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JP4821152B2 - 導電性樹脂硬化物の製造方法及び導電性樹脂硬化物用組成物 - Google Patents

導電性樹脂硬化物の製造方法及び導電性樹脂硬化物用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、導電性樹脂硬化物の製造方法及び導電性樹脂硬化物用組成物に関し、更に詳しくは、親水性基含有高分子化合物を含む導電性樹脂硬化物の製造方法等に関するものである。
各種ディスプレイ装置等を構成する光学素子等の成形体は、絶縁性を示すプラスチックやガラスで形成されているので、帯電し易く埃が付着し易いという問題がある。例えば、ディスプレイ装置を構成する反射防止シート等のプラスチック製の光学素子は、加工工程やディスプレイ装置の組立工程等において、帯電して埃が付着すると、ディスプレイ装置の画像表示機能に悪影響を及ぼすことがあった。こうした問題に対する手段として、プラスチックやガラスで形成された成形体(以下、基材ということもある。)の表面に導電性膜を形成して帯電防止を図る技術が提案されている。
導電性膜としては、蒸着法やスパッタリング法により製膜された金属膜や金属酸化物膜又はゾルゲル法により製膜された金属酸化物膜が用いられている。しかし、蒸着法やスパッタリング法により金属膜等を製膜する際には、例えば基材がプラスチック製の光学シート等である場合に、製造コストを抑える観点からその後に必要な大きさに裁断される大面積のプラスチックシートに金属膜等を製膜する必要があるので、大型の蒸着装置やスパッタ装置を要し、設備費が増大するという問題があった。また、ゾルゲル法により金属酸化物膜を製膜する際には、200℃程度の加熱工程が必要となるので、基材やその基材に設けられている導電性膜以外の他の層が熱による損傷を受けてしまうという問題があった。
上記の問題を解決するために、導電性材料を含有させたバインダー樹脂からなる導電性膜が考えられている。このような導電性膜は、導電性膜用樹脂組成物を塗工等することにより形成されるので、大面積のプラスチックシートにも容易に製膜され、また、その製膜の際に基材等に損傷を与えるような加熱工程が必要とされない。
そのような導電性膜を構成する導電性材料としては、空気中の水を吸着することによりイオン伝導型の導電性を発現する材料が提案されており、そのようなイオン伝導型の導電性材料として界面活性剤が広く用いられている。しかし、界面活性剤は、バインダー樹脂との相溶性が低く、また、膜中で動き易い低分子化合物であるので、導電性膜の表面にブリードアウトしてしまうという問題があった。導電性膜の表面に界面活性剤がブリードアウトした場合には、導電性膜の基材となる成形体の表面が白く曇ったり、導電性膜の帯電防止性が時間の経過と共に失われたり、導電性膜とその導電性膜に隣接している基材や他の層との密着性が低下してしまうことがある。
このブリードアウトの問題を解決するために、導電性材料として複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物を用いる研究がなされている。親水性基含有高分子化合物としては、親水性基が空気中の水分を吸着して発現されるイオン伝導型を示すもの、又は、親水性基がπ共役系化合物にドープして発現される電子伝導型の導電性を示すもの(例えば、特許文献1及び2を参照。)がある。このような親水性基含有高分子化合物は、膜中で動き難いので導電性膜表面にブリードアウトし難い。
特開平9−78000号公報(請求項1) 特開2001−270999号公報(請求項1)
上述した親水性基含有高分子化合物は、複数の親水性基を持つので水又は水を含む混合溶剤に溶解又は分散し易い。したがって、親水性基含有高分子化合物を含む導電性膜を形成する際には、溶媒として水又は水を多量に含む混合溶剤を用い、バインダー樹脂として水溶性又は水分散性の樹脂を用いた樹脂組成物が調製されていた。なお、親水性基含有高分子化合物は、その化合物の持つ親水性基の作用により、有機溶剤に溶解又は分散し難く且つ親水性基を持たない樹脂との相溶性も低いので、上記の親水性基含有高分子化合物を含む導電性膜の形成の際には、有機溶剤を溶媒とした樹脂組成物及び溶媒を含まない樹脂組成物(本明細書においては「無溶剤型の樹脂組成物」という。)は用いられていない。
しかしながら、導電性膜の形成に水又は多量の水を含む混合溶剤を溶媒とする樹脂組成物を用いた場合には、以下の弊害が生じてしまう。
まず、このような水を多量に含む樹脂組成物で形成された導電性膜には、溶媒の乾燥工程を経ても水分が残存し易いという問題があった。導電性膜に水分が残存していると、その水分が導電性膜の表面に滲み出し易く、導電性膜とその導電製膜に隣接して設けられている基材又は他の層との密着性が低下してしまうことがある。また、ディスプレイ装置の製造に、このような導電性膜が設けられた部材と共に水を嫌う素子を用いる場合には、導電性膜の表面に滲み出した水分によりその素子の性能が低下してしまうことがある。
また、水又は水を多量に含む混合溶剤を溶媒として使用する樹脂組成物においては、バインダー樹脂として親水性基を持つ水溶性又は水分散性の樹脂を選択する必要があるので、使用できるバインダー樹脂の選択の幅が狭くなってしまうという問題があった。特に、最近では、製造工程の簡略化の観点から、基材の傷付きを防止するハードコート層等の機能性膜やプラスチック製の成形体に導電性を持たせることがあるが、水等を溶媒とする樹脂組成物で導電性を有する機能性膜や成形体を形成する場合に、機能性膜や成形体の機能に合ったバインダー樹脂を選択し難かった。例えば、ハードコート層は、高い硬度や耐擦傷性が要求されるので、バインダー樹脂として電離放射線硬化性樹脂が用いられることがあるが、通常用いられている電離放射線硬化性樹脂の多くは水又は水を多量に含む混合溶剤に溶解又は分散し難い。したがって上述の親水性基含有高分子化合物を用いてハードコート層に導電性を付与する場合には、このような通常用いられている電離放射線硬化性樹脂を選択できなくなってしまう。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、隣接して設けられた基材や層との密着性が向上し、水を嫌う素子が含まれた装置内で使用されてもその素子の性能を低下させ難く、且つ、構成材料であるバインダー樹脂を多様な有機溶剤溶解型又は無溶剤型の樹脂から選択できる導電性樹脂硬化物の製造方法を提供することにある。第2の目的は、隣接して設けられた基材や層との密着性が向上し、水を嫌う素子が含まれた装置内で使用されてもその素子の性能を低下させ難く、且つ、構成材料であるバインダー樹脂を多様な有機溶剤溶解型又は無溶剤型の樹脂から選択できる導電性樹脂硬化物を形成するための導電性樹脂硬化物用組成物を提供することにある。ここで、本明細書において、「有機溶剤溶解型の樹脂」とは有機溶剤に溶解又は分散する樹脂をいい、「無溶剤型の樹脂」とは溶媒(有機溶剤及び水)を含まない樹脂組成物を構成する樹脂をいうものとする。
上記課題を解決するための本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法は、複数の親水性基を持つと共に当該複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合している親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち少なくとも一方の樹脂と、有機溶剤とを含む導電性樹脂硬化物用組成物を調製する調製工程と、前記導電性樹脂硬化物用組成物で塗膜又は成形体を形成する形成工程と、前記塗膜又は前記成形体に含まれる前記有機溶剤を乾燥させる乾燥工程と、前記塗膜又は前記成形体を硬化させる硬化工程とを含むことを特徴とする(以下、この製造方法を「製造方法I」という。)。
この発明によれば、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基に親油性基が結合していることから、親水性基含有高分子化合物が有機溶剤に溶解又は均一に分散し易くなるので、有機溶剤により導電性樹脂硬化物用組成物を調製できる。したがって、得られる導電性樹脂硬化物に水分が含まれ難いので、導電性樹脂硬化物の表面に水分が滲み出し難く、導電性樹脂硬化物とそれに隣接して設けられる基材や層との密着性が向上し、また、水を嫌う素子が含まれた装置内で使用されてもその素子の性能が低下し難くなる。また、この発明によれば、溶媒として有機溶剤を用いるので、有機溶剤に溶解又は分散する多様な樹脂をバインダー樹脂として選択することができる。更に、この発明によれば、乾燥工程(加熱工程)及び/又は硬化工程(電離放射線の照射工程又は加熱工程)により親水性基に結合していた親油性基を解離させることができるので、親水性基含有高分子化合物の親水性基が露出することにより、導電性樹脂硬化物の導電性が発現し帯電防止性が発揮される。なお、導電性樹脂硬化物用組成物に含まれた親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の一部にのみ親油性基が結合している場合には、乾燥工程及び硬化工程において親油性基が解離しなくても、得られる導電性樹脂硬化物は導電性を発現することがある。
上記課題を解決するための本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法は、複数の親水性基を持つと共に当該複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合している親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち少なくとも一方の樹脂とを含む無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製する調製工程と、前記導電性樹脂硬化物用組成物で塗膜又は成形体を形成する形成工程と、前記塗膜又は前記成形体を硬化させる硬化工程とを含むことを特徴とする。
この発明によれば、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基に親油性基が結合していることから、親水性基含有高分子化合物とバインダー樹脂との相溶性が向上するので、無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製できる。したがって、得られる導電性樹脂硬化物に水分が含まれ難いので、導電性樹脂硬化物に水分が含まれることによる弊害を防止することができる。また、この発明によれば、無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製できるので、バインダー樹脂として多様な無溶剤型樹脂を選択することができる。更に、この発明によれば、硬化工程により親水性基に結合していた親油性基を解離させることができるので、親水性基含有高分子化合物の親水性基が露出することにより、導電性樹脂硬化物の導電性が発現し帯電防止性が発揮される。なお、導電性樹脂硬化物用組成物に含まれた親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の一部にのみ親油性基が結合している場合には、硬化工程において親油性基が解離しなくても、得られる導電性樹脂硬化物は導電性を発現することがある。
本発明の導電性樹脂硬化物の製造方法は、上記の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法において、前記乾燥工程及び前記硬化工程の少なくとも一方の工程において、前記親水性基含有高分子化合物が持つ親油性基の少なくとも一部を前記親水性基から解離させることが好ましい。
この発明によれば、乾燥工程における加熱又は硬化工程における電離放射線の照射や加熱により、親油性基の少なくとも一部を親水性基から解離させるので、得られる導電性樹脂硬化物の導電性が向上する。
本発明の導電性樹脂硬化物の製造方法は、上記の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法において、前記硬化工程において、前記親水性基含有高分子化合物が持つ親油性基の少なくとも一部を前記親水性基から解離させることが好ましい。
本発明の導電性樹脂硬化物の製造方法は、上記の導電性樹脂硬化物の製造方法において、前記硬化工程の後に、前記親水性基含有高分子化合物が持つ親油性基の少なくとも一部を前記親水性基から解離させる解離工程を更に含むことが好ましい。
この発明によれば、前記硬化工程の後に親水性基から親油性基を解離させる解離工程が含まれているので、得られる導電性樹脂硬化物の導電性を向上させることができる。
本発明の導電性樹脂硬化物の製造方法は、上記の導電性樹脂硬化物の製造方法において、前記導電性樹脂硬化物用組成物がπ共役系高分子化合物を更に含むことが好ましい。
この発明によれば、導電性樹脂硬化物用組成物がπ共役系高分子化合物を更に含むので、得られる導電性樹脂硬化物において、親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物がπ共役系高分子化合物に対してドーパントとして機能する。したがって、得られる導電性樹脂硬化物は、電子伝導型の導電性を示すので、湿度に依存せず安定で且つ高い導電性を有する。その結果、帯電防止だけでなく、例えば電磁波シールドの用途にも使用される導電性樹脂硬化物を得ることができる。
本発明の導電性樹脂硬化物の製造方法は、上記の導電性樹脂硬化物の製造方法において、前記π共役系高分子化合物がポリチオフェン又はその誘導体であることが好ましく、更に、前記親水性基が、スルホン基、カルボキシル基及びリン酸基の群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の導電性樹脂硬化物の製造方法は、上記の導電性樹脂硬化物の製造方法において、前記導電性樹脂硬化物用組成物が充填剤を更に含むことが好ましい。
上記課題を解決するための本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物は、複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂と、有機溶剤とを含み、前記複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合していることを特徴とする。
上記課題を解決するための本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物は、複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂とを含む無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物であって、前記複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合していることを特徴とする。
本発明の導電性樹脂硬化物用組成物は、上記の導電性樹脂硬化物用組成物において、π共役系高分子化合物が更に含まれていることが好ましい。
本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法によれば、溶媒として水ではなく有機溶剤を用いて導電性樹脂硬化物用組成物を調製するので、得られる導電性樹脂硬化物に水分が含まれ難い。その結果、得られる導電性樹脂硬化物は、隣接して設けられた基材や層との密着性が向上し、また、水を嫌う素子が含まれた装置内でも好ましく使用される。また、本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法によれば、有機溶剤を用いて導電性樹脂硬化物用組成物を調製するので、バインダー樹脂として有機溶剤に溶解又は分散する多様な樹脂を選択することができる。更に、本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法によれば、乾燥工程及び/又は硬化工程により親水性基に結合していた親油性基を解離させることができるので、親水性基含有高分子化合物の親水性基が露出することにより、導電性樹脂硬化物の導電性が発現する。
本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法によれば、無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製するので、得られる導電性樹脂硬化物に水分が含まれ難い。その結果、導電性樹脂硬化物に水分が含まれることによる弊害を防止することができる。また、本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法によれば、無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製するので、バインダー樹脂として多様な無溶剤型の樹脂を選択することができる。更に、本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法によれば、硬化工程により親水性基に結合していた親油性基を解離させることができるので、親水性基含有高分子化合物の親水性基が露出することにより、導電性樹脂硬化物の導電性が発現する。
本発明の第1又は第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物によれば、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基に親油性基が結合しているので、水を溶媒として用いなくても親水性基含有高分子化合物が溶解、分散又は相溶する。したがって、この導電性樹脂硬化物用組成物により得られる導電性樹脂硬化物に水分が含まれ難いので、導電性樹脂硬化物に水分が残存することによる弊害を防止することができる。また、本発明の第1又は第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物によれば、バインダー樹脂として多様な有機溶剤溶解型又は無溶剤型の樹脂を選択することができる。
以下、本発明の導電性樹脂硬化物用組成物、導電性樹脂硬化物及びその製造方法について説明する。
[導電性樹脂硬化物の製造方法]
(1)第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法:
本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法は、本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物を調製する調製工程と、導電性樹脂硬化物用組成物の塗膜又は成形体を形成する形成工程と、塗膜又は成形体に含まれる有機溶剤を乾燥させる乾燥工程と、塗膜又は成形体を硬化させる硬化工程を含むことを特徴としている。また、本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法は、硬化工程後に解離工程が更に含まれていてもよい。ここで、塗膜として形成された導電性樹脂硬化物を「導電性樹脂硬化膜」といい、成形体として形成された導電性樹脂硬化物を「導電性樹脂硬化成形体」というものとする。
(調製工程)
本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法における調製工程は、本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物を調製する工程、すなわち、複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち少なくとも一方の樹脂(以下、バインダー樹脂ということもある)と、有機溶剤とを含み、その複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合している導電性樹脂硬化物用組成物を調製する工程である。
本発明の導電性樹脂硬化物用組成物に含まれる親水性基含有高分子化合物は、親水性基に親油性基が結合しているので、有機溶剤に溶解又は分散し易くなる。したがって、導電性樹脂硬化物用組成物の溶媒として有機溶剤を用いることができるので、得られる導電性樹脂硬化物に水分が含まれ難い。その結果、導電性樹脂硬化物の表面に水分が滲み出し難いので、導電性樹脂硬化物とそれに隣接して設けられる基材や層との密着性が向上する。また、導電性硬化物の表面に水分が滲み出し難いことから、水を嫌う素子が含まれた装置内で使用されてもその素子の性能が低下し難くなる。
親水性基含有高分子化合物は、導電性樹脂硬化物の導電性を発現させるために含有される。導電性樹脂硬化物が発現する導電性としては、イオン伝導型又は電子伝導型の導電性がある。イオン伝導型の導電性は、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基に空気中の水分が吸着し、その水分中をイオンが移動することにより発現する。電子伝導型の導電性は、電子伝導性を持つπ共役系結合化合物に対して親水性基がドーパントとして機能することにより発現し、本発明においては、親水性基含有高分子化合物自体が主鎖にπ共役系結合を持つ場合又は導電性樹脂硬化物用組成物に更にπ共役系高分子化合物が含有されている場合に発現する。以下、主鎖にπ共役系結合を持つ親水性基含有高分子化合物により発現する電子伝導型の導電性を、「自己ドープ電子伝導型の導電性」ということがある。電子伝導型の導電性は、イオン伝導型の導電性と比較して、導電性が高くまた空気の湿度に影響されない。
親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基としては、例えば、スルホン基、カルボキシル基、リン酸基等のアニオン性基、又は、第1〜4級アミノ基、アミド基等のカチオン性基が挙げられる。
アニオン性基を持つ親水性基含有高分子化合物の例としては、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を持つモノマー、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を持つモノマー、リン酸2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のリン酸基を持つモノマーの群から選択されたモノマーを繰り返し単位とする重合体又は共重合体が挙げられる。また、カチオン性基を持つ親水性基含有高分子化合物の例としては、ビニルアミン、アクリルアミン等のアミノ基を持つモノマー、アクリルアミド等のアミド基を持つモノマーの群から選択されたモノマーを繰り返し単位とする重合体又は共重合体が挙げられる。
親水性基含有高分子化合物は、主鎖にπ共役系結合を持つことが好ましい。このような親水性基含有高分子化合物は、その化合物が持つ親水性基がπ共役系結合に対してドーパントとして機能するので、得られる導電性樹脂硬化物は前述したように自己ドープ電子伝導型の導電性を示す。したがって、親水性基含有高分子化合物が主鎖にπ共役系結合を持つ場合には、湿度に依存しない高い導電性を発現する導電性樹脂硬化物を得ることができる。したがって、このような導電性樹脂硬化物は、帯電防止性よりも高いレベルの導電性が要求される場合(例えば電磁波シールド性が要求される場合)に特に有用である。なお、このような親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基のうちドーパントとして機能しない親水性基は、イオン伝導型の導電性に寄与する。
主鎖にπ共役系結合を持つ親水性基含有高分子化合物は、主鎖にπ共役系結合を持つ高分子化合物に親水性基を導入することにより得られ、具体的には重合の際に親水性基を持つπ共役系モノマーを用いること等により得られる。主鎖にπ共役系結合を持つ高分子化合物としては、正孔輸送型高分子化合物と電子輸送型高分子化合物とがある。正孔輸送型高分子化合物としては、ピラゾリン、アリールアミン、スチルベン、トリフェニルジアミン等のモノマーの高分子量体又はその高分子量体の誘導体が挙げられる。また、電子輸送型高分子化合物としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリチエノ(3,4−チオフェン)、ポリジチエノ(3,4−、3’,4’−チオフェン)、ポリフルオレン、ポリアニリン、ポリアセン及び/又はこれらのの誘導体のほか、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアンスラジノキメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン、ジフェノキノン、8−ヒドロキシキノリン等のモノマーの高分子量体、それらの高分子量体の誘導体又はそれらの高分子量体の金属錯体が挙げられる。
親水性基含有高分子化合物において親水性基を持つモノマーの重合割合は、10モル%以上であることが好ましい。親水性基を持つモノマーの重合割合が10モル%未満である場合には、導電性樹脂硬化物の導電性が低下してしまい帯電防止性が得られない。なお、親水性基含有高分子化合物を構成する総てのモノマーが親水性基を持っていてもよい。
親水性基含有高分子化合物の重量平均分子量の上限は、有機溶剤に対する溶解性又は分散性の観点から、親水性基含有高分子化合物の構造により異なる。例えば、主鎖にπ共役系結合を持たない親水性基含有高分子化合物は、重量平均分子量の上限が100万程度である。また、主鎖にπ共役系結合を持つ親水性基含有高分子化合物は、重量平均分子量の上限が50万程度である。それぞれの親水性基含有高分子化合物の重量平均分子量が上記の上限を超える場合には、親水性基に親油性基を結合させても有機溶剤に溶解又は分散し難くなる。
また、親水性基含有高分子化合物の重量平均分子量の下限は、3千程度である。親水性基含有高分子化合物の重量平均分子量が3千未満である場合には、親水性基含有高分子化合物の分子量が低すぎて導電性樹脂硬化物の強度が弱くなってしまう。ここで、本明細書における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)を用いて測定したポリエチレングリコール換算値である。
本発明において、親水性基含有高分子化合物の親水性基には親油性基が結合している。その結果、この親水性基含有高分子化合物は有機溶剤に溶解又は分散し易くなり、導電性樹脂硬化物用組成物の溶媒として有機溶剤を使用することができるので、水分を含有しない導電性樹脂硬化物を得ることができる。また、親水性基に結合した親油性基をその後の硬化工程等で解離させることができるので、親水性基を露出させることができ、導電性の高い導電性樹脂硬化物を得ることができる。
親水性基に結合している親油性基としては、炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。このアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数が20を超える場合には、親水性基含有化合物が有機溶剤に溶解又は分散し難くなってしまう。また、他の親油性基としては、バインダー樹脂成分の硬化性基と反応性のある官能基が結合したアルキル基を挙げることができる。このような親油性基が結合された親水性基含有高分子化合物はバインダー樹脂成分と架橋するので、得られる導電性樹脂硬化物の強度が向上する。ただし、このような親油性基は、バインダー樹脂成分の硬化性基と架橋反応した場合に親水性基から解離しないので、得られる導電性樹脂硬化物に要求される導電性が確保できる程度に親水性基に結合されていることが好ましい。
親油性基は、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の総てに結合している必要はなく、親水性基含有高分子化合物が導電性樹脂硬化物用組成物に使用される有機溶剤に溶解又は分散する程度に結合していればよい。具体的な親油性基の結合量は、用いる有機溶剤に応じて適宜決定される。なお、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の一部にのみ親油性基が結合している場合には、乾燥工程及び硬化工程において親油性基が解離しなくても、得られる導電性樹脂硬化物は導電性を発現することがある。
親水性基に親油性基を結合させる方法としては、親水性基をエステル化、エーテル化、アセチル化、トシル化、トリチル化、アルキルシリル化、アルキルカルボニル化等する方法が挙げられ、なかでもエステル化又はエーテル化する方法が好ましく挙げられる。エステル化又はエーテル化による親水性基及び親油性基の結合は酸素を介しているので結合エネルギーが弱く、親油性基が後の解離工程等により親水性基から解離し易くなる。エステル化により親水性基に親油性基を結合させるには、例えば、親水性基含有高分子化合物の親水性基を五塩化リンや塩化チオニル等の塩素化剤により塩素化し、その後、メタノールやエタノール等のアルコールによりエステル化するとよい。
導電性樹脂硬化物用組成物における親水性基含有高分子化合物の配合割合の下限は、親水性基含有高分子化合物が寄与する導電性の種類により異なる。例えばイオン伝導型の導電性に寄与する親水性基含有高分子化合物の配合割合の下限は、バインダー樹脂成分100重量部に対して、3重量部程度であることが好ましい。また、自己ドープ電子伝導型の導電性に寄与する親水性基含有高分子化合物の配合割合の下限は、バインダー樹脂成分100重量部に対して、3重量部程度であることが好ましい。親水性基含有高分子化合物の配合割合がそれぞれ上記の下限未満である場合には、得られる導電性樹脂硬化物の導電性が低くなり、帯電防止性が低下してしまう。ここで、特に、自己ドープ電子伝導型の導電性に寄与する親水性基含有高分子化合物の配合割合が10重量部以上である場合には、帯電防止性より高いレベル(例えば電磁波シールド性)の導電性を発現する導電性樹脂硬化物を得ることができる。
親水性基含有高分子化合物の配合割合の上限は、90重量部程度であることが好ましい。親水性基含有高分子化合物の配合割合が90重量部を超える場合には、得られる導電性樹脂硬化物の強度が極端に低下してしまう。なお、導電性樹脂硬化物用組成物に更にπ共役系高分子化合物が含まれている場合にドーパントとして機能する親水性基含有高分子化合物の配合割合については、後述する。
電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂は、バインダー樹脂として導電性樹脂硬化物用組成物に含有されている。これらの樹脂は、単独で用いられてもよく、また、混合して用いられてもよい。バインダー樹脂として用いられる樹脂は、得られる導電性樹脂硬化物の用途に応じて適宜選択される。例えば、得られる導電性樹脂硬化物が透明性が要求される光学シートやその被覆膜として用いられる場合には、導電性樹脂硬化物の全光線透過率が85%以上になるような樹脂がバインダー樹脂として選択される。
本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物は溶媒として有機溶剤が使用されているので、有機溶剤に溶解又は分散する多様な樹脂をバインダー樹脂として選択できる。なお、バインダー樹脂として選択できる樹脂には、主鎖にケイ素等の金属が含まれた所謂有機−無機ハイブリッドポリマーも含まれる。
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合等の重合反応又は架橋反応が進行する官能基(以下、電離放射線硬化性基という。)を持つ樹脂であり、導電性樹脂硬化物用組成物には電離放射線硬化性基を有するモノマーやオリゴマーとして含まれている。ここで「電離放射線」とは、分子を重合又は架橋できるエネルギー量子を有した紫外線、可視光線、電子線、β線、X線、γ線、α線等であり、通常は紫外線又は電子線が用いられる。
電離放射線硬化性基としては、アクリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合、又は、エポキシ基、ビニルエーテル基若しくはオキセタニル基等の環状エーテル結合が好ましく挙げられる。このような電離放射線硬化性基を持つモノマーやオリゴマーは、電離放射線の照射により容易に光ラジカル重合又は光カチオン重合する。
エチレン性不飽和結合を持つオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートの意味である。
エチレン性不飽和結合を持つ単官能モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン若しくはスチレン等のビニル系モノマー、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリル系モノマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を持つ多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
環状エーテル結合を持つオリゴマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系オリゴマー、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系オリゴマー等を挙げることができる。
環状エーテル結合を持つモノマーとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、1,2,8,9−ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等のエポキシ系モノマー、又は、下記化学式1〜3に示すオキセタン系モノマー等を挙げることができる。
Figure 0004821152
(式中、R1は水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは酸素又は硫黄を表し、R2はmの値に応じて1〜4価の有機基を表し、nは1〜5の整数を表し、pは0〜2の整数を表し、R3は水素又は不活性な1価の有機基を表し、R4は加水分解可能な官能基を表す。)
上記化学式1〜3に示すオキセタン系モノマーにおいて、R1となるアルキル基又はフルオロアルキル基は、その炭素数が通常1〜6程度であり、そのようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロキル基、ブチル基等が挙げられる。また、上記化学式1〜3に示すオキセタン系モノマーにおいて、R1となるアリール基は、通常フェニル基又はナフチル基等であり、これらのアリール基はアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。また、上記化学式1に示すオキセタン系モノマーおいて、R2で表される有機基としては、例えば、mが1の場合はアルキル基又はフェニル基等が挙げられ、mが2又は3の場合は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキレン基又は直鎖状若しくは分枝状のポリアルキレンオキシ基等が挙げられ、mが4の場合はメチル基又はmが2若しくは3の場合に適用される有機基と類似の多価官能基が挙げられる。
また、環状エーテル結合を持つポリマーとしては、特開平7−247313号公報に記載された末端に下記式3に示すエポキシ含有基を持つエポキシ系マクロモノマーや、特開平7−309856号公報に記載された末端に下記式4に示すオキセタン含有基を持つオキセタン系マクロモノマーや、市販品としてSANBO AR−G(商品名:株式会社三宝化学研究所)、E−154等の各種エポキシ樹脂(商品名:ジャパンエポキシ株式会社)、エポフレンド(商品名:ダイセル化学工業株式会社)が挙げられる。
Figure 0004821152
(但し、式4及び5において、Aは、水素原子、フッ素原子及び炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種の置換基である。pは0又は1である。pが0の場合、qは1〜8の整数を示し、rは0又は1である。pが1の場合、qは1〜5の整数を示し、rは1〜4の整数を示す。−C2q−は、直鎖状アルキレン基又は分枝状アルキレン基を示す。)
電離放射線として紫外線を用いる場合には、導電性樹脂硬化物用組成物に光重合開始剤を添加する。
電離放射線硬化性基がエチレン性不飽和結合である場合の光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物等が用いられる。このような光重合開始剤の具体的な例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等が挙げられ、これらのうち、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、又は、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを好ましく挙げることができる。特に、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン又は2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、添加量が少量でも紫外線の照射による重合反応が開始し促進されるので好ましい。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、また、複数種が組み合わされて用いられてもよい。市販されている光ラジカル重合開始剤の好ましい例として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンであるチバスペシャリティーケミカルズ株式会社製のイルガキュアー184(商品名)を挙げることができる。なお、光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂成分100重量部に対して、通常3〜15重量部である。
電離放射線硬化性基が環状エーテル結合である場合の光重合開始剤としては、化学式ArN2+で示されるジアゾニウム塩、化学式Rで示されるスルホニウム塩、化学式Rで示されるヨードニウム塩等のオニウム塩が好ましく用いられる。ただし、式中、Arはアリール基を表し、Rはアリール基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Zは非塩基性で且つ非求核性の陰イオンを表す。上記オニウム塩において、Ar又はRで表されるアリール基は、通常フェニル基やナフチル基であり、これらのアリール基はアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。また、分子内にRが複数ある場合には、それぞれ同一でもよく、また、異なっていてもよい。また、上記オニウム塩において、Zで表される陰イオンとしては、テトラフルオロボレートイオン(BF )、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン(B(C )、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF )、ヘキサフルオロアーセネートイオン(AsF )、ヘキサフルオロアンチモネートイオン(SbF )、ヘキサクロロアンチモネートイオン(SbCl )、硫酸水素イオン(HSO )、過塩素酸イオン(ClO )等が挙げられる。市販されている好ましいジアゾニウム塩としてはダウケミカル日本株式会社製のサイラキュアUVI−6990(商品名)が挙げられ、市販されている好ましいスルホニウム塩としては旭電化工業株式会社製のアデカオプトマーSP−150(商品名)やアデカオプトマーSP−170(商品名)が挙げられ、市販されている好ましいヨードニウム塩としてはローディアジャパン株式会社製のRHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(商品名)等が挙げられる。なお、この光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂成分100重量部に対して、通常0.1〜20重量部である。
熱硬化性樹脂は、加熱により同種又は他種の官能基との間で重合反応や架橋反応が進行する官能基(以下、熱硬化性基という)を持つ樹脂であり、導電性樹脂硬化物用組成物にはモノマーやオリゴマーとして含まれている。
熱硬化性樹脂のモノマー又はオリゴマーとしては、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナート基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、ビニル基、シアノ基、メチロール基又は活性メチレン基等の熱硬化性基を持つモノマー又はオリゴマーが挙げられる。なお、熱硬化性基は、ブロックイソシアナート基のように、反応性を有する官能基にブロック剤が結合しており、加熱されるとブロック剤の分解反応が進行して重合性及び架橋性を示す官能基でもよい。また、熱硬化性樹脂のモノマーとしては、通常カップリング剤として用いられる有機ケイ素化合物(ケイ素のアルコキシド又はシランカップリング剤)、有機チタン化合物(チタネートカップリング剤)又は有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物を用いることもできる。
有機ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−シアノエチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、アルキル基が2つ置換している有機ケイ素化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランを挙げることができる。これらの有機ケイ素化合物のうち反応性基を有する有機ケイ素化合物は、他のモノマーやオリゴマーと硬化反応して強固に結合し易いので、得られる導電性樹脂硬化物の強度が向上する。市販されている好ましい有機ケイ素化合物としては、荒川化学工業株式会社製のコンポセラン(商品名)やユリアーノ(商品名)を挙げることができる。
有機チタン化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等を挙げることができる。市販されている好ましい有機チタン化合物としては、味の素株式会社製のプレンアクトKR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41B、KR−38S、KR−138S、KR−238S、338X、KR−44、KR−9SA、KR−ET(それぞれ商品名)等を挙げることができる。
上記に例示した熱硬化性基を持つモノマーやオリゴマーは、反応性を有するものが組み合わされて、導電性樹脂硬化物用組成物に含有される。このようなモノマーやオリゴマーを組み合わせて得られる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、有機−無機ハイブリッドポリマー等を挙げることができる。
本発明の導電性樹脂硬化物用組成物には、π共役系高分子化合物が更に含まれていることが好ましい。
π共役系高分子化合物とは、主鎖にπ共役系構造を有する電子伝導型の導電性を発現する高分子化合物であり、電子又は正孔がドープされると高い導電性を示す。導電性樹脂硬化物用組成物にこのようなπ共役系高分子化合物が含まれている場合には、親水性基含有高分子化合物の親水性基がπ共役系高分子化合物に対してドーパントとして機能するので、得られる導電性樹脂硬化物の導電性を向上させることができる。そのため、このようにして得られる導電性樹脂硬化物は、帯電防止性よりも高いレベルの導電性が要求される場合(例えば電磁波シールド性が要求される場合)に特に有用である。以下、π共役系高分子化合物とそのπ共役系高分子化合物にドープする親水性基含有高分子化合物とを「電子伝導性材料」という。
π共役系高分子化合物としては、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリフルオレン、ポリアニリン、ポリアセン等の化合物又はそれらの化合物の誘導体等が挙げられ、なかでもポリチオフェン又はその誘導体を用いることが好ましい。ポリチオフェンやその誘導体は、他のπ共役系高分子化合物と比較して結合エネルギーが高いので、乾燥工程や硬化工程における加熱や電離放射線の照射等により分解し難いという利点がある。ポリチオフェン誘導体としては、ポリチオフェンビニレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリチエノ(3,4−チオフェン)、ポリジチエノ(3,4−、3’,4’−チオフェン)等が挙げられる。ポリチオフェンをπ共役系高分子化合物として用いる場合には、親水性基含有高分子化合物の親水性基が、スルホン基、カルボキシル基又はりん酸基等のアニオン性基であることが好ましい。電子伝導性材料を構成するπ共役系高分子化合物と親水性基含有高分子化合物との好ましい組合せとしては、ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との組合せが挙げられる。
π共役系高分子化合物は、重量平均分子量が500〜100万であることが好ましい。重量平均分子量が100万を超える場合には、π共役系高分子化合物が有機溶剤に溶解又は分散し難くなってしまう。また、重量平均分子量が500未満である場合には、得られる導電性樹脂硬化物の強度が低下してしまう。
電子伝導性材料中のπ共役系高分子化合物に対する親水性基含有高分子化合物の配合割合は、π共役系高分子化合物100重量部に対して、1〜150重量部であることが好ましく、10〜100重量部であることがより好ましい。親水性基含有高分子化合物の配合割合が150重量部を超える場合には、湿度の変化に弱いというイオン伝導性が支配的になるという不具合がある。また、親水性基含有高分子化合物の配合割合が1重量部未満である場合には、親水性基含有高分子化合物がドーパントとして十分に機能せず、所望の導電性が得られないという不具合がある。
電子伝導性材料の配合割合は、得られる導電性樹脂硬化物を帯電防止の用途に用いる場合に、バインダー樹脂成分100重量部に対して、1重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることが更に好ましい。また、得られる導電性樹脂硬化物を電磁波シールドの用途に用いる場合に、バインダー樹脂成分100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、15重量部以上であることが更に好ましい。なお、電子伝導性材料の配合割合の上限は、バインダー樹脂成分100重量部に対して、通常200重量部程度であり、150重量部程度であることが好ましく、100重量部程度であることが更に好ましい。電子伝導性材料の配合割合が200重量部を超える場合には、得られる導電性樹脂硬化物の強度が極端に低下してしまう。
本発明の第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物には、溶媒として多様な有機溶剤を含有させることができる。
本発明においては、溶媒として水又は水を大量に含んだ混合溶剤を使用しないので、得られる導電性樹脂硬化物に水が含有することによる弊害が生じないという効果がある。また、特に、この導電性樹脂硬化物用組成物を用いて導電性樹脂硬化膜を形成する場合には、導電性樹脂硬化膜の下地となる基材や他の層を膨潤させる有機溶剤を溶媒として選択し易くなり、導電性樹脂硬化膜とその下地となる基材や他の層との密着性を向上させることができる。これに対し、従来の導電性膜用の樹脂組成物では、溶媒に水又は水を含む混合溶剤を用いるので、下地となる基材等を膨潤させることができず、このような密着性向上の効果は得られなかった。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;又はこれらの混合溶剤等を用いることができる。なお、有機溶剤には、導電性樹脂硬化物と基材等との密着性又は導電性樹脂硬化物が用いられる装置の性能に影響を及ぼさない範囲で微量の水が含まれていてもよい。例えば、有機溶剤に含まれる水の含有量が3重量%以下である場合には、上記の密着性は低下しない。ただし、微量の水分でも性能が低下してしまう装置(例えば有機エレクトロルミネッセンス装置等)に導電性樹脂硬化物が使用される場合には、水を全く含まない有機溶剤で導電性樹脂硬化物用組成物を調整することが好ましい。
有機溶剤の沸点は、120℃以下であることが好ましい。有機溶剤の沸点が120℃を超える場合には、導電性樹脂硬化物用組成物を取り扱い難くなってしまい、また、特に導電性樹脂硬化物用組成物で塗膜を形成する場合に乾燥工程において基材に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、有機溶剤の配合割合は、固形分を均一に溶解又は分散させることができ、調製後の導電性樹脂硬化物用組成物を保存等した場合に固形分が凝集せず、且つ、導電性樹脂硬化物用組成物の粘度が形成工程において塗膜又は成形体に形成され易い程度になるように、適宜決定される。具体的な有機溶剤の配合割合は、有機溶剤と固形分との合計量を100重量部とした場合に、通常50〜95.5重量部であり、好ましくは70〜90重量部である。ここで、固形分には、親水性基含有高分子化合物、バインダー樹脂成分及び各種添加剤が含まれ、導電性樹脂硬化物用組成物にπ共役系高分子化合物が含有されている場合には更にπ共役系高分子化合物が含まれる。
本発明の導電性樹脂硬化物を耐擦傷性、強度等の性能を向上させる目的で使用する、所謂「ハードコート層」(JIS 5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。)として使用する場合は、バインダー成分としては、先に挙げた電離放射線硬化型樹脂組成物を使用して形成することが好まい。ハードコート層としての硬化時の膜厚は、0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、ハードコート層としての機能を十分に発揮することができる。
本発明の導電性樹脂硬化物用組成物には、得られる導電性樹脂硬化物の導電性を損なわない範囲で、充填剤又は樹脂ビーズ等が更に含まれていることが好ましい。また、本発明の導電性樹脂硬化物用組成物には、必要に応じて、着色剤、硬化剤、架橋剤、紫外線遮蔽剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)等の各種添加剤が含まれていてもよい。
充填剤としては、無機微粒子又は有機微粒子を挙げることができる。導電性樹脂硬化物用組成物に充填剤として無機微粒子が含まれている場合には、得られる導電性樹脂硬化物の強度が向上し、導電性樹脂硬化物用組成物に充填剤として有機微粒子が含まれている場合には、得られる導電性樹脂硬化物の弾性が向上する。例えば、充填剤として無機微粒子が含まれている場合には、導電性を有するハードコート層として好ましく用いられる導電性樹脂硬化物を得ることができる。
無機微粒子は、金属若しくはその酸化物、その窒化物、その硫化物又はそのハロゲン化物等の無機化合物等で形成されている。無機微粒子を形成する無機化合物は、2種以上の金属を含むものでもよい。そのような無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化亜鉛、酸化インジウム錫(ITO)、酸化アンチモン錫(ATO)、酸化亜鉛錫(AZO)、フッ素ドープ酸化インジウム錫(FTO)、金、銀、白金、銅等の微粒子等が用いられる。これらのなかでも、得られる導電性樹脂硬化物の屈折率を調整する観点からは、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化亜鉛の微粒子を用いることが好ましく、また、得られる導電性樹脂硬化物の導電性を向上させる観点からは、酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、錫ドープ酸化アンチモン、酸化アンチモン、錫ドープ酸化亜鉛、金、銀、白金、銅の導電性微粒子を用いることが好ましい。
これら無機微粒子は、導電性樹脂硬化物の屈折率を調整する必要がある際にも好ましく用いられる。屈折率を低下させるためには、屈折率が1.55以下の無機微粒子が好ましく用いられる。そうした無機微粒子としては、例えば、アルミナAl23(屈折率1.53)、シリカSiO2(屈折率1.46)、フッ化マグネシウムMgF2(屈折率1.38)、フッ化カルシウムCaF2(屈折率1.36)等を例示することができ、これらの中から上記したように、溶剤又はモノマー及び/又はオリゴマー中にコロイド状分散可能なものを選択して用いるのが好ましい。特に低い屈折率が要求される場合には、上記例示の無機微粒子のなかでも、コロイダルシリカ(SiO2)微粒子を用いるのが好ましい。また、塗膜に充分な硬度を付与することが優先される場合には、アルミナ(Al23)微粒子を用いるのが好ましい。
無機微粒子として、外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞となっている無機微粒子が好ましく使用される。こうした無機微粒子は、内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造であるので、その気体が屈折率1.0の空気である場合、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の空気の占有率に比例して屈折率が低下している。こうした無機微粒子の具体的としては、市販品である日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中の多孔質シリカ微粒子の集合体、また、日産化学工業株式会社製で、シリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)、また、触媒化成工業株式会社製の中空コロイダルシリカを挙げることができ、それらの中から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
屈折率を向上させるためには、屈折率が1.46〜2.00の範囲内の無機微粒子で調整することができる。用いる無機微粒子の粒子径は、100nm以下であることが好ましい。このような無機微粒子の具体例(かっこ内は屈折率を示す)としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(1.80)、イットリア(1.87)、ジルコニア(2.0)等が挙げられる。
有機微粒子としては、ポリオレフィン類、フッ素系ポリマー類、ポリスルホン類、ポリエステル類、ポリビニルアセタール類、ポリビニルアルコール類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリアクリル類、ポリスチレン類、ポリケトン類、シリコーン類、ポリ乳酸類、セルロース類等の重合物やこれらの共重合物等からなる微粒子が挙げられる。有機微粒子は、導電性樹脂硬化物の導電性を向上させる観点から、導電性無機物の塗膜又はその有機微粒子よりも粒径の小さい上記の導電性無機微粒子で被覆されていることが好ましい。
充填剤としては、導電性樹脂硬化物の導電性を向上させる観点から、導電性微粒子を用いることが好ましい。導電性微粒子としては、上述した酸化錫、酸化アンチモン、ITO、ATO、AZO、FTO、金、銀、白金、銅の導電性無機微粒子、又は、導電性を付与するための表面処理が施された有機微粒子が挙げられる。導電性を付与するための表面処理としては、酸化錫、酸化アンチモン、ITO、ATO、AZO、FTO等を上記した有機微粒子に被覆させる処理や、上記した親水性基含有化合物の親水性基として例示した親水性基等の導電性に寄与する官能基を上記した有機微粒子に吸着又は結合させる処理等が挙げられる。
また、充填剤としては、導電性樹脂硬化物の強度を向上させる観点から、表面に重合性官能基を持つ微粒子を用いることが好ましい。このような微粒子としては、カップリング剤、有機低分子化合物若しくはポリマー等が表面に吸着若しくは結合した無機微粒子若しくは有機微粒子、又は、重合性官能基を持つモノマーを使用して製造された有機微粒子等が挙げられる。また、充填剤として無機微粒子を用いる場合は、バインダー樹脂との相溶性を向上させる観点から、プラズマ放電処理やコロナ放電処理等の表面処理を施すことが好ましい。
導電性樹脂硬化物に透明性が要求される場合には、充填剤に使用される微粒子の平均粒子径が5〜300nmであることが好ましい。充填剤の配合割合は、バインダー樹脂等の固形分に対して、0.1〜300重量%であることが好ましく、0.3重量%以上200重量%以下であることが特に好ましい。
樹脂ビーズは、得られる導電性樹脂硬化物が透明である場合に、その導電性樹脂硬化物の導電性を損なわない範囲で導電性樹脂硬化物用組成物に含まれていることが好ましい。導電性樹脂硬化物用組成物に樹脂ビーズが含まれていると、得られる導電性樹脂硬化物は、入射した光を反射し難くなるので、例えば導電性を有する防眩層として好ましく用いられる導電性樹脂硬化物を得ることができる。
防眩層として使用する充填剤は、球状、例えば真球状、楕円状等のビーズであればよく、好ましくは真球状のビーズが挙げられる。充填剤としては、防眩性を発揮するものであれば、無機系のビーズでも有機系のビーズでもよいが、好ましくは透明性のものがよい。充填剤の具体例としては、無機ビーズとしてはシリカビーズ等が挙げられ、有機ビーズとしては樹脂ビーズが挙げられる。充填剤の屈折率は、1.40〜1.60の範囲内の値を有するものが好ましい。その理由としては、導電性樹脂硬化物の屈折率が通常1.45〜1.55の値を示すことから、充填剤の屈折率を電離放射線硬化型樹脂の屈折率に近似するものを採用することにより、導電性樹脂硬化物の透明性を維持しつつ、防眩性を付与することが可能となるからである。
このような範囲内(1.40〜1.60)にある屈折率を持つ樹脂ビーズとしては、例えば、シリカビーズ(屈折率:1.46)、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率:1.49)、ポリカーボネートビーズ(屈折率:1.58)、ポリスチレンビーズ(屈折率:1.50)、ポリアクリルスチレンビーズ(屈折率:1.57)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率:1.54)等を挙げることができる。
樹脂ビーズの粒径は、3〜8μmであることが好ましい。また、樹脂ビーズの配合割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常2〜30重量部であり、10〜25重量部程度であることが好ましい。
導電性樹脂硬化物用組成物には、樹脂ビーズと共に沈降防止剤を含有させることが好ましい。このような沈降防止剤が樹脂ビーズと共に組成物に含有されている場合には、導電性樹脂硬化物用組成物中で樹脂ビーズが沈降し難くなり、成形工程において塗膜や成形体を形成し易くなる。一方、導電性樹脂硬化物溶組成物に沈降剤を含有させない場合には、導電性樹脂硬化物用組成物中で樹脂ビーズが沈殿してしまうので、成形工程において、樹脂ビーズが均一に分散するように攪拌しながら塗膜や成形体を形成する必要がある。
沈降防止剤としては、粒径0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μmのシリカビーズを用いることができる。沈降防止剤の配合割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01〜0.1重量部であることが好ましい。沈降防止剤の配合割合が0.1重量部を超える場合には、導電性樹脂硬化物の透明性が低下してしまい、沈降防止剤の配合割合が0.01重量部未満である場合には、樹脂ビーズの沈降を防止することができない。
なお、導電性樹脂硬化物を防眩層として使用する場合は、硬化時の膜厚は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲内にあることが好ましい。硬化時の膜厚がこの範囲内にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
防眩層の好ましい形状は、微粒子の平均粒径をR(μm)とし、防眩層の凹凸の十点平均粗さをRz(μm)とし、防眩層の凹凸の平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθaとした場合に、30≦Sm≦200、0.90≦Rz≦1.60、1.3≦θa≦2.5、0.3≦R≦10、を同時に満たすものが好ましい。なお、十点平均粗さRzは、JIS B 0601−1994に準じた。
また、防眩層の別の好ましい態様としては、微粒子と導電性樹脂硬化物の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、Δn=│n1−n2│<0.1、の式を満たすものであり、かつ、防眩層内部のヘイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。
導電性樹脂硬化組成物を先に述べたようにハードコート層や防眩層として使用したものをディスプレイの表面に貼付けて使用する場合、その視認性を向上させるために、その表面に、屈折率が1.20〜1.45の範囲の低屈折率層を反射防止層として形成したり、屈折率が1.46〜2.00の範囲の高屈折率層と先の低屈折率層との積層体を反射防止層として形成することもできる。
また、ディスプレイの表面にハードコート層や防眩層を別途設ける場合、導電性樹脂硬化物を、硬化後の膜厚が0.1〜5μmの範囲となるようにして、ディスプレイ基材とハードコート層や防眩層との間、及び/又は、ハードコート層や防眩層上に形成することもできる。導電性樹脂硬化物からなる層を、ハードコート層上や防眩層上に形成させる場合、帯電防止樹脂硬化物の屈折率を無機微粒子等により1.20〜1.45の範囲で調節すれば、反射防止機能を有する低屈折率層となり、帯電防止樹脂硬化物の屈折率を1.46〜2.00の範囲で調節すれば、反射防止機能を有する高屈折率層として使用することができる。
(形成工程)
形成工程は、調製工程で調製された導電性樹脂硬化物用組成物により塗膜又は成形体を形成する工程である。塗膜の形成は、所望の基材に導電性樹脂硬化物用組成物を塗工又は印刷することにより行われる。また、成形体の形成は、導電性樹脂硬化物用組成物を所望の形状に成形することにより行われる。ここで、導電性樹脂硬化物用組成物により形成された塗膜は導電性樹脂硬化膜となり、導電性樹脂硬化物用組成物により形成された成形体は導電性樹脂硬化成形体となる。
基材としては、材質や形状は特に限定されず、ガラス又はプラスチック等からなるシート状又は板状等の成形体を挙げることができる。プラスチックとしては、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテル;トリメチルペンテン;ポリエーテルケトン;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。具体的な基材としては、例えば反射防止シート、防眩シート等の帯電防止性能の付与が必要な各種光学フィルムや、LCD用フィルム基板、有機ELフィルム基材等のフィルム基材等を挙げることができる。基材が光学シートである場合に、その厚さは、通常25μm〜1000μm程度である。
塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、メニスカスコート法、ビードコーター法等が挙げられる。また、印刷方法としては、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられ、印刷方法を用いる場合には所定パターンを有する塗膜を形成することができる。なお、導電性樹脂硬化物用組成物の塗膜は、光学シートの光学特性が導電性樹脂硬化膜により妨げられないように、その機能面とは反対側の面に設けられることが好ましい。
塗膜の厚さは、塗膜が形成される基材、又は、得られる導電性樹脂硬化膜が機能性膜として用いられる場合にはその機能等に応じて異なる。例えば導電性樹脂硬化膜がハードコート層として用いられる場合の塗膜の厚さは、硬化後の厚さで、通常0.1〜100μmであり、好ましくは0.8〜20μmである。塗膜の厚さが硬化後の厚さで0.1μm未満である場合には、充分なハードコート性能が得られず、また、塗膜の厚さが硬化後の厚さで100μmを超える場合には、ハードコート層が外部からの衝撃により割れ易くなってしまう。
導電性樹脂硬化物用組成物の成形法は、成形体の形状等に応じて適宜選択され、例えば、押出成形、パイプ成形技術、フィルム・シート成形法(インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法)、延伸フィルム成形法(テンター法、ロール法、チューブラー同時二軸延伸法)、押出複合成形(複合フィルム・シート成形法)、ブロー成形(押出ブロー、アキュムレーター式ブロー成形法、インジェクションブロー成形法、多層ブロー成形法、射出成形法等が挙げられる。成形体の形状は、得られる導電性樹脂硬化成形体の用途に応じて適宜決定され、例えば、シート状、板状、円盤状、筒状、球状等の形状が挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程は、形成工程において形成された塗膜又は成形体に含まれる有機溶剤を乾燥させる工程であり、形成された塗膜又は成形体を加熱することにより行われる。乾燥工程においては、塗膜等を加熱することにより、塗膜等に含まれる親水性基含有高分子化合物の親水性基から親油性基が解離することがあり、親油性基が解離すると親水性基が露出し、得られる導電性樹脂硬化物の導電性が発現する。
乾燥工程における加熱条件は、用いられている有機溶剤の種類に応じて異なるが、通常、加熱温度が40〜200℃であり、加熱時間が10秒〜120分間である。
(硬化工程)
硬化工程は、上記のようにして形成された導電性樹脂硬化物用組成物の塗膜又は成形体を硬化する工程である。すなわち、導電性樹脂硬化物用組成物のバインダー樹脂に熱硬化性樹脂が用いられている場合の硬化工程は、塗膜又は成形体を加熱する工程であり、導電性樹脂硬化物用組成物のバインダー樹脂に電離放射線硬化性樹脂が用いられている場合の硬化工程は、塗膜又は成形体に電離放射線を照射する工程である。なお、硬化工程の後には、硬化反応を促進させる観点から、導電性樹脂硬化物用組成物の塗膜又は成形体に60℃以上の温度下でエイジング処理を施してもよい。
硬化工程においては、塗膜又は成形体が硬化して導電性樹脂硬化物になる。また、硬化工程における加熱又は電離放射線の照射により、塗膜又は成形体に含まれる親水性基含有高分子化合物の親水性基に結合した親油性基が解離する。例えば、親油性基がエステル結合により親水性基に結合している場合には、加熱等されることによりエステル結合が切断されて親油性基が解離する。その結果、得られる導電性樹脂硬化物は、親水性基含有高分子化合物の親水性基が露出するので導電性が発現する。なお、上述の乾燥工程及び硬化工程における加熱等によっても親水性基に結合していた親油性基が解離しないこともあるが、導電性樹脂硬化物用組成物に含まれた親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の一部に親油性基が結合している場合には、調整工程の欄で説明したように、得られる導電性樹脂硬化物が導電性を発現することがある。
バインダー樹脂である熱硬化性樹脂を硬化させるための加熱条件は、用いられている熱硬化性樹脂の種類により異なるが、通常、加熱温度が80〜200℃で、加熱時間が10秒〜12時間である。バインダー樹脂である紫外線硬化性樹脂を硬化させるための紫外線の照射条件は、用いられている紫外線硬化性樹脂の種類により異なるが、波長が100〜350nmで、照射エネルギー(積算光量)が50〜1000mJ/cmである。バインダー樹脂である電子線硬化性樹脂を硬化させるための電子線の照射条件は、用いられている電子線硬化性樹脂の種類により異なるが、照射エネルギー(積算エネルギー量)が10〜1000kV以上である。
硬化工程においては、加熱温度や電離放射線の照射エネルギーを実際に硬化に必要な加熱温度等よりも高めに設定したり、加熱時間や電離放射線の照射時間を実際に硬化に必要な加熱時間等よりも高めに設定したりすることにより、親油性基を積極的に解離させることが好ましい。このようにすることにより、親水性基がより多く露出するので、得られる導電性樹脂硬化物の導電性が向上する。
(解離工程)
解離工程は、硬化工程において親水性基含有高分子化合物の親水性基から解離しなかった親油性基を解離させるための任意の工程であり、この工程により得られる導電性樹脂硬化物の導電性が更に向上する。解離工程は、硬化工程後に、導電性樹脂硬化物を加熱し又は導電性樹脂硬化物に電離放射線を照射することにより行われる。解離工程は硬化工程と連続して行われてもよく、この場合は、硬化工程と解離工程とが明確に区別され難くなる。
親水性基から親油性基を解離させるための加熱条件は、親水性基と親油性基の結合の種類により異なるが、通常、加熱温度が80〜200℃で、加熱時間が60〜120分間である。親水性基から親油性基を解離させるための紫外線の照射条件は、波長が100〜350nmで、照射エネルギー(積算光量)が80〜250mJ/cmである。親水性基から親油性基を解離させるための電子線の照射条件は、照射エネルギー(積算エネルギー量)が80〜500kVである。
また、解離工程は、導電性樹脂硬化物を酸性又は塩基性の雰囲気下におくことにより行われてもよい。具体的には、酸性溶液や塩基性溶液に導電性樹脂硬化物を浸漬したり、光や熱の作用により酸又は塩基を発生する光酸発生剤又は光塩基発生剤を用いたりすることにより親油性基を解離させることができる。このような手法には、室温でほとんど総ての親油性基を解離させることができるという利点がある。
(2)第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法:
本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法は、本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物を調製する調製工程と、導電性樹脂硬化物用組成物の塗膜又は成形体を形成する形成工程と、塗膜又は成形体を硬化させる硬化工程を含むことを特徴としている。また、本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法は、硬化工程後に解離工程が更に含まれていてもよい。以下、第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法に含まれる調整工程について説明する。なお、第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法に含まれる形成工程、硬化工程及び解離工程については、第1の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物の製造方法における調製工程は、本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物を調製する工程、すなわち、複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち少なくとも一方の樹脂(以下、バインダー樹脂ということもある。)とを含み、その複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合している無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製する工程である。
本発明の導電性樹脂硬化物用組成物に含まれる親水性基含有高分子化合物は、複数の親水性基を有し、その複数の親水性基の少なくとも一部に親油性基が結合しているので、無溶剤型のバインダー樹脂との相溶性が向上する。したがって、無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製でき、導電性樹脂硬化物用組成物に水を使用しないので、得られる導電性樹脂硬化物には水分が含まれ難い。その結果、導電性樹脂硬化物の表面に水分が滲み出し難いので、隣接して設けられる基材や層との密着性が向上する。また、導電性硬化物の表面に水分が滲み出し難いことから、水を嫌う素子が含まれた装置内で使用されてもその素子の性能が低下し難くなる。
親水性基含有高分子化合物及び親水性基に結合している親油性基としては、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様のものが用いられる。また、親水性基に親油性基を結合させる方法、親水性基含有高分子化合物における親水性基を持つモノマーの好ましい重合割合、並びに、親水性基含有高分子化合物の重量平均分子量の上限及び下限についても、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様である。
親油性基は、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の総てに結合している必要はなく、親水性基含有高分子化合物がバインダー樹脂に相溶する程度に結合していればよい。具体的な親油性基の結合量は、用いるバインダー樹脂に応じて適宜決定される。なお、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様に、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の一部にのみ親油性基が結合している場合には、乾燥工程及び硬化工程において親油性基が解離しなくても、得られる導電性樹脂硬化物は導電性を発現することがある。
バインダー樹脂としては、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様の電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができ、導電性樹脂硬化物用組成物には液状のモノマー又はプレポリマーとして含まれている。なお、第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物は、含有されるモノマーの量により粘度が調整される。
バインダー樹脂としては、得られる導電性樹脂硬化物が機能性膜又はプラスチック成形体として用いられる場合に、その機能性膜等に要求される機能等に応じた樹脂が適宜選択される。特に、本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物は無溶剤型であるので、バインダー樹脂として、無溶剤で用いられる多様な樹脂を選択できる。
本発明の第2の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物には、第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様に、π共役系高分子化合物、充填剤又は樹脂ビーズが更に含まれていることが好ましい。また、この導電性樹脂硬化物用組成物には、必要に応じて、着色剤、粘度調整剤等の添加剤が含まれていてもよい。
π共役系高分子化合物としては、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様のものが用いられ、得られる効果についても上記した第1の形態に係る製造方法の欄で説明したのと同様である。また、電子伝導性材料を構成するπ共役系高分子化合物と親水性基含有高分子化合物との好ましい組合せ、π共役系高分子化合物の重量平均分子量の上限及び下限、電子伝導性材料中のπ共役系高分子化合物に対する親水性基含有高分子化合物の好ましい配合割合についても、上記した第1の形態に係る製造方法の欄で説明したのと同様である。更に、親水性基含有高分子化合物のバインダー樹脂に対する配合割合、電子伝導性材料中のπ共役系高分子化合物に対する親水性基含有高分子化合物の配合割合及び電子伝導性材料のバインダー樹脂に対する配合割合についても、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様である。
充填剤や樹脂ビーズとしては、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物と同様のものが用いられ、得られる効果についても上記した第1の形態に係る製造方法の欄で説明したのと同様である。また、充填剤や樹脂ビーズの配合割合についても、上記した第1の形態に係る導電性樹脂硬化物用組成物の場合と同様である。
[導電性樹脂硬化物]
上述したように、本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、溶媒として水を用いない導電性樹脂硬化物用組成物により製造されるので水分を含み難い。その結果、この導電性樹脂硬化物は、表面から水が滲み出し難いので、隣接して設けられている基材や層との密着性が向上し、また、水を嫌う素子が含まれた装置内で好ましく使用される。ここで、この導電性樹脂硬化物には、水が全く含まれないか、又は、導電性樹脂硬化物に隣接する基材等との密着性や水を嫌う素子の性能を低下させない程度の微量な水が含まれてもよい。なお、本発明の導電性樹脂硬化物は、上記のような製造方法により得られるので、親水性基含有高分子化合物の親水性基の一部に親油性基が結合していることがある。
本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と有機溶剤溶解型又は無溶剤型のバインダー樹脂とを含み、その親水性基含有高分子化合物がバインダー樹脂に分散しているものである。すなわち、本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、水溶性ではないバインダー樹脂中に親水性基含有高分子化合物が凝集せずに分散している。
本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物がバインダー樹脂に分散しているので、透明性が高いという効果がある。具体的に、この導電性樹脂硬化物は、光透過率で50%以上の透明性を確保することができる。導電性樹脂硬化物が光学シートや光学シートに形成される機能性膜等の用途に用いられる場合には、光透過率が80%以上であることが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物がバインダー樹脂に分散しているので、強度が高いという効果がある。具体的に、この導電性樹脂硬化物は、鉛筆硬度でH〜6Hの強度を確保することができる。ここで、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に規定される「引っかき硬度(鉛筆法)」により測定される。
更に、本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物がバインダー樹脂に分散しているので、導電性樹脂硬化物の内部で導電性が変化し難く均一であるという効果がある。
本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、帯電防止や電磁波シールド等の用途に用いられる導電性樹脂硬化膜又は導電性樹脂硬化成形体として利用される。
導電性樹脂硬化膜は、反射防止シートや防眩シート等の光学シート等に設けられて、帯電防止膜や電磁波シールド膜として用いられる。また、ハードコート性、防眩性若しくは反射防止性等の他の機能を併せ持つ帯電防止膜や電磁波シールド膜としても用いられる。
また、導電性樹脂硬化成形体としては、帯電防止性や電磁波シールド性を有する各種光学シート(例えば、反射防止シート、防眩シート、光散乱シート、レンズシート、熱線反射シート、紫外線反射シート、熱線吸収シート、紫外線吸収シート、偏光フィルム、偏光子フィルム,高視野角フィルム、位相差フィルム,光学補償フィルム,輝度向上フィルム,導光板,プリズムシート,LCD用フィルム基板,有機ELフィルム基材、OHPフィルム、蓄光フィルム、ホログラム等)等を挙げることができる。
本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、帯電防止の用途に用いられる場合には、導電性が、表面抵抗値で1013Ω/cm以下であることが好ましい。また、本発明の導電性樹脂硬化物は、電磁波シールドの用途に用いられる場合に、導電性が、表面抵抗値で10Ω/cm以下であることが好ましい。導電性樹脂硬化物の導電性は、用いる親水性基含有高分子化合物の種類、親水性基含有高分子化合物の配合量、親水性基含有高分子化合物の持つ親水性基の露出量、又は、π共役系高分子化合物の添加等により適宜調整される。
本発明の製造方法により得られた導電性樹脂硬化物は、ハードコート層として用いられる場合に、ディスプレイ装置の作製時や使用時に傷付き難い程度の耐擦傷性を有することが好ましい。具体的には、導電性樹脂硬化物の耐擦傷性は、下記の耐擦傷性試験において、ヘイズ値の変化が認められる最低荷重量が100g以上であることが好ましい。この耐擦傷性試験は、#0000番のスチールウールにより導電性樹脂硬化物の表面を10往復摩擦し、その後に測定されたヘイズ値と摩擦前のヘイズ値との間に1%以上の変化が認められる場合の最低荷重量の大きさにより、耐擦傷性を評価する試験であり、最低荷重量が大きいほど耐擦傷性に優れている。
以下、本発明を実施例と比較例に基づいて更に詳しく説明する。なお、実施例1〜16及び比較例1,2では、導電性樹脂硬化物としてハードコート性を有する導電性樹脂硬化膜を作製した。
(実施例1)
ポリスチレンスルホン酸(アルドリッチ社製;商品番号:56,122−3;18重量%水分散液)を用い、超遠心分離器(ベックマンコールター社製、型番:OptimaXL−100K)を用いて、20℃、回転数90,000rpm、5時間の条件の下、固形分を分離した。次に、その固形分をフィルターにより濾別し、得られた固形分を150℃で1時間乾燥させた後、メノウ乳鉢により粉砕した。その後、粉砕した固形分を減圧下で150℃・12時間乾燥させることにより、粉末状の親水性基含有高分子材料を得た。
次に、上記の粉末状の親水性基含有材料100重量部と五塩化リン50重量部の混合物を、170℃で10時間還流煮沸し、その後蒸留した。得られた蒸留物をテトラヒドロフランに添加した後濾過し、その濾液にエタノール200重量部、ピリジン60重量部を加え、24時間攪拌しながら還流することによりエステル化反応させた。その後、得られた反応混合物を濾過し、その濾液から溶剤を留去し、粉末状の有機高分子材料80重量部を得た。この有機高分子材料について、100質量倍の有機溶剤(トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール)に対する溶解性を調べた。その結果、この有機高分子材料材料は、いずれの有機溶剤に対しても良く溶けた。また、エステル化反応前の電子伝導性材料についても同様にして有機溶剤に対する溶解性を調べたところ、いずれの有機溶剤に対しても溶けなかった。
上記のようにして得られた有機溶剤に可溶の親水性基含有高分子化合物1.0重量部と、バインダー樹脂としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)9.0重量部と、光重合開始剤としてのチバスペシャリティーケミカルズ製のイルガキュア184(商品名)0.4重量部とを、有機溶剤メチルエチルケトン90重量部で希釈して、導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。
基材としてトリアセテートセルロース(TAC)からなるシートを用い、その基材に、上記の導電性樹脂硬化物用組成物をバーコート法により塗工して塗膜を形成し、40℃・1分間加熱することにより有機溶剤を乾燥させて除去した。
次に、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源:Hバルブ)を用い、照射線量を200mJ/cmとして、紫外線を照射することにより塗膜を硬化させて、実施例1の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例2)
実施例1の導電性樹脂硬化膜の作製において得られた有機溶剤に可溶の親水性基含有高分子化合物1.0重量部と、バインダー樹脂としての荒川化学工業株式会社製のコンポセランE102(商品名、固形分:48.6重量%)18.5重量部とを、有機溶剤メチルエチルケトン80.5重量部で希釈して、導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。
基材としてトリアセテートセルロース(TAC)からなるシートを用い、その基材に、上記の導電性樹脂硬化物用組成物をバーコート法により塗工して塗膜を形成し、40℃・1分間加熱することにより有機溶剤を乾燥させて除去した。
次に、120℃で1時間加熱することにより塗膜を硬化させて、実施例2の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例3)
親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物とπ共役系高分子化合物との混合物(π共役系導電性材料)として、ポリスチレンスルホネートとポリ(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシンとの水分散液(シグマアルドリッチ社製、製品番号:48,309−5)を用い、エステル化反応によりその親水性基に親油性基を結合させた。
まず、上記の水分散液を、超遠心分離器(ベックマンコールター社製、型番:OptimaXL−100K)を用いて、20℃、回転数90,000rpm、5時間の条件の下、固形分を分離した。次に、その固形分をフィルターにより濾別し、得られた固形分を150℃で1時間乾燥させた後、メノウ乳鉢により粉砕した。その後、粉砕した固形分を減圧下で150℃12時間乾燥させることにより、粉末状の電子伝導性材料を得た。
次に、上記の粉末状の電子伝導性材料100重量部と五塩化リン38重量部の混合物を、170℃で10時間還流煮沸し、その後蒸留した。得られた蒸留物をテトラヒドロフランに添加した後濾過し、その濾液にエタノール48重量部、ピリジン30重量部を加え、24時間攪拌しながら還流することによりエステル化反応させた。その後、得られた反応混合物を濾過し、その濾液から溶剤を留去し、粉末状の電子伝導性材料63重量部を得た。この電子伝導性材料について、100質量倍の有機溶剤(トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール)に対する溶解性を調べた。その結果、この電子伝導性材料は、いずれの有機溶剤に対しても良く溶けた。また、エステル化反応前の電子伝導性材料についても同様にして有機溶剤に対する溶解性を調べたところ、いずれの有機溶剤に対しても溶けなかった。
上記のようにして得られた有機溶剤に可溶の電子伝導性材料1.0重量部と、バインダー樹脂としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)9.0重量部と、光重合開始剤としてのチバスペシャリティーケミカルズ製のイルガキュア184(商品名)0.4重量部とを、有機溶剤メチルエチルケトン90.0重量部で希釈して、導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。
基材としてトリアセテートセルロース(TAC)からなるシートを用い、その基材に、上記の導電性樹脂硬化物用組成物をバーコート法により塗工して塗膜を形成し、40℃・1分間加熱することにより有機溶剤を乾燥させて除去した。
次に、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源:Hバルブ)を用い、照射線量を200mJ/cmとして、紫外線を照射することにより塗膜を硬化させて、実施例3の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例4)
実施例3の導電性樹脂硬化膜の作製において得られた有機溶剤に可溶の電子伝導性材料1.0重量部と、バインダー樹脂としての荒川化学工業株式会社製のコンポセランE102(商品名、固形分:48.6重量%)18.5重量部とを、有機溶剤メチルエチルケトン90.0重量部で希釈して、導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。
基材として易接着処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)のシートを用い、その基材に、上記の導電性樹脂硬化物用組成物をバーコート法により塗工して塗膜を形成し、40℃・1分間加熱することにより有機溶剤を乾燥させて除去した。
次に、120℃で1時間加熱することにより塗膜を硬化させて、実施例4の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例5)
実施例3の導電性樹脂硬化膜の作製において、導電性樹脂硬化物用組成物の調製の際、バインダー樹脂10重量部に対して、充填剤としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、商品名:MEK−ST、平均粒径:15nm、固形分20重量%)を50重量部含有させた以外は、実施例3と同様にして、実施例5の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例6)
実施例4の導電性樹脂硬化膜の作製において、導電性樹脂硬化物用組成物の調製の際、バインダー樹脂210重量部に対して、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、商品名:MEK−ST、平均粒径:15nm、固形分20重量%)を50重量部含有させた以外は、実施例4と同様にして、実施例6の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例7)
実施例3の導電性樹脂硬化膜の作製において、導電性樹脂硬化物用組成物の調製の際、バインダー樹脂10重量部に対して、表面処理されたアンチモンドープ酸化錫微粒子のメチルエチルケトン分散液を10重量部含有させた以外は、実施例3と同様にして、実施例7の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
なお、上記の表面処理されたアンチモンドープ酸化錫微粒子のメチルエチルケトン分散液は、酸化錫微粒子(石原産業株式会社製、商品名SN−100P、1次粒子径20nm、固形分20重量%)20重量部をメチルエチルケトン80重量部に分散させながら、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを5重量部添加し、50℃で1時間加熱することにより得られた。この表面処理された酸化錫微粒子は、表面に重合性基であるメタクリロキシ基が付加されている。
(実施例8)
実施例1の導電性樹脂硬化膜の作製において得られた有機溶剤に可溶の親水性基含有高分子化合物1.0重量部と、バインダー樹脂としてオキセタニル基を有するシルセスキオキサンOX−SQ(商品名:東亞合成株式会社製)9.0重量部と、光重合開始剤としてTPS−103(商品名:ミドリ化学株式会社製)0.3重量部とを、有機溶剤イソプロパノール90重量部で希釈して、導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。トリアセテートセルロース(TAC)上への導電性樹脂硬化膜の形成は実施例1と同様にして、実施例8の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例9)
実施例3の導電性樹脂硬化膜の作製において得られた有機溶剤に可溶の電子伝導性材料1.0重量部と、バインダー樹脂としてオキセタニル基を有するシルセスキオキサンOX−SQ(商品名:東亞合成株式会社製)9.0重量部と、光重合開始剤としてTPS−103(商品名:ミドリ化学株式会社製)0.3重量部とを、有機溶剤イソプロパノール90重量部で希釈して、導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。トリアセテートセルロース(TAC)上への導電性樹脂硬化膜の形成は実施例3と同様にして、実施例9の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例10)
実施例5の充填剤に使用したコロイダルシリカ(固形分20重量%)のメチルエチルケトン分散液100重量%に、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを5重量%添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された中空シリカ微粒子20重量%のメチルエチルケトン分散液を得た。この表面処理コロイダルシリカを用いて実施例5と同様にして、実施例10の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例11)
American Dye Source, Inc.社製の自己ドープ型ポリチオフェン(商品名:ADS2010P、粉状の固体)0.5重量部をメノウ乳鉢にて粉砕した後、100mlのナスフラスコ中に入れ、テトラヒドロフラン(THF)50.0重量部を加えて攪拌した。そこへジブチル硫酸1.5重量部を加え、室温にて5日間攪拌したところ、THFが茶色に着色した溶液となった。その後、反応液をろ過して未反応物や不純物を除去して得られた溶液をロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、固形物を得た。これをヘキサンにより洗浄して残留するジブチル硫酸を除去し、真空乾燥後、ブチルエステル化された有機高分子材料を得た。この有機高分子材料は100質量倍のトルエンに可溶で、ブチルエステル化処理前の固体は不溶であった。これを用いて、実施例3と同様の手法で導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。トリアセテートセルロース(TAC)上への導電性樹脂硬化膜の形成は実施例3と同様にして、実施例11の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例12)
実施例11で得られた有機高分子材料を用いた以外は実施例8と同様の手法で導電性樹脂硬化物用組成物、及び実施例12の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例13)
実施例11で得られた有機高分子材料を用いた以外は実施例2と同様の手法で導電性樹脂硬化物用組成物、及び実施例13の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(実施例14)
実施例3で得られた導電性樹脂硬化用組成物100.0重量部をロータリーエバポレーターを用いて有機溶剤メチルエチルケトンを除去し、10.0重量部の電子伝導性材料とバインダー樹脂とからなる導電性樹脂硬化物用組成物を調製した。これを0.5mmのテフロン(登録商標)シート上に上記の導電性樹脂硬化物用組成物をバーコート法により塗工した後、紫外線照射装置を用いて照射線量500mJ/cmの紫外線を照射することにより塗膜を硬化させ、その後、テフロン(登録商標)シートから剥がすことにより、実施例14の導電性樹脂硬化フィルム(厚さ:100μm、No.14-1)を得た。得られた導電性樹脂硬化フィルムに含まれる電子伝導性材料の親水性基量を増やすことを目的として、更に紫外線を500mJ/cm照射したフィルム(厚さ:100μm、No.14-2)と、1規定の水酸化ナトリウム水溶液に40℃で30秒浸漬したフィルム(厚さ:100μm、No.14-3)も同時に作製した。
(実施例15)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:100μm)を用意し、この表面に実施例3で得られた導電性樹脂硬化用組成物をバーコート法により塗工した。その後、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社、光源Hバルブ)を用いて、照射線量108mJ/mで紫外線照射を行い、硬化させて、実施例15の導電性樹脂硬化膜(厚さ:5μm)を得た。
次に、導電性樹脂硬化膜の表面に、下記割合で配合した低屈折率層組成物をバーコート法により塗工し、乾燥により溶剤分を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社、光源Hバルブ)を用いて、照射線量192mJ/mで紫外線照射を行い硬化させて、光学積層体を得た。膜厚は、反射率の極小値が波長550nm付近になるように調製した。
低屈折率層用組成物;フッ素原子含有バインダー樹脂(商品名:オプツールAR100、ダイキン工業社製)13重量部/コロイダルシリカ(商品名:MEK−ST、日産化学工業製)5重量部/光硬化性樹脂:PET30(商品名:日本化薬社製)2重量部/光重合開始剤:イルガキュア907(商品名:チバスペシャリティーケミカルズ製)0.3重量部/メチルイソブチルケトン85.3重量部
反射率の測定;島津製作所株式会社製の分光光度計(UV−3100PC:商品名)を用いてフィルムの最表面の絶対反射率を測定した。
(実施例16)
実施例14で得られた導電性樹脂硬化フィルム(No.14-1、No.14-2、No.14-3)上に、夫々下記割合で配合したハードコート用組成物をバーコート法により塗工した。その後、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社、光源Hバルブ)を用いて、照射線量108mJ/mで紫外線照射を行い、硬化させて、実施例16の導電性樹脂硬化膜(厚さ:5μm、No.16-1、No.16-2、No.16-3の3種類)を得た。
次に、導電性樹脂硬化膜の表面に、実施例15と同様の低屈折率層組成物をバーコート法により塗工し、乾燥により溶剤分を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社、光源Hバルブ)を用いて、照射線量192mJ/mで紫外線照射を行い硬化させて、光学積層体を得た。膜厚は、反射率の極小値が波長550nm付近になるように調製した。
ハードコート用組成物;光硬化性樹脂:PET30(商品名:日本化薬社製)100重量部/光開始剤:イルガキュア184(商品名:チバスペシャリティーケミカルズ製)4重量部/イソプロピルアルコール100重量部
(比較例1)
ポリスチレンスルホン酸(アルドリッチ社製;商品番号:56,122−3;18重量%水分散液))5.6重量部とペンタエリスリトールアクリレート9.0重量部とを、水85.4重量部を用いて導電性樹脂硬化物用組成物を調製したが、バインダー樹脂が水に溶解せず均一な溶液又は分散液が得られなかった。
(比較例2)
実施例1の導電性樹脂硬化膜の作製において、導電性樹脂硬化物用組成物として、ポリスチレンスルホン酸(アルドリッチ社製;商品番号:56,122−3;18重量%水分散液))5.6重量部と紫外線硬化型水分散ポリマー(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKポリマーRP116−EH、30重量%水分散液)30重量部とを、水64.4重量部に溶解させることにより調製された導電性樹脂硬化物用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の導電性樹脂硬化膜(厚さ:3μm)を得た。
(導電性の評価)
得られた導電性樹脂硬化膜の表面抵抗値を測定することにより導電性を評価した。表面抵抗値は、導電性樹脂硬化膜を25℃、湿度30%の環境に12時間放置した後、JIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」の規定に準拠して、表面抵抗測定装置(株式会社ダイアインスツルメンツ社製、ロレスターEP(測定レンジ10−2〜10Ω))及び表面抵抗測定装置(株式会社ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスターUP(測定レンジ10〜1013Ω))を用いて測定した。その結果を表1に示した。
(含水率の評価)
得られた導電性樹脂硬化膜の含水率を以下のようにして評価した。乾燥させた滴定フラスコに脱水メタノール(微量水分滴定用)25mlを採り、カール・フィッシャー試薬(三菱化学株式会社製、商品名;SS低水分試料用)を終点まで滴下して無水状態とした。次に、1辺5mmの正方形に切り取った導電性樹脂硬化膜1.0gを速やかに滴定フラスコに移し、15分かき混ぜて水分を溶剤に完全に抽出させた。その後、滴定フラスコに上記と同様のカール・フィッシャー試薬を滴下し、無水状態になった時点までの試薬量から含まれる水分量を、カールフィッシャー測定装置(京都電子工業株式会社製、型番;MKA−210)を用いて測定し、その水分量により含水率を算出した。その結果を表1に示した。なお、この評価に用いた導電性樹脂硬化膜としては、各実施例及び比較例の塗工工程において、導電性樹脂硬化物用組成物を湿度25%以下、室温25℃の条件下でテフロン(登録商標)製のシート上に塗工したものを使用した。
(基材との密着性の評価)
得られた導電性樹脂硬化膜と基材との密着性を、JIS K5600−5−6:1999「付着性(クロスカット法)」に準拠して評価した。その結果を表1に示した。表1において、基材から完全に剥れるものを×、部分的に剥れるものを△、剥れなかったものを○とした。
(光透過性の評価)
得られた導電性樹脂硬化膜の光透過性を、測定装置として分光光度計(島津製作所株式会社製、商品名:UV−3100PC)を用いて全光線透過率を測定した。その結果を表1に示した。
(硬度の評価)
得られた導電性樹脂硬化膜の硬度をJIS K5600−5−4:1999に規定される「引っかき硬度(鉛筆法)」により測定した。その結果を表1に示した。
(耐擦傷性の評価)
得られた導電性樹脂硬化膜の表面を、#0000番のスチールウールを用い、所定の摩擦荷重で10往復摩擦し、その後のヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定は、摩擦荷重を200〜1000gの範囲内で200g毎に変化させて行った。ヘイズ値の測定にはヘイズメーター(日本電色工業社製、型番:NDH2000)を用いた。そして、摩擦前の導電性樹脂硬化膜のヘイズ値と比較して1%以上の変化が認められた場合の最低荷重を調べることにより、導電性樹脂硬化膜の耐擦傷性を評価した。その結果を表1に示した。
(評価結果)
実施例1〜16の導電性樹脂硬化膜は含水率が低く密着性が良好であったのに対し、比較例2の導電性樹脂硬化膜は含水率が高く密着性に劣るものであった。また、実施例1〜16の導電性樹脂硬化膜は、導電性、光透過性及び硬度のいずれもが高いものであった。
Figure 0004821152

Claims (11)

  1. 親水性基含有高分子化合物が有する親水性基をエステル化又はエーテル化して該親水性基に前記親油性基を結合させることにより、複数の親水性基を持つと共に当該複数の親水性基の一部に親油性基が結合している親水性基含有高分子化合物を得る工程と、
    前記親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち少なくとも一方の樹脂と、有機溶剤とを含む導電性樹脂硬化物用組成物を調製する調製工程と、
    前記導電性樹脂硬化物用組成物で塗膜又は成形体を形成する形成工程と、
    前記塗膜又は前記成形体に含まれる前記有機溶剤を乾燥させる乾燥工程と、
    前記塗膜又は前記成形体を硬化させる硬化工程とを含むことを特徴とする導電性樹脂硬化物の製造方法。
  2. 親水性基含有高分子化合物が有する親水性基をエステル化又はエーテル化して該親水性基に前記親油性基を結合させることにより、複数の親水性基を持つと共に当該複数の親水性基の一部に親油性基が結合している親水性基含有高分子化合物を得る工程と、
    前記親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち少なくとも一方の樹脂とを含む無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物を調製する調製工程と、
    前記導電性樹脂硬化物用組成物で塗膜又は成形体を形成する形成工程と、
    前記塗膜又は前記成形体を硬化させる硬化工程とを含むことを特徴とする導電性樹脂硬化物の製造方法。
  3. 前記乾燥工程及び前記硬化工程のうち少なくとも一方の工程において、前記親水性基含有高分子化合物が持つ前記親油性基の少なくとも一部を前記親水性基から解離させることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  4. 前記硬化工程において、前記親水性基含有高分子化合物が持つ前記親油性基の少なくとも一部を前記親水性基から解離させることを特徴とする請求項2に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  5. 前記硬化工程の後に、前記親水性基含有高分子化合物が持つ前記親油性基の少なくとも一部を前記親水性基から解離させる解離工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  6. 前記導電性樹脂硬化物用組成物がπ共役系高分子化合物を更に含み、又は前記親水性基含有高分子化合物の主鎖にπ共役系結合を持つ、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  7. 前記π共役系高分子化合物を更に含む場合において、該π共役系高分子化合物がポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体であることを特徴とする請求項6に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  8. 前記親水性基が、スルホン基、カルボキシル基及びリン酸基の群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜7に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  9. 前記導電性樹脂硬化物用組成物が充填剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂硬化物の製造方法。
  10. 複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂と、有機溶剤とを含み、前記複数の親水性基の一部がエステル化又はエーテル化されて該親水性基に親油性基が結合しているとともに、π共役系高分子化合物が更に含まれ又は前記親水性基含有高分子化合物の主鎖にπ共役系結合を持つ、ことを特徴とする導電性樹脂硬化物用組成物。
  11. 複数の親水性基を持つ親水性基含有高分子化合物と、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂とを含む無溶剤型の導電性樹脂硬化物用組成物であって、前記複数の親水性基の一部がエステル化又はエーテル化されて該親水性基に親油性基が結合しているとともに、π共役系高分子化合物が更に含まれ又は前記親水性基含有高分子化合物の主鎖にπ共役系結合を持つ、ことを特徴とする導電性樹脂硬化物用組成物。
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