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JP4808294B2 - 口腔内貼付製剤 - Google Patents

口腔内貼付製剤 Download PDF

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JP4808294B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は口腔内に適用され、口腔内での薬物投与を行なう際に用いられる貼付製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、口腔内での薬物の投与方法としては、液剤、軟膏剤、ゼリー剤、スプレー剤、トローチ剤、バッカル錠、舌下錠等を用いたものが知られている。
【0003】
近年、唾液等の水分で濡れた口腔粘膜でも良好な接着性を有する製剤として、水溶性または水膨潤性の高分子を、薬物を含む接着剤層の基剤(主成分)とする口腔内貼付製剤が提案されている。例えば、基材上にアルギン酸のエステル及び薬剤を含有する粘膜接着性接着剤層を有する粘膜付着用製剤(特開昭61−30516号)、ヒドロキシプロピルセルロースを主成分とし、医薬品を含有してなる外用フィルム製剤(特開昭62−63513号)、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子物質及び酢酸ビニル等の水不溶性または水膨潤性高分子物質からなる粘着層に生理活性成分を含有してなる歯肉適用型局所麻酔貼付剤(特開平1−272521号)、ポリアクリル酸塩とカルボキシビニルポリマー、及びポリビニルアルコールを含有する液を流延、乾燥して2層構造膜とした口腔内適用基剤(特開平5−310561号)等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の水溶性または水膨潤性の高分子を接着剤層の基剤(主成分)とした口腔内貼付製剤は、水溶性または水膨潤性の高分子が被着体表面(口腔内の粘膜の表面)に存在する水分を吸収し、これによって、接着剤層表面と被着体表面が接触して接着するものである。
【0005】
しかしながら、この口腔内貼付製剤は、接着剤層の水溶性または水膨潤性の高分子が水により膨潤または溶解することにより、剥離脱落したり、薬物が漏出流去してしまう場合がある。また、水膨潤性の高分子の膨潤による接着剤層の変形が大きい場合には、口腔内に著しい異物感を生じてしまう。また、剥離脱落等の問題が起こらない場合は、概ね強い接着力で接着するため、短時間で剥離を行おうとすると(速やかに剥離を行おうとすると)、痛みをともなったり、口腔内の粘膜を損傷する危険性がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、口腔内での接着に相応しい適度な接着力で接着し、剥離脱落や薬物の漏出流去を起こすことなく、かつ、貼付による違和感が殆どなく、しかも、短時間でも容易に剥離できる口腔内貼付製剤を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
近年、外皮を経由して薬物を投与する手段として、感圧性接着剤を用いた経皮吸収型の医薬品が種々考案され、広く用いられるようになってきている。こうした経皮吸収型の医薬品にはさまざまな形態のものがあるが、代表的なものとして、薬物を含有する非水溶性の感圧性接着剤層と支持体層とよりなる粘着シート型の貼付製剤が挙げられる。
【0008】
上記経皮吸収製剤で広く用いられている非水溶性の感圧性接着剤層を有する粘着シート型の貼付製剤は、口腔内貼付製剤としては使用されていない。これは、非水溶性の感圧性接着剤層が一般に水分で濡れた被着体に対して接着性を示さないと認識されていたためである。
【0009】
しかしながら、本発明者らの鋭意研究の結果、疎水性の感圧性接着剤層、すなわち、実質的に水に溶解しない感圧性接着剤層(非水溶性感圧性接着剤)や実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層は、被着体表面に水が流体としてふるまう程度に多量に存在する場合には、被着体への接着が困難であるが、被着体表面に多量に存在する水を取り除くことにより、被着体表面が多少水分で濡れた状態にあっても、被着体に接着しうるという事実を見いだした。本発明はかかる新知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は以下の特徴を有している。
(1)薬物を含む、実質的に水に溶解しないか若しくは実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層が、支持体の少なくとも片面に設けられてなる口腔内貼付製剤。
【0011】
(2)支持体が、JIS−L1085に規定する質量が20g/m2 〜150g/m2 で、かつ、JIS−L1085に規定する厚さが0.1mm〜1.0mmである不織布からなる上記(1)記載の口腔内貼付製剤。
【0012】
(3)不織布のJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が10mm〜80mmである上記(2)に記載の口腔内貼付製剤。
【0013】
(4)不織布がポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維の何れか又は両者を主体としてなる上記(2)または(3)記載の口腔内貼付製剤。
【0014】
(5) 不織布がスパンレース不織布である上記(2)〜(4)のいずれかに記載の口腔内貼付製剤。
【0015】
(6)薬物を含む感圧性接着剤層と支持体を併せたもののJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が15mm〜60mmである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の口腔内貼付製剤。
【0016】
(7)実質的に水に溶解しないか若しくは実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層が、アクリル系重合体からなる粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤及びビニルエステル系粘着剤からなる群から選択される少なくとも1種からなる上記(1)〜(6)のいすれかに記載の口腔内貼付製剤。
【0017】
(8)アクリル系重合体からなる粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体である上記(7)記載の口腔内貼付製剤。
【0018】
(9)(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体が(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99重量%と(メタ)アクリル酸1〜35重量%とを共重合してなるものである上記(8)記載の口腔内貼付製剤。
【0019】
(10)薬物が局所麻酔薬である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の口腔内貼付製剤。
【0020】
(11)局所麻酔薬がコカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プピバカイン、ジブカイン、プロポキシカイン、エチドカイン、ジクロニン及びこれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種からなる上記(10)記載の口腔内貼付製剤。
【0021】
(12)薬物が全身性薬物である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の口腔内貼付製剤。
【0022】
(13)全身性薬物がコルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、全身麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、抗潰瘍剤、及び生体医薬から選択される少なくとも1種からなる上記(12)記載の口腔内貼付製剤。
【0023】
本発明において、「実質的に水に溶解しないか若しくは実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層」とは、「20℃での十分量の水に対する溶解量が5重量%以下で、かつ、常温で感圧接着性を示す粘着性高分子、及び/または、20℃での十分量の水に対する吸収量が5重量%以下で、かつ、常温で感圧接着性を示す粘着性高分子、を主体として形成された接着剤層」を意味している。
【0024】
本発明の口腔内貼付製剤では、口腔内の貼付製剤を貼付すべき箇所に多量の水分が存在する場合は、予めその水を拭き取る等して多量の水を取り除いた後に貼付する。もちろん、貼付すべき箇所の水分が少なく、接着に支障をきたさない程度の量であれば、水を取り除く作業を行うことなく、貼付すればよい。また、口腔内表面において水分が比較的多量に存在する状態にあっても、投与する薬物の種類によっては、概ねその薬物投与に必要な時間は、貼付製剤が口腔内の表面に貼付されることを確認している。
【0025】
例えば、歯科医が実際の処置において、歯肉等の口腔内の粘膜を乾燥する手法は、殆どがエアーシリンジによる空気乾燥であるが、このエアーシリンジによる空気乾燥では、水分蒸発による冷却で疼痛を生ずる場合がある為、その吹き付け時間は数秒程度である。よって、多くの場合、十分に水分が除かれた状態とはならず、水分が多少残ることとなる。このような場合でも、本発明の口腔内貼付製剤は、口腔内の粘膜に対して程好く弱接着し、容易に剥離することができる。
【0026】
実際の口腔内への薬物投与においては、貼付製剤の接着剤層は工業的に必要とされるような強い接着性は必要ではなく、弱い接着力、短い接着時間で十分実用的であり、また、後述するように、弱い接着力、短い接着時間が、場合によってはむしろ好ましいときもある。
【0027】
本発明の口腔内貼付製剤は、被着体表面に比較的多く水分が存在する場合及び被着体表面が比較的柔らかい場合には比較的短時間で接着性を失い、被着体表面に比較的少なく水分が存在する場合及び被着体表面が比較的固い場合には比較的長時間接着性を維持する。よって、一般に、頬内面の粘膜表面では、接着力が弱く接着時間も短くなる傾向を示し、一方、歯茎の表面は比較的接着力が強く接着時間も長くなる傾向を示す。
【0028】
歯科領域での治療行為における局所麻酔薬投与は短時間で行なわれることが望ましく、口腔内貼付製剤も短時間で効果が発現し、短時間で容易に剥離できる弱接着のものが要求される。前記従来の水溶性或いは水膨潤性の高分子を基剤とする口腔内貼付製剤は、前述したように、口腔内の粘膜に対する接着力が高い為に貼付後短時間で剥離する場合には、痛みを伴ったり、粘膜を損傷するおそれがある。また、膨潤による薬物の急激な放出を避ける為に徐放化されているものが多く、短時間では十分な薬効が期待できない。
【0029】
これに対し、本発明の、薬物を含む、実質的に水に溶解しないか若しくは実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層を用いた口腔内貼付製剤は、接着剤と薬物との親和性が比較的低い為に、口腔内に貼付した場合、薬物がバースト的に放出され、貼付後短時間で薬効が発現する。
【0030】
よって、本発明の口腔内貼付製剤は、特に、薬物として局所麻酔薬を担持させて、歯科領域における表面麻酔用途に使用するのに適している。
【0031】
また、実質的に水に溶解しないか若しくは実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層は、膨潤による剥離脱落や薬物の漏出流去を起こさず、薬物の苦みを感じたり、不要な部位に薬効が発現したりすることが無く、また、薬物の利用効率も良い。さらに、膨潤による変形が無い為、異物感を生じ難い。
【0032】
口腔内は知覚が鋭敏な部位であり、かつ、歯部、舌部等により複雑で狭い空間配置を呈している為、口腔内に適用する貼付製剤は、取扱性が良く、かつ、貼付時に異物感や突っ張り感等の違和感が少ないことが要求される。一般に、感圧性接着剤層は実用的な厚みの範囲において、柔軟で追従性に富む。よって、口腔内での取扱性及び貼付時の違和感は概ね感圧性接着剤層を支持する支持体の物性によって大きく左右される。すなわち、支持体が柔軟であれば、口腔内の凹凸面へも良好に貼付でき、しかも、貼付時の違和感が緩和される。
【0033】
よって、本発明の口腔内貼付製剤では、薬物を含む、実質的に水に溶解しないか若しくは実質的に水を吸収しない感圧性接着剤層が、柔軟な支持体で支持されていることが重要である。
【0034】
本発明の口腔内貼付製剤に用いられる支持体は、実使用において、口腔内貼付製剤の口腔内での取り扱い性が良好となり、かつ、貼付時の違和感を軽減しうる適度な柔軟性を有するものであれば、その材質は特に限定されない。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂などの合成樹脂からなる単独フィルムまたはラミネートフィルム;ゴム、上記合成樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、及びナイロン等のポリアミドから選ばれる少なくとも一つを用いて作製された多孔性フィルムまたはシート;不織布、織布、またはこれらと上記合成樹脂のフィルム若しくは厚みが15μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルムとのラミネート物等が挙げられる。
これらの中でも、不織布が特に好ましく使用される。不織布は口腔内貼付製剤に望ましい柔軟性が得られやすく、特に、貼付状態での違和感軽減に有効である。
【0035】
不織布としては、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、トリアセテート、プロミックス、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ベンゾエート、ポリクラール等の化学繊維、綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維からなる不織布が好適である。特に、安定性、安全性、経済性などの点からポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維の何れか一方または両者を主体としてなる不織布が好ましい。また、異なる二種の成分からなる分割繊維を用いてもよい。分割繊維とは一つの繊維中に二種の成分、例えばポリプロピレンとポリエステルを長さ方向に連続的に練り込んだものであり、不織布を作る工程で一方の成分を抽出したり、強い衝撃を与えたりすることにより、みかんを輪切りにした時に房が別れるが如く分割してより細い繊維が得られるものである。
【0036】
不織布の製法は特に限定されないが、メディカル製品で用いられる乾式バインダー法、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、エアレイプロセス法、ニードルパンチ法、TCF法、ベンリーゼ法、湿式法、メルトブローン法等があり、伸縮性、安全性の点からスパンレース法で製造されたものが好ましく用いられる。スパンレース不織布は、通常スパンレース、ウォーターパンチ、ウォータージェット、ジェットボンド等で表現される、バインダーを使わずに繊維を交絡させる製造方法によって製造される。
【0037】
不織布は、JIS−L1085に規定する質量が20g/m2 〜150g/m2 のものが好ましく、50g/m2 〜120g/m2 のものがより好ましい。質量が上記範囲よりも小さい場合、概ね軟らかくなり過ぎて貼付製剤の取扱性が低下する傾向を示し、また、薬物及び接着性高分子の材質によってその程度は異なるが、薬物や薬物を含む感圧性接着剤層が支持体から裏抜けする危険性がある。上記範囲よりも大きい場合は、クッション性は大きくなるものの概ね全体的に固くなり異物感を生じやすい傾向となる。
【0038】
繊維が上記質量の範囲でも、その繊維密度が高すぎると伸縮性が低下して、凹凸面への追従性が低下する傾向を示し、また低すぎると繊維の交絡が不十分となって、繊維の脱落が起き易くなる。よって、不織布はJIS−L1085に規定する厚さが0.1mm〜1.0mmであるのが好ましく、0.2mm〜0.8mmであるのがより好ましい。
【0039】
また、不織布はそのJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が10mm〜80mmであるのが好ましく、30mm〜70mmであるのがより好ましい。剛軟度がこの数値範囲にあることにより、貼付製剤が好ましい剛性を有するものとなり、貼付作業時の取扱性及び貼付製剤の凹凸面への密着性がより一層向上する。
【0040】
支持体を上記合成樹脂の単独またはラミネートフィルムとする場合、柔軟性の点で、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはポリテトラフルオロエチレン製のフィルムを用いるのが好ましい。また、その厚みは0.001mm〜0.01mmとするのが好ましく、0.002mm〜0.008mmとするのがより好ましい。また、上記多孔性フィルムまたはシートや、不織布及び/または織布の、上記合成樹脂を用いたフィルムラミネート物、若しくは、厚みが10μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルムとのフィルムラミネート物とする場合、その厚みは0.1〜1mmとするのが好ましく、0.2mm〜0.8mmとするのがより好ましい。
【0041】
本発明において、薬物を含む、感圧性接着剤層に用いられる、20℃での十分量の水に対する溶解量が5重量%以下で、常温で感圧接着性を示す粘着性高分子、または、20℃での十分量の水に対する吸収量が5重量%以下で、常温で感圧接着性を示す粘着性高分子としては、例えば、アクリル系重合体からなる粘着剤、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンなどのゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベースなどのシリコーン粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体などのビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレートなどのカルボン酸成分とエチレングリコールなどの多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤等を挙げることができる。
【0042】
好ましくは、アクリル系重合体からなる粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤及びビニルエステル系粘着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。中でも、口腔内粘膜への接着性、薬物溶解性、薬物安定性などの点から、アクリル系重合体からなる粘着剤が特に好ましい。
【0043】
上記アクリル系重合体とは、通常のアクリル系粘着剤に用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として、これに官能性単量体を共重合することによって得られるものである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的にはアルキル基がブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなどの炭素数4〜13の直鎖アルキル基や分岐アルキル基などを有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができ、これらは一種もしくは二種以上用いることができる。また、上記(メタ)アクリル酸エステルは、上記例示のものに限定されるものではなく、本発明の特性を変化させない範囲であれば、炭素数1〜3或は炭素数14以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを併用してもよい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させる官能性単量体としては、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも一個有するとともに、官能基を側鎖に有するものが使用できる。
【0044】
かかる官能性単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルなどのヒドロキシル基含有単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミドなどのアミド基含有単体;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリルエステルなどのアルコキシル基含有単量体等が挙げられる。
また、これら以外に共重合できる単量体としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどが挙げられる。
【0045】
上記主成分単量体の一種もしくは二種以上と官能性単量体の一種もしくは二種以上とを共重合して得られたアクリル系重合体のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体が好適に使用される。これは、かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体は、粘着特性としての感圧粘着性や凝集性、粘着剤層中に含有する薬物の放出性などに特に優れるためである。また、かかる点から、上記共重合体は(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99重量%と(メタ)アクリル酸1〜35重量%を重合して得られる共重合体であるのがより好ましい。
【0046】
感圧性接着剤層には、必要に応じて、粘着性をさらに向上させるために、粘着性付与剤(例えば、ロジン、変性ロジン、石油系樹脂、ポリテルペン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブテン樹脂、液状ポリイソブチレンなど)、可塑剤(例えば、流動パラフィンなど)、吸収促進剤、界面活性剤、充填剤などの公知の添加剤を配合してもよい。
【0047】
薬物は、その薬効(使用用途)に応じて、感圧性接着剤層に溶解状態、過飽和結晶析出状態もしくは分散状態にて含有させる。これにより、各種疾患の治療及び/または予防を目的とした口腔内貼付製剤とすることができる。
【0048】
前記したように、本発明における薬物を含む感圧性接着剤層では、接着剤と薬物との親和性が比較的低く、貼付後比較的短時間で効果が発現し、また、口腔粘膜に対して弱接着性であるので剥離し易い。歯科及び口腔外科領域での治療行為における薬物投与は短時間で行なわれることが望ましい。よって、本発明の口腔内貼付製剤は歯科及び口腔外科領域での局所性薬物の投与、特に、投与時間が短いことが好ましい局所麻酔剤の投与に好適である。
【0049】
ここでの感圧性接着剤層に含有させて短時間投与を行う局所性薬物としては、例えば、リドカイン等の局所麻酔剤、塩酸テトラサイクリン等の歯科用抗生物質、塩化セチルピリジニウム等の殺菌消毒剤、塩酸クロルヘキシジン等の口腔内感染予防治療剤、アズレン等の消炎剤等を挙げることができる。
【0050】
上記局所麻酔剤としては、リドカインの他、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プピバカイン、ジブカイン、プロポキシカイン、エチドカイン、ジクロニン等を挙げることができ、これらリドカインを含む例示の物質及びこれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0051】
また、本発明の口腔内貼付製剤は、基本的に口腔粘膜に対して弱接着性であるが、口腔内の適用部位における粘膜の表面から唾液等の水分を十分に取り除いて、水分の残存量が極めて微量となるようにすれば、薬物の経粘膜吸収に十分な時間は付着させることも可能である。よって、全身性薬物の投与のための使用も期待できる。また、上顎及び下顎歯肉部外側に貼付した場合は口唇で押さえられる為に長時間の付着が可能となる。よって、全身性薬物の長時間投与も可能である。
【0052】
ここでの感圧性接着剤層に含有させる全身性薬物としては、例えばコルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、全身麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、抗潰瘍剤、生体医薬等の種々の全身性薬物を挙げることができる。
【0053】
感圧性接着剤層の厚みは、通常、10μm〜200μm、好ましくは15μm〜150μmとする。層内の薬物の含有量は、薬物種や投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常、1重量%〜80重量%、好ましくは2重量%〜70重量%程度含有させる。含有量が1重量%に満たない場合は、治療や予防に有効な量の薬物放出が期待できず、また80重量%を越えると、接着性の低下により貼着しなくなるため、治療や予防効果に限界が生じ、また、経済的にも不利となる。
【0054】
本発明において、感圧性接着剤を構成する粘着性高分子は、薬物の投与目的に応じて選定される。すなわち、短時間投与を目的とする場合は、含有する薬物の放出性に優れる粘着性高分子を選定し、長時間投与を目的とする場合は、含有する薬物に対して、比較的徐放性に富む粘着性高分子を選定することが望ましい。
【0055】
本発明では、短時間投与を目的とする製剤とした場合及び長時間投与を目的とする製剤とした場合のいずれにおいても、感圧性接着剤層が膨潤や溶解したりせず、剥離脱落や薬物の漏出流去が生じ難い為、薬物の利用効率が良い。さらに、感圧性接着剤層の膨潤による変形が無い為、貼付状態において違和感を生じることも殆どない。
【0056】
本発明の口腔内貼付製剤は、取扱性と使用感のバランスの点から、薬物を含む感圧性接着剤層と支持体を併せたもののJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が15mm〜60mmであることが好ましく、20mm〜50mmであることがより好ましい。剛軟度が、この範囲を外れて小さい場合、取扱性が低下する傾向を示し、例えば、歯部、舌部等により複雑で狭隘な空間配置を呈している口腔内での貼付操作がしずらくなる場合があり、この範囲を外れて大きい場合、貼付時の異物感を感じやすい傾向となる。
【0057】
本発明の口腔内貼付製剤の製造方法は特に限定されない。例えば、薬物、粘着性高分子等を溶媒に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥して感圧性接着剤層を支持体の少なくとも片面に形成する方法などが挙げられる。
【0058】
また、上記の溶液または分散液を保護用の離型ライナー上に塗布し、乾燥して離型ライナー上に感圧性接着剤層を形成し、この離型ライナー上に形成した感圧性接着剤層と支持体とを接着する方法によって製造することができる。
【0059】
上記離型ライナーを具備する形態とした場合、製造時、運搬時または保存時に、感圧性接着剤層が、予期せず、器具、容器などに接触して接着してしまうことを防止できる。また、口腔内の粘膜に貼付を行う直前まで、感圧性接着剤層の露出面を離型ライナーで被覆保護し、口腔内の粘膜への貼付時に離型ライナーを剥離して粘膜を行うことができるので、感圧性接着剤層の接着性及び薬物の劣化を防止できる。
【0060】
離型ライナーとしては、使用時に感圧性接着剤層から容易に剥離されるものであれば、その材質は特に限定されない。例えば、感圧性接着剤層と接触面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂などを塗布することによって剥離処理が施された、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、上質紙、グラシン紙などの紙、あるいは上質紙またはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等、が用いられる。該離型ライナーの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは50〜100μmである。
【0061】
本発明の口腔内貼付製剤の形状は、実質的に貼付が可能な形状であればよく特に制限は無いが、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、亀甲形等が挙げられ、特に、処置医等が扱い易い点から長方形または正方形が好ましい。その大きさは口腔内での貼付に適した大きさであり、例えば、長方形の場合、一般に短辺が0.5cm〜2cm、長辺が1cm〜5cm、好ましくは、短辺が0.8cm〜1.5cm、長辺が2cm〜4cmである。また、正方形の場合、一般に一辺が0.5cm〜2cm、好ましくは0.8cm〜1.5cmである。
【0062】
前記したように、本発明の口腔内貼付製剤を貼付する場合、事前に貼付部位付近の唾液等の水分を吸引、拭き取り、または、エアーシリンジ(圧縮空気を噴射して口腔内の処置部位を乾燥させるシリンジ型の装置)等による乾燥等により除去しておくのが望ましい。
【0063】
本発明の口腔内貼付製剤を局所性薬物を含む口腔内貼付製剤とした場合、主として歯肉部に貼付され、直ちに薬効が発現する。本発明の口腔内貼付製剤を全身性薬物を含む口腔内貼付製剤とした場合、水分を十分に除去した頬粘膜、唇内側粘膜、舌下、歯肉部等に貼付され、数十分から数時間程度、薬効が持続する。さらに本発明の全身性薬物を含む口腔内貼付製剤を水分を適度に除去した上唇内側粘膜又は上顎歯肉部外側に貼付すれば、唾液との接触が少なく、唇と歯茎とで押さえられる為に剥がれにくく、より長時間、薬効が持続する。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例により説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の記載において、「部」は重量部を意味する。また、不織布の質量と厚みはJIS−L1085に規定する方法で測定した値であり、支持体の剛軟度、及び、支持体と接着剤層を併せたものの剛軟度は、JIS−L1085に規定する方法(45°カンチレバ法)により測定した値である。
【0065】
〔粘着剤A溶液の調製〕
不活性ガス雰囲気下で、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル95部及びアクリル酸5部とを酢酸エチレン中で共重合させて、粘着剤A溶液を調製した。
【0066】
〔粘着剤B溶液の調製〕
不活性ガス雰囲気下で、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル50部、アクリル酸2−メトキシエチルエステル25部及び酢酸ビニル25部を、粘着剤A溶液と同様の操作で重合して粘着剤B溶液を調製した。
【0067】
〔粘着剤C溶液の調製〕
不活性ガス雰囲気下で、アクリル酸2−メトキシエチルエステル65部、ビニルピロリドン30部及びアクリル酸5部を、粘着剤A溶液と同様の操作で重合して粘着剤C溶液を調製した。
【0068】
〔ゴム系高分子D溶液の調製〕
ポリイソブチレン(粘度平均分子量12万)50部、ポリイソブチレン(粘度平均分子量6万)30部及び脂環族系石油樹脂(軟化点100℃)20部をへキサン中で均一に混合し、ゴム系高分子D溶液を調製した。
【0069】
実施例1
粘着剤A溶液40部(固形分)にリドカイン60部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約20μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリプロピレン及びポリエステル混合繊維不織布(厚さ0.5mm、質量90g/m2 )に貼り合わせて本発明の局所麻酔用途の口腔内貼付製剤を作製した。また、不織布の剛軟度と、口腔内貼付製剤(不織布と粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、不織布の剛軟度は57mm、口腔内貼付製剤の剛軟度は42mmであった。
本製剤の1辺が1cmの正方形のものを、上顎歯肉部外側に貼付したところ、作業性(取り扱い性)よく貼付でき、貼付状態での違和感は殆ど感じられず、貼付後2分で十分な麻酔効果が認められ、容易に剥離することができた。
なお、貼付状態での使用感及び麻酔効果は、5人のボランティア(被試験者)の官能評価であり、貼付作業性(取扱性)は貼付作業者の官能評価である。麻酔効果の確認は、5人の被試験者に対して貼付製剤を貼付していた歯肉部分に注射針による刺激を加えて痛みを感じるか否かを調べたものである。麻酔効果では5人とも注射針による痛みを感じなかった。
【0070】
実施例2
粘着剤A溶液40部(固形分)にリドカイン60部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約20μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリプロピレン繊維製不織布(厚さ0.6mm、質量100g/m2 )に貼り合わせて本発明の局所麻酔用途の口腔内貼付製剤を作製した。また、不織布の剛軟度と、口腔内貼付製剤(不織布と粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、不織布の剛軟度は33mm、口腔内貼付製剤の剛軟度は30mmであった。
本製剤の1辺が1cmの正方形のものを用いて、上記実施例1と同様の評価試験を行ったところ、上記実施例1と同様の良好な結果を得ることができた。
【0071】
参考例3
粘着剤A溶液40部(固形分)にリドカイン60部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約20μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリエチレン製フィルム(厚み40μm)に貼り合わせて、局所麻酔用途の口腔内貼付製剤を作製した。ポリエチレン製フィルムの剛軟度と、口腔内貼付製剤(ポリエチレン製フィルムと粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ21mmと17mmであった。
本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、下顎歯肉部外側に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付状態での違和感は殆ど感じられず、貼付後2分で十分な麻酔効果が認められ、容易に剥離することができた。
なお、ここでの評価は実施例1と同様に行った。麻酔効果では5人とも注射針による痛みを感じなかった。
【0072】
参考例4
粘着剤B溶液95部(固形分)にテトラカイン5部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(50μm厚み)に貼り合わせて、局所麻酔用途の口腔内貼付製剤を作製した。エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムの剛軟度と、口腔内貼付製剤(エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムと粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ18mm、と16mmであった。
本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、上顎歯肉部内側に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付状態での違和感は殆ど感じられず、貼付後10分で十分な麻酔効果が認められ、容易に剥離することができた。
なお、ここでの評価は実施例1と同様に行った。麻酔効果では5人とも注射針による痛みを感じなかった。
【0073】
参考例5
粘着剤C溶液70部(固形分)にミリスチン酸イソプロピル20部、塩酸リドカイン10部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリエステルフィルム(約2μm厚み)ラミネートポリエステル不織布(厚み約600μm、質量100g/m2 )のフィルム面に貼り合わせて、局所麻酔用途の口腔内貼付製剤を作製した。ポリエステルフィルムラミネートポリエステル不織布の剛軟度と、口腔内貼付製剤(ポリエステルフィルムラミネートポリエステル不織布と粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ69mmと44mmであった。
本製剤の直径が1cmの円形のものを、上顎歯肉部外側に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付状態での違和感は殆ど感じられず、貼付後10分で十分な麻酔効果が認められ、容易に剥離することができた。
なお、ここでの評価は実施例1と同様に行った。麻酔効果では5人とも注射針による痛みを感じなかった。
【0074】
参考例6
ゴム系高分子D溶液60部(固形分)にミリスチン酸イソプロピル30部、ベンゾカイン10部を加えて混合分散し、得られた分散液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリテトラフルオロエチレン製フィルム(約60μm厚)に貼り合わせて、局所麻酔用途の口腔内貼付製剤を作製した。ポリテトラフルオロエチレン製フィルムの剛軟度と、口腔内貼付製剤(ポリテトラフルオロエチレン製フィルムと粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ37mmと30mmであった。
本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、上顎歯肉部外側に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付状態での違和感は殆ど感じられず、貼付後10分で十分な麻酔効果が認められ、容易に剥離することができた。
なお、ここでの評価は実施例1と同様に行った。麻酔効果では5人とも注射針による痛みを感じなかった。
【0075】
比較例1
ヒドロキシプロピルセルロース溶液90部(固形分)にリドカイン10部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリウレタン製フィルム(100μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して局所麻酔用途の歯科用口腔内フィルム製剤を作製した。本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、下顎歯肉部外側に貼付し、10分後に剥離したところ、周辺部が膨潤して異物感を感じ、強接着の為、貼付状態において痛みを感じ、剥離時には強い痛みを感じた。また薬物の漏出による苦味も感じた。貼付10分後の麻酔効果は十分でなかった。
なお、ここでの評価は実施例1と同様に行った。麻酔効果では5人のうち4人が注射針による痛みを感じ、残る一人もわずかに痛みを感じた。
【0076】
参考例7
上記記載の実施例1〜3、参考例4〜6はいずれも局所麻酔剤の投与に用いる口腔内貼付製剤の例である。本参考例は消炎剤の投与に用いる口腔内貼付製剤の例である。
粘着剤B溶液95部(固形分)にアズレン5部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリエステル不織布(厚さ0.6mm、質量100g/m2 )に貼り合わせて消炎用途の口腔内貼付製剤を作製した。ポリエステル不織布の剛軟度と口腔内貼付製剤(ポリエステル不織布と粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ43mm、29mmであった。
本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、上顎歯肉部内側に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付時の違和感は殆ど感じられず、貼付後10分で容易に剥離することができた。
なお、ここでの評価は実施例1と同様に行った。
【0077】
以下の参考例8、9は全身性薬物の投与目的の口腔内貼付製剤の例である。
【0078】
参考例8
粘着剤C溶液95部(固形分)にジアゼパム5部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリプロピレン不織布(厚さ0.6mm、質量100g/m2 )に貼り合わせて、抗鬱剤用途の口腔内貼付製剤を作製した。ポリエステル不織布の剛軟度と口腔内貼付製剤(ポリエステル不織布と粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ33mm、29mmであった。
本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、左頬粘膜に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付時の違和感は殆ど感じられず、貼付2時間経過後においても、製剤は貼付部位に接着していた。なお、左頬粘膜の表面は貼付製剤の貼付前にエアーシリンジによる水分除去を行った。ここでの評価は実施例1と同様の5人のボランティア(被試験者)と貼付作業者による官能評価である。
【0079】
参考例9
ゴム系高分子D溶液70部(固形分)にミリスチン酸イソプロピル20部、シメチジン10部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリプロピレン及びポリエステル混合繊維製不織布(厚さ0.5mm、質量90g/m2 )に貼り合わせて、抗潰瘍剤用途の口腔内貼付製剤を作製した。ポリプロピレン及びポリエステル混合繊維製不織布の剛軟度と口腔内貼付製剤(ポリプロピレン及びポリエステル混合繊維製不織布と粘着剤層を併せたもの)の剛軟度を測定したところ、それぞれ54mm、41mmであった。
本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、上顎歯肉部外側に貼付したところ、作業性(取扱性)よく貼付でき、貼付時の違和感は殆ど感じられず、貼付8時間経過後においても、製剤は貼付部位に接着していた。なお、上顎歯肉部外側の表面は貼付製剤の貼付前にエアーシリンジによる水分除去を行った。ここでの評価は実施例1と同様の5人のボランティア(被試験者)と貼付作業者による官能評価である。
【0080】
比較例2
ヒドロキシプロピルセルロース溶液95部(固形分)にジアゼパム5部を加えて混合溶解し、得られた溶液をポリウレタン製フィルム(100μm厚)上に乾燥後の厚みが約100μmとなるように塗布、乾燥して抗鬱剤用途の水膨潤性口腔内フィルム製剤を作製した。本製剤の短辺1cm、長辺3cmの長方形のものを、下顎歯肉部外側に貼付したところ、30分程で端が膨潤し始め、2時間で厚みが約15倍位に膨潤して、非常に強い違和感を感じた。貼付後約3時間で脱落した。なお、上顎歯肉部外側の表面は貼付製剤の貼付前にエアーシリンジによる水分除去を行った。ここでの評価は実施例1と同様の5人のボランティア(被試験者)と貼付作業者による官能評価である。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明の口腔内貼付製剤によれば、口腔内の粘膜に適度な接着力で接着し、しかも、短時間でも容易に剥離することができる。特に、剥離脱落や薬物の漏出流去を起こすことなく、薬物を効率よく投与できるとともに、患者が貼付により著しい異物感を感じることもないため、実用上極めて有益である。

Claims (4)

  1. 局所麻酔薬を含む、炭素数4〜13の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99重量%と(メタ)アクリル酸1〜35重量%とを共重合したアクリル系重合体からなる感圧性接着剤層が、支持体の少なくとも片面に設けられてなる口腔内貼付製剤であって、
    前記支持体がJIS−L1085に規定する質量が20g/m 2 〜150g/m 2 で、かつ、JIS−L1085に規定する厚さが0.1mm〜1.0mmである不織布であって、JIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が30mm〜70mmの不織布からなり、
    当該貼付製剤のJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が20mm〜50mmであることを特徴とする、口腔内貼付製剤。
  2. 不織布がポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維の何れか、または、両者を主体としてなる請求項記載の口腔内貼付製剤。
  3. 不織布がスパンレース不織布である請求項1又は2記載の口腔内貼付製剤。
  4. 局所麻酔薬がコカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プピバカイン、ジブカイン、プロポキシカイン、エチドカイン、ジクロニン及びこれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種からなる請求項1記載の口腔内貼付製剤。
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