JP4791646B2 - ガラス用塗料組成物およびその硬化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス用塗料組成物およびその硬化方法に関し、より詳細にはガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れたガラス用塗料組成物およびその硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラスは装飾品や容器等における汎用材料であり、例えば、容器に用いられた場合にあっては、ガラス自体が化学的に安定なことから、内容物の保護性や保管性に優れた材料である。
しかしながら、ガラスは、透明性が高いために、例えばガラス容器内に保管した内容物が、光劣化しやすいといった問題や、耐衝撃性が不十分であって、割れやすいといった問題が見られた。
【0003】
そこで、前者の問題に対しては、ガラス中に顔料等の着色剤を添加したり、あるいは、フッ化水素酸を用い、ガラス表面をエッチングして半透明化したりする手法がとられていた。
しかしながら、ガラス中に着色剤を添加した場合、ガラスを溶融してリサイクルする際に、生成するガラスの種類が制限されるなどして、リサイクルのコストや手間が多くかかるという問題が見られた。
また、ガラス中に着色剤を添加した場合、ガラス表面は未だ難接着性であって、ガラス表面に文字等をマーキングすることが実質的に困難であった。
さらに、ガラス表面をエッチングする場合、厳格な安全管理が必要であって、別途洗浄工程が必要なフッ化水素酸を使用しなければならず、コストや手間が多くかかり、不経済であるという問題が見られた。
【0004】
また、後者の問題に対しては、ガラス表面をポリマー樹脂フィルムで覆ったり、耐衝撃性ガラスを使用したりするなどの手法がとられていた。
しかしながら、ガラス表面をポリマー樹脂フィルムで覆った場合や、耐衝撃性ガラスを使用した場合、製造コストが高くなるという問題があり、また、ガラスを溶融してリサイクルする際に、生成するガラスの種類が制限されるなどして、リサイクルのコストや手間が多くかかるという問題が見られた。
【0005】
そこで、ガラス表面にガラス用塗料組成物からなる塗装を施すことが提案されている。
このようなガラス用塗料組成物としては、硬化塗膜の硬さに優れ、ガラス表面との密着力に優れていることから、文献1:「塗料用合成樹脂入門、北岡協三著、高分子学会刊行、ページ134〜139」や、文献2:「プラスチック材料講座[8]、ユリア・メラミン樹脂、三輪一郎、松永英夫著、日刊工業新聞社刊行、ページ291〜316」に記載されているように、アミノ樹脂、例えばメラミン樹脂が多用されていた。
かかるガラス用塗料組成物は、一般にガラス表面に塗装した後、加熱硬化させることにより、硬化塗膜を形成して、ガラスの装飾性や美的外観性を向上させるとともに、ガラスの保護膜としての機能をはたしていた。
しかしながら、かかるガラス用塗料組成物は、ガラス表面が汚染されている場合や、ガラス表面が極めて平滑である場合、あるいはガラス表面に曲面部分を有する場合には、硬化塗膜がガラス表面から剥離しやすいという問題が見られた。
また、従来のガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜上に、ガラス内部の情報表示のために、エポキシ塗料からなるマーキングを施すことが多いが、かかる硬化塗膜によって、エポキシ塗料がはじかれてしまうという問題も見られた。
【0006】
そこで、特開平11−181334号公報には、(A)成分としてのポリオール樹脂(a1)と、イソシアネート化合物と反応する硬化剤(a2)とからなるフィルム形成性樹脂に対して、(B)成分としてのアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物と、(C)成分としての大きさが0.1〜40μmである無機骨材(c1)及び粒径が0.01〜30μmである有機高分子粒子(c2)からなる少なくとも1種の骨材とを添加してなる塗料組成物が開示されている。
また、特開平11−80662号公報には、エポキシ樹脂を主成分とし、それにポリオール化合物を反応させた塗料組成物が開示されており、特開平8−283660号公報には、イソシアネート化合物およびポリオール化合物を反応させて得られたウレタン樹脂を主成分としたガラス用保護材料が開示されている。
しかしながら、いずれの塗料組成物やガラス用保護材料からなる硬化塗膜も強度が不足しており、しかも塗膜の薄膜化や平滑化が困難であるという問題が見られた。また、硬化塗膜上に、エポキシ塗料からなるマーキングを施した場合に、かかるエポキシ塗料がはじかれてしまうという問題もいまだ改善されないままであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の発明者らは、上記の問題に鑑み鋭意検討したところ、従来使用しているメラミン樹脂をそのまま使用しつつも、ポリオール化合物と、シランカップリング剤とを、適当比率で添加するだけで、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れたガラス用塗料組成物が提供できることを見出したものである。
すなわち、従来は、ポリオール化合物を添加すると、硬化塗膜の硬さが低下する一方、シランカップリング剤を添加すると、離型性や撥水性が向上し、マーキング塗料をはじきやすくなると考えられていたものの、配合材料の適当比率等を考慮することにより、これらの問題を生じさせることなく、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れたガラス用塗料組成物が提供できることを見出し、本発明を完成させたものである。
よって、本発明の目的は、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れたガラス用塗料組成物を提供することである。
また、本発明の別の目的は、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れたガラス用塗料組成物の硬化方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、メラミン樹脂100重量部に対して、ポリオール化合物を50〜400重量部、シランカップリング剤を5〜100重量部の範囲で含み、ポリオール化合物が、アクリルポリオールおよびラクトンポリオール化合物の混合物であることを特徴とするガラス用塗料組成物が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このように構成することにより、ポリオール化合物およびシランカップリング剤の相乗効果により、硬化塗膜の硬さが低下することなく、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
また、ポリオール化合物をこのように構成することにより、アクリルポリオール化合物およびラクトンポリオール化合物の相乗効果により、硬化塗膜の硬さが低下することなく、ガラスに対する密着力にさらに優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
【0009】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、メラミン樹脂が、メチル化およびブチル化、あるいはいずれか一方のアルキル化を施してあるメラミン樹脂であることが好ましい。
このように構成することにより、メラミン樹脂と、ポリオール化合物とが十分に反応することができ、ガラスに対する密着力に優れた硬化塗膜が得られるとともに、硬化速度に優れたガラス用塗料組成物を提供することができる。
【0011】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、ポリオール化合物の全体量(100重量部)中のラクトンポリオール化合物の使用量を0.1〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ポリオール化合物を組み合わせて添加しても、ラクトンポリオール化合物の働きにより、硬化塗膜の硬さが低下することなく、ガラスに対する密着力にさらに優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
【0012】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、ポリオール化合物のヒドロキシル価を5〜500mgKOH/gの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ポリオール化合物と、メラミン樹脂やシランカップリング剤とが、確実に反応することができ、結果として、硬化塗膜の硬さ低下が少なくなる一方、ガラスに対する密着力にさらに優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
なお、ポリオール化合物のヒドロキシル価は、滴定方法により測定することができる。
【0013】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、シランカップリング剤が、アミン系シランカップリング剤およびエポキシ系シランカップリング剤、あるいはいずれか一方のシランカップリング剤であることが好ましい。
このように構成することにより、カップリング剤を比較的少量添加した場合であっても、カップリング剤が、確実にメラミン樹脂やポリオール化合物と反応することができ、結果として、硬化塗膜の硬さの低下がより少なくなる一方、ガラスに対する密着力にさらに優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
【0014】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、着色剤を含むとともに、当該着色剤の含有量を、メラミン樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、容易にカラー化を図ることができ、装飾性や美的感覚、あるいは光透過による内容物の劣化保護に優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
【0015】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、メラミン樹脂の硬化触媒を含むとともに、当該硬化触媒の含有量を、メラミン樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、良好な貯蔵安定性を維持したままメラミン樹脂の硬化速度を速めることができ、また、得られる硬化塗膜の硬さを高めることもできる。
【0016】
また、本発明のガラス用塗料組成物を構成するにあたり、粘度を1×100〜1×106mPa・s(25℃)の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、取り扱いが容易で、しかも表面平滑性に優れた、薄膜の硬化塗膜が容易に得られるガラス用塗料組成物を提供することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様によれば、メラミン樹脂100重量部に対して、ポリオール化合物を50〜400重量部、シランカップリング剤を5〜100重量部の範囲で含み、ポリオール化合物が、アクリルポリオールおよびラクトンポリオール化合物の混合物であるガラス用塗料組成物を、ガラスに対して塗布するための塗布工程と、塗布したガラス用塗料組成物を加熱硬化させるための硬化工程と、を含むことを特徴とするガラス用塗料組成物の硬化方法が提供され、上述した問題点を解決することができる。
このように実施することにより、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れた硬化塗膜を効果的に得ることができる。
【0018】
また、本発明のガラス用塗料組成物の硬化方法を実施するにあたり、ガラス用塗料組成物の塗布工程前に、ポリオール化合物をガラスに対してプライマー処理するためのプライマー工程を設けることが好ましい。
このように実施することにより、ガラス表面に確実にポリオール化合物が存在するため、曲面等であってもガラスに対する密着力にさらに優れた硬化塗膜を得ることができる。
【0019】
また、本発明のガラス用塗料組成物の硬化方法を実施するにあたり、ガラス用塗料組成物の塗布工程前に、ガラスに対して、フレーム処理するためのフレーム工程を設けることが好ましい。
このように実施することにより、ガラス表面に付着した有機物等を排除するとともに、表面の濡れ性を向上させて、ガラスに対する密着力にさらに優れた硬化塗膜を効果的に得ることができる。
【0020】
【発明の実施形態】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、メラミン樹脂100重量部に対して、ポリオール化合物を50〜400重量部、シランカップリング剤を5〜100重量部の範囲でそれぞれ含み、ポリオール化合物が、アクリルポリオールおよびラクトンポリオール化合物の混合物であることを特徴とするガラス用塗料組成物である。
以下、構成材料等に分けて具体的に説明する。
【0021】
1.メラミン樹脂
(1)種類1
メラミン樹脂の種類としては、メラミン樹脂はもちろんのこと、メラミン樹脂の誘導体、例えば、メチロール型メラミン樹脂、イミノ型メラミン樹脂、イミノ型アルキルエーテル化メラミン樹脂、メチロール型アルキルエーテル化メラミン樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂等のいずれも使用することができる。
また、アルキルエーテル化メラミン樹脂としては、アルキル部分が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、およびi−ブチル基の少なくとも一つであることがより好ましい。
さらに、イミノ基やメチロール基を有するメラミン樹脂は、耐水性を低下させる場合があるので、硬化塗膜の耐水性をより向上させる場合には、アルキルエーテル化メラミン樹脂、例えば、ブチル化メラミン樹脂およびメチル化メラミン樹脂、あるいはいずれか一方のメラミン樹脂を使用することが好ましい。
【0022】
(2)種類2
また、メラミン樹脂は、上述したメラミン樹脂、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂と、アルキド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、およびウレタン樹脂等との混合物であることが好ましい。このような樹脂と混合してメラミン樹脂を構成することにより、ガラスに対する密着力を向上させることができるとともに、硬化塗膜の平滑性や薄膜性を向上させることができるためである。
ここで、併用する樹脂の添加量を、上述したメラミン樹脂100重量部に対して、10〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる併用する樹脂の添加量が10重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、かかる併用する樹脂の添加量が500重量部を超えると、ガラス用塗料組成物の硬化速度が低下したり、硬化温度が著しく高くなったりする場合があるためである。
したがって、併用する樹脂の添加量を、上述したメラミン樹脂100重量部に対して、30〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0023】
(3)種類3
また、メラミン樹脂として、上述したメラミン樹脂、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂に対して、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂、ヒドロキシル基含有エポキシ樹脂、ヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂、およびヒドロキシル基含有ウレタン樹脂等のポリオール化合物を予め反応させて構成したポリオール変性メラミン樹脂を使用することが好ましい。
このようなポリオール変性メラミン樹脂を使用することにより、ガラスに対する密着力をさらに向上させるとともに、硬化塗膜の平滑性や薄膜性をより向上させることができるためである。
【0024】
ここで、反応させるポリオール化合物の量を、上述したメラミン樹脂100重量部に対して、10〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、反応させるポリオール化合物量が10重量部未満の値となると、ポリオール化合物の反応効果が発現しない場合があるためである。一方、反応させるポリオール化合物量が500重量部を超えると、メラミン樹脂、すなわち、メラミン樹脂を含むガラス用塗料組成物の硬化速度が著しく低下したり、あるいは硬化塗膜の硬さが低下したりする場合があるためである。
したがって、反応させるポリオール化合物の量を、上述したメラミン樹脂100重量部に対して、50〜400重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜300重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0025】
(4)硬化触媒
また、メラミン樹脂の硬化触媒を添加することが好ましい。
このような硬化触媒としては、シュウ酸ジメチルエステル、シュウ酸ジエチルエステル、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、モノクロロ酢酸ナトリウム塩、モノクロロ酢酸カリウム塩、α、α−ジクロロヒドリン、エチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、芳香族スルフォン酸アンモニウム、塩化アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、芳香族スルフォン酸アンモニウム塩、尿素誘導体、イミドスルフォン酸二アンモニウム、芳香族スルフォン酸、リン酸等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0026】
また、メラミン樹脂の硬化触媒の添加量を、メラミン樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる硬化触媒の添加量が0.1重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためである。一方、かかる硬化触媒の添加量が30重量部を超えると、メラミン樹脂との反応性を制御することが困難となり、貯蔵安定性が低下する場合があるためである。
したがって、メラミン樹脂の硬化触媒の添加量を、メラミン樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0027】
2.ポリオール化合物
(1)種類1
ポリオール化合物の種類としては、分子内にヒドロキシ基を有する化合物であれば、使用することができるが、例えば、後述するアクリルポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、含フッ素ポリオール化合物、およびラクトンポリオール化合物が好適例として挙げられる。
ただし、これらのポリオール化合物のうち、比較的少量の添加により、硬化塗膜の硬さの改良効果を十分に発現させることができるとともに、ガラス用塗料組成物の硬化速度を低下させるおそれが少ないことから、アクリルポリオール化合物およびラクトンポリオール化合物の混合物を使用することを特徴とする。
また、アクリルポリオール化合物/ラクトンポリオール化合物の混合物を使用する場合、その混合比率を、重量比で50〜99.9/50〜0.1の範囲内の値とすることが好ましく、70〜99/30〜1の範囲内の値とすることがより好ましく、80〜98/20〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0028】
(2)種類2
また、ポリオール化合物の種類として、一価〜三価のポリオール化合物を好適に使用することができる。
ただし、これらのポリオール化合物のうち、メラミン樹脂や、カップリング剤とともに、容易に反応できることから、二価〜三価の多価ポリオール化合物を使用することがより好ましく、三価のポリオール化合物を使用することがさらに好ましい。例えば、カプロラクトンポリオール化合物を多価アルコール等で開環させて、三価のカプロラクトンポリオール化合物とすることが好ましい。
なお、三価のポリオール化合物を使用した場合、ガラスに対する密着力を向上させるためには、三つのヒドロキシル基を全て反応させる必要はなく、少なくとも一つのヒドロキシル基を反応させることで十分である。
この理由は、未反応のヒドロキシル基を残すことにより、逆に、ガラス表面に存在するヒドロキシル基と反応することができるためである。すなわち、メラミン樹脂や、カップリング剤と反応したポリオール化合物が、さらにガラス表面に存在するヒドロキシル基と反応し、ガラスに対する密着力により優れたガラス用塗料組成物を提供することができるためである。
【0029】
(3)種類3
▲1▼アクリルポリオール化合物
アクリルポリオール化合物は、ヒドロキシル基含有アクリルモノマーと、他のエチレン性不飽和モノマーとを、共重合して得られるポリオール化合物と定義される。
このようなヒドロキシル基含有アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0030】
また、共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸等のビニル化合物;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアミノ基含有モノマーやアクリルアミド類等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、アクリルポリオール化合物としては、硬化塗膜に柔軟性を与え、ガラスに対するより優れた密着力が得られることからラクトンで変性されたエチレン性不飽和モノマー、例えばε−カプロラクトン変性アクリルモノマーを使用して得られたアクリルポリオール化合物、すなわち、ラクトン変性アクリルポリオール化合物を使用することがより好ましい。
このようなソフトセグメントを含有するモノマーとしては、より具体的に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ε−カプロラクトン付加体や、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
▲2▼ポリエステルポリオール化合物
ポリエステルポリオール化合物は、多価カルボン酸と、アルコール成分との重縮合物と定義される。
このようなカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物、こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0032】
また、アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキサイド付加物;1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等の側鎖を有する脂肪族グリコール等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0033】
▲3▼含フッ素ポリオール化合物
含フッ素ポリオール化合物は、少なくともヒドロキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと、フルオロオレフィンモノマーとを共重合して得られるポリオール化合物、又は、フルオロオレフィンモノマーを重合させて得られるヒドロキシル基を有しないフッ素ポリマーに、アクリルポリオール化合物を混合して得られるポリオール化合物である。
【0034】
このようなヒドロキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアリルエーテル類等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、フルオロオレフィンモノマーとしては、二フッ化オレフィンモノマー、三フッ化オレフィンモノマー及び四フッ化オレフィンモノマーがあり、具体的には、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン等を挙げることができる。
【0035】
▲4▼ラクトンポリオール化合物
ラクトンポリオール化合物としては、ラクトンモノマー(γ−ラクトン、β−ラクトン、δ−ラクトン)を、アルコール類、あるいは芳香性液体やアルカリ剤を用いて開環して得られる化合物が好適に使用できる。
例えば、カプロラクトンモノマーやバレロラクトンモノマーを、メタノールやエタノール等の低級アルコール、あるいは多価アルコールでそれぞれ開環して得られる化合物が好ましい。
【0036】
(4)ヒドロキシル価
また、ポリオール化合物におけるヒドロキシル価を5〜500mgKOH/gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるヒドロキシル価が5mgKOH/g未満の値となると、硬化性反応基量が少なすぎて、メラミン樹脂やシランカップリング剤との反応性や、ポリオール化合物自身の硬化性が低下する場合があるためである。一方、かかるヒドロキシル価が500mgKOH/gを超えると、得られる塗膜に親水性基が残留し、塗膜の耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性が低下する場合があるためである。
したがって、ポリオール化合物におけるヒドロキシル価を10〜300mgKOH/gの範囲内の値とすることがより好ましく、30〜200mgKOH/gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
(5)数平均分子量
また、ポリオール化合物における数平均分子量を200〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる数平均分子量が200未満の値となると、得られる塗膜の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、500,000を超えると、塗料組成物の粘度が高くなりすぎて、塗装性が低下する場合があるためである。
したがって、ポリオール化合物における数平均分子量を300〜50,000の範囲内の値とすることがより好ましく、500〜20,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0038】
(6)添加量
また、ポリオール化合物の添加量(含有量)を、メラミン樹脂100重量部に対して、50〜400重量部の範囲内の値とする。
この理由は、かかるポリオール化合物の添加量が50重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、かかるポリオール化合物の添加量が400重量部を超えると、ガラス用塗料組成物の反応性が著しく低下したり、あるいは得られる硬化塗膜の硬さや鉛筆硬度が低下したりする場合があるためである。
したがって、ポリオール化合物の添加量(含有量)を、メラミン樹脂100重量部に対して、100〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、150〜250重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0039】
また、上述したように、複数のポリオール化合物を組み合わせて使用することが好ましい。ただし、その場合であっても、ポリオール化合物の全体量を100重量%としたときに、アクリルポリオールの使用量を50〜99.9重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、アクリルポリオールの使用量が、全体量の50重量%未満の値となると、得られる硬化塗膜の密着性や耐熱性が低下する場合があるためであり、一方、アクリルポリオールの使用量が、全体量の99.9重量%を超えると、逆に、得られる硬化塗膜の密着性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、アクリルポリオールの使用量を、ポリオール化合物の全体量を100重量%としたときに、70〜99重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、80〜98重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0040】
さらに、複数のポリオール化合物を組み合わせて使用した場合に、ポリオール化合物の全体量を100重量%としたときに、ラクトンポリオールの使用量を0.1〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ラクトンポリオールの使用量が、全体量の0.1重量%未満の値となると、得られる硬化塗膜の密着性が著しく低下したり、硬化塗膜上へのマーキング性についても低下したりする場合があるためである。一方、ラクトンポリオールの使用量が、全体量の50重量%を超えると、逆に、得られる硬化塗膜のガラスへの密着性が低下する場合があるためである。
したがって、ラクトンポリオールの使用量を、ポリオール化合物の全体量を100重量%としたときに、1〜30重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
ここで、図1を参照して、ポリオール化合物(アクリルポリオールとラクトンポリオールとの混合物)中における、カプロラクトンポリオールの添加量と、硬化塗膜のガラスに対する密着力との関係を説明する。
すなわち、メラミン樹脂100重量部と、アクリルポリオールおよびカプロラクトンポリオールの混合物210重量部と、ウレイドプロピルトリエトキシシラン25重量部と、リン酸系硬化剤5重量部と、有機溶剤540重量部と、からなるガラス硬化用塗料を用意し、ポリオール化合物の全体量(100重量部)におけるカプロラクトンポリオールの添加量を0.05〜50重量部の範囲で変えて、実施例1に準じて、硬化塗膜のガラスに対する密着力を評価した。
そして、図1の横軸には、ポリオール化合物(100重量部)中のカプロラクトンポリオールの添加量(重量部)を採って示してあり、図1の縦軸には、JIS K−5400に基づいた碁盤目テ−プ法により測定される硬化塗膜における100碁盤目あたりの、はがれ数(個/100碁盤目)を採って示してある。また、初期評価結果を実線で示してあり、耐湿試験後(40℃×95%RH、24時間)の評価結果を点線で示してある。
なお、評価した硬化塗膜は、実施例1に準拠して、160℃×10分の焼付け条件で形成した厚さ25μmの硬化塗膜である。
【0042】
この図1から容易に理解できるように、ポリオール化合物(100重量部)中のカプロラクトンポリオールの添加量が1〜30重量部の範囲であれば、初期も耐湿試験後もはがれ数が4(個/100碁盤目)以下の値であるが、ポリオール化合物の添加量が0.05重量部と比較的少なくなると、初期も耐湿試験後も、はがれ数が10(個/100碁盤目)以上の値となっている。
一方、ポリオール化合物の添加量が50重量部と比較的多くなると、初期も耐湿試験後も、はがれ数が5(個/100碁盤目)以上の値と若干多くなっている。
したがって、硬化塗膜のガラスに対する密着力を高めて、初期および耐湿試験後のはがれ数を低下させるためには、ポリオール化合物の全体量(100重量部)におけるカプロラクトンポリオール化合物の添加量を0.1〜30重量部の範囲内の値とすることが有効であり、カプロラクトンポリオール化合物の添加量を1〜20重量部の範囲内の値とすることがより有効であり、カプロラクトンポリオール化合物の添加量を2〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに有効であることが理解される。
【0043】
3.シランカップリング剤
(1)種類1
シランカップリング剤の種類としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0044】
これらのシランカップリング剤のうち、メラミン樹脂やポリオール化合物と反応し、ガラスに対するより強固な密着力を発揮できることからγ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
【0045】
(2)種類2
また、シランカップリング剤の部分縮合物を使用することも好ましい。このように部分縮合物を使用することにより、ガラスとの密着力をより高めることができる。
なお、シランカップリング剤の部分縮合物は、シランカップリング剤に含まれるアルコキシ基の一部が加水分解されて、水酸基が生成された状態でもよく、さらに生成された水酸基同士、あるいは生成された水酸基と、アルコキシ基とが反応して、シラノール結合を一部生成した状態であっても良い。
【0046】
(3)種類3
また、上述したシランカップリング剤とともに、他のカップリング剤、例えば、アルミニウムカップリング剤や、チタンカップリング剤を併用することも好ましい。
例えば、γ−ウレイドプロピルトリエトキシアルミニウム、γ−ウレイドプロピルトリメトキシアルミニウム、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム、γ−アミノプロピルトリメトキシアルミニウム、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシアルミニウム、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシアルミニウム等のアルミニウムカップリング剤や、γ−ウレイドプロピルトリエトキシチタン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、γ−アミノプロピルトリエトキシチタン、γ−アミノプロピルトリメトキシチタン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシチタン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシチタン等のチタンカップリング剤を用いることがより好ましい。
【0047】
(4)添加量
また、シランカップリング剤の添加量(含有量)を、メラミン樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内の値とする。
この理由は、かかるシランカップリング剤の添加量が5重量部未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、かかるシランカップリング剤の添加量が100重量部を超えると、メラミン樹脂との反応性を制御することが困難となったり、あるいは硬化塗膜の硬さが低下したりする場合があるためである。
したがって、シランカップリング剤の添加量(含有量)を、メラミン樹脂100重量部に対して、10〜50重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】
ここで、図2を参照して、シランカップリング剤の添加量と、硬化塗膜のガラスに対する密着力との関係を説明する。
図2の横軸には、メラミン樹脂100重量部に対するシランカップリング剤(ウレイドプロピルトリエトキシシラン)の添加量(重量部)を採って示してあり、図2の縦軸には、JIS K−5400に基づいた碁盤目テ−プ法により測定される硬化塗膜における100碁盤目あたりの、はがれ数(個/100碁盤目)を採って示してある。そして、初期評価結果を実線で示してあり、耐湿試験後(40℃×95%RH、24時間)の評価結果を点線で示してある。
なお、評価した硬化塗膜は、実施例1に準拠して、160℃×10分の焼付け条件で形成した厚さ25μmの硬化塗膜である。
図2から容易に理解できるように、シランカップリング剤の添加量が5〜100重量部の範囲であれば、初期も耐湿試験後もはがれ数が1(個/100碁盤目)以下の値であるが、シランカップリング剤の添加量が0.5重量部と低下すると、初期も耐湿試験後も、はがれ数が10(個/100碁盤目)以上の値となっている。一方、シランカップリング剤の添加量が100重量部となると、初期または耐湿試験後のはがれ数が、2(個/100碁盤目)以上の値となっている。
したがって、硬化塗膜のガラスに対する密着力を高めて、初期および耐湿試験後のはがれ数を低下させるためには、シランカップリング剤の添加量をメラミン樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内の値とすることが有効であり、シランカップリング剤の添加量を10〜80重量部の範囲内の値とすることがより有効であり、シランカップリング剤の添加量を20〜50量部の範囲内の値とすることがさらに有効であることが理解される。
【0049】
4.性状
ガラス用塗料組成物の性状については特に制限されるものではないが、ガラスに対して容易に塗布できるように液状であることが好ましい。そして、ガラス用塗料組成物の粘度を1×100〜1×106mPa・s(25℃)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる粘度が1×100mPa・s未満の値となると、たれ等の問題が生じやすくなり、均一な厚さを有する硬化塗膜を形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる粘度が1×106mPa・sを超えると、硬化塗膜の薄膜化が困難となったり、塗布方法が過度に制限されたりする場合があるためである。
したがって、ガラス用塗料組成物の粘度を5×100〜1×104mPa・s(25℃)の範囲内の値とすることがより好ましく、1×101〜5×103mPa・s(25℃)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ガラス用塗料組成物の粘度を調整するに際して、粘度調整剤や有機溶剤を添加することが好ましい。
【0050】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、メラミン樹脂100重量部に対して、ポリオール化合物を50〜400重量部の範囲、シランカップリング剤を5〜100重量部の範囲で含み、ポリオール化合物が、アクリルポリオールおよびラクトンポリオール化合物の混合物であるガラス用塗料組成物を、ガラスに対して塗布するための塗布工程と、塗布したガラス用塗料組成物を加熱硬化させるための硬化工程と、を含むことを特徴とするガラス用塗料組成物の硬化方法である。
以下、各工程等に分けて具体的に説明する。なお、ガラス用塗料組成物については、第1の実施形態と同様のガラス用塗料組成物を使用することができるため、ここでの説明は省略するものとする。
【0051】
1.塗布工程
塗布工程は、ガラス用塗料組成物をガラスに対して塗布する工程であって、その塗布方法は、特に限定されないものの、例えば、静電塗装法、電着塗装法、ロールコーター法、エアースプレー法、エアレススプレー法、カーテンフローコーター法、ディッピング法等を挙げることができる。
これらの塗布方法のうち、より薄膜化が可能で、ガラスの曲面にも均一に塗布することができる一方、塗布装置の構造も簡易であることから、静電塗装法やエアースプレー法を用いることがより好ましい。
【0052】
2.硬化工程
(1)焼き付け条件
焼き付け条件は、使用するガラス用塗料組成物の反応温度に応じて適宜変更可能であるが、通常、140℃〜250℃、10分の条件で行うことが好ましく、150℃〜230℃、10分の条件で行うことがより好ましく、160℃〜220℃、10分の条件で行うことがさらに好ましい。
なお、ガラス用塗料組成物が、常温乾燥塗料である場合には、室温で1日〜1週間乾燥させることが好ましく、2〜4日乾燥させることがより好ましい。
【0053】
(2)膜厚
また、ガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜の膜厚を0.5〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる硬化塗膜の膜厚が0.5μm未満の値となると、硬化塗膜を均一に塗布することが困難となったり、あるいは、硬化塗膜の硬さが低下したりする場合があるためである。一方、かかる硬化塗膜の膜厚が300μmを超えると、ガラスの外観性を損なったり、あるいは硬化塗膜の加熱硬化が不十分となったりする場合があるためである。
したがって、塗膜の膜厚(乾燥硬化膜厚)を、1〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0054】
(3)鉛筆硬度
また、ガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜の鉛筆硬度(JIS K 5400準拠)を2〜6Hの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる硬化塗膜の鉛筆硬度が2H未満の値となると、硬化塗膜の硬さや耐熱性が低下する場合があるためである。一方、かかる硬化塗膜の鉛筆硬度が6Hを超えると、硬化塗膜がガラス表面から剥離しやすくなったり、あるいはガラス用塗料組成物に使用可能な原材料の種類が過度に制限されたりする場合があるためである。
したがって、硬化塗膜の鉛筆硬度(JIS K 5400準拠)を3〜5Hの範囲内の値とすることがより好ましく、4〜5Hの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0055】
3.プライマー工程
本発明の塗膜形成方法においては、ガラスとガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜との密着性を高めるために、プライマー層を間に設けることが好ましい。
このようなプライマーとしては、エポキシ樹脂系プライマー、ポリウレタン変性エポキシ樹脂系プライマー、及び、ポリエステル樹脂系プライマーからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、上述したポリオール化合物を含むプライマー、例えば、ポリオール化合物/有機溶剤、ポリオール化合物/シランカップリング剤/有機溶剤、およびポリオール化合物/メラミン樹脂/シランカップリング剤/有機溶剤を塗装することも好ましい。
【0056】
4.フレーム工程
また、本発明の塗膜形成方法においては、ガラス用塗料組成物を塗布する前に、ガラスに対してフレーム処理(火炎処理)を実施することが好ましい。すなわち、ガラス表面を加熱して、表面の濡れ性を向上させたり、あるいはガラス表面に付着している有機物を排除したりすることにより、ガラスに対する硬化塗膜との密着性をより高めることができる。
また、フレーム処理の条件は、ガラス表面の濡れ性等を考慮して定めることが好ましいが、例えば800〜1,500℃のプロパンガスからなる燃焼ガスを、0.5〜30秒の条件で吹き付け、ガラス表面を加熱することが好ましい。
なお、フレーム処理(火炎処理)を実施するにあたり、ガラス表面温度については、50〜200℃の範囲内の値とすることが好ましく、60〜180℃の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜150℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0057】
5.洗浄工程
また、本発明の塗膜形成方法においては、ガラス用塗料組成物を塗布する前に、ガラスに対して洗浄処理を実施することが好ましい。すなわち、ガラス表面をアルコールや水拭きして、表面の濡れ性を向上させたり、あるいはガラス表面に付着している有機物やほこりを排除したりすることにより、ガラスに対する硬化塗膜との密着性をより高めることができる。
なお、洗浄処理を実施するにあたり、アルコールおよび水、あるいはいずれか一方を用いて、シャワー洗浄やジェット洗浄するか、あるいはこれらの液体にガラスを浸漬することが好ましい。
【0058】
6.マーキング工程
また、本発明の塗膜形成方法を実施した後に、得られた硬化塗膜上に、マーキング塗料、例えば、一液性エポキシ樹脂、一液性ウレタン樹脂、あるいはポリエステル樹脂等を用いてマーキング(インクジェット印刷や、レーザーマーキングを含む。)することが好ましい。
このようにマーキングすることにより、硬化塗膜の外観性や装飾性を高めることができるとともに、ガラス容器内部の内容物や内容量、あるいはガラス容器に関する情報を提供できることから好ましい。
また、一液性エポキシ樹脂、一液性ウレタン樹脂、あるいはポリエステル樹脂等をマーキングした後、硬化させて、硬化塗膜と密着させるために、例えば120〜220℃の温度で、20分の条件で加熱することが好ましい。
なお、マーキング塗料が、硬化塗膜上ではじかれないように、マーキング塗料中にも、硬化塗膜に含まれるシランカップリング剤と同種のシランカップリング剤を添加することが好ましい。
【0059】
7.リサイクル工程
また、本発明の塗膜形成方法を実施した後、あるいはマーキング工程を実施した後、不良が生じたような場合を考慮して、ガラスのリサイクル工程を設けることが好ましい。
すなわち、リサイクルするガラスを粉砕し、粒状ガラスとした後、この粒状ガラスを、ガラス溶融炉にて、600〜1100℃程度の温度に加熱して、ガラスを溶融させるとともに、ガラス表面の硬化塗膜を熱分解(昇華)させて、消去することが好ましい。
この場合、800℃、10分程度の加熱条件で、硬化塗膜が熱分解(昇華)することが好ましく、600℃、10分程度の加熱条件で、硬化塗膜が熱分解(昇華)することがより好ましい。そのため、シランカップリング剤の添加量を、上述したように、メラミン樹脂100重量部に対して、100重量部以下の値とすることが有効である。すなわち、逆にシランカップリング剤の添加量が、100重量部を超えると、800℃、10分程度の加熱条件であっても、硬化塗膜が熱分解(昇華)せずに、一部残留する場合があるためである。
したがって、少なくとも800℃、10分程度の加熱条件で、硬化塗膜が容易に熱分解(昇華)するように、シランカップリング剤の添加量を、上述したように、メラミン樹脂100重量部に対して、100重量部以下の値とすることが有効である。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を掲げて、本発明の内容を更に詳しく説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、これら実施例のみの記載に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更することができる。
【0061】
[実施例1]
1.ガラス用塗料組成物の作成
攪拌機付の混合容器内に、下記配合材料を仕込み、室温条件で、30分間攪拌して(回転数:1000rpm)、粘度40mPa・s(25℃)、固形分約39重量%のガラス用塗料組成物を得た。
メラミン樹脂 100重量部
アクリルポリオール化合物 180重量部
(ヒドロキシル価300mgKOH/g、数平均分子量3,000)
ラクトンポリオール化合物 30重量部
(ヒドロキシル価200mgKOH/g、数平均分子量1,000)
ウレイドプロピルトリエトキシシラン 25重量部
リン酸系硬化触媒 5重量部
キシレン 300重量部
酢酸ブチル 150重量部
イソプロピルアルコール 90重量部
なお、表1中、メラミン樹脂をA1、アクリルポリオール化合物をB1、ラクトンポリオール化合物をB2、ウレイドプロピルトリエトキシシランをC1、リン酸系硬化触媒をD1でそれぞれ表わす。以下、同様である。
【0062】
2.ガラス用塗料組成物の評価
得られたガラス用塗料組成物につき、以下のような貯蔵安定性、焼き付け性等の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0063】
(1)貯蔵安定性
得られたガラス用塗料組成物を20℃の恒温条件で、1週間保存した。その後、以下の基準により、沈殿物を目視により確認し、貯蔵安定性の評価を行った。
◎:沈降物が無い。
○:沈降物がわずかにあるが、手攪拌で容易に均一な溶液となる。
△:沈降物があるが、機械的攪拌(1000rpm)により均一な溶液となる。
×:沈降物があり、機械的攪拌(1000rpm)によっても均一な溶液とならない。
【0064】
(2)焼き付け性1(外観性)
ボトルネック型のガラスビン(高さ10cm、直径4cm、ボトルネック部高さ3cm、ボトルネック部直径2cm)に、得られたガラス用塗料組成物をエアースプレーし、次いで、160℃×10分、180℃×10分、200℃×10分の条件で、それぞれ焼き付け、硬化塗膜を生成した。その後、以下の基準により、硬化塗膜を目視により確認し、焼き付け性の評価を行った。表1に、繰り返し試験数10の平均の評価結果を示す。
◎:全ての焼き付け条件において、外観性に優れた均一な薄膜が得られる。
○:180℃×10分および200℃×10分の焼き付け条件であれば、外観性に優れた均一な薄膜が得られる。
△:200℃×10分の焼き付け条件であれば、外観性に優れた均一な薄膜が得られる。
×:200℃×10分の焼き付け条件であっても、外観性に優れた均一な薄膜が得られない。
【0065】
(3)焼き付け性2(ガラス付着性)
ボトルネック型のガラスビン(高さ10cm、直径4cm、ボトルネック部高さ3cm、ボトルネック部直径2cm)に、得られたガラス用塗料組成物をエアースプレーし、次いで、160℃×10分、180℃×10分、200℃×10分の条件で、それぞれ焼き付け、硬化塗膜を生成した。その後、JIS K−5400に基づいた碁盤目テ−プ法によりガラス付着性を測定し、100碁盤目あたりのはがれ数から焼き付け性の評価を行った。表1に、繰り返し試験数10の平均の評価結果を示す。
◎:全ての焼き付け条件において、はがれ数は0個/100碁盤目である。
○:180℃×10分および200℃×10分の焼き付け条件であれば、はがれ数は0個/100碁盤目である。
△:200℃×10分の焼き付け条件であれば、はがれ数は0個/100碁盤目である。
×:200℃×30分の焼き付け条件であっても、はがれ数は1個以上/100碁盤目である。
【0066】
(4)焼き付け性3(鉛筆硬度)
ボトルネック型のガラスビン(高さ10cm、直径4cm、ボトルネック部高さ3cm、ボトルネック部直径2cm)に、得られたガラス用塗料組成物をエアースプレーし、次いで、160℃×10分の条件で、焼き付け、硬化塗膜を生成した。その後、JIS K−5400に準じて、JIS S 6006に規定される鉛筆を用いて、硬化塗膜に対する鉛筆硬度試験を行った。表1に、繰り返し試験数10の平均の評価結果を示す。
【0067】
(5)耐湿性
焼き付け性2と同様に、ガラス用塗料組成物をガラスビンに対してエアースプレーし、次いで、160℃×10分の条件で焼き付け、硬化塗膜を生成した。次いで、40℃×95%RHの湿度オーブン中に、ガラスビンを24時間および72時間それぞれ放置した。その後、湿度オーブンからガラスビンを取り出し、室温条件(25℃×50%RH)に1時間放置した後、JIS K−5400に基づいた碁盤目テ−プ法によりガラス付着性を測定した。表1に、繰り返し試験数10の平均の評価結果を示す。
【0068】
(6)マーキング性
焼き付け性2と同様に、ガラス用塗料組成物をガラスビンに対してエアースプレーし、次いで、200℃×10分の条件で、焼き付け、硬化塗膜を生成した。次いで、一液型エポキシ塗料を、スクリ−ン印刷により硬化塗膜表面にライン状に印刷し、180℃×20分の条件で、加熱硬化させた。その後、以下の基準により、硬化塗膜を目視により確認し、マーキング性の評価を行った。表1に、繰り返し試験数10の平均の評価結果を示す。
◎:0.2mm幅のラインが再現されている。
○:1.0mm幅のラインが再現されている。
△:2.0mm幅のラインが再現されている。
×:一液型エポキシ塗料がはじかれ、2.0mm幅のラインが再現されていない。
【0069】
[実施例2〜5、および比較例1〜2]
ポリオール化合物の添加量の影響を検討した。すなわち、実施例1におけるメラミン化合物100重量部に対するポリオール化合物(アクリルポリオールと、カプロラクトンポリオールとの混合物)の合計添加量を210重量部から、100重量部(実施例2)、150重量部(実施例3)、250重量部(実施例4)、および300重量部(実施例5)に変更したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物を作成して、評価した。
また、実施例1におけるメラミン化合物100重量部に対するポリオール化合物の添加量を210重量部から、40重量部(比較例1)および500重量部(比較例2)にそれぞれ変更したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物を作成して、評価した。
結果から理解できるように、ポリオール化合物の添加量が少なくなると(比較例1)、ガラス付着性や、耐湿性が低下する傾向が見られた。また、ポリオール化合物の添加量が多くなると(比較例2)、ガラス付着性や耐湿性も低下するばかりか、鉛筆硬度やマーキング性についても低下する傾向が見られた。
したがって、本発明で規定するポリオール化合物の範囲内の値に添加量を制限することにより、ガラス付着性や耐湿性ばかりでなく、鉛筆硬度やマーキング性についても優れた特性が得られることが判明した。
【0070】
【表1】
【0071】
[実施例6〜8、および比較例3〜4]
シランカップリング剤の添加量の影響を検討した。すなわち、実施例1におけるメラミン化合物100重量部に対するシランカップリング剤の添加量を25重量部から、10重量部(実施例6)、50重量部(実施例7)、および100重量部(実施例8)に変更したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物を作成して、評価した。
また、実施例1におけるメラミン化合物100重量部に対するシランカップリング剤の添加量を25重量部から、0.5重量部(比較例3)および300重量部(比較例4)にそれぞれ変更したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物を作成して、評価した。
結果から理解できるように、シランカップリング剤の添加量が過度に少なくなると(比較例3)、ガラス付着性や、耐湿性が低下する傾向が見られた。また、シランカップリング剤の添加量が多くなると(比較例4)、ガラス付着性も低下するばかりか、鉛筆硬度やマーキング性についても低下する傾向が見られた。
したがって、本発明で規定するシランカップリング剤の範囲内の値に添加量を制限することにより、ガラス付着性や耐湿性ばかりでなく、鉛筆硬度やマーキング性についても優れた特性が得られることが判明した。
【0072】
【表2】
【0073】
[実施例9〜11]
硬化剤の添加量の影響を検討した。すなわち、実施例1におけるメラミン化合物100重量部に対する硬化剤の添加量を5重量部から、1重量部(実施例9)、10重量部(実施例10)、および30重量部(実施例11)にそれぞれ変更したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物を作成して、評価した。
結果から理解できるように、硬化触媒の添加量が比較的少なくなると(実施例9)、ガラス付着性や、鉛筆硬度が低下する傾向が見られた。また、硬化触媒の添加量が比較的多くなると(実施例11)、ガラス付着性も若干低下するばかりか、鉛筆硬度や耐湿性についても低下する傾向が見られた。
したがって、本発明で好ましいとする硬化触媒の範囲内の値に添加量を制限することにより、優れた貯蔵安定性を維持したままガラス付着性や鉛筆硬度ばかりでなく、耐湿性やマーキング性についても優れた特性が得られることが判明した。
【0074】
【表3】
【0075】
[実施例12〜14]
着色剤の添加量の影響を検討した。すなわち、実施例1における配合中に、着色剤(フタロシアニングリーン)を添加するとともに、かかる着色剤の添加量をメラミン化合物100重量部に対して、5重量部(実施例12)、10重量部(実施例13)、および30重量部(実施例14)としたほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物をそれぞれ作成して、評価した。
結果から理解できるように、着色剤の添加量が比較的多くなると(実施例14および実施例15)、ガラス付着性等が若干低下する傾向が見られた。したがって、本発明で好ましいとする着色剤の範囲内の値に添加量を制限することにより、着色剤を添加した場合であっても、ガラス付着性等の低下を防止できることが判明した。
【0076】
【表4】
【0077】
[参考例15〜17]
ポリオール化合物の種類の影響を検討した。すなわち、実施例1におけるアクリルポリオール化合物/カプロラクトンポリオール化合物の混合物の代わりに、アクリルポリオール化合物/ポリエステルポリオール化合物(ヒドロキシル価300mgKOH/g、数平均分子量3,000)の混合物(参考例15)、アクリルポリオール化合物/含フッ素ポリオール化合物(ヒドロキシル価300mgKOH/g、数平均分子量3,000)の混合物(参考例16)、およびアクリルポリオール化合物(ヒドロキシル価300mgKOH/g、数平均分子量3,000)(参考例17)の単独にそれぞれ変更したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物を作成して、評価した。
結果から理解できるように、同量の添加であれば、アクリルポリオール化合物/カプロラクトンポリオール化合物の混合物を用いた場合に、ガラス付着性等において、最も優れた特性が得られることが判明した。
省略するものとする。
【0078】
【表5】
【0079】
[実施例18〜20]
ガラスビンの洗浄効果およびフレーム処理効果を検討した。すなわち、実施例2において、ガラス用塗料組成物を塗布する前に、ガラスビンに対してエタノ-ルをジェット噴射で3秒間吹きつけ(実施例18)、ガラスビンに対して水をジェット噴射で3秒間吹きつけ(実施例19)、およびガラスビンに対してプロパンガスからなる温度1,000℃のフレーム(火炎)を1秒間吹きつけたほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜を生成して、評価した。なお、比較のため、実施例2の結果も併せて示す。
結果から理解できるように、ガラスビンの洗浄や、フレーム処理により、他の特性を低下させることなく、ガラス付着性を改善できることが判明した。
【0080】
【表6】
【0081】
[実施例21〜23]
プライマー処理の効果を検討した。すなわち、実施例2において、ガラス用塗料組成物を塗布する前に、カプロラクトンポリオール化合物(50重量部)のトルエン(50重量部)溶液をジェット噴射で1秒間吹きつけ(実施例21)、カプロラクトンラクトンポリオール化合物(50重量部)およびウレイドプロピルトリエトキシシラン(10重量部)のトルエン(50重量部)溶液をジェット噴射で1秒間吹きつけ(実施例22)、カプロラクトンポリオール化合物(50重量部)と、ウレイドプロピルトリエトキシシラン(10重量部)と、メラミン樹脂(30重量部)とのトルエン(50重量部)溶液をジェット噴射で1秒間吹きつけ(実施例23)、それぞれガラスビンの表面にプライマー層を形成したほかは、実施例1と同様にガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜を生成して、評価した。なお、比較のため、実施例2の結果も併せて示す。
結果から理解できるように、ガラスビンをプライマー処理することにより、その他の特性を低下させることなく、硬化塗膜のガラスに対する付着性を改善できることが判明した。
【0082】
【表7】
【0083】
【発明の効果】
本発明のガラス用塗料組成物によれば、所定量のポリオール化合物と、シランカップリング剤とをそれぞれ含むことにより、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することが可能となった。
また、ポリオール化合物として、アクリルポリオール化合物と、ラクトンポリオール化合物との混合物を使用することにより、160℃、10分程度の硬化条件であっても、ガラスに対する密着力にさらに優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れた硬化塗膜が得られるガラス用塗料組成物を提供することが可能となった。
なお、本発明のガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜(実施例1〜23)によれば、ガラスを再利用する際に、600℃以下の温度に加熱することにより、容易に昇華して、ガラスの再利用を妨げることもなかった。
また、本発明のガラス用塗料組成物の硬化方法によれば、ガラスに対する密着力に優れるとともに、表面におけるマーキング性に優れたガラス用塗料組成物からなる硬化塗膜をガラス表面に効果的に形成することが可能となった。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリオール化合物中におけるラクトンポリオール化合物の添加量と、硬化塗膜のガラスに対する密着力との関係を説明するために供する図である。
【図2】 シランカップリング剤の添加量と、硬化塗膜のガラスに対する密着力との関係を説明するために供する図である。
Claims (11)
- メラミン樹脂100重量部に対して、ポリオール化合物を50〜400重量部、シランカップリング剤を5〜100重量部の範囲で含み、
前記ポリオール化合物が、アクリルポリオールおよびラクトンポリオール化合物の混合物であることを特徴とするガラス用塗料組成物。 - 前記メラミン樹脂が、メチル化およびブチル化、あるいはいずれか一方のアルキル化を施してあるメラミン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のガラス用塗料組成物。
- 前記ポリオール化合物の全体量(100重量部)中のラクトンポリオール化合物の使用量を0.1〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス用塗料組成物。
- 前記ポリオール化合物のヒドロキシル価を5〜500mgKOH/gの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス用塗料組成物。
- 前記シランカップリング剤が、アミン系シランカップリング剤およびエポキシ系シランカップリング剤、あるいはいずれか一方のカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス用塗料組成物。
- 着色剤を含むとともに、当該着色剤の含有量を、前記メラミン樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス用塗料組成物。
- 前記メラミン樹脂の硬化触媒を含むとともに、
当該硬化触媒の含有量を、前記メラミン樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス用塗料組成物。 - 粘度を1×100〜1×106mPa・s(25℃)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス用塗料組成物。
- メラミン樹脂100重量部に対して、ポリオール化合物を50〜400重量部、シランカップリング剤を5〜100重量部の範囲で含み、
前記ポリオール化合物がアクリルポリオールおよびラクトンポリオール化合物の混合物であるガラス用塗料組成物を、ガラスに対して塗布するための塗布工程と、
塗布したガラス用塗料組成物を加熱硬化させるための硬化工程と、
を含むことを特徴とするガラス用塗料組成物の硬化方法。 - 前記塗布工程前に、ポリオール化合物をガラスに対してプライマー処理するためのプライマー工程を設けることを特徴とする請求項9に記載のガラス用塗料組成物の硬化方法。
- 前記塗布工程前に、前記ガラスに対して、フレーム処理するためのフレーム工程を設けることを特徴とする請求項9または10に記載のガラス用塗料組成物の硬化方法。
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