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JP4809993B2 - コアシェル型微粒子およびその製造方法 - Google Patents

コアシェル型微粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアシェル型微粒子およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、高度の接着力と粒径精度に優れ、単独で液晶表示装置用固着型面内スペーサとして用いた場合、適度な温度および加圧によって上下基板に強固に接着し、該基板を固定化すると共に、精度よくセルギャップを保持し得る上、散布溶媒に対する耐久性に優れ、かつ液晶への溶出が少ない有機無機複合コアシェル型微粒子、及びこのものを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置の発展は目覚ましく、時計、電卓、ノート型パソコンなどの小型の表示部をもつものだけではなく、ワードプロセッサー、デスクトップパソコン、テレビなどの大型の表示部をもつ機器の表示装置などとして利用されている。
この液晶表示装置は、一般に配向層を形成した2枚の透明電極基板を、スペーサ粒子を介して所定の間隙になるように配向配置し、周辺をシールして液晶セルを形成し、その電極基板の間隙に液晶材料を挾持した構造を有している。該スペーサ粒子は電極基板間の間隙、すなわち液晶層の厚みを均一に保つための機能を有しており、液晶セルの周辺シール部および液晶セル内部(面内、表示部分)に使用される。
【0003】
このような液晶表示装置の液晶層の厚さを一定に保つための面内スペーサのうち、移動防止能を有するいわゆる固着型スペーサとしては、熱可塑性樹脂やエポキシ系熱硬化性樹脂などを被覆した球状接着性粒子が一般的である。熱可塑性樹脂を被覆したスペーサは、分散重合法など化学反応による被覆方法が行われている。しかしながら、分散重合法などでは、凝集を発生することなく被覆膜厚を厚くすることが困難である。そのため、これらスペーサは主に粒子の移動を防止するための固定化に適しており、用いられている。また、使用時の温度耐久性の点から、軟化点が100℃以上の熱可塑性樹脂しか使用できない上、液晶材料や散布溶媒に対する耐久性に劣るなどの欠点を有している。一方、エポキシ系熱硬化性樹脂を被覆した接着性粒子においては、その硬化に用いられるアミン系硬化剤は低温での硬化特性に優れるものの、液晶材料に悪影響を及ぼす、例えば液晶比抵抗を下げる原因となり使用しにくく、またフェノール系や酸無水物系硬化剤では反応性が低く、150℃以上の高温硬化が必要である。また、このようなエポキシ系接着性粒子においては、エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂の単独成分からなるタイプの接着性粒子が多く、それらは、液状エポキシ樹脂をエマルション化させ、表面を部分硬化することによって作製される場合が多い。しかし、一般的には、その部分硬化剤による処理は水溶性アミンなどが用いられ、液晶比抵抗低下を起こしやすく、さらに製法の関係から粒径のCV値(粒度分布の変動係数)が劣る。この場合、セルギャップ以下の粒径の小粒子は、セル内で浮いた状態となり、セルギャップを保持する本来の目的を果たさないばかりか、逆に異物として表示品位を低下させる原因となる。一方、比較的大きい粒径の大粒子は平均粒径の粒子に比べて基板との接着面積が大きくなってしまい、その結果接着斑となる。さらに、加圧によってセルギャップまで潰されたそれらの大粒子は、表示方向から見た大きさが肥大し、スペーサ内部からの光抜け面積も同様に大きくなることから表示班を起こし、小粒子同様に表示品位が低下するのを免れない。
【0004】
さらに、液晶パネルの耐熱温度は、その種類により異なるが、一般的には80〜150℃程度である。耐熱温度以上の温度をかけると、パネル自体が変形したり、パネル構成物質が変質するなど、好ましくない事態を招来する。したがって、液晶パネルの耐熱温度未満の温度で、スペーサ粒子を熱処理して、固着させることが重要である。
【0005】
また、固着型スペーサとして、エポキシ基などの接着性置換基を導入したものを被覆した粒子が知られているが、このものは基板との接着面積が小さく、その固着力が低いなどの欠点を有している。
【0006】
他方、100℃未満の比較的低温で固着するスペーサとしては、例えば架橋剤および光重合開始剤を含む熱可塑性樹脂で被覆された粒子からなる液晶表示素子用スペーサが提案されている(特開平6−289402号公報)。しかしながら、このスペーサはアルコール耐久性および光重合開始剤を含むことによる保存安定性が劣るなどの欠点を有している。
【0007】
また、固着層にエポキシ樹脂とアクリルモノマーから合成されるラジカル重合性アクリレート系プレポリマーを使用することも考えられるが、この樹脂は不純物としてこの合成時に使用されるアミン塩やアルカリ金属塩を通常総含有量で200重量ppm以上含有するため、これを用い作成したパネルにおいては、該不純物が液晶に溶出し、液晶の比抵抗値を下げ、パネルの駆動電圧を下げてしまう可能性があった。
【0008】
一方、液晶表示装置においては、近年、軽量化などを図るために、基板の薄膜化や、ガラス基板から高分子フィルムへの移行が盛んに検討されている。しかしながら、この場合、基板が柔軟化によってうねりなどが生じ、特にSTNではセルギャップを均一に保つことができず、表示品位が低下するなど、好ましくない事態を招来するおそれがあり、上下の基板をきっちりと固定化する必要がある。
【0009】
配向基板に対して付着性の良いスペーサとして、例えば特開平8−43834号公報に開示されている液晶用スペーサが知られている。しかしながら、このスペーサは、粒子の基板への固定化(移動防止)を目的としているため、上下基板双方をスペーサを介して固定させるには、接着力が不十分であった。また、該スペーサは、公知の重合法により粒子表面に移動防止成分が被覆されており、このような方法によって、性能向上のために被覆層の厚みを増やそうとすると凝集が発生しやすく、また、複数回被覆操作を試みても、製造プロセスが増加するのに加え、凝集などのロスが生じ、コスト高になるのを免れず、実用的ではない。
【0010】
そこで、スペーサと混合散布して、上下基板を接着固定する接着性樹脂粒子が提案されている(特開平11−326915号公報)。しかしながら、この場合、画素上にスペーサの他に接着性樹脂粒子が散布されるために、表示品位が低下する上、液晶表示装置の製造工程において、散布工程の増加や、スペーサと接着性樹脂粒子をそれぞれ単独で散布する技術が求められるなど、プロセスの改良が必要となるといった問題が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、高度の接着力と粒径精度に優れ、単独で液晶表示装置用固着型面内スペーサとして用いた場合、適度な温度および加圧によって上下基板に強固に接着し、該基板を固定化すると共に、精度よくセルギャップを保持し得る上、散布溶媒に対する耐久性に優れ、かつ液晶への溶出が少ないコアシェル型微粒子を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の優れた機能を有するコアシェル型微粒子を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、シリカ微粒子をコアとし、その表面に共有結合を介して特定の成分を含むシェル層を有する有機無機複合コアシェル型微粒子が、その目的に適合し得ること、そしてこのコアシェル型微粒子は、特定の工程を施すことにより、効率よく製造し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0014】
発明に従えば、上記コアシェル型微粒子は、(a)シリカ微粒子をビニル系シランカップリング剤により表面処理してビニル基が導入された疎水性表面を形成する工程、(b)表面処理された疎水性表面を有するシリカ微粒子の表面に、一般式(I)
4−n Si(OR …(I)
(式中、R 1 は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、エポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基、R 2 は炭素数1〜6のアルキル基、nは平均で2.5以上4未満の数を示し、R 1 が複数ある場合、各R 1 はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR 2 が複数ある場合、各OR 2 はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるケイ素化合物を用いて、膨潤可能なポリオルガノシロキサン層を形成させる工程、および(c)シリカ微粒子の表面に形成されたポリオルガノシロキサン層の表面および内部において、疎水性重合性モノマーである、一般式(II)
【化2】
Figure 0004809993
(式中、R は水素原子またはメチル基、R はエポキシ基を有する炭素数1の炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体を吸収させ、重合させる工程を施すことにより、製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のコアシェル型微粒子は、(A)シリカ微粒子をコアとし、その表面に共有結合を介してシェル層を有するものであり、そしてシェル層として、(B)ポリオルガノシロキサンおよび(C)疎水性重合性モノマーの重合物を含むものが設けられている。
【0016】
本発明のコアシェル型微粒子において、コア部分を構成する(A)成分のシリカ微粒子は、コア部分を形成する母材であって、いわゆるゾルゲル法によりシリコンアルコキシドを加水分解および重縮合反応して得られる生シリカ微粒子であってもよいし、これを焼成してなる焼成シリカ微粒子であってもよい。この生シリカ微粒子および焼成シリカ微粒子の製法、性質などは、後述する本発明のコアシェル型微粒子の製造方法において詳しく説明する。
【0017】
このシリカ微粒子は、実質的に真球状であって、その平均粒径は0.5〜15μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜12μm、特に好ましくは1.0〜10μmの範囲である。また、粒度分布の変動係数(CV値)は5%以下が好ましく、より好ましくは2%以下である。
なお、変動係数(CV値)は、下式により求めることができる。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
【0018】
本発明のコアシェル型微粒子は、前記コア部分を形成するシリカ微粒子の表面に共有結合を介してシェル層が形成されたものであるが、上記共有結合を設けるには、例えば該シリカ微粒子を、ビニル系シランカップリング剤などで表面処理し、ビニル基を導入する方法が好ましく用いられる。
【0019】
シリカ微粒子をビニル系シランカップリング剤で表面処理することにより、該ビニル系シランカップリング剤のシラン部分がシリカ微粒子表面のシラノール基と反応して化学結合を形成し、同時にビニル系シランカップリング剤のビニル基が、シェル層形成時に疎水性重合性モノマー中の不飽和二重結合と反応して化学結合を形成すると共に、場合によりポリオルガノシロキサンと化学結合することにより、シリカ微粒子表面に、共有結合を介してシェル層を密着性よく形成させることができる。
【0020】
ビニル系シランカップリング剤としては、シリカ微粒子表面のシラノール基との反応性を有するシラン部分(例えばアルコキシシラン基、ハロゲノシラン基、アセトキシシラン基など)を有し、かつシェル層形成用成分との反応性を有するビニル基を有するものであればいかなるものも使用できる。ここで上記ビニル基とは、ビニル基それ自体以外にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などを包含するものとする。上記のビニル系シランカップリング剤の具体例としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明のコアシェル型微粒子におけるシェル層は、前記したように、(B)ポリオルガノシロキサンおよび(C)疎水性重合性モノマーの重合物を含む層であり、その厚さは0.1μm以上であって、コアのシリカ微粒子粒径の3〜40%の範囲が好ましい。
【0022】
さらに加熱圧着によって、コアシェル型微粒子が実質的に円柱状になるような厚さが好ましく、シリカ微粒子粒径の7.2%以上であれば、計算上加熱圧着により、加熱圧着型スペーサ半径を有し、コアのシリカ微粒子の粒径高さの円柱とすることができる。
【0023】
このシェル層における(B)成分のポリオルガノシロキサンと(C)成分の疎水性重合性モノマーの重合物との体積比は、1:0.5〜1:20の範囲にあるのが、スペーサとしての接着性およびLCD製造時におけるセミドライ散布における散布液中でのスターラー耐久性などの点から好ましい。
【0024】
また、加熱によるシェル層の軟化温度は、スペーサとしての加熱接着性の点から、60〜180℃の範囲にあることが好ましい。この軟化温度が180℃を超えると接着性を発揮するのに180℃より高い温度が必要となり、液晶パネル自体を変形させたり、パネル構成物質を変質させたりする場合がある。一方、軟化温度が60℃未満では、保管中の粒子同士がくっついたりするおそれがある。より好ましい軟化温度は70〜150℃の範囲である。
【0025】
本発明のコアシェル型微粒子においては、シェル層中の(B)成分であるポリオルガノシロキサンを形成させるためには、原料として一般式(I)
1 4-nSi(OR2n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、エポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、nは平均で2.5以上4未満の数を示し、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるケイ素化合物を用い、加水分解・縮合させるのがよい。
【0026】
上記一般式(I)において、R1のうちの炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。エポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基としては、エポキシ基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このエポキシ基を有するアルキル基の例としては、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、また、このアルケニル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。このアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0027】
一方、R2で示されるは炭素数1〜6のアルキルは直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0028】
nは平均で2.5以上4未満の数であり、ここでnが平均とは、一般式(I)のケイ素化合物は、単体であってもよいし、二種以上の混合物であってもよいことを意味する。すなわち、一般式(I)で表されるケイ素化合物として、一種を単独で用いる場合、一般式(I)のケイ素化合物は、R1Si(OR23となる。また、二種以上組み合わせて用いる場合は、nの平均が2.5以上4未満であればnが2〜4の範囲でいかなる化合物の組み合わせであってもよい。
【0029】
この(B)成分のポリオルガノシロキサン成分の架橋度が低すぎるとアルコール耐久性(スペーサ粒子散布溶媒耐久性)が悪くなるおそれがあり、一方架橋度が高すぎると得られるコアシェル型微粒子を使用時に加熱した際の流動性が悪く、十分な接着性が発揮されない場合がある。したがって、nは、平均で2.5より大きく、3.2以下が好適である。R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、またOR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。この一般式(I)で表されるケイ素化合物の中で、一般式(I−a)
(CH2=CH−)mSi(OR24-m …(I−a)
(式中、R2は前記と同じであり、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよく、mは1〜3の整数を示す。)
で表されるビニルアルコキシシラン化合物は、そのビニル基の一部若しくは全てが疎水性重合性モノマーと共重合して、有機成分と無機成分が化学結合により結合するため好ましい。
【0030】
前記一般式(I)で表されるケイ素化合物の例としては、単体で用いる場合は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、さらには一般式(I−a)の化合物であるビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0031】
また、二種以上を組み合わせて用いる場合は、上記化合物と共に、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性アルコキシシランを、nが平均で2.5以上4未満、好ましくは2.5より大きく3.2以下になるように併用することができる。
【0032】
一方、(C)成分である疎水性重合性モノマーの重合物を生成させるための該疎水性重合性モノマーとしては、その重合物が前記(B)成分のポリオルガノシロキサン成分と良好な親和性を有するものが好ましく用いられる。該重合物がポリオルガノシロキサン成分との親和性が悪いと相分離によって均一なシェル層が得られにくくなる上、ポリオルガノシロキサン成分と重合物が極端に局在化するため、コアシェル型微粒子表面に接着力不足ヶ所やアルコール耐性不足ヶ所が生じる。
【0033】
重合物がポリオルガノシロキサン成分と良好な親和性を有する疎水性重合性モノマーとしては、例えば一般式(II)
【0034】
【化2】
Figure 0004809993
【0035】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4はエポキシ基、水酸基、メルカプト基若しくはエーテル結合を有する炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体を好ましく挙げることができる。
【0036】
このエチレン性不飽和単量体は、該ポリオルガノシロキサン成分がビニル基を有する場合、それと共重合し得るので、優れた親和性を発揮する。
【0037】
前記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和単量体において、R4で示されるエポキシ基、水酸基、メルカプト基若しくはエーテル結合を有する炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。
【0038】
また、炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、および各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0039】
この一般式(II)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メルカプトエチル(メタ)アクリレート、3−メルカプトプロピル(メタ)アクリレート、2−メルカプトプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、その重合物が熱硬化性を有するものが好ましく、例えばエポキシ基を有するアクリルモノマー、特にグリシジル(メタ)アクリレートなどが好適である。
【0040】
本発明のコアシェル型微粒子は、真球状であって、1,000倍〜10,000倍の電子顕微鏡観察において、シェル層が実質的に平滑な連続皮膜を呈しているものが好ましい。また、平均粒径は0.6〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.9〜17μm、特に好ましくは1.1〜14μmの範囲である。さらに、CV値は5%以下が好ましく、より好ましくは2%以下である。
【0041】
このような本発明のコアシェル型微粒子は、スペーサ粒子として用いた場合、散布溶媒に対して、良好な耐久性を有すると共に、液晶中への不純物の溶出が少ない。
【0042】
また、従来のガラス基板よりも柔軟性のある高分子フィルム基板を用いたフィルムLCDは、その変形性の高さからスペーサの移動やセルギャップの変動が生じやすい。さらには、その基板の帯電特性から粒子の散布方法は乾式法ではなく、セミドライ方式のアルコールリッチな散布溶媒が用いられる場合が多く、アルコール耐久性が高い上、散布液中でのスターラー耐久性の良好な接着性粒子が望まれており、本発明のコアシェル型微粒子はこれら問題を解消する上でも好適である。
【0043】
次に、本発明のコアシェル型微粒子の製造方法について説明する。
本発明の方法は、(a)シリカ微粒子を表面処理して疎水性表面を形成する工程、(b)表面処理された疎水性表面を有するシリカ微粒子の表面に、液滴または半固形状の膨潤可能なポリオルガノシロキサン層を形成させる工程、および(c)シリカ微粒子の表面に形成されたポリオルガノシロキサン層の表面および内部において、疎水性重合性モノマーを吸収させ、重合させる工程を含むものである。
【0044】
本発明の方法で用いられるコアとなるシリカ微粒子は、実質的に真球の微粒子であり、粒子同士が実質的に合着していないものであればよく、多孔質であってもよい。また、生シリカ微粒子であってもよいし、焼成シリカ微粒子であってもよい。
【0045】
生シリカ微粒子は、例えばシリコンアルコキシドを水、アンモニアおよびアルコールからなる混合液中において加水分解および脱水・重縮合させること等の手段により製造される。上記のようにして得られた生シリカ微粒子は、シラノール基(Si−OH)が多いため、後述の(a)工程における疎水性表面形成処理において、ビニル系シランカップリング剤などによる表面処理でビニル基をシリカ微粒子表面に導入することは比較的容易であるが、有機物、水、アンモニアがかなり残存し、強度や硬度が低い場合がある。このような場合には、この生シリカ微粒子を500〜1200℃程度で焼成して、焼成シリカ微粒子とすると有機物や水は揮発し、さらにシラノール基同士が縮合してシロキサン結合(Si−O−Si)が増加し、強度、硬度が増加する。従って、この焼成シリカ微粒子は強度、硬度は改善されるが、シリカ微粒子の表面に存在する、ビニル系シランカップリング剤との反応活性点であるシラノール基が縮合により消費されてかなり減少し、ビニル系シランカップリング剤との反応が進行しにくくなったり、全く進行しなくなったりする。
【0046】
シリカ微粒子の焼成温度、時間、粒子の表面積等の条件により失われるシラノール基の量にはかなりの幅がある。例えば、焼成度が低く、表面のシラノール基の量が比較的に多い焼成シリカ微粒子の場合には、ビニル系シランカップリング剤との反応によるビニル基の導入が比較的容易に進行するので、焼成シリカ微粒子を直接ビニル系シランカップリング剤で表面処理することができる。
【0047】
しかし、焼成度が高く、反応活性点であるシラノール基の量が低減している焼成シリカ微粒子をそのままビニル系シランカップリング剤で処理しても十分な量のビニル基をシリカ微粒子表面に導入することができず、その結果均一なシェル層を有するシリカ微粒子を得ることができない。
【0048】
そこで、焼成シリカ微粒子表面のシラノール基が不足する場合(すなわち、ビニル系シランカップリング剤が反応することによってシリカ微粒子表面に導入されるビニル基の量が不十分となる場合)には、シリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物を焼成シリカ微粒子と反応させて焼成シリカ微粒子の表面にシラノール基を導入することにより、ビニル系シランカップリング剤との反応活性点を増加させて必要量のビニル基を導入するのが好ましい。すなわち、焼成度の高い焼成シリカ微粒子についてシリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物による処理を行うことにより、高強度・高硬度の焼成シリカ微粒子をコアとして有利に使用することができる。もちろん、生シリカ微粒子についても、表面にシラノール基を導入するために、シリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物で表面処理してもよい。
【0049】
本発明で用いることができるシリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物は、シリカ微粒子表面にシラノール基が導入できるものであれば特に制限はない。ここで用いることができるシリコンアルコキシドとは、一般式
Si(OR54またはSi(R6k(OR54-k
(式中、R5およびR6はアルキル基またはアシル基、特に炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜6のアシル基であり、kは1〜3の整数である。)で示されるものであり、その具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0050】
シリコンアルコキシドの部分加水分解物とは、上記一般式で示されるシリコンアルコキシド中の複数のアルコキシ基(OR5)または(OR6)の一部を加水分解したものが挙げられる。
シリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物による処理(以下、「シリコンアルコキシド処理」という。)は、シリカ微粒子を、(a)工程のビニル系シランカップリング剤などによる表面処理と同時にまたはその前に行うことができる。
【0051】
シリコンアルコキシド処理のためのシリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物の使用量は、ビニル系シランカップリング剤の使用量に対するモル比で0.5以下が好ましく、特に0.25以下が好ましい。
【0052】
本発明の方法においては、未処理シリカ微粒子または上記のようにしてシリコンアルコキシド処理されたシリカ微粒子に、下記の(a)〜(c)工程を施すことにより、コアシェル型微粒子を製造する。
【0053】
(a)工程
この(a)工程は、前記シリカ微粒子を表面処理して疎水性表面を形成する工程である。
この工程を具体的に説明すると、まず超音波振動等を利用して、シリカ微粒子をメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール溶媒または水と上記アルコールとの混合溶媒中に分散させて分散液を得る。溶媒の重量はシリカ微粒子の重量の5〜30倍が好適である。このようにして得られた分散液に、シリカ微粒子の重量に対して、通常2〜30倍の25〜30重量%程度の濃度のアンモニア水を添加し、さらに、ビニル系シランカップリング剤を添加する。分散液の液温を20〜80℃程度に保ちつつ1〜24時間程度攪拌する。これにより、シリカ微粒子がビニル系シランカップリング剤により表面処理され、シリカ微粒子の表面にはビニル基が導入される。
【0054】
前述したように、ビニル系シランカップリング剤での表面処理時に必要に応じて少量(ビニル系シランカップリング剤に対するモル比で0.5以下)のシリコンアルコキシドを添加することができる。ビニル系シランカップリング剤と加水分解速度の速いシリコンアルコキシドを共存させることにより、シリカ微粒子表面に、均一なシェル層を形成するのに十分な量のビニル基を導入することができる。
【0055】
(b)工程
この(b)工程は、上記(a)工程で表面処理されることにより形成されたシリカ微粒子の疎水性表面にポリオルガノシロキサン層を形成する工程である。
この工程を具体的に説明すると、水性媒体中において、上記(a)工程において表面にビニル基が導入されたシリカ微粒子とアルカリの存在下に、前記一般式(I)で表されるケイ素化合物を加水分解・縮合させて、該シリカ微粒子表面に液滴若しくは半固形状の膨潤可能なポリオルガノシロキサン層を形成させる。
【0056】
この際、アルカリとしては、アンモニアおよび/またはアミンが用いられる。このアンモニアやアミンは、一般式(I)で表されるケイ素化合物の加水分解、縮合反応の触媒である。ここで、アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを好ましく挙げることができる。このアンモニアやアミンは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、毒性が少なく、除去が容易で、かつ安価なことから、アンモニアが好適である。
【0057】
このアンモニアやアミンは、水溶液または水と有機溶剤との混合溶剤溶液として用いられる。ここで、有機溶剤としては、水混和性のものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。
【0058】
アンモニアやアミンの使用量としては特に制限はないが、反応開始前の水層のpHが、7.5〜11.0の範囲になるように選定するのが好ましい。
pHがこの範囲よりも高いと、ポリオルガノシロキサンの縮合度が高くなり過ぎて固形状の層となり、重合性疎水性モノマー等を膨潤・含浸するのが困難となり、pHがこの範囲よりも低いと、反応性が低下して効率よくポリオルガノシロキサン層を形成するのが困難となる。また、この際の反応温度は、原料のケイ素化合物の種類などに左右されるが、一般的には0〜60℃の間で選ばれる。
【0059】
この際、ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を存在させることにより、表面にポリオルガノシロキサン層が設けられたシリカ微粒子の合一、凝集を低減、防止することができる。ただし、過剰量を存在させると、後述の(c)工程において、重合性モノマーが粒子内に吸収されにくくなり、膨潤(吸収)の度合いが小さくなるため、好ましくない。
【0060】
(c)工程
この(c)工程は、上記(b)工程でシリカ微粒子の表面に形成されたポリオルガノシロキサン層の表面および内部において、疎水性重合性モノマーを重合させる工程である。
この工程を具体的に説明すると、上記(b)工程で得られた表面にポリオルガノシロキサン層を有するシリカ微粒子分散液と、疎水性重合性モノマーと必要に応じて用いられるラジカル重合開始剤を含有する水性エマルションと混合する。この際、該ポリオルガノシロキサン層は、縮合度が低い状態で被覆されているため、この層内に疎水性重合性モノマーが容易に吸収される。この状態で、30〜90℃程度の温度において、2〜10時間程度加熱することにより、ポリオルガノシロキサン層の表面および内部で疎水性重合性モノマーが重合して、シェル層が形成される。
【0061】
上記疎水性重合性モノマーとしては、前述の一般式(II)で表されるエチレン性不飽和単量体の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0062】
一方、所望により用いられるラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、公知のもの、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤や、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物が挙げられる。このラジカル重合開始剤の添加量は、通常疎水性重合性モノマーに対して、0.001〜20モル%、好ましくは0.01〜10モル%の範囲で選ばれる。
【0063】
また、前記疎水性重合性モノマーとラジカル重合開始剤を含有する水性エマルションは、常法に従って調製することができる。例えば水などの水性媒体中に、疎水性重合性モノマー、ラジカル重合開始剤および界面活性剤を、それぞれ所定量添加し、ホモジナイザーなどを用いて乳化することにより、均質なO/Wエマルションが得られる。
【0064】
この際、用いる界面活性剤としては、使用するモノマーをO/Wエマルション化するのに適したHLB値(親水性親油性バランス値)の界面活性剤であればよく、特に制限はない。その添加量は、モノマー100重量部に対して、100重量部以下の範囲、より好ましくは50重量部以下の範囲がよい。添加量が多すぎるとエマルションが安定化しすぎ、モノマーがポリオルガノシロキサン層に吸収されにくくなる。
【0065】
重合反応終了後、常法に従い生成したコアシェル型微粒子を充分に洗浄したのち、必要ならば分級処理を行い、目的粒子以外の大粒子または小粒子を取り除き、乾燥処理を行う。分級処理方法としては、特に制限はないが、粒径により沈降速度が異なるのを利用して分級を行う湿式分級法が好ましい。乾燥処理は、通常粒子が接着しない温度範囲で加熱乾燥、あるいは風乾してもよいが、効率の面で減圧乾燥法、真空乾燥法あるいは凍結乾燥法を採用することが好ましい。
このようにして、本発明のコアシェル型微粒子を効率よく製造することができる。
【0066】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0067】
実施例1
1000ミリリットル容量のプラスチック容器に、0.1重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)イオン交換水溶液500gとビニルトリメトキシシラン(VTMS)50gを仕込み、溶液が透明になるまでマグネチックスターラーによって高速攪拌して、溶液a−1を調製した。
【0068】
別に、1000ミリリットル容量のプラスチック容器に、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(MPTES)によって表面処理されたシリカ微粒子(宇部日東化成(株)社製、商品名;ハイプレシカUF N3S1、平均粒径7.017μm、CV値0.79%)25gおよびメタノール50gを仕込み、攪拌と超音波照射により、シリカ微粒子を分散させて分散液b−1を調製した。シードシリカ粒子のSEM写真を図1に示した。
【0069】
次に、前記の溶液a−1を分散液b−1に添加し、約30分間攪拌したのち、これに25重量%アンモニア水0.5ミリリットルを添加し、マグネチックスターラーを用い、約40rpmの速度でゆっくり攪拌した。VTMSが加水分解縮合反応して、ポリビニルシルセスキオキサン(PVSO)粒子核の析出と共に、シリカ微粒子表面にPVSO被覆層が形成され、溶液がさらに白濁した。以上の操作によって、液滴状のPVSO層を形成したシリカ微粒子分散液c−1を調製した。
【0070】
一方、2000ミリリットル容量のプラスチック容器に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)20gを溶解させたグリシジルメタクリレート(GMA)400gおよび0.5重量%のSDSイオン交換水溶液800gを仕込み、ホモジナイザーにより約15000rpmで2分間攪拌してエマルション液d−1を調製した。
【0071】
次に、2000ミリリットル容量のセパラブルフラスコに、25重量%アンモニア水を添加してから30分間経過後の分散液c−1を500g入れ、攪拌羽根にて約50rpmで攪拌しながら、そこにエマルション液d−1を添加し、2時間室温で攪拌した。その後、恒温槽内で70℃に昇温し、5時間攪拌を続行して重合反応を行った。
【0072】
反応終了後、いったん室温まで冷却したのち、遠心分離器によって粒子と溶媒を分離した。次いで、上澄み液を捨て、さらにイオン交換水を添加して再び粒子を分散させた。再度、遠心分離器による粒子分離および水添加による粒子洗浄を5回繰り返したのち、ふるい分けによる凝集物の除去を行った。この時点では、目的のシリカ粒子表面にPVSOとポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の複合層を有する単分散の真球状粒子以外に、PGMA単独と思われる微粒子、PVSOとPGMAが複合されていると思われる小粒子、合着粒子が混在している。そこで、イオン交換水での粒子の沈降速度差を利用した湿式分級によって、上記の微小粒子、小粒子および合着粒子を除去して目的粒子を得た。最後に凍結乾燥により、目的粒子の乾燥粉末(粒子A−1)を得た。ここで、得られた粒子(A−1)のSEM観察した写真を図2に示した。SEM観察から、粒子(A−1)は真球状で、連続皮膜を形成していることが分かった。
【0073】
一方、残余の溶液c−1については、25%アンモニア水を1ml添加後、同様に70℃で5時間加熱処理したのち、メタノールを用いた同様な洗浄、分級操作を行った。この時点では、シリカ粒子表面にPVSOを被覆した単分散の真球状粒子以外に、PVSO単独粒子と合着粒子が混在している。そこで、粒子(A−1)を得るのと同様な操作によってそれらを除去し、その後メタノールを除去したのち、オーブンにて70℃で3時間加熱乾燥処理することにより、粒子(B−1)を得た。ここで、得られた粒子(B−1)のSEM観察した写真を図3に示した。SEM観察から、粒子(B−1)は真球状で、連続皮膜を形成していることが分かった。
【0074】
〈評価〉
粒子(A−1)および粒子(B−1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)写真による粒径測定を行った結果、粒子(A−1)は、平均粒径11.458μm、CV値1.53%で、粒子(B−1)は、平均粒径7.574μm、CV値1.61%であり、(シードシリカ微粒子:平均粒径7.017μm、CV値0.79%)、明らかに被覆されていることが分かった。粒子(A−1)については、PVSOとPGMAの体積比は、この粒径測定結果から、1.0:12.0であると推察され、被覆厚みはシードシリカ微粒子の粒径の31.6%であることが分かった。ポリイミドをコーティングしたスライドガラス上に、前記粒子A−1を散布し、これに同様にポリイミドをコーティングしたスライドガラスをコート面を向かい合わせる形で貼り合わせ、クリップで固定したものを作成し、圧力約0.1MPaの条件で温度条件を変化させて2時間加圧、加熱処理した。このとき両基板が固定化が始まる接着開始温度は90〜95℃であった。
【0075】
実施例2
実施例1におけるPVSO被覆工程において、25重量%アンモニア水の量を1.25ミリリットルから1.0ミリリットルに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、PVSO層を形成したシリカ微粒子分散液c−2を調製した。
また、実施例1におけるエマルション液d−1の調製において、AIBN5gを溶解したGMA100gおよび0.5重量%SDSイオン交換水200gを用い、実施例1と同様にしてエマルション液d−2を調製した。
【0076】
次に、実施例1と同様に、上記の分散液c−2 250gにエマルション液d−2を添加し、さらにその後、0.1重量%PVAイオン交換水溶液200gを添加して重合反応を行った。以下、実施例1と同様な操作を行い、粒子(A−2)および粒子(B−2)を作成した。
SEM観察から、これらの粒子は真球状で、連続皮膜を形成していることが分かった。
【0077】
〈評価〉
実施例1と同様に粒径測定を行った結果、PVSO被覆粒子(B−2)は、平均粒径7.473μm、CV値1.34%で、PVSO・PGMA被覆粒子(A−2)は、平均粒径8.762μm、CV値1.74%であり、粒子(A−2)のシードシリカ微粒子の粒径に対する被覆厚みは12.4%であった。また、PVSOとPGMAの体積比は1:3.6であると推察された。
【0078】
実施例3
実施例2において、分散液c−2 250gに、2倍重量のエマルション液d−2を添加し、さらにその後、0.5重量%PVAイオン交換水溶液400gを添加して重合反応を行った以外は、実施例2と同様にして粒子(A−3)および粒子(B−3)を作成した。
【0079】
〈評価〉
実施例1と同様に粒径測定を行った結果、PVSO被覆粒子(B−3)は、平均粒径7.473μm、CV値1.34%で、PVSO・PGMA被覆粒子(A−3)は、平均粒径10.881μm、CV値1.71%であり、粒子(A−3)のシードシリカ微粒子の粒径に対する被覆厚みは27.5%であった。また、PVSOとPGMAの体積比は1:12.1であると推察された。
【0080】
接着力評価
ポリイミドコーティングしたスライドガラス上に、前記PVSO・PGMA被覆粒子(A−3)を散布し、これに同じスライドガラスを4cm重なるように被せて固定したのち、このものを温度150℃、圧力約0.1MPaの条件で2時間加圧、加熱処理した。次いで冷却後、基板の剥離強度を図5に示す方法に従って測定した。
【0081】
図5で示すように、接着したスライドガラスを10cm間隔で下から2ケ所を固定し、その中心部を上方から加圧し、剥離する圧力を測定した。一方、散布個数を光学顕微鏡によって3ケ所計測し、その平均を散布個数として、単位面積当たりの散布個数を求めた。そして、粒子1個当たりの接着力を算出した結果、粒子の接着力は、5.65μN/個であった。
【0082】
散布液耐久性評価
50体積%イソプロパノール水溶液中に、前記のPVSO・PGMA被覆粒子(A−3)を添加し、攪拌、分散させ、さらに超音波を15分間照射した。その後、1週間放置したのち、粒子をSEMにより、表面観察すると共に、粒径測定した結果、変化のないことが確認された。
【0083】
比較例1
実施例1におけるPVSO被覆工程において、VTMSを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様な操作を行った。その結果、最終的に得られた粒子は、表面の一部にPGMAの微小粒子状のものが付着していたものの、均一な被膜は形成されなかった。
【0084】
比較例2
実施例1と同様の表面処理を行ったシリカ粒子(宇部日東化成(株)社製、商品名;ハイプレシカUF N3S1、5.012μm、CV値0.81%)の分散液を得るための分散媒として、メタノール1280ミリリットル、イオン交換水320ミリリットルとの混合溶媒に分散安定剤としてポリビニルピロリドン(平均分子量36万)93.3gを溶解させた溶液を用意した。そして、2000ミリリットル容量のセパラブルフラスコにそれら分散媒を仕込み、さらに表面処理シリカ粒子40gを加え、超音波振動を与えよく分散した。
【0085】
その後、上記容器を恒温槽内に設置し、撹拌羽によって撹拌を行いながら、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル6.67g、スチレン60g及びメルカプト酢酸0.467gを添加し、65℃で重合を行った。8時間反応後、反応液にイオン交換水:メタノール=8:2(体積比)の混合液を300ミリリットル注ぎ、放冷した。その後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、前記、メタノールとイオン交換水の混合液によって、洗浄を行った。さらに、発生したポリスチレン単独微粒子を除去するために、樹脂被覆シリカ粒子を沈降させ、上層にまだ浮遊しているポリスチレン微粒子をデカンテーションによって除去した。得られた粒子のSEM写真を図4に示した。接着性能を持たせるように、被覆厚みを厚くするように試みたが、合着、凝集が発生するとともに、粒子表面の被覆層が大きな凹凸状態であることが確認された。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、高度の接着力と粒径精度に優れ、単独で液晶表示装置用固着型面内スペーサとして用いた場合、適度な温度および加圧によって上下基板に強固に接着し、該基板を固定化すると共に、精度良くセルギャップを保持し得る上、散布溶媒に対する耐久性に優れ、かつ液晶への溶出が少ない有機無機複合コアシェル型微粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたMPTES処理シリカ粒子のSEM写真図である。
【図2】実施例1で得られたPVSO・PGMA被覆シリカ粒子のSEM写真図である。
【図3】実施例1で得られたPVSO被覆シリカ粒子のSEM写真図である。
【図4】比較例2で得られたポリスチレン被覆シリカ粒子のSEM写真である。
【図5】PVSO・PGMA被覆粒子の接着力評価試験の説明図である。

Claims (9)

  1. (a)シリカ微粒子をビニル系シランカップリング剤により表面処理してビニル基が導入された疎水性表面を形成する工程、(b)表面処理された疎水性表面を有するシリカ微粒子の表面に、一般式(I)
    4−n Si(OR …(I)
    (式中、R 1 は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、エポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基、R 2 は炭素数1〜6のアルキル基、nは平均で2.5以上4未満の数を示し、R 1 が複数ある場合、各R 1 はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR 2 が複数ある場合、各OR 2 はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるケイ素化合物を用いて、膨潤可能なポリオルガノシロキサン層を形成させる工程、および(c)シリカ微粒子の表面に形成されたポリオルガノシロキサン層の表面および内部において、疎水性重合性モノマーである、一般式(II)
    Figure 0004809993
    (式中、R は水素原子またはメチル基、R はエポキシ基を有する炭素数1の炭化水素基を示す。)
    で表されるエチレン性不飽和単量体を吸収させ、重合させる工程を含むことを特徴とするコアシェル型微粒子の製造方法。
  2. 得られるコアシェル型微粒子が真球状であり、かつ1000倍〜10000倍の電子顕微鏡観察において、シェル層が連続被膜を呈している請求項1に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
  3. シリカ微粒子の、走査型電子顕微鏡写真による測定で求められる平均粒径が0.5〜15μmであり、かつ下式により求められる粒度分布の変動係数(CV値)が5%以下である請求項1または2に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
    CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
  4. シェル層の厚さが0.1μm以上であり、かつコアのシリカ微粒子粒径の3〜40%である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
  5. シェル層におけるポリオルガノシロキサン疎水性重合性モノマーの体積比が1:0.5〜1:20である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
  6. ポリオルガノシロキサンが、一般式(I)で表されるケイ素化合物の加水分解・縮合により形成されたものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
  7. 一般式(I)で表されるケイ素化合物が、一般式(I−a)
    (CH=CH−)Si(OR24−m …(I−a)
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、mは1〜3の整数を示し、ORが複数ある場合、各ORは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるビニルアルコキシシラン化合物である請求項6に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
  8. 加熱によるシェル層の軟化温度が60〜180℃である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のコアシェル型微粒子の製造方法
  9. 疎水性重合性モノマーをO/W型エマルション化し、このエマルションとポリオルガノシロキサン層を接触させ、該ポリオルガノシロキサン層内に疎水性重合性モノマーを吸収させる請求項に記載のコアシェル型微粒子の製造方法。
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