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JP4836592B2 - ロボット装置及びその制御方法 - Google Patents

ロボット装置及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、脚などの複数の可動部を備えたロボット装置及びその制御方法に係り、特に、自励振動と引き込み特性を持つ振動子を用いて可動部の運動制御を行なうロボット装置及びその制御方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、引き込み特性を持つ振動子を用いて可動部の非周期的な運動の制御を行なうロボット装置及びその制御方法に係り、特に、非周期的信号を振動子へのフィードバック信号に用いるとともにより大きな引き込み領域を持つロボット装置及びその制御方法に関する。
最近、脚式移動ロボットの構造やその安定歩行制御に関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。これら脚式移動ロボットは、クローラ式ロボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、階段の昇降や障害物の乗り越えなど、柔軟な歩行・走行動作を実現できるという点で優れている。
脚式移動ロボットにおける歩行を始めとする運動制御技術は、例えば、モデルベースト・アプローチと非モデルベースト・アプローチに大別することができる。
モデルベースト・アプローチの例として、ZMP(Zero Moment Point)を安定度判別規範とする歩行制御技術(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照のこと)や、線形倒立振子制御(例えば、非特許文献1を参照のこと)などが挙げられる。モデルベーストによる運動制御には、ロボット各部位の重心位置や慣性モーメント、リンク長などの精緻なモデル情報が事前情報として必要である、モデル情報に基づいて設計された関節角軌道を正確に追従できるような高精度なアクチュエータが必要となり製造コストが増大する、未知の外力が印加される場合や未知の不整地歩行などで頑健性に劣る、といった問題がある。
他方、ヒトなどの生体メカニズムでは、四肢が持つ物理法則を好適に利用して、効率よく歩行動作を行なっていると言われている。ロボットも、このように物理法則をうまく利用することができれば、精緻なモデルを必要としないで(すなわち少ない演算負荷により)、アクチュエータの駆動トルクを要せず、高いエネルギ変換効率で歩行動作を実現することができると思料される。
最近では、モデルベーストの制御技術における上記の問題点に鑑みて、精緻な機械モデル情報や環境情報を事前に必要としない、非モデルベーストのアプローチが注目を集め始めている。その代表例として、生物の神経系に内在すると言われる神経振動子モデルを用いたロボットの運動制御が挙げられる。
神経振動子は、松岡によって定式化された(例えば、非特許文献3を参照のこと)。特に2つの神経素子を互いに相互抑制結合することにより得られる神経振動子(Coupled Oscillator)は、神経素子パラメータで定められる固有振動数で自励振動することが知られている。この種の神経振動子は、外部から信号を入力することが可能で、神経振動子の固有振動数に近い周期入力対して一定の位相遅れを以って信号を出力する「引き込み現象」が知られている。
神経振動子は、自励発振と引き込み特性という特長により、環境からの適切な入力(フィードバック)があれば、適応的に同期した信号を出力することができる。したがって、神経振動子を用いて、環境変化に対して頑健な制御器を構成することができる。例えば、ロボットの可動部の少なくとも一部を、このような引き込み特性を持つ振動子として捉え、ロボットが行なう歩行やその他の運動を周期運動として扱い、この振動子の位相や振動数を決定又は制御するという形態で歩行動作を制御することができる。このような周期運動が継続することを「安定な歩行」とみなすことができる。
現在までに、神経振動子に関して、2足歩行運動への適用例(例えば、非特許文献4〜8を参照のこと)、4足歩行運動への適用例(例えば、非特許文献9を参照のこと)、腕の周期運動への適用例(例えば、非特許文献10を参照のこと)、ジャグリング動作への適用例(例えば、非特許文献11を参照のこと)などが報告されている。
しかしながら、これらの適用例のほとんどが定常的な周期運動を対象としており、引き込みには周期振動が用いられている。すなわち、環境からの神経振動子へ入力されるフィードバック信号は周期信号であり、パルス波などの非周期信号をフィードバック信号に用いた事例はない。例えば目標点への到達運動を行なうような、神経振動子の非周期的運動への適用可能性に関しては十分な検討がなされていない。また、フィードバック信号の振幅はせいぜい神経振動子の2分の1程度であり、周期信号による引き込み領域もさほど大きくとることはできない。
歩行ロボットは、不整地を歩行するとき、高速歩行するとき、障害物に遭遇したときなどに突発的な外乱が生じる可能性があり、その際、状態が神経振動子の引き込み領域を逸脱すると、周期的信号によるフィードバックでは元の状態を回復することは困難となる。
特許第3443077号公報 特許第3443116号公報 S.Kajita,F.Kanehiro,K.Kaneko,K.Fujiwara,K.Yokoi and H.Hirukawa,"Biped walking pattern generation by asimple three−dimensional inverted pendulum model"(Advanced Robotics,Vol.17,No.2,pp.131−147,2003) ヴコブラトビッチ(Miomir Vukobratovic)著「脚式移動ロボット(LEGGED LOCOMOTIONROBOTS)」(加藤一郎外著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社)) K.Matsuoka:"Sustained oscillator generated by mutually inhibiting neurons with adaptation"(Biological Cybernetics,52,pp.345−353(1985)) G. Taga, Y. Yamaguchi, H. Shimizu: Self−organized controlof bipedal locomotion by neural oscillators in unpredictable environment, BiologicalCybernetics, vol.65, pp.147−159(1991) 多賀厳太郎著「脳と身体の動的デザイン運動−知覚の非線系力学と発達−」(金子書房(2002)) 長谷、山崎共著「神経振動子と遺伝的アルゴリズムを用いた実2足歩行類似運動の生成」(計測自動制御学会論文集,Vol.33, No.5,pp.448−454(1997)) 中村、佐藤、石井共著「神経振動子ネットワークを用いたリズム運動に対する強化学習法」(電子情報通信学会論文誌,Vol.J87−D−II,No.3,pp.893−902(2004)) G.Endo,J.Nakanishi,J.Morimoto,G,Chen"Experimental Study of a Neural Oscillator for Biped Locomotion using QRIO"(International Conference on Robotics and Automation,pp598−604(2005)) 福岡、木村共著「4足ロボットの生物規範型不整地適応動歩行−体性感覚・前庭感覚による調整−」 Matthew M.Williamson"Robot Arm Conrol Exploiting Natural Dynamics"(Massachusetts Institute of Technology,Ph−D Thesis(1999)) S.Miyakoshi,M.Yamakita,K.Furuta"Juggling Control Using Neural Oscillator"(International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS’94),Vol.2,pp.1186−1193(1994))
本発明の目的は、自励振動と引き込み特性を持つ振動子を用いて可動部の運動制御を好適に行なうことができる、優れたロボット装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、引き込み特性を持つ振動子を用いて可動部の非周期的な運動の制御を好適に行なうことができる、優れたロボット装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、非周期的信号を振動子へのフィードバック信号に用いるとともにより大きな引き込み領域を持つ、優れたロボット装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、複数の可動部を有するロボット装置であって、
自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御部と、
前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測部と、
前記環境計測部による計測結果に基づいて、前記振動子に対して周期信号をフィードバック入力して引き込み現象を生成する周期的振動子制御部と、
非周期的若しくは一時的なフィードバック信号を前記振動子に入力する非周期的振動子制御部と、
を具備することを特徴とするロボット装置である。ここで、前記可動部は、可動脚などであり、少なくとも1つの関節を備えている。前記運動制御部は、前記振動子の出力を前記ロボット装置の座標系における前記可動部の軌道に変換し、逆キネマティクス演算により該軌道から前記関節に対する指令値を算出することができる。
本発明は、運動生理学、脳神経科学、計算機学習の知見を用い、脚などの可動部位の少なくとも一部を振動子として捉え、歩行やその他の動作を周期運動として扱うロボット装置に関する。
当該ロボット装置の運動制御部は、振動子の出力する位相信号を脚などの可動部の関節の位置や角速度、角加速度、トルクといった関節指示値(制御信号)にマッピングする。そして、可動部を構成する各関節は制御信号に基づいて駆動する。可動部が操作した際の関節位置や角速度角加速度、トルクや外力、あるいはその他の環境情報がセンサによって計測されるが、これらのセンサ出力値に基づいてフィードバック信号を生成する。フィードバック信号に基づいて振動子の位相や振動数が決定され、ロボット装置の動作を制御する。すなわち、振動子はフィードバック信号に対し引き込み特性を持ち、その固有振動数は環境に応じて自律的に調整される。
例えば、ロボット装置が脚式移動ロボットである場合、歩行運動そのものを周期運動として捉え、神経振動子のようなもので周期信号を発生し、それを用いて脚部の関節アクチュエータの制御を行なう。このとき、観測される歩行運動の周期的な信号と神経振動子を干渉させることによって引き込み現象が発生し、安定な歩行運動を得ることができる。この場合、周期運動が継続することを「安定な歩行」とみなすことができる。
しかしながら、周期運動において使用されるフィードバック信号は、せいぜい神経振動子の2分の1程度の振幅を持つ周期信号であり、この引き込み領域はさほど大きくない。このため、例えば目標点への到達運動を行なうような、神経振動子の非周期的運動への適用可能性に関しては十分とは言い難い。また、突発的で非周期的な大きな外乱が印加されて、神経振動子の状態が引き込み領域外に逸脱したときには、引き込み領域に復帰することはできず、この結果、周期運動を継続することができなくなる。
そこで、本発明に係るロボット装置では、引き込み領域外に状態が遷移した場合に、例えば神経振動子の10倍程度の振幅を持つパルス的な非周期信号を用いて、短期的且つ非周期的なフィードバックを行なうことで、引き込み領域外に逸脱した状態から引き込み領域内に復帰させることを可能にした。
前記振動子には、例えば神経振動子を用いることができる。この神経振動子は、相互抑制結合された2つの神経素子の一方が正側出力を担当するとともに他方が負側出力を担当するように構成される。
前記非周期的振動子制御部は、前記の正側及び負側の神経素子の双方に対し、正方向の1パルスの矩形波からなるフィードバック信号を入力する興奮−興奮型フィードバック、又は負方向の1パルスの矩形波からなるフィードバック信号を入力する抑制−抑制型フィードバックを行なうようにしてもよい。興奮−興奮型、抑制−抑制型のいずれの場合も、振動子の発振は継続され、その振幅も矩形波の高さにほぼ比例したものとなる。すなわち、これらのフィードバックは、出力振幅を緩やかに増加(減少)させることができる徐々に振幅を増減するような場合に適している。
また、前記非周期的振動子制御部は、前記の正側神経素子に対し正方向、前記の負側の神経素子に対し負方向のフィードバック信号をそれぞれステップ入力する興奮−抑制型フィードバックを行なうようにしてもよい。この場合、振動子の発振を止めることで、不連続な運動を生成することができる。したがって、このようなフィードバック信号は、特定の値で発振を停止することができるので、例えば、到達運動のように非周期的で目標点に向けてロボットの関節角を制御するときに有用である。
他方、興奮−抑制型フィードバックをステップ入力ではなく矩形波で行なう場合、このフィードバック信号の入力を除いた直後に速度が不連続となり発振が止まってしまう。このような速度の不連続性は、ロボットの関節指令値として用いるには好ましくない。これに対し、調整したい側の神経素子にのみ矩形波を入力する興奮−ゼロ型又は抑制−ゼロ型フィードバックを行なうことで、滑らかな速度を持ったまま振動子の発振は継続され、その振幅も矩形波の高さにほぼ比例したものとなる。興奮−ゼロ型並びに抑制−ゼロ型のフィードバックは、特定の振幅のみを滑らかに増減することが可能であるから、一時的に特定の振幅を増減するような場合に適している。
また、従来から用いられてきた周期信号のフィードバックによる引き込み現象と、引き込み領域を逸脱したときの非同期的フィードバックを併用することが可能であり、後者により生ずる振動子の位相のずれを前者のフィードバックで吸収することができる。
また、前記ロボット装置に関する物理環境の情報を計測する環境計測部をさらに備え、前記振動子状態判別部は、前記環境計測部による計測結果が一定の条件を満たすときに引き込み領域外と判別することができる。
そして、前記非周期的振動子制御部は、振動子が引き込み領域外という判別結果に基づいて、一定の値を前記振動子に対するフィードバック信号として出力するようにすればよい。前記運動制御部は、前記周期的振動子制御部による周期的なフィードバック信号と前記非周期的振動子制御部による非同期的なフィードバック信号を併用する、すなわち、周期フィードバック信号をベースラインとして非同期フィードバック信号を重ね合わせたフィードバック信号を前記振動子に入力すればよい。
可動部として体幹に取り付けられた左右の脚を含む2足歩行ロボットの場合、前記運動制御部は、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させる。このとき、前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力することによって、左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内の足踏み運動を実行することができる。また、前記運動制御部は、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させる。そして、前記周期的振動子制御部は、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力することによって、矢状面内の直進運動を実行することができる。
この矢状面内運動において、歩幅を増加してより前方に脚を移動させたいときには、前記非周期的振動子制御部は、前脚のX方向運動を記述する振動子に対し、その振幅を増加させるフィードバック信号を一時的に供給するようにすればよい。逆に、前記の矢状面内運動において、歩幅を減少させる際に、前記非周期的振動子制御部は、前脚のX方向運動を記述する振動子に対し、その振幅を減少させるフィードバック信号を一時的に供給するようにすればよい。
また、前額面内の足踏み運動において、遊脚の高さを増加させたいときには、前記非周期的振動子制御部は、該遊脚のZ方向運動を記述する振動子に対し、プラスZ方向の振幅を増加させるフィードバック信号を一時的に供給するようにすればよい。
このとき、前記非周期振動子制御部は、遊脚のZ方向運動を記述する振動子に対し、前記周期的振動子制御部が生成する左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号をベースラインとして、該振動子の振幅よりも大きな値を持つフィードバック信号を一時的に供給するようにすればよい。
定常的な矢状面内の直進運動は、前額面内運動と矢状面内運動がほぼ独立であるという前提の下で、X方向及びZ方向の振動子に適切な位相差を与えて実現している。しかしながら、上述のように遊脚高さを増加させるために非周期フィードバック信号を振動子に入力すると、位相差が適切でなくなるという問題がある。そこで、前記周期的振動子制御部は、前記非周期振動制御部が一時的なフィードバック信号をZ方向の振動子に入力したことに伴い、X方向運動を記述する振動子に対して、Z方向運動を記述する振動子と適切な位相差を生成させるためのベースライン周期信号を入力するようにすればよい。
具体的には、前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差に基づく線形的フィードバック信号と前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を重み付け線形結合して、ベースライン周期信号を生成することで、XZ各方向の振動子間で歩行に必要な適切な位相差を生成することができる。
また、前記非周期的振動子制御部は、外力の印加により足底が受ける床反力が所定の閾値を下回り、且つ体幹角速度及び体幹角度がともにそれぞれの閾値を超えたときに、該外力の作用方向の運動を記述する振動子に対して、該外力の作用方向の出力を大きくするようなフィードバック信号を一時的に供給することで、歩行運動中に印加される外力に対するロバスト性を向上することができる。
本発明によれば、引き込み特性を持つ振動子を用いて可動部の非周期的な運動の制御を好適に行なうことができる、優れたロボット装置及びその制御方法を提供することができる。
また、本発明によれば、非周期的信号を振動子へのフィードバック信号に用いるとともにより大きな引き込み領域を持つ、優れたロボット装置及びその制御方法を提供することができる。
本発明に係るロボット装置は、自励振動と引き込み特性を持つ神経振動子を用いて、可動部の運動制御を行なうので、詳細な機械モデルを必要とせず、且つ、ロボットのパラメータ変化に対して堅牢となる。また、神経振動子による運動制御を行なっている際に突発的な外乱の発生などの事象に応じて、神経振動子に対して非周期的信号によるフィードバックを行なう。このとき、神経振動子の発振振幅に比べて十分大きなパルス状の非周期信号を入力することで、特定振幅のみを増減させることにより、非周期的な運動の生成が可能となる。あるいは、神経振動子の発振振幅に比べて十分大きなステップ状の非周期信号を入力することで、発振そのものを停止することが可能となり、過大な出力を回避することができる。このような非周期信号のフィードバックは、通常の周期信号フィードバックに重畳することができる。
神経振動子の発振振幅に比べて十分大きなパルス状の非周期信号を入力しても、神経振動子が持つローパスフィルタ特性により滑らかな振動し出力を得ることができる。
また、フィードバック信号が持つモデル化誤差を強化学習する際も、非周期的に入力されるパルス列だけを学べばよいので、学習が容易になる。
本発明に係るロボット装置は、非周期的信号のフィードバックにより非周期的な運動を生成することが可能となるが、正負の振幅が非対称な駆動も可能である。
また、周期的信号に基づく運動生成と非周期的信号に基づく運動生成といった具合に、神経振動子の状態を用いて状態遷移機械を構成することで、外乱やノイズに対する耐性を向上することができる。
また、この状態遷移機械と、パルス状の非周期信号をワンショット的なフィードバックとして神経振動子に入力することを組み合わせて、神経振動子の引き込み領域を拡大することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.ロボット装置の構成
図1及び図2には本発明の実施に供される「人間形」又は「人間型」の脚式移動ロボット100が直立している様子を前方及び後方の各々から眺望した様子を示している。図示の通り、脚式移動ロボット100は、胴体部と、頭部と、左右の上肢部と、脚式移動を行なう左右2足の下肢部とで構成され、例えば胴体に内蔵されている制御部(図示しない)により機体の動作を統括的にコントロールするようになっている。
左右各々の下肢は、大腿部と、膝関節と、脛部と、足首と、足平とで構成され、股関節によって体幹部の略最下端にて連結されている。また、左右各々の上肢は、上腕と、肘関節と、前腕とで構成され、肩関節によって体幹部の上方の左右各側縁にて連結されている。また、頭部は、首関節によって体幹部の略最上端中央に連結されている。
制御部は、この脚式移動ロボット100を構成する各関節アクチュエータの駆動制御や各センサ(後述)などからの外部入力を処理するコントローラ(主制御部)や、電源回路その他の周辺機器類を搭載した筐体である。制御部は、その他、遠隔操作用の通信インターフェースや通信装置を含んでいてもよい。
このように構成された脚式移動ロボット100は、制御部による全身協調的な動作制御により、2足歩行を実現することができる。かかる2足歩行は、一般に、以下に示す各動作期間に分割される歩行周期を繰り返すことによって行なわれる。すなわち、
(1)右脚を持ち上げた、左脚による単脚支持期
(2)右足が接地した両脚支持期
(3)左脚を持ち上げた、右脚による単脚支持期
(4)左足が接地した両脚支持期
脚式移動ロボット100における歩行制御は、例えばZMPを安定度判別規範として、あらかじめ下肢の目標軌道を計画し、上記の各期間において計画軌道の修正を行なうことによっても実現される。この場合、両脚支持期では、下肢軌道の修正を停止して、計画軌道に対する総修正量を用いて腰の高さを一定値で修正する。また、単脚支持期では、修正を受けた脚の足首と腰との相対位置関係を計画軌道に復帰させるように修正軌道を生成する。
あるいは、後に詳解するように、脚式移動ロボット100の左右の脚部など、全身の可動部のうち少なくとも一部を、周期的運動を繰り返す振動子として捉えることができる。この場合、センサ出力などに基づいて得られる内部状態と外部環境に応じて振動子の位相を数学的操作により発生させて、機体の周期安定性を実現するとともに、未知の外乱に適応的に対応することができる。
図3には、この脚式移動ロボット100が具備する関節自由度構成を模式的に示している。同図に示すように、脚式移動ロボット100は、2本の腕部と頭部を含む上肢と、移動動作を実現する2本の脚部からなる下肢と、上肢と下肢とを連結する体幹部とで構成された、複数の肢を備えた構造体である。
頭部を支持する首関節(Neck)は、首関節ヨー軸1と、第1及び第2の首関節ピッチ軸2a及び2bと、首関節ロール軸3という3自由度を有している。
また、各腕部は、その自由度として、肩(Shoulder)における肩関節ピッチ軸4と、肩関節ロール軸5と、上腕ヨー軸6、肘(Elbow)における肘関節ピッチ軸7と、手首(Wrist)における手首関節ヨー軸8と、手部とで構成される。手部は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由度構造体である。
また、体幹部(Trunk)は、体幹ピッチ軸9と、体幹ロール軸10という2自由度を有する。
また、下肢を構成する各々の脚部は、股関節(Hip)における股関節ヨー軸11と、股関節ピッチ軸12と、股関節ロール軸13と、膝(Knee)における膝関節ピッチ軸14と、足首(Ankle)における足首関節ピッチ軸15と、足首関節ロール軸16と、足部とで構成される。
但し、脚式移動ロボット100が上述したすべての自由度を装備しなければならない訳でも、あるいはこれに限定される訳でもない。設計若しくは製作上の制約条件や要求仕様などに応じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができることは言うまでもない。
図4には、脚式移動ロボット100の制御システム構成を模式的に示している。同図に示すように、脚式移動ロボット100は、ヒトの四肢を表現した各機構ユニット30、40、50R/L、60R/Lと、各機構ユニット間の協調動作を実現するための適応制御を行なう制御ユニット80とで構成される(但し、R及びLの各々は、右及び左の各々を示す接尾辞である。以下同様)。
脚式移動ロボット100全体の動作は、制御ユニット80によって統括的に制御される。制御ユニット80は、CPU(CentralProcessing Unit)やメモリなどの主要回路コンポーネント(図示しない)で構成される主制御部81と、電源回路やロボット100の各構成要素とのデータやコマンドの授受を行なうインターフェース(いずれも図示しない)などを含んだ周辺回路82とで構成される。
ここで言う周辺回路82は、機体に搭載される周辺機器類の他、ケーブルや無線を通して接続される外付けの周辺機器、充電ステーション(図示しない)やその他の周辺機器を接続するためのインターフェース・コネクタなどを含むものとする。
図3に示した脚式移動ロボット100は、関節軸毎に回転型アクチュエータを配置し、これらの位置制御に基づいて所望の装置運動を実現する。
頭部ユニット30には、首関節ヨー軸1、首関節ピッチ軸2、首関節ロール軸3の各々の自由度を実現する首関節ヨー軸アクチュエータA1、首関節ピッチ軸アクチュエータA2、首関節ロール軸アクチュエータA3が配設されている。
また、体幹部ユニット40には、体幹ピッチ軸9、体幹ロール軸10の各々の自由度を実現する体幹ピッチ軸アクチュエータA9、体幹ロール軸アクチュエータA10が配置されている。
また、腕部ユニット50R/Lは、上腕ユニット51R/Lと、肘関節ユニット52R/Lと、前腕ユニット53R/Lに細分化されるが、肩関節ピッチ軸4、肩関節ロール軸5、上腕ヨー軸6、肘関節ピッチ軸7、手首関節ヨー軸8の各々の自由度を実現する肩関節ピッチ軸アクチュエータA4、肩関節ロール軸アクチュエータA5、上腕ヨー軸アクチュエータA6、肘関節ピッチ軸アクチュエータA7、手首関節ヨー軸アクチュエータA8が配置されている。
また、脚部ユニット60R/Lは、大腿部ユニット61R/Lと、膝ユニット62R/Lと、脛部ユニット63R/Lに細分化されるが、股関節ヨー軸11、股関節ピッチ軸12、股関節ロール軸13、膝関節ピッチ軸14、足首関節ピッチ軸15、足首関節ロール軸16の各々の自由度を実現する股関節ヨー軸アクチュエータA11、股関節ピッチ軸アクチュエータA12、股関節ロール軸アクチュエータA13、膝関節ピッチ軸アクチュエータA14、足首関節ピッチ軸アクチュエータA15、足首関節ロール軸アクチュエータA16が配置されている。
頭部ユニット30、体幹部ユニット40、腕部ユニット50、各脚部ユニット60などの機構ユニット毎に、アクチュエータ駆動制御用の副制御部35、45、55、並びに65がそれぞれ配置されている。
体幹部40には、加速度センサ95と姿勢センサ96が配設されている。また、左右の脚部の足底60R及び60Lには、1以上の接地確認センサ91及び92と、加速度センサ93及び94がそれぞれ配設されている。また、手先やその他のエンド・エフェクタとなる部位に接触確認(若しくは感圧)センサを配置したりする(図示しない)。接地確認センサ91及び92は、例えば足底に圧力センサを装着することにより構成され、床反力の有無により足底が着床したか否かを検出することができる。
これらのセンサ出力値を環境情報に用いて、振動子へのフィードバック項を生成することができる。例えば、接地確認センサ91及び92に出力に基づいて、例えば両脚支持期、単脚支持期の判定や、さらには振動子としての可動脚の位相φや角周波数ωを推定することができる。
主制御部80は、各センサ91〜93の出力に基づいて、ロボット100の内部状態や外部環境に応じた姿勢安定制御を行なう。より具体的には、副制御部35、45、55、65の各々に対して適応的な制御を行ない、脚式移動ロボット100の上肢、体幹、及び下肢が協調して駆動する。歩行運動中に脚など可動部位の少なくとも一部において周期運動を抽出して、内部状態や外部環境に応じてその位相信号を発生し、この位相信号に基づいて可動部の駆動制御を行なうことにより、姿勢安定制御を行なうことができる。
B.振動子を用いたロボット装置の運動制御
ZMP規範に基づくロボット装置の運動制御方法は、制御工学的手法に基づく簡単化を施した後、解析的に解を求めることが可能であり、汎用性が非常に高い。その反面、ロボット装置及び外部環境とも精緻なモデル化を必要とし、その結果、実際のハードウェアに対する要求精度は非常に高くなる。また、数学的に導出される運動は、見かけの上でも人間の歩行様式とは異なるものとなる。
一方、ヒトを始めとする脚式歩行の生体メカニズムでは、現在実現されているZMP規範の軌道とは異なる形態で、四肢が持つ物理法則を好適に利用し、自然な歩行動作を行なっている。ロボット装置も、このような物理法則を有効に利用することで、精緻なモデルを必要とせず(すなわち低い計算コストで)、より低いアクチュエータの駆動トルクで、且つ高いエネルギ変換効率で、歩行動作を実現することができると思料される。
本発明者らは、以上の問題意識から、運動生理学、脳神経科学、計算機学習の知見を用いて「より人間に近い歩行制御法」について開示する。すなわち、ロボット装置における脚などの可動部位の少なくとも一部を振動子として捉え、歩行やその他の動作を周期運動として扱い、この振動子の位相や振動数を決定又は制御するという形態で歩行動作を制御する。この場合、周期運動が継続することを、ロボット装置の「安定な歩行」とみなすことができる。
振動子を用いたロボット装置の運動制御の原理について、図5及び図6を参照しながら説明する。
ロボット装置全体、あるいは脚部や腕部、腰部、頭部など可動部位の動作は、周期的な運動を行なう振動子として記述される。この振動子は、図5に示すように、定常的に自励発振を行なう。ここで、外部環境の変化などによるフィードバック信号が入力として与えられると、振動子の振幅や周期、位相などが一時的に乱れるものの、やがて図6に示すように、入力信号に対し位相差が固定された発振を行なう出力信号を得ることができる。
このように、入出力間で位相関係が固定されることを、引き込み現象(Entrainment)と呼ぶ。振動子を用いたロボット装置の運動制御においては、外部環境からの信号を用いて引き込み現象を有効に利用し,自律的に調整された振動子の出力位相情報φに基づいて、ロボット装置又はその一部の可動部位に対する制御量Uを得ることができる。
図7には、振動子が持つ引き込み特性を利用したロボットの制御システムの基本的構成を示している。図示のシステムは、神経振動子に基づいて指令値を生成するCPG制御部と、制御対象となるロボットと、神経振動子に対するフィードバック項を与える神経振動子フィードバック信号生成部で構成される。
CPG制御部は、神経振動子と、胴体座標系足先軌道生成部と、逆キネマティクス演算部と、関節指令値生成部を備えている。
神経振動子は、生物の神経系に存在するリズム発生器に相当する振動子であり、環境に対して引き込み特性を持つが、フィードバック信号なしの状態でも固有振動数で自励発振して、qiを出力する。
胴体座標系足先軌道生成部は、神経振動子の出力qiを、直交胴体座標系から見た足先軌道へ変換(マッピング)する。ここで言う足先軌道としては、位置や速度、力軌道などが考えられるが、以下の説明では位置軌道を扱うことにする。
逆キネマティクス演算部は、生成された足先軌道を実現するための脚部の各関節位置を逆キネマティクス演算により算出する。関節指令値生成部は、得られた関節位置に駆動するための指令値信号を生成して、各関節アクチュエータへ出力する。
実ロボットは、おおまかに言えば、CPG制御部による制御対象としての関節アクチュエータと、アクチュエータの駆動による運動実行時における物理環境との相互作用を観測するセンサで構成される。
神経振動子フィードバック信号生成部は、実ロボットのセンサから入力される観測値に基づいて、神経振動子へのフィードバック信号hiiを生成する。ここで、hiは振動子φiへのフィードバック信号giに対するゲインであり、hiiはCPG制御部内の神経振動子への入力信号となる。神経振動子が持つ引き込み特性により、qiの発振周波数はgiの発振周波数と同期し、その位相関係は一定値に固定される。すなわち、フィードバック信号に基づいて神経振動子の位相や振動数を決定又は制御することでロボット装置の動作を制御するが、神経振動子はフィードバック信号に対し引き込み現象を持ち、その固有振動数は環境に応じて自律的に調整される。
このようにして、神経振動子は、ロボットのダイナミクスに応じた発振を続けることになり、環境に自律的に適応する枠組みとなる。
なお、実ロボットのセンサから入力される観測値を、どのように神経振動子への敵へ綱フィードバック信号に変換(マッピング)するかという問題がある。これに対して学習を用いることで最適化を図るという解決方法がある。
C.振動子の構成
引き込み特性を持つ振動子としては、工学的には、検波回路などに用いられるPLL(Phase Lock Loop)回路などが挙げられる。その他の例として、非線形振動子や位相振動子を挙げることができる。あるいは、非線形微分方程式により記述される神経振動子である松岡オシレータを振動子に用いることもできる。
なお、松岡オシレータに関しては、例えば、Matsuoka, K.著“Sustained oscillationsgenerated by mutually inhibiting neurons with adaption”(Biological Cybernetics,52,pp.345−353(1985))に記載されている。但し、同文献では発振を継続する条件とその波形が例示されているだけであり、脚式移動ロボットの歩行運動などの可動部の周期運動に適用したものではない。
神経振動子は、自励発振を行なうとともに、入力信号に対して一定の位相関係を保つよう振動数の調節が行なわれる。図8には、振動子出力q及びその時間微分を直交軸とする位相平面上での振動子出力qの挙動を概念的に示している。自励発振を行なうことから、図示のように、振動子はリミット・サイクルを形成し、位相平面上で閉曲線を描く。このとき、環境からの周期信号をフィードバックすることで、神経振動子の状態をこのリミット・サイクルに引き込ませることが可能である。同図では、引き込み可能な領域をハッチングで示している。
神経振動子は、あらゆる入力を印加することが可能であることから、その解析解を得ることはできない。しかし、振動子自身の計算量は非常に少ないことから、その挙動をあるパラメータ設定した範囲内で網羅的にパラメータ検索を行なうことで、振動子の入出力関係を事前に調べることは可能である。
神経振動子を下式(1)〜(6)に示す。また、図9には、下式で表される神経振動子の構成を模式的に示している。ここで、式(1)及び(2)、並びに式(3)及び(4)がそれぞれ1つの神経素子単位を表している。以下の式では、2つの神経素子が互いに相互抑制結合されている。便宜上、式(1)及び(2)で表される素子を正側素子として添え字1を付与し、式(3)及び(4)で表される素子を負側素子として添え字2を付与している。
上式において、u及びvは振動子の内部変数を表し、qは正側素子と負側素子の出力内部変数の差であり、最終的な振動子出力とする。なお、式(5)の演算には内部変数のゼロ以上の値を用いるため、式(6)で示される式を用いる。また、τ1とτ2は時定数、cは定常入力項、βは疲労係数、γは神経素子間の相互抑制結合の重みである。g+とg-はそれぞれ正側及び負側神経素子に印加されるフィードバック項である。
D.神経振動子に対するフィードバック信号の入力
図8には、位相平面上での神経振動子が位相平面上で形成するリミット・サイクルに併せて、神経振動子が持つ引き込み領域を示している。しかしながら、適用例のほとんどが周期運動を対象とし、せいぜい神経振動子の2分の1程度の振幅を持つ周期信号をフィードバック信号に用いていることから、この引き込み領域はさほど大きくない。
このため、例えば目標点への到達運動を行なうような、神経振動子の非周期的運動への適用可能性に関しては十分とは言い難い。また、突発的で非周期的な大きな外乱が印加されて、神経振動子の状態が引き込み領域外に逸脱したときには、リミット・サイクル軌道に復帰することはできず、この結果、周期運動を継続することができなくなる。これは、歩行運動中に、不整地に入り込んだり障害物と衝突したりしたときに、歩行の継続が不能となって転倒することを意味する。
本発明者らは、このように引き込み領域外に逸脱した状態から引き込み領域内に復帰させるために、通常の周期信号によるフィードバックではなく、一時的で大きな値を持つフィードバックが有効であると考えている。ここで言う一時的なフィードバックとは、引き込み領域外に状態が遷移した場合のみ印加される短期的且つ非周期的なフィードバックであり、例えば神経振動子の10倍程度の振幅を持つパルス的な非周期信号で構成される。
具体的な例として、2足歩行運動を挙げ、定常歩行時に前向きに大きな外力が加わった場合を考える。このとき、転倒を防止するために歩幅を大きくすれば、歩行を継続することができると考えられる。そして、外力が除かれた後は、定常歩行と同様の周期的フィードバックを用いればよいので、非定常な場合のみに発動される、非周期的若しくはワンショット的な、大きな振幅を持つフィードバックが有効である。
図10には、振動子出力qとワンショット的なフィードバック信号の関係を概念的に示している。振動子出力qが脚の前後方向への位置指令にマッピングされるという制御構成であれば、ワンショット的なフィードバックにより歩幅が一時的に増加して、より前方に脚を移動させることである。したがって、そのときのフィードバック信号の振幅を通常の周期的フィードバック信号よりも大きく増加させればよい。また、外力が後ろ向きであった場合には、歩幅を減少させることが望ましいと考えられる。
非特許文献10には、定常発振時の神経振動子の出力について、数値的に以下のことを示している。
(1)時定数の比τ1/τ2は振動子出力qの外形を定め、また、τ1/τ2を一定に保ちながらτ1のみを変化させることで、自励発振の固有振動数を変化させることができる。
(2)定常入力項cと振動子qの振幅の間には良好な線形関係がある。
また、同文献には、フィードバック信号gとして正弦波を入力した場合の出力について記載されている。しかしながら、非周期的なフィードバックについては言及されていない。
そこで、本発明者らは、まず、振幅1、周期1秒で固有発振するように、神経振動子のパラメータを以下のように調節し固定し、図11に示すような矩形状の1パルスの入力信号を「ワンショット・フィードバック」として、図9に示した神経振動子に印加して、振動子出力の挙動を数値的に検証してみた。但し、図示の矩形波gは、高さH(−2.0≦H≦10.0)、パルス幅W(T/8≦W≦∞、Tは振動子固有周期)、φはワンショット・フィードバックを入力する位相(q=0且つdq/dt>0のときφ=0)とした。従来、神経振動子へのフィードバックの大きさは定常振幅に対して比較的小さい値(例えば0.2程度)が用いられてきた。これに対し、非周期的なフィードバック信号では、より絶対値の大きな振幅H(−2.0≦H≦10.0)を用いて、振動子出力qを大きく変動させることができる。
相互抑制結合された神経素子1及び2は、神経振動子の出力qの正側出力及び負側出力をそれぞれ担当し(式(5)を参照のこと)、図11に示した矩形波がこれら2つの素子に対するフィードバック信号gとして入力される。
ここで、各神経素子へのフィードバック信号は、符号の与え方によって興奮(正)・ゼロ・抑制(負)の加え方がある。興奮性結合は神経素子出力をより大きくし、抑制性結合はその逆である。神経素子へのフィードバックの組み合わせを以下の表にまとめた。
2つの神経素子の対称性を考慮すると、同表のようにI〜Vの5つのケースが考えられる。以下、各々について結果を説明する。
D−1.興奮−興奮、又は抑制−抑制のフィードバック(ケースI及びV)
両方の神経素子に対して同じ値の興奮性又は抑制性のフィードバックを加える。この場合、上式(1)及び(3)において定常入力cを増減しているのと等価である。定常入力cと振動子出力qの振幅との間には良好な線形関係があることが分かっているので、振幅の変化が起こる。
ケースIのステップ状の興奮−興奮フィードバック、及びケースVで周期の半分の抑制−抑制フィードバックを入力した場合の振動子出力の結果をそれぞれ図12及び図13に示す。図12を見ると、徐々に振幅が増大しており、応答性が低いことが分かる。また、図13についても、一旦振幅が小さくなると元の振幅に復帰するまで2周期以上要しているケースも見受けられ、同じく応答性が低く、さらに出力が滑らかでない場合も見られる。
いずれの場合も、振動子出力の発振は継続され、その振幅も矩形波の高さHの値に比例したものになることから、このようなフィードバックは徐々に振幅を増減するような場合に適するものと考えられる。
D−2.興奮−抑制フィードバック(ケースIII)
正側の神経素子に興奮性フィードバックを、負側の神経素子に抑制性フィードバックをそれぞれ入力すると、正側の振幅は増加し、負側の振幅は減少することが予想される。図14A〜Cには、神経振動子に対し興奮−抑制型のフィードバックをステップ入力した場合、周期の半分の矩形波を振幅増加方向に入力した場合、振幅減少方向に入力した場合の結果をそれぞれ示している。
図14Aでは、0.8以上のフィードバックを印加すると、滑らかに発振が止まる様子が分かる。非特許文献10で安定な発振のためには時定数比τ1/τ2は0.5以下が望ましいとされている。これに対し、本実施形態では、敢えて時定数比τ1/τ2=0.8と設定して発振を止めることで、不連続的な運動を生成することが可能にしている。これは到達運動のように非周期的で目標点に向けてロボットの関節角を制御する場合に有用である
図14Bでは、フィードバック信号をワンショット的に印加している期間のみ、正側の振幅が大きく変更されている。また、図14Cでは、Y軸を逆に見れば、フィードバック信号が負側にワンショット入力されたものと等価になる。このように、興奮−抑制型のフィードバックをワンショット的に入力することで、振幅を一部だけ小さくすることができていることが分かる。しかし、大きなフィードバック(例えば、H=10.0)を入力した場合には、入力を除いた直後に速度が不連続となり発振が止まってしまうことが分かる。このような速度の不連続性はロボットの関節指令値として用いる場合に好ましくない。
図14B並びに図14Cに見られる不連続な振動子出力についてさらに考察する。
図15には、神経振動子の内部変数の振る舞いを詳しくプロットして示している。同図から、フィードバックが加わったときには、負側の神経素子の内部変数u2の値が大きくマイナス方向に引っ張られていることが分かる。これは、ワンショット・フィードバックと正側素子の内部変数u1の抑制結合に依拠するものである。
相互抑制結合γの重みは2と設定していることから、ワンショット・フィードバックの値と足すと、大雑把に見積もって正側の3倍近くの大きさの抑制フィードバックがかかっている。このため、ワンショット・フィードバックを除いたとしても、負側の神経素子の内部変数u2が増大するには時間がかかり、その結果u1及びu2がともに負となり、振動子の出力が0となっていることが判明した。
2つの神経素子の内部変数u1及びu2がともに負のとき、振動子出力には何ら影響を及ぼさないことから、過剰な抑制信号は無意味である。これらは、次に説明するケースIIの興奮−ゼロ型、並びにケースIVの抑制−ゼロ型のフィードバックで改良することができる。
D−3.興奮−ゼロ、又は抑制−ゼロのフィードバック(ケースII、IV)
上述したケースIIIの結果から、調節したい側の神経素子のみにワンショット・フィードバックを加えることを考える。すなわち、正側振幅のみ大きくしたいのであれば正側素子にのみフィードバックを入力し、負側素子への入力はゼロとする。また、このときに相互抑制結合により負側に過剰な抑制信号とならないように、相互抑制結合の重みγを下式(7)のように調節する。
図16Aには、正側神経素子に正方向に振幅を持つパルス波をワンショット・フィードバックとして入力した結果を示している。また、図16Bには、正側神経素子に負方向に振幅を持つパルス波をワンショット・フィードバックとして入力した結果を示している。図14B及び図14Cで観察されたような速度の不連続性は、図16A及び図16Bでは見られず、出力が滑らかになっていることが分かる。また、図示しないが、W=∞とした場合の挙動は、図14Aと同様であった。いずれの場合も、振幅の最大値はワンショット・フィードバックの大きさと比較的よい線形性があることが分かる。
D−4.周期的フィードバックとの併用
上述したように、特定の振幅のみを変更できることが確認することができた。しかしながら、元の振動に比して位相のずれを生じている。この場合であっても、定常的にベースラインとして周期信号を入力し、引き込み特性を利用してこの位相ずれを吸収することができる。
図17には、正弦波をベースラインとして常に入力しながらワンショット・フィードバックを行なった結果を示している。同図では、入力する位相を変えながらワンショット・フィードバックを行なっている。ワンショット・フィードバック信号を神経振動子に入力した後、2周期以内ですぐに元の振動に収束していることが分かる。したがって、従来から用いられてきた周期信号のフィードバックによる引き込み現象と、引き込み領域を逸脱したときのワンショット・フィードバックを併用することが可能である。
以上の結果を総括すると、神経振動子に対する非周期的なフィードバック入力に関し、次のことが言える。
(1)出力振幅を緩やかに増加(減少)させることができる(ケースI及びV)。
(2)特定の値で発振を停止することができる(ケースII、III、IV)。
(3)特定の振幅のみ、滑らかに増減することが可能である(ケースII、IV)。
(4)周期信号フィードバックと併用することができ、ワンショット・フィードバックによる位相のずれを吸収できる。
E.投球動作への適用例
この項では、図1〜図4に示したロボット装置の上肢運動を神経振動子の引き込み特性とワンショット・フィードバックを用いて制御する適用例の1つとして、投球動作について考察してみる。
ここでは、投球には肩関節のみを用い、肩関節角度が閾値を越えたときに把持しているボールを放して投球動作(下手投げ)を行なうものとする。かかる投球動作のために、図18に示すように、ロボットの左肩ピッチ関節に神経振動子を配置し、神経振動子に対してワンショット・フィードバックを用いる。
図19には、ロボット装置による投球動作の枠組みを図解している。
操作者は、左肩ピッチ関節に配置された神経振動子ql aに対するフィードバックg+の値を、ある時刻で任意の値に変化できるものとする。ここでは、滑らかな振動子出力を得るために、ワンショット・フィードバックのうち興奮−ゼロ型(若しくは抑制−ゼロ型)フィードバックを適用し、常にg-=0とし、g+を神経振動子に入力する。g+=0ならば自励発振するが、ワンショット・フィードバックg+の値によって発振を停止することができる。
神経振動子は、前述の式(1)〜(6)で構成される。但し式(5)のqをql aとおいている。また、神経振動子の相互抑制結合γは、上式(7)を用いて調節される。
神経振動子出力ql aは、以下の式(8)によって左肩ピッチ関節指令値θl arm_pitchに変換される。但し、Aaはゲイン定数、θl a_0は中心値のオフセットである。
そして、ボールを把持するハンド部は、下式(9)に従って開閉する。すなわち、振動子出力ql aによって振り下ろされた左肩が所定の閾値角度θl a_thに到達すると、ハンド部はボールを放し、これに伴って投球動作が実現する。
図20には、左肩ピッチ関節に配した振動子出力ql aとワンショット・フィードバックg+の時系列データを示している。パラメータ設定はτ1/τ2=0.8、c=6.0、γ=2.0、β=2.5である。そして、図20Aには時定数τ1=0.8の場合、図20Bには時定数τ1=5.0とした。そして、ある時刻でステップ状のワンショット・フィードバックg+=−2.88又は5.77を印加し、その挙動を観察した。
いずれの場合でも、発振が抑制され,一定値に収束していることが分る.また、図20Aと図20Bを比較すると、時定数τ1を変化させることで、ワンショット・フィードバックに対する応答速度を変更できることが分かる。また、印加するワンショット・フィードバック信号の大きさと収束する値の間には良好な線形性があることも確かめられた。
また、図21には、ワンショット・フィードバックをg+=−2.88とした後、時刻ゼロで+5.77と変化させたときの挙動を示している。この場合、振動子ql aの出力は−1.71から過渡状態を経て、+3.35へと収束している。すなわち、初期状態から終端状態へ、到達運動を行なうことができる。
また、このとき振動子へのフィードバック信号g+はステップ状に急峻に変化するが、振動子出力はローパスフィルタ特性により比較的滑らかに遷移している。これは、ロボットの関節に負荷を掛けない好適な特性である。
上述した振動子出力ql aに適当なゲインを掛けることで、肩関節ピッチ軸θl arm_pitchを駆動することができる。図22には、実現した投球動作を0.2秒毎に撮影した様子を示している。およそ0.3メートル程度ボールが飛ぶ投球動作が実現されていることが分る。
F.歩行運動への適用例
この項では、図1〜図4に示したロボット装置の2足歩行運動を、神経振動子を用いて制御する適用例について考察してみる。神経振動子に対して周期的信号をフィードバックすることで、引き込み特性を利用した定常的な歩行動作を実現できるとともに、神経振動子の状態が引き込み領域から逸脱したときに、非周期的信号のフィードバックにより引き込み領域へ戻すことができる。
F−1.振動子の配置
図3及び図4に示したように、本実施形態に係るロボット装置は関節軸毎に回転型アクチュエータを配置し、これらの位置制御に基づいて所望の装置運動を実現するので、直接の制御対象である関節軸毎に振動子を配置することが考えられる。例えば、6自由度の脚に対し関節毎に振動子を定義することもできる。
ところが、このような順動力学での振動子の配置が、振動子の振る舞いを系全体の挙動として理解することを難しくする、という問題がある。すなわち、個々の関節角の動作が作用点としての足部の挙動(接地点や歩幅など)にどれだけ寄与するのか、判りにくい。
このような振動子の配置方法は、ロボット工学的には、順運動学的な配置となり、各振動子の指令は非常に複雑なものとなる。例えば、歩行型ロボットの重心高さを制御する、あるいは脚の接地位置を制御するような特定のタスクを実行する場合、振動子が出力すべき指令は制御目標(すなわち重心高さや接地位置)と座標系が相違するため、振動子特性の設計が直観的に理解し難く、実現が困難である。このため、フィードバック経路が非常に複雑になり、試行錯誤的に多大な時間を要してしまう。
そこで、本実施形態では、逆キネマティクスを導入した振動子の配置を行なうようにしている。制御目標である可動部位に対する基準座標系を設定し、この基準座標系の座標軸毎に可動部位についての振動子を記述する。この場合、振動子から基準座標系における可動部位への指令値を得ることができる。そして、可動部位に対する位置指令を逆キネマティクス演算により、関節角度指令に変換することができる。また、基準座標系における可動部位の状態量を振動子にフィードバックすることで、引き込み現象を有効に利用することができる。図7に示した例では、胴体座標系を設定し、神経振動子の出力qiを当該座標系の足先軌道にマッピングし、さらに逆キネマティクス演算により脚部の各関節指令値を算出している。
基準座標系の座標軸毎に可動部位についての振動子を記述するので、ロボット装置が実現する機能に応じた振動子の配置を実現することができる。また、制御目標である可動部位の作用点について振動子を記述するので、振動子の役割を直観的に理解し易い配置となり、振動子のパラメータ調節が容易になる。そして、振動子による可動部位に対する指令値を該当する関節部に対する指令値に変換することで、直接の制御対象である関節部アクチュエータの指令値を得ることができる。したがって、ロボット装置の力学的特性にも有効に引き込みを行ない、振動子による引き込み現象をより有効に利用することができる。
図23には、XYZ直交座標系により基準座標系が構成され、各軸に沿って左右の両脚にそれぞれ振動子を配置した例を示している。ロボット装置の自重を支持する動作はZ方向であり、歩を進めるための動作はX方向、左右のバランスを保つための腰揺動はY方向であると機能的に分解することができる。図示の例では、左脚XYZの各方向に振動子ql x、ql y、ql zを、右脚XYZの各方向に振動子qr x、qr y、qr zをそれぞれ配置し、合計6個の振動子を使用している。図示しないが、足先姿勢に関しても、同様に基準座標系で考えることができる。
ここで、図23に示した振動子の配置構成をした脚を用いた直進歩行について考察する。但し、説明の簡単化のため、足先姿勢は基準姿勢のままであるとする。
絶対空間上に座標系Rworldを設定する。また、ロボットに固定された座標系Rbodyを設定する。ここでは、図24に示すように原点と座標軸をとる。絶対座標系Rworldから見たロボット座標系Rbodyの原点位置と姿勢を下式(10)のように表す。
この場合、ロボット装置に固定された座標系Rbodyから見た左右の足先位置(x,y,z)並びに姿勢(roll,pitch,yaw)はそれぞれ下式(11)、(12)のように表される。但し、記号lは左、rは右を意味する。
これら足先位置が与えられたとき、逆キネマティクス演算を用いて関節角を算出することができる。
XZ平面は「矢状面(Sagittal Plane)」であり、YZ平面は「前額面(Lateral Plane)」である。本明細書では、X軸正方向に進むことを前進、X軸負方向に進むことを後進と呼ぶことにする。
F−2.振動子を用いた2足歩行運動
本実施形態に係るロボット装置は、左右の可動脚を備え、2足歩行を行なう。かかる2足歩行は、一般に、以下に示す各動作期間に分割される歩行周期を繰り返すことによって行なわれる。すなわち、
(1)右脚を持ち上げた、左脚による単脚支持期
(2)右足が接地した両脚支持期
(3)左脚を持ち上げた、右脚による単脚支持期
(4)左足が接地した両脚支持期
要するに、歩行運動は、離散的な接地と支持脚と遊脚の切り替えを周期的に繰り返すことにより実現される。
本実施形態では、基準座標系の座標軸毎に可動部位についての振動子を記述するようにしている。この場合、振動子から基準座標系における可動部位への指令値を得ることができる。そして、このような可動部位に対する位置指令を逆キネマティクス演算することにより、関節角度指令に変換することができる。また、基準座標系における可動部位の状態量を振動しにフィードバックすることで、引き込み現象を有効に要することができる。
歩行運動を矢状面と前額面に分解して検討することは広く一般に用いられる考え方である。図25には、歩行運動制御を行なうための振動子配置を示している。図示の例では、左右の脚についてそれぞれX方向位置の振動子とZ方向位置の振動子が配置されている。各振動子に対する入力と出力の関係を以下の表にまとめておく。
以下では、まず始めに、前後進を伴わないその場足踏み、すなわち前額面内での運動にのみ着目する。これに続いて、矢状面内での運動を考え、前後進を伴う歩行運動について述べる。
F−2−1.前額面内の足踏み運動
前額面(YZ平面)内運動を、さらにZ方向とY方向と独立に分解して考える。Z方向運動は、自重を支える運動と、遊脚のためのクリアランスをとる動きを左右の脚で交互に行なう。説明の簡素化のため、足踏み運動はZ方向の運動のみで生成し、Y方向は基準位置のまま固定する。
ここで、Z方向に沿って配置した左右脚の振動子出力ql z及びqr zと適当な定数Al z及びAr z、及びZ方向初期基準位置z0を用いると、下式(13)及び(14)で表されるように左右の脚Z位置を駆動すれば、足踏み運動を生成することができる。
しかしながら、ロボットの物理的な固有振動数と振動子の固有振動数が近い場合、共振により定常的な振動は継続できず、外乱にも弱い。また、振動子の固有振動数が小さい場合、遊脚化できず、足踏み運動を行なうことができない。そこで、本実施形態では、物理振動子であるロボットが定常的な発振を行ない、定常的な足踏み動作を継続するため、左右の脚の各振動子ql z及びqr zに対し、以下のようなフィードバック系を導入する。
(1)進展反応(Extensor Response)
除脳猫の実験では、脚が進展されているとき、足裏に力が加わるとより強く踏み込むことが知られており、「進展反応」と呼ばれる。このような動作は、鉛直方向床反力を神経振動子に対するフィードバックに用いることにより、実現することができる。計測される左右脚床反力をそれぞれFl z及びFr とおく。また、ロボットの質量をm、重力加速度をgとおく。このとき、Z方向に沿って配置した各振動子ql z及びqr zへのフィードバック信号gERを下式(15)のように設定することができる。なお、フィードバック・ゲインhERの調節を行ない易くなるようにmgで正規化し、左右脚で対称な足踏み動作を行なうため、符号反転する。
Z方向に沿って配置した左右の振動子ql z及びqr zにより脚Z位置を駆動させて足踏み運動を生成する際、これらの振動子ql z及びqr zに対し上述したような進展反応を利用したフィードバック系を導入することにより、床反力が大きくなったとき、より脚を踏み込むように動作する。この結果、常に床面からの体幹高さPb Zを高く保持することができる。図26にはその様子を示している。
(2)前庭脊髄反応(Vestibulo−spinal Reflex)
生物の神経系には、体幹が傾斜した場合,傾きを止める側の筋肉が進展されることが知られており、これを「前庭脊髄反射」と呼ぶ。体幹のロール方向の傾きpb rollに基づくフィードバック信号gVSR(式(18)を参照のこと)を左右の振動子ql z及びqr zにそれぞれ入力することで、この反射を導入することができる。但し、フィードバック・ゲインをhl VSR及びhr VSRとして、左右脚で対称な動作を行なうため符号反転する。
神経振動子はパラメータを調節することにより、大きなフィードバック値が入力された場合に発振を止めることが可能である。図27にはその様子を示している。この性質を利用して、体幹が大きく傾いた場合、発振を一時的に抑制し、重力による復帰モーメントによって転倒を回避することができる。
図28には、ロボット装置の前額面内の足踏み運動を制御するシステム構成例を示している。図示のシステムは、2素子型神経振動子に基づいて指令値を生成するCPG制御部と、制御対象となるロボットと、神経振動子に対するフィードバック項を与える神経振動子フィードバック信号生成部で構成される。
CPG制御部は、神経振動子と、胴体座標系足先軌道生成部と、逆キネマティクス演算部と、関節指令値生成部を備えている。
左右の脚には、2素子型神経振動子φl z及びφr zが胴体座標系Z方向に沿って配置される。これらの振動子は、環境に対して引き込み特性を持つが、フィードバック信号なしの状態でも固有振動数で自励発振して、ql z及びqr zをそれぞれ出力する。2素子型神経振動子の出力は上式(1)〜(6)に示した通りである。
胴体座標系足先軌道生成部は、左右脚の各神経振動子の出力ql z及びqr zを、直交胴体座標系から見た左右それぞれの脚部が足踏み運動する際の足先の位置軌道pl z及びpr zへ変換(マッピング)する。左右それぞれの脚への位置指令pl z及びpr zは上式(11)及び(12)に示した通りである。
逆キネマティクス演算部は、生成された足先軌道を実現するための脚部の各関節位置を逆キネマティクス演算により算出する。関節指令値生成部は、得られた関節位置に駆動するための指令値信号を生成して、各関節アクチュエータへ出力する。
神経振動子フィードバック信号生成部は、ロボットが足踏み運動を行なっている際におけるセンサから入力される観測値に基づいて、神経振動子へのフィードバック信号を生成する。ここでは、神経振動子フィードバック信号生成部は、足踏み運動により得られた体幹ロール角度pb roll、体幹ロール角速度、及び左右脚のZ方向床反力Fl z、Fr を入力し、上式(15)〜(20)に示したような、伸展反応及び前提脊髄反射を模した線形フィードバック信号gER及びgVSRをそれぞれ生成し、CPG制御部内の各神経振動子φl z及びφr zへ入力する。各振動子への入力を下式(21)〜(24)に示しておく。
各神経振動子φl z及びφr zが持つ引き込み特性により、これらの振動子出力ql z及びqr zの発振周波数はgER及びgVSRの発振周波数と同期し、その位相関係は一定値に固定され、固有振動数は環境に応じて自律的に調整される。
F−2−2.矢状面内の歩行運動
続いて、YZ兵面内の運動に、さらにX方向の脚運動を加えて歩行を生成する場合について考察してみる。
矢状面内運動は、XZ平面で見た足先軌道が楕円のような軌道であれば歩行が可能である。例えば、図29に示すような時計回りの楕円軌道を描けば、ロボット装置はX方向に移動することができる。この場合、X方向の運動は、Z方向の運動とは位相が90度だけずれたフィードバック信号が必要である、と本発明者らは理解している。このときの右脚の足先のX座標pr x及びZ座標pr zは下式(25)、(26)のようになる。但し、x0及びz0を各座標の初期基準位置、Ax及びAzを定数、位相φを図示する角度としてパラメータ表示する。
上式より、X方向の振動にはZ方向の振動と位相が90度ずれた信号が必要となる。以下、定性的に考察をする。図30に示すように、pb rollは、Z方向振動子出力ql z及びqr zにより生成されている。すなわち、体幹ロール方向の揺動pb rollと振動子出力ql z(又はqr z)は同位相(逆位相)で振動していると考えられる。仮にql z(又はqr z)が正弦波で近似できるとすれば、その1回微分は余弦波となり、90度の位相差が得られる。すなわち、pb rollの1回微分は90度の位相差を持つものと予想される。ロボット装置が定常足踏みを行なう際の体幹のロール方向角速度をシミュレーションから求めると、図31に示すような結果が得られた。
図31より、体幹ロール方向の揺動pb rollの一回微分と(pr z−z0)にはおよそ90度の位相差があることが分る。ここで、式(14)より、qr z∝(pr z−z0)であるから、Z方向振動と体幹ロール角速度は90度の位相差を持つことが分る。したがって、左右脚のX方向運動を記述する各振動子ql x及びqr xに対するフィードバック信号として、体幹のロール方向の角速度を用いることにする。
矢状面内運動X方向に関して、下式(27)及び(28)に示すように左右の脚に振動子ql x及びqr xを配置し、左右脚をX方向に駆動する。但し、x0は初期基準位置、Al x並びにAr xは適当な定数である。
X方向振動子に入力するフィードバック信号をgxとすると、左右脚におけるゲインをそれぞれhl x及びhr xとおいて、下式(29)〜(31)で定めることができる。なお、左右対称に駆動するため、左右ゲインは符号反転している。
図32には、ロボット装置の歩行運動を制御するシステム構成例を示している。ここでは、前額面内の足踏み運動は既に実現されているものとし、これに矢状面内の運動を重畳する。図示のシステムは、神経振動子に基づいて指令値を生成するCPG制御部と、制御対象となるロボットと、神経振動子に対するフィードバック項を与える神経振動子フィードバック信号生成部で構成される。
CPG制御部は、神経振動子と、胴体座標系足先軌道生成部と、逆キネマティクス演算部と、関節指令値生成部を備えている。
左右の脚には、X方向に沿って2素子型神経振動子φl x及びφr xが配置されるとともに、Z方向に沿って2素子型神経振動子φl z及びφr zが配置されている。これらの振動子は、環境に対して引き込み特性を持つが、フィードバック信号なしの状態でも固有振動数で自励発振する。2素子型神経振動子の出力は上式(1)〜(6)に示した通りである。
胴体座標系足先軌道生成部は、左右の脚にZ方向に沿って配置された各神経振動子の出力ql z及びqr zを、直交胴体座標系から見た左右それぞれの脚部が足踏み運動する際の足先の位置軌道pl z及びpr zへ変換(マッピング)する。左右それぞれの脚への位置指令pl z及びpr zは上式(11)及び(12)に示した通りである。
また、胴体座標系足先軌道生成部は、左右の脚にX方向に沿って配置された各神経振動子の出力ql x及びqr xを、直交胴体座標系から見た左右それぞれの脚部が歩行運動を行なう際の足先のX方向の位置軌道pl x及びpr xへ変換(マッピング)する。左右それぞれの脚への位置指令pl c及びpr xは上式(27)及び(28)に示した通りである。
逆キネマティクス演算部は、生成された足先軌道を実現するための脚部の各関節位置を逆キネマティクス演算により算出する。関節指令値生成部は、得られた関節位置に駆動するための指令値信号を生成して、各関節アクチュエータへ出力する。
神経振動子フィードバック信号生成部は、ロボットが歩行運動を行なっている際におけるセンサから入力される観測値に基づいて、神経振動子へのフィードバック信号を生成する。ここでは、神経振動子フィードバック信号生成部は、歩行運動により得られた体幹ロール角度pb roll、及び左右脚のZ方向床反力Fl z、Fr を入力し、上式(15)〜(20)に示したような、伸展反応及び前提脊髄反射を模した線形フィードバック信号gER及びgVSRをそれぞれ生成し、CPG制御部内の各神経振動子φl z及びφr zへ、上式(21)〜(24)に示すように入力する。
また、神経振動子フィードバック信号生成部は、ロボットが歩行運動を行なっている際におけるセンサから入力される観測値に基づいて、神経振動子へのフィードバック信号を生成する。ここでは、神経振動子フィードバック信号生成部は、歩行運動により得られた体幹ロール角度pb roll、左右脚のZ方向床反力Fl z及びFr に加えて、体幹ロール角速度を入力し、上式(29)〜(31)に示したようなフィードバック信号gxを生成し、CPG制御部内の神経振動子φl x及びφr xへ入力信号する。各振動子への入力を下式(32)〜(35)に示しておく。
図33には、神経振動子フィードバック信号生成部の内部構成を示している。神経振動子フィードバック信号生成部は、振動子配置に合わせて、X方向振動子とZ方向振動子へのフィードバックとして別々に構成される。各々の方向について、内部はさらに周期信号を生成する部分と非周期信号を生成する部分に区別される。
非周期信号生成部は、センサ情報が一定の条件を満たすとき、一定の値を出力する。また、周期信号生成部は、周期信号入力に対して線形変換を行ない、周期信号のままフィードバック信号を生成する。生成された非周期的及び周期的なフィードバック信号はX方向並びにZ方向に沿って配置された各々の神経振動子に入力される。
X方向に沿って配置された各神経振動子φl x及びφr xが持つ引き込み特性により、これらの振動子出力ql x及びqr xの発振周波数は、体幹ロール角速度から求まるフィードバック信号gxの発振周波数と同期し、その位相関係は一定値に固定され、固有振動数は環境に応じて自律的に調整される。また、伸展反応及び前提脊髄反射を模した線形フィードバック信号gER及びgVSRをそれぞれ生成して、Z方向に沿って配置された各神経振動子φl z及びφr zへ入力すると、引き込み特性によりこれらの振動子出力ql z及びqr zの発振周波数はgER及びgVSRの発振周波数と同期することは、前述(図28を参照のこと)と同様である。
F−2−3.その場足踏み運動における遊脚高さの増加
例えば、未知の凹凸路面上を歩行するとき、脚の躓きを防ぐために、遊脚高さを高くすることが好ましい。しかしながら、上式(13)及び(14)で表される足踏み運動は、Z方向の運動を記述する振動子qzにより駆動されており、脚を踏み込む振幅(qz<0)と遊脚化する振幅(qz>0)の大きさは同一である。このような場合、遊脚高さを確保するために振幅Azを増大させると、必然的に支持脚時に脚を踏み込む振幅も大きくなり、体幹ロール方向の振動が大きくなってしまうため、外乱に対して弱くなる。また、大きな体幹ロール振動のため、足踏み運動を継続することが難しくなり、横方向への転倒に至ることもある。
通常の周期的信号のフィードバックによる引き込み現象のみでは、遊脚をより高く持ち上げるという動作を振動子qzの出力から得ることは難しい。これに対し、ワンショット・フィードバックを導入すれば、遊脚時のみ振幅を増大させることが可能である。
以下では、非周期的フィードバック信号としてワンショット・フィードバックを用いることで、遊脚高さを増加させることができ、床面との十分なクリアランスを確保することができることについて説明する。まず、左右脚のX方向の運動を記述する各振動子ql x及びqr xに乗算する定数Al x及びAr xをともにゼロとして、その場足踏み運動について検討する。
図34には、ロボット装置が遊脚高さを増加する足踏み運動を実現するための制御システム構成を示している。図示の通り、神経振動子フィードバック信号生成部は、周期信号生成部と非周期信号生成部を備えている。
周期信号生成部は、周期的なフィードバック信号を左右脚のZ方向を記述する各神経振動子に入力し、定常的な足踏み運動を行なわせる。具体的には、足踏み運動により得られた体幹ロール角度pb roll、体幹ロール角速度、及び左右脚のZ方向床反力Fl z、Fr を入力し、上式(15)〜(20)に示したような、伸展反応及び前提脊髄反射を模した線形フィードバック信号gER及びgVSRをそれぞれ生成し、CPG制御部内の各神経振動子φl z及びφr zへ、上式(21)〜(24)に示すように入力する。
一方、非周期信号生成部は、遊脚をより高く持ち上げるという非定常的な足踏み運動を行なわせる際に、具体的にはロボット装置が次の条件に合致するときに、ワンショット・フィードバック信号を生成して、各神経振動子φl z及びφr zに供給する。ここで、ワンショット・フィードバック信号は神経振動子に比して大きな定数とし、例えば+10.0とする。
(1)足底が床面に接触していない。
(2)支持脚方向に倒れこむ向きに体幹ロール角速度が生じている。
この条件を定式化すると、以下の通りとなる。
ワンショット・フィードバックは、振動子qzを正方向に大きくする(脚を短くする)ために、qzの10.0倍の振幅を持つ。ワンショット・フィードバックは、上記の線形的フィードバックgER並びにgVSRをベースラインとして重ね合わせて各神経振動子φl z及びφr zに印加される。神経振動子φl z及びφr zへのフィードバック信号を下式(38)〜(41)に示す。
なお、このワンショット・フィードバックの発動は、歩行ロボットの運動制御に用いられる状態遷移機械と同一であり、神経振動子と状態遷移機械の制御器を容易に組み合わせられることが分る。
図35には、ワンショット・フィードバックを利用して遊脚高さを増加させる制御を行なった際の計算機シミュレーション結果を示している。また、これとの比較として、図36には、ワンショット・フィードバックを導入せずに遊脚高さの増加を試みた場合の計算機シミュレーション結果を示している。
各図において、上段は、左脚足底面のZ方向高さを示している。ワンショット・フィードバックを導入した場合、最大遊脚高さがおよそ2倍に向上していることが分る。
また、各図の中段は、振動子出力ql zと印加されたフィードバック(正側:g+、負側:g-)を示している。ワンショット・フィードバックを用いないと、正負の振幅は等しくその絶対値はほぼ1を取っている。これに対し、+10.0のワンショット・フィードバックが印加されている場合では、正側の振幅のみ出力が大きく増幅され、およそ6倍の値をとっている。また、この最大振幅は、印加するワンショット・フィードバックの値と良好な線形関係が確認できた。
また、各図の下段は足踏み運動時のロボットの体幹ロール角度pb rollの時系列変化を示している。ワンショット・フィードバックを導入した場合でも、体幹ロール方向への揺動は増加せず、むしろ小さくなっている。したがって、体幹ロール方向への振幅を増加することなく遊脚高さのみを増加させることができていることが分る。
また、支持脚時の振る舞いは、線形フィードバック信号gER並びにgVSRを用いた場合と同様であり、横方向への外乱に対するロバスト性を従来と同じく確保することができる。
D−2−4.遊脚高さを確保した直進歩行、高速歩行、障害物踏破
次に、Z方向へのワンショット・フィードバックを導入した場合の直進歩行について説明する。ワンショット・フィードバックを用いて遊脚高さを支持脚Z方向振幅と独立に制御することで、(1)高速な歩行が可能になる、(2)不整地踏破性が向上する、といったメリットがある。
(1)高速歩行を行なう場合、重心の上下動を最小化し、位置エネルギの損失を防ぐ必要がある。このため、支持脚のZ方向変位はなるべく小さく設定されるべきである。また、遊脚も床面と接触しない範囲で最小化すれば、歩行周期が短く大きな関節角速度が必要な場合でも対応することができる。ワンショット・フィードバックを用いない場合、支持脚振幅と遊脚振幅が同一となるため、各々を調整することができず、歩行速度が限定される。
(2)不整地歩行を行なう場合、躓きを防止するために遊脚高さを大きく確保することは重要である。ワンショット・フィードバックを用いない場合は、遊脚高さの確保に限界があるため、歩行路面の凹凸に対して堅牢性が低い。
以上の点を鑑みて、定常直進時、高速歩行時、並びに、不整地における踏破性について、ワンショット・フィードバックを導入することの有効性について考察する。
F−2−3−1.定常直進時の脚軌道の位相調整
図37〜図40には、実機を用いた直進歩行時の右脚軌道を示している。図37及び図38はワンショット・フィードバックを用いない場合、図39及び図40はワンショット・フィードバックを用いた場合である。図37並びに図39は、振動子出力をXZ平面でプロットしたものであり、白丸は遊脚、黒四角は支持脚を表しており、時間とともに時計回りの軌道を描く。また、図38並びに図40は、振動子出力と脚接地状態を時系列で示したものである。
図37では、ほぼ楕円型の点対称な脚軌道となっており、接地時の踏み込み量と遊脚高さが変わらないことが分る。また、図38を見ると、X方向振動子出力が最小のとき、すなわち支持脚が最も後ろにあるとき遊脚となり、振動子出力の最大付近で接地しており歩幅が増加していることが分る。
これに対し、ワンショット・フィードバックのある図39では、Z方向に非対称で遊脚高さが大きな脚軌道となっていることが分る。また、図40でも、Z正方向の振動子出力が大きくなっていることが分る。
しかしながら、ワンショット・フィードバックを導入することによって、歩行に必要なX−Z間の適切な位相差が変化する。この影響により、遊脚が接地した後でも、前に脚を蹴り出すような動きをしており、その結果、歩幅が減少することになる。また、この軌道は遊脚期の前半に高いクリアランスがあるものの、遊脚期の後半では非常に小さなクリアランスしかないため、障害物に容易に躓いてしまう。
そこで、X−Z間に適切な位相差を生成させるためのベースライン周期信号フィードバックについて検討する。
X方向振動子の引き込みは、式(29)で示したように、体幹ロール角速度に基づくフィードバック信号gxを用いている。このgxは、Z方向振動子の引き込みに使われるフィードバック信号gERとは90度の位相差があることが予想される(前述)。図41には、実機実験より計測された体幹ロール角速度とgERの関係を示している。但し、Kは適当な正規化定数で、定常足踏み運動のセンサ値である体幹ロール角速度より得られる。同図より、およそ90度の位相差があることが確かめられた。
したがって、これらのセンサ信号に基づくフィードバック信号を下式(42)〜(45)で定めるように重み付け線形結合して、X方向振動子に対する線形フィードバック信号を生成することで、歩行に必要な適切な位相差を生成する。正規化された体幹ロール角速度を改めてgd(roll)とおく。
図42には、ロボット装置が遊脚高さを確保した直進歩行運動を実現するための制御システム構成を示している。図示の通り、神経振動子フィードバック信号生成部は、Z方向の神経振動子に対する周期信号生成部と非周期信号生成部を備えるとともに、X方向の神経振動子に対する周期信号生成部を備えている。
Z方向の神経振動子に対するフィードバック信号を生成する仕組みは、図34に示したシステム構成と同様である。すなわち、周期信号生成部は、周期的なフィードバック信号を左右脚のZ方向を記述する各神経振動子に入力し、歩行運動により得られた体幹ロール角度pb roll、体幹ロール角速度、及び左右脚のZ方向床反力Fl z、Fr を入力し、上式(15)〜(20)に示したような、伸展反応及び前提脊髄反射を模した線形フィードバック信号gER及びgVSRをそれぞれ生成し、CPG制御部内の各神経振動子φl z及びφr zへ入力する。また、非周期信号生成部は、式(36)又は式(37)で定式された条件が合致するときに動作して、式(36)又は式(37)に示されるワンショット・フィードバック信号を生成する。ワンショット・フィードバックは、上記の線形的フィードバックgER並びにgVSRをベースラインとして重ね合わせてZ方向の各神経振動子φl z及びφr zに印加される。神経振動子φl z及びφr zへのフィードバック信号は上式(38)〜(41)に示した通りである。
一方、X方向の神経振動子に対する周期信号生成部は、周期的フィードバック信号gxはZ方向振動子の引き込みに使われるフィードバック信号gERとは90度の位相差があるという予想の基で、伸展反応を利用したフィードバックgERと、正規化された体幹ロール角速度gd(roll)とを重み付け線形結合して、上式(44)に示した線形フィードバック信号を生成してX方向振動子に入力することで、歩行に必要な適切な位相差を生成する。神経振動子φl x及びφr xへのフィードバック信号を下式(46)〜(53)に示す。
本発明者らは、式(45)に従って体幹ロール角速度に基づくフィードバック信号gd(roll)に対する重みhd(roll)をパラメータとして変化させ、脚軌道への影響を調べてみた。図43〜図46にはその結果を示している。図示の通り、脚は時計回りに軌道を描いている。この結果、遊脚最大高さとなるのが遊脚初期から徐々に後期に移っていく様子が確かめられる。
どのような脚軌道が最適であるかは、目的によって異なるため、一意に定まらないが、例えば不整地路面を歩くような場合ではhd(roll)=0.2のようなクリアランスを一定に保つような軌道が相応しい。
人間の歩容に近い形態を目指すならば、hd(roll)=0.4の値が良いと思われる。図47には、hd(roll)=0.4の場合の脚軌道を示している。また、図48には人間の定常歩行時の脚先軌道をモーション・キャプチャしたデータを示しているが、両者が類似していることが分かる。
以上から、ワンショット・フィードバックと定常周期フィードバック信号の組み合わせによって脚軌道を変化させることができることが理解できる。
F−2−3−2.高速歩行
神経振動子を用いた高速歩行運動においても、ワンショット・フィードバックを用いれば、支持脚時の踏み込み量を減らし、遊脚高さのみを増加させることが可能である。踏み込み量の減少は左右揺動を減らすことにつながり、その結果、ロボットは転倒しにくくなる。この場合の制御システム構成は、図42と同様なので、ここでは説明を省略する。
図49には、ワンショット・フィードバックを導入して神経振動子を用いた高速歩行運動制御を行なった場合の実験結果を示している。また、比較として、ワンショット・フィードバックを用いずに高速歩行を行なった結果を図50に示している。但し、移動速度は、接地脚と体幹との相対速度によるデッドレコニングにより計測している。ワンショット・フィードバックにより、毎秒0.292メートルという高速な歩行が可能であった。これは、ワンショット・フィードバックを導入しない場合に比しておよそ1.5倍の速度である。
F−2−3−3.不整地踏破性の向上
遊脚高さを高くすれば、不整地での躓きを回避することができる。この場合の制御システム構成は、図42と同様なので、ここでは説明を省略する。
本発明者らは、ワンショット・フィードバックによる不整地踏破性を確かめるため、段差を踏破する実験を行なった。この実験では、厚さ2、3、5、並びに6.5ミリ・メートルの板を歩行面上に置いて、ロボットが段差を昇ること並びに下ることが可能かどうかを調べた。各10回とし、さまざまな位相から歩行を開始し、踏破できる割合を調べた。また、歩行周期が短いほど横方向へのロバスト性が向上することが分っているので、神経振動子の時定数τ1を変化させて、歩行周期を変えることで比較した。
図51にはその実験結果を示している。また、これとの比較として、ワンショット・フィードバックを用いない場合に実験結果を図52に示している。横軸は段差の条件を、縦軸は踏破できた割合(%)を棒グラフで示している。パターンの違いは歩行周期を表している。ワンショット・フィードバックがある場合の方が踏破できる割合が高いことが分る。また、ワンショット・フィードバックがある場合、歩行周期が小さいほど踏破性が高くなっている。
F−2−4.前方外力に対するロバスト性の向上
神経振動子を用いたロボットの運動制御においてワンショット・フィードバックを導入した場合、突発的な外乱に対して歩幅を増加させることによってロバスト性を向上できる。
図53には、ロボット装置の前方外力に対するロバスト性を向上させるための制御システム構成を示している。図示のシステムは、図42に示した直進歩行の枠組みに、さらにX方向神経振動子フィードバック生成部で非周期的フィードバックを印加することで実現され、この非周期的フィードバックによって歩幅を一時的に増加させて、X方向神経振動子を引き込み領域に戻すことができる。
Z方向の神経振動子に対するフィードバック信号を生成する仕組みは、図34に示したシステム構成と同様である。すなわち、周期信号生成部は、周期的なフィードバック信号を左右脚のZ方向を記述する各神経振動子に入力し、足踏み運動により得られた体幹ロール角度pb roll、体幹ロール角速度、及び左右脚のZ方向床反力Fl z、Fr を入力し、上式(15)〜(20)に示したような、伸展反応及び前提脊髄反射を模した線形フィードバック信号gER及びgVSRをそれぞれ生成し、CPG制御部内の各神経振動子φl z及びφr zへ、上式(21)〜(24)に示すように入力する。また、非周期信号生成部は、式(36)又は式(37)で定式された条件が合致するときに動作して、式(36)又は式(37)に示されるワンショット・フィードバック信号を生成する。ワンショット・フィードバックは、上記の線形的フィードバックgER並びにgVSRをベースラインとして重ね合わせて各神経振動子φl z及びφr zに印加される。神経振動子φl z及びφr zへのフィードバック信号は下式(38)〜(41)に示した通りである。
また、X方向の神経振動子に対する周期信号生成部は、周期的フィードバック信号gxはZ方向振動子の引き込みに使われるフィードバック信号gERとは90度の位相差があるという予想の基で、伸展反応を利用したフィードバックgERと、正規化された体幹ロール角速度gd(roll)とを重み付け線形結合して、上式(44)に示した線形フィードバック信号を生成してX方向振動子に入力することで、歩行に必要な適切な位相差を生成する。
一方、X方向の神経振動子に対する非周期信号生成部は、以下の3条件を満足するときに、ワンショット・フィードバック信号を生成する。
(1)垂直床反力<Fz_th
(2)体幹角速度>ωth
(3)体幹角度>θth
z_thは床反力の閾値、ωthは体幹角速度の閾値、θthは体幹角度の閾値である。この3条件は下式(54)のように定式化される。
ここでは、X方向の神経振動子に対する非周期信号生成部は、+X方向へ+5.0のワンショット・フィードバックgl x_1及びgr x_1を生成して、X方向の各神経振動子φl x及びφr xに入力することで、遊脚時の+X方向への出力を大きくすることで、歩幅を増加し転倒を防止する。これらのワンショット・フィードバックは、周期信号生成部からの線形フィードバック信号gxをベースラインとして重ね合わせて各神経振動子φl x及びφr xに印加される。Z方向の神経振動子へのフィードバック項は、定常直進時における足踏み運動の場合と同様である。各神経振動子へのフィードバック信号は下式(55)〜(62)に示す通りである。
図54には、定常歩行を行なっているロボットに(但し、歩幅を0.04m、1歩当たり0.4秒とする)、時刻ゼロから0.1秒間だけ、進行方向向き(X正方向)に25.0ニュートンの水平外力を骨盤部分に作用させたときに、ワンショット・フィードバックを用いて歩幅を増加させた場合の動力学シミュレーションの結果を示している。また、これとの比較で、同じ条件でワンショット・フィードバックを用いない場合の結果を図55に示す。各図において、“SwingLeg/Stance Leg”は足底が床面に接触しているか否かを示す値であり、1であれば遊脚、0であれば支持脚を表している。
図55にしめすように、ワンショット・フィードバックがない場合、水平外力を印加した後、ロボットは徐々に体幹が前方に傾き、やがて転倒に至っている。このことは、体幹高さpb zを見ても理解できよう(グラフでは便宜上10倍して示した)。
これに対し、ワンショット・フィードバックを導入した場合には、図54に示すように、水平外力の印加時に遊脚となっている左脚のZ方向運動を記述する振動子の出力ql zがワンショット・フィードバックによって大きく正方向に増加していることが分る。これにより、水平外力が印加したときには歩幅が大きくなり、転倒を防止することができる。実際、時刻0〜1.2秒の間では、体幹ピッチ角度pb pitchが大きく振れているが、その後はゼロ付近に収束している。また、体幹高さもほぼ一定値を保っており、歩行が継続できていることが分る。
図56及び図57には、定常歩行を行なっているロボットの骨盤部分に進行方向向き(X正方向)に水平外力を作用させたときに、ワンショット・フィードバックを適用した場合と適用しない場合それぞれについての動力学シミュレーションを、ロボットの全体の挙動が分るよう一定時間毎に可視化して示している。各図において、上から2段目のときに外乱が前向き水平に印加されているとする。
図57に示すように、ワンショットがない場合は転倒に至っている。これに対し、ワンショット・フィードバックを適用した場合は、図56に示すように、転倒せずに歩行が継続されている様子が確かめられる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、2足歩行型のロボット装置に適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨は必ずしもこれに限定されるものではない。2足以外の歩行型ロボットや、脚式以外のロボット装置、あるいはロボット以外の機械装置であっても、周期運動を行なう可動部に対して、自励発振と引き込み特性を持つ振動子を用いて運動制御を行なうことによって、同様に本発明の効果を奏することが可能である。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、本発明の実施に供される脚式移動ロボット100が直立している様子を前方から眺望した様子を示した図である。 図2は、本発明の実施に供される式移動ロボット100が直立している様子を後方から眺望した様子を示した図である。 図3は、脚式移動ロボット100が具備する関節自由度構成を模式的に示した図である。 図4は、脚式移動ロボット100の制御システム構成を模式的に示した図である。 図5は、振動子を用いたロボット装置の運動制御の原理を説明するための図である。 図6は、振動子を用いたロボット装置の運動制御の原理を説明するための図である。 図7は、振動子が持つ引き込み特性を利用したロボットの制御システムの基本的構成を示した図である。 図8は、自励発振する振動子がリミット・サイクルを形成し、位相平面上で閉曲線を描く様子を示した図である。 図9は、神経振動子の構成を模式的に示した図である。 図10は、振動子出力qとワンショット的なフィードバックの関係を概念的に示したタイミング・チャートである。 図11は、神経振動子に入力するワンショット・フィードバック信号を示した図である。 図12は、ステップ状の興奮−興奮フィードバックを入力した場合の振動子出力の結果を示した図である。 図13は、周期の半分の抑制−抑制フィードバックを入力した場合の振動子出力の結果を示した図である。 図14Aは、興奮−抑制型のフィードバックをステップ入力した場合の振動子出力の結果を示した図である。 図14Bは、興奮−抑制型のフィードバックを周期の半分の矩形波として振幅増加方向に入力した場合の振動子出力の結果を示した図である。 図14Cは、興奮−抑制型のフィードバックを周期の半分の矩形波として振幅減少方向に入力した場合の振動子出力の結果を示した図である。 図15は、神経振動子の内部変数の振る舞いを詳しくプロットして示した図である。 図16Aは、正側神経素子に正方向に振幅を持つパルス波をワンショット・フィードバックとして入力した結果を示した図である。 図16Bは、正側神経素子に負方向に振幅を持つパルス波をワンショット・フィードバックとして入力した結果を示した図である。 図17は、正弦波をベースラインとして常に入力しながらワンショット・フィードバックを行なった結果を示した図である。 図18は、肩関節角度が閾値を越えたときに把持しているボールを放して投球動作(下手投げ)を行なうための神経振動子の配置例を示した図である。 図19は、ロボット装置による投球動作の枠組みを説明するための図である。 図20Aは、左肩ピッチ関節に配した振動子出力ql aとワンショット・フィードバックg+の時系列データを示した図である(但し、τ1=0.8)。 図20Bは、左肩ピッチ関節に配した振動子出力ql aとワンショット・フィードバックg+の時系列データを示した図である(但し、τ1=5.0)。 図21は、左肩ピッチ関節に配した振動子出力ql aに対するワンショット・フィードバックをg+=−2.88とした後、時刻ゼロで+5.77と変化させたときの挙動を示した図である。 図22は、ロボットの投球動作を0.2秒毎に撮影した様子を示した図である。 図23は、XYZ直交座標系により基準座標系が構成され、各軸に沿って左右の両脚にそれぞれ振動子を配置した例を示した図である。 図24は、定常歩行について考察する際の座標軸の設定を示した図である。 図25は、足踏み運動制御を行なうための振動子配置を示した図である。 図26は、脚式移動ロボットがZ方向に沿って配置した振動子φzにより脚Z位置を駆動させて足踏み運動を生成する際、左右の振動子ql z及びqr zに進展反応を利用したフィードバック系を導入して、常に床面からの体幹高さPb Zを高く保持する様子を示した図である。 図27は、神経振動子のパラメータを調節することにより大きなフィードバック値が入力された場合に発振を止める様子を示した図である。 図28は、ロボット装置の前額面内の足踏み運動を制御するシステム構成例を示した図である。 図29は、ロボットの矢状面内における歩行運動の振動子を用いた制御を説明するための図である。 図30は、ロボットの矢状面内における歩行運動の振動子を用いた制御を説明するための図である。 図31は、振動子を用いてロボットの矢状面内歩行運動の制御を行なったときのシミュレーション結果を示した図である。 図32は、ロボット装置の歩行運動を制御するシステム構成例を示した図である。 図33は、神経振動子フィードバック信号生成部の内部構成を示した図である。 図34は、ロボット装置が遊脚高さを増加する足踏み運動を実現するための制御システム構成を示した図である。 図35は、ワンショット・フィードバックを利用して遊脚高さを増加される制御を行なった際の計算機シミュレーション結果を示した図である。 図36は、ワンショット・フィードバックを導入せずに遊脚高さの増加を試みた場合の計算機シミュレーション結果を示した図である。 図37は、ワンショット・フィードバックを用いない場合の実機を用いた直進歩行時の右脚軌道を示した図である。 図38は、ワンショット・フィードバックを用いない場合の実機を用いた直進歩行時の右脚軌道を示した図である。 図39は、ワンショット・フィードバックを用いた場合の実機を用いた直進歩行時の右脚軌道を示した図である。 図40は、ワンショット・フィードバックを用いた場合の実機を用いた直進歩行時の右脚軌道を示した図である。 図41は、実機実験より計測された体幹ロール角速度とgERの関係を示した図である。 図42は、ロボット装置が遊脚高さを確保した直進歩行運動を実現するための制御システム構成を示した図である。 図43は、体幹ロール角速度に基づくフィードバック信号gd(roll)に対する重みhd(roll)が脚軌道に及ぼす影響を示した図である。 図44は、体幹ロール角速度に基づくフィードバック信号gd(roll)に対する重みhd(roll)が脚軌道に及ぼす影響を示した図である。 図45は、体幹ロール角速度に基づくフィードバック信号gd(roll)に対する重みhd(roll)が脚軌道に及ぼす影響を示した図である。 図46は、体幹ロール角速度に基づくフィードバック信号gd(roll)に対する重みhd(roll)が脚軌道に及ぼす影響を示した図である。 図47は、hd(roll)=0.4の場合の脚軌道を示した図である。 図48は、人間の定常歩行時の脚先軌道をモーション・キャプチャしたデータを示した図である。 図49は、ワンショット・フィードバックを導入して神経振動子を用いた高速歩行運動制御を行なった場合の実験結果を示した図である。 図50は、ワンショット・フィードバックを用いずに神経振動子を用いた高速歩行運動制御を行なった場合の実験結果を示した図である。 図51は、ワンショット・フィードバックを導入した場合の不整地踏破性を検証した結果を示した図である。 図52は、ワンショット・フィードバックを導入しない場合の不整地踏破性を検証した結果を示した図である。 図53は、ロボット装置の前方外力に対するロバスト性を向上させるための制御システム構成を示した図である。 図54は、定常歩行を行なっているロボットの骨盤部分に進行方向向き(X正方向)に水平外力を作用させたときに、ワンショット・フィードバックを用いて歩幅を増加させた場合の動力学シミュレーションの結果を示した図である。 図55は、定常歩行を行なっているロボットの骨盤部分に進行方向向き(X正方向)に水平外力を作用させたときに、ワンショット・フィードバックを用いない場合の動力学シミュレーションの結果を示した図である。 図56は、定常歩行を行なっているロボットに水平外力を作用させたときに、ワンショット・フィードバックを適用した場合の動力学シミュレーションを、ロボットの全体の挙動として一定時間毎に可視化して示した図である。 図57は、定常歩行を行なっているロボットに水平外力を作用させたときに、ワンショット・フィードバックを適用しない場合の動力学シミュレーションを、ロボットの全体の挙動として一定時間毎に可視化して示した図である。
符号の説明
1…首関節ヨー軸
2A…第1の首関節ピッチ軸
2B…第2の首関節(頭)ピッチ軸
3…首関節ロール軸
4…肩関節ピッチ軸
5…肩関節ロール軸
6…上腕ヨー軸
7…肘関節ピッチ軸
8…手首関節ヨー軸
9…体幹ピッチ軸
10…体幹ロール軸
11…股関節ヨー軸
12…股関節ピッチ軸
13…股関節ロール軸
14…膝関節ピッチ軸
15…足首関節ピッチ軸
16…足首関節ロール軸
30…頭部ユニット,40…体幹部ユニット
50…腕部ユニット,51…上腕ユニット
52…肘関節ユニット,53…前腕ユニット
60…脚部ユニット,61…大腿部ユニット
62…膝関節ユニット,63…脛部ユニット
80…制御ユニット,81…主制御部
82…周辺回路
91,92…接地確認センサ
93,94…加速度センサ
95…姿勢センサ
96…加速度センサ
100…脚式移動ロボット

Claims (16)

  1. 複数の可動部を有するロボット装置であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御部と、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測部と、
    前記環境計測部を通して得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御部と、
    非周期的若しくは一時的なフィードバック信号を前記振動子に入力する非周期的振動子制御部と、
    振動子出力及びその時間微分を直交軸とする位相平面において、前記振動子の状態が引き込み領域内か引き込み領域外かを判別する振動子状態判別部と、
    を具備し、
    前記周期的振動子制御部は、前記環境計測部による計測結果に基づいて、前記振動子が引き込み現象を生じるための周期フィードバック信号を出力し、
    前記非周期的振動子制御部は、引き込み領域外という判別結果に基づいて、前記振動子を前記引き込み領域に戻すための一定の値を前記振動子に対するフィードバック信号として出力する、
    ことを特徴とするロボット装置。
  2. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御部と、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測部と、
    前記環境計測部を通して得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御部と、
    非周期的若しくは一時的なフィードバック信号を前記振動子に入力する非周期的振動子制御部と、
    を具備し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記の矢状面内運動において、歩幅を増加してより前方に脚を移動させる際に、前記非周期的振動子制御部は、前脚のX方向運動を記述する振動子に対し、その振幅を増加させるフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置。
  3. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御部と、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測部と、
    前記環境計測部を通して得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御部と、
    非周期的若しくは一時的なフィードバック信号を前記振動子に入力する非周期的振動子制御部と、
    を具備し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記の矢状面内運動において、歩幅を減少させる際に、前記非周期的振動子制御部は、前脚のX方向運動を記述する振動子に対し、その振幅を減少させるフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置。
  4. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御部と、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測部と、
    前記環境計測部を通して得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御部と、
    非周期的若しくは一時的なフィードバック信号を前記振動子に入力する非周期的振動子制御部と、
    を具備し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記の前額面内の足踏み運動において、遊脚の高さを増加させる際に、前記非周期的振動子制御部は、該遊脚のZ方向運動を記述する振動子に対し、プラスZ方向の振幅を増加させるフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置。
  5. 前記非周期振動子制御部は、遊脚のZ方向運動を記述する振動子に対し、前記周期的振動子制御部が生成する左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号をベースラインとして、該振動子の振幅よりも大きな値を持つフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とする請求項に記載のロボット装置。
  6. 前記周期的振動子制御部は、前記非周期振動制御部が一時的なフィードバック信号をZ方向運動を記述する振動子に入力したことに伴い、X方向運動を記述する振動子に対して、Z方向運動を記述する振動子と適切な位相差を生成させるためのベースライン周期信号を入力する、
    ことを特徴とする請求項に記載のロボット装置。
  7. 前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差に基づく線形的フィードバック信号と前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を重み付け線形結合することにより、前記ベースライン周期信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項に記載のロボット装置。
  8. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御部と、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測部と、
    前記環境計測部を通して得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御部と、
    非周期的若しくは一時的なフィードバック信号を前記振動子に入力する非周期的振動子制御部と、
    を具備し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御部は、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御部は、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記非周期的振動子制御部は、外力の印加により足底が受ける床反力が所定の閾値を下回り、且つ体幹角速度及び体幹角度がともにそれぞれの閾値を超えたときに、該外力の作用方向の運動を記述する振動子に対して、該外力の作用方向の出力を大きくするようなフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置。
  9. 複数の可動部を有するロボット装置の制御方法であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御ステップと、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測ステップと、
    前記環境計測ステップにおける計測結果に基づいて得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御ステップと、
    非周期的振動子制御ステップと、
    振動子出力及びその時間微分を直交軸とする位相平面において、前記振動子の状態が引き込み領域内か引き込み領域外かを判別する振動子状態判別ステップと、
    を有し、
    前記周期的振動子制御ステップでは、前記環境計測ステップにおける計測結果に基づいて、前記振動子が引き込み現象を生じるための周期フィードバック信号を出力し、
    前記非周期的振動子制御ステップでは、引き込み領域外という判別結果に基づいて、前記振動子を前記引き込み領域に戻すための一定の値を前記振動子に対するフィードバック信号として出力する、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  10. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置の制御方法であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御ステップと、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測ステップと、
    前記環境計測ステップにおける計測結果に基づいて得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御ステップと、
    非周期的振動子制御ステップと、
    を有し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記の矢状面内運動において、歩幅を増加してより前方に脚を移動させる際に、前記非周期的振動子制御ステップでは、前脚のX方向運動を記述する振動子に対し、その振幅を増加させるフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  11. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置の制御方法であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御ステップと、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測ステップと、
    前記環境計測ステップにおける計測結果に基づいて得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御ステップと、
    非周期的振動子制御ステップと、
    を有し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記の矢状面内運動において、歩幅を減少させる際に、前記非周期的振動子制御ステップでは、前脚のX方向運動を記述する振動子に対し、その振幅を減少させるフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  12. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置の制御方法であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御ステップと、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測ステップと、
    前記環境計測ステップにおける計測結果に基づいて得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御ステップと、
    非周期的振動子制御ステップと、
    を有し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記の前額面内の足踏み運動において、遊脚の高さを増加させる際に、前記非周期的振動子制御ステップでは、該遊脚のZ方向運動を記述する振動子に対し、プラスZ方向の振幅を増加させるフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  13. 前記非周期振動子制御ステップでは、遊脚のZ方向運動を記述する振動子に対し、前記周期的振動子制御部が生成する左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号をベースラインとして、該振動子の振幅よりも大きな値を持つフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とする請求項12に記載のロボット装置の制御方法。
  14. 前記周期的振動子制御ステップでは、前記非周期振動制御ステップにおいて一時的なフィードバック信号をZ方向運動を記述する振動子に入力したことに伴い、X方向運動を記述する振動子に対して、Z方向運動を記述する振動子と適切な位相差を生成させるためのベースライン周期信号を入力する、
    ことを特徴とする請求項13に記載のロボット装置の制御方法。
  15. 前記周期的振動子制御ステップでは、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差に基づく線形的フィードバック信号と前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を重み付け線形結合することにより、前記ベースライン周期信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項14に記載のロボット装置の制御方法。
  16. 体幹に取り付けられた左右の脚を含む複数の可動部を有するロボット装置の制御方法であって、
    自励振動と引き込み特性を持つ振動子の出力に基づいて少なくとも一部の可動部の周期運動に対する制御信号を生成する運動制御ステップと、
    前記可動部の制御信号に従った運動、又は前記可動部が運動する際における物理環境を計測する環境計測ステップと、
    前記環境計測ステップにおける計測結果に基づいて得られる周期的信号入力に対して線形変換を行なって、周期信号からなるフィードバック信号を前記振動子に入力する周期的振動子制御ステップと、
    非周期的振動子制御ステップと、
    を有し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための前額面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚に設定されたZ方向初期基準位置に、前記脚のZ方向運動を記述する振動子の出力に基づく値を加算して前記脚のZ位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、左右脚の足底にそれぞれ印加される床反力の差、又は前記体幹のロール角度の少なくとも一方に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記左右の脚を用いた歩行動作のための矢状面内運動を実行する際に、前記運動制御ステップでは、前記脚のZ方向運動を記述する振動子に対してほぼ90度だけ位相がずれたX方向運動を記述する振動子を用いて前記脚のX位置を駆動させ、前記周期的振動子制御ステップでは、前記体幹のロール角速度に基づく線形的フィードバック信号を生成して、前記脚のX方向運動を記述する振動子に入力し、
    前記非周期的振動子制御ステップでは、外力の印加により足底が受ける床反力が所定の閾値を下回り、且つ体幹角速度及び体幹角度がともにそれぞれの閾値を超えたときに、該外力の作用方向の運動を記述する振動子に対して、該外力の作用方向の出力を大きくするようなフィードバック信号を一時的に供給する、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
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