JP4797394B2 - フラーレン類表面修飾基材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
上記実用化の可能性に関する研究のうちでも、電気電子機器、自動車、建築資材、工業機械の部品など、様々な製品へ応用される表面処理剤としての適用は、フラーレン類の用途として大きく期待される分野の一つであると本発明者は考えている。なぜなら、フラーレン類は、極めて特異的な結合構造、化学的性質、電子状態等に由来する様々な機能を有する。このため、フラーレン類を表面処理剤として利用すれば、フラーレン類が有する上記様々な機能が有効に発揮されるようになると考えられるからである。
リチウム二次電池にフラーレン誘導体を用いる技術として、水素化C60又は水素化C70をグラファイトやカーボンの表面に吸着させて負極に用いる技術がある(特許文献1)。この技術においては、水素化C70を溶解させたジクロロナフタレン溶液にSFG44グラファイトを加え、その後上記ジクロロナフタレンをデカンテーションにより除去して、上記グラファイト表面に水素化C70を吸着させている(同文献p.9第13行目から第19行目)。
また、上記方法においては、溶媒中に溶解した分子状態の水素化C70がグラファイト表面へ吸着することによってグラファイト表面が処理される。このため、グラファイトの表面処理の精密な制御(表面処理量の制御やグラファイト表面に存在する水素化C70の粒径の制御)が困難となる傾向にある。
このため、フラーレン類をグラファイト等の基材表面に存在させる際に、表面処理を精密に行う新しい方法の開発が望まれている。
また、本発明の他の要旨は、フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αと、上記溶媒Aよりも上記フラーレン類の溶解度が低い溶媒B及び基材を含有する組成物βとを準備した後、上記組成物βと上記組成物αとを接触させて、上記基材表面に上記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法に存する。
さらに、本発明のさらに他の要旨は、上記フラーレン類表面修飾基材の製造方法によって製造されることを特徴とするフラーレン類表面修飾基材に存する。
また、本発明のさらに他の要旨は、上記フラーレン類表面修飾基材を含有することを特徴とするリチウム二次電池用の負極に存する。
なお、本発明において「フラーレン類」としては、通常、
(イ)フラーレン
(ロ)フラーレン誘導体、フラーレンを有する錯体、金属内包フラーレン(メタロフラーレン)等のフラーレン骨格を有する物質
(ハ)フラーレン類が有する球殻構造同士が直接又は少なくとも1つの原子を介して結合した状態にある複数のフラーレン骨格を分子内に有するフラーレン類、
(ニ)上記(イ)、(ロ)、(ハ)のフラーレン類を任意に混合したもの
を挙げることができる。
また、本発明において、「基材表面にフラーレン類が存在する」とは、フラーレン類表面修飾基材製造後の実際の用途に用いられる前の状態において、フラーレン類が上記球殻構造又は略球殻状の構造を維持した状態で基材表面上に存在することをいう。つまり、フラーレン類表面修飾基材が実際に用いられる用途(例えばリチウム二次電池)によっては、フラーレン類の上記球殻構造又は略球殻状の構造の全部又は一部が欠損または破壊される場合があるが、このようなフラーレン類表面修飾基材であっても、本発明におけるフラーレン類表面修飾基材に含まれるものである。
本発明のフラーレン類表面修飾基材の製造方法の大きな特徴は、フラーレン類の溶解性が低い溶媒Bを接触させてフラーレン類を基材表面に晶析させる点にある。このような手法を用いることにより、基材表面へのフラーレン類の修飾を均一に行いやすくなる利点がある。また、上記手法を用いることにより、微粒子のフラーレン類を修飾させやすくなる。このため、フラーレン類の添加量(修飾量)を少なくした場合においても、フラーレン類による表面修飾効果が十分に発揮されやすくなる。
A.第1の製造方法
第1の製造方法(以下製法1という場合がある。)は、
基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させた後、
前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させて、
前記基材表面に前記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とする。
A−1.基材
基材は、一定の形状を保持するものであれば特に限定されず、例えば板状や粉体状の形態を挙げることができる。
基材が板状の場合における基材の膜厚は、用途によっても大きく異なるものであるが、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上である。一方、基材の膜厚は、通常1m以下、好ましくは10cm以下、より好ましくは1cm以下、最も好ましくは1mm以下である。
基材が粒子状の場合における基材の粒径は、用途によっても大きく異なるものであるが、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上であり、一方、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
無機材料としては、金属(純金属および合金)、金属化合物、半導体(例えばSi、Ge、GaAsに代表されるIII−V族半導体、Zn−Seに代表されるII−VI族半導体)、ガラス類、コンクリート、アスファルト、各種セラミック類、各種岩石、木等の木材等を挙げることができる。
金属としては、例えば純金属および合金を挙げることができる。具体的には、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Li(リチウム)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、In(インジウム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Y(イットリウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の単体または合金を挙げることができる。
半導体化合物としては、上記半導体の酸化物、上記半導体の複合酸化物、上記半導体の硫化物、上記半導体の弗化物、上記半導体の塩化物を挙げることができる。
ガラス類としては、各種のケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、石英ガラスを挙げることができる。
上記無機材料のうち、より具体的には、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の金属、顔料として用いられる酸化鉄、アルミナ、シリカ、及びチタニア、リチウム二次電池の正極活物質として用いられるリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、酸化マンガン(MnO)、酸化バナジウム(V2O5、V6O13)等の金属化合物が特に好ましい。
例えばフラーレン類表面修飾基材の用途としてリチウム二次電池を考慮した場合は、機能性が高いことから、炭素性物質が好適に用いられる。また、高分子材料の耐熱性を向上させるためにフラーレン類を用いる場合には、当然ながら基材としては高分子材料が用いられる。
黒鉛材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛粉末およびその精製品、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックの黒鉛化品、気相成長炭素繊維等の炭素繊維が挙げられる。これらの中でも、容量の点から、人造黒鉛または天然黒鉛が好ましく、リチウム二次電池等に用いた場合には電池性能を制御しやすいことから人造黒鉛が特に好ましい。これらの黒鉛材料は、表面をアモルファス処理したものであってもよい。
A−2.フラーレン類
フラーレン類としては、例えば、フラーレン、フラーレン誘導体等のフラーレン骨格を有する物質を用いることができる。以下、これらフラーレン骨格を有する物質の代表例として、フラーレン及びフラーレン誘導体について説明する。なお、フラーレン、フラーレン誘導体を用いる場合においては、本発明の要旨の範囲内で、フラーレンとフラーレン誘導体との混合物を任意の割合で用いてもよい。
フラーレンは、通常、抵抗加熱法、レーザー加熱法、アーク放電法、燃焼法などにより得られたフラーレン含有スートから抽出分離することによって得られる。この際、スートからフラーレンを完全に分離する必要は必ずしもなく、性能を損なわない範囲でスート中のフラーレンの含有率を調整することができる。
フラーレン誘導体とは、上記のフラーレンを構成する少なくとも1つの炭素に有機化合物の一部分を形成する原子団や無機元素からなる原子団が結合した化合物をいう。
C60分子を例に取ると、3員環形成の付加反応としては(6−5)開環系フレロイドや(6−6)閉環系メタノフラーレンが挙げられる。フレロイドやメタノフラーレンにおいて付加された炭素原子はメチレン基であるが、このメチレン基の2個の水素を所定の置換基で置換すれば、より高次の誘導体が得られる。窒素原子により3員環を形成する場合はアザフレロイドとなり、窒素原子が有する3つの結合手のうち、フラーレン部分に結合する2つの結合手以外の結合手に結合する基を置換することにより多様な誘導体を得ることができる。
例えば、求核負荷反応においては、有機リチウム試薬やグリニャール試薬などとの反応により、アルキル基やフェニル基などをフラーレンに導入することができる。また、例えば、同じく炭素求核剤であるシアン化ナトリウムとの反応によれば、シアノ基をフラーレンに導入することができる。このように、導入される基は用いられる試薬により変更することができる。上記求核付加反応や、シアン化ナトリウムとの反応により合成されるフラーレン誘導体は、アニオンとして塩を形成することもできるが、アニオンを求電子剤で捕捉することにより1,2―ジヒドロフラーレン誘導体とすることが多い。プロトンで捕捉すれば1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の1置換体を得ることができ、求電子剤の種類によれば第2の置換基としてメチル基やシアノ基を有する1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の2置換体を得ることができる。求核付加反応では他にシリルリチウムとの反応やアミンとの反応によりフラーレン誘導体を合成することもできる。
フラーレン誘導体を得るために、フラーレンに直接結合させる基又はフラーレンを環化付加した場合に付加した環を構成する元素が形成する基の式量としては、通常1以上、好ましくは6以上、より好ましくは16以上、さらに好ましくは20以上とする。式量を6以上とすれば、立体的に比較的大きい基(例えば、式量7となるLi)をフラーレン骨格に結合させることができ、フラーレン誘導体が安定化するものと考えられる。また、式量の上限は特に制限されず、上記基がポリマーのような高分子量のものであってもよい。但し、立体障害の点からは、式量は、1000以下にすることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下、特に好ましくは200以下とする。
カルコゲン原子としては、例えば酸素、イオウ、セレン、テルルを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、酸素、イオウである。
脂肪族炭化水素基のうち、脂鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニリル基である。
酸素を含む特性基は、酸素を含む基であれば何でもよいが、例えば水酸基、過酸化水素基、酸素(エポキシ基)、カルボニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは水酸基、酸素である。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メトキシ基、エトキシ基である。
カルボキシル基、エステル基としては、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、カルボキシ基、アセトキシ基である。
硫黄を含む特性基としては、硫黄を含む基であれば何でもよいが、例えばメルカプト基、チオ基(−S−)、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、チオホルミル基、チオアセチル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、チオカルバモイル基、スルホン酸基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トシル基、スルホアミノ基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メルカプト基、スルホン酸基である。
上記した所定の基のうち、特に好ましいのは、水素原子、ナトリウム、カリウム、酸素、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ビフェニリル基、エトキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。上記基の中で、酸素は結合手が2つあるが、それぞれの結合手がフラーレンを構成する炭素原子と結合してエポキシ基を形成する。
上記フラーレン誘導体は、常温常湿(25℃/50%RH)においては、粉末状であり、その2次粒径は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、一方通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
製法1においては、上記基材及び上記フラーレン類を溶媒Aに含有させる。
(1)溶媒A
溶媒Aとしては、フラーレン類を所定量溶解するような溶媒を用いる。溶媒Aとして好ましいのは、フラーレン類の溶媒A中での溶解度が0.01mg/ml以上となるような溶媒である。溶媒Aとしてより好ましくは、フラーレン類の溶媒A中での溶解度が0.1mg/ml以上となるような溶媒である。溶媒Aとしてさらに好ましくは、フラーレン類の溶媒A中での溶解度が1mg/ml以上となるような溶媒である。上記範囲とすれば、溶媒Aとして様々な溶媒を用いることができるようになり、フラーレン類の溶媒A中での濃度を自由に制御することができるようになる。
(イ)対象となる溶媒中に十分な量(例えば、溶解度が確実に0.01mg/ml以上となる位の十分な量)のフラーレン類を添加する。
(ロ)フラーレン類を添加した溶媒に対して、十分攪拌又は超音波分散等行うことによってフラーレン類を溶媒中で十分に分散させる。ここで、「十分に攪拌」又は「十分に超音波分散」の具体的な例としては、30分以上の攪拌、又は、30分以上の超音波分散を挙げることができる。
(ハ)上記(ロ)の操作によって得られた分散液においては、溶媒中に未溶解のフラーレン類が存在する場合がある。このため、上記分散液をろ過する。
(ニ)上記分散液のろ液の濃度を測定する。濃度の測定は、公知の方法で行うことができる。例えば、高速液体クロマトグラフィーや分光光度計で濃度測定を行えばよい。但し、上記測定方法においては、測定可能な濃度範囲が限られる場合がある。このため、上記ろ液を適当な濃度まで希釈し、希釈液の濃度の測定を行うことによって、ろ液中のフラーレン類の濃度を見積もってもよい。
上記測定方法のより具体的な例として以下の方法を挙げることができる。すなわち、フラーレン類1gを、1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)99gに投入し、大気圧下、常温・常湿環境にて1時間攪拌する。ここで、フラーレン類1gがTMB99g中に完全に溶解すると、溶解度は8.8mg/mlとなる。攪拌後、上記溶液を0.1μm孔径のフィルターでろ過し、得られたろ液をTMBで40倍に希釈する。そして、この希釈液に対して高速液体クロマトグラフィー測定を実施し、ピーク面積から溶解度を算出する。
ベンゼン系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3、5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、テトラリン、o−クレゾール、ベンゾニトリル、フルオロベンゼン、ニトロベンゼン、ヨードベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、アニソール、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、及び1,2,4−トリクロロベンゼン等を挙げることができる。これらベンゼン系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、及びo−ジクロロベンゼンである。溶解度が高く、フラーレン溶液を保管する場合に小容量での保管が可能となる点から特に好ましいのは、トルエン、1,2,4−トリメチルベンゼンである。
複素環系溶媒としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、2−メチルチオフェン、ピリジン、キノリン、及びチオフェン等を挙げることができる。これら複素環系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、テトラヒドロフラン、キノリンである。
また、その他溶媒Aとしては、二硫化炭素を挙げることができる。
(2)工程1の具体的手順
工程1は、前記基材及び前記フラーレン類を溶媒Aに含有させるような方法であればよく、特に限定はされない。工程1の好ましい具体例としては、前記フラーレン類を前記溶媒A中に含有させた後に、前記基材を前記溶媒Aに含有させる工程を挙げることができる。
<各成分の量比>
フラーレン類と溶媒Aとの量比は特に制限されず、使用するフラーレン類及び溶媒Aの種類やこれらを接触させる手法、更には後述する基材を分離する際の溶媒A、溶媒Bの除去の有無やその手法等によって、適宜選択することが可能である。通常は、得られるフラーレン類の粒径に応じて、その特性及び工程上支障無い範囲で、溶媒Aに対するフラーレン類の比率を適当に調整すればよい。特に、フラーレン類を溶媒Aに溶解させて溶液とする場合には、フラーレン類の比率を広範な範囲から選択することにより、希薄な溶液から濃厚な溶液、飽和溶液、更には溶け残ったフラーレン類の固相系が存在する飽和溶液まで、所望の状態の溶液を得ることが可能である。
フラーレン類を溶媒Aに溶解させる手法は特に制限されないが、通常はフラーレン類を溶媒Aと混合すればよい。フラーレン類を溶媒Aと混合する際には、適当な分散方法を用いてフラーレン類を溶媒A中に溶解させることが好ましい。分散方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、短時間でフラーレン類を均一に溶媒A中に含有させやすくなる。特に、溶媒Aに対するフラーレン類の量比が高い場合や、溶媒Aの粘度が高い場合は、接触(混合)不良によって溶媒A中でのフラーレン類の不均一化が生じ易いので、適当な溶解方法を適用することが好ましい。
<フラーレン類と溶媒Aとの混合によって得られる組成物>
上述の操作によって、通常溶媒A中にフラーレン類が溶解した液体状の組成物が得られる。この組成物において、フラーレン類の一部が溶解せず溶け残った状態で容器内に存在する場合、この未溶解分を分離精製して用いても構わない。分離精製方法の例としては、ろ過、遠心分離などの方法が挙げられる。
<各成分の量比>
工程1−1によって得られたフラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と、基材と、の量比は特に制限されず、フラーレン類の基材への表面修飾量に応じて調整すればよい。
基材を、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物に含有させる手法は特に制限されない。通常は、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に基材を分散させることとなる。ここで、基材が板状又は比較的大きな塊状の性状を有する場合には、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に基材を分散させるというよりは、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に基材を投入する操作を行うこととなる。なお、基材が板状の場合には、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物を基材に塗布するような手法を用いてもよい。
ここで、分散の方法としては、通常、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と、基材又は基材を分散させた分散液と、を混合する手法が用いられる。
A−4.工程2
工程2においては、溶媒Aよりもフラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させる。
溶媒Bとしては、溶媒Aと比較して、フラーレン類の溶解度が低い溶媒を用いる。通常、フラーレン類が溶解した溶媒A中に基材が分散された状態に、フラーレン類の溶解度が溶媒Aよりも低い溶媒Bを接触させると、フラーレン類と溶媒Bとの接触により、溶媒A中に溶解していたフラーレン類の析出が始まる。そして、この析出したフラーレン類が基材表面に添着する。この場合、析出したフラーレン類は一般的に小粒径なので、基材表面に小粒径のフラーレン類が存在するようになる。
フラーレン類の析出を良好に行う観点から、より好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.3とし、さらに好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.25とし、さらに好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.01とし、特に好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦1×10-4とし、最も好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦1×10-5とする。なお、溶媒Aのフラーレン類の溶解度と溶媒Bのフラーレン類の溶解度とを比較する場合は、同一条件(例えば同一温度)で比較を行えばよい。
また、溶媒Aと溶媒Bとが相分離する関係にある場合には、フラーレン類の析出が進まない傾向となるため、溶媒Aと溶媒Bとが互いに相溶する関係にあることが好ましい。
しかし、溶媒Bとして、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml未満の溶媒を必ず用いなければならないというわけではない。上記の通り、本発明においては、フラーレン類の溶解度が相対的に高い溶媒を溶媒A、フラーレン類の溶解度が相対的に低い溶媒を溶媒Bとして用いる。つまり、溶媒Aと溶媒Bとのフラーレン類の溶解度の差が重要となる。従って、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml以上の溶媒であっても、溶媒Bとして用いうる。より具体的には、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml付近の溶媒であっても溶媒Bとして用い得る。
1価または多価のアルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールを挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等を挙げることができる。
工業的に安価である点及び粘度が低い点から溶媒Bとしてより好ましいのは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、及びアセトンであり、より好ましいのは、メタノール、2−プロパノールである。
工程2の具体的な手法は、基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させたものに、上記溶媒Bを含有(接触)させてフラーレン類を析出させることができる方法であれば特に制限されない。
<各成分の量比>
基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させたもの(より具体的には、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物)と溶媒Bとの量比は特に制限されず、使用するフラーレン類及び溶媒Aと溶媒Bの組み合わせ、これらを含有させる手法、更には後述する基材を分離する際の溶媒A、溶媒Bの除去の有無やその手法等によって、適宜選択することが可能である。通常は、フラーレン類の溶媒Aへの溶解度に応じて溶媒Bの量を適当に調整すればよい。
<接触の手法>
フラーレン類、溶媒A及び基材を含有する組成物と溶媒Bを接触させる手法は特に制限されないが、例えば、工程1によって得られた、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物と、溶媒Bと、を混合すればよい。通常、混合の方法としては、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する場合と、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する場合と、の2つの方法が考えられる。
フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する際に、溶媒Bを均一に存在させるためには、溶媒Bを上記組成物中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の溶媒Bを連続的に又は断続的に上記組成物中に添加していくことが好ましい。このような所定量の溶媒Bを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、上記組成物に対して用いる溶媒Bの全量を連続的に少しずつ上記組成物に添加していく方法や、適当な添加方法を用いて溶媒Bを上記組成物中に断続的に添加していく方法等を挙げることができる。
添加にかける時間については特に限定されず、析出速度と表面修飾の均一性を考慮して
、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間%以下、より好ましくは5時間以下とする。
また、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する場合において、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、溶媒Bを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する場合において、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
<フラーレン類表面修飾基材の分離手法>
上記手法を用いることによりフラーレン類が基材表面に存在する、フラーレン類表面修飾基材を得ることができる。ここで、基材を溶媒A及び溶媒Bから分離することが好ましい。
<フラーレン類表面修飾基材の乾燥方法>
上述の操作によって得られたフラーレン類表面修飾基材に残留する溶媒A及び溶媒Bがある場合、これら溶媒A及び溶媒Bを除去することが好ましいが、この除去方法は特に限定されるものではない。通常は、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等により行われる。
また減圧乾燥をする場合における圧力は、通常1.33×102Pa(1torr)以
上、1.01×105Pa(760torr)以下とする。乾燥時の雰囲気は、通常、大
気下で行われるが、窒素・アルゴン等不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
フラーレン類表面修飾基材の第2の製造方法(以下製法2という。)は、
フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αと、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒B及び基材を含有する組成物βとを準備した後、
前記組成物βと前記組成物αとを接触させて、
前記基材表面に前記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とする。
B−1.基材
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
B−2.フラーレン類
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
B−3.溶媒A、溶媒B
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
B−4.基材及び溶媒Bを含有する組成物βの製造
<各成分の量比>
溶媒Bと基材との量比は特に制限されず、フラーレン類の基材への表面修飾量によって決定される溶媒Aの量に応じて調整すればよい。
基材を溶媒Bに含有させる手法は特に制限されない。通常は、溶媒Bと基材とを混合して、基材を溶媒Bに分散させた組成物とすればよい。溶媒Bと基材とを混合する際には、適当な分散方法を用いて基材を溶媒B中に分散させることが好ましい。
分散方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、短時間で均一な分散液を得やすくなる。特に、基材と溶媒Bの密度が大きく異なる場合は基材の沈降によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な分散方法を適用することが好ましい。
B−5.フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αの製造
上記製法1の「工程1−1」で説明した方法と同様の方法でフラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物α(より具体的には、溶媒Aにフラーレン類を溶解した溶液)を製造することができる。
製法2においては、基材が溶媒Bに分散された組成物βと、フラーレン類が溶媒Aに溶解した組成物αとを接触させることにより、溶媒A中に溶解しているフラーレン類が溶解性の低い溶媒Bと接することによって析出を開始し、このフラーレン類が基材表面に修飾されることによって、フラーレン類表面修飾基材が製造される。
<接触の手法>
組成物βと組成物αとを接触させる手法は特に制限されない。通常は、組成物βに組成物αを混合するか、又は、組成物αに組成物βを混合すればよい。
組成物βに組成物αを混合する際には、組成物αを組成物β中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、組成物αを組成物β中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の組成物αを連続的に又は断続的に組成物β中に添加していくことが好ましい。このような所定量の組成物αを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、組成物βに対して用いる組成物αの全量を連続的に少しずつ組成物βに添加していく方法や、適当な添加方法を用いて組成物αを組成物β中に断続的に添加する方法を挙げることができる。
添加にかける時間については特に限定されず、析出速度と表面修飾の均一性を考慮して、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下とする。
また、組成物αを組成物βに添加して混合する場合においては、組成物αと組成物βとをさらに相溶させること等を目的として、組成物αを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、組成物βを組成物αに添加して混合する場合においては、組成物βと組成物αとをさらに相溶させること等を目的として、組成物βを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
<フラーレン類表面修飾基材の分離手法>
上記手法を用いることによりフラーレン類が基材表面に存在するフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。ここでフラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離することが好ましい。フラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離する場合は、その分離する方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1と同様にすればよい。
上述の操作によって得られたフラーレン類表面修飾基材に残留する溶媒A及び溶媒Bがある場合、これら溶媒A及び溶媒Bを除去することが好ましいが、この除去方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1と同様にすればよい。
C.第3の製造方法
フラーレン類表面修飾基材の第3の製造方法(以下製法3という。)は、
フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させ、
その後基材を含有させることにより、前記基材表面に前記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とする。
C−1.基材
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
C−2.フラーレン類
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
C−3.溶媒A、溶媒B
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
C−4.フラーレン類を含有する溶媒Aの製造方法
このような方法としては、例えば、フラーレン類を溶媒Aに溶解させるような方法であればよく、上記製法1や製法2で説明したものと同様の方法を用いることができる。
C−5.フラーレン類を含有する溶媒Aへの溶媒Bの含有
製法3では、フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させる。
フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを含有(接触)させる手法は特に制限されない。通常は、フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合するか、溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを混合すればよい。
フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合する際には、溶媒Bを、フラーレン類を含有する溶媒A中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、溶媒Bを、フラーレン類を含有する溶媒A中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の溶媒Bを連続的に又は断続的にフラーレン類を含有する溶媒A中に添加していくことが好ましい。このような所定量の溶媒Bを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、フラーレン類を含有する溶媒Aに対して用いる溶媒Bの全量を、連続的に少しずつフラーレン類を含有する溶媒Aに添加していく方法や、適当な添加方法を用いて溶媒Bを、フラーレン類を含有する溶媒A中に断続的に添加する方法を挙げることができる。
添加にかける時間については特に限定されず、析出速度と表面修飾の均一性を考慮して、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下とする。
また、フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合する場合においては、溶媒Bと溶媒Aとをさらに相溶させること等を目的として、溶媒Bを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを混合する場合においては、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、フラーレン類を含有する溶媒Aを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
なお、フラーレン類を含有する溶媒Aと溶媒Bとの量比は、製法1や製法2で説明した範囲とすればよい。
製法3においては、上記のようにして得られた、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に、さらに基材を含有させる。つまり、基材を含有させて、基材をフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に接触させることにより、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物中で析出によって得られたフラーレン類を基材表面に添着させる。
フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を混合する場合においては、基材の添加中は、上記組成物を均一に混合することが好ましい。同様に、基材にフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物を混合する場合において、上記組成物の添加中は、基材と上記組成物とを均一に混合することが好ましい。上記混合をよりスムースに行うために、基材と上記組成物とを混合する前に、基材を所定の溶媒(例えば溶媒B)に分散させておいてもよい。
C−7.フラーレン類表面修飾基材の分離手法と乾燥方法
<フラーレン類表面修飾基材の分離手法>
上記手法を用いることによりフラーレン類が基材表面に存在するフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。ここでフラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離することが好ましい。フラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離する場合は、その分離する方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1や製法2と同様にすればよい。
上述の操作によって得られたフラーレン類表面修飾基材に残留する溶媒A及び溶媒Bがある場合、これら溶媒A及び溶媒Bを除去することが好ましいが、この除去方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1や製法2と同様にすればよい。
D.フラーレン類表面修飾基材
本発明の製造方法で製造されたフラーレン類表面修飾基材の例について説明する。
具体的には、得られたフラーレン類表面修飾基材を所定量の溶媒A中に含有させて溶媒A中に溶出したフラーレン類(以下、「溶出フラーレン類」という場合がある。)の量を求める。そして、この溶出フラーレン類の量と、フラーレン類表面修飾基材製造時に用いたフラーレン類の量(以下、「仕込みに用いたフラーレン類の量」という場合がある。)との比((溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量))が、0.5以上となることが好ましく、0.7以上となることがより好ましい。一方、(溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量)の上限は、1となることが好ましい。
まず、出来上がった所定量のフラーレン類表面修飾基材を所定量の溶媒Aに混合する。ここで混合の方法としては特に制限はないものの、工業的に容易なのは超音波分散を行うことである。その後フラーレン類表面修飾基材と溶媒Aとの混合液に対して必要に応じて遠心分離を行う。そして上澄み液を抽出し、この上澄み液の濃度を、高速液体クロマトグラフィー等を用いて測定する。そして、得られた濃度から基材単位重量当たりのフラーレン類の量(フラーレン類表面修飾基材中のフラーレン類の濃度)を換算し、得られた換算値と、フラーレン類表面修飾基材製造時の仕込み値から計算される「仕込み時の基材単位重量当たりのフラーレン類の量」とから、(溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量)を算出すればよい。
本発明のフラーレン類表面修飾基材は、医療、電気電子機器、自動車、建築資材、工業機械の部品など様々な用途へ応用可能である。なぜなら、フラーレン類は、特異的な結晶構造、化学的性質、電子状態等に由来する様々な機能を有する。このような機能としては、具体的には、紫外線吸収、ラジカルトラップ、光伝導、光誘起電子移動、触媒作用、接着性改良、潤滑作用などが挙げられる。そして、適用可能な用途としては、上記機能を有効に引き出せるような用途であればよく、特に制限はない。
これら様々な用途のうち、フラーレン類の有するラジカルトラップと考えられる機能を利用できる用途の一つとして、リチウム二次電池、特にリチウム二次電池の負極材料を挙げることができる。同様に、フラーレン類の有するラジカルトラップと考えられる機能を利用できる別の用途として、高分子材料の表面をフラーレン類で修飾して高分子材料の耐熱性を上げる用途を挙げることができる。このような高分子材料は、例えば、自動車、建築資材、工業機械等の分野へ適用することができる。
以下、本発明のフラーレン類表面修飾基材を用いることができる用途の具体例をいくつか説明する。
リチウム二次電池の負極活物質として本発明のフラーレン類表面修飾基材を利用する場合について説明する。リチウム二次電池の負極材料(以下、負極活物質という場合もある。)として本発明のフラーレン類表面修飾基材を用いる場合、基材としては、通常炭素性物質が用いられる。
通常、炭素性物質を主とするリチウム二次電池用負極活物質と電解質の界面においては電気化学的還元雰囲気下において、電解質(特に電解液溶媒)の還元分解が生じる。この分解の結果、分解生成物である有機物、リチウム化合物が炭素性物質表面にSEI(Solid Electrolyte Layer)と称される被膜を形成する。このSEIは、炭素性物質と電解質の直接の接触を遮断することにより、電解質の還元分解反応を実質的に停止し、電池は電気化学的に安定化する。
E−1−2.リチウム二次電池用負極材料
本発明のフラーレン類表面修飾基材をリチウム二次電池用負極材料として用いる場合、フラーレン類表面修飾基材は、炭素物質表面上にフラーレン類が存在する形態を有する。フラーレン類、フラーレン類表面修飾基材の製造方法、フラーレン類表面修飾基材の性質等については、上記A〜Dで説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
炭素性物質の材料としては、上記基材において説明したものを用いればよい。炭素性物質をリチウム二次電池の負極材料として用いる場合の特に好ましい点について以下説明する。
炭素性物質は、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また、通常45μm以下、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均粒径が過度に小さいと、炭素性物質の比表面積が増えることとなり不可逆容量が増え電池容量が低下する場合がある。一方、平均粒径が過度に大きいと活物質層の膜厚が制限され均一な活物質層を炭素性物質の上に形成させることが難しくなる場合がある。
低下する。一方、炭素性物質の比表面積は、通常30m2/g以下、好ましくは20m2/g以下、より好ましくは10m2/g以下とする。比表面積が過度に大きいと電池の初期
効率が低下する。比表面積の測定はBET法に従う。
本発明におけるリチウム二次電池用負極材料は、上記フラーレン類が表面修飾された炭素性物質(フラーレン類表面修飾基材)単独で構成してもよい。またリチウム二次電池用負極材料には、上記フラーレン類表面修飾基材以外に、例えば、リチウム二次電池の負極に用いるバインダー(詳細は後述する)や導電剤等の他の添加剤等をさらに含有させてもよい。
(3)炭素性物質とフラーレン類との関係
本発明に用いるリチウム二次電池用負極材料においては、上記フラーレン類が上記炭素性物質表面に存在している。炭素性物質とフラーレン類との関係については、上記A〜Dで説明した通りであるが、本発明のフラーレン類表面修飾基材をリチウム二次電池用負極材料として用いる場合の特に好ましい点について以下説明する。
炭素性物質表面に存在するフラーレン類の粒径は、通常0.7nm以上とする。通常、フラーレン類1分子の大きさが0.7nm(=7Å)程度であるため、フラーレン類が基材表面に分子状態で存在している場合、フラーレン類の粒径は上記範囲となる。一方、炭素性物質表面上のフラーレン類の粒径は、通常50μm以、下好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下とする。フラーレン類の粒径は、溶媒A中でのフラーレン類の濃度、溶媒Bの含有のさせ方等に影響を受けるが、上記範囲内とすれば、表面上体が制御された良好なフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。
以下、本発明のリチウム二次電池用負極材料を含有するリチウム二次電池用の負極、及びこの負極を用いたリチウム二次電池について説明する。
本発明においては、炭素性物質表面にフラーレン類が存在しているリチウム二次電池用負極材料は、リチウム二次電池用の負極を製造するために用いられる。
負極は、通常、上記負極材料で形成される活物質層を集電体上に形成してなる。つまり、活物質層は、炭素性物質表面にフラーレン類が存在する負極活物質(フラーレン類表面修飾基材)を少なくとも含有し、通常、これら材料にさらに、バインダー及び必要に応じて導電剤等の添加剤を有する。
活物質層に使用するバインダーとしては、電解液等に対して安定である必要があり、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどのポリマー鎖中に環構造を有するポリマー;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類が挙げられる。
活物質層中には、必要に応じて、導電性材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有させてもよい。
活物質層を形成する際に使用する溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、水を挙げることができ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン、水である。塗料中の溶剤濃度は、少なくとも10重量%より大きくするが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上である。また、上限としては、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。溶剤濃度が低すぎると塗布が困難になることがあり、高すぎると塗布膜厚を上げることが困難になると共に塗料の安定性が悪化することがある。
集電体上に塗料を塗布する塗布装置に関しては特に限定されず、スライドコーターやエクストルージョン型のダイコーター、リバースロール、グラビアコーター、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビアコーター、ロッドコーター、ブレードコーターなどが挙げられるが、ダイコーター、ブレードコーター、及びナイフコーターが好ましく、塗料粘度および塗布膜厚等を考慮するとエクストルージョン型のダイコーター、簡便な点からはブレードコーターが最も好ましい。
活物質層の厚さは、通常10μm以上、好ましくは20μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。活物質層の厚さが過度に薄いと、電池の容量が小さくなりすぎる。一方、過度に厚いとレート特性が低下しることとなる。
非水系溶媒としては、比較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化合物、アセトニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。以上の非水系溶媒は、複数種を併用することができる。
iHF2、LiSCN、LiSO3CF2等を挙げることができる。これらのうちでは特に
LiPF6及びLiClO4が好適である。これら支持電解質の電解液における含有量は、通常0.5〜2.5mol/lである。
電解質は、正極と負極との内部、及び正極と負極との間に存在するが、正極と負極との間には、正極と負極との短絡防止のために、多孔質フィルムのような支持体を存在させるのが好ましい。多孔質フィルムとしては、高分子樹脂からなるフィルムや、粉体とバインダーからなる薄膜が好ましく使用でき、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質膜である。
また、正極においては、集電体の材質は、通常、アルミニウム、銅、ニッケル、錫、ステンレス鋼等の金属、これら金属の合金等を用いることができる。この場合、正極の集電体としては、通常アルミニウムが用いられる。集電体の形状は特に制限されず、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは通常1μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。上記集電体の材質と膜厚以外は、上記負極集電体と同様にすればよい。
電池要素を収納するケースは、通常、コインセルや乾電池用の金属缶や形状可変性を有するケースを挙げることができる。
E−2.フラーレン類表面修飾基材の耐熱性向上を利用する用途
フラーレン類表面修飾基材の耐熱性向上作用を利用する用途としては、例えば、粒子状の高分子材料の表面をフラーレン類で修飾して高分子材料の耐熱性を上げる用途が挙げられる。このようなフラーレン類表面修飾基材は、耐熱性向上が望まれる分野(例えば、包装材料、家庭用品・日用品などの各種成型材料、雑貨、通信機部品、電気部品、自動車部品、印刷回路用積層板などの積層品、建築資材、家具、室内装飾材料、接着剤、塗料、化粧版、工業機械等の分野)に応用可能である。
高い耐熱性が求められる観点から好ましいのは、高分子材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、酪酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、セロファン、セルロイド、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂を用いることである。
E−3.フラーレン類の有する接着性改良を利用する用途
フラーレン類の有する接着性改良の効果を利用する用途としては、金属の基材と有機材料(例えば高分子材料)を含有する有機膜との接着性を改良する必要のある用途が挙げられる。一般に、金属と有機膜との接着性は弱い傾向にある。このような場合に金属の基材と有機膜との接着性を向上させるために、金属の基材と有機膜との間にフラーレン類を存在させればよい。このような接着性の向上が求められる用途は多岐にわたるが、例えば、絶縁材料、レジスト、ディスプレー、リチウム二次電池等の電気電子部品、建築資材、塗装、接着剤等の分野への応用が考えられる。
その他基材に求められる性状等については、上記Aで説明した通りである。ただ、粒子状の基材と比較して、板状の基材は有機膜との接着面積が小さくなる傾向にあるために、有機膜と板状の金属の記載との接着性は不十分となりやすい。このため、このような場合にフラーレン類を金属の基材表面に存在させれば、有機膜と基材との接着性を改良しやすくなる。
(実施例1)
[炭素性物質の表面処理]
フラーレン類として、C60を酸化反応することにより製造した酸化フラーレン(フラーレンに結合している酸素数は、1〜9個であった)を用いた。また、基材としては、炭素性物質を用いた。炭素性物質としては、粒径20μm、比表面積4.7m2/gの人造黒
鉛を用いた。
溶媒Aとして1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)を用いた。
上記酸化フラーレンをTMBに、固形分0.05重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積1リットルのガラス容器中に投入した。酸化フラーレンのTMB中での濃度は、0.44mg/mlとなる。
[製法1の工程2]
溶媒Bとしてメタノールを用いた。
上述工程1で得た分散液をマグネットスターラーで攪拌しながら、メタノール500gを約40分かけて滴下し、その後約1時間攪拌を続けた。次にメタノールを滴下した上記分散液を、定量ろ紙No.5C(保留粒子径1μm)でろ過し、ろ紙上の固体状の物質(表面に酸化フラーレンが添着されている人造黒鉛)をメタノール250gで洗浄した。得られた固体状の物質を70℃/約0.1MPaで乾燥させ、修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する人造黒鉛(これを単に修飾粉体という場合がある。)を得た。
炭素性物質表面上に存在する酸化フラーレン類の粒径は以下のようにして測定した。
上記製法1において人造黒鉛を入れないこと以外は、製法1と同じ方法で工程1、2を行った。そして、メタノールを滴下して得られた、フラーレン類が析出した分散液を、島津製作所製の粒度分布測定装置SALD−2100の回分セルを用いて測定した。そして、得られたメジアン径をフラーレン類の粒径とした。メジアン径は0.1μmであった。
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下単にSEMという。)観察においては、修飾粉体表面に酸化フラーレンの存在が確認された。酸化フラーレンは、黒鉛表面上で点在していた。
[負極電極の作製]
負極活物質として、上記修飾粉体を98重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、スチレンブタジエンラバー1重量部、水100重量部を混練し、負極塗料とした。
[電池の作製]
上記負極電極をφ13mmに打ち抜きコインセルで電池特性を評価した。
電解液は、非水系溶媒として、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネート(いずれも三菱化学(株)製)を1:1の割合(体積%)を用い、リチウム塩として、LiPF6を用いた。リチウム塩の濃度は、1mol/lとした。
(実施例2)
[炭素性物質の表面処理、製法1]
炭素性物質として、粒径18μm、比表面積4.5m2/gの天然黒鉛を用いた以外は
実施例1の製法1と同様にして修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する天然黒鉛を得た。
実施例1と同様にして負極電極を作製した。
[電池の作製]
実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例1及び参考実験1)
以下3つの溶液に対して高速液体クロマトグラフィーで測定を実施した。
・実施例1の[製法1の工程1]で得た、酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解した溶液(溶液1)
・実施例1の[製法1の工程1]で得た、酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解した溶液にさらに人造黒鉛を混合した組成物より、デカンテーションした上澄み液(溶液2)
・実施例1の[製法1の工程2]において、メタノールを滴下した後にろ過を行って得たろ液(溶液3)
ここで、高速液体クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りとした。
測定機器:東ソー LC−8020
溶離液:トルエン/メタノール = 40/60(v/v)
流速:1.0mL/min
カラム:YMC−Pack ODS−AM−307−3
カラム温度:45℃
検出波長:308nm
その結果を表−1に示す。
(比較例2)
炭素性物質の表面処理を下記方法で行ったこと以外は実施例1と同様にして、電池を製造して評価を行った。
実施例1で得た酸化フラーレンを、1,2,4−トリメチルベンゼンに固形分0.01重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積300ミリリットルのガラス容器中に投入した。
この容器にさらに上記人造黒鉛9.99gを入れ、約12時間撹拌後、60℃にて加熱乾燥させ、修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する人造黒鉛を得た。
実施例1において、炭素性物質の表面に酸化フラーレンを存在させなかったこと以外は実施例1と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
(比較例4)
実施例2において、比較例2に記載した方法で炭素性物質の表面処理を行ったこと以外は、実施例2と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
実施例2において、炭素性物質の表面に酸化フラーレンを存在させなかったこと以外は実施例2と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
[試験例]
実施例1、2及び比較例2〜5で得られた電池の電池特性を評価した。
で定電流充電し0.03mA/cm2まで定電圧充電した。放電条件は0.3mA/cm2で1.5Vまで定電流放電した。初期効率は、(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)から算出した。
(実施例3)
[基体の表面処理]
フラーレン類として、フロンティアカーボン社製(商品名:ナノムミックス、C70/C60=25/60)のフラーレンを用いた。以下この実施例ではナノムミックスと表記する。また、基体としては、厚さ20μmの銅箔とアルミ箔を用いた。
[製法1の工程1]
溶媒Aとして1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)を用いた。
上記ナノムミックスをTMBに、固形分0.05重量%で溶解させ、この溶液10gを内容積100ミリリットルのガラス容器中に投入した。フラーレンのTMB中での濃度は、0.44mg/mlとなる。
[製法1の工程2]
溶媒Bとしてメタノールを用いた。
上述工程1で得た液をマグネットスターラーで攪拌しながら、メタノール50gを約40分かけて滴下し、その後約1時間攪拌を続けた。その後金属箔を取り出し、100℃/約0.1MPaで乾燥させ、表面にナノムミックスが存在する銅箔を得た。
[有機膜形成用の塗料の調整]
以下に示す組成に従い塗料を調整した。原料としては以下のものを以下の配合比で用いた。つまり、天然黒鉛とポリフッカビニリデンとをN−メチル−2−ピロリドンに含有させて混合し、30分間撹拌し塗料化した。
ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業(株)製) : 10.0部
N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学(株)製) :150.0部
[金属箔上への有機膜の塗布]
上記製法1によって得られた表面にナノムミックスが存在する銅箔と表面にナノムミックスが存在するアルミ箔をPETフィルム上に載せ、ドクターブレードを用いて上記塗料を塗布し、100℃で10分間乾燥した。
(比較例6)
3cm×3cmの大きさに切断した厚さ20μmの銅箔とアルミ箔をそのまま用い、銅
箔とアルミ箔との表面処理を行わなかったこと以外は実施例3と同様にして基材上に有機膜を形成した。
実施例3と比較例6で得られた試料(基材上に有機膜を形成した試料)に対して、クロスカットセロハンテープ剥離試験を行った。
すなわち、上記試料における10mm×10mmの領域に対し、1mm間隔で有機膜に切り込みを入れた(1mm×1mmの升目を100個作製した。)。なお、有機膜に切り込みを入れる際には、基材の金属箔を切らないように注意した。
(実施例4)
[高分子材料の表面処理]
フラーレン類として、フロンティアカーボン社製(商品名:ナノムミックス、C70/C60=25/60)のフラーレンを用いた。以下この実施例ではナノムミックスと表記する。また、高分子材料としては、第一工業製薬株式会社製のカルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:セロゲンWS−C、平均分子量:128.000〜135,000)を用いた。以下実施例ではCMCと表記する。
溶媒Aとして1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)を用いた。
上記ナノムミックスをTMBに、固形分0.05重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積1リットルのガラス容器中に投入した。フラーレンのTMB中での濃度は、0.
44mg/mlとなる。
[製法1の工程2]
溶媒Bとしてメタノールを用いた。
上述工程1で得た分散液をマグネットスターラーで攪拌しながら、メタノール500gを約40分かけて滴下し、その後約1時間攪拌を続けた。
得られた固体状の物質(表面にフラーレン類が添着されているCMC)を100℃/約0.1MPaで乾燥させ、修飾割合が1重量%の、表面にナノムミックスが存在するCMCを得た。
上記ナノムミックス0.05gとCMC4.95gを乳鉢にて5分間粉砕混合を行い、ナノムミックスとCMCの混合物を得た。
[試験例]
実施例4及び比較例7で得られた試料を約10mg秤量して、熱重量・示差熱分析(TG−DTA)による耐熱試験を実施した。そして、得られた減量曲線から5wt%減量温度を読み取り、耐熱性の指標とした。
装置 :島津製作所製DTG−50
試料量 :約10mg
温度範囲 :室温〜300℃
昇温速度 :室温〜30℃ 1℃/分
30℃ 5分保持
30℃〜300℃ 10℃/分
ガス流量 :空気 70mL/分
各高分子材料の5wt%減量温度は以下の通りである。
Claims (10)
- 基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させた後、
前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させて、
前記基材表面に前記フラーレン類が0.01重量%以上、3.0重量%以下存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法。 - 前記基材及び前記フラーレン類を溶媒Aに含有させる際に、前記フラーレン類を前記溶媒A中に含有させた後に、前記基材を前記溶媒Aに含有させることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
- フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αと、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒B及び基材を含有する組成物βとを準備した後、
前記組成物βと前記組成物αとを接触させて、
前記基材表面に前記フラーレン類が0.01重量%以上、3.0重量%以下存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法。 - フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させ、
その後基材を含有させることにより、前記基材表面に前記フラーレン類が0.01重量%以上、3.0重量%以下存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法。 - 前記溶媒Aと前記溶媒Bとが、
(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.5の関係を満たす請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。 - 前記溶媒Aが、ベンゼン系溶媒、ナフタレン系溶媒、複素環系溶媒、アルカン系溶媒、ハロアルカン系溶媒、極性系溶媒、及び二硫化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
- 前記溶媒Bが、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、ニトロエタン、及び水からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
- フラーレン類が、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100、C60の誘導体、C70の誘導体、C74の誘導体、C76の誘導体、C78の誘導体、C80の誘導体、C82の誘導体、C84の誘導体、C86の誘導体、C88の誘導体、C90の誘導体、C92の誘導体、C94の誘導体、C96の誘導体、C98の誘導体、及びC100の誘導体、からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
- 前記基材が、金属、金属化合物、半導体、ガラス類、セラミック類、炭素性物質、及び高分子材料、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
- 前記基材が粒子状である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
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