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JP4797128B2 - コバルトの電解的製造方法 - Google Patents

コバルトの電解的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コバルトの電解的な製造方法に関し、より詳細には溶液中のコバルトイオンを電解還元して陰極表面に析出させて分離回収する方法に関し、更に詳細には簡便な操作で純度の高いコバルト金属を分離回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コバルト金属はその生産地が極めて偏在していることから戦略物質として扱われる貴重な金属である。このコバルトの精錬については多くの方法が採られているが、通常その鉱石には同じ鉄族であるニッケルが共存している。ニッケルとコバルトはその原子量も化学的性質もほぼ同じであり、更に電気化学的性質もほぼ同じであることから、これらを合金として使用する際には問題は少ないが、コバルトを単体で使う場合には、ニッケルからの分離が極めて困難で、従って精錬条件も極めて複雑になる。
【0003】
従来の鉱山等で行われる製錬は、乾式法で併存するニッケルとコバルトを合金又は硫酸塩等の混合塩の形態とした後、複雑な溶剤抽出で前記ニッケル及びコバルトを分離し、分離した金属を硫酸塩又は塩化物として水溶液電解で分離精製するという方法が採られる。
混合塩の形態までは比較的容易に誘導でき、混合塩からニッケルとコバルトの酸化物沈殿の条件が異なることを利用してオゾンや次亜塩素酸などの酸化剤を加え、酸性度(pH)を調整して酸化物を沈殿させて両者を分離する方法が採用されることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらはいずれも確立された方法ではあるが、非常に複雑な操作を必要とすると共に、多くの場合は硫酸等の酸溶媒で液体とした後、固体として分離し、更にそれを溶解し固体化を繰り返す等の複雑な操作が必要となる。
操作が複雑であっても鉱山等での製錬のように、多量にしかも連続的に生産される場合は効率低下はさほど問題にはならないが、生産量が少量で非連続生産の場合は効率が低下して必然的に歩留まりの低下、操作停止時ごとの洗浄による洗浄水の増加、手間の増大等をもたらし、コスト上昇の原因となると共に、廃水の増加が、処理量の増大と環境への悪影響を引き起こすことになる。
【0005】
更にニッケルとコバルトを分離するために、前述したように酸化剤を添加し、これによりコバルトを2価から3価に酸化して、コバルトとニッケルの電解析出条件を変化させて電解分離するという提案もあるが、3価のコバルトイオンは安定には存在しないと考えられ、工業的に応用された例は知られていない。更にこの方法では、3価のコバルトイオンを0価のコバルト金属に還元するためには、2価のコバルトイオンを0価のコバルト金属に還元することと比較して1.5倍の電力量を必要とし、更にオゾンや次亜塩素酸等の酸化剤を多量に消費し、顕著なコスト高を招くと考えられる。又酸化剤の種類によっては、酸化剤の後処理が必要になる。
従って本発明は、酸化剤等の薬剤を実質的に使用せずにかつ最小限の電力量でしかも比較的簡単な操作でコバルト金属を電解製造できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コバルト含有溶液を溶存ハロゲンの存在下、酸性で電解し、陰極表面にコバルトを析出させることを特徴とする電解コバルトの製造方法であり、コバルト及びニッケル含有溶液を同様に処理してコバルトをニッケルから分離するために使用することもできる。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
電解によりコバルトイオンを陰極に析出(電着)させる際に、例えば陰極としてコバルト金属電極を使用すると、通常は水素発生電位の方がコバルトイオンの析出電位より遥かに貴でコバルトイオンの析出より水素発生が優先して起こる。コバルト析出が生じる好ましい条件はpH範囲3〜4のみである。pH範囲がこれより強酸側つまりpH3未満ではコバルト析出は生じるにしてもコバルト析出と水素発生が競合反応となり、電流効率が大きく低下するため、コバルト析出は一般にpH3〜4で行われる。
そしてこのpH範囲では、殆ど同じ性質を有する2価のコバルトイオンを2価のニッケルイオンから分離して析出させることはできない。
【0008】
このpH範囲でコバルトイオンをニッケルイオンから電解分離させるには、両イオンを酸化して3価のコバルトイオンと3価のニッケルイオンに変換すると、両イオンの性質が異なるため、比較的容易に電解分離が可能になると考えられていた。しかし従来は薬剤を使用せずに又大幅なコスト高になることなく2価のコバルトイオンを3価に酸化する手法は知られていなかった。
本発明者らはこのような状況下で、コバルトイオンの電着条件、特にコバルトイオンとニッケルイオンを含む溶液からコバルトイオンのみをほぼ選択的に電着させることの条件を種々検討して本発明に到達したものである。
【0009】
本発明方法は、コバルト含有溶液を溶存ハロゲン、特に溶存塩素の存在下、酸性で電解し、陰極表面にコバルトを析出させる。ここで溶存ハロゲンとは電解液中に溶存し酸化力を有するハロゲン成分を総称し、主としてハロゲン分子が含まれる。又回収されるべきコバルトは、コバルト化合物及びコバルト合金等のどのような形態でも良いが、いずれにしても溶液に溶解し、コバルトイオンを含む電解液とする。
本発明方法の主な用途は、精錬、廃材からのコバルト回収、コバルト金属の高純度化等である。
以下、溶存ハロゲンを主として溶存塩素を例にして説明するが、他の溶存ハロゲン、例えば溶存フッ素、溶存臭素及び溶存ヨウ素の使用も可能である。
【0010】
溶存塩素の存在下に酸性条件でコバルトイオン含有溶液を電解するとコバルト金属が陰極表面に析出する。このときコバルトイオン含有溶液にニッケルイオンが含有されていると、ニッケルイオンはイオン表面に析出せず、コバルトをニッケルから分離できることが分かった。
この事実は溶液中の2価のコバルトイオンが、可逆的な酸化及び還元が可能で、しかも強い酸化性を有している溶存塩素により3価に酸化されていると仮定することにより説明できる。
つまり、コバルトとほぼ同じ電気化学的特性を有し電解では実質的に分離することが不可能であるとされていたニッケルの共沈が極めて少ないという結果は、コバルトイオンが3価に酸化され、3価のコバルトイオンが3価のニッケルイオンと電気化学的特性が異なっている、又は溶存塩素は2価のコバルトイオンを3価に酸化するが、2価のニッケルイオンを3価のニッケルイオンに酸化できないという論旨で説明できる。
【0011】
即ちCo2+→Coの平衡電位は−0.277VvsNHEであり、それに対し水素発生は0.00VvsNHEで、強酸中では水素発生が優先し金属析出は起こらない。
しかしCo3+が安定に存在すると、Co3+→Coの平衡電位は+0.4VvsNHEであり、実質的にpHに無関係にコバルトが析出する。しかしその場合にはCo2+→Coによる析出の場合の1.5倍の電流が必要であり、電力消費が約1.5倍になる筈である。
本発明により溶存塩素を使用してコバルトイオンの析出を行うと、2価のコバルトイオンの析出とほぼ同じ電力消費量でコバルト金属の析出が起こり、しかも電解液中にコバルトイオンとニッケルイオンが共存してもコバルト金属がほぼ選択的に析出するという、一見矛盾する結果が得られる。
【0012】
その理由は理論的に十分解明できてはいないが、次のように説明できる。電解反応に一部溶存塩素が関与して、つまり溶存塩素が2価のコバルトイオンの3価のコバルトイオンへの酸化、及び3価のコバルトイオンの2価のコバルトイオンへの還元のレドックス反応に恰も触媒として関与すると推測できる。
この溶存塩素が関与する反応は次のように進行すると考えられる。
1/2Cl2 + Co2+→ Cl- + Co3+(電解液内化学反応) ▲1▼
Co3+ + 3e- → Co (電極反応) ▲2▼
Cl- → 1/2Cl2 + e- (副反応) ▲3▼
Co3+ + Cl- + 2e- → Co + 1/2Cl2 (陰極全反応)▲4▼
【0013】
▲1▼式に示すように溶存塩素が自身が塩素イオンとなって2価のコバルトイオンの3価のコバルトイオンへの酸化を触媒して生成する塩素イオンが3価のコバルトイオンの選択的な析出を可能にするとともに、3価のコバルトイオンの0価のコバルト金属への還元に際しては、塩素イオンが3価→2価→1価→0価の何れかの還元に寄与して3価から0価までの還元に必要な電流量を2価から0価までの還元に必要な電流量に減少させている。
つまり溶存塩素の存在は、溶液中の還元されにくい2価のコバルトイオンを還元されやすい3価のコバルトイオンに変換して析出を促進すると共に本来であれば2価から3価に酸化されたことに伴い増加する筈の電力量を自身が触媒として機能することにより2価イオンの還元とほぼ同一量に維持している。
【0014】
このようにコバルトイオンの析出が促進されると、電解液中に他の金属イオンが共存しても該金属イオンが析出コバルト中に混入する可能性が減少して高純度のコバルト金属が得られることになる。
実際に、従来は電解分離することが困難であると認識されていたコバルトイオンとニッケルイオンの分離が本発明方法に依ると比較的容易に行うことができ、条件にも依るが、Co:Ni=50:50の混合物を単一操作でCo:Ni=95:5程度の純度で分離でき、2回操作を繰り返すと、Co:Ni≒200:1の純度までニッケルを除去してコバルトを精製できることになる。
【0015】
このように溶存塩素は消費電力量を増加させずにコバルトイオンの析出を容易化するという特性を有するが、塩素が陰極表面に過剰に存在すると、塩素の有する酸化作用により一旦還元析出したコバルト金属が再酸化されて電解液中にコバルトイオンとして溶解してしまい、見掛けの電流効率が低下する。
従って塩素は飽和濃度又は飽和濃度より若干低い濃度で電解液中に存在することが望ましい。換言すると、溶存塩素であれば析出したコバルト金属を再溶解させることはなく問題は生じないが、溶存できない量の塩素ガスが供給されると、この塩素ガスが陰極表面でコバルト金属を溶解させて効率低下を招くことになる。
【0016】
例えば電解液に塩酸水溶液を使用すると、陽極で塩素ガスが発生する。この塩素ガスが陰極に接触すると析出したコバルト金属を再溶解させる。これを防止するためには、発生する塩素ガスを陰極に接触させないように捕集し電解槽外に取り出すか、隔膜で陽極室と陰極室を区画する隔膜式電解槽を使用するか、陽極を覆って発生する塩素ガスが陰極へ到達しないようにするか、あるいは塩素ガスの発生自体を回避するために塩素を含まない電解液を使用する等の対策を講ずる必要がある。
陽極で発生する塩素を陰極に接触させないための手段としては、隔膜型電解槽の使用が最も確実であり、この場合には陽極室と陰極室が区画されて陽極室で発生する塩素ガスが隔膜で遮断されて陰極室へ移行することがない。
【0017】
この場合、陽極で発生する塩素はガス状であり気相中に存在するため、電解槽中の液相部分は隔膜で遮断されている必要はなく、気相部分のみが隔膜で分離されていれば十分である。従って例えば陽極を袋状のガスセパレーターで覆ったり、あるいは水平型の電解槽の場合に下部の液相部は連通させておき上部の気相部分のみを区画する隔膜を設置しても良い。なおここでいう隔膜とは、その目開きが通常の隔膜型電解槽で使用する隔膜より粗くても良く、つまり陽極で発生する塩素ガスのみの透過を阻止できれば良く、溶存塩素や電解液は透過しても良い。
この他に、陽極表面を耐塩素材製の網で覆い、そこから発生塩素ガスを回収するようにしても良く、この構造的に最も簡単な手法によると、通常の無隔膜型電解槽をそのまま使用することができる。
【0018】
前記セパレーターの材質は特に限定されないが、塩素に対して安定な例えばポリプロピレンやフッ素樹脂等であることが望ましい。その形状は前述の通り袋状として陽極を覆い発生する塩素ガスを捕捉するが、電解液は自由に流通できるようにすることが好ましい。捕集したガスは廃棄しても良いが、材料金属の溶解に使用すると効率的である。
本発明で使用可能な陽極としては、塩素発生用として不溶性金属電極、例えば酸化ルテニウム及び酸化イリジウムの両者又は一方を電極物質としてチタン等の弁金属基体上に被覆した商品名DSA又はDSEが好ましいが、この他に炭素電極も使用できる。前述した通り、陽極では塩素発生を伴わない場合もあり、その場合には酸素発生用の電極として酸化イリジウムを電極物質としてチタン等の弁金属基体上に被覆した電極であっても良い。
【0019】
他方陰極は特に限定されないが、コバルト回収を容易に行える金属や金属合金であること、更に通電停止時にも不純物溶出がないこと、析出物の剥離が容易であることが望ましく、コバルトやチタンの薄板や穴開き板が好んで使用される。
このような電解材料を使用してコバルトイオンをコバルト金属として陰極表面に析出させる。
使用する電解液はコバルトイオンを溶解した酸性溶液、通常は塩酸水溶液である。コバルト濃度は特に限定されず、通常のコバルト析出用の電解液濃度と同等、例えば10から100g/リットル程度のコバルト濃度が望ましい。塩酸濃度も特に限定されず、遊離の塩酸として0.01〜5モル/リットル程度が望ましく、0.01モル/リットル未満であるとpHが不安定になりやすく、5モル/リットルを超えると塩酸水溶液の腐食性が増して電極等に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0020】
陽極反応が塩素発生反応になる場合は、電解液は、目的金属であるコバルトを十分に溶解できれば塩酸水溶液に限定されず、塩酸と硫酸の混酸でも良く、又導電性を高めるために陰極に金属として析出しないアルカリ金属塩、例えば食塩や塩化カリウムを使用し、そのpHを塩酸や硫酸で制御した電解液でも良い。
電解温度は特に限定されず、室温から80℃程度の通常の電解温度であれば問題ない。電流密度も1A/dm2〜30A/dm2の通常の値で良い。
このような条件でコバルトの析出を行うが、例えば10%塩酸中に炭酸コバルトと炭酸ニッケルを金属換算で50g/リットルずつ溶解した電解液について温度40℃、電流密度5A/dm2で電解を行うと、当初塩素が電解液中に飽和するまでは、陰極表面から水素の発生がみられるが、その後に金属の析出が始まる。このときの電流効率はほぼ90%であり、析出量比は重量比で約95:1(Co:Ni)であり、極めて良好な選択性を示し、分離が可能になる。しかし前述した通り陽極の発生塩素が陰極側に移行すると、一旦析出した金属が再溶解して、選択性は同じく良好であるが、電流効率が50%程度まで低下してしまうという現象が生じ、これを防止するためには前述した通り、隔膜型電解槽を採用したり、袋状のセパレーターを使用したりすれば良い。
【0021】
このコバルトイオンの析出による回収の応用として、リチウム二次電池の構成物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)からのコバルトの回収があり、例えば次のようにして実施できる。
電解槽として、陽極部分にガス不透過性の分離膜又は分離壁を設け、陽極及び陰極としてDSA及びチタン電極を装着した電解装置を使用する。
まず電池からコバルト酸リチウムを取り出し、20〜35%程度の塩酸に溶解し、これを電解液として電解槽に導入した後、通電すると、電解液中のコバルトイオン(Co2+)は溶存塩素と反応してCo3+に酸化され、Co3+の陰極反応によりコバルト金属が陰極表面に析出する。このときに前述した塩素イオンの酸化反応が同時に起こると推測され、これにより実際の電力量はCo2+→Coと反応と同量で済む。これは前述した通り、塩素のレドックス反応が発生していると推測でき、最小限の電力消費でコバルトが析出する。
【0022】
同じ鉄族に属するニッケルや鉄についても同様にして溶存塩素による陰極析出が生じると予測できるため、両金属の溶存塩素の存在する酸性電解液中の挙動について調べたが、意外にも両金属は特定のpH範囲では、コバルトと同じように陰極析出は実質的に生じることがなく、コバルトをニッケルや鉄から分離できることが分かった。この特定のpH範囲とは、pH0〜3であり、pH3を超えると、電解液中の組成比とほぼ同じ割合でニッケルや鉄がコバルトとともに析出し、コバルトの回収ができなくなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に本発明方法の実施例に関し説明するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【0024】
実施例1
塩化コバルトと塩化ニッケルを5%塩酸に溶解して、金属換算でコバルトイオン濃度及びニッケルイオン濃度が共に45g/リットルになるようにして電解液を準備した。pH試験紙でこの溶液のpH測定を行ったところ、pH<1であった。
酸化ルテニウム系の不溶性電極(ペルメレック電極株式会社製)を陽極とし、ブラスト処理した厚さ1mmのチタン板を陰極(電極面積1dm2)とし、前記電解液を電解温度45℃、電流密度3A/dm2で15分間予備電解して、液全体に塩素臭が生じるようにした。
【0025】
その後、前記不溶製電極にポリプロピレン製の袋を被せ、電流密度5A/dm2で電解したところ、約30秒後に陰極表面に僅かに黒み掛かった沈殿が生じ、次いで金属表面を有する灰色の沈殿が生成した。1時間連続電解することにより、5.1g/dm2の灰色の析出物が得られた。
この沈殿を蛍光X線で組成分析したところ、95重量%のコバルトと5重量%のニッケルから成る混合物であり、コバルトの回収率は35.9%であった。又このときの電流効率を算出したところ、2価のコバルト及び2価のニッケルと仮定すると約93%であり、3価のコバルトと仮定すると100%を超えてしまい、2価のコバルトが還元析出したものと取り扱うことが適切であることが分かった。
【0026】
実施例2
廃電池回収品であり、僅少量のアルミニウム及び鉄を含有するリチウムイオン電池用のコバルト酸リチウムからのリチウム回収を試みた。
実施例1と同様にして、このコバルト酸リチウムを塩酸に溶解し、ダイキン工業株式会社製のPTFE不織布フィルターを隔膜として使用する隔膜型2室法電解槽に充填した。なお前記隔膜は表面の撥水性が高くかつ開口率も大きく、電解液はほぼ自由に透過できたが、ガス気泡は径が大きく透過できなかった。又陽極室にはパイプを設置し、生成するガスを抜き出した。陽極は実施例1と同じ電極を、陰極はコバルト製薄板を使用し、実施例1と同じ条件で予備電解を行った。
【0027】
その後、温度を60℃、電流密度を10A/dm2としてpHを変化させて電解を行った。pH0〜1及び1〜2ではほぼ純粋なコバルト金属が得られた(純度99.99%)。僅少量の水酸化リチウムを添加して電解液のpHを2〜3にしたところ、電流効率が95%以上と向上したが、コバルト金属の純度が99.95%と若干低下した。しかし依然として満足できる純度のコバルト金属が得られた。
更に水酸化リチウムを添加してpHを3〜4に上昇させたところ、析出物中に鉄及びアルミニウムが僅かに混入し、又僅かではあるが酸化コバルトの生成が見られ、コバルトの純度は93%程度になった。
pHを約1に固定し、2.1時間電解を継続したところ、より以上のコバルト析出が見られなくなったため、通電を停止し陰極に析出した金属を回収した。
得られたコバルト金属の総量は21.4gであり、回収率は95%であった。
【0028】
実施例3
5%塩酸の代わりに塩素ガスを飽和させた10%硫酸を使用し、ポリプロピレン製の袋を外したこと、及びコバルトとニッケルの原料としてそれぞれ硫酸コバルト並びに硫酸ニッケルを使用したこと以外は実施例1と同じ条件でコバルトイオンの回収を行った。析出したコバルトとニッケルの比は95:5(重量比)であり、コバルトの回収率は33%であった。
【0029】
比較例1
5%塩酸の代わりに電解液として溶存塩素を全く含まない10%硫酸を使用したこと以外は実施例3と同じ条件でコバルトイオンの回収を行ったが、コバルト、ニッケル共に析出が起こらなかった。
この電解液に苛性ソーダを加えてpH=3.5にして電解を行ったところ、金属の析出が起こったが、析出したコバルトとニッケルの重量比はほぼ1:1であり、コバルト析出の選択性が認められなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、コバルト含有溶液を溶存ハロゲン、特に溶存塩素の存在下、酸性で電解し、陰極表面にコバルトを析出させることを特徴とする電解コバルトの製造方法である。
この方法によると、溶液中に2価として存在するコバルトイオンは溶存ハロゲンにより還元されやすい形態の3価に酸化された後に、陰極表面で電解還元されてコバルト金属として陰極表面に析出する。従って従来のように還元され難い2価のコバルトイオンを還元する方法より簡単に溶液中のコバルトイオンを析出させることができる。又このときに3価へ酸化するために使用したハロゲン成分がレドックス的に作用して3価のコバルトイオンの0価のコバルト金属までのいずれかの段階の還元に寄与し、これにより必要な電力量を2価から0価の還元と実質的に等しくして、消費電力の増加が防止できる。
【0031】
このとき溶存ハロゲンが溶存塩素であり、pHが0〜3であると、より確実に溶液中のコバルトイオンをコバルト金属として陰極表面に析出させることができる。
又本発明は、コバルト及びニッケル含有溶液を溶存ハロゲンの存在下、pH0〜3の酸性で電解し、陰極表面にコバルトを析出させることを特徴とする電解コバルトの分離製造方法である。
コバルトとニッケルは類似する性質を有し、その分離のために従来は薬剤を使用したりして、コスト高を招き又手間が多くなって有効な分離方法とはなりえなかった。
しかし本発明方法によると、溶存ハロゲンによる2価から3価への酸化はコバルトイオンのみに対して起こり、ニッケルイオンに対しては起こらないためか、3価のニッケルイオンが生成しても金属への還元はコバルトイオンのみに対して起こるため、類似する性質を有するコバルト及びニッケルのうち、コバルトイオンのみを薬剤や煩雑な操作を必要とすることなく還元し金属として析出させることを可能にしている。
【0032】
このときの好ましい電解液は塩酸水溶液であり、溶存ハロゲンは溶存塩素である。電解液として塩酸水溶液を使用すると、陽極表面で塩素が発生する。
前述した通り、溶存塩素はコバルト還元に必要であるが、過剰な塩素は陰極表面に析出したコバルト金属を溶解させてしまうため、好ましくない。これを回避するためには、電解液として塩素を発生させない硫酸等を使用するか、発生する塩素を陰極に接触させないための工夫が必要になる。
発生塩素の陰極接触回避のためには、コバルトを含有する塩酸水溶液を、発生塩素ガスが陰極表面に接触することを防止するためのセパレーターで陽極を覆った状態で電解すれば良く、これにより陽極で発生する塩素が陰極表面に達することが抑制され、析出したコバルト金属の再溶解が防止される。

Claims (5)

  1. コバルト含有溶液を溶存ハロゲンの存在下、酸性で電解し、陰極表面にコバルトを析出させることを特徴とするコバルトの電解的製造方法。
  2. 溶存ハロゲンが溶存塩素であり、pHが0〜3である請求項1に記載の方法。
  3. コバルト及びニッケル含有溶液を溶存ハロゲンの存在下、pH0〜3の酸性で電解し、陰極表面にコバルトを析出させることを特徴とするコバルトの電解的分離製造方法。
  4. 溶液が塩酸水溶液であり、溶存ハロゲンが溶存塩素である請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
  5. コバルト及びニッケルを含有する塩酸水溶液を、発生塩素ガスが陰極表面に接触することを防止するためのセパレーターで陽極を覆った状態で電解し、コバルトを陰極表面に析出させることを特徴とするコバルトの電解的分離製造方法。
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