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JP4822608B2 - 窒化物系半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物系半導体発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化物系半導体発光素子およびその製造方法に関し、特に、InおよびGaを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を備えた窒化物系半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外から緑色の波長領域での発光波長を有する半導体発光素子である半導体レーザ素子(LD)や発光ダイオード(LED)の半導体材料として、窒化物系半導体(GaInAlN)が用いられている。この窒化物系半導体を用いた半導体レーザ素子は、たとえば、Technical Digest of International Workshop on Nitride Semiconductors (IWN2000) WA2−1、に記載されている。窒化物系半導体を用いた半導体レーザ素子の断面図を図11に示す。図11において、101は(0001)c面を有するサファイア基板、102はGaN層、103はn−GaNコンタクト層、104はn−Al0.08Ga0.92Nクラッド層、105はn−GaNガイド層、106はIn0.10Ga0.90N量子井戸層とIn0.02Ga0.98N障壁層とからなる多重の量子井戸構造活性層、107はp−Al0.16Ga0.84N層、108はp−GaNガイド層、109はp−Al0.15Ga0.85NとGaNが交互に積層されてなるp型クラッド層、110はp−GaNコンタクト層、111はp側電極、112はn側電極、113は電流狭窄用SiO2膜である。ここで、GaN層102は、幅2μmのストライプ状に12μm周期で形成されている。また、多重の量子井戸構造活性層106は、3.5nm厚のIn0.10Ga0.90N量子井戸層と、7.0nm厚のIn0.02Ga0.98N障壁層の、3ペアで構成され、量子井戸層と障壁層が交互に形成されている。
【0003】
この従来例の製造方法においては窒化物系半導体を形成するために有機金属気相成長法(MOCVD法)が用いられている。まずサファイア基板101上にGaN層102を形成後、このGaN層102をストライプ状に加工し、その上にn−GaNコンタクト層103からp−GaNコンタクト層110までの半導体レーザ素子構造を積層している。
【0004】
さらにこの従来例では注入電流を狭窄するためにp型クラッド層109とp−GaNコンタクト層110はリッジストライプ状に形成されている。これにより電流注入されるストライプ状の領域が活性領域となる。その後、サファイア基板101を研磨により薄くしてからへき開技術を用いることにより共振器端面を形成している。
【0005】
しかしながらこの従来例の窒化物系半導体レーザ素子では連続的な電流注入によって特性が急速に劣化するという問題があり、この半導体レーザ素子を実用化するためには、素子の信頼性を向上することが重要な課題であった。この急速な劣化の原因としては、活性層に用いられている窒化物系半導体材料中に存在する欠陥が電流注入により増殖することが考えられており、この欠陥を低減する試みがなされてきた。
【0006】
たとえば、特開2000−156348号公報では、平坦な表面を持ち欠陥の少ない活性層を得るために、半導体レーザ素子構造を形成する基板として用いるサファイア基板表面の面方位をc面から0.3度以上0.5度以下の範囲内のオフ角度で傾斜させ、その上に半導体レーザ素子構造を積層する技術が示されている。
【0007】
また、特開2000−223743号公報では、同様の目的で、半導体レーザ素子構造を形成する基板として窒化ガリウム基板を用い、その表面の面方位をc面から0.03度以上10度以下の範囲内のオフ角度で傾斜させ、その上に半導体レーザ素子構造を積層する技術が示されている。
【0008】
一方、これらの欠陥を低減するための技術とは別に、窒化物系半導体の混晶材料においては非混和領域の存在の結果として生じる相分離が原因で、空間的に均一な組成を有する混晶を形成することができず、組成のゆらぎが生じるということが知られている。特に、窒化物系半導体発光素子の活性層としてよく用いられているInGaNは相分離によってIn組成が空間的にゆらぎ、このためInGaN量子井戸構造活性層においては高いIn組成を有するドット状の領域が形成される。このドットのサイズは非常に小さいので、量子ドットとして機能させることが考えられている。
【0009】
たとえば、特開平10−145002号公報では、InGaN活性層を形成する窒化物系半導体層の表面に三角関数的な波形の凹凸を形成した後に、InGaN量子井戸構造活性層を形成する技術が示されている。このようにして凹凸の形状を持って形成されたInGaN量子井戸構造活性層では、凹の領域は凸の領域に比べてIn組成が高くなり、量子ドットが形成される。この結果、2次元的な量子井戸構造を活性層に用いる場合と比較して0次元的な量子ドットではレーザ発振の閾値電流値を低減できるとしている。
【0010】
この他に、窒化物系半導体を用いた発光ダイオードも前記半導体レーザ素子と同様に、InGaN量子井戸構造活性層を用いて作製されている。
【0011】
しかし、従来の前記窒化物系半導体を用いた半導体発光素子は次のような問題点がある。まず、窒化物系半導体を用いた半導体レーザ素子においては、従来例のように半導体レーザ素子構造を形成するための基板の表面をc面から10度以下の範囲内の微少なオフ角度で傾斜させ、その上に半導体レーザ素子構造を積層しても、特性の劣化を生じてしまい、信頼性が十分に改善された窒化物系半導体レーザ素子を得ることが困難であった。
【0012】
さらに、従来の前記窒化物系半導体を用いた半導体レーザ素子ではInGaN活性層の相分離によって生じるIn組成のゆらぎがランダムに存在するために、このIn組成ゆらぎの結果生じる光学利得のエネルギー的な広がりにより、発振波長において十分に高い光学利得を得ることができず、発振閾値電流値が増大してしまうという問題もある。
【0013】
一方、従来の凹凸形状を有して形成されたInGaN量子井戸構造活性層を有する半導体レーザ素子においては、この凹凸構造により量子ドットは形成されるものの、この量子ドットの大きさすべてを均一に揃えることができない。したがってこの大きさのばらつきのため光学利得のエネルギー的な広がりを生じてしまい、この場合も発振閾値電流値を低減できないという問題があった。
【0014】
さらに、窒化物系半導体を用いた発光ダイオードにおいても、前記窒化物系半導体を用いた半導体レーザ素子と同様にInGaN量子井戸構造活性層を用いているため、相分離によって生じるIn組成のゆらぎの影響が特性に現れる。すなわち、この活性層ではIn組成が均一でなく空間的にゆらぎを生じるため、電流注入により活性層に入った電子と正孔はまずIn組成が大きい領域で再結合し、注入電流量を増大するとIn組成の小さい領域へと広がって再結合する。つまり電流を注入するにつれて発光波長のピーク値が大きくブルーシフトするという問題があった。これは発光ダイオードをフルカラーディスプレーの画素として使用する場合、注入電流により色合いが変化してしまうことになる。このような相分離によって生じるIn組成のゆらぎは、InおよびGaを含む窒化物系半導体材料の量子井戸構造において特に顕著に見られるため、この量子井戸構造を活性層として用いる半導体発光素子においてこの課題を解決する必要がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、窒化物系半導体レーザ素子における上述の問題を解決して、発振閾値電流値が低く、信頼性が向上された窒化物系半導体発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明者は窒化物系半導体を用いた半導体レーザ素子における特性の劣化についてその原因を調査した結果、相分離によって生じるIn組成の空間的なゆらぎが局所的な格子歪みを引き起こして欠陥の増殖を促進していることを見い出した。
【0017】
したがって、In組成のゆらぎを抑えることとで窒化物系半導体レーザ素子の発振閾値電流値を低減できるとともにその信頼性の向上も達成される。さらに窒化物系半導体発光ダイオードにおいてもIn組成のゆらぎを低減すれば電流注入によるブルーシフト量を低減できる。
【0018】
さらに本発明者が検討した結果、InおよびGaを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造にみられるIn組成の空間的なゆらぎは、相分離によって生じる組成の不均一化と、In原子やGa原子の拡散による組成の均一化の、2つの要因が競合して発生していることを見い出した。
【0019】
したがって、この量子井戸構造における相分離による組成の不均一化の影響を低減するためには、拡散による組成の均一化の効果を増大してやればよい。この拡散の効果を増大するには原子を動きやすくして拡散係数を大きくすることが考えられるが、このためには結晶成長の温度を高める必要がある。ところが、このように成長温度を高めるとIn原子が成長表面から離脱するなどの問題が生じるため、欠陥を大幅に増加させてしまう。
【0020】
そこで、本発明者はこれとは異なり、In原子やGa原子を結晶成長面内で等方的に移動させずに、ある一方向に対して移動を抑制しその反対方向には抑制しないようにすることで、拡散係数が同じでも結晶成長中における拡散の効果を大幅に増大させることができることを新知見として得た。これは原子の移動をある一方向のみに限定することで、等方的に移動できる場合と比較して、実効的に拡散が促進されて組成の均一化の効果が増大しているためである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
これらの点を鑑みて、本発明に係る窒化物系半導体発光素子は以下の発明から構成されるのである。すなわち、本発明に係る窒化物系半導体発光素子は、基板上で、窒化物半導体からなる、クラッド層もしくはガイド層の少なくともいずれか一方に挟まれており、InおよびGaを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を有する、窒化物系半導体発光素子において、前記量子井戸構造活性層が、結晶成長中におけるIn原子およびGa原子の表面移動を、量子井戸面内で一方向に対して抑制するとともにその反対方向には抑制しないようにした結晶成長により形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、前記量子井戸構造活性層が、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成されることが可能である。
【0023】
また、前記基板が、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造の窒化ガリウム基板であることが可能である。
【0024】
また、前記量子井戸構造活性層が、2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を有する表面を持つ窒化物半導体層に接して形成されており、2種類のストライプ状平面のうち一方のみが、基板表面と70度以上110度以下の範囲内の角度でほぼ垂直に交差していることが可能である。
【0025】
また、前記窒化物半導体層の表面の凹凸を形成する2種類のストライプ状平面は、周期構造をなす方向に対する平面の幅が、基板表面と垂直に交差している平面では10nm以上であり、もう一方の平面では200nm以下であることが可能である。
【0026】
本発明に係る窒化物系半導体発光素子の製造方法は、結晶成長中におけるIn原子およびGa原子の表面移動を、量子井戸面内で一方向に対して抑制するとともにその反対方向には抑制しないようにした結晶成長により、InおよびGaを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を形成する工程を有することを特徴とする。
【0027】
また、前記量子井戸構造活性層を、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成する工程を有することが可能である。
【0028】
また、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造の窒化ガリウム基板上に、窒化物半導体層を形成する工程と、前記窒化物半導体層に接して、前記量子井戸構造活性層を形成する工程と、を有することが可能である。
【0029】
また、基板上に、窒化物半導体層を形成する工程と、前記窒化物半導体層の表面に、2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を、この2種類の平面のうち一方のみが前記基板表面と70度以上110度以下の範囲内の角度でほぼ垂直に交差するように形成する工程と、前記窒化物半導体層に接して、前記量子井戸構造活性層を形成する工程と、を有することが可能である。
【0030】
また、前記窒化物半導体層の表面の凹凸を形成する2種類のストライプ状平面は、周期構造をなす方向に対する平面の幅が、基板表面とほぼ垂直に交差している平面では10nm以上であり、もう一方の平面では200nm以下であるように形成される工程を有することが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子を示す断面図である。図1において、1は(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板、2はn−GaN層、3はn−In0.1Ga0.9Nクラック防止層、4はn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層、5はn−GaNガイド層、6は2層のIn0.15Ga0.85N量子井戸層と3層のIn0.03Ga0.97N障壁層とからなる多重の量子井戸構造活性層、7はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、8はp−GaNガイド層、9はp−Al0.1Ga0.9Np型第1クラッド層、10はp−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層、11はp−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層、12はp−GaNp型コンタクト層、13はp側電極、14はn側電極、15は電流狭窄のためのSiO2絶縁膜である。
【0032】
次に、図1を参照して上記窒化物系半導体レーザ素子の作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、窒化物系半導体をエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHVPE(ハイドライド気相成長法)などの他の気相成長法を用いることもできる。
【0033】
まず、所定の成長炉内に設置された、(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面を主面として有する厚さ100μmのn−GaN基板1上に、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)、およびシランガス(SiH4)を原料に用いて、成長温度1050℃で厚さ3μmのSiドープn−GaN層2を成長する。
【0034】
次に、成長温度を750℃に下げ、TMGとNH3とSiH4、およびトリメチルインジウム(TMI)を原料に用いて、厚さ0.1μmのSiドープn−In0.1Ga0.9Nクラック防止層3を成長する。
【0035】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3とSiH4、およびトリメチルアルミニウム(TMA)を原料に用いて、厚さ1.0μmのSiドープn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層4を成長する。
【0036】
続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.1μmのSiドープn−GaNガイド層5を成長する。
【0037】
本実施形態では基板として、(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板1を使用した結果、n−GaNガイド層5はウルツァイト構造でありその表面は、(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面となっている。
【0038】
その後、再び、成長温度を750℃に下げ、TMGとNH3とTMIを原料に用いて、n−GaNガイド層5上に、In0.03Ga0.97N障壁層(厚さ5nm)、In0.15Ga0.85N量子井戸層(厚さ3nm)、In0.03Ga0.97N障壁層(厚さ5nm)、In0.15Ga0.85N量子井戸層(厚さ3nm)、In0.03Ga0.97N障壁層(厚さ5nm)を順次成長することにより多重の量子井戸構造活性層(トータルの厚さ21nm)6を作成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は750℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層7を成長する。
【0039】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、およびシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を原料に用いて、厚さ0.1μmのMgドープp−GaNガイド層8を成長させる。
【0040】
さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.3μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型第1クラッド層9を成長する。
【0041】
次に成長温度を750℃に下げ、TMGとNH3とCp2Mg、およびTMIを原料に用いて、厚さ20nmのMgドープp−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層10を成長させる。
【0042】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3とCp2Mg、および、TMAを原料に用いて、厚さ0.8μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層11を成長する。
【0043】
続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.1μmのMgドープp−GaNp型コンタクト層12を成長して、窒化物系エピタキシャルウェハーを完成する。
【0044】
その後、このウェハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0045】
続いて、通常のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いてp−GaNp型コンタクト層12の最表面に、2μm幅のストライプ状にリッジ構造を形成するようにp−GaNp型コンタクト層12とp−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層11をエッチングする。この時、エッチングの深さがp−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層10に達すると、エッチング表面にIn原子が現れるため、このIn原子を元素分析により検出した時点でエッチングを停止するようにして、エッチングする深さを正確に制御することが好適である。なおエッチストップ層10は、Al原子とGa原子以外の原子が検出されてエッチングを停止できればよいので、他のIn組成を有するInGaN3元混晶や、InGaAlN4元混晶でも構わない。
【0046】
続いて、リッジの側面とリッジ以外のp型層表面に厚さ200nmのSiO2絶縁膜15を電流阻止層として形成し、このSiO2絶縁膜15とp−GaNp型コンタクト層12の表面にニッケルと金とからなるp側電極13を形成する。
【0047】
さらに、このウェハーのn−GaN基板1の裏面を通常の研磨技術により研磨してウェハーの厚さを30μmとし、n−GaN基板1の裏面にチタンとアルミニウムからなるn側電極14を形成して、窒化物系半導体レーザ素子ウェハーを完成する。
【0048】
その後、このウェハーをリッジストライプと垂直な方向にへき開することによりレーザの共振器端面を形成し、リッジストライプと平行な方向にレーザ共振器を形成する。ここでは共振器の長さを500μmとした。さらにこの共振器端面に、SiO2とTiO2が交互に各3層ずつ積層されたλ/4誘電体多層反射膜を形成し、共振器端面の反射率を60%とする。
【0049】
続いてこのレーザ素子を個々のレーザチップに分割する。そして、各チップのn側電極14を接着してステムにマウントし、ワイヤーボンディングによりp側電極13とリード端子とを接続して窒化物系半導体レーザ素子を完成する。
【0050】
このようにして作製された窒化物系半導体レーザ素子の発振波長は410nm、発振閾値電流は40mAであり、良好なレーザ特性が得られた。また、素子特性の劣化も見られず、信頼性が大幅に改善された。このように低い発振閾値電流値と高い信頼性を有する窒化物系半導体レーザ素子が得られるのは、In原子とGa原子の結晶成長中の表面移動を量子井戸面内で一方向に対して抑制し、その反対方向には抑制しないようにした結晶成長によりInGaNからなる多重の量子井戸構造活性層6を形成して、In組成の空間的なゆらぎを抑えたことによるものである。
【0051】
図2に、本実施形態におけるInGaNからなる多重の量子井戸構造活性層6の成長中の断面を表わす模式図を示す。本実施形態では基板として、(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板1を使用した結果、n−GaNガイド層5もウルツァイト構造でありその表面は(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面となっている。このような(0001)c面から傾斜した窒化物半導体の表面は、図2に示されるようにc面を表面とするテラス部分と、c軸方向の1原子層分の段差を有するステップ部分とからなる周期構造の表面形状を有している。
【0052】
本実施形態でのn−GaNガイド層5の表面は、ステップ状の段差の大きさはc軸方向の1原子層分の段差0.52nmであり、テラス部を構成するc面と表面の垂直方向とのなす角度が28度になっているので、テラス部分の幅は0.98nmである。このような段差構造を有する表面にInGaN量子井戸構造を結晶成長すると、気相中から表面に付着したIn原子やGa原子の表面上での移動は、図2中の矢印Aの方向には自由に移動できるが、矢印Bの方向には1原子層のステップを乗り越える必要があるため移動が抑制される。これは原子の移動を矢印Aで示される方向のみに限定することになり、そのため等方的に移動できる場合と比較して、実効的に拡散が促進されて組成の均一化の効果が増大している。この結果、結晶成長中における拡散の効果を大幅に増大させることができた。これによりInGaNからなる多重の量子井戸構造活性層6中における空間的なIn組成ゆらぎが大幅に改善されて、低い発振閾値電流値と高い信頼性を有する窒化物系半導体レーザ素子が得られた。
【0053】
なお、本実施形態では、基板として(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板1を使用したが、傾斜角度は本実施形態に限らず、15度以上60度以下の傾斜角度であれば、本実施形態と同等の特性を有する窒化物系半導体レーザ素子が得られる。
【0054】
図3に、基板の傾斜角度以外は本実施形態と同様に作製した窒化物系半導体レーザ素子の発振閾値電流値の、傾斜角度依存性を示す。この図からわかるように、傾斜角度が15度より小さいと、テラス部を構成するc面の幅が広くなるため図2中の矢印Bの方向への移動の抑制の効果がなくなり、In組成の空間的ゆらぎが大きくなる。一方、傾斜角度が60度より大きくなると、テラス部を構成するc面の幅が狭くなるため、矢印Aの方向にも原子の移動が抑制されてしまう。この結果、原子の移動をある一方向のみに限定する効果がなくなり、やはりIn組成の空間的ゆらぎが大きくなる。
【0055】
また本実施形態では、基板として(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板1を使用した結果として、n−GaNガイド層5もウルツァイト構造でありその表面は(0001)c面から28度の傾斜角度を有する面となったが、基板の半導体材料はGaNに特に限定されるものではなく、InGaNからなる多重の量子井戸構造活性層6が、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成されるようにすればよい。したがって、SiC基板などの、他のウルツァイト構造を有する半導体材料からなる基板であっても構わない。ただし、窒化物半導体発光素子の基板としてしばしば用いられるサファイア基板では、窒化物半導体層との格子定数差を緩和するために、その基板表面に接して低温バッファ層を形成した後に窒化物半導体層を積層しているが、この低温バッファ層を形成するとサファイア基板表面の面方位に係わらず窒化物半導体層のc軸が基板表面と垂直に形成されてしまうため、InGaN量子井戸構造を、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成させることが困難となる。
【0056】
本実施形態のように、窒化物半導体層のc軸と基板のc軸とを平行にして、ステップ状の段差とテラス部とを窒化物系半導体層の表面に形成し、その上にInGaN量子井戸構造活性層を形成するためには、低温バッファ層を形成せずに積層でき、格子定数がよくあっているGaN基板が最も好ましい。
【0057】
また、基板の結晶構造としてはウルツァイト構造のほかにジンクブレンド構造も考えられるが、窒化物系半導体材料ではウルツァイト構造の方が熱的に安定で、欠陥の少ないものが得られるので、ウルツァイト構造の基板を用いることが好ましい。
【0058】
n−GaNガイド層5とp−GaNガイド層8は、そのエネルギーギャップが、多重の量子井戸構造活性層6を構成する量子井戸層のエネルギーギャップと、n型クラッド層4やp型クラッド層9のエネルギーギャップの間の値を持つような材料であればGaNにこだわらず他の材料、たとえばInGaN3元混晶、AlGaN3元混晶、InGaAlN4元混晶などを用いてもよい。
【0059】
また、ガイド層全体にわたってドナーまたはアクセプターをドーピングする必要はなく、多重の量子井戸構造活性層6側の一部のみをノンドープとしてもよく、さらにはガイド層全体をノンドープとしてもよい。この場合、ガイド層に存在するキャリアが少なくなり、自由キャリアによる光の吸収が低減されて、さらに発振閾値電流が低減できるという利点がある。
【0060】
多重の量子井戸構造活性層6を構成する2層のIn0.15Ga0.85N量子井戸層と3層のIn0.03Ga0.97N障壁層は、必要なレーザ発振波長に応じてその組成を設定すればよく、発振波長を長くしたい場合は量子井戸層のIn組成を大きくし、短くしたい場合は量子井戸層のIn組成を小さくする。
【0061】
また、量子井戸層と障壁層は、InGaN3元混晶に微量に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよい。さらに障壁層は単にGaNを用いてもよい。さらに量子井戸層と障壁層の層数も本実施形態にこだわらず他の層数を用いてもよく、単一量子井戸構造活性層でも構わない。
【0062】
さらには、電流阻止層としてはSiO2絶縁膜15に限らず、SiNなどの他の誘電体絶縁膜や、n型の導電性や半絶縁性を有する半導体材料を用いることもできる。
【0063】
また、活性領域を形成するためのストライプ構造は本実施形態のようなリッジ構造に限らず、リッジを形成する際にn型層までエッチングを行う、いわゆる埋め込み構造や、電流狭窄層を形成した後に電流注入を行う領域のみに電流狭窄層のエッチングを行う、いわゆる内部電流狭窄構造、などの他のストライプ構造でも構わない。
【0064】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードを示す断面図である。この図において、21は(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板、22はn−GaN層、23はIn0.30Ga0.70N量子井戸構造活性層、24はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、25はp−GaN層、26はp側透明電極、27はp側パッド電極、28はn側電極である。
【0065】
次に、図4を参照して上記窒化物系半導体発光ダイオードの作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、窒化物系半導体をエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHVPE(ハイドライド気相成長法)などの他の気相成長法を用いることもできる。
【0066】
まず、所定の成長炉内に設置された、(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面を主面として有する厚さ100μmのn−GaN基板21上に、TMG、NH3、およびSiH4を原料に用いて、成長温度1050℃で厚さ3μmのSiドープn−GaN層22を成長する。
【0067】
本実施形態では基板として、(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板21を使用した結果、n−GaN層22はウルツァイト構造であり、その表面は、(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面となっている。
【0068】
その後、成長温度を750℃に下げ、TMGとNH3とTMIを原料に用いて、n−GaN層22上に、厚さ3nmのIn0.30Ga0.70N量子井戸構造活性層23を作成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は750℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層24を成長する。
【0069】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、およびCp2Mgを原料に用いて、厚さ0.5μmのMgドープp−GaN層25を成長して、窒化物系エピタキシャルウェハーを完成する。その後、このウェハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0070】
続いて、p−GaN層25の表面全体にニッケルと金からなるp側透明電極26を形成し、このp側透明電極の一部に金からなるp側パッド電極27を形成する。さらに、このウェハーのn−GaN基板21の裏面を通常の研磨技術により研磨してウェハーの厚さを50μmとし、n−GaN基板21の裏面にチタンとアルミニウムからなるn側電極28を形成して、窒化物系半導体発光ダイオードウェハーを完成する。
【0071】
その後、この発光ダイオードを、正方形状に個々のチップに分割する。そして、各チップのn側電極28を接着してステムにマウントし、ワイヤーボンディングによりp側パッド電極27とリード端子とを接続して窒化物系半導体発光ダイオードを完成する。
【0072】
このようにして作製された窒化物系半導体発光ダイオードにおいて、20mAの電流注入時に発光波長は470nm、光出力は3mWであり、良好な素子特性が得られた。また、電流注入によるブルーシフト量も低減され、60mAまでの電流注入によるブルーシフト量は、従来では8nmであったものが2nmになった。このようにブルーシフト量が低減された窒化物系半導体発光ダイオードが得られるのは、In原子とGa原子の結晶成長中の表面移動を量子井戸面内で一方向に対して抑制し、その反対方向には抑制しないようにした結晶成長によりInGaN量子井戸構造活性層23を形成して、In組成の空間的なゆらぎを抑えたことによるものである。
【0073】
なお、本実施形態では、基板として(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板21を使用したが、傾斜角度は本実施形態に限らず、15度以上60度以下の傾斜角度であれば、本実施形態と同等の特性を有する窒化物系半導体発光ダイオードが得られる。
【0074】
また、本実施形態では、基板として(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板21を使用した結果として、n−GaN層22もウルツァイト構造であり、その表面は(0001)c面から40度の傾斜角度を有する面となったが、基板の半導体材料はGaNに特に限定されるものではなく、InGaN量子井戸構造活性層23が、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成されるようにすればよい。したがってSiC基板などの、他のウルツァイト構造を有する半導体材料からなる基板であっても構わない。
【0075】
さらに、量子井戸構造活性層23を構成するIn0.30Ga0.70N量子井戸層は、必要な発光波長に応じてその組成を設定すればよく、発光波長を長くしたい場合は量子井戸層のIn組成を大きくし、短くしたい場合は量子井戸層のIn組成を小さくする。
【0076】
図5に、量子井戸構造活性層23のIn組成以外は本実施形態と同様に作製した窒化物系半導体発光ダイオードのブルーシフト量の、発光波長依存性を示す。
【0077】
なお、比較例として、(0001)c面を主面とするウルツァイト構造のn−GaN基板を用いた従来の窒化物半導体発光ダイオードにおけるブルーシフト量も合わせて示す。図5からわかるように、In組成を変化させても青色から緑色のすべての波長領域でブルーシフト量の低減の効果は得られており、従来の窒化物半導体発光ダイオードでのブルーシフト量の約3分の1程度に低減している。
【0078】
(第3の実施形態)
図6は本発明の第3の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子を示す断面図である。図6において、31はc面を表面として有するサファイア基板、32はGaNバッファ層、33はn−GaNn型コンタクト層、34はn−In0.1Ga0.9Nクラック防止層、35はn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層、36はn−GaNガイド層、37は2層のIn0.15Ga0.85N量子井戸層と3層のIn0.03Ga0.97N障壁層とからなる多重の量子井戸構造活性層、38はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、39はp−GaNガイド層、40はp−Al0.1Ga0.9Np型第1クラッド層、41はp−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層、42はp−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層、43はp−GaNp型コンタクト層、44はp側電極、45はn側電極、46は電流狭窄のためのSiO2絶縁膜である。
【0079】
本発明において、GaNバッファ層32はその上に窒化物系半導体をエピタキシャル成長させることができるものであればGaNにこだわらず他の材料、たとえばAlNやAlGaN3元混晶を用いてもよい。
【0080】
次に、図6、図7、および、図8を参照して上記窒化物系半導体レーザ素子の作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、窒化物系半導体をエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHVPE(ハイドライド気相成長法)などの他の気相成長法を用いることもできる。
【0081】
まず、所定の成長炉内に設置された、c面を表面として有する厚さ350μmのサファイア基板31上に、TMGとNH3を原料に用いて、成長温度550℃でGaNバッファ層32を35nm成長させる。
【0082】
次に、成長温度を1050℃まで上昇させて、TMGとNH3、およびSiH4を原料に用いて、厚さ3μmのSiドープn−GaNn型コンタクト層33を成長する。次に、成長温度を750℃に下げ、TMGとNH3とSiH4、およびTMIを原料に用いて、厚さ0.1μmのSiドープn−In0.1Ga0.9Nクラック防止層34を成長する。
【0083】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3とSiH4、およびTMAを原料に用いて、厚さ1.0μmのSiドープn−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層35を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで、厚さ0.1μmのSiドープn−GaNガイド層36を成長する。
【0084】
以上の結晶成長までを終了後、一旦エピタキシャルウェハーを成長炉から取り出し、図7に示されるようなフォトリソマスクを用いたフォトリソグラフィー技術により、図8(a)の断面図に示されるようにレジストマスク47をn−GaNガイド層36の表面に形成する。この時、図7中での矢印Aの方向に対して周期構造を有するフォトマスクにおけるその周期は150nmであり、1周期内でのさらに微細なマスクパターンはフォトリソグラフィー技術の分解能よりも微細であるためにレジストパターンの形成には至らず、マスクからの光の透過率の増大につながるため、図8(a)に示されるような断面を有するレジストマスク47が形成される。
【0085】
このようにレジストマスク47は2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を有する表面を持ち、この2種類の平面のうち一方のみが基板表面と90の角度で垂直に交差している。さらにこのウェハー全面を通常のドライエッチング技術によりレジストマスク47とn−GaNガイド層36とを一括してエッチングを行うと、レジストマスク47の形状を反映して、図8(b)に示されるような断面を有する周期構造がn−GaNガイド層36の表面に形成される。この表面は2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を有する表面を持ち、この2種類の平面のうち一方のみが基板表面と90度の角度で垂直に交差している。
【0086】
本実施形態では、周期構造をなす矢印Aの方向に対する平面の幅が、基板表面と垂直に交差している平面では20nm、もう一方の平面では150nmである。すなわち、150nmの周期で20nmの段差が形成されている。
【0087】
その後、再びこのエピタキシャルウェハーを成長炉に設置し、成長温度を750℃として、TMGとNH3とTMIを原料に用いて、In0.03Ga0.97N障壁層(厚さ5nm)、In0.15Ga0.85N量子井戸層(厚さ3nm)、In0.03Ga0.97N障壁層(厚さ5nm)、In0.15Ga0.85N量子井戸層(厚さ3nm)、In0.03Ga0.97N障壁層(厚さ5nm)を順次成長することにより多重の量子井戸構造活性層(トータルの厚さ21nm)37を作成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は750℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層38を成長する。この時、InGaNからなる多重の量子井戸構造活性層37を形成する際に、図8(c)に示される矢印Aの方向に移動するIn原子やGa原子は段差を乗り越えやすいが、矢印Bの方向では基板表面に対して垂直に形成された段差のために移動が抑制されてしまう。これは原子の移動を矢印Aで示される方向のみに限定することになり、そのため等方的に移動できる場合と比較して、拡散が促進されて組成の均一化の効果が増大している。この結果、結晶成長中における拡散の効果を大幅に増大させることができ、In組成の空間的なゆらぎを低減できた。
【0088】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、およびCp2Mgを原料に用いて、厚さ0.1μmのMgドープp−GaNガイド層39を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のままで厚さ0.2μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型第1クラッド層40を成長する。
【0089】
次に、成長温度を750℃に下げ、TMGとNH3とCp2Mg、およびTMIを原料に用いて、厚さ20nmのMgドープp−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層41を成長する。
【0090】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3とCp2Mg、および、TMAを原料に用いて、厚さ0.8μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層42を成長する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.1μmのMgドープp−GaNp型コンタクト層43を成長して、窒化物系エピタキシャルウェハーを完成する。その後、このウェハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0091】
続いて、通常のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて200μm幅のストライプ状に、p−GaNp型コンタクト層43の最表面からn−GaNn型コンタクト層33が露出するまでエッチングを行ってメサ構造を作製する。その後、同様のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いてp−GaNp型コンタクト層43の最表面に、2μm幅のストライプ状にリッジ構造を形成するようにp−GaNp型コンタクト層43とp−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層42をエッチングする。この時、エッチングの深さがp−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層41に達すると、エッチング表面にIn原子が現れるため、このIn原子を元素分析により検出した時点でエッチングを停止するようにして、エッチングする深さを正確に制御できた。
【0092】
続いて、リッジの側面とリッジ以外のp型層表面に厚さ200nmのSiO2絶縁膜46を電流阻止層として形成する。さらに、このSiO2絶縁膜46とp−GaNp型コンタクト層43の表面にニッケルと金からなるp側電極44を形成し、エッチングにより露出したn−GaNn型コンタクト層33の表面にチタンとアルミニウムからなるn側電極45を形成して、窒化物系半導体レーザ素子ウェハーを完成する。
【0093】
その後、このウェハーのサファイア基板31の裏面を通常の研磨技術により研磨してウェハーの厚さを50μmとし、このウェハーをリッジストライプと垂直な方向にへき開することによりレーザの共振器端面を形成し、リッジストライプと平行な方向にレーザ共振器を形成する。ここでは、共振器の長さを500μmとした。さらにこの共振器端面に、SiO2とTiO2が交互に各3層ずつ積層されたλ/4誘電体多層反射膜を形成し、共振器端面の反射率を60%とする。
【0094】
続いてこのレーザ素子を個々のレーザチップに分割する。そして、各チップをサファイア基板31を下にしてステムにマウントし、ワイヤーボンディングにより各電極とリード端子とを接続して、窒化物系半導体レーザ素子を完成する。
【0095】
このようにして作製された窒化物系半導体レーザ素子の発振波長は410nm、発振閾値電流は40mAであり、良好なレーザ特性が得られた。また素子特性の劣化も見られず、信頼性が大幅に改善された。このように低い発振閾値電流値と高い信頼性を有する窒化物系半導体レーザ素子が得られるのは、In原子とGa原子の結晶成長中の表面移動を量子井戸面内で一方向に対して抑制し、その反対方向には抑制しないようにした結晶成長によりInGaNからなる多重の量子井戸構造活性層37を形成して、In組成の空間的なゆらぎを抑えたことによるものである。
【0096】
なお、本実施形態では、n−GaNガイド層36の表面は2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を有する表面を持ち、この2種類の平面のうち一方のみが基板表面と90度の角度で垂直に交差しているが、この角度は90度に限らず、70度以上110度以下であれば表面上でのIn原子やGa原子の移動をある一方向にのみ移動しやすくする効果が得られる。
【0097】
また、本実施形態では、周期構造をなす矢印Aの方向に対する平面の幅が、基板表面と垂直に交差している平面では20nm、もう一方の平面では150nmである。すなわち、150nmの周期で20nmの段差が形成されているが、これらの幅の値は本実施形態に限らず、基板表面と垂直に交差している平面では10nm以上、もう一方の平面では200nm以下であれば同様の効果が得られる。
【0098】
図9に、2種類の平面の幅を変えたこと以外は本実施形態と同様に作製した窒化物系半導体レーザ素子の発振閾値電流値の、基板表面と垂直に交差している平面の幅に対する依存性を示す。
【0099】
図9からわかるように、基板表面と垂直に交差している平面の幅が10nm以上、かつ、もう一方の平面の幅が200nm以下では、In原子とGa原子の結晶成長中の表面移動を量子井戸面内で一方向に対して抑制し、その反対方向には抑制しない効果が十分得られるため、低い発振閾値電流値を有する窒化物系半導体レーザ素子が得られることがわかる。
【0100】
基板表面と垂直に交差している平面の幅が10nm以下ではこの段差を乗り越えて原子が移動できるようになり、また、もう一方の平面の幅が200nm以上になると、段差の効果がなくなる。したがってこの時はIn原子とGa原子の移動を量子井戸面内で一方向にのみ移動しやすくする効果が得られないため、発振閾値電流値が増大する。
【0101】
(第4の実施形態)
図10は本発明の第4の実施形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードを示す断面図である。図10において、51はc面を表面として有するサファイア基板、52はGaNバッファ層、53はn−GaNn型コンタクト層、54はIn0.30Ga0.70N量子井戸構造活性層、55はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、56はp−GaN層、57はp側透明電極、58はp側パッド電極、59はn側電極である。
【0102】
次に、図10を参照して上記窒化物系半導体発光ダイオードの作製方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場合を示しているが、窒化物系半導体をエピタキシャル成長できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHVPE(ハイドライド気相成長法)などの他の気相成長法を用いることもできる。
【0103】
まず、所定の成長炉内に設置された、c面を表面として有する厚さ350μmのサファイア基板51上に、TMGとNH3を原料に用いて、成長温度550℃でGaNバッファ層52を35nm成長させる。次に、成長温度を1050℃まで上昇させて、TMGとNH3、およびSiH4を原料に用いて、厚さ3μmのSiドープn−GaNn型コンタクト層53を成長する。
【0104】
以上の結晶成長までを終了後、一旦エピタキシャルウェハーを成長炉から取り出し、第3の実施形態の窒化物系半導体レーザ素子と同様に、2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸をn−GaNn型コンタクト層53の表面に形成する。この2種類の平面のうち一方のみが基板表面と90度の角度で垂直に交差している。本実施形態では、周期構造をなす方向に対する平面の幅が、基板表面と垂直に交差している平面では20nm、もう一方の平面では150nmとなるように形成した。
【0105】
その後再びこのエピタキシャルウェハーを成長炉に設置し、成長温度を750℃として、TMGとNH3とTMIを原料に用いて、厚さ3nmのIn0.30Ga0.70N量子井戸構造活性層54を形成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3を原料に用いて、成長温度は750℃のままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層55を成長する。この時、InGaN量子井戸構造活性層54を形成する際には、第3の実施形態と同様に、原子の移動を一方向のみに限定することになり、そのため等方的に移動できる場合と比較して、拡散が促進されて組成の均一化の効果が増大している。この結果、結晶成長中における拡散の効果を大幅に増大させることができ、In組成の空間的なゆらぎを低減できた。
【0106】
次に、再び成長温度を1050℃に上昇して、TMGとNH3、およびCp2Mgを原料に用いて、厚さ0.5μmのMgドープp−GaN層56を成長して、窒化物系エピタキシャルウェハーを完成する。その後、このウェハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0107】
続いて、通常のフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて200μm幅のストライプ状に、p−GaN層56の最表面からn−GaNn型コンタクト層53が露出するまでエッチングを行ってメサ構造を作製する。その後、p−GaN層56の表面全体にニッケルと金からなるp側透明電極57を形成し、このp側透明電極の一部に金からなるp側パッド電極58を形成する。さらに、エッチングにより露出したn−GaNn型コンタクト層53の表面にチタンとアルミニウムからなるn側電極59を形成して、窒化物系半導体発光ダイオードウェハーを完成する。
【0108】
その後、このウェハーのサファイア基板51の裏面を通常の研磨技術により研磨してウェハーの厚さを50μmとし、この発光ダイオードを、正方形状に個々のチップに分割する。そして、各チップをサファイア基板51を下にしてステムにマウントし、ワイヤーボンディングにより各電極とリード端子とを接続して、窒化物系半導体発光ダイオードを完成する。
【0109】
このようにして作製された窒化物系半導体発光ダイオードにおいて、20mAの電流注入時に発光波長は470nm、光出力は3mWであり、第2の実施形態と同様に良好な素子特性が得られた。また、電流注入によるブルーシフト量も低減され、60mAまでの電流注入によるブルーシフト量は、従来では8nmであったものが2nmになった。
【0110】
このようにブルーシフト量が低減された窒化物系半導体発光ダイオードが得られるのは、In原子とGa原子の結晶成長中の表面移動を量子井戸面内で一方向に対して抑制し、その反対方向には抑制しないようにした結晶成長によりInGaN量子井戸構造活性層54を形成して、In組成の空間的なゆらぎを抑えたことによるものである。
【0111】
なお、本実施形態では、InGaN量子井戸構造活性層54に接するn−GaNn型コンタクト層53の表面は2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を有する表面を持ち、この2種類の平面のうち一方のみが基板表面と90度の角度で垂直に交差しているが、この角度は90度に限らず、70度以上110度以下であれば表面上でのIn原子やGa原子の移動をある一方向にのみ移動しやすくする効果が得られる。
【0112】
また、本実施形態では、周期構造をなす方向に対する平面の幅が、基板表面と垂直に交差している平面では20nm、もう一方の平面では150nmである。すなわち、150nmの周期で20nmの段差が形成されているが、これらの幅の値は本実施形態に限らず、基板表面と垂直に交差している平面では10nm以上、もう一方の平面では200nm以下であれば同様の効果が得られる。
【0113】
さらに、量子井戸構造活性層54を構成するIn0.30Ga0.70N量子井戸層は、必要な発光波長に応じてその組成を設定すればよく、発光波長を長くしたい場合は量子井戸層のIn組成を大きくし、短くしたい場合は量子井戸層のIn組成を小さくする。このようにIn組成を変化させて青色から緑色の波長領域で本実施形態と同様に窒化物系半導体発光素子を作製しても、ブルーシフト量の低減の効果は得られており、従来の窒化物半導体発光ダイオードでのブルーシフト量の約3分の1程度に低減した。
【0114】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0115】
【発明の効果】
上述したように、本発明による窒化物系半導体発光素子では、窒化物半導体からなる、クラッド層もしくはガイド層の少なくともいずれか一方に挟まれ、InおよびGaを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層が、In原子およびGa原子の結晶成長中の表面移動を量子井戸面内で一方向に対して抑制するとともにその反対方向には抑制しないようにした結晶成長により形成されているという独特の構成を採用している。これにより、拡散係数が同じでも結晶成長中における拡散の効果を大幅に増大させることができることを新知見として得た。これは原子の移動をある一方向のみに限定することで、等方的に移動できる場合と比較して、拡散が促進されて組成の均一化の効果が増大しているためと考えられる。
【0116】
この結果、量子井戸構造活性層におけるIn組成の空間的なゆらぎが低減されて、低い発振閾値電流値と高い信頼性を有する窒化物系半導体レーザ素子が得られた。さらに、この量子井戸構造活性層におけるIn組成の空間的なゆらぎの低減により、青色から緑色のすべての波長領域で、電流注入によるブルーシフト量が低減された窒化物系半導体発光ダイオードも得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子を示す断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子におけるInGaNからなる多重の量子井戸構造活性層6の成長中の断面を表わす模式図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子における発振閾値電流値の、基板の傾斜角度依存性を示す図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードを示す断面図である。
【図5】 本発明の第2の実施形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードと比較例としての従来の窒化物系半導体発光ダイオードにおけるブルーシフト量の、発光波長依存性を示す図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子を示す断面図である。
【図7】 本発明の第3の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子を作製する際に用いたフォトリソグラフィー用のフォトマスクのパターンを示す図である。
【図8】 本発明の第3の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子に用いられるInGaNからなる多重の量子井戸構造活性層37の製造工程を説明する図であって、(a)、(b)、(c)はいずれも製造工程の断面図である。
【図9】 本発明の第3の実施形態に係る窒化物系半導体レーザ素子における発振閾値電流値の、基板表面と垂直に交差している平面の幅と、もう一方の平面の幅に対する依存性を示すを示すグラフ図である。
【図10】 本発明の第4の実施形態に係る窒化物系半導体発光ダイオードを示す断面図である。
【図11】 窒化物系半導体を用いた従来の半導体レーザ素子の断面図である。
【符号の説明】
1,21 n−GaN基板、2,22 n−GaN層、3,34 n−In0.1Ga0.9Nクラック防止層、4,35 n−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層、5,36 n−GaNガイド層、6,37 量子井戸構造活性層、7,24,38,55 Al0.2Ga0.8N蒸発防止層、8,39 p−GaNガイド層、9,40 p−Al0.1Ga0.9Np型第1クラッド層、10,41 p−In0.03Ga0.97Nエッチストップ層、11,42 p−Al0.1Ga0.9Np型第2クラッド層、12,43 p−GaNp型コンタクト層、13,44 p側電極、14,28,45,59 n側電極、15,46 SiO2絶縁膜、23,54 In0.30Ga0.70N量子井戸構造活性層、25,56 p−GaN層、26,57p側透明電極、27,58 p側パッド電極、31,51 サファイア基板、32,52 GaNバッファ層、33,53 n−GaNn型コンタクト層、47 レジストマスク。

Claims (6)

  1. 基板上で、窒化物半導体からなる、クラッド層もしくはガイド層の少なくともいずれか一方に挟まれており、
    InおよびGaを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を有する、
    窒化物系半導体発光素子において、
    前記基板が(0001)c面を表面として有するサファイア基板であり、
    前記量子井戸構造活性層が、2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を有する表面を持つ窒化物半導体層に接して結晶成長中におけるIn原子およびGa原子の表面移動を、量子井戸面内で一方向に対して抑制するとともにその反対方向には抑制しないようにした結晶成長により形成され、
    2種類のストライプ状平面のうち一方のみが、基板表面と70度以上110度以下の範囲内の角度でほぼ垂直に交差しており、
    前記窒化物半導体層の表面の凹凸を形成する2種類のストライプ状平面は、周期構造をなす方向に対する平面の幅が、基板表面と垂直に交差している平面では10nm以上であり、もう一方の平面では200nm以下であることを特徴とする窒化物系半導体発光素子。
  2. 前記量子井戸構造活性層が、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化物系半導体発光素子。
  3. 前記基板が、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造の窒化ガリウム基板であることを特徴とする請求項1または2記載の窒化物系半導体発光素子。
  4. (0001)c面を表面として有するサファイア基板上に、窒化物半導体層を形成する工程と、
    前記窒化物半導体層の表面に、2種類のストライプ状平面の周期構造からなる凹凸を、この2種類の平面のうち一方のみが前記基板表面と70度以上110度以下の範囲内の角度でほぼ垂直に交差するように形成する工程と、
    前記窒化物半導体層上での結晶成長中におけるIn原子およびGa原子の表面移動を、量子井戸面内で一方向に対して抑制するとともにその反対方向には抑制しないようにした結晶成長により、InおよびGaを含む窒化物半導体からなる量子井戸構造活性層を窒化物半導体層に接して形成する工程を有し、
    前記窒化物半導体層の表面の凹凸を形成する2種類のストライプ状平面は、周期構造をなす方向に対する平面の幅が、基板表面とほぼ垂直に交差している平面では10nm以上であり、もう一方の平面では200nm以下であるように形成されることを特徴とする窒化物系半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記量子井戸構造活性層を、(0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する表面を持つウルツァイト構造の窒化物半導体層に接して形成する工程を有することを特徴とする請求項記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
  6. (0001)c面から15度以上60度以下の範囲内での傾斜角度を有する面を主面とするウルツァイト構造の窒化ガリウム基板上に、窒化物半導体層を形成する工程と、
    前記窒化物半導体層に接して、前記量子井戸構造活性層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
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