JP4845608B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4845608B2 JP4845608B2 JP2006176582A JP2006176582A JP4845608B2 JP 4845608 B2 JP4845608 B2 JP 4845608B2 JP 2006176582 A JP2006176582 A JP 2006176582A JP 2006176582 A JP2006176582 A JP 2006176582A JP 4845608 B2 JP4845608 B2 JP 4845608B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- mass
- monomer
- polypropylene resin
- rubber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
成分(A):ポリプロピレン系樹脂。
成分(B):ゴム含有グラフト共重合体。
成分(C):ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISはIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)である。)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)ゴム含有グラフト共重合体、(C)ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体、および、必要により(D)無機充填剤とを主として含有してなる。
本発明に用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とし、更にエチレンまたは炭素数4以上のα―オレフィンをコモノマーとして含有するランダムまたはブロック共重合体、並びにこれらの混合物等が挙げられる。プロピレンと共重合させるコモノマーの具体例としては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらコモノマー成分の含有量は、共重合体全体を100質量%として、通常0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%である。コモノマーの含有量が15質量%を超えると、得られるポリプロピレン系樹脂組成物の剛性が低下する場合がある。これらのうち、高い耐衝撃性を必要とする用途には、プロピレンとエチレンおよび/又はブテン−1とのブロック共重合体が好ましく、高い剛性を必要とする用途には、プロピレン単独重合体が好ましい。
チーグラー(ZN)触媒としては、高活性触媒が好ましく、特に、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせた高活性触媒が好ましい。
本発明で用いる(B)ゴム含有グラフト(共)重合体としては、ゴム成分の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体などのビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合して得られるものであれば、特に制限されるものではない。成分(B)で用いるゴム成分としては、共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、下記エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)及び/又は下記共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)を用いることが好ましい。
エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)は、エチレン−プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合して得られる。
共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)は、共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合して得られる。
本発明で用いる(C)ポリプロピレン系樹脂含有グラフト(共)重合体は、ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合して得られる。
本発明で用いることができる無機充填材(D)としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、カーボン繊維、及び、炭化ケイ素ウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等のウィスカーなどが挙げられ、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、タルク、酸化亜鉛ウィスカー、及び塩基性硫酸マグネシウムウィスカーが好ましい。無機充填材(D)を配合することにより、本発明の樹脂組成物の剛性が向上し、下記K値を向上させるのが容易になる場合がある。
また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物には、上記の成分(A)から成分(D)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、加工安定剤、紫外吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、結晶化核剤、滑剤、可塑剤、金属不活性剤、着色顔料、各種無機充填剤、ガラス繊維、強化剤、難燃剤、離型剤、発泡剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。また、必要に応じ他の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドなどを本発明の目的を損なわない範囲で配合することもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の成分(A)と成分(B)の質量比率は、成分(A)/成分(B)として、95/5〜50/50、好ましくは90/10〜60/40、より好ましくは85/15〜70/30である。95/5より大きいと耐衝撃性並びに剛性の向上が期待できず、50/50より小さいと比重が大きくなり軽量化に好ましくない。
上記成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対する成分(C)の質量配合比は、1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部である。1質量部より小さいと耐衝撃性並びに剛性の向上が期待できず、100質量部より大きいと比重が大きくなり軽量化に好ましくない。
また、本発明の樹脂組成物において、成分(B)中のゴム成分の量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、更に好ましくは2〜40質量部、特に好ましくは3〜30質量部である。ゴム成分の量が少くな過ぎると、樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向があり、多すぎると成形性が低下し比重が高くなる傾向がある。
本発明の樹脂組成物が無機充填剤(D)を含有する場合、その質量配合量は、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、通常1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜30質量部である。50質量部より大きいと比重が大きくなり軽量化に好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混練機を用いて適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練したあと、押出機によりペレット化することもできる。また、無機充填材のうち繊維状のものは、混練中での切断を防止するためにサイドフィーダーにより押出機の途中から供給する方が好ましい。溶融混練温度は、通常200〜260℃、好ましくは220〜240℃である。
かくして、各成分を溶融混練して得られる本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)が連続相を形成し、連続相を形成する成分(A)中に成分(B)および成分(C)から構成される成分が分散相を形成する。分散相の平均粒子径は0.01〜10.0μmであることが好ましい。この平均粒子径は電子顕微鏡により公知の方法により測定することができる。分散相の平均粒子径の調整は、溶融混練温度、せん断速度等を調整することによって行うことができ、混練機として押出機などの連続混練機を使用する場合は、樹脂組成物の供給量、回転数等によっても調整できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は熱可塑性樹脂組成物であって、射出成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品を得ることができる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の相溶性に優れるため、成形体にて測定した23℃におけるIZOD衝撃強度(IS)と曲げ弾性率(FM)を用いて下記式(1)で求められたK値を500以上にすることができる。成分(D)を配合する場合、K値を550以上にすることが容易になる。
(式(1)中、ISは常温におけるIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、ASTM D256に準拠して、厚み1/4インチ、ノッチつきの試験片を用いて測定した。また、式(1)中、FMは常温における曲げ弾性率(単位:MPa)であり、ASTM D790に準拠して、厚み1/4インチの試験片を用いて、曲げスパン100mm、曲げ速度30mm/分の条件で測定した。)
本発明によれば、成形品が耐衝撃性と曲げ弾性率の両者に優れていることは、式(1)で得られる値Kで代表させることができる。
本発明では、式(1)において、IZOD衝撃強度が30J/m以上であることが好ましく、35J/m以上であることがより好ましく、曲げ弾性率が1600MPa以上であることが好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、比重0.98以下の低比重成形体を提供することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記のような優れた性質を有するので、上記成形法によって得られる各種成形品は、その優れた性質を利用して、自動車分野の外板部品、外装部品、内装部品等の各種部品、家電製品の各種部品及び各種ハウジング、電気・電子分野の各種部品及び各種ハウジング、雑貨などに使用することができる。
本実施例において用いられる各種評価方法は、以下の通りである。また、下記の評価方法は、本明細書における各種物性値の測定方法を定義するものである。
ASTM D792に準拠して23℃にて測定した。
(1−2)流動性
流動性はMFRをASTM D1238に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定して、評価した。
(1−3)耐衝撃性
耐衝撃性は、アイゾット(IZOD)衝撃強度をASTM D256に準拠して、厚み1/4インチ、ノッチつきの試験片を用いて測定して、評価した。
剛性は、曲げ弾性率をASTM D790に準拠して、厚み1/4インチの試験片を用いて、曲げスパン100mm、曲げ速度30mm/分の条件で測定して、評価した。
(1−5)外観
外観は、240.0mm×80.0mm×3.0mmの平板状の試験片を用いて、目視にて以下の基準にて評価した。なお、試験片は、射出成形により作成した。
○:ヒケ、反り、フローマークなどが全く認められず、均一な外観を有している。
△:部分的にヒケ、反り、フローマークなどが認められ、部分的に不均一な外観を有している。
×:全体的にヒケ、反り、フローマークなどが認められ、不均一な外観を有している。
(1−6)成形収縮率
成形収縮率は、240.0mm×80.0mm×3.0mmの平板状の試験片を用いて、測定した。なお、試験片は、射出成形により作成した。
(2−1)成分(A)(ポリプロピレン系樹脂)
[製造例A−1](プロピレン単独重合体の製造)
(i)固体触媒成分(a)の製造
窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(a)390gを得た。
得られた固体触媒成分(a)中には、チタンが1.22重量%含まれていた。
内容積230リットルの流動床式反応器を用いて重合を行った。重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm2(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.004となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、結晶性プロピレン重合体を得た。得られた結晶性プロピレン重合体を成分A−1とした。
(前段重合工程:結晶性プロピレン重合体成分の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm2(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.005となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記製造例A−1記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力1.5MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.50となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0045となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.2倍モルになるように供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体を得た。得られたプロピレン系ブロック共重合体を成分A−2とした。
(前段重合工程:結晶性プロピレン重合体成分の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm2(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.040となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記製造例A−1記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力1.5MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.50となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0045となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.2倍モルになるように供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体を得た。得られたプロピレン系ブロック共重合体を成分A−3とした。
[製造例B−1]
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン−プロピレン系ゴム(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)20であるエチレン−プロピレン系共重合体)32部、スチレン44部、アクリロニトリル24部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温し、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応を開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って終了した。
内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、40mmφベント付き押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を770mmHgに調節して揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたゴム含有グラフト共重合体のグラフト率は60%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.40dl/gであった。
[製造例B−2]
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達して時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部およびブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t―ドデシルメルカプタン0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合を継続させた後、2,2′―メチレン−ビス(4−エチル−6−t―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してゴム含有グラフト共重合体を得た。このグラフト共重合体のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
なお、上記製造例B−1及びB−2で得られた共重合体をそれぞれ成分B−1及びB−2という。
成分B−3:AS樹脂
溶液重合により、アクリロニトリル含量24.3質量%、極限粘度〔η〕0.6のスチレン―アクリロニトリル共重合体樹脂(AS樹脂)を製造した。
成分B−4:
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、プロピレン単独重合体13.4部、エチレン―プロピレン系ゴム21.3部、トルエン140部を仕込み、内温を120℃に昇温してこの温度を保持しながら、オートクレーブ内容物を攪拌回転数100rpmで2時間攪拌して溶解操作を行った。攪拌回転数100rpm攪拌しながら内温を95℃に降温して、スチレン45.7部、アクリロニトリル19.6部、クメンハイドロパーオキサイド1.0部を添加して、再び内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら3時間反応を行って終了した。内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去した。得られた共重合体のグラフト率は25%で、ηは0.32dl/gであった。
[製造例C−1]
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、プロピレン単独重合体40部、トルエン140部を仕込み、内温を120℃に昇温してこの温度を保持しながら、オートクレーブ内容物を攪拌回転数100rpmで2時間攪拌して溶解操作を行った。攪拌回転数100rpmで攪拌しながら内温を95℃に降温して、スチレン42部、アクリロニトリル18部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.5部を添加して、再び内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら3時間反応を行った。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去した。得られた共重合体のグラフト率は60%で、極限粘度〔η〕は0.23dl/gであった。
表3に示す処方を用いた以外、製造例C−1と同様の方法にて製造した。分析結果も表3に示す。
なお、上記製造例C−1及びC−2で得られた共重合体をそれぞれ成分C−1及びC−2という。
成分D−1: 日本タルク製のタルク(商品名:ミクロエースL−1)
成分D−2: 宇部マテリアル製の塩基性硫酸マグネシウム無機繊維であるウィスカ(商品名:モスハイジ)
酸化防止剤1: チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のフェノール系酸化防止剤である「イルガノックス1010(商品名)」
酸化防止剤2: 旭電化製のリン系酸化防止剤である「アデカスタブPEP−36(商品名)」
表4〜5に記載の配合割合で上記成分(A)〜(D)とその他の成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(バレル設定温度220℃)で混練し、ペレット化した。得られたペレットを射出成形機(東芝機械社製IS1006N、設定温度220℃、金型温度50℃)で評価用の各種試験片を成形した。そして、得られた試験片を用いて、前記の方法で評価した。以上の評価結果を表4〜5に示した。
表4から明らかなように、本発明の実施例1〜15の樹脂組成物は、流動性、耐衝撃性、剛性、外観、成形収縮率及び耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、しかも、低比重であった。
Claims (6)
- 下記成分(A)50〜95質量%と下記成分(B)50〜5質量%とを含有し、更に、該成分(A)と該成分(B)との合計量100質量部あたり、下記成分(C)1〜100質量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂。
成分(B):下記エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)及び/又は下記共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)からなるゴム含有グラフト共重合体。
成分(C):ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
成分(B−1):エチレン−プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるエチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体。
成分(B−2):共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなる共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体。 - 更に、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計量100質量部あたり、無機充填剤(D)1〜50質量部を含有する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記成分(B)が、前記成分(B−1)20〜90質量%と、前記成分(B−2)80〜10質量%とからなる請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記成分(C)が、芳香族炭化水素を主体とする溶剤及び重合開始剤の存在下でグラフト共重合して得られたものである請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記成分(A)中に、前記成分(B)及び前記成分(C)が平均粒子径0.01〜10μmで分散している請求項1乃至4の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる、下記式(1)に従って求めた値Kが500以上であり、比重が0.98以下である成形体。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISは常温におけるIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは常温における曲げ弾性率(単位:MPa)である。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006176582A JP4845608B2 (ja) | 2006-06-27 | 2006-06-27 | ポリプロピレン系樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006176582A JP4845608B2 (ja) | 2006-06-27 | 2006-06-27 | ポリプロピレン系樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008007550A JP2008007550A (ja) | 2008-01-17 |
JP4845608B2 true JP4845608B2 (ja) | 2011-12-28 |
Family
ID=39066047
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006176582A Active JP4845608B2 (ja) | 2006-06-27 | 2006-06-27 | ポリプロピレン系樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4845608B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5828711B2 (ja) * | 2011-08-11 | 2015-12-09 | テクノポリマー株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3372298B2 (ja) * | 1993-06-10 | 2003-01-27 | 鐘淵化学工業株式会社 | 改質ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物 |
-
2006
- 2006-06-27 JP JP2006176582A patent/JP4845608B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008007550A (ja) | 2008-01-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2085425B1 (en) | Resin composition for metal plating, molded article thereof, and metal-plated molded article | |
JP2000119477A (ja) | ゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH1121413A (ja) | シクロオレフィン系共重合体樹脂組成物及びその製造方法 | |
JPS6348317A (ja) | 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂およびその製造方法 | |
JP2008088315A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 | |
WO2011090200A1 (ja) | 異形押出成形用樹脂組成物及び異形押出樹脂成形品 | |
JP5238134B2 (ja) | 電池セル筐体およびその製造方法 | |
JP4845608B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
JP3939836B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂組成物 | |
JP5134291B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 | |
JP3850504B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP6351152B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP3286971B2 (ja) | スチレン系共重合体、該共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物及びそれらの製造法 | |
JP3177151B2 (ja) | ゴム状重合体ラテックスの製造方法、それを用いたグラフト共重合体の製造方法およびグラフト共重合体を用いたabs系樹脂組成物 | |
JP5817129B2 (ja) | 異形押出成形用樹脂組成物及び異形押出樹脂成形品 | |
JP4103972B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂 | |
JP6418954B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2013071982A (ja) | 金属メッキ用樹脂組成物 | |
JP2008266606A (ja) | 耐アルコール性成形材料及び成形品 | |
JP5784437B2 (ja) | 金属メッキ用樹脂組成物 | |
JP3353429B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH0827234A (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 | |
JP5134847B2 (ja) | 耐アルコール性成形材料及び成形品 | |
JP4860161B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JPH0742383B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090403 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110519 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110614 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110801 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110801 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110913 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111011 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4845608 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |