胞自体への障害が予防し得ることが明らかとなった。
【0126】
実験例2:同種間同所性肝移植モデル
Wistarラット(230〜280g)を用いた。Control群(n=9)では,45分温阻血をドナー肝に行い、レシピエントに同所性肝移植を行った(Kamada N, Calne RY. Orthotopic liver transplantation in the rat: technique using cuff for portal vein anastomosis and biliary drainage. Transplantation 1979;28:47-50)。Y-27632投与群(n=8)では術前2時間前にドナー、レシピエントに各々Y-27632を30mg/kg経口投与し、その後45分温阻血をドナー肝に行い、同所性肝移植を行った。移植12時間後にY-27632を1回のみ30mg/kg経口投与した。手術後7日後までの生存率の検討を行った。
結果を図5に示す。Control群では術後1日目より死亡例が認められ、最終的に1週間後まで生存した個体は1例であった。一方、Y-27632投与群では2日目に1例の死亡例が認められたがその他の個体は7日目まで生存し、著明な生存率改善作用が認められた。
以上の結果より、Rhoキナーゼ阻害薬(Y-27632)の投与により、肝移植に伴う障害が抑制し得ることが明らかとなった。
【0127】
【発明の効果】
上記実験例もしくはその他の薬理実験より、Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物はラット肝臓の虚血‐再潅流における酸素化障害や肝細胞自体への障害を予防することが明らかとなった。さらにラット同所性肝移植モデルにおいても顕著な生存率の向上が認められている。これらのことからRhoキナーゼ阻害剤は肝臓における虚血−再灌流障害、肝移植において顕著な効果を有することがわかる。したがって、本発明のRhoキナーゼ阻害活性を有する化合物は、臓器障害に基づく疾患の予防・治療剤、すなわち、 各種の原因により生じる組織・臓器障害、虚血−再灌流障害に基づく疾患の予防・治療剤、臓器保存剤等として有用である。
【0128】
【図面の簡単な説明】
【図1】肝阻血‐再潅流モデルにおける総ヘモグロビン量の経時変化を示す。また図中、Y−3mg、Y−10mg、Y−30mgはY−27632の投与量を示す。
【図2】肝阻血‐再潅流モデルにおけるオキシヘモグロビン量の経時変化を示す。また図中、Y−3mg、Y−10mg、Y−30mgはY−27632の投与量を示す。
【図3】肝阻血‐再潅流モデルにおけるデオキシヘモグロビン量の経時変化を示す。また図中、Y−3mg、Y−10mg、Y−30mgはY−27632の投与量を示す。
【図4】肝阻血‐再潅流モデルにおけるチトクローム−a量の経時変化を示す。また図中、Y−3mg、Y−10mg、Y−30mgはY−27632の投与量を示す。
【図5】同所性肝移植モデルにおける生存率の推移を示す。

Claims (3)

  1. Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物を含有する肝臓障害の予防・治療剤であって、該Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物が下記一般式(I)
    Figure 0004851003
    〔式中、Raは式
    Figure 0004851003
    〔式中、Rは水素を示す。
    は水素を示す。
    は水素を示す。
    、R は水素を示す。
    Aは式
    Figure 0004851003
    (式中、R 10 、R 11 は同一または異なって水素またはアルキルを示す。l、nはそれぞれ0を示し、mは1を示す。)を示す。
    Rbは水素を示す。
    Rcはピリジン、ピロロピリジンまたはピラゾロピリジンを示す。〕
    により表されるアミド化合物、その異性体および/またはその製薬上許容され得る酸付加塩である肝虚血−再灌流障害に基づく肝臓障害の予防・治療剤
  2. Rhoキナーゼ阻害活性を有する化合物が、(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイル)シクロヘキサンおよび/またはその製薬上許容されうる酸付加塩である、請求1記載の肝虚血−再灌流障害に基づく肝臓障害の予防・治療剤
  3. 肝虚血−再灌流障害に基づく肝臓障害が肝虚血−再灌流障害後の酸素化障害、肝細胞自体の障害および/又は肝移植に伴う肝臓障害である請求項1〜2のいずれか1項に記載の肝虚血−再灌流障害に基づく肝臓障害の予防・治療剤
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